(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080715
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 29/13 20060101AFI20220523BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20220523BHJP
B41J 11/04 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B41J29/13
B41J3/36 Z
B41J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191930
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】星 和行
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
2C061
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C058AB06
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AE14
2C058AF31
2C058DA10
2C058DA26
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AS06
2C061AS08
2C061AS11
2C061BB12
2C061BB19
2C061CD07
2C061CD11
2C061CD12
2C061CD13
(57)【要約】
【課題】プリンタカバーの強度を高くするとともに、プリンタカバーに取り付けられるプラテンローラの交換作業性を良好にする。
【解決手段】本発明のある態様は、本体ケースと、印字媒体を搬送するプラテンローラと、本体ケースに対して揺動可能であって、互いに重なって配置される外側プリンタカバー及び内側プリンタカバーを有するプリンタカバーと、を備えるプリンタである。内側プリンタカバーは、着脱可能に外側プリンタカバーに取り付けられ、外側プリンタカバーから取り外された状態では、外側プリンタカバーとは独立に本体ケースに対して揺動可能である。外側プリンタカバーは、内側プリンタカバーが取り外された状態でプラテンローラのプラテン軸の両端を着脱可能に保持する第1保持部と、内側プリンタカバーが取り外された状態でプラテンローラを着脱可能に保持する第2保持部と、を有する。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、
印字媒体を搬送するプラテンローラと、
前記本体ケースに対して揺動可能であって、互いに重なって配置される外側プリンタカバー及び内側プリンタカバーを有するプリンタカバーと、
を備え、
前記内側プリンタカバーは、着脱可能に前記外側プリンタカバーに取り付けられ、前記外側プリンタカバーから取り外された状態では、前記外側プリンタカバーとは独立に前記本体ケースに対して揺動可能であり、
前記外側プリンタカバーは、
前記内側プリンタカバーが取り外された状態で前記プラテンローラのプラテン軸の両端を着脱可能に保持する第1保持部と、
前記内側プリンタカバーが取り外された状態で前記プラテンローラを着脱可能に保持する第2保持部と、を有する、
プリンタ。
【請求項2】
前記内側プリンタカバーは、前記外側プリンタカバーの前記第1保持部に対向し、かつ前記第1保持部に保持された前記プラテン軸の露出部分の少なくとも一部を覆うカバー部を有する、
請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記第1保持部及び前記第2保持部は、断面円弧状の形態を含む、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記内側プリンタカバーが前記外側プリンタカバーから取り外された状態において、前記第1保持部が前記プラテン軸に当接し、前記第2保持部が前記プラテンローラに当接することで、前記第1保持部及び前記第2保持部が前記プラテンローラを挟持する、
請求項1から3のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項5】
側面視において、前記第1保持部と前記2第保持部により形成される開口の幅は、前記プラテンローラの表面と前記プラテン軸の表面の最大距離よりも小さい、
請求項4に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記プラテンローラは、前記プラテン軸の表面から法線方向に突出した突出部を有し、
前記外側プリンタカバーは、前記プラテン軸が前記第1保持部に保持されている場合に前記突出部を受け入れる凹部を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項7】
前記プラテンローラは、前記プラテン軸の両側において一対の前記突出部を有する、
請求項6に記載されたプリンタ。
【請求項8】
前記プラテン軸の一端にはギアが連結され、
前記ギアが前記プラテン軸の軸方向において一方の側になるように前記プラテン軸が前記第1保持部に保持された状態では、前記ギアが前記内側プリンタカバーに接触せず、他方の側になるように前記プラテン軸が前記第1保持部に保持された場合には、前記ギアが前記内側プリンタカバーに接触するように、前記内側プリンタカバーが構成されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項9】
前記本体ケースには、帯状の印字媒体がロール状に巻回されたロール体を収容する収容部が設けられ、
前記内側プリンタカバーは、前記本体ケースに対して開放位置にあるときに前記外側プリンタカバーから取り外された場合には、閉鎖位置に向けて揺動して閉鎖することで前記収容部に収容された前記ロール体を覆うように構成されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項10】
前記外側プリンタカバー及び前記内側プリンタカバーはそれぞれ、前記収容部の側面となる側壁を有する、
請求項9に記載されたプリンタ。
【請求項11】
前記内側プリンタカバーは、前記印字媒体が前記プラテンローラに向かう搬送路に面する第1面を有し、前記第1面には、突条部が形成されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項12】
前記印字媒体は、台紙と、前記台紙に剥離可能に貼付されたラベルと、を有し、
前記プリンタは、前記印字媒体の前記台紙から前記ラベルを剥離して発行する剥離発行と、前記台紙から前記ラベルを剥離することなく発行する連続発行との切り替えが可能であって、
前記プラテンローラと平行に延び、前記台紙から前記ラベルを剥離するための剥離部材を有し、
前記剥離部材は、剥離発行時に、前記プラテンローラの下流側において前記台紙に当接する位置に配置され、
前記剥離部材の両側は、前記一対の突出部に連結されている、
請求項7に記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特に小型のラベルプリンタにおいて、プリンタカバーにプラテンローラを取り付けたものが知られている。
例えば特許文献1には、プラテンローラがカバーに取り付けられたサーマルプリンタが記載されている。このプリンタでは、カバーが閉じられたときに、プラテンローラ軸支持部(platen roller shaft supports)がメインフレーム(main frame)の溝部(groove sections)に当接することで、プラテンローラが保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来のプリンタは、プリンタカバーが単層構造であるために強度を高くすることが難しい。プリンタカバーの強度が低い場合には、プリンタカバーが閉鎖状態のときにプリンタカバーが変形して一方の側だけが閉まる(片閉まり)現象が生ずる場合がある。
他方、プリンタカバーに取り付けたプラテンローラの交換作業を容易にすることも求められる。特許文献1に記載されたプリンタでは、プラテンローラが仮置きされたカバーを閉じることでプラテンローラが保持される構成であるため、プラテンローラが保持される前にカバーから脱落する可能性があり、プラテンローラの交換作業性が悪い。
【0005】
そこで、本発明は、プリンタカバーの強度を高くするとともに、プリンタカバーに取り付けられるプラテンローラの交換作業性を良好にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、本体ケースと、印字媒体を搬送するプラテンローラと、前記本体ケースに対して揺動可能であって、互いに重なって配置される外側プリンタカバー及び内側プリンタカバーを有するプリンタカバーと、を備え、前記内側プリンタカバーは、着脱可能に前記外側プリンタカバーに取り付けられ、前記外側プリンタカバーから取り外された状態では、前記外側プリンタカバーとは独立に前記本体ケースに対して揺動可能であり、前記外側プリンタカバーは、前記内側プリンタカバーが取り外された状態で前記プラテンローラのプラテン軸の両端を着脱可能に保持する第1保持部と、前記内側プリンタカバーが取り外された状態で前記プラテンローラを着脱可能に保持する第2保持部と、を有する、プリンタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、プリンタカバーの強度を高くするとともに、プリンタカバーに取り付けられるプラテンローラの交換作業性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは、実施形態に係るプリンタについてプリンタカバーが閉鎖状態である場合の斜視図であり、
図1Bは、実施形態に係るプリンタについてプリンタカバーが開放状態である場合の斜視図である。
【
図2】実施形態のプリンタについて、プリンタカバーが開放状態であり、剥離ユニットが開放状態であり、ロール紙が収容されていない状態の斜視図である。
【
図3】実施形態のプリンタにおいて連続発行と剥離発行を説明するための部分的な断面図である。
【
図4】実施形態のプリンタにおいて、プリンタカバーと本体ケースの連結構造を示す図である。
【
図5】実施形態のプリンタのプリンタカバーの分解斜視図である。
【
図6】
図6Aは一体型プラテンローラの斜視図であり、
図6Bは一体型プラテンローラの平面図である。
【
図7】
図6BのA-A拡大断面とB-B拡大断面を示す図である。
【
図10】
図9のC-C拡大断面とD-D拡大断面を示す図である。
【
図15】外側プリンタカバーと内側プリンタカバーの連結に使用されるヒンジの斜視図である。
【
図16】ヒンジを用いた外側プリンタカバーと内側プリンタカバーの取り付け方法を説明する図である。
【
図17】ヒンジを用いた外側プリンタカバーと内側プリンタカバーの取り付け方法を説明する図である。
【
図18】
図18A及び
図18Bはそれぞれ、ヒンジを用いた外側プリンタカバーと内側プリンタカバーの連結機構の別の実施形態を説明する図である。
【
図20】外側プリンタカバーの一部を拡大した斜視図である。
【
図21】
図20に示す外側プリンタカバーにおいて一体型プラテンローラが仮保持された状態を示す図である。
【
図22】一体型プラテンローラが仮保持された状態の外側プリンタカバーの一部を拡大した底面図である。
【
図23】外側プリンタカバーの一部を拡大した斜視図である。
【
図24】
図23に示す外側プリンタカバーにおいて一体型プラテンローラが仮保持された状態を示す図である。
【
図25】一体型プラテンローラを外側プリンタカバーに仮保持させるときの動作について説明する図である。
【
図26】実施形態のプリンタカバーの底面図である。
【
図27】
図26のE-E拡大断面、F-F拡大断面、G-G拡大断面を示す図である。
【
図28】
図26のH-H拡大断面、I-I拡大断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[プリンタの概略構成]
本発明の一実施形態に係るプリンタ1は、連続発行と剥離発行を切り替え可能に構成されたラベルプリンタである。以下、プリンタ1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図では、例えば
図1A及び
図1Bの斜視図に示すように、上(UP)、下(DN)、左(LH)、右(RH)、前(FR)、後(RR)の方向を定義しているが、この方向の定義は、専ら図面の説明の便宜のためであり、本発明のプリンタの使用時の姿勢を限定する意図はない。
この方向の定義では、「プリンタ前後方向」とは、プリンタ1の前後の方向を意味する。「プリンタ幅方向」とは、プリンタ1の左右の方向、あるいは横方向を意味する。
【0010】
図1A、
図1B及び
図2は、それぞれ実施形態のプリンタ1の斜視図である。
図1Aは、プリンタカバー3が閉鎖状態の場合を示し、
図1B及び
図2は、プリンタカバー3が開放状態の場合を示している。
図1Bは、ロール紙Rがセットされた状態を示し、
図2は、ロール紙R、及び、ロール紙Rがセットされる前のプリンタ1の状態を示している。
【0011】
図1Aに示すように、プリンタ1は、本体ケース2とプリンタカバー3によって内部の機能部品が保護されている。プリンタ1の上面には、ラベルを排出する排出部20が設けられている。
なお、プリンタ1は、排出部20側を上に向けた状態(横置き)で使用することも可能であるが、プリンタ1の底面に設けられたベルトフック(図示せず)をユーザのベルトに引っかけたり、ショルダーベルト(図示せず)を装着してユーザの肩に掛けたりすることにより排出部20側を横に向けた状態(縦保持)で使用することも可能である。
本体ケース2において排出部20よりも前方には、表示パネル15が設けられている。表示パネル15は、ユーザによる操作入力を受け付けるタッチパネル入力機構を備えてもよい。表示パネル15は、プリンタ1の内部の回路基板に接続されており、回路基板から供給される表示信号に基づいて、例えばプリンタ1の動作状態やプリンタ1の操作に関するユーザインタフェースを示す画像を出力する。
【0012】
図示しないが、本体ケース2とプリンタカバー3によって包囲されているプリンタ1の内部には、様々な機能部品を支持又は保持するための内部フレームが配置されている。この内部フレームと、本体ケース2及びプリンタカバー3とは、プリンタ本体に相当する。
【0013】
プリンタカバー3は、プリンタ1の内部を開放する開放位置と、プリンタ1の内部を閉鎖する閉鎖位置と、の間で揺動可能に構成される。
本体ケース2に設けられたカバー開放用ボタン51bを操作すると、
図1Bに示すように、プリンタカバー3が開放する。プリンタカバー3を開放することで、ロール紙収容室9が露出する。ロール紙収容室9は、ロール紙R(ロール体の一例)を収容する空間である。
【0014】
図2に示すように、ロール紙Rは、帯状の連続紙Pがロール状に巻回されたものである。連続紙Pは、帯状の台紙PMと、台紙PM上に予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPLとを有している。台紙PMのラベル貼付面には、ラベルPLを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等のような剥離剤が被覆されている。また、台紙PMのラベル貼付面の裏面には、予め決められた間隔毎にラベルPLの基準位置を示す位置検出マークMが形成されている。
ラベルPLの表側は情報が印字される印字面であり、予め決められた温度領域に達すると特定の色に発色する感熱発色層が形成されている。印字面の裏側は接着剤によって被覆された接着面であり、当該接着面が台紙PMのラベル貼付面に貼り付けられることでラベルPLが台紙PMに仮着されている。
【0015】
ロール紙収容室9には、一対のロール紙ガイド6aが設置されている。一対のロール紙ガイド6aは、ロール紙Rの両側面に接触した状態でロール紙Rを回転自在の状態で支持してロール紙Rから引き出される連続紙の搬送をガイドする部材であり、ロール紙Rの幅に応じて位置を変えられるようにロール紙Rの幅方向に沿って移動可能であることが好ましい。
【0016】
図2に示すように、プリンタカバー3が開放位置と閉鎖位置の間で本体ケース2に対して揺動可能となるように、プリンタカバー3が本体ケース2に対してヒンジ8で軸支されている。ヒンジ8はヒンジ軸81を有し、ヒンジ軸81には、プリンタカバー3を閉鎖位置から開放位置に向けて付勢する捩りばね(後述する)が設けられている。
【0017】
図2に示すように、プリンタカバー3の先端には、プラテンローラ10が正逆方向に回動自在の状態で軸支されている。プラテンローラ10は、ロール紙Rから引き出される連続紙Pを搬送する搬送手段であり、連続紙Pの幅方向に沿って延在した状態で形成されている。このプラテンローラ10のプラテン軸10aの一端には、ギア10bが連結されている。このギア10bは、プリンタカバー3が閉鎖位置のときに本体ケース2内に配置されるギア22bと係合し、ギア22bを介してローラ駆動用のステッピングモータ(図示せず)等に機械的に接続されるようになっている。
【0018】
図2に示すように、プリンタカバー3には、プラテンローラ10の近傍において剥離バー12(剥離部材の一例)がプラテンローラ10に沿って設置されている。この剥離バー12は、台紙PMからラベルPLを剥離する剥離部材であり、その両端はプリンタカバー3の両側壁に固定されている。なお、剥離バー12は、プラテン軸10aの両端に固定してもよい。
一実施形態では、後述するように、プラテンローラ10と剥離バー12が一体となった一体型プラテンローラ11が搭載される。
一実施形態では、剥離バー12の断面は実質的に三角形状であるが、その限りではなく、球状や楕円形状であってもよい。
【0019】
本体ケース2内には、プリンタカバー3を閉鎖したときにプラテンローラ10のプラテン軸10aを保持するプラテン保持ブラケット27が設けられる。プラテン保持ブラケット27の前方には、サーマルヘッド28が配置される。
プラテン保持ブラケット27は、カバー開放用ボタン51bの操作に応じて、内部フレームに設定された揺動軸の回りを揺動可能となるように構成される。プリンタカバー3が閉鎖位置にある場合には、プラテン保持ブラケット27のU字状の溝に、プリンタカバー3に取り付けられたプラテン軸10aが係合する。プリンタカバー3が閉鎖位置にある場合にカバー開放用ボタン51bが操作された場合には、プラテン保持ブラケット27によるプラテン軸10aの係合が解除され、プリンタカバー3が、ヒンジ軸81に設けられた捩りばねの付勢力によって開放位置に移動(揺動)する。
【0020】
サーマルヘッド28は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等の情報を、ロール紙Rから搬送される台紙PMに仮着されているラベルPLに印字する印字手段である。サーマルヘッド28は、プリンタカバー3が閉鎖状態のときにプラテンローラ10に対向するように設けられている。
サーマルヘッド28には、回路基板(図示せず)に接続するフレキシブルケーブルが着脱可能に取り付けられている。サーマルヘッド28は、連続紙Pの幅方向に沿って配列される複数の発熱素子(発熱抵抗体)を備え、回路基板から送信される信号に基づいて複数の発熱素子を選択的に通電することで印字を行う。
【0021】
図2に示すように、サーマルヘッド28の前方には、コイルばね55が配置される。コイルばね55の後方の一端はサーマルヘッド28に当接し、コイルばね55の前方の他端は内部フレームに当接している。コイルばね55は、印字時にサーマルヘッド28をプラテンローラ10に向けて付勢し、それによってサーマルヘッド28が印字に最適な圧力でプラテンローラ10に押圧される。
【0022】
プリンタ1は、剥離ユニット4を有し、剥離ユニット4を連続発行位置と剥離発行位置の間で移動させることによって、連続発行及び剥離発行を行う。
図1Bに示すように、プリンタカバー3が開放位置にあるときには剥離ユニット開放用ボタン52bが露出する。剥離ユニット開放用ボタン52bを操作することで、剥離ユニット4を動作させることができる。
図2は、剥離ユニット開放用ボタン52bを操作したときの剥離ユニット4の状態を示している。
剥離ユニット開放用ボタン52bは、連続発行から剥離発行に切り替えるときにユーザによって操作される。
【0023】
図2に示すように、剥離ユニット4は、剥離ローラカバー41と、剥離ローラ45を保持する剥離ローラ保持部42と、を有する。剥離ローラカバー41は、連続発行時に剥離ローラ保持部42を覆うように構成されている。剥離ローラカバー41は、本体ケース2内の内部フレームに軸支されており、剥離ユニット開放用ボタン52bの操作に応じて閉鎖位置から開放位置(
図2に示す状態)まで揺動する。
剥離ローラ保持部42は、剥離ローラカバー41に軸支されている。連続発行時には、剥離ローラ保持部42は、剥離ローラカバー41の裏面の下に折り畳まれるようにして収容される。
【0024】
プリンタカバー3には、センサ35が設けられている。センサ35は、プリンタカバー3の閉鎖時において、ロール紙Rから引き出された連続紙Pがプラテンローラ10に達するまでの間の通紙ルートに配置され、ラベルPLの位置を検出する。このセンサ35の検出結果に基づいて、連続紙Pの搬送量を制御することが好ましい。
【0025】
図示しないが、連続発行後の連続紙Pの台紙PMを切断するカッタを設けるとよい。カッタを設ける場合、カッタは、排出部20において連続紙Pの幅方向に沿って延在した状態で設置される。また、剥離バー12をカッタとして機能させてもよい。
【0026】
[連続発行及び剥離発行]
次に、プリンタ1の連続発行及び剥離発行について、
図3を参照して説明する。
プリンタ1は、連続紙の台紙からラベルを剥離して発行する剥離発行と、台紙からラベルを剥離することなく発行する連続発行との切り替えが可能に構成されている。
【0027】
連続発行の場合は、必要枚数のラベルが貼られた台紙を用意しておき、現場でラベルを台紙から剥がして貼り付けることができるので、ラベルを貼り付ける対象物がプリンタ1から離れた場所にある場合に適している。連続発行に際しては、プリンタ1に装着された剥離ユニット4を連続発行位置にセットする。
【0028】
一方、剥離発行の場合は、ラベルが1枚ずつ台紙から剥がれた状態で排出されるのでラベルを貼り付ける対象物がユーザの近くにある場合に適している。剥離発行に際しては、プリンタ1に装着された剥離ユニット4を剥離発行位置にセットする。これにより、印字のためにプラテンローラ10を回転させ連続紙を搬送すると、台紙は剥離ローラ45とプラテンローラ10とに挟まれた状態で搬送される一方、印字後のラベルは1枚毎に台紙から剥がされてプリンタ1の外部に排出される。
【0029】
図3は、連続発行及び剥離発行のときの、剥離ユニット4、プラテンローラ10、剥離バー12、及び、サーマルヘッド28の位置関係を示す概略の部分断面図である。
図3では、剥離ユニット4の剥離ローラカバー41及び剥離ローラ保持部42について、外形線のみで表している。剥離ローラカバー41の外形線については点線で示している。
また、連続発行と剥離発行とでは剥離ローラ保持部42の位置が異なるため、剥離ローラ保持部42にのみ斜線を付している。
連続発行のときの剥離ユニット4の位置は連続発行位置に相当し、剥離発行のときの剥離ユニット4の位置は剥離発行位置に相当する。
【0030】
図3に示すように、連続発行の際には、剥離ローラ保持部42は剥離ローラカバー41の下に収容されており、それによって剥離ローラ45は、プラテンローラ10から離間した位置にあり、連続紙Pの排出を妨げない。ロール紙Rから引き出された連続紙Pがプラテンローラ10とサーマルヘッド28によって挟持され、連続紙P上のラベルに印字される。
【0031】
連続発行から剥離発行に切り替える際には、剥離ローラ保持部42は、軸42aを中心として
図3の揺動した位置に移動させる。
図3に示すように剥離発行の際には、剥離ローラ45は、プラテンローラ10に対向する位置に配置される。剥離発行の際には、剥離バー12は、プラテンローラ10の下流側において台紙PMに当接する位置に配置される。剥離発行においても、ロール紙Rから引き出された連続紙Pがプラテンローラ10とサーマルヘッド28によって挟持され、連続紙P上のラベルに印字される点は、連続発行と同じである。剥離発行では、ロール紙Rから引き出された連続紙Pの台紙PMは、剥離バー12において急旋回させられ、プラテンローラ10と剥離ローラ45に挟持されて排出される。剥離バー12での台紙PMの急旋回に伴って、ラベルPLは、台紙PMから剥離されて排出される。
【0032】
[プリンタカバーの構造]
次に、プリンタカバー3の構造について、
図4~
図7を参照して説明する。
図4は、プリンタカバー3と本体ケース2の連結構造を示す図である。
図5は、プリンタカバー3の分解斜視図である。
図4に示すように、プリンタカバー3の一端には、揺動軸となるヒンジ軸81を含むヒンジ8が取り付けられており、プリンタカバー3の他端には、一体型プラテンローラ11(プラテンローラ10と剥離バー12を含む。)が取り付けられている。
【0033】
プリンタカバー3の一端には、一対の取付部311L,311Rが設けられている。一対の取付部311L,311Rには、ヒンジ8のヒンジ軸81が挿通される。ヒンジ軸81の両端が本体ケース2の取付部23L,23Rに取り付けられることで、プリンタカバー3が本体ケース2に揺動可能に連結されている。すなわち、ヒンジ軸81の両端が、本体ケース2の取付部23L,23Rに形成された挿入孔23Lh,23Rhに挿入される。挿入孔23Lh,23Rhの各々には、ヒンジ軸81が軸方向に移動可能となるように挿入される。
ヒンジ8の捩りばね83(後述する)の連結部832が本体ケース2の後壁230に形成された載置溝230dに挿入され、それによって捩りばね83が機能し、プリンタカバー3を開放位置に向けて付勢する。
図4に示す実施形態では、プリンタカバー3が本体ケース2に連結された状態では、取付部23Lと取付部311Lが隣接して配置され、取付部23Rと取付部311Rが隣接して配置される。そのため、プリンタカバー3の取付部311L,311Rが本体ケース2に支持されるため、プリンタカバー3の本体ケース2に対する連結強度が高くなるとともに、取付部同士が面接触してプリンタカバー3の揺動が円滑になる利点もある。
【0034】
ヒンジ8では、操作部材82がヒンジ軸81と一体成形されており、プリンタカバー3が本体ケース2と連結された状態では、操作部材82がプリンタカバー3に形成された収容部322に収容される。後述するように、操作部材82は、工具が無くても本体ケース2からプリンタカバー3を着脱できるようにするために設けられている。
【0035】
図5に示すように、プリンタカバー3は、互いに重なって配置される外側プリンタカバー31と内側プリンタカバー32を有する。外側プリンタカバー31には一対の締結部310L,310Rが設けられ、内側プリンタカバー32には一対の挿通孔320L,320Rが設けられている。ねじSC1,SC2をそれぞれ、内側プリンタカバー32の挿通孔320L,320Rを通して、外側プリンタカバー31の締結部310L,310Rに締結することで、外側プリンタカバー31と内側プリンタカバー32が一体化される。
一体型プラテンローラ11は、外側プリンタカバー31と内側プリンタカバー32に挟持されるようにして外側プリンタカバー31及び内側プリンタカバー32に保持される。一体型プラテンローラ11をプリンタカバー3から着脱させるためには、外側プリンタカバー31と内側プリンタカバー32の締結を解除する必要がある。
外側プリンタカバー31及び内側プリンタカバー32による一体型プラテンローラ11の保持態様については、後に詳述する。
【0036】
ここで、プリンタカバー3に保持される一体型プラテンローラ11の構成について、
図6及び
図7を参照して説明する。
図6Aは一体型プラテンローラの斜視図であり、
図6Bは一体型プラテンローラの平面図である。
図7は、
図6BのA-A拡大断面とB-B拡大断面を示す図である。
図6に示すように、一体型プラテンローラ11では、プラテン軸10aにおいてプラテンローラ10の端部近傍には、一対のアーム101L,101R(突出部の一例)が設けられている。
図7に示すように、アーム101L,101Rは、プラテン軸10aの法線方向に突出し、各アームの先にはプラテンローラ10と平行に剥離バー12が連結されている。アーム101Lには凸部102L,103Lが形成され、アーム101Rには凸部102R,103Rが形成されている。 プラテン軸10aの一端には、ギア10bが接続される。一体型プラテンローラ11では、ギア10bの回転に応じて、プラテンローラ10が回転するものの剥離バー12及びアーム101L,101Rは静止した状態を維持するように構成されている。
【0037】
[外側プリンタカバー]
次に、
図8~
図11を参照して、外側プリンタカバー31について説明する。
図8は、外側プリンタカバー31の斜視図である。
図9は、外側プリンタカバー31の底面図である。
図10は、
図9のC-C拡大断面とD-D拡大断面を示す図である。
図11は、外側プリンタカバー31の側面図である。
【0038】
図8及び
図9に示すように、外側プリンタカバー31は、樹脂材料により成形され、天井部317が側壁316L,316R及び後壁318によって囲まれた形態をなしており、強度が高い構造となっている。側壁316L,316Rは、ロール紙収容室9の側面となる。
【0039】
天井部317は、内側プリンタカバー32と連結されるように、ねじを受け入れる締結部310L,310Rを有する。
天井部317の後壁318とは反対側の端部には、一体型プラテンローラ11を仮保持するための構造として、プラテン保持部312(第2保持部の一例)、保持片313L,313R(第1保持部の一例)、及び、凹部314L,314Rが設けられる。
図8に示すように、保持片313L,313Rの各々は、断面円弧状の形態をなしており、プラテン軸10aを保持するために好ましい形状を備えている。
【0040】
プラテン保持部312は、保持片313Lと保持片313Rの間に延びる断面円弧状の部材であり、プラテンローラ10を仮保持するために形成されている。プラテン保持部312は、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31に取り付けられていない状態では、プラテンローラ10の外周面に接触してプラテンローラ10を保持する。
その一方で、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31に取り付けられた場合には、内側プリンタカバー32の図示しない突起がプラテン軸10aを保持片313L,313Rの方に押圧することで、プラテン保持部312がプラテンローラ10から離間する。そのため、外側プリンタカバー31と内側プリンタカバー32が連結された状態では、プラテン保持部312は、プラテンローラ10の外周面と接触しない。そのため、プラテン保持部312とプラテンローラ10の間に僅かな隙間が形成され、プラテンローラ10の円滑な回転を妨げない。当該隙間によって、例えば、ミシン目を有するラベルを使用してバックフィードする際に、当該ラベルのプラテンローラ10への巻き込まないようにするガイドの役割も果たす。
また、プラテン保持部312は、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31に取り付けられた場合に、内側プリンタカバー32内に水等の液体を侵入させ難くする機能をも有する。
【0041】
図9に示すように、凹部314L,314Rは、それぞれ保持片313L,313Rの外側に配置され、一体型プラテンローラ11のアーム101L,101R(
図6参照)を受け入れるように構成される。横方向にガタ付きなく一体型プラテンローラ11を保持するために、凹部314L,314Rの幅は、アーム101L,101Rよりも僅かに広い程度であることが好ましい。
【0042】
ヒンジ8と連結される後壁318の端部には、一対の取付部311L,311Rが設けられている。
図8及び
図11に示すように、取付部311L,311Rには、それぞれヒンジ8のヒンジ軸81を挿通させるための挿入孔311Lh,311Rhが形成される。
また、後壁318の端部には、保持片319が設けられている。保持片319は、外側プリンタカバー31が内側プリンタカバー32と連結された状態で、内側プリンタカバー32の把持部326a,326b(後述する)の間に配置される。それによって、内側プリンタカバー32を外側プリンタカバー31とは独立に揺動させるときに、内側プリンタカバー32の横方向の移動を規制するとともに内側プリンタカバー32が円滑に揺動することができる。
【0043】
図10に示すように、挿入孔311Lh,311Rhは、外側に向かって実質的に逆テーパ形状であることが好ましい。例えば、各挿入孔の内側の端部の径は、ヒンジ軸81の径よりも僅かに大きく、外側に向かうにつれて各挿入孔の径を大きくする。
図10に示す実施形態では、各挿入孔の内側の端から同一径の同径部分が設けられ、同径部分の外側端からさらに外側に向かうにつれて逆テーパ形状になっている。別の実施形態では、各挿入孔を全体的に逆テーパ形状としてもよい。挿入孔311Lh,311Rhを実質的に逆テーパ形状とすることで、ヒンジ8をプリンタカバー3に取り付ける際、ヒンジ軸81の一端を挿入孔311Lh,311Rhの内側の端部から挿入する場合に、ヒンジ軸81を挿入孔内の逆テーパ形状に沿って傾斜させることができる。そのため、ヒンジ8をプリンタカバー3に取り付けるときの作業性が向上する。
なお、挿入孔311Lh,311Rhの両方を実質的に逆テーパ形状とする必要はない。ヒンジ軸81をいずれか一方の挿入孔に挿入した状態でヒンジ軸81を傾斜させることができればよいため、いずれか一方の挿入孔のみを実質的に逆テーパ形状としてもよい。
図10に示す実施形態では、挿入孔311Lh,311Rhの内面において左右方向に平行な部分が設けられているため、ヒンジ軸81が各挿入孔に挿入された状態で軸が振れ難いという利点がある。しかし、その限りではなく、挿入孔の内面が実質的に円錐面となるように構成してもよい。
また、別の実施形態では、挿入孔の内面を逆テーパ形状ではなく、外側に向かって径が大きくなる2以上の円柱面の組合せで構成してもよい。すなわち、
図10に示す断面で見たときに挿入孔の断面が段付きで構成されていてもよい。
【0044】
[内側プリンタカバー]
次に、
図12~
図14を参照して、内側プリンタカバー32について説明する。
図12は、内側プリンタカバー32の斜視図である。
図13は、内側プリンタカバー32の底面図である。
図14は、内側プリンタカバー32の側面図である。
【0045】
図12及び
図13に示すように、内側プリンタカバー32は、樹脂材料により成形され、ロール紙Rの表面に合わせて湾曲面を有する湾曲部323に対して肉厚の側壁327L,327Rが結合した形態をなしており、強固な構造となっている。側壁327L,327Rは、ロール紙収容室9の側面となる。
【0046】
湾曲部323は、外側プリンタカバー31と連結されるように、ねじを挿通させるための挿通孔320L,320Rを有する。
湾曲部323は、一端部において、ヒンジ8のヒンジ軸81を把持するための把持部326a,326b,326cを有する。
図14に示すように、各把持部は断面C字形状又は断面U字形状であり、ヒンジ軸81を軸方向に直交する方向から各把持部に挿入させることが可能である。
図12に示す実施形態では3個の把持部が設けられるが、その限りではなく、把持部のヒンジ軸81の軸上の位置、把持部の軸方向の幅、及び、把持部の数については適宜改変することができる。
【0047】
湾曲部323の一端部には、切欠部321L,321R,321Cが形成されている。切欠部321L,321Rは、外側プリンタカバー31の取付部311L,311R(
図8参照)を露出するために切り欠かれている。切欠部321Cは、ヒンジ8の操作部材82(
図4参照)を受け入れるために切り欠かれている。切欠部321Cは収容部322に続いている。
【0048】
収容部322は、ヒンジ8の操作部材82を収容するために、湾曲部323の表面の一部に形成された凹部である。プリンタカバー3を本体ケース2に取り付ける場合、及び、本体ケース2から取り外す場合には、操作部材82が収容部322に収容させられ、あるいは、収容部322から取り外される。収容部322の凹みの深さは限定しないが、操作部材82を収容したときに操作部材82と底面との間に指が入る程度の隙間が確保されていることが操作部材82を容易に取り外すことが可能となる点で好ましい。
【0049】
一実施形態では、
図13に示すように、収容部322は、横方向の幅がW1の部分(第1部分の一例)と、横方向の幅がW1より大きいW2の部分(第2部分の一例)と、を含むことが好ましい。
図13に示す収容部322の例では、全体で十字形状をなしている。
ヒンジ8の操作部材82の横幅は、W1と同じであるか、又はW1よりも僅かに小さく、それによって操作部材82が収容部322に嵌合するように構成されている。そのため、外力が加わらなければ操作部材82が収容部322から外れることがなく、ヒンジ8の軸方向の移動が規制される。
収容部322に横方向の幅がW2の部分が含まれるため、操作部材82が収容部322に収容された状態であっても操作部材82の側面の少なくとも一部が露出し、ユーザが指を入れて操作部材82の収容部322に対する嵌合を解除させることができる。
【0050】
操作部材82が収容部322に収容されたときに収容部322から外れ難くする目的で、操作部材82の先端部の両側面に突起(
図15参照)を設けるとともに、収容部322の対応する側面に凹み(図示せず)を設けるとよい。操作部材82の突起が収容部322の凹みが嵌合することで、操作部材82が収容部322から外れ難くなる。
【0051】
図12に示すように、湾曲部323の他端部には、用紙ガイド324が形成されている。用紙ガイド324は、側壁327L,327Rの間に亘って延びている。
用紙ガイド324は、プリンタカバー3が閉鎖状態であるときにロール紙Rから引き出された連続紙Pがプラテンローラ10に向かう搬送路に面する表面(第1面の一例)を有する。用紙ガイド324の表面には、センサ35が設けられる。用紙ガイド324の表面には、ロール紙Rから引き出された連続紙Pが円滑に搬送されるように1又は複数の突条部324pを設けることが好ましい。例えば一方面に接着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)に印字する場合には、接着面が用紙ガイド324に貼り付かないようにするために、突条部324pを設けることが特に有効である。
用紙ガイド324の突条部324pが設けられた面は、プリンタカバー3が閉鎖位置にあるときには、プラテンローラ10よりも上流側に配置され、かつ連続紙Pの搬送方向に沿った形状である。
【0052】
用紙ガイド324において側壁327L,327Rの近傍には、それぞれカバー部325L,325Rが設けられる。
図12及び
図13に示すように、カバー部325L,325Rは、用紙ガイド324の端部から突出している。後述するが、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31に連結されたときには、カバー部325L,325Rは、それぞれ外側プリンタカバー31の保持片313L,313R(
図8参照)と対向配置され、保持片313L,313Rとプラテン軸10aを挟持する。
【0053】
図4に示したように、一体型プラテンローラ11がプリンタカバー3に取り付けられた状態では、一体型プラテンローラ11のギア10bが右側に配置される。そこで、誤ってギア10bが左側に配置された状態で一体型プラテンローラ11がプリンタカバー3に取り付けることを避ける目的で、ギア10bが左側に配置された状態では、ギア10bが内側プリンタカバー32に干渉し、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31に組み付けることができないようにするのが好ましい。言い換えれば、ギア10bがプラテン軸10aの軸方向において右側になるようにプラテン軸10aが外側プリンタカバー31に保持された場合には、ギア10bが内側プリンタカバー32に接触(干渉)せず、右側になるようにプラテン軸10aが外側プリンタカバー31に保持された場合には、ギア10bが内側プリンタカバー32に接触(干渉)するように、内側プリンタカバー32が構成されていることが好ましい。
具体的には、ギア10bが左側に配置するように一体型プラテンローラ11を外側プリンタカバー31にセットしたときにギア10bと干渉するような突出部を、内側プリンタカバー32の外面に設ければよい。
【0054】
図5に示したように、内側プリンタカバー32を外側プリンタカバー31に取り付けることでプリンタカバー3が完成する。外側プリンタカバー31及び内側プリンタカバー32はそれぞれ側壁を有しているため、プリンタカバー3全体の強度は非常に高い。
【0055】
[ヒンジの構造とプリンタカバーの本体ケースに対する取り付け方法]
次に、
図15~
図17を参照して、ヒンジ8の構造とプリンタカバー3の本体ケース2に対する取り付け方法について説明する。
図15は、外側プリンタカバー31と内側プリンタカバー32の連結に使用されるヒンジ8の斜視図である。
図16及び
図17は、ヒンジ8を用いた外側プリンタカバー31と内側プリンタカバー32の取り付け方法を順に説明する図である。
【0056】
先ず
図15を参照すると、ヒンジ8は、ヒンジ軸81(シャフトの一例)と、操作部材82と、捩りばね83と、を有する。
操作部材82は、ヒンジ軸81と一体成形され、ユーザがヒンジ8をプリンタカバー3に取り付け、あるいはプリンタカバー3から取り外すときに、ヒンジ軸81を軸方向に移動させる操作を行うためにユーザに把持される部材である。操作部材82がプリンタカバー3の収容部322に収容されている場合には、ヒンジ軸81の軸方向の移動が規制され、操作部材82が収容部322に収容されていない場合には、ヒンジ軸81の軸方向の移動の規制が解除されるように構成されている。
【0057】
一実施形態では、操作部材82の内面は、内側プリンタカバー32の収容部322に収容されたときに、湾曲部323の湾曲面と実質的に同一平面となるように湾曲しているが、その限りではない。ここで、操作部材82の内面とは、プリンタカバー3に取り付けられたときに内側プリンタカバー32の湾曲部323を向く面とは反対側の面である。操作部材82の内面と湾曲部323の湾曲面とを実質的に同一平面とすることで、プリンタカバー3の内面側の美観に優れ、また、湾曲部323の湾曲面とロール紙Rとの隙間を少なくできるため、プリンタ1の小型化を図ることができる。
【0058】
捩りばね83は、前述したように、ヒンジ8が本体ケース2とプリンタカバー3に取り付けられたときにプリンタカバー3を閉鎖位置に向けて揺動するように付勢する。捩りばね83は、例えば金属製である。
図15に示すように、捩りばね83は、ヒンジ軸81に巻き付けられる巻き付け部831L,831Rと、巻き付け部831L,831R同士を連結する連結部832と、を有する。
図4に示したように、連結部832は、本体ケース2の載置溝230dに載置される。巻き付け部831L,831Rの端部831Le,831Reは、プリンタカバー3の内面(つまり、内側プリンタカバー32の内面)に配置される。それによって、プリンタカバー3が閉鎖位置にあるときには、プリンタカバー3に対して巻き付け部831L,831Rの端部831Le,831Reが接触する位置を作用点として、プリンタカバー3を開放位置に向けて揺動させる付勢力が発生する。
図16に示すように、操作部材82は、ヒンジ軸81の中央から離間した位置でヒンジ軸81に連結されていることが好ましい。それによって、巻き付け部831L,831Rの間隔を短くしてもヒンジ軸81を巻き付け部に挿入して捩りばね83を組み付けることができ、組立性が向上するとともに、捩りばね83の小型化にも寄与する。
【0059】
次に、ヒンジ8を用いたプリンタカバー3の本体ケース2に対する取り付け方法について説明する。
図16及び
図17の状態S1~S3は、取り付け手順を示している。
先ず、ヒンジ8をプリンタカバー3に取り付ける。すなわち、ヒンジ軸81の両端を取付部311L,311Rの挿入孔311Lh,311Rhに順に挿入することでヒンジ8をプリンタカバー3に取り付ける。このとき、プリンタカバー3の把持部326a,326b,326cは、断面C字形状又は断面U字形状であり、各把持部の開口部分からヒンジ軸81を差し込むことができる。
【0060】
次いで、ヒンジ8のヒンジ軸81の一端を、本体ケース2の取付部23Lの挿入孔23Lh又は取付部23Rの挿入孔23Rhのいずれか(
図16では、挿入孔23Lh)に差し込む。
ここで、挿入孔23Lh,23Rhは、ヒンジ軸81が挿入孔23Lh,23Rh内で軸方向と直交する方向に移動可能となるように構成されていることが好ましい。例えば、挿入孔23Lh,23Rhは、前後方向に長孔である。それによって、
図16に示すように、ヒンジ軸81を本体ケース2側の挿入孔(
図16では、挿入孔23Lh)に傾斜させることができるため、プリンタカバー3に取り付けられたヒンジ8のヒンジ軸81を本体ケース2の挿入孔に挿入させるときの操作性が良好となる。
【0061】
ヒンジ8がプリンタカバー3に取り付けられた状態で、ユーザは操作部材82を把持してヒンジ軸81を軸方向に移動させることが可能である。そこで、ユーザは、状態S1,S2に示すように、操作部材82を操作してヒンジ軸81を左側に移動させる。すると、ヒンジ軸81の右端が取付部311Rの内部に入るため、取付部311Rを本体ケース2の取付部23Rの左隣り配置させることが可能となる。
【0062】
次いでユーザは、状態S3に示すように、操作部材82を操作してヒンジ軸81を右側に移動させ、ヒンジ軸81の右端を取付部23Rの挿入孔23Rhに挿入させる。そして、操作部材82を収容部322に収容させることで、プリンタカバー3の本体ケース2に対する取り付けが完了する。
【0063】
以上説明したように、ヒンジ8を用いることで、工具が無くてもプリンタカバー3を本体ケース2に取り付けることができる。プリンタカバー3を本体ケース2から取り外す場合には、状態S3から状態S1に向かう逆の操作を行えばよく、同様に工具を必要としない。
しかも、プリンタカバー3が本体ケース2に取り付けられた状態では、ヒンジ軸81の両端が、本体ケース2の取付部23L,23Rとプリンタカバー3の取付部311AL,311ARに保持され、また、操作部材82は収容部322において軸方向の移動が規制されている。そのため、プリンタカバー3が本体ケース2から容易に外れない構造となっている。
【0064】
一実施形態では、
図16に示すように、ヒンジ8がプリンタカバー3に取り付けられた状態で、操作部材82の軸方向の移動が、隣接する2個の把持部326b,326cの間に規制(制限)される。そのため、ユーザは、
図16においてヒンジ軸81の右側の端部が取付部311Rの挿入孔311Rhから外れるほどヒンジ軸81を左側に移動させることがなく、プリンタカバー3を取り付けるときの操作性が良好となる。つまり、把持部326bの端が操作部材82のストッパとして機能する。
【0065】
ヒンジ軸81を挿入する2個の挿入孔311Lh,311Rhの軸方向の位置は限定しないが、極力2個の挿入孔の間隔を大きくすることが好ましい。2個の挿入孔の間隔を大きくとることで、プリンタカバー3が本体ケース2に対して特に捩り方向の外力に対する強度を高くすることができる。
図16に示す実施形態では、捩りばね83の巻き付け部831L,831R(
図15参照)が取付部311L,311Rの内側に設けられる例を示しているが、その限りではない。巻き付け部が取付部23Lと取付部311Lの間、及び、取付部23Rと取付部311Rの間に配置されるように、捩りばね83を構成することもできる。
【0066】
ヒンジ及び当該ヒンジを取り付けるためのプリンタカバーの構造は様々な実施形態が考えられる。以下、他の実施形態について、
図18及び
図19を参照して説明する。
【0067】
図12の実施形態に示したように、把持部326a~326cを設けることで、ヒンジ8の強度(つまり、例えば落下衝撃時のプリンタカバー3の本体ケース2からの外れ難さ)が向上するが、別の実施形態では、把持部326a~362cの一部又は全てがなくてもよい。例えば、
図18Aに示す実施形態では、プリンタカバーに把持部がなく取付部311AL,311ARが設けられる。ヒンジ軸81の両端は、
図17の状態S3と同様に、本体ケース2の取付部23L,23Rに取り付けられる。
図18Aに示す実施形態においても、本体ケース2に対するプリンタカバー3の着脱に工具が不要であり、かつプリンタカバー3が本体ケース2から容易に外れない構造となる。
【0068】
図18Bの実施形態では、2個の操作部材82A,82Bを有するヒンジが示される。このように、ヒンジに含まれる操作部材の数は1つでなくてもよい。また、横幅の広い1個の把持部326dがプリンタカバーに設けられる。
図18Bに示す実施形態では、2個の操作部材82A,82Bを収容するための収容部322A,322Bがプリンタカバーに形成される。
【0069】
図4~
図17に示した実施形態では、外側プリンタカバー31と内側プリンタカバー32の2層構造のプリンタカバー3を示したが、プリンタカバーを2層構造とすることと、ヒンジを取り付けるためのプリンタカバーの構造とは、直接的な関連性はない。よって、各実施形態でのヒンジを用いたプリンタカバーの本体ケースに対する取り付け機構は、単層のプリンタカバーによっても実現できる。例えば、
図18A及び
図18の各実施形態で示されるプリンタカバーは、単層のプリンタカバーによって実現されることは明らかである。
【0070】
図19A及び
図19Bの各々には、別の実施形態に係る操作部材が示される。ヒンジに設けられる操作部材は様々な形態を採ることができる。
例えば
図19Aに示す実施形態では、凸部82Cpが形成された操作部材82Cが示される。操作部材82Cに対応する収容部322Cがプリンタカバーの内面に設けられる。収容部322Cには、凹部322Cwが形成されている。操作部材82Cが収容部322Cに収容される場合には、操作部材82Cの凸部82Cpが収容部322Cの凹部322Cwに嵌合するため、
図17に示した操作部材82よりも軸方向の移動を規制する力がより強固となる。
【0071】
図19Bに示す実施形態では、U字状の形態の操作部材82Dが示される。操作部材82Dを収容させるための収容部322Dがプリンタカバーの内面に設けられる。この実施形態では、操作部材82Dと収容部322Dの横幅は概ね同一であるが、操作部材82DのU字状の形態により露出する収容部322Dの表面に指を入れることで、操作部材82Dを収容部322Dから取り外すことができるように構成される。
【0072】
[一体型プラテンローラの取り付け機構]
次に、
図20~
図24を参照して、プリンタカバー3による一体型プラテンローラ11の取り付け機構について説明する。
前述したように、プリンタカバー3は、外側プリンタカバー31及び内側プリンタカバー32の2層構造であるが、
図17の状態S3に示すように、内側プリンタカバー32とヒンジ軸81が操作部材82を介して連結されている。そのため、ねじSC1,SC2(
図5参照)を外して内側プリンタカバー32を外側プリンタカバー31から分離させた場合であっても、内側プリンタカバー32は、ヒンジ軸81の回りを外側プリンタカバー31とは独立に揺動可能である。
そして、外側プリンタカバー31を内側プリンタカバー32から分離した状態で外側プリンタカバー31が開放位置にある場合、一体型プラテンローラ11を外側プリンタカバー31に仮保持させることが可能である。
【0073】
[一体型プラテンローラの仮保持]
図20~
図22はいずれも、一体型プラテンローラ11が仮保持される外側プリンタカバー31の保持片313Rの周辺部分を拡大して示している。
図20は一体型プラテンローラ11が仮保持されていない状態の外側プリンタカバー31の斜視図であり、
図21は一体型プラテンローラ11が仮保持されている状態の外側プリンタカバー31の斜視図である。
図22は、一体型プラテンローラ11が仮保持されている状態の外側プリンタカバー31の底面図である。
【0074】
図20(
図8も参照)に示すように、外側プリンタカバー31の右側においてプラテン軸10aの端部を着脱可能に保持する保持片313Rが設けられる。一実施形態では、保持片313Rは断面円弧状の形態をなしており、
図21に示すように、プラテン軸10aを効果的に保持することができる。
図21に示すように、一体型プラテンローラ11が外側プリンタカバー31に配置された状態では、プラテン保持部312が一体型プラテンローラ11のプラテンローラ10を仮保持する。
【0075】
図20に示すように、保持片313Rの外側には、天井部317の内面から突出する突出片315Rが設けられる。保持片313Rと突出片315Rの間には、凹部314Rが形成されている。凹部314Rは、保持片313Rの側面と突出片315Rの側面との間に配置され、
図22に示すように、一体型プラテンローラ11のアーム101Rを受け入れる。そのため、凹部314Rの横方向の幅は、アーム101Rの厚みと同じであるか、僅かに大きい程度である。
【0076】
図20の実施形態では、保持片313Rと凹部314Rは隣接配置されているが、その限りではない。保持片313Rと凹部314Rは、一体型プラテンローラのプラテン軸の位置とアームの位置に合わせて適宜変更可能である。
【0077】
図23及び
図24はいずれも、一体型プラテンローラ11が仮保持される外側プリンタカバー31の保持片313Lの周辺部分を拡大して示している。
図20は一体型プラテンローラ11が仮保持されていない状態の外側プリンタカバー31の斜視図であり、
図21は一体型プラテンローラ11が仮保持されている状態の外側プリンタカバー31の斜視図である。
図23に示すように、外側プリンタカバー31の左側においてもプラテン軸10aの端部を着脱可能に保持する保持片313Lが設けられる。一実施形態では、保持片313Lは断面円弧状の形態をなしており、
図24に示すように、プラテン軸10aを効果的に保持することができる。
【0078】
図23に示すように、保持片313Lの外側には、天井部317の内面から突出する突出片315Lが設けられる。保持片313Lと突出片315Lの間には、凹部314Lが形成されている。凹部314Lは、保持片313Lの側面と突出片315Lの側面との間に配置され、
図24に示すように、一体型プラテンローラ11のアーム101Lを受け入れる。そのため、凹部314Lの横方向の幅は、アーム101Lの厚みと同じであるか、僅かに大きい程度である。
【0079】
図23の実施形態では、保持片313Lと凹部314Lは隣接配置されているが、その限りではない。保持片313Lと凹部314Lは、一体型プラテンローラのプラテン軸の位置とアームの位置に合わせて適宜変更可能である。
【0080】
上述したように、一体型プラテンローラ11のプラテン軸10aが左右一対の保持片313L,313Rによって保持されるとともに、一体型プラテンローラ11のプラテンローラ10がプラテン保持部312に保持される。そのため、一体型プラテンローラ11を交換する場合に、新しい一体型プラテンローラ11が開放位置にある外側プリンタカバー31に仮保持され、交換作業が容易となる。
また、一体型プラテンローラ11のアーム101L,101Rが左右一対の凹部314L,314Rに収まるため、一体型プラテンローラ11が仮保持された状態で一体型プラテンローラ11が横方向にずれない構造となっている。
【0081】
内側プリンタカバー32が取り外された状態で外側プリンタカバー31が開放位置にある場合に、外側プリンタカバー31の左右に設けられた保持片313L,313Rとプラテン保持部312とにより、確実に一体型プラテンローラ11を仮保持させることができる。すなわち、
図8からもわかるように、保持片313L,313Rとプラテン保持部312とでは、一体型プラテンローラ11を保持する周方向の位置が異なるため、プラテン保持部312を設けることで、外側プリンタカバー31の広い開放角度の範囲で一体型プラテンローラ11を仮保持することができる。
【0082】
図25は、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31から取り外された状態において、一体型プラテンローラ11を外側プリンタカバー31に仮保持させるときの動作について説明する図である。
図25は、一体型プラテンローラ11を外側プリンタカバー31に仮保持させるときの保持片313L,313R及びプラテン保持部312について、プラテン軸10aの軸方向に直交する断面を示している。
図25の状態S11は、一体型プラテンローラ11を仮保持する前の状態を示している。状態S11に示すように、保持片313L,313Rとプラテン保持部312とでは、一体型プラテンローラ11を保持する周方向の位置が異なるように構成されている。ここで、側面視において、保持片313L,313Rとプラテン保持部312により形成される開口の幅Wは、プラテンローラ10の表面とプラテン軸10aの表面の最大距離Dよりも僅かに小さくなるように構成されている(W<D)。そのため、一体型プラテンローラ11を当該開口に挿入すると、状態S12に示すように、開口を拡げるように保持片313L,313R及びプラテン保持部312が変形する。一体型プラテンローラ11が開口を通過すると、状態S13に示すように、保持片313L,313Rがプラテン軸10aに当接し、プラテン保持部312がプラテンローラ10に当接する。すなわち、挿入時に所定の操作力で一体型プラテンローラ11が開口に挿入されるため、クリック感をもって一体型プラテンローラ11が挿入され、挿入作業性が良い。
一体型プラテンローラ11が開口に挿入されると、一体型プラテンローラ11は、保持片313L,313R及びプラテン保持部312によって挟持される。そのため、一体型プラテンローラ11が良好に保持される。しかも、W<Dであるため、いったん一体型プラテンローラ11が挿入されると、一体型プラテンローラ11が離脱し難くなり、確実に保持されることになる。
なお、別の実施形態では、W≧Dとしてもよい。その場合でも、一体型プラテンローラ11を保持片313L,313R及びプラテン保持部312によって挟持することで、ある程度の保持力が得られる。
【0083】
なお、
図8の実施形態では、保持片313L,313Rの間の全域に亘ってプラテン保持部312が設けられているが、その限りではない。プラテン保持部は、例えば横方向において保持片313L,313Rから離間した中央部のみに設けられても、プラテンローラ10を十分に保持できる。
図8の実施形態では、プラテン保持部312は断面円弧状をなしており、プラテンローラ10を効果的に保持するが、その限りではない。プラテンローラ10を仮保持できればよいため、例えば断面が多角形状であってもよい。
【0084】
以上説明したように、プリンタ1では、内側プリンタカバー32は、外側プリンタカバー31から分離させた場合であっても、ヒンジ軸81の回りに、外側プリンタカバー31とは独立に揺動可能である。そして、外側プリンタカバー31の保持片313L,313Rは、外側プリンタカバー31が開放位置にある場合に一体型プラテンローラ11を仮保持することが可能である。そのため、消耗品である一体型プラテンローラ11を交換することが容易に行うことができるという利点がある。
【0085】
[一体型プラテンローラの完全な保持]
上述したように、外側プリンタカバー31によって一体型プラテンローラ11が仮保持されるが、内側プリンタカバー32を外側プリンタカバー31に取り付けることで、一体型プラテンローラ11を完全にプリンタカバー3に保持させることができる。この保持態様について、
図26~
図28を参照して説明する。
図26は、実施形態のプリンタカバー3の底面図である。
図27は、
図26のE-E拡大断面、F-F拡大断面、G-G拡大断面を示す図である。
図28は、
図26のH-H拡大断面、I-I拡大断面を示す図である。
【0086】
外側プリンタカバー31に一体型プラテンローラ11を配置した状態では、一体型プラテンローラ11のプラテン軸10aは、外側プリンタカバー31の左右一対の保持片313L,313Rによって仮保持されている。そして、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31に取り付けられた場合、
図27のF-F拡大断面及び
図28のH-H拡大断面に示すように、内側プリンタカバー32のカバー部325L,325Rが、それぞれ外側プリンタカバー31の保持片313L,313Rに対向して配置され、仮保持されていたプラテン軸10aの露出部分の少なくとも一部を覆うように構成される。それによって、プラテン軸10aの両端がプリンタカバー3によって確実に保持されることになる。
【0087】
外側プリンタカバー31に一体型プラテンローラ11を配置した状態では、一体型プラテンローラ11のアーム101L,101Rは、外側プリンタカバー31の左右一対の凹部314L,314Rに収まっている。そして、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31に取り付けられた場合、
図27のE-E拡大断面及び
図28のI-I拡大断面に示すように、アーム101L,101Rは、内側プリンタカバー32の当接面328に当接する。また、アーム101Lの凸部102L,103L(
図7参照)及びアーム101Rの凸部102R,103R(
図7参照)が外側プリンタカバー31に当接するため、一体型プラテンローラ11のラジアル方向の移動が規制される。そのため、一体型プラテンローラ11のアーム101L,101Rがプリンタカバー3によって確実に保持されることになる。
なお、内側プリンタカバー32に当接面328を設けることは必須ではない。内側プリンタカバー32がアーム101L,101Rに当接しない場合であっても、プラテン軸10aの両端が保持され、かつアーム101L,101Rが外側プリンタカバー31の凹部314L,314Rに収まっている限り、一体型プラテンローラ11の横方向のずれは生じない。
【0088】
なお、
図27のG-G拡大断面に示すように、内側プリンタカバー32が外側プリンタカバー31に取り付けられた状態では、プラテン保持部312は、プラテンローラ10の外周面と接触せず、プラテンローラ10の円滑な回転に妨げになることはない。
【0089】
[一体型プラテンローラ11の交換手順]
次に、一体型プラテンローラ11の交換手順について説明する。
一体型プラテンローラ11を交換するには、プリンタカバー3を開放位置に移動させ、ねじSC1,SC2(
図5参照)を取り外し、内側プリンタカバー32を外側プリンタカバー31から分離する。内側プリンタカバー32は、外側プリンタカバー31とは独立に揺動可能であるため、内側プリンタカバー32のみを閉鎖位置に移動させる。
内側プリンタカバー32が閉鎖位置にある場合、ロール紙収容室9(ロール体を収容する収容部の一例)に収容されたロール紙Rを覆うことが可能である。そのため、一体型プラテンローラ11の交換作業時にロール紙収容室9に収容されているロール紙Rが保護される。
また、
図16で示すように、外側プリンタカバー31の保持片319が内側プリンタカバー32の把持部326a,326bの間に配置されるため、内側プリンタカバー32を外側プリンタカバー31とは独立に揺動させる場合に、内側プリンタカバー32の横方向の移動を規制される。そのため、内側プリンタカバー32の揺動が円滑に行われる。
【0090】
次いで、古い一体型プラテンローラ11を開放位置にある外側プリンタカバー31から外し、新しい一体型プラテンローラ11を外側プリンタカバー31にセットする。つまり、新しい一体型プラテンローラ11のアーム101L,101Rを凹部314L,314Rに挿入し、プラテン軸10aを保持片313L,313Rに配置する。このとき、前述したように、外側プリンタカバー31は、新しい一体型プラテンローラ11を仮保持することができる。
その後、内側プリンタカバー32を閉鎖位置から開放位置に揺動させ、ねじSC1,SC2を締めることで内側プリンタカバー32を外側プリンタカバー31に連結させる。この状態では、プラテン軸10aの両端がプリンタカバー3によって確実に保持される。
【0091】
以上、本発明のプリンタの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述した実施形態に記載した個々の技術的特徴は、技術的矛盾がない限り、適宜組み合わせることが可能である。
【0092】
上述したプリンタ1の実施形態は、プラテンローラ10と剥離バー12が一体化した一体型プラテンローラ11を備えているが、その限りではない。他の実施形態のプリンタでは、剥離発行を行わなくてもよく、従って剥離バー12がなくてもよい。他の実施形態のプリンタでは、プラテンローラのプラテン軸の少なくとも一方にアーム101L,101Rと同様の突出部を備える。剥離バーを備える必要がないため、突出部は一対である必要はなく1つでもよい。他の実施形態のプリンタにおいて、プラテン軸に設けられた突出部を外側プリンタカバーの凹部が受け入れることで、横方向のプラテンローラの位置ずれが防止される。
【0093】
プリンタ1の内部の部品の一部(例えば、軸、ばねの一端等)が内部フレームに連結されている場合について説明したが、その限りではなく、本体ケース2に連結されていてもよい。
【0094】
上述した実施形態においては、印字媒体としての複数枚のラベルを台紙に仮着した連続紙を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではない。連続発行で使用する場合、あるいは、剥離ユニットを設けないプリンタの場合には、例えば、一方面に接着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)、接着面を有しない連続状のシート(連続シート)あるいは紙類に限らずサーマルヘッドによって印字可能なフィルム等を印字媒体として使用することもできる。また、接着剤が露出する台紙無しラベルなどを搬送する場合には、搬送路を非接着剤で被覆するとともにシリコーンなど含有した非接着ローラをプラテンローラとして設けることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…プリンタ
2…本体ケース
23L,23R…取付部
23Lh,23Rh…挿入孔
230…後壁
230d…載置溝
3…プリンタカバー
31…外側プリンタカバー
310L,310R…締結部
311L,311R,311AL,311AR…取付部
311Lh,311Rh…挿入孔
312…プラテン保持部
313L,313R…保持片
314L,314R…凹部
315L,315R…突出片
316L,316R…側壁
317…天井部
318…後壁
319…保持片
32…内側プリンタカバー
320L,320R…挿通孔
321L,321R,321C…切欠部
322,322A,322B,322C,322D…収容部
323…湾曲部
324…用紙ガイド
324p…突条部
325L,325R…カバー部
326a,326b,326c,326d…把持部
327L,327R…側壁
328…当接面
35…センサ
4…剥離ユニット
41…剥離ローラカバー
42…剥離ローラ保持部
42a…軸
45…剥離ローラ
6a…ロール紙ガイド
8…ヒンジ
81…ヒンジ軸
82,82A,82B,82C,82D…操作部材
83…捩りばね
831L,831R…巻き付け部
832…連結部
9…ロール紙収容室
11…一体型プラテンローラ
10…プラテンローラ
10a…プラテン軸
10b…ギア
12…剥離バー
101L,101R…アーム
15…表示パネル
20…排出部
22b…ギア
27…プラテン保持ブラケット
28…サーマルヘッド
51b…カバー開放用ボタン
52b…剥離ユニット開放用ボタン
55…コイルばね
P…連続紙
PM…台紙
PL…ラベル
R…ロール紙