IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西川ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図1
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図2
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図3
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図4
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図5
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図6
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図7
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図8
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図9
  • 特開-自動車ドアのシール構造 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080802
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】自動車ドアのシール構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/40 20160101AFI20220523BHJP
   B60J 10/76 20160101ALI20220523BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20220523BHJP
【FI】
B60J10/40
B60J10/76
B60J10/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192102
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】小島 昌博
(72)【発明者】
【氏名】森原 康裕
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA12
3D201AA26
3D201BA01
3D201CA03
3D201CA23
3D201DA05
3D201DA09
3D201DA10
3D201DA16
3D201DA23
3D201DA31
3D201DA73
3D201FA04
(57)【要約】
【課題】外観上見栄えが特に悪化することなく、枠体に対するグラスランの取付けを容易にする。
【解決手段】グラスラン20が枠体10において車外側に延びるフランジ10Aに車外側から取付けられるとともに、ドアウェザーストリップ40がクリップを介してドア1の車内側に取付けられた状態で、グラスラン20の上側壁部23の傾斜面23aに接するドアウェザーストリップ40のサブシール部43の先端43a下部の位置Pと、車内側下方に延びるグラスラン20のリップ部29の先端29a上面の位置までの距離(L)を、枠体10の傾斜板部10Bに対してサブシール部43から垂線を降ろした場合リップ部29の先端29a上面の位置Sに接する垂線の長さ(X)よりも大きくなるようにサブシール部43の突出長を設定した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアに設けられた枠体において車外側に延びるフランジに車外側から取付けられ、上側壁部と、下側壁部と、前記上側壁部と下側壁部を連結する連結壁部からなる断面略コ字形状で内方に係止部が形成された取付部と、昇降するドアガラスを溝部に案内する、前記下側壁部と、前記下側壁部の車内側と車外側から下設された車内側側壁部と、車外側側壁部からなる本体部を有し、前記上側壁部の車内側(下部)から車内側下方に延びるリップ部を有するグラスランと、
前記枠体のフランジの車内側から下降傾斜して延びる傾斜板部の下端から車内側に延びる車内側板部の上面に所定間隔でクリップを介して取付けられる取付基部と、前記取付基部の上側に一体成形され前記ドア閉時に自動車のボディに弾接するメインシール部と、前記取付基部の車外側に一体成形され車外側に向けて延びるリップ状のサブシール部を有するドアウェザーストリップを備え、
前記ドアウェザーストリップのサブシール部は、前記グラスランの上側壁部に接する自動車ドアのシール構造であって、
前記グラスラン及びドアウェザーストリップが前記ドアに取付けられた状態では、
前記グラスランの上側壁部の車内側端部は、車外側から車内側下方に傾斜する傾斜面であり、前記グラスランのリップ部は、前記傾斜面に沿った面一で車内側下方に突出して延びその先端は前記枠体のフランジと傾斜板部の接続部に非接触で前記接続部の上方に位置するとともに、
前記ドアウェザーストリップのサブシール部は、その先端下部だけが前記グラスランの上側壁部の前記傾斜面に接し、
前記ドアウェザーストリップのサブシール部に対して上方から下方に向かって力が加わることにより前記サブシール部が前記枠体の傾斜板部に接した状態であっても、
前記ドアウェザーストリップのサブシール部の先端下部の位置が、前記グラスランのリップ部の上面に位置するように、前記ドアウェザーストリップのサブシール部の突出長を設定したことを特徴とする自動車ドアのシール構造。
【請求項2】
前記グラスラン及びドアウェザーストリップが前記ドアに取付けられた状態で、
前記グラスランの上側壁部の前記傾斜面に接する前記ドアウェザーストリップのサブシール部の先端下部の位置と、前記リップ部の先端上面の位置までの距離(L)を、
前記枠体の傾斜板部に対して前記ドアウェザーストリップのサブシール部から垂線を降ろした場合、前記リップ部の先端上面の位置に接する垂線の長さ(X)よりも大きくなるように、前記ドアウェザーストリップのサブシール部の突出長を設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車ドアのシール構造。
【請求項3】
前記枠体の車内側板部の上面において、前記ドアウェザーストリップの取付基部の車内側には、取付基部と隙間(Y)を設けてインナーガーニッシュが取付けられ、
前記力が加わることにより前記ドアウェザーストリップが部分的に車内側に移動し前記取付基部が前記インナーガーニッシュに接するとともに、前記サブシール部が前記枠体の傾斜板部に接した状態であっても、
前記ドアウェザーストリップのサブシール部の先端下部の位置が、前記グラスランのリップ部の上面に位置するように、前記ドアウェザーストリップのサブシール部の突出長を設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車ドアのシール構造。
【請求項4】
前記グラスラン及びドアウェザーストリップが前記ドアに取付けられた状態で、
前記グラスランの上側壁部の前記傾斜面に接する前記ドアウェザーストリップのサブシール部の先端下部の位置と、前記リップ部の先端上面の位置までの距離(L)を、
前記枠体の傾斜板部に対して前記ドアウェザーストリップのサブシール部から垂線を降ろした場合、前記リップ部の先端上面の位置に接する垂線の長さ(X)に、前記隙間(Y)を加えた距離(X+Y)よりも大きくなるように、前記ドアウェザーストリップのサブシール部の突出長を設定したことを特徴とする請求項3に記載の自動車ドアのシール構造。
【請求項5】
前記ドアウェザーストリップの取付基部に対する前記サブシール部の付け根下側の肉厚を厚くして、前記枠体の傾斜板部との空間を狭くしたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の自動車ドアのシール構造。
【請求項6】
前記グラスラン及びドアウェザーストリップが前記ドアに取付けられた状態で、
前記グラスランの上側壁部の前記傾斜面に接する前記ドアウェザーストリップのサブシール部の先端下部の位置を、前記上側壁部の上面よりも下方に位置するように、前記サブシール部の突出長を設定したことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の自動車ドアのシール構造。
【請求項7】
前記グラスランの上側壁部の車内側端部には上方に突出した突出部が形成され、前記傾斜面の上部は、前記突出部の頂上部であり、
前記グラスラン及びドアウェザーストリップが前記ドアに取付けられた状態で、
前記グラスランの上側壁部の前記傾斜面に接する前記ドアウェザーストリップのサブシール部の先端下部の位置を、前記突出部の頂上部よりも下方に位置するように、前記サブシール部の突出長を設定したことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の自動車ドアのシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアに設けられたグラスランとドアウェザーストリップの間が、ドアウェザーストリップから延びるサブシール部がグラスラン側に接することにより塞がれるようにした自動車ドアのシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図7及び図8に示すように、自動車ドア1の枠体11の車外側及び車内側にシール部品111及びドアウェザーストリップ112が取付けられ、ドアウェザーストリップ112の車外側から延びるサブシール部113がシール部品111の車内側から延びるリップ部114の上面に接することによりシール部品111とドアウェザーストリップ112の間が塞がれるようにしたシール構造が知られている(例えば特許文献1の図4記載)。
【0003】
このようなシール構造によれば、ドアウェザーストリップ112は枠体11の車内側上面に形成されたリテーナ11aに嵌め込まれた状態で安定しているため、サブシール部113に対して上方から下方に押え付ける力Fがはたらいたとしても、サブシール部113が下方に撓むだけでドアウェザーストリップ112が車内側に移動することは抑制されている。なお、このような力Fは、ドアウェザーストリップ112の取付作業時に作業員の手によって、あるいは、掃除時にユーザの手によってはたらく場合がある。
そのため、ドアウェザーストリップ112の取付位置やサブシール部113の長さに多少のバラツキがあったとしても、サブシール部113が撓むことでシール部品111のリップ部114に対するかかり、すなわち重なり部分が外れてリップ部114の上面からサブシール部113の先端が車内側に落ち込む心配はない。
【0004】
これに対して、図9及び図10に示すように、自動車ドア1の枠体12,13の車外側に取付けられた、枠体12,13の一部を車外側から覆って隠すヒドンタイプのグラスラン121,131に接するサブシール部123,133を有するドアウェザーストリップ122,132が、リテーナではなくクリップ(図示しない)を介して枠体12,13の上面に取付けられたシール構造が知られている(例えば特許文献2の図10,特許文献3の図3)。
このようなシール構造において、ドアウェザーストリップ122,132のサブシール部123,133に対して上方から下方に押え付ける力Fがはたらいた場合、特にクリップ間は固定されていないのでドアウェザーストリップ122,132が車内側に移動してしまい、グラスラン121,131に対するサブシール部123,133のかかりが少なくなるという問題がある。そのため、グラスラン121,131に対するサブシール部123,133のかかりを予め大きくするとともにグラスラン121,131を枠体12,13に取付けた状態でグラスラン121,131の車内側から突出したリップ部124,134を枠体12,13のフランジ12A,13Aの車内側から下降傾斜して延びる傾斜板部12B,13Bの車内側に押し当てるようにしている。
【0005】
しかし、リップ部124,134を枠体12,13の傾斜板部12B,13Bに押し当てるようにすると、枠体12,13のフランジ12A,13Aに対するグラスラン121,131の取付作業時にリップ部124,134がフランジ12A,13Aに当接するため取付作業が困難になるという問題がある。
そのため、特に、図10の場合、リップ部(内側リップ部)134に加えて車外側に延びる外側リップ部135を設けるとともにリップ部134(内側リップ部)及び外側リップ部135を車両前後方向に延びる仮想軸周りに回動可能にすることによって取付作業性を良好なものとしている。
【0006】
しかしながら、図10に示したシール構造では、サブシール部133の先端をグラスラン131の上板部に形成された段差136に嵌め込むようにしているため、バラツキによりサブシール部133の長さが長くなったりドアウェザーストリップ132とグラスラン131との間隔が狭くなったりした場合、サブシール部133が座屈を起こして見栄えが悪くなるという問題が想定される。
また、リップ部134及び外側リップ部135を回動可能にする必要があるためその分、構造が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5139210号公報
【特許文献2】特開2020-37369号公報
【特許文献3】特開2020-147143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、外観上見栄えが特に悪化することなく、枠体に対するグラスランの取付けを容易にした自動車ドアのシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の自動車ドアのシール構造は、自動車のドア(1)に設けられた枠体(10)において車外側に延びるフランジ(10A)に車外側から取付けられ、上側壁部(23)と、下側壁部(24)と、前記上側壁部(23)と下側壁部(24)を連結する連結壁部(25)からなる断面略コ字形状で内方に係止部(26)が形成された取付部(21)と、昇降するドアガラス(100)を溝部に案内する、前記下側壁部(24)と、前記下側壁部(24)の車内側と車外側から下設された車内側側壁部(27)と、車外側側壁部(28)からなる本体部(22)を有し、前記上側壁部(23)の車内側(下部)から車内側下方に延びるリップ部(29)を有するグラスラン(20)と、
前記枠体(10)のフランジ(10A)の車内側から下降傾斜して延びる傾斜板部(10B)の下端から車内側に延びる車内側板部(10C)の上面に所定間隔でクリップ(C)を介して取付けられる取付基部(41)と、前記取付基部(41)の上側に一体成形され前記ドア(1)閉時に自動車のボディに弾接するメインシール部(42)と、前記取付基部(41)の車外側に一体成形され車外側に向けて延びるリップ状のサブシール部(43)を有するドアウェザーストリップ(40)を備え、
前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)は、前記グラスラン(20)の上側壁部(23)に接する自動車ドアのシール構造であって、
前記グラスラン(20)及びドアウェザーストリップ(40)が前記ドア(1)に取付けられた状態では、
前記グラスラン(20)の上側壁部(23)の車内側端部は、車外側から車内側下方に傾斜する傾斜面(23a)であり、前記グラスラン(20)のリップ部(29)は、前記傾斜面(23a)に沿った面一で車内側下方に突出して延びその先端(29a)は前記枠体(10)のフランジ(10A)と傾斜板部(10B)の接続部(10D)に非接触で前記接続部(10D)の上方に位置するとともに、
前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)は、その先端(43a)下部だけが前記グラスラン(20)の上側壁部(23)の前記傾斜面(23a)に接し、
前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)に対して上方から下方に向かって力(F)が加わることにより前記サブシール部(43)が前記枠体(10)の傾斜板部(10B)に接した状態であっても、
前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の先端(43a)下部の位置(P)が、前記グラスラン(20)のリップ部(29)の上面に位置するように、前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の突出長を設定したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記グラスラン(20)及びドアウェザーストリップ(40)が前記ドア(1)に取付けられた状態で、
前記グラスラン(20)の上側壁部(23)の前記傾斜面(23a)に接する前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の先端(43a)下部の位置(P)と、前記リップ部(29)の先端(29a)上面の位置(S)までの距離(L)を、
前記枠体(10)の傾斜板部(10B)に対して前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)から垂線を降ろした場合、前記リップ部(29)の先端(29a)上面の位置(S)に接する垂線の長さ(X)よりも大きくなるように、前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の突出長を設定したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記枠体(10)の車内側板部(10C)の上面において、前記ドアウェザーストリップ(40)の取付基部(41)の車内側には、取付基部(41)と隙間(Y)を設けてインナーガーニッシュ(60)が取付けられ、
前記力(F)が加わることにより前記ドアウェザーストリップ(40)が部分的に車内側に移動し前記取付基部(41)が前記インナーガーニッシュ(60)に接するとともに、前記サブシール部(43)が前記枠体(10)の傾斜板部(10B)に接した状態であっても、
前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の先端(43a)下部の位置(P)が、前記グラスラン(20)のリップ部(29)の上面に位置するように、前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の突出長を設定したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記グラスラン(20)及びドアウェザーストリップ(40)が前記ドア(1)に取付けられた状態で、
前記グラスラン(20)の上側壁部(23)の前記傾斜面(23a)に接する前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の先端(43a)下部の位置(P)と、前記リップ部(29)の先端(29a)上面の位置(S)までの距離(L)を、
前記枠体(10)の傾斜板部(10B)に対して前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)から垂線を降ろした場合、前記リップ部(29)の先端(29a)上面の位置(S)に接する垂線の長さ(X)に、前記隙間(Y)を加えた距離(X+Y)よりも大きくなるように、前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の突出長を設定したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記ドアウェザーストリップ(40)の取付基部(41)に対する前記サブシール部(43)の付け根(43b)下側の肉厚を厚くして、前記枠体(10)の傾斜板部(10B)との空間を狭くしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記グラスラン(20)及びドアウェザーストリップ(40)が前記ドア(1)に取付けられた状態で、
前記グラスラン(20)の上側壁部(23)の前記傾斜面(23a)に接する前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の先端(43a)下部の位置(P)を、前記上側壁部(23)の上面よりも下方に位置するように、前記サブシール部(43)の突出長を設定したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記グラスラン(20)の上側壁部(23)の車内側端部には上方に突出した突出部(38)が形成され、前記傾斜面(23a)の上部は、前記突出部(38)の頂上部(38a)であり、
前記グラスラン(20)及びドアウェザーストリップ(40)が前記ドア(1)に取付けられた状態で、
前記グラスラン(20)の上側壁部(23)の前記傾斜面(23a)に接する前記ドアウェザーストリップ(40)のサブシール部(43)の先端(43a)下部の位置(P)を、前記突出部(38)の頂上部(38a)よりも下方に位置するように、前記サブシール部(43)の突出長を設定したことを特徴とする。
【0016】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、グラスラン及びドアウェザーストリップがドアに取付けられた状態では、グラスランの上側壁部から車内側下方に延びるリップ部の先端は、枠体のフランジと傾斜板部の接続部に非接触で接続部の上方に位置するので、リップ部の先端と枠体との間には隙間が生じた状態である。
よって、枠体のフランジに対するグラスランの取付作業にリップ部がフランジに当接して邪魔になることはないので取付作業を、従来例(図10)で示したようにリップ部を回動可能にする機構を採用することなく容易に行うことができる。
【0018】
そして、グラスランの上側壁部の車内側端部は、車外側から車内側下方に傾斜する傾斜面であり、グラスランのリップ部は、傾斜面に沿った面一で車内側下方に突出して延び、グラスラン及びドアウェザーストリップがドアに取付けられた状態では、ドアウェザーストリップのサブシール部は、その先端下部だけがグラスランの上側壁部の傾斜面に接し、サブシール部に対して上方から下方に向かって力が加わることによりサブシール部が枠体の傾斜板部に接した状態であっても、サブシール部の先端下部の位置が、グラスランのリップ部の上面に位置するように、サブシール部の突出長を設定しているので、図6で示したように、サブシール部の先端が、リップ部の先端と突き当て状態になる、すなわち噛み込むことが防止される。
サブシール部の突出長としては、例えば、グラスラン及びドアウェザーストリップがドアに取付けられた状態で、グラスランの上側壁部の傾斜面に接するサブシール部の先端下部の位置と、リップ部の先端上面の位置までの距離(L)を、枠体の傾斜板部に対してサブシール部43から垂線を降ろした場合、リップ部の先端上面の位置に接する垂線の長さ(X)よりも大きくなるように設定することが考えられる。
【0019】
しかも、ドアウェザーストリップのサブシール部は、その先端下部だけがグラスランの上側壁部の傾斜面に接するので、サブシール部の突出長のバラツキや、ドアウェザーストリップの取付位置のバラツキが生じたとしてもサブシール部は、グラスランの上側壁部の傾斜面上に沿って上方に移動するだけであり、従来例(図10)の段差のようにサブシール部の動きを止めて規制する構造ではないので、サブシール部が座屈して見栄えが悪くなるという問題もない。
【0020】
また、本発明によれば、枠体の車内側板部の上面において、ドアウェザーストリップの取付基部の車内側にはインナーガーニッシュが取付けられているので、ドアウェザーストリップが車内側に移動した場合のストッパとなり、特に取付基部においてクリップが存在しないクリップ間では有効である。
また、取付基部とインナーガーニッシュの間には、隙間(Y)を設けているのでドアウェザーストリップの取付位置に対して、車内外方向に多少のバラツキが生じた場合、取付基部が部分的に盛り上がるなどの問題はない。
取付基部とインナーガーニッシュの間に隙間(Y)を設けた場合の、サブシール部の突出長としては、例えば、グラスラン及びドアウェザーストリップがドアに取付けられた状態で、グラスランの上側壁部の傾斜面に接するサブシール部の先端下部の位置と、リップ部の先端上面の位置までの距離(L)を、枠体の傾斜板部に対してサブシール部から垂線を降ろした場合、リップ部の先端上面の位置に接する垂線の長さ(X)に隙間(Y)を加えた距離(X+Y)よりも大きくなるように設定することが考えられる。
【0021】
また、本発明によれば、ドアウェザーストリップの取付基部に対するサブシール部の付け根下側の肉厚を厚くして、枠体の傾斜板部との空間を狭くしたので、サブシール部の付け根側の剛性が向上し、サブシール部に対して上方から下方に向かって力が加わったとしてもサブシール部の付け根側は安定化する。
また、サブシール部と枠体の傾斜板部との空間が狭くなるのでその分、サブシール部の撓み量は少なくなり、サブシール部の付け根下側の肉厚を厚くしないものと比較してサブシール部の先端が、リップ部の先端に噛み込むことがより防止される。
【0022】
また、本発明によれば、グラスラン及びドアウェザーストリップがドアに取付けられた状態で、グラスランの上側壁部の傾斜面に接するサブシール部の先端下側を、上側壁部の上面よりも下方に位置するように、サブシール部の突出長を設定したので、グラスランが在存しないドア周りを加味してサブシール部の突出長を適正な長さにすることができる。
これにより、サブシール部が無意味に長くなり外観上見栄えを悪くすることは防止される。
【0023】
また、本発明によれば、グラスランの上側壁部の車内側端部には上方に突出した突出部が形成され、傾斜面の上部を突出部の頂上部とし、グラスラン及びドアウェザーストリップがドアに取付けられた状態で、グラスランの上側壁部の傾斜面に接するサブシール部の先端下側を、突出部の頂上部よりも下方に位置するように、サブシール部の突出長を設定したので、グラスランが在存しないドア周りを加味してサブシール部の突出長を適正な長さにすることができる。
これにより、サブシール部が無意味に長くなり外観上見栄えを悪くすることは防止される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る自動車ドアのシール構造を示す図7のA-A線拡大断面図である。
図2図1に示す自動車ドアのシール構造の要部拡大断面図である。
図3図1に示す自動車ドアのシール構造において、サブシール部に力Fがはたらいた状態を示す図7のA-A線拡大断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る自動車ドアのシール構造を示す図7のB-B線拡大断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る別の自動車ドアのシール構造を示す図7のA-A線拡大断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る自動車ドアのシール構造と比較するものであり、サブシール部の突出長を短くした場合を示す図7のA-A線拡大断面図である。
図7】自動車の外観側面図である。
図8】従来例に係る自動車ドアのシール構造を示す図7のA-A線に相当する拡大断面図である。
図9】従来例に係る別の自動車ドアのシール構造を示す図7のA-A線に相当する拡大断面図である。
図10】従来例に係るさらに別の自動車ドアのシール構造を示す図7のA-A線に相当する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る自動車ドアのシール構造について説明する。なお、従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
本発明の実施形態に係る自動車ドアのシール構造は、図1及び図7に示すように、自動車の枠体10の車外側にグラスラン20が取付けられ、枠体10の車内側にドアウェザーストリップ40が取付けられ、ドアウェザーストリップ40のサブシール部43が、グラスラン20の上側壁部23に接するもので、グラスラン20は枠体10の車外側に沿って取付けられ枠体10の一部を車外側から覆って隠すヒドンタイプに関するものである。
【0026】
グラスラン20は、押出成形されてなり、枠体10において車外側に延びるフランジ10Aに車外側から取付けられる取付部21と、内側に溝部を形成し昇降するドアガラス100を溝部に案内する本体部22を有している。
【0027】
取付部21は、車内外方向に延びる上側壁部23と、下側壁部24と、それら上側壁部23と下側壁部24を連結する連結壁部25からなる断面略コ字形状で内方に、フランジ10Aに弾接する係止部26が形成されている。ここでは上側壁部23の下部に3つのリップ状の係止部26が形成され、下側壁部24の上部に2つの突起状の係止部26が形成されている。
上側壁部23の略中央部の上面には車体開口部周縁2に弾接してボディとドア1間をシールするボディシールリップ部35が突設されている。また、上側壁部23,連結壁部25及び下側壁部24に沿って断面略U字形状の芯材37が埋設されていて、剛性が高められている。
【0028】
そして、上側壁部23の車内側の下部からは、車内側下方に延びるリップ部29が突設されている。
ここで、上側壁部23の車内側端部は、車外側から車内側下方に傾斜する傾斜面23aとされていて、リップ部29の上面は、その傾斜面23aに沿った面一で車内側下方に突出して直線的に延びている。リップ部29の先端29aは、図1に示すように、グラスラン20がドア1に取付けられた状態では、枠体10のフランジ10Aと、フランジ10Aの車内側から下降傾斜して延びる傾斜板部10Bとの接続部10Dに相対向するとともに、接続部10Dに非接触で接続部10Dの上方に位置するようにされている。
なお、上側壁部23の車内側端部に形成された傾斜面23aの上部は、上側壁部23の上面よりもさらに上方に突出するように形成された突出部38の頂上部38aと一致している。
【0029】
本体部22は、昇降するドアガラス100を溝部に案内する、上述した下側壁部24と、下側壁部24の車内側と車外側から下設された車内側側壁部27と、車外側側壁部28からなる。
車内側側壁部27の端部の車外側面には、車外側に向けて延びてドアガラス100の車内側面に摺接するインナリップ部31が設けられ、また車外側側壁部28の端部の車内側面には、車内側に向けて延びてドアガラス10の車外側面に摺接するアウタリップ部32が設けられている。なお、下側壁部24の下方にドアガラス100の端部に弾接するシールリップを突設することもできる。
取付部21の連結壁部25と本体部22の車外側側壁部28は上下に連続していてそれらの車外側には装飾モール(ここでは光モール)50が取付けられている。
【0030】
一方、ドアウェザーストリップ40は、押出成形されてなり、枠体10の傾斜板部10Bの下端から車内側に延びる車内側板部10Cの上面に、ドアウェザーストリップ40の延びる長手方向(ドア1の上部においてはドア1を閉じたときの車両前後方向)に対して所定間隔でクリップCを介して取付けられる取付基部41と、取付基部41の上側に一体成形されドア1の閉時に車体開口部周縁2に弾接してボディとドア1間をシールするメインシール部42と、取付基部41の車外側に一体成形され車外側に向けて延びるサブシール部43を有している。
【0031】
取付基部41は、枠体10の車内側板部10Cの上面において、車内側に取付けられたインナーガーニッシュ60に対して離間した状態で取付けられている。
取付基部41の車内側及び車外側には車内側板部10C側に突出する車内側突部41a及び車外側突部41bが設けられ、これにより形成された隙間Z(すなわち、車内側板部10Cの上面と取付基部41の下面との間)に、取付基部41を車内側板部10Cを固定するためのクリップCの傘部Caが入り込むようにされている。
特に車外側突部41bについては、取付基部41のその他の部位と同様な材質で形成することもできるが、ここでは取付基部41のその他の部位と比較して軟質な超軟質材で形成され止水性の向上が図られている。この超軟質材とは、比重が0.05~0.4の非常に柔軟な材質からなるものであり、例えば、EPDMの発泡スポンジゴムからなる。
メインシール部42は中空形状で、グラスラン20のボディシールリップ部35とともに車体開口部周縁2に弾接する。
【0032】
サブシール部43は、リップ状で、図1に示すように、ドアウェザーストリップ40がドア1に取付けられた状態では、サブシール部43の先端43a下部だけ、すなわちサブシール部43の先端43a下部の一点(位置P)がグラスラン20の上側壁部23の傾斜面23aに接するようにされている。サブシール部43の先端43a下部は、サブシール部43の先端43aから下側に向けて突出している。
また、サブシール部43は、ドアウェザーストリップ40の取付基部41において取付基部41の車外側下端、ここでは車内側板部10Cに接する車外側突部41bの下端から上方に一定距離離れた位置から車外側に突出していて、サブシール部43の付け根43b下側の肉厚を厚くすることで傾斜板部10Bとの空間を狭くしている。すなわち、取付基部41の車外側下端とサブシール部43の付け根43b下側の間に肉盛部44を形成している。なお、ここでは、肉盛部44は軟質材で形成した車外側突部41bと重ならないようにしたが部分的に重なるようにしてもよい。
【0033】
そして、サブシール部43の車外方向への突出長は、図3に示すように、サブシール部43に対して上方から下方に向かって力Fがはたらき、例えばドアウェザーストリップ40の取付作業時に作業員の手によって、あるいは、掃除時にユーザの手によって加わることによりサブシール部43が傾斜板部10Bに接した状態であっても、サブシール部43の先端43a下部の位置Pが、グラスラン20のリップ部29の上面に位置して残るように設定されている。
【0034】
より具体的には、図2に示すように、グラスラン20及びドアウェザーストリップ40がドア1に取付けられた状態で、グラスラン20の上側壁部23の傾斜面23aに接するドアウェザーストリップ40のサブシール部43の先端43a下部の位置Pと、リップ部29の先端29aの上面の位置までの距離(L)が、枠体10の傾斜板部10Bに対してサブシール部43から垂線を降ろした場合、リップ部29の先端29a上面の位置Sに接する垂線の長さ(X)に、取付基部41の車内側端部、すなわち取付基部41の車内側突起部41aの車内側面とインナーガーニッシュ60との間の隙間(Y)を加えた距離(X+Y)よりも大きくなるように、サブシール部43の突出長を設定している。リップ部29の先端29a上面の位置Sとは、リップ部29の先端29aの上側において曲面が開始する位置、すなわちリップ部29の上面は、上側壁部23の傾斜面23aに沿った面一で車内側下方に突出して直線的に延びているがその面一の部位が面一ではない部位に変わる位置である。
ここで、取付基部41とインナーガーニッシュ60間の隙間(Y)を最大値(X)に加えるのは、ドアウェザーストリップ40の取付基部41は所定間隔でクリップCによって固定されているので、クリップCのない部位(クリップ間)では、サブシール部43に対して上方から下方に向かって力Fが加わった場合、取付基部41がインナーガーニッシュ60に当接するまで車内側に位置ずれする場合があることを考慮したものである。図3においては、上方から下方に向かって力Fがかかったときに、ドアウェザーストリップ40の取付基部41が車内側に移動してインナーガーニッシュ60に当接した状態を示している。
【0035】
これによれば、図6に示すように、サブシール部43に対して上方から下方に向かって力Fが加わることによりサブシール部43が枠体10の傾斜板部10Bに接した状態になったときに、サブシール部43の突出長が短いためにサブシール部43の先端43aがグラスラン20のリップ部29の先端29aと突き当て状態になり、噛み込むことが防止される。すなわち、サブシール部43がリップ部29に対するかかり、すなわち重なり部分が外れてリップ部29の先端29a上面の位置Sからサブシール部43の先端43a下部の位置Pが車内側に落ち込む心配はない。
このようにサブシール部43が一度噛み込んでしまうと自然に元に戻ることは困難であり、噛み込みが発生するとシール機能が劣るとともに見栄えも悪くなる。
【0036】
また、サブシール部43の突出長を長くすれば、サブシール部43に対して上方から下方に向かって力Fが加わった場合にサブシール部43の先端43aが、グラスラン20のリップ部29の先端29aと突き当て状態になり、噛み込むことが防止されるが、サブシール部43の突出長が長すぎると逆に見栄えが悪くなる。
それに加えて、図4に示すように、ドア1の下部などグラスラン20が存在しない場所でサブシール部43の先端43aが枠体10の傾斜板部10Bに直接弾接する位置では、サブシール部43の突出長が長いとサブシール部43の先端43aが傾斜板部10Bから浮いたり、あるいは無理に傾斜板部10Bに弾接させるとサブシール部43が撓んだり、ドアウェザーストリップ40が車内側に位置ずれしたりするのでシール機能が低下するという問題がある。
【0037】
そのため、サブシール部43の突出長には適正な長さがあり、ここでは、図2に示すように、グラスラン20及びドアウェザーストリップ40がドア1に取付けられた状態で、グラスラン20の上側壁部23の傾斜面23aに接するサブシール部43の先端43a下側を、上側壁部23の上面よりも下方に位置するように、サブシール部43の突出長を設定している。
【0038】
また、サブシール部43の付け根43b側の下面、すなわち肉盛部44の車外側には凹状のノッチ45を形成している。ノッチ45を形成して局所的にサブシール部43の厚みを薄くすることでサブシール部43の撓みを容易にするとともに撓み方向を規制することができる。
【0039】
このように構成された自動車ドアのシール構造によれば、グラスラン20及びドアウェザーストリップ40がドア1に取付けられた状態では、グラスラン20のリップ部29の先端29aは、枠体10のフランジ10Aと傾斜板部10Bの接続部10Dに非接触で、枠体10との間に隙間をとっているので、フランジ10Aに対するグラスラン20の取付作業を、特に複雑な機構を採用することなく容易に行うことができる。
【0040】
そして、グラスラン20及びドアウェザーストリップ40がドア1に取付けられた状態では、サブシール部43は、その先端43a下部だけがグラスラン20の上側壁部23の傾斜面23aに接し、サブシール部43に対して上方から下方に向かって力Fが加わることによりサブシール部43が傾斜板部10Dに接した状態であっても、サブシール部43の先端43a下部が、グラスラン20のリップ部29の上面に位置するように、サブシール部43の突出長を設定しているので、図6で示したように、サブシール部43の先端43aが、リップ部29の先端29aと突き当て状態になり噛み込むことが防止される。また、最悪の場合、サブシール部43の先端43aが、リップ部29の先端29aと枠体10との間に形成された隙間に入り込むといった状態になる恐れもない。
【0041】
しかも、サブシール部43は、その先端43a下部だけがグラスラン20の上側壁部23の傾斜面23aに接するので、サブシール部43の突出長のバラツキや、ドアウェザーストリップ40の取付位置のバラツキが生じたとしてもサブシール部43は、グラスラン20の上側壁部23の傾斜面23a上に沿って上方に移動するだけである。
よって、サブシール部43の動きを止めて規制する構造ではないので、サブシール部43が上方に向かって盛り上がったり、あるいは下方に向かって盛り上がるといったように座屈して見栄えが悪くなるという問題もない。
【0042】
また、枠体10の車内側板部10Cの上面において、ドアウェザーストリップ40の取付基部41の車内側にはインナーガーニッシュ60が取付けられているので、ドアウェザーストリップ40が車内側に移動した場合のストッパとなり、特に取付基部41においてクリップCが存在しない部位では有効である。
また、取付基部41とインナーガーニッシュ60の間には、隙間(Y)を設けているのでドアウェザーストリップ40の取付位置が車内外方向に多少のバラツキが生じた場合、取付基部41が部分的に盛り上がるなどの問題はない。
【0043】
また、ドアウェザーストリップ40の取付基部41に対するサブシール部43の付け根43b下側の肉厚を厚くして、枠体10の傾斜板部10Bとの空間を狭くしたので、サブシール部43の付け根43b側の剛性が向上し、サブシール部43に対して上方から下方に向かって力Fが加わったとしてもサブシール部43の付け根43b側は安定化する。
また、サブシール部43と枠体10の傾斜板部10Bとの空間が狭くなるのでその分、サブシール部43の撓み量は少なくなり、サブシール部43の付け根43b下側の肉厚を厚くしないものと比較してサブシール部43の先端43aが、リップ部29の先端29aに噛み込むことがより防止される。
【0044】
なお、本実施形態では、サブシール部43の付け根43b側に肉盛部44を形成しさらにノッチ45を形成したが、図5に示すように、肉盛部44及びノッチ45を特に形成しないようにすることもできる。また、肉盛部44及びノッチ45のうちいずれか一方だけを形成することもできる。
また、図5に示すように、グラスラン20及びドアウェザーストリップ40がドア1に取付けられた状態で、取付基部41とインナーガーニッシュ60の間の隙間(Y)をなくして、すなわち、隙間(Y)=0として、取付基部41がインナーガーニッシュ60に当接するようにすることもできる。
このような場合には、サブシール部43に対して上方から下方に向かって力Fが加わることによりサブシール部43が傾斜板部10Dに接した状態であっても、サブシール部43の先端43a下部の位置Pが、グラスラン20のリップ部29の上面の位置Sに位置するように、サブシール部43の突出長を設定して、サブシール部43の先端43aが、リップ部29の先端29aに噛み込むことがないようにする必要がある。
【0045】
また、本実施形態では、図2に示したように、サブシール部43の突出長を、グラスラン20及びドアウェザーストリップ40がドア1に取付けられた状態で、グラスラン20の上側壁部23の傾斜面23aに接するドアウェザーストリップ40のサブシール部43の先端43a下部の位置Pと、リップ部29の先端29aの上面の位置までの距離(L)が、枠体10の傾斜板部10Bに対してサブシール部43から垂線を降ろした場合、リップ部29の先端29a上面の位置Sに接する垂線の長さ(X)に、取付基部41の車内側端部、すなわち取付基部41の車内側突起部41aの車内側面とインナーガーニッシュ60との間の隙間(Y)を加えた距離(X+Y)よりも大きくなるように設定したが、これに車内側板部10Cの上面と取付基部41の下面との間の隙間Zを加えた距離(X+Y+Z)よりも大きくなるように設定することもできる。
これは、取付基部41の車外側突部41bを超軟質材で形成した場合には、サブシール部43に対して上方から下方に向かって力Fが加わると、車外側突部41bが、最大で車内側板部10Cの上面と取付基部41の下面との間の隙間Z分、沈み込む可能性があるので、その隙間Z分を考慮してサブシール部43の突出長を設定するものである。
【符号の説明】
【0046】
1 ドア
2 車体開口部周縁(ボディ)
10,11,12,13 枠体
10A,12A,13A フランジ
10B,12B,13B 傾斜板部
10C 車内側板部
10D 接続部
11a リテーナ
20 グラスラン
21 取付部
22 本体部
23 上側壁部
23a 傾斜面
24 下側壁部
25 連結壁部
26 係止部
27 車内側側壁部
28 車外側側壁部
29 リップ部
29a リップ部の先端
31 インナリップ部
32 アウタリップ部
35 ボディシールリップ部
37 芯材
38 突出部
38a 頂上部
40 ドアウェザーストリップ
41 取付基部
41a 車内側突部
41b 車外側突部
42 メインシール部
43 サブシール部
43a サブシール部の先端
43b サブシール部の付け根
44 肉盛部
45 ノッチ
50 装飾モール
60 インナーガーニッシュ
100 ドアガラス
111 シール部品
121,131 グラスラン
112,122,132 ドアウェザーストリップ
113,123,133 サブシール部
114,124,134 リップ部
135 外側リップ部
136 段差
C クリップ
Ca 傘部
F 上方から下方に向かってかかる力
P サブシール部の先端下部の位置
S リップ部の先端上面の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10