(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080808
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】絶縁型交流電圧測定回路
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
G01R19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020203037
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】592091057
【氏名又は名称】大平電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守男
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AB04
2G035AC03
2G035AC16
2G035AD04
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD14
2G035AD23
2G035AD28
2G035AD29
2G035AD39
2G035AD43
2G035AD55
2G035AD56
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小さくて軽く安価な部品で構成できる絶縁型交流電圧計を提供する。
【解決手段】交流電源1と交流電源1に接続されたダイオードブリッジ2と、基準電圧源3と、フォトカプラ5と、ダイオードブリッジ2の出力電圧を一方の入力端子に入力し、基準電圧源3の電圧を他方の入力端子に入力し、フォトカプラ5の発光素子の電流を出力端子から出力するコンパレータ4と、フォトカプラ5の受光素子に接続されたデューティ比測定回路を備え、デューティ比測定回路から得られるデューティ比から交流電源の電圧を測定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と前記交流電源に接続されたダイオードブリッジと基準電圧源とフォトカプラと前記ダイオードブリッジの出力電圧をその一方の入力端子に入力し前記基準電圧源の電圧をその他方の入力端子に入力し前記フォトカプラの発光素子に流す電流をその出力端子から出力するコンパレータと前記フォトカプラの受光素子に接続されたデューティ比測定回路を備え、前記デューティ比測定回路によって得られるデューティ比から前記交流電源の交流電圧を測定することを特徴とする絶縁型交流電圧計。
【請求項2】
前記デューティ比測定回路が抵抗とコンデンサを備えたフィルタであることを特徴とする請求項1記載の絶縁型交流電圧計。
【請求項3】
前記デューティ比測定回路がカウンタと演算装置を備えたデジタル処理装置であることを特徴とする請求項1記載の絶縁型交流電圧計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定回路に関し、特に測定の対象を電気的に絶縁して測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の絶縁型交流電圧測定回路は交流電源の電圧を絶縁トランスによって絶縁して測定する方法をとっていた。また、従来の別の絶縁型交流電圧測定回路は、交流電源の電圧を絶縁アンプによって絶縁された交流電圧を出力し、その出力電圧を測定する方法をとっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の絶縁トランスを用いた方法は絶縁トランスの寸法が大きく重いという欠点と高価であるという短所を持っている。また、従来の絶縁アンプを用いた方法は絶縁アンプが高価であるという短所を持っている。
そこで本発明は、小さくて軽く、そして安価な部品で構成できる絶縁型交流電圧測定回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明において、交流電源と交流電源に接続されたダイオードブリッジと、基準電圧源と、フォトカプラと、ダイオードブリッジの出力電圧をその一方の入力端子に入力し、基準電圧源の電圧をその他方の入力端子に入力し、フォトカプラの発光素子の電流をその出力端子から出力するコンパレータと、フォトカプラの受光素子に接続されたデューティ比測定回路を備え、デューティ比測定回路から得られるデューティ比から交流電源の電圧を測定する。
【0005】
請求項2記載の発明において、デューティ比測定回路は抵抗とコンデンサを備えたフィルタである。
【0006】
請求項3記載の発明において、デューティ比測定回路はカウンタと演算装置を備えたデジタル処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項2記載の発明を実施した場合のコストは従来方法に比べて10分の1で済む。
【0008】
また、請求項3記載の発明を実施した場合、既設のデジタル処理装置を利用することもできるので、更に安価に済ませることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【実施例0010】
【0011】
図1において、1は交流電源、2はダイオードブリッジ、3は基準電圧源、4はコンパレータ、5はフォトカプラ、6はフィルタである。交流電源1の電圧はダイオードブリッジ2によって全波整流される。全波整流された電圧は、抵抗11と12によって分圧されてコンパレータ4の反転入力端子に加えられる。抵抗11と12は必須の部品ではないが、分圧することにより測定する交流電圧の範囲を広げたり、基準電圧源の電圧の選択の範囲を広げたりすることができる。基準電圧源3の電圧はコンパレータ4の非反転入力端子に加えられる。コンパレータ4の出力端子はフォトカプラ5の発光素子のアノードに接続されている。フォトカプラ5の受光素子の出力端子はフィルタ6に接続されている。
【0012】
コンパレータ4の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧より高ければ、コンパレータ4の出力端子はLoになり、フォトカプラ5の発光端子には電流が流れず、フォトカプラ5の受光素子両端はHiになる。
【0013】
【0014】
図2において、a)は交流電源1の電圧を、b)はコンパレータ4の反転入力端子の電圧と基準電圧源3の電圧を、c)はフォトカプラ5の受光素子両端の電圧を、d)はフィルタの出力電圧を各々表している。
【0015】
図2のb)の波形において、交流の半周期0~Tの間に、半転入力端子の電圧と基準電圧源の電圧が交わる時刻が2ヶ所あるが、それらをt1とt2とするとフィルタの出力電圧Vdcは式1で表すことができる。式1の中のVcc2はフォトカプラ5の受光素子に供給される電圧である。
交流電圧は正弦波であるからt2-t1はT-2・t1と表すことができるので、式1からt1を求めると式2で表すことができる。フィルタの出力電圧VdcをVcc2で割った値はデューティ比である。
交流電圧が時刻t1で交流電圧と等しくなるので、交流電圧の実効値をVac、抵抗11と12の値をr11、r12とおき、基準電圧源3の電圧をVrefとおくと、式3が成立する。式において、Vrefは既知である。また、πは円周率である。
t1は式2に示したようにデューティ比から求まり、そのt1を式3に代入すればVacが求まる。すなわち、フィルタの出力電圧を測定することにより、交流電源1の実効電圧が一元的に求まる。
交流電源の電力を直流電力に変換する電源装置は、規定の入力電圧範囲を越えた電圧が入力した場合に動作を停止する機能や、入力した交流電圧に応じて出力電力を変える機能が要求されているので、安価でかつスペースを取らない本発明の絶縁型交流電圧計が市場で応用される可能性が高い。
電気自動車の充電器は充電制御にマイコンを用いるが、マイコンは交流入力側から絶縁された回路に組込まれるため、そのマイコンを本発明のデューティ比を測定するデジタル処理装置として利用することは経済的効果を高める。