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特開2022-80830自律運転アプリケーションのための緊急対応車両検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080830
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】自律運転アプリケーションのための緊急対応車両検出
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0965 20060101AFI20220523BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20220523BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220523BHJP
【FI】
G08G1/0965
B60W50/14
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021102113
(22)【出願日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】16/951,224
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】501450960
【氏名又は名称】エヌビディア コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アムブリッシュ ダントレイ
(72)【発明者】
【氏名】アトウサ トラビ
(72)【発明者】
【氏名】アンシュル ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】ラム ガナパティ
(72)【発明者】
【氏名】アビジット パタイト
(72)【発明者】
【氏名】レバンス ナッラ
(72)【発明者】
【氏名】ニランジャン アバンダナム
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241CE08
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC26Z
3D241DC28Z
5H181AA12
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF32
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】環境内の緊急対応車両の進行方向、位置、及び/又はタイプを識別するために、自律又は半自律マシンのマイクロフォンがキャプチャしたオーディオを使用する、緊急対応車両のオーディオ警告の検出及び分類を提供する。
【解決手段】複数のマイクロフォン・アレイが、自律又は半自律マシンに配設され、環境内の音に対応するオーディオ信号の生成に使用される。オーディオ信号は処理されて、緊急対応車両の位置及び/又は進行方向が判定される。サイレン・タイプを識別するために、オーディオ信号は、オーディオ・データが表す警告タイプの確率を出力するディープ・ニューラル・ネットワークを使用して処理される周波数スペクトルの表現を生成するのに使用される。位置、進行方向、及び/又はサイレン・タイプは、エゴ車両又はエゴマシンが緊急対応車両を識別し、応答してプランニング及び/又は制御決定を行うことを可能にする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律又は半自律マシンの複数のマイクロフォンを使用して生成されるオーディオ・データを受信するステップと、
緊急対応車両の位置又は前記緊急対応車両の進行方向のうちの少なくとも1つを判定するために、前記オーディオ・データに少なくとも部分的に基づいて、音響三角測量アルゴリズムを実行するステップと、
前記オーディオ・データに少なくとも部分的に基づいて、前記オーディオ・データからの1個又は複数のオーディオ信号に対応する1個又は複数の周波数のスペクトルの表現を生成するステップと、
前記表現を表す第1のデータをニューラル・ネットワークに適用するステップと、
前記ニューラル・ネットワークを使用して及び前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも第1の警告タイプ及び第2の警告タイプの確率を表す第2のデータを計算するステップと、
前記確率に少なくとも部分的に基づいて、前記緊急対応車両のタイプを判定するステップと、
前記緊急対応車両の前記タイプ、及び前記緊急対応車両の前記位置若しくは前記緊急対応車両の前記進行方向のうちの1個又は複数に少なくとも部分的に基づいて、前記自律又は半自律マシンによって1個又は複数の動作を実行するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
1個又は複数の周波数のスペクトルの前記表現が、Melスペクトログラムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ニューラル・ネットワークが、畳み込み再帰ニューラル・ネットワーク(CRNN)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記警告が、
サイレン、
1個又は複数のサイレンのシーケンス又はパターン、
アラーム、
1個又は複数のアラームのシーケンス又はパターン、
車両クラクションからの1個又は複数の放出物、或いは、
少なくとも1個の車両クラクションからの放出物のシーケンス又はパターン
のうちの少なくとも1個に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のマイクロフォンが、前記自律又は半自律マシンの複数のマイクロフォン・アレイ内に配置され、前記複数のマイクロフォン・アレイの各マイクロフォン・アレイが、複数のマイクロフォンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のマイクロフォン・アレイが、前記自律又は半自律マシンの前部に配置された第1のマイクロフォン・アレイ、前記自律又は半自律マシンの後部に配置された第2のマイクロフォン・アレイ、前記自律又は半自律マシンの左部に配置された第3のマイクロフォン・アレイ、前記自律又は半自律マシンの右部に配置された第4のマイクロフォン・アレイ、或いは前記自律又は半自律マシンの上部に配置された第5のマイクロフォン・アレイのうちの2個以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のマイクロフォン・アレイの各マイクロフォン・アレイが、そこに配置された風よけを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記オーディオ・データから背景ノイズを除去して、処理済みのオーディオ・データを生成するステップ
をさらに含み、
前記音響三角測量アルゴリズムを前記実行するステップ又は前記表現を前記生成するステップのうちの少なくとも1つが、前記処理済みのオーディオ・データに少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記背景ノイズを前記除去するステップが、ビーム形成アルゴリズムを実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のデータを前記計算するステップが、
前記ニューラル・ネットワークの1個又は複数のゲート付き線形ユニット(GLU)を使用して、前記表現を表す前記第1のデータを処理するステップと、
前記1個又は複数のGLUの出力に少なくとも部分的に基づいて生成された第3のデータを、1個又は複数のゲート付き再帰型ユニット(GRU)を使用して処理するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記GRUの出力に少なくとも部分的に基づいて生成される第4のデータにアテンションが適用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ソフトマックス関数又はシグモイド関数のうちの少なくとも1個を使用して1個又は複数の緻密層によって前記アテンションが適用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ニューラル・ネットワークが、記録されたオーディオ・データ及び拡張されたオーディオ・データを使用してトレーニングされ、前記拡張されたオーディオ・データが、前記記録されたオーディオ・データと1個又は複数の拡張技法とを使用して生成され、前記1個又は複数の拡張技法が、タイム・ストレッチ、タイム・シフト、ピッチ・シフト、動的範囲圧縮、及び異なる信号対ノイズ比(SNR)におけるノイズ拡張のうちの少なくとも1個を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
複数のマイクロフォンを使用して生成されるオーディオ・データを受信するステップと、
前記オーディオ・データに少なくとも部分的に基づいて、スペクトログラムを生成するステップと、
前記スペクトログラムを表す第1のデータをディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)に適用するステップと、
前記DNNの1個又は複数の特徴抽出層を使用して及び前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、第2のデータを計算するステップと、
前記DNNの1個又は複数のステートフル層を使用して及び前記第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、第3のデータを計算するステップと、
前記DNNの1個又は複数のアテンション層を使用して及び前記第3のデータに少なくとも部分的に基づいて、複数の警告タイプの確率を表す第4のデータを計算するステップと、
前記確率に少なくとも部分的に基づいて1個又は複数の動作を実行するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記スペクトログラムが、Melスペクトログラムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
処理済みのオーディオ・データを生成するために、周囲ノイズ抑制アルゴリズムを使用して前記オーディオ・データを前処理するステップ
をさらに含み、
前記スペクトログラムを前記生成するステップが、前記処理済みのオーディオ・データに少なくとも部分的に基づく、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記1個又は複数の特徴抽出層が、1個又は複数のゲート付き線形ユニット(GLU)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記1個又は複数のステートフル層が、1個又は複数のゲート付き再帰型ユニット(GRU)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記1個又は複数のアテンション層が、ソフトマックス関数又はシグモイド関数のうちの少なくとも1個を使用する1個又は複数の緻密層を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記ソフトマックス関数を使用する第1の出力及び前記シグモイド関数を使用する第2の出力の加重平均を計算するステップ
をさらに含み、
前記確率が、前記加重平均に対応する、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
各々のマイクロフォン・アレイが複数のマイクロフォンを含む、複数のマイクロフォン・アレイと、
1個又は複数の処理ユニットと、
命令を記憶する1個又は複数のメモリ・デバイスであって、前記命令が、前記1個又は複数の処理ユニットによって実行される場合に
前記複数のマイクロフォン・アレイを使用して生成されたオーディオ・データを受信すること、
緊急対応車両の位置又は前記緊急対応車両の進行方向のうちの少なくとも1つを判定するために、前記オーディオ・データに少なくとも部分的に基づいて、音響三角測量アルゴリズムを実行すること、
前記オーディオ・データに少なくとも部分的に基づいて、前記オーディオ・データの1個又は複数のオーディオ信号の周波数スペクトルの表現を生成すること、
前記表現を表す第1のデータをニューラル・ネットワークに適用すること、
前記ニューラル・ネットワークを使用して及び前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも第1の警告タイプ及び第2の警告タイプの確率を表す第2のデータを計算すること、
前記確率に少なくとも部分的に基づいて、前記緊急対応車両のタイプを判定すること、及び
前記緊急対応車両の前記タイプ、及び前記緊急対応車両の前記位置若しくは前記緊急対応車両の前記進行方向のうちの1個又は複数に少なくとも部分的に基づいて、自律又は半自律マシンの1個又は複数の動作を実行すること
を含む動作を前記1個又は複数の処理ユニットに実行させる、1個又は複数のメモリ・デバイスと
を備える、システム。
【請求項22】
前記複数のマイクロフォン・アレイが、前記自律若しくは半自律マシンの前部に配置された第1のマイクロフォン・アレイ、前記自律若しくは半自律マシンの後部に配置された第2のマイクロフォン・アレイ、前記自律若しくは半自律マシンの左部に配置された第3のマイクロフォン・アレイ、前記自律若しくは半自律マシンの右部に配置された第4のマイクロフォン・アレイ、又は前記自律若しくは半自律マシンの上部に配置された第5のマイクロフォン・アレイのうちの2個以上を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数のマイクロフォン・アレイの各マイクロフォン・アレイが、そこに配置された風よけを含む、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
監視なしに車両を自律的に及び安全に操縦するシステムの設計は、極めて難しい。自律型車両は、車両の進路沿いの他の物体又は構造物との衝突を回避するために、注意深い運転者-複雑な環境において移動する及び静的な障害物を識別しそれに反応する驚くべき能力を有する知覚及びアクション・システムを利用する-の機能的同等物として実行する能力を少なくとも有するべきである。加えて、完全に自律して動作するために、車両は、緊急対応車両に関連するルールに従うことを含む、道路のルール又は慣習に従う能力を有するべきである。たとえば、地理的位置に応じて、緊急対応車両が検出されたときに道路の脇に寄せること及び/又は停止することなど、様々なルール又は慣習が整っていることがある。
【0002】
いくつかの従来のシステムは、エゴ車両の知覚を使用して緊急対応車両の識別を試みる。たとえば、様々なセンサ・タイプ-たとえば、LiDAR、RADAR、カメラなど-が、エゴ車両によって知覚可能なときに緊急対応車両を検出するために使用され得る。しかしながら、これらのシステムは、環境内の多数の閉塞により、緊急対応車両を識別する-又は少なくとも反応するのに十分な時間を有して緊急対応車両を識別する-のに困難を有し得る。たとえば、緊急対応車両が、建物又は他の構造物によって塞がれた交差点に近づいている場合、エゴ車両は、そのエゴ車両も交差点に入るまで、緊急対応車両に気付かないことがある。この時点では、エゴ車両がローカル・ルールに従う操作を実行するには遅すぎることがあり、したがって、状況の全体的安全性を低下させる及び/又は緊急対応車両の動きを妨げる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第16/366,506号
【特許文献2】米国特許出願第16/101,232号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、自律運転アプリケーションのための緊急対応車両検出に関する。たとえば、及び限定せずに、環境内の緊急対応車両の進行方向、位置、及び/又はタイプを識別するために自律又は半自律型車両のマイクロフォンを使用してキャプチャされるオーディオからの、以下の警告を検出及び分類する、システム及び方法が、開示される:緊急対応車両によって発せられるサイレン、アラーム、クラクション、及び他のパターンの生み出される音。たとえば、複数のマイクロフォン-又はマイクロフォン・アレイ-が、車両に配置され得、環境内の音に対応するオーディオ信号を生成するために使用され得る。これらのオーディオ信号は、緊急対応車両の位置及び/又は進行方向を判定する(たとえば、三角測量を使用)ために、たとえば、背景ノイズ抑制、ビーム形成、及び/又は他の前処理動作を使用して、処理され得る。オーディオ・データの品質をさらに高めるために、マイクロフォンは、車両の周りの様々な位置(たとえば、前部、後部、左、右、内部など)に搭載され得る及び/又はオーディオ品質に役立つ物理構造物-たとえば、マイクロフォンでの風力を回避するための風よけ-を含み得る。
【0005】
サイレン・タイプ-その結果として、それに対応する緊急対応車両タイプ-を識別するために、オーディオ信号は、Melスペクトログラムを生成するためのMel周波数係数を抽出することによって、周波数領域に変換され得る。Melスペクトログラムは、緊急対応車両によって使用される様々な警告タイプがオーディオ・データによって表されているという信頼度又は確率を出力するディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN:deep neural network)-たとえば、畳み込み再帰ニューラル・ネットワーク(CRNN:convolutional recurrent neural network)-を使用して、処理され得る。警告の空間的及び時間的特質により、特徴抽出のための畳み込み層及び時間的特徴識別のための再帰層の使用は、DNNの正確性を高める。たとえば、DNNは、サイレンの空間的及び時間的オーディオ・プロファイルを説明するより軽量な及び正確なDNNを可能にするために、状態を保持しながら-たとえば、ゲート付き再帰型ユニット(GRU:gated recurrent unit)を使用して-オーディオ・データのウインドウで動作し得る。加えて、アテンションが、全体としてのウインドウ内での各タイプの緊急要員警告の確率を判定するために-たとえば、ウインドウ内のそれらの時間的位置にかかわらず、検出された警告パターンにより高い重みを与えるために-、時間的特徴抽出層の出力に適用され得る。変化する運転条件-たとえば、雨、風、交通量、トンネル内、外気など-にわたる正確性のためにDNNをトレーニングするために、変化する警告タイプからのオーディオ・データが、エコー、反響、減衰、ドップラー効果、及び/又は環境物理学の他の効果を説明するより堅固なトレーニング・データセットを生成するために、タイム・ストレッチ、タイム・シフト、ピッチ・シフト、動的範囲圧縮、異なる信号対ノイズ比(SNR:signal-to-noise ratio)におけるノイズ拡張などを使用して拡張され得る。そのようなものとして、配備された後には、DNNは、様々な動作条件にわたって緊急要員警告タイプを正確に予測することができる。
【0006】
最終的に、位置、進行方向、及び警告タイプの使用は、車両が緊急対応車両を識別することとローカル・ルール又は慣習に従う応答におけるプランニング及び/又は制御決定を行うこととを可能にし得る。加えて、知覚単独ではなくてオーディオ(及び、実施例において、知覚)を使用することによって、緊急対応車両は、閉塞にかかわらずより早期に識別され得、それにより、状況の全体的安全性に貢献する事前のプランニング決定を車両が行うことを可能にすることができる。
【0007】
自律運転アプリケーションの緊急対応車両検出のための本システム及び方法について、添付の図面を参照して、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の実施例による、緊急対応車両検出のプロセスのデータ流れ図である。
図1B】本開示の実施例による、ディープ・ニューラル・ネットワークの例示的アーキテクチャの図である。
図2】本開示の実施例による、車両のマイクロフォン・アレイの例示的配置を示す図である。
図3】本開示の実施例による、緊急対応車両検出の方法の流れ図である。
図4】本開示の実施例による、緊急対応車両検出の方法の流れ図である。
図5A】本開示のいくつかの実施例による、例示的自律型車両のイラストレーションである。
図5B】本開示のいくつかの実施例による、図5Aの例示的自律型車両のカメラ位置及び視野の実例である。
図5C】本開示のいくつかの実施例による、図5Aの例示的自律型車両の例示的システム・アーキテクチャのブロック図である。
図5D】本開示のいくつかの実施例による、クラウドベースのサーバと図5Aの例示的自律型車両との間の通信のシステム図である。
図6】本開示のいくつかの実施例の実装において使用するのに適した例示的コンピューティングデバイスのブロック図である。
図7】本開示のいくつかの実施例の実装において使用するのに適した例示的データ・センタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
自律運転アプリケーションの緊急対応車両検出に関するシステム及び方法について開示する。本開示は、例示的自律型車両500(その実例が図5A~5Dに関して本明細書で説明され、本明細書で別法として「車両500」又は「エゴ車両500」と称される)に関して説明されることがあるが、これは限定を意図していない。たとえば、本明細書に記載のシステム及び方法は、非自律型車両、半自律型車両(たとえば、1個又は複数の高度運転者支援システム(ADAS:advanced driver assistance system))、ロボット、倉庫車両、オフロード車両、飛行船舶、ボート、及び/又は他の車両タイプによって使用され得る。加えて、本開示は、自律運転に関して説明されることがあるが、これは、限定を意図していない。たとえば、本明細書に記載のシステム及び方法は、ロボット工学、航空システム、船舶システム(たとえば、緊急船舶識別)、シミュレーション環境(たとえば、仮想シミュレーション環境内の仮想車両の緊急対応車両検出)、及び/又は他の技術分野において使用され得る。
【0010】
図1Aを参照すると、図1Aは、本開示の実施例による、緊急対応車両検出のプロセス100のデータ流れ図である。本明細書に記載のこの及び他の構成は単に実例として記載されていることを理解されたい。他の構成及び要素(たとえば、マシン、インターフェース、機能、順番、機能のグループ化など)が、図示されたものに加えて又はそれらの代わりに使用され得、いくつかの要素は、完全に省略され得る。さらに、本明細書に記載の要素の多数は、個別の若しくは分散された構成要素として又は他の構成要素と併せて、並びに任意の適切な組合せ及び場所において実装され得る機能エンティティである。エンティティによって実行されるものとして本明細書に記載された様々な機能は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって実施され得る。たとえば、様々な機能は、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって実施され得る。
【0011】
プロセス100は、オーディオ・データ104を生成する1個又は複数のマイクロフォン102(図5A及び5Cのマイクロフォン596に類似し得る)を含む。たとえば、任意の数のマイクロフォン102が、任意の配置で車両500で使用及び搭載又は他の方法で配置され得る。非限定的実例として、及び図2に関して、様々なマイクロフォン・アレイ202A~202Dは、車両200(実施例において、図5A~5Dの車両500に類似し得る)に搭載され得る。マイクロフォン・アレイ202A~202Dは、複数-たとえば、2個、3個、4個など-のマイクロフォンをそれぞれ含み得、各マイクロフォンは、一方向、全方向、又は他のタイプのマイクロフォンを含み得る。マイクロフォン・アレイ202の異なる構成が、使用され得る。たとえば、各アレイ内の4個のマイクロフォンの長方形の配置-たとえば、正方形の各頂点に配置された及び印刷基板(PCB:printed circuit board)上にはんだ付けされたマイクロフォンを含む-が、使用され得る。別の実例として、円内の6個のマイクロフォン及び中心の1個を含む、7個のマイクロフォンの円形アレイが、使用され得る。
【0012】
マイクロフォン・アレイ202の様々な場所が、実施例に応じて、使用され得る。遮音壁の役割をそれ自体が果たす車両200により、マイクロフォン・アレイ202は、車両200が閉塞サイレンへの最小限の影響を有するように、配置され得る。そのようなものとして、車両200の各側面(前、後、左、右)にマイクロフォン・アレイ202を含むことによって、車両200は、マイクロフォン・アレイ202のうちの少なくとも1個のマイクロフォン・アレイの障壁の役割を果たさないことが可能である-それによって、より高品質のオーディオ信号及びそれによる正確な予測をもたらす。たとえば、車両200の前、後、左、及び右に1個の、4個のマイクロフォン・アレイ202A~202Dが、使用され得る。別の実例として、追加の、第5のマイクロフォン・アレイ202Eが、車両の上部に配置され得る。一実施例において、単一のマイクロフォン・アレイのみ-たとえば、マイクロフォン・アレイ202E-が、風、雨、粉塵などへのより多くの暴露をもたらし得る、車両200の上部で使用され得る。他の実例では、車両200の異なる位置で使用されるより多数の又は少数のマイクロフォン・アレイ202が存在し得る。たとえば、いくつかの実施例において、車両500のキャビン内から生成された結果的なオーディオ信号が、車両500のキャビン内で緊急対応車両の警告又はサイレンの知られている又は学習されたオーディオ信号と比較され得るように、マイクロフォン及び/又はマイクロフォン・アレイ202は、車両500の内部に配置され得る。
【0013】
マイクロフォン・アレイ202は、車両200の異なる位置(たとえば、車両200の異なる部分に対応する)に位置付けられ得る。たとえば、車両200の左又は右側で、マイクロフォン・アレイ202は、サイドミラーの下に又はドア・ハンドルの下に、及び車両200の前又は後ろに位置付けられ得、マイクロフォン・アレイ202は、後部ナンバ・プレートの近くに、リア・ビュー・カメラの近くに、前方ナンバ・プレートの近くに、フロントガラスの上若しくは下に、及び/又は別の位置に位置付けられ得る。いくつかの実施例において、これらの位置にマイクロフォンを位置付けることで、動作中にマイクロフォン・アレイ202を粉塵、水、及び/又は風にあまりさらさないことが可能である。たとえば、リア・ビュー・カメラの位置は、一般に、ナンバ・プレートが位置する空洞内に位置付けられ、水及び粉塵がマイクロフォン・アレイ202に蓄積するのを防ぐことができる。同様に、バック・ミラー又はドア・ハンドルの下は、粉塵、風、及び/又は水に対する保護をもたらすことができる。
【0014】
各マイクロフォン・アレイ202は、筐体内に配置され得、筐体は、車両200に配置され得る。そのようなものとして、筐体は、車両200の外部に配置されることになり、それ故に、各マイクロフォン・アレイ202内のマイクロフォンの腐食又は劣化を減らす又はなくすために粉塵及び湿気移入に抵抗するように設計され得る。いくつかの実施例において、粉塵及び湿気に耐えるために、各筐体の薄膜又は繊維被膜は、雨、雪、埃、及び粉塵に対する適切な保護を同時に提供しつつオーディオ信号を著しく減衰させない材料-たとえば、疎水性泡スプレー、耐湿及び防塵の複合合成繊維など-で構成され得る。いくつかの実施例において、マイクロフォン・アレイ202への風力を避けるために、マイクロフォン・アレイ202は、1個又は複数の風よけをそれぞれ含み得る。
【0015】
いくつかの実施例において、マイクロフォンは、-たとえば、車両200におけるマイクロフォン・トポロジを単純化するために-パルス密度変調(PDM:pulse density modulation)を使用する自動車オーディオ・バス(A2B:automotive audio bus)トランシーバ・デバイスに接続された自動車級デジタル・マイクロ電気機械システム(MEMS:micro-electro-mechanical system)マイクロフォンを含み得る。たとえば、この構成は、低コストの及び軽量なツイスト・ペア(TP:twisted pair)ケーブル敷設を使用する車両200の外側に搭載された1個又は複数のマイクロフォンからのオーディオ信号のキャプチャを可能にし得る。そのような一実例では、車両200の半径内の任意の点における緊急対応車両からのサイレン周波数は、デイジ・チェーン接続された構成内の各A2Bトランシーバ・デバイスに接続されたオーバ・サンプリングされた1ビットPDMオーディオ・ストリームによって表され得る。オーディオ・データ104は、デイジ・チェーンにおけるそれの最近傍A2Bノードへのアップストリーム(たとえば、A2B1次ノード・デバイスを含む電気制御ユニット(ECU:electronic control unit)の方向における)で渡される又は転送される前に2次ノードA2Bトランシーバによってマルチチャネル時分割多重(TDM:time-division multiplexing)データに変換され得る。たとえば、TDMデータをA2B1次ノードに転送するより前にそれぞれのマイクロフォン(たとえば、各マイクロフォン・アレイ202からの各マイクロフォン)からTDMデータを集めるシステムに最も近いA2B2次ノード・トランシーバ。A2B1次ノードは、TDMオーディオ・ポートを介して、システム・オン・チップ(SoC:system on chip)-たとえば、図5CのSoC504-などのシステムの別の構成要素にオーディオ・データ104を転送することができる。制御チャネルコマンドは、TPケーブルを使用してSoCとA2Bトランシーバとの間でI2C(inter-integrated circuit)インターフェースを介してA2Bノードに送られ得る。各2次ノードは、十分な電流が同じTPケーブルを使用してすべての接続されたノードに供給され得るような方法で、リモートから電力を供給され得る、A2Bトランシーバ及び1個又は複数のPDMマイクロフォンを含み得る。
【0016】
実施例において、オーディオ・データ104は、プリプロセッサ106を使用する前処理を受け得る。たとえば、1個又は複数の背景ノイズ抑制アルゴリズムが、風のような周囲ノイズ、車両ノイズ、道路ノイズ、及び/又は同類のものを抑制するために使用され得る。たとえば、1個又は複数のビーム形成アルゴリズムが、各マイクロフォン・アレイ202によって生成されるオーディオ・データ104の背景ノイズ抑制を実行するために、実行され得る。本明細書では、オーディオ・データ104は、未加工のオーディオ・データ及び/又は前処理されたオーディオ・データを指し得る。
【0017】
いくつかの実施例において、オーディオ・データ104-たとえば、前処理後-は、出力110を決定するために位置判定装置108によって使用され得る。たとえば、位置判定装置108は、1個又は複数の(たとえば、受動)音響位置アルゴリズム-たとえば、音響三角測量-を使用して緊急対応車両の位置112及び/又は進行方向114を判定することができる。位置判定装置108は、緊急対応車両の位置112を判定するために、音響三角測量を使用して、複数-たとえば、3個以上-のマイクロフォン・アレイ202のそれぞれからのオーディオ・データ104を分析して、距離(たとえば、車両200からの)及び/又は方向(たとえば、緊急対応車両が位置する環境の領域を定義する角度の範囲)を判定することができる。たとえば、音響三角測量が、車両200からの緊急対応車両の推定される距離と緊急対応車両の警告の推定されるソース方向とを判定するために使用され得る。より多数のマイクロフォン、又はマイクロフォン・アレイ202が使用されるほど、三角測量はより正確になり得る。しかしながら、4個のマイクロフォン・アレイ202(たとえば、図2の202A~202D)の使用は、緊急対応車両の位置を見つける及びそれに反応するのに適し得る、30度以内の正確性を可能にし得る。他の実施例において、使用されるより多数の又は少数のマイクロフォン・アレイ202が存在し得、正確性は、結果として変化し得る(たとえば、40度、25度、10度までなど)。非限定的な一実例として、道路網のジオメトリ及び一般レイアウトにより、30度以内の正確性-距離測度に加えた-は、地域のルール及び慣習に従って応答するのに十分な正確性を有して、どの道路に緊急対応車両があるかを車両500が識別することを可能にし得る。そのようなものとして、4方向交差点に近づくとき、推定される位置及び距離は、緊急対応車両は左から交差点に入る道路上にあると車両500が判定することを可能にし得、進行方向114-本明細書でさらに詳しく説明される-は、道路上の緊急対応車両の進行方向を判定するために使用され得る。そのようなものとして、緊急対応車両が交差点から離れて進んでいく場合には、車両500は、緊急対応車両を説明せずに交差点を通って進むことを決定し得るが、緊急対応車両が交差点に向かって進んでいる場合には、車両500は、緊急対応車両が交差点を通過してしまうまで、道路の脇に寄せる及び停止することを決定し得る(道路の脇に寄せること及び停止することがローカル・ルール又は慣習である実例において)。結果として、いくつかの実施例において、道路レイアウトの知識(たとえば、GNSSマップ、高解像度(HD:high definition)マップ、車両知覚などを使用して判定された)は、位置112及び/又は進行方向114を判定するために追加で使用され得る。
【0018】
進行方向114は、経時的に-たとえば、複数のフレーム又は時間ステップにわたって-緊急対応車両の位置112を追跡することによって、位置判定装置108によって、判定され得る。たとえば、オーディオ・データ104によって表されるものとしての音場の音圧、粒子ベロシティ、音響若しくはオーディオ周波数、及び/又は他の物理量の変化(たとえば、増加又は減少)は、緊急対応車両が近づいていること(たとえば、音圧の増加)又は離れていっていること(たとえば、音圧の減少)を示し得る。
【0019】
位置112及び進行方向114に加えて、又はそれらの代わりに、プロセス100は、深層学習を使用する緊急車両警告タイプ122を判定することを含み得る。たとえば、オーディオ・データ104-たとえば、プリプロセッサ106による前処理の前及び/又は後の-は、スペクトログラム118を生成するために、スペクトログラム・ジェネレータ116によって分析され得る。いくつかの実施例において、スペクトログラム118は、各マイクロフォン・アレイ202について生成され得、DNN120のN個のインスタンス(Nは、マイクロフォン・アレイ202の数に対応)が、サイレン・タイプ122に対応するN個の異なる出力を計算するために使用され得る。他の実施例において、それぞれのマイクロフォン・アレイ202からのスペクトログラム118に対応するN個の入力チャネルが、サイレン・タイプ122を計算するために、同じDNN120に入力され得る。さらなる実施例において、それぞれのマイクロフォン・アレイ202からのN個の信号が、単一のスペクトログラム118を生成するために前処理及び/又は拡張され得、単一のスペクトログラム118は、DNN120のための入力として使用され得る。
【0020】
スペクトログラム118を生成するために、各マイクロフォン・アレイ202からのオーディオ・データ104は、Mel周波数係数を抽出することによって、周波数領域に-スペクトログラム・ジェネレータ116によって-変換され得る。Mel周波数係数は、サイレン・タイプ122を示す出力(たとえば、信頼度、確率など)を計算するために1個又は複数のディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)120への入力として使用され得るスペクトログラム118を生成するために使用され得る。たとえば、オーディオ・データ104-たとえば、経時的な空気圧のサンプルのデジタル表現-は、次のウインドウをサンプリングするための所定のサイズ(たとえば、256、512など)のホップを毎回作って、何らかの所定のサイズ(たとえば、1024、2048など)のウインドウ内でサンプリングされ得る。高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform)は、各ウインドウについて計算されてデータを時間領域から周波数領域に変換することができる。全周波数スペクトルは、次いで、ビン-たとえば、120ビン-に分ける又は区切ることができ、各ビンは、Melスケールにおいて対応するMelビンに変換され得る。各ウインドウについて、信号の大きさは、Melスケールにおいて周波数に対応するそれの構成要素に分解され得る。そのようなものとして、周波数に対応するy軸は、対数スケールに変換され得、振幅に対応する色次元は、スペクトログラムを形成するためにデシベルに変換され得、そして、実施例において、周波数に対応するy軸は、Melスペクトログラムを形成するためにMelスケールにマップされ得る。そのようなものとして、スペクトログラム118は、スペクトログラム及び/又はMelスペクトログラムに対応し得る。
【0021】
スペクトログラム118-たとえば、従来又はMel-は、DNN120への入力として提供され得る。実施例において、DNN120は、畳み込み再帰ニューラル・ネットワーク(CRNN)を含み得るが、これは限定を意図していない。たとえば、及び制限なしに、DNN120は、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、サポート・ベクトル・マシン(SVM:support vector machine)、ナイーブ・ベイズ、k近傍法(Knn:k-nearest neighbor)、K平均クラスタリング、ランダム・フォレスト、次元縮小アルゴリズム、勾配ブースティング・アルゴリズム、ニューラル・ネットワーク(たとえば、オートエンコーダ、畳み込み、再発、パーセプトロン、長/短期メモリ/LSTM、ホップフィールド、ボルツマン、ディープ・ビリーフ、デコンボリューション、敵対的生成、液体状態マシンなど)、関心エリア検出アルゴリズム、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを使用するマシン学習モデル、及び/又は他のタイプのマシン学習モデル、を含み得る。
【0022】
CRNNは、緊急警告-たとえば、サイレン、アラーム、又は車両クラクション・パターン-の空間的特質及び時間的特質の両方を説明するためにDNN120として使用され得る。たとえば、各警告は、固定パターンを有するように緊急対応車両の計器又はオーディオ発出デバイスによって生成され得る。各緊急対応車両は、同様に、現在の状態又は状況に応じて異なる警告タイプを有し得る(たとえば、救急車は、重大性の知識なしに現場に向かっているときには第1の警告を有し得るが、病院への運転が単に軽傷の患者を移送しているときには、第2の警告を有し得る)。加えて、2個の異なる警告は、同じ信号を有し得るが、一方の信号は、他方よりも長い期間にわたって伸びることがあり、したがって、この差を識別することは、サイレン・タイプ122の正確な分類のために重要である。そのようなものとして、CRNNは、周波数、振幅、及び/又は他の音表現に着目するだけではなく、これらの音表現のそれぞれが時間ウインドウにわたって検出された時間の量にも着目することによって、これらの固定パターンを説明することができる。
【0023】
図1Bを参照すると、DNN120A(たとえば、CRNN)の例示的アーキテクチャが示されている。Tは、スペクトログラムが対応する時間ウインドウでもよい、時間に対応し得る。いくつかの実施例において、Tは、250ミリ秒(ms)、500ms、800ms、又は別の時間ウインドウでもよい。Fは、周波数に対応し得る。DNN120Aは、一連のRNNが後に続く一連の畳み込みを含み得る。畳み込み層(又は特徴検出器層)は、一般に、分類のために有用なスペクトログラム118の固有の空間的特徴を学習するために使用され得る。図1Bのアーキテクチャでは、畳み込みは、正確性を高める及びより小さいトレーニング・データセットでトレーニング中のより速い収束を可能にするために、ゲート付き線形ユニット(GLU)126-たとえば、GLU126A及びGLU126B-に置き換えられる。GLU126A及び126Bの出力は、増大され得、最大プール層128、畳み込み層130、及び別の最大プール層132に適用され得る。最大プール層132の出力は、DNN120Aの1個又は複数のRNN-又はステートフル層-に適用され得る。たとえば、ステートフルRNNのユーザは、より長い警告シーケンスの識別を助けることができる。DNN120Aは、より小さいトレーニング・データセットを使用するトレーニング中の収束まで軽量及び高速でありながらシーケンスに関する正確性を高めるために(たとえば、警告は、一般に、所定のパターンの音に従う)、ゲート付きRNN-たとえば、ゲート付き再帰型ユニット134A及び134B-を使用することができる。加えて、レイテンシと正確性とを最適化するために、その後の推論がオーディオシーケンスで継続することができるように、DNN120Aは、GRU134の状態を保持しながら、推論ごとにオーディオ・データ(Melスペクトログラムによって表されるものとしての)のウインドウで動作することができる。RNN-たとえば、GRU134-の出力は、増大され得、1個又は複数のアテンション層140に適用され得る。たとえば、GRU134の出力は、シグモイド活性化関数を有する緻密層及びSoftMax活性化関数を有する緻密層に適用され得、両方の緻密層の出力は、サイレン・タイプ122を示す信頼度又は確率の最終出力を生成するために、加重平均演算142を受け得る。アテンション層140は、Tによって定義された時間ウインドウ内の、どこでサイレンが開始するかの判定を助けることができる。したがって、アテンション層140は、時間ウインドウ内のそれの時間的位置にかかわらずサイレン、アラーム、クラクション、又は他の生み出された音パターンにより高い重みを与え、時間ウインドウ内の各タイプの警告の確率を全体として判定するために使用される。時間ウインドウ内の異なる警告タイプの独立した確率の出力は、複数の警告タイプ122が任意の所与の時間において検出されることを可能にする。たとえば、1に等しいいくつかの警告の信頼度を使用することとは対照的に、各警告タイプの確率は、他の警告タイプ確率又は信頼度にかかわらず計算され得る。しかしながら、いくつかの実施例において、信頼度が使用され得る。
【0024】
結果として、CRNN100AにおけるGLU126は、速く、及び大きなトレーニング・データセットを必要とせずに異なるタイプの警告の最良の特徴をDNNが学習するのを助けることができる。加えて、アテンション層140と結合されたステートフルGRU134は、長い時間的依存状態を保持しつつ時間ウインドウ内に警告を検出するのを助ける。これは、順次に各時間フレームのサイレンを検出することとは対照的に-たとえば、時間的要素なしに-DNN120がより速く実行することを可能にする。加えて、より小さい時間ウインドウに推論を分割することによって、ドップラー効果の概算は、より正確になり得る。さらに、アテンション層140の使用は、レイテンシへの有意でない貢献を有してDNN120が警告をより早く検出するのを助ける。
【0025】
DNN120-たとえば、CRNN100A-をトレーニングするために、トレーニング・データセットが生成され得る。しかしながら、環境の物理プロパティによる警告タイプ及びそれへの変換の十分なバリエーションを含む現実世界トレーニング・データセットの生成の難しさにより、データ拡張が、DNN120をトレーニングするために使用され得る。たとえば、警告が存在する現実世界オーディオをキャプチャすることは、困難であるが、野外で、トンネルで、異なる気象条件下で、及び/又は他の異なる状況下でこの同じオーディオをキャプチャすることは、さらに困難である。警告パターンは、マイクロフォン102によってキャプチャされる前に広範なセットの変換、たとえば、ドップラー、減衰、エコー、反響、及び/又は類似のもの、を受け得る。DNN120が警告タイプ122を正確に予測するために、DNN120は、これらの変換が生じた後に警告タイプ122を識別するようにトレーニングされ得る。
【0026】
そのようなものとして、堅固なトレーニング・セットを生成するために、警告(たとえば及び制限なしに、緊急対応車両によって発せられるサイレン、クラクション、アラーム、又は他の生み出された音パターンなど)を含むオーディオ・データのデータセットが、-たとえば、データ収集車両を使用する現実世界集合体から、警告のオーディオ・トラックから、警告の関連オーディオを含むビデオから、及び/又は類似のものから-生成され得る。トレーニング・オーディオ・データのインスタンスは、そこに表された異なる警告タイプ122に対応する意味論又はクラス・ラベルでタグ付けされ得る。トレーニング・オーディオ・データのインスタンスは、次いで、1個又は複数の変換、たとえば、タイム・ストレッチ、タイム・シフト、ピッチ・シフト、異なる信号対ノイズ(SNR)比における動的範囲圧縮、異なるSNR比におけるノイズ圧縮、及び/又は他の変換タイプ、を受け得る。たとえば、単一インスタンスが、異なる組合せの変換を使用する任意の数の追加のインスタンスの生成のために使用され得る。そのようなものとして、トレーニング・データセットは、元のトレーニング・データセット・サイズの何らかの倍数-たとえば、25x、50xなど-を含む更新されたトレーニング・セットを生成するために、拡張され得る。
【0027】
図1Aを再び参照すると、警告タイプ122は、緊急対応車両のタイプを含み得る-たとえば、2個以上の警告タイプ122が、たとえば、「消防車」、「警察車両」、又は「救急車」などの、同じ名称を含み得る。他の実施例において、警告タイプ122は、緊急対応車両のタイプへの関連付けを有さない異なる警告タイプを含み得る-たとえば、「ウェイル(wail)」、「イエルプ」、「ウォーブル(warble)」、「エア・ホーン」、「ピアサ(piercer)」、「ウープ(whoop)」、「ハウラ」、「プライオリティ」、「2トーン」、「ランブラ(rumbler)」など。いくつかの実施例において、これらの2個の組合せが、警告タイプ122として使用され得る-たとえば、「警察車両:ピアサ」、又は「救急車:ウェイル」など。そのようなものとして、DNN120が検出するようにトレーニングされた出力に応じて、DNN120によって出力される確率又は信頼度は、緊急対応車両名、警告名、又はその組合せの警告タイプ122に対応し得る。
【0028】
いくつかの実施例において、警告タイプ122、進行方向114、及び/又は位置112の識別に加えて、この情報の一部又はすべてが、付加的情報タイプと融合され得る。たとえば、車両500の他のセンサ(たとえば、図5A~5Cに関して説明されるような、LiDAR、RADAR、カメラなど)からの知覚の場合、プロセス100からの結果は、その結果の堅固性及び正確性を高めるための冗長性又は融合のために車両500の知覚出力と結合され得る。そのようなものとして、緊急対応車両が、物体検出を使用して識別及び分類される場合、たとえば、この知覚出力は、予測を更新又は検証するために、位置112、進行方向114、警告タイプ122(又はそこから判定されるものとしての緊急対応車両タイプ)と結合され得る。さらに、いくつかの実施例において、車両対車両通信は、結果の堅固性又は正確性を高めるために情報の付加的ソースを含み得る。たとえば、環境内の他の車両は、緊急対応車両の検出(たとえば、位置、進行方向、タイプなど)に関して車両500と情報を共有することができる。
【0029】
判定された警告タイプ122-DNN120の任意のインスタンスにおいて1個又は複数を含み得る-、緊急対応車両の進行方向、緊急対応車両の位置、車両500の知覚、及び/又は車両対車両通信が、車両500の自律運転ソフトウェア・スタック(たとえば、運転スタック)124によって使用され得る。たとえば、運転スタック124の知覚層は、緊急対応車両を世界モデルにローカライズするために世界モデルを更新する(たとえば、世界モデル・マネージャを使用して)ための緊急対応車両を識別及び位置を特定するためのプロセス100を使用することができる。運転スタック124のプランニング層は、位置112、進行方向114、及び/又は警告タイプを使用して、緊急対応車両を説明するルート又は進路プラン-たとえば、減速する、道路の脇に寄せる、停車する、及び/又は別の動作を実行すること-を決定することができる。運転スタック124の制御層は、次いで、ルート又は進路プランを使用して、進路に従って車両500を制御することができる。いくつかの実施例において、緊急対応車両の識別は、遠又はリモート操作要求をトリガし得る。非限定的な一実例として、リモート操作は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、特許文献1に記載のリモート操作に類似して要求及び実行され得る。そのようなものとして、運転スタック124は、警告タイプ122(及び/又は、警告タイプ122によって示されるものとしての、対応する緊急対応車両タイプ又は緊急タイプ)、位置112、及び/又は進行方向114を使用して、環境内の緊急対応車両の存在を説明するための1個又は複数の動作を実行することができる。
【0030】
ここで図3~4を参照すると、本明細書に記載の、方法300及び400の各ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアの任意の組合せを使用して実行することができる計算プロセスを含む。たとえば、様々な機能が、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって、実施され得る。方法300及び400はまた、コンピュータ記憶媒体に記憶されたコンピュータ使用可能命令として実施され得る。方法300及び400は、いくつか例を挙げると、独立型アプリケーション、サービス又はホスト型サービス(独立型の又は別のホスト型サービスと組み合わせた)、或いは別の製品へのプラグインによって提供され得る。加えて、方法300及び400は、例として、図1Aのプロセス100及び図5A~5Dの自律型車両500に関して、説明されている。しかしながら、これらの方法は、本明細書に記載のものを含むが、これらに限定されない、任意の1個のプロセス及び/又は任意の1個のシステム、或いは任意の組合せのプロセス及びシステムによって、追加で又は別法として、実行され得る。
【0031】
図3を参照すると、図3は、本開示のいくつかの実施例による、緊急対応車両検出のための方法300を示す流れ図である。方法300は、ブロックB302において、自律マシンの複数のマイクロフォンを使用して生成されるオーディオ・データを受信することを含む。たとえば、オーディオ・データ104は、マイクロフォン102-たとえば、マイクロフォン・アレイ202のマイクロフォン102-を使用して、生成され得る。
【0032】
方法300は、ブロックB304において、音響三角測量アルゴリズムを実行して、緊急対応車両の位置又は進行方向のうちの少なくとも1個を判定することを含む。たとえば、オーディオ・データ104(プリプロセッサ106による前処理の前又は後の)は、位置112及び/又は進行方向114を判定するために、位置判定装置108によって使用され得る。
【0033】
プロセス300は、ブロックB306において、Melスペクトログラムを生成することを含む。たとえば、スペクトログラム・ジェネレータ116は、オーディオ・データ104を使用して(Mel)スペクトログラム118(又はオーディオ・データからの1個若しくは複数のオーディオ信号に対応する1個若しくは複数の周波数のスペクトルの別の表現)を生成することができる。
【0034】
プロセス300は、ブロックB308において、Melスペクトログラムを表す第1のデータをCRNNに適用することを含む。たとえば、(Mel)スペクトログラム118を表すデータは、DNN120(たとえば、CRNN110A)に適用され得る。
【0035】
プロセス300は、ブロックB310において、複数の警告タイプの確率を表す第2のデータを、CRNNを使用して、計算することを含む。たとえば、CRNNは、複数の警告タイプ122の確率に対応する出力を計算することができる。
【0036】
方法300は、ブロックB312において、その確率に少なくとも部分的に基づいて緊急対応車両のタイプを判定することを含む。たとえば、最も高い確率(又は閾値を超えた確率)を有する警告タイプ122は、存在すると判定され得、警告タイプ122に関連付けられた緊急対応車両のタイプが、判定され得る。いくつかの実施例において、閾値は、車両500の位置及び/又は他の情報に基づいて調節され得る。たとえば、病院、消防署、警察署などに車両500の位置(GNSS、HDマップ、車両知覚などを使用して判定されるものとしての)が近いことに加えて、又はその代わりに、近隣の事故、SigAlert、及び/又は構造物、森、道路脇、若しくは他の火災タイプを指示する車両対車両通信が、緊急対応がそのエリア内にあり得る可能性の増大により信頼度又は確率閾値を下げるために、使用され得る。
【0037】
方法300は、ブロックB314において、緊急対応車両のタイプ、位置、及び/又は進行方向に少なくとも部分的に基づいて自律マシンによって1個又は複数の動作を実行することを含む。たとえば、緊急対応車両のタイプ(及び/又は警告タイプ122)、位置112、及び/又は進行方向114は、1個又は複数の動作-たとえば、緊急対応車両に関する現場のルール又は慣習に従うための-を実行するために使用され得る。
【0038】
図4を参照すると、図4は、本開示のいくつかの実施例による、緊急対応車両検出のための方法400を示す流れ図である。方法400は、ブロックB402において、複数のマイクロフォンを使用して生成されるオーディオ・データを受信することを含む。たとえば、オーディオ・データ104は、マイクロフォン102-たとえば、マイクロフォン・アレイ202のマイクロフォン102-を使用して生成され得る。
【0039】
プロセス400は、ブロックB406において、スペクトログラムを生成することを含む。たとえば、スペクトログラム・ジェネレータ116は、オーディオ・データ104を使用してスペクトログラム118(又はオーディオ・データからの1個又は複数のオーディオ信号に対応する1個又は複数の周波数のスペクトルの別の表現)を生成することができる。
【0040】
プロセス400は、ブロックB408において、スペクトログラムを表す第1のデータをDNNに適用することを含む。たとえば、スペクトログラム118を表すデータが、DNN120(たとえば、CRNN110A)に適用され得る。
【0041】
プロセス400は、ブロックB410において、DNNの1個又は複数の特徴抽出層を使用して及び第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、第2のデータを計算することを含む。たとえば、GLU126は、スペクトログラム118を表すデータを使用して特徴マップ又は特徴ベクトルを計算するために使用され得る。
【0042】
プロセス400は、ブロックB412において、DNNの1個又は複数のステートフル層を使用して及び第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、第3のデータを計算することを含む。たとえば、GRU134は、GLU126の出力から出力を-たとえば、1個又は複数の付加的層、たとえば、層128、130、及び/又は132、によって処理する前又は後に-計算することができる。
【0043】
プロセス400は、ブロックB414において、DNNの1個又は複数のアテンション層を使用して及び第3のデータに少なくとも部分的に基づいて、複数の警告タイプの確率を表す第4のデータを計算することを含む。たとえば、DNN120の緻密層140が、複数の警告タイプ122の確率を示す出力を計算するために使用され得る。
【0044】
方法400は、ブロックB416において、確率に少なくとも部分的に基づいて1個又は複数の動作を実行することを含む。たとえば、緊急対応車両のタイプ(及び/又は警告タイプ122)、位置112、及び/又は進行方向114が、1個又は複数の動作を実行するために-たとえば、緊急対応車両に関する現場のルール又は慣習に従うために-使用され得る。
【0045】
例示的自律型車両
図5Aは、本開示のいくつかの実施例による、例示的自律型車両500の図である。自律型車両500(或いは本明細書で「車両500」と称される)は、旅客車両、たとえば、乗用車、トラック、バス、ファースト・レスポンダ車両、シャトル、電気又は原動機付自転車、オートバイ、消防車、警察車両、救急車、ボート、建設車両、潜水艦、ドローン、及び/又は別のタイプの車両(たとえば、無人の及び/又は1人若しくは複数の乗客を乗せた)、を含み得るが、これらに限定されない。自律型車両は、一般に、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA:National Highway Traffic Safety Administration)、米国運輸省の部署、及び自動車技術者協会(SAE:Society of Automotive Engineers)「Taxonomy and Definitions for Terms Related to Driving Automation Systems for On-Road Motor Vehicle」(2018年6月15日に公開された規格番号J3016-201806、2016年9月30日に公開された規格番号J3016-201609、及びこの規格の前の及び未来のバージョン)によって定義される、自動化レベルに関して記述される。車両500は、自律運転レベルのレベル3~レベル5のうちの1つ又は複数による機能の能力を有し得る。たとえば、車両500は、実施例に応じて、条件付き自動化(レベル3)、高度自動化(レベル4)、及び/又は完全自動化(レベル5)の能力を有し得る。
【0046】
車両500は、車両のシャシ、車体、車輪(たとえば、2、4、6、8、18など)、タイヤ、車軸、及び他の構成要素などの構成要素を含み得る。車両500は、内部燃焼エンジン、ハイブリッド動力装置、完全な電気式エンジン、及び/又は別の推進システム・タイプなど、推進システム550を含み得る。推進システム550は、車両500の推進力を有効にするために、トランスミッションを含み得る、車両500のドライブ・トレインに接続され得る。推進システム550は、スロットル/加速装置552からの信号の受信に応答して制御され得る。
【0047】
ハンドルを含み得る、ステアリング・システム554は、推進システム550が動作しているときに(たとえば、車両が移動中のときに)車両500のかじを取る(たとえば、所望の進路又はルートに沿って)ために使用され得る。ステアリング・システム554は、ステアリング・アクチュエータ556から信号を受信することができる。ハンドルは、完全自動化(レベル5)機能のオプションでもよい。
【0048】
ブレーキ・センサ・システム546は、ブレーキ・アクチュエータ548及び/又はブレーキ・センサからの信号の受信に応答して車両ブレーキを動作させるために使用され得る。
【0049】
1つ又は複数のシステム・オン・チップ(SoC:system on Chip)504(図5C)及び/又はGPUを含み得る、コントローラ536は、車両500の1つ若しくは複数の構成要素及び/又はシステムに信号(たとえば、コマンドの表現)を提供することができる。たとえば、コントローラは、1つ又は複数のブレーキ・アクチュエータ548を介して車両ブレーキを動作させて、1つ又は複数のステアリング・アクチュエータ556を介してステアリング・システム554を動作させて、1つ又は複数のスロットル/加速装置552を介して推進システム550を動作させるために、信号を送ることができる。コントローラ536は、センサ信号を処理する、並びに律的運転を可能にするために及び/又は運転者の車両500の運転を支援するために動作コマンド(たとえば、コマンドを表す信号)を出力する、1つ又は複数の搭載された(たとえば、統合された)計算デバイス(たとえば、スーパーコンピュータ)を含み得る。コントローラ536は、自律運転機能のための第1のコントローラ536、機能的安全性機能のための第2のコントローラ536、人工知能機能(たとえば、コンピュータ・ビジョン)のための第3のコントローラ536、インフォテインメント機能のための第4のコントローラ536、緊急状態における冗長性のための第5のコントローラ536、及び/又は他のコントローラを含み得る。いくつかの実例では、単一のコントローラ536が、前述の機能のうちの2個以上を処理することができ、2個以上のコントローラ536が、単一の機能、及び/又はその任意の組合せを処理することができる。
【0050】
コントローラ536は、1つ又は複数のセンサから受信したセンサ・データ(たとえば、センサ入力)に応答して車両500の1つ若しくは複数の構成要素及び/又はシステムを制御するための信号を提供することができる。センサ・データは、たとえば、そして制限なしに、全地球的航法衛星システム・センサ558(たとえば、グローバル・ポジショニング・システム・センサ)、RADARセンサ560、超音波センサ562、LIDARセンサ564、慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)センサ566(たとえば、加速度計、ジャイロスコープ、磁気コンパス、磁力計など)、マイクロフォン596、ステレオ・カメラ568、ワイドビュー・カメラ570(たとえば、魚眼カメラ)、赤外線カメラ572、サラウンド・カメラ574(たとえば、360度カメラ)、長距離及び/又は中距離カメラ598、スピード・センサ544(たとえば、車両500のスピードを測定するための)、振動センサ542、ステアリング・センサ540、ブレーキ・センサ(たとえば、ブレーキ・センサ・システム546の一部としての)、及び/又は他のセンサ・タイプから受信され得る。
【0051】
コントローラ536のうちの1つ又は複数のコントローラは、車両500の計器群532から入力(たとえば、入力データによって表される)を受信し、出力(たとえば、出力データ、表示データなどによって表される)をヒューマン・マシン・インターフェース(HMI:human-machine interface)ディスプレイ534、可聴式アナンシエータ、ラウドスピーカ、及び/又は車両500の他の構成要素を介して提供することができる。出力は、車両ベロシティ、スピード、時間、マップ・データ(たとえば、図5CのHDマップ522)、位置データ(たとえば、マップ上などの、車両の500の位置)、方向、他の車両の位置(たとえば、占有グリッド)、コントローラ536によって把握されるものとしての物体及び物体の状況に関する情報などの、情報を含み得る。たとえば、HMIディスプレイ534は、1つ又は複数の物体(たとえば、道路標識、警告標識、交通信号の変化など)の存在、及び/又は車両が行った、行っている、又は行うであろう運転操作(たとえば、今、車線変更をしていること、3.22km(2マイル)内の出口34Bを出ることなど)に関する情報を表示することができる。
【0052】
車両500はさらに、1つ若しくは複数のワイヤレス・アンテナ526及び/又はモデムを使用して1つ若しくは複数のネットワークを介して通信することができるネットワーク・インターフェース524を含む。たとえば、ネットワーク・インターフェース524は、LTE、WCDMA(登録商標)、UMTS、GSM、CDMA2000などを介する通信の能力を有し得る。ワイヤレス・アンテナ526はまた、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、Z-Wave、ZigBeeなどのローカル・エリア・ネットワーク、及び/又はLoRaWAN、SigFoxなどのロー・パワー・ワイドエリア・ネットワーク(LPWAN:low power wide-area network)を使用し、環境内の物体(たとえば、車両、モバイル・デバイスなど)の間の通信を可能にすることができる。
【0053】
図5Bは、本開示のいくつかの実施例による、図5Aの例示的自律型車両500のカメラ位置及び視野の実例である。カメラ及びそれぞれの視野は、1つの例示的実施例であり、制限することは意図されていない。たとえば、追加の及び/又は代替カメラが含まれ得る、及び/又はカメラは車両500の異なる位置に置かれ得る。
【0054】
カメラのカメラ・タイプは、車両500の構成要素及び/又はシステムと使用するようになされ得るデジタル・カメラを含み得るが、これに限定されない。カメラは、自動車安全整合性レベル(ASIL:automotive safety integrity level)Bにおいて及び/又は別のASILにおいて動作することができる。カメラ・タイプは、実施例に応じて、60フレーム/秒(fps)、120fps、240fpsなど、任意の画像キャプチャ・レートの能力を有し得る。カメラは、ロール・シャッタ、グローバル・シャッタ、別のタイプのシャッタ、又はその組合せを使用する能力を有し得る。いくつかの実例では、カラー・フィルタ・アレイは、RCCC(red clear clear clear)カラー・フィルタ・アレイ、RCCB(red clear clear blue)カラー・フィルタ・アレイ、RBGC(red blue green clear)カラー・フィルタ・アレイ、Foveon X3カラー・フィルタ・アレイ、Bayerセンサ(RGGB)カラー・フィルタ・アレイ、モノクロ・センサ・カラー・フィルタ・アレイ、及び/又は別のタイプのカラー・フィルタ・アレイを含み得る。一部の実施例では、RCCC、RCCB、及び/又はRBGCカラー・フィルタ・アレイを有するカメラなどのクリア画素カメラは、光感度を上げるための取り組みにおいて使用され得る。
【0055】
いくつかの実例では、カメラのうちの1つ又は複数が、高度運転者支援システム(ADAS:advanced driver assistance system)機能(たとえば、冗長又はフェイルセーフ設計の一部として)を実行するために使用され得る。たとえば、多機能モノ・カメラは、車線逸脱警報、交通標識アシスト及びインテリジェント・ヘッドランプ制御を含む機能を提供するために設置され得る。カメラのうちの1つ又は複数(たとえば、すべてのカメラ)が、画像データ(たとえば、ビデオ)を同時に記録及び提供することができる。
【0056】
カメラのうちの1つ又は複数は、カメラの画像データ・キャプチャ能力を妨げることがある自動車内からの迷光及び反射(たとえば、フロントガラスのミラーにおいて反射されたダッシュボードからの反射)を取り除くために、カスタム設計された(3D印刷された)部品などの取付部品において取り付けられ得る。サイドミラー取付部品を参照すると、サイドミラー部品は、カメラ取付板がサイドミラーの形状に合うように、カスタム3D印刷され得る。いくつかの実例では、カメラは、サイドミラー内に統合され得る。サイドビュー・カメラについては、カメラはまた、キャビンの各角にある4個の支柱内に統合され得る。
【0057】
車両500の前の環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、前向きのカメラ)は、前向きの進路及び障害物の識別を助け、1つ若しくは複数のコントローラ536及び/又は制御SoCの助けにより、占有グリッドの生成及び/又は好ましい車両進路の決定に不可欠な情報の提供の提供を助けるための、サラウンド・ビューのために使用され得る。前向きのカメラは、緊急ブレーキ、歩行者検出、及び衝突回避を含む、LIDARと同じADAS機能の多くを実行するために使用され得る。前向きのカメラはまた、車線逸脱警報(「LDW(Lane Departure Warning)」)、自律的クルーズ制御(「ACC(Autonomous Cruise Control)」)、及び/又は交通標識認識などの他の機能を含むADAS機能及びシステムのために使用され得る。
【0058】
様々なカメラが、たとえば、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)カラー画像化装置を含む単眼カメラ・プラットフォームを含む、前向きの構成において使用され得る。別の実例は、周辺(たとえば、歩行者、交差する交通又は自転車)からのビューに入る物体を把握するために使用され得るワイドビュー・カメラ570でもよい。図5Bにはワイドビュー・カメラは1つだけ示されているが、車両500には任意の数のワイドビュー・カメラ570が存在し得る。加えて、長距離カメラ598(たとえば、ロングビュー・ステレオ・カメラ・ペア)が、特に、ニューラル・ネットワークがまだトレーニングされていない物体について、深度ベースの物体検出のために使用され得る。長距離カメラ598はまた、物体検出及び分類、並びに基本物体追跡のために使用され得る。
【0059】
1つ又は複数のステレオ・カメラ568もまた、前向きの構成に含まれ得る。ステレオ・カメラ568は、単一のチップ上に統合されたCAN又はイーサネット(登録商標)・インターフェースを有するプログラマブル論理(FPGA)及びマルチコア・マイクロプロセッサを提供し得る、拡張可能な処理ユニットを備えた統合された制御ユニットを含み得る。そのようなユニットは、画像内のすべてのポイントの距離推定値を含む、車両の環境の3Dマップを生成するために使用され得る。代替ステレオ・カメラ568は、2個のカメラ・レンズ(左と右に1つずつ)と、車両から対象物体までの距離を測定する及び生成された情報(たとえば、メタデータ)を使用して自律的緊急ブレーキ及び車線逸脱警報機能をアクティブにすることができる画像処理チップとを含み得る、コンパクト・ステレオ・ビジョン・センサを含み得る。他のタイプのステレオ・カメラ568が、本明細書に記載のものに加えて、又はそれらの代わりに、使用されてもよい。
【0060】
車両500の側面に対する環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、サイドビュー・カメラ)が、占有グリッドを作成及び更新するために並びに側面衝撃衝突警報を生成するために使用される情報を提供する、サラウンド・ビューのために使用され得る。たとえば、サラウンド・カメラ574(たとえば、図5Bに示されるような4個のサラウンド・カメラ574)は、車両500上に位置付けられ得る。サラウンド・カメラ574は、ワイドビュー・カメラ570、魚眼カメラ、360度カメラ、及び/又は同類のものを含み得る。たとえば、4個の魚眼カメラが、車両の前、後ろ、及び側面に配置され得る。代替配置において、車両は、3個のサラウンド・カメラ574(たとえば、左、右、及び後部)を使用してもよく、第4のサラウンド・ビュー・カメラとして1つ又は複数の他のカメラ(たとえば、前向きのカメラ)を活用してもよい。
【0061】
車両500の後ろに対する環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、後方確認カメラ)が、駐車支援、サラウンド・ビュー、後部衝突警報、並びに占有グリッドの作成及び更新のために使用され得る。本明細書に記載のように、前向きのカメラ(たとえば、長距離及び/又は中距離カメラ598、ステレオ・カメラ568)、赤外線カメラ572など)としても適したカメラを含むがこれらに限定されない、多種多様なカメラが使用され得る。
【0062】
図5Cは、本開示のいくつかの実施例による、図5Aの例示的自律型車両500の例示的システム・アーキテクチャのブロック図である。本明細書に記載されているこの及び他の配置は単に実例として説明されていることを理解されたい。他の配置及び要素(たとえば、マシン、インターフェース、機能、順番、機能のグループ分けなど)が、示されたものに加えて又はこれらに代わって使用されてもよく、いくつかの要素はともに除外されてもよい。さらに、本明細書に記載の要素の多くは、個別の又は分散された構成要素として又は他の構成要素と併せて、並びに任意の適切な組合せ及び場所において、実装され得る機能エンティティである。エンティティによって実行されるものとして本明細書に記載された様々な機能は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって実施され得る。たとえば、様々な機能が、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって実施され得る。
【0063】
図5Cの車両500の構成要素、特徴、及びシステムのそれぞれは、バス502を介して接続されるものとして図示されている。バス502は、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)データ・インターフェース(或いは、「CANバス」と称される)を含み得る。CANは、ブレーキ、加速度、ブレーキ、ステアリング、フロントガラス・ワイパなどの作動など、車両500の様々な特徴及び機能の制御を助けるために使用される車両500内のネットワークでもよい。CANバスは、それぞれが独自の一意の識別子(たとえば、CAN ID)を有する、数ダース又は数百ものノードを有するように構成され得る。CANバスは、ハンドル角度、対地速度、1分間のエンジン回転(RPM:revolutions per minute)、ボタン位置、及び/又は他の車両状況指標を見つけるために読み取られ得る。CANバスは、ASIL B準拠でもよい。
【0064】
バス502は、CANバスであるものとして本明細書に記載されているが、これは制限することを意図されていない。たとえば、CANバスに加えて、又はこのその代替として、FlexRay及び/又はイーサネット(登録商標)が使用されてもよい。加えて、単一の線が、バス502を表すために使用されているが、これは制限することを意図されていない。たとえば、1つ若しくは複数のCANバス、1つ若しくは複数のFlexRayバス、1つ若しくは複数のイーサネット(登録商標)・バス、及び/又は異なるプロトコルを使用する1つ若しくは複数の他のタイプのバスを含み得る、任意の数のバス502が存在し得る。いくつかの実例では、2個以上のバス502が、異なる機能を実行するために使用され得る、及び/又は冗長性のために使用され得る。たとえば、第1のバス502は衝突回避機能のために使用されてもよく、第2のバス502は作動制御のために使用されてもよい。任意の実例において、各バス502は、車両500の構成要素のいずれかと通信し得、2個以上のバス502が同じ構成要素と通信し得る。いくつかの実例では、車両内の各SoC504、各コントローラ536、及び/又は各コンピュータは、同じ入力データ(たとえば、車両500のセンサからの入力)へのアクセスを有し得、CANバスなどの共通バスに接続され得る。
【0065】
車両500は、図5Aに関して本明細書で説明されるものなど、1つ又は複数のコントローラ536を含み得る。コントローラ536は、様々な機能のために使用され得る。コントローラ536は、車両500の様々な他の構成要素及びシステムのいずれかに連結されてもよく、車両500、車両500の人工知能、車両500のためのインフォテインメント、及び/又は同類のものの制御のために使用され得る。
【0066】
車両500は、システム・オン・チップ(SoC)504を含み得る。SoC504は、CPU506、GPU508、プロセッサ510、キャッシュ512、加速装置514、データ・ストア516、及び/又は図示されていない他の構成要素及び特徴を含み得る。SoC504は、様々なプラットフォーム及びシステム内の車両500を制御するために使用され得る。たとえば、SoC504は、1つ又は複数のサーバ(たとえば、図5Dのサーバ578)からネットワーク・インターフェース524を介してマップのリフレッシュ及び/又は更新を取得することができるHDマップ522を有するシステム(たとえば、車両500のシステム)において結合され得る。
【0067】
CPU506は、CPUクラスタ又はCPU複合体(或いは、「CCPLEX」とも称される)を含み得る。CPU506は、複数のコア及び/又はL2キャッシュを含み得る。たとえば、一部の実施例では、CPU506は、コヒーレント・マルチプロセッサ構成内の8個のコアを含み得る。一部の実施例では、CPU506は、4個のデュアルコア・クラスタを含むことができ、各クラスタが専用のL2キャッシュ(たとえば、2MBL2キャッシュ)を有する。CPU506(たとえば、CCPLEX)は、CPU506のクラスタの任意の組合せが任意の所与の時間にアクティブになることを可能にする同時クラスタ動作をサポートするように構成され得る。
【0068】
CPU506は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む電力管理能力を実装することができる:個別ハードウェア・ブロックが、動的電力を節約するためにアイドル状態のときに自動的にクロック・ゲーティングされ得る、各コア・クロックは、WFI/WFE命令の実行により命令をコアがアクティブに実行していないときにゲーティングされ得る、各コアは、独立してパワー・ゲーティングされ得る、各コア・クラスタは、すべてのコアがクロック・ゲーティングされる若しくはパワー・ゲーティングされるときに、独立してクロック・ゲーティングされ得る、及び/又は、各コア・クラスタは、すべてのコアがパワー・ゲーティングされるときに、独立してパワー・ゲーティングされ得る。CPU506は、電力状態を管理するための強化されたアルゴリズムをさらに実装することができ、そこでは、許容される電力状態及び予想されるウェイクアップ時間が指定され、ハードウェア/マイクロ・コードが、コア、クラスタ、及びCCPLEXに入力するための最良の電力状態を決定する。処理コアは、作業がマイクロ・コードにオフロードされたソフトウェアにおける簡略化された電力状態入力シーケンスをサポートすることができる。
【0069】
GPU508は、統合されたGPU(或いは本明細書において「iGPU」と称される)を含み得る。GPU508は、プログラマブルになり得、並行のワークロードに効率的になり得る。一部の実例では、GPU508は、強化されたテンソル命令セットを使用することができる。GPU508は、1つ又は複数のストリーミング・マイクロプロセッサを含み得、そこで、各ストリーミング・マイクロプロセッサは、L1キャッシュ(たとえば、少なくとも96KB記憶容量を有するL1キャッシュ)を含み得、ストリーミング・マイクロプロセッサのうちの2個以上が、キャッシュ(たとえば、512KB記憶容量を有するL2キャッシュ)を共用し得る。一部の実施例では、GPU508は、少なくとも8個のストリーミング・マイクロプロセッサを含み得る。GPU508は、計算アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用することができる。加えて、GPU508は、1つ若しくは複数の並行のコンピューティング・プラットフォーム及び/又はプログラミング・モデル(たとえば、NVIDIAのCUDA)を使用することができる。
【0070】
GPU508は、自動車の及び組み込まれた使用事例における最高のパフォーマンスのために電力最適化され得る。たとえば、GPU508は、FinFET(Fin field-effect transistor)上に製造され得る。しかしながら、これは制限することを意図されておらず、GPU508は、他の半導体製造プロセスを使用し、製造され得る。各ストリーミング・マイクロプロセッサは、複数のブロックに区切られたいくつかの混合精度処理コアを組み込むことができる。限定ではなく、たとえば、64 PF32コア及び32 PF64コアは、4個の処理ブロックに区切られてもよい。そのような実例では、各処理ブロックは、16 FP32コア、8 FP64コア、16 INT32コア、深層学習行列演算のための2個の混合精度NVIDIAテンソル・コア、L0命令キャッシュ、ワープ・スケジューラ、発送ユニット、及び/又は64KBレジスタ・ファイルを割り当てられ得る。加えて、ストリーミング・マイクロプロセッサは、計算及びアドレス指定演算の混合を有するワークロードの効率的な実行を提供するための独立した並行の整数及び浮動小数点データ進路を含み得る。ストリーミング・マイクロプロセッサは、並行スレッドの間のより高い細粒度の同期及び連携を可能にするために、独立したスレッド・スケジューリング能力を含み得る。ストリーミング・マイクロプロセッサは、プログラミングを単純化しつつ性能を向上させるために、結合されたL1データ・キャッシュ及び共用メモリ・ユニットを含み得る。
【0071】
GPU508は、一部の実例では、900GB/秒のピーク・メモリ帯域幅に関して、提供するための高帯域幅メモリ(HBM:high bandwidth memory)及び/又は16GBHBM2メモリ・サブシステムを含み得る。いくつかの実例では、HBMメモリに加えて、又はこれの代わりに、グラフィックス・ダブル・データ・レート・タイプ5同期ランダム・アクセス・メモリ(GDDR5:graphics double data rate type five synchronous random-access memory)などの同期グラフィックス・ランダム・アクセス・メモリ(SGRAM:synchronous graphics random-access memory)が使用され得る。
【0072】
GPU508は、メモリ・ページに最も頻繁にアクセスするプロセッサへのそれらのメモリ・ページのより正確な移動を可能にするためにアクセス・カウンタを含む統一されたメモリ技術を含むことができ、それにより、プロセッサ間で共用される記憶範囲の効率を向上させる。いくつかの実例では、アドレス変換サービス(ATS:address translation service)サポートが、GPU508がCPU506ページ・テーブルに直接アクセスすることを可能にするために使用され得る。そのような実例では、GPU508メモリ管理ユニット(MMU:memory management unit)がミスを経験するとき、アドレス変換要求が、CPU506に送信され得る。応答して、CPU506は、アドレスの仮想対現実マッピングのためのそのページ・テーブルを調べることができ、GPU508に変換を送り返す。そのようなものとして、統一されたメモリ技術は、CPU506とGPU508との両方のメモリの単一統一仮想アドレス空間を可能にすることができ、それによりGPU508へのアプリケーションのGPU508プログラミング及び移植を単純化する。
【0073】
加えて、GPU508は、他のプロセッサのメモリへのGPU508のアクセスの頻度を記録することができるアクセス・カウンタを含み得る。アクセス・カウンタは、メモリ・ページが最も頻繁にそのページにアクセスしているプロセッサの物理メモリに移動されることを確実にするのを助けることができる。
【0074】
SoC504は、本明細書に記載のものを含む任意の数のキャッシュ512を含み得る。たとえば、キャッシュ512は、CPU506とGPU508との両方に利用可能な(たとえば、CPU506とGPU508との両方に接続された)L3キャッシュを含み得る。キャッシュ512は、キャッシュ・コヒーレンス・プロトコル(たとえば、MEI、MESI、MSIなど)を使用することなどによって、線の状態を記録することができるライトバック・キャッシュを含み得る。L3キャッシュは、より小さいキャッシュ・サイズが使用されてもよいが、実施例に応じて、4MB以上を含み得る。
【0075】
SoC504は、車両500の様々なタスク又は動作のいずれか(たとえば、処理DNN)に関して処理を実行する際に活用され得る論理演算ユニット(ALU:arithmetic logic unit)を含み得る。加えて、SoC504は、システム内で数学演算を実行するための浮動小数点演算ユニット(FPU:floating point unit)(又は他のマス・コプロセッサ又は数値演算コプロセッサ・タイプ)を含み得る。たとえば、SoC104は、CPU506及び/又はGPU508内の実行ユニットとして統合された1つ又は複数のFPUを含み得る。
【0076】
SoC504は、1つ又は複数の加速装置514(たとえば、ハードウェア・加速装置、ソフトウェア・加速装置、又はその組合せ)を含み得る。たとえば、SoC504は、最適化されたハードウェア加速装置及び/又は大きなオンチップ・メモリを含み得る、ハードウェア加速クラスタを含み得る。大きなオンチップメモリ(たとえば、4MBのSRAM)は、ハードウェア加速クラスタがニューラル・ネットワーク及び他の演算を加速することを可能にし得る。ハードウェア加速クラスタは、GPU508を補完するために及びGPU508のタスクの一部をオフロードするために(たとえば、他のタスクを実行するためのGPU508のより多くのサイクルを解放するために)使用され得る。一実例として、加速装置514は、加速に適するように十分に安定している対象ワークロード(たとえば、知覚、畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN:convolutional neural network)など)のために使用され得る。本明細書では、「CNN」という用語は、領域ベースの又は領域的畳み込みニューラル・ネットワーク(RCNN:regional convolutional neural network)及び高速RCNN(たとえば、物体検出のために使用されるものとしての)を含む、すべてのタイプのCNNを含み得る。
【0077】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、深層学習加速装置(DLA:deep learning accelerator)を含み得る。DLAは、深層学習アプリケーション及び推論のために1秒あたり追加の10兆の動作を提供するように構成することができる1つ又は複数のテンソル処理ユニット(TPU:Tensor processing unit)を含み得る。TPUは、画像処理機能(たとえば、CNN、RCNNなどの)を実行するように構成及び最適化された加速装置でもよい。DLAはさらに、特定のセットのニューラル・ネットワーク・タイプ及び浮動小数点演算、並びに推論のために最適化され得る。DLAの設計は、汎用GPUよりも1ミリメートルあたりより多くのパフォーマンスを提供することができ、CPUのパフォーマンスを大きく超える。TPUは、たとえば、特徴と重みとの両方についてINT8、INT16、及びFP16データ・タイプをサポートする、単一インスタンス畳み込み機能、並びにポストプロセッサ機能を含む、いくつかの機能を実行することができる。
【0078】
DLAは、以下を含むがこれらに限定されない、様々な機能のいずれかのために処理済み又は未処理のデータでニューラル・ネットワーク、特にCNN、を迅速に及び効率的に実行することができる:カメラ・センサからのデータを使用する物体識別及び検出のためのCNN、カメラ・センサからのデータを使用する距離推定のためのCNN、マイクロフォンからのデータを使用する緊急対応車両検出及び識別及び検出のためのCNN、カメラ・センサからのデータを使用する顔認識及び車両所有者識別のためのCNN、及び/又は、セキュリティ及び/又は安全性関連イベントのためのCNN。
【0079】
DLAは、GPU508の任意の機能を実行することができ、そして、推論加速装置を使用することによって、たとえば、設計者は、任意の機能のためにDLA又はGPU508のいずれかを対象にすることができる。たとえば、設計者は、DLA上のCNN及び浮動小数点演算の処理に重点的に取り組み、他の機能をGPU508及び/又は他の加速装置514に任せることができる。
【0080】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、或いはコンピュータ・ビジョン加速装置と本明細書で称され得るプログラマブル・ビジョン加速装置(PVA:programmable vision accelerator)を含み得る。PVAは、高度運転者支援システム(ADAS:advanced driver assistance system)、自律運転、及び/又は拡張現実(AR:augmented reality)及び/又は仮想現実(VR:virtual reality)アプリケーションのためのコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを加速するように設計及び構成され得る。PVAは、パフォーマンスと柔軟性との間のバランスをもたらすことができる。たとえば、各PVAは、たとえば、任意の数の縮小命令セット・コンピュータ(RISC:reduced instruction set computer)コア、直接メモリ・アクセス(DMA:direct memory access)、及び/又は任意の数のベクトル・プロセッサを含み得るが、これらに限定されない。
【0081】
RISCコアは、画像センサ(たとえば、本明細書に記載のカメラのうちのいずれかのカメラの画像センサ)、画像信号プロセッサ、及び/又は同類のものと相互作用することができる。それぞれのRISCコアは、任意の量のメモリを含み得る。RISCコアは、実施例に応じて、いくつかのプロトコルのいずれかを使用することができる。いくつかの実例では、RISCコアは、リアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS:real-time operating system)を実行することができる。RISCコアは、1つ若しくは複数の集積回路デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又はメモリ・デバイスを使用して、実装され得る。たとえば、RISCコアは、命令キャッシュ及び/又はしっかりと結合されたRAMを含み得る。
【0082】
DMAは、CPU506から独立したシステム・メモリにPVAの構成要素がアクセスすることを可能にし得る。DMAは、多次元アドレス指定及び/又は循環アドレス指定をサポートすることを含むがこれに限定されないPVAに最適化をもたらすために使用される任意の数の特徴をサポートすることができる。いくつかの実例では、DMAは、ブロック幅、ブロック高さ、ブロック深度、水平ブロック・ステッピング、垂直ブロック・ステッピング、及び/又は深度ステッピングを含み得る、6次元まで又はそれ以上のアドレス指定をサポートすることができる。
【0083】
ベクトル・プロセッサは、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムのプログラミングを効率的に柔軟に実行する及び信号処理能力を提供するように設計され得るプログラマブル・プロセッサでもよい。いくつかの実例では、PVAは、PVAコア及び2個のベクトル処理サブシステム・パーティションを含み得る。PVAコアは、プロセッサ・サブシステム、DMAエンジン(たとえば、2個のDMAエンジン)、及び/又は他の周辺装置を含み得る。ベクトル処理サブシステムは、PVAの1次的処理エンジンとして動作することができ、ベクトル処理ユニット(VPU:vector processing unit)、命令キャッシュ、及び/又はベクトル・メモリ(たとえば、VMEM)を含み得る。VPUコアは、たとえば、単一の命令、複数のデータ(SIMD)、超長命令語(VLIW:very long instruction word)デジタル信号プロセッサなど、デジタル信号プロセッサを含み得る。SIMD及びVLIWの組合せは、スループット及びスピードを高めることができる。
【0084】
それぞれのベクトル・プロセッサは、命令キャッシュを含み得、専用のメモリに連結され得る。結果として、一部の実例では、それぞれのベクトル・プロセッサは、他のベクトル・プロセッサから独立して実行するように構成され得る。他の実例において、特定のPVAに含まれるベクトル・プロセッサは、データ並列処理を用いるように構成され得る。たとえば、一部の実施例では、単一のPVAに含まれる複数のベクトル・プロセッサは、同じコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを、しかし画像の異なる領域上で、実行することができる。他の実例において、特定のPVAに含まれるベクトル・プロセッサは、異なるコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを、同じ画像上で、同時に実行することができ、或いは順次画像又は画像の部分で異なるアルゴリズムを実行することさえできる。特に、任意の数のPVAは、ハードウェア加速クラスタに含まれ得、任意の数のベクトル・プロセッサは、それぞれのPVAに含まれ得る。加えて、PVAは、全体的システム安全性を高めるために、追加のエラー訂正コード(ECC:error correcting code)メモリを含み得る。
【0085】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、加速装置514のための高帯域幅、低レイテンシSRAMを提供するための、コンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップ及びSRAMを含み得る。いくつかの実例では、オンチップ・メモリは、たとえば、そして制限ではなく、PVAとDLAとの両方によってアクセス可能でもよい、8個のフィールド構成可能なメモリ・ブロックから成る、少なくとも4MBのSRAMを含み得る。各ペアのメモリ・ブロックは、高度周辺バス(APB:advanced peripheral bus)インターフェース、構成回路、コントローラ、及びマルチプレクサを含み得る。任意のタイプのメモリが、使用され得る。PVA及びDLAは、メモリへの高速アクセスを有するPVA及びDLAを提供するバックボーンを介してメモリにアクセスすることができる。バックボーンは、(たとえば、APBを使用して)PVA及びDLAをメモリに相互接続するコンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップを含み得る。
【0086】
コンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップは、PVAとDLAとの両方が作動可能及び有効信号を提供することを、任意の制御信号/アドレス/データの送信の前に、決定するインターフェースを含み得る。そのようなインターフェースは、制御信号/アドレス/データを送信するための別個のフェーズ及び別個のチャネル、並びに連続的データ転送のためのバーストタイプの通信を提供することができる。このタイプのインターフェースは、ISO26262又はIEC61508規格に従うことができるが、他の規格及びプロトコルが使用されてもよい。
【0087】
いくつかの実例では、SoC504は、特許文献2に記載されるような、リアルタイム・レイトレーシング・ハードウェア加速装置を含み得る。リアルタイム・レイトレーシング・ハードウェア加速装置は、RADAR信号解釈のための、音響伝播合成及び/又は分析のための、SONARシステムのシミュレーションのための、一般波伝播シミュレーションのための、ローカリゼーション及び/又は他の機能を目的とするLIDARデータに対する比較のための、及び/又は他の使用のための、リアルタイム視覚化シミュレーションを生成するために、(たとえば、世界モデル内の)物体の位置及び規模を迅速に効率的に決定するために使用され得る。一部の実施例では、1つ又は複数の木の走査ユニット(TTU:tree traversal unit)が、1つ又は複数のレイトレーシング関連動作を実行するために使用され得る。
【0088】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速装置クラスタ)は、自律運転のための多様な用途を有する。PVAは、ADAS及び自律型車両における極めて重要な処理段階に使用され得るプログラマブル・ビジョン加速装置でもよい。PVAの能力は、低電力及び低レイテンシにおいて、予測可能な処理を必要とするアルゴリズムの領域にふさわしい。言い換えれば、PVAは、低レイテンシ及び低電力とともに予測可能な実行時間を必要とする、小さなデータ集合上でも、半高密度の又は高密度の通常の計算で上手く機能する。それ故に、PVAは、物体検出及び整数計算での動作において効率的であるので、自律型車両のためのプラットフォームとの関連で、PVAは、クラシック・コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを実行するように設計される。
【0089】
たとえば、本技術の1つの実施例によれば、PVAは、コンピュータ・ステレオ・ビジョンを実行するために使用される。半グローバルなマッチングベースのアルゴリズムが、一部の実例では使用され得るが、これは制限することを意図されていない。レベル3~5の自律運転のための多数のアプリケーションは、動き推定/ステレオ・マッチング・オンザフライ(たとえば、SFM(structure from motion)、歩行者認識、レーン検出など)を必要とする。PVAは、2個の単眼カメラからの入力でコンピュータ・ステレオ・ビジョン機能を実行することができる。
【0090】
いくつかの実例では、PVAは、高密度のオプティカル・フローを実行するために使用され得る。処理されたRADARを提供するために未加工のRADARデータを処理する(たとえば、4D高速フーリエ変換を使用して)ことによる。他の実例において、PVAは、たとえば、飛行データの未加工の時間を処理して飛行データの処理済み時間を提供することにより、飛行深度処理の時間に使用される。
【0091】
DLAは、たとえば、各物体検出の信頼性の測定値を出力するニューラル・ネットワークを含む、制御及び運転安全性を強化するために任意のタイプのネットワークを実行するために使用され得る。そのような信頼性値は、確率として、又は他の検出と比較した各検出の相対的「重み」を提供するものとして、解釈され得る。この信頼性値は、どの検出が誤判定検出ではなくて真陽性検出と考えられるべきであるかに関するさらなる決定をシステムが行うことを可能にする。たとえば、システムは、信頼性の閾値を設定し、真陽性検出としての閾値を超える検出のみを考慮することができる。自動非常ブレーキ(AEB:automatic emergency braking)システムにおいて、誤判定検出は、車両に非常ブレーキを自動で実行させることになり、これは明らかに望ましくない。したがって、最も確信のある検出のみが、AEBのトリガとして考えられるべきである。DLAは、信頼性値を退行するニューラル・ネットワークを実行し得る。ニューラル・ネットワークは、境界ボックス次元、(たとえば、別のサブシステムから)取得されたグラウンド・プレーン推定、ニューラル・ネットワーク及び/又は他のセンサ(たとえば、LIDARセンサ564又はRADARセンサ560)から取得された物体の車両500方位、距離、3D位置推定と相関する慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)センサ566出力、その他など、少なくともいくつかのサブセットのパラメータをその入力として受け取ることができる。
【0092】
SoC504は、データ・ストア516(たとえば、メモリ)を含み得る。データ・ストア516は、SoC504のオンチップ・メモリでもよく、GPU及び/又はDLAで実行されることになるニューラル・ネットワークを記憶することができる。いくつかの実例では、データ・ストア516は、冗長性及び安全性のためにニューラル・ネットワークの複数のインスタンスを記憶するのに十分な大きさの容量を有し得る。データ・ストア512は、L2又はL3キャッシュ512を備え得る。データ・ストア516の参照は、本明細書に記載のような、PVA、DLA、及び/又は他の加速装置514に関連するメモリの参照を含み得る。
【0093】
SoC504は、1つ又は複数のプロセッサ510(たとえば、組み込まれたプロセッサ)を含み得る。プロセッサ510は、ブート電力及び管理能力及び関連するセキュリティ施行を処理するための専用のプロセッサ及びサブシステムでもよいブート及び電力管理プロセッサを含み得る。ブート及び電力管理プロセッサは、SoC504ブート・シーケンスの一部でもよく、実行時間電力管理サービスを提供することができる。ブート電力及び管理プロセッサは、クロック及び電圧プログラミング、システム低電力状態移行の支援、SoC504熱及び温度センサの管理、及び/又はSoC504電力状態の管理を提供することができる。各温度センサは、その出力頻度が温度に比例するリング発振器として実装されてもよく、SoC504は、リング発振器を使用してCPU506、GPU508、及び/又は加速装置514の温度を検出することができる。温度が、閾値を超えたと判定された場合、ブート及び電力管理プロセッサは、温度障害ルーティンに入り、SoC504をより低い電力状態に置く及び/又は車両500をショーファーの安全停止モードにする(たとえば、車両500を安全停止させる)ことができる。
【0094】
プロセッサ510は、オーディオ処理エンジンの機能を果たし得る1セットの組み込まれたプロセッサをさらに含み得る。オーディオ処理エンジンは、複数のインターフェースを介するマルチチャネル・オーディオの完全なハードウェア・サポートとオーディオI/Oインターフェースの広く柔軟な範囲とを可能にするオーディオ・サブシステムでもよい。いくつかの実例では、オーディオ処理エンジンは、専用のRAMを有するデジタル信号プロセッサを有する専用のプロセッサ・コアである。
【0095】
プロセッサ510は、低電力センサ管理及びウェイク使用事例をサポートするための必要なハードウェア特徴を提供することができる常時オンのプロセッサ・エンジンをさらに含み得る。常時オンのプロセッサ・エンジンは、プロセッサ・コア、しっかりと結合されたRAM、支援周辺装置(たとえば、タイマ及び割り込みコントローラ)、様々なI/Oコントローラ周辺装置、及びルーティング論理を含み得る。
【0096】
プロセッサ510は、自動車のアプリケーションの安全性管理を処理するために専用のプロセッサ・サブシステムを含む安全性クラスタ・エンジンをさらに含み得る。安全性クラスタ・エンジンは、2個以上のプロセッサ・コア、しっかりと結合されたRAM、サポート周辺装置(たとえば、タイマ、割り込みコントローラなど)、及び/又はルーティング論理を含み得る。安全性モードにおいて、2個以上のコアは、ロックステップ・モードにおいて動作し、それらの動作の間の何らかの差を検出するための比較論理を有する単一のコアとして機能することができる。
【0097】
プロセッサ510は、リアルタイム・カメラ管理を処理するための専用のプロセッサ・サブシステムを含み得るリアルタイム・カメラ・エンジンをさらに含み得る。
【0098】
プロセッサ510は、カメラ処理パイプラインの一部であるハードウェア・エンジンである画像信号プロセッサを含み得る高ダイナミック・レンジ信号プロセッサをさらに含み得る。
【0099】
プロセッサ510は、プレイヤ・ウインドウのための最終的画像を生み出すためにビデオ再生アプリケーションによって必要とされるビデオ処理後機能を実装する処理ブロック(たとえば、マイクロプロセッサに実装された)でもよいビデオ画像合成器を含み得る。ビデオ画像合成器は、ワイドビュー・カメラ570で、サラウンド・カメラ574で、及び/又はキャビン内監視カメラ・センサでレンズ歪み補正を実行することができる。キャビン内監視カメラ・センサは好ましくは、キャビン内イベントを識別し、適切に応答するように構成された、高度SoCの別のインスタンス上で実行するニューラル・ネットワークによって監視される。キャビン内システムは、セルラ・サービスをアクティブにする及び電話をかける、電子メールを書き取らせる、車両の目的地を変更する、車両のインフォテインメント・システム及び設定をアクティブにする又は変更する、或いは音声起動型ウェブ・サーフィンを提供するために、読唇術を実行することができる。ある特定の機能は、自律モードで動作しているときにのみ運転者に利用可能であり、そうでない場合には無効にされる。
【0100】
ビデオ画像合成器は、空間的ノイズ低減及び時間的ノイズ低減の両方のための強化された時間的ノイズ低減を含み得る。たとえば、動きがビデオ内で生じた場合、ノイズ低減は、隣接するフレームによって提供される情報の重みを減らし、空間的情報に適切に重みを加える。画像又は画像の一部が動きを含まない場合、ビデオ画像合成器によって実行される時間的ノイズ低減は、前の画像からの情報を使用して現在の画像におけるノイズを減らすことができる。
【0101】
ビデオ画像合成器はまた、入力ステレオ・レンズ・フレーム上でステレオ・レクティフィケーションを実行するように構成され得る。ビデオ画像合成器はさらに、オペレーティング・システム・デスクトップが使用中であるときにユーザ・インターフェース合成のために使用することができ、GPU508は、新しい表面を連続してレンダリングために必要とされない。GPU508の電源が入れられ、3Dレンダリングをアクティブに行っているときでも、ビデオ画像合成器は、GPU508をオフロードしてパフォーマンス及び反応性を向上させるために使用され得る。
【0102】
SoC504は、カメラからビデオ及び入力を受信するためのモバイル・インダストリ・プロセッサ・インターフェース(MIPI:mobile industry processor interface)カメラ・シリアル・インターフェース、高速インターフェース、及び/又は、カメラ及び関連画素入力機能のために使用され得るビデオ入力ブロックをさらに含み得る。SoC504は、ソフトウェアによって制御され得る、及び特定の役割にコミットされていないI/O信号を受信するために使用され得る、入力/出力コントローラをさらに含み得る。
【0103】
SoC504は、周辺装置、オーディオ・コーデック、電力管理、及び/又は他のデバイスとの通信を可能にするために、広範囲の周辺インターフェースをさらに含み得る。SoC504は、(たとえば、ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク及びイーサネット(登録商標)を介して接続された)カメラからのデータ、センサ(たとえば、イーサネット(登録商標)を介して接続され得るLIDARセンサ564、RADARセンサ560など)、バス502からのデータ(たとえば、車両500のスピード、ハンドル位置など)、(たとえば、イーサネット(登録商標)又はCANバスを介して接続された)GNSSセンサ558からのデータを処理するために使用され得る。SoC504は、独自のDMAエンジンを含み得る及びルーティン・データ管理タスクからCPU506を解放するために使用され得る専用の高性能大容量記憶コントローラをさらに含み得る。
【0104】
SoC504は、自動化レベル3~5に広がる柔軟なアーキテクチャを有する終端間プラットフォームでもよく、それによって、多様性及び冗長性のためにコンピュータ・ビジョン及びADAS技法を活用し、効率的に使用し、深層学習ツールとともに、柔軟な、信頼できる運転ソフトウェア・スタックのためのプラットフォームを提供する、総合的機能的安全性アーキテクチャを提供する。SoC504は、従来のシステムよりも高速で、信頼でき、さらにエネルギ効率がよく、空間効率がよくなり得る。たとえば、加速装置514が、CPU506と結合されるとき、GPU508、及びデータ・ストア516は、レベル3~5の自律型車両のための高速で効率的なプラットフォームを提供することができる。
【0105】
したがって、本技術は、従来のシステムによって達成することができない能力及び機能性をもたらす。たとえば、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムは、多種多様な視覚的データにわたり多種多様な処理アルゴリズムを実行するために、Cプログラミング言語などの高レベルのプログラミング言語を使用して構成され得る、CPUで実行され得る。しかしながら、CPUは、しばしば、たとえば、実行時間及び電力消費に関連するものなど、多数のコンピュータ・ビジョン・アプリケーションの性能要件を満たすことができない。具体的には、多数のCPUは、車両内ADASアプリケーションの要件及び実際のレベル3~5の自律型車両の要件である、リアルタイムでの複合物体検出アルゴリズムを実行することができない。
【0106】
従来のシステムとは対照的に、CPU複合体、GPU複合体、及びハードウェア加速クラスタを提供することによって、本明細書に記載の技術は、複数のニューラル・ネットワークが同時に及び/又は連続して実行されることと、レベル3~5の自律運転機能を可能にするために結果が結合されることとを可能にする。たとえば、DLA又はdGPU(たとえば、GPU520)で実行するCNNは、ニューラル・ネットワークが具体的にトレーニングされていない標識を含む、交通標識をスーパーコンピュータが読み取る及び理解することを可能にする、テキスト及び単語認識を含み得る。DLAは、標識の意味論的理解を識別、解釈、及び提供することと、CPU複合体で実行する進路計画立案モジュールに意味論的理解を渡すこととを行うことができる、ニューラル・ネットワークをさらに含み得る。
【0107】
別の実例として、複数のニューラル・ネットワークは、レベル3、4、又は5の運転に必要とされるように、同時に実行され得る。たとえば、電光とともに、「注意:点滅光は、凍った状態を示す」から成る警告標識は、いくつかのニューラル・ネットワークによって独立して又は集合的に解釈され得る。標識自体は、第1の配備されたニューラル・ネットワーク(たとえば、トレーニングされてあるニューラル・ネットワーク)によって交通標識として識別され得、テキスト「点滅光は、凍った状態を示す」は、点滅光が検出されるときには凍った状態が存在することを車両の進路計画立案ソフトウェア(好ましくはCPU複合体上で実行する)に知らせる、第2の配備されたニューラル・ネットワークによって解釈され得る。点滅光は、点滅光の存在(又は無いこと)を車両の進路計画立案ソフトウェアに知らせ、複数のフレームを介して第3の配備されたニューラル・ネットワークを動作させることによって識別され得る。すべての3個のニューラル・ネットワークは、DLA内及び/又はGPU508上などで、同時に実行することができる。
【0108】
いくつかの実例では、顔認識及び車両所有者識別のためのCNNは、カメラ・センサからのデータを使用して車両500の正規の運転者及び/又は所有者の存在を識別することができる。常時オンのセンサ処理エンジンは、所有者が運転席側のドアに近づくときに車両を解錠する及び明かりをつけるために、並びに、セキュリティ・モードにおいて、所有者が車両を離れるときに車両の動作を停止させるために、使用され得る。このようにして、SoC504は、盗難及び/又は車の乗っ取りに対するセキュリティをもたらす。
【0109】
別の実例では、緊急対応車両検出及び識別のためのCNNは、マイクロフォン596からのデータを使用して緊急対応車両サイレンを検出及び識別することができる。一般分類子を使用してサイレンを検出する及び特徴を手動で抽出する従来のシステムとは対照的に、SoC504は、環境の及び都市の音の分類、並びに視覚的データの分類のためにCNNを使用する。好ましい一実施例では、DLA上で実行するCNNは、(たとえば、ドップラー効果を使用することによって)緊急対応車両の相対的終速度を識別するようにトレーニングされる。CNNはまた、GNSSセンサ558によって識別されるように、車両が稼働しているローカル・エリアに特有の緊急対応車両を識別するようにトレーニングされ得る。それ故に、たとえば、欧州で稼働しているとき、CNNは、欧州のサイレンを検出しようとすることになり、そして、米国にあるとき、CNNは、北米のサイレンのみを識別しようとすることになる。緊急対応車両が検出された後は、制御プログラムが、緊急対応車両が通過するまで、超音波センサ562の支援を受けて、車両を減速する、道の端に停止させる、車両を駐車する、及び/又は車両をアイドリングさせる、緊急対応車両安全性ルーティンを実行するために使用され得る。
【0110】
車両は、高速相互接続(たとえば、PCIe)を介してSoC504に連結され得るCPU518(たとえば、個別のCPU、又はdCPU)を含み得る。CPU518は、たとえば、X86プロセッサを含み得る。CPU518は、たとえば、ADASセンサとSoC504との間の潜在的に不整合の結果を調停すること、及び/又はコントローラ536及び/又はインフォテインメントSoC530の状況及び調子を監視することを含む、様々な機能のいずれかを実行するために使用され得る。
【0111】
車両500は、高速相互接続(たとえば、NVIDIAのNVLINK)を介してSoC504に連結され得るGPU520(たとえば、個別のGPU、又はdGPU)を含み得る。GPU520は、冗長及び/又は異なるニューラル・ネットワークを実行することなどによって、付加的人工知能機能をもたらすことができ、車両500のセンサからの入力(たとえば、センサ・データ)に基づいてニューラル・ネットワークをトレーニング及び/又は更新するために使用され得る。
【0112】
車両500は、1つ又は複数のワイヤレス・アンテナ526(たとえば、セルラ・アンテナ、ブルートゥース(登録商標)・アンテナなど、異なる通信プロトコルのための1つ又は複数のワイヤレス・アンテナ)を含み得るネットワーク・インターフェース524をさらに含み得る。ネットワーク・インターフェース524は、インターネットを介するクラウドとの(たとえば、サーバ578及び/又は他のネットワーク・デバイスとの)、他の車両との、及び/又は計算デバイス(たとえば、乗客のクライアント・デバイス)とのワイヤレス接続を使用可能にするために使用され得る。他の車両と通信するために、直接リンクが2個の車両の間に確立され得る、及び/又は、間接リンクが(たとえば、ネットワークを通じて及びインターネットを介して)確立され得る。直接リンクは、車両対車両通信リンクを使用し、提供され得る。車両対車両通信リンクは、車両500に近接する車両(たとえば、車両500の前の、横の、及び/又は後ろの車両)に関する車両500情報を提供することができる。この機能は、車両500の共同適応クルーズ制御機能の一部でもよい。
【0113】
ネットワーク・インターフェース524は、変調及び復調機能を提供する及びコントローラ536がワイヤレス・ネットワークを介して通信することを可能にする、SoCを含み得る。ネットワーク・インターフェース524は、ベースバンドから無線周波数へのアップコンバージョン、及び無線周波数からベースバンドへのダウンコンバージョンのための無線周波数フロントエンドを含み得る。周波数コンバージョンは、よく知られているプロセスを通して実行することができ、及び/又はスーパーヘテロダイン・プロセスを用いて実行することができる。いくつかの実例では、無線周波数フロントエンド機能は、別個のチップによって提供され得る。ネットワーク・インターフェースは、LTE、WCDMA(登録商標)、UMTS、GSM、CDMA2000、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、Wi-Fi、Z-Wave、ZigBee、LoRaWAN、及び/又は他のワイヤレス・プロトコルを介して通信するためのワイヤレス機能を含み得る。
【0114】
車両500は、チップ外の(たとえば、SoC504外の)ストレージを含み得るデータ・ストア528をさらに含み得る。データ・ストア528は、RAM、SRAM、DRAM、VRAM、フラッシュ、ハードディスク、及び/又は、少なくとも1ビットのデータを記憶することができる他の構成要素及び/又はデバイスを含む、1つ又は複数の記憶素子を含み得る。
【0115】
車両500は、GNSSセンサ558をさらに含み得る。GNSSセンサ558(たとえば、GPS、支援されたGPSセンサ、ディファレンシャルGPS(DGPS)センサなど)は、マッピング、知覚、占有グリッド生成、及び/又は進路計画策定機能を支援する。たとえば、シリアル(RS-232)ブリッジへのイーサネット(登録商標)を有するUSBコネクタを使用するGPSを含むが、これに限定されない、任意の数のGNSSセンサ558が、使用され得る。
【0116】
車両500は、RADARセンサ560をさらに含み得る。RADARセンサ560は、暗闇及び/又は厳しい気象条件においても、長距離車両検出のために車両500によって使用され得る。RADAR機能安全性レベルは、ASIL Bでもよい。一部の実例では、RADARセンサ560は、未加工のデータにアクセスするためのイーサネット(登録商標)へのアクセスを用いて、制御のために及び物体追跡データにアクセスするために(たとえば、RADARセンサ560によって生成されたデータを送信するために)CAN及び/又はバス502を使用することができる。多種多様なRADARセンサ・タイプが、使用され得る。たとえば、そして制限なしに、RADARセンサ560は、前部、後部、及び側部RADAR使用に適し得る。一部の実例では、パルス・ドップラーRADARセンサが使用される。
【0117】
RADARセンサ560は、狭い視野を有する長距離、広い視野を有する短距離、短距離側部カバレッジなど、異なる構成を含み得る。いくつかの実例では、長距離RADARは、適応クルーズ制御機能のために使用され得る。長距離RADARシステムは、250mの範囲内など、2個以上の独立したスキャンによって実現される広い視野を提供することができる。RADARセンサ560は、静的物体と動く物体との区別を助けることができ、緊急ブレーキ・アシスト及び前方衝突警報のためのADASシステムによって使用され得る。長距離RADARセンサは、複数の(たとえば、6つ以上の)固定RADARアンテナと高速CAN、イーサネット(登録商標)、及び/又はFlexRayインターフェースとを有するモノスタティック・マルチモーダルRADARを含み得る。6つのアンテナを有する一実例では、中央の4個のアンテナは、隣接レーン内の交通からの干渉を最小限にして高速で車両500の周囲を記録するように設計された、集束ビーム・パターンを作成し得る。他の2個のアンテナは、視野を広げることができ、車両500のレーンに入る又はこれを去る車両を迅速に検出することを可能にする。
【0118】
一実例として、中距離RADARシステムは、560m(前)又は80m(後)までの範囲、及び42度(前)又は550度(後)までの視野を含み得る。短距離RADARシステムは、後部バンパの両端に設置されるように設計されたRADARセンサを含み得るが、これに限定されない。後部バンパの両端に設置されるとき、そのようなRADARセンサ・システムは、車両の後ろ及び隣の死角を常に監視する2個のビームを作成することができる。
【0119】
短距離RADARシステムは、死角検出及び/又はレーン変更アシストのためにADASシステムにおいて使用され得る。
【0120】
車両500は、超音波センサ562をさらに含み得る。車両500の前部、後部、及び/又は側部に位置付けられ得る、超音波センサ562は、駐車アシストのために及び/又は占有グリッドの作成及び更新のために使用され得る。多種多様な超音波センサ562が使用され得、異なる超音波センサ562が、異なる範囲の検出(たとえば、2.5m、4m)のために使用され得る。超音波センサ562は、ASIL Bの機能的安全性レベルにおいて動作することができる。
【0121】
車両500はLIDARセンサ564を含み得る。LIDARセンサ564は、物体及び歩行者検出、緊急ブレーキ、衝突回避、及び/又は他の機能のために使用され得る。LIDARセンサ564は、機能的安全性レベルASIL Bでもよい。いくつかの実例では、車両500は、(たとえば、ギガビット・イーサネット(登録商標)・スイッチにデータを提供するために)イーサネット(登録商標)を使用することができる複数の(たとえば、2個、4個、6個などの)LIDARセンサ564を含み得る。
【0122】
いくつかの実例では、LIDARセンサ564は、物体及び360度視野のそれらの距離のリストを提供する能力を有し得る。市販のLIDARセンサ564は、たとえば、2cm~3cmの精度を有し、500Mbpsイーサネット(登録商標)接続のサポートを有して、約500mの広告された範囲を有し得る。いくつかの実例では、1つ又は複数の非突出したLIDARセンサ564が、使用され得る。そのような実例では、LIDARセンサ564は、車両500の前部、後部、側部、及び/又は角に組み込まれ得る小さいデバイスとして実装され得る。そのような実例では、LIDARセンサ564は、低反射物体についても200mの範囲を有し、120度水平及び35度垂直視野まで提供することができる。前部に取り付けられたLIDARセンサ564は、45度と135度との間の水平視野向けに構成され得る。
【0123】
いくつかの実例では、3DフラッシュLIDARなどのLIDAR技術もまた使用され得る。3DフラッシュLIDARは、約200mまで車両の周囲を照らすために、送信元としてレーザーのフラッシュを使用する。フラッシュLIDARユニットは、車両から物体までの範囲に順番に対応する、レーザー・パルス走行時間及び各画素上の反射光を記録する、レセプタを含む。フラッシュLIDARは、周囲の高精度の及び歪みのない画像があらゆるレーザー・フラッシュで生成されることを可能にし得る。いくつかの実例では、4個のフラッシュLIDARセンサが、車両500の各側面に1つずつ、配備され得る。利用可能な3DフラッシュLIDARシステムは、送風機以外に動く部分を有さないソリッドステート3Dステアリング・アレイLIDARカメラ(たとえば、非スキャン型LIDARデバイス)を含む。フラッシュLIDARデバイスは、1フレームにつき5ナノ秒クラスI(目に安全な)レーザー・パルスを使用することができ、3D範囲点群及び共記載された強度データの形で反射レーザー光をキャプチャし得る。フラッシュLIDARを使用することによって、また、フラッシュLIDARは、動く部分を有さないソリッドステート・デバイスであるので、LIDARセンサ564は、モーション・ブラー、振動、及び/又は衝撃の影響を受けにくくなり得る。
【0124】
車両は、IMUセンサ566をさらに含み得る。一部の実例では、IMUセンサ566は、車両500の後部車軸の中央に位置付けられ得る。IMUセンサ566は、たとえば、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、磁気コンパス、及び/又は他のセンサ・タイプを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実例では、6軸アプリケーションなどにおいて、IMUセンサ566は、加速度計及びジャイロスコープを含み得るが、9軸アプリケーションにおいて、IMUセンサ566は、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計を含み得る。
【0125】
一部の実施例では、IMUセンサ566は、マイクロ電気機械システム(MEMS:micro-electro-mechanical system)慣性センサ、高感度GPSレシーバ、及び高度カルマン・フィルタリング・アルゴリズムを結合して位置、ベロシティ、及び姿勢の推定値を提供するミニチュア、高性能GPS支援型慣性航行システム(GPS/INS:GPS-Aided Inertial Navigation System)として実装され得る。そのようなものとして、一部の実例では、IMUセンサ566は、GPSからIMUセンサ566までのベロシティの変化を直接観測すること及び関連付けることによって、磁気センサからの入力を必要とせずに進行方向を車両500が推定することを可能にし得る。いくつかの実例では、IMUセンサ566及びGNSSセンサ558は、単一の統合されたユニットにおいて結合され得る。
【0126】
車両は、車両500内及び/又は周囲に置かれたマイクロフォン596を含み得る。マイクロフォン596は、中でも、緊急対応車両検出及び識別のために使用され得る。
【0127】
車両は、ステレオ・カメラ568、ワイドビュー・カメラ570、赤外線カメラ572、サラウンド・カメラ574、長距離及び/又は中距離カメラ598、及び/又は他のカメラ・タイプを含む、任意の数のカメラ・タイプをさらに含み得る。カメラは、車両500の全外面の周りの画像データをキャプチャするために使用され得る。使用されるカメラのタイプは、車両500の実施例及び要件に応じて決まり、任意の組合せのカメラ・タイプが、車両500の周りの必要なカバレッジを実現するために使用され得る。加えて、カメラの数は、実施例に応じて異なり得る。たとえば、車両は、6個のカメラ、7個のカメラ、10個のカメラ、12個のカメラ、及び/又は別の数のカメラを含み得る。カメラは、一実例として、ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク(GMSL:Gigabit Multimedia Serial Link)及び/又はギガビット・イーサネット(登録商標)をサポートし得るが、これに限定されない。それぞれのカメラは、図5A及び図5Bに関連して本明細書においてさらに詳しく説明される。
【0128】
車両500は、振動センサ542をさらに含み得る。振動センサ542は、車軸など、車両の構成要素の振動を測定することができる。たとえば、振動の変化は、道路の表面の変化を示し得る。別の実例では、2個以上の振動センサ542が使用されるとき、振動の差は、道路表面の摩擦又は滑りを判定するために使用され得る(たとえば、振動の差が電力駆動車軸と自由回転車軸との間であるとき)。
【0129】
車両500は、ADASシステム538を含み得る。一部の実例では、ADASシステム538は、SoCを含み得る。ADASシステム538は、自律/適応/自動クルーズ制御(ACC:autonomous/adaptive/automatic cruise control)、共同適応クルーズ制御(CACC:cooperative adaptive cruise control)、前方衝突警報(FCW:forward crash warning)、自動緊急ブレーキ(AEB:automatic emergency braking)、車線逸脱警報(LDW:lane departure warning)、レーン・キープ・アシスト(LKA:lane keep assist)、死角警報(BSW:blind spot warning)、後部交差交通警報(RCTW:rear cross-traffic warning)、衝突警報システム(CWS:collision warning system)、レーン・センタリング(LC:lane centering)、及び/又は他の特徴及び機能を含み得る。
【0130】
ACCシステムは、RADARセンサ560、LIDARセンサ564、及び/又はカメラを使用し得る。ACCシステムは、縦ACC及び/又は横ACCを含み得る。縦ACCは、車両500の直ぐ前の車両までの距離を監視及び制御し、前方の車両からの安全距離を維持するために車両速度を自動的に調整する。横ACCは、距離の保持を実行し、必要なときにレーンを変更するように車両500にアドバイスする。横ACCは、LCA及びCWSなどの他のADASアプリケーションに関連する。
【0131】
CACCは、ワイヤレス・リンクを介して他の車両からネットワーク・インターフェース524及び/又はワイヤレス・アンテナ526を介して、或いは間接的にネットワーク接続を介して(たとえば、インターネットを介して)、受信することができる、他の車両からの情報を使用する。直接リンクは、車両対車両(V2V:vehicle-to-vehicle)通信リンクによって提供され得、一方、間接リンクは、インフラストラクチャ対車両(I2V:infrastructure-to-vehicle)通信リンクでもよい。一般に、V2V通信概念は、直前の車両(たとえば、車両500と同じレーン内にある、車両500の直ぐ前の車両)に関する情報を提供し、一方、I2V通信概念は、さらに前の交通に関する情報を提供する。CACCシステムは、I2V情報ソースとV2V情報ソースとのいずれか又は両方を含み得る。車両500の前方の車両の情報を所与として、CACCは、より高信頼になり得、CACCは、交通の流れをよりスムーズにし、道路の渋滞を減らす可能性を有する。
【0132】
運転者が修正行動を取ることができるように、FCWシステムは、危険を運転者に警告するように設計される。FCWシステムは、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品など、運転者フィードバックに電気的に連結された、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前向きのカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用する。FCWシステムは、音響、視覚的警報、振動及び/又はクイック・ブレーキ・パルスなどの形で、警報を提供することができる。
【0133】
AEBシステムは、別の車両又は他の物体との差し迫った前方衝突を検出し、運転者が指定された時間又は距離パラメータ内に修正行動を取らない場合に、ブレーキを自動的に適用することができる。AEBシステムは、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前向きのカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用することができる。AEBシステムが危険を検出するとき、AEBシステムは通常は、先ず、衝突を回避するための修正行動を取るように運転者に警告し、運転者が修正行動を取らない場合、AEBシステムは、予測される衝突の影響を防ぐ、又は少なくとも軽減するための努力の一環としてブレーキを自動的に適用することができる。AEBシステムは、ダイナミック・ブレーキ・サポート及び/又は衝突切迫ブレーキなどの技法を含み得る。
【0134】
LDWシステムは、ハンドル又はシートの振動など、視覚的、可聴式、及び/又は触覚的警報を提供して、車両500が車線区分線を越えたときに運転者に警告する。LDWシステムは、運転者が、方向指示器を起動することによって、意図的な車線逸脱を指示するときには、起動しない。LDWシステムは、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品など、運転者フィードバックに電気的に連結された、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前側を向いたカメラを使用することができる。
【0135】
LKAシステムは、LDWシステムの変更形態である。LKAシステムは、車両500が車線をはみ出し始めた場合に車両500を修正するためにステアリング入力又はブレーキを提供する。
【0136】
BSWシステムは、自動車の死角において車両の運転者に検出及び警告する。BSWシステムは、合流又はレーンの変更が安全ではないことを指示するために視覚的、可聴式、及び/又は触覚的警告を提供することができる。システムは、運転者が方向指示器を使用するときに、付加的警告を提供することができる。BSWシステムは、運転者フィードバック、たとえば、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品、に電気的に結合された、専用プロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに結合された、後ろ側を向いたカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用することができる。
【0137】
RCTWシステムは、車両500がバックしているときにリアカメラの範囲外で物体が検出されたときに視覚的、可聴式、及び/又は触覚的通知を提供することができる。いくつかのRCTWシステムは、衝突を回避するために車両ブレーキが適用されることを確実にするために、AEBを含む。RCTWシステムは、運転者フィードバック、たとえば、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品、に電気的に結合された、専用プロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに結合された、1つ又は複数の後ろを向いたRADARセンサ560を使用することができる。
【0138】
従来のADASシステムは、運転者に警告し、安全状態が本当に存在するかどうかを運転者が判定し、それに応じて行動することを可能にするので、従来のADASシステムは、通常は壊滅的ではないが、運転者を悩ませている及び気を散らせていることがある誤判定結果を生み出す傾向にあることがあった。しかしながら、自律型車両500では、結果が矛盾する場合には、車両500自体が、1次的コンピュータ又は2次的コンピュータ(たとえば、第1のコントローラ536又は第2のコントローラ536)からの結果を聞き入れるかどうかを決定しなければならない。たとえば、一部の実施例では、ADASシステム538は、知覚情報をバックアップ・コンピュータ合理性モジュールに提供するためのバックアップ及び/又は2次的コンピュータでもよい。バックアップ・コンピュータ合理性モニタは、ハードウェア構成要素で冗長な多様なソフトウェアを実行して、知覚及び動的運転タスクにおいて障害を検出することができる。ADASシステム538からの出力は、監督MCUに提供され得る。1次的コンピュータ及び2次的コンピュータからの出力が矛盾する場合、監督MCUは、安全な動作を確実にするためにその矛盾をどのように調整するかを決定する必要がある。
【0139】
いくつかの実例では、1次的コンピュータは、選択された結果における1次的コンピュータの信頼性を指示する、信頼性スコアを監督MCUに提供するように構成され得る。信頼性スコアが閾値を超えた場合、監督MCUは、2次的コンピュータが矛盾する又は不整合の結果を与えるかどうかにかかわらず、1次的コンピュータの指示に従い得る。信頼性スコアが閾値を満たさない場合、及び1次的及び2次的コンピュータが異なる結果を示す(たとえば、矛盾する)場合、監督MCUは、コンピュータの間で調停して適切な結果を決定することができる。
【0140】
監督MCUは、2次的コンピュータが誤ったアラームを提供する状態を、1次的コンピュータ及び2次的コンピュータからの出力に基づいて、判定するようにトレーニング及び構成されたニューラル・ネットワークを実行するように構成され得る。したがって、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、2次的コンピュータの出力が信頼され得るとき、及びそれが信頼され得ないときを学習することができる。たとえば、2次的コンピュータがRADARベースのFCWシステムであるとき、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、アラームをトリガする下水溝の鉄格子又はマンホールの蓋など、実際には危険ではない金属製の物をいつFCWが識別しているかを学習することができる。同様に、2次的コンピュータがカメラベースのLDWシステムであるとき、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、自転車に乗った人又は歩行者が存在し、車線逸脱が、実際には、最も安全な操作であるときに、LDWを無視することを学習することができる。監督MCU上で実行中のニューラル・ネットワークを含む実施例では、監督MCUは、関連メモリを有するニューラル・ネットワークを実行するのに適したDLA又はGPUのうちの少なくとも1つを含み得る。好ましい実施例において、監督MCUは、SoC504の構成要素を備え得る、及び/又はSoC504の構成要素として含まれ得る。
【0141】
他の実例において、ADASシステム538は、コンピュータ・ビジョンの従来のルールを使用するADAS機能を実行する2次的コンピュータを含み得る。そのようなものとして、2次的コンピュータは、古典的コンピュータ・ビジョン・ルール(if-then)を使用することができ、監督MCU内のニューラル・ネットワークの存在は、信頼性、安全性及び性能を向上させることができる。たとえば、多様な実装形態及び意図的な非同一性は、特にソフトウェア(又はソフトウェア-ハードウェア・インターフェース)機能によって引き起こされる障害に対して、システム全体をよりフォールトトレラントにする。たとえば、1次的コンピュータで実行中のソフトウェア内にソフトウェア・バグ又はエラーが存在し、2次的コンピュータで実行中の同一でないソフトウェア・コードが同じ総合的結果を提供する場合、監督MCUは、総合的結果は正しく、1次的コンピュータ上のソフトウェア又はハードウェア内のバグは重大なエラーを引き起こしていないというより大きな確信を有し得る。
【0142】
いくつかの実例では、ADASシステム538の出力は、1次的コンピュータの知覚ブロック及び/又は1次的コンピュータの動的運転タスク・ブロックに供給され得る。たとえば、ADASシステム538が、直ぐ前の物体が原因で、前方衝突警報を示した場合、知覚ブロックは、物体を識別するときに、この情報を使用することができる。他の実例において、2次的コンピュータは、本明細書に記載のように、トレーニングされ、それ故に誤判定のリスクを減らす、独自のニューラル・ネットワークを有し得る。
【0143】
車両500は、インフォテインメントSoC530(たとえば、車両内のインフォテインメント・システム(IVI:in-vehicle infotainment system))をさらに含み得る。SoCとして図示及び記述されているが、インフォテインメント・システムは、SoCでなくてもよく、2個以上の個別の構成要素を含み得る。インフォテインメントSoC530は、オーディオ(たとえば、音楽、携帯情報端末、ナビゲーション命令、ニュース、無線など)、ビデオ(たとえば、TV、映画、ストリーミングなど)、電話(たとえば、ハンズフリー通話)、ネットワーク接続(たとえば、LTE、Wi-Fiなど)、及び/又は情報サービス(たとえば、ナビゲーション・システム、後方駐車支援、無線データシステム、燃料レベル、総移動距離、ブレーキ燃料レベル、オイル・レベル、ドアを開ける/閉じる、エア・フィルタ情報などの車両関連情報)を車両500に提供するために使用され得るハードウェア及びソフトウェアの組合せを含み得る。たとえば、インフォテインメントSoC530は、無線、ディスク・プレイヤ、ナビゲーション・システム、ビデオ・プレイヤ、USB及びブルートゥース(登録商標)接続、カーピュータ、車内エンターテインメント、Wi-Fi、ハンドル・オーディオ制御装置、ハンズ・フリー音声制御、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD:heads-up display)、HMIディスプレイ534、テレマティックス・デバイス、制御パネル(たとえば、様々な構成要素、特徴、及び/又はシステムを制御する及び/又はこれと相互に作用するための)、及び/又は他の構成要素でもよい。インフォテインメントSoC530は、ADASシステム538からの情報、計画された車両操作などの自律運転情報、軌道、周囲環境情報(たとえば、交差点情報、車両情報、道路情報など)、及び/又は他の情報など、車両のユーザへの情報(たとえば、視覚的及び/又は可聴式の)を提供するためにさらに使用され得る。
【0144】
インフォテインメントSoC530は、GPU機能性を含み得る。インフォテインメントSoC530は、バス502(たとえば、CANバス、イーサネット(登録商標)など)を介して、車両500の他のデバイス、システム、及び/又は構成要素と通信することができる。いくつかの実例では、インフォテインメント・システムのGPUが、1次的コントローラ536(たとえば、車両500の1次的及び/又はバックアップ・コンピュータ)が故障した場合に、いくつかのセルフドライブ機能を実行することができるように、インフォテインメントSoC530は、監督MCUに連結され得る。そのような実例では、インフォテインメントSoC530は、本明細書に記載のように、車両500をショーファーの安全停止モードにすることができる。
【0145】
車両500は、計器群532(たとえば、デジタル・ダッシュ、電子計器群、デジタル計器パネルなど)をさらに含み得る。計器群532は、コントローラ及び/又はスーパーコンピュータ(たとえば、個別のコントローラ又はスーパーコンピュータ)を含み得る。計器群532は、スピードメーター、燃料レベル、油圧、タコメーター、オドメーター、方向指示器、ギアシフト位置インジケータ、シート・ベルト警告灯、パーキングブレーキ警告灯、エンジン故障灯、エアバッグ(SRS)システム情報、照明制御装置、安全システム制御装置、ナビゲーション情報など、1セットの器具類を含み得る。いくつかの実例では、情報は、インフォテインメントSoC530及び計器群532の間で表示及び/又は共有され得る。言い換えれば、計器群532は、インフォテインメントSoC530の一部として含まれてもよく、逆もまた同様である。
【0146】
図5Dは、本開示のいくつかの実施例による、図5Aのクラウドベースのサーバと例示的自律型車両500との間の通信のシステム図である。システム576は、サーバ578、ネットワーク590、及び、車両500を含む車両を含み得る。サーバ578は、複数のGPU584(A)~584(H)(本明細書でGPU584と総称される)、PCIeスイッチ582(A)~582(H)(本明細書でPCIeスイッチ582と総称される)、及び/又はCPU580(A)~580(B)(本明細書でCPU580と総称される)を含み得る。GPU584、CPU580、及びPCIeスイッチは、たとえば、NVIDIAによって開発されたNVLinkインターフェース588及び/又はPCIe接続586などの、これらに限定されない、高速相互接続で相互に接続され得る。いくつかの実例では、GPU584は、NVLink及び/又はNVSwitch SoCを介して接続され、GPU584及びPCIeスイッチ582は、PCIe相互接続を介して接続される。8個のGPU584、2個のCPU580、及び2個のPCIeスイッチが図示されているが、これは制限を意図されていない。実施例に応じて、それぞれのサーバ578は、任意の数のGPU584、CPU580、及び/又はPCIeスイッチを含み得る。たとえば、サーバ578は、それぞれ、8個、16個、32個、及び/又はそれ以上のGPU584を含み得る。
【0147】
サーバ578は、最近開始された道路工事など、予想外の又は変更された道路状態を示す画像を表す画像データを、ネットワーク590を介して、車両から、受信することができる。サーバ578は、ニューラル・ネットワーク592、更新されたニューラル・ネットワーク592、及び/又は、交通及び道路状態に関する情報を含むマップ情報594をネットワーク590を介して車両に送信することができる。マップ情報594の更新は、建設現場、くぼみ、迂回路、洪水、及び/又は他の障害物に関する情報など、HDマップ522の更新を含み得る。いくつかの実例では、ニューラル・ネットワーク592、更新されたニューラル・ネットワーク592、及び/又はマップ情報594は、環境において任意の数の車両から受信されたデータにおいて表された新しいトレーニング及び/又は経験から、及び/又は(たとえば、サーバ578及び/又は他のサーバを使用する)データ・センタにおいて実行されたトレーニングに基づいて、生じた可能性がある。
【0148】
サーバ578は、トレーニング・データに基づいてマシン学習モデル(たとえば、ニューラル・ネットワーク)をトレーニングするために使用され得る。トレーニング・データは、車両によって生成され得る、及び/又は(たとえば、ゲーム・エンジンを使用して)シミュレーションにおいて生成され得る。いくつかの実例では、トレーニング・データは、タグ付けされる(たとえば、ニューラル・ネットワークが、監督された学習の恩恵を受ける場合)及び/又は他の事前処理を受けるが、他の実例において、トレーニング・データは、タグ付け及び/又は事前処理されない(たとえば、ニューラル・ネットワークが、監督された学習を必要としない場合)。トレーニングは、たとえば以下のクラスを含むがこれらに限定されない、任意の1つ又は複数のクラスのマシン学習技法に従って、実行され得る:監視されたトレーニング、半監視されたトレーニング、監視されていないトレーニング、自己学習、強化学習、連合型学習、転移学習、特徴学習(主要構成要素及びクラスタ分析を含む)、マルチ線形部分空間学習、多様体学習、表現学習(予備辞書学習を含む)、ルールに基づくマシン学習、異常検出、及びそれらの変更形態若しくは組合せ。マシン学習モデルがトレーシングされた後は、マシン学習モデルは、車両によって使用され得(たとえば、ネットワーク590を介して車両に送信される)、及び/又は、マシン学習モデルは、車両を遠隔監視するために、サーバ578によって使用され得る。
【0149】
いくつかの実例では、サーバ578は、車両からデータを受信し、リアルタイムのインテリジェント推論のために最新のリアルタイムのニューラル・ネットワークにデータを適用することができる。サーバ578は、NVIDIAによって開発されたDGX及びDGXステーション・マシンなど、GPU584によって電力供給される深層学習スーパーコンピュータ及び/又は専用のAIコンピュータを含み得る。しかしながら、一部の実例では、サーバ578は、CPU電源式データ・センタのみを使用する深層学習インフラストラクチャを含み得る。
【0150】
サーバ578の深層学習インフラストラクチャは、高速のリアルタイム推論の能力を有することでき、その能力を使用して車両500内のプロセッサ、ソフトウェア、及び/又は関連ハードウェアの調子を評価及び検証することができる。たとえば、深層学習インフラストラクチャは、車両500がそのシーケンスの画像内に位置したシーケンスの画像及び/又は物体など、車両500からの定期的更新を受信することができる(たとえば、コンピュータ・ビジョン及び/又は他のマシン学習物体分類技法を介して)。深層学習インフラストラクチャは、物体を識別し、車両500によって識別された物体とそれらを比較するために、独自のニューラル・ネットワークを実行することができ、結果が一致せず、インフラストラクチャが、車両500内のAIは正常に機能していないという結論を下した場合、サーバ578は、制御を推測し、乗客に通知し、安全な駐車操作を完了するように車両500のフェイルセーフ・コンピュータに命じる車両500への信号を送信することができる。
【0151】
推論のために、サーバ578は、GPU584及び1つ又は複数のプログラマブル推論加速装置(たとえば、NVIDIAのTensorRT)を含み得る。GPU電源式サーバ及び推論加速の組合せは、リアルタイムの反応性を可能にすることができる。パフォーマンスがさほど必要とされない場合など、他の実例では、CPU、FPGA、及び他のプロセッサによって電力供給されるサーバが、推論のために使用され得る。
【0152】
例示的計算デバイス
図6は、本開示のいくつかの実施例の実装に使用するのに適した計算デバイス600の一実例のブロック図である。計算デバイス600は、以下のデバイスを間接的に又は直接的につなぐ相互接続システム602を含み得る:メモリ604、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)606、1つ又は複数のグラフィック処理ユニット(GPU)608、通信インターフェース610、入力/出力(I/O)ポート612、入力/出力構成要素614、電力供給装置616、1つ又は複数の提示構成要素618(たとえば、ディスプレイ)、及び1つ又は複数の論理ユニット620。少なくとも1つの実施例において、計算デバイス600は、1つ又は複数の仮想マシン(VM)を含み得る、及び/又は、その構成要素のいずれかは、仮想構成要素(たとえば、仮想ハードウェア構成要素)を含み得る。非限定的実例として、GPU608のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数のvGPUを含み得、CPU606のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数のvCPUを含み得、及び/又は、論理ユニット620のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数の仮想論理ユニットを含み得る。そのようなものとして、計算デバイス600は、個別の構成要素(たとえば、計算デバイス600専用の全GPU)、仮想構成要素(たとえば、計算デバイス600専用のGPUの一部分)、又はその組合せを含み得る。
【0153】
図6の様々なブロックは、線で相互接続システム602を介して接続しているように示されているが、これは制限することを意図されておらず、単に分かりやすくするためである。たとえば、一部の実施例では、表示デバイスなどの提示構成要素618は、I/O構成要素614と考えられ得る(たとえば、ディスプレイがタッチ・スクリーンである場合)。別の実例として、CPU606及び/又はGPU608はメモリを含み得る(たとえば、メモリ604は、GPU608、CPU606、及び/又は他の構成要素のメモリに加えた記憶デバイスを表し得る)。言い換えれば、図6の計算デバイスは、単に例示である。「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「デスクトップ」、「タブレット」、「クライアント・デバイス」、「モバイル・デバイス」、「ハンドヘルド・デバイス」、「ゲーム機」、「電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)」、「仮想現実システム」、及び/又は他のデバイス若しくはシステム・タイプなどのカテゴリはすべて、図6の計算デバイスの範囲内にあることが意図されているので、これらは区別されない。
【0154】
相互接続システム602は、1つ又は複数のリンク又はバス、たとえば、アドレス・バス、データ・バス、制御バス、又はその組合せ、を表し得る。相互接続システム602は、1つ又は複数のバス又はリンク・タイプ、たとえば、業界標準アーキテクチャ(ISA:industry standard architecture)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(EISA:extended industry standard architecture)バス、VESA(video electronics standards association)バス、周辺構成要素相互接続(PCI:peripheral component interconnect)バス、周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCIe:peripheral component interconnect express)バス、及び/又は別のタイプのバス若しくはリンク、を含み得る。一部の実施例では、構成要素の間に直接接続が存在する。一実例として、CPU606は、メモリ604に直接接続され得る。さらに、CPU606は、GPU608に直接接続され得る。構成要素の間に直接、又はポイント対ポイント接続が存在する場合、相互接続システム602は、接続を実施するためのPCIeリンクを含み得る。これらの実例では、PCIバスは、計算デバイス600に含まれる必要はない。
【0155】
メモリ604は、様々なコンピュータ可読媒体のいずれかを含み得る。コンピュータ可読媒体は、計算デバイス600によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体でもよい。コンピュータ可読媒体は、揮発性及び不揮発性媒体の両方、及び取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体を含み得る。例として、しかし限定ではなく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備え得る。
【0156】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラム・モジュール、及び/又は他のデータ・タイプなどの情報の記憶のための任意の方法又は技術において実装された揮発性及び不揮発性媒体及び/又は取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体の両方を含み得る。たとえば、メモリ604は、オペレーティング・システムなど、(たとえば、プログラム及び/又はプログラム要素を表す)コンピュータ可読命令を記憶することができる。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)又は他の光ディスク・ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージ又は他の磁気記憶デバイス、或いは、所望の情報を記憶するために使用し得る及び計算デバイス600によってアクセスし得る任意の他の媒体を含み得るが、これらに限定されない。本明細書では、コンピュータ記憶媒体は、信号自体を含まない。
【0157】
コンピュータ記憶媒体は、搬送波などの変調データ信号又は他の移送機構においてコンピュータ可読命令、データ構造体、プログラム・モジュール、及び/又は他のデータ・タイプを実施することができ、任意の情報配信媒体を含む。「変調データ信号」という用語は、その特性セットのうちの1つ又は複数を有する或いは信号内の情報をエンコードするような方式で変化した信号を指し得る。例として、しかし限定せず、コンピュータ記憶媒体は、ワイヤード・ネットワーク又は直接ワイヤード接続などのワイヤード媒体と、音響、RF、赤外線及び他のワイヤレス媒体などのワイヤレス媒体とを含み得る。前述のいずれかの組合せもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0158】
CPU606は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600の1つ又は複数の構成要素を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。CPU606は、多数のソフトウェア・スレッドを同時に処理する能力を有する1つ又は複数の(たとえば、1個、2個、4個、8個、28個、72個などの)コアをそれぞれ含み得る。CPU606は、任意のタイプのプロセッサを含み得、実装された計算デバイス600のタイプに応じて、異なるタイプのプロセッサを含み得る(たとえば、モバイル・デバイスのためのより少数のコアを有するプロセッサ、及びサーバのためのより多数のコアを有するプロセッサ)。たとえば、計算デバイス600のタイプに応じて、プロセッサは、縮小命令セット計算(RISC:Reduced Instruction Set Computing)を使用して実装されたAdvanced RISC Machines(ARM)プロセッサ、又は複合命令セット計算(CISC:Complex Instruction Set Computing)を使用して実装されたx86プロセッサでもよい。計算デバイス600は、計算コプロセッサなど、1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は補助コプロセッサ内の1つ又は複数のCPU606を含み得る。
【0159】
CPU606に加えて又はその代わりに、GPU608は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600の1つ又は複数の構成要素を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。GPU608のうちの1つ若しくは複数は、統合されたGPU(たとえば、CPU606のうちの1つ又は複数とでもよく、及び/又はGPU608のうちの1つ若しくは複数は、離散GPUでもよい。実施例では、GPU608のうちの1つ又は複数は、CPU606のうちの1つ又は複数のコプロセッサでもよい。GPU608は、グラフィックス(たとえば、3Dグラフィックス)をレンダリングする又は汎用計算を実行するために、計算デバイス600によって使用され得る。たとえば、GPU608は、GPUによる汎用計算(GPGPU:General-Purpose computing on GPU)のために使用され得る。GPU608は、同時に数百又は数千のソフトウェア・スレッドを処理する能力を有する数百又は数千のコアを含み得る。GPU608は、レンダリング・コマンド(たとえば、ホスト・インターフェースを介して受信されたCPU606からのレンダリング・コマンド)に応答して、出力画像のための画素データを生成することができる。GPU608は、画素データ又は任意の他の適切なデータ、たとえばGPGPUデータ、を記憶するためのグラフィックス・メモリ、たとえば表示メモリ、を含み得る。表示メモリは、メモリ604の一部として含まれ得る。GPU608は、並行して動作する(たとえば、リンクを介して)2個以上のGPUを含み得る。リンクは、GPUに直接接続することができ(たとえば、NVLINKを使用して)、又はスイッチを介して(たとえば、NVSwitchを使用して)GPUを接続することができる。ともに結合されるとき、各GPU608は、出力の異なる部分の又は異なる出力の画素データ又はGPGPUデータ(たとえば、第1の画像の第1のGPU及び第2の画像の第2のGPU)を生成することができる。各GPUは、独自のメモリを含むことができ、又は他のGPUとメモリを共有することができる。
【0160】
CPU606及び/又はGPU608に加えて又はその代わりに、論理ユニット620は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600のうちの1つ又は複数を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。実施例では、CPU606、GPU608、及び/又は論理ユニット620は、方法、プロセス及び/又はその部分の任意の組合せを離散的に又は合同で実行することができる。論理ユニット620のうちの1つ若しくは複数は、CPU606及び/若しくはGPU608のうちの1つ若しくは複数の一部でもよく及び/又はそこで統合されてもよく、及び/又は、論理ユニット620のうちの1つ若しくは複数は、CPU606及び/若しくはGPU608に対する離散構成要素であっても若しくは他の方法でそれらの外部にあってもよい。実施例では、論理ユニット620のうちの1つ又は複数は、CPU606のうちの1つ若しくは複数及び/又はGPU608のうちの1つ若しくは複数のコプロセッサでもよい。
【0161】
論理ユニット620の実例は、1つ又は複数の処理コア及び/又はその構成要素、たとえば、テンソル・コア(TC:Tensor Core)、テンソル処理ユニット(TPU:Tensor Processing Unit)、画素ビジュアル・コア(PVC:Pixel Visual Core)、ビジョン処理ユニット(VPU:Vision Processing Unit)、グラフィックス処理クラスタ(GPC:Graphics Processing Cluster)、テクスチャ処理クラスタ(TPC:Texture Processing Cluster)、ストリーミング・マルチプロセッサ(SM:Streaming Multiprocessor)、木の走査ユニット(TTU:Tree Traversal Unit)、人工知能加速装置(AIA:Artificial Intelligence Accelerator)、深層学習加速装置(DLA:Deep Learning Accelerator)、論理演算ユニット(ALU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、浮動小数点演算ユニット(FPU)、入力/出力(I/O)エレメント、周辺構成要素相互接続(PCI)又は周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCIe)エレメント、及び/又は同類のもの、を含む。
【0162】
通信インターフェース610は、ワイヤード及び/又はワイヤレス通信を含む、電子通信ネットワークを介して計算デバイス600が他の計算デバイスと通信することを可能にする、1つ又は複数のレシーバ、トランスミッタ、及び/又はトランシーバを含み得る。通信インターフェース610は、ワイヤレス・ネットワーク(たとえば、Wi-Fi、Z-Wave、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、ZigBeeなど)、ワイヤード・ネットワーク(たとえば、イーサネット(登録商標)又はInfiniBandを介して通信すること)、低電力ワイド・エリア・ネットワーク(たとえば、LoRaWAN、SigFoxなど)、及び/又はインターネットなどの、いくつかの異なるネットワークのうちのいずれかを介する通信を可能にするための構成要素及び機能を含み得る。
【0163】
I/Oポート612は、そのうちのいくつかは計算デバイス600に内蔵(たとえば、統合)され得る、I/O構成要素614、提示構成要素618、及び/又は他の構成要素を含む、他のデバイスに計算デバイス600が論理的に連結されることを可能にすることができる。例示的なI/O構成要素614は、マイクロフォン、マウス、キーボード、ジョイスティック、ゲーム・パッド、ゲーム・コントローラ、サテライト・ディッシュ、スキャナ、プリンタ、ワイヤレス・デバイスなどを含む。I/O構成要素614は、エア・ジェスチャ、音声、又は、ユーザによって生成される他の生理的入力を処理する自然ユーザ・インターフェース(NUI:natural user interface)を提供することができる。場合によっては、入力は、さらなる処理のための適切なネットワーク要素に送信され得る。NUIは、音声認識、スタイラス認識、顔認識、生体認識、画面上での及び画面の隣でのジェスチャ認識、エア・ジェスチャ、頭部及び視標追跡、並びに計算デバイス600のディスプレイに関連するタッチ認識(さらに詳しく後述するような)の任意の組合せを実装し得る。計算デバイス600は、ジェスチャ検出及び認識のための、ステレオスコープ・カメラ・システム、赤外線カメラ・システム、RGBカメラ・システム、タッチ画面技術、及びこれらの組合せなど、深度カメラを含み得る。追加で、計算デバイス600は、動きの検出を可能にする加速度計又はジャイロスコープを含み得る(たとえば、慣性測定ユニット(IMU:inertia measurement unit)の一部として)。いくつかの実例では、加速度計又はジャイロスコープの出力は、没入型拡張現実又は仮想現実をレンダリングするために、計算デバイス600によって使用され得る。
【0164】
電力供給装置616は、ハードワイヤード電力供給装置、バッテリ電力供給装置、又はその組合せを含み得る。電力供給装置616は、計算デバイス600の構成要素が動作することを可能にするために計算デバイス600に電力を提供することができる。
【0165】
提示構成要素618は、ディスプレイ(たとえば、モニタ、タッチ画面、テレビジョン画面、ヘッドアップ表示装置(HUD)、他のディスプレイタイプ、又はその組合せ)、スピーカ、及び/又は他の提示構成要素を含み得る。提示構成要素618は、他の構成要素(たとえば、GPU608、CPU606など)からデータを受信し、データを(たとえば、画像、ビデオ、音響などとして)出力することができる。
【0166】
例示的データ・センタ
図7は、本開示の少なくとも1つの実施例において使用され得る例示的データ・センタ700を示す。データ・センタ700は、データ・センタ・インフラストラクチャ層710、フレームワーク層720、ソフトウェア層730、及び/又はアプリケーション層740を含み得る。
【0167】
図7に示すように、データ・センタ・インフラストラクチャ層710は、資源オーケストレータ712、グループ化された計算資源714、及びノード計算資源(「ノードC.R.」)716(1)~716(N)を含み得、そこで、「N」は、任意の整数の、自然数を表す。少なくとも1つの実施例において、ノードC.R.716(1)~716(N)は、任意の数の中央処理装置(「CPU」)又は他のプロセッサ(加速装置、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、グラフィックス・プロセッサ若しくはグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)などを含む)、メモリ・デバイス(たとえば、動的リード・オンリ・メモリ)、記憶デバイス(たとえば、ソリッドステート若しくはディスク・ドライブ)、ネットワーク入力/出力(「NW I/O」)デバイス、ネットワーク・スイッチ、仮想マシン(「VM」)、電力モジュール、及び/又は冷却モジュールなどを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、ノードC.R.716(1)~716(N)のうちの1つ又は複数のノードC.R.は、前述の計算資源のうちの1つ又は複数を有するサーバに対応し得る。加えて、いくつかの実施例において、ノードC.R.716(1)~7161(N)は、1つ若しくは複数の仮想構成要素、たとえば、vGPU、vCPU、及び/若しくは同類のもの、を含み得る、並びに/又は、ノードC.R.716(1)~716(N)のうちの1つ若しくは複数は、仮想マシン(VM)に対応し得る。
【0168】
少なくとも1つの実施例において、グループ化された計算資源714は、1つ又は複数のラック(図示せず)内に収容された別個のグループのノードC.R.716、或いは様々な地理的場所(やはり図示せず)にあるデータ・センタに収容された多数のラックを含み得る。グループ化された計算資源714内の別個のグループのノードC.R.716は、1つ又は複数のワークロードをサポートするように構成する又は割り当てることができる、グループ化された計算、ネットワーク、メモリ又はストレージ資源を含み得る。少なくとも1つの実施例において、CPU、GPU、及び/又は他のプロセッサを含むいくつかのノードC.R.716は、1つ又は複数のワークロードをサポートするための計算資源を提供するために、1つ又は複数のラック内にグループ化され得る。1つ又は複数のラックはまた、任意の組合せで、任意の数の電力モジュール、冷却モジュール、及び/又はネットワーク・スイッチを含み得る。
【0169】
資源オーケストレータ722は、1つ若しくは複数のノードC.R.716(1)~716(N)及び/又はグループ化された計算資源714を構成又は他の方法で制御することができる。少なくとも1つの実施例において、資源オーケストレータ722は、データ・センタ700のソフトウェア設計インフラストラクチャ(「SDI」)管理エンティティを含み得る。資源オーケストレータ722は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその何らかの組合せを含み得る。
【0170】
少なくとも1つの実施例において、図7に示すように、フレームワーク層720は、ジョブ・スケジューラ732、構成マネージャ734、資源マネージャ736、及び/又は分散型ファイル・システム738を含み得る。フレームワーク層720は、ソフトウェア層730のソフトウェア732及び/又はアプリケーション層740の1つ若しくは複数のアプリケーション742をサポートするためにフレームワークを含み得る。ソフトウェア732又はアプリケーション742は、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーション、たとえば、アマゾン・ウェブ・サービス、グーグル・クラウド及びMicrosoft Azureによって提供されるもの、をそれぞれ含み得る。フレームワーク層720は、大規模データ処理(たとえば、「ビッグ・データ」)のための分散型ファイル・システム738を使用し得るApache Spark(商標)(以下「Spark」)などのフリー及びオープン・ソース・ソフトウェア・ウェブ・アプリケーション・フレームワークのタイプでもよいが、これに限定されない。少なくとも1つの実施例において、ジョブ・スケジューラ732は、データ・センタ700の様々な層によってサポートされるワークロードのスケジューリングを容易にするために、Sparkドライバを含み得る。構成マネージャ734は、異なる層、たとえば、ソフトウェア層730と、大規模データ処理をサポートするためのSpark及び分散型ファイル・システム738を含むフレームワーク層720、を構成する能力を有し得る。資源マネージャ736は、分散型ファイル・システム738及びジョブ・スケジューラ732のサポートのためにマップされた又は割り当てられたクラスタ化された又はグループ化された計算資源を管理する能力を有し得る。少なくとも1つの実施例において、クラスタ化された又はグループ化された計算資源は、データ・センタ・インフラストラクチャ層710にグループ化された計算資源714を含み得る。資源マネージャ1036は、資源オーケストレータ712と調整して、これらのマップされた又は割り当てられた計算資源を管理することができる。
【0171】
少なくとも1つの実施例において、ソフトウェア層730に含まれるソフトウェア732は、ノードC.R.716(1)~716(N)の少なくとも部分、グループ化された計算資源714、及び/又はフレームワーク層720の分散型ファイル・システム738によって使用されるソフトウェアを含み得る。1つ又は複数のタイプのソフトウェアは、インターネット・ウェブ・ページ検索ソフトウェア、電子メール・ウイルス・スキャン・ソフトウェア、データベース・ソフトウェア、及びストリーミング・ビデオ・コンテンツ・ソフトウェアを含み得るが、これらに限定されない。
【0172】
少なくとも1つの実施例において、アプリケーション層740に含まれるアプリケーション742は、ノードC.R.716(1)~716(N)の少なくとも部分、グループ化された計算資源714、及び/又はフレームワーク層720の分散型ファイル・システム738によって使用される1つ又は複数のタイプのアプリケーションを含み得る。1つ又は複数のタイプのアプリケーションは、任意の数のゲノミクス・アプリケーション、認知計算、並びに、トレーニング若しくは推論ソフトウェア、マシン学習フレームワーク・ソフトウェア(たとえば、PyTorch、TensorFlow、Caffeなど)、及び/又は1つ若しくは複数の実施例と併せて使用される他のマシン学習アプリケーションを含む、マシン学習アプリケーションを含み得るが、これらに限定されない。
【0173】
少なくとも1つの実施例において、構成マネージャ734、資源マネージャ736、及び資源オーケストレータ712のうちのいずれかは、任意の技術的に可能な方式で取得される任意の量及びタイプのデータに基づいて任意の数及びタイプの自己書換え型アクションを実装することができる。自己書換え型アクションは、よくない可能性のある構成決定を行うこと並びにデータ・センタの十分に活用されていない及び/又は実行の不十分な部分を恐らく回避することからデータ・センタ700のデータ・センタ・オペレータを解放し得る。
【0174】
データ・センタ700は、1つ又は複数のマシン学習モデルをトレーニングする或いは本明細書に記載の1つ又は複数の実施例による1つ又は複数のマシン学習モデルを使用して情報を予測する又は推論するために、ツール、サービス、ソフトウェア或いは他の資源を含み得る。たとえば、マシン学習モデルは、データ・センタ700に関して前述されたソフトウェア及び/又は計算資源を使用するニューラル・ネットワーク・アーキテクチャによる重量パラメータの計算によって、トレーニングされ得る。少なくとも1つの実施例において、1つ又は複数のニューラル・ネットワークに対応するトレーニングされた又は配備されたマシン学習モデルは、たとえば、本明細書に記載のものに限定されない、1つ又は複数のトレーニング技法を介して計算された重量パラメータを使用することによって、データ・センタ700に関して前述された資源を使用して情報を推論又は予測するために使用され得る。
【0175】
少なくとも1つの実施例において、データ・センタ700は、前述の資源を使用するトレーニング及び/又は推論の実行のために、CPU、特定用途向け集積回路(ASIC)、GPU、FPGA、及び/又は他のハードウェア(若しくはそれに対応する仮想計算資源)を使用することができる。さらに、前述の1つ又は複数のソフトウェア及び/又はハードウェア資源は、情報の推論をユーザがトレーニング又は実行することを可能にするためのサービス、たとえば、画像認識、音声認識、又は他の人工知能サービス、として構成され得る。
【0176】
例示的ネットワーク環境
本開示の実施例の実装において使用するのに適したネットワーク環境は、1つ若しくは複数のクライアント・デバイス、サーバ、ネットワーク接続型ストレージ(NAS:network attached storage)、他のバックエンド・デバイス、及び/又は他のデバイス・タイプを含み得る。クライアント・デバイス、サーバ、及び/又は他のデバイス・タイプ(たとえば、各デバイス)は、図6の計算デバイス600の1つ又は複数のインスタンスで実装され得、たとえば、各デバイスは、計算デバイス600の類似の構成要素、特徴、及び/又は機能性を含み得る。加えて、バックエンド・デバイス(たとえば、サーバ、NASなど)が、実装される場合、バックエンド・デバイスは、データ・センタ700の一部として含まれ得、その実例は、図7に関して本明細書でさらに詳述される。
【0177】
ネットワーク環境の構成要素は、ワイヤード、ワイヤレス、又はその両方でもよい、ネットワークを介して互いに通信し得る。ネットワークは、複数のネットワーク、又はネットワークのネットワークを含み得る。実例として、ネットワークは、1つ若しくは複数のワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、1つ若しくは複数のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、1つ若しくは複数のパブリック・ネットワーク、たとえば、インターネット及び/若しくは公衆交換電話網(PSTN)、並びに/又は1つ若しくは複数のプライベート・ネットワークを含み得る。ネットワークが、ワイヤレス電気通信ネットワークを含む場合、構成要素、たとえば、基地局、通信塔、或いはアクセス・ポイント(並びに他の構成要素)、は、ワイヤレス接続を提供し得る。
【0178】
互換性のあるネットワーク環境は、1つ又は複数のピア・ツー・ピア・ネットワーク環境(その場合、サーバはネットワーク環境に含まれないことがある)と、1つ又は複数のクライアント・サーバ・ネットワーク環境(その場合、1つ又は複数のサーバがネットワーク環境に含まれ得る)とを含み得る。ピア・ツー・ピア・ネットワーク環境では、サーバに関して本明細書に記載した機能性は、任意の数のクライアント・デバイスで実装され得る。
【0179】
少なくとも1つの実施例において、ネットワーク環境は、1つ又は複数のクラウドベースのネットワーク環境、分散型計算環境、その組合せなどを含み得る。クラウドベースのネットワーク環境は、フレームワーク層、ジョブ・スケジューラ、資源マネージャ、並びに、1つ若しくは複数のコア・ネットワーク・サーバ及び/又はエッジ・サーバを含み得る、サーバのうちの1つ又は複数で実装された分散型ファイル・システムを含み得る。フレームワーク層は、ソフトウェア層のソフトウェア及び/又はアプリケーション層の1つ若しくは複数のアプリケーションをサポートするために、フレームワークを含み得る。ソフトウェア又はアプリケーションは、それぞれ、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーションを含み得る。実施例において、クライアント・デバイスのうちの1つ又は複数は、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーションを使用し得る(たとえば、1つ又は複数のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を介してサービス・ソフトウェア及び/又はアプリケーションにアクセスすることによって)。フレームワーク層は、たとえば大規模データ処理(たとえば、「ビッグ・データ」)のための分散型ファイル・システムを使用し得る、フリー及びオープン・ソース・ソフトウェア・ウェブ・アプリケーション・フレームワークのタイプでもよいが、これに限定されない。
【0180】
クラウドベースのネットワーク環境は、本明細書に記載の計算及び/又はデータ・ストレージ機能(又は1つ若しくは複数のその部分)の任意の組合せを実施するクラウド計算及び/又はクラウド・ストレージを提供し得る。これらの様々な機能のいずれも、セントラル又はコア・サーバ(たとえば、州、領域、国、世界にわたって分散され得る1つ又は複数のデータ・センタなどの)から複数の場所に分散され得る。ユーザ(たとえば、クライアント・デバイス)への接続が、エッジ・サーバに比較的近い場合、コア・サーバは、機能性の少なくとも一部分をエッジ・サーバに任じ得る。クラウドベースのネットワーク環境は、プライベート(たとえば、単一の組織に制限される)でもよく、パブリック(たとえば、多数の組織に利用可能)、及び/又はその組合せ(たとえば、ハイブリッド・クラウド環境)でもよい。
【0181】
クライアント・デバイスは、図6に関して本明細書に記載の例示的計算デバイス600の構成要素、特徴、及び機能性のうちの少なくともいくつかを含み得る。実例として、及び制限ではなく、クライアント・デバイスは、パーソナル・コンピュータ(PC)、ラップトップ・コンピュータ、モバイル・デバイス、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、スマート・ウォッチ、ウェアラブル・コンピュータ、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、MP3プレイヤ、仮想現実ヘッドセット、全地球測位システム(GPS)又はデバイス、ビデオ・プレイヤ、ビデオカメラ、監視デバイス又はシステム、車両、ボート、飛行船、仮想マシン、ドローン、ロボット、ハンドヘルド通信デバイス、病院デバイス、ゲーミング・デバイス又はシステム、娯楽システム、車両コンピュータ・システム、組み込み型システム・コントローラ、リモート制御、器具、民生用電子デバイス、ワークステーション、エッジ・デバイス、これらの描写されたデバイスの任意の組合せ、或いは任意の他の適切なデバイスとして実施され得る。
【0182】
本開示は、コンピュータ又は、携帯情報端末若しくは他のハンドヘルド・デバイスなどの、他のマシンによって実行されている、プログラム・モジュールなどのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ・コード又はマシン使用可能命令との一般的関連において説明されることがある。一般に、ルーティン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造体などを含むプログラム・モジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ・タイプを実装するコードを指す。本開示は、ハンドヘルド・デバイス、家電製品、汎用コンピュータ、より特殊な計算デバイスなどを含む、様々な構成で実施され得る。本開示はまた、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理デバイスによってタスクが実行される分散型コンピューティング環境において実施され得る。
【0183】
本明細書では、2個以上の要素に関する「及び/又は」の記述は、1つの要素のみ、又は要素の組合せを意味すると解釈されるべきである。たとえば、「要素A、要素B、及び/又は要素C」は、要素Aのみ、要素Bのみ、要素Cのみ、要素A及び要素B、要素A及び要素C、要素B及び要素C、或いは、要素A、B、及びCを含み得る。加えて、「要素A又は要素Bのうちの少なくとも1つ」は、要素Aの少なくとも1つ、要素Bの少なくとも1つ、或いは、要素Aの少なくとも1つ及び要素Bの少なくとも1つを含み得る。さらに、「要素A及び要素Bのうちの少なくとも1つ」は、要素Aのうちの少なくとも1つ、要素Bのうちの少なくとも1つ、或いは、要素Aのうちの少なくとも1つ及び要素Bのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0184】
本開示の主題は、法定の要件を満たすために特異性を有して記述されている。しかしながら、その記述自体が本開示の範囲を制限することは意図されていない。そうではなくて、本発明者は、請求されている主題が、他の現在の又は未来の技術と併せて、異なるステップ又は本文書に記載されたものと類似のステップの組合せを含むように、他の形で実施され得ることを意図している。さらに、「ステップ」及び/又は「ブロック」という用語は、使用される方法の異なる要素を含意するように本明細書で使用され得るが、これらの用語は、個別のステップの順番が明示的に記載されていない限り及びそのように記載されているときを除いて本明細書で開示される様々なステップの間に何らかの特定の順番を暗示するものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
【外国語明細書】