(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080839
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】コプレーナ型インダクタ
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20220523BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F27/28 K
H01F27/28 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021149252
(22)【出願日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】63/115,570
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】110112829
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520307104
【氏名又は名称】稜研科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TMY TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】戴 揚
(72)【発明者】
【氏名】郭 瞬仲
(72)【発明者】
【氏名】蔡 文才
(72)【発明者】
【氏名】▲ウー▼ 俊緯
(72)【発明者】
【氏名】李 御琳
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E070AB07
5E070CB12
5E070CB20
(57)【要約】
【課題】第1の螺旋形インダクタと、第2の螺旋形インダクタと、パッチ要素とを含むコプレーナ型インダクタを提供すること。
【解決手段】第1の螺旋形インダクタは第1の端部および第2の端部を有しており、第1の螺旋形インダクタは、第1の螺旋形インダクタの第1の端部から第1の螺旋形インダクタの第2の端部に向かって、内側から外側へ螺旋状に延びている。第2の螺旋形インダクタは第1の端部および第2の端部を有している。第2の螺旋形インダクタは、第2の螺旋形インダクタの第1の端部から第2の螺旋形インダクタの第2の端部に向かって、内側から外側へ螺旋状に延びている。第2の螺旋形インダクタの第1の端部は、パッチ要素を介して第1の螺旋形インダクタの第1の端部に結合されており、また、第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタは共面である。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コプレーナ型インダクタであって、
第1の端部および第2の端部を有する第1の螺旋形インダクタであって、前記第1の螺旋形インダクタの前記第1の端部から前記第1の螺旋形インダクタの前記第2の端部に向かって、内側から外側へ螺旋状に延びている第1の螺旋形インダクタと、
パッチ要素と、
第1の端部および第2の端部を有する第2の螺旋形インダクタであって、前記第2の螺旋形インダクタの前記第1の端部から前記第2の螺旋形インダクタの前記第2の端部に向かって、内側から外側へ螺旋状に延びている第2の螺旋形インダクタと、
を備え、前記第2の螺旋形インダクタの前記第1の端部が前記パッチ要素を介して前記第1の螺旋形インダクタの前記第1の端部に結合され、前記第1の螺旋形インダクタおよび前記第2の螺旋形インダクタが共面である、コプレーナ型インダクタ。
【請求項2】
前記第1の螺旋形インダクタの前記第2の端部および前記第2の螺旋形インダクタの前記第2の端部のうちの一方が前記コプレーナ型インダクタの入力端であり、また、前記第1の螺旋形インダクタの前記第2の端部および前記第2の螺旋形インダクタの前記第2の端部のうちのもう一方が前記コプレーナ型インダクタの出力端である、請求項1に記載のコプレーナ型インダクタ。
【請求項3】
前記第1の螺旋形インダクタが、直列に接続された複数の線分を備え、また、前記線分のうちの隣接する線分同士の間に夾角が形成される、請求項1に記載のコプレーナ型インダクタ。
【請求項4】
前記夾角が90度より大きく、かつ、180度未満である、請求項3に記載のコプレーナ型インダクタ。
【請求項5】
前記パッチ要素が丸いパッチである、請求項1に記載のコプレーナ型インダクタ。
【請求項6】
前記第1の螺旋形インダクタおよび前記第2の螺旋形インダクタがそれぞれアルキメデスの螺旋であり、前記第1の螺旋形インダクタの極座標方程式がr1(θ)=a+bθとして特徴付けされ、前記第2の螺旋形インダクタの極座標方程式がr2(θ+Δ)=a+b(θ+Δ)として特徴付けされ、上式でaおよびbは定数であり、Δは、前記第1の螺旋形インダクタと前記第2の螺旋形インダクタの間の角度差を特徴付けするために使用される、請求項1に記載のコプレーナ型インダクタ。
【請求項7】
前記第1の螺旋形インダクタと前記第2の螺旋形インダクタの間の前記角度差が90度と270度の間である、請求項6に記載のコプレーナ型インダクタ。
【請求項8】
前記第1の螺旋形インダクタおよび前記第2の螺旋形インダクタがそれぞれフェルマー螺旋であり、前記第1の螺旋形インダクタの極座標方程式が、
【数1】
として特徴付けされ、前記第2の螺旋形インダクタの極座標方程式が、
【数2】
として特徴付けされ、上式でaおよびbは定数であり、また、Δは、前記第1の螺旋形インダクタと前記第2の螺旋形インダクタの間の角度差を特徴付けするために使用される、請求項1に記載のコプレーナ型インダクタ。
【請求項9】
前記第1の螺旋形インダクタおよび前記第2の螺旋形インダクタがそれぞれ対数螺旋であり、前記第1の螺旋形インダクタの極座標方程式がr5(θ)=aebθとして特徴付けされ、前記第2の螺旋形インダクタの極座標方程式がr6(θ)=aeb(θ+Δ)として特徴付けされ、上式でaおよびbは定数であり、Δは、前記第1の螺旋形インダクタと前記第2の螺旋形インダクタの間の角度差を特徴付けするために使用される、請求項1に記載のコプレーナ型インダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はインダクタ構造に関し、詳細にはコプレーナ型インダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、螺旋形インダクタは、印刷回路基板(printed circuit board、PCB)の集積設計またはIC設計により広く使用されている。従来のインダクタと比較すると、螺旋形インダクタは、高周波数特性における寄生効果による影響がより小さく、また、平面設計を取り入れて回路設計を単純化することができ、また、溶接および人間要因に起因する影響を小さくすることができる。
【0003】
従来の螺旋形インダクタの略図である
図1を参照願います。
図1から分かるように、螺旋形インダクタ100は、第1の端部100aおよび第2の端部100bを有しており、第1の端部100aは、螺旋形インダクタ100の中央に位置していると見なすことができる。第1の端部100aが螺旋形インダクタ100の入力端として働いている場合に、信号を第1の端部100aから螺旋形インダクタ100の中に供給しなければならない場合、追加バイアホールを介してしか螺旋形インダクタ100に信号を供給することができない。言い換えると、コプレーナ型では第1の端部100aに信号を供給することはできない。この場合、螺旋形インダクタ100を他の回路構造と組み合わせることはより困難であり、また、全体の大きさが比較的大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
螺旋形インダクタ螺旋形インダクタを他の回路構造と組み合わせることはより困難であり、また、全体の大きさが比較的大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、第1の螺旋形インダクタと、第2の螺旋形インダクタと、パッチ要素とを含むコプレーナ型インダクタを提供する。第1の螺旋形インダクタは第1の端部および第2の端部を有しており、第1の螺旋形インダクタは、第1の螺旋形インダクタの第1の端部から第1の螺旋形インダクタの第2の端部に向かって、内側から外側へ螺旋状に延びている。第2の螺旋形インダクタは第1の端部および第2の端部を有している。第2の螺旋形インダクタは、第2の螺旋形インダクタの第1の端部から第2の螺旋形インダクタの第2の端部に向かって、内側から外側へ螺旋状に延びている。第2の螺旋形インダクタの第1の端部は、パッチ要素を介して第1の螺旋形インダクタの第1の端部に結合されており、また、第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタは同一面にある。
【発明の効果】
【0006】
この方法によればコプレーナ型インダクタの大きさを小さくすることができ、その一方で小形化および広帯域応答特性を維持することができる。さらに、本開示のコプレーナ型インダクタは、追加整合回路を必要とすることなく他の回路構成と容易に組み合わせることができ、また、それに応じて、整合回路の構成が要求する特性に応じて帯域幅を調整することができ、それによりこの回路構成と共に使用するための統合を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2A】本開示の実施形態によるコプレーナ型インダクタを示す略図である。
【
図2B】視角Aから見たコプレーナ型回路の側面図である。
【
図3】従来の螺旋形インダクタおよび本開示の実施形態によるコプレーナ型インダクタの比較線図である。
【
図4A】本開示の異なる実施形態による、異なる数のコイル巻数を有するコプレーナ型インダクタの略図である。
【
図4B】
図4Aの様々なコプレーナ型インダクタの挿入損失のグラフである。
【
図5A】本開示の異なる実施形態による複数のコプレーナ型インダクタを示す略図である。
【
図5B】
図5Aに示されているコプレーナ型インダクタの挿入損失のグラフである。
【
図6A】本開示の異なる実施形態による複数のコプレーナ型インダクタを示す略図である。
【
図6B】
図6Aに示されているコプレーナ型インダクタの挿入損失のグラフである。
【
図7A】本開示の異なる実施形態による複数のコプレーナ型インダクタを示す略図である。
【
図7B】
図7Aに示されているコプレーナ型インダクタの挿入損失のグラフである。
【
図8A】本開示の実施形態によるコプレーナ型インダクタを示す略図である。
【
図8B】
図8Aに示されているコプレーナ型インダクタの反射減衰量および挿入損失のグラフである。
【
図9A】本開示の実施形態によるコプレーナ型インダクタの略図である。
【
図9B】
図9Aに示されているコプレーナ型インダクタの反射減衰量および挿入損失のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態によるコプレーナ型インダクタを示す上面図である
図2A、および視角Aから見た共面回路の側面図である
図2Bを参照願います。
図2Aに示されているように、本開示のコプレーナ型インダクタ200は、第1の螺旋形インダクタ210、第2の螺旋形インダクタ220およびパッチ要素230を含む。さらに、
図2Bから、第1の螺旋形インダクタ210、第2の螺旋形インダクタ220およびパッチ要素230は同じ平面に配置されていることが分かる。
【0009】
本開示の実施形態では、第1の螺旋形インダクタ210は第1の端部210aおよび第2の端部210bを有しており、第1の螺旋形インダクタ210は、第1の螺旋形インダクタ210の第1の端部210aから第1の螺旋形インダクタ210の第2の端部210bに向かって、内側から外側へ螺旋状に延びている。
【0010】
第2の螺旋形インダクタ220は第1の端部220aおよび第2の端部220bを有しており、第2の螺旋形インダクタ220は、第2の螺旋形インダクタ220の第1の端部220aから第2の螺旋形インダクタ220の第2の端部220bに向かって、内側から外側へ螺旋状に延びている。
【0011】
本開示の実施形態では、パッチ要素230は例えば円形パッチであり、コプレーナ型インダクタ200の中央に配置することができる。この状況の下では、第2の螺旋形インダクタ220の第1の端部220aは、パッチ要素230を介して第1の螺旋形インダクタ210の第1の端部210aに結合することができる。さらに、第1の螺旋形インダクタ210および第2の螺旋形インダクタ220は同一面にすることができる。
【0012】
ある実施形態では、第1の螺旋形インダクタ210の第2の端部210bおよび第2の螺旋形インダクタ220の第2の端部220bのうちの一方は、コプレーナ型インダクタ200の入力端であってもよく、また、第1の螺旋形インダクタ210の第2の端部210bおよび第2の螺旋形インダクタ220の第2の端部220bのうちのもう一方は、コプレーナ型インダクタ200の出力端であってもよい。
【0013】
例えば第1の螺旋形インダクタ210の第2の端部210bおよび第2の螺旋形インダクタ220の第2の端部220bは、それぞれコプレーナ型インダクタ200の入力端および出力端として働くことができる。この状況の下で第1の螺旋形インダクタ210の第2の端部210bが供給信号を受け取ると、第1の螺旋形インダクタ210は、パッチ要素230を介してその供給信号を第2の螺旋形インダクタ220へ送信することができ、したがって第1の螺旋形インダクタ210および第2の螺旋形インダクタ220は共振体として働くことができる。この方法によればコプレーナ型インダクタ200は、より高い周波数帯域で効果的に動作することができる。
【0014】
さらに、供給信号は同一面方式でコプレーナ型インダクタ200の中へ供給することができるため、コプレーナ型インダクタ200の大きさを小さくすることができ、その一方で小形化および広帯域応答特性を維持することができる。さらに、第1の螺旋形インダクタ210および第2の螺旋形インダクタ220が同一面である場合、コプレーナ型インダクタ200は、追加整合回路を必要とすることなく他の回路構成と容易に組み合わせることができ、したがってコプレーナ型インダクタ200は、第5世代(5G)通信システムおよびミリメートル波回路ならびに他の構成に取り入れるのに適している。
【0015】
他の実施形態では、第1の螺旋形インダクタ210の第2の端部210bおよび第2の螺旋形インダクタ220の第2の端部220bは、それぞれコプレーナ型インダクタ200の出力端および入力端として同じく働くことも可能であり、また、上で説明した技術的効果を達成することができ、本明細書にはこれ以上の説明は組み込まれていない。
【0016】
図2Aに示されているように、第1の螺旋形インダクタ210および第2の螺旋形インダクタ220は、いずれもアルキメデスの螺旋であってもよい。他の実施形態では、第1の螺旋形インダクタ210および第2の螺旋形インダクタ220のうちの一方をアルキメデスの螺旋にすることができるが、それに限定されなくてもよい。
【0017】
図2Aでは、第1の螺旋形インダクタ210の極座標方程式は、r
1(θ)=a+bθとして特徴付けすることができ、また、第2の螺旋形インダクタ220の極座標方程式は、r
2(θ+Δ)=a+b(θ+Δ)として特徴付けすることができ、上式でaおよびbは定数である。Δは、第1の螺旋形インダクタ210と第2の螺旋形インダクタ220の間の角度差を特徴付けするために使用されており、a、b、θおよびΔはすべて実数である。
図2Aの例では、第1の螺旋形インダクタ210と第2の螺旋形インダクタ220の間の角度差は180度と見なすことができるが、他の実施形態では、第1の螺旋形インダクタ210と第2の螺旋形インダクタ220の間の角度差は、90度と270度の間の任意の値にすることができる。
【0018】
従来の螺旋形インダクタおよび本開示の実施形態によるコプレーナ型インダクタの比較線図である
図3を参照願います。
図3(および
図4B、
図5B、
図6Bならびに
図7B)の例では、使用された模擬環境/パラメータは、例えば、(1)高周波数印刷回路基板(PCB)(モデルRO4350C)が採用されており、その相対誘電係数および厚さは、それぞれ3.66および20ミル(すなわち0.508mm)である、(2)銅の厚さは1OZ(35ミクロン)である、(3)中央パッチの線幅および半径は、いずれも0.15mmである、を含む。さらに、
図3では、本開示のコプレーナ型インダクタ300は、例えば従来の螺旋形インダクタ399の長さと同じ長さを有することができる。さらに、
図3の下側半分の挿入損失線図では、曲線310および320は、それぞれ螺旋形インダクタ399およびコプレーナ型インダクタ300に対応している。
【0019】
図3の下側の部分から、比較的高い周波数(例えば40GHzを超える)を有する周波数帯域では、本開示のコプレーナ型インダクタ300は、螺旋形インダクタ399より小さい挿入損失を有していることが分かる。さらに、挿入損失が3dB未満の周波数帯域は動作可能範囲内であるため、螺旋形インダクタ399より広い帯域幅を有し得る本開示のコプレーナ型インダクタ300を手に入れることができる。さらに、本開示は、整合回路の構成が要求する特性に応じて帯域幅を調整することも可能であり、それにより回路構造との統合の目的を達成することができる。
【0020】
異なる実施形態では、本開示のコプレーナ型インダクタは、設計者の必要性に従って、異なるコイル巻数/大きさに対して調整することができる。
【0021】
本開示の異なる実施形態による、異なる数のコイル巻数を有するコプレーナ型インダクタの略図である
図4Aを参照願います。
図4Aでは、本開示のコプレーナ型インダクタ411乃至415の第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタは、すべてアルキメデスの螺旋であってもよく、したがって上で言及した極座標方程式を使用することによって説明することができる。
【0022】
この状況の下では、コプレーナ型インダクタ411乃至415は、同じ値のa、bおよびΔに対応すると見なすことができるが、対応する範囲θは異なっている。例えばコプレーナ型インダクタ411に対応する範囲θは約0度から180度であり、コプレーナ型インダクタ412に対応する範囲θは約0度から360度であり、コプレーナ型インダクタ413に対応する範囲θは約0度から540度であり、コプレーナ型インダクタ414に対応する範囲θは約0度から720度であり、コプレーナ型インダクタ415に対応する範囲θは約0度から900度であるが、本開示はそれには限定されない。一般的に言えば、範囲θが広いほど、コプレーナ型インダクタの動作可能周波数が低くなり、設計者は、要求事項に従って適切な範囲θを選択することができる。
【0023】
図4Aの様々なコプレーナ型インダクタの挿入損失のグラフである
図4Bを参照願います。
図4Bでは、曲線411a乃至415aは、それぞれコプレーナ型インダクタ411乃至415に対応し得る。
図4Bから、本開示のコプレーナ型インダクタ411乃至415は40GHzで動作することができ、したがってミリメートル波回路に取り入れるのに適していることが分かる。
【0024】
他の実施形態では、本開示のコプレーナ型インダクタにおける第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタは、アルキメデスの螺旋以外の方法で実現することも可能である。
【0025】
本開示の異なる実施形態による複数のコプレーナ型インダクタの略図である
図5Aを参照願います。
図5Aでは、コプレーナ型インダクタ500は、第1の螺旋形インダクタ510、第2の螺旋形インダクタ520およびパッチ要素530を含むことができる。第1の螺旋形インダクタ510は、パッチ要素530を介して第2の螺旋形インダクタ520に結合することができ、また、関連する詳細は、先行する実施形態における説明から引き出すことができ、したがって本明細書にはこれ以上の説明は組み込まれていない。
【0026】
図5Aに示されているように、第1の螺旋形インダクタ510は、直列に接続された複数の線分510a乃至510eを含むことができ、夾角は、線分510a乃至510eのうちの隣接する線分同士の間に形成されており、また、夾角は、90度より大きく、かつ、180度未満にすることができる。例えば夾角A1は、隣接する線分510aと510bの間に形成されており、夾角A2は、隣接する線分510bと510cの間に形成されており、夾角A3は、隣接する線分510cと510dの間に形成されており、また、夾角A4は、隣接する線分510dと510eの間に形成されている。さらに、夾角A1乃至A4は同じ値を有することができるが、それに限定されなくてもよい。
【0027】
図5Aでは、第2の螺旋形インダクタ520は、第1の螺旋形インダクタ510の構造と同じ構造を有することができる。言い換えると、第2の螺旋形インダクタ520も、直列に接続された複数の線分を含むことができ、また、個々の線分の関連する詳細は、第1の螺旋形インダクタ510の関連する説明から引き出すことができ、したがって本明細書にはこれ以上の説明は組み込まれていない。
【0028】
類似性原理に基づいて、コプレーナ型インダクタ500aにおける第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタ(図示せず)は、直列に接続された複数の線分を同じく個別に含むことができるが、本開示はそれには限定されないが、これらの複数の線分のうちの2つの隣接する線分の間の角度の値は、夾角A1乃至A4よりわずかに大きくすることができる。さらに、コプレーナ型インダクタ500bにおける第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタ(図示せず)は、直列に接続された複数の線分を個別に含むことができるが、本開示はそれには限定されないが、これらの複数の線分のうちの2つの隣接する線分の間の角度の値は、コプレーナ型インダクタ500aにおける様々な角度よりわずかに大きくすることができる。言い換えると、
図5Aの実施形態における第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタは直線成分からなるスパイラルであってもよい。
【0029】
図5Aに示されているコプレーナ型インダクタの挿入損失のグラフである
図5Bを参照願います。
図5Bでは、曲線551乃至554は、それぞれコプレーナ型インダクタ200、500、500aおよび500bに対応し得る。
図5Bから、コイル巻数の数が概ね同じである場合、本開示のコプレーナ型インダクタ200、500、500aおよび500bは、概ね同じ動作帯域幅を有することが分かる。言い換えると、線分同士の間の角度の値は、動作帯域幅に対する重大な影響を有していない。
【0030】
本開示の異なる実施形態による複数のコプレーナ型インダクタの略図である
図6Aを参照願います。
図6Aでは、コプレーナ型インダクタ611乃至613の第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタは、すべてアルキメデスの螺旋であってもよく、したがって上で言及した極座標方程式によって説明することができる。
【0031】
この実施形態では、コプレーナ型インダクタ611乃至613、および
図2Aのコプレーナ型インダクタ200は、同じ値a、値Δおよび範囲θに対応し得るが、異なる値bに対応している。例えばコプレーナ型インダクタ200に対応している値bは例えば0.3/πであり、コプレーナ型インダクタ611に対応している値bは例えば0.2/πであり、コプレーナ型インダクタ612に対応している値bは例えば0.4/πであり、また、コプレーナ型インダクタ613に対応している値bは例えば0.5/πであるが、本開示はそれには限定されない。
【0032】
図6Aに示されているコプレーナ型インダクタの挿入損失のグラフである
図6Bを参照願います。
図6Bでは、曲線610a乃至613aは、それぞれコプレーナ型インダクタ200および611乃至613に対応し得る。
図6Bから、値a、値Δおよび範囲θが同じである場合、値bが大きいほど、動作可能帯域幅が狭くなることが分かる。
【0033】
本開示の異なる実施形態による複数のコプレーナ型インダクタの略図である
図7Aを参照願います。
図7Aでは、コプレーナ型インダクタ711乃至713の第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタは、すべてアルキメデスの螺旋であってもよく、したがって上で説明した極座標方程式によって説明することができる。
【0034】
この実施形態では、コプレーナ型インダクタ711乃至713、および
図2Aのコプレーナ型インダクタ200は、同じ値a、値bおよび範囲θに対応し得るが、異なる値Δに対応している。
【0035】
大まかに言えば、コプレーナ型インダクタ200に対応している値Δは、第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタを180度だけ異なるものにすることができる。この状況の下では、コプレーナ型インダクタ711に対応している値Δは、第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタを120度だけ異なるものにすることができ、コプレーナ型インダクタ712に対応している値Δは、第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタを150度だけ異なるものにすることができ、コプレーナ型インダクタ713に対応している値Δは、第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタを210度だけ異なるものにすることができるが、本開示はそれには限定されない。
【0036】
図7Aに示されているコプレーナ型インダクタの挿入損失のグラフである
図7Bを参照願います。
図7Bでは、曲線710a乃至713aは、それぞれコプレーナ型インダクタ200および711乃至713に対応し得る。
図7Bから、第1の螺旋形インダクタと第2の螺旋形インダクタの間の角度が150度と240度の間である場合、コプレーナ型インダクタは同様の特性を有することになることが分かる。
【0037】
本開示の実施形態によるコプレーナ型インダクタの略図である
図8Aを参照願います。
図8Aでは、コプレーナ型インダクタ800は、第1の螺旋形インダクタ810、第2の螺旋形インダクタ820およびパッチ要素830を含むことができる。第1の螺旋形インダクタ810は、パッチ要素830を介して第2の螺旋形インダクタ820に結合することができ、また、関連する詳細は、先行する実施形態における説明から引き出すことができ、したがって本明細書にはこれ以上の説明は組み込まれていない。
図8Aでは、第1の螺旋形インダクタ810および第2の螺旋形インダクタ820は、いずれもフェルマー螺旋であってもよく、それらは対応する極座標方程式を使用することによって同じく説明することができる。
【0038】
この実施形態では、第1の螺旋形インダクタ810の極座標方程式は、
【0039】
【数1】
として特徴付けすることができ、また、第2の螺旋形インダクタ820の極座標方程式は、
【0040】
【数2】
として特徴付けすることができる。上式でaおよびbは定数であり、また、Δは、第1の螺旋形インダクタ810と第2の螺旋形インダクタ820の間の角度差を特徴付けするために使用されており、a、θおよびΔはすべて実数である。
図8Aの例では、第1の螺旋形インダクタ810と第2の螺旋形インダクタ820の間の角度差は180度として理解することができるが、他の実施形態では、第1の螺旋形インダクタ810と第2の螺旋形インダクタ820の間の角度差は、設計者の必要性に従って他の値に調整することも可能である。
【0041】
図8Aに示されているコプレーナ型インダクタの反射減衰量および挿入損失のグラフである
図8Bを参照願います。
図8Bでは、曲線800aおよび800bは、それぞれコプレーナ型インダクタ800の反射減衰量グラフおよび挿入損失グラフであってもよい。挿入損失が3dB未満である周波数帯域は動作可能範囲内であるため、本開示のコプレーナ型インダクタ800はより広い帯域幅を有することができることが分かる。さらに、本開示は、整合回路の構成が要求する特性に応じて対応的に帯域幅を調整することも可能であり、それにより回路構造との統合の目的を達成することができる。
【0042】
本開示の実施形態によるコプレーナ型インダクタの略図である
図9Aを参照願います。
図9Aでは、コプレーナ型インダクタ900は、第1の螺旋形インダクタ910、第2の螺旋形インダクタ920およびパッチ要素930を含むことができる。第1の螺旋形インダクタ910は、パッチ要素930を介して第2の螺旋形インダクタ920に結合することができ、また、関連する詳細は、先行する実施形態における説明から引き出すことができ、したがって本明細書にはこれ以上の説明は組み込まれていない。
図9Aでは、第1の螺旋形インダクタ910および第2の螺旋形インダクタ920は、いずれも対数螺旋であってもよく、それらは対応する極座標方程式を使用することによって同じく説明することができる。
【0043】
この実施形態では、第1の螺旋形インダクタ910の極座標方程式は、r
5(θ)=ae
bθとして特徴付けすることができ、また、第2の螺旋形インダクタ920の極座標方程式は、r
6(θ)=ae
b(θ+Δ)として特徴付けすることができる。上式でaおよびbは定数であり、Δは、第1の螺旋形インダクタ910と第2の螺旋形インダクタ920の間の角度差を特徴付けするために使用されており、a、b、θおよびΔはすべて実数である。
図9Aの例では、第1の螺旋形インダクタ910と第2の螺旋形インダクタ920の間の角度差は180度として理解することができるが、他の実施形態では、第1の螺旋形インダクタ910と第2の螺旋形インダクタ920の間の角度差は、設計者の必要性に従って他の値に調整することも可能である。
【0044】
図9Aに示されているコプレーナ型インダクタの反射減衰量および挿入損失のグラフである
図9Bを参照願います。
図9Bでは、曲線900aおよび900bは、それぞれコプレーナ型インダクタ900の反射減衰量グラフおよび挿入損失グラフであってもよい。挿入損失が3dB未満である周波数帯域は動作可能範囲内であるため、本開示のコプレーナ型インダクタ900はより広い帯域幅を有することができることが分かる。さらに、本開示は、整合回路の構成が要求する特性に応じて帯域幅を調整することも可能であり、それにより回路構造との統合の目的を達成することができる。
【0045】
要約すると、本開示のコプレーナ型インダクタは、共面に存在している第1の螺旋形インダクタおよび第2の螺旋形インダクタと、パッチ要素とを含むことができる。第1の螺旋形インダクタの第1の端部は、パッチ要素を介して第2の螺旋形インダクタの第1の端部に結合することができる。この方法によればコプレーナ型インダクタの大きさを小さくすることができ、その一方で小形化および広帯域応答特性を維持することができる。さらに、本開示のコプレーナ型インダクタは、追加整合回路を必要とすることなく他の回路構成と容易に組み合わせることができ、また、それに応じて、整合回路の構成が要求する特性に応じて帯域幅を調整することができ、それによりこの回路構成と共に使用するための統合を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のコプレーナ型インダクタは、PCBの集積設計またはIC設計に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
100a、210a、220a 第1の端部
100b、210b、220b 第2の端部
200、300、411、412、413、414、415、500、500a、500b、611、612、613、711、712、713、800、900 コプレーナ型インダクタ
210、510、810、910 第1の螺旋形インダクタ
220、520、820、920 第2の螺旋形インダクタ
230、530、830、930 パッチ要素
399 螺旋形インダクタ
310、320、411a、412a、413a、414a、415a、551、552、553、554、610a、611a、612a、613a、710a、711a、712a、713a、800a、800b、900a、900b 曲線
510a、510b、510c、510d、510e 線分
A1、A2、A3、A4 夾角
【外国語明細書】