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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008085
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】パーソナルケアデバイス
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/28 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B26B19/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021081209
(22)【出願日】2021-05-12
(62)【分割の表示】P 2019056991の分割
【原出願日】2019-03-25
(31)【優先権主張番号】18164341.2
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ルートヴィヒ ヴォルフガング フュエルグラーベ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン フュアースト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ナイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネ ユリアン ヴァインカウフ
(72)【発明者】
【氏名】ルーシー アビゲイル ツィマーマン
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056HC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パーソナルケアデバイスの改善された自己調節を使用者に提供する。
【解決手段】パーソナルケア処理を身体表面に実行するためにハンドルに取り付けられた作動ヘッド3と、パーソナルケアデバイス1を取り扱うとき、使用者の挙動を示す挙動パラメータを検出するための検出器41と、検出された挙動パラメータに応答して、作動ヘッドの作動パラメータを調節するための調節機構と、を備え、調節デバイス6が、検出された挙動パラメータを示す挙動入力信号に応答して、調節アクチュエータのための出力制御信号を算出するための制御アルゴリズムを備えている電子制御ユニット80によって制御される調節アクチュエータを含み、電子制御ユニットは修正入力信号に基づいて制御アルゴリズムを修正するための修正アルゴリズムを備え、修正入力信号および挙動入力信号は、検出された同じ挙動パラメータに対応し、同じ検出器から生じる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケアデバイスであって、
前記パーソナルケアデバイスを身体表面に沿って手動で移動させるための細長いハンドルと、
パーソナルケア処理を前記身体表面に実行するために前記ハンドルに取り付けられ、少なくとも1つのカッターユニットを含む作動ヘッドと、
前記パーソナルケア処理を実行するとき、前記パーソナルケアデバイスの取り扱い中の使用者の挙動を示す少なくとも1つの挙動パラメータを検出するための少なくとも1つの検出器と、
検出された前記挙動パラメータに応答して、前記パーソナルケアデバイスの少なくとも1つの作動パラメータを調節するための調節デバイスと、を備え、
前記調節デバイスが、検出された少なくとも1つの前記挙動パラメータを示す少なくとも1つの挙動入力信号に応答して、調節アクチュエータのための出力制御信号を算出するための制御アルゴリズムを備える電子制御ユニットによって制御される前記調節アクチュエータを備え、
前記電子制御ユニットは、少なくとも1つの修正入力信号に基づいて前記制御アルゴリズムを修正するための修正アルゴリズムを備え、
前記少なくとも1つの修正入力信号および前記少なくとも1つの挙動入力信号は、検出された同じ挙動パラメータに対応し、同じ検出器から生じることを特徴とする、パーソナルケアデバイス。
【請求項2】
前記修正アルゴリズムが、前記パーソナルケアデバイスによるパーソナルケア処理の実行中及び/又は前記調節アクチュエータの動作中に、前記制御アルゴリズムを連続的に又は反復的に修正するように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの修正入力信号及び前記挙動入力信号が異なる時点で提供され、
前記挙動入力信号が、使用者の現在の挙動のリアルタイムデータを表し、
前記修正入力信号が、過去のパーソナルケア処理中に過去に検出された少なくとも1つの履歴データ又は前記現在のパーソナルケア処理の過去の部分を表し、
前記挙動入力信号および前記修正入力信号が、前記パーソナルケア処理を実行するとき、前記パーソナルケアデバイスの取り扱い中の異なる時点で同じ使用者の挙動を示す、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項4】
前記修正アルゴリズムが、前記調節アクチュエータのための前記出力制御信号を算出するための前記制御アルゴリズムによって使用される算出ルールを修正するように構成されている、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項5】
前記修正アルゴリズムが、2つ以上の挙動入力信号と前記出力制御信号との間の関係を規定するマップを修正するように構成されている、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項6】
前記修正アルゴリズムが、前記制御アルゴリズムのデータ収集を修正するように構成され、前記修正アルゴリズムが、前記挙動入力信号の数、前記挙動入力信号の種類、前記出力制御信号の数、及び前記出力制御信号の種類のうちの少なくとも1つを修正する、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項7】
前記修正アルゴリズムが、少なくとも1つの信号処理工程を適用するように構成され、
前記信号処理工程が、前記少なくとも1つの修正入力信号平均値、最小値および最大値の判定を含む統計的評価、前記少なくとも1つの修正入力信号及び前記少なくとも1つの挙動入力信号のフィルタリング、前記少なくとも1つの修正入力信号及び前記少なくとも1つの挙動入力信号の平滑化、マッピング、オーバーサンプリング、アンダーサンプリング、重み付け、又は前記信号処理工程の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項8】
前記修正アルゴリズムが、前記少なくとも1つの修正入力信号及び前記少なくとも1つの挙動入力信号の、データベースのデータとの差を判定するように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項9】
較正デバイスが、現在の処理セッション及び以前の処理セッション中に検出された前記少なくとも1つの挙動パラメータの使用者履歴に基づいて、前記調節デバイスを較正するために提供される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項10】
前記較正デバイスが、前記調節デバイスを適応的に制御するための適応コントローラを含む、請求項9に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項11】
前記較正デバイスが、各パーソナル処理セッション中に、前記調節デバイスを連続的に又は反復的に較正するように構成される、請求項9に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項12】
前記調節デバイスが、以下の検出器およびセンサのうちの少なくとも1つ:
-使用者の身体との前記作動ヘッドの接触を検出するためのタッチ検出器、
-前記パーソナルケアデバイスの加速度を検出するための加速度検出器、
-3次元で前記パーソナルケアデバイスの配向を検出するための回転検出器、
-ストローク速度を検出するためのストローク速度検出器、
-被処理身体表面の所定領域にわたるストローク数を検出するためのストローク密度検出器、
-鏡からの前記パーソナルケアデバイスを検出するための距離検出器、
-前記パーソナルケア処理の一時停止を検出するための検出器、
-前記使用者の顔に対する前記作動ヘッドの角度の変化を検出するための角度センサ、
-前記ハンドル上のグリップの種類の変化を検出するためのグリップ検出器、
-接触領域の変化を検出するための接触検出器、
-毛髪密度を検出するための毛髪検出器、
-空気温度を検出するための環境検出器、
-前記ハンドルに対する前記作動ヘッドの変位を検出するための変位検出器、
-前記パーソナルケアデバイスの切断作業を検出するための切断作業検出器、
-毛髪トリマーの位置を検出するためのトリマー位置検出器、
-前記作動ヘッドが使用者の皮膚に対して押し付けられる力を検出するための接触力検出器、並びに
-前記皮膚の水分を感知するための皮膚水分センサ、
の信号に応答して、
前記パーソナルケアデバイスの以下の作動パラメータのうちの少なくとも1つ:
前記作動ヘッドの剛性、長毛髪カッターの動作、冷却/加熱デバイスの温度及び潤滑剤塗布装置の動作、互いに対する異なる切断及び非切断要素の位置、前記パーソナルケアデバイスを実行させるための作動要素の浮上剛性、または、作動要素の枢動剛性
を、調節するために構成されている、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項13】
前記作動ヘッドが、少なくとも1つの枢軸を中心に前記ハンドルに対して枢動可能に支持され、前記調節デバイスが、検出された前記少なくとも1つの挙動パラメータに応答して、前記少なくとも1つの枢軸を中心とした前記作動ヘッドの枢動剛性を調節するように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの検出器は、前記作動ヘッドが使用者の皮膚に対して押し付けられる力を検出するための接触力検出器を含み、
前記調節デバイスは、検出された皮膚に対して押し付けられる力が所定の値に到達するか、又はそれを超えると、前記作動ヘッドの前記枢動剛性を増加するように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの検出器は、前記ハンドル上のグリップの種類を検出するためのグリップ検出器を含み、
前記調節デバイスが、検出された前記グリップの種類に応答して、前記作動ヘッドの前記枢動剛性を調節するように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの検出器は、前記ハンドルの角度回転に対する前記ハンドルの長手方向軸の角度配向を検出するための角度配向検出器を含み、
前記調節デバイスは、前記ハンドルの角度回転に対する前記ハンドルの検出された前記長手方向軸の角度配向に応答して、前記作動ヘッドの前記枢動剛性を調節するように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの検出器は、空気温度、空気湿度、及び皮膚水分の群から選択される環境パラメータを検出するための環境検出器を含み、
前記調節デバイスは、検出された前記環境パラメータに応答して、前記作動ヘッドの前記枢動剛性を調節するように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項18】
前記少なくとも1つの検出器は、被処理身体部分上の毛髪密度を検出するための毛髪検出器を含み、
前記調節デバイスは、検出された前記毛髪密度に応答して、前記作動ヘッドの前記枢動剛性を調節するように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項19】
少なくとも1つのカッターユニットを含む作動ヘッドを含むパーソナルケアデバイスを制御するための方法であって、
-身体表面にパーソナルケア処理を実行するとき、前記パーソナルケアデバイスの取り扱い中の使用者の挙動を示す少なくとも1つの挙動パラメータを検出する工程と、
-(i)前記パーソナルケア処理の間に検出された少なくとも1つの前記挙動パラメータを示す少なくとも1つの挙動入力信号に応答して、調節アクチュエータのための出力制御信号を算出するための制御アルゴリズム、および(ii)前記制御アルゴリズムを修正するための修正アルゴリズムを備える電子制御ユニットによって制御される調節アクチュエータによって、検出された前記少なくとも1つの挙動パラメータに応答して、前記パーソナルケアデバイスの少なくとも1つの作動パラメータを調節する工程と、
-前記パーソナルケア処理の間に少なくとも1つの修正入力信号に基づいて、前記修正アルゴリズムは前記制御アルゴリズムを修正する工程と、を含み、
前記少なくとも1つの修正入力信号および前記少なくとも1つの挙動入力信号は、検出された同じ挙動パラメータに対応し、同じ検出器から生じることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケアデバイス、特に電気シェーバなどの皮膚処理デバイスであって、パーソナルケアデバイスを身体表面に沿って手動で移動させるための細長いハンドルと、パーソナルケア処理を当該身体表面に実行するために当該ハンドルに取り付けられた作動ヘッドと、パーソナルケア処理の間に使用者の挙動を特徴付ける少なくとも1つの使用者の挙動パラメータを検出するための少なくとも1つの検出器と、検出された挙動パラメータに応答して、作動ヘッドの少なくとも1つの作動パラメータを調節するための調節機構と、を備え、当該調節デバイスが、検出された挙動パラメータを示す少なくとも1つの挙動入力信号に応答して、調節アクチュエータのための出力制御信号を算出するための制御アルゴリズムを備えている電子制御ユニットによって制御される調節アクチュエータを含んでいる、パーソナルケアデバイスに関する。より具体的には、そのようなパーソナルケアデバイスは、脱毛器又はシェーバなどの除毛デバイスであり得、そのようなシェーバは、少なくとも1つのカッターユニット、及び当該少なくとも1つのカッターユニットを駆動するための駆動ユニットを含む電気シェーバであり得る。本発明はまた、そのようなパーソナルケアデバイスを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気シェーバは、通常、電気駆動ユニットによって、カッター要素がせん断ホイル下で往復運動する振動様式で駆動される1つ以上のカッター要素を有し、そのようなカッター要素又はアンダーカッターは、細長い形状を有し得、それらの長手軸に沿って往復運動し得る。他の型の電気シェーバでは、振動様式又は連続様式で駆動され得る回転カッター要素を用いている。当該電気駆動ユニットは、電気モータ又は電気式リニアモータを含み得、この駆動ユニットは、モータの駆動動作をカッター要素に伝達するための細長い駆動送信器などの要素を有する駆動トレインを含み得、モータは、シェーバのハンドル部分内に、又は代替的にそのシェーバヘッド内に受容され得る。
【0003】
そのようなシェーバがほとんどの使用者によって毎日使用されるが、全く完全にシェーバを動作する及び取り扱うことは困難である場合がある。異なる使用者の異なる好み及び習慣により、シェーバは、多くの場合、その最適範囲で動作されない。例えば、カッター要素を有する作動ヘッドは、強く皮膚に対して押し付けられ得るか、又はシェーバは、皮膚との全面接触から作動ヘッドのせん断ホイルを妨げる配向で保持され得る(たとえ作動ヘッドがいくらかの角度変位を補償するように枢動可能に支持されているとしても)。関連した皮膚部分に対して正しい方向に正しい速度で皮膚に沿ってシェーバを移動させることも困難である場合がある。取り扱いをより容易でより直観的にするように、シェーバは、様々な異なる動作モード及び調節機能を提供し得るが、使用者が適切な設定を見出すことは困難である場合がある。
【0004】
例えば、シェーバの駆動ユニットは、異なる動作モードで動作可能である場合があり、例えば、カッター速度又は振動周波数は、迅速モード又は高速モードで剃毛効率を増大させるために、又は代替的に、高感度モードで皮層刺激を回避するために変動され得る。シェーバの取り付け具に応じて、他の動作モードが提供され得、また長毛髪カットモードを含み得、長毛髪カッターは、起動され及び/又は突出位置に移動されて、長毛髪の容易な切断を可能にし得る。
【0005】
異なる動作モードに関するそのような選択肢に加えて、シェーバなどのパーソナルケアデバイスは、自己調節機能も含む。例えば、シェーバヘッドを移動可能に浮動させて、カッター要素がそれらの位置及び配向を自己調節することを可能にして、より良好に皮膚輪郭に従わせることは、シェーバの分野において周知である。より具体的には、ハンドルが「誤った」配向で保持されているときでも、シェーバヘッドの作動表面が皮膚輪郭に全面接触したままであり得るように、シェーバヘッドは、ハンドルの長手方向軸を横断して延在する1つ又は2つの枢軸を中心に枢動するよう枢動可能に支持され得る。更に、カッター要素は、皮膚に対してシェーバヘッドを押し付けている過剰な力を補償するように、シェーバヘッド構造に埋められ得る。
【0006】
しかしながら、そのような様々な自己調節機能にもかかわらず、1つの製品設計を全ての使用者に適合させなければならない、という、ほとんど不可能である問題が依然として存在する。人々は、剃毛するとき、非常に異なる方法で挙動し、異なる種類の発毛などの固有の必要性を有し、そのため、単一の製品設計が、全ての使用者に完全に適合できるわけではない。
【0007】
調節が使用者によって行われる必要がある場合、これは複数の欠点を有する。第一に、これは不便であり、結果としてこの調節は使用されていないことが多くなる。第二に、達成しようとしていることを最も良好に達成するためにどのような調節が必要とされるのかが、使用者にとって明らかではないことが非常に多い。典型的な例は、標準的な剃毛ルーチン中に切り残しが多い個々の処理し残した毛髪という、よくある問題によって説明され得る。そこで使用者は、剃毛の残りの後に異なる方法で、これらの個々の毛髪を剃毛することを試みる。典型的な挙動は、切断要素上の増加する圧力で領域全体にわたって繰り返される短いストロークであるが、その圧力を増加ではなく減少させると、この状況には有益であろう。
【0008】
あるいは、調節は自動であってもよい。しかしながら、これを試みる既存のデバイスは、最適な結果をもたらさない。2つの典型的な理由が性能不良のために生じた。つまり、一方で、調節が予め決められたものであるとき、これは全ての使用者に有効であるわけでなない。例えば、皮層刺激につながる剃圧のレベルは、使用者の間で変動し、日によって同じ使用者について変動し得る。皮層刺激を回避するためにある特定のレベルの剃圧に所定の方法で反応するシェーバは、一部の使用者にはあまりにも早く反応し、それ以外の使用者にはあまりにも遅く反応する。一方、高い複雑性の剃毛は、調節可能な構成部品の最適設定を見出すことを困難にする。より具体的には、全体的な剃毛結果及び経験の質は、例えば、密着性、皮膚快適さ、剃毛の時間、滑走特性、皮膚経験、制御感、顎ひげ輪郭の精度などの多くの異なる相互作用する剃毛パラメータの総和に依存する。これらの剃毛パラメータは、次に、やはりそれら自体の複雑な相互作用を有する複数のパラメータの組み合わせによって影響される。
【0009】
文書欧州特許第0720523(B1)号は、カッター要素がシェーバヘッド表面から突出する高さを調節し、予張力に対抗してカッター刃が潜り得るカッター刃のその予張力を調節し、剃毛性能と皮層刺激との均衡を保つようにモータ速度を調節することを可能にする電気剃毛装置を開示している。当該調整可能パラメータ(すなわち、カッター高さ、予張力、及びモータ速度)は、測定された皮膚接触力、及びマイクによって測定された音響信号(その信号は、カッターによって切断される毛髪の数を示すことが想定される)を含む検出された複数の作動パラメータに応答して、自動的に制御される。制御は、異なる作動パラメータを示す異なる入力信号の影響の均衡を保つためにファジー論理を使用するが、シェーバの達成された自己調節は、異なる使用者の必要性及び異なる使用者の好みに適合する観点から依然として不十分である。
【0010】
更に、国際公開第2007/033729(A1)号は、脱毛デバイスが使用者の皮膚に沿って移動される速度(その速度は回転センサの手段によって測定される)に応答して、モータ速度及びこれによりカッター速度を調節する電気脱毛デバイスを開示している。シェーバは、過去に検出された記憶された速度と同調するモータ速度で脱毛セッションを開始するように、過去に検出された速度が記憶されるメモリを含む。
【0011】
文書国際公開第2015/067498(A1)号は、毛髪カットデバイスを開示しており、カメラを含む位置識別子は、被処理身体部分に対する毛髪カッターの位置を識別し、フィードバックモジュールは、所望の経路及び身体部分に対するカッターの配向の所望の角度を示すためのフィードバックを与える。
【0012】
更に、文書国際公開第2017/062326(A1)号は、デバイス使用を監視するようにネットワークを介してスマートフォン及びコンピューターシステムと連結されたパーソナルケアデバイスを説明する。より具体的には、作動時間は、カミソリカートリッジなどの交換部品がいつ交換される必要があるのかを示すために監視され、作動時間の判定は、シェーバストロークを計数するための最小持続時間などのセンサ設定の調節を含む。
【0013】
更に、文書国際公開第2017/032547(A1)号は、使用者に剃毛指示を音響的に及び/又は視覚的に与える剃毛デバイスを開示しており、「使用者は緩い圧力のみ」又は「高感度速度設定を使用する」などの剃毛指示は、剃毛デバイスによって測定された圧力データ及び/又は動作データなどの使用データに基づいて与えられる。記憶された指示のリストから適切な命令を選択するために、使用データ履歴を考慮することも示唆される。
【0014】
欧州特許第1549468(B1)号は、剃毛される皮膚とせん断ホイルとの適切な接触を検出するシェーバを説明しており、そのような接触が、誘導センサ、静電容量センサ、又は光センサ(せん断ホイルの真上の光バリアを含み得る)の手段によって検出され得ることが述べられている。不適当な接触が皮膚にあるとき、シェーバヘッドを枢動又は傾動させるためのアクチュエータの手段によってハンドルに対するシェーバヘッドの位置を自動的に変動させることが示唆される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】文書欧州特許第0720523(B1)号
【特許文献2】国際公開第2007/033729(A1)号
【特許文献3】文書国際公開第2015/067498(A1)号
【特許文献4】文書国際公開第2017/062326(A1)号
【特許文献5】文書国際公開第2017/032547(A1)号
【特許文献6】欧州特許第1549468(B1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の根底にある目的は、従来技術の欠点の少なくとも1つを回避する、及び/又は既存の解決方法を更に発展させる、改善されたパーソナルケアデバイスを提供することである。本発明の根底にある、より具体的な目的は、パーソナルケアデバイスの改善された自己調節を使用者に提供することである。
【0017】
本発明の根底にある更なる目的は、使用者から製品に対する適応がより少なくていいように、その調節機能のうちの少なくとも1つを自動的に修正する、改善されたパーソナルケアデバイスを提供することである。
【0018】
本発明の根底にある更なる目的は、処理状況の特性の複雑な相互作用に対する、より良好な自己調節を達成することである。
【0019】
上記目的のうちの少なくとも1つを達成するために、検出されたパラメータに応答して所定の方法で調節アクチュエータを制御する所定の制御アルゴリズムに依存せず、制御アルゴリズムが出力制御信号の算出のために使用する信号とは異なる少なくとも1つの入力信号を含む入力信号に応答して、制御アルゴリズムを修正することが示唆される。より具体的には、上記制御アルゴリズムに加えて、電子制御ユニットは、少なくとも1つの修正入力信号に基づいて制御アルゴリズムを修正するための修正アルゴリズムを備えている。そのような修正入力信号は、挙動入力信号とは異なり得、それに応答して、例えば、異なる検出器から生じ、かつ/又は一方で履歴データ及びもう一方でリアルタイムデータを表す観点から、制御アルゴリズムは、調節アクチュエータのための出力制御信号を算出する。そのような追加の修正アルゴリズムにより、異なる使用者の挙動及び好みに対するパーソナルケアデバイスの作動パラメータの調節がより柔軟であり、その調節は、処理特性の複雑なパターンに、より対応する。
【0020】
修正アルゴリズムは、異なる方法で制御アルゴリズムを修正し得る。例えば、修正アルゴリズムは、算出ルールを修正するように構成され得、その算出ルールに従って、制御アルゴリズムは、挙動入力信号から出力制御信号を算出する。これにより、挙動入力信号は同じままであり得るが、出力制御信号は、算出ルールが変化する修正入力信号に基づいて修正アルゴリズムによって修正されるとき、異なるか、変動し得る。
【0021】
より具体的には、修正アルゴリズムは、少なくとも1つの挙動入力信号と出力制御信号との間の関係を定義する特性曲線を変更又は修正又は変化させ得、例えば、当該傾斜が、より急勾配になるか又は勾配が小さくなり、及び/又は当該曲線の曲率が、変化され得、及び/又は当該曲線が変位され得るように、当該曲線の傾斜は変化され得る。制御アルゴリズムにおいて実装された算出のルールを修正するとき、制御アルゴリズムに入力された挙動入力信号は一定のままであり得るが出力制御信号は異なるように算出され得るように、制御アルゴリズムによって実行される制御機能及び/又はデータ処理は、変化又は修正される。
【0022】
本発明の別の態様によると、パーソナルケアデバイスは、少なくとも1つの軸を中心にしてハンドルに対して作動ヘッドを枢動することを可能にするようにその作動ヘッドを枢動可能に浮動させ得、調節機構は、使用者の挙動に応じて、パーソナルケアデバイスに、一方でより積極的で性能重視の取り扱い、もう一方でより快適でより平滑な取り扱いをもたらすように、作動ヘッドの浮動の枢動剛性及び/又は枢動運動に対する作動ヘッドの抵抗及び/又は故障を調節するよう構成されている。より具体的には、調節機構は、ハンドルに対して作動ヘッドを枢動し及び/又はその中立位置から逸脱する作動ヘッドの特定の枢軸角度を達成するのに必要なトルク及び/又は力を変動させ得る。
【0023】
加えて又は代替的に、調節機構は、より大きい又はより小さい最大角度変位を可能にするために、作動ヘッドの角度枢動範囲を調節するように構成され得る。最大利用可能枢動角度がより小さいとき、パーソナルケアデバイスは、より積極的で性能重視の感覚を使用者に与える一方で、より快適でより平滑な感覚は、より大きな最大枢動角度でもたらされる。
【0024】
作動ヘッドの枢動剛性及び/又は角度枢動範囲のそのような調節は、1つ以上の作動要素又は作動ヘッド全体の皮膚接触圧力、パーソナルケアデバイスが被処理身体部分に沿って移動される速度、ストロークの周波数、重力場に対するパーソナルケアデバイスの角度配向、ハンドルを把持する指の位置、及び被処理身体に対する作動ヘッドの位置を含むパラメータの群から選択される少なくとも1つの挙動パラメータに応答して、制御アルゴリズムによって自動的に制御され得る。例えば、作動ヘッドの枢動剛性は、皮膚圧力に応答して調節され得、その皮膚圧力で、作動ヘッドは、使用者の皮膚に対して押し付けられ、そのような皮膚圧力は、好適な皮膚圧力センサによって検出され得る。シェーバの使用者が、例えば、より長い毛髪の切断の際に困難に遭遇するとき、使用者は、通常、シェーバヘッドを皮膚に対してより強く押し付け、使用者は、シェーバヘッドがあまりにも容易に枢動するという印象を得る場合がある。そのため、増加した皮膚圧力を検出すると、調節機構は、枢動剛性を増加し得る。
【0025】
加えて又は代替的に、使用者が、被処理身体部分にわたって高速で、及び/又は高いストローク周波数で、パーソナルケアデバイスを移動させるとき、使用者は、作動ヘッドをより速く枢動、したがってより小さな枢動剛性を必要とし得、そのため、調節機構は、対応するセンサによって検出されるような速度及び/又はストローク周波数の増加に応答して、枢動剛性を増加させ得る。
【0026】
加えて又は代替的に、例えば、使用者が首部分を剃毛しているときに、使用者がデバイスに適応させていることを示す、ハンドル上の指把持位置の変化、及び/又はハンドルの角度配向及び/又はハンドルの角度回転の変化が検出されると、調節機構は、枢動剛性を増加させ得る。典型的には、首領域を剃毛するとき、使用者は、シェーバの前側が使用者から離れた位置を指すように、ハンドルの長手方向軸を中心にシェーバを回転させ、指把持位置を変化させる。更に、使用者は次いで、シェーバヘッドの旋回軸と平行の軸を中心にシェーバを回転させる。そのような挙動パラメータの検出に基づいて、調節機構は、枢動剛性を増加させる、及び/又は枢動範囲を減少させ得る。
【0027】
これら及び他の利点は、図面及び可能な例に言及する以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ハンドル及び枢動可能にそれに接続されるシェーバヘッドを備える電気シェーバに関するパーソナルケアデバイスの斜視図であり、シェーバヘッドの枢動剛性、及びカッター要素の潜り(diving)又は浮動抵抗は、使用者挙動に応答して調節され得る。
図2】制御アルゴリズム及び修正アルゴリズムを含む制御ユニットの構造を示す概略図であり、アルゴリズムへの入力及び出力信号が図解されている。
図3】一例による、制御アルゴリズムと修正アルゴリズムとの交互作用、及び入力及び出力信号の流れを図解する概略図である。
図4】シェーバヘッドの枢動剛性の外観を調節するための概略正面及び側面調節機構である。
図5】更なる実施形態による、剃圧を判定するためにカッター要素の個々の潜りを検出するための検出器を有する、図2に類似したシェーバの概略正面図及び側面図である。
図6】更なる実施形態による、枢動剛性を調節するための調節機構と潜り又は浮動を検出するための検出器とを有する、図2及び図3に類似したシェーバの概略正面図及び側面図である。
図7】検出されたパラメータ及びそれに応答して調節されたシェーバの作動パラメータを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
パーソナルケアデバイスは、異なる使用者の異なる好み及び挙動に自己適応させる快適な方法を提供する。
【0030】
より具体的には、処理状況の特性の複雑な相互作用に対するより良好な自己調節を達成するために、検出されたパラメータに応答して、所定の方法で調節アクチュエータを制御する所定の制御アルゴリズムに依存せず、制御アルゴリズムが出力制御信号の算出のために使用する信号とは異なる少なくとも1つの入力信号を含む入力信号に応答して、制御アルゴリズムを修正することが提言される。より具体的には、上記制御アルゴリズムに加えて、電子制御ユニットは、少なくとも1つの修正入力信号に基づいて制御アルゴリズムを修正するための修正アルゴリズムを備えている。そのような追加の修正アルゴリズムにより、異なる使用者の挙動及び好みに対してパーソナルケアデバイスの作動パラメータはより柔軟に調節され、その調節は、処理特性の複雑なパターンにより応答する。
【0031】
修正アルゴリズムは、異なる方法で制御アルゴリズムを修正し得る。例えば、修正アルゴリズムは、算出ルールを修正するように構成され得、その算出ルールに従って、制御アルゴリズムは、挙動入力信号から出力制御信号を算出する。これにより、挙動入力信号は同じままであり得るが、出力制御信号は、算出ルールが変化する修正入力信号に基づいて修正アルゴリズムによって修正されるとき、異なるか、変動し得る。
【0032】
例えば、ファジー論理に反して、制御アルゴリズムの修正の後、同じ挙動入力信号が、もはや結果として調節アクチュエータの同じ作動を起こさないように、算出ルール又は算出ルールの組に関する制御アルゴリズムは、実際に変化される。従来技術で使用されるファジー論理モデルは、連続変数の異なる部分範囲のための異なる出力算出関数を提供し得、ある特定の部分範囲への入力のメンバーシップ又は部分範囲のある特定の組み合わせに対する複数の入力のメンバーシップに応じて、出力を判定するための複数のメンバーシップ関数を提供し得る。しかしながら、所与の値を有する入力信号の所与の組み合わせについて、ファジー論理の出力が、入力信号のそのような所与の組み合わせについて常に同じであるように、出力の算出のルールは所定のものであり、修正されない。対照的に、制御アルゴリズムが適用される挙動入力信号は同じであるが、出力制御信号が異なり得るように、本明細書に記載されるパーソナルケアデバイスの修正アルゴリズムは、制御アルゴリズムの算出ルールを実際に修正する。
【0033】
より具体的には、修正アルゴリズムは、少なくとも1つの挙動入力信号と出力制御信号との間の関係を定義する特性曲線を変更又は修正又は変化させ得、例えば、当該傾斜が、より急勾配になるか又は勾配が小さくなり、及び/又は当該曲線の曲率が、変化され得、及び/又は当該曲線が変位され得るように、当該曲線の傾斜は変化され得る。
【0034】
そのような関係を定義するマップに関する出力制御信号に関連した2つ以上の挙動入力信号、及び/又はマップ(そのマップに基づいて、制御アルゴリズムは、出力制御信号(複数可)を判定する)に関する1つ以上の挙動信号(複数可)に関連した2つ以上の出力制御信号が存在するとき、修正アルゴリズムは、少なくとも1つの修正入力信号に応答してそのようなマップを修正し得る。例えば、当該レリーフ状マップにおける上昇及び/又は下降の位置及び/又は輪郭は変化され得るか、あるいは、当該マップの傾いた部分の傾斜は変化され得、そのため、当該傾斜は、より急勾配になるか又は勾配が小さくなり、及び/又は当該マップにおける顔の輪郭の曲率は変化され得、及び/又は上昇及び/又は下降は変位され得る。当該修正アルゴリズムに入力された修正入力信号に応答してマップ全体のレベル及び/又は傾きを変化させることも可能であろう。
【0035】
制御アルゴリズムに実装された算出のルール及び/又は当該曲線及び/又は当該マップを修正するとき、制御アルゴリズムに入力された挙動入力信号は一定のままであり得るが出力制御信号が異なるように算出され得るように、制御アルゴリズムによって実行される制御機能及び/又はデータ処理は、変化又は修正される。
【0036】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムは、制御アルゴリズムのデータ収集を修正するように構成され得る。より具体的には、例えば、第1のセンサから生じる挙動入力信号を第2のセンサから生じる挙動入力信号と交換する、及び/又は増加した若しくは減少した数の出力制御信号を発生させる、及び/又は異なる調節アクチュエータに対して異なる出力制御信号を発生させる観点から、制御アルゴリズムが減少した又は増加した数の挙動入力信号を使用する及び/又は異なる挙動入力信号を使用するように、修正アルゴリズムは、制御アルゴリズムを修正し得る。
【0037】
少なくとも1つの修正入力信号(それに基づいて修正アルゴリズムが制御アルゴリズムを修正する)は、例えば、異なる検出器から生じ及び/又はパーソナルケア処理の間に異なる時点で検出されたという観点から、挙動入力信号とは異なり得る。例えば、皮膚接触圧力及びストローク周波数が、挙動パラメータ(それに応答して、制御アルゴリズムは調節アクチュエータに制御信号を送って、作動ヘッドの枢動剛性を調節する)として検出されると、修正入力信号は、制御アルゴリズムを修正し、これにより、指把持位置に応答して、一方の枢動剛性ともう一方の皮膚圧力及びストローク周波数との間の関係を修正するようにパーソナルケアデバイスのハンドルの指位置を検出する指位置センサから生じ得る。例えば、制御アルゴリズムは、検出された皮膚圧力とストローク周波数との積がある特定の閾値を超えると、最大枢動剛性を提供する位置に調節アクチュエータを設定し得る。指位置センサが、首を剃毛するときに通常使用される指把持位置を示す信号を提供する場合、修正アルゴリズムは、例えば、皮膚圧力とストローク周波数との当該積が当該閾値を超えるときでさえ、枢動剛性を上記最大剛性の75%を超えないように設定するための制御信号を制限するように、上記制御アルゴリズムを修正し得る。
【0038】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムは、挙動信号と同じ検出器から生じる修正入力信号を使用し得る。より具体的には、修正アルゴリズムは、検出された挙動パラメータの履歴値を修正入力信号として使用し得る一方で、制御アルゴリズムは、検出された挙動パラメータの現在のリアルタイム値を挙動入力信号として使用する。例えば、皮膚圧力及びストローク周波数、特に、そのリアルタイム値が、制御アルゴリズムによって挙動入力信号であると見なされると、修正アルゴリズムは、例えば、過去のパーソナルケア処理セッション中に検出された皮膚圧力の履歴値に応答して、制御アルゴリズムを修正し得る。
【0039】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムは、修正入力信号として挙動パラメータの履歴値などの値を使用するだけでなく、修正入力信号としての過去及び/又は現在のパーソナルケア処理の間に検出された挙動パラメータの変化率、最大振幅、及び/又は平均値などの、挙動パラメータの処理されたデータを使用し得る。
【0040】
修正アルゴリズムは、異なる方法で修正入力信号から修正を判定し得る。例えば、修正アルゴリズムは、例えば、修正入力信号の平均値、修正入力信号の拡散、修正入力信号の最小値及び/又は最大値、及び/又は中央値、及び/又はその摺動平均を判定するために、修正入力信号の統計的評価を適用するように構成され得る。そのような統計評価に基づいて、修正アルゴリズムは、出力制御信号を調節するように制御アルゴリズムを修正し得る。
【0041】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムは、修正入力信号及び/又は挙動入力信号へのフィルタリング、及び/又は修正入力信号及び/又は挙動入力信号への平滑化、及び/又はマッピング、及び/又はオーバーサンプリング及び/又はアンダーサンプリング、及び/又は入力量の組み合わせを実行するように構成され得る。
【0042】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムは、どのように少なくとも1つの修正入力信号及び/又は少なくとも1つの挙動入力信号が経時的に変化したのかを判定し得、及び/又は当該少なくとも1つの修正入力信号及び/又は当該少なくとも1つの挙動入力信号を参照パラメータと比較して、例えば、それらの間の差を判定し得る。
【0043】
更なる態様によると、修正アルゴリズムは、パーソナルケアデバイスの通常の動作中、すなわち、パーソナルケア処理の実行中に、制御アルゴリズムを連続的に及び/又は反復的に修正するように構成されている。特に、制御アルゴリズムは、パーソナルケアデバイスの通常の使用中に、自動的に修正され得る。「通常の使用中」というのは、例えば、デバイスが特殊/較正モードに切り換えられる必要がない、又は特殊較正処理がパラメータを検出するために実施される必要がないことを意味する。これでは不便であろう。それはまた、できるだけ多くのデータが収集される利点を有するデータ収集時間が最大にされ、かつデータ収集が常に最新であることを意味する。
【0044】
「自動的に」というのは、例えば、データ収集が行われるように、使用者がスイッチを押し、質問に応答することなどの入力を提供し、選択肢を選択することなどの必要がないことを意味する。
【0045】
少なくとも1つの挙動入力信号(それに応答して、制御アルゴリズムが出力制御信号を算出する)は、例えば、パーソナルケアデバイスの取り扱い中の使用者の挙動を示す挙動パラメータを検出する少なくとも1つの検出器によって検出されたときのリアルタイム信号であり得る。制御アルゴリズムに入力される挙動入力信号は、当該検出器によって提供される信号に直接対応し得る。代替的に、検出器信号又はセンサ信号は、それが制御アルゴリズムに入力される前に、信号処理及び/又は信号変換に供されてもよい。例えば、使用者の挙動を示す検出器信号は、フィルタリング及び/又は騒音低減及び/又は増幅に供されて、次いで制御アルゴリズムに入力される挙動入力信号になる場合がある。
【0046】
加えて又は代替的に、検出器信号は、制御アルゴリズムに入力される挙動入力信号になるために他の検出器信号と組み合わせてもよい。例えば、皮膚接触圧力を測定する2つ又は3つの圧力センサが存在するとき、対応する検出器信号は合計され得、潜在的に検出器の数で割った合計が、制御アルゴリズムに入力され得る。加えて又は代替的に、検出器信号は、例えば、異なる要素にわたる不均一な圧力分布を識別するために、互いから減算され得、不均一な圧力分布を示す減算値のそのような結果が、制御アルゴリズムに入力され得る。
【0047】
そのような挙動信号は、異なるセンサ又は検出器によって検出され得、使用者の挙動の異なる特性を示し得る(パーソナルケアデバイスを取り扱うとき)。例えば、加速度計などの少なくとも1つの検出器は、速度、加速度、長さ、方向、配向、周波数、パターン、同じ領域にわたる反復的なストローク、及びこれらの量の全ての派生物などのストローク特性、及び/又は位置、加速度、速度、運動周波数、運動パターン、及びこれらの量の派生物などのデバイス配向及び/又は移動、及び/又はシェーバヘッド、シェーバハンドル、切断要素、及び/又は皮膚領域の振動を検出するために使用され得る。
【0048】
加えて又は代替的に、ジャイロスコープなどの少なくとも1つの検出器は、ストローク特性(シェーバの回転運動に関連した方向、配向、周波数、パターン、これらの量の全ての派生物など)、及び/又はデバイス及び/又はその部品(ヘッド又は本体など)の配向及び移動(例えば、剃毛の回転移動に関連した位置、加速度、速度、運動周波数、移動パターン、及びこれらの量の派生物)を検出するために使用され得る。これらは、絶対的に及び/又は使用者の顔若しくは腕/手などの他の対象物に対して測定され得る。
【0049】
更に、少なくとも1つの検出器は、例えば、加速度計などの少なくとも1つの検出器は、ストローク特性(速度、加速度、長さ、方向、配向、周波数、パターン、及びこれらの量の全ての派生物など)、デバイス配向及び運動(位置、加速度、速度、運動周波数、運動パターン、及びこれらの量の派生物)、及び/又は使用者の配向及び運動(位置、加速度、速度、運動周波数、運動パターン、助力者(second hand)の使用(例えば、皮膚伸張又は単一の処理し残した毛髪を得ることを試みるため)を含む、動作追跡及び/又は動作捕捉のために使用され得る。これは、シェーバ、又は浴室の鏡などの任意の他の対象物に対して絶対的又は相対的であり得る。
【0050】
加えて又は代替的に、カメラ又は他の光センサなどの少なくとも1つの検出器は、ゆがみ、ヘッドの傾斜、及び/又は皮膚張力若しくはひだを検出するために使用され得る。
【0051】
加えて又は代替的に、圧力などの少なくとも1つの検出器、例えば、容量性又は抵抗性タッチセンサ又は他の力測定センサは、顔と作動ヘッド及び/又はシェーバヘッドの切断部分との間の皮膚接触力、及び/又は各切断要素上の力及び異なる要素にわたる分布を検出するために使用され得る。
【0052】
加えて又は代替的に、タッチセンサなどの少なくとも1つの検出器、例えば、容量性又は抵抗性タッチセンサは、把持力及び/又は把持表面の位置及び/又は領域、及び/又はグリップの種類を検出し得る。
【0053】
加えて又は代替的に、1次元、2次元、又は3次元で構成され得る力センサなどの少なくとも1つの検出器は、使用者が皮膚に対してデバイスを押し付ける結果として生じる方向を検出し得る。
【0054】
加えて又は代替的に、ホールセンサなどの少なくとも1つの検出器は、外力により互いに対して相対的にデバイスの部品の運動を検出し得る。
【0055】
加えて又は代替的に、モータ電流ベースの検出システムなどの少なくとも1つの検出器は、切断要素の皮膚接触力、毛髪切断作業、及び/又は摩耗状態などのパラメータを判定し得る。
【0056】
全ての上記検出器及びセンサは、パーソナルケアデバイス自体の中にあってもよいし、そのデバイスの外部にあってもよく(例えば、動作追跡機器、スマートウォッチなどの装着型電子装置)、又は外部装置(スマートフォンなど)内にあってもよい。
【0057】
制御アルゴリズムを修正するための修正アルゴリズムによって使用される少なくとも1つの修正入力信号は、上記検出器及びセンサのうちのいずれか1つによって提供される上記パラメータ及び信号のうちのいずれかを含み得、更に、それはまた、異なる供給源から生じ得、及び/又はパーソナルケア処理の異なる特性及び/又は使用者の挙動及び/又は使用者の好み及び/又はパーソナルケア処理の間の周囲条件を示し得る。例えば、少なくとも1つの修正入力信号は、パーソナルケアデバイス自体によって収集されるデータに対応し得る。より具体的には、少なくとも1つの修正入力信号は、パーソナルケアデバイスにおいて提供された検出器及び/又はセンサの、検出器信号及びに/又はセンサ信号であり得る。
【0058】
加えて又は代替的に、クラウド、スマートフォン、会社サーバー、パーソナルケアデバイスを装填及び/又は洗浄するための洗浄センター及び/又は装填センターなどの外部源からのデータ、及び/又はスマートウォッチ及び/又は他の周辺機器からのデータは、少なくとも1つの修正入力信号として使用され得る。
【0059】
修正入力信号は、異なる特性を示し得る。例えば、修正入力信号は、パーソナルケアデバイスを取り扱うときの使用者の挙動を示す挙動及び/又は環境及び/又は生理的パラメータ、及び/又は湿度などの環境特性及び/又は毛髪長若しくは毛髪密度などの生理的特性を示し得る。
【0060】
修正入力信号は、パーソナルケア処理セッションの間にそうであるように、それぞれの特性を示すリアルタイム信号であり得る。加えて又は代替的に、修正入力信号は、過去の値を含み得る。より具体的には、修正入力信号は、上記特性の傾向及び/又勾配及び/又は発現に関する情報を含み得る。
【0061】
基本的に、修正アルゴリズムは、制御アルゴリズムが出力制御信号を算出するために使用する際の修正入力信号と同じ信号を使用し得、例えば、修正アルゴリズムは、制御アルゴリズムを修正するための傾向及び/又は勾配及び/又は平均値などの信号から統計的評価を判定し得る。
【0062】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムはまた、修正入力信号として他のデータ及び/又は信号を使用して、制御アルゴリズムに適用される修正を判定する。例えば、制御アルゴリズムが、皮膚接触圧力センサによって判定された皮膚接触圧力に応答して、作動ヘッドの枢動剛性(すなわち、ハンドルに対して枢動することに対する作動ヘッドの抵抗)を変動させるとき、修正アルゴリズムは、制御アルゴリズムを修正するためにストローク周波数を使用し得る。例えば、ストローク周波数が低いときは、制御アルゴリズムは、例えば、4Nを高圧力であると考えるように修正され得る一方で、ストローク周波数が高いときは、修正アルゴリズムは、2Nを高圧力であると考えるように制御アルゴリズムを修正し得る。そのため、低いストローク周波数が存在し、かつ皮膚接触圧力が4Nに到達するとき、制御アルゴリズムは、作動ヘッドの枢動剛性を高く調節し得るが、一方では、高いストローク周波数が存在し、かつ皮膚接触圧力が2Nに到達するとき、高い枢動剛性が設定される。
【0063】
更なる態様によると、修正アルゴリズムは、使用者の個々の挙動に調節機能を適応させるように、検出された挙動パラメータのレベル及び/又は質に対してパーソナルケアデバイスの調節機構を適応させ得る。より具体的には、パーソナルケアデバイスは、検出された挙動パラメータの履歴及びその現在値に応答して、検出された挙動パラメータに対する調節機構による少なくとも1つの作動パラメータの調節の間の関係を較正するための較正デバイスを含み得る。検出されたある特定の挙動パラメータが現在の処理セッション中にある特定の範囲内で変化する、及び/又は過去の処理セッション中にある特定の範囲内で変化したとき、調節機構は、上記の判定された範囲の最大値又は当該範囲を超えるものにおける挙動パラメータの現在値を高レベルであると考え、及び/又は当該範囲の中間にある現在値を平均レベル値であると考え、及び/又は当該範囲の下限又は当該下限未満でさえあるものを当該挙動パラメータの低レベル値であると考えるように較正され得る。そのような較正により、調節機構は、個々の使用者の必要性により良好に適合する方法で、作動パラメータを調節し得る。
【0064】
例えば、皮膚接触圧力が挙動パラメータとして検出されると、第1の使用者は、2~4Nの範囲の皮膚接触圧力でパーソナルケアデバイスを取り扱うことができ、そのため、上記較正デバイスの手段によって、調節機構は、2Nがこの使用者にとって低圧力であると考えることができるようになり得る一方で、4Nは高圧力であるであろう。その一方で、別の使用者が1~2Nの範囲の皮膚接触圧力でパーソナルケアデバイスを取り扱うとき、調節機構は、2Nが高圧力であることを知るようになり、1Nは低圧力である。調節の種類に応じて及び/又は作動パラメータに応じて、調節機構は、作動パラメータを、検出された挙動パラメータが第1の使用者について4Nに到達すると、高レベルに設定し、皮膚接触圧力が当該第1の使用者について2Nに到達すると、低レベルに設定し得る一方で、2Nが第2の使用者について検出されると、作動パラメータは高レベル設定に設定され得る。
【0065】
アルゴリズムが自己修正する可能性がある場合についての更なる具体的な例は、それが異なる使用者によって、例えば、通常とは非常に異なる挙動を検出することによって使用されていると認識される場合である。この場合、アルゴリズムは、それが第1の使用者に関する設定をすでに修正したと仮定して、デフォルト/工場設定にそれ自体を修正して戻し得る。
【0066】
調節機構によって調節され得る作動パラメータは、デバイスの作動ヘッド及び/又は作動工具及び/又は駆動ユニット又は駆動トレインの機械的設定又は機械的機能などのパーソナルケア処理に影響を及ぼすデバイスの異なる物理的設定及び/又は機能を含み得る。より具体的には、パーソナルケア処理が適用される方法を変化させる作動パラメータは調節されることができる。そのような機械的設定又は機能は、ハンドルに対する作動ヘッドの可動性、及び/又は長毛髪カッターなどの1つ以上の作動工具の動作、及び他の工具に対するその位置、及び/又は皮膚を冷却/加熱するための冷却/加熱要素の温度、及び/又は被処理身体部分に潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布装置の動作を含み得る。
【0067】
適応されるそのような作動パラメータは、パーソナルケアデバイスの機能特性の特徴であり得、以下の少なくとも1つを含み得る:異なる切断要素及び/又は非切断要素(例えば、互いに対するガード、コームなど)の高さ、ブレード周波数、ブレード振幅、個々の切断要素の浮動力、ヘッドを旋回/傾動させるために必要な力、例えば、使用者の皮膚、皮膚張力付与要素と接触しているヘッドフレームに関する切断部分の領域と非切断部分の領域との間の比率、身体に対するヘッドの3D角度、身体に対するヘッドの高さ、ホイル孔寸法及び/又はパターン、シェーバヘッド振動、ハンドル振動。
【0068】
本発明の別の態様によると、パーソナルケアデバイスは、少なくとも1つの軸を中心にしてハンドルに対して作動ヘッドを枢動することを可能にするようにその作動ヘッドを枢動可能に浮動させ得、調節機構は、使用者の挙動に応じて、パーソナルケアデバイスに、一方でより積極的で性能重視の取り扱い、もう一方でより快適でより平滑な取り扱いをもたらすように、作動ヘッドの浮動の枢動剛性及び/又は枢動運動に対する作動ヘッドの抵抗及び/又は故障を調節するよう構成されている。より具体的には、調節機構は、ハンドルに対して作動ヘッドを枢動し及び/又はその中立位置から逸脱する作動ヘッドの特定の枢軸角度を達成するのに必要なトルク及び/又は力を変動させ得る。
【0069】
加えて又は代替的に、調節機構は、より大きい又はより小さい最大角度変位を可能にするために、作動ヘッドの角度枢動範囲を調節するように構成され得る。最大利用可能枢動角度がより小さいとき、パーソナルケアデバイスは、より積極的で性能重視の感覚を使用者に与える一方で、より快適なでより平滑な感覚は、より大きな最大枢動角度でもたらされる。
【0070】
作動ヘッドの枢動剛性及び/又は角度枢動範囲のそのような調節は、皮膚接触圧力、パーソナルケアデバイスが被処理身体部分に沿って移動される速度、ストロークの周波数、重力場に対するパーソナルケアデバイスの角度配向、ハンドルを把持する指の位置、及び被処理身体に対する作動ヘッドの位置を含むパラメータの群から選択される少なくとも1つの挙動パラメータに応答して、自動的に制御され得る。例えば、作動ヘッドの枢動剛性は、皮膚圧力に応答して調節され得、その皮膚圧力で、作動ヘッドは、使用者の皮膚に対して押し付けられ、そのような皮膚圧力は、好適な皮膚圧力センサによって検出され得る。シェーバの使用者が、例えば、より長い毛髪の切断の際に困難に遭遇するとき、使用者は、通常、シェーバヘッドを皮膚に対してより強く押し付け、使用者は、シェーバヘッドがあまりにも容易に枢動するという印象を得る場合がある。そのため、増加した皮膚圧力を検出するとき、調節機構は、枢動剛性を増加し得る。
【0071】
加えて又は代替的に、使用者が、被処理身体部分にわたって高速で、及び/又は高いストローク周波数で、パーソナルケアデバイスを移動させるとき使用者は、作動ヘッドをより速く枢動、したがってより小さな枢動剛性を必要とし得、そのため、調節機構は、対応するセンサによって検出されるような速度及び/又はストローク周波数の増加に応答して、枢動剛性を増加させ得る。
【0072】
加えて又は代替的に、例えば、使用者が首部分を剃毛しているときに、使用者がデバイスに適応させていることを示す、ハンドル上の指把持位置の変化、及び/又はハンドルの角度配向及び/又はハンドルの角度回転の変化が検出されるとき、調節機構は、枢動剛性を増加又は減少させ得る。典型的には、首領域を剃毛するとき、使用者は、シェーバの前側が使用者から離れた位置を指すように、ハンドルの長手方向軸を中心にシェーバを回転させ、指把持位置を変化させる。更に、使用者は、次いで、シェーバヘッドの旋回軸と平行の軸を中心にシェーバを回転させる。そのような挙動パラメータの検出に基づいて、調節機構は、枢動剛性を増加させるか、枢動範囲を減少させ得る。
【0073】
加えて又は代替的に、パーソナルケアデバイスの枢動剛性及び/又は少なくとも別の調節可能な作動パラメータは、環境パラメータなど、他のパラメータに応答して調節され得る。例えば、少なくとも1つの環境検出器は、空気湿度及び空気温度を検出し得、枢動剛性及び/又は浮動剛性及び/又はカッター速度及び/又はカッター周波数は、検出された空気湿度及び/又は空気温度に応答して調節され得る。
【0074】
代替的に又は加えて、枢動剛性は、好適な生理的検出器によって検出され得る使用者の生理的パラメータに応答して、調節され得る。例えば、剃毛される皮膚部分上の毛髪の密度や長さは、カメラなどの視覚又は光学センサによって検出され得る。更に、皮膚水分が検出されて、枢動剛性などの上記作動パラメータのうちの1つを調節することができる。
【0075】
シェーバの通常の使用中に検出されたセンサデータに加えて、他の情報を使用して、パーソナルケアデバイスの自己調節機能を使用者の好みに適応させてもよい。例えば、1つ以上の既知の使用者適応のデータベースは、いつ特定の使用者が自らの挙動をシェーバに適応させている(既知の生理的及び/又は気候条件に対する典型的な適応も任意選択的に含む)のかを識別するために使用され得、そのようなデータベースは、大規模な消費者調査に基づき得、及び/又は製品の寿命を通して更新を受信し得る。パーソナルケアデバイスの制御ユニットは、個々に検出されたパラメータをデータベースからのデータと比較して、検出されたデータが通常の平均挙動及び/又は通常/平均パラメータを示す、及び/又は適応挙動を表すかどうかを見出し得る。
【0076】
データベースからのそのような参照データに加えて、又はその代替として、パーソナルケアデバイスの調節はまた、使用者自身から回収されたデータに基づいて達成され得る。例えば、デバイスは、使用者の好みを入力するためのタッチスクリーンなどの入力手段を含み得る。
【0077】
ディスプレイデバイスは、設定選択に関する情報、及びシェーバの他の態様に関する情報(上記充電レベル、剃毛時間、洗浄状況、又は摩損状況など)を表示するために使用される少なくとも1つのディスプレイフィールドを含み得る。例えば、そのようなディスプレイフィールドは、例えば、LEDの列又は単一のLEDに関して、表示点の翼列又は列などのピクトグラムを表示するように構成され得る。
【0078】
そのような関連した情報を視覚的に表示することに加えて又はその代替として、そのような情報を使用者に通信するための通信の他の手段が存在し得る。例えば、オーディオ出力手段は、情報を使用者に通信するための音声などの可聴信号を出力し得る。
【0079】
電気シェーバ自体の上で提供されるディスプレイ又は他の情報出力に加えて又はその代替として、タッチディスプレイなどのディスプレイ及び/又は他の通信手段は、電気シェーバを受信して及び/又はそれに接続されて、シェーバのバッテリを充電して及び/又はシェーバを洗浄するように構成されている洗浄及び/又は装荷ステーション上で提供され得、流体がシェーバヘッドに適用されて、シェーバを洗浄することができる。そのような洗浄及び/又は充電ステーションは、ディスプレイデバイス、及び/又は音声出力デバイス、又は別の通信機(シェーバが上記情報を表示及び/又は入力するようにステーション内にドッキングされるとき、少なくとも電気シェーバと通信するように構成されている)を含み得る。
【0080】
パーソナルケアデバイス自体及び/又はその補助ステーション上で提供されるそのような通信手段はまた、リセットモードの入力を可能にし、パーソナルケアデバイスをその工場設定に戻して、新しい調節及び/又はオーバーライド機能を可能にして、使用者が、制御アルゴリズムによって決定されたデバイス機能特性とは異なるデバイス機能特性を設定及び/又は修正及び/又は使用することを可能にするように構成され得る。加えて又は代替的に、通信手段は、使用者が異なる動作モードを選択することを可能にするように構成され得る。例えば、スポーツモード又は快適モードは、自己修正がどれくらい迅速に起こるのかに影響を与えるように選択され得る。
【0081】
加えて又は代替的に、スタートアップモードは、使用者への機能信号としてデバイスに触れられる及び/又は電源を投入されて、それを歓迎する又はその能力又はその準備を示す度に、提供され得る。この機能信号は、例えば、第1の位置から第2の位置へのシェーバヘッドの電動旋回、モータ音、光又は表示信号であり得る。
【0082】
これら及び他の特徴は図面に示す例から明らかになる。図1で見られるように、シェーバ1は、シェーバを保持するためのハンドル2を形成するシェーバハウジングを有し得、そのハンドルは、大雑把に言って、シェーバを人間工学的に(economically)把持するための実質的に円筒状の形状又は箱形状又は骨形状などの異なる形状を有し得る。
【0083】
シェーバ1の一端で、シェーバヘッド3はハンドルに取り付けられており、シェーバヘッド3は、1つ以上の旋回軸を中心に旋回可能に支持され得る。
【0084】
シェーバヘッド3は、カッター要素又はアンダーカッター(せん断ホイルの下で往復運動する)を含み得る少なくとも1つのカッターユニット4を含む。シェーバヘッド3はまた、図1により示されるように、長毛髪カッター8を含み得る。
【0085】
そのようなカッターユニット4及び長毛髪カッター8を駆動するために、駆動ユニット5は、ハンドル2内に受容され得、またモータからカッターユニットまで延在する送信器又は駆動トレインの手段によってカッターユニット4及び長毛髪カッター8に接続され得るモータを含み得る。
【0086】
図1で見られるように、オンオフスイッチすなわち電源スイッチ17は、ハンドル2に配置され得る。そのような電源スイッチ17の手段によって、駆動ユニット5が起動され、再びスイッチをオフにされ得る。
【0087】
図1で見られるように、シェーバ1は、ハンドル2上に、例えば、その前側に設けられ得るディスプレイ18を更に含む。そのようなディスプレイ18は、個々の設定の好みが入力されることを可能にするタッチディスプレイデバイスであり得る。
【0088】
図1で見られるように、シェーバ1は、例えば、電源スイッチ17の近傍に位置決めされ得るタッチボタン16に関して、更なる入力要素7を含み得る。
【0089】
シェーバ1のいくつかの作動パラメータ及び/又は作動機能は、詳細に説明されるように、シェーバヘッド3の枢動剛性及び長毛髪カッター8の位置及び/又は動作などのシェーバの機械的設定及び/又は動作設定を変更させ得る調節デバイス6の手段によって調節することができる。そのような調節デバイス6は、電気モータ又は電気主体、又は磁気主体などの他の形態のエネルギーを使用する他の種類の主体などの1つ以上の調節アクチュエータAAを含み得る。そのような調節アクチュエータは、制御ユニット80によって制御され得、そのような制御ユニット80は、電子制御ユニット、特に、メモリ内に記憶されたソフトウェアに基づいて作動するマイクロコントローラを含み得る。
【0090】
そのような制御ユニット80は、複数の検出器によってシェーバ1の動作中に検出される異なる処理パラメータを考慮し得る。加えて、制御ユニット80はまた、より詳細に説明されるように、現在のセッション及び/又は以前の剃毛セッションの検出されたパラメータの値の履歴に応答し得る。
【0091】
図2で見られるように、制御ユニット80は、検出された少なくとも1つの挙動パラメータを示す少なくとも1つの挙動入力信号Sin,1-nに応答して、1つ以上の調節アクチュエータAAのための出力制御信号Sout,1-nを算出するための制御アルゴリズムfcontrolを含む。
【0092】
そのような制御アルゴリズムfcontrolに加えて、電子制御ユニット80は、上記挙動入力信号Sin,1-nとは異なる少なくとも1つの修正入力信号Sin,a-xに基づいて上記制御アルゴリズムfcontrolを修正するための修正アルゴリズムfmodifyを備えている。より具体的には、当該修正アルゴリズムfmodifyはまた、修正入力信号として挙動入力信号を使用し得るが、それは、当該挙動入力信号とは異なる少なくとも1つの修正入力信号を使用する。
【0093】
そのような挙動入力信号Sin,1-n及び/又は当該修正入力信号Sin,a-xは、より詳細に説明されるように、関連したパラメータを検出及び/又は測定するための検出器及び/又はセンサから生じ得る。
【0094】
そのような検出器は、特に、作動ヘッド3が身体表面30の上に押し付けられる力を検出するための力検出器41を含み得る。そのような力検出器41は、ハンドル2に向かう作動ヘッド3の潜りを測定するセンサ、ハンドルにおける曲げ応力を測定するセンサ、又は全て接触圧力を表す作動工具を駆動するモータのトルク及び/又は荷重を測定するセンサなどの様々な感知手段を含み得る。
【0095】
作動ヘッドが皮膚に対して押し付けられる検出された圧力又は力に応答して、制御ユニット80は、例えば、シェーバヘッド3の枢軸剛性を変動させ得る。
【0096】
異なる習慣を有する異なる使用者に対して全範囲の設定及び/又は調節を有するように、較正デバイス60は、図7によって図解されるように、枢動剛性と検出された力との関係を較正し得る。そうでない場合には、比較的高い力を常に加える使用者は、ただ高い枢動剛性を得るであろう一方で、通常は僅かな力だけを加える別の使用者は、低い枢動剛性のみを得るであろう。そのような不必要な状況を回避するために、較正デバイス60は、検出された力の値の使用者履歴を考慮し得る。より具体的には、適応コントローラ61は、例えば、枢動剛性tと力の量との間の関係を表す曲線に関してアルゴリズムを変動し得る。例えば、使用者履歴が比較的高い平均力を示すとき、適応コントローラ61は、剛性をより高い力の値に対して高いのみに設定する曲線に基本曲線を変化させ得る。一方、使用者履歴が比較的低い平均力を示す場合、曲線は、すでにより低い力に対してより高い剛性を提供するように変動され得る。
【0097】
上記力の検出に加えて、又はそのような力検出の代替として、様々な他の挙動及び/又は環境及び/又は生理的パラメータが検出され得、上記較正デバイス60は、類似した方法でそのような他の処理パラメータの制御機能の較正を提供し得る。
【0098】
より具体的には、以下の検出器が提供され得る(以下のうちの全て若しくは1つ又はその任意の組み合わせ):
・身体表面30との作動ヘッド3の接触を検出するためのタッチ検出器42、
・パーソナルケアデバイスの速度及び/又は加速度を検出するための速度及び/又は加速度検出器43、
・3次元でパーソナルケアデバイスの回転及び/又は配向を検出するための回転検出器44、
・ストローク速度及び/又はストローク長を検出するためのストローク速度及び/又はストローク長検出器48であって、そのようなストローク検出器48が加速度計を含み得る、ストローク速度及び/又はストローク長検出器48、
・被処理身体部分の所定領域にわたるストローク数を検出するためのストローク密度検出器49であって、そのようなストローク密度検出器49もまた加速度計を含み得る、ストローク密度検出器49、
・鏡からのシェーバ1及び/又は使用者の距離を検出するための距離検出器50であって、そのような距離検出器50が位置センサを含み得る、距離検出器50、
・剃毛における一時停止を検出するための検出器51であって、そのような検出器51は、シェーバから皮膚への接触又はオンオフスイッチを検出する接触センサを含み得る、検出器51、
・使用者の顔に対するシェーバヘッド3の角度の変化、及び/又は使用者の顔に対するシェーバハンドル2の角度の変化、及び/又は使用者の手若しくは腕に対するシェーバハンドル2の角度の変化を検出するための角度センサ52、
・シェーバ本体の上のより高くに指を移動させる及び/又は前側の親指及び後側の他の指でハンドル2を保持することなど、グリップの種類の変化を検出するためのグリップ検出器53、
・作動ヘッド3と使用者の顔との接触領域、及び/又は当該接触領域の変化、例えば、1つのカッターユニット4のみ及び/又は両方のカッターユニット4との接触を検出するための接触検出器54、
・毛髪密度及び/又は毛髪長を検出するための毛髪検出器55、
・空気湿度及び/又は空気温度を検出するための環境検出器56、
・ハンドル2に対する作動ヘッド3の直線及び/又は回転変位を検出するための変位検出器45、
・パーソナルケアデバイスの切断作業を検出するための切断作業検出器46、
・長毛髪トリマーの位置を検出するためのトリマー位置検出器47、及び
・皮膚水分を感知するための皮膚水分センサの検出器。
【0099】
シェーバ1は、処理に関連する他のパラメータを検出又は測定するための検出ユニットを更に備えてよく、そのような検出ユニットは、例えば、剃毛中の駆動ユニットの消費電力を検出するための電圧及び/又は電流検出器、及び/又は剃毛時間を測定するための時間測定手段を含み得る。
【0100】
当該制御ユニット80は、上記パラメータを示す信号を受信しかつそのような信号を分析して上記処理パラメータを判定し得るマイクロコントローラ21を含み得、調節デバイス6は、マイクロコントローラ21によって制御されて前述の作動パラメータのいずれかを調節することができる。
【0101】
検出されたパラメータに基づいて、デバイスは異なる方法で調節され得る。より具体的には、制御ユニット80の制御アルゴリズムfcontrolは、算出ルールに従って、及び/又は当該電子制御ユニット80内で、例えば、マイクロコントローラがアクセスするメモリデバイス内で実装された曲線及び/又はマップに基づいて、調節アクチュエータAAを制御するために、制御出力信号を設定し得る。しかしながら、図2から推測され得るように、そのような算出ルール及び/又は曲線及び/又はマップは、修正入力信号Sin,a-xに応答して、上記の修正アルゴリズムfmodifyによって修正され得る。より具体的には、当該修正アルゴリズムは、パーソナルケアデバイスによるパーソナルケア処理の実行中に、制御アルゴリズムfcontrolを連続的に又は反復的に修正するように構成され得る。
【0102】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムfmodifyは、挙動入力信号Sin,1-nに基づいて出力制御信号を算出するために制御アルゴリズムfcontrolによって使用される算出ルールを修正するように構成され得る。
【0103】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムfmodifyは、挙動入力信号と出力制御信号との間の関係を定義する曲線を修正するように、及び/又は2つ以上の挙動入力信号と少なくとも1つの出力制御信号との間の関係を定義するマップを修正するように、及び/又は少なくとも1つの挙動入力信号と2つ以上の出力制御信号との間の関係を定義するマップを修正するように、構成され得る。
【0104】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムfmodifyは、制御アルゴリズムfcontrolのデータ収集を修正するように構成され得、修正アルゴリズムfmodifyは、挙動入力信号の数、挙動入力信号の種類、出力制御信号の数、及び出力制御信号の種類のうちの少なくとも1つを修正する。
【0105】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムfmodifyは、少なくとも1つの信号処理工程を修正入力信号に適用するように構成され得、当該信号処理工程は、修正入力信号の平均値及び/又は拡散及び/又は最小値及び/又は最大値及び/又は中央値及び/又は摺動平均の判定を含む統計的評価、修正入力信号及び/又は挙動入力信号のフィルタリング、修正入力信号及び/又は挙動入力信号の平滑化、マッピング、オーバーサンプリング、アンダーサンプリング、及び/又は上記信号処理工程の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0106】
加えて又は代替的に、修正アルゴリズムfmodifyは、修正入力信号及び/又は挙動入力信号と参照パラメータとの差を判定するように構成され得る。
【0107】
調節アクチュエータの制御及びそのような制御の修正のいくつかの例として、以下を挙げる。
【0108】
生えている向きと逆方向に剃毛するとき、乾式電気シェーバは、顎ひげの毛髪を最も良好に切断する。使用者は通常このことを知っているが、これを首領域、特に、首の上の寝ている毛髪で行うことは困難であることが分かり、ここで剃毛することを更に困難にする。これに応答して、首領域を剃毛するとき、使用者は自らのシェーバ1を長手方向軸(D)を中心に典型的には回転させ、シェーバの前側が自分から離れた位置を指すように、自らのグリップを変化させる。更に、図4に示されるように、使用者は、次いで、旋回軸と平行な軸(H)を中心にシェーバを回転させる。これは、使用者によって自動的に行われ、その使用者は、自分がこれを行っていることに通常は気付かない。しかしながら、それは、非人間工学的であり、かつ余分な手間を必要とする。使用者がこのようにシェーバ1を直観的に移動させる理由は、この状況に関して、軽く旋回するヘッド、すなわち、低い枢動抵抗が逆効果であることである。このように挙動することによって、使用者は旋回/枢動運動を低減させることができる。
【0109】
第一に、シェーバ1は、この典型的に適応する挙動を認識する。これは、異なるセンサの複数の異なる組み合わせによって達成され得る。図3及び図4に示される実施形態では、加速度計43及びジャイロスコープ44の使用が有利であり得る。カメラなどの光学センサの使用が、代替となるであろう。これは、生理的及び/又は気候データの使用によって、任意に更に支持され得る。
【0110】
使用、及び任意選択的に多数の使用者からの生理的及び/又は気候データ、及び任意選択的に機械学習の使用に基づいて、アルゴリズムは、加速度計及びジャイロスコープからのどの典型的データがこの挙動を示すかを知っている。次いで、この挙動が識別されると、サーボモータは、シェーバネックの剛性(すなわち、ヘッド3の枢動剛性)を増加するためにヘッド3とハンドル2とを接続するばね(G)の予荷重を増加し、シェーバヘッド3(図4を参照)の旋回を低減させる。
【0111】
より具体的には、シェーバヘッド3は、例えば、回転軸(本明細書では旋回軸(C)と呼ばれる)(シェーバハンドルの長手方向軸(D)に直交するように配向されている)に対するシェーバヘッド3の回転に関して、少なくとも1つの自由度でシェーバハンドル2に対して移動可能であり、シェーバハンドル2は、加速度計センサ(E)及びジャイロスコープを備えている。加速度計(E)は、周囲の重力場に対するシェーバ1の空間配向及び運動を判定する方法で設定される。ジャイロスコープは、その長手方向軸を中心としたシェーバ1のねじりを判定するように設定される。ハンドル2へのシェーバヘッド3の相対的運動は、アクチュエータ(F)(この場合、シェーバヘッド3にシェーバハンドル2を接続するばね(G)の予荷重を調節するように設定されているサーボモータ)によって制御される。加えて、寝ている毛髪の位置を識別するカメラシステムも含まれ得る。
【0112】
使用者が両方の軸を中心にシェーバ1を回転させる範囲、及び使用者がこれを行う速度は、異なる使用者の間だけでなく、異なる剃毛の間で、又は剃毛中でさえ大いに変動する。したがって、自動自己修正アルゴリズムは、加速度計データの連続的監視に基づいてばね(G)の予荷重調節を制御する制御ユニット(I)内に設けられて、異なる時間尺度(=可変探査時間を有する)上で摺動平均値及び摺動拡散値を算出し得る。このように、シェーバは、個々に使用者の剃毛挙動に反応して、より円滑な(smother)、より手間を要しない剃毛を達成する。
【0113】
より具体的には、図3から見られるように、加速度センサ43からのx方向(示された座標系の)の信号の平均値が取られる。シェーバの振動から結果として生じる妨害周波数成分は、フィルタ103(情報フローの図)によってフィルタリングされる。信号は、アクチュエータAAを制御するために制御アルゴリズムfcontrolによって使用される。アクチュエータAAの位置は、加速度センサ43によって測定されたx方向の加速度に比例する、オフセット及び寄与度の合計として、制御アルゴリズムfcontrolによって算出され得る。
【0114】
最後に、制御アルゴリズムfcontrolは、特定の値、例えば1Hzより上の妨害周波数成分を除去する低域通過フィルタを含む。修正アルゴリズムfmodifyの論理ブロック106は、加速度センサ43のx値の摺動平均を算出することができる。時定数は、例えば、平均剃毛の持続時間と同じ長さである。修正アルゴリズムfmodifyの論理ブロック107は、連続的に(すなわち、頻繁に、かつ使用者によってトリガされることなく)この平均値を取り、制御アルゴリズムfcontrolにおける前述のオフセットをこの値と交換し得る。
【0115】
この場合、経時的な使用者の剃毛挙動の変化を考慮することが選択され(例えば、剃毛挙動が夏時間と冬時間とで変化するとき)、そのため、例えば、最後の10回の剃毛は記憶され、この特定の使用者に適合するように制御アルゴリズムfcontrolの参照値を修正するために使用される。あるいは、全ての以前の剃毛値は、アルゴリズムの修正に考慮され得、ここで、より高い重み付けは、より最近の剃毛に与えられ得る。
【0116】
加えて、この調節の必要性を識別する成功率は、修正アルゴリズムのfmodify算出にフィルタ104によってフィルタリングされた、ジャイロスコープ44からのセンサデータを更に統合することによって、更に増大され得、そのような時点において、使用者は、その長手方向軸Dを中心としたシェーバ本体のねじりを増加大得る。
【0117】
デバイスは、データ転送のための接続が、外側からマイクロプロセッサにデータを転送する(例えば、複数の使用者からのデータでデータベースを更新する)か、又はシェーバから外側にデータを転送する(例えば、スマートフォンに情報を表示する)ことのどちらかを可能にするためのインターフェースを任意選択的に有し得る。
【0118】
別の例によると、消費者調査からの数量データなどの知見(例えば、個々の使用者について通常以上に顔に激しくシェーバを押し付けることは、使用者が自らの挙動を適応させていることを示唆する)は、シェーバを調節するために考慮され得る。例えば、使用者の典型的挙動が何であるか(例えば、各男性は、当然のことながら、皮膚に対して自らの個々の圧力でシェーバを押し付ける)を知り、自らの挙動がいつこのことから変動するのかを識別することができるように、シェーバ1は、特定の使用者から剃毛データを収集し得る。
【0119】
シェーバヘッド3は、図1及び図4に示されるように、それがハンドル2に対して旋回又は傾動し得るように、実装され得る。自由自在な剃毛ヘッド3は、デバイスを保持する方法に自由を与える一方で、異なる顔領域への良好な適応を可能にする。剃毛ヘッド3は、頬(checks)、首、及び下顎の異なる輪郭に従うことができる。これはまた、可能な限り多くの時間、完全な切断要素領域が、使用者がシェーバを(ある特定の範囲内で)保持する角度とは無関係に皮膚と接触していることを確実にする。これは、顔との切断領域接触が最大であることにより、押圧が大きな領域にわたって拡散されて皮膚上での圧力が低くなるので、より良好な効率(より迅速な剃毛)及びより良好な皮膚快適さの利点をもたらすことを確実にする。
【0120】
しかしながら、ある特定の剃毛挙動のために及び/又は剃毛におけるある特定の時点で、低い枢動剛性が不利であり得ることが識別された。2つの例を以下に挙げる。
1.使用者が自らの顔に対して特に高い圧力でシェーバを押し付け、かつヘッドが急に旋回して離れるとき、制御の損失感が生じ得る。
2.単一のホイルに目標の高圧力を加えることは容易ではない(例えば、使用者によっては、増加された密着性のために剃毛終了の際に圧力を増加するためにこれを行う)。軽い旋回は、典型的には、全ての切断要素が顔に触れるようにヘッドを回転させる。
【0121】
これらの状況への典型的反応は、使用者が自らの手にシェーバ1を保持する方法を適応させるようになることである。ヘッド3がそれ以上旋回できないようにシェーバハンドル2が極端な角度にあり得るように、使用者は、手及びシェーバ1の角度を変化させる。しかしながら、これは、非人間工学的であり、かつ余分な手間である。
【0122】
これらの問題に対して通常提供される現在の解決策は、起動され得る剃毛ヘッドのための手動ロックである。消費者は、自由自在な設定とロックされた設定との間で決定することができるが、これは、不便であり得、余分な工程(再度より多くの手間)であり、消費者は、多くの場合、他の選択肢を試す(例えば、自らの指でヘッドを保持する)。
【0123】
別の態様によると、挙動検出(例えば、剃圧を検出し、運動の方向及び速度を検出し、シェーバハンドルの角度を検出し、どの切断要素が皮膚に接触しているのかを検出する)に基づいて旋回運動に抵抗する力に自動的に適応し得る。旋回剛性を制御するアルゴリズムは、それが経時的に検出するこの特定の使用者の典型的な挙動に基づいて、それ自体を修正し得る。
【0124】
より具体的には、旋回ヘッド3を有するシェーバ1は、圧力センサ41及び動作の方向及び速度を検出するセンサ43を備えている。1つ以上の切断要素4は、ばねで付勢され、小さな磁石103(図5を参照)を担持する。剃圧が高くなるほど、切断要素4は、より押し下げられる。この運動は、各切断要素の下でホールセンサ104を介して追跡される。ホールセンサは、シェーバの内部PCB上の電子制御ユニット80に接続されている。加速度計は、デバイスの3つの軸全ての加速度を検出するためにPCB上に実装され得る。
【0125】
電子制御ユニット80は、ホールセンサ104及び加速度計の信号を受信する。数学関数は、信号を圧力及び運動データに変換する。例えば、消費者は、典型的なものよりも高い剃圧を加え始め、切断要素4は、剃毛ヘッド3内により深く移動している。あるいは、運動は、より速くかつより短い。電子制御ユニット80は、ホールセンサ104及び加速度計からこれらの典型的ではない信号を受信し、それを典型的ではない圧力及び運動値に変換する。これらの値は、制御ユニット80内でリアルタイムで値の所与のマトリックスと比較され評価されて、アクチュエータ113に対して割り当てられた信号を生成する。この例では、ばね112は、引っ張られて、揺動ヘッド3の特定の剛性を設定する。
【0126】
以前の使用(例えば、同じ剃毛及び/又は以前の剃毛における他の位相)に基づいて、アルゴリズムは、例えば、「低」、「中」、又は「高」と考えられる圧力範囲を調節する。例えば、典型的に1~2Nの圧力で剃毛する男性に対しては、シェーバは、この使用者にとって2Nが高圧力であると考えるようになる一方で、典型的に3~5Nの圧力で剃毛する男性に対しては、シェーバは、この使用者にとって2Nが低圧力であると考えるようになるであろう。
【0127】
アルゴリズムの自己修正位相は、第1の剃毛の初めから開始し、シェーバの電子装置は中央値を生成する。より多くの剃毛が行われると、記憶された典型的な範囲は正確になる。
【0128】
シェーバ本体は、駆動モータ5及びバッテリ109を収容し得る。揺動ヘッド3は、シェーバ本体のホルダー2上に取り付けられた軸110上に実装される。非対称の剃圧が剃毛システムに加えられる(両方のホイルのうちの一方に対する圧力F1が、他方に対するF2よりも大きいことを意味する)と、トルクが発生し、剃毛ヘッドは、顔の輪郭上で整列するように、その軸(10)を中心に揺動する。揺動ヘッドの反力は最小限に抑えられて、低圧が加えられるときでさえ剃毛システムの良好な適応を確実にする。引っ張りばね112は、ヘッドの下端部とシェーバ本体との間に取り付けられる。ばねは、ヘッドを揺動する力を設定する。ばねがより強く設定されるほど、ヘッドは、より激しく揺動し得る。アクチュエータ113は、シェーバ本体に取り付けられ、ばねの端部を保持する。それは、ばねの長さを変化させることによって、ばね112の予荷重を設定し得る。中立アクチュエータ位置では、ばねは、最低予荷重を有し、揺動ヘッドは、非常に容易に揺動し得る。最大作動で、ばねはぴんと引っ張られ、剃毛ヘッドは移動するためにより多くの剃圧を必要とする。消費者は、より剛性かつ硬質なシステムを感じる。アクチュエータは、ばね荷重を最低作動位置と最高作動位置との間で無段式に設定し得る。
【0129】
また更なる実施形態によると、使用者は、アルゴリズムに追加データを提供するために、例えば、スマートフォン又は別のデバイスを介して、又は直接シェーバ内に直接データを入力することを要求され得る。これは、例えば購入後の1回の入力であってもよいし、又は定期的に要求されてもよく、そのような入力は、例えば、音声及び音声認識によって実行され得る。この入力は、次いで、例えば、以下を評価するために使用され得る:
・この個々の使用者にとって特に重要であること(例えば、密着性に重点を置く男性がいる一方で、他の男性にとっては、最優先事項は、皮膚の赤みがないことである)
・使用者の現在の問題は何であるか(例えば、処理し残した個々のより長い毛髪)
・剃毛に関連する使用者の生理機能の詳細、例えば、使用者の生理機能が、特に濃い又はまばらな顎ひげを有するか、敏感な皮膚を有するか、など
・使用者がどのように問題を解決しようとしているか
・どういう種類の気候条件が、使用者の剃毛に影響を及ぼしている可能性があるか、例えば、使用者は通常、シャワーの前に剃毛するか後に剃毛するか?
【0130】
あるいは、使用者は、経時的に自らの剃毛についてフィードバックを提供するよう要求されてもよい。このように、アルゴリズムは、それがシェーバに対して行ったどの修正が成功したのかを評価し、更に、それが反応する方法を最適化することができる。
【0131】
次いで、複数の使用者からのデータは、任意に収集され、アルゴリズムを更に精密化するために使用され得る。
【0132】
任意に、フィードバック及び/又は指示が使用者に与えられてもよい。例えば、単一の残りの毛髪を剃毛することを試みるとき、より少ない圧力を使用するよう試みること(使用者は通常、そのような状況ではより多くの圧力を加えるが、それは逆効果である)。
【0133】
別の具体例では、以前の例に記載されるようなシェーバの調節を定義するアルゴリズムは、自己修正分類機(例えば、ニューラルネットワーク)であり得る。この場合、センサの出力(例えば、剃圧、ストローク周波数、切断作業)は、センサ/データ入力からの生理的情報(例えば毛髪密度)、及び/又はセンサからの気候データ(例えば、空気湿度)などの更なるパラメータと任意選択的に組み合わせて、1つ以上の剃毛挙動分類機の入力ノードに結び付けられる。分類機のその後の(隠れ)層において、信号は、多くの異なるノードによって処理され、組み合わされる。最後に、分類機は、この段落において上述の更なるパラメータと任意選択的に組み合わせられた現在の剃毛挙動が、シェーバヘッド保持ばね予荷重の増加又は減少、それ故に皮膚上での剃毛システムのより堅い又はより堅くない感覚を必要とするかどうかを判断する。
【0134】
分類機をまず規定するために、それは、事前に多数のテスト剃毛の標識剃毛挙動データを使用して訓練される(工場レベル)。次いで、システムは、特定の使用者挙動、及び任意選択的に更なるパラメータ(宅内の使用者レベル)、及びシステムによって行われる調節に対する使用者の反応を知ることによって、及び/又はウェブベースの供給源(クラウドレベル)から更に訓練されたバージョンで分類機を更新することによって、使用者により詳述されるように自らを調節することができる。後者に関して、多くの異なる使用者及び剃毛のデータが、訓練データセットを拡大するために収集される。この文脈における訓練とは、分類機の性能を改善するために、差異ノード間の結合が調節され、重み付けされるか、又は系統的にかつ自動的に追加/削除されることを意味する。
【0135】
更なる態様によると、高い空気湿度は、皮膚と剃毛ホイル/トリマーとの間の摩擦力が増加されることを意味する、べたべたした皮膚につながる。これは、シェーバが交互に皮膚の上方で滑りやすいか、又は皮膚に密着するという「スティックスリップ効果」と呼ばれる現象につながる。これは、剃毛をより困難かつ不快にする。使用者は、これに対して様々な方法で反応し、典型的には、使用する剃圧を低減させることによって製品環境状況に対して自らの挙動を適応させ得る。しかしながら、剃圧における一般的な低減は複数の原因を有し得、この状況では、アルゴリズムがこの特定の状況に適切なシェーバ調節(シェーバネックの剛性(ばね予荷重)を増加して、スティックスリップに起因するヘッドの制御されていない旋回を低減させることなど)を識別し得るように、追加の空気湿度センサが使用され得る。
【0136】
より長い顎ひげ(例えば4日の伸び以上)を剃毛するとき、使用者は、通常よりもゆっくりシェーバを移動させるという点で、典型的には、製品生理的(より長い顎ひげ毛髪)状況に自らの挙動を適応させることになる。この典型的な理由は、使用者が油断すると、より長い毛髪がホイル及びタグに捕捉され得、それが痛みを伴うことである。この減速は、集中(余分な手間)及びより多くの時間を必要とする。顎ひげ毛髪が今ちょうどトリマーに入るようにシェーバヘッド内でトリマーを自動的に上げると、ホイルは、使用者が、より長い顎ひげ毛髪でさえ、シェーバを通常速度ではもはや移動させることを可能にできない。しかしながら、これは、シェーバにとってかなり劇的な変化であるので、これが挙動変化の理由であることを確実にするために、第2の種類のセンサ(例えば、毛髪長を検出するカメラなどの光センサ)を有することが望ましい場合がある。多くの男性が電気乾式シェーバに加えて湿式カミソリを使用するので、最後の使用からの時間は、十分な情報とは考えられない。
【0137】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるものとして理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】