(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080852
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】多出力電力コンバーターシステムにおけるパフォーマンスを高めるためのパルスシェアリング制御
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
H02M3/28 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021179892
(22)【出願日】2021-11-03
(31)【優先権主張番号】16/951,156
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100181
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 正博
(72)【発明者】
【氏名】イ リ
(72)【発明者】
【氏名】アントニウス ヤコブス ヨハネス ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド マイケル ヒュー マシューズ
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730AS02
5H730AS11
5H730BB43
5H730DD04
5H730DD41
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE19
5H730EE73
5H730EE77
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FF01
5H730FF09
5H730FG12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パルスシェアリング伝達を使用して可聴ノイズを減らす方法及び多出力電力コンバーターシステムを提供する。
【解決手段】多出力電力コンバーターシステム100のパルスシェアリング制御は、スイッチングサイクル中に、エネルギーパルスを、パルスシェアリング伝達を使用して1つより多いポート(すなわち出力)に提供する。パルスシェアリング伝達は、低調波に起因した可聴ノイズを減らすこと及び1つ又は複数の二次電流の二乗平均平方根電流を減らすことによりパフォーマンスを高める。一次電流を介してエネルギー伝達要素にエネルギー供給するために、一次スイッチが閉じられる。エネルギーは、第1の二次電流を介して第1の回路経路における第1の負荷ポート間及び第2の二次電流を介して第2の回路経路における第2の負荷ポート間でシェアされる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング周期中における多出力電力コンバーターシステムにおけるパルスシェアリング制御の方法であって、前記方法が、
一次電流を介してエネルギー伝達要素にエネルギー供給するために一次スイッチを閉じることと、
前記一次スイッチを開くことと、
第1の二次電流を介して第1の回路経路における第1の負荷ポートにエネルギーを伝達することと、
スイッチング遷移時点を決定することと、
前記スイッチング遷移時点において、第2の二次電流を介して第2の回路経路における第2の負荷ポートにエネルギーを伝達することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記スイッチング周期が、不連続伝導モード(DCM)スイッチング周期である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の負荷ポートが、定電流(CC)ポートである、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の負荷ポートが、定電圧(CV)ポートである、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の負荷ポートの電圧が、前記第2の負荷ポートの電圧より高い、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スイッチング遷移時点において、前記第2の二次電流を介して前記第2の回路経路における前記第2の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、3ボルトから40ボルトの間の電圧を提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の二次電流を介して前記第1の回路経路における前記第1の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、3ボルトから100ボルトの間の電圧を提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の二次電流を介して前記第1の回路経路における前記第1の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に前記第1の二次電流を提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スイッチング遷移時点において、前記第2の二次電流を介して前記第2の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、二次スイッチを閉じることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記スイッチング遷移時点において、前記第2の二次電流を介して前記第2の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、フォワードピン信号を測定することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フォワードピン信号が、二次巻線電圧である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
一次巻線と複数の二次巻線とを備えるエネルギー伝達要素であって、前記一次巻線が、第1の電源からエネルギーを受信するように構成された、前記エネルギー伝達要素と、
前記一次巻線に電気的に結合された一次スイッチであって、スイッチングサイクルに従ってスイッチングするように構成された前記一次スイッチと、
第1の負荷ポートに電気的に結合された第1の回路経路と、
第2の負荷ポートに電気的に結合された第2の回路経路と、
前記第1の回路経路における第1の二次電流を提供した後に、前記スイッチングサイクル中に、スイッチング遷移時点において、前記第2の回路経路における第2の二次電流を提供するように構成された二次制御装置と、
を備える、多出力電力コンバーターシステム。
【請求項13】
前記スイッチングサイクルが、不連続伝導モード(DCM)スイッチングサイクルである、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項14】
前記第1の負荷ポートが、定電流(CC)ポートである、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項15】
前記第1の負荷ポートが、定電圧(CV)ポートである、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項16】
前記第1の負荷ポートの電圧が、前記第2の負荷ポートの電圧より高い、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項17】
前記第2の負荷ポートが、定電圧(CV)ポートである、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項18】
前記第2の負荷ポートが、3ボルトから40ボルトの間の電圧を受信するように構成された、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項19】
前記第1の負荷ポートが、3ボルトから100ボルトの間の電圧を受信するように構成された、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項20】
前記第1の回路経路が、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に前記第1の二次電流を提供するように構成された、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項21】
前記二次制御装置が、パルスシェアリング制御回路を備える、
請求項12に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【請求項22】
前記パルスシェアリング制御回路が、前記第1の二次電流のパルス幅と前記第2の二次電流のパルス幅とを決定するように構成された、
請求項21に記載の多出力電力コンバーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多出力電力コンバーターにおけるパルスシェアリング制御に関し、特に、多出力電力コンバーターシステムにおいてパルスシェアリング伝達を使用して可聴ノイズを減らすことに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話、ラップトップなどの多くの電子デバイスが、電源から取得された直流電流(DC:direct current)の電力により給電される。従来の壁のコンセントは、概して、消費者向け電子デバイスのための電源として使用されるために調節されたDC電力に変換される必要がある高電圧の交流電流(AC:alternating current)電力を伝送する。スイッチング式電源(SMPS:switch mode power supply)とも呼ばれるスイッチング式電力コンバーターは、それらの高効率さ、小さいサイズ、および軽量さを理由として、高電圧AC電力を調節されたDC電力に変換するために一般的に使用されている。
【0003】
多くの電子デバイスは複数の負荷を含み、動作するために1つより多いDC電源を必要とする。例えば、オーディオ電子デバイスは、5ボルトで動作するシステムコンポーネントと、12ボルトから20ボルトの間で動作するオーディオコンポーネントとを含み得る。これらの用途では、多出力電力コンバーターはAC電力を複数のDC電力出力に変換して、複数の負荷、すなわちシステムコンポーネントおよびオーディオコンポーネントの各々に調節されたDC電力を提供する。幾つかの用途では、調節されたDC電力出力は、調節された定電流(CC:constant current)出力および/または調節された定電圧(CV:constant voltage)出力である。
【発明の概要】
【0004】
多出力電力コンバーターシステムにおけるパルスシェアリングの非限定的かつ非網羅的な実施形態が、以下の図を参照しながら説明され、異なる図の中の同様の参照符号は別段の指定がない限り同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1Aは、本明細書における教示による多出力電力コンバーターシステムを示す。
【
図2A】
図2Aは、一実施形態による、パルスシェアリング制御回路を含む二次制御装置の簡略化された概略的なシンボルを示す。
【
図2B】
図2Bは、パルスシェアリング実施形態によるスイッチング周期中の波形を示す。
【
図2C】
図2Cは、1パルス伝達実施形態によるスイッチング周期中の波形を示す。
【
図2D】
図2Dは、パルスシェアリング実施形態によるスイッチング周期中の波形を示す。
【
図2F】
図2Fは、負荷電流に対する可聴ノイズのグラフを示す。
【
図2G】
図2Gは、別のパルスシェアリング実施形態によるスイッチング周期中の波形を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態によるパルスシェアリング制御回路を示す。
【
図4B】
図4Bは、一実施形態による基準/シェア比較器回路を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態によるパルスシェアリング論理回路を示す。
【
図6A】
図6Aは、一実施形態による、スイッチングサイクル中のパルスシェアリングアルゴリズムに対するフローチャートを示す。
【
図7】
図7は、一実施形態による、多出力電力コンバーターシステムにおけるパルスシェアリング制御に対する概念的なフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面中の複数の図にわたり、対応する参照符号が対応するコンポーネントを示す。当業者は、図中の要素が簡潔かつ明確であるように描かれること、および、一定の縮尺で描かれるとは限らないことを理解する。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、本明細書における教示の様々な実施形態をより理解しやすくするために他の要素より誇張される場合がある。更に、市販に適した実施形態において有用なまたは必要な、一般的だが良く理解される要素は、多くの場合、多出力電力コンバーターシステムにおけるパルスシェアリングのこれらの様々な実施形態の図が見づらくならないように図示されていない。
【0007】
以下の説明では、多出力電力コンバーターシステムにおけるパルスシェアリングの十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細事項が記載される。しかし、本明細書における教示を実施するために特定の詳細事項が使用されるとは限らないことが当業者に明らかである。他の例において、本開示を不明瞭にしないために、よく知られた材料または方法は詳細には説明されていない。
【0008】
本明細書中での、「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、または「例」についての言及は、多出力スイッチング式電力コンバーターシステムの実施形態または例との関連で説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所における「一実施形態において」、「実施形態において」、「一例」、または「例」といった表現の使用は、すべてが同じ実施形態または例に関連するとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態または例において、任意の適切な組み合わせ、および/または部分的組み合わせで組み合わされてもよい。特定の特徴、構造、または特性は、説明される機能を提供する集積回路、電子回路、論理回路、または他の適切なコンポーネントに含まれ得る。加えて、本明細書とともに提供される図が当業者への説明を目的としていること、および図面が一定の縮尺で描かれるとは限らないことが理解される。
【0009】
本出願に関する文脈において、トランジスタが「オフ状態」または「オフ」であるとき、トランジスタは電流を遮断する、および/または実質的に電流を流さない。逆に、トランジスタが「オン状態」または「オン」であるとき、トランジスタは実質的に電流を流すことができる。例示として、1つの実施形態において、高電圧トランジスタは第1の端子であるドレインと第2の端子であるソースとの間において高電圧がサポートされるNチャネル金属-酸化物-半導体(NMOS:N-channel metal-oxide-semiconductor)電界効果トランジスタ(FET:field-effect transistor)を備える。幾つかの実施形態において、集積型制御装置回路が、負荷に提供されるエネルギーを調節するときに電力スイッチを駆動するために使用され得る。更に、本開示の目的において、「グランド」または「グランド電位」は、基準電圧または基準電位を表し、この基準電圧または基準電位に対して、電子回路または集積回路(IC:integrated circuit)のすべての他の電圧または電位が規定され、または測定される。更に、パワーエレクトロニクス理論(すなわち、電力がエネルギーの変化レートに関連する)によると、「電力」伝達は「エネルギー」伝達により暗示され得、逆に、「エネルギー」伝達は「電力」伝達により暗示され得る。
【0010】
上述のように、多出力電力コンバーターは、複数の負荷に調節されたDC電力を提供するために使用されてもよい。負荷は、ディスクリート型半導体デバイス、マイクロプロセッサ、制御装置、混合型信号回路コンポーネントなどを包含する受動負荷および/または能動負荷であり得る。調節されたDC電力を提供することにおいて、多出力電力コンバーターは、定電流(CC)出力への出力電流を調節し、および/または、定電圧(CV)出力への出力電圧を調節し得る。更に、システム電圧は、多出力電力コンバーターが電力をどのように提供するかに関連して規定され得る。例えば、多出力電力コンバーターは、約50ボルトで動作するCC出力、12ボルトに調節されたCV出力、および5ボルトに調節されたCV出力を提供し得る。
【0011】
本明細書において更に詳しく説明されるように、電力は、スイッチングサイクルに従ってエネルギー伝達要素(例えば変圧器)を介して一次側から二次側に伝達され得る。例えば、一次スイッチはスイッチングサイクルに従ってスイッチングし得、この場合において、一次巻線はスイッチングサイクルの一部にわたって入力電力を受信し、1つまたは複数の二次巻線がスイッチングサイクルの別の部分にわたって電力を提供する。スイッチングサイクルの完了前に二次側巻線における電流(すなわち二次電流)が実質的にゼロまで小さくなるように電力が伝達されるとき動作モードは不連続伝導モード(DCM:discontinuous conduction mode)と呼ばれ得る。代替的に、スイッチングサイクルの完了前に二次側巻線における電流がゼロまで小さくならないように電力(すなわちエネルギー)が伝達されるとき、動作モードは連続伝導モード(CCM:continuous conduction mode)と呼ばれ得る。
【0012】
更に、1つのスイッチングサイクル(すなわち1つのスイッチング周期)中に、電力(すなわちエネルギー)は多出力のうちの選択されたものに伝達され得る。エネルギー伝達のこの形態は1パルス伝達または1パルス制御と分類され得、この場合において、二次電流は電力需要に基づいて選択された出力に流れる。一例として、多出力電力コンバーターシステムは、2つの出力、すなわちCC出力およびCV出力に合計40ワット(40W)の電力を送達するように構成され得る。CC出力が20Wを要求しており、CV出力が20Wを要求している場合、多出力電力コンバーターシステムは、第1のスイッチングサイクル中にCC出力にエネルギーを伝達し得、後続のスイッチングサイクル中にCV出力にエネルギーを伝達し得る。スイッチングサイクル(周期)が60キロヘルツ(60kHz)の高調波周波数をもつ周期的なものである場合、エネルギー(すなわち電力)パルスは、CC出力とCV出力との間において40Wを一様に分割するように、30kHzの低調波周波数において一様に多重化され得る。
【0013】
しかし、電力に対する需要が複数の出力間で不均一に変動する場合、1パルス伝達は問題となり得る。例えば、CC出力が30Wを要求しており、CV出力が10Wを要求している場合、多出力電力コンバーターシステムは、CV出力の低調波周波数を基本スイッチング周波数の約4分の1に変え得る。基本スイッチング周波数が60kHzである場合、CV出力の低調波は15kHzになる。これは、変圧器を振動させ、可聴帯域内の15kHzにおける望ましくないノイズを出射させる。したがって、1パルス伝達の代替案を開発する必要性が存在する。
【0014】
多出力電力コンバーターにおけるパフォーマンスを高めるためのパルスシェアリング制御が本明細書において説明されている。スイッチングサイクル中に、エネルギーパルスが、パルスシェアリング伝達を使用して1つより多いポート(すなわち出力)に提供される。パルスシェアリング伝達は、低調波に起因した可聴ノイズを減らすことにより、および、CC/CV出力のうちの1つまたは複数に対する二乗平均平方根電流(root mean square current)を減らすことによりパフォーマンスを高め得る。一次電流を介してエネルギー伝達要素にエネルギー供給するために、一次スイッチが閉じられる。エネルギーは、第1の二次電流を介して第1の回路経路において第1の負荷ポート間で、および、第2の二次電流を介して第2の回路経路において第2の負荷ポート間でシェアされ得る。
【0015】
図1Aは、本明細書における教示による多出力電力コンバーターシステム100を示す。多出力電力コンバーターシステム100は、エネルギー伝達要素102、二次スイッチブロック104、複数の負荷106、二次制御装置108、一次制御装置109、クランプ110、および一次スイッチ152を含む。エネルギー伝達要素102は、一次巻線112、および、二次巻線114、116、118を含む。二次スイッチブロック104は、ダイオード126、および二次スイッチ119、122、125を含む。
【0016】
多出力電力コンバーターシステム100は、整流されたACライン電圧VINから導出された入力電力を、複数の出力電圧VO1~VO3および二次電流IS1~IS3を含む出力パワーに変換し得る。代替的に、および追加的に、入力電力は、高電圧電源から導入され得る。複数の負荷106は、調節されたDC電力ポートであり得るCC/CV3ポート、CC/CV2ポート、およびCC/CV1ポートと、二次グランド戻りポートSRTNとを含む。
【0017】
更に、CC/CV3ポートは、CC/CV3ポートにおける負荷状態に応じて、定電流(CC)ポート(すなわち二次電流IS3が一定に制御される)、および/または、定電圧(CV)ポート(すなわち、出力電圧VO3が一定に制御される)であり得る。CC/CV2ポートは、CC/CV2ポートにおける負荷状態に応じて、定電流(CC)ポート(すなわち、二次電流IS2が一定に制御される)、および/または、定電圧(CV)ポート(すなわち、出力電圧VO2が一定に制御される)であり得、CC/CV1ポートは、CC/CV1ポートにおける負荷状態に応じて、定電流(CC)ポート(すなわち、二次電流IS1が一定に制御される)、および/または、定電圧(CV)ポート(すなわち、出力電圧VO1が一定に制御される)であり得る。
【0018】
例えば1つの実施形態において、CC/CV3ポートがCCポートであり得、二次電流IS3が調節負荷電流であり得るとともに、出力電圧VO3は、CC/CV3ポートの負荷により少なくとも部分的に決定される。更に、CC/CV1ポートおよびCC/CV2ポートはCVポートであり得、この場合において、出力電圧VO1および出力電圧VO2が調節される。二次グランド戻りポートSRTNは、二次グランドRTNに電気的に結合され得る。
【0019】
1つの実施形態において、出力電圧VO1~VO3は、エネルギー伝達要素102により少なくとも部分的に決定され得る。例えば、一次巻線112に対する二次巻線114、116、118の巻線比、および、変圧器構成(例えばスタックされた二次巻線)は、最高電圧CC/CV3ポート(例えば40ボルトより高い電圧)に対応して構成され得る。CC/CV1ポートおよびCC/CV2ポートは、より低い電圧(例えば3ボルトから40ボルトの間の電圧)に調節され得る。1つの実施形態においてCC/CV2ポートは、より低い電圧に調節された出力電圧VO2(例えば20ボルト)を伴うCVポートであり得、CC/CV1ポートは、最低電圧(例えば5ボルト)に調節された出力電圧VO1を伴うCVポートであり得る。
【0020】
代替的に、および追加的に、出力電圧VO1~VO3は、二次スイッチ119、122、125の動作により決定され得る。例えば、出力電圧VO3が出力電圧VO2未満であるように、二次スイッチ119が制御され得る。
【0021】
図示されているように、二次巻線114、116、および118は変圧器「ドット」表記に従ってスタックされた(すなわち直列の)構成により電気的に結合されている。示されるように、二次スイッチ119は、二次巻線118の「ドット」端子と回路経路111におけるCC/CV3ポートとの間に電気的に結合されている。二次スイッチ122は、二次巻線116の「ドット」端子と回路経路113におけるCC/CV2ポートとの間に電気的に結合されており、二次スイッチ125は、二次巻線114の「ドット」端子と回路経路115におけるCC/CV1ポートとの間に電気的に結合されている。更に、ダイオード126は、二次巻線114の第2の端子と回路経路117における二次グランド戻りポートSRTNとの間に電気的に結合されている。
【0022】
更に示されるように、一次巻線112および一次スイッチ152は、一次グランドGNDに対して整流されたACライン電圧VINを受信するように入力端子101と103との間に接続され得る。スイッチングサイクル(すなわちスイッチング周期)中に、一次スイッチ152が閉じられ(すなわち伝導し)、一次巻線112は、一次電流ISWを増やす(すなわち、上昇させる)ことによりエネルギー供給され得る。磁気学および変圧器の理論によると、一次スイッチ152が開けられたとき(すなわち、伝導状態から遮断状態への遷移)、一次巻線112内のエネルギーは、二次巻線114、116、118のうちの1つまたは複数に伝達され得る。
【0023】
一次制御装置109は一次スイッチ152の制御端子(例えばゲート)に一次制御信号VCSを提供する。この手法により、一次制御装置109は、一次巻線112にエネルギー供給するために一次電流ISWを制御する。一次検出要素154は、一次電流ISWの最大値をローカルに調節するために一次制御装置に検出信号SENSを提供し得、更に、クランプ110は、スイッチ電圧VSWを制限する(すなわちクランプする)ように一次巻線112と並列接続され得る。図示されているように、一次制御装置109は、一次グランドGNDを基準とする信号(例えばスイッチ電圧VSWおよび一次制御信号VCS)を使用して動作するように構成され得る。
【0024】
二次制御装置108は、複数の負荷106からフィードバック信号FB1~FB3を受信し、信号FLを通して一次制御装置109と通信し、二次スイッチブロック104に制御信号SEL1~SEL3を提供する。図示されているように、二次制御装置108は、二次グランドRTNを基準とする信号(例えばフィードバック信号FB1~FB3および複数の出力電圧VO1~VO3)を使用して動作するように構成され得る。したがって、信号FLは、一次グランドGNDを基準とする一次制御装置109との通信を可能にするために、光結合された、磁気結合された、および/または容量結合された信号FLであり得る。
【0025】
本明細書において説明されているように、二次制御装置108は、回路経路(例えば回路経路111、回路経路113、および/または回路経路115)を選択することにより、複数の負荷106に対するエネルギー(すなわち電力)の伝達を選択的に制御する(すなわちスイッチングする)ために、1つまたは複数の制御信号SEL1~SEL3を提供し得る。図示されているように、二次制御装置108は、二次スイッチ125、122、119に制御信号SEL1、SEL2、SEL3をそれぞれ提供する。制御信号SEL1、SEL2、SEL3は、ひいては、オン状態またはオフ状態において動作するようにスイッチ125、122、119をそれぞれゲーティングし得る。
【0026】
スイッチングサイクル中に、二次スイッチ119が閉じている(すなわち、オン状態において動作する)とともに、二次スイッチ125、122の両方が開いている(すなわち、両方がオフ状態において動作する)とき、エネルギーは回路経路111における二次電流IS3を介して伝達され得る。図示されているように、回路経路111は、二次スイッチ119を含んだ、および、複数の負荷106のCC/CV3ポートに電気的に結合されたスイッチング式回路経路である。代替的に、二次スイッチ122が閉じている(すなわちオン状態において動作する)とともに、二次スイッチ125、119が開いている(すなわちオフ状態において動作する)とき、エネルギーは、回路経路113における二次電流IS2を介して伝達され得る。図示されているように、回路経路113は、二次スイッチ122を含んだ、および、複数の負荷106のCC/CV2ポートに電気的に結合されたスイッチング式回路経路である。代替的に、二次スイッチ125が閉じている(すなわちオン状態において動作する)とともに、二次スイッチ122、119が開いている(すなわちオフ状態において動作する)とき、エネルギーは、回路経路115における二次電流IS1を介して伝達され得る。図示されているように、回路経路115は二次スイッチ125を含んだ、および、複数の負荷106のCC/CV1ポートに電気的に結合されたスイッチング式回路経路である。
【0027】
本明細書における教示によると、二次制御装置108はパルスシェアリング制御回路153を含む。パルスシェアリング制御回路153は、二次スイッチブロック104に制御信号SEL1、SEL2、SEL3のうちの1つまたは複数を提供することにより、複数の負荷106の異なるポートに対するエネルギーシェアリングを可能にし得る(すなわち制御し得る)。エネルギーは、回路経路111、回路経路113、および/または回路経路115においてシェアされ得る。例えば、スイッチングサイクル中に、エネルギーは、まず二次電流IS3を介してエネルギーを伝達することと、次に二次電流IS2を介してエネルギーを伝達することとにより、複数の負荷106のCC/CV3ポートとCC/CV2ポートとの両方にシェアされ得る。
【0028】
図1Bは、
図1Aの実施形態による多出力電力コンバーターシステム100を示す。一次スイッチ152は、N型電界効果トランジスタ(FET)152bを使用して実現される。二次スイッチ119はダイオード120により置換されている。図示されているように、ダイオード120は、二次巻線118の「ドット」端子と回路経路111におけるCC/CV3ポートとの間に電気的に結合されている。出力電圧V
O3が必然的に複数の出力電圧V
O1~V
O3のうちの最高のものである用途では、二次スイッチ119は、スイッチブロック104を有益に簡略化するために、および制御信号SEL3を不要とするためにダイオード120により置き換えられ得る。
【0029】
二次スイッチ122は、N型FET122bを使用して実現され、図示されているように、二次スイッチ122は、二次巻線116の「ドット」端子と回路経路113におけるCC/CV2ポートとの間においてダイオード121に電気的に結合されている。二次スイッチ125はN型FET125bを使用して実現されており、二次スイッチ125bは二次巻線114の「ドット」端子と回路経路115におけるCC/CV1ポートとの間において電気的に結合されている。二次ダイオード126は、示されるように、二次巻線114と回路経路117における二次側RTNとの間に結合されたN型FET126bにより置換されている。当業者が理解し得るように、FET126bは、ダイオード126の代わりとして同期整流器として動作するように構成され得る。例えば、N型FET126bは、同期整流器として動作するように、制御信号Vcrによりオンおよびオフにスイッチングされ得る。
【0030】
N型FET152b、122b、125b、126bは、集積型および/またはディスクリート型電力FETであり得る。1つの実施形態において、N型FET152b、122b、125b、126bは、エンハンスメント型FETであり得る。
【0031】
複数の負荷106は、二次制御装置108にフィードバック信号FB1、FB2、FB3をそれぞれ提供し得るフィードバックネットワーク140、136、132を含む。更に、複数の負荷106は、第1の負荷142、第2の負荷138、および第3の負荷148にそれぞれ電気的に結合されたフィルタコンデンサC1~C3を含む。定常状態において
図1Bの多出力電力コンバーターシステム100は、第1の負荷142、第2の負荷138、および第3の負荷148に送達される電力を調節するように構成され得る。
【0032】
例えば、フィードバックネットワーク140、136、132は、出力電圧VO1、VO2、VO3の閉ループ調節のためのフィードバック信号FB1、FB2、FB3をそれぞれ提供するための分圧器ネットワークを備え得る。定常状態において、フィードバック信号FB1、FB2、FB3は、それぞれ、出力電圧VO1、VO2、VO3に由来する、または出力電圧VO1、VO2、VO3からサンプリングされた電圧であり得る。この手法により、第1の負荷142に送達される電力は、CV出力(すなわち調節出力電圧VO1)として調節され得る。第2の負荷138に送達される電力は、CV出力(すなわち調節出力電圧VO2)として調節され得、第3の負荷148に送達される電力は、CV出力(すなわち調節出力電圧VO3)として調節され得る。
【0033】
上述のように、二次制御装置108は、信号FL(例えば磁気結合信号FL)を介して一次制御装置109と通信し得る。例えば、信号FLを使用して、一次制御装置109は、パワーグッド状態を示すために二次制御装置108にハンドシェイクを送信し得る。代替的に、および追加的に、信号FLを使用して、二次制御装置108は、より多くのエネルギー伝達の要求を送信し得る。要求に応答して、一次制御装置109は、一次スイッチ152を閉じるように、および一次巻線112にエネルギー供給するように一次制御信号VCSを変化させ得る。
【0034】
図示されているように、二次制御装置108は、フォワードピン信号FWおよびフィードバック信号FB1~FB3を受信し得、二次制御装置108は、制御信号SEL1、SEL2、およびVCrを提供し得る。本明細書において説明されているように、制御信号SEL1、SEL2は、回路経路(例えば回路経路111、回路経路113、および/または回路経路115)を選択することにより、複数の負荷106に対するエネルギー(すなわち電力)の伝達を選択的に制御する(すなわちスイッチングする)ために使用され得る。更に、制御信号VCrは、同期整流器として動作するようにN型FET126bのゲートを駆動するために使用され得る。
【0035】
上述のように、フィードバック信号FB1~FB3は、CV出力の閉ループ制御のために二次制御装置108内において使用されるサンプリングされた(すなわち測定された)信号であり得る。しかし、当業者が理解し得るように、他の構成も可能である。例えば、本明細書において説明されているように、二次制御装置108はCC出力の閉ループ制御を提供するように更に構成され得る。
【0036】
図示されているように、フォワードピン電圧VFWDはノード123に存在し得、任意選択的な受動コンポーネント(すなわち抵抗器RW)が、二次制御装置108にフォワードピン信号FWを提供するために、ノード123において二次巻線114と間に電気的に結合され得る。幾つかの実施形態において、フォワードピン信号FWはフォワードピン電圧VFWDに等しいものであり得る一方で、他の実施形態において、フォワードピン信号FWはフォワードピン電圧VFWDに対して減衰させられ得る。
【0037】
図1Cは、
図1Aの別の実施形態による多出力電力コンバーターシステム100を示す。
図1Cの実施形態は、負荷148がLEDストリング183~184により置換されていること、および、電流検出要素182がフィードバック信号FB3を提供するために負荷電流I
L3をサンプリングすることを除いて、
図1Bの実施形態と同様である。定常状態において、
図1Cの多出力電力コンバーターシステム100は、CC出力(すなわち調節負荷電流I
L3)としてLEDストリング183~184に伝送される電力を調節するように構成され得る。
【0038】
更に、複数の負荷106が、複数の並列接続された発光ダイオード(LED:light emitting diode)ストリング183~184、第1の負荷142、および第2の負荷138を含む。図示されているように、LEDストリング183~184は負荷電流IL3を要求し(すなわち受信し)、フィードバック信号FB3が負荷電流IL3を直接サンプリングするように示されているが、他の構成も可能である。例えば、負荷電流IL3は、負荷電流IL3を直接サンプリングする代わりに、LEDストリング電流IL3A~IL3Bをサンプリングすることにより調節され得、LEDストリング電流IL3A~IL3Bが総負荷電流IL3を調節するために二次制御装置108により使用され得る。
【0039】
1つの実施形態において、LEDストリング電流IL3A~IL3Bは、総負荷電流IL3を制御する手段として出力電圧VO3を調節するために二次制御装置108により使用され得る。更に、複数の負荷106が2つのLEDストリング183、184を含むものとして示されているが、2つより多いまたは少ないLEDストリング183、184を含む他の構成も可能である。
【0040】
更に、当業者が理解し得るように、
図1A~
図1Cの実施形態は非限定的であり、他の構成が、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated gate bipolar transistor)および/または逆極性(例えばPチャネルFET)を包含する集積型および/またはディスクリート型半導体コンポーネントを使用して実現されてもよい。更に、能動デバイスは、シリコン、シリコンゲルマニウム、窒化ガリウムなどに基づく材料加工を使用して実現され得る。
【0041】
図2Aは、一実施形態によるパルスシェアリング制御回路153を含む二次制御装置108の簡略化された概略的なシンボルを示す。本明細書において説明されているように、二次制御装置108は、フィードバック信号FB1~FB3およびフォワード電圧信号FWを受信し得、制御信号SEL1、SEL2を提供し得、信号FLを使用して通信する。本明細書における教示によると二次制御装置108は、パルスシェアリング制御回路153を含み得る。パルスシェアリング制御回路153を使用することにより、二次制御装置108は、回路経路(例えば回路経路111、回路経路113、および/または回路経路115)を選択することにより、複数の負荷106に対するエネルギー(すなわち電力)の伝達を選択的に制御する(すなわちスイッチングする)ために制御信号SEL1、SEL2を提供し得る。
【0042】
図2Bは、パルスシェアリング実施形態によるスイッチング周期T1~T5中の波形201~208を示す。波形201~208はそれぞれ、フォワードピン信号FW、信号FL、制御信号SEL2、制御信号SEL1、二次電流I
S2、二次電流I
S1、二次電流I
S3、および一次電流I
SWのDCM定常状態波形であり得る。更に、波形201~208はDCM定常状態波形であり得るが、他の波形も可能である。例えば、本明細書における教示は、CCMにも適用可能であり得る。
【0043】
時点t1a~t5aにおいて、信号FLがローからハイに遷移して、二次制御装置108から一次制御装置109に要求を通信する。信号FLに応答して、一次制御装置109は、一次スイッチ(例えば一次スイッチ152、152b)を閉じ得る。
【0044】
したがって、時点t1b~t5bにおいて一次スイッチ(例えば一次スイッチ152、152b)が開く(すなわちオフに切り替わる)まで、時点t1a~t5aにおいて一次電流ISWの波形208が増加し始める。時間インターバルtpr1~tpr5は、一次スイッチ152が閉状態に留まる持続期間(例えば5マイクロ秒)を示し得、これにより、一次巻線112が一次電流ISWによりエネルギー供給される。1つの実施形態において、一次制御装置109は、時間インターバルtpr1~tpr5を決定し得る。例えば、時点t1bにおいて一次制御装置109は、検出信号SENSに応答して一次スイッチ152をオフに切り替え得、この場合において、一次制御装置109は一次電流ISWのピーク値を、所望の(すなわち目標の)ピーク電流(例えば波形208のピーク電流ISWA)に制限する。
【0045】
スイッチング周期T1中に、時点t1bにおいて、一次スイッチ152が開き、一次巻線112から二次巻線114、116、118のうちの1つまたは複数にエネルギーが伝達し得る。スイッチング周期T1中、制御信号SEL1、SEL2は、波形204および203により示されるように論理ロー(例えば0ボルト)である。したがって、スイッチング周期T1中、時間インターバルtpr1中に一次巻線112において受信されたエネルギーは、回路経路111において伝達され得、波形207により示されるように、エネルギーは、時間インターバルtsc1中に低下することが示されている二次電流IS3を介して伝達され得る。
【0046】
スイッチング周期T2~T4中、時間インターバルtsc2~tsc4において、回路経路111、115においてエネルギーがシェアされ得る。波形206~207により示されるように、時点t2b~t4bにおいて、エネルギーは、二次電流IS3を介して回路経路111においてまず伝達され得、次に、二次電流IS3を介して回路経路115においてシェアされる。本明細書における教示によると、二次制御装置108は、二次スイッチ125を選択する(すなわち閉じる)ように制御信号SEL1を提供し得、図示されているように、二次スイッチ125を閉じるために、スイッチング周期T2~T4中に制御信号SEL1がローからハイに遷移する。
【0047】
スイッチング周期T5中、時間インターバルtsc5において、回路経路111、113においてエネルギーがシェアされ得る。波形205、207により示されるように、時点t5bにおいて、エネルギーは、二次電流IS3を介して回路経路111においてまず伝達され得、次に、二次電流IS2を介して回路経路113においてシェアされる。本明細書における教示によると、二次制御装置108は、二次スイッチ122を選択する(すなわち閉じる)ように制御信号SEL2を提供し得、図示されているように、期間T5中に、二次スイッチ122を閉じるために、制御信号SEL2がローからハイに遷移する。
【0048】
上述のように、パルスシェアリング制御回路153を含む二次制御装置108は、フォワードピン信号FWを使用し得る。波形201に示されるように、フォワードピン信号FWは、期間tpr1~tpr5中に実質的に一定の電圧振幅V1に遷移し、期間tsc1~tsc5中に実質的に一定の電圧振幅V2に遷移し、期間trng1~trng5中に変動する「リンギング」状態に遷移する。ここまでに示されているように、時点t1a~t5aにおいて始まる期間tpr1~tpr5は、エネルギーが一次電流ISWにより一次巻線112にいつ提供されるかを示し、時点t1b~t5bから始まる期間tsc1~tsc5は、エネルギーが回路経路111、113、115のうちの1つまたは複数においていつ伝達するかを示す。時点t1c~t5cから始まる期間trng1~trng5は不連続伝導モード(DCM)スイッチング周期(スイッチングピリオド)を示すが、ここまでにも説明されているように、本明細書における教示はDCMに限定されず、CCMに適用されてもよい。フォワードピン信号FWは実質的に一定の識別可能な電圧振幅V1、V2に遷移するので、パルスシェアリング制御回路153を含む二次制御装置108は、電圧振幅V1、V2に少なくとも部分的に基づいてスイッチングサイクルを表し、および/または区別し得る。
【0049】
図2Cは、1パルス伝達実施形態によるスイッチング周期T6~T10中の波形266~268を示す。波形266~268はそれぞれ、信号FL、二次電流I
S1、および二次電流I
S3のDCM定常状態波形であり得る。時点t7a~t11aにおいて、信号FLがローからハイに遷移して、二次制御装置108から一次制御装置109に要求を通信する。信号FLに応答して、一次制御装置109は一次スイッチ152を閉じ得る。
【0050】
波形266~268は1パルス伝達を示し、この場合において、エネルギーは回路経路111、113、115のうちの選択された1つにおいて伝達される。スイッチング周期T6、T8、T9中に、制御信号SEL1、SEL2が、二次スイッチ125、122をオフに切り替えるために提供され得る。この手法により、エネルギーは、期間tsc6、tsc8、tsc9にわたって、波形267に示されるように、二次電流IS3を介して回路経路111のみにおいて伝達され得る。スイッチング周期T7、T10中に、制御信号SEL1、SEL2が、二次スイッチ125をオンに切り替えるために提供され得る(すなわち、制御信号SEL1がハイであり、制御信号SEL2がローである)。この手法により、エネルギーは、期間tsc7、tsc10にわたって、波形268に示されるように、二次電流IS1を介して回路経路115のみにおいて伝達され得る。
【0051】
上述のように、1パルス伝達を使用する多出力電力コンバーターシステムは、可聴ノイズをもたらし得る。本明細書における教示によると、パルスシェアリング制御回路153を含む二次制御装置108が、パルスシェアリングを実施することにより可聴ノイズを軽減するために使用され得る。
【0052】
図2Dは、パルスシェアリング実施形態によるスイッチング周期T11~T15中の波形271~272を示しており、
図2Eは、波形271~272のスイッチング周期T11を示している。波形271~272はそれぞれ、信号FL、および、二次電流I
S3と重ね合わされた二次電流I
S1のDCM定常状態波形であり得る。時点t20a~t24aにおいて、信号FLがローからハイに遷移して、二次制御装置108から一次制御装置109に要求を通信する。それに応答して、一次制御装置109は、一次スイッチ152を閉じ得る。
【0053】
波形271~272はシェア式パルス伝達を示し、この場合において、エネルギーは回路経路111、113、115のうちの1つまたは複数において伝達される。スイッチング周期T11~T15中に、制御信号SEL1、SEL2は最初にオフであり得、したがって、エネルギーがまず二次電流IS3を介して回路経路111において伝達される。次に、スイッチング周期T11~T15中に二次スイッチ125をオンに切り替えるように制御信号SEL1、SEL2が提供され得る(すなわち、制御信号SEL1がハイとなり、制御信号SEL2がローとなる)。見てわかるように、時間インターバルtsc11~tsc15中に、エネルギーは、まず、二次電流IS3を介して回路経路111において伝達され得、次に、二次電流IS1を介して回路経路115において伝達され得る。
【0054】
図2Eを参照すると、信号FL(すなわち波形271)が、時点t20aにおいてローからハイに遷移し得、一次スイッチ152を閉じるように要求を通信する。二次電流I
S3と二次電流I
S1とを重ね合わせた波形272により示されるように、二次電流I
S3は、パルス幅Ts3およびピーク電流I
S3Aをもち、二次電流I
S1は、パルス幅Ts1およびピーク電流I
S1Aをもつ。パルスシェアリングは、時点t20bから始まり、時点t20cにおいて終了する時間インターバルtsc11にわたって発生する。
【0055】
本明細書における教示によると、パルスシェアリング制御回路153を含む二次制御装置108は、回路経路111、113、115(二次電流I
S1~I
S3)のシェアされたパルスのうちの1つまたは複数のパルス幅を制御し得る。例えば、
図2Eを参照すると、パルスシェアリング制御回路153を含む二次制御装置108は、パルス幅Ts3とパルス幅Ts1とを変えるように遷移時点t20sを調節し得る。
【0056】
本明細書において説明されているように、パルスシェアリング伝達は、低調波周波数を高めること、および/または、可聴帯域より上方に低調波周波数を動かすことにより、可聴ノイズを有益に減らし得る。例えば、
図2Fは、負荷電流に対する、デシベル(dB)を単位とした可聴ノイズのグラフ281~282を示す。グラフ282が1パルス伝達を使用した
図2Cの実施形態に対応し得るのに対し、グラフ281はシェア式パルス伝達を使用した
図2Dの実施形態に対応し得る。図示されているようにパルスシェアリングが実現された場合、負荷電流の関数としての可聴ノイズと可聴ノイズ変化(感度)との両方が改善される(低減される)。例えば、シェア式パルス伝達に対応するグラフ281の極大値284、極小値283、および変化285がそれぞれ、1パルス伝達に対応したグラフ282の極大値287、極小値286、および変化288に対して低減される(すなわち改善される)。パルスシェアリング伝達は、二乗平均平方根電流に起因した損失を減らすことにより、コンバーター効率を更に改善し得る。例えば、
図2Eを参照すると、低調波周波数を高めるようにパルス幅Ts1、Ts3が変えられるので、ピーク電流I
S1A、I
S3A、および、二次電流I
S1および/または二次電流I
S3の二乗平均平方根が小さくされ得る。
【0057】
図2B~
図2Eは、エネルギーがまず二次電流I
S3を介して回路経路111において伝達され得るパルスシェアリングを示しているが(例えば時間インターバルtsc11~tsc15を参照されたい)、他のパルスシェアリング置換例も可能である。
【0058】
例えば、
図2Gは、別のパルスシェアリング実施形態によるスイッチング周期T30~T34中の波形291~298を示す。波形291~298は、それぞれ、フォワードピン信号FW、信号FL、制御信号SEL2、制御信号SEL1、二次電流I
S2、二次電流I
S1、二次電流I
S3、および一次電流I
SWのDCM定常状態波形であり得る。スイッチング周期T30~T34中にエネルギーがまず二次電流I
S2を介して回路経路113において伝達され得ることを除いて、波形291~298は波形201~208と同様である。
【0059】
スイッチング周期T31~T33中にエネルギーは、回路経路113、115においてシェアされ得る。波形295~297により示されるように、エネルギーは、まず、二次電流IS2を介して回路経路113において伝達され得、次に、二次電流IS1を介して回路経路115においてシェアされる。波形293、294に示されるように、制御信号SEL2がハイに振られた(制御信号SEL1がローに振られた)とき、二次スイッチ122が伝導し、エネルギーが二次電流IS2を介して回路経路113において伝達され得る。同様に、制御信号SEL1がハイに振られたとき(制御信号SEL2がローに振られたとき)、二次スイッチ125が伝導し、エネルギーが二次電流IS1を介して回路経路115において伝達され得る。
【0060】
スイッチング周期T34中にエネルギーは、回路経路113、111においてシェアされ得る。波形295~297により示されるように、エネルギーは、まず、二次電流IS2を介して回路経路113において伝達され得、次に、二次電流IS3を介して回路経路111においてシェアされる。波形293、294に示されるように、制御信号SEL2がハイに振られた(制御信号SEL1がローに振られた)とき、二次スイッチ122が伝導し、エネルギーが二次電流IS2を介して回路経路113において伝達され得る。次に、制御信号SEL1とSEL2との両方がローに振られたとき、二次スイッチ122、125が電流の流れを阻止する。したがって、ダイオード120が伝導し(すなわち順バイアスされ)得、エネルギーが二次電流IS3を介して回路経路111において伝達され得る。
【0061】
図2Bから
図2Gはパルスシェアリングを示すが、この場合において、エネルギーはまず1つの回路経路において伝達され得、次に、別の回路経路において、他のパルスシェアリング置換例、例えば例として1つのスイッチングサイクル中に2つより多い回路経路間のパルスシェアリングが可能であることが認識される。
【0062】
図3は、一実施形態によるパルスシェアリング制御回路153を示す。パルスシェアリング制御回路153は、要求比較器回路302、基準/シェア比較器回路304、パルスシェアリング論理回路306、放電タイミング回路308、およびスイッチ積分器310を含む。要求比較器回路302は、フィードバック信号FB1~FB3を受信し、パルスシェアリング論理回路306に論理信号U
REQ1~U
REQ3を提供する。基準/シェア比較器回路304は、フィードバック信号FB1~FB3を受信し、パルスシェアリング論理回路306に論理信号U
SHARE1~U
SHARE3を提供する。放電タイミング回路308はフォワードピン信号FWを受信し、スイッチ積分器310に論理信号U
DISを提供し、スイッチ積分器310はパルスシェアリング論理回路306から論理信号UP、DWNを受信する。パルスシェアリング論理回路306は、制御信号SEL1、SEL2を生成し得、放電タイミング回路308に制御信号SEL1、SEL2を更に提供する。
【0063】
上述のように、パルスシェアリング制御回路153を含む二次制御装置108は、パルス幅(例えばパルス幅Ts1、Ts3)を変えるためにスイッチ遷移時点(例えば遷移時点t20s)を調節し得る。放電タイミング回路308は、エネルギーが二次巻線114、116、118にいつ伝達されているかを表すためにフォワードピン信号FWを使用し得る。例えば、放電タイミング回路308は、波形201の電圧振幅V1、V2に少なくとも部分的に基づいてDCMスイッチングサイクルを表すことに応答して、論理信号UDISを提供し得る。スイッチング遷移時点SWT(例えば遷移時点t20s)は、論理信号UP、DWN、およびUSWTにより少なくとも部分的に決定され得る。例えば、論理信号UPは、スイッチング遷移時点SWTを大きくする、および/またはインクリメントするために使用され得るのに対し、論理信号DWNは、スイッチング遷移時点SWTを小さくする、および/またはデクリメントするために使用され得る。
【0064】
更に、パルスシェアリング制御回路153を含む二次制御装置108は、複数の負荷106の需要(例えば電力需要)に少なくとも部分的に基づいてパルスをいつシェアするかを決定し得る。この点について、要求比較器回路302および基準/シェア比較器回路304は、それぞれ、複数の負荷106からの需要を示す論理信号U
REQ1~U
REQ3、および、論理信号U
SHARE1~U
SHARE3を提供し得る。パルスシェアリング論理回路306は、続いて、論理信号U
REQ1~U
REQ3および論理信号U
SHARE1~U
SHARE3の関数として制御信号SEL1、SEL2を生成し得る。例えば、
図4Aおよび
図4Bは、フィードバック信号FB1~FB3およびオフセット(例えば5ミリボルトから100ミリボルトのオフセット)に少なくとも部分的に基づいて、論理信号U
REQ1~U
REQ3および論理信号U
SHARE1~U
SHARE3をそれぞれ提供する要求比較器回路302および基準/シェア比較器回路304を説明している。
【0065】
図4Aは、一実施形態による要求比較器回路302を示す。要求比較器回路302は、アナログ信号比較結果に応答して論理信号U
REQ1~U
REQ3をそれぞれ提供する比較器401~403を備える。比較器401は、反転端子においてフィードバック信号FB1を受信し、フィードバック信号FB1を非反転端子における基準電圧V
REFAと比較する。比較器402は反転端子においてフィードバック信号FB2を受信し、フィードバック信号FB2を非反転端子における基準電圧V
REFBと比較する。比較器403は、反転端子においてフィードバック信号FB3を受信し、フィードバック信号FB3を非反転端子における基準電圧V
REFCと比較する。1つの実施形態において、信号FL(例えば波形202)により通信される要求情報は、論理信号U
REQ1~U
REQ3により少なくとも部分的に決定され得る。例えば、
図2Gにおけるスイッチング周期T31の直前に、論理信号U
REQ2は、フィードバック信号FB2が基準電圧V
REFB未満に低下したことに応答してハイに振られ得る。したがって、スイッチング周期T31中に、信号FLの波形292は、論理信号U
REQ2に少なくとも部分的に基づいて要求を示す。
【0066】
図4Bは、一実施形態による基準/シェア比較器回路304を示す。基準/シェア比較器回路304は、アナログ信号比較結果に応答して論理信号U
SHARE1~U
SHARE3をそれぞれ提供する比較器411~413を備える。比較器411は、反転端子においてフィードバック信号FB1を受信し、フィードバック信号FB1を非反転端子における基準電圧V
REF1と比較する。比較器412は、反転端子においてフィードバック信号FB2を受信し、フィードバック信号FB2を非反転端子における基準電圧V
REF2と比較する。比較器413は、反転端子においてフィードバック信号FB3を受信し、フィードバック信号FB3を非反転端子における基準電圧V
REF3と比較する。
【0067】
アナログ基準電圧VREF1は、基準電圧VREFA(例えば1.2ボルト)と第1のオフセットVOS1(例えば5ミリボルトから100ミリボルト)との和により決定され得る。基準電圧VREF2は、基準電圧VREFBに第2のオフセットVOS2(例えば5ミリボルトから100ミリボルト)を加えたものにより決定され得、基準電圧VREF3は、基準電圧VREFCに第3のオフセットVOS3(例えば5ミリボルトから100ミリボルト)を加えたものにより決定され得る。1つの実施形態において、基準電圧VREF3が複数の負荷106のCC/CV3ポートのCCおよび/またはCV調節を提供することに関連した基準であり得るとともに、基準電圧VREF1およびVREF2は、複数の負荷106のCC/CV1ポートおよびCC/CV2ポートのCV調節をそれぞれ提供することに関連した基準であり得る。
【0068】
上述のように、パルスシェアリング論理回路306は、パルスをいつシェアするかを決定し得る。更に、パルスシェアリング論理回路306は、第1のオフセットV
OS1と第2のオフセットV
OS2と第3のオフセットV
OS3との関数としてパルスをいつシェアするかを決定し得る。例えば、
図2Gのスイッチング周期T31中に、二次電流I
S1を介して回路経路115においてエネルギーをシェアするための条件は、論理信号U
SHARE1と論理信号U
REQ1との両方に基づき得る。スイッチング周期T31中に、論理信号U
SHARE1は、フィードバック信号FB1が基準電圧V
REF1未満に低下したことに応答してハイに振られ得、同時に、論理信号U
REQ1はローに留まり、フィードバック信号FB1が第1のオフセットV
OS1以下ぶん基準電圧V
REFAより高いことを示し得る。
【0069】
図5は、一実施形態によるパルスシェアリング論理回路306を示す。パルスシェアリング論理回路306は、状態機械502と組み合わせ論理部504とを含む。状態機械502は、論理信号U
REQ1~U
REQ3、論理信号U
SHARE1~U
SHARE3を受信し、論理信号UP、DWN、CV1S、CV2S、CV3S、CV13S、CV23Sを提供する。
【0070】
1つの実施形態において、状態機械502は、パルスシェアリングアルゴリズムを使用した論理信号CV1S、CV2S、CV3S、CV13S、CV23Sを生成し得る(例えば、後述のパルスシェアリングアルゴリズム600を参照されたい)。
【0071】
論理信号CV1S、CV2S、CV3S、CV13S、CV23Sは、エネルギーがスイッチング周期中にどのように伝達されるかを少なくとも部分的に決定し得る。例えば、論理信号CV1S、CV2S、およびCV3Sは、1パルス制御(すなわち「フルパルス」制御)を押し進める「フルパルス」論理信号であり得る。上述のように、1パルス制御中、回路経路111、113、または115のうちの選択された1つにおいてのみエネルギーが伝達され、回路経路111、113、または115は、二次スイッチ122、125の制御によりスイッチング周期中に選択され得る。代替的に、および追加的に、論理信号CV13S、CV23Sは、スイッチング周期中のパルスシェアリングに役立つ「シェアードパルス」論理信号であり得る。例えば、論理信号CV13Sは、二次電流IS3を介して回路経路111において、および、二次電流IS1を介して回路経路115においてエネルギーがシェアされることをもたらすための論理信号であり得る。論理信号CV23Sは、二次電流IS3を介して回路経路111において、および二次電流IS2を介して回路経路113においてエネルギーがシェアされることをもたらす論理信号であり得る。
【0072】
組み合わせ論理部504は、論理信号CV1S、CV2S、CV3S、CV13S、CV23S、論理信号USWTを受信し、制御信号SEL1、SEL2を提供する。
【0073】
組み合わせ論理部504は、ANDゲート512、515、516、519、およびORゲート514、518を含む。ANDゲート512、ORゲート514、およびANDゲート515の論理部により論理的に示されているように、制御信号SEL1は、論理信号CV3Sの否定(NOT)と論理信号B1との論理ANDであり得る。論理信号B1は、論理信号CV1Sと論理信号A1との論理ORであり得、論理信号A1は、論理信号USWTと論理信号CV13Sとの論理ANDであり得る。同様に、ANDゲート516、ORゲート518、およびANDゲート519の接続により論理的に示されているように、制御信号SEL2は、論理信号CV3Sの否定(NOT)と論理信号B2との論理ANDであり得る。論理信号B2は、論理信号CV2Sと論理信号A2との論理ORであり得、論理信号A2は、論理信号USWTと論理信号CV13Sとの論理ANDであり得る。
【0074】
図6Aは、一実施形態によるスイッチングサイクル中のパルスシェアリングアルゴリズム600に対するフローチャートを示す。パルスシェアリングアルゴリズムは、エネルギーの要求に対応した判断ステップ602から始まる。例えば、複数の負荷106のCC/CV1ポートまたはCC/CV2ポートがその調節電圧未満に低下した場合、より多くのエネルギーが要求され得る。代替的に、CC/CV3ポートが調節負荷電流I
L3を提供するためにより多くのエネルギーを要求している場合、需要が存在し得る。より多くのエネルギーに対する需要が「YES」に対応しており、この場合において、パルスシェアリングアルゴリズムは後続の判断ステップ604に進み得る。代替的に、「NO」は判断ステップ602に留まることを示す(すなわち、判断ステップ602を繰り返す)。
【0075】
次の判断ステップ604は、多出力電力コンバーターシステム100がパルスシェアリングを有効にしたか否かを判定する。条件が偽である(すなわち「NO」と判定した)場合、「フルパルス」状態(すなわち、1パルス制御)が存在し、パルスシェアリングアルゴリズム600はステップ606に進む。ステップ606は、1パルス制御を使用して動作することに対応する。例えば、制御信号SEL1、SEL2が、スイッチング周期(例えばスイッチング周期T6~T10のうちの任意の1つ)中に、回路経路111、113、または115のうちの1つだけにおいてエネルギー伝達を可能にするように、論理信号CV1S、CV2S、および/またはCV3Sが振られ得る。ステップ606の完了後に、スイッチングアルゴリズムは判断ステップ602に戻る。
【0076】
判断ステップ606における条件が真である(すなわち、「YES」と判定した)場合、パルスシェアリングアルゴリズム600は判断ステップ608に進む。
【0077】
次の判断ステップ608は、複数の負荷106のCC/CV1ポートまたはCC/CV2ポートからのエネルギー需要に対する状態を判定する。例えば、出力電圧VO1が適切に調節されていないことを示すように、比較器401が状態を変化させた(すなわち、論理信号UREQ1が状態を変化させた)場合、判断ステップ608における条件は真となる(すなわち、「YES」と判定する)。または、出力電圧VO2が適切に調節されていないことを示すように、比較器402が状態を変化させた(すなわち、論理信号UREQ2が状態を変化させた)場合、判断ステップ608における条件は真となる(すなわち、「YES」と判定する)。
【0078】
判断ステップ608における条件が真である(すなわち「YES」と判定した)場合、パルスシェアリングアルゴリズム600はサブルーチン610に進み、そうでない場合、パルスシェアリングアルゴリズム600はサブルーチン612に進む。パルスシェアリングアルゴリズム600は、複数の負荷106のCC/CV1ポートまたはCC/CV2ポートにエネルギーをどのように提供するか、および、エネルギーがCC/CV3ポートとシェアされ得るか否かを決定するために、サブルーチン610を使用し得る。代替的に、パルスシェアリングアルゴリズム600は、複数の負荷106のCC/CV3ポートにエネルギーがどのように提供され得るか、および、エネルギーがCC/CV1ポートまたはCC/CV2ポートとシェアされ得るか否かを決定するためにサブルーチン612を使用し得る。
【0079】
図6Bは、
図6Aのフローチャートによるサブルーチン610を示す。開始時、サブルーチン610は判断ステップ614に進む。判断ステップ614はフィードバック信号FB3を基準電圧V
REF3と比較する(例えば比較器413を参照されたい)。結果(例えば、論理信号U
SHARE3)が真である(すなわち「YES」と判定した)場合、サブルーチン610は判断ステップ615に進む。判断ステップ614の結果が偽である(すなわち「NO」と判定した)場合、サブルーチン610は判断ステップ619に進む。
【0080】
判断ステップ615は、CC/CV1ポートがエネルギーを受信しなければならないか否か、または、CC/CV2ポートがエネルギーを受信しなければならないか否かを判定するために、複数の負荷106のCC/CV1ポートからのエネルギー需要を特定する。例えば、出力電圧VO1が適切に調節されていないことを示すように、比較器401が状態を変化させた(すなわち、論理信号UREQ1が状態を変化させた)場合、判断ステップ615における条件は真となる(すなわち「YES」と判定する)。ステップ615における条件が真である場合、サブルーチン610はステップ616に進み、そうでない場合、サブルーチン610はステップ617に進む。
【0081】
ステップ616は、複数の負荷106のCC/CV3ポートとCC/CV1ポートとの両方とエネルギーをシェアすることに対応し得る。幾らかのエネルギーがまず二次電流IS3を介して回路経路111において伝達し、次に、二次電流IS1を介して回路経路115において伝達するように(例えばスイッチング周期T2~T4を参照されたい)、制御信号SEL1が二次スイッチ125を閉じるために二次スイッチブロック104に提供され得る。
【0082】
ステップ617は、複数の負荷106のCC/CV3ポートとCC/CV2ポートとの両方に対してエネルギーをシェアすることに対応し得る。幾らかのエネルギーがまず二次電流IS3を介して回路経路111において伝達し、次に二次電流IS2を介して回路経路113において伝達するように(例えばスイッチング周期T5を参照されたい)、制御信号SEL2が二次スイッチ122を閉じるために二次スイッチブロック104に提供され得る。
【0083】
ステップ616の後に、およびステップ617の後に、サブルーチン610はステップ618に進む。ステップ618中に、サブルーチン610は、デジタルおよび/またはアナログ領域においてスイッチング遷移時点SWTを調節し得る(例えば小さくし得る)。スイッチング遷移時点SWTは、例えば遷移時点t20sといったスイッチング時点であり得、これは、ひいてはパルス幅Ts3を短くするために小さくなり得る(例えば
図2Eを参照されたい)。ステップ618の後に、サブルーチン610は、パルスシェアリングアルゴリズム600の判断ステップ602に戻る。
【0084】
判断ステップ619は、CC/CV1ポートがエネルギーを受信しなければならないか否か、または、CC/CV2ポートがエネルギーを受信しなければならないか否かを判定するために、複数の負荷106のCC/CV1ポートからのエネルギー需要を特定する。例えば、出力電圧VO1が適切に調節されていないことを示すように、比較器401が状態を変化させた(すなわち、論理信号UREQ1が状態を変化させた)場合、判断ステップ619における条件は真となる(すなわち「YES」と判定する)。ステップ619における条件が真である場合、サブルーチン610はステップ621に進み、そうでない場合、サブルーチン610はステップ620に進む。
【0085】
ステップ621は、複数の負荷106のCC/CV1ポートにフルパルスを提供することに対応し得る。例えば、エネルギーは、二次電流IS1を介して回路経路115のみにおいて伝達され得る。制御信号SEL1は、スイッチング周期中に二次スイッチ125を閉じるために二次スイッチブロック104に提供され得る(例えばスイッチング周期T7を参照されたい)。
【0086】
ステップ620は、複数の負荷106のCC/CV2ポートにフルパルスを提供することに対応し得る。例えば、エネルギーは、二次電流IS2を介して回路経路113のみにおいて伝達され得る。制御信号SEL2は、スイッチング周期中に二次スイッチ122を閉じるために二次スイッチブロック104に提供され得る。
【0087】
ステップ620の後に、およびステップ621の後に、サブルーチン610はステップ622に進む。ステップ622はステップ618と同様であり得るが、サブルーチン610は、判断ステップ614の状態に従って、より大きい量ぶんスイッチング遷移時点SWTを調節し得る(例えば小さくし得る)。すなわち、フィードバック信号FB3は基準電圧VREF3以上である。ステップ622の後に、サブルーチン610はパルスシェアリングアルゴリズム600の判断ステップ602に戻る。
【0088】
図6Cは、
図6Aのフローチャートによるサブルーチン612を示す。開始時、サブルーチン612は判断ステップ625に進む。判断ステップ625は、フィードバック信号FB1を基準電圧V
REF1と比較し(例えば比較器411を参照されたい)、フィードバック信号FB2を基準電圧V
REF2と比較する(例えば比較器412を参照されたい)。判断ステップ625の条件は、複数の負荷106のCC/CV1ポートがエネルギーを要求していること、および、CC/CV2ポートがエネルギーを要求していないことに対応し得る。判断ステップ625の条件が真の場合、サブルーチン612は、サブルーチン610のステップ616と機能的に同等であり得るステップ630に進む。そうでない場合、サブルーチン612は判断ステップ626に進む。
【0089】
判断ステップ626は、フィードバック信号FB1を基準電圧VREF1と比較し(例えば比較器411を参照されたい)、フィードバック信号FB2を基準電圧VREF2と比較する(例えば比較器412を参照されたい)。判断ステップ626の条件は、複数の負荷106のCC/CV1ポートがエネルギーを要求していること、およびCC/CV2ポートがエネルギーを要求していることに対応し得る。判断ステップ626の条件が真の場合、サブルーチン612は判断ステップ629に進み、そうでない場合、サブルーチン612は判断ステップ627に進む。
【0090】
判断ステップ629は以前の要求が複数の負荷106のCC/CV1ポートにエネルギーを提供するものであるか否かを判定する。判断ステップ629の条件が真の場合、サブルーチン612はステップ630に進み、そうでない場合、サブルーチン612はステップ632に進む。
【0091】
判断ステップ627は、フィードバック信号FB1を基準電圧VREF1と比較し(例えば比較器411を参照されたい)、フィードバック信号FB2を基準電圧VREF2と比較する(例えば比較器412を参照されたい)。判断ステップ627の条件は、複数の負荷106のCC/CV1ポートがエネルギーを要求していないこと、および、CC/CV2ポートがエネルギーを要求していることに対応し得る。判断ステップ627の条件が真の場合、サブルーチン612は、サブルーチン610のステップ617と機能的に同等であり得るステップ632に進む。そうでない場合、サブルーチン612は判断ステップ628に進む。
【0092】
ステップ628は、複数の負荷106のCC/CV3ポートにフルパルスを提供することに対応し得る。例えば、エネルギーは、二次電流IS3を介して回路経路111のみにおいて伝達され得る。制御信号SEL1、SEL2は、スイッチング周期中に二次スイッチ122、125の両方を開くために二次スイッチブロック104に提供され得る(例えばスイッチング周期T6、T8、T9を参照されたい)。
【0093】
ステップ630の後に、およびステップ632の後に、サブルーチン610はステップ635に進む。ステップ635中に、サブルーチン612は、デジタルおよび/またはアナログ領域においてスイッチング遷移時点SWTを調節し得る(例えば、大きくし得る)。スイッチング遷移時点SWTは、例えば遷移時点t20sといったスイッチング時点であり得、これは、ひいてはパルス幅Ts3を延ばすために大きくされ得る。ステップ635の後に、サブルーチン612は、パルスシェアリングアルゴリズム600の判断ステップ602に戻る。
【0094】
ステップ628の後に、サブルーチン612はステップ634に進む。ステップ634はステップ635と同様であり得るが、サブルーチン612は、判断ステップ625~627の条件に従って、より大きい量ぶんスイッチング遷移時点SWTを調節し得る(例えば大きくし得る)。すなわち、ステップ628の需要はCC/CV3ポートにフルパルスを提供する。ステップ634の後に、サブルーチン612は、パルスシェアリングアルゴリズム600の判断ステップ602に戻る。
【0095】
図7は、一実施形態による多出力電力コンバーターシステム100におけるパルスシェアリング制御に対する概念的なフロー
図700を示す。ステップ702は、スイッチング周期中に一次スイッチ152をオンに切り替えることに対応する(例えば、時点t2aにおけるスイッチング周期T2、および/または、時点t5aにおけるスイッチング周期T5)。ステップ704は、(例えば、時点t2bにおいて、および/または、時点t5bにおいて)一次スイッチ152をオフに切り替えることに対応する。ステップ706は、第1の負荷ポート(例えば複数の負荷106のCC/CV3ポート、CC/CV2ポート、およびCC/CV1ポートのうちの任意の1つ)にエネルギーを伝達することに対応し得る。エネルギーは、第1の二次電流(例えば二次電流I
S3)を介して第1の回路経路(例えば回路経路111)において伝達され得る。ステップ708は、スイッチング遷移時点SWTを決定することに対応し得る(例えば、サブルーチン610のステップ618、および/または、ステップ635またはサブルーチン612を参照されたい)。スイッチング遷移時点SWT(例えば
図2Eの遷移時点t20s)において、エネルギーが、第2の回路経路(例えば回路経路115)において伝達され得る。ステップ710は、第2の二次電流(例えば二次電流I
S1)を介して第2の回路経路を介してエネルギーを伝達することに対応し得る。この手法により、エネルギーは、二次側の第2の負荷ポート(例えば複数の負荷106のCC/CV1ポートまたはCC/CV2ポート)とシェアされ得る。
【0096】
多出力電力コンバーターシステム100は対応する二次電流IS1~IS3を伴う多出力VO1~VO3を提供するためのスイッチング式構成(例えばフライバック構成)を示すが、より多くの、またはより少ない多出力を伴う他の構成も可能である。例えば、本明細書における教示は、複数の二次巻線を含む変圧器を使用したフォワードコンバーターおよび/または他のコンバータートポロジーにも適用可能であり得る。
【0097】
説明および例示的な図面において、独立して制御されるCC/CV多出力の概念が主にエネルギー伝達要素(例えば変圧器)における二次巻線の直列結合とともに示されていることが理解される。しかし、それは限定とみなされてはならず、用途および多出力の各々における負荷電力要求に基づいて、独立して調節されるCV/CC出力が、本明細書の教示に従って独立して制御される、および調節される出力の全てのための共通戻り線を使用した、直列巻線、並列巻線、または直列巻線と並列巻線との両方の任意の結合の組み合わせにより構成されてもよいことが理解される。
【0098】
提案されるコンバータートポロジーは複数の別々に調節される定電圧および/または定電流出力を伴う用途を対象とする単一段多出力フライバックコンバーターの一例である。このような製品に対する例示的な対象は、例えば40~50Vの電圧降下を伴う調節された調節可能な(例えば調光する)定電流出力を必要とするバックライトLEDの並列なストリング(例えばアレイ)のためのCC制御される出力と、各出力に対して厳しい調節精度要件を満たさなければならない論理部、ユニバーサルシリアルバス(USB:universal serial bus)、およびオーディオに給電するための1つまたは複数のCV制御される出力とを含むモニターおよびテレビ用途を包含し得る。
【0099】
要約で説明される事項を含む本開示の示される例の上述の説明は、網羅的であることを意図したものではなく、開示される形態そのものへの限定であることを意図したものでもない。多出力電力コンバーターシステムにおける可聴ノイズを減らすための特定の実施形態および例が本明細書において例示を目的として説明されるが、本開示のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく様々な同等な変更が可能である。実際、具体的で例示的な電圧、電流、周波数、出力範囲値、時間などが説明のために提示されること、および、他の値が本明細書の教示に従って他の実施形態および例において使用されてもよいことが理解される。
【0100】
本発明は請求項において規定されるが、本発明が代替的に以下の例により規定され得ることが理解されなければならない。
【0101】
例1:スイッチング周期中における多出力電力コンバーターシステムにおけるパルスシェアリング制御の方法であって、方法が、一次電流を介してエネルギー伝達要素にエネルギー供給するために一次スイッチを閉じることと、一次スイッチを開くことと、第1の二次電流を介して第1の回路経路における第1の負荷ポートにエネルギーを伝達することと、スイッチング遷移時点を決定することと、スイッチング遷移時点において、第2の二次電流を介して第2の回路経路における第2の負荷ポートにエネルギーを伝達することと、を含む、方法。
【0102】
例2:スイッチング周期が、不連続伝導モード(DCM)スイッチング周期である、例1に記載の方法。
【0103】
例3:第1の負荷ポートが、定電流(CC)ポートである、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
例4:第1の負荷ポートが、定電圧(CV)ポートである、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
例5:第1の負荷ポートの電圧が、第2の負荷ポートの電圧より高い。前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
例6:スイッチング遷移時点において、第2の二次電流を介して第2の回路経路における第2の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、3ボルトから40ボルトの間の電圧を提供することを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
例7:第1の二次電流を介して第1の回路経路における第1の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、3ボルトから100ボルトの間の電圧を提供することを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
例8:第1の二次電流を介して第1の回路経路における第1の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に第1の二次電流を提供することを含む。前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
例9:スイッチング遷移時点において、第2の二次電流を介して第2の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、二次スイッチを閉じることを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
例10:スイッチング遷移時点において、第2の二次電流を介して第2の負荷ポートにエネルギーを伝達することが、フォワードピン信号を測定することを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
例11:フォワードピン信号が、二次巻線電圧である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
例12:一次巻線と複数の二次巻線とを備えるエネルギー伝達要素であって、一次巻線が、第1の電源からエネルギーを受信するように構成された、エネルギー伝達要素と、一次巻線に電気的に結合された、および、スイッチングサイクルに従ってスイッチングするように構成された一次スイッチと、第1の負荷ポートに電気的に結合された第1の回路経路と、第2の負荷ポートに電気的に結合された第2の回路経路と、第1の回路経路における第1の二次電流を提供するように、および、次に、スイッチングサイクル中に、スイッチング遷移時点において、第2の回路経路における第2の二次電流を提供するように構成された二次制御装置とを備える、多出力電力コンバーターシステム。
【0113】
例13:スイッチングサイクルが、不連続伝導モード(DCM)スイッチングサイクルである、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0114】
例14:第1の負荷ポートが、定電流(CC)ポートである、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0115】
例15:第1の負荷ポートが、定電圧(CV)ポートである、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0116】
例16:第1の負荷ポートの電圧が、第2の負荷ポートの電圧より高い、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0117】
例17:第2の負荷ポートが、定電圧(CV)ポートである、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0118】
例18:第2の負荷ポートが、3ボルトから40ボルトの間の電圧を受信するように構成されたポートである、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0119】
例19:第1の負荷ポートが、3ボルトから100ボルトの間の電圧を受信するように構成された、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0120】
例20:第1の回路経路が、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に第1の二次電流を提供するように構成された、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0121】
例21:二次制御装置が、パルスシェアリング制御回路を備える前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【0122】
例22:パルスシェアリング制御回路が、第1の二次電流のパルス幅と第2の二次電流のパルス幅とを決定するように構成された、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーターシステム。
【外国語明細書】