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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080854
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】超広帯域非金属ホーンアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/06 20060101AFI20220523BHJP
   H01P 5/08 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H01Q13/06
H01P5/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021180902
(22)【出願日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】63/115,570
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】110114721
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520307104
【氏名又は名称】稜研科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TMY TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】戴 揚
(72)【発明者】
【氏名】郭 瞬仲
(72)【発明者】
【氏名】蔡 文才
(72)【発明者】
【氏名】▲ウー▼ 俊緯
(72)【発明者】
【氏名】徐 紹鈞
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA01
5J045AA02
5J045AB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好なインピーダンス整合が可能な給電構造を備える、対称性の良い放射パターンを有する小型の超広帯域非金属ホーンアンテナを提供する。
【解決手段】超広帯域非金属ホーンアンテナ100は、インピーダンス整合部110、フィールド調整部130及び外側カバー部150等の組み合わせ可能な3つの非金属要素を備える。インピーダンス整合部110及びフィールド調整部130には、それぞれ第1の溝構造及び第2の溝構造が配置される。フィールド調整部130は、インピーダンス整合部110及び外側カバー部150の間に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対側の第1の端及び第2の端を備えるインピーダンス整合部であって、前記インピーダンス整合部の前記第1の端は、第1のほぞ部を備え、前記インピーダンス整合部の前記第2の端の端面は、第1の凹構造を備え、前記第1の凹構造は、第1の突出部及び前記第1の突出部を囲む第1の溝構造を備える、インピーダンス整合部と、
互いに反対側の第1の端及び第2の端を備えるフィールド調整部であって、前記フィールド調整部の前記第1の端の端面は、第1の堀構造を備え、前記フィールド調整部の前記第2の端の端面は、第2の凹構造を備え、前記第2の凹構造は、第2の突出部及び前記第2の突出部を囲む第2の溝構造を備え、前記第2の突出部の上面は、前記第1のほぞ部に対応する第2の堀構造を備え、前記インピーダンス整合部の前記第1のほぞ部は、前記フィールド調整部の前記第2の堀構造に挿入される、フィールド調整部と、
第1のテーパ構造及び前記第1の堀構造に対応する第2のほぞ部を備える外側カバー部であって、前記第1のテーパ構造は、頂角及び底面を備え、前記第2のほぞ部は、前記第1のテーパ構造の底面に接続され、前記外側カバー部の前記第2のほぞ部は、前記フィールド調整部の前記第1の堀構造を挿入される、外側カバー部と、
を備える、
超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項2】
前記第1の突出部は、第2のテーパ構造であり、
前記第1の突出部の高さは、前記第1の溝構造の深さよりも大きい、
請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項3】
特定波長を備える放射信号を提供するように構成され、
前記第1の突出部の前記高さは、前記特定波長よりも小さく、
前記第1の溝構造の前記深さは、前記特定波長の半分未満である、
請求項2の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項4】
前記第1の突出部は、外側に延伸する頂角を有し、
前記第1の突出部の前記頂角は、13~45度である、
請求項2の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項5】
前記インピーダンス整合部は、前記インピーダンス整合部の前記第2の端を介して、導波管に接続される、請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項6】
前記導波管及び前記インピーダンス整合部は、一体的に形成される、請求項5の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項7】
前記導波管は、非金属材料から作成され、
前記導波管の外側層は、金属層によりスパッタリングされる、請求項5の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項8】
前記導波管及び前記インピーダンス整合部は一体的に形成される、又は前記インピーダンス整合部、前記フィールド調整部、及び前記外側カバー部は一体的に形成される、請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項9】
前記第1のほぞ部の高さと前記第2の堀構造の深さとの差は、0.5mm未満である、請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項10】
特定波長を備える放射信号を提供するように構成され、
前記第2の突出部は、円筒状であり、
前記第2の突出部の端面の直径は、前記特定波長の1.1~2倍である、
請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項11】
前記第2の凹構造の深さは、前記特定波長の0.8~1.5倍である、請求項10の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項12】
前記第2の溝構造の深さは、前記特定波長の0.4~0.5倍である、請求項10の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項13】
前記第2の凹構造は、上面及び底面を備え、
前記第2の凹構造の前記底面は、前記第2の突出部に接続され、
前記第2の凹構造の前記上面と前記第2の突出部の上面との高低差は、前記特定波長の0.4倍未満である、
請求項10の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項14】
前記第2の凹構造は、内側管状面をさらに備え、
前記第2の凹構造の前記内側管状面と前記第2の凹構造の前記底面との間の角度は、80~100度である、
請求項13の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項15】
前記第2の突出部は、外側管状面を備え、
前記第2の凹構造の前記底面と前記第2の突出部134aの前記外側管状面との間の角度は、80~100度である、
請求項13の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項16】
前記第2の溝構造は、円状構造、又は正三角以外の多角構造である、請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項17】
前記第1のテーパ構造の前記頂角は、90~120度である、請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項18】
前記第1のテーパ構造は、円錐構造又は正多角錐構造である、請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項19】
前記インピーダンス整合部、前記フィールド調整部、及び前記外側カバー部は、全て非金属材料から作成される、請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【請求項20】
前記フィールド調整部は、N辺正角柱状の物体であり、
第1の円錐構造は、N辺正角錘状の物体であり、
Nは、3以上の自然数である、
請求項1の超広帯域非金属ホーンアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ構造に関し、具体的には、超広帯域非金属ホーンアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、導波管とフィードホーンアンテナとのインピーダンスはモード整合部を設けることにより整合されるが、この方法は、限られたパラメータにしか調整することができず、また、フィードホーンアンテナの全体構造が原因でインピーダンス整合が難しいことがある。
【0003】
また、従来技術において、放射部の展開角度を調整することによりサイドローブレベル及び反射損失を調整する方法があるが、これを実現する設計は、より長いランチャー及びフィード部としての金属ストリップ構造を必要とするため、全体サイズが大きくなってしまう。加えて、このフィード方法は、固定性能が低く、商品化に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィードホーンアンテナの全体構造が原因でインピーダンス整合が難しいことがある。さらに、従来のフィード方法は、固定性能が低く、商品化に適していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに鑑みて、本開示は、上記の技術的課題を解決可能な超広帯域非金属ホーンアンテナを提供する。
【0006】
本開示は、インピーダンス整合部と、フィールド調整部と、外側カバー部と、を備える超広帯域非金属ホーンアンテナを提供する。インピーダンス整合部は、互いに反対側の第1の端及び第2の端を備える。
インピーダンス整合部の第1の端は、第1のほぞ部を備え、インピーダンス整合部の第2の端の端面は、第1の凹構造を備え、第1の凹構造は、第1の突出部及び第1の突出部を囲む第1の溝構造を備える。
フィールド調整部は、互いに反対側の第1の端及び第2の端を備える。フィールド調整部の第1の端の端面は、第1の堀構造を備え、フィールド調整部の第2の端の端面は、第2の凹構造を備え、第2の凹構造は、第2の突出部及び第2の突出部を囲む第2の溝構造を備え、第2の突出部の上面は、第1のほぞ部に対応する第2の堀構造を備える。さらに、インピーダンス整合部の第1のほぞ部は、フィールド調整部の第2の堀構造に挿入される。外側カバー部は、第1のテーパ構造及び第1の堀構造に対応する第2のほぞ部を備える。第1のテーパ構造は、頂角及び底面を備える。第2のほぞ部は、第1のテーパ構造の底面に接続され、外側カバー部の第2のほぞ部は、フィールド調整部の第1の堀構造を挿入される。
【発明の効果】
【0007】
インピーダンス整合部の第1の凹構造により、本開示のホーンアンテナは、インピーダンス整合の効果を達成することができる。フィールド調整部に第2の凹構造により、今回時のホーンアンテナは、より対称的な放射パターン(すなわち、水平偏波パターンは、垂直偏波パターンと対称である)より小さいアンテナサイズを有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係る、導波管が接続された超広帯域非金属ホーンアンテナの概略図である。
【0009】
図2A図2Aは、本開示の第1の実施形態に係る、インピーダンス整合部の側面斜視図である。
【0010】
図2B図2Bは、図2Aに図示されるインピーダンス整合部の別の図である。
【0011】
図2C図2Cは、図2Aに図示されるインピーダンス整合部のさらなる別の図である。
【0012】
図3図3は、本開示の第1の実施形態に係る、|S11|の比較図である。
【0013】
図4A図4Aは、本開示の第2の実施形態に係る、インピーダンス整合部及び導波管の側面斜視図である。
【0014】
図4B図4Bは、図4Aの別の図である。
【0015】
図4C図4Cは、図4Bのさらなる別の図である。
【0016】
図5A図5Aは、本開示の第3の実施形態に係る、フィールド調整部の側面斜視図である。
【0017】
図5B図5Bは、図5Aのフィールド調整部の別の図である。
【0018】
図5C図5Cは、図5Bのフィールド調整部のさらなる別の図である。
【0019】
図6A図6Aは、第2の溝構造を備えないホーンアンテナの放射パターン図である。
【0020】
図6B図6Bは、第2の溝構造を備えるホーンアンテナの放射パターン図である。
【0021】
図7A図7Aは、本開示の第4の実施形態に係る、外側カバー部の側面図である。
【0022】
図7B図7Bは、図7Aの外側カバー部の別の図である。
【0023】
図7C図7Cは、図7Aの外側カバー部のさらなる別の図である。
【0024】
図8A図8Aは、外側カバー部を備えないホーンアンテナの放射パターン図である。
【0025】
図8B図8Bは、外側カバー部を備えるホーンアンテナの放射パターン図である。
【0026】
図9A図9Aは、従来のホーンアンテナ及び本開示のホーンアンテナの側面図である。
【0027】
図9B図9Bは、図9Aの従来のホーンアンテナ及び本開示のホーンアンテナの上面図である
【0028】
図9C図9Cは、図9Aに応じた放射パターン図である。
【0029】
図9D図9Dは、図9Aに応じた反射係数図である。
【0030】
図10A図10Aは、本開示の実施形態に係る、水平偏波パターン及び垂直偏波パターンの図である。
【0031】
図10B図10Bは、図10に応じた反射係数図である。
【0032】
図11図11は、本開示の実施形態に係る、水平偏波パターン及び垂直偏波パターンの図である。
【0033】
図12A図12Aは、本開示の実施形態に係る、導波管が接続された超広帯域非金属ホーンアンテナの側面斜視図である。
【0034】
図12B図12Bは、図12Aの斜透視図である。
【0035】
図12C図12Cは、図12Aの上面透視図である。
【0036】
図12D図12Dは、図12Aのフィールド調整部の斜透視図である。
【0037】
図12E図12Eは、図12Dの上面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1を参照すると、これは、本開示の実施形態に係る、導波管が接続された超広帯域非金属ホーンアンテナの概略図である。図1において、本開示のホーンアンテナ100(すなわち、超広帯域非金属ホーンアンテナ)は、インピーダンス整合部110と、フィールド調整部130と、外側カバー部150と、を備え、フィールド調整部130は、インピーダンス整合部110及び外側カバー部150の間に接続され、ホーンアンテナ100は、インピーダンス整合部110を介して導波管199に接続される。本開示の実施形態において、インピーダンス整合部110、フィールド調整部130、外側カバー部150、及び導波管199は、非金属材料(ただし、導波管199の外側層は、金属層でスパッタリングされてよい)により実現可能である。以下、インピーダンス整合部110、フィールド調整部130、及び外側カバー部150の構造をそれぞれさらに説明する。
【0039】
図2A乃至2Cを参照する。図2Aは、本開示の第1の実施形態に係る、インピーダンス整合部の側面斜視図であり、図2Bは、図2Aに図示されるインピーダンス整合部の別の図であり、図2Cは、図2Aに図示されるインピーダンス整合部のさらなる別の図である。
【0040】
例えば、第1の実施形態において、インピーダンス整合部100は、円筒状の物体であり、互いに反対側の第1の端111及び第2の端112を備えてよい。インピーダンス整合部110の第1の端は、第1のほぞ部111aを備え、インピーダンス整合部110の第2の端112の端面は、第1の凹構造114を備える。
【0041】
図2A乃至2Cに示されるように、第1の凹構造114は、第1の突出部114a及び第1の突出部114aを囲む第1の溝構造114bを備える。実施形態において、第1の凹構造114は、底面115を有してよく、第1の突出部114aは、底面116を有してよく、第1の突出部114aの底面116は、第1の凹構造114の底面115に接続されてよい。さらに、第1の突出部114aの底面116は、第1の凹構造114の底面115の中央に配置されてよいが、本開示はこれに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態において、第1の突出部114aは、任意のテーパ構造(例えば、例えば、円錐、多角錐等)であってよく、第1の突出部114aの高さH1は、第1の溝構造114bの深さH2よりも大きい。例えば、1つの実施形態において、ホーンアンテナ100は、特定波長の放射信号を提供するように構成されてよく、第1の突出部114aの高さH1は、特定波長未満であってよく、第1の溝構造114bの深さH2は、特定波長の半分であってよいが、本開示はこれに限定されない。
【0043】
図2A乃至2Cにおいて、第1の突出部114aは、さらに、外側に延伸する頂角A1を有し、頂角A1は、13~45度であってよい。1つの実施形態において、第1の突出部114aの頂角A1は、第1の凹構造114の底面115の通常方向N1に向かって延伸しているとみなされてよいが、本開示はこれに限定されない。
【0044】
異なる実施形態において、第1の突出部114a及び第1の溝構造114bのサイズは、接続される導波管(例えば、図1の導波管199)に応じて調整されてよく、これにより、導波管によるインピーダンス整合が達成される。
【0045】
図3を参照すると、本開示の第1の実施形態に係る、|S11|の比較図である。例えば、図3において、ホーンアンテナ301は、図1のフィールド調整部130及び外側カバー部150により組み立てられる。換言すれば、ホーンアンテナ301は、図1のホーンアンテナ100のインピーダンス整合部110が取り除かれたホーンアンテナであるとみなしてよい。
【0046】
本実施形態において、曲線310及び320は、それぞれ、ホーンアンテナ301及び100に対応する反射損失曲線である。図3に見られる通り、インピーダンス整合部110が設けられた場合、ホーンアンテナ100の反射損失(RL)は10dBより大きい(|S11|が-10dB未満)が、インピーダンス整合部110を備えないホーンアンテナ301においてはその限りではない。インピーダンス整合部110により、ホーンアンテナ100と導波管199とのインピーダンス整合効果が達成可能となる。
【0047】
図4A乃至4Cを参照する。図4Aは、本開示の第2の実施形態に係る、インピーダンス整合部及び導波管の側面斜視図であり、図4Bは、図4Aの別の図であり、図4Cは、図4Bのさらなる別の図である。第2の実施形態において、インピーダンス整合部110は、第2の端112を介して、導波管199に接続されてよい。具体的には、インピーダンス整合部110の第2の端112は、導波管199に挿入されてよく、これにより、インピーダンス整合部110が導波管199に接続されるが、本開示はこれに限定されない。
【0048】
いくつかの実施形態において、インピーダンス整合部110及び導波管199は、一体的に形成されてよい。別の実施形態において、インピーダンス整合部110及び導波管199は、互いに組み合わせることができるサイズを有するように設計されてよい。形成の後、導波管199の外側層は、金属層199aによりスパッタリングされてよく、これにより、低コスト化及び軽量化の効果が達成される。
【0049】
図5A乃至5Cを参照すると、図5Aは、本開示の第3の実施形態に係る、フィールド調整部の側面斜視図であり、図5Bは、図5Aのフィールド調整部の別の図であり、図5Cは、図5Bのフィールド調整部のさらなる別の図である。
【0050】
例えば、図5A乃至5Cに示されるように、フィールド調整部130は、互いに反対側の第1の端131及び第2の端132を備えてよい円筒状の物体である。フィールド調整部130の第1の端131の端面は、(例えば、深さH5を有する)第1の堀構造131aを備えてよく、フィールド調整部130の第2の端132の端面は、第2の凹構造134を備えてよい。別の実施形態において、フィールド調整部130は、角錐状の物体として設計されてもよいが、本開示はこれに限定されない。
【0051】
第3の実施形態において、第2の凹構造134は、第2の突出部134a及び第2の突出部134aを囲む第2の溝構造134bを備えてよい。さらに、第2の突出部134aの上面135は、第1のほぞ部111aに対応する第2の堀構造134cを備えてよい。
【0052】
第3の実施形態において、インピーダンス整合部110の第1のほぞ部111aは、フィールド調整部130の第2の堀構造134cに挿入されてよく、これにより、インピーダンス整合部110は、図1に示される方法でフィールド調整部130に接続されてよい。さらに、第1のほぞ部111aを第2の堀構造134cに挿入して固定するために、第1のほぞ部111aのサイズは、第2の堀構造134cに対応するように設計されてよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、インピーダンス整合部110及びフィールド調整部130は、一体的に形成されてよいが、本開示はこれに限定されない。
【0054】
第3の実施形態において、第2の溝構造134bの構成(例えば、以下の直径D1、深さH4、幅G1、高低差G2等)は、ホーンアンテナ100の放射パターンを向上させるために調整可能であり、これにより、水平偏波パターン及び垂直偏波パターンがより対称的となるため、狭ビーム効果が達成される。
【0055】
1つの実施形態において、第2の堀構造134cは、深さH3’を有してよく、第2の堀構造134cの深さH3’と第1のほぞ部111aの高さH3との差は、0.5mm未満であってよい。
【0056】
1つの実施形態において、第2の突出部134aは、円筒状であってよく、第2の突出部134aの上面135の直径D1は、特定波長の1.1~2倍であってよい。
【0057】
1つの実施形態において、第2の凹構造134の深さH4は、特定波長の0.8~1.5倍であってよい。
【0058】
1つの実施形態において、第2の溝構造134bの幅G1は、特定波長の0.4~0.5倍であってよい。
【0059】
1つの実施形態において、第2の凹構造134は、上面132a及び底面132bを備えてよい。第2の凹構造134の底面132aは、第2の突出部134aに接続されてよい。第2の凹構造134の上面132aと第2の突出部134aの上面135との高低差G2は、特定波長の0.4倍未満であってよい。
【0060】
さらに、第2の凹構造134は、さらに、内側管状面132cを備えてよく、第2の凹構造134の内側管状面132cと第2の凹構造134の底面132bとの間の角度ang1は、80~100度であってよい。
【0061】
1つの実施形態において、第2の突出部134aは、外側管状面136を備えてよく、第2の凹構造134の底面132bと第2の突出部134aの外側管状面136との間の角度ang2は、80~100度であってよい。
【0062】
1つの実施形態において、第2の溝構造134bは、円形構造又は正三角形以外の多角構造(例えば、正方形、正五角形等)であってよい。これにより、放射エネルギーはより均等となり、従って、横方向に対称的な放射パターンを容易に設計できる。
【0063】
図6A及び6Bを参照すると、図6Aは、第2の溝構造を備えないホーンアンテナの放射パターン図であり、図6Bは、第2の溝構造を備えるホーンアンテナの放射パターン図である。図6Aにおいて、アンテナ構造601は、図6Bのホーンアンテナ100から第2の溝構造134bを取り除いたアンテナ構造であるとみなしてよい。
【0064】
例えば、図6A及び6Bにおいて、実線は水平偏波放射パターンであり、破線は水平偏波放射パターンである。図6A及び6Bを比較すると、図6Bにおける放射パターンはより対称的であり、サイドローブも低いことが分かる。従って、第2の突出部134aを備えるホーンアンテナ100は放射パターンを向上させることができると確認できた。
【0065】
図7A乃至7Cを参照すると、図7Aは、本開示の第4の実施形態に係る、外側カバー部の側面図であり、図7Bは、図7Aの外側カバー部の別の図であり、図7Cは、図7Aの外側カバー部のさらなる別の図である。
【0066】
図7A乃至7Cに示されるように、外側カバー部150は、第1のテーパ構造151及び第1の堀構造131aに対応する第2のほぞ部152を備え、第2のほぞ部152の長さは、第1の堀構造131aの深さH5以下である。例えば、第1のテーパ構造151は、頂角A2及び底面151aを備える円錐状の物体であり、第2のほぞ部152の一方の端は、第1のテーパ構造151の底面151aに接続されてよく、第2のほぞ部152の他方の端は、フィールド調整部130の第1の堀構造131aに挿入されてよく、これにより、外側カバー部150は、図1に示される方法でフィールド調整部130に接続されてよい。さらに、別の実施形態において、第1のテーパ構造151は、角錐状の物体として実装されてもよいが、本開示はこれに限定されない。
【0067】
1つの実施形態において、第2のほぞ部152を第1の堀構造131aに挿入して固定するために、第2のほぞ部152のサイズは、第1の堀構造131aに対応するように設計されてよい。さらに、第2のほぞ部152の一方の端は、第1のテーパ構造151の底面151aの中央に接続されてよく、第1のテーパ構造151の底面151aの面積は、フィールド調整部130の第1の端131の端面の面積と合致してよい。これにより、外側カバー部150とフィールド調整部130との接続における不均一が回避可能である。
【0068】
本開示の実施形態において、外側カバー部150の第1のテーパ構造151は、放射パターンにおけるサイドローブ及びバックローブを低減し、放射ゲインを増加させるために使用することができる。さらに、より高い誘電係数を備える材料により外側カバー部150を実装することで、狭ビーム効果をさらに達成できる。
【0069】
1つの実施形態において、第1のテーパ構造151の頂角A2は、90~120度であってよく、サイドローブ及びバックローブを効果的に抑制することができる。さらに、第1のテーパ構造151は、円錐構造又は正多角錐構造(例えば、正三角形、正方形、正五角形等)であってよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、フィールド調整部130がN辺正角柱状の物体である場合、それに対応して、第1のテーパ構造151も、N辺正角錐状の物体として設計されてよい。ここで、Nは、例えば、3以上の自然数である。
【0071】
1つの実施形態において、材料の収縮率が低い場合、インピーダンス整合部110、フィールド調整部130、及び外側カバー部150は、一体的に形成されてよい。さらに、材料の収縮率が高い場合、インピーダンス整合部110、フィールド調整部130、及び外側カバー部150は、別々に実装されてよい。
【0072】
図8A及び8Bを参照する。図8Aは、外側カバー部を備えないホーンアンテナの放射パターン図であり、図8Bは、外側カバー部を備えるホーンアンテナの放射パターン図である。図8Aにおいて、アンテナ構造801は、図8Bのホーンアンテナ100の外側カバー部150を取り除いたアンテナ構造であるとみなしてよい。
【0073】
例えば、図8A及び8Bを参照すると、実線は水平偏波放射パターンであり、破線は水平偏波放射パターンである。図8A及び8Bを比較すると、図8Bにおけるサイドローブ及びバックローブが比較的低いことが分かる。従って、外側カバー部150を備えるホーンアンテナ100は、サイドローブ及びバックローブを効果的に抑制できると確認できた。
【0074】
図9A乃至9Dを参照する。図9Aは、従来のホーンアンテナ及び本開示のホーンアンテナの側面図であり、図9Bは、図9Aの従来のホーンアンテナ及び本開示のホーンアンテナの上面図であり、図9Cは、図9Aに応じた放射パターン図であり、図9Dは、図9Aに応じた反射係数図である。例えば、図9A及び9Bにおいて、ホーンアンテナ901は、モード整合部を備える従来の金属ホーンアンテナである。図9Cにおいて、曲線910及び920は、それぞれ、ホーンアンテナ901及び100に対応する。
【0075】
図9A乃至9Dから、同じく10dBのビーム幅の帯域幅において、本開示のホーンアンテナ100は、そのサイズがホーンアンテナ901のサイズの50%であり、また、放射パターンも比較的集中していることが分かる。さらに、本開示のホーンアンテナ100は、超広帯域特性(-10dB未満の反射係数)を達成することができる。
【0076】
異なる実施形態において、本開示のインピーダンス整合部110、フィールド調整部130、及び外側カバー部150は、同じ非金属材料を使用することにより実現でき、非金属材料の誘電係数は、2~16であってよい。
【0077】
図10A及び10Bを参照する。図10Aは、本開示の実施形態に係る、水平偏波パターン及び垂直偏波パターンの図であり、図10Bは、図10Aに応じた反射係数図である。本実施形態において、インピーダンス整合部110、フィールド調整部130、及び外側カバー部150は、誘電係数10.2の非金属材料を使用して実装されていると仮定される。図10A及び10Bから、誘電係数10.2の非金属材料を使用してインピーダンス整合部110、フィールド調整部130、及び外側カバー部150を実装した場合、水平偏波パターン及び垂直偏波パターンは対照的となり、超広帯域効果を有することが分かる。
【0078】
図11を参照する。図11は、本開示の実施形態に係る、水平偏波パターン及び垂直偏波パターンの図である。本実施形態において、インピーダンス整合部110、フィールド調整部130、及び外側カバー部150は、誘電係数16.2の非金属材料を使用して実装されていると仮定される。図11から、誘電係数16.2の非金属材料を使用してインピーダンス整合部110、フィールド調整部130、及び外側カバー部150を実装した場合、水平偏波パターン及び垂直偏波パターンは依然として対照的となることが分かる。
【0079】
図12A乃至12Eを参照する。図12Aは、本開示の実施形態に係る、導波管が接続された超広帯域非金属ホーンアンテナの側面斜視図である。図12Bは、図12Aの斜透視図である。図12Cは、図12Aの上面透視図である。図12Dは、図12Aのフィールド調整部の斜透視図である。図12Eは、図12Dの上面透視図である。本実施形態において、本開示のホーンアンテナ1200は、インピーダンス整合部110と、フィールド調整部1230と、外側カバー部1250と、を備え、フィールド調整部1230は、インピーダンス整合部1210及び外側カバー部1250の間に接続され、ホーンアンテナ1200は、インピーダンス整合部1210を介して、導波管199に接続される。
【0080】
図12A乃至12Bに示されるように、本実施形態において、フィールド調整部1230は、正三角柱状の物体であってよく、外側カバー部1250の第1のテーパ構造1251は、フィールド調整部1230に対応し、正三角形状の円錐状の物体として設計されてよい。
【0081】
本実施形態において、フィールド調整部1230及び外側カバー部1250は、その外観においてフィールド調整部130及び外側カバー部150とは異なり、加えて、フィールド調整部1230及び外側カバー部1250の他の特性/構造は、フィールド調整部130及び外側カバー部150に関する説明から導くことができる。
【0082】
例えば、フィールド調整部1230は、互いに反対側の第1の端1231及び第2の端1232を備えてよい。フィールド調整部1230の第1の端1231の端面は、第1の堀構造1231aを備えてよく、フィールド調整部1230の第2の端1232の端面には、第2の凹構造1234を備えてよい。
【0083】
本実施形態において、第2の凹構造1234は、第2の突出部1234a及び第2の突出部1234aを囲む第2の溝構造1234bを備えてよく、例えば、第2の溝構造1234bは、第2の突出部1234aを囲む三角形状の溝である。さらに、第2の突出部1234aの上面1235は、インピーダンス整合部110の第1のほぞ部111aに対応する第2の堀構造1234cを備えてよい。
【0084】
本実施形態において、インピーダンス整合部110の第1のほぞ部111aは、フィールド調整部1230の第2の堀構造1234cに挿入されてよく、これにより、インピーダンス整合部110は、図12A乃至12Cに示される方法でフィールド調整部1230に接続されてよい。さらに、第1のほぞ部111aを第2の堀構造1234cに挿入して固定するために、第1のほぞ部111aのサイズは、第2の堀構造1234cに対応するように設計されてよい。
【0085】
いくつかの実施形態において、インピーダンス整合部110及びフィールド調整部1230は、一体的に形成されてよいが、本開示はこれに限定されない。
【0086】
本実施形態において、第2の溝構造1234bの形状は、ホーンアンテナ1200の放射パターンを向上させるために調整されてよく、それにより、水平偏波パターン及び垂直偏波パターンはより対称的となり、狭ビーム効果が達成される。例えば、第2の溝構造1234bの幅G1は、特定波長の0.4~0.5倍であってよい。さらに、ホーンアンテナ1200は、例えば、参照中央線RCを有してよく、第2の突出部1234aの任意の角柱辺(例えば、正三角柱)と参照中央線RCとの間の最小距離(例えば、距離D1’)は、図5Aの直径D1の0.5倍であってよいが、本開示はこれに限定されない。他の関連する詳細についてはフィールド調整部130の説明を参照し、本明細書おいてはこれ以上説明しない。
【0087】
別の実施形態において、本開示のフィールド調整部及び第1のテーパ構造がそれぞれN辺正角柱状の物体及びN辺正角錘状の物体としてデザインされる場合、当業者は、上記の実施形態から、形成されるホーンアンテナに対応した特定の構造及び関連する構造パラメータを直接的に及び明確に導き出すことができる。
【0088】
総括すると、本開示のホーンアンテナは、インピーダンス整合部、フィールド調整部、及び外側カバー部を含む3つの非金属要素を組み合わせることで形成できる。インピーダンス整合部に第1の溝構造を設計することで、本開示のホーンアンテナは、インピーダンス整合こうかを達成することができる。フィールド調整部に第2の溝構造を設定することで、本開示のホーンアンテナは、より対称的な放射パターン(すなわち、水平偏波パターンは、垂直偏波パターンに対称的である)及びより小さいアンテナサイズを実現できる。
【0089】
異なる実施形態において、上記の3つの非金属要素は、同じ非金属材料(例えば、2~16の誘電係数を備える材料)を使用して実装できる。さらに、上記の3つの非金属材料は、アンテナサイズをさらに小さくし、収縮が乏しいという問題を解決するために、異なる誘電係数を備える非金属材料を適用することでも実現できる。また、導波管は、その外層に金属層がスパッタリングされた非金属材料として実現することもでき、これにより、低コスト化及び軽量化の効果が達成される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示のホーンアンテナは、衛星通信、第5世代(5G)ミリ波通信、アンテナパターン測定、並びに高ゲイン及び狭ビームを要求する他のアンテナ応用技術に適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
100、301、901、1200 ホーンアンテナ
110 インピーダンス整合部
111、131、1231 第1の端
112、132、1232 第2の端
111a 第1のほぞ部
114 第1の凹構造
114a 第1の突出部
114b 第1の溝構造
130、1230 フィールド調整部
131a、1231a 第1の堀構造
132a 上面
132b 底面
132c 内側管状面
134、1234 第2の凹構造
134a、1234a 第2の突出部
134b、1234b 第2の溝構造
134c、1234c 第2の堀構造
135、1235 上面
136 外側管状面
150、1250 外側カバー部
152 第2のほぞ部
199 導波管
199a 金属層
151a 底面
A1、A2 頂角
H1 高さ
H2、H3’ 深さ
D1 直径
G1 幅
ang1、ang2 角度
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
【外国語明細書】