(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080880
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】電子部品用の消火システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A62C 3/06 20060101AFI20220523BHJP
A62C 2/04 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
A62C3/06 Z
A62C2/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021186068
(22)【出願日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】109140285
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】505441638
【氏名又は名称】致茂電子股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chroma Ate Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】李日新
(72)【発明者】
【氏名】王裕廣
(72)【発明者】
【氏名】林川澤
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼鎮州
(72)【発明者】
【氏名】莊明儒
(72)【発明者】
【氏名】陳賜鴻
(57)【要約】
【課題】 電子部品用の消火システム及び方法を提供する。
【解決手段】 電子部品用の消火システム及び消火方法がここに開示される。消火システムは消火装置、制御装置、及びクレーン装置を備える。消火装置は、カメラモジュール及びフレームを備える。カメラモジュールは機械内の格納場所に関連する情景画像を撮影する。フレームは格納場所内の電子部品を受け入れるための防火槽を有する。制御装置は情景画像を受け取り、格納場所の状態に応じて取り出し命令を選択的に送信する。クレーン装置は取り出し命令に応じて電子部品を格納場所から取り出して防止槽に入れる。フレームは耐火性である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品用の消火システムであって、
消火装置であって、
機械内の格納場所に関連する情景画像を撮影するカメラモジュール、及び
前記格納場所内の電子部品を受け入れるための防火槽を有するフレーム、
を備える消火装置と、
前記情景画像を受け取り、前記格納場所の状態に応じて取り出し命令を選択的に送信する制御装置と、
前記取り出し命令に応じて前記電子部品を前記格納場所から取り出して前記防火槽に入れるクレーン装置とを備え、
前記フレームは耐火性である、
電子部品用の消火システム。
【請求項2】
前記消火装置が、
前記フレームに配置された、前記防火槽を選択的に閉鎖するための巻き上げ式ドアをさらに備え、
前記巻き上げ式ドアは耐火性である、
請求項1に記載の電子部品用の消火システム。
【請求項3】
前記消火装置が、
前記防火槽の温度が閾値温度に達した場合に前記防火槽に消火剤を放出するための、前記フレームに配置された消火モジュール、
をさらに備える、請求項1に記載の電子部品用の消火システム。
【請求項4】
前記消火モジュールが、
前記防火槽に配置された火災検知管をさらに備え、
前記消火剤が前記火災検知管内に貯蔵され、
前記火災検知管は、前記防火槽の前記温度が前記閾値温度に達した場合に壊れて前記消火剤を前記防火槽に放出する、
請求項3に記載の電子部品用の消火システム。
【請求項5】
前記消火モジュールが、前記火災検知管に接続された、前記消火剤を前記火災検知管に充填するための消火シリンダをさらに備える、請求項4に記載の電子部品用の消火システム。
【請求項6】
機械内の格納場所に関連する情景画像を撮影すること、
前記格納場所の状態に応じて取り出し命令を選択的に送信すること、及び
前記取り出し命令に応じて前記電子部品を前記格納場所から取り出して防火槽へ入れるためのクレーン装置を提供すること、
を含む、電子部品用の消火方法。
【請求項7】
前記取り出し命令を選択的に送信する前記ステップにおいて、
前記格納場所が発火又は発煙しているかどうかを判定するステップと、
前記格納場所が発火も発煙もしていない場合、前記取り出し命令を送信するステップと
をさらに含む、請求項6に記載の電子部品用の消火方法。
【請求項8】
前記取り出し命令に応じて前記電子部品を前記格納場所から取り出して前記防火槽へ入れるための前記クレーン装置を提供する前記ステップにおいて、
耐火材料で作られた巻き上げ式ドアを提供するステップと、
前記電子部品が前記格納場所から取り出されて前記防火槽に入れられると、前記巻き上げ式ドアで前記防火槽を閉鎖するステップと
をさらに含む、請求項6に記載の電子部品用の消火方法。
【請求項9】
前記防火槽の温度が閾値温度に達した場合に消火剤を前記防火槽に放出すること、
をさらに含む、請求項6に記載の電子部品用の消火方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年11月18日に提出された台湾特許出願第109140285号に付与された優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、消火システム及び方法に関し、具体的には、電子部品用の消火システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
確実に電池が正常に動作できるように、製造時に電池のそれぞれを電池形成装置に入れておく必要があり、電池形成装置は電池に対して一連の電池形成手順を行うことができる。一般的には、電池形成装置には複数の格納場所があり、各格納場所には少なくとも1つのトレイを収容することができ、トレイには少なくとも1つの電池を収容することができる。電池には、電池セルの内部短絡又は異常な充放電の原因となり得る他の問題などの様々な不具合がある可能性があるため、電池形成装置が電池形成手順を処理する際に、電池のいくつかが膨張、過熱、発煙、又は発火する可能性がある。
【0004】
従来、電池形成手順の中で異常な電池に対応するために、格納場所の電池が異常な警告を引き起こした時点で、現場の担当者が様々な事故を確認して排除することがしばしば必要である。しかしながら、事故の排除が間に合わない場合、現場の担当者が潜在的な危険にさらされるだけでなく、電池形成装置又は他の場所の電池へ被害が拡大し、さらにはより深刻な労働災害を引き起こす可能性さえある。そのため、業界は、格納場所内の問題がある電子部品を迅速に隔離し、消火手段をタイムリーに提供できる新しい消火システム及び方法を必要としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は電子部品用の消火システムを提供し、このシステムは、クレーン装置によって格納場所内の電子部品を素早く取り出して、耐火性防火槽に入れることができる。したがって、この消火システムは、異常な電子部品がより大きな問題を引き起こすことを防止することができる。
【0006】
本発明は、消火装置と、制御装置と、クレーン装置とを備える電子部品用の消火システムを開示する。消火装置は、カメラモジュールとフレームとを備える。カメラモジュールは、機械内の格納場所に関連する情景画像を撮影する。フレームは格納場所内の電子部品を受け入れるための防火槽を有する。制御装置は情景画像を受け取り、格納場所の状態に応じて取り出し命令を選択的に送信する。取り出し命令に応じて、クレーン装置は電子部品を格納場所から取り出して防火槽へ入れる。フレームは耐火性である。
【0007】
いくつかの実施形態において、消火装置は、フレームに配置された、防火槽を選択的に閉鎖するための巻き上げ式ドアをさらに含み得、巻き上げ式ドアは耐火性である。さらに、消火装置は、防火槽の温度が閾値温度に達した場合に防火槽に消火剤を放出するための、フレームに配置された消火モジュールをさらに含み得る。さらに、消火モジュールは、防火槽に配置された、消火剤を貯蔵するための火災検知管をさらに含み得、火災検知管は防火槽の温度が閾値温度に達した場合に壊れて消火剤を防火槽に放出する。さらに、消火モジュールは、火災検知管に接続された、消火剤を火災検知管に充填するための消火シリンダをさらに含み得る。
【0008】
本発明は電子部品用の消火方法を提供し、この方法は、画像から格納場所の状態を確認し、格納場所の状態に応じて、格納場所内の電子部品を防火槽に移動することができる。したがって、この消火方法は、異常な電子部品がさらに大きな問題を引き起こすことを防止することができる。
【0009】
本発明は、機械内の格納場所に関連する情景画像を撮影するステップと、格納場所の状態に応じて取り出し命令を選択的に送信するステップと、取り出し命令に応じて電子部品を格納場所から取り出して防火槽へ入れるためのクレーン装置を提供するステップとを含む、電子部品用の消火方法を開示する。
【0010】
いくつかの実施形態では、取り出し命令を選択的に送信するステップにおいて、格納場所が発火又は発煙しているかどうかを判定するステップと、格納場所が発火も発煙もしていない場合、取り出し命令を送信するステップとをさらに含み得る。さらに、取り出し命令に応じて電子部品を格納場所から取り出して防火槽へ入れるためのクレーン装置を提供するステップにおいて、耐火材料で作られた巻き上げ式ドアを提供するステップと、電子部品が格納場所から取り出されて防火槽に入れられると、巻き上げ式ドアで防火槽を閉鎖するステップとをさらに含み得る。さらに、電子部品用の消火方法は、防火槽の温度が閾値温度に達した場合に消火剤を防火槽に放出するステップをさらに含み得る。
【0011】
上記に基づいて、本発明によって提供される電子部品用の消火システム及び方法は、画像によって格納場所の状態を確認し、格納場所の状態に応じてクレーン装置を使用して格納場所内の電子部品を素早く取り出すことができる。異常な電子部品は、より大きな問題を回避するために防火槽に入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による電子部品用の消火システムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による消火装置の斜視図である。
【
図3】
図2のAA線に沿った消火装置の断面図である。
【
図4】
図2のBB線に沿った消火装置の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による消火装置の一部の斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による電子部品用の消火方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特徴、目的、及び機能をさらに以下に開示する。しかしながら、それは本発明の可能な実施形態の一部に過ぎず、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、すなわち、本発明の請求項に従って行われる均等の変更及び修正は、本発明の対象のままである。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それは本発明のさらなる実施可能性として考慮されるべきである。
【0014】
図1を参照すると、
図1は本発明の一実施形態による電子部品用の消火システムの概略図である。
図1に示されるように、この実施形態の消火システム1は、機械(図示せず)が火災の危険があるかどうかを決定するために使用可能であり、対応する消火メカニズムを提供する。一例では、この実施形態に記載される機械は、複数の格納場所(図示せず)を有し得、各格納場所は少なくとも1つの電子部品(図示せず)に対応し得、電子部品は格納場所から取り出すことができる。実用においては、複数の電子部品は、トレイに置くことができ、トレイは格納場所に着脱可能に収容される。この実施形態は機械の機能及び電子部品の種類を制限しない。記載の便宜上、この実施形態で述べられる機械は電池形成装置であり得、この実施形態で述べられる電子部品は、電池形成手順を必要とする電池であり得る。この実施形態の電子部品用の消火システム1が消火装置10、制御装置12及びクレーン装置14を備えていることを、
図1で見ることができる。制御装置12は消火装置10及びクレーン装置14に、それぞれ物理的又は無線式に接続することができる。消火システム1の構成要素について、以下に記載する。
【0015】
消火装置10は、カメラモジュール100とフレーム102を備える。カメラモジュール100は、消火装置10の前方、後方、又は周辺の画像(すなわちライブ画像)を撮影するために使用され、フレーム102は、消火装置10の構造体とみなすことができる。詳細には、カメラモジュール100は、1つ又は複数のカメラを含み得、本実施形態は、カメラの種類を限定せず、例えば、単純なレンズ、魚眼カメラ、又はPTZ(パン-チルト-ズーム)カメラであり得る。さらに、カメラモジュール100が撮影するライブ画像は、機械の1つ又は複数の格納場所の画像を含み得る。当然のことながら、カメラモジュール100の性能が良ければ、ライブ画像から格納場所の中の電子部品を見ることが可能であるが、これに限定されるものではない。一例では、カメラモジュール100は、フレーム102に固定され、フレーム102と同期して移動することができる。本実施形態は、カメラモジュール100の設置位置を限定せず、カメラモジュール100はフレーム102上に設置されずに、撮影対象となる機械の前に設置して、ライブ画像がある範囲内のいくつかの格納場所を示し得るようにしてもよい。
【0016】
さらに、フレーム102には、格納場所から電子部品を受け取るための防火槽(
図1には図示せず)が設けられていてもよい。実用においては、フレーム102を中空構造とし、フレーム102の内部空間を防火槽とすることができる。本実施形態は、防火槽が閉鎖空間であるか否かを限定しない。例えば、防火槽は気密構造でなくてもよく、フレーム102自体が耐火材料で作られるべきである。当業者であれば、防火槽が受け入れる電子部品は発火の危険性があるため、防火槽の周囲には可燃性の構造物が存在するべきでなく、防火槽は比較的高い温度に耐えられるべきであることを理解するはずである。これにより、防火槽は電子部品が誤って発火した場合の安全上の問題を軽減することができる。
【0017】
制御装置12は、カメラモジュール100から少なくとも1つの画像を受信することができ、クレーン装置14に取り出し命令を送信することができる。クレーン装置14は、それに応じて、格納場所の電子部品を取り出すことができる。実用においては、制御装置12は、各格納場所の温度信号などの機械の内部検出信号を受信するために、機械に電気的に接続することもできる。ある格納場所の温度が高すぎる場合、制御装置12は、機械から過熱警告を受信する。このとき、制御装置12又は機械は、すべての格納場所の動作を停止し、対応する画像又はライブ画像の監視を開始することができる。一例では、制御装置12は、画像解析技術又は人工知能技術を使用して、格納場所の状態を時間内に自動的に判断し、対応する措置を取ることができる。例えば、制御装置12は、格納場所が明らかに発火又は発煙しているかどうかを画像から分析することができる。格納場所が明らかに発火又は発煙している場合、「取り出せない」、又は電子部品を取り出すのに適していないという状態のはずである。火災が発生している格納場所の電子部品をクレーン装置14が無理に取りに行くと、延焼を加速させたり、大量の濃厚な煙を発生させたりするなど、予測できない事故が発生する可能性がある。そこで、格納場所の状態が格納場所の電子部品を取り出すのに適していないことを画像が示している場合には、制御装置12はクレーン装置14に取り出し命令を送信しない。このとき、制御装置12は、建物内の消防隊員に警告信号を送信することができる。例えば、警告信号は、出動を通知するだけでなく、その場で起こったことを大まかに説明することで、消防隊員が事前に準備できるようにすることができる。
【0018】
他方、格納場所が明らかに発火も発煙もしていないと制御装置12が画像から判断した場合、制御装置12は格納場所が取り出し可能であるという状態を推察することができ、これは格納場所内の電子部品をまだ適切に取り出すことができるということを意味する。この時点で、制御装置12はクレーン装置14に取り出し命令を送信することができ、クレーン装置14は、格納場所内の電子部品を取り出して、耐火性防火槽に入れることが可能になり、防火槽は電子部品が格納場所内で燃えて、より深刻な問題及び損傷を引き起こすことを防止することができる。同様に、制御装置12は、同時に建物内の消防隊員に警告信号を送信することを選択することもできる。警告信号は消防隊員に報告し、消防隊員が防火槽内の電子部品に対処することを許可することができる。
【0019】
本実施形態の制御装置12はカメラモジュール100の画像を取得した後、制御装置12は画像、特にリアルタイム画像をリモートスクリーン上に映して、現場の担当者が自分で格納場所の現況を確認することもできることは言及する価値がある。換言すると、現場の担当者は、格納場所の前にいる必要はなく、格納場所が発火又は発煙しているかどうかをスクリーンで確認することができる。同様に、格納場所が明らかに発火も発煙もしていない場合、現場の担当者はクレーン装置14が格納場所内の電子部品を取り出して防火槽に置くようにクレーン装置14に取り出し命令を送信するように制御装置12を操作することができる。格納場所の状況が発火又は発煙を示している場合、制御装置12はそれに対処するように消防隊員に直接知らせることができる。
【0020】
さらに、クレーン装置14は、機械の周囲に配置することができ、格納場所内の1つの電子部品を取り出すために、又は格納場所内に配置された複数の電子部品を収容するトレイを取り出すためにロボットアームを有し得る。一例において、機械の通常の動作時、制御装置12及びクレーン装置14の両方は、それらの決められた動作を有する。例えば、制御装置12は機械を作動するように制御し、クレーン装置14は、格納場所内の1つ又は複数の電子部品を移送ベルト又は他の試験ステーションに自動的に移送するために、或いは移送ベルト又は他の試験ステーションの電子部品を格納場所に自動的に移送するために使用することができる。機械の特定の格納場所の温度が高すぎる場合に限り、制御装置12は、取り出し命令をクレーン装置14に送信し、クレーン装置14が電子部品を格納場所から防火槽に移動させる。換言すると、制御装置12及びクレーン装置14は、消火システム1専用でなくてもよい。
【0021】
消火装置10をより明確に記載するために、
図1、2、3及び4をまとめて参照されたい。
図2は、本発明の一実施形態による消火装置の斜視図である。
図3は、
図2の線AAに沿った消火装置の断面図である。
図4は、
図2の線BBに沿った消火装置の断面図である。図に示されるように、消火装置10はカメラモジュール100及びフレーム102を有し、カメラモジュール100はフレーム102に設置される。
図2の例を見ると、フレーム102の内側に中空の空間があり得、中空の空間を防火槽102aとして定めることができ、防火槽102aはBB線の両端部に開口部を有し得る。この実施形態がBB線の両端部の防火槽102aを前側及び後側と定めると仮定すると、
図2は、防火槽102aの各側が防火槽102aに接続できる1つの開口部を有することを意味する。一例において、防火槽102aは、AA線の両側から見た場合に対称の構造を有することができ、クレーン装置14は、防火槽102aの前側又は後側の開口部から防火槽102aに電子部品を入れることができる。
【0022】
実用においては、クレーン装置14が電子部品を防火槽102aに正確に入れることができることを保証するために、消火装置10は、
図2に示されるような光検出器D1、D2及びD3などの複数の光検出器も含み得る。ここで、光検出器D1は検出光L1を発光及び受け取ることができる。光検出器D1はペアで配置することができ、例えば、一方の側で光検出器D1を使用して検出光L1を発光するために使用し、他方の側で光検出器D1は検出光L1を受け取るために使用される。検出光L1が遮断されると、1つ又は複数の電子部品が光検出器D1間の経路を越えていると推測することができる。同様に光検出器D2は検出光L2を発光及び受け取ることができ、光検出器D3は検出光L3を発光及び受け取ることができ、光検出器D2及び光検出器D3の機能は光検出器D1と同じであり、本実施形態では繰り返さない。さらに、
図2から分かるのは、光検出器D1、光検出器D2及び光検出器D3が、防火槽102aの同じ側で開口部に配置され、防火槽102aの他方側の開口部は同じく対称に配置された他方の光検出器を有し得ることである。光検出器D1、光検出器D2及び光検出器D3が消火装置10に適用されない場合、消火装置10の全体的な機能に影響を及ぼさないことは言及する価値がある。すなわち、光検出器D1、光検出器D2及び光検出器D3は不要な構成要素であり得る。
【0023】
消火装置10は2つ以上のカメラモジュール100を有し得る。
図2に示される例において、ライブ画像を撮影するために4つのカメラモジュール100が使用され、防火槽102aの前側及び後側のそれぞれに2つのカメラモジュール100を配置することができる。消火装置10に複数のカメラモジュール100を設ける1つの理由は、単一画像の死角を回避することである。開口部の画像はいくつかの角度から複数のカメラモジュール100によって撮影できるからである。さらに、制御装置12は、例えば、より広い又は全体像を生成するために画像縫い合わせ技術を使用することによって、4つのカメラモジュール100によって撮影された画像を組み合わせ得る。
図2は4つのカメラモジュール100がフレーム102の4つのコーナーにそれぞれ配置されているが、本実施形態はこの配置に制限されない。例えば、カメラモジュール100が広角レンズ又は魚眼レンズを有する場合、消火装置10は1つだけ又はより少ないカメラモジュール100を利用してより広い画像又は全体像を取得し得る。
【0024】
一例では、クレーン装置14は、ロボットアーム(図示せず)を用いて、消火装置10のフレーム102をクランプして、消火装置10がクレーン装置14のロボットアームによって移動できるようにしてもよい。例えば、制御装置12が、機械の格納場所から過熱警告を受信するとする。このとき、制御装置12は、クレーン装置14を制御して、ロボットアームを格納場所の前に移動させて待機させ、その後、消火装置10のカメラモジュール100が1つ又は複数の画像を撮影することによって格納場所の状態を観察することができる。格納場所内の電子部品を適切に取り除くことができる場合、制御装置12は、クレーン装置14が格納場所内の電子部品を取り出すことによって取り除くことを迅速に可能にし、クレーン装置14の移動時間を節約することができる。当然のことながら、本実施形態は、クレーン装置14が消火装置10を移動させることができる限り、ロボットアームが保持する消火装置10のフレーム102の位置を限定しない。
【0025】
一方、本実施形態は、消火装置10が巻き上げ式ドア104を有し得、巻き上げ式ドア104は耐火材料で作られていてもよいことを示している。一例において、防火槽102aの前側及び後側の開口部のそれぞれに、1つの巻き上げ式ドア104を設けることができる。2つの巻き上げ式ドア104を用いて、防火槽102aの開口部を閉じることで、防火槽102aは比較的閉じた空間を形成することができる。本実施形態は、防火槽102aが気密性であるか否かを限定しない。当業者であれば、防火槽102aが耐火性であり、その周囲に可燃物が存在しない限り、防火槽102aの内部で火炎が抑制されるはずであることを理解するはずである。実用においては、巻き上げ式ドア104の機能の1つは、高温の火炎が直接逃げないようにして、火炎が防火槽102aの外に広がるのを防ぐことである。換言すると、防火槽102aの空間は十分に大きく、火炎が防火槽102aの前側及び後側の開口部から比較的逃げにくいことを前提とすれば、巻き上げ式ドア104は不要な要素となり得る。巻き上げ式ドア104の機能は、むきだしの炎を遮断することであり、図では巻き上げ式ドア104を示しているが、この種類のドアに限定されるものではないことは言及する価値がある。例えば、防火槽102aの前側及び後側の開口部はまた、左開き、右開き、又は横開きのドアで覆ってもよい。
【0026】
また、消火装置10は、モータ106a、接続ロッド106b、及びスライドレール106cのセットなど、巻き上げ式ドア104を駆動することができる関連構造を有している。一例において、防火槽102aの前側と後側のそれぞれにスライドレール106cを設け、スライドレール106cに巻き上げ式ドア104を配置し、スライドレール106cの軌道を移動させて、防火槽102aの前側と後側の開口部を開閉することができる。さらに、モータ106aを接続ロッド106bに接続し、各接続ロッド106bを防火槽102aの巻き上げ式ドア104の1つに接続することができる。モータ106aを駆動して接続ロッド106bを同時に引っ張ったり離したりすることで、接続ロッド106bは防火槽102aの前側と後側の巻き上げ式ドア104を同時に駆動することができる。巻き上げ式ドア104とその周辺の構造を示すために、
図5は、本発明の実施形態による消火装置の一部の斜視図である。
図5に示すように、モータ106a、接続ロッド106b、及びスライドレール106cは、フレーム102の異なる位置に配置することができる。例えば、モータ106a及び接続ロッド106bは、フレーム102の上部に配置することができ、スライドレール106cは、防火槽102aの前側及び後側の開口部に配置される。
【0027】
実用においては、巻き上げ式ドア104が引き上げられる場合、モータ106aを制御装置12の制御下に回転させることができ、回転の間、接続ロッド106bはその中心に向かって折り曲げられるように駆動され、巻き上げ式ドア104をフレーム102の上に向かって引くことができ、それによって防火槽102aの前側及び後側の開口部は露出される。対照的に、巻き上げ式ドア104が降ろされる場合、モータ106aを別の方向に回転するように制御装置12によって制御することができ、回転の間、接続ロッド106bを外側に延びるように駆動し、巻き上げ式ドア104をフレーム102の上から離れるように押し、それによって防火槽102aの前側及び後側の開口部を閉鎖する。当然のことながら、巻き上げ式ドア104を引き上げる又は降ろす多くの方法があり、本実施形態の機構は一例に過ぎない。当業者であれば、同様の機能を達成する他の構造を同様に使用し得る。
【0028】
防火槽102aは火炎を隔離するために設計されるだけでなく、防火槽102aは本実施形態において消火機構を有し得る。
図3及び
図4に示されるように、火災検知管108aを防火槽102aに設けることができ、火災検知管108aは例えば防火槽102aの内側の上面に配置することができる。また、火災検知管108aは、消火剤を貯蔵し得る。ここで、火災検知管108aは、消火シリンダ108bに接続することもできる。消火シリンダ108bは、フレーム102に配置され且つ火災検知管108aに接続され、火災検知管108aを消火剤で満たすことができる。実用においては、消火シリンダ108bは消火剤を含有する高圧消火シリンダであることができ、それにより火災検知管108aの内側は相当の圧力を有し得る。火災検知管108aは高圧に耐性のない管壁を有するので、防火槽102a内の温度が閾値温度に達すると、火災検知管108aの管壁は質的変化を経験し、その結果、管壁は内部消火剤の圧力に耐えることができない。火災検知管108aの管壁が壊れると、それによって、消火シリンダ108b内の消火剤がほとんど消費されるまで、火災検知管108a内に貯蔵された消火剤を連続的に放出する。一例において、火災検知管108aは湾曲したパイプであり、火災検知管108aの両端部は、消火剤の量が防火槽102a内の火炎を消火するのに十分であることを保証するために、消火シリンダ108bに接続することができる。
【0029】
火災検知管108aと消火シリンダ108bは、一緒に消火モジュールとして定義することができるが、これに限定されるものではない。例えば、火災検知管108aを適用する代わりに、温度検出器(図示せず)を使用して、火災検知管108aと置き換えてもよい。温度検出器は、防火槽102a内の温度が閾値温度に達したことを検出すると、消火シリンダ108bに貯蔵された消火剤を噴射させる制御信号を与えることができる。この例では、温度検出器と消火シリンダ108bを一緒に消火モジュールと定義することができる。さらに、消火剤は、電子部品の火炎を消火するための様々な材料を含有し得、例えば、毒性を低減し、温室効果ガスを削減して、より良い環境保護を図るために、NOVEC 1230又は同様のクリーンな消火剤を使用することができる。
【0030】
本発明の電子部品の消火方法を説明するために、
図1から
図6を一緒に参照されたい。
図6は、本発明の一実施形態による電子部品の消火方法を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS20において、カメラモジュール100は、画像を撮影することができ、その画像は、機械内の格納場所に関連付けられる。ステップS22において、制御装置12は、画像内の格納場所の状態に応じて、クレーン装置14に取り出し命令を選択的に送信し得る。ステップS24で、クレーン装置14は、取り出し命令に従って、電子部品を格納場所から消火装置10内の防火槽102aに移動させることができる。なお、本発明の電子部品の消火方法の詳細なステップについては、前述の実施形態で記載したので、ここではこの実施形態について繰り返すことなない。
【0031】
要約すると、本発明が提供する消火システム及び方法は、カメラモジュールを使用して格納場所の状態を迅速に確認するだけでなく、クレーン装置を制御して格納場所にある電子部品を取り出して耐火性の防火槽に入れることができる。また、防火槽内の電子部品が火炎に包まれた場合、防火槽内の消火機構を作動させて、火炎が格納場所から機械や周囲環境に広がるのを防ぐこともできる。
【符号の説明】
【0032】
10 消火装置
12 制御装置
14 クレーン装置
100 カメラモジュール
102 フレーム
102a 防火槽
104 巻き上げ式ドア
106a モータ
106b 接続ロッド
106c スライドレール
108a 火災検知管
108b 消火シリンダ
D1 光検出器
D2 光検出器
D3 光検出器
L1 検出光
L2 検出光
L3 検出光
【外国語明細書】