(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080885
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】磁気電気アンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/06 20060101AFI20220523BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H01Q9/06
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021186717
(22)【出願日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】63/115,148
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/503,293
(32)【優先日】2021-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521503732
【氏名又は名称】サン、ニアン シアン
【氏名又は名称原語表記】SUN,NIAN XIANG
(71)【出願人】
【識別番号】521503743
【氏名又は名称】リン、ハウェイダー
【氏名又は名称原語表記】LIN,HWAIDER
(71)【出願人】
【識別番号】521503754
【氏名又は名称】ウィンチェスター テクノロジーズ、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WINCHESTER TECHNOLOGIES,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】サン、ニアン シアン
(72)【発明者】
【氏名】リン、ハウェイダー
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB01
5J021CA03
5J021HA04
5J021HA07
5J021HA10
5J021JA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】広帯域でエネルギー効率の良い、小型磁気電気アレイアンテナを提供する。
【解決手段】小型磁気電気アレイアンテナは、直列接続された2つの共振器の磁性層501、513、好ましくは金で作られている接地金属層503、504、好ましくは窒化アルミニウムスカジウム窒化物の圧電層505、506、好ましくは白金の共振器の電極507、508及びシリコンの基板材料511上に構築されたエアキャビティ509、510で構成される。その結果、高感度でエネルギー効率に優れる、広帯域の小型磁気電気アレイアンテナが生成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気電気アンテナであって、
電子的に直列接続または並列接続された1若しくはそれ以上の共振器であって、前記共振器の各々は、
磁歪層と、
上部接地電極層と、
圧電層と、
底部電極層と、
基板層と
を有する構造を有し、
前記上部接地電極層は、前記圧電層上に配置され、所定形状の開口部が形成されているものであり、
前記磁歪層は、前記所定形状の開口部を通して前記圧電層上に配置され、
前記圧電層は、前記基板層上に配置された前記底部電極層上に配置されているものであり、
上記構成により前記磁歪層および前記圧電層によって前記底部電極層上にヘテロ構造が形成され、音響共振周波数で電磁波を放射し、この電磁波を圧電電圧出力に変換する磁化振動が発生するものである、
磁気電気アンテナ。
【請求項2】
請求項1記載の磁気電気アンテナにおいて、前記電極層は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、およびルテニウム(Ru)を含む材料のうちの少なくとも1つを有する材料で堆積されているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項3】
請求項1記載の磁気電気アンテナにおいて、前記圧電層は、窒化アルミニウム窒化スカンジウム(AlScN)、窒化アルミニウム(AlN)、(Hf,X)O2(ここで、X=ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si))、チタン酸バリウム(BaTiO3)、リン酸ガリウム(GaPO4)、ランタンガリウムケイ酸塩(LGS)、タンタル酸スカンジウム鉛(PST)、酸化亜鉛(ZnO)、石英、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、ビスマスフェライト(BFO)、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PMN-PT)、亜鉛ニオブ酸鉛チタン酸鉛(PZN-PT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF,PVDF(-TrFE))、チタン酸ビスマスナトリウム(NBT)、およびそれらの組み合わせから選択される圧電材料のうちの少なくとも1つを有する材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項4】
請求項1記載の磁気電気アンテナにおいて、前記磁性層は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄ガリウム(FeGa)、鉄ガリウム合金(化学式:FeGaX、ここで、X=ホウ素(B)、炭素(C))、鉄コバルト(FeCo)、鉄コバルト合金(化学式:FeCoX、ここで、X=ホウ素(B)、炭素(C)、バナジウム(V))、Metglas、鉄コバルトケイ素ホウ素(FeCoSiB)、ニッケル鉄(NiFe)、ニッケル鉄合金(化学式:NiFeX、ここで、X=銅(Cu)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co),マンガン(Mn)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru))、ニッケルモリブデン合金、鉄ケイ素合金、コバルト白金合金、Terfenol、テルビウムジスプロシウム鉄合金(Terfenol-D:TbxDy1-xFe2)、ニッケルフェライト、ニッケル亜鉛フェライト、コバルトフェライト、バリウムフェライト、ニッケル亜鉛アルミニウムフェライト、マンガン亜鉛フェライト、ストロンチウムフェライト、リチウムフェライト、およびヘキサフェライトから選択される磁性材料のうちの少なくとも1つを有する材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項5】
請求項1記載の磁気電気アンテナにおいて、1の前記共振器より多くの共振器である場合、当該複数の共振器は異なる材料でできているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項6】
請求項1記載の磁気電気アンテナにおいて、複数の前記共振器である場合、少なくとも1つの共振器は、前記基板層の下部に設けられたエアキャビティとともに構成されるものであり、それにより前記共振器の前記底部電極層の領域は前記基板層から浮遊した状態となるものである、磁気電気アンテナ。
【請求項7】
請求項1記載の磁気電気アンテナにおいて、複数の前記共振器である場合、少なくとも1つの共振器は、低音響インピーダンス材料層および高音響インピーダンス材料層が交互に積層された複数の層で構成されたブラッグ反射器(音響ミラー)上に結合されているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項8】
請求項7記載の磁気電気アンテナにおいて、前記低音響インピーダンス材料層は、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、コロンビウム(Nb)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、鉛、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、プルトニウム(Pu)、カリウム(K)、ラジウム(Ra)、ルビジウム(Rb)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、二酸化ウラン(UO2)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、石英、二酸化ケイ素(SiO2)、ナノ多孔性メチルシルセスキオキサン(MSQ)、ナノ多孔性水素シルセスキオキサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)および水素シルセスキオキサン(HSQ)のナノ多孔性混合物、エアロゲル、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ガリウムヒ素(GaAs)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、および酸化亜鉛(ZnO)、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの低音響インピーダンス材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項9】
請求項7記載の磁気電気アンテナにおいて、前記高音響インピーダンス材料層は、金(Au)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ウラン(U)、ダイヤモンド状炭素(DLC)、シリコンドープされたダイヤモンド状炭素(Si-DLC)、および窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ガリウム(GaN)、および炭化ケイ素(SiC)を含む任意の圧電材料、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの高音響インピーダンス材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項10】
磁気電気アンテナであって、
電子的に直列接続または並列接続された少なくとも2つの共振器であって、前記共振器の各々は、
磁歪層と、
上部接地電極層と、
圧電層と、
底部電極層と、
基板層と
を有する構造を有し、
前記上部接地電極層は、前記圧電層上に配置され、所定形状の開口部が形成されているものであり、
前記磁歪層は、前記所定形状の開口部を通して前記圧電層上に配置され、
前記圧電層は、前記基板層上に配置された前記底部電極層上に配置されているものであり、
前記基板層はその下部にエアキャビティが設けられてなり、それにより前記共振器の前記底部電極層は前記基板層から浮遊した状態となるものであり、
上記構成により前記磁歪層および前記圧電層によって前記底部電極層上にヘテロ構造が形成され、音響共振周波数で電磁波を放射し、この電磁波を圧電電圧出力に変換する磁化振動が発生するものであり、
前記少なくとも2つの共振器により機能的相乗効果がもたらされることで、2つのアンテナを結合した場合よりもより大きい誘導電圧およびより広範囲の帯域幅が生成されるものである、
磁気電気アンテナ。
【請求項11】
請求項10記載の磁気電気アンテナにおいて、前記電極層は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、およびルテニウム(Ru)およびそれらの組み合わせから選択される材料のうちの少なくとも1つを有する材料で堆積されているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項12】
請求項10記載の磁気電気アンテナにおいて、前記圧電層は、窒化アルミニウム窒化スカンジウム(AlScN)、窒化アルミニウム(AlN)、(Hf,X)O2(ここで、X=ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si))、チタン酸バリウム(BaTiO3)、リン酸ガリウム(GaPO4)、ランタンガリウムケイ酸塩(LGS)、タンタル酸スカンジウム鉛(PST)、酸化亜鉛(ZnO)、石英、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、ビスマスフェライト(BFO)、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PMN-PT)、亜鉛ニオブ酸鉛チタン酸鉛(PZN-PT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF,PVDF(-TrFE))、チタン酸ビスマスナトリウム(NBT)、およびそれらの組み合わせから選択される材料のうちの少なくとも1つを有する材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項13】
請求項10記載の磁気電気アンテナにおいて、前記磁歪層は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄ガリウム(FeGa)、鉄ガリウム合金(化学式:FeGaX、ここで、X=ホウ素(B)、炭素(C))、鉄コバルト(FeCo)、鉄コバルト合金(化学式:FeCoX、ここで、X=ホウ素(B)、炭素(C)、バナジウム(V))、Metglas、鉄コバルトケイ素ホウ素(FeCoSiB)、ニッケル鉄(NiFe)、ニッケル鉄合金(化学式:NiFeX、ここで、X=銅(Cu)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co),マンガン(Mn)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru))、ニッケルモリブデン合金、鉄ケイ素合金、コバルト白金合金、Terfenol、テルビウムジスプロシウム鉄合金(Terfenol-D:TbxDy1-xFe2)、ニッケルフェライト、ニッケル亜鉛フェライト、コバルトフェライト、バリウムフェライト、ニッケル亜鉛アルミニウムフェライト、マンガン亜鉛フェライト、ストロンチウムフェライト、リチウムフェライト、ヘキサフェライト、およびそれらの組み合わせから選択される磁性材料のうちの少なくとも1つを有する材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項14】
請求項10記載の磁気電気アンテナにおいて、前記少なくとも2つの共振器は、異なる材料でできているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項15】
請求項10記載の磁気電気アンテナにおいて、少なくとも1つの共振器は、前記基板層の下部に設けられたエアキャビティとともに構成されるものであり、それにより当該共振器の前記底部電極層の領域は前記基板層から浮遊した状態となるものである、磁気電気アンテナ。
【請求項16】
請求項10記載の磁気電気アンテナにおいて、少なくとも1つの共振器は、低音響インピーダンス材料層および高音響インピーダンス材料層が交互に積層された複数の層で構成されたブラッグ反射器(音響ミラー)上に結合されているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項17】
請求項16記載の磁気電気アンテナにおいて、前記低音響インピーダンス材料層は、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、コロンビウム(Nb)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、鉛、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、プルトニウム(Pu)、カリウム(K)、ラジウム(Ra)、ルビジウム(Rb)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、二酸化ウラン(UO2)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、石英、二酸化ケイ素(SiO2)、ナノ多孔性メチルシルセスキオキサン(MSQ)、ナノ多孔性水素シルセスキオキサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)および水素シルセスキオキサン(HSQ)のナノ多孔性混合物、エアロゲル、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ガリウムヒ素(GaAs)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、および酸化亜鉛(ZnO)、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つの低音響インピーダンス材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項18】
請求項16記載の磁気電気アンテナにおいて、前記高音響インピーダンス材料層は、金(Au)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ウラン(U)、ダイヤモンド状炭素(DLC)、シリコンドープされたダイヤモンド状炭素(Si-DLC)、および窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ガリウム(GaN)、および炭化ケイ素(SiC)を含む任意の圧電材料、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの高音響インピーダンス材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項19】
磁気電気アンテナであって、
電子的に直列接続または並列接続された少なくとも2つの共振器であって、前記共振器の各々は、
磁歪層と、
上部接地電極層と、
圧電層と、
底部電極層と、
基板層と、
50g/cm2-秒 × 105未満の音響インピーダンスを有する低音響インピーダンス材料層および50g/cm2-秒 × 105より高い音響インピーダンスを有する高音響インピーダンス材料層が音響ミラー層として交互に積層された複数の層を有するブラッグ反射器(音響ミラー)層と
を有する構造を有し、
前記上部接地電極層は、前記圧電層上に配置され、所定形状の開口部が形成されているものであり、
前記磁歪層は、前記所定形状の開口部を通して前記圧電層上に配置され、
前記圧電層は、前記ブラッグ反射器(音響ミラー)層上に配置された前記底部電極層上に配置されているものであり、
上記構成により前記磁歪層および前記圧電層によって前記底部電極層上にヘテロ構造が形成され、音響共振周波数で電磁波を放射し、この電磁波を圧電電圧出力に変換する磁化振動が発生するものであり、
前記少なくとも2つの共振器により機能的相乗効果がもたらされることで、2つのアンテナを結合した場合よりもより大きい誘導電圧およびより広範囲の帯域幅が生成されるものであり、
前記ブラッグ反射器(音響ミラー)層によりエネルギーの前記基板層内への漏出が防止されるものである、
磁気電気アンテナ。
【請求項20】
請求項19記載の磁気電気アンテナにおいて、前記高音響インピーダンス材料層の各層は、前記圧電共振器の共振周波数の約4分の1または2分の1機械波波長の厚さを有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項21】
請求項19記載の磁気電気アンテナにおいて、前記低音響インピーダンス材料層の各層は、前記圧電共振器の共振周波数の約4分の1または2分の1機械波波長の厚さを有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項22】
請求項19記載の磁気電気アンテナにおいて、前記電極層は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、およびルテニウム(Ru)から選択される材料のうちの少なくとも1つを有する材料で堆積されているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項23】
請求項19記載の磁気電気アンテナにおいて、前記圧電層は、窒化アルミニウム窒化スカンジウム(AlScN)、窒化アルミニウム(AlN)、(Hf,X)O2(ここで、X=ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si))、チタン酸バリウム(BaTiO3)、リン酸ガリウム(GaPO4)、ランタンガリウムケイ酸塩(LGS)、タンタル酸スカンジウム鉛(PST)、酸化亜鉛(ZnO)、石英、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、ビスマスフェライト(BFO)、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PMN-PT)、亜鉛ニオブ酸鉛チタン酸鉛(PZN-PT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF,PVDF(-TrFE))、チタン酸ビスマスナトリウム(NBT)、およびそれらの組み合わせの材料のうちの少なくとも1つを有する材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項24】
請求項19記載の磁気電気アンテナにおいて、前記磁歪層は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄ガリウム(FeGa)、鉄ガリウム合金(化学式:FeGaX、ここで、X=ホウ素(B)、炭素(C))、鉄コバルト(FeCo)、鉄コバルト合金(化学式:FeCoX、ここで、X=ホウ素(B)、炭素(C)、バナジウム(V))、Metglas、鉄コバルトケイ素ホウ素(FeCoSiB)、ニッケル鉄(NiFe)、ニッケル鉄合金(化学式:NiFeX、ここで、X=銅(Cu)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co),マンガン(Mn)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru))、ニッケルモリブデン合金、鉄ケイ素合金、コバルト白金合金、Terfenol、テルビウムジスプロシウム鉄合金(Terfenol-D:TbxDy1-xFe2)、ニッケルフェライト、ニッケル亜鉛フェライト、コバルトフェライト、バリウムフェライト、ニッケル亜鉛アルミニウムフェライト、マンガン亜鉛フェライト、ストロンチウムフェライト、リチウムフェライト、ヘキサフェライト、およびそれらの組み合わせから選択される材料のうちの少なくとも1つを有する材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項25】
請求項19記載の磁気電気アンテナにおいて、前記少なくとも2つの共振器は、異なる材料でできているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項26】
請求項19記載の磁気電気アンテナにおいて、少なくとも1つの共振器は、前記基板層の下部に設けられたエアキャビティとともに構成されるものであり、それにより当該共振器の前記底部電極層の領域は前記基板層から浮遊した状態となるものである、磁気電気アンテナ。
【請求項27】
請求項19記載の磁気電気アンテナにおいて、少なくとも1つの共振器は、前記低音響インピーダンス材料層および前記高音響インピーダンス材料層が交互に積層された複数の層で構成されたブラッグ反射器(音響ミラー)上に結合されているものである、磁気電気アンテナ。
【請求項28】
請求項27記載の磁気電気アンテナにおいて、前記低音響インピーダンス材料層は、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、コロンビウム(Nb)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、鉛、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、プルトニウム(Pu)、カリウム(K)、ラジウム(Ra)、ルビジウム(Rb)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、二酸化ウラン(UO2)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、石英、二酸化ケイ素(SiO2)、ナノ多孔性メチルシルセスキオキサン(MSQ)、ナノ多孔性水素シルセスキオキサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)および水素シルセスキオキサン(HSQ)のナノ多孔性混合物、エアロゲル、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ガリウムヒ素(GaAs)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、および酸化亜鉛(ZnO)、およびそれらの組み合わせから選択された少なくとも1つの低音響インピーダンス材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項29】
請求項27記載の磁気電気アンテナにおいて、前記高音響インピーダンス材料層は、金(Au)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ウラン(U)、ダイヤモンド状炭素(DLC)、シリコンドープされたダイヤモンド状炭素(Si-DLC)、および窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ガリウム(GaN)、および炭化ケイ素(SiC)を含む任意の圧電材料、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの高音響インピーダンス材料を有するものである、磁気電気アンテナ。
【請求項30】
請求項1記載の磁気電気アンテナを有する電子装置であって、振動、音響信号、または低周波磁場を感知するように構成された電子装置。
【請求項31】
請求項10記載の磁気電気アンテナを有する電子装置であって、振動、音響信号、または低周波磁場を感知するように構成された電子装置。
【請求項32】
請求項19記載の磁気電気アンテナを有する電子装置であって、振動、音響信号、または低周波磁場を感知するように構成された電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月18日付で出願した、「Magnetoelectric Antenna Arrays(磁気電気アンテナアレイ)」と題する米国特許仮出願第63/115,148号に対して優先権を主張するものであり、その内容の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。また、当該米国特許仮出願は、2017年5月31日付で出願した、「Nanoscale Radio Frequency Magnetoelectric Antenna(ナノスケール無線周波数の磁気電気アンテナアレイ)」と題する米国特許出願第16/304,802の一部継続出願であり、当該一部継続出願の内容の全体はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許出願は、無線通信システム、生体医学的用途、通信衛星およびレーダーシステムに使用される超小型かつ効率的な一種のアンテナに関する。具体的には、本特許出願は、直列接続および/または並列接続された共振器アレイから構成されるアンテナについて記載するものであり、このアンテナは、kHz~GHzの周波数で動作する交流(AC)電源から電磁(EM)信号を受信することができ、改善された放射効率および帯域幅を有するとともに、電磁(EM)信号と同一の信号を空中に効率的に放射することができる。この高効率かつ小型のアンテナは、圧電材料および磁性材料が相互に積層された複合体により形成される層状放射開口部が設けられた複数の共振器アレイを有する。
【背景技術】
【0003】
アンテナは、放射通信全般において必須のコンポーネントである。携帯電話およびタブレットが生活様式において必要不可欠な一部になるにつれて、超小型かつより効率的なアンテナの需要は尽きることがない。アンテナは、電磁波共振を通して信号を送受信するものであるため、従来のアンテナは、電磁波長λ0に対応するサイズを有する。通常、これらのアンテナは、λ0/10、すなわち、電磁波長λ0の1/10を超えるサイズである必要がある。固定送信波長、特に超短波(VHF、30~300MHz)または極超短波(UHF、0.3~3GHz)の送信用途の場合、アンテナを小型化することは電子技術者にとって非常に困難である。
【0004】
アンテナに関する別の課題は地板の影響である。地板は、利得を含むアンテナの放射特性に大きな影響を与える。しかしながら、板状アンテナと反対方向に流れるイメージ電流によってアンテナからの放射が相殺される可能性がある。この影響により、同相放射のためにイメージ電流がアンテナの一部として作用する垂直4分の1波長ダイポールなどの大型アンテナを地板に対して垂直な垂直位置に配置する必要がある。
【0005】
本出願の発明者らは、磁気電気ヘテロ構造(magnetoelectric heterostructure)において実現される電気秩序と磁気秩序との間の強磁気電気(ME)結合効果の現象により、小型電子部品の開発が可能であることを以前に発見した(Tianxiang Nan,et al."Acoustically Actuated Ultra-Compact NEMS Magnetoelectric Antennas,"Nature Communications,Vol 8,p296, August 2017を参照)。磁気電気ヘテロ構造において無線周波数(RF)で動的に実現される強磁気電気結合により、電磁波を放射する、電圧誘起された無線周波磁流(voltage-induced RF magnetic currents)が生成され、それにより新規の送受信機構を実現することができる。この新規の送受信機により、アンテナのサイズを10倍~100倍減少することができ、また、少なくとも18dBiのアンテナ利得を得るとともに地板からの影響を排除することができる。
【0006】
このように、磁気電気結合効果によって、スピントロニクスを基礎としたコンポーネント、低周波磁気センサー、および再構成可能無線周波コンポーネントなどの、室温で動作する新規の磁気電気装置のコンポーネントの開発が可能となった。
【0007】
したがって、効率および帯域幅容量の改善のために、磁気電気結合機構を利用した新規のアンテナ設計に対する要求が高まっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一体化したアンテナを構築する際に磁気電気(ME)共振器アレイを利用した新規の設計概念を提供することで性能改善を図る。
【0009】
1実施形態において、薄膜バルク音響共振器(FBAR:Thin-Film Bulk Acoustic Resonators)のアレイが電気的に並列接続または直列接続されて単一のアンテナが形成される。1実施形態の別の観点において、ナノプレート共振器(NPR:Nano-Plate Resonators)のアレイが電気的に並列接続または直列接続されて単一のアンテナが形成される。1実施形態の別の観点において、薄膜バルク音響共振器(FBAR)およびナノプレート共振器(NPR)の複合体のアレイが電子的に並列接続または直列接続されて単一のアンテナが形成される。
【0010】
別の1実施形態において、1つのSMR(Solidly Mounted Resonator)またはSMRのアレイが電気的に並列接続または直列接続されて単一のアンテナが形成される。1実施形態の1観点において、薄膜バルク音響共振器(FBAR)、ナノプレート共振器(NPR)、およびSMRは、音響共振周波数で共振する、圧電材料層を有する強磁性/強誘電性薄膜のヘテロ構造を有する。1実施形態の1観点において、SMRは、音響ミラーの一部として機能する低音響インピーダンス材料層を有し、この低音響インピーダンス材料層は、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、コロンビウム(Nb)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、鉛、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、プルトニウム(Pu)、カリウム(K)、ラジウム(Ra)、ルビジウム(Rb)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、二酸化ウラン(UO2)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、石英、二酸化ケイ素(SiO2)、ナノ多孔性メチルシルセスキオキサン(MSQ:methyl silsesquioxane)、ナノ多孔性水素シルセスキオキサン(HSQ:hydrogensilsesquioxane)、MSQおよびHSQのナノ多孔性混合物、エアロゲル等、およびチタン酸バリウム(BaTiO3)、ガリウムヒ素(GaAs)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、および酸化亜鉛(ZnO)などの任意の圧電材料、から選択される、50g/cm2-秒 × 105未満の低音響インピーダンスを有する材料を有する。
【0011】
1実施形態の1観点において、SMRは、音響ミラーの一部として機能する高音響インピーダンス材料層を有し、この高音響インピーダンス材料は、金(Au)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ウラン(U)、ダイヤモンド状炭素(DLC)、シリコンドープされたダイヤモンド状炭素(Si-DLC)、および窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ガリウム(GaN)、および炭化ケイ素(SiC)などの任意の圧電材料、から選択される、少なくとも50g/cm2-秒 × 105より高い音響インピーダンスを有する材料を有する。
【0012】
1実施形態の1観点において、前記高音響インピーダンス材料層の各層の厚さは、前記圧電共振器の共振周波数の4分の1または2分の1機械波波長であるように構成されている。1実施形態の1観点において、前記低音響インピーダンス材料層の各層の厚さは、前記圧電共振器の共振周波数の4分の1または2分の1機械波波長であるように構成されている。
【0013】
1実施形態において、共振器の電極材料は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、またはそれらの組み合わせから選択された少なくとも1つの材料とともに堆積される。
【0014】
1実施形態において、前記共振器は、窒化アルミニウム窒化スカンジウム(AlScN)、窒化アルミニウム(AlN)、(Hf,X)O2(ここで、X=ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si)など)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、リン酸ガリウム(GaPO4)、ランタンガリウムケイ酸塩(LGS)、タンタル酸スカンジウム鉛(PST:Lead scandium tantalate)、酸化亜鉛(ZnO)、石英、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Lead zirconate titanate)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT:Lead lanthanum zirconate titanate)、ビスマスフェライト(BFO)、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PMN-PT)、亜鉛ニオブ酸鉛チタン酸鉛(PZN-PT:Lead-zinc niobate lead titanate)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF,PVDF(-TrFE))、およびチタン酸ビスマスナトリウム(NBT:Sodium bismuth titanate)から選択される少なくとも1つを含む材料でできた圧電層を有する。
【0015】
1実施形態において、前記共振器は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および鉄ガリウム(FeGa)、鉄ガリウム合金(FeGaX、ここで、X=ホウ素(B)、炭素(C)など)、鉄コバルト(FeCo)、鉄コバルト合金(FeCoX、ここで、X=ホウ素(B)、炭素(C)、バナジウム(V))、Metglas、鉄コバルトケイ素ホウ素(FeCoSiB)、ニッケル鉄(NiFe)、ニッケル鉄合金(NiFeX、ここで、X=銅(Cu)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co),マンガン(Mn)、バナジウム(V)、アルミニウム(Alなど)、ニッケルモリブデン合金、鉄ケイ素合金、コバルト白金合金、Terfenol、Terfenol-D(TbxDy1-xFe2、y1およびxは数字:テルビウムジスプロシウム鉄合金)から選択される合金、およびニッケルフェライト、ニッケル亜鉛フェライト、コバルトフェライト、バリウムフェライト、ニッケル亜鉛アルミニウムフェライト、マンガン亜鉛フェライト、ストロンチウムフェライト、リチウムフェライト、およびヘキサフェライトまたはその他のフェライトなどのスピネルフェライトから選択される少なくとも1つを含む材料でできた磁性層を有する。
【0016】
1実施形態において、開口構造上に亘って配置され、面外励起する圧電層により面内および面外振動が可能となるとともに、磁性層によっても面内および面外振動が可能となる。磁気電気結合を通じて電圧誘起された音響波により薄膜状ヘテロ構造に磁化ダイナミクスが誘導され、音響共振周波数の電磁波が放射される。磁気電気アンテナが電磁波における磁性成分を感知することで、圧電電圧出力が起こる。新規の材料でできた上記磁気電気(ME)共振器の複数のアレイは、直列接続および並列接続され、高アンテナ利得、広帯域幅を提供するとともに、地板からの影響を排除し、磁気電気アンテナアレイにおける準静磁場または低周波磁場に対して高感度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本出願によるアンテナ送信機構および地板効果を概略的に示している。
【
図2】
図2は、本出願による直接磁気電気結合現象を利用したMEアンテナの前記受信機構近接場シミュレーション物理特性フローを概略的に示している。
【
図3】
図3は、本出願による単一の共振器を備えたMEアンテナの上面断面図を概略的に示している。
【
図4】
図4は、本出願による共振器のアレイを備えたMEアンテナの上面断面図を概略的に示している。
【
図5】
図5は、本出願による薄膜バルク音響共振器(FBAR)およびナノプレート共振器(NPR)のアレイを備えたMEアンテナの断面図を概略的に示している。
【
図6】
図6は、本出願によるSMRのアレイを備えたMEアンテナの断面図を概略的に示している。
【
図7A】
図7Aは、本出願によるNPR共振器を備えた例示的なMEアンテナの3D構造を示している。
【
図7B】
図7Bは、本出願によるFBAR共振器を備えた例示的なMEアンテナの3D構造を示している。
【
図8】
図8は、本出願によるFBAR共振器を備えた例示的なMEアンテナの組み立てプロセスの分解図を示している。
【
図9A】
図9Aは、本出願による共振時のシリコン上の磁気電気(ME)共振器のシミュレートされた移動形状を示している。
【
図9B】
図9Bは、本出願による共振時の音響ミラー層上の磁気電気(ME)共振器のシミュレートされた移動形状である。
【
図10】
図10は、本出願による、直列接続された1つから3つの共振器アレイを備えた例示的な磁気電気(ME)アンテナアレイからのシミュレートされた誘導電圧の図である。
【
図11】
図11は、本出願による単一ディスク共振器からなる磁気電気(ME)アンテナと受信ホーンアンテナとの間の測定反射係数(S
11)および透過(S
21)の図である。
【
図12】
図12は、本出願による3×3の単一ディスク共振器からなる磁気電気(ME)アンテナアレイと受信ホーンアンテナとの間の測定反射係数(S
11)および透過(S
21)の図である。
【
図13】
図13は、本出願による、大型金属地板上にある3×3の単一ディスク共振器からなる磁気電気(ME)アンテナアレイと受信ホーンアンテナとの間の測定反射係数(S
11)および透過(S
21)の図である。
【
図14】
図14は、本出願による並列接続された1つおよび3つの共振器アレイを備えた磁気電気(ME)アンテナアレイの反射減衰量の図である。
【
図15】
図15は、本出願による2つの異なる共振を有する磁気電気(ME)アンテナアレイについての測定反射係数(S
11)、およびシュミレーションされた反射係数(S11)の図である。
【
図16】
図16は、本出願による5つの異なる共振を有する磁気電気(ME)アンテナアレイについてのシュミレーションされた反射係数(S
11)の図である。
【
図17】
図17は、本出願による窒化アルミニウム(AlN)を窒化スカンジウムアルミニウム(AlScN)に置き換えた3つの異なる共振を有する磁気電気(ME)アンテナアレイのシュミレーションされた反射係数(S
11)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照する。可能な限り、同じまたは類似の参照番号が、前記同じまたは類似の部品または段階を参照するために図面および説明で使用されている。前記図面は簡略化された形式であり、正確な縮尺ではない。「連結する」という言葉および同様の用語は、必ずしも直接および即時の接続を意味するのではなく、中間要素または装置を介した接続も含む。便宜上および明確にするためにのみ、図面に関して方向性(上/下など)の用語を使用する場合がある。これらおよび同様の方向性の用語は、いかなる方法においてもその範囲を制限するものと解釈されるべきではない。また、本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、要素は異なる位置に配置されるか、そうでなければ書面による説明の要件を必要とせずに添付の特許請求の範囲として留意される。
【0019】
説明および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも特定の連続的または時系列の順序を説明するために使用されるとは限らない。そのように使用される用語は交換可能であることを理解されたい。さらに、「構成する」、「含む」、「有する」、およびそれらの任意の変形という用語は、要素のリストを含む工程、方法、物品、装置、または組成物が必ずしもそれらの要素に限定されないが、そのような工程、方法、物品、装置、または組成物に明示的に記載されていない、または固有ではない他の要素を含む。
【0020】
本発明は、機能ブロック構成要素および様々な工程段階に関して本明細書に記載される。そのような機能ブロックは、指定された機能を実行するように構成された任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素によって実現されることを理解されたい。例えば、本発明は、様々な集積回路構成要素、メモリ要素、処理要素、論理要素、ルックアップテーブルなどを使用することができ、これらは、1若しくはそれ以上のマイクロプロセッサまたは計算、シミュレーション、および測定における他の制御装置の制御下で様々な機能を実行することができる。
【0021】
本明細書に示され、説明される特定の実装は、本発明およびその最良の方法を例示するものであり、他の方法で本発明の範囲を制限することを意図するものではないことを理解されたい。さらに、本明細書に含まれる様々な図に示される接続線は、例示的な機能的関係および/または前記様々な要素間の物理的連結を表すことを意図している。本発明に従って実施される実際のインセンティブシステムには、多くの代替または追加の機能的関係または物理的接続が存在することに留意されたい。
【0022】
「圧電性」という用語は、加えられた機械的応力に応答して、特定の固体材料(例えば、水晶圧電素子、特定のセラミック、生物学的物質など)に蓄積する電荷に起因する圧力と潜熱に起因する電気である。通常は、圧電効果は、反転対称性のない結晶性材料の機械的状態と電気的状態間の線形電気機械的相互作用から観察される。
【0023】
「磁気電気(MEまたは代わりにM-E)結合」という用語は、電圧を使用して機械的形成を誘発し、次に磁気変化を生成し、磁気変化を使用して前記機械的形成を誘発し、次に電圧を生成する現象を指す。
【0024】
磁気電気結合現象の適用は、磁性の電圧制御または分極の磁場操作につながる可能性があり、これにより、低消費電力、高速動的応答、低損失、およびコンパクトな装置が可能になる。強力な磁気電気結合を実現するために多大な努力が払われてきた。磁気/誘電体または強磁性/強誘電性薄膜ヘテロ構造は、スピン偏極電荷によって媒介される電圧制御可能な磁気表面異方性を介して強力な磁気電気結合を生成することが観察されている。強磁性/強誘電性超薄型スラブの場合、歪み媒介および電荷媒介の磁気電気結合が組み合わされているため、より強い磁気電気結合効果が観察される。例えば、磁性半導体を備えた強磁性ヘテロ構造、PZT上の4nm La0.85r0.2Mn03は、電荷を介した磁気電気結合により、100KでヒステリシスのようなM-E曲線を生成した。さらに、電圧制御された光磁気カー信号を介して、Ni/BTO強磁性ヘテロ構造に厚さ依存のME挙動があり、Ni薄膜の厚さを5nmまで減少させる場合、前記電荷媒介磁気表面異方性が前記磁気弾性異方性よりもますます支配的になる。
【0025】
強誘電体層および強磁性層を組み合わせた人工強磁性ヘテロ構造は、室温での強力な磁気電気結合により、最近ますます注目を集めている。従来型のアンテナは、基本的には振動電流を介して振動電場および磁界を発生させる高周波を送受信する導体である。強力な磁気電気結合を生成する構造と材料により、より高い効率およびより広い帯域幅を備えた小型アンテナを提供することが可能になる。
【0026】
従来型のアンテナはまた、
図1に示されるように、いわゆる地板効果の制限に直面している。地板は、平坦またはほぼ平坦な水平導電面115であり、これは人体であっても良い。平面アンテナの109に示されている反対方向に流れるイメージ電流は、前記アンテナからの放射を打ち消すことができる。従来、前記放射は、アンテナが前記表面に対して垂直で直角を成す場合にのみ強化される。例えば、107に示す垂直1/4波長双極子では、イメージ電流が同相放射を伴うアンテナの一部として機能する。
図111のように、MEアンテナは電流の代わりに磁気電流を放射に使用する。101、103、および105に示すように、強磁性/強誘電性薄膜ヘテロ構造を共振器として使用すると、MEアンテナは、電圧誘導音響波によって生成された電磁波を放射し、電磁波によって生成された前記磁場を感知して電圧を誘導できる。MEアンテナの同相イメージ電流は、アースを取り付けている間、利得を強める。この地板耐性は、地板とも見なされる金属表面や人体にさまざまな装置設計を提供できる。
【0027】
COMSOL MULTIPHYSICS直接磁気電気結合シミュレーション
2つの異なる磁歪材料と圧電材料の前記磁場、弾性、および電場間の前記ME結合効果は、COMSOL MULTIPHYSICSソフトウェアによる有限要素法(FEM)を使用してシミュレートされた。
図2Aに示されるように、シミュレーションは、入力周波数200に応答する磁場201および磁化205、磁歪203、磁歪203、生成された歪み207、圧電材料209、およびその生成された歪み211を含む磁化205に応答する固体力学を計算する。次に、前記シミュレーションは、前記圧電材料によって生成された歪み211に応答して静電モジュール213内の前記誘導電圧215を計算する。磁気電気ナノプレート共振器(NPR)のための前記誘導電圧シミュレーションの配置が、RFコイルによって生成される前記RF電磁場(HRF)下の
図2Bに示されている。
【0028】
大気相では、空間的に均一な正弦波磁場が印加されると仮定されている。大気モデル空間は、無限要素ドメイン領域によって切り捨てられる。前記無限要素ドメイン機能を使用する場合、モデリングの境界線外側の条件は解決策に影響を与えない。
【0029】
磁歪材料においては、透磁率および磁歪は、前記ME複合材料の磁束と機械的応力/歪みに非線形の依存性を示す。前記磁歪の構成方程式は次のように示される。
【0030】
【数1】
ここで、BとM
rは、それぞれ磁束密度および残留磁化である。動的磁化Mは、前記磁場および前記機械的応力をそれぞれ表すHおよびS
meに関連している。前記磁性材料が等方性であると仮定すると、前記磁歪ε
meは、磁化場Mの次の2次等方性形式としてモデル化される。
【0031】
【数2】
ここで、FeGaBの場合、磁歪係数はλ
sであり、飽和磁化はM
sであり、実験測定からそれぞれ70ppmおよび1114084A/mである。
【0032】
前記圧電材料においては、前記線形圧電材料モデルで記述された小信号の振る舞いが適用され、歪み-電荷の形式で構成関係が確立されると仮定される。圧電テンソルおよび機械的特性は、COMSOL MULTIPHYSICSの組み込みモジュールから取得された。前記応力、電界、および前記応力電荷形式の電束密度間の関係は、圧電構成方程式によって与えられる。
【0033】
【0034】
【数4】
ここで、σとεは前記応力および歪みのテンソルである。EとDは前記電界と電束密度である。c、e、およびkは、それぞれ剛性、歪みと電界の結合定数、および誘電率である。
図2Aに示される固体力学モデルは、弾性構成関係によって記述される。
【0035】
【0036】
【0037】
【数7】
ここで、uは変位、ρは密度、ωは角周波数、Cは弾性行列である。
【0038】
COMSOL MULTIPHYSICSの磁歪および圧電シミュレーションモジュールは、ME結合効果を観察するための前記近接場領域での静磁近似を使用して、前記装置の前記共振モードで広く使用され信頼性がある。シミュレーションでは、多くの境界条件および異方性材料パラメータを含む実際の物理を取り込むことができない場合がある。例えば、前記MEアンテナの前記磁性材料FeGaB層は、面内磁気硬質軸方向に沿って160GPaの大きなΔE効果を備える高異方性のヤング率を示し、これは、COMSOLなどの既存のモデルに組み込むのは非常に困難である。
【0039】
MEアンテナ構造
図3を参照すると、1つの磁気/強誘電体薄膜ヘテロ構造共振器を有するMEアンテナ300の上面断面図が示されている。301はディスク状の磁気/強誘電体薄膜ヘテロ構造共振器を表し、303および305は前記圧電フィルム基板層上の金層を表す。共振器には、FBAR、NPR、またはSMR形式の共振器が含まれる。
【0040】
図4に示されるように、(403、405および413金属接続を介して)直列におよび(409金属接続を介して)並列に電子的に接続された複数の磁気/強誘電体薄膜ヘテロ構造共振器401、417、407、411、415などを有するMEアンテナ400(アンテナアレイ)の上面断面図である。並列接続された前記共振器の数および前記直列接続された共振器の数は、特定の装置および周波数のインピーダンス整合によって決定される。共振器には、FBAR、NPR、またはSMR形式の共振器が含まれる。
【0041】
図5を参照すると、複数の磁性/強誘電性薄膜ヘテロ構造共振器を有するアンテナアレイの断面
図500が示されている。501および513は、それぞれ直列接続された2つの共振器の前記磁性層を表す。503および504は、それぞれ直列接続された前記2つの共振器の前記接地金属層(好ましくは金で作られている)を表す。505および506は、それぞれ直列接続された前記2つの共振器の圧電層(好ましくは窒化アルミニウムスカジウム窒化物)を表す。507および508は、それぞれ直列接続された前記2つの共振器の電極(好ましくは白金)を表す。509および510は、それぞれ前記共振器の下および前記基板材料(例えば、シリコン)511の上に構築されたエアキャビティを表す。前記電極の下の前記エアキャビティは、各共振器が自由に共振することを可能にし、前記アンテナが前記面内方向と前記面外方向の両方の方向で共振することによって無線周波数に応答できるようにする。共振器には、FBAR、NPR共振器が含まれる。
【0042】
図6を参照すると、複数の磁性/強誘電性薄膜ヘテロ構造SMR共振器を有するアンテナアレイの断面
図600が示されている。601および605は、それぞれ直列接続された2つのSMR共振器の前記磁性層を表す。603および604は、それぞれ直列接続された前記2つの共振器の前記接地金属層(好ましくは金で作られている)を表す。607および608は、それぞれ直列接続された前記2つの共振器の前記圧電層(好ましくは窒化アルミニウムスカジウム窒化物)を表す。609および610は、それぞれ直列接続された2つの共振器の前記電極(好ましくは白金)を表す。両方の共振器は、前記エアキャビティなしで構築されている。エネルギー漏れを回避するために、シリコン基板621の上に、高音響インピーダンスミラー層と結合された低インピーダンス音響ミラー層の複数の追加の層(611~619)、好ましくは2から3の二層が、前記基板装置の下部に構築される。
【0043】
前記低音響インピーダンス材料は、音響インピーダンスが50g/cm2秒x105未満の、例えば、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、コロンビウム(Nb)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、鉛、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、プルトニウム(Pu)、カリウム(K)、ラジウム(Ra)、ルビジウム(Rb)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、二酸化ウラン(UO2)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、PMMA、石英、二酸化ケイ素(SiO2)、ナノ多孔性メチルシルセスキオキサン(MSQ:methyl silsesquioxane)、ナノ多孔性水素シルセスキオキサン(HSQ:hydrogensilsesquioxane)、MSQおよびHSQHのナノ多孔性混合物、エアロゲル、など、および、チタン酸バリウム(BaTi03)、ガリウムヒ素(GaAs)、ニオブ酸リチウム(LiNb03)、酸化亜鉛(ZnO)、またはそれらの組み合わせなどの圧電材料のうちの少なくとも1つで構成される。前記低音響インピーダンス材料の前記個々の層の厚さは、前記圧電共振器の前記共振周波数の機械的波長の4分の11または2分の1に固定されている。
【0044】
前記高音響インピーダンスミラー層は、例えば、金(Au)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、タンタル(Ta))、タングステン(W)、ウラニウム(U)、ダイヤモンド状炭素(DLC)、シリコンドープされたダイヤモンド状炭素(SiーDLC)など、および窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、またはそれらの組み合わせなどの圧電材料、などの50g/cm2秒x105以上の高音響インピーダンスの材料で構成されている。前記高音響インピーダンス材料の個々の層の厚さは、前記圧電共振器の前記共振周波数の機械的波長の4分の1または2分の1に固定されている。
【0045】
前記複数の共振器を有するアンテナにおいては、前記第1および第2の共振器の電極は、それぞれ、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを有する材料で堆積される。
【0046】
前記圧電層は、次のうちの少なくとも1つを有する材料である:窒化アルミニウム窒化スカンジウム(AlScN)、窒化アルミニウム(AlN)、(Hf,X)O2(ここで、X=ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si)など)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、リン酸ガリウム(GaPO4)、ランタンガリウムケイ酸塩(LGS)、タンタル酸スカンジウム鉛(PST)、酸化亜鉛(ZnO)、石英、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、ビスマスフェライト(BFO)、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PMN-PT)、亜鉛ニオブ酸鉛チタン酸鉛(PZN-PT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF,PVDF(-TrFE))、タン酸ビスマスナトリウム(NBT)、またはそれらの組み合わせ。
【0047】
前記磁性層は、以下のうちの少なくとも1つを有する材料である:鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および鉄ガリウム(FeGa)、鉄ガリウム合金(FeGaX、ここで、X=B,Cなど)、鉄コバルト(FeCo)、鉄コバルト合金(FeCoX、ここで、X=B,C,V)、Metglas、鉄コバルトケイ素ホウ素(FeCoSiB)、ニッケル鉄(NiFe)、ニッケル鉄合金(NiFeX、ここで、X=Cu,Zn,Co,Mn,V,Al,Ta,Ruなど)、ニッケルモリブデン合金、鉄ケイ素合金、コバルト白金合金、Terfenol、Terfenol-D(TbxDy1-xFe2)など、およびニッケルフェライト、ニッケル亜鉛フェライト、コバルトフェライト、バリウムフェライト、ニッケル亜鉛アルミニウムフェライト、マンガン亜鉛フェライト、ストロンチウムフェライト、リチウムフェライト、およびヘキサフェライトまたはその他のフェライトなどのスピネルフェライトまたはそれらの組み合わせ。
【0048】
微細加工
MEアンテナは、前記共振MEヘテロ構造(強磁性/圧電)におけるEMとバルク音響波間の前記強力なME結合に基づくナノ電気機械システム(NEMS)アンテナを利用する。前記アンテナは、圧電材料の1つの層と磁歪材料の1つの層で構成され、バルク音響波(BAW)共振器に基づいて異なる層に前記動的歪みを伝達する。
【0049】
簡単にするために、単一の共振器の微細加工は、先行特許出願から繰り返されている。
図7Aおよび
図7Aおよび
図7Bに示される、3Dナノプレート共振器(NPR)および前記薄膜バルク音響共振器(FBAR)に基づくアンテナ構造が、前記励起および振動の方向とともに示されている。NPRとFBARはどちらも同じ励起を有するが共振モードが異なり、様々な周波数範囲を提供する。
【0050】
図7Aおよび
図7Bに示される前記NPRおよびFBARに基づくアンテナの両方について、製造工程は、それぞれ、高抵抗率シリコン(Si)ウェーハ703および713または727および725から始まる。白金(Pt)膜701および711または719および723の層が、スパッタリング蒸着され、前記底部電極を確立するためにSi基板703および713または727および725の上部にリフトオフによってパターン化される。前記窒化アルミニウム(AlN)膜709または721の層をスパッタリング蒸着し、ビアは前記底部電極701または719にアクセスするためにH3P04でエッチングされる。その後、前記AlN膜は、前記共振ナノプレートの形状を定義するCl2に基づく化学において誘導結合プラズマ(ICP)エッチングによってエッチングされる。次に、金(Au)膜は蒸着され、最上部接地705または715を形成するためにリフトオフによってパターン化される。最後に、FeGaB/Al1230多層層707または717がマグネトロンスパッタリングによって堆積され、リフトオフによってパターン化される。磁区を事前に配向するために前記装置の前記アンカー方向に垂直な磁気堆積中に、7960A/m(100 Oe)のその場磁場バイアスが印加される。次に、前記シリコン基板のXeF2等方性エッチングによって前記構造が解放され、前記基板のクランプ効果が最小限に抑えられる。圧電振動を可能にするために、前記FeGaB/Al1230-Pt電極層の下のエアキャビティ730または731が構築される。
【0051】
ナノプレート共振器(NPR)および薄膜バルク音響共振器(FBAR)の両方の装置は、CMOS技術に統合された機能を提供し同じ5マスクの微細加工工程を使用する。
図8は、複数の層の分解図を示している:底部から上に、前記エッチングされたシリコンウエハー809、白金電極807、一致する形状805を備えたAlN圧電層、Au接地層803、およびFeGaB磁歪層801。
図5に示される前記マルチアレイ構造は、同様に構築された。前記シリコンウエハー基板は複数のエアキャビティ内にエッチングされ、隣接する電極は信号源への接続に関して直列または並列のいずれかで接続されている。
図6に示されるSMR共振器アレイの場合、エッチングおよび解放工程なしで、追加の複数の交流の低音響インピーダンス材料層および高音響インピーダンス材料層が、前記装置の下部および前記シリコン基板の上部に追加される。
【0052】
前記FeGaB/Al1230多層膜は、振動試料磁力計(VSM)によって400 A/m (0.5mTesla)未満の磁気の保磁で測定されるが、70ppmの大きな磁歪定数が測定される。9.5GHzのFeGaB/Al1230多層膜で取得されたFMRスペクトルは、キッテルの式に基づいて93mTの共振周波数および1.15Tの磁気モーメントを示す。強磁性共振分光法によって測定された4780A/m(6mTesla)の共鳴線幅が測定され、磁気損失が低く優れたマイクロ波特性を示している。
【0053】
シミュレートされた移動形状
図9Aおよび9Bを参照して、共振器の励起のシミュレートされた移動形状が示されている。前記音響ミラー層のない共振器、音響エネルギー(901、903および905、
図9A)が前記基板層に漏れ、一方で、前記共振器の下部および上部に追加された複数の追加の交流の低音響インピーダンス材料層および高音響インピーダンス材料層を有する前記SMR共振器は、前記シリコン基板へのエネルギー漏れを示さなかった。前記913領域は、前記基板内の音響エネルギー漏れを全くまたはほとんど示さず、すべてのエネルギーは、前記共振器911領域内にのみ残った。
【0054】
誘導電圧
前記共振器の長さ方向に沿ったRFコイルからの約60nT(Wb/m2)の振幅のHRF励起の下で、前記シミュレートされた誘導ME電圧出力が計算された。
図10は、直列接続された1つから3つの共振器アレイを有する磁気電気(ME)アンテナからの前記シミュレートされた誘導電圧の図を示している。前記挿入図は、共振時に前記HRFによって励起された前記ME共振器の前記シミュレートされた面内変位を示している。アレイ内に複数の共振器を有するアンテナは、誘導電圧の生成において相乗効果を示す。3つの共振器を有する前記アンテナの前記誘導電圧曲線1003は、2つの共振器を有する場合の誘導電圧曲線1002および1つの共振器を有する場合の誘導電圧曲線1001よりもはるかに高い誘導電圧を示す。
【0055】
反射係数(S11)、および透過係数(S21)
前記MEアンテナおよび共振器アレイアンテナのアンテナ送信動作は、無響室内でGHz範囲の遠距離場構成でテストされた。範囲が前記波長の半分より短い小型アンテナの場合、前記遠距離場領域は2x波長以上であると見なすことができる。校正済みの直線分極標準ホーンアンテナおよび直径550μm(磁気ディスク直径200μm)のMEに基づくアンテナは、それぞれアンテナ測定用にネットワーク分析器のポート1およびポート2に接続される。
【0056】
図11は、単一ディスク共振器からなる磁気電気(ME)アンテナと受信ホーンアンテナとの間の測定反射係数(S
11)および透過(S
21)を示しており、-50dBの透過があった(曲線1103)。
図12は、3x3のマルチアレイ単一ディスク共振器からなる磁気電気(ME)アンテナと受信ホーンアンテナとの間の測定反射係数(S
11)および透過(S
21)を示しており、測定された透過は-44dBであった(曲線1203)。
図13は、大型金属地板上にある3x3の単一ディスク共振器からなる磁気電気(ME)アレイアンテナと受信ホーンアンテナとの間の測定反射係数(S
11)、および透過(S
21)を示しており、測定された透過は-38.2dBであった(曲線1303)。この場合も、マルチアレイ共振器アンテナは、より高い誘導電圧効果と一致して、はるかに高い効率利得を示している。
【0057】
図14は、1つ(1403)および3つの共振器アレイ(1401)が並列接続された磁気電気(ME)アンテナアレイの反射減衰量を示している。約-6dBで、前記3つの共振器アレイは、はるかに広いピーク幅を示し、より広い帯域幅機能を示している。
【0058】
図15は、測定反射係数(S
11)(1503)と、重複はしないが応答に80MHzの違いがあり、応答帯域幅を広げる機能を示している2つの異なるピーク1505および1507が存在する2つの異なる共振器を有する前記磁気電気(ME)アンテナアレイの前記シミュレートされた反射係数(S
11)(1501)間の良好な一致を示している。
【0059】
図16は、磁気電気(ME)アンテナアレイのシミュレートされた反射係数(S
11)の図であり、5つの異なる共振(1605)が互いに重複しているため、-6dBで80MHzの応答帯域幅(1601)が増加している。
【0060】
図17は、前記圧電層として窒化アルミニウムスカンジウム(AlScN)を有する3つの異なる共振を有する前記磁気電気(ME)アンテナアレイの前記シミュレートされた反射係数(S
11)の図であり、3つの別個の応答ピーク1703が重複し、80MHzの広い応答帯域幅を生成している(1701)。
【0061】
添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態の少なくとも1つを説明したので、それらのスキルには、本発明がそれらの正確な実施形態に限定されず、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、現在開示されているシステムにおいて様々な修正および変形を行うことができることが明らかである。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内に入るという条件で、本開示の修正および変形を含めることが意図されている。
【0062】
変化および実装を示すのに役立つ追加の一般的な背景は、以下の公表に見出すことができ、それらのすべては、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本出願の説明はいずれも、特定の要素、段階、または機能が特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素であることを意味するものとして読まれるべきではない。特許対象物質の範囲は、許可された特許請求の範囲によってのみ定義される。さらに、これらの主張のいずれも、正確な単語「の意味」の後に分詞が続く場合を除いて、35USC112節の段落6を行使することを意図していない。提出された特許請求の範囲は、可能な限り包括的であることが意図されており、主題が意図的に断念、献呈、または放棄されることはない。
【外国語明細書】