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  • 特開-改良型矯正器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080895
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】改良型矯正器具
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
A43B17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021188158
(22)【出願日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】2020904253
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】521507431
【氏名又は名称】キネティック・オーサティクス・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダン・エヴァーソン
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050EA05
4F050EA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来技術に対する利点を提供するか、もしくは任意の所与の患者をより満足に治療するために使用され得る矯正器具を提供するか、または少なくとも有用な代替物を提供すること。
【解決手段】本発明は、上面14および下面を有し、上面14の隆起内側アーチ構造物16、隆起外側アーチ構造物18、および扁平中足部区画20をさらに含む足用の矯正器具に関し、同じ特徴を有する足の半分の矯正器具に関し、上面14の外反ウエッジおよび/または内反ウエッジならびに第1中足骨凹部を有する足用の矯正器具に関し、かつ関連する方法に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足用の矯正器具であって、上面および下面を有し、
(a)使用者の足の内側縦足弓または前記内側縦足弓の一部に対応する位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される隆起内側アーチ構造物、
(b)使用者の足の外側縦足弓または前記外側縦足弓の一部に対応する位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される隆起外側アーチ構造物、ならびに
(c)使用者の足の中足部領域または前記中足部領域の一部に対応する位置で、前記隆起内側アーチ構造物および前記隆起外側アーチ構造物の間で、前記矯正器具の前記上面に配置される扁平中足部区画
をさらに含む、矯正器具。
【請求項2】
前記隆起内側アーチ構造物が、使用者の足の踵骨の内側の前方に対応しかつ第1中足骨ゾーンへ延びる位置に配置される、請求項1に記載の矯正器具。
【請求項3】
前記隆起内側アーチ構造物が、第1中足骨基部へ延びる、請求項2に記載の矯正器具。
【請求項4】
前記隆起外側アーチ構造物が、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応しかつ第5中足骨頭部または第5中足骨基部へ延びる位置に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項5】
前記隆起外側アーチ構造物が、第1の部分構造物および第2の部分構造物を含み、前記第1の部分構造物が、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応しかつ第5中足骨基部へ延びる位置に配置され、前記第2の部分構造物が、使用者の足の第5中足骨ゾーンに対応しかつ第5中足骨頭部へ延びる位置に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項6】
前記隆起構造物の高さが、約2mm~40mmである、請求項1から5のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項7】
前記隆起構造物が略半円弧を含み、前記略半円弧の周りで前記隆起構造物の高さが最も高くなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項8】
前記隆起内側アーチ構造物が2つの隆起した略半円弧を含み、第1の略半円弧が使用者の足の踵骨の内側の前方に対応する位置に配置され、第2の略半円弧が使用者の足の舟状骨に対応する位置に配置される、請求項7に記載の矯正器具。
【請求項9】
前記隆起外側アーチ構造物が、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応する位置に配置される略半円弧を含む、請求項7または8に記載の矯正器具。
【請求項10】
前記略半円弧が1cmから4cmまでの直径を有する、かつ/または、前記略半円弧の高さが約2mm~40mmである、請求項7から9のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項11】
使用者の足の踵骨の後方に対応する位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される隆起踵部構造物をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項12】
前記隆起踵部構造物が、使用者の足の踵骨の内側の前方に対応しかつ使用者の足の踵骨の後方を通って立方骨の外側の後方までの周囲に延びる位置に配置される、請求項11に記載の矯正器具。
【請求項13】
前記隆起踵部構造物が、使用者の足の踵が合わさり得る「カップ」を形成するために、使用者の足の踵骨の中心に対応する位置から前記矯正器具の外縁に向かう方向で、上方に傾斜させられる、請求項11または12に記載の矯正器具。
【請求項14】
前記隆起踵部構造物が、前記隆起内側アーチ構造物および前記隆起外側アーチ構造物と接して一体化する、請求項12または13に記載の矯正器具。
【請求項15】
前記隆起踵部構造物の高さが、約2mm~25mmである、請求項11から14のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項16】
使用者の足の前足部領域もしくは前記前足部領域の一部に対応する位置で前記矯正器具の前記上面に配置され、前記足の外側へ上方に勾配づけられる外反ウエッジ、および/または、使用者の足の前足部領域もしくは前記前足部領域の一部に対応する位置で前記矯正器具の前記上面に配置され、前記足の内側へ上方に勾配づけられる内反ウエッジをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項17】
前記足の母趾球を受容するための、使用者の足の第1中足骨頭部に対応する位置で前記矯正器具の前記上面に配置される第1中足骨凹部をさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項18】
使用者の足の第1中足骨頭部に対応しかつ第1末節骨の端部へ延びる位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される隆起前足部構造物をさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項19】
使用者の足の第5中足骨頭部に対応しかつ第5末節骨の端部へ延びる位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される陥没前足部構造物をさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項20】
前記扁平中足部区画が、使用者の足の中足部領域に対応する位置に配置される、請求項1から19のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項21】
前記扁平中足部区画が、使用者の足の後方中足部小領域に対応する位置に配置される、請求項1から20のいずれか一項に記載の矯正器具。
【請求項22】
使用者の足の少なくとも第2中足骨ゾーン、第3中足骨ゾーンおよび第4中足骨ゾーンに対応しかつ使用者の足の少なくとも外側楔状骨の頭部へ楔形に延びる位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される隆起中足骨パッドをさらに含む、請求項21に記載の矯正器具。
【請求項23】
上面および下面を有する足用の矯正器具であって、前記足の長さの半分未満であり、
(a)使用者の足の内側縦足弓または前記内側縦足弓の一部に対応する位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される隆起内側アーチ構造物、
(b)使用者の足の外側縦足弓または前記外側縦足弓の一部に対応する位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される隆起外側アーチ構造物、ならびに
(c)使用者の足の中足部領域または前記中足部領域の一部に対応する位置で、前記隆起内側アーチ構造物および前記隆起外側アーチ構造物の間で、前記矯正器具の前記上面に配置される扁平中足部区画
をさらに含む、矯正器具。
【請求項24】
足用の矯正器具であって、上面および下面を有し、
(a)使用者の足の前足部領域もしくは前記前足部領域の一部に対応する位置で前記矯正器具の前記上面に配置され、前記足の外側へ上方に勾配づけられる外反ウエッジ、および/または、使用者の足の前足部領域もしくは前記前足部領域の一部に対応する位置で前記矯正器具の前記上面に配置され、前記足の内側へ上方に勾配づけられる内反ウエッジ、ならびに
(b)前記足の母趾球を受容するための、第1中足骨頭部に対応する位置で前記矯正器具の前記上面に配置される第1中足骨凹部
をさらに含む、矯正器具。
【請求項25】
使用者の足の中足部領域または前記中足部領域の一部に対応する位置で、前記矯正器具の前記上面に配置される扁平中足部区画をさらに含む、請求項24に記載の矯正器具。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の矯正器具を使用者へ処方するステップを含む、足部障害を治療するための方法。
【請求項27】
請求項1から25のいずれか一項に記載の矯正器具を使用するステップを含む、運動中の足の正常な機能を改善または最適化するための方法。
【請求項28】
請求項1から25のいずれか一項に記載の矯正器具を使用するステップを含む、歩行周期を矯正する、または正常な歩行周期を改善もしくは最適化するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矯正器具および関連する方法に関し、特に、扁平中足部区画を伴って上面の内側および外側アーチ構造物を有する足用の矯正器具に関し、また、上面の外反ウエッジおよび/または内反ウエッジならびに第1中足骨凹部を有する足用の矯正器具に関する。
【背景技術】
【0002】
足用の矯正器具は、足部障害の治療において使用される人工支持器具である。そのような矯正器具は、しばしば患者の靴内に配置するためのインサートとして提供される。それらは、一般的に、基部を含み、基部は、その上に設置される、しばしば上面および下面上の隆起した構造物である、1つまたは複数の構造物を有する。通例、矯正器具は、例えば、立っている間、使用者の足の部分にかかる負荷を再配分するために、静止している場合の足の輪郭および位置のみに考慮した支持を提供するための構造物を有して製作される。
【0003】
矯正器具が、運動している場合の足の位置および輪郭に考慮して開発され始めたのは、比較的最近のことでしかない。例えば、本出願人の特許文献1は、患者の足が、運動中に通常経験する動きを考慮して、機能試験を用いて判定され、それに基づいて所定の矯正器具設計から選択される矯正器具を処方するプロセスを記載する。足の踵骨内側の隆起先端(例えば、「ゾーン1」)、足の立方骨エリアにおける隆起先端(「ゾーン2」)、および中足部領域を通って第1中足骨の基部へ湾曲する内側楔状骨の後方の溝部(例えば、「ゾーン3」)などの、いくつかの構造物によって定義される矯正器具を含む、より最新の矯正器具が、本出願人の特許文献2に記載される。中足部領域は、特に、様々な異なる矯正器具における構造物によって一般に支持されるエリアである。例えば、中足部領域における隆起支持は、足の自然な回外を支援すると考えられる。また、中足部溝部は、足の筋膜腱への圧力を減らして、自然な巻き上げ機構を促進すると考えられる。
【0004】
足部障害の治療のために矯正器具を処方して使用することは、しばしば、試行錯誤の過程にあり、所与の患者の足部障害を満足に治療するか、または使用者にある所望の利益をもたらすことができる、矯正器具がない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】オーストラリア特許第2012262646号明細書
【特許文献2】オーストラリア特許出願第2017325102号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術と関連する1つまたは複数の難題または欠陥を克服または軽減する必要がある。したがって、本発明は、従来技術に対する利点を提供するか、もしくは任意の所与の患者をより満足に治療するために使用され得る矯正器具を提供するか、または少なくとも有用な代替物を提供することを試みるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は足用の矯正器具であって、上面および下面を有し、
(a)使用者の足の内側縦足弓または内側縦足弓の一部に対応する位置で、矯正器具の上面に配置される隆起内側アーチ構造物、
(b)使用者の足の外側縦足弓または外側縦足弓の一部に対応する位置で、矯正器具の上面に配置される隆起外側アーチ構造物、ならびに
(c)使用者の足の中足部領域または中足部領域の一部に対応する位置で、内側アーチ構造物および外側アーチ構造物の間で、矯正器具の上面に配置される扁平中足部区画
をさらに含む、矯正器具を提供する。
【0008】
足用の「矯正器具」とは、使用者の足の裏周辺に装着することによって、足の動作を改善するために用いる人工器具を意味し、1つまたは複数の構造物を有するかまたはそれらがその上に設置されるように形作られ得る基部を含み、1つまたは複数の構造物は、一般的に隆起または陥没し、一般的に支持するか、圧力を加えるかまたは刺激を与える特定の手法において、足の特定の部分と接触することが意図される。矯正器具は、履物用の取外し可能なインサートの形であるか、または、一体化した履物の部分として形成される、例えば、靴の中底として、もしくは他の様式で形成され得る。したがって、矯正器具の「上面」は、一般的に使用者の足の裏に面し、一方で、矯正器具の「下面」は、一般的に外側を向く。
【0009】
概して、人の足は、前足部、中足部および後足部の3つの領域を含むと考えられ得る。これらの領域は足の骨によって定義され得る。足の骨、腱および筋肉は、当業者には公知であろう。例えば、足の骨の描写が図1に提供される。前足部は、中足骨および趾節骨を含み得る。その意味において、矯正器具の前足部領域は、中足骨の基部と末節骨の端部との間に延びる、または言い換えると、中足骨の基部もしくは足根中足関節の前方に延びる、足の領域に対応しているとみなされ得る。中足部は、舟状骨、立方骨および楔状骨を含み得る。その意味において、矯正器具の中足部領域は、舟状骨および立方骨の後方と中足骨の基部との間に延びる、または言い換えると、横足根関節と足根中足関節との間に延びる、足の領域に対応しているとみなされ得る。中足部領域は、さらに、前方中足部小領域および後方中足部小領域の2つの小領域からなるとみなされ得る。前方中足部小領域は、舟状骨と楔状骨との接合部(立方骨を横断すると仮定する)と、足根中足関節と、の間に延びる足の領域に対応しているとみなされ得る。矯正器具の後方中足部小領域は、横足根関節と、舟状骨と楔状骨との接合部(ここでも同様に、仮定する)と、の間に延びる足の領域に対応しているとみなされ得る。最後に、後足部は、距骨および踵骨を含み得る。その意味において、矯正器具の後足部領域は、踵骨の端部と舟状骨および立方骨との間に延びる、または言い換えると、横足根関節の後方に延びる、足の領域に対応しているとみなされ得る。
【0010】
人の足の形状および機能は、一般的に、横足弓、内側縦足弓、および外側縦足弓の3つの足弓によって定義される。概して、横足弓は、中足骨頭部に対応する線に沿って足を横断して延びる。内側縦足弓は、一般的に、第1中足骨頭部から踵または踵骨の中心までの足の線に沿って延び、一方で、外側縦足弓は、一般的に、第5中足骨頭部から、ここでも同様に、踵または踵骨の中心までの足の線に沿って延びる。したがって、それぞれ、使用者の足の内側縦足弓および外側縦足弓または内側縦足弓および外側縦足弓の一部に対応する位置に配置される、隆起内側アーチ構造物および隆起外側アーチ構造物は、一般的に、矯正器具に設置され、それぞれ、足の第1中足骨頭部から踵または踵骨の中心までに対応する線に沿って、もしくは足の第5中足骨頭部から、ここでも同様に、踵または踵骨の中心までに対応する線に沿って、またはその一部に延びる。
【0011】
その意味において、内側縦足弓および外側縦足弓は、一般的に、中足部領域の内側縁部および外側縁部を通って延び、それらを画定する。したがって、「扁平」中足部区画は、一般的に、矯正器具の基部が、足と通常の靴または他の履物のインソールとの接触と何ら異ならず、特定の支持、圧力、または刺激を与える手法で使用者の足の対応する中足部領域と接触することを意図した構造を含まないことを意味する。言い換えると、中足部区画には構造物がなく、通常の靴のインソールと全く同様に、無構造である。好ましい実施形態では、扁平中足部区画は、使用者の足の後方中足部小領域に対応する位置に配置される。より好ましい実施形態では、扁平中足部区画は、使用者の足の中足部領域、すなわち、後方中足部小領域および前方中足部小領域の両方に対応する位置に配置される。
【0012】
本発明は、特に運動中の足の動作を改善するために、使用者の足の様々な位置において、支持、圧力、および/または刺激をもたらす、または場合によってはそれらがない、矯正器具を開発するための、足の筋肉と骨の動作、および筋神経系の考察に起因する。本発明者は、扁平中足部区画と内側アーチ構造物および外側アーチ構造物との組合せが、ある利点、特に運動中の足の機能的位置における、およびとりわけ歩行周期への改善をもたらすという驚くべき結果を偶然に発見した。改善は、特に、内側足弓および外側足弓に沿って支持を提供し、歩行周期の荷重応答期および立脚中期の間の過剰な回内または回外に対して足を配置し、安定させることにより達成される。これは、アライメントを提供し、効率的な踵持ち上げおよび立脚終期のための準備において、例えば、あるプレテンションを有して、足底腱膜を支援して縦足弓を維持する。アーチ支持体はまた、使用者の体重が足を通して前方へ転回し、正しい重量配分のために、踵持ち上げ段階中に母趾へ向かって方向づけられるのを支援するように機能し、より高い効率性およびタイミングの改善のために、巻き上げ作用中に、中足骨頭部の周りの足底筋膜の張りを促進する。扁平中足部区画により、または中足部構造がないことにより、巻き上げ作用中に足底筋膜の圧力または刺激に対して保護されるので、さらに支援される。これは、特に、矯正器具がしばしば、自然な回外を支援するための、または足底筋膜にかかる圧力を低減するための中足部構造を必要とすると広く認められている、当技術分野における従来の考えに反する。本発明者は、中足部構造が必要ではなく、多くの場合において、不快感を引き起こし、足底筋膜の自然な張りを妨げ、それによって、そうでなければアーチ構造物によって助長される、巻き上げ作用の効率性を低下させるので、有害であり得ることを発見した。
【0013】
したがって、本明細書に記載される構造物および区画の一般的な目的は、特に運動中の使用者の足の動作を改善する、またはそれらの正常な動作を最適化するために、使用者の足の様々な位置で、支持、圧力および/もしくは刺激を提供する(または場合によっては、それらがない)ことであるとみなされ得る。
【0014】
好ましい実施形態では、内側アーチ構造物は、使用者の足の踵骨の内側の前方に対応しかつ第1中足骨ゾーンへ延びる位置に配置される。より好ましくは、内側アーチ構造物は、第1中足骨基部へ延びる、すなわち、使用者の足の踵骨の内側の前方に対応しかつ第1中足骨基部へ延びる位置に配置される。
【0015】
また、好ましい実施形態では、外側アーチ構造物が、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応しかつ第5中足骨頭部または第5中足骨基部へ延びる位置に配置される。
【0016】
さらに好ましくは、外側アーチ構造物は、第1の部分構造物および第2の部分構造物を含み、第1の部分構造物が、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応しかつ第5中足骨基部へ延びる位置に配置され、第2の部分構造物が、使用者の足の第5中足骨ゾーンに対応しかつ第5中足骨頭部へ延びる位置に配置される。
【0017】
より好ましい実施形態では、内側アーチ構造物は、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応しかつ第5中足骨基部へ延びる位置に配置される。
【0018】
好ましい実施形態では、隆起構造物の高さは、約2mm~約40mm、好ましくは約10mm~約35mm、およびさらに好ましくは約15mm~約30mmである。概して、隆起構造物は、好ましくは、傾斜させられ、少なくとも内側アーチ構造物および外側アーチ構造物が関係する限り、それぞれ、矯正器具の内側外縁および外側外縁に向かって上方に傾斜する。好ましくは、隆起構造物は、矯正器具の各外縁の周辺に略半円弧を含み、略半円弧の周りで隆起構造物の高さが最も高くなる。例えば、好ましくは、内側アーチ構造物は2つの略半円弧を含み、第1の略半円弧が使用者の足の踵骨の内側の前方に対応する位置に配置され、第2の略半円弧が使用者の足の舟状骨に対応する位置に配置される。2つの略半円弧の各位置が近接する場合、それらは結合され得る。
【0019】
あるいは、およびまた好ましくは、内側アーチ構造物は1つの略半円弧を含み、第1の略半円弧が使用者の足の踵骨の内側の前方に対応する位置に配置される。同様に、外側アーチ構造物は、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応する位置に配置される略半円弧を含む。
【0020】
含まれる場合に、円弧は2mmから40mmまで、例えば、2mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mmもしくは40mmの直径、またはそれらの間のいずれかの直径を有し得る。好ましくは、それを中心に隆起構造物の高さが最も高くなる略半円弧は、前述の約2mm~約40mmであり得る。
【0021】
矯正器具は、隆起内側アーチ構造物および隆起外側アーチ構造物ならびに扁平中足部区画が保持されるならば、いくつかの他の構造物を含んでもよい。例えば、矯正器具は、本出願人の特許文献2に記載される、踵部構造物(例えば、勾配踵部)、屈曲ゾーン、第1中足骨凹部および/または溝構造物(すなわち、それぞれ「ゾーン7」、「ゾーン8」、「ゾーン4」、「ゾーン6」)を含み得る。本出願人の特許文献2の関連開示は、これによって参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
一実施形態では、矯正器具は、使用者の足の中足骨または中足骨の一部に対応する位置で、矯正器具の上面に配置される隆起中足骨パッドをさらに含む。一実施形態では、中足骨パッドは、前方中足部小領域または前方中足部小領域の一部へ延び得る、すなわち、扁平中足部区画が使用者の足の後方中足部小領域に対応する位置に配置される場合がある。この実施形態では、存在する場合に、好ましくは、中足骨パッドは使用者の足の少なくとも第2中足骨ゾーン、第3中足骨ゾーンおよび第4中足骨ゾーン、ならびに好ましくは中足骨頭部に対応する位置に配置され、使用者の足の少なくとも外側楔状骨の頭部へ延びる、すなわち、後ろ向きにほぼ楔形である。好ましい実施形態では、扁平中足部区画が、使用者の足の中足部領域に対応する位置に配置される場合に、中足骨パッドは、存在する場合に、中足部領域へ延びず、1つまたは複数の中足骨基部までのみ延びる。
【0023】
矯正器具は、足の母趾球を受容するための、第1中足骨頭部に対応する位置で矯正器具の上面に配置される第1中足骨凹部をさらに含み得る。存在する場合に、第1中足骨凹部は、好ましくは、一般的に25mm~50mmの、足の母趾球の直径に対応する直径を有する、略円形または楕円形であり、好ましくは、深さがしばしば約2mm~5mmと比較的に浅い。
【0024】
矯正器具は、使用者の足の踵骨の後方に対応する位置で、矯正器具の上面に配置される隆起踵部構造物をさらに含み得る。存在する場合に、好ましくは、踵部構造物は、使用者の足の踵骨の内側の前方に対応しかつ使用者の足の踵骨の後方を通って立方骨の外側の後方までの周囲に延びる位置に配置される。存在する場合に、好ましくは、踵部構造物は、使用者の足の踵が合わさり得る「カップ」を形成するために、使用者の足の踵骨の中心から矯正器具の外縁に向かう方向で、上方に傾斜させられる。本明細書に記載の内側アーチ構造物および外側アーチ構造物の好ましい実施形態では、好ましくは、踵部構造物は、存在する場合に、内側アーチ構造物および外側アーチ構造物と接して一体化する。踵部構造物の高さは、約2mm~約40mm、好ましくは約5mm~約25mm、およびさらに好ましくは約10mm~約15mmであり得る。
【0025】
矯正器具は、使用者の足の第1中足骨頭部に対応しかつ第1末節骨の端部へ延びる位置で、矯正器具の上面に配置される隆起前足部構造物をさらに含み得る。存在する場合に、隆起前足部構造物の高さは、内側アーチ構造物および外側アーチ構造物未満、好ましくは約0.5mm~5mm、好ましくは約1mm~2mmであり得る。
【0026】
矯正器具は、使用者の足の第5中足骨頭部に対応しかつ第5末節骨の端部へ延びる位置で、矯正器具の上面に配置される陥没前足部構造物をさらに含み得る。存在する場合に、陥没は、約0.5mm~5mm、好ましくは1mm~3mm、およびさらに好ましくは約1mmまたは2mmの高低差によるものであり得る。
【0027】
好ましい一実施形態では、矯正器具は、前述のそれぞれが矯正器具の上面に配置される、少なくとも第1中足骨凹部、隆起踵部構造物、および陥没前足部構造物をさらに含む。
【0028】
矯正器具は、それぞれが使用者の足の前足部領域または前足部領域の一部に対応する位置で、矯正器具の上面に配置される、外反ウエッジおよび/または内反ウエッジをさらに含み得る。外反ウエッジは、典型的には、足の外側へ上方に勾配づけられ、一方で、内反ウエッジは、典型的には、足の内側へ上方に勾配づけられる。存在する場合に、外反ウエッジおよび内反ウエッジは、約2mm~約15mm、好ましくは約5mm~約10mmの高さで勾配づけられ得、約3度~約15度、好ましくは約5度~約10度の角度で勾配づけられ得る。
【0029】
別の好ましい実施形態では、矯正器具は、前述のそれぞれが使用者の足の前足部領域において矯正器具の上面に配置される、少なくとも外反ウエッジまたは内反ウエッジ、および第1中足骨凹部をさらに含む。
【0030】
特定の利益は、外反ウエッジおよび/または内反ウエッジ、ならびに第1中足骨凹部のこの組合せに起因している。本発明者は、これらの特徴の組合せによって、運動中の足の機能的位置における、および特に歩行周期への改善がもたらされることを発見した。改善は、特に、外反ウエッジまたは内反ウエッジが、そのいずれかまたは両方が所与の患者に必要である場合に、使用者の体重がつま先離地のために母趾へと、歩行周期の踵持ち上げおよび立脚終期の間に足を通して前方へ転回するときに、使用者の体重を足の最適な荷重負荷部分にわたって方向づけるように、それぞれ、外側前足部領域または内側前足部領域のいずれかに沿った支持を提供することによって達成される。第1中足骨凹部により、中足骨頭部の周辺で足底筋膜が張り、足の母趾球が膨らむときに、それを受容するためのエリアが提供されるので、さらに支援される。これは、効率的なつま先離地のための第1中足骨頭部および母趾のアライメントを支援し、膨らんだ母趾球が踵持ち上げ段階中に前足部の内側を持ち上げ、外反ウエッジの場合には、外反ウエッジに反して作用し、内反ウエッジの場合には、ウエッジと共に作用して、使用者の体重をアライメントから外れて方向づけるおそれを防ぐ。
【0031】
したがって、別の態様では、本発明は、足用の矯正器具であって、上面および下面を有し、
(a)使用者の足の前足部領域もしくは前足部領域の一部に対応する位置で矯正器具の上面に配置され、足の外側へ上方に勾配づけられる外反ウエッジ、および/または、使用者の足の前足部領域もしくは前足部領域の一部に対応する位置で矯正器具の上面に配置され、足の内側へ上方に勾配づけられる内反ウエッジ、ならびに
(b)足の母趾球を受容するための、第1中足骨頭部に対応する位置で矯正器具の上面に配置される第1中足骨凹部
をさらに含む、矯正器具を提供する。
【0032】
外反ウエッジ、内反ウエッジおよび第1中足骨凹部は前述のものであり得る。矯正器具は、隆起内側アーチ支持体および/もしくは隆起外側アーチ支持体、ならびに/または扁平中足部区画を含む、適用可能な前述の他の構造物のうちのいずれか1つまたは複数をさらに含み得る。好ましくは、少なくとも扁平中足部区画が含まれる。
【0033】
本発明の矯正器具は、足部障害を治療することにおいて特に有用である。したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の矯正器具を使用者へ処方するステップを含む、足部障害を治療するための方法を提供する。当然ながら、これはまた、本明細書に記載の矯正器具を使用するステップを含む、足部障害を治療するための方法を含む。本発明はまた、使用者の歩行周期、ならびに特に巻き上げ作用によって促進される踵持ち上げおよび立脚終期を矯正するための方法を含み得る。
【0034】
本発明の矯正器具は、足部障害の治療のためだけでなく、運動中の足の正常な機能を最適化または改善するためにも、すなわち、特定の処方可能なおよび公知の治療可能な障害がない場合であっても、有用である。例えば、本発明は、舞踏分野、例えばバレエに関して特に有用である。本発明の矯正器具はまた、他の活動、例えばスポーツにおいても有用であり、例えば競技者によって使用され得る。したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の矯正器具を使用するステップを含む、運動中の足の正常な機能を最適化するための方法に関する。これは、使用者の歩行周期、ならびに特に巻き上げ作用によって促進される踵持ち上げおよび立脚終期を最適化または改善するための方法を含み得る。
【0035】
ある用途のために、例えば舞踏分野、および特にバレエにおいて使用される場合に、好ましくは、矯正器具は足の長さの半分未満である。したがって、別の態様では、本発明は、上面および下面を有する足用の矯正器具であって、足の長さの半分未満であり、
(a)使用者の足の内側縦足弓または内側縦足弓の一部に対応する位置で、矯正器具の上面に配置される隆起内側アーチ構造物、
(b)使用者の足の外側縦足弓または外側縦足弓の一部に対応する位置で、矯正器具の上面に配置される隆起外側アーチ構造物、ならびに
(c)使用者の足の中足部領域または中足部領域の一部に対応する位置で、内側アーチ構造物および外側アーチ構造物の間で、矯正器具の上面に配置される扁平中足部区画
を含む、矯正器具を提供する。
【0036】
足の前足部領域は、細長い中足骨を含み、中足部領域および後足部領域より比較的に長く、中足部領域および後足部領域を合わせた長さとほぼ同じである。したがって、足の中間は、一般的に、足根中足関節に対応する、または代替的に第1中足骨基部からの足の横断線上にわたると定義される。その意味において、足の長さ未満である矯正器具は、一般的に、足の中間の後方の領域に対応するとみなされ得る。
【0037】
この態様では、内側構造物および外側構造物ならびに扁平中足部区画は、足の長さの半分未満である矯正器具に適用可能な、それらの好ましい実施形態におけるものを含む、本明細書に記載のものであり得る。
【0038】
本明細書において、用語「含む(comprises)」およびその変形は、他の整数、構成要素またはステップの存在を除外することを意図しない。
【0039】
本明細書において、本明細書におけるいずれかの先行技術の参照は、この先行技術がオーストラリアもしくは他のいずれかの管轄区域における技術常識の一部を形成すること、またはこの先行技術が当業者によって組み合わされることを合理的に期待され得ることを、承認または何らかの形で示唆するものではなく、そのように捉えられるべきではない。
【0040】
本発明がここで、添付の実施例および図面を参照してより詳細に記載される。しかしながら、以下の説明は単なる例示であり、上記の本発明の一般性を何らかに制限すると捉えられるべきではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】足の骨の描写である。
図2】内側アーチ構造物および外側アーチ構造物を含み、中足部構造がなく、さらに他の特徴を含む、本発明の矯正器具の上面図である。
図3】内側アーチ構造物および外側アーチ構造物を含み、中足部構造がなく、さらに他の特徴を含む、本発明の矯正器具の上方からの等角図である。
図4】内側アーチ構造物および外側アーチ構造物を含み、中足部構造がなく、さらに他の特徴を含む、本発明の矯正器具のつま先側からの図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の矯正器具が、図2に示される。矯正器具10は、一般的に、使用者の足に対応する足の形状をしており、例えば、使用者の靴に配置するためのものである。矯正器具は、上面14および下面(下側、図示せず)を有する基部を含む。
【0043】
矯正器具10の上面には、使用者の足の内側縦足弓または内側縦足弓の一部に対応する位置に配置される隆起内側アーチ構造物16が設置される。一般的に理解されるように、隆起内側アーチ構造物は、一般的に、矯正器具に設置され、使用者の足の内側足弓に対応する線に沿って延び、足の第1中足骨頭部と踵または踵骨の中心との間に及ぶ。この実施形態では、内側アーチ構造物16は、使用者の足の踵骨の内側の前方に対応しかつ第1中足骨基部へ延びる位置に配置される。内側アーチ構造物は、矯正器具の基部から矯正器具の内側外縁26に向かって上方に傾斜させられ、隆起構造物が最も高くなる外縁周りに半円弧を含み、第1の半円弧28が使用者の足の踵骨の内側の前方に対応する位置に配置され、第2の半円弧30が使用者の足の舟状骨に対応する位置に配置される。近接する場合、半円弧は結合される。基部から頂部への第1の半円弧28における隆起内側アーチ構造物16の高さは、約25mmである。
【0044】
また、矯正器具10の上面には、使用者の足の外側縦足弓または外側縦足弓の一部に対応する位置に配置される隆起外側アーチ構造物18が設置される。一般的に理解されるように、隆起外側アーチ構造物は、一般的に、矯正器具に設置され、使用者の足の外側足弓に対応する線に沿って延び、足の第5中足骨頭部と踵または踵骨の中心との間に及ぶ。この実施形態では、外側アーチ構造物は、第1の部分構造物22および第2の部分構造物24を含む。第1の部分構造物22は、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応しかつ第5中足骨基部へ延びる位置に配置される。第2の部分構造物24は、使用者の足の第5中足骨ゾーンに対応しかつ第5中足骨頭部へ延びる位置に配置される。他の好ましい実施形態において、第1の部分構造物22のみが含まれ得る。外側アーチ構造物は、矯正器具の基部12から外側外縁32に向かって上方に傾斜させられ、隆起構造物が最も高くなる外縁周りに、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応する位置に配置される半円弧34を含む。基部から頂部への半円弧34における隆起外側アーチ構造物18の高さは、約15mmである。
【0045】
矯正器具10はまた、内側アーチ構造物16および外側アーチ構造物18の間で、かつ使用者の足の中足部領域または中足部領域の一部に対応する位置で線44および45の間のエリアで上面に配置される扁平中足部区画20を含む。すなわち、この領域において矯正器具の基部に設置される構造物はない。
【0046】
この実施形態はまた、矯正器具10の上面に、使用者の足の踵骨の内側の前方に対応しかつ使用者の足の踵骨の後方を通って立方骨の外側の後方までの周囲に延びる位置に配置される隆起踵部構造物36を含む。踵部構造物は、使用者の足の踵が合わさり得る「カップ」を形成するために、使用者の足の踵骨の中心から矯正器具の外縁に向かう方向で、上方に傾斜させられる。踵部構造物は、内側アーチ構造物16および外側アーチ構造物18の両方と接して一体化する。踵部構造物の高さは、均一に約10mmである。
【0047】
この実施形態はまた、矯正器具10の上面に、使用者の足の第1中足骨頭部に対応しかつ第1末節骨の端部へ延びる位置に配置される隆起前足部構造物38を含む。高さは約4mmである。また、使用者の足の第5中足骨頭部に対応しかつ第5末節骨の端部へ延びる位置に配置される陥没前足部構造物40が含まれる。高さは約1mm~2mmである。また、足の母趾球を受容するための、第1中足骨頭部に対応する位置で矯正器具の上面に配置される第1中足骨凹部42が含まれる。深さは約2mmである。
【0048】
例えば、矯正器具10が線44(使用者の足の足根中足関節と大まかに対応する位置に配置される)の周辺で途絶える場合に、足の半分の実施形態が適用可能であることが理解される。
【0049】
図3は、矯正器具10の同じ実施形態を示す。この視点から、隆起内側アーチ構造物の高さは明白であり、第1の半円弧28(使用者の足の踵骨の内側の前方に対応する位置に配置される)および第2の半円弧30(使用者の足の舟状骨に対応する位置に配置される)、ならびにそれらの傾斜させられ結合された形状によって指示される。同様に、隆起外側アーチ構造物の高さは明らかであり、第1の部分構造物22(使用者の足の立方骨外側の後方に対応しかつ第5中足骨基部へ延びる位置に配置される)および第2の部分構造物24(使用者の足の第5中足骨ゾーンに対応しかつ第5中足骨頭部へ延びる位置に配置される)によって指示される。半円弧34もまた指示され、使用者の足の立方骨の外側の後方に対応する。隆起踵部構造物36(使用者の足の踵骨の内側の前方に対応しかつ使用者の足の踵骨の後方を通って立方骨の外側の後方までの周囲に延びる位置に配置される)はまた、それによる使用者の足の踵が合わさり得る「カップ」の形成を伴うことがわかる。また、扁平中足部区画20(内側アーチ構造物および外側アーチ構造物の間ならびに線44および45の間の)、隆起前足部構造物38(使用者の足の第1中足骨頭部に対応しかつ第1末節骨の端部へ延びる位置に配置される)、陥没前足部構造物40(使用者の足の第5中足骨頭部に対応しかつ第5末節骨の端部へ延びる位置に配置される)、および第1中足骨凹部42(足の母趾球を受容するための、第1中足骨頭部に対応する位置で矯正器具の上面に配置される)が指示される。
【0050】
図4は、矯正器具10の同じ実施形態を示す。この視点から、矯正器具の上面に配置され(内側アーチ構造物および外側アーチ構造物の間ならびに線44および45の間で)、使用者の足の中足部領域または中足部領域の一部に対応する位置に配置される、扁平中足部区画20が明白である。すなわち、この領域において矯正器具の基部に設置される構造物がないことが確認できる。また、隆起踵部構造物36、隆起前足部構造物38、陥没前足部構造物40、および第1中足骨凹部42が指示される。
【0051】
とりわけ図4の視点から、外反ウエッジおよび内反ウエッジのうちの一方または両方がそれぞれ、使用者の足の前足部領域または前足部領域の一部に対応する位置で、矯正器具の上面に配置されることが認識されよう。代表的な外反ウエッジは、足の外側へ上方に勾配づけられると想定され、一方で、内反ウエッジは、足の内側へ上方に勾配づけられると想定され、約10mmの高さへ約6度の角度で勾配づけられる。とりわけ第1中足骨凹部42を伴う場合に、陥没前足部構造物40の領域の周辺に配置される、内反ウエッジが特に好ましい。
【0052】
臨床研究
図において具体化され、本明細書に記載される矯正器具10が、100人を超える患者が係わる臨床研究において民間で試験された。
【0053】
結果において、98%の患者が、患者が現在使用している器具より著しく高い度合の快適さを報告した。大部分の患者はまた、即座に不快感を報告することがほぼまたは全くなく、矯正器具が、Australian Podiatry Associationのガイドラインに提示されるように、長期間の使用にわたって徐々に慣らされる必要がないことを指示した。全ての患者はまた、歩行周期の間に動きのより高い自由度を経験したと報告し、これは姿勢の改善を伴った。機能的に関連する腰痛を患う試験グループの患者は全て、1~10の知覚の尺度で評価した場合に、その症状における80パーセントを超える軽減を経験したと報告した。同様に、股関節および膝関節痛を患う試験グループの患者は、1~10の知覚の尺度で、症状における約85パーセントの軽減を報告した。95%を超える患者はまた、足および踵の痛みの軽減を報告した。
【0054】
臨床研究の結果は、矯正器具の上面に配置される隆起内側アーチ構造物および隆起外側アーチ構造物、ならびに特にその間の扁平中足部区画を有する、矯正器具の有益性を強調する。多くの患者について、中足部領域における、および特に後方中足部領域における構造物が、巻き上げ作用の乱れを引き起こし、運動中の足を通した力の伝達を阻害し、それにより、不快感、痛み、および悪い姿勢がもたらされ得ることが明らかとなった。本発明の矯正器具は、この巻き上げ作用の乱れおよび力の伝達の阻害を回避し、歩行周期の間の最適な力の伝達および機能的効率性を可能にする。
【0055】
最後に、様々な変更、改変および/または追加が、本明細書に概説される本発明の要旨から逸脱することなく行い得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0056】
10 矯正器具
12 基部
14 上面
16 隆起内側アーチ構造物
18 隆起外側アーチ構造物
20 扁平中足部区画
22 第1の部分構造物
24 第2の部分構造物
26 内側外縁
28 第1の半円弧
30 第2の半円弧
32 外側外縁
34 半円弧
36 隆起踵部構造物
38 隆起前足部構造物
40 陥没前足部構造物
42 第1中足骨凹部
44 線
45 線
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】