(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080897
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】レンズ収容部材
(51)【国際特許分類】
B23K 26/142 20140101AFI20220523BHJP
【FI】
B23K26/142
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035958
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2020191396の分割
【原出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】519063060
【氏名又は名称】一般社団法人日本パルスレーザー振興協会
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】北村 隆
(72)【発明者】
【氏名】大脇 桂
(72)【発明者】
【氏名】細田 武
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AC01
4E168CB03
4E168DA02
4E168DA04
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA25
4E168DA26
4E168DA28
4E168DA47
4E168EA15
4E168EA16
4E168EA17
4E168FA00
4E168FB03
4E168FC01
4E168FC04
4E168JA02
4E168JA03
4E168JA04
4E168JA06
4E168JA18
4E168JA21
4E168KA17
(57)【要約】
【課題】光学部品へのヒュームの付着をよりいっそう抑えるとともに、光学部品の温度上昇を軽減し、光学部品のひずみ、変形、及び/又は破損を防ぐことが可能なレンズ収容部材を提供する。
【解決手段】本発明のレンズ収容部材3は、レーザLの照射に用いられるレンズFを収容可能な本体部31を備え、頂面31Tから底面31Bに向けて本体部31を介してレーザLを通過可能なレンズ収容部材3であって、本体部31と底面31Bと左側面31Lと右側面31Rとによって画定される空間Cに向けて第1気体G1を導入可能な気体導入部32をさらに備え、底面31Bには底面側開口O1が設けられており、空間Cから底面側開口O1を通じてレンズ収容部材3の外部に向けて第1気体G1を通過可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザの照射に用いられるレンズを収容可能なレンズ収容部を備え、頂面部から底面部に向けて前記レンズ収容部を介して前記レーザを通過可能なレンズ収容部材であって、
前記レンズ収容部と前記底面部と側面部とによって画定される空間に向けて気体を導入可能な気体導入部をさらに備え、
前記底面部には開口が設けられており、前記空間から前記開口を通じて前記レンズ収容部材の外部に向けて前記気体を通過可能である、レンズ収容部材。
【請求項2】
前記空間に導入される前記気体の温度は、前記レーザが照射されるときの前記空間の温度よりも低い、請求項1に記載のレンズ収容部材。
【請求項3】
前記気体が不活性ガスである、請求項1又は2に記載のレンズ収容部材。
【請求項4】
前記底面部の近傍に設けられ、前記気体の流れ方向と略直交する方向に気体を送出可能な気体送出部をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ収容部材。
【請求項5】
前記頂面部においてレーザ照射装置を取り付け可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ収容部材。
【請求項6】
前記底面部は、前記レーザの照射対象において反射された反射レーザを分散可能な構造である、請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズ収容部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ収容部材に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズその他の光学部品を介してレーザを照射し、対象物をレーザ加工することが知られている。その際、対象物から蒸発した残渣がヒューム(粉じん)となり、レンズその他の光学部品に付着する場合がある。光学部品にヒュームが付着すると、付着したヒュームがレーザを吸収し、レーザの照射に悪影響を及ぼし得る。したがって、光学部品へのヒューム付着防止に関する要望がある。
【0003】
特許文献1は、光学部品へのヒューム付着を防止する方法を提案する。この方法は、圧電素子が搭載され、前記圧電素子の平面視で、前記圧電素子を囲むように接合部が配置されているベース基板、蓋体、エネルギービーム源、及びエネルギービーム透過部、を用意する工程と、前記ベース基板と前記蓋体との間に前記圧電素子を収容するように、前記蓋体を前記接合部に重ねて配置する工程と、前記蓋体の前記接合部と重なっている部分に、前記エネルギービーム透過部を透過したエネルギービームを照射して、前記ベース基板と前記蓋体とを溶接する工程と、を含む。そして、前記用意する工程では、前記エネルギービーム透過部が集光レンズであることを特徴とし、前記溶接する工程では、前記蓋体が大気圧より気圧が高い雰囲気内に配置されていることを特徴とする。特許文献1に記載の方法によれば、大気圧より気圧の高い雰囲気においてヒューム等を形成する気体分子の飛散する距離である平均自由行程を短くし、光学部品であるエネルギービーム透過部にヒュームが付着する量を低減し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によって短くし得る平均自由行程は、気体分子等の粒子が散乱源による散乱で妨害されることなく進むことのできる距離である自由行程の平均値である。したがって、粒子の一部は、平均自由行程を超える距離を進み得る。特許文献1に記載の技術では、ヒューム等を形成する気体分子の平均自由行程を短くし、光学部品にヒュームが付着する量を低減し得るものの、ヒューム等を形成する気体分子のうち、平均自由行程を超える距離を進んだ気体分子は、光学部品に到達し、ヒュームを形成して光学部品に付着し得る。したがって、特許文献1に記載の技術では、ヒューム等を形成する気体分子が光学部品に到達することを軽減し、光学部品へのヒュームの付着を抑えることについて、なお一層改善の余地がある。
【0006】
また、レーザの出力が高い場合及び/又はレーザの照射時間が長い場合には、光学部品の温度が上がり得る。光学部品の温度が上がると、熱により、光学部品のひずみ、変形、及び/又は破損を生じ得る。したがって、特許文献1に記載の技術では、光学部品の温度上昇を軽減し、光学部品のひずみ、変形、及び/又は破損を防ぐことについても改善の余地がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学部品へのヒュームの付着をよりいっそう抑えるとともに、光学部品の温度上昇を軽減し、光学部品のひずみ、変形及び/又は破損を防ぐことが可能なレンズ収容部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、レーザの照射に用いられるレンズを収容可能であり、頂面部から底面部に向けてレーザを通過可能なレンズ収容部と、気体を導入可能な気体導入部と、を備え、外部に向けて気体を通過可能である開口を底面部に設けることで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、レーザの照射に用いられるレンズを収容可能なレンズ収容部を備え、頂面部から底面部に向けて前記レンズ収容部を介して前記レーザを通過可能なレンズ収容部材であって、前記レンズ収容部と前記底面部と側面部とによって画定される空間に向けて気体を導入可能な気体導入部をさらに備え、前記底面部には開口が設けられており、前記空間から前記開口を通じて前記レンズ収容部材の外部に向けて前記気体を通過可能である、レンズ収容部材を提供する。
【0010】
レーザを対象物に照射する加工では、対象物から蒸発した残渣がヒューム(粉じん)となり、レンズその他の光学部品に付着する場合がある。光学部品にヒュームが付着すると、付着したヒュームがレーザを吸収し、レーザの照射に悪影響を及ぼし得る。
【0011】
第1の特徴に係る発明によれば、レンズをレンズ収容部に収容することにより、レンズにヒュームが付着することを抑え得る。
【0012】
ところで、頂面部から底面部に向けてレンズ収容部を介してレーザを通過可能であり、底面部に開口が設けられているため、レンズをレンズ収容部に収容した場合に、開口を介してレーザを対象物に照射し得る。そして、この開口が、レンズ収容部材の外部からレンズ収容部材の内部に画定された空間に向けてヒュームが侵入し、ヒュームがレンズに付着することの原因になり得る。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、内部に画定された空間に導入された気体は、該空間からレンズ収容部材の外部に向けて開口を通過する気体の流れとなる。この気体の流れにより、レンズ収容部材の外部において開口の近傍にあるヒュームは、開口から離れる方向に押される。これにより、開口の存在がレンズへのヒューム付着の原因になることを防ぎ得る。
【0014】
加えて、第1の特徴に係る発明によれば、収容したレンズへのヒュームの付着を抑えることにより、収容したレンズに付着したヒュームがレーザを吸収し、収容したレンズの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0015】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、光学部品へのヒュームの付着をよりいっそう抑えるとともに、光学部品の温度上昇を軽減し、光学部品のひずみ、変形、及び/又は破損を防ぐことが可能なレンズ収容部材を提供できる。
【0016】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記空間に導入される前記気体の温度は、前記レーザが照射されるときの前記空間の温度よりも低い、レンズ収容部材を提供する。
【0017】
第2の特徴に係る発明によれば、レーザが照射されるときの空間の温度を下げることができ、結果として、空間に隣接する収容したレンズの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0018】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、前記気体が不活性ガスである、レンズ収容部材を提供する。
【0019】
空気雰囲気等の酸素を含む雰囲気下でレーザを照射すると、レーザの照射に伴う高温によってレンズの付近にある可燃物が発火し得る。レンズの付近にある可燃物が発火すれば、レンズの温度が上昇し得る。
【0020】
第3の特徴に係る発明によれば、空間に導入した不活性ガスによって空間の酸素濃度が下がり、レーザの照射に伴う高温によって空間にある可燃物が発火することを防ぎ得る。したがって、可燃物の発火に伴う収容したレンズの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0021】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴から第3の特徴のいずれかに係る発明であって、前記底面部の近傍に設けられ、前記気体の流れ方向と略直交する方向に気体を送出可能な気体送出部をさらに備える、レンズ収容部材を提供する。
【0022】
第4の特徴に係る発明によれば、気体の流れに加えて、気体の流れ方向と略直交する方向(気体の流れ方向との間になす角が70度以上110度以下の角を含む方向)に送出される気体がヒュームを押すため、ヒュームが開口を通過して空間に入り、ヒュームがレンズに付着することを防ぎ得る。
【0023】
レンズ収容部材の外部において、開口を通過して照射されるレーザを吸収し得る位置にあるヒュームは、レーザを吸収し、レーザの照射に悪影響を及ぼし得る。底面部に設けられた開口を介してレーザを対象物に照射する場合、レーザ及び気体が空間の側から外部の側へ向かって開口を通過するため、開口を通過するレーザの方向と気体が流れる方向とは、開口の近傍において略同一の方向となり得る。そのため、レンズ収容部材外部において、レーザを吸収し得る位置のうち開口近傍の位置にあるヒュームが気体の流れによる力のみによって押されて移動する場合、該ヒュームの移動後の位置は、レーザを吸収し得る位置になり得る。したがって、レンズ収容部材の外部において、レーザを吸収し得る位置にあるヒュームを、レーザを吸収しない位置に移動させて、ヒュームがレーザの照射に及ぼす悪影響を軽減することについて、なお一層の改善の余地がある。
【0024】
第4の特徴に係る発明によれば、気体の流れ方向と略直交する方向に送出される気体は、開口を通過して照射されるレーザを吸収し得る位置にあるヒュームを、開口を通過するレーザの方向と略直交する方向に押し、レーザを吸収しない位置に移動させ得る。したがって、ヒュームがレーザの照射に及ぼす悪影響をよりいっそう軽減し得る。
【0025】
したがって、第4の特徴に係る発明によれば、光学部品へのヒュームの付着をよりいっそう抑えるとともに、光学部品の温度上昇を軽減し、光学部品のひずみ、変形、及び/又は破損を防ぐことが可能なレンズ収容部材を提供できる。
【0026】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明であって、前記頂面部においてレーザ照射装置を取り付け可能である、レンズ収容部材を提供する。
【0027】
レンズの焦点距離とレンズから対象物への距離とが一致する場合に、レーザの照射による加熱の効果が最大となる。また、レンズの焦点距離とレンズから照射対象への距離とが一致しない場合は、レーザの照射による加熱の効果は小さくなる。したがって、対象物までの距離及び/又は対象物の形状が異なれば、レーザの照射に適したレンズの焦点距離も異なり得る。そのため、対象物への距離及び/又は対象物の形状に応じてレンズを交換する要望がある。光学部品へのヒュームの付着を抑え、光学部品の温度上昇を軽減する手段とレンズとが一体に構成されている場合、レンズの交換に関する労力等が増し得る。したがって、レンズの交換に関する労力等を軽減するため、光学部品へのヒュームの付着を抑え、光学部品の温度上昇を軽減する手段をレンズに後付けすることに関する要望がある。特許文献1に記載の技術は、光学部品である集光レンズ及びエネルギービーム透過部を含む構成であり、光学部品へのヒュームの付着を抑え、光学部品の温度上昇を軽減する手段を既存の光学部品等に後付けすることについても、なお一層改善の余地がある。
【0028】
第5の特徴に係る発明によれば、レンズ収容部材にレーザ照射装置を取り付けできる。頂面部に取り付けられたレーザ照射装置は、開口が設けられた底面部と対向する頂面部の側に取り付けられる。これにより、頂面部から底面部に向けて開口を通過するレーザ、及び/又は、空間からレンズ収容部材の外部に向けて開口を通過する気体を妨げることがないよう、レーザ照射装置を取り付け得る。したがって、開口を通過するレーザ及び/又は気体を妨げることなく、レーザ照射装置にレンズ収容部材を後付けし得る。
【0029】
第6の特徴に係る発明は、第1から第5の特徴のいずれかに係る発明であって、前記底面部は、前記レーザの照射対象において反射された反射レーザを分散可能な構造である、レンズ収容部材を提供する。
【0030】
レーザの照射対象において反射された反射レーザがレンズ収容部材に向かうと、反射レーザによってレンズ収容部材の温度が上昇し得る。温度が上昇したレンズ収容部材は、レンズ収容部材からの輻射熱及び/又は熱伝導等によって収容したレンズを加熱し、収容したレンズの温度を上昇させ得る。
【0031】
第6の特徴に係る発明によれば、底面部によって反射レーザが分散され、反射レーザによるレンズ収容部材の温度上昇を軽減し得る。これにより、収容したレンズの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、光学部品へのヒュームの付着をよりいっそう抑えるとともに、光学部品の温度上昇を軽減し、光学部品のひずみ、変形、及び/又は破損を防ぐことが可能なレンズ収容部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態におけるレーザ照射装置1の概略正面図である。
【
図2】
図2は、レーザ照射装置1におけるレンズ収容部材3の拡大模式図であり、レンズ収容部材3の概略正面図である。
【
図3】
図3は、レンズ収容部材3の概略平面図である。
【
図4】
図4は、
図3におけるレンズ収容部材3のA-A概略断面図である。
【
図5】
図5は、レンズ収容部材3の概略底面図である。
【
図6】
図6は、
図5とは異なる他の一例に係るレンズ収容部材3の概略底面図である。
【
図7】
図7は、レンズ収容部材3の概略左側面図である。
【
図8】
図8は、レーザ照射装置1におけるノズル4の拡大模式図である。
【
図9】
図9は、
図8におけるノズル4のB-B概略部分断面図である。
【
図11】
図11は、レーザを照射するときにおけるレンズ収容部材3とノズル4との位置関係の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る移動式レーザ照射システムSの一例を示す概略正面図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る可搬式レーザ照射システムPの一例を示す概略正面図である。
【
図14】
図14は、レーザ照射装置1の使用方法の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0035】
<<レーザ照射装置1>>
図1は、本発明の実施形態におけるレーザ照射装置1の概略正面図である。レーザ照射装置1は、照射対象に向けてレーザを照射可能なレーザ照射部材2と、レンズを収容可能であり、レーザ照射部材2から照射されたレーザを、レンズを介して通過可能なレンズ収容部材3と、レーザの照射対象から蒸発した残渣であるヒューム(粉じん)を吸引可能なノズル4とを含んで構成される。
【0036】
レーザ照射装置1の重量は、特に限定されない。レーザ照射装置1の重量の下限は、1kg以上であることが好ましく、1.5kg以上であることがより好ましく、2kg以上であることがさらに好ましい。レーザ照射装置1の重量の下限を上述のとおり定めることにより、レーザを照射するときにおけるレーザ照射装置1の安定性を高め得る。
【0037】
レーザ照射装置1の重量の上限は、10kg以下であることが好ましく、8kg以下であることがより好ましく、6kg以下であることがさらに好ましい。レーザ照射装置1の重量の上限を上述のとおり定めることにより、レーザ照射装置1を手で保持することが容易となる。
【0038】
<レーザ照射部材2>
レーザ照射部材2は、レンズを介して照射対象にレーザを照射可能な装置であれば、特に限定されない。本実施形態において、レーザ照射部材2は、利用者がレーザ照射部材2を保持可能な保持部21と、利用者がレーザの照射に関する操作を実行可能な操作部22と、操作部22の操作に応じて外部のレーザ供給部からレーザを伝送可能な伝送部23と、伝送部23から伝送されたレーザを照射対象に向けて照射可能な照射部24とを備える。必須の態様ではないが、レーザ照射部材2は、レーザの照射に用いるレンズを交換する操作手段を提供可能なレンズ交換操作部25を備えることが好ましい。レーザ照射部材2がレンズ交換操作部25を備えることにより、レーザ照射部材2の利用者は、レンズ交換操作部25が提供する操作手段を介してレーザの照射に用いるレンズを交換し得る。
【0039】
〔保持部21〕
必須の態様ではないが、レーザ照射部材2は、レーザ照射部材2を保持する手段を利用者に提供する保持部21を備えることが好ましい。レーザ照射部材2がレーザ照射部材2を保持する手段を利用者に提供する保持部21を備えることにより、利用者は、保持部21を介してレーザ照射部材2を保持して移動させ、照射対象にレーザを照射し得る。これにより、例えば、レーザ照射部材2を保持する利用者は、レーザの照射点が照射対象上にあるようにレーザ照射部材2を移動させ、照射対象にレーザを照射し得る。
【0040】
〔操作部22〕
必須の態様ではないが、レーザ照射部材2は、レーザの照射に関する操作手段を提供可能な操作部22を備えることが好ましい。レーザ照射部材2がレーザの照射に関する操作手段を提供可能な操作部22を備えることにより、レーザ照射部材2の利用者は、操作部22が提供する操作手段を介してレーザの照射に関する操作を行い得る。
【0041】
レーザの照射に関する操作手段は、特に限定されず、例えば、切替えスイッチ、トグルスイッチ、スライドスイッチ、回転スイッチ、レバースイッチ、鍵付スイッチ、フットスイッチ、及び電子スイッチ等によって例示される従来技術のスイッチを用いる操作手段及び/又はタッチパネルを用いる操作手段等でよい。操作手段がスイッチを用いる操作手段を有する場合、スイッチの数は、特に限定されず、1以上の任意の数のスイッチを含んでよい。
【0042】
操作部22が提供する操作は、レーザの照射に関する操作であれば特に限定されず、例えば、レーザを照射する照射状態とレーザを照射しない非照射状態との間の切替えを行う操作、レーザの照射量を変更する操作、レーザの照射に用いられるレンズを交換する操作、レーザの照射を停止する操作、及び/又はレーザの照射位置に関する操作等が挙げられる。レーザの照射位置に関する操作は、特に限定されない。レーザの照射点が焦点平面上を直線運動可能であるように構成されている場合に、レーザの照射位置に関する操作は、レーザの照射点が焦点平面上を運動する経路(照射パターンとも称する。)を変更する操作を含んでもよい。
【0043】
操作手段がタッチパネルを用いる操作手段を有する場合、レーザを照射する照射状態であるか否かに関する情報、レーザの照射量、レーザの照射パターン、レーザの照射を開始してからの経過時間、レーザ照射装置1に供給される電圧、レーザ照射装置1が消費する電力、レーザ照射装置1に関する温度、レーザ照射装置1の異常・故障に関する情報、反射レーザの量・強度、及びレーザの照射に用いられるレンズ等によって例示されるレーザの照射に関する情報をタッチパネルに表示可能であることが好ましい。レーザの照射に関する情報をタッチパネルに表示可能であることにより、レーザ照射部材2の利用者は、レーザの照射に関する情報を把握し得る。
【0044】
照射部24がレーザの照射位置を指し示す照射位置指示部(後述)を含み、操作部22が提供する操作がレーザを照射する照射状態とレーザを照射しない非照射状態との間の切替えを行う操作を含む場合、操作部22が提供するレーザを照射する照射状態とレーザを照射しない非照射状態との間の切替えを行う操作に関する操作手段は、被照射状態から照射位置を指し示す照射位置指示状態に切り替える第1の切替え操作と、照射位置指示状態から照射状態に切り替える第2の切替え操作と、を含むことが好ましい。第1及び第2の切替え操作を含むことにより、レーザ照射装置1の利用者は、第1の切替え操作によってレーザの照射位置が指し示された状態で第2の切替え操作を行ってレーザの照射を開始し得る。したがって、利用者は、照射位置指示部によって指し示されたレーザの照射位置を用いて、照射対象へのレーザ照射をより確実に行い得る。
【0045】
〔伝送部23〕
伝送部23は、レーザ照射部材2と別体に構成されたレーザ供給部からレーザを伝送可能に構成されていれば特に限定されず、例えば、レーザを伝送可能な光ファイバを含む伝送部23でよい。
【0046】
必須の態様ではないが、伝送部23は、照射部24を冷却可能な冷却材を供給可能に構成されていることが好ましい。伝送部23が照射部24を冷却可能な冷却材を供給可能に構成されていることにより、照射部24の温度上昇を軽減し得る。これにより、照射部24の近傍に配置されたレンズの温度上昇を軽減し、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。また、照射部24がミラーを含む場合、伝送部23が照射部24を冷却可能な冷却材を供給可能に構成されていることにより、ミラーの温度上昇を軽減し、熱によるミラーの性能低下、変形、及び/又は破損等を防ぎ得る。冷却材は、特に限定されず、例えば、レーザを照射する場合における照射部24の温度より低い温度の気体(例えば、常温又は常温より低い温度の空気や、常温又は常温より低い温度の乾燥空気)及び/又は液体(例えば、常温又は常温より低い温度の水や、常温又は常温より低い温度の精製水)等でよい。冷却材を供給可能にする手段は、特に限定されず、パイプ、ホース及び管によって例示される従来技術の冷却材を供給可能にする手段でよい。
【0047】
必須の態様ではないが、伝送部23は、照射部24に電力を供給可能に構成されていることが好ましい。伝送部23が照射部24に電力を供給可能に構成されていることにより、例えば、照射部24が回転運動可能に構成されたミラーを含む場合、ミラーを回転させるモータ等に電力を供給し得る。伝送部23が照射部24に電力を供給する手段は、特に限定されず、例えば、電源から供給される電力を伝送する電線によって電力を供給する手段等でよい。
【0048】
必須の態様ではないが、伝送部23は、後述する気体導入部32(
図2参照)に第1気体G1を供給可能に構成されていることが好ましい。伝送部23が気体導入部32に第1気体G1を供給可能に構成されていることについては、後に行う気体導入部32に関する説明において、より詳細に説明する。
【0049】
必須の態様ではないが、伝送部23は、後述する気体送出部33(
図2参照)に第2気体G2を供給可能に構成されていることが好ましい。伝送部23が気体送出部33に第2気体G2を供給可能に構成されていることについては、後に行う気体送出部33に関する説明において、より詳細に説明する。
【0050】
伝送部23の全長は、特に限定されないが、100メートル以下であることが好ましく、80メートル以下であることがより好ましく、60メートル以下であることがさらに好ましい。伝送部23の全長の上限を上述のとおり定めることにより、伝送部23を介して伝送されるレーザの減衰を防ぎ得る。
【0051】
〔照射部24〕
照射部24は、レンズを介してレーザを照射可能であれば特に限定されず、従来技術の各種のレーザを照射する部材でよい。
【0052】
照射部24は、レーザ照射部材2と別体に構成されたレーザ供給部から伝送されたレーザを照射可能に構成された部材を含むことが好ましい。照射部24がレーザ照射部材2と別体に構成されたレーザ供給部から伝送されたレーザを照射可能に構成された部材であることにより、レーザを供給するレーザ発振器等を含めることなくレーザ照射部材2を構成できる。これにより、例えば、利用者が手で持って用いる形態のレーザ照射部材2を構成する場合等のレーザ照射部材2の大きさ及び/又は重量に制限がある場合であっても、比較的大型のレーザ発振器等を必要とする大出力のレーザを照射可能であるよう、レーザ照射部材2を構成し得る。
【0053】
[ミラー]
レンズ収容部材3に収容されるレンズがfθレンズである場合、照射部24は、ガルバノミラー及びポリゴンミラー等によって例示される回転運動可能に構成されたミラー(図示せず)を含み、該ミラーとfθレンズであるレンズとが協働することにより、レーザの照射点が焦点平面上を直線運動可能であるように構成されることが好ましい。これにより、直線状に移動するレーザを焦点平面上に配置した照射対象に照射し得る。したがって、レーザ照射部材2、レンズ及び/又は照射対象を移動させることなく、直線状に移動するレーザを照射対象に照射し得る。
【0054】
照射部24がミラーを含む場合、照射部24は、レーザの照射点が焦点平面上を運動する経路(照射パターンとも称する。)を、2以上の照射パターンを含む照射パターン群から選択可能であることが好ましい。照射部24がレーザの照射パターンを照射パターン群から選択可能であることにより、照射対象及び/又は照射対象に施すレーザ照射加工に応じた照射パターンを選択して照射対象にレーザを照射し得る。
【0055】
照射パターン群に含まれる照射パターンは、特に限定されない。照射パターン群は、例えば、略直線の照射パターン、2以上の直線の組合せを含む照射パターン(例えば、略四角形の照射パターン)、略円形の照射パターン、略楕円形の照射パターン、曲線を含む照射パターン(例えば、波形の照射パターン)、及びレーザの照射点が運動しない照射パターン等によって例示される照射パターンの2以上を含んでよい。照射パターン群は、上述の照射パターンに加えて上述の照射パターンの内部を塗りつぶす照射パターンを含んでもよい。照射パターン群は、照射パターンの大きさ・照射パターンの縦横比・照射パターンの太さ・レーザの照射点が焦点平面上を運動する速度等が異なる2以上の照射パターンを含んでもよい。照射パターン群が上述の照射パターンを含むことにより、照射対象及び/又は照射対象に施すレーザ照射加工に応じた照射パターンを用いて照射対象にレーザを照射し得る。
【0056】
[照射位置指示部]
必須の態様ではないが、照射部24は、レーザの照射位置を指し示す照射位置指示部(図示せず)を含むことが好ましい。照射部24がレーザの照射位置を指し示す照射位置指示部を含むことにより、照射対象にレーザを照射することを容易に行い得る。照射位置指示部は、レーザの照射位置を指し示す指示部であれば特に限定されず、例えば、レーザの照射位置を別のレーザで指し示すレーザポインタ等でよい。
【0057】
[照射対象]
レーザを照射する照射対象は、特に限定されない。照射対象は、特に限定されず、例えば、金型、装置、車両、建造物、軌条等によって例示される物体、物体表面の溶接線、及び物体の表面に付着した付着物等が挙げられる。照射対象の材質は、特に限定されず、例えば、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、及びニッケル合金等によって例示される金属であってもよく、コンクリート、石こう及び木材等によって例示される非金属であってもよく、金属等の酸化物であってもよく、有機物であってもよく、複数の材質を含んでもよい。付着物は、特に限定されず、例えば、不純物、塗装面、地衣類・細菌等によって例示される生物、脂質・有毒物質・放射性物質等によって例示される汚染物質、コーティング層、及び酸化層等が挙げられる。付着物は、レーザの吸収率が比較的高い付着物であることが好ましい。付着物がレーザの吸収率が比較的高い付着物であることにより、レーザの照射によって付着物を効率的に加熱し、素材表面から蒸発及び/又は剥離させ得る。
【0058】
〔レンズ交換操作部25〕
必須の態様ではないが、レーザ照射部材2は、レーザの照射に用いられるレンズを交換する操作に関する操作手段を提供するレンズ交換操作部25を含むことが好ましい。レーザ照射部材2がレンズ交換操作部25を含むことにより、レーザ照射装置1を利用する利用者は、レンズを取り外して別のレンズを取り付ける煩わしい手順を逐一行うことなく、レーザの照射に用いられるレンズを交換し得る。また、レンズを交換する間において利用者がレンズ周辺に触れることを避け得るため、照射されたレーザが利用者の手に損傷を与えることを防ぎ得る。レンズ交換操作部25は、レーザの照射に用いられるレンズに関する情報を表示可能な表示手段を有することが好ましい。レンズ交換操作部25がレーザの照射に用いられるレンズに関する情報を表示可能な表示手段を有することにより、利用者は、レーザの照射に用いられるレンズに関する情報を確認してレーザを照射し得る。
【0059】
<レンズ収容部材3>
図2は、レーザ照射装置1におけるレンズ収容部材3の拡大模式図であり、レンズ収容部材3の概略正面図である。
図3は、レンズ収容部材3の概略平面図であり、
図4は、
図3におけるレンズ収容部材3のA-A概略断面図であり、
図5は、レンズ収容部材3の概略底面図であり、
図7は、レンズ収容部材3の概略左側面図である。また、
図6は、
図5とは異なる他の一例に係るレンズ収容部材3の概略底面図である。以下では、
図2~
図7を参照しながら本実施形態におけるレンズ収容部材3について説明する。
【0060】
まず、
図2を参照する。本実施形態において、レンズ収容部材3は、レンズを収容可能な本体部31と、本体部31の内部に第1気体G1を導入可能な気体導入部32と、第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向FD2に第2気体G2を送出可能な気体送出部33とを含んで構成される。レンズ収容部材3は、本体部31の頂面31Tから底面31Bに向けてレーザを通過可能に構成される。
【0061】
〔本体部31〕
続いて、
図2及び
図3を参照する。
図2及び
図3に示すように、本体部31は、頂面31Tに近い側に設けられ、中空の略円錐台状をした頂面側本体部311と、底面31Bに近い側に設けられ、左側面31L、右側面31R及び底面31Bを有する略コップ状をした底面側本体部312とを有する。
【0062】
本体部31は、レーザの照射に用いられるレンズを収容可能、かつ、レンズ収容部材3の頂面31Tから底面31Bに向けて照射されるレーザを通過可能に構成され、底面31Bに底面側開口O1(
図3参照)が設けられていれば特に限定されない。
【0063】
レンズを本体部31に収容することにより、照射対象から蒸発してレンズ収容部材3近傍に移動したヒュームは、レンズ近傍に到達する前に底面31B近傍を通過して、底面31Bに付着し得る。これにより、レンズにヒュームが付着することを抑え得る。底面側開口O1からレンズ収容部材3内部に侵入するヒュームを防ぐことについては、後に
図4を用いてより詳細に説明する。
【0064】
本体部31の材質は、特に限定されず、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、及びニッケル合金等によって例示される金属、ポリイミド樹脂等によって例示される樹脂、及び/又はセラミック等を含む各種の材質でよい。本体部31の材質は、中でも、金属を含むことが好ましい。本体部31の材質が金属を含むことにより、レーザを照射して本体部31が高温になった場合における本体部31の破損及び/又は発火を防ぎ得る。本体部31の材質は、金属の中でも、ステンレス鋼及び銅等によって例示される耐食性を備えた金属を含むことが特に好ましい。本体部31の材質が耐食性を備えた金属を含むことにより、レーザを照射して本体部31が高温になった場合における本体部31の酸化及び酸化による腐食を防ぎ得る。
【0065】
[レンズ]
ここで、本体部31に収容されるレンズについて説明する。レンズは、中空の略円錐台状をした頂面側本体部311に取り付けられる。レンズは、レーザの照射に用いられ、頂面側本体部311に収容可能なレンズであれば特に限定されず、集光レンズ及びfθレンズ等によって例示される従来技術の各種のレンズでよい。レンズは、中でも、ガルバノミラー等のミラーの等速回転運動を、レンズのディストーション効果を用いて焦点平面上を動く照射点の等速直線運動に変換可能なfθレンズであることが好ましい。レンズがfθレンズであることにより、直線状に移動するレーザを焦点平面上に配置した照射対象に照射し得る。これにより、レーザ照射部材2、レンズ及び/又は照射対象を移動させることなく、直線状に移動するレーザを照射対象に照射し得る。
【0066】
必須の態様ではないが、頂面側本体部311に収容可能なレンズがレンズの焦点距離に応じて複数ある場合、レンズは、頂面側本体部311に対してレンズを着脱可能に取り付けるレンズマウントを備えることが好ましい。
【0067】
レンズの焦点距離とレンズから照射対象への距離とが一致する場合に、レーザの照射による加熱の効果が最大となる。また、レンズの焦点距離とレンズから照射対象への距離とが一致しない場合は、レーザの照射による加熱の効果は小さくなる。したがって、照射対象までの距離及び/又は照射対象の形状が異なれば、レーザの照射に適したレンズの焦点距離も異なり得る。そのため、照射対象への距離及び/又は照射対象の形状に応じてレンズを交換する要望がある。レンズがレンズマウントを備えることにより、焦点距離が異なる複数種類のレンズの交換に関する労力等を軽減し得る。
【0068】
レンズの焦点距離は、特に限定されない。レンズの焦点距離の下限は、0.1メートル以上であることが好ましく、0.15メートル以上であることがより好ましく、0.2メートル以上であることがさらに好ましい。レンズの焦点距離の下限を上述のとおり定めることにより、レーザ照射装置1の利用者がレンズの近傍を触れた場合に、レンズの焦点距離とレンズから利用者の手までの距離とが一致することを避け得る。これにより、レンズを介して照射されるレーザが利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。また、レーザが照射対象に過剰なエネルギーを与えることを防ぎ得る。これにより、例えば、過剰なエネルギーによって照射対象表面が溶融すること等を防ぎ得る。
【0069】
レンズの焦点距離の上限は、3メートル以下であることが好ましく、2メートル以下であることがより好ましく、1メートル以下であることがさらに好ましい。レンズの焦点距離の上限を上述のとおり定めることにより、レンズと照射対象との間にある気体によってレーザが減衰することを防ぎ得る。また、レーザが照射対象に与えるエネルギーを高め得る。
【0070】
レーザ照射部材2がレンズ交換操作部25を含む場合、レンズは、レンズ交換操作部25によって提供される操作に応じてレンズを交換可能に構成されていることが好ましい。レンズがレンズ交換操作部25によって提供される操作に応じてレンズを交換可能に構成されていることにより、レーザ照射装置1を利用する利用者は、レンズ交換操作部25によって提供される操作によってレンズを交換し、レンズの焦点距離等を変更し得る。レンズ交換操作部25によって提供される操作に応じてレンズを交換する手段は、特に限定されず、例えば、レーザ照射装置1がレーザの照射に用いられるレンズを交換可能なレンズ交換部材(図示せず)を含み、操作部22が有するレンズ交換操作に対応するスイッチが操作されたときにレンズ交換部材がレーザの照射に用いられるレンズを交換する手段等でよい。
【0071】
操作部22によって提供される操作がレーザの照射方向を変える操作を含む場合、レンズは、操作部22によって提供される操作に応じてレーザの照射方向を変更可能に構成されていることが好ましい。レンズが操作部22によって提供される操作に応じてレーザの照射方向を変更可能に構成されていることにより、レーザ照射装置1を利用する利用者は、操作部22によって提供される操作によってレーザの照射方向を変更し得る。レーザの照射方向を変更する手段は、特に限定されず、例えば、レンズの方向を回転可能な回転部材によってレンズを回転させる手段等でよい。
【0072】
[底面側開口O1]
図4は、
図3におけるレンズ収容部材3のA-A概略断面図であり、
図5は、レンズ収容部材3の概略底面図である。底面31Bには、頂面31Tから底面31Bに向けて照射されるレーザ及び第1気体G1を通過可能に構成された底面側開口O1が設けられる。
【0073】
図6は、
図5とは異なる他の一例に係るレンズ収容部材3の概略底面図である。底面側開口O1は、2以上の細長い形状の開口を組み合わせた開口でもよい。例えば、2つの細長い形状の開口を互いに略直交するように組み合わせた十字型の開口でもよい。底面側開口O1が2以上の細長い形状の開口を組み合わせた開口であることにより、レンズを介して照射されるレーザが2以上の細長い形状を組み合わせた照射範囲を持つ場合に、レーザが底面側開口O1を通過し得る。
【0074】
底面側開口O1の好ましい態様については、気体導入部32についての説明をした後に説明する。
【0075】
[反射レーザ分散構造D]
必須の態様ではないが、
図6に示すように、底面31Bに、レーザの照射対象において反射された反射レーザを分散可能な反射レーザ分散構造Dが形成されていることが好ましい。
【0076】
レーザの照射対象において反射された反射レーザがレンズ収容部材3に向かうと、反射レーザによってレンズ収容部材3の温度が上昇し得る。温度が上昇したレンズ収容部材3は、レンズ収容部材3からの輻射熱及び/又は熱伝導等によって収容したレンズを加熱し、収容したレンズの温度を上昇させ得る。
【0077】
底面31Bに反射レーザ分散構造Dが形成されていることにより、反射レーザ分散構造Dによって反射レーザが分散され、反射レーザによるレンズ収容部材3の温度上昇を軽減し得る。これにより、収容したレンズの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0078】
反射レーザ分散構造Dは、レーザの照射対象において反射された反射レーザを分散可能な構造であれば特に限定されず、例えば、反射レーザを分散可能な1以上の溝を含む構造でよい。反射レーザ分散構造Dが反射レーザを分散可能な1以上の溝を含む構造である場合、レーザの照射方向に略直交する方向の溝を含むことが好ましい。
【0079】
レーザと略対向する方向に反射した反射レーザが底面31Bに到達し、レンズ収容部材3の温度を上昇させ得る。レーザの照射方向と略直交する方向の溝は、レーザと略対向する方向に反射した反射レーザと略直交する方向の溝である。したがって、反射レーザ分散構造Dがレーザの照射方向に略直交する方向の溝を含むことにより、反射レーザ分散構造Dは、レーザと略対向する方向に反射した反射レーザをよりいっそう効率的に分散し得る。
【0080】
〔気体導入部32〕
図4に戻る。気体導入部32は、底面側本体部312の一側面(
図4では左側面31Lであるが、右側面31Rであってもよい。)から底面側本体部312の内部に第1気体G1を導入可能に構成された部材である。気体導入部32は、内部に第1気体G1を導入可能に構成されていれば、特に限定されず、パイプ及びチューブ等によって例示される従来技術の第1気体G1を導入可能な部材を含んで構成される。
【0081】
気体導入部32は、伝送部23から供給された第1気体G1をレンズ収容部材3内部に導入可能に構成されていることが好ましい。これにより、第1気体G1を貯蔵及び供給する部材を取り付けることなく、レンズ収容部材3を構成し得る。したがって、レンズ収容部材3の構造を簡略化し得る。
【0082】
気体導入部32に供給される第1気体G1の圧力は、特に限定されない。気体導入部32に供給される第1気体G1の圧力の下限は、大気圧以上であることが好ましく、0.3MPa以上であることがより好ましく、0.4MPa以上であることがさらに好ましい。気体導入部32に供給される第1気体G1の圧力の下限を上述のとおり定めることにより、空間Cからレンズ収容部材3の外部に向けて底面側開口O1を通過する第1気体G1の流れがレンズ収容部材3の外部において底面側開口O1の近傍にあるヒュームを押す力を強め、レンズにヒュームが付着することをよりいっそう防ぎ得る。
【0083】
気体導入部32に供給される第1気体G1の圧力の上限は、2MPa以下であることが好ましく、1MPa以下であることがより好ましく、0.8MPa以下であることがさらに好ましい。気体導入部32に供給される第1気体G1の圧力の上限を上述のとおり定めることにより、第1気体G1の圧力によるレンズ収容部材3等の変形を防ぎ得る。
【0084】
[第1気体G1]
第1気体G1は、特に限定されず、空気及び不活性ガス等によって例示される各種の気体でよいが、中でも、反応性が高い気体(例えば、酸素)の含有量が少ない不活性ガスであることが好ましい。第1気体G1として用いられる不活性ガスは、特に限定されず、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ネオン、及び/又はヘリウムの1以上を含む不活性ガスでよい。
【0085】
空気雰囲気等の酸素を含む雰囲気下でレーザを照射すると、レーザの照射に伴う高温によってレンズの付近にある可燃物が発火し得る。レンズの付近にある可燃物が発火すれば、レンズの温度が上昇し得る。
【0086】
第1気体G1が不活性ガスであることにより、内部に導入した不活性ガスによって内部の酸素濃度が下がり、レーザの照射に伴う高温によって内部にある可燃物が発火することを防ぎ得る。したがって、可燃物の発火に伴う収容したレンズの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0087】
必須の態様ではないが、第1気体G1の温度は、レーザが照射されるときの内部の温度よりも低いことが好ましい。これにより、レーザが照射されるときの内部の温度を下げることができ、結果として、レンズの温度上昇を軽減し得る。レンズ収容部材3に収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0088】
[底面側開口O1の好ましい態様]
ここで、
図3から
図5を参照しながら、本体部31における底面側開口O1の好ましい態様について詳しく説明する。
【0089】
レーザを照射対象に照射する加工では、照射対象から蒸発した残渣がヒューム(粉じん)となり、レンズその他の光学部品に付着する場合がある。光学部品にヒュームが付着すると、付着したヒュームがレーザを吸収し、レーザの照射に悪影響を及ぼし得る。
【0090】
図4に示すように、底面側本体部312の内部では、頂面側本体部311に収容されているレンズと、レンズ収容部材3の底面31B、左側面部31L及び右側面部31Rとによって空間Cが画定される。
【0091】
頂面31Tから底面31Bに向けてレーザを通過可能であり、底面31Bに底面側開口O1が設けられているため、頂面側本体部311にレンズを収容した場合に、底面側開口O1を介してレーザを対象物に照射し得る。そして、この底面側開口O1が、レンズ収容部材3の外部から空間Cに向けてヒュームが侵入し、ヒュームがレンズに付着することの原因になり得る。
【0092】
気体導入部32によって空間Cに導入された第1気体G1は、空間Cからレンズ収容部材3の外部に向けて底面側開口O1を通過する第1気体G1の流れとなる。この第1気体G1の流れにより、レンズ収容部材3の外部において底面側開口O1の近傍にあるヒュームは、底面側開口O1から離れる方向に押される。これにより、底面側開口O1の存在がレンズへのヒューム付着の原因になることを防ぎ得る。
【0093】
加えて、本体部31及び底面側開口O1を通過する第1気体G1の流れによって収容したレンズへのヒュームの付着を抑えることにより、収容したレンズに付着したヒュームがレーザを吸収し、収容したレンズの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0094】
図5に示すように、底面側開口O1は、レンズ収容部材3の頂面31Tから底面31Bに向けて照射されるレーザ及び第1気体G1を通過可能であれば特に限定されず、例えば、底面側開口O1を通過するレーザの方向からみたときに細長い形状の開口でよい。底面側開口O1が底面側開口O1を通過するレーザの方向からみたときに細長い形状の開口であることにより、第1気体G1が空間Cから底面側開口O1を通過する場合に、第1気体G1が流れる流路の断面積が小さくなる。これにより、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、第1気体G1の流れの速度を増し得る。また、底面側開口O1が細長い形状の開口であることにより、レンズを介して照射されるレーザが細長い形状の照射範囲を持つ場合に、レーザが底面側開口O1を通過し得る。
【0095】
底面側開口O1を通過するレーザの方向からみたときにおける底面側開口O1の形状が細長い形状の開口である場合、底面側開口O1を通過するレーザの方向からみたときにおける底面側開口O1の長手方向の長さは、短手方向の長さに対して、4倍以上であることが好ましく、6倍以上であることがより好ましく、9倍以上であることがさらに好ましい。底面側開口O1を通過するレーザの方向からみたときにおける底面側開口O1の長手方向の長さを短手方向の長さに対して上述のとおり定めることにより、第1気体G1が底面側開口O1を通過する場合に、第1気体G1が流れる流路の断面積が小さくなる。これにより、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、第1気体G1の流れの速度を増し得る。したがって、第1気体G1がヒュームをよりいっそう効率的に押し得る。
【0096】
底面側開口O1を通過するレーザの方向からみたときにおける底面側開口O1の形状が細長い形状の開口である場合、底面側開口O1を通過するレーザの方向からみたときにおける底面側開口O1の長手方向の長さは、短手方向の長さに対して、50倍以下であることが好ましく、30倍以下であることがより好ましく、20倍以下であることがさらに好ましい。底面側開口O1を通過するレーザの方向からみたときにおける底面側開口O1の長手方向の長さを短手方向の長さに対して上述のとおり定めることにより、第1気体G1が底面側開口O1を通過する場合における、第1気体G1と本体部31との間の摩擦を軽減し、第1気体G1の流れの速度を増し得る。
【0097】
[本体部31がレーザ照射部材2に取り付け可能であること]
また、本体部31がレーザ照射部材2に取り付け可能であることについて説明する。
【0098】
レンズの焦点距離とレンズから照射対象への距離とが一致する場合に、レーザの照射による加熱の効果が最大となる。また、レンズの焦点距離とレンズから照射対象への距離とが一致しない場合は、レーザの照射による加熱の効果は小さくなる。したがって、照射対象までの距離及び/又は照射対象の形状が異なれば、レーザの照射に適したレンズの焦点距離も異なり得る。そのため、照射対象への距離及び/又は照射対象の形状に応じてレンズを交換する要望がある。光学部品へのヒュームの付着を抑え、光学部品の温度上昇を軽減する手段とレンズとが一体に構成されている場合、レンズの交換に関する労力等が増し得る。したがって、レンズの交換に関する労力等を軽減するため、光学部品へのヒュームの付着を抑え、光学部品の温度上昇を軽減する手段をレンズに後付けすることに関する要望がある。特許文献1に記載の技術は、光学部品である集光レンズ及びエネルギービーム透過部を含む構成であり、光学部品へのヒュームの付着を抑え、光学部品の温度上昇を軽減する手段を既存の光学部品等に後付けすることについても、なお一層改善の余地がある。
【0099】
本実施形態では、頂面側本体部311の頂面31Tをレーザ照射部材2に取り付けできる。これにより、底面側開口O1を通過するレーザ及び第1気体G1を妨げることがないよう、レンズ収容部材3をレーザ照射部材2に取り付け得る。したがって、底面側開口O1を通過するレーザ及び/又は第1気体G1を妨げることなく、レーザ照射部材2にレンズ収容部材3を後付けし得る。
【0100】
図3に戻る。
図3は、レンズ収容部材3の概略平面図である。頂面側本体部311は、レーザ照射部材2に取り付け可能であれば特に限定されず、例えば、頂面側開口O2を有し、レンズを介してレーザ照射部材2を取り付け可能に構成された取付部、レーザ照射部材2と篏合することによってレーザ照射部材2を取り付け可能に構成された取付部、レーザ照射部材2と螺合することによってレーザ照射部材2を取り付け可能に構成された取付部、及び/又はねじを用いてレーザ照射部材2を取り付け可能に構成された取付部等でよい。本体部31が頂面側開口O2を有し、レンズを介してレーザ照射部材2を取り付け可能に構成される場合、頂面側開口O2の直径は、本体部31の内径より小さいことが好ましい。頂面側開口O2の直径が本体部31の内径より小さいことにより、レンズが頂面側開口O2を通過して、本体部31とレーザ照射部材2とが取付状態でなくなることを防ぎ得る。
【0101】
また、頂面側本体部311と底面側本体部312とは、互いに着脱可能に構成されることが好ましい。これにより、頂面側本体部311と底面側本体部312とを着脱する部分の内径が頂面側開口O2の直径より大きくなるよう本体部31を構成し得る。したがって、底面側本体部312を頂面側本体部311から取り外して、頂面側開口O2の直径より外径が大きいレンズを本体部31に収容し得る。
【0102】
〔気体送出部33〕
図2に戻る。必須の態様ではないが、レンズ収容部材3は、底面31Bの近傍に設けられ、第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向FD2に第2気体G2を送出可能な気体送出部33をさらに備えることが好ましい。ここでいう第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向FD2とは、底面側開口O1を介してヒュームが入り込むのを防ぐという第1気体G1の流れが有する機能の実現を第2気体G2の流れが妨げない方向を指し、具体的には、第1気体G1の流れ方向FD1との間になす角が70度以上110度以下の角を含む方向を指す。第2気体G2が送出される方向FD2が第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向、すなわち第1気体G1の流れ方向FD1との間になす角が70度以上110度以下の角を含む方向であることにより、第2気体G2の流れによる力は、底面側開口O1を介してヒュームが入り込むのを防ぐという第1気体G1の流れが有する機能の実現を妨げることなく、第1気体G1の流れによる力によってのみヒュームを押す場合のヒュームの移動方向と異なる方向にヒュームを押し得る。
【0103】
気体送出部33をさらに備えることにより、第1気体G1の流れに加えて、第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向FD2に送出される第2気体G2がヒュームを押すため、ヒュームが底面側開口O1を通過して空間Cに入り、ヒュームがレンズに付着することを防ぎ得る。
【0104】
レンズ収容部材3の外部において、底面側開口O1を通過して照射されるレーザを吸収し得る位置にあるヒュームは、レーザを吸収し、レーザの照射に悪影響を及ぼし得る。底面31Bに設けられた底面側開口O1を介してレーザを照射対象に照射する場合、レーザ及び第1気体G1が空間Cの側から外部の側へ向かって底面側開口O1を通過するため、底面側開口O1を通過するレーザの方向と第1気体G1の流れ方向FD1とは、底面側開口O1の近傍において略同一の方向となり得る。そのため、レンズ収容部材3外部において、レーザを吸収し得る位置のうち底面側開口O1近傍の位置にあるヒュームが第1気体G1の流れによる力のみによって押されて移動する場合、該ヒュームの移動後の位置は、レーザを吸収し得る位置になり得る。したがって、レンズ収容部材3外部において、レーザを吸収し得る位置にあるヒュームを、レーザを吸収しない位置に移動させて、ヒュームがレーザの照射に及ぼす悪影響を軽減することについて、なお一層の改善の余地がある。
【0105】
気体送出部33をさらに備えることにより、第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向FD2に送出される第2気体G2は、底面側開口O1を通過して照射されるレーザを吸収し得る位置にあるヒュームを、底面側開口O1を通過するレーザの方向と略直交する方向に押し、レーザを吸収しない位置に移動させ得る。したがって、ヒュームがレーザの照射に及ぼす悪影響をよりいっそう軽減し得る。第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向FD2に送出される第2気体G2がヒュームを押すことについては、後に
図14を用いてより詳細に説明する。
【0106】
伝送部23が気体送出部33に第2気体G2を供給可能に構成されている場合、気体送出部33は、伝送部23から供給された第2気体G2を送出可能に構成されていることが好ましい。伝送部23が気体送出部33に第2気体G2を供給可能に構成され、気体送出部33が伝送部23から供給された第2気体G2を送出可能に構成されていることにより、第2気体G2を貯蔵及び供給する部材を取り付けることなく、レンズ収容部材3を構成し得る。これにより、レンズ収容部材3の構造を簡略化し得る。
【0107】
伝送部23から気体送出部33に供給される第2気体G2の圧力は、特に限定されない。伝送部23から気体送出部33に供給される第2気体G2の圧力の下限は、大気圧以上であることが好ましく、0.3MPa以上であることがより好ましく、0.4MPa以上であることがさらに好ましい。伝送部23から気体送出部33に供給される第2気体G2の圧力の下限を上述のとおり定めることにより、第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向FD2に送出される第2気体G2がヒュームを押す力を強め、レンズにヒュームが付着することをよりいっそう防ぎ得る。
【0108】
伝送部23から気体送出部33に供給される第2気体G2の圧力の上限は、2MPa以下であることが好ましく、1MPa以下であることがより好ましく、0.8MPa以下であることがさらに好ましい。伝送部23から気体送出部33に供給される第2気体G2の圧力の上限を上述のとおり定めることにより、第2気体G2の圧力による気体送出部33等の変形を防ぎ得る。
【0109】
[細孔N]
図7は、レンズ収容部材3の概略左側面図である。気体送出部33は、第2気体G2を送出可能な1以上の細孔Nを有することが好ましい。気体送出部33が第2気体G2を送出可能な1以上の細孔Nを有することにより、第2気体G2が細孔Nを通過するときに第2気体G2が流れる流路の断面積が小さくなり得る。これにより、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、第2気体G2の流れの速度を増し得る。第2気体G2の流れの速度が増すことにより、第2気体G2がよりいっそう効率的にヒュームを押し得る。
【0110】
細孔Nの大きさは、特に限定されない。細孔Nについて、第2気体G2が流れる方向からみたときの断面積の上限は、3平方ミリメートル以下であることが好ましく、2平方ミリメートル以下であることがより好ましく、1平方ミリメートル以下であることがさらに好ましい。細孔Nについて、第2気体G2が流れる方向からみたときの断面積の上限を上述のように定めることにより、第2気体G2が細孔Nを通過するときに第2気体G2が流れる流路の断面積がよりいっそう小さくなり得る。これにより、第2気体G2の流れの速度を増し得る。
【0111】
細孔Nについて、第2気体G2が流れる方向からみたときの断面積の下限は、0.1平方ミリメートル以上であることが好ましく、0.3平方ミリメートル以上であることがより好ましく、0.4平方ミリメートル以下であることがさらに好ましい。細孔Nについて、第2気体G2が流れる方向からみたときの断面積の下限を上述のように定めることにより、第2気体G2が細孔Nを通過するときの細孔Nと第2気体G2との間の摩擦を軽減し、第2気体G2の流れの速度を増し得る。
【0112】
[第2気体G2]
第2気体G2は、特に限定されず、空気及び不活性ガス等によって例示される各種の気体でよい。第2気体G2として用いられる不活性ガスは、特に限定されず、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ネオン、及び/又はヘリウムの1以上を含む不活性ガスでよい。第2気体G2が不活性ガスであることにより、送出された不活性ガスによって酸素濃度が下がり、レーザの照射に伴う高温によって可燃物が発火することを防ぎ得る。したがって、可燃物の発火に伴う収容したレンズの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0113】
第2気体G2は、第1気体G1と同じ気体でもよく、第1気体G1と異なる気体でもよい。第2気体G2が第1気体G1と同じ気体であることにより、第1気体G1と同じ気体を気体送出部33において利用し得る。これにより、気体導入部32及び気体送出部33は、気体を貯蔵する部材及び/又は気体を供給する部材を共有し得る。
【0114】
<ノズル4>
図8は、レーザ照射装置1におけるノズル4の拡大模式図であり、
図9は、
図8におけるノズル4のB-B概略断面図である。本実施形態において、ノズル4は、ヒューム等によって例示される吸引対象物を吸引可能なノズル本体41と、ノズル本体41における吸引口O3の少なくとも一部を塞ぐことが可能な構造体42と、吸引口O3の略上方に設けられ、吸引対象物を吸引可能に構成された上方吸引部43と、ノズル4が吸引した吸引対象物及び/又は吸引対象物を含む被吸引気体を移送可能な移送部44(
図1参照)と、ノズル4にノズル本体41を着脱可能に取り付ける着脱部45(
図1参照)とを含んで構成される。
【0115】
〔ノズル本体41〕
図8に示すように、ノズル本体41は、レーザ加工時に発生するヒューム等によって例示される吸引対象物を吸引可能な吸引口O3が設けられた中空状のノズルであれば特に限定されない。ノズル本体41がレーザ加工時に発生するヒューム等によって例示される吸引対象物を吸引可能な吸引口O3が設けられた中空状のノズルであることにより、レーザ加工時に発生するヒューム等によって例示される吸引対象物を吸引口O3において吸引して捕集し得る。
【0116】
ノズル本体41の材質は、特に限定されず、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、及びニッケル合金等によって例示される金属、ポリイミド樹脂等によって例示される樹脂、及び/又はセラミック等を含む各種の材質でよい。ノズル本体41の材質は、中でも、金属を含むことが好ましい。ノズル本体41の材質が金属を含むことにより、レーザを照射してノズル本体41が高温になった場合におけるノズル本体41の破損及び/又は発火を防ぎ得る。
【0117】
[吸引口O3]
吸引口O3は、レーザ加工時に発生するヒューム等によって例示される吸引対象物を吸引可能な吸引口であり、吸引対象物を吸引可能な方向からみたとき、吸引口O3の長手方向の長さL1が短手方向の長さL2より長ければ、特に限定されない。
【0118】
吸引対象物を吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の長手方向の長さL1は、短手方向の長さL2に対して、4倍以上であることが好ましく、6倍以上であることがより好ましく、9倍以上であることがさらに好ましい。吸引対象物を吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の長手方向の長さL1を短手方向の長さL2に対して上述のとおり定めることにより、吸引対象物を含む被吸引気体がノズル4外部から吸引口O3を通過する場合に、被吸引気体が流れる流路の断面積が小さくなる。これにより、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、被吸引気体の流れの速度を増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0119】
吸引対象物を吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の長手方向の長さL1は、短手方向の長さL2に対して、50倍以下であることが好ましく、30倍以下であることがより好ましく、20倍以下であることがさらに好ましい。吸引対象物を吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の長手方向の長さL1を短手方向の長さL2に対して上述のとおり定めることにより、吸引対象物を含む被吸引気体がノズル4外部から吸引口O3を通過する場合における、被吸引気体とノズル本体41との間の摩擦を軽減し、吸引力を改善し得る。
【0120】
吸引対象物を吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の形状は、特に限定されず、略長方形、略台形及び略楕円形等によって例示される、長手方向の長さが短手方向の長さより長い各種の形状でよい。吸引対象物を吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の形状は、中でも、略長方形であることが好ましい。吸引対象物を吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の形状が略長方形であることにより、ベンチュリ効果をより効果的に発生させ、被吸引気体の流れの速度を増し得る。
【0121】
レーザ照射装置1が含むノズル4において設けられる吸引口O3に関し、吸引対象物(ヒューム等)を吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の長手方向がレーザの照射方向と略垂直な方向であるよう吸引口O3を構成することが好ましい。
【0122】
レーザが細長い形状の照射範囲を持つ場合に、照射範囲に含まれる様々な場所からヒュームが発生し得る。照射範囲の周辺に吸引口O3がない場合、発生したヒュームに対する吸引力が低下し得る。
【0123】
ヒュームを吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の長手方向がレーザの照射方向と略垂直な方向である吸引口O3を構成することにより、レーザが細長い形状の照射範囲を持つ場合であっても、その照射範囲の周辺に吸引口O3を配置し、照射対象から蒸散するヒュームに対する吸引力を改善し得る。また、ヒュームを吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の長手方向がレーザの照射方向と略垂直な方向である吸引口O3を構成し、さらに、ヒュームを吸引可能な方向からみたときにおける吸引口O3の長手方向の長さを短手方向の長さに対して上述のとおり定めることにより、レーザがさらに細長い形状の照射範囲を持つ場合であっても、その照射範囲の周辺に吸引口O3を配置し得る。これにより、照射対象から蒸散するヒュームに対する吸引力を改善し得る。
【0124】
レンズから吸引口O3への距離は、特に限定されないが、レンズの焦点距離と略一致する距離であることが好ましい。レンズから吸引口O3への距離がレンズの焦点距離と略一致する距離であることにより、レーザ照射装置1を利用する利用者は、吸引口O3を照射対象の近傍に移動させることにより、レンズから照射対象への距離をレンズの焦点距離と略一致させることができる。これにより、レーザ照射装置1を利用する利用者は、照射対象を効率的に加熱し得る。
【0125】
[幅広部41A、幅狭部41B]
続いて
図9を参照する。
図9は、
図8におけるノズル4のB-B概略部分断面図である。必須の態様ではないが、ノズル本体41は、内径が相対的に大きい幅広部41Aと、内径が相対的に小さい幅狭部41Bとを含んで構成されることが好ましい。
【0126】
内径が相対的に大きい幅広部41Aと内径が相対的に小さい幅狭部41Bとを含むようノズル本体41を構成することにより、吸引対象物を含む被吸引気体が幅広部41Aから幅狭部41Bに入るときに、被吸引気体が流れる流路の断面積が小さくなる。これにより、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0127】
気体等の圧縮性流体の流れにおいて、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に、流体が外部と熱をやりとりせずに圧縮される断熱圧縮が生じ得る。また、気体等の圧縮性流体の流れにおいて、流れが亜音速の流れである場合に流体の温度が上昇すると流れが加速する現象が知られている。
【0128】
内径が相対的に大きい幅広部41Aと内径が相対的に小さい幅狭部41Bとを含むようノズル本体41を構成することにより、吸引対象物を含む被吸引気体が幅広部41Aから幅狭部41Bに入るときに被吸引気体が断熱圧縮され、被吸引気体の温度が上昇し得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に被吸引気体の流れが加速し、その速度をよりいっそう増す効果が生じ得る。したがって、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0129】
幅広部41A及び幅狭部41Bは、幅広部41Aの内径が幅狭部41Bの内径に対して相対的に大きければ(すなわち、幅狭部41Bの内径が幅広部41Aの内径に対して相対的に小さければ)、特に限定されない。
【0130】
幅広部41Aの内径は、幅狭部41Bの内径に対して1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましい。幅広部41Aの内径を幅狭部41Bの内径に対して上述のとおり定めることにより、吸引対象物を含む被吸引気体が幅広部41Aから幅狭部41Bに入るときに、被吸引気体が流れる流路の断面積がよりいっそう小さくなる。これにより、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が効果的に生じ、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力をさらに改善し得る。
【0131】
幅広部41Aの内径は、幅狭部41Bの内径に対して4倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましく、2倍以下であることがさらに好ましい。幅広部41Aの内径を幅狭部41Bの内径に対して上述のとおり定めることにより、幅狭部41Bが狭くなることを防ぎ得る。したがって、幅狭部41Bにおける被吸引気体とノズル本体41との間の摩擦を軽減し、吸引力を改善し得る。
【0132】
〔構造体42〕
必須の態様ではないが、ノズル4は、吸引口O3の少なくとも一部を塞ぐことが可能な構造体42を備えることが好ましい。
【0133】
ノズル4が吸引口O3の少なくとも一部を塞ぐことが可能な構造体42を備えることにより、構造体42によって、被吸引気体が流れる流路の断面積が小さくなり得る。これにより、吸引対象物を含む被吸引気体が構造体42周辺を通過するときに、流体が流れる流路の断面積が小さくなる。そして、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0134】
ノズル4が吸引口O3の少なくとも一部を塞ぐことが可能な構造体42を備えることにより、構造体42によって、被吸引気体の流れに抵抗を与え、被吸引気体を断熱圧縮し得る。そして、断熱圧縮により、被吸引気体の温度が上昇し得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に被吸引気体の流れが加速し、その速度をよりいっそう増す効果が生じ得る。したがって、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0135】
図8に戻る。構造体42は、吸引対象物を吸引可能な方向からみた場合における吸引口O3の両端とは異なる場所に取り付け可能であることが好ましい。
【0136】
構造体42が吸引対象物を吸引可能な方向からみた場合における吸引口O3の両端とは異なる場所に取り付け可能であることにより、吸引口O3の両端とは異なる場所に取り付けられた構造体42が被吸引気体の流れを複数の流れに分割し、分割されたそれぞれの流れについて、流路の断面積を小さくし得る。そして、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0137】
構造体42が吸引対象物を吸引可能な方向からみた場合における吸引口O3の両端とは異なる場所に取り付け可能であることにより、吸引口O3の両端とは異なる場所に取り付けられた構造体42が被吸引気体の流れを複数の流れに分割し、分割されたそれぞれの流れについて、被吸引気体を断熱圧縮し得る。これにより、被吸引気体がよりいっそう効率的に断熱圧縮され、その温度を上昇させ得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に被吸引気体の流れが加速し、その速度をよりいっそう増す効果がよりいっそう生じ得る。したがって、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0138】
構造体42の形状は、吸引口O3の少なくとも一部を塞ぐことが可能であれば特に限定されないが、吸引対象物を吸引可能な方向に対して幅広な形状であることが好ましい。構造体42が吸引対象物を吸引可能な方向に対して幅広な形状であることにより、吸引口O3からノズル本体41内部に入った被吸引気体の流れが構造体42と最初に接触する側の幅が狭くなる。これにより、被吸引気体の流れと構造体42との間の抵抗を軽減し、被吸引気体の流れの速度を増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0139】
図10は、構造体42の一例を示す図である。以下、
図10を用いて、吸引対象物を吸引可能な方向に対して幅広な形状を有する構造体42について、より詳細に説明する。
【0140】
図10(A1)は、略三角柱を含む形状の構造体42の一例を示す概略平面図である。
図10(A2)は、
図10(A1)の構造体42を右手前上方から斜視した概略図である。構造体42は、吸引対象物を吸引可能な方向(気体の流れの方向)に対して幅広な形状(逆凸状)である略三角柱を含む形状であることが好ましい。構造体42が略三角柱を含む形状であることにより、被吸引気体の流れが略三角柱によって2つに分割され得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。また、被吸引気体の流れの速度が音速を超える場合、構造体42が略三角柱を含む形状であることにより、音速を超えた被吸引気体の流れが構造体42と接触することによって生じる衝撃波による抵抗を軽減し得る。
【0141】
図10(B1)は、略三角柱及び略四角柱を含む形状の構造体42の一例を示す概略平面図である。
図10(B2)は、
図10(B1)の構造体42を右手前上方から斜視した概略図である。構造体42が吸引対象物を吸引可能な方向(気体の流れの方向)に対して幅広な形状(逆凸状)である略三角柱を含む形状である場合、構造体42は、該略三角柱からみて被吸引気体の流れの方向に略四角柱をさらに含む形状であることが好ましい。構造体42が該略三角柱からみて被吸引気体の流れの方向に略四角柱をさらに含む形状であることにより、該略四角柱は、略三角柱によって2つに分割された被吸引気体の流れが1つの流れになることを防ぎ得る。これにより、被吸引気体の流れをより効果的に2つの流れに分割し得る。したがって、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0142】
図10(C1)は、略三角柱及び略四角柱を含む形状の構造体42の別の例を示す概略平面図である。
図10(C2)は、
図10(C1)の構造体42を右手前上方から斜視した概略図である。該略四角柱の大きさは、特に限定されないが、被吸引気体の流れの方向からみたときにおける該略四角柱の大きさが該略三角柱より小さいことが好ましい。被吸引気体の流れの方向からみたときにおける該略四角柱の大きさが該略三角柱より小さいことにより、該略三角柱によって2つに分割された被吸引気体の流れが、該略四角柱から受ける抵抗を軽減し得る。これにより、被吸引気体の流れの速度を増し、被吸引気体に含まれる吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0143】
〔上方吸引部43〕
図11は、レーザを照射するときにおけるレンズ収容部材3とノズル4との位置関係の一例を示す図であり、レンズ収容部材3とノズル4とを水平方向からみた概略図である。必須の態様ではないが、吸引対象物がレーザ加工時に発生するヒューム等によって例示される周囲より温度が高い吸引対象高温物である場合、ノズル4は、吸引口O3の略上方に設けられ、吸引対象高温物等を吸引可能に構成された上方吸引部43を有することが好ましい。照射対象から蒸発した残滓から形成されるヒューム等の吸引対象高温物は、周辺の温度より高い温度を有する。これにより、吸引対象高温物周辺の気体が熱せられ、上昇気流となり得る。そのため、吸引対象高温物の一部は、上昇気流によって上昇し、例えば、レンズ収容部材3及び収容されたレンズの方向等へ移動し得る。上方吸引部43を有することにより、上昇気流によって上昇した吸引対象高温物を吸引口O3の略上方に設けられた上方吸引部43によって吸入し得る。これにより、吸引対象物が吸引対象高温物である場合、レンズへの吸引対象高温物の付着を軽減し得る。
【0144】
上方吸引部43の形状は、特に限定されないが、吸引対象物が通過可能な中空部分を有する略錐台状であり、上方吸引部43によって吸入される吸引対象物の方向に沿って吸引対象物が通過する部分の断面積が大きくなるよう構成された形状であることが好ましい。上方吸引部43の形状は、例えば、
図11に示す吸引対象物を吸入する上方吸引口O4とノズル本体41と合流する合流口O5とを有し、上方吸引口O4の上方吸引口径R1が合流口O5の合流口径R2より小さい中空の略円錐台状でよい。上方吸引口径R1が合流口径R2より小さいことにより、合流口O5付近の吸引対象物を吸入する流れは、上方吸引口O4付近において、ベンチュリ効果によって流れの速度を増し得る。したがって、上方吸引口O4付近において、吸引対象物を吸入する吸入力を増し得る。合流口径R2は、ノズル本体41のノズル本体径R3より小さいことが好ましい。これにより、ノズル本体41を流れる吸引対象物の流れの速度を著しく損なうことなく、上方吸引部43によって吸引対象物を吸入し得る。上方吸引部43は、上方吸引口O4と異なる位置に設けられた上方開口O6を有していることも好ましい。上方吸引部43が上方開口O6を有していることにより、上昇気流によって上昇した吸引対象高温物等を上方開口O6においても吸引し得る。
【0145】
〔移送部44〕
図1に戻る。レーザ照射装置1がノズル4を含む場合、ノズル4は、ノズル4が吸引した吸引対象物及び/又は吸引対象物を含む被吸引気体を移送可能な移送部44を含むことが好ましい。ノズル4が移送部44を含むことにより、吸引した吸引対象物等を移送し、レンズ及び/又は照射対象から遠ざけ得る。
【0146】
移送部44は、ノズル4が吸引した吸引対象物等を移送可能であれば特に限定されず、従来技術のパイプ、ホース及び管等によって例示される従来技術の吸引対象物等を移送可能な手段でよい。
【0147】
移送部44は、吸引対象物及び/又は気体を吸引可能な吸引部と接続されていることが好ましい。移送部44が吸引対象物及び/又は気体を吸引可能な吸引部と接続されていることにより、移送部44は、吸引口O3を介して吸引対象物及び/又は吸引対象物を含む被吸引気体を吸引し得る。
【0148】
〔着脱部45〕
必須の態様ではないが、ノズル4は、ノズル4にノズル本体41を着脱可能に取り付ける着脱部45を備えることが好ましい。ノズル4が着脱部45を備えることにより、レンズを焦点距離が異なる別のレンズに交換した場合に、レンズから吸引口O3までの距離が交換後のレンズの焦点距離と略一致するよう、ノズル本体41を交換し得る。これにより、レンズから照射対象までの距離がレンズの焦点距離と略一致する位置で照射対象にレーザが照射された場合に、吸引口O3を照射対象の近傍に配置し得る。したがって、照射対象から蒸発するヒューム等の吸引対象物を効率的に吸引し得る。
【0149】
着脱部45から吸引口O3までの距離の下限は、0.1メートル以上であることが好ましく、0.15メートル以上であることがより好ましく、0.2メートル以上であることがさらに好ましい。着脱部45から吸引口O3までの距離の下限を上述のとおり定めることにより、レンズから吸引口O3までの距離がレンズの焦点距離と略一致する場合に、レンズから着脱部45までの距離がレンズの焦点距離と異なる距離になる。これにより、ノズル本体41を交換する利用者が着脱部45近傍に触れたときに、レーザが利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0150】
着脱部45から吸引口O3までの距離の上限は、3メートル以下であることが好ましく、2メートル以下であることがより好ましく、1メートル以下であることがさらに好ましい。着脱部45から吸引口O3までの距離の上限を上述のとおり定めることにより、吸引口O3近傍に力が加わった場合に、着脱部45にてこの原理で大きな力が加わることを防ぎ得る。
【0151】
〔吸引対象物〕
ここまで、レーザ照射装置1においてレーザ加工時に発生するヒューム等の吸引対象物を吸引するノズル4について説明してきたが、ノズル4が吸引する吸引対象物は、特に限定されず、吸引口O3を通過し得る任意の吸引対象物でよい。ノズル4が吸引対象物を吸引可能な方向からみたとき吸引口O3の長手方向の長さL1が短手方向の長さL2に対して4倍以上であること、内径が相対的に大きい幅広部41Aと内径が相対的に小さい幅狭部41Bとを含んで構成されるノズル本体41であること、ノズル本体41の内部であって吸引口O3の近傍の位置に吸引口O3の少なくとも一部を塞ぐことが可能な構造体42が設けられていること、構造体42が吸引対象物を吸引可能な方向からみた場合における吸引口O3の両端とは異なる場所に設けられること、及び/又は構造体42が吸引対象物を吸引可能な方向に対して幅広な形状であること等により、これらの吸引対象物を吸引する吸引力を改善し得る。
【0152】
吸引対象物は、例えば、レーザ加工時に発生するヒューム等によって例示される周囲より温度が高い吸引対象高温物を含んでもよく、ちり、ほこり、材料の粉末、及び切削加工時に発生するデブリ等によって例示される周囲と実質的に同じ温度の吸引対象非高温物等を含んでもよいが、周囲より温度が高い吸引対象高温物を含むことがより好ましい。
【0153】
吸引対象物が周囲より温度が高い吸引対象高温物を含むことがより好ましい理由について説明する。気体の断熱圧縮に関し、ポワソンの法則(pVγは、一定である。)及び理想気体の状態方程式(p=RT/V)から、TVγ-1が一定であることが導かれる(p:圧力、R:気体定数、T:温度、V:体積、γ:比熱比)。したがって、温度Tにおいて比熱比γで体積Viの気体を体積Vfに断熱圧縮した場合における温度変化ΔTは、ΔT=T{(Vi/Vf)γ-1-1}を満たし得る。これにより、比熱比γ及び圧縮率(Vi/Vf)が同じ条件では、気体の温度Tが高ければ高いほど、断熱圧縮による温度変化がより大きくなり得る。すなわち、気体の温度Tが高ければ高いほど、温度の上昇量がより大きくなる。吸引対象物が吸引対象高温物である場合、吸引対象物を含む被吸引気体の温度が高くなり得る。吸引対象物を含む被吸引気体が幅広部41Aから幅狭部41Bに入るときに被吸引気体が断熱圧縮され、被吸引気体の温度が上昇し得るが、上述の断熱圧縮した場合における温度変化の式より、被吸引気体の温度が高い場合、断熱圧縮による被吸引気体の温度の上昇量がよりいっそう大きくなり得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に被吸引気体の流れが加速し、その速度をよりいっそう増す効果がよりいっそう効果的に生じ得る。したがって、吸引対象物が吸引対象高温物であることにより、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し、吸引力をさらに高め得る。
【0154】
被吸引気体が幅広部41Aから幅狭部41Bに入るときと同様に、構造体42によって、被吸引気体の流れに抵抗を与え、被吸引気体を断熱圧縮することについても、被吸引気体の温度が高い場合、断熱圧縮による被吸引気体の温度の上昇量がよりいっそう大きくなり得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に被吸引気体の流れが加速し、その速度をよりいっそう増す効果がよりいっそう効果的に生じ得る。したがって、吸引対象物が吸引対象高温物であることにより、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し、吸引力をさらに高め得る。
【0155】
また、吸引対象物が吸引対象高温物である場合、吸引対象高温物周辺の気体が熱せられ、上昇気流となった場合に、吸引口O3の略上方に設けられた上方吸引部43によって吸引対象高温物を吸引し得る。吸引口O3だけでなく上方吸引部43をも用いて吸引対象物を吸引するため、吸引力をよりいっそう高め得る。
【0156】
吸引対象物は、人体に害を及ぼす有害物質を含んでもよい。ノズル4周辺に有害物質がある場合、吸引対象物に含まれる有害物質がノズル4を利用する作業者等の体内に入る等して作業者等の健康を損なうことがあり得る。有害物質を含む吸引対象物を吸引する吸入力を高めることにより、作業者等が健康を損なうことを防ぎ得る。
【0157】
<輸送用部材>
必須の態様ではないが、レーザ照射装置1を輸送する場合において、レーザ照射装置1は、輸送用部材(図示せず)に収容可能であることが好ましい。レーザ照射装置1を輸送する場合においてレーザ照射装置1が輸送用部材に収容可能であることにより、レーザ照射装置1が輸送中に破損することを防ぎ得る。輸送用部材は、レーザ照射装置1を収容可能であれば特に限定されず、輸送用ケースその他の従来技術の輸送用部材でよい。輸送用部材は、レーザ照射装置1を輸送する輸送者が保持可能な輸送用部材保持部を備えることが好ましい。輸送用部材保持部を備えることにより、輸送者は、輸送用部材保持部を介して輸送用部材に収容されたレーザ照射装置1を保持し、レーザ照射装置1を容易に輸送し得る。
【0158】
<<移動式レーザ照射システムS>>
図12は、本実施形態に係る移動式レーザ照射システムSの一例を示す概略正面図である。移動式レーザ照射システムSは、上述したレーザ照射装置1と、レーザ照射装置1の照射部24にレーザを供給可能なレーザ照射支援車両5とを含んで構成される。
【0159】
<レーザ照射支援車両5>
工場及び作業場等によって例示される施設にレーザ照射装置1を設置して使用する場合、幅・奥行き・高さのいずれか1以上が大きい、重量が大きい、特定の場所に固定されている、及び/又は移動に伴う振動等によってその品質を損ない得る等の事情によって施設に移動させることが困難な照射対象にレーザを照射することが難しい。したがって、レーザ照射装置1を移動可能に構成し、施設に移動させることが困難な照射対象にレーザを照射可能とすることに改善の余地がある。
【0160】
移動式レーザ照射システムSがレーザ照射装置1を移動可能なレーザ照射支援車両5を含んで構成されることにより、レーザ照射装置1を移動可能に構成し、レーザ照射部材2を設置した施設に移動させることが困難な照射対象にレーザを照射し得る。
【0161】
本実施形態において、レーザ照射支援車両5は、移動可能な車両本体51と、車両本体51に搭載され、電源から供給された電力を送電可能な送電部53と、車両本体51に搭載され、送電部53によって送電された電力を用いてレーザを供給可能なレーザ供給部54と、車両本体51に搭載され、レーザ照射装置1のノズル4が吸引したヒューム等の吸引対象物を吸引可能な吸引部55と、車両本体51に搭載され、レーザ照射支援車両5を冷却可能な冷却部56と、照射部24に冷却材を供給可能な冷却材供給部(図示せず)とを含んで構成される。必須の態様ではないが、レーザ照射支援車両5は、車両本体51に搭載され、電力を供給可能な電源部52をさらに含んでもよい。電源部52をさらに含むことにより、レーザ照射支援車両5外部の電源を用いることなく、送電部53等に電力を供給し得る。
【0162】
〔車両本体51〕
車両本体51は、レーザ照射支援車両5を構成する各構成要素を搭載しながら移動可能であれば特に限定されず、従来技術の車両でよい。レーザ照射支援車両5が車両本体51を含むことにより、レーザ照射装置1を移動可能に構成し得る。
【0163】
車両本体51は、ワゴン車等によって例示される普通自動車であるか、あるいは、トラック等によって例示される中型自動車及び/又は大型自動車であることが好ましい。車両本体51が普通自動車であることにより、車両本体51が大型自動車等である場合より、レーザ照射支援車両5を容易に運用し得る。車両本体51が中型自動車及び/又は大型自動車であることにより、レーザ照射装置1及び/又はレーザ照射支援車両5を構成する各構成要素の重量等が比較的大きい場合であっても、レーザ照射装置1及び/又はレーザ照射支援車両5を構成する各構成要素を移動可能に構成し得る。
【0164】
〔電源部52〕
電源部52は、レーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部54等に電力を供給可能に構成された電源であれば特に限定されず、従来技術の電源でよい。レーザ照射支援車両5が電源部52を含むことにより、レーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部54等に電力を供給することが難しい場所であっても、レーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部54等に電力を供給し得る。電源部52は、商用電源等によって例示される交流電源から供給される電力を用いる電源部であることが好ましい。電源部52が交流電源から供給される電力を用いる電源部であることにより、電源部52は、該電力の電圧をレーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部54等に適した電圧へ容易に変換し得る。電源部52に電力を供給する交流電源は、特に限定されず、例えば、電圧が100V以上240V以下、周波数が50Hz以上60Hz以下の商用電源、車載電源のうち商用電源と実質的に同じ電圧・周波数を供給可能な交流電源等が挙げられる。
【0165】
電源部52が供給可能な電力は、特に限定されない。電源部52が供給可能な電力の下限は、100VA以上であることが好ましく、1kVA以上であることがより好ましく、10kVA以上であることがさらに好ましい。電源部52が供給可能な電力の下限を上述のとおり定めることにより、レーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部54等が必要とする電力を供給し得る。
【0166】
電源部52が供給可能な電力の上限は、10MVA以下であることが好ましく、1MVA以下であることがより好ましく、100kVA以下であることがさらに好ましい。電源部52が供給可能な電力の上限を上述のとおり定めることにより、大電力による温度上昇等を防ぎ得る。
【0167】
〔送電部53〕
レーザ照射支援車両5が電源部52を備える場合、レーザ照射支援車両5は、電源部52からレーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部54に電力を送ることが可能な送電部53をさらに備えることが好ましい。レーザ照射支援車両5が電源部52からレーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部54に送電可能な送電部53を備えることにより、レーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部54に電源部52が供給する電力を送り得る。
【0168】
〔レーザ供給部54〕
レーザ供給部54は、レーザ照射部材2の照射部24にレーザを供給可能に構成された部材であり、レーザ発振器を含む。レーザ供給部54を備えることにより、照射部24にレーザを供給し得る。これにより、レーザ照射部材2の大きさ及び/又は重量に制限がある場合であっても、比較的大型のレーザ供給部54を必要とする大出力のレーザを照射部24が照射し得る。
【0169】
レーザ供給部54は、レーザ照射部材2の照射部24にレーザを供給可能であれば特に限定されない。レーザ照射装置1が伝送部23を含む場合、レーザ供給部54は、伝送部23を介してレーザ照射部材2の照射部24にレーザを供給可能であることが好ましい。レーザ供給部54が伝送部23を介してレーザ照射部材2の照射部24にレーザを供給可能であることにより、レーザ照射部材2は、レーザ供給部54から離れた場所でレーザを照射し得る。
【0170】
レーザ供給部54は、冷却部56から供給される冷却材によって冷却可能に構成されていることが好ましい。レーザ供給部54が冷却部56から供給される冷却材によって冷却可能に構成されていることにより、高温によるレーザ供給部54の性能低下、故障、及び/又は破損等を防ぎ得る。
【0171】
[レーザ発振器]
レーザ供給部54は、レーザ発振器を含む。レーザ供給部54がレーザ発振器を含むことにより、レーザ供給部54は、レーザ発振器によって発振されたレーザを、照射部24に供給し得る。
【0172】
レーザ発振器は、特に限定されず、CO2レーザ、窒素レーザ、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンイオンレーザ及びエキシマレーザ等によって例示される気体レーザでもよく、YAGレーザ、Nd:YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ及びルビーレーザ等によって例示される固体レーザでもよく、半導体レーザでもよく、化学レーザでもよく、光ファイバをレーザ媒質とするファイバレーザでもよい。中でも、レーザ発振器は、ファイバレーザを含むことが好ましい。消費電力に対する出力が固体レーザ等より高いファイバレーザであることにより、レーザ発振器が小型である場合でも出力が大きいレーザを発振し得る。また、ファイバレーザは、信頼性及び寿命において固体レーザ等より優れているため、レーザ発振器の交換頻度を減らし、レーザ供給部54の保守作業に係る労力を軽減し得る。
【0173】
レーザ発振器は、レーザの励起源として半導体レーザを含むことが好ましい。レーザ発振器がレーザの励起源として半導体レーザを含むことにより、ランプを励起源として用いる場合と比較して、レーザの発振効率を高め、レーザ媒質の熱ゆがみを軽減し得る。また、半導体レーザは、ランプ等より励起源としての寿命が長いため、励起源の交換頻度を減らし、レーザ照射部材2の保守作業に係る労力を軽減し得る。
【0174】
レーザ発振器が発振するレーザの波長は、特に限定されない。レーザの波長の上限は、500マイクロメートル以下であることが好ましく、50マイクロメートル以下であることがより好ましく、5マイクロメートル以下であることがさらに好ましい。レーザの波長の上限を上述のとおり定めることにより、高いエネルギーを有するレーザを照射し得る。レーザの波長の下限は、1ナノメートル以上であることが好ましく、10ナノメートル以上であることがより好ましく、100ナノメートル以上であることがさらに好ましい。レーザの波長の下限を上述のとおり定めることにより、レーザのエネルギーを抑え、レンズ及び/又は照射対象の温度上昇を軽減し得る。
【0175】
レーザ発振器の出力は、特に限定されない。レーザ発振器の出力の下限は、1W以上であることが好ましく、10W以上であることがより好ましく、50W以上であることがさらに好ましい。レーザ発振器の出力の下限を上述のとおり定めることにより、高いエネルギーを有するレーザを照射し得る。レーザ発振器の出力の上限は、10kW以下であることが好ましく、5kW以下であることがより好ましく、3kW以下であることがさらに好ましい。レーザ発振器の出力の上限を上述のとおり定めることにより、レーザのエネルギーを抑え、レンズ及び/又は照射対象の温度上昇を軽減し得る。
【0176】
レーザ発振器は、パルス方式によりレーザを発振可能なレーザ発振器であることが好ましい。レーザ発振器がパルス方式によりレーザを発振可能なレーザ発振器であることにより、レーザを連続発振する場合(CWとも称する。)よりレンズ及び/又は照射対象の温度が上昇することを抑え得る。これにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。また、照射対象の温度上昇を軽減するため、照射対象に微細な加工を行う場合における温度上昇の影響を抑え得る。
【0177】
パルス方式によりレーザを発振させる場合のパルス幅は、特に限定されない。パルス幅の下限は、10フェムト秒以上であることが好ましく、1ピコ秒以上であることがより好ましく、100ピコ秒以上であることがさらに好ましい。パルス幅の下限を上述のとおり定めることにより、照射対象に照射されるレーザのエネルギーを高め得る。なお、ここでいうパルス幅は、レーザの出力が最も高いときの出力であるピーク出力に対して、レーザの出力が50%以上の出力である時間の長さである。
【0178】
パルス幅の上限は、1秒以下であることが好ましく、10ミリ秒以下であることがより好ましく、200ナノ秒以下であることがさらに好ましい。パルス幅の上限を上述のとおり定めることにより、レンズ及び/又は照射対象の温度上昇を抑え得る。これにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。また、照射対象の温度上昇を軽減するため、照射対象に微細な加工を行う場合における温度上昇の影響を抑え得る。
【0179】
パルス方式によりレーザを発振させる場合のパルス周波数は、特に限定されない。パルス周波数の下限は、1Hz以上であることが好ましく、50Hz以上であることがより好ましく、1kHz以上であることがさらに好ましい。パルス周波数の下限を上述のとおり定めることにより、レーザの照射点が移動する場合におけるパルス間の加熱むらを軽減し得る。
【0180】
パルス周波数の上限は、10MHz以下であることが好ましく、1MHz以下であることがより好ましく、500kHz以下であることがさらに好ましい。パルス周波数の上限を上述のとおり定めることにより、レーザの波長が長い場合であっても、パルスを生成し得る。
【0181】
パルス方式によりレーザを発振させる場合のピーク出力は、特に限定されない。ピーク出力の下限は、1W以上であることが好ましく、100W以上であることがより好ましく、10kW以上であることがさらに好ましい。ピーク出力の下限を上述のとおり定めることにより、照射対象に照射されるレーザのエネルギーを高め得る。
【0182】
ピーク出力の上限は、2PW以下であることが好ましく、50GW以下であることがより好ましく、2MW以下であることがさらに好ましい。ピーク出力の上限を上述のとおり定めることにより、レンズ及び/又は照射対象の温度上昇を抑え得る。これにより、熱によるレンズのひずみ、変形及び/又は破損を防ぎ得る。また、照射対象の温度上昇を軽減するため、照射対象に微細な加工を行う場合における温度上昇の影響を抑え得る。
【0183】
[制御部]
レーザ供給部54は、レーザ供給部54の動作をソフトウェアによって制御可能な制御部(図示せず)を含むことが好ましい。レーザ供給部54が制御部を含むことにより、レーザ供給部54が供給するレーザの照射状態、レーザ供給部54が供給するレーザの出力、レーザ供給部54が供給するレーザのパルス幅、及びレーザ供給部54が供給するレーザのパルス周波数等によって例示されるレーザ供給部54の動作をソフトウェアによって制御し得る。レーザ供給部54が制御部を含む場合、制御部は、レーザ供給部54の動作を制御する操作に関する操作手段(インタフェース)を有することが好ましい。制御部がレーザ供給部54の動作を制御する操作に関する操作手段を有することにより、利用者は、操作手段を介してレーザ供給部54の動作を制御する操作を行い得る。操作手段は、特に限定されず、例えば、タッチスクリーン、タッチパネル、及び各種のスイッチ等によって例示される従来技術の操作手段でよい。レーザ供給部54が制御部を含む場合、制御部は、レーザ供給部54の動作に関する情報を表示可能な表示手段を有することが好ましい。制御部が表示手段を有することにより、利用者は、表示手段を介してレーザ供給部54の動作に関する情報を確認し得る。表示手段は、特に限定されず、タッチスクリーン、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、発光ダイオード、及びランプ等によって例示される従来技術の表示手段でよい。
【0184】
〔吸引部55〕
吸引部55は、ノズル4を介して吸引対象物及び/又は吸引対象物を含む被吸引気体を吸引可能に構成された部材である。吸引部55は、ノズル4を介して吸引対象物等を吸引可能に構成された部材であれば特に限定されず、集じん機によって例示される従来技術の吸引対象物等を吸引可能に構成された部材を含んで構成される。
【0185】
吸引部55は、吸引対象物を捕集可能なフィルタを備えることが好ましい。吸引部55が吸引対象物を捕集可能なフィルタを備えることにより、吸引対象物に有害物質が含まれている場合に、吸引対象物に含まれる有害物質の飛散を抑え得る。吸引対象物を捕集可能なフィルタは、特に限定されず、例えば、HEPAフィルタ仕様に準拠したフィルタ及び/又は活性炭を含むフィルタ等でよい。
【0186】
吸引部55は、移送部44を介して吸引対象物等を吸引可能であることが好ましい。吸引部55が移送部44を介して吸引対象物等を吸引可能であることにより、ノズル4は、吸引部55から離れた場所で吸引対象物を吸引し得る。
【0187】
吸引部55の出力は、特に限定されない。吸引部55の出力の下限は、1kW以上であることが好ましく、2kW以上であることがより好ましく、3kW以上であることがさらに好ましい。吸引部55の出力の下限を上述のとおり定めることにより、吸引対象物等をより確実に吸引し得る。吸引部55の出力の上限は、50kW以下であることが好ましく、20kW以下であることがより好ましく、10kW以下であることがさらに好ましい。吸引部55の出力の上限を上述のとおり定めることにより、照射対象等を誤って吸引することを防ぎ得る。
【0188】
吸引部55が吸引対象物等を吸引するときの大気圧との差圧は、特に限定されない。該差圧の上限は、80kPa以下であることが好ましく、60kPa以下であることがより好ましく、50kPa以下であることがさらに好ましい。該差圧の上限を上述のとおり定めることにより、照射対象等を誤って吸引することを防ぎ得る。該差圧の下限は、10kPa以上であることが好ましく、15kPa以上であることがより好ましく、20kPa以上であることがさらに好ましい。該差圧の下限を上述のとおり定めることにより、吸引対象物等をより確実に吸引し得る。
【0189】
〔冷却部56〕
必須の態様ではないが、レーザ照射支援車両5は、レーザ照射支援車両5を冷却可能な冷却部56を備えることが好ましい。レーザ照射支援車両5がレーザ照射支援車両5を冷却可能な冷却部56を備えることにより、レーザ照射支援車両5の温度を常温に近い状態に保ち得る。これにより、レーザ供給部54が含むレーザ発振器について、高温によるレーザ発振器の性能低下、故障、及び/又は破損等を防ぎ得る。レーザ照射支援車両5が冷却部56を備えることにより、レーザ照射装置1の利用者は、より快適な環境でレーザ照射装置1を利用し得る。冷却部56は、レーザ照射支援車両5を冷却可能であれば特に限定されないが、レーザ照射支援車両5の温度を40℃以下に冷却可能な冷却部であることが好ましい。冷却部56が、レーザ照射支援車両5の温度を40℃以下に冷却可能な冷却部であることにより、高温によるレーザ発振器の性能低下、故障、及び/又は破損等をよりいっそう防ぎ得る。また、レーザ照射装置1の利用者は、よりいっそう快適な環境でレーザ照射装置1を利用し得る。
【0190】
冷却部56は、レーザ照射支援車両5を除湿可能であることが好ましい。冷却部56がレーザ照射支援車両5を除湿可能であることにより、レーザ照射支援車両5の湿度を下げ、レーザ供給部54等が多湿によって腐食及び/又は酸化等することを防ぎ得る。また、レーザ照射装置1の利用者は、より快適な環境でレーザ照射装置1を利用し得る。冷却部56がレーザ照射支援車両5を除湿可能である場合、冷却部56は、レーザ照射支援車両5の湿度を60%以下にすることが可能な冷却部であることが好ましく、レーザ照射支援車両5の湿度を50%以下にすることが可能な冷却部であることがより好ましく、レーザ照射支援車両5の湿度を40%以下にすることが可能な冷却部であることがさらに好ましい。冷却部56がレーザ照射支援車両5の湿度を上述の湿度以下にすることが可能な冷却部であることにより、レーザ供給部54等が多湿によって腐食及び/又は酸化等することをよりいっそう防ぎ得る。
【0191】
冷却部56は、チラー等によって例示される、レーザ供給部54に常温より低い温度の液体を供給可能な従来技術の冷却部材を含むことが好ましい。冷却材供給部が常温より低い温度の液体を供給可能な冷却部材を含むことにより、気体より比熱が大きい液体を用いて効果的に、レーザ供給部54が含むレーザ発振器を冷却し得る。
【0192】
〔冷却材供給部〕
冷却材供給部は、照射部24に冷却材を供給可能な部材である。冷却材供給部を含むことにより、照射部24に冷却材を供給し、照射部24を冷却できる。冷却材供給部は、照射部24に冷却材を供給可能な部材であれば特に限定されない。冷却材供給部は、伝送部23を介して照射部24に冷却材を供給可能であることが好ましい。冷却材供給部が伝送部23を介して照射部24に冷却材を供給可能であることにより、冷却材供給部から離れた場所にある照射部24を冷却し得る。
【0193】
冷却材は、特に限定されず、例えば、レーザを照射する場合における照射部24の温度より低い温度の気体(例えば、常温又は常温より低い温度の空気や、常温又は常温より低い温度の乾燥空気)及び/又は液体(例えば、常温又は常温より低い温度の水や、常温又は常温より低い温度の精製水)等を含む従来技術の冷却材でよい。冷却材がレーザを照射する場合における照射部24の温度より低い温度の気体を含むことにより、冷却材を循環させるパイプ等を設置できない部分を冷却し得る。冷却材がレーザを照射する場合における照射部24の温度より低い温度の乾燥空気を含むことにより、気体に含まれる水分によって照射部24が故障等することなく、照射部24を冷却し得る。冷却材がレーザを照射する場合における照射部24の温度より低い温度の液体を含むことにより、より効果的に照射部24を冷却し得る。
【0194】
冷却材が空気及び/又は乾燥空気(以下、空気等とも称する。)を含む場合、冷却材供給部は、コンプレッサー等によって例示される従来技術の空気等を供給可能な冷却部材を含むことが好ましい。冷却材供給部が空気等を供給可能な冷却部材を含むことにより、空気等を用いて照射部24を冷却し得る。冷却材供給部がコンプレッサーを含む場合、コンプレッサーの出力の下限は、0.5kW以上であることが好ましく、1kW以上であることがより好ましく、1.5kW以上であることがさらに好ましい。コンプレッサーの出力の下限を上述のとおり定めることにより、照射部24をよりいっそう効果的に冷却し得る。冷却材供給部がコンプレッサーを含む場合、コンプレッサーが吐出可能な空気等の量の下限は、毎分0.05立方メートル以上であることが好ましく、毎分0.1立方メートル以上であることがより好ましく、毎分0.15立方メートル以上であることがさらに好ましい。コンプレッサーが吐出可能な空気等の量の下限を上述のとおり定めることにより、照射部24をよりいっそう効果的に冷却し得る。冷却材が乾燥空気である場合、冷却材供給部は、乾燥空気に含まれる水分を除去可能なドライヤーを含むことが好ましい。冷却材供給部が乾燥空気に含まれる水分を除去可能なドライヤーを含むことにより、乾燥空気をよりいっそう乾燥した状態に保ち得る。冷却材が乾燥空気である場合、冷却材供給部は、空気等から粉じん、ちり、及びほこり等によって例示される異物を捕集可能なフィルタを備えることが好ましい。冷却材供給部が異物を捕集可能なフィルタを備えることにより、冷却材として用いる空気等に異物が混入して照射部24が破損及び/又は故障することを防ぎ得る。
【0195】
冷却材が常温より低い温度の液体を含む場合、冷却材供給部は、チラー等によって例示される常温より低い温度の液体を供給可能な従来技術の冷却部材を含むことが好ましい。冷却材供給部が常温より低い温度の液体を供給可能な冷却部材を含むことにより、液体より比熱が小さい気体のみを冷却材として用いる場合より効果的に、照射部24を冷却し得る。
【0196】
<<可搬式レーザ照射システムP>>
図13は、本実施形態に係る可搬式レーザ照射システムPの一例を示す概略正面図である。可搬式レーザ照射システムPは、上述したレーザ照射装置1と、持ち運び可能に構成され、レーザ照射装置1の照射部24にレーザを供給可能なレーザ照射支援装置6と、レーザ照射装置1のノズル4が吸引した吸引対象物を吸引可能な吸引装置7と、を含んで構成される。
【0197】
<レーザ照射支援装置6>
工場及び作業場等によって例示される施設にレーザ照射装置1を設置して使用する場合、幅・奥行き・高さのいずれか1以上が大きい、重量が大きい、特定の場所に固定されている、及び/又は移動に伴う振動等によってその品質を損ない得る等の事情によって施設に移動させることが困難な照射対象にレーザを照射することが難しい。したがって、レーザ照射装置1にレーザを供給する装置を移動可能に構成し、施設に移動させることが困難な照射対象にレーザを照射可能とすることに改善の余地がある。
【0198】
可搬式レーザ照射システムPが持ち運び可能に構成され、レーザ照射装置1の照射部24にレーザを供給可能なレーザ照射支援装置6を含んで構成されることにより、可搬式レーザ照射システムPを移動可能に構成し、レーザ照射装置1を設置した施設に移動させることが困難な照射対象にレーザを照射し得る。
【0199】
本実施形態において、レーザ照射支援装置6は、移動可能な装置本体61と、装置本体61に収容され、電力を供給可能な電源部62と、装置本体61に収容され、電源部62によって供給された電力を用いてレーザを供給可能なレーザ供給部63と、を含んで構成される。
【0200】
レーザ照射支援装置6の重量は、特に限定されない。レーザ照射支援装置6の重量の下限は、5kg以上であることが好ましく、10kg以上であることがより好ましく、15kg以上であることがさらに好ましい。レーザ照射支援装置6の重量の下限を上述のとおり定めることにより、大出力のレーザを供給可能な比較的大型のレーザ供給部63を含む構成とし得る。
【0201】
レーザ照射支援装置6の重量の上限は、30kg以下であることが好ましく、25kg以下であることがより好ましく、20kg以下であることがさらに好ましい。レーザ照射支援装置6の重量の上限を上述のとおり定めることにより、レーザ照射支援装置6を持ち運ぶ輸送者がレーザ照射支援装置6を持ち運び可能とし得る。
【0202】
〔装置本体61〕
装置本体61は、レーザ照射支援可搬体6を構成する各構成要素を収容して移動可能であれば特に限定されず、収容ケース等によって例示される従来技術の収容部材を用いた本体でよい。レーザ照射支援装置6が装置本体61を含むことにより、可搬式レーザ照射システムPを移動可能に構成し得る。
【0203】
[制御部]
装置本体61は、レーザ供給部63の動作をソフトウェアによって制御可能な制御部(図示せず)を含むことが好ましい。装置本体61が制御部を含むことにより、レーザ供給部63が供給するレーザの照射状態、レーザ供給部63が供給するレーザの出力、レーザ供給部63が供給するレーザのパルス幅、及びレーザ供給部63が供給するレーザのパルス周波数等によって例示されるレーザ供給部63の動作をソフトウェアによって制御し得る。装置本体61が制御部を含む場合、制御部は、レーザ供給部63の動作を制御する操作に関する操作手段(インタフェース)を有することが好ましい。制御部がレーザ供給部63の動作を制御する操作に関する操作手段を有することにより、利用者は、操作手段を介してレーザ供給部63の動作を制御する操作を行い得る。操作手段は、特に限定されず、例えば、タッチスクリーン、タッチパネル、及び各種のスイッチ等によって例示される従来技術の操作手段でよい。装置本体61が制御部を含む場合、制御部は、レーザ供給部63の動作に関する情報を表示可能な表示手段を有することが好ましい。制御部が表示手段を有することにより、利用者は、表示手段を介してレーザ供給部63の動作に関する情報を確認し得る。表示手段は、特に限定されず、タッチスクリーン、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、発光ダイオード、及びランプ等によって例示される従来技術の表示手段でよい。
【0204】
〔電源部62〕
電源部62は、レーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部63等に電力を供給可能に構成された電源であれば特に限定されず、従来技術の電源でよい。レーザ照射支援装置6が電源部62を含むことにより、レーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部63等に電力を供給し得る。電源部62は、商用電源等によって例示される交流電源から供給される電力を用いる電源部であることが好ましい。電源部62が交流電源から供給される電力を用いる電源部であることにより、電源部62は、該電力の電圧をレーザ照射部材2及び/又はレーザ供給部63等に適した電圧へ容易に変換し得る。電源部62に電力を供給する交流電源は、特に限定されず、例えば、電圧が100V以上240V以下、周波数が50Hz以上60Hz以下の商用電源、車載電源のうち商用電源と実質的に同じ電圧・周波数を供給可能な交流電源等が挙げられる。
【0205】
〔レーザ供給部63〕
レーザ供給部63は、レーザ照射部材2の照射部24にレーザを供給可能に構成された部材である。レーザ供給部63を備えることにより、照射部24がレーザ照射部材2と別体に構成されたレーザ供給部から伝送されたレーザを照射可能に構成された部材である場合に、照射部24にレーザを供給し得る。これにより、レーザ照射部材2の大きさ及び/又は重量に制限がある場合であっても、比較的大型のレーザ供給部63を必要とする大出力のレーザを照射部24が照射し得る。
【0206】
レーザ供給部63は、レーザ照射部材2の照射部24にレーザを供給可能であれば特に限定されない。レーザ供給部63は、レーザ供給部54が含み得るレーザ発振器と同様のレーザ発振器を含む。レーザ照射装置1が伝送部23を含む場合、レーザ供給部63は、伝送部23を介してレーザ照射部材2の照射部24にレーザを供給可能であることが好ましい。レーザ供給部63が伝送部23を介してレーザ照射部材2の照射部24にレーザを供給可能であることにより、レーザ照射部材2は、レーザ供給部63から離れた場所でレーザを照射し得る。
【0207】
<吸引装置7>
吸引装置7は、ノズル4を介して吸引対象物及び/又は吸引対象物を含む被吸引気体を吸引可能に構成された装置であり、吸引部55と同様の構成でよい。吸引装置7は、例えば、吸引対象物及び/又は吸引対象物を含む被吸引気体を吸引可能に構成された集じん機でよい。
【0208】
<<レーザ照射装置1の使用例>>
図14は、レーザ照射装置1の使用方法の一例を示す概略図である。
図15は、
図14のレーザL周辺を拡大した図である。以下、
図14及び
図15を参照しながら、本実施形態のレーザ照射装置1の使用例を説明する。
【0209】
〔輸送用部材からの取り出し〕
レーザ照射装置1の利用者(以下、単に利用者とも称する。)は、輸送用部材からレーザ照射装置1を取り出す。利用者は、レーザ照射装置1を安定した場所に置く。利用者がレーザ照射装置1を安定した場所に置くことにより、レーザ照射装置1が転倒することを防ぎ得る。
【0210】
〔電源への接続〕
利用者は、レーザLの照射方向を可燃物及び他の作業者等が存在しない方向に向け、それからレーザ照射装置1を電源に接続する。レーザの照射方向を可燃物及び他の作業者等が存在しない方向に向け、それからレーザ照射装置1を電源に接続することにより、電源に接続したときにレーザLが照射されたとしても、レーザLが可燃物を発火させること及び/又は他の作業者等に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0211】
〔レンズFの収容〕
レーザ照射装置1の利用者は、例えば、(a)レーザ照射部材2に頂面側本体部311を取り付け、(b)頂面側本体部311に設けられた頂面側開口O2を介してレンズFをレーザ照射部材2に取り付け、(c)本体部31にレンズFを収容するよう底面側本体部312を頂面側本体部311に取り付け、(d)レンズFの焦点距離に応じたノズル本体41をノズル4に取り付ける一連の手順等によって、レンズFをレンズ収容部材3に収容する。これにより、
図15に示す、レンズFがレンズ収容部材3に収容された状態になる。レンズFがレンズ収容部材3に収容された状態において、本体部31に収容されているレンズFと、レンズ収容部材3の底面31B、左側面31L及び右側面31Rとによってレンズ収容部材3の内部である空間Cが画定される。(a)の手順においてレーザ照射部材2に頂面側本体部311を取り付ける方法は、特に限定されず、レーザ照射部材2と頂面側本体部311とを篏合する方法、レーザ照射部材2と頂面側本体部311とを螺合する方法、レーザ照射部材2と頂面側本体部311とをねじ止めする方法等のレーザ照射部材2に頂面側本体部311を取り付ける方法でよい。
【0212】
レンズFを取り付けていない場合、レーザLがレンズFによって集束されず、略平行に進むため、レーザLの照射による加熱の効果が小さくなる。レンズFの焦点距離とレンズFから照射対象Tへの距離とが一致する場合に、レーザLの照射による加熱の効果が最大となる。また、レンズFの焦点距離とレンズFから照射対象Tへの距離とが一致しない場合は、レーザLの照射による加熱の効果は小さくなる。
【0213】
レンズFの収容に係る(a)の手順において、利用者は、レンズFを取り付けていないレーザ照射部材2に頂面側本体部311を取り付ける。したがって、仮にレーザLが利用者の手に照射されたとしても、レーザLの照射による加熱の効果が小さく、利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0214】
レンズFの収容に係る(b)の手順において、利用者は、レンズF及び/又は頂面側本体部311の近傍を触れ得る。レンズFからこれらの位置までの距離と、レンズFの焦点距離とが一致しないため、レーザLの照射による加熱の効果は小さい。したがって、仮にレーザLが利用者の手に照射されたとしても、レーザLの照射による加熱の効果が小さく、利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0215】
レンズFの収容に係る(c)の手順において、利用者は、レンズF、頂面側本体部311、及び/又は底面側本体部312の近傍を触れ得る。レンズFからこれらの位置までの距離と、レンズFの焦点距離とが一致しないため、レーザLの照射による加熱の効果は小さい。したがって、仮にレーザLが利用者の手に照射されたとしても、レーザLの照射による加熱の効果が小さく、利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0216】
レンズFの収容に係る(d)の手順において、利用者は、着脱部45近傍を触れ得る。レンズFから着脱部45近傍までの距離と、レンズFの焦点距離とが一致しないため、レーザLの照射による加熱の効果は小さい。したがって、仮にレーザLが利用者の手に照射されたとしても、レーザLの照射による加熱の効果が小さく、利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0217】
〔保護メガネの着用〕
利用者は、保護メガネを着用する。利用者が保護メガネを着用することにより、レーザL及び/又は反射レーザRが目の近傍に照射された場合に、レーザL及び/又は反射レーザRによる失明及び/又は目の損傷等を防ぎ得る。
【0218】
〔レーザLの照射〕
図14に戻る。利用者は、保持部21を用いてレーザ照射部材2を保持し、吸引口O3が照射対象Tの近傍となり、レーザ照射部材2が照射するレーザLの照射点が照射対象Tと略一致するようにレーザ照射部材2を移動させる。利用者は、操作部22を操作してレーザLを照射対象Tに照射する。これにより、レーザLが照射対象Tに照射され、照射対象Tから蒸発した残滓がヒュームHとなり得る。また、レーザLの一部は、反射レーザRとなってレンズ収容部材3の方向を含む様々な方向に散乱し得る。
【0219】
照射対象TにレーザLを照射することにより、照射対象Tが素材表面に付着した付着物である場合、付着物を加熱し、素材表面から蒸発及び/又は剥離させ得る。また、照射対象Tが金属である場合、蒸発した照射対象Tの一部がプラズマとなり得る。このプラズマが雰囲気に含まれる酸素と結合して酸化して照射対象Tの表面に付着することにより、照射対象Tの表面に安定酸化被膜を形成し得る。これにより、照射対象Tに防さび効果及び/又は耐食効果を与え得る。
【0220】
照射対象TにレーザLを照射する間において、利用者は、操作部22を用いてレーザLの照射パターンを切り替えてもよい。照射対象TにレーザLを照射する間において、利用者は、操作部22を用いてレーザLの出力を変更してもよい。照射対象TにレーザLを照射する間において、利用者は、操作部22を用いてレーザLの照射方向を変えてもよい。
【0221】
〔ヒュームHの吸引〕
図15に示すように、ヒュームHの一部は、照射対象T周辺において、照射対象周辺ヒュームH1となり得る。照射対象周辺ヒュームH1が照射対象Tに付着すると、照射対象Tの品質を損ない得る。
【0222】
レーザ加工時に発生するヒュームH(吸引対象物)を吸引可能な吸引口O3が設けられた中空状のノズル本体41を備えるため、照射対象周辺ヒュームH1を吸引口O3において吸引して捕集し得る。照射対象周辺ヒュームH1を吸引可能な方向からみたとき、吸引口O3の長手方向の長さが短手方向の長さに対して4倍以上であるため、照射対象周辺ヒュームH1を含む被吸引気体がノズル4外部から吸引口O3を通過する場合に、被吸引気体が流れる流路の断面積が小さくなる。これにより、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、被吸引気体の流れの速度を増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる照射対象周辺ヒュームH1を吸引する吸引力を改善し得る。
【0223】
また、構造体42によって、被吸引気体が流れる流路の断面積が小さくなり得る。これにより、照射対象周辺ヒュームH1を含む被吸引気体が構造体42周辺を通過するときに、流体が流れる流路の断面積が小さくなる。そして、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる照射対象周辺ヒュームH1を吸引する吸引力を改善し得る。
【0224】
構造体42によって、被吸引気体の流れに抵抗を与え、被吸引気体を断熱圧縮し得る。そして、断熱圧縮により、被吸引気体の温度が上昇し得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に被吸引気体の流れが加速し、その速度をよりいっそう増す効果が生じ得る。したがって、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に、被吸引気体に含まれる照射対象周辺ヒュームH1を吸引する吸引力を改善し得る。
【0225】
構造体42が吸引口O3の両端とは異なる場所に取り付けられている場合、構造体42が被吸引気体の流れを複数の流れに分割し、分割されたそれぞれの流れについて、流路の断面積を小さくし得る。そして、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる照射対象周辺ヒュームH1を吸引する吸引力を改善し得る。
【0226】
構造体42が吸引口O3の両端とは異なる場所に取り付けられている場合、構造体42が被吸引気体の流れを複数の流れに分割し、分割されたそれぞれの流れについて、被吸引気体を断熱圧縮し得る。これにより、被吸引気体がよりいっそう効率的に断熱圧縮され、その温度を上昇させ得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に被吸引気体の流れが加速し、その速度をよりいっそう増す効果がよりいっそう生じ得る。したがって、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に、被吸引気体に含まれる照射対象周辺ヒュームH1を吸引する吸引力を改善し得る。
【0227】
吸引口O3から吸引された照射対象周辺ヒュームH1を含む被吸引気体が幅広部41Aから幅狭部41Bに入るときに、被吸引気体が流れる流路の断面積が小さくなる。これにより、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に流体の流れの速度が増加するベンチュリ効果が生じ、被吸引気体の流れの速度をよりいっそう増し得る。したがって、被吸引気体に含まれる照射対象周辺ヒュームH1を吸引する吸引力を改善し得る。
【0228】
気体等の圧縮性流体の流れにおいて、流体が流れる流路の断面積を小さくした場合に、流体が外部と熱をやりとりせずに圧縮される断熱圧縮が生じ得る。また、気体等の圧縮性流体の流れにおいて、流れが亜音速の流れである場合に流体の温度が上昇すると流れが加速する現象が知られている。
【0229】
照射対象周辺ヒュームH1を含む被吸引気体が幅広部41Aから幅狭部41Bに入るときに被吸引気体が断熱圧縮され、被吸引気体の温度が上昇し得る。これにより、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に被吸引気体の流れが加速し、その速度をよりいっそう増す効果が生じ得る。したがって、被吸引気体の流れが亜音速の流れである場合に、被吸引気体に含まれる照射対象周辺ヒュームH1を吸引する吸引力を改善し得る。
【0230】
〔ヒュームHの移動〕
ヒュームHは、照射対象Tから蒸発した残滓から形成されるため、照射対象T周辺の温度より高い温度を有する。これにより、ヒュームH周辺の気体が熱せられ、上昇気流となり得る。そのため、ヒュームHの一部は、上昇気流によって上昇し、レンズ収容部材3の周辺に移動し、レンズ収容部材周辺ヒュームH2となり得る。
【0231】
レンズFを本体部31に収容することにより、レンズFにレンズ収容部材周辺ヒュームH2が付着することを抑え得る。
【0232】
ところで、頂面31Tから底面31Bに向けて本体部31を介してレーザLを通過可能であり、底面31Bに底面側開口O1が設けられているため、レンズFを本体部31に収容した場合に、底面側開口O1を介してレーザLを対象物に照射し得る。そして、この底面側開口O1が、レンズ収容部材3の外部からレンズ収容部材3の内部である空間Cに向けてレンズ収容部材周辺ヒュームH2が侵入し、レンズ収容部材周辺ヒュームH2がレンズFに付着することの原因になり得る。
【0233】
図15に示すように、気体導入部32が第1気体G1を空間Cに導入するため、空間Cに導入された第1気体G1は、空間Cからレンズ収容部材3の外部に向けて底面側開口O1を通過する第1気体G1の流れとなる。第1気体G1の流れ方向FD1に流れるこの第1気体G1の流れにより、レンズ収容部材3の外部において底面側開口O1の近傍にあるレンズ収容部材周辺ヒュームH2は、底面側開口O1から離れる方向に押される。これにより、底面側開口O1の存在がレンズFへのヒュームH付着の原因になることを防ぎ得る。
【0234】
加えて、収容したレンズFへのヒュームHの付着を抑えることにより、収容したレンズFに付着したヒュームHがレーザLを吸収し、収容したレンズFの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズFの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズFのひずみ、変形、及び/又は破損を防ぎ得る。
【0235】
気体送出部33をさらに備えることにより、第1気体G1の流れ方向FD1と略直交する方向FD2に送出される第2気体G2は、底面側開口O1を通過して照射されるレーザLを吸収し得る位置にあるレンズ収容部材周辺ヒュームH2を、底面側開口O1を通過するレーザLの方向と略直交する方向に押し、レーザLを吸収しない位置に移動させ得る。したがって、レンズ収容部材周辺ヒュームH2がレーザLの照射に及ぼす悪影響をよりいっそう軽減し得る。
【0236】
〔反射レーザRの分散〕
図14に戻る。照射対象Tに照射されたレーザLの一部は、反射レーザRとなってレンズ収容部材3の方向を含む様々な方向に散乱し得る。レーザLの照射対象Tにおいて反射された反射レーザRがレンズ収容部材3に向かうと、反射レーザRによってレンズ収容部材3の温度が上昇し得る。温度が上昇したレンズ収容部材3は、レンズ収容部材3からの輻射熱及び/又は熱伝導等によって収容したレンズFを加熱し、収容したレンズFの温度を上昇させ得る。
【0237】
本体部31がレーザLの照射対象Tにおいて反射された反射レーザRを分散可能な反射レーザ分散構造Dを底面31Bに有することにより、反射レーザ分散構造Dによって反射レーザRが分散され、反射レーザRによるレンズ収容部材3の温度上昇を軽減し得る。これにより、収容したレンズFの温度上昇を軽減し得る。収容したレンズFの温度上昇を軽減することにより、熱によるレンズFのひずみ、変形、及び/又は破損を防ぎ得る。
【0238】
〔照射対象Tの冷却〕
必須の態様ではないが、照射対象TにレーザLを照射する場合に、二酸化炭素ガス、LPガス、窒素ガス、及びヘリウムガス等によって例示される冷却ガスを照射対象Tに噴射し、照射対象Tの温度を低下させてもよい。これにより、照射対象Tの温度上昇を軽減し、高温による照射対象Tの品質低下を防ぎ得る。
【0239】
〔レンズFの交換〕
利用者は、照射対象Tの形状等に応じて、レンズFを交換可能である。利用者は、例えば、(A)ノズル本体41をノズル4から取り外し、(B)底面側本体部312を頂面側本体部311から取り外し、(C)交換前のレンズFをレーザ照射部材2から取り外し、(D)頂面側本体部311に設けられた頂面側開口O2を介して交換後のレンズFをレーザ照射部材2に取り付け、(E)本体部31に交換後のレンズFを収容するよう底面側本体部312を頂面側本体部311に取り付け、(F)交換後のレンズFの焦点距離に応じたノズル本体41をノズル4に取り付ける一連の手順及び/又はレンズ交換操作部25を用いてレーザの照射に用いられるレンズFを交換する手順等によって、レンズFを交換する。
【0240】
レンズFの交換に係る(A)の手順において、利用者は、着脱部45近傍を触れ得る。レンズFから着脱部45近傍までの距離と、レンズFの焦点距離とが一致しないため、レーザLの照射による加熱の効果は小さい。したがって、仮にレーザLが利用者の手に照射されたとしても、レーザLの照射による加熱の効果が小さく、利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0241】
レンズFの交換に係る(B)の手順において、利用者は、レンズF、頂面側本体部311、及び/又は底面側本体部312の近傍を触れ得る。レンズFからこれらの位置までの距離と、レンズFの焦点距離とが一致しないため、レーザLの照射による加熱の効果は小さい。したがって、仮にレーザLが利用者の手に照射されたとしても、レーザLの照射による加熱の効果が小さく、利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0242】
レンズFの交換に係る(C)の手順において、利用者は、レンズF及び/又は頂面側本体部311の近傍を触れ得る。レンズFからこれらの位置までの距離と、レンズFの焦点距離とが一致しないため、レーザLの照射による加熱の効果は小さい。したがって、仮にレーザLが利用者の手に照射されたとしても、レーザLの照射による加熱の効果が小さく、利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0243】
レンズFの交換に係る(D)~(F)の手順については、レンズFの収容に係る(b)~(d)の手順と同様である。
【0244】
レンズ交換操作部25を用いてレーザの照射に用いられるレンズFを交換する手順において、利用者は、レーザLが照射される位置を触れることがない。したがって、レーザLが利用者の手に大きな損傷を与えることを防ぎ得る。
【0245】
〔レーザ照射の終了〕
利用者は、操作部22を介してレーザLの照射を終了する。利用者は、レーザ照射装置1を電源から取り外す。利用者は、レーザ照射装置1を輸送用部材に収容する。
【0246】
本実施形態によれば、光学部品へのヒュームHの付着をよりいっそう抑えるとともに、光学部品の温度上昇を軽減し、光学部品のひずみ、変形、及び/又は破損を防ぐことが可能なレンズ収容部材3を提供できる。
【0247】
また、本実施形態によれば、吸引力を改善し得るノズル4を提供できる。
【0248】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0249】
また、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0250】
1 レーザ照射装置
2 レーザ照射部材
21 保持部
22 操作部
23 伝送部
24 照射部
25 レンズ交換操作部
3 レンズ収容部材
31 本体部
311 頂面側本体部
312 底面側本体部
31T 頂面
31B 底面
31L 左側面
31R 右側面
32 気体導入部
33 気体送出部
4 ノズル
41 ノズル本体
41A 幅広部
41B 幅狭部
42 構造体
43 上方吸引部
44 移送部
45 着脱部
5 レーザ照射支援車両
51 車両本体
52 電源部
53 送電部
54 レーザ供給部
55 吸引部
56 冷却部
6 レーザ照射支援装置
61 装置本体
62 電源部
63 レーザ供給部
7 吸引装置
C 空間
D 反射レーザ分散構造
F レンズ
G1 第1気体
G2 第2気体
H ヒューム
H1 照射対象周辺ヒューム
H2 レンズ収容部材周辺ヒューム
L レーザ照射方向
N 細孔
O1 底面側開口
O2 頂面側開口
O3 吸引口
O4 上方吸引口
O5 合流口
O6 上方開口
P 可搬式レーザ照射システム
R 反射レーザ
S 移動式レーザ照射システム
T 照射対象