(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080909
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】密封装置
(51)【国際特許分類】
F16D 25/0638 20060101AFI20220524BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20220524BHJP
F16D 25/12 20060101ALI20220524BHJP
F16J 15/3204 20160101ALI20220524BHJP
【FI】
F16D25/0638
F16J15/16 A
F16D25/12 B
F16J15/3204 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192124
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 侑希
(72)【発明者】
【氏名】後藤 喜一郎
【テーマコード(参考)】
3J006
3J043
3J057
【Fターム(参考)】
3J006AE22
3J006CA01
3J043AA12
3J043CB13
3J043DA10
3J057AA04
3J057BB04
3J057CA03
3J057CA09
3J057DA20
3J057DC05
3J057DC07
3J057EE04
3J057GA80
(57)【要約】
【課題】組み立て作業性に優れ、かつ、使用中にスプリングが捩じれたり移動したりすることを抑制することが可能な密封装置を提供する。
【解決手段】環状ピストン100と、キャンセラーシール200と、複数のスプリング500と、を備える密封装置であって、キャンセルプレート210は、複数のスプリング500の一端側にそれぞれ入り込むことで個々のスプリング500を位置決めする複数の位置決め用突起212aと、スプリング500の外周側をガイドするガイド部211aと、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状空間内において往復移動自在に備えられ、前記環状空間の一端側に形成される油圧室内の油圧に応じて往復移動することに伴って、クラッチ板を押圧または押圧解除することにより、クラッチによる動力の伝達と伝達解除を切り替える環状ピストンと、
前記環状ピストンを挟んで、前記油圧室とは反対側に配置されて、前記環状ピストンとの間に、前記油圧室内に生ずる遠心油圧を相殺する油圧を生じさせるキャンセル室を形成するキャンセルプレートを有するキャンセラーシールと、
前記環状ピストンと前記キャンセラーシールとの間に配される複数のスプリングと、
を備える密封装置であって、
前記キャンセルプレートは、
前記複数のスプリングの一端側にそれぞれ入り込むことで個々のスプリングを位置決めする複数の位置決め用突起と、
前記スプリングの外周側をガイドするガイド部と、
を備えることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
前記キャンセルプレートは筒状部を有しており、
前記筒状部に、前記ガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、径方向内側に突出する少なくとも一つの突出部により構成されることを特徴とする請求項2に記載の密封装置。
【請求項4】
前記環状ピストンに、前記複数のスプリングをそれぞれ固定する複数の固定部が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の密封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機に用いられる密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機においては、動力の伝達と伝達解除を行うためのクラッチを駆動する油圧アクチュエータに、密封装置が備えられている。
図3及び
図4を参照して、従来例に係る密封装置について説明する。
図3は従来例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータの模式的断面図である。
図4は従来例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートの平面図である。
【0003】
油圧アクチュエータは、環状シリンダ630と、環状シリンダ630に備えられる環状空間R0内において往復移動自在に備えられる環状ピストン610とを備えている。環状ピストン610は、環状空間R0の一端側に形成される油圧室R1内の油圧に応じて往復移動することに伴って、クラッチ板を押圧または押圧解除することにより、クラッチ640による動力の伝達と伝達解除の切り替えを行う役割を担っている。また、環状ピストン610を挟んで、油圧室R1とは反対側には、キャンセルプレート621を有するキャンセラーシール620が配置されている。このキャンセラーシール620によって、環状ピストン610との間に、油圧室R1内に生ずる遠心油圧を相殺する油圧を生じさせるキャンセル室R2が形成される。
【0004】
そして、環状ピストン610とキャンセラーシール620との間には、複数のスプリング(リターンスプリングとも呼ばれる)650が配されている。これにより、油圧室R1内の油圧が高くなると、スプリング650の押圧力に抗して環状ピストン610がクラッチ640に向かって移動して、クラッチ板を押圧した状態となる。また、油圧室R1内の油圧が低くなると、スプリング650の押圧力によって、環状ピストン610はクラッチ640から離れる方向に移動して、クラッチ板への押圧が解除される。
【0005】
以上のように構成される密封装置においては、密封装置の組み立て作業性を高め、かつ、使用中にスプリング650が捩じれたり移動したりしないように、キャンセルプレート621にスプリング650のガイド構造を設ける技術が知られている。すなわち、キャンセルプレート621には、径方向内側に突出する複数の突出部621bを有する筒状部621aが設けられている。これら複数の突出部621bは、周方向に間隔を空けて設けられており、隣り合う突出部621bの間にスプリング650が配される。これにより、複数のスプリング650は、隣り合う突出部621bによって、保持されて、位置決めされる。なお、
図4においては、スプリング650の位置を点線にて示している。
【0006】
このような構成を採用することで、密封装置の組み立て時において、環状ピストン610及びスプリング650に対するキャンセラーシール620の位置調整が容易となり、組み立て作業性が高まる。また、使用中にスプリング650が捩じれたり移動したりすることを抑制することができる。
【0007】
ここで、スプリング650をより確実に保持させるためには、突出部621bの突出量をより大きくするのが望ましい。すなわち、環状のキャンセルプレート621の中心から突出部621bの先端までの距離L61は、短いほど望ましい。例えば、上記の中心からスプリング650の中心までの距離をL62とすると、L61≦L62とするのが望ましい。
【0008】
しかしながら、キャンセルプレート621は、金属板を板金加工することによって得られる。そのため、突出部621bを突出させ過ぎると、部分的に板厚が薄くなりすぎたり、孔が空いたりしてしまうため、突出部621bの突出量には限度がある。従って、スプリング650の外周面を保持する領域を拡げるにも限度があり、スプリング650の位置決め機能が不十分になってしまうおそれもある。また、突出部621bの突出量を大きくしたくても、キャンセルプレート621の材質によっては、上記の筒状部621aを所望の形状に加工するのが困難な場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、組み立て作業性に優れ、かつ、使用中にスプリングが捩じれたり移動したりすることを抑制することが可能な密封装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0012】
すなわち、本発明の密封装置は、
環状空間内において往復移動自在に備えられ、前記環状空間の一端側に形成される油圧室内の油圧に応じて往復移動することに伴って、クラッチ板を押圧または押圧解除することにより、クラッチによる動力の伝達と伝達解除を切り替える環状ピストンと、
前記環状ピストンを挟んで、前記油圧室とは反対側に配置されて、前記環状ピストンとの間に、前記油圧室内に生ずる遠心油圧を相殺する油圧を生じさせるキャンセル室を形成するキャンセルプレートを有するキャンセラーシールと、
前記環状ピストンと前記キャンセラーシールとの間に配される複数のスプリングと、
を備える密封装置であって、
前記キャンセルプレートは、
前記複数のスプリングの一端側にそれぞれ入り込むことで個々のスプリングを位置決めする複数の位置決め用突起と、
前記スプリングの外周側をガイドするガイド部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、複数のスプリングは、複数の位置決め用突起により位置決めされ、かつ、ガイド部によって、スプリングの外周側がガイドされる。これにより、ガイド部については、従来技術のように突出量を大きくした突出部により構成しなくても、スプリングの位置決めが可能となる。また、ガイド部が設けられていることで、密封装置の組み立て作業性も高まる。更に、ガイド部によって、スプリングの外周側がガイドされることで、環状ピストンとキャンセラーシールとが周方向に対して相対的に移動してしまうことが抑制されるので、スプリングが捩じれてしまうことを抑制することができる。
【0014】
前記キャンセルプレートは筒状部を有しており、
前記筒状部に、前記ガイド部が形成されているとよい。
【0015】
前記ガイド部は、径方向内側に突出する少なくとも一つの突出部により構成されるとよい。
【0016】
このように、ガイド部は少なくとも一つの突出部を設けることで、密封装置の組み立て
作業性を高めることができ、かつ、環状ピストンとキャンセラーシールとが周方向に対して相対的に移動してしまうことを抑制できる。
【0017】
前記環状ピストンに、前記複数のスプリングをそれぞれ固定する複数の固定部が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、密封装置の組み立て作業性に優れ、かつ、使用中にスプリングが捩じれたり移動したりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータの模式的断面図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートの平面図である。
【
図3】
図3は従来例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータの模式的断面図である。
【
図4】
図4は従来例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
(実施例)
図1及び
図2を参照して、本発明の実施例に係る密封装置について説明する。
図1は本発明の実施例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータの模式的断面図である。
図1においては、環状の密封装置における回転中心軸線を含む面で各部材を切断した断面図を示している。なお、
図1中右側が中心軸線側である。
図2は本発明の実施例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートの平面図である。
図1中のキャンセルプレートの断面図は、
図2中のAA断面図に相当する。なお、以下の説明において、環状の密封装置等の回転中心軸線が伸びる方向を「軸方向」と称する。
【0022】
<油圧アクチュエータ>
図1を参照して、本実施例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータについて説明する。本実施例に係る油圧アクチュエータは、環状シリンダ300と、環状シリンダ300に備えられる環状空間R0内において往復移動自在に備えられる環状ピストン100とを備えている。この環状ピストン100は、環状空間R0の一端側に形成される油圧室R1内の油圧に応じて往復移動することに伴って、クラッチ板を押圧または押圧解除することにより、クラッチ400による動力の伝達と伝達解除の切り替えを行う役割を担っている。また、環状ピストン100を挟んで、油圧室R1とは反対側には、キャンセルプレート210を有するキャンセラーシール200が配置されている。このキャンセラーシール200によって、環状ピストン100との間に、油圧室R1内に生ずる遠心油圧を相殺する油圧を生じさせるキャンセル室R2が形成される。また、環状ピストン100とキャンセラーシール200との間には、スプリング500が、周方向に間隔を空けて複数設けられている。このスプリング500は、リターンスプリングとも呼ばれる。これら環状ピストン100とキャンセラーシール200とスプリング500は、本実施例に係る密封装置の主要構成部材である。
【0023】
環状ピストン100は、金属製のピストン本体110と、ピストン本体110の内周面側に備えられる第1シールリップ120と、ピストン本体110の外周面側に備えられる第2シールリップ130とを備えている。ピストン本体110は、鋼板などの金属板を打ち抜きプレス成形することにより得られる。このピストン本体110は、略平板部111と、略平板部111の径方向内側に設けられる内筒部112と、内筒部112の先端に設けられる内向きフランジ部113と、略平板部111の径方向外側に設けられる外筒部114とを有している。そして、内向きフランジ部113の先端に第1シールリップ120が設けられており、略平板部111と外筒部114との境界付近に第2シールリップ130が設けられている。第1シールリップ120と第2シールリップ130は、ゴムなどの弾性体により構成される。例えば、ピストン本体110をインサート部品として、インサート成形することにより、第1シールリップ120及び第2シールリップ130をピストン本体110に一体的に設けることができる。なお、図示の例では、第1シールリップ120と第2シールリップ130は、別体として設けられているが、これらを一体に繋げても構わない。なお、環状ピストン100のピストン本体110に、複数のスプリング500をそれぞれ固定する複数の固定部116が設けられている。
【0024】
キャンセラーシール200は、金属製のキャンセルプレート210と、キャンセルプレート210の外周面側に備えられる第3シールリップ220とを備えている。キャンセルプレート210は、鋼板などの金属板を打ち抜きプレス成形(板金加工)することにより得られる。このキャンセルプレート210の内周端部212は、環状シリンダ300における径方向内側の壁面310に固定されたスナップリング313に位置決めされた状態で支持される。そして、このキャンセルプレート210の外周端部213に、第3シールリップ220が設けられている。この第3シールリップ220は、ゴムなどの弾性体により構成される。例えば、キャンセルプレート210をインサート部品として、インサート成形することにより、第3シールリップ220をキャンセルプレート210に一体的に設けることができる。
【0025】
環状シリンダ300には、油圧室R1に油圧を導入するための第1油通路311と、キャンセル室R2に油圧を導入するための第2油通路312とが設けられている。これら第1油通路311と第2油通路312は、いずれも環状シリンダ300における径方向内側の壁面310に開口するように設けられている。
【0026】
クラッチ400は、環状シリンダ300における径方向外側の壁面320に対して軸方向に移動可能な状態で周方向に係止された複数のドライブプレート410を備えている。また、クラッチ400は、不図示の従動軸側に設けられたクラッチハブ(不図示)に対して軸方向に移動可能な状態で周方向に係止された複数のドリブンプレート420を備えている。これら複数のドライブプレート410と複数のドリブンプレート420は、軸方向に交互に配置されている。
【0027】
以上のように構成される油圧アクチュエータによれば、第1油通路311から送られる油圧によって、油圧室R1内の油圧が高くなると、環状ピストン100がスプリング500による押圧力に抗してクラッチ400側に向かって移動する。これにより、環状ピストン100におけるピストン本体110の外筒部114の先端部115がクラッチ板としてのドライブプレート410を押圧する。これにより、ドライブプレート410が移動して、複数のドライブプレート410と複数のドリブンプレート420とがそれぞれ摩擦係合された状態となる。これにより、クラッチ400は、動力伝達状態となり、不図示の駆動軸の駆動トルクが、環状ピストン100及びクラッチ400等を介して、不図示の従動軸に伝達される。そして、油圧室R1内の油圧が低下すると、環状ピストン100がスプリング500による押圧力により元の位置に戻るため、環状ピストン100によるドライブ
プレート410への押圧状態が解除されて、複数のドライブプレート410と複数のドリブンプレート420との摩擦係合状態も解除される。これにより、駆動軸から従動軸への動力の伝達も解除される。
【0028】
ここで、環状ピストン100を含む密封装置及び環状シリンダ300等は、不図示の駆動軸と共に回転している。そのため、油圧室R1内においては、油の遠心力が作用する。このような遠心油圧は、環状ピストン100の動作に影響を与え得る。しかしながら、本実施例においては、第2油通路312からキャンセル室R2内に、上記遠心油圧と同等の遠心油圧を発生させる油が供給される。従って、環状ピストン100に対しては、油圧室R1内の遠心油圧とキャンセル室R2内の遠心油圧の双方が作用するため、これらの油圧は相殺される。これにより、遠心油圧によって、環状ピストン100の動作に影響が及ぼされることはない。
【0029】
<キャンセルプレート>
本実施例に係るキャンセルプレート210について、より詳細に説明する。キャンセルプレート210には、周方向に間隔を空けて複数の位置決め用突起212aが備えられている。これら複数の位置決め用突起212aは、複数のスプリング500の一端側にそれぞれ入り込むことで個々のスプリング500を位置決めする役割を担っている。また、キャンセルプレート210は筒状部211を有している。そして、この筒状部211に、スプリング500の外周側をガイドするガイド部211aが形成されている。このガイド部211aは、径方向内側に突出する少なくとも一つの突出部により構成される。本実施例においては、
図2に示すように、2か所にガイド部211a(突出部)が設けられているが、ガイド部211aの個数は、キャンセラーシール200の大きさや板金加工性などに応じて適宜設定することができる。なお、
図2においては、スプリング500の配置位置を点線にて示している。
【0030】
<本実施例に係る密封装置の優れた点>
本実施例に係る密封装置によれば、複数のスプリング500は、複数の位置決め用突起212aにより位置決めされ、かつ、ガイド部211aによって、スプリング500の外周側がガイドされる。従って、密封装置の組み立て時において、環状ピストン100及びスプリング500に対するキャンセラーシール200の位置調整が容易となり、組み立て作業性が高まる。なお、ガイド部211aが一つでもあれば、スプリング500がガイド部211aに沿うように、キャンセラーシール200を環状ピストン100に対して組み立てればよいので、作業性に優れる。また、ガイド部211aによって、スプリング500の外周側がガイドされることで、環状ピストン100とキャンセラーシール200とが周方向に対して相対的に移動してしまうことが抑制されるので、スプリング500が捩じれてしまうことを抑制することができる。なお、ガイド部211aが少なくとも一つあれば、そのような効果が発揮される。また、位置決め用突起212aによって、スプリング500が移動してしまうことも抑制することができる。
【0031】
そして、位置決め用突起212aが設けられているため、ガイド部211aについては、従来技術のように突出量を大きくした突出部により構成しなくても、スプリング500の位置決めが可能となる。従って、キャンセルプレート210の材質により、板金加工がし難い場合でも、ガイド部211aを有する筒状部211を無理なく形成することができる。更に、従来技術のように突出部を多数設ける必要もないので、より一層、ガイド部211aを有する筒状部211を無理なく形成することができる。
【0032】
なお、環状のキャンセルプレート210の中心からガイド部211a(突出部)の先端までの距離L1は、従来技術の場合よりも長くすることができる。つまり、ガイド部211aの突出量を小さくすることができる。これにより、例えば、上記の中心からスプリン
グ500の中心までの距離をL2とすると、L1>L2とすることができる。また、上記の中心からスプリング500の内周までの最長距離をL3とすると、L1>L3とすることもできる。
【符号の説明】
【0033】
100 環状ピストン
110 ピストン本体
111 略平板部
112 内筒部
113 内向きフランジ部
114 外筒部
115 先端部
116 固定部
200 キャンセラーシール
210 キャンセルプレート
211 筒状部
211a ガイド部
212 内周端部
212a 位置決め用突起
213 外周端部
300 環状シリンダ
310 壁面
311 第1油通路
312 第2油通路
313 スナップリング
320 壁面
400 クラッチ
410 ドライブプレート
420 ドリブンプレート
500 スプリング
R0 環状空間
R1 油圧室
R2 キャンセル室