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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080917
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
B65D5/66 311G
B65D5/66 311D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192140
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】内田 直樹
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060AB16
3E060BA14
3E060CE04
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA15
(57)【要約】
【課題】被せ蓋タイプで、蓋前板の開封部が前板に固着され、該開封部を押し込むことにより、該開封部を前板に残して蓋部を開ける形態の包装容器において、本来の開封前に、開封部が押されても容易には開封されない構成を提供する。
【解決手段】蓋部10の蓋前板22の自由端22a側の中央部に、ミシン目27aによって該蓋前板22から切り離し可能に区画された長尺の開封部27を上記自由端22aに沿って設け、容器部10の前板12には、蓋部20を閉じて蓋前板22を前板12に重ねた状態において開封部27の左右両端の上部をそれぞれ囲むように左右二箇所の切り込み部17,17が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型の容器部と、蓋部とを有し、
前記容器部は、底板と、前記底板の左右端から立ち上がる側板と、前端から立ち上がる前板と、後端から立ち上がる後板と、を有し、
前記蓋部は、前記後板の上端に後端が連結された天板と、前記天板の左右両端に連結された蓋側板と、前記天板の前端に連結された蓋前板と、を有し、
前記後板の上端をヒンジ部として前記蓋部が開閉可能であり、
前記蓋前板の自由端側の中央部に、切り取り線によって前記蓋前板から切り離し可能に区画された開封部を前記自由端に沿って有し、
包装時に前記開封部の内面と前記前板の外面とを接着することにより、前記蓋部が前記容器部に固定される包装容器であって、
前記開封部は左右方向に長尺であり、
前記前板には、前記蓋部を閉じて前記蓋前板を前記前板に重ねた状態において前記開封部の左右両端の上部近傍にそれぞれ切り込み部が形成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記切り込み部は、前記開封部の左右両端の上部を囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記開封部の形状が、下底が前記蓋前板の自由端の一部であり、上底の長さが下底の長さ以下の略等脚台形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記切り込み部の、前記開封部の略等脚台形状の上底と脚との連結箇所を囲む部位が湾曲線状であることを特徴とする請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記開封部の最大高さ(H)に対する、前記最大高さの1/2における左右方向の長さ(L)の比(L/H)が2.0~10.0であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項6】
前記開封部の左右両端の上部近傍にそれぞれ形成された前記切り込み部間の間隙の長さ(W1)は、前記間隙を含む前記左右の切り込み部の左右方向の長さ(W2)の1%~20%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項7】
前記切り取り線は、ミシン目であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項8】
前記前板の上端の、前記切り込み部よりも左右両端側に、突出片が連結され、
前記蓋側板の前端に、前記蓋前板の内面に接着される貼着片が連結され、前記貼着片は前記蓋前板に接着された状態で前記天板側に切り欠き部を有し、
前記蓋部を閉じた状態で、前記突出片は前記前板の前記上端から前記前板の外面側に折り曲げられ、前記貼着片と前記天板との間に収納されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項9】
前記開封部の前記左右方向の両端部近傍に押圧表示部が形成されており、前記押圧表示部をそれぞれ押圧することにより、前記切り取り線において前記開封部が前記蓋前板から切り離されて前記蓋部が開封されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項10】
箱型の容器部と、蓋部とを有し、
前記容器部は、底板と、前記底板の左右端から立ち上がる側板と、前端から立ち上がる前板と、後端から立ち上がる後板と、を有し、
前記蓋部は、前記後板の上端に後端が連結された天板と、前記天板の左右両端に連結された蓋側板と、前記天板の前端に連結された蓋前板と、を有し、
前記後板の上端をヒンジ部として前記蓋部が開閉可能であり、
前記蓋前板の自由端側の中央部に、切り取り線によって前記蓋前板から切り離し可能に区画された開封部を前記自由端に沿って有し、
包装時に前記開封部の内面と前記前板の外面とを接着することにより、前記蓋部が前記容器部に固定される包装容器であって、
前記開封部は左右方向に長尺であり、前記左右方向の両端部近傍に押圧表示部が形成されており、前記押圧表示部をそれぞれ押圧することにより、前記切り取り線において前記開封部が前記蓋前板から切り離されて前記蓋部が開封されることを特徴とする包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部と容器部とがヒンジ部を介して開閉可能に一体化した包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一旦開封した後に再開閉可能な菓子類などの包装容器として、特許文献1に、箱型の身部と、該身部の開口を覆う蓋部とを一体化した被せ蓋タイプの包装容器が開示されている。係る包装容器では、蓋前板の自由端に半円形にミシン目で区画された開封部を設け、包装時には開封部を身部の前板に固着して蓋部を固定し、開封時には、上記開封部を前板側に押し込むことによって、ミシン目を切断して該開封部を蓋前板から分離し、不蓋部を開閉可能とする。
【0003】
特許文献2には、上記包装容器における開封をより容易にする手段として、前板側にスリットを形成しておき、開封部を押し込んだ際に、係るスリットが開くことによって前板側の抗力を低減させた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-58630号公報
【特許文献2】特許第4775096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に開示された包装容器では、開封部が小さく、開封の際に押し込む部分は一箇所である。そのため、搬送時などに開封部が押された場合には、意図せず開封されてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明の課題は、被せ蓋タイプで、蓋前板の開封部が前板に固着され、該開封部を押し込むことにより、該開封部を前板に残して蓋部を開ける形態の包装容器において、本来の開封前に、開封部が押されても容易には開封されない構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の包装容器は、箱型の容器部と、蓋部とを有し、
前記容器部は、底板と、前記底板の左右端から立ち上がる側板と、前端から立ち上がる前板と、後端から立ち上がる後板と、を有し、
前記蓋部は、前記後板の上端に後端が連結された天板と、前記天板の左右両端に連結された蓋側板と、前記天板の前端に連結された蓋前板と、を有し、
前記後板の上端をヒンジ部として前記蓋部が開閉可能であり、
前記蓋前板の自由端側の中央部に、切り取り線によって前記蓋前板から切り離し可能に区画された開封部を前記自由端に沿って有し、
包装時に前記開封部の内面と前記前板の外面とを接着することにより、前記蓋部が前記容器部に固定される包装容器であって、
前記開封部は左右方向に長尺であり、
前記前板には、前記蓋部を閉じて前記蓋前板を前記前板に重ねた状態において前記開封部の左右両端の上部近傍にそれぞれ切り込み部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、以下の構成を好ましい態様として含む。
前記切り込み部は、前記開封部の左右両端の上部を囲むように形成されている。
前記開封部の形状が、下底が前記蓋前板の自由端の一部であり、上底の長さが下底の長さ以下の略等脚台形状である。
前記切り込み部の、前記開封部の略等脚台形状の上底と脚との連結箇所を囲む部位が湾曲線状である。
前記開封部の最大高さ(H)に対する、前記最大高さの1/2における左右方向の長さ(L)の比(L/H)が2.0~10.0である。
前記開封部の左右両端の上部近傍にそれぞれ形成された前記切り込み部間の間隙の長さ(W1)は、前記間隙を含む前記左右の切り込み部の左右方向の長さ(W2)の1%~20%である。
前記切り取り線は、ミシン目である。
前記前板の上端の、前記切り込み部よりも左右両端側に、突出片が連結され、
前記蓋側板の前端に、前記蓋前板の内面に接着される貼着片が連結され、前記貼着片は前記蓋前板に接着された状態で前記天板側に切り欠き部を有し、
前記蓋部を閉じた状態で、前記突出片は前記前板の前記上端から前記前板の外面側に折り曲げられ、前記貼着片と前記天板との間に収納される。
前記開封部の前記左右方向の両端部近傍に押圧表示部が形成されており、前記押圧表示部をそれぞれ押圧することにより、前記切り取り線において前記開封部が前記蓋前板から切り離されて前記蓋部が開封される。
【0009】
本発明の第二の包装容器は、箱型の容器部と、蓋部とを有し、
前記容器部は、底板と、前記底板の左右端から立ち上がる側板と、前端から立ち上がる前板と、後端から立ち上がる後板と、を有し、
前記蓋部は、前記後板の上端に後端が連結された天板と、前記天板の左右両端に連結された蓋側板と、前記天板の前端に連結された蓋前板と、を有し、
前記後板の上端をヒンジ部として前記蓋部が開閉可能であり、
前記蓋前板の自由端側の中央部に、切り取り線によって前記蓋前板から切り離し可能に区画された開封部を前記自由端に沿って有し、
包装時に前記開封部の内面と前記前板の外面とを接着することにより、前記蓋部が前記容器部に固定される包装容器であって、
前記開封部は左右方向に長尺であり、前記左右方向の両端部近傍に押圧表示部が形成されており、前記押圧表示部をそれぞれ押圧することにより、前記切り取り線において前記開封部が前記蓋前板から切り離されて前記蓋部が開封されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、開封部が左右方向に長尺で、開封時には二箇所を押さなければ開封できないため、搬送時などに開封部が一箇所押されただけでは容易には開封されない。
【0011】
本発明の第一の包装容器においては、前板に切り込み部が形成されているため、開封部を押した際には開封部が深く押し込まれて蓋前板から容易に切り離すことができる。さらに、本発明において、開封後に閉じた蓋部が容易に開かないように前板の上縁に突出片を設けた構成においては、開封部が押されても切り込み部が開くことで押し込み力が突出片に伝わりにくく、蓋部が不用意に開くのを防止することができる。
【0012】
本発明の第二の包装容器においては、開封部の左右方向両端部近傍に押圧表示部が形成されているため、開封時に押圧する部位が明瞭で、容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一の包装容器の一実施形態のブランクを示す図である。
図2図1の包装容器を成型し、包装前の蓋部を開けた状態を示す斜視図である。
図3図2の状態で、貼着片の位置を示す斜視図である。
図4図2の包装容器の蓋部を閉じて正面から見た図である。
図5図4のA-A’部位の前板周辺の部分拡大断面図である。
図6】本発明の第二の包装容器の一実施形態の蓋部を閉じて正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の包装容器は、主としてチョコレートやビスケットなどの菓子類の包装に用いられ、蓋部と容器部とがヒンジ部を介して一体で、包装後に開封した後、再開閉しうる被せ蓋タイプの包装容器である。そして本発明の包装容器は、開封部が左右方向に長尺である。
【0015】
本発明の第一の包装容器においては、開封部の押し込みを容易にするための切り込み部が、容器部の前板の、前記開封部の左右両端の上部近傍に形成されていることを特徴とする。また、本発明の第二の包装容器においては、開封部の左右の両端部近傍に押圧表示部を設けたことを特徴とする。以下、本発明の包装容器について、実施形態を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の第一の包装容器の一実施形態のブランクを示す図であり、図2は、係るブランクを折り曲げて成型した包装容器の斜視図である。また、図3は、図2の状態で、容器部や蓋部の内側に位置する貼着片の位置を現した斜視図である。さらに、図4は、図2の包装容器を蓋部を閉じた状態で正面から見た図であり、図5は、図4中のA-A’部位の前板周辺の部分拡大断面図である。
【0017】
本発明の包装容器は、紙製、或いは表面を樹脂被覆した紙製で、図1に示すように、1枚のブランクシートを折り曲げて成型することができ、容器部10と蓋部20とが、ヒンジ部13aを介して連結され、蓋部20が開閉可能となっている。尚、以下の説明において、便宜上、左右方向とは、図1における紙面左右方向であり、上下方向とは、図2に示すように、容器部10の開口部を上方に向けて置いた状態で開口部側を上方、底板11側を下方とし、前後方向は、蓋部20を閉じた状態で、ヒンジ部13a側を後方、その反対側を前方とする。
【0018】
本発明において、容器部10は、底板11と、該底板11の左右両端から立ち上がる側板14,14と、前端から立ち上がる前板12と、後端から立ち上がる後板13と、を備えている。また、蓋部20は、天板21と、天板21の左右両端に連結された蓋側板24,24と、天板21の前端21aに連結された蓋前板22と、を備えており、天板21の後端が容器部10の後板13の上端13aに連結されている。
【0019】
本実施形態においては、前板12の左右両端に貼着片15a,15aが、後板13の左右両端に貼着片15b,15bが、それぞれ連結されており、蓋側板24,24の前端24a,24aには貼着片25,25が連結されている。よって、図1のブランクシートの状態から、底板11の前後両端及び左右両端の破線部分を谷折りにして前板12、後板13、側板14,14を立ち上げ、前板12の左右両端及び後板13の左右両端の破線部分を谷折りにして貼着片15a,15a,15b,15bを側板14,14の内面に接着剤で固着することにより、容器部10は、図2図3に示すように上方が開口した箱型に成型される。また、図1のブランクシートの状態から、天板21の前端及び左右両端の破線部分を谷折りにして蓋前板22、蓋側板24,24を立ち上げ、蓋側板24,24の前端24aの破線部分を谷折りにして貼着片25,25を蓋前板22の内面に接着剤で固着することにより、図2に示す形状の蓋部20が成型される。天板21はその後端が、容器部10の後板13の上端13aに連結されており、係る上端13aをヒンジ部として、蓋部20は開閉可能となっている。
【0020】
図2の状態は、被包装物品を包装する前の状態であり、係る状態で被包装物品を容器部10内に収納し、ヒンジ部13aを中心に蓋部20を傾動させて、天板21が容器部10の開口部を覆うと同時に、蓋前板22及び蓋側板24,24が外側に、前板12、側板14,14が内側になるように蓋部20を被せる。
【0021】
本発明の包装容器においては、蓋前板22が、左右方向の中央部に、蓋前板22の自由端22a、即ち、天板21と連結する側とは反対側の端部に沿って、開封部27を有している。係る開封部27は、切り取り線によって区画され、該切り取り線によって蓋前板22より切り離し可能となっている。本実施形態においては、該切り取り線がミシン目27aであるが、切り取り線としては、他の部位よりも切り離しが容易である形態であればよく、ミシン目以外にも、断続的な切断線や、ハーフカットなどが挙げられる。図2の状態から蓋部20を閉じて、蓋前板22が前板12に重なった状態で、開封部27の内面と前板12の外面とを接着剤で接着することにより、蓋部20は容器部10に固定され包装体が完成する。開封時には、ミシン目27aを切断して蓋前板22より開封部27を切り離せば、開封部27を前板12に接着した状態で残して、蓋部20を開くことができる。
【0022】
本発明の包装容器においては、開封部27が左右方向に長尺である。具体的には、最大高さ(H)に対する、前記最大高さの1/2における左右方向の長さ(L)の比(L/H)が2.0~10.0が好ましく、より好ましくは3.0~7.0である。好ましい一例を挙げると、Lが60mm~75mm、Hが12mm~16mm程度である。
【0023】
本発明の包装容器においては、開封部27の形状が左右に長尺であり、一箇所を押しただけでは開封できないが、二箇所を押した際の開封を容易にするために、前板12には、開封部27の左右両端の上部近傍に対応する位置にそれぞれ切り込み部が形成されている。本実施形態においては、図4に示すように、蓋部20を閉じて蓋前板22と前板12とを重ねた状態で、切り込み部17,17は、開封部27の左右両端の上部を囲む形状に形成されている。
【0024】
本発明においては、切り込み部17,17を設けたことにより、開封部27の左右端部を押した場合に、該切り込み部17,17が広がって開封部27をより深く押し込むことができ、ミシン目27aを良好に切断することができる。また、切り込み部17,17は互いにつながっていないため、開封部27の左右の一方を押しただけでは、押した側の周辺のミシン目27aが切断されるだけで、開封部27全体が切り離されることはない。よって、開封時には、開封部27の左右両端を同時に、或いは一方ずつ順次押し込んで、ミシン目27a全体を切断し、開封部27を切り離す必要がある。このように、開封部27の左右の一方のみ或いは中央部を押しただけでは、押し込み力が開封部27全体には及ばないため、搬送時などに開封部27が一箇所押されても、ミシン目27aの一部が切断されるだけで、開封部27全体が切り離されて蓋部20が開いてしまうおそれがない。また、切り込み部17,17がつながっていたり、切り込み部17,17の下端が前板12の下端にまで及んでいたりすると、開封部27を前板12に接着する際に、切り込み部17が開いて前板12の下方が内側に倒れ込んで接着しづらくなるが、本発明では、切り込み部17,17が互いに離れ、且つ、下端が前板12の下端から離れて形成されているため、前板12の下方が内側に倒れ込むおそれがなく、開封部27を前板12に良好に接着することができる。
【0025】
切り込み部17,17は、上記したように、開封部27を押した際に押し開かれてミシン目27aの切り離しを容易にするが、開きすぎると開封部27と前板12との接着が困難になってしまう。よって、切り込み部17,17間には所定の長さの間隙が設けられており、係る間隙の長さ(W1)は、該間隙を含む左右の切り込み部17,17の左右方向の長さ(W2)の1%~20%が好ましく、より好ましくは3%~15%である。また、切り込み部17,17の下端は、開封部27の下端から所定の距離(h1)をおいて形成され、係る距離(h1)は、開封部27の下端から切り込み部17の上端まで距離(h2)の10%以上が好ましく、より好ましくは15%、望ましくは20%以上である。一例を挙げると、W1は3mm~8mm程度、h1は4mm~7mm程度である。
【0026】
本実施形態においては、開封部27の形状が、下底が蓋前板22の自由端22aの一部である略等脚台形状であり、上底と脚部との連結箇所は湾曲しており、切り込み部17は、係る連結箇所を囲むように形成されており、上底に平行な直線状の部分と、上記連結箇所を囲む湾曲線状の部分とを有している。本発明においては、開封部27の左右両端の上部が、本実施形態の如く湾曲線状ではなく、角部であったとしても、切り込み部17,17については、係る連結箇所を囲む部分を湾曲線状とすることにより、角張った形状である場合に比べて前板12が裂けるおそれが低くなり、好ましい。
【0027】
尚、本実施形態においては、開封部27は上底が下底より短い略等脚台形状としたが、上底と下底とが等しい長方形としても構わない。また、上底が上方に凸の湾曲形状であっても構わない。また、開封部27のミシン目27aが蓋前板22の自由端22aに接する部位は、図1に示したように、下辺が該自由端22aの一部である三角形状の切り欠き部22b、22bとすることにより、開封部27を押した際に、ミシン目27aの下端まで容易に切断することができるため、好ましい。
【0028】
本発明の包装容器は、一旦開封した後に再度蓋部を閉じて再開閉することが可能である。本実施形態においては、開封した後に、再度閉じた蓋部20が容易に開かないように、係止手段を設けている。具体的には、前板12の上端12aの、切り込み部17,17よりも左右両端側に、該上端12aに連結された突出片16,16を設けている。係る突出片16,16は、図2に示すように、容器部10の成型時に外側に向けて折り曲げられ、蓋部20を閉じた際には、図5に示すように、前板12の外面に接して、前板12と蓋前板22との間に挟まれる。この時、図4に示されるように、突出片16,16は切り込み部17,17には重ならない。
【0029】
一方、図1に示したように、蓋側板24,24の前端24a,24aには、蓋前板22に接着される貼着片25,25が形成されており、係る貼着片25,25には、蓋前板22に接着された際に、天板21との間に隙間が形成されるように、切り欠き部25a,25aが形成されている。
【0030】
図4図5に示すように、本実施形態では、蓋部20を閉じると、突出片16,16は折り返されて前板12と蓋前板22との間に挟まり、貼着片25,25と天板21との間に収納される。この状態で蓋部20を開こうとすると、折り曲げられていた突出片16,16が外側に開こうとして、該突出片16,16の先端(図5中の下端)が貼着片25,25の切り欠き部25a,25aに係止し、蓋部20が開くのを妨げることができる。この係止は、蓋部20を強く引っ張り上げれば解除される。
【0031】
図4に示すように、突出片16,16は切り込み部17,17よりも左右両端側に位置していることから、開封後に再度蓋部20を閉じた状態で開封部27が押された場合でも、切り込み部17,17が開くことで、開封部27の押し込み力が前板12の上端12aの、突出片16,16との連結箇所にまでは及びにくく、貼着片25,25と突出片16,16の係止が、開封部27が押されただけでは容易には解除されにくくなっている。
【0032】
次に、本発明の第二の包装容器について、図6を用いて説明する。図6は、包装容器の蓋部20を閉じた状態で正面から見た図である。本発明は、前記した第一の包装容器と同様の構成に加えて、開封部27の左右方向の両端部近傍に、押圧表示部31,31を設けたことに特徴を有する。係る押圧表示部31,31は、例えば、エンボス加工によって凹部とした形態や、印刷表示、或いはこれらの組み合わせが挙げられる。このように、押圧表示部31,31を設けることによって、開封時に押圧すべき位置が明瞭になり、開封が容易になる。
【0033】
尚、本発明においては、切り込み部17,17がない場合でも、押圧表示部31,31が設けてあれば、開封時に押圧すべき位置が明瞭になり、開封がより容易になる。
【符号の説明】
【0034】
10:容器部、11:底板、12:前板、12a:前板の上端、13:後板、13a:ヒンジ部(後板の上端)、14:側板、15a,15b:貼着片、16:突出片、17:切り込み部、20:蓋部、21:天板、21a:天板の前端、22:蓋前板、22a:蓋前板の自由端、22b:切り欠き部、24:蓋側板、24a:蓋側板の前端、25:貼着片、25a:切り欠き部、27:開封部、27a:ミシン目、31:押圧表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6