(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080986
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】粉砕機
(51)【国際特許分類】
B02C 7/11 20060101AFI20220524BHJP
B02C 7/08 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B02C7/11 A
B02C7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192234
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
(72)【発明者】
【氏名】杉村 佐久次
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063DD02
4D063DD13
4D063GA03
4D063GA10
4D063GB02
4D063GC05
4D063GC40
4D063GD04
4D063GD15
4D063GD19
(57)【要約】
【課題】本発明は、連続して投入しても粉砕物がブリッジを起こさず、投入部で詰まらず、順調に運転を続けることができる粉砕機を提供することを目的としている。
【解決手段】投入部と導入部と擂潰部を備えて固定された金属製の上臼と、導入部と擂潰部を備えて回転する金属製の下臼と、該下臼を回転させる駆動手段とより構成するとともに、
前記下臼の導入部の投入口に投入口より小さいブリッジ防止板を設け、該ブリッジ防止板には回転の中心からはずれた位置に投入部へ向けた突起を備えることを特徴とする粉砕機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入部と導入部と擂潰部を備えて固定された金属製の上臼と、導入部と擂潰部を備えて回転する金属製の下臼と、該下臼を回転させる駆動手段とより構成するとともに、
前記下臼の導入部の投入口に投入口より小さいブリッジ防止板を設け、該ブリッジ防止板には回転の中心からはずれた位置に投入部へ向けた突起を備えることを特徴とする粉砕機。
【請求項2】
前記ブリッジ防止板は六角形であることを特徴とする請求項1記載の粉砕機。
【請求項3】
前記投入部内にボールを設けることを特徴とする請求項1または2記載の粉砕機。
【請求項4】
前記ボールは異なる大きさのものであることを特徴とする請求項3記載の粉砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を粉状に砕いたり、すりつぶしたりする粉砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物体の粉砕にはいくつかの方法があり、物体の中でも特に食品の場合、ボールミル粉砕機(例えば特許文献1)や、石臼などの上下2つの臼による粉砕機(例えば特許文献2、3)、気流式粉砕機やロールクラッシャー、また、気流式と臼を組み合わせた粉砕機(例えば特許文献4)などがあった。
【0003】
本発明は、上記の臼による粉砕機に関するものであり、臼による粉砕機には昔ながらの石臼と最近の金属製の臼による粉砕機がある。昔ながらの石臼は、上の石臼を手動または自動で低速回転させて粉砕するものが多く、最近の金属製の臼による粉砕機は下の臼を自動で回転させて粉砕するものが多い。
【0004】
本出願人は臼による粉砕機を製造しており、粉砕機へ粉砕物を投入する場合、粉砕物の形状や重さなどにより投入部でブリッジになり、粉砕物を粉砕機の中に投入できなくなり、上から粉砕物を追加投入しても臼部分に粉砕物が入っていかなくなり、棒のようなものでつついて、ブリッジを壊して投入する必要があった。たびたびブリッジを起こすので、たびたびブリッジを壊す作業をしなければならなかった。そこで、特許文献5のように回転する下臼の投入部にスクリュー羽根を取り付け、ブリッジ防止をしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-117688号公報
【特許文献2】特許第3626159号公報
【特許文献3】特開2000-70741号公報
【特許文献4】特開平11-179222号公報
【特許文献5】特開2014-18755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献5のような装置は、以前に比べるとブリッジになることは少なくなったが、粉砕物の形状や重さなどによってはブリッジが起き、擂潰部が空になることがあった。ブリッジがおこると、粉砕が継続的に行われないという問題だけでなく、擂潰部が空の状態で粉砕を続けることで擂潰部の臼の摩耗がすすむという問題があった。
【0007】
本発明は、連続して投入しても粉砕物がブリッジを起こさず、投入部で詰まらず、順調に運転を続けることができる粉砕機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1手段は、投入部と導入部と擂潰部を備えて固定された金属製の上臼と、導入部と擂潰部を備えて回転する金属製の下臼と、該下臼を回転させる駆動手段とより構成するとともに、
前記下臼の導入部の投入口に投入口より小さいブリッジ防止板を設け、該ブリッジ防止板には回転の中心からはずれた位置に投入部へ向けた突起を備えることを特徴とする粉砕機。
本発明の第2手段は、前記第1手段において、前記ブリッジ防止板は六角形である。
本発明の第3手段は、前記第1または2手段において、前記投入部内にボールを備える。
本発明の第4手段は、前記第3手段において、前記ボールは異なる大きさのものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粉砕機により、投入部で粉砕物がブリッジを起こすことがなくなり、スムーズに粉砕物を導入部や擂潰部へ入れることができ、順調に運転を続けることができる。これにより、粉砕物を投入部へ連続して投入することができるように設備しておけば、作業者が監視することなく、安定的に粉砕することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図3は粉砕機の側面一部断面図である。(実施例1)
【
図5】
図5は粉砕機の側面一部断面図である。(実施例2)
【
図7】
図7は粉砕機の側面詳細図である。(実施例3)
【
図8】
図8は粉砕機の側面詳細図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面により、粉砕機全体について説明する。上臼1と下臼2は、それぞれ中央部に向かって上方に傾斜しており、周囲が略平行となっている。上臼1の方が、下臼2よりも傾斜が大きく、上臼1と下臼2の隙間は上方へ行くほど、広くなっている。上臼1、下臼2の傾斜部を導入部32とし、刃5、6を備える。上臼1の中央部は、導入部32までを投入部31とする。上臼1の投入部31の上にはホッパ35を設け、上部開口を投入口36とする。この導入部32と投入部31は表面を凹凸加工しており、粉砕物によっては導入部32のみでも構わない。上臼1、下臼2の周囲には、略平行になっている擂潰部3を備え、この擂潰部3は内側から外側に延びる複数個の凹部と凸部を交互に連続して形成する。
【0012】
下臼2には、駆動軸9を嵌合し、モータ8からの出力を伝えている。よって、下臼2は回転し、下臼2と駆動軸9は着脱自在である。粉砕された粉砕物を、上臼1と下臼2のすき間から落下させるケーシング12を設け、ケーシング12内の粉砕物を集めるために、下臼2に掃き込み具(図示しない)を設ける。掃き込み具は下臼2とともにケーシング12内部を回転し、粉砕物をケーシング12の一部に設けた取出口13へ掃き込む。取出口13の外側には取出シュート14を設け、取出シュート14の下には、取出シュート14より落下してきた粉砕物を回収するための容器15を設ける。
【0013】
係止機構は、本実施例では係止板10、機枠16、回動軸20、ハンドル18、ハンドル軸25等により、構成する。係止板10は、機枠16に対して回動軸20により回動し、上臼1を上下させることができる。ハンドル18、ハンドル軸25で係止板10を固定することができる。係止板10の一方は、回動軸20により回動自在に機枠16に固定されており、他方をハンドル18、ハンドル軸25で固定する。
【0014】
上臼1と、係止板10とは、球面座金21、22を介して接続されており、係止板10に球面座金(上)21を取付け、上臼1には球面座金(下)22を取付ける。係止板10と球面座金(上)21、上臼1と球面座金(下)22はそれぞれ一体でも良い。上臼1の上部を係止板10の開口に挿入し、係止板10の球面座金21と上臼1の球面座金22を合わせたあと、係止板10の開口より出ている上臼1の上部の投入部31の周囲に板バネ23を嵌め、Uナット24を回転させながら嵌めこんでいる。
【0015】
上臼1、下臼2及び粉砕物が熱を持つと、粉砕物の品質が変質してしまうため、上臼1、下臼2の内部を水などの冷却媒体が流れて上臼1、下臼2及び粉砕物を冷却する冷却装置33がついている。
【0016】
本実施例の装置の動作を説明する。まず、準備として、下臼2を駆動軸9と嵌合する。そして、上臼1を係止板10の開口へ挿入し、係止板10の球面座金21と上臼1の球面座金22を合わせ、板バネ23、Uナット24により、固定する。係止板10を回動軸20で回動させ、上臼1を下臼2の上へ設置し、ハンドル18をハンドル軸25へ挿入し、係止板10を固定する。
【0017】
次に、モータ8を起動し、下臼2を回転させる(冷却装置がついている場合は、冷却装置も起動する)。そして、ホッパ35の投入口36へ粉砕物40を投入する。投入口36へ粉砕物40を投入するためには、作業者が投入する、または、投入装置(図示しない)を設置して投入装置により投入する。投入装置は定量供給できるものが良い。
【0018】
粉砕物40は上臼1と下臼2の間の導入部32で、刃5、6により粉砕され、上臼1と下臼2の導入部32の隙間より小さくなると、下(隙間が狭いほう)へ移動する。刃5、6により粉砕された粉砕物は、擂潰部3へ移動し、更に細かく粉砕され、遠心力と、擂潰部3の形状(凹部、凸部がそれぞれ内側から外側へ延びている)により上臼1と下臼2の周囲へ移動し、上臼1と下臼2の隙間からケーシング12へ落下する。落下した粉砕物は下臼2とともに回転する掃き込み具により、取出口13へ誘導され、取出シュート14により容器15へ取り出される。
【0019】
上記のように、上臼1で下臼2を押さえるとき、球面座金21、22を取付けて作動させると、擂潰部3が密着した状態で下臼2が回転する。このために、上下の擂潰部3が平行となり、均一で細かい粉砕物が取出口13へ出てくる。
【0020】
この装置で、茶、そば、米、キビなどを加工でき、粉砕物はこれらに限らない。粉砕物の種類、粒度などに応じて、モータ8により下臼2の回転数を変えるとよい。
【実施例0021】
本実施例では、下臼2の中央部かつ傾斜している導入部32の頂上に、ブリッジ防止板41をほぼ水平に設ける。このブリッジ防止板41は下臼2に固定されているため、下臼2と同時に回転する。この回転の中心から少し外れた位置のブリッジ防止板41に投入部31へ向かって突起42を設ける。ブリッジ防止板41が回転することによってこの突起42も回転移動する。下臼2の回転とともにブリッジ防止板41、突起42が回転し、これにより投入部31の粉砕物40を常に動かすため、粉砕物40がブリッジにならず、導入部32へスムーズに入る。
本実施例では、実施例1の投入部31にボールを入れる。本実施例では異なる大中小3種類の大きさのボールを大5個、中5個、小3個入れるが、種類と数はこれに限らない。ただし、ボールの大きさは投入部31とブリッジ防止板41の隙間より大きいことが必要である。ボールの材質としては、セラミックなどがよいが、他の材質でもよい。ブリッジ防止板41と突起43の回転により、ボールが回転および突き上げ運動をすることで、投入部31内の粉砕物40全体が常に動き、より一層、ブリッジを防止することができる。