(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081061
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】シールド保持具
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220524BHJP
A62B 18/08 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A62B18/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192361
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】390025667
【氏名又は名称】東洋物産工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】礒野 曉男
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA08
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】 頭部の装着体の揺動する可動域を広くし、装着体の揺動により一部のみに力が集中したりせず、破損し難いシールド保持具を提供する。
【解決手段】 本発明のシールド保持具1は、使用者の頭部10を保護するシールドSを保持するものである。シールドSを支持するコの字形状の保持体2と、前後端が開放された頭部10に装着する左右一対の装着体3、3と、装着体3、3を保持体2の内側に連結する左右一対の連結体4、4とからなる。連結体4は保持体接続部と装着体接続部となる2つの曲げ部40、41を有するS字形状に形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面保護用のシールドを保持する保持体と、使用者の頭部に装着するための装着体と、前記保持体と前記装着体とを連結する連結体と、を有するシールド保持具であって、
前記装着体は、前後に長手方向を有し、前後の両端を開放して揺動自在に左右一対に配され、
前記連結体は、前記装着体に接続する装着体接続部と、前記装着体が揺動する支点を有して保持体と接続する保持体接続部と、前記装着体接続部と前記保持体接続部との間に中間部を有することを特徴とするシールド保持具。
【請求項2】
保持体は、使用者の前頭部より前方に位置する前辺部と、該前辺部の両端から後方に向けて延長する側辺部と、を有し、
連結体の中間部は、前記保持体の側辺部の長手方向に沿って所定の長さを有することを特徴とする請求項1に記載のシールド保持具。
【請求項3】
連結体は、保持体の側辺部の後端から連続して内方に折り返すように曲げた第1の曲げ部である保持体接続部と、該保持体接続部の内側前端から連続して前方に向かう中間部と、前記中間部の前端から連続して内方に曲げて装着体外面に接続する第2の曲げ部である装着体接続部と、を有することを特徴とする請求項2に記載のシールド保持具。
【請求項4】
保持体は、前辺部と該前辺部の両側端から延長する側辺部との間に湾曲部を形成するものであって、
前記前辺部と前記湾曲部は、上方に開口した上凹所と、下方に開口した下凹所と、を有する断面H字形状を有することを特徴とする請求項3に記載のシールド保持具。
【請求項5】
前後に長手方向を有する装着体は、湾曲して側頭部に当接する当接部と、前頭部に当接するパッドと、前記当接部の前端から突出して前記パッドに接続するアームとからなり、
前記アームは、平面視において、前記当接部の前端から突出する方向と前記パッドの中央部分の前後方向とが略直交方向となるように、保持体側に凸となる湾曲状に形成され、
前記当接部の後端間の長さは、前記パッド間の長さより短いことを特徴とする請求項1、2、3または4のいずれか一項に記載のシールド保持具。
【請求項6】
装着体の当接部は、後方の内側面に、上下方向及び左右方向に延びる滑り止め部を有することを特徴とする請求項5に記載のシールド保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドにより顔面を保護する顔面保護具において、シールド部材を頭部に支持するシールド保持具に係る発明である。
【背景技術】
【0002】
透明なシールドにより顔面を覆い、感染性飛沫や薬液などから顔面を保護する顔面保護具として、従来技術として特許文献1に係る発明が存在する。特許文献1に係る発明は、頭部に装着される本体フレームと、顔面を保護するシールド部材を保持するシールドフレームとからなる顔面保護具用フレームを開示している。本体フレームは、前頭部から側頭部に亘って両側後頭部まで延びるブリッジアームと、ブリッジアームから内側に分岐して形成した一対のヘッドアームとからなり、ブリッジアームの第1支持部により両側から側頭部及び後頭部に支持し、ヘッドアーム先端の第2支持部により前頭部に支持している。さらに本体フレームはブリッジアームの弾性変形力による第1押圧力調整部とヘッドアームの弾性変形力による第2圧力調整部とを用いて、第1支持部及び第2支持部の押圧力を調整して、頭部のサイズの個人差に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の顔面保護具用フレームは、シールドフレームと本体フレームとを接続しており、複数の部品点数が必要であった。また、同文献に記載の発明は、シールドフレームに加え、本体フレームがU字型となって使用者の前頭部に位置するフレームが存在することにより、本体フレームの先端部分である第1支持部を広げたりするときに、可動域が広いものになり得なかった。
【0005】
また、先行技術文献に記載のブリッジアームのように、二股に分かれた形態も存在するが、使用者が本体フレームの先端部分を広げたりしたときに、どうしても分岐部分に力が集中し、破損の原因となる。使用に際しては単なる開閉動作だけでなく、フレームには捻り等の力が作用するため、分岐部分に力が集中してしまうことがあった。さらに、使用者の顔面を覆うシールドは、使用者の頭部付近から顎部付近までの比較的上下方向の長い面を保持するものとなる。そのため、本体フレームの先端部分を広げたりする場合に、シールドの保持状態に影響を与えないようにすることが望ましい。
【0006】
そこで、使用者の顔面を覆うシールドの保持具であって、頭部の装着部位の可動域を広くすることができるシールド保持具を提供することを目的とする。併せて、フレームの一点のみに力が集中したりせず、装着部位の可動によりシールドの保持状態に影響を与え難い形態のシールド保持具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシールド保持具は、顔面保護用のシールドを保持する保持体と、使用者の頭部に装着するための装着体と、前記保持体と前記装着体とを連結する連結体と、を有するシールド保持具であって、前記装着体は、前後に長手方向を有し、前後の両端を開放して揺動自在に左右一対に配され、前記連結体は、前記装着体に接続する装着体接続部と、前記装着体が揺動する支点を有して保持体と接続する保持体接続部と、前記装着体接続部と前記保持体接続部との間に中間部を有することを特徴とするものである。
【0008】
また、保持体は、使用者の前頭部より前方に位置する前辺部と、該前辺部の両端から後方に向けて延長する側辺部と、を有し、連結体の中間部は、前記保持体の側辺部の長手方向に沿って所定の長さを有することが好ましい。
【0009】
また、連結体は、保持体の側辺部の後端から連続して内方に折り返すように曲げた第1の曲げ部である保持体接続部と、該保持体接続部の内側前端から連続して前方に向かう中間部と、前記中間部の前端から連続して内方に曲げて装着体外面に接続する第2の曲げ部である装着体接続部と、を有することが好ましい。
【0010】
また、保持体は、前辺部と該前辺部の両側端から延長する側辺部との間に湾曲部を形成するものであって、前記前辺部と前記湾曲部は、上方に開口した上凹所と、下方に開口した下凹所と、を有する断面H字形状を有することが好ましい。
【0011】
また、前後に長手方向を有する装着体は、湾曲して側頭部に当接する当接部と、前頭部に当接するパッドと、前記当接部の前端から突出して前記パッドに接続するアームとからなり、前記アームは、平面視において、前記当接部の前端から突出する方向と前記パッドの中央部分の前後方向とが略直交方向となるように、保持体側に凸となる湾曲状に形成され、前記当接部の後端間の長さは、前記パッド間の長さより短いことが好ましい。
【0012】
また、装着体の当接部は、後方の内側面に、上下方向及び左右方向に延びる滑り止め部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明により、装着体の前端と後端が開放されている一対の装着体で頭部に装着する形態とすることにより、装着体が自由に揺動して可動範囲を広くとることが可能になる。さらに、装着体に接続する装着体接続部と揺動の支点となる保持体接続部との間に中間部を備えて両者を異なる位置としたことにより、装着体の揺動(開閉動作)によりかかる力と、装着体の装着時にかかりうる捻り等の力とを分散させることができ、破損を防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明により、保持体の側辺部の長手方向に中間部を沿わせることで、装着体の揺動において、装着体の2つの後端を広げるに際して大きな可動域をとることができる。さらに、装着体から保持体までの距離を稼ぎ、曲げ応力を連結体の広範囲に分散して連結体全体を弾性変形しやすくすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明により、保持体から内方に向けて連結体が曲げ形成されることで、保持体の内側で装着体が揺動するに際して保持体への干渉を少なくし、装着体の揺動かかる揺動による歪みやズレが外側に位置する保持体やシールドへの影響を少なくして、安定的に顔面を遮蔽することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明により、上下の凹所が形成されることで、前辺部及び湾曲部の断面効率を向上して、保持体の捻りや曲りなどの変形を防止して、シールド部材の歪みを防止することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明により、アームの弾性変形により前頭部(額)にパッドを弾性的に当接することができ、当接部を側頭部に当接して装着体を頭部に装着し、額にパッドを弾性的に当接して、装着体の左右方向への回転や前後方向へのずれ(ずり落ち)を防止することができる。さらに頭頂部に向けて椀状となる額にパッドを当接するからシールド部材の重みによる装着体の下方へのずり落ちを防止することができる。またパッドが弾性的に前頭部に当接するから、髪を介在せずに当接しても額にパッドによる当接痕が形成されることを防止できる。
【0018】
請求項6に記載の発明により、装着体の側頭部や後頭部からのずれを防止して、安定して装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のシールド保持具にシールドを取り付け、使用者の頭部に装着した状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシールド保持具の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るシールド保持具の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態の一方の装着体のパッドとアームの拡大平面図である。
【
図5】本発明の実施形態の一方の連結体の一部を拡大した平面図である。
【
図6】
図5の拡大平面図において、一点鎖線で示す基本姿勢から装着体が揺動する状態を示すもので、(a)は装着体の後端を広くする動作、(b)は装着体の前端を広くする動作状況を示す一部拡大平面図である。
【
図7】
図2の基本姿勢から装着体の後端を広くするように装着体を揺動させた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るシールド保持具1の実施形態を添付の図面に基づいて説明する。本発明は、以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形、付加等が可能である。
【0021】
本説明において、使用状態とは使用者の頭部に装着した状態(
図1参照)を示し、基本姿勢とは使用者に使用していない状態(
図2参照)をいう。前後方向とは
図2における前辺部20側を前側、滑り止め部33を有する側を後側として説明し、具体的には
図2の上下を前後方向として説明する。また、左右方向とは
図2の左右として説明し、内側・外側とは使用者側を内側、その反対側を外側として説明し、上下方向とは
図3における高さ方向の上側を上、下側を下として説明する。
【0022】
本実施形態のシールド保持具1は、
図1に示すように、使用者の顔面を覆うシールドSを使用者の頭部10で保持するものである。本実施形態のシールド保持具1は、合成樹脂材を用いて一体成型により形成している。合成樹脂材は例えばポリカーボネート系樹脂材やポリアセタール系樹脂材、ポリプロピレン系樹脂材などとし、特にクリープ特性に優れるポリカーボネート系樹脂材が好ましい。また、シールドSは、可撓性を有する平板状の樹脂板を用いている。
【0023】
次に、シールド保持具1について、説明する。
図2、
図3に示すように、シールド保持具1は、シールドを保持するための保持体2と、使用者の頭部に装着するもので左右一対の2つの装着体3、3と、保持体2の一端と装着体3、3とをそれぞれ連結する連結体4、4とからなる。シールド保持具1は、
図2の左右方向において対称形状となる。
【0024】
保持体2は、
図1、
図2に示すように、シールドSを保持する部材であって、左右方向を長手方向とする前辺部20と、前辺部20の両側端から曲げられて後方に向けて延長する2つの側辺部21、21とからなる略コの字状の形態となる。前辺部20は、使用状態で使用者の前頭部より前方に位置するものであり、この前辺部20の左右両端であって2つの側辺部21、21との間には湾曲する湾曲部22、22が形成されている。シールドは保持体2に配置される突出係止部23、23により保持される。保持体2の2つの側辺部21、21の後端から連結体4、4を介して装着体3、3を連結している。
【0025】
一対の装着体3、3は、使用者の頭部を狭持するようにして装着可能にするものであって、平面視略コの字状となる保持体2と異なり、左右に配されて互いに分離した形態である。従来技術のように略U字状に繋がれた一連物ではなく、使用者の前頭部中央部分にあたる位置を無くしている。換言すると、各々の装着体3、3の前端と後端とを開放して形成されており、装着体3、3の後端を左右に広げたり、前端を左右に広げたりする揺動(開閉)動作の可動域を広くしている。また、装着体3、3は、平面視において、略コの字状の保持体2に囲まれた部分から、中央より後方部分を突出させている。このように後方部分を保持体2から突出させることで、特に後端側を広げるように揺動させることができる。本説明において、揺動(開閉)動作は、上記のとおり、装着体3、3の前端、後端を広げたり、狭めたりすることを示すものであるが、通常の使用状態における上下の捻りも含むものである。
【0026】
一対の装着体3、3は、
図2の平面視において、各々が外方に凸となるように緩やかに湾曲しつつ、前後に長い形態を有する板状物であって、中央より前端側が保持体2の各々の側辺部21、21の間(内方)に位置している。装着体3、3は、使用者の側頭部前側付近から側頭部後側付近に至るまで当接可能な当接部30、30と、使用者の額を含む前頭部に当接するパッド31、31と、当接部30、30の前端部30a、30aから突出してパッド31、31に接続するアーム32、32とからなる。
【0027】
湾曲する当接部30、30の後方の後端部30b、30bは、平面視において、互いに非接触の状態で近接するようにしている。
図2に示すように、基本姿勢において、2つの後端部30b、30b間の長さは、後述するパッド31、31間の長さより短い。このような形態としていることで、主に当接部30、30の後端部30b、30bで使用者の頭部に支持させるように弾性力を強くし、後述のパッド31、31で使用者の前頭部に当てて、装着姿勢を維持し、安定させることができる(
図1参照)。
【0028】
また、
図3の斜視図に示すように、当接部30、30の上下幅は、側辺部21、21より大きくしているが、当接部30、30の前端部30a、30aから後方の後端部30b、30bにかけて徐々に上下幅が小さくなるようにしている。このような形態にすることで、装着体3、3の後端部30b、30bを広げやすくしている。
【0029】
アーム32、32は、
図2、3、4に示すように、当接部30、30の前端部30a、30aより連続して形成されるものであって、細く薄い薄肉部分とし、保持体2側に向けて凸となる湾曲して円弧状、湾曲状に形成され、アーム32、32の前端部はパッド31、31の後端部に接続している。このアーム32、32により、パッド31、31の基本姿勢より外側の保持体2側に弾性変形しやすくしている。
【0030】
パッド31、31は、後端から前端にかけて長手方向を有する楕円形状を有するもので、
図4の拡大図において、アーム32、32に接続される後端部分31a、31aと、使用者に当接する中央部分31b、31bと、前端部分31c、31cを有する。当接部30、30の前端部30a、30aはいったん保持体2側に反り返って曲げられ、その反り返り方向に連続するようにアーム32、32が突出している。パッドの後端部分31a、31aが保持体2側に曲げられていることで、平面視におけるパッドの中央部分31b、31bの使用者側面の前後方向と(仮想線B)、アーム32、32の突出方向(仮想線C)とが略直角に交わるようにしている。この略直角とは完全な直角方向から前後15度の範囲を含む方向である。この略直角方向となるように、アーム32、32が湾曲した弧状になって接続することで、アーム32、32の弾性変形をしやすくし、使用者の頭の形状に合わせて装着体3、3を装着させることができるようにしている。パッド31、31は、アーム32、32の弾性変形により、使用者の前頭部の眉毛より上方部位(額)に弾性的に当接可能としている(
図1参照)。
【0031】
また、
図3に示すように、当接部30、30の長手方向のうち後方約3分の1の部分は、外側に反り返った後端部30b、30bを除いて、内面に滑り止め部33、33を有している。
図3に示すように、凸状形態であって上下方向に長い縦長楕円形状の第1滑り止め部33a、33aと、同じく凸状形態であるが前後方向に長い横長楕円形状の第2滑り止め部33b、33bとを交互に複数配置した形態としている。この滑り止め部33、33により使用者の頭部に対して上下方向(当接部30の上下幅方向)及び前後方向(当接部30の長手方向)の両方向に滑り止めている。凸状形態を縦長形状と横長形状としたことにより、離型性を低下させず金型成型により容易に製造することができる。なお半球状などの他の凹凸形状としたものやゴムやシリコンなどの摩擦抵抗部材を付与したものであってもよい。
【0032】
次に、連結体4、4について説明する。連結体4、4は、
図2、
図3に加えて拡大した
図5に示すように、保持体2の一端である後端を後方に向けて凸となるように曲げた保持体接続部(第1の曲げ部)40、40と、さらに前方に向けて凸となるように曲げた装着体接続部(第2の曲げ部)41、41と、これら2つの部材を繋ぐ直線状の中間部42、42とからなり、周辺の保持体2と装着体3、3との形状をあわせると全体として略S字形状となる。連結体4、4は、2つの曲げ部40、41がそれぞれ独立して存在しているので、装着体3、3の、前方、後方を広げる際に、力がかかる部分を分散している。
【0033】
保持体接続部(第1の曲げ部)40、装着体接続部(第2の曲げ部)41の具体的な形態について説明する。保持体接続部40、40は、前方から後方に向けて所定長さを有する保持体2の側辺部21、21の後端から連続し、後方側に凸となるように内方に向けて約180度、U字状に屈曲させて形成している。この曲げ部は、細かな複数の曲げを繋ぎ合わせたものや、曲げ方向を変更したものであってもよい。
【0034】
保持体接続部40、40からさらに連続する中間部42、42が配されるところ、中間部42、42は、
図2の平面視において、保持体2の長手方向と装着体3、3の長手方向との間で、両者と並行な方向を長手方向となるように、保持体2の側辺部21、21に沿って前後方向に所定長さを有している。本実施形態では中間部42、42の長さは装着体3、3との接続位置が装着体の前後中央に位置するようにし、湾曲する装着体3、3の長手方向の8分の1程度の長さとしているが、装着体の長さの4分の1や10分の1等、その他の長さであってもよい。中間部42、42は、保持体接続部(第1の曲げ部)40、40と装着体接続部(第2の曲げ部)41、41とを異なる位置にすることで揺動においてかかる力の分散をする機能を有し、さらには所定の長さを有して装着体3、3の可動域を広げる機能を有する。
【0035】
さらに、装着体接続部(第2の曲げ部)41、41は、中間部42、42の一端から連続して、前方側に凸となるように内方に向けて90度屈曲させて形成している。装着体接続部41、41の先端は、前後に長手方向を有する装着体3、3の前後中央付近の外側面に接続している。本実施形態の装着体接続部41、41は、曲げ形態の先端で連結しているが、他の実施形態として図示しないが曲げ部の先端から直線状の部材を介して装着体に連結するものであってもよい。
【0036】
装着体3、3の揺動(開閉)動作について説明する。
図6(a)及び
図7に示すように、連結体4、4は、装着体3、3を頭部10に合わせて装着する際に、まずは2つの装着体3、3の後側である当接部30、30の後端部30b、30bを左右に広げ、使用者の頭部10を押し入れる。この動作は、装着体3、3の前端が開放されて各々別個であることから、一対の装着体3、3の後端が広がるように揺動することを可能にしている。これは、2つの装着体3、3の外側面で装着体接続部(第2曲げ部)41、41により接続され、中間部42、42を有しつつ、保持体2の後端から180度曲げられた保持体接続部(第1曲げ部)40、40の曲げ頂点を支点に揺動する。
【0037】
次に、使用者が頭部を挿入してパッド31、31を当接するために、装着体3、3の前端を広げるように揺動させることがあるところ、この場合にも
図6(b)に示すように、保持体接続部(第1曲げ部)40、40の曲げ頂点を支点に揺動させることができる。
【0038】
仮に、保持体と装着体とを単に接続する場合には、揺動する支点と接続位置に、揺動にかかる力と揺動に際して発生する捻りの力が集中するが、本実施形態の連結体4、4は、揺動に際して支点となる保持体接続部(第1曲げ部)40、40と、装着体接続部(第2曲げ部)41、41とが異なる位置となっているため、揺動に際する力の集中を分散させることが可能になる。
【0039】
なお、本実施形態では図示しないが、装着体3、3の揺動(開閉動作)に加えて、保持体2の2つの側辺部21、21の後端が外側に向けて広がるように開閉する動作を同時に行う。これにより、装着体3、3の揺動の可動範囲をさらに高めることができる。また、保持体2の側辺部21、21が開閉するが、装着体3、3の揺動(開閉動作)があるため、使用者の装着、脱着に際して、保持体2のシールドSがズレたりする影響を低減させることができる。
【0040】
また、保持体2は、
図2、
図3、
図8に示すように、角棒形状とし、前辺部20の前後方向寸法(幅寸法)を側辺部21、21の左右方向寸法(幅寸法)より大きく形成し、前辺部20及び湾曲部22、22を側辺部21、21より変形しにくくしている。また、湾曲部22、22及び側辺部21、21にかけて、内側面から更に内側に突出して形成されるリブ24を形成している。
【0041】
上記に加えて
図1に示すように、保持体2は、外側に突出した複数の突出係止部23、23を有し、シールドSを係止している。突出係止部23、23は、軸体の先端が幅広になったピン形状とし、軸体にシールドSの取付孔(図示しない)を挿通して頭部分により抜け止めして係止している。
【0042】
本実施形態の突出係止部23、23は、左右それぞれの湾曲部22、22及び側辺部21、21の外側面の4ヶ所に形成している。左右の湾曲した部位をそれぞれ2ヶ所により支持するから、一方の湾曲した部位を取り付けて2ヶ所により支持した後、他方側を取り付けるために曲げても、先に取り付けた一方側の支持が外れることを防止している。
【0043】
また、保持体2の前辺部20は、
図2、
図3、
図8に示すように、上凹所25a、下凹所25bを有する断面H型形状とすることで、断面効率を向上して曲げ変形に対して補強して、保持体2の捩れや撓みを防止し、また軽量化している。本実施形態では一方の湾曲部22から前辺部20を経て他方の湾曲部22に至る領域に形成している。
【0044】
図8に示すように、具体的には、上方に開口して形成した矩形状の上凹所25aと、下方に開口して形成した下凹所25bと、上凹所25aと下凹所25bとを区画する底部26とからなり、上下両方から凹む断面H字形状としている。底部26は、保持体2の上下方向の厚さ寸法の中央に形成され、上凹所25aと下凹所25bとを上下に対称形状としている。この断面H字状に形成することで、装着体3、3を揺動(開閉)させたときに発生する捻りや撓みを保持体2の前辺部20で発生し難くし、使用者の前面のシールドSの遮蔽面が撓んだりしないようにしている。
【符号の説明】
【0045】
1…シールド保持具、2…保持体、3…装着体、4…連結体、10…頭部、20…前辺部、21…側辺部、22…湾曲部、23…突出係止部、24…リブ、25a…上凹所、25b…下凹所、26…底部、30…当接部、30a…当接部の前端部、30b…当接部の後端部、31…パッド、31a…パッドの後端部分、31b…パッドの中央部分、31c…パッドの前端部分、32…アーム、33…滑り止め部、40…保持体接続部(第1の曲げ部)、41…装着体接続部、42…中間部、S…シールド。