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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081082
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/10 20190101AFI20220524BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
G07D11/10 141A
G07D9/00 B
G07D9/00 481B
G07D9/00 481Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192396
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】西尾 哲
(72)【発明者】
【氏名】向田 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】植木 海里
【テーマコード(参考)】
3E001
3E141
【Fターム(参考)】
3E001AA07
3E001AA10
3E001BA01
3E001CA04
3E001CA05
3E001DA10
3E001EB08
3E001EC19
3E001FA02
3E001FA07
3E001FA15
3E001FA22
3E001FA46
3E001FA47
3E001FA63
3E001FA73
3E141AA08
3E141GA07
3E141GA10
3E141HA04
3E141HA05
3E141JA10
3E141KB08
3E141KC19
3E141LA02
3E141LA07
3E141LA15
3E141LA22
3E141LA46
3E141LA47
3E141LA63
3E141LA73
(57)【要約】
【課題】操作者が収納袋の封緘を行うか否かを選択可能な貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】硬貨処理装置1は、硬貨が投入される投入部と、硬貨が収納される収納袋を着脱可能な装着部と、投入部に投入された硬貨を収納袋へ搬送する搬送部と、収納袋を封緘具により封緘する封緘装置21と、収納袋を封緘具により封緘する封緘モードの処理と収納袋を封緘具により封緘しない非封緘モードの処理とを実行可能な制御部504と、を備える。制御部504は、搬送部による硬貨の搬送が開始される前の状態において、封緘モードおよび非封緘モードのうち一方のモードに設定するための入力を受け付け、設定されたモードの処理を実行する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣が投入される投入部と、
貨幣が収納される収納部が着脱可能な装着部と、
前記投入部に投入された貨幣を前記収納部へ搬送する搬送部と、
前記収納部を封緘具により封緘する封緘部と、
前記収納部を前記封緘具により封緘する封緘モードの処理と前記収納部を前記封緘具により封緘しない非封緘モードの処理とを実行可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記搬送部による貨幣の搬送が開始される前の状態において、前記封緘モードおよび前記非封緘モードのうち一方のモードに設定するための入力を受け付け、
設定されたモードの処理を実行する、
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記封緘具が、前記封緘部により封緘を行うための位置にセットされているか否かを検知する検知部を、さらに備え、
前記制御部は、前記検知部による検知結果が前記設定されたモードに適する結果でない場合に、適する結果でないことを知らせるための処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記知らせるための処理として、報知部に所定の報知を行わせる、
ことを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定の報知として、前記封緘具の取り付けまたは取り外しを促す報知および前記設定されたモードの変更を促す報知のうち少なくとも一つを前記報知部に行わせる、
ことを特徴とする請求項3に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記封緘モードにおいて前記検知部により前記封緘具がセットされていないことが検知された場合、前記適する結果でないと判定する、
ことを特徴とする請求項2ないし4の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記非封緘モードにおいて前記検知部により前記封緘具がセットされていることが検知された場合、前記適する結果でないと判定する、
ことを特徴とする請求項2ないし5の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記知らせるための処理の後に前記検知部による検知結果が前記適する結果となった場合に、前記設定されたモードの処理を実行する、
ことを特徴とする請求項2ないし6の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記非封緘モードにおいて前記検知部により前記封緘具がセットされていることが検知された場合に、許可する入力を受け付けたことに基づいて、前記適する結果となっていない状態で前記非封緘モードの処理を実行する、
ことを特徴とする請求項7に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記封緘具を前記封緘部が封緘を行える状態にセットするためのセット機構を、さらに備える、
ことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨、紙幣等の貨幣を処理する貨幣処理装置に関し、特に、貨幣が計数された後に収納される収納袋等の収納部が装着可能な貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨が放出されるシュートに、取り外し可能に収納袋を装着し、この収納袋に計数後の硬貨を収納するようにした硬貨処理装置において、硬貨が収納された収納袋が封緘具により封緘されるようにした構成が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-79327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような硬貨処理装置を使用する場合に、店員等の操作者が、計数後の硬貨が収納された収納袋の封緘を望まないことも想定され得る。たとえば、最初に予備的な硬貨の計数が行われ、次に行われる正規の計数の際に双方の計数結果が一致するかが確認されるような運用が採られる場合、最初の計数時に収納袋が封緘されないようにされると、収納袋から円滑に硬貨を取り出すことできる。
【0005】
そこで、本発明は、操作者が収納袋の封緘を行うか否かを選択可能な貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様に係る貨幣処理装置は、貨幣が投入される投入部と、貨幣が収納される収納部が着脱可能な装着部と、前記投入部に投入された貨幣を前記収納部へ搬送する搬送部と、前記収納部を封緘具により封緘する封緘部と、前記収納部を前記封緘具により封緘する封緘モードの処理と前記収納部を前記封緘具により封緘しない非封緘モードの処理とを実行可能な制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記搬送部による貨幣の搬送が開始される前の状態において、前記封緘モードおよび前記非封緘モードのうち一方のモードに設定するための入力を受け付け、設定されたモードの処理を実行する。
【0007】
上記の構成によれば、操作者は、収納部への貨幣の収納が開始される前に、封緘具による収納部の封緘を行うか否かを選択することができる。これにより、貨幣処理装置の利便性が向上する。
【0008】
本態様に係る貨幣処理装置において、前記封緘具が、前記封緘部により封緘を行うための位置にセットされているか否かを検知する検知部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記検知部による検知結果が前記設定されたモードに適する結果でない場合に、適する結果でないことを知らせるための処理を行う。
【0009】
上記の構成によれば、操作者は、封緘具の取り付けや取り外しを行うことにより、設定されたモードに適する状態に修正できる。
【0010】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記知らせるための処理として、報知部に所定の報知を行わせる構成とされ得る。
【0011】
このような構成とされれば、報知が行われることにより、封緘具の状態が、設定されたモードに適しない状態にあることを、操作者に容易に気付かせることができる。
【0012】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記所定の報知として、前記封緘具の取り付けまたは取り外しを促す報知および前記設定されたモードの変更を促す報知のうち少なくとも一つを前記報知部に行わせるような構成とされ得る。
【0013】
このような構成とされれば、操作者が、適切な対応を取りやすくなる。
【0014】
上記のように、検知部による検知結果が設定されたモードに適する結果でない場合に、適する結果でないことを知らせるための処理が行われる構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記封緘モードにおいて前記検知部により前記封緘具がセットされていないことが検知された場合、前記適する結果でないと判定するような構成とされ得る。
【0015】
このような構成とされれば、操作者は、封緘具のセットを忘れた場合に封緘具をセットしたり、モードが間違っていた場合にモードを変更したりすることができる。
【0016】
上記のように、検知部による検知結果が設定されたモードに適する結果でない場合に、適する結果でないことを知らせるための処理が行われる構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記非封緘モードにおいて前記検知部により前記封緘具がセットされていることが検知された場合、前記適する結果でないと判定するような構成とされ得る。
【0017】
このような構成とされれば、操作者は、封緘具を誤ってセットした場合に封緘具を取り外したり、モードが間違っていた場合にモードを変更したりすることができる。
【0018】
上記のように、検知部による検知結果が設定されたモードに適する結果でない場合に、適する結果でないことを知らせるための処理が行われる構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記知らせるための処理の後に前記検知部による検知結果が前記適する結果となった場合に、前記設定されたモードの処理を実行するような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とされれば、封緘具のセットが忘れられたまま封緘モードの処理が実行されたり、封緘具が誤ってセットされたまま非封緘モードの処理が実行されたりすることを防止できる。
【0020】
上記のように、検知部による検知結果が適する結果となった場合に、設定されたモードの処理を実行するような構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記非封緘モードにおいて前記検知部により前記封緘具がセットされていることが検知された場合に、許可する入力を受け付けたことに基づいて、前記適する結果となっていない状態で前記非封緘モードの処理を実行する。
【0021】
このような構成とされれば、貨幣処理装置から収納部を取り出す際に、併せて封緘具を取り外すことができ、操作者の手間がかかりにくくなる。
【0022】
本態様に係る貨幣処理装置において、前記封緘具を前記封緘部が封緘を行える状態にセットするためのセット機構を、さらに備えるような構成が採られ得る。
【0023】
上記の構成によれば、封緘具を封緘部が封緘を行える状態にセットするための操作者の作業を軽減できる。
【発明の効果】
【0024】
上記のように、本発明によれば、操作者が収納袋の封緘を行うか否かを選択可能な貨幣処理装置を提供できる。
【0025】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1(a)は、実施形態に係る、硬貨処理装置の外観を示す斜視図であり、図1(b)は、実施形態に係る、扉が開かれた状態の硬貨処理装置の要部の正面図である。
図2図2(a)は、実施形態に係る、硬貨が収納され、封緘具により封緘された状態の収納袋を示す図であり、図2(b)は、実施形態に係る、封緘具の平面図である。
図3図3(a)は、実施形態に係る、装着部の上部の正面断面図であり、図3(b)は、実施形態に係る、ガイドの平面図である。
図4図4は、実施形態に係る、硬貨処理装置の内部の構成を示す平面図である。
図5図5(a)および(b)は、実施形態に係る、封緘装置、設置板、タグ印字装置およびセット機構の構成を示す図である。
図6図6(a)は、実施形態に係る、移動部材の平面図であり、図6(b)は、図5(a)のA-A´線で切断された移動部材とレール部材の断面図である。
図7図7(a)および(b)は、実施形態に係る、封緘具が、セット機構の動作によって封緘装置が封緘を行える状態にセットされる様子を示す図である。
図8図8(a)および(b)は、実施形態に係る、封緘装置が封緘具により収納袋を封緘する動作について説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る、硬貨処理装置の構成を示すブロック図である。
図10図10は、実施形態に係る、在高履歴ファイルの構成を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る、計数処理に係る制御動作を示すフローチャートである。
図12図12(a)は、実施形態に係る、待機画面の一例を示す図であり、図12(b)および(c)は、実施形態に係る、警告画面の一例を示す図である。
図13図13は、実施形態に係る、計数・封緘処理に係る制御動作を示すフローチャートである。
図14図14(a)ないし(d)は、それぞれ、実施形態に係る、計数画面、袋取出画面、袋交換画面および継続計数画面の一例を示す図である。
図15図15は、実施形態に係る、計数・非封緘処理に係る制御動作を示すフローチャートである。
図16図16(a)は、実施形態に係る、モード設定処理に係る制御動作を示すフローチャートであり、図16(b)は、実施形態に係る、モード設定画面の一例を示す図である。
図17図17は、変更例1に係る、警告画面の一例を示す図である。
図18図18は、変更例2に係る、封緘装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置1について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1(a)は、硬貨処理装置1の外観を示す斜視図であり、図1(b)は、扉16が開かれた状態の硬貨処理装置1の要部の正面図である。なお、図1(b)には、便宜上、収納袋18が一点鎖線で描かれている。
【0029】
硬貨処理装置1は、いわゆる硬貨計数機であり、たとえば、郵便局や金融機関などの店舗に設置される。硬貨処理装置1は、投入された硬貨を計数し収納袋18に収納する計数処理を行う。硬貨が詰められた収納袋18は、硬貨処理装置1から取り出され、店舗内に一時的に保管された後、現金センター等の外部施設に運ばれる。
【0030】
なお、本実施形態では、硬貨処理装置1は、金種別に硬貨が収納される複数の収納箱を備えない構成とされているが、複数の収納箱を備え、識別および計数後の硬貨を金種別に収容箱に収納する機能を有するようにされてもよい。
【0031】
図1(a)に示すように、硬貨処理装置1は、ほぼ直方体状の筐体10を備える。筐体10の天面には、硬貨の投入口であるホッパー11が設けられる。ホッパー11は蓋12で覆われており、ホッパー11に硬貨が投入される際に蓋12が開放される。
【0032】
また、筐体10の天面には、ホッパー11の側方に操作表示部13とレシート印字装置14が設けられる。操作表示部13は、たとえばタッチパネルであり、硬貨の計数結果(枚数、金額)等の情報を含む画面など、各種の画面を表示するとともに、表示された画面(画面に含まれる各種ボタン等)に対する操作入力を受け付ける。操作表示部13は、報知部として機能する。レシート印字装置14は、レシート用紙に所定の情報の印字を行い、排出する。
【0033】
筐体10内には、前面が開放された収容室15が設けられる。収容室15は、開閉可能な扉16により覆われる。
【0034】
図1(b)に示すように、収容室15内には、左側の天面から垂下するように、硬貨が放出されるシュート17が設けられる。シュート17から放出された硬貨を収納するために、収納部である収納袋18が収容室15内に収容される。収納袋18は、麻などの布により形成される。収納袋18は、ナイロンなどの樹脂、紙など、他の材料により形成されてもよい。
【0035】
図2(a)は、硬貨が収納され、封緘具19により封緘された状態の収納袋18を示す図であり、図2(b)は、封緘具19の平面図である。
【0036】
図2(a)に示すように、硬貨が収納された収納袋18は、収納口18a側が帯状の封緘具19により縛られる。これにより、収納袋18が封緘具19により封緘される。
【0037】
図2(b)に示すように、封緘具19は、いわゆる結束バンドであり、帯状のバンド部110と、バンド部110の基端部に設けられるヘッド部120と、ヘッド部120からバンド部110と反対方向に延びる印字タグ130とにより構成される。バンド部110には、先端側と基端側の所定長さの領域を除くロック領域111に、返しを有するセレーション112が形成される。バンド部110の先端側には、スリット状の孔113が形成される。ヘッド部120には、爪部121を有する開口122が形成される。印字タグ130は、ほぼ長方形状に形成され、一方の面に印字領域131を有する。
【0038】
収納袋18が封緘具19により縛られる際には、バンド部110が収納袋18の収納口18a側に巻かれてヘッド部120の開口122に挿入され、輪の状態になる。そのまま、バンド部110が挿入方向に引かれると、バンド部110の輪が縮まって収納袋18が締め付けられる。バンド部110は、そのロック領域111まで開口122に挿入されると、開口122の爪部121とセレーション112の返しが係合するため、挿入方向に移動できるがその反対方向、即ち開口122から抜ける方向に移動できなくなる。よって、収納袋18がバンド部110により締め付けられて縛られた状態になると、その縛られた状態が維持される。
【0039】
図1(b)に戻り、収納袋18は、収容室15内のシュート17の下方に設置された装着部20に取り外し可能に装着される。
【0040】
図3(a)は、装着部20の上部の正面断面図であり、図3(b)は、ガイド720の平面図である。なお、図3(b)には、2つの袋検知センサ740も示されている。
【0041】
図1(b)、図3(a)および(b)を参照して、装着部20は、フレーム710と、ガイド720とを備える。
【0042】
フレーム710は、方形状を有し、天面の中央部が開口する。フレーム710の天面において、左右の開口縁には、上方に突出する板状の支持部711が設けられる。ガイド720は、平面視において、ほぼ半長円状を有する。ガイド720には、中央部に開口部721が設けられ、左右の端部にフランジ部722が設けられる。左右のフランジ部722が左右の支持部711に支持されることにより、ガイド720がフレーム710の上部に配置される。シュート17の真下に、ガイド720の開口部721が位置する。
【0043】
ガイド720の内部には、開口部721を挟んだ左側と右側にそれぞれ、収納袋18の収納口18aをガイド720に保持するための袋保持機構730が配置される。袋保持機構730は、保持体731と、レバー732と、軸733と、バネ734とを含む。
【0044】
保持体731は、半円盤状を有し、レバー732の上部に固定される。レバー732は、その下端部が軸733に支持され、軸733を支点に回動可能である。レバー732は支持部711側に傾き、保持体731はガイド720の側面の開口部723から外に突出する。収納袋18が存在しない状態では、保持体731の周面の一部が支持部711の側面にほぼ点接触する。保持体731の周面、即ち支持部711との接触面は、平滑な状態でもよいし、摩擦係数が大きくなるように、平目やあや目のローレット加工、あるいは、サンドブラスト加工が施されてもよく、歯車形状とされてもよい。また、保持体731は、金属、樹脂などで形成されてもよいし、摩擦係数が大きくなるように、ゴム、スポンジなどの材料により形成されてもよい。保持体731は、半円盤状でなくてもよく、支持部711の内面と面接触してもよい。
【0045】
バネ734は、ねじりバネであり、軸733に配置され、レバー732を介して保持体731を支持部711に近づく方向に付勢する。保持体731が下方から押されたときに、支持部711から離れる方向にレバー732が回動しやすいよう、バネ734の付勢力は小さい値に設定される。なお、バネ734が無くても、保持体731には、保持体731およびレバー732の自重によって支持部711に近づく方向に力が加わる。よって、バネ734が無くされてもよい。
【0046】
このように袋保持機構730では、保持体731が、レバー732、軸733およびバネ734からなる保持部により、下方から力が加えられるとその力の分力によって支持部711から離れる方向に移動するように保持される。レバー732、軸733およびバネ734に替えて、保持部として、板バネが用いられてもよい。板バネは、レバー732と同様に支持部711側に傾くように配置され、その下端が固定される。保持体731が下方から押されたときに、板バネが支持部711から離れる方向に反る。
【0047】
収納袋18は、前方からフレーム710の内部に収容され、その収納口18aが下方からガイド720に嵌め込まれる。この際、収納口18aが下方から保持体731に当ると、保持体731が上方に押されて、支持部711から離れる方向にレバー732が回動し、保持体731と支持部711との間に隙間が生じる。この隙間を収納口18aが通り、ガイド720の上部に達する。収納口18aが、保持体731と支持部711とにより挟まれて、ガイド720から落ちないように保持される。収納袋18の底はフレーム710の底面に接地される。このため、収納袋18の自重により収納口18aが下方に引かれるような力は生じにくい。
【0048】
シュート17から放出された硬貨は、ガイド720の開口部721を通って収納袋18に収納される。硬貨の重みにより収納袋18が下方に引かれるなどすると、収納口18aに下方向の力が加わり得る。この力により収納口18aが下方に移動しようとすると、保持体731が下方に引かれて、支持部711に近づく方向にレバー732が回動しようする。これにより、保持体731が支持部711側に押さえ付けられ、保持体731と支持部711により収納口18aを挟み込む力が増加する。よって、収納口18aがガイド720から抜けにくくなる。
【0049】
収納袋18を装着部20から取り出すときには、収納袋18、即ち収納口18aを前方へほぼ水平に移動させる。この方向に収納口18aが移動しても収納口18aを挟み込む力は大きくなりにくいので、ガイド720から収納口18aを容易に取り外すことができる。
【0050】
装着部20には、収納口18aがガイド720に装着されたか否か、即ち収納袋18が装着部20に装着されたか否かを検知するため、左右の袋保持機構730よりも上方位置であって、ガイド720の開口部721を挟んで左側と右側の位置に、2つの袋検知センサ740が配置される。各袋検知センサ740は、フォトセンサであり、ガイド720を挟んで対向する発光素子741と受光素子742とを含む。ガイド720には、発光素子741から受光素子742へ向かう光が通る孔724が形成される。
【0051】
収納口18aがガイド720に装着されると、支持部711の孔724が収納口18aで塞がれ、発光素子741からの光が収納口18aにより遮断されて受光素子742に届かなくなる。これにより、袋検知センサ740は、収納口18a、即ち収納袋18の装着を知らせる検出信号を出力する。本実施形態では、ガイド720の左右に袋検知センサ740が設けられているので、ガイド720の左右のいずれか一方において収納口18aが外れている場合も検知できる。
【0052】
図1(b)に戻り、収容室15内には、装着部20の後方であってガイド720よりやや低い位置に、封緘部である封緘装置21と、設置板22と、タグ印字装置23が配置される。また、装着部20のフレーム710内の上部には、セット機構24が配置される。
【0053】
封緘装置21は、装着部20に装着された収納袋18を、硬貨が収納された後に封緘具19により自動的に封緘する。設置板22には、封緘具19のヘッド部120および印字タグ130がセットされる。タグ印字装置23は、封緘具19により収納袋18の封緘を行った際に、設置板22にセットされた印字タグ130に、収納袋18に収納された硬貨の在高情報等を印字する。セット機構24は、封緘具19を、封緘装置21が封緘を行える状態にセットする。これら封緘装置21、設置板22、タグ印字装置23およびセット機構24の構成については、追って詳細に説明する。
【0054】
筐体10内には、収容室15の周囲に、扉16の開閉を検知するための開閉検知センサ25が設けられる。開閉検知センサ25は、扉16の開閉に応じて開信号および閉信号を出力する。開閉検知センサ25は、たとえば、マイクロスイッチ等で構成される。この場合、扉16が閉じると、マイクロスイッチのスイッチ部が閉じられる。
【0055】
筐体10の前部には、収容室15の隣に、正常な硬貨でない損貨等のリジェクト硬貨が収納されるリジェクト箱26が設けられる。リジェクト箱26を筐体10の前方から取り外すことにより、リジェクト硬貨をリジェクト箱26から取り出すことができる。
【0056】
図4は、硬貨処理装置1の内部の構成を示す平面図である。
【0057】
図4を参照して、筐体10内には、収容室15よりも上側に、投入部30、搬送部40および識別部50が配置される。
【0058】
投入部30は、ホッパー11の下方に配置され、回転円盤31と、回転円盤31を囲む円環状の周壁32とを含む。周壁32には、筐体10の右側面と対向する一部分が切り欠かれることにより、硬貨の出口33が形成される。投入部30には、出口33の近傍であって回転円盤31の上方に、規制部材34が配置される。回転円盤31と規制部材34との間には、硬貨の厚みより僅かに大きな隙間が形成される。
【0059】
投入部30には、ホッパー11を通じて硬貨が投入される。投入された硬貨は、回転円盤31上に載せられる。回転円盤31が上方から見て右方向に回転すると、回転円盤31上の硬貨が、遠心力によって周壁32側へと移動して出口33から排出される。このとき、回転円盤31と規制部材34との隙間を硬貨が通ることで、硬貨が複数枚の重なった状態で排出されることが防止される。よって、投入部30の出口33からは、硬貨が一枚ずつ排出される。
【0060】
搬送部40は、投入部30から排出された硬貨をシュート17の下方に配置された収納袋18へ搬送する。搬送部40は、搬送通路部60と、搬送ベルト機構70と、振分機構80とを備える。
【0061】
搬送通路部60は、硬貨が移動する搬送通路61を有する。搬送通路61は、筐体10の右側面に沿う通路底板62の上面に、通路底板62の外縁側に沿う外側通路部材63と通路底板62の内縁側に沿う内側通路部材64とが配置されることにより、外側通路部材63と内側通路部材64の間に形成される。搬送通路61は、投入部30の出口33に繋がり、出口33から筐体10の前面近傍へと延びる。搬送通路61は、サイズの最も大きな500円硬貨より僅かに大きな幅を有する。搬送通路61の終端の位置には、通路底板62に、シュート17へ繋がる投出口65が形成される。
【0062】
搬送ベルト機構70は、搬送通路61の上方に設けられる。搬送ベルト機構70は、投入部30の出口33の近傍に配置された第1プーリ71と、投出口65の上方に配置された第2プーリ72と、第1プーリ71と第2プーリ72との間に架け渡された搬送ベルト73を含む。搬送ベルト73が周回すると、投入部30から排出された硬貨が、搬送ベルト73と搬送通路61の底面に挟まれるようにして搬送通路61を投出口65へと向かって移動する。この際、硬貨は、外側通路部材63の壁面63aに接触し、壁面63aに沿うようにして移動する。
【0063】
搬送通路61には、長円状のリジェクト孔66が形成される。外側通路部材63の壁面63aからリジェクト孔66における壁面63aから遠い縁までの寸法は、サイズが最も小さな1円硬貨の径よりも小さくされる。このため、搬送通路61を壁面63aに沿って移動する硬貨は、通常、リジェクト孔66を跨ぐようにして通過する。
【0064】
硬貨をリジェクト孔66に導くため、リジェクト孔66に対応して振分機構80が設けられる。振分機構80は、レバー81と、レバー81の一端に回転自在に取り付けられたローラ82とを含む。レバー81は、その他端に支点81aを有し、支点81aを中心に回動できるよう外側通路部材63に取り付けられる。外側通路部材63には、リジェクト孔66の近傍に凹部63bが形成され、この凹部63bにローラ82が収容される。
【0065】
搬送通路61にはリジェクト孔66の直前に硬貨の通過を検知する通過検知センサ67が配置される。正常な硬貨でないリジェクト硬貨の通過を通過検知センサ67が検知すると、レバー81が上方から見て左方向に回動し、ローラ82が搬送通路61内へ進出する。外側通路部材63の壁面63aに沿って移動してきたリジェクト硬貨は、ローラ82によってリジェクト孔66側に押され、リジェクト孔66を跨ぐことができず、傾くようにしてリジェクト孔66に落下する。リジェクト孔66に落下したリジェクト硬貨は、シュート(図示せず)を通ってリジェクト箱26に収納される。
【0066】
識別部50は、搬送通路61における、リジェクト孔66よりも硬貨の流れの上流側に配置される。識別部50は、磁気センサ51と一対のイメージセンサ52を含み、搬送通路61を搬送される硬貨の正損、真偽、金種等を識別する。また、識別部50は硬貨の計数を行う。
【0067】
ホッパー11を通じて投入部30に投入された硬貨は、投入部30から一枚ずつ搬送通路61に排出される。排出された硬貨は、搬送通路61を搬送されて識別部50で識別および計数される。識別部50により正常と識別された硬貨は投出口65へと搬送される。投出口65に至った硬貨は、投出口65から落下し、シュート17を通って収納袋18に収納される。一方、識別部50により正常でないと識別された硬貨、即ちリジェクト硬貨は、振分機構80によりリジェクト孔66へと送られ、リジェクト箱26に収納される。なお、識別部50では、リジェクト硬貨の計数は行われない。
【0068】
図5(a)および(b)は、封緘装置21、設置板22、タグ印字装置23およびセット機構24の構成を示す図である。図5(a)は、封緘装置21、設置板22、タグ印字装置23およびセット機構24を上方から見た図であり、封緘装置21の筐体210と設置板22が断面で示されている。図5(b)は、封緘装置21の要部と設置板22を前方から見た図である。なお、図5(a)には、装着部20の構成のうち、ガイド720のみが示されている。
【0069】
図5(a)および(b)を参照して、封緘装置21は、筐体210と、第1ローラ部220と、第2ローラ部230と、第3ローラ部240と、駆動部250と、ガイド部260と、回転量検知器270と、を含む。
【0070】
筐体210は、長方形状の底面板211および天面板212と、これらに繋がる側面板213と、底面板211の下方に配置された取付板214とで構成される。底面板211および天面板212との間に、3つのローラ部220、230、240と、ガイド部260の配置スペースが形成される。
【0071】
筐体210内に、一列に並ぶようにして、第1ローラ部220、第2ローラ部230および第3ローラ部240が配置される。
【0072】
第1ローラ部220、第2ローラ部230および第3ローラ部240は、それぞれ、主動ローラ221、231、241と従動ローラ222、232、242とを含む。各主動ローラ221、231、241と各従動ローラ222、232、242との間には、封緘具19のバンド部110が挟み込まれる隙間が形成される。
【0073】
第1ローラ部220および第2ローラ部230の主動ローラ221、231には、外周面に、バンド部110のセレーション112に噛み合う歯221a、231aが形成される。第1ローラ部220および第2ローラ部230の従動ローラ222、232と、第3ローラ部240の主動ローラ241および従動ローラ242は、同じ構成であり、少なくとも外周部がゴムなどの弾性材料により形成される。
【0074】
各主動ローラ221、231、241が固定されたローラ軸223、233、243と各従動ローラ222、232、242が固定されたローラ軸224、234、244の下端部および上端部は、それぞれ、筐体210の底面板211および天面板212に回転可能に支持される。
【0075】
駆動部250は、3つの主動ローラ221、231、241を回転駆動する。駆動部250は、3つのローラギア251、252、253と、これらローラギア251、252、253と噛み合う2つの連結ギア254、255と、ローラギア251と噛み合う駆動ギア256と、駆動ギア256に取り付けられたモータ257とを含む。
【0076】
各ローラギア251、252、253は、底面板211から下方に突出する各ローラ軸223、233、243の下端部に取り付けられる。各連結ギア254、255が固定されたギア軸258、259は、底面板211に回転可能に支持される。モータ257は、取付板214に固定される。
【0077】
第1ローラ部220の従動ローラ222が固定されたローラ軸224には、下端部に、従動ローラ222の回転量を検知する回転量検知器270が取り付けられる。回転量検知器270は、たとえば、ロータリーエンコーダである。
【0078】
モータ257が回転すると、その回転が5つのギア251~255により3つのローラ軸223、233、243に伝達される。これにより、3つの主動ローラ221、231、241が、各主動ローラ221、231、241と各従動ローラ222、232、242との間に挟まれたバンド部110を奥方へ引き込む方向に回転する。回転量検知器270により検知される従動ローラ222の回転量は、バンド部110が奥方に送られる送り量に応じた値となる。
【0079】
ガイド部260は、筐体210内において、第3ローラ部240の奥方に配置される。ガイド部260は、左右方向に延びる2つのガイド板261、262を含む。2つのガイド板261、262の間に、バンド部110が通されるガイド溝263が形成される。
【0080】
設置板22は、ほぼ方形状を有し、封緘具19の印字タグ130が設置されるタグ設置部22aと封緘具19のヘッド部120が設置されるヘッド設置部22bとを含む。タグ設置部22aは、L字形を有し、設置された印字タグ130の底面と背面を支える。ヘッド設置部22bは、設置板22の前端部に設けられ、ヘッド部120が嵌り込む凹部22cと、印字タグ130が通る開口部22dとを含む。設置板22は、ヘッド設置部22bの凹部22cが主動ローラ221と従動ローラ222との隙間の正面に位置するように、封緘装置21の左側に配置される。
【0081】
タグ印字装置23は、設置板22のタグ設置部22aの左側に配置される。タグ印字装置23は、ほぼ長方形状を有するベース板310と、ベース板310に前後方向に移動可能に取り付けられる印字部320と、印字部320を前後方向に移動させる駆動部330とを含む。
【0082】
ベース板310には、中央部に、前後に延びるシャフト311が取り付けられる。シャフト311には、シャフト311上をスライド可能なボールブッシュ312が設けられる。シャフト311は、両端部がベース板310の前後両側に設けられた固定部313に固定される。
【0083】
印字部320は、印字ヘッド321を有するキャリッジ322と、キャリッジ322に搭載されるインクカートリッジ323とを含む。キャリッジ322は、ボールブッシュ312に固定される。印字ヘッド321は、タグ設置部22aと対向する。
【0084】
駆動部330は、第1プーリ331と、第2プーリ332と、ベルト333と、モータ334とを含む。第1プーリ331は、ベース板310の後側に配置され、モータ334に接続される。第2プーリ332はベース板310の前側に配置され、その軸332aがベース板310に回転可能に支持される。ベルト333は、2つの固定部313に設けられた開口313aを通されて、第1プーリ331と第2プーリ332との間にかけ渡される。ベルト333は、取付板335を介して印字部320のキャリッジ322に取り付けられる。モータ334は、ベース板310に下方から固定され、第1プーリ331を回転駆動する。モータ334の回転によりベルト333が前後方向に周回すると、キャリッジ322、即ち印字ヘッド321が前後方向、即ち設置板22に沿う方向に移動する。
【0085】
印字タグ130を検知するためのタグ検知センサ340がタグ印字装置23と設置板22とに亘って配置される。タグ検知センサ340は、フォトセンサであり、発光素子341と受光素子342とを含む。タグ設置部22aに印字タグ130がセットされると、発光素子341からの光が印字タグ130により遮られて受光素子342に届かなくなり、タグ検知センサ340から検知信号が出力される。なお、タグ検知センサ340は、フォトセンサ以外のセンサであってもよい。
【0086】
セット機構24は、レール部材410と、移動部材420とを備える。レール部材410は、装着部20のガイド720の前側から円弧を描くようにしてガイド720の左側を通って後側へと延び、設置板22のヘッド設置部22bに接する。移動部材420は、レール部材410に取り付けられ、レール部材410の両端部の間を往復移動する。
【0087】
図6(a)は、移動部材420の平面図であり、図6(b)は、図5(a)のA-A´線で切断された移動部材420とレール部材410の断面図である。なお、説明の便宜上、移動部材420がヘッド設置部22bに向かって移動するときに前となる側を、移動部材420の前側とする。
【0088】
図6(a)および(b)を参照して、移動部材420は、ほぼ直方体状の筐体421を備える。筐体421の側面には、上端部に、封緘具19のバンド部110の先端側が装着されるフック部422が設けられる。フック部422は、前側に折れ曲がる鉤状に形成され、その後端縁422aが、筐体421の側面に垂直な方向に対して前側に倒れるように傾斜する。フック部422の根本部分の断面サイズは、バンド部110の孔113のサイズよりも僅かに小さくされる。
【0089】
さらに、筐体421の側面には、前側と後側とに、それぞれ、上下に並ぶ一対の支持片423が設けられる。各一対の支持片423には、シャフト424が固定される。シャフト424の上端部には、第1ローラ425aが回転可能に取り付けられ、シャフト424の下端部には、第2ローラ425bが回転可能に取り付けられる。
【0090】
前側のシャフト424の中間部には、第1ギア426aと第2ギア426bが回転可能に取り付けられる。第1ギア426aと第2ギア426bは、一体的に形成されており、下側の第2ギア426bの直径が上側の第1ギア426aの直径よりも大きくされている。筐体421の側面は、第1ギア426aと第2ギア426bに対応する部分が開口しており、第2ギア426bの一部が筐体421の内部に張り出して、駆動ギア427に連結される。駆動ギア427は、筐体421内に配置されたモータ428に取り付けられる。
【0091】
移動部材420には、フック部422にバンド部110が装着されたことを検知するためにバンド検知センサ429が設けられる。バンド検知センサ429は、マイクロスイッチであり、筐体421の内部に配置されて、そのスイッチ部429aが、筐体421の側面の孔(図示せず)からフック部422の後方位置に突出する。フック部422にバンド部110が装着されると、バンド部110によりスイッチ部429aが押し込まれて接点が閉じ、バンド検知センサ429から検出信号が出力される。なお、バンド検知センサ429は、マイクロスイッチ以外のセンサであってもよい。
【0092】
レール部材410は、外周側が開口する中空な断面形状を有する。レール部材410の内部には、上部に第1ガイド溝411aが形成され、下部に第2ガイド溝411bが形成される。また、レール部材410の内部には、ギア状のレール412が形成される。移動部材420がレール部材410に取り付けられると、第1ローラ425aと第2ローラ425bが、それぞれ、第1ガイド溝411aと第2ガイド溝411bに収容され、第1ギア426aがレール412のギアと噛み合う。
【0093】
移動部材420において、モータ428が回転すると、その回転が駆動ギア427および第2ギア426bを介して第1ギア426aに伝達され、第1ギア426aが回転する。第1ギア426aがレール412を転がり、移動部材420がレール部材410に沿って移動する。モータ428が正逆転することにより、移動部材420が往復移動する。移動部材420は、第1ローラ425aと第2ローラ425bが第1ガイド溝411aと第2ガイド溝411bに案内されることにより、移動中、レール部材410から外れない。
【0094】
図5(a)に戻り、セット機構24は、さらに、ガイド部材430を備える。ガイド部材430は、ガイドバー431と、支持部432と、バネ433とを含む。支持部432は、タグ印字装置23のベース板310の左前端部に固定される。支持部432は、軸432aを有し、当該軸432aによりガイドバー431の基端部を回動可能に支持する。ガイドバー431は、支持部432からヘッド設置部22bの近傍へと延び、その前端部の下端がレール部材410に接触する。バネ433は、ねじりバネであり、軸432aに配置され、ガイドバー431がレール部材410に接触する回動方向に、ガイドバー431を付勢する。
【0095】
図7(a)および(b)は、封緘具19が、セット機構24の動作によって封緘装置21が封緘を行える状態にセットされる様子を示す図である。
【0096】
上述のように収納袋18が装着部20に装着されると、その後、封緘具19が、封緘装置21により封緘を行うための位置にセットされる。即ち、図7(a)に示すように、印字タグ130がヘッド設置部22bの開口部22dを通され、ヘッド部120がヘッド設置部22bの凹部22cに嵌め込まれる。開口部22dを通った印字タグ130は、タグ設置部22aにセットされる。さらに、バンド部110が、移動部材420のフック部422に、その先端側の孔113をフック部422に通すようにして装着される。こうして、封緘を行うための位置への封緘具19のセットが完了する。
【0097】
タグ検知センサ340により印字タグ130がタグ設置部22aにセットされたことが検知され、バンド検知センサ429によりバンド部110の先端側が移動部材420のフック部422に装着されたことが検知される。即ち、タグ検知センサ340とバンド検知センサ429は、検知部として、封緘具19が、封緘装置21により封緘を行うための位置にセットされているか否かを検知することになる。
【0098】
封緘具19のセットが完了すると、移動部材420がレール部材410をヘッド設置部22bに向かって移動する。図7(a)の破線に示すように、移動部材420が、バンド部110の先端がガイドバー431に接触する位置まで移動すると、その後、移動部材420の移動に伴って、バンド部110の先端が、図7(a)の矢印に示すように、ガイドバー431に案内されてヘッド設置部22bにセットされたヘッド部120へと向かう。やがて、バンド部110の先端がヘッド部120に挿入される。
【0099】
図7(b)に示すように、移動部材420がレール部材410の端部、即ちヘッド設置部22bの近傍位置に到達すると、ヘッド部120を通されたバンド部110の先端部が、第1ローラ部220のローラ間に挿入される。これにより、封緘装置21が、封緘具19により収納袋18の封緘を行える状態となる。移動部材420が接触したガイドバー431は、レール部材410から離れる方向に回動する。
【0100】
次に、封緘装置21において、モータ257の動作により3つの主動ローラ221、231、241が回転する。これにより、封緘具19のバンド部110が封緘装置21の奥方へと引き込まれる。
【0101】
図8(a)および(b)は、封緘装置21が封緘具19により収納袋18を封緘する動作について説明するための図である。
【0102】
図8(a)に示すように、バンド部110が引き込まれると、バンド部110の孔113の縁部が、傾斜するフック部422の後端縁422aに当り、後端縁422aに沿って移動する。これにより、バンド部110が移動部材420の側面から離れる方向に移動し、自動的にフック部422から外れる。バンド部110が外れた移動部材420は、元の位置へと戻る。
【0103】
第1ローラ部220および第2ローラ部220の主動ローラ221、231の歯221a、231aは、バンド部110のセレーション112に噛み合う。これにより、バンド部110が引き込まれやすくなる。バンド部110の先端部は、ガイド部260のガイド溝263に案内されて奥方へ移動する。バンド部110による封緘具19の輪が絞られていき、収納袋18の収納口18aが閉じられていく。
【0104】
図8(b)のように、封緘具19により収納袋18が十分に縛られて収納口18aが閉じると、収納袋18の封緘が完了する。回転量検知器270により検出される、バンド部110の送り量に応じた第1ローラ部220の従動ローラ222の回転量が、所定回転量を超える。また、封緘具19による収納袋18の締め付けが強くなることで3つの主動ローラ221、231、241に加わる負荷が増え、モータ257の駆動電流が増加して、所定電流値を超える。これに基づいて、モータ257が停止し、封緘装置21による封緘動作が終了する。
【0105】
タグ印字装置23では、印字部320が、前後方向に移動しながら印字ヘッド321により印字タグ130の印字領域131へ印字を行う。この際、印字タグ130は、タグ設置部22aにより背面がしっかりと支えられているので、印字タグ130の印字領域131へ良好に印字できる。
【0106】
図9は、硬貨処理装置1の構成を示すブロック図である。
【0107】
硬貨処理装置1は、上記の構成に加えて、円盤駆動部501と、ベルト駆動部502と、レバー駆動部503と、制御部504と、記憶部505とを備える。
【0108】
円盤駆動部501は、投入部30に含まれ、回転円盤31を回転させる。ベルト駆動部502は、搬送ベルト機構70に含まれ、第1プーリ71または第2プーリ72を回転させて搬送ベルト73を周回させる。レバー駆動部503は、振分機構80に含まれ、レバー81を回動させる。
【0109】
制御部504は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部504は、記憶部505に記憶された動作プログラムに従って、操作表示部13、識別部50、通過検知センサ67、開閉検知センサ25、タグ検知センサ340、バンド検知センサ429、袋検知センサ740、円盤駆動部501、ベルト駆動部502、レバー駆動部503、レシート印字装置14、封緘装置21(モータ257)、タグ印字装置23(印字ヘッド321、モータ334)、セット機構24(モータ428)等を制御する。
【0110】
記憶部505は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部504の動作プログラムを記憶し、また、制御部504の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0111】
図10は、在高履歴ファイル505aの構成を示す図である。
【0112】
記憶部505には、在高履歴ファイル505aが備えられる。在高履歴ファイル505aには、計数処理での硬貨の計数により得られた計数結果、即ち、収納袋18に収納される硬貨の在高情報が、計数処理の日付とともに記憶される。本実施形態では、在高履歴ファイル505aに、在高情報として、金種ごとの硬貨の枚数、合計金額が記憶される。なお、記憶される在高情報として、金種ごとの金額、合計枚数などが含まれてもよい。各回の計数処理で得られた各在高情報には、順番に管理番号が付される。
【0113】
次に、計数処理について、詳細に説明する。
【0114】
図11は、計数処理に係る制御動作を示すフローチャートである。図12(a)は、待機画面610の一例を示す図であり、図12(b)および(c)は、警告画面620、630の一例を示す図である。
【0115】
本実施形態の硬貨処理装置1では、封緘モードと非封緘モードの2つのモードの計数処理を行うことができる。封緘モードは、計数された硬貨を収納袋18に収納した後に、封緘具19により収納袋18を封緘するモードであり、非封緘モードは、計数された硬貨を収納袋18に収納した後に、封緘具19により収納袋18を封緘しないモードである。
【0116】
図11を参照して、制御部504は、操作表示部13に待機画面610を表示させる(S101)。図12(a)に示すように、待機画面610には、計数処理を開始するためのスタートボタン611が含まれる。また、待機画面610には、封緘モードと非封緘モードとの間でモードを設定するときに操作されるアイコン612と、収納袋18に収納される硬貨の金種を選択するためのアイコン613と、収納袋18に収納される硬貨の上限枚数を指定するためのアイコン614とが含まれる。3つのアイコン612、613、614の中に、現在の設定内容が示される。
【0117】
計数処理が行われる際には、操作者は、扉16を開いて、上述の通り、収納袋18を装着部20にセットする。その後、操作者は、封緘モードを実行するのであれば、上述の通り、封緘を行うための位置に封緘具19をセットし、扉16を閉じる。また、操作者は、収納袋18に収納する硬貨をホッパー11に投入する。そして、操作者は、待機画面610のスタートボタン611を操作する。
【0118】
制御部504は、スタートボタン611による開始操作がなされると(S102:YES)、封緘モードと非封緘モードの何れに設定されているかを判定する(S103)。
【0119】
封緘モードに設定されている場合(S103:封緘)、制御部504は、封緘具19が、封緘を行うための位置にセットされているか否かを判定する(S104)。制御部504は、タグ検知センサ340が印字タグ130を検知しており、且つバンド検知センサ429がバンド部110を検知している場合に、封緘具19がセットされていると判定し、少なくともタグ検知センサ340が印字タグ130を検知していないか、バンド検知センサ429がバンド部110を検知していない場合、封緘具19がセットされていないと判定する。
【0120】
制御部504は、2つの検知センサ340、429の検知結果が封緘モードに適する結果である、即ち、封緘具19がセットされていると判定した場合(S104:YES)、封緘モードの計数処理である計数・封緘処理を実行する(S105)。
【0121】
一方、制御部504は、2つの検知センサ340、429の検知結果が封緘モードに適しない結果である、即ち、封緘具19がセットされていないと判定した場合(S104:NO)、適しない結果であることを知らせるための処理として、図12(b)のような、封緘具19をセットする(取り付ける)ことを促す警告画面620を操作表示部13に表示させる報知処理を行う(S106)。なお、警告画面620は、封緘モードから非封緘モードへのモード変更を促すものであってもよく、封緘具19のセットとモード変更の双方を促すものであってもよい。
【0122】
報知に気付いた操作者は、扉16を開いて封緘具19をセットした後、扉16を閉める。なお、モード設定に誤りがある場合、操作者は、扉16を開閉のみを行う。
【0123】
開閉検知センサ25により扉16が閉められたことが検知されると(S107:YES)、制御部504は、操作表示部13に再び待機画面610を表示させ(S101)、操作者による開始操作を待つ(S102)。なお、モード設定に誤りがある場合は、操作者は、アイコン612を操作して封緘モードから非封緘モードへの設定変更を行う。モード設定については、追って詳細に説明する。
【0124】
次に、非封緘モードに設定されている場合(S103:非封緘)、制御部504は、封緘具19がセットされているか否かを判定する(S108)。
【0125】
制御部504は、2つの検知センサ340、429の検知結果が非封緘モードに適する結果である、即ち、封緘具19がセットされていないと判定した場合(S108:NO)、非封緘モードの計数処理である計数・非封緘処理を実行する(S109)。
【0126】
一方、制御部504は、2つの検知センサ340、429の検知結果が非封緘モードに適しない結果である、即ち、封緘具19がセットされていると判定した場合(S108:YES)、適しない結果であることを知らせるための処理として、図12(c)のような、封緘具19を取り外すことを促す警告画面630を操作表示部13に表示させる報知処理を行う(S110)。なお、警告画面630は、非封緘モードから封緘モードへのモード変更を促すものであってもよく、封緘具19の取り外しとモード変更の双方を促すものであってもよい。
【0127】
報知に気付いた操作者は、扉16を開いて封緘具19を取り外した後、扉16を閉める。なお、モード設定に誤りがある場合、操作者は、扉16の開閉のみを行う。
【0128】
開閉検知センサ25により扉16が閉められたことが検知されると(S111:YES)、制御部504は、操作表示部13に再び待機画面610を表示させ(S101)、操作者による開始操作を待つ(S102)。
【0129】
図13は、計数・封緘処理に係る制御動作を示すフローチャートである。図14(a)ないし(d)は、それぞれ、計数画面640、袋取出画面650、袋交換画面660および継続計数画面670の一例を示す図である。
【0130】
図13を参照して、封緘モードに設定されていることにより計数・封緘処理が開始されると、制御部504は、操作表示部13に計数画面640を表示させる(S201)。図14(a)に示すように、計数画面640には、識別部50による計数結果、即ち、収納袋18に収納された硬貨の在高情報として、金種ごとの硬貨の枚数および金額、並びに、硬貨の合計の枚数および金額が在高表示欄641に表示される。計数が開始されると、在高情報の表示がリアルタイムに更新される。また、計数画面640には、確定終了ボタン642、確定継続ボタン643、一時停止ボタン644およびキャンセルボタン645が含まれる。さらに、計数画面640には、進行表示欄646に計数中である旨が表示される。
【0131】
制御部504は、投入部30から硬貨を排出させて搬送部40により搬送し、識別部50により金種毎に硬貨の計数を行った後、収納袋18に収納させる(S202)。硬貨は、一時的に保留されることなく、投入部30から直接的に収納袋18へ収納される。
【0132】
制御部504は、投入部30に投入された硬貨がなくなった否かを判定する(S203)。制御部504は、投入部30に配置された残留検知センサ(図示せず)により、投入部30内が空になったと検知された場合、硬貨が無くなったと判定する。さらに、制御部504は、収納袋18が満杯(フル)の状態となったか否かを判定する(S204)。制御部504は、識別部50により計数された硬貨の全枚数が、アイコン614を用いて指定されたフル枚数(上限枚数)に達した場合、あるいは、フル検知センサ(図示せず)により収納袋18がフル状態となったことが検知された場合に、収納袋18が満杯の状態となったと判定する。
【0133】
投入部30の硬貨がなくなるか収納袋18が満杯の状態になった場合(S203:YES、S204:YES)、制御部504は、搬送部40を停止させて硬貨の計数と収納を終了し、操作表示部13の計数画面640に計数結果が表示された状態おいて、確定終了ボタン642による確定終了操作が行われるか確定継続ボタン643による確定継続操作が行われるのを待つ(S205、S206)。操作者は、操作表示部13の計数結果を承認して今回の計数処理を終了する場合に、確定終了ボタン642を操作し、計数結果を承認するが今回の計数処理を継続する場合に、確定継続ボタン643を操作する。
【0134】
確定終了操作が行われた場合(S205:YES)、制御部504は、セット機構24と封緘装置21を動作させ、封緘具19による収納袋18の封緘を行うとともに、タグ印字装置23とレシート印字装置14を動作させ、収納袋18に収納された硬貨の在高情報等を、印字タグ130とレシート用紙に印字させる(S207)。在高情報等が印字されたレシート用紙は、所定サイズに切断されてレシート印字装置14から排出される。
【0135】
印字タグ130の印字領域131には、たとえば、硬貨の合計金額と金種ごとの硬貨の枚数とが記される他、硬貨処理装置1が設置された店舗の名称(または、店舗コード)と、計数処理が行われた年月日、即ち収納袋18が封緘された年月日と、計数処理ごとに在高情報に付される管理番号とが記される。また、レシート用紙にも、印字タグ130と同様な在高情報等の印字がなされる。また、印字タグ130およびレシート用紙に、上記の在高情報の他、金種ごとの硬貨の金額、硬貨の合計枚数などが印字されてもよい。
【0136】
次に、制御部504は、今回の計数処理における計数結果、即ち在高情報と日付とを管理番号に対応付けて在高履歴ファイル505aに記憶させることにより、在高履歴ファイル505aを更新する(S208)。その後、制御部504は、図14(b)に示すような、収納袋18の取出しを促す袋取出画面650を操作表示部13に表示させる(S209)。
【0137】
操作者は、扉16を開け、収納袋18を装着部20から取り外して収容室15から取り出す。その後、操作者は扉16を閉める。扉16が閉められると(S210:YES)、制御部504は、計数・封緘処理を終了する。終了の際、袋取出画面650は閉じられる。
【0138】
一方、計数画面640において、確定継続操作が行われた場合(S206:YES)、制御部504は、S207の処理と同様、封緘具19による収納袋18の封緘と、在高情報の印字タグ130とレシート用紙への印字を行う(S211)。その後、制御部504は、在高履歴ファイル505aの更新を行った後に(S212)、図14(c)に示すような、収納袋18の交換を促す袋交換画面660を操作表示部13に表示させる(S213)。
【0139】
操作者は、扉16を開け、収納袋18を装着部20から取り外して収容室15から取り出す。その後、操作者は、新しい収納袋18と封緘具19のセットを行い、扉16を閉める。扉16が閉められると(S214:YES)、制御部504は、操作表示部13に継続計数画面670を表示させる(S215)。図14(d)に示すように、継続計数画面670には、継続される計数処理のこれまでの計数結果が在高表示欄671に表示される。また、継続計数画面670には、確定終了ボタン672、確定継続ボタン673、スタートボタン674およびキャンセルボタン675が含まれる。さらに、継続計数画面670には、進行表示欄676に開始操作を促す表示が行われる。
【0140】
スタートボタン674による開始操作がなされると(S216:YES)、制御部504は、封緘具19がセットされているか否かを判定する(S217)。制御部504は、封緘具19がセットされていると判定した場合(S217:YES)、再び、投入部30から硬貨を排出させて搬送部40により搬送し、識別部50により金種毎に硬貨の計数を行った後、収納袋18に収納させる(S202)。このとき、操作表示部13に表示される画面は、図14(a)の画面と同様の計数画面となり、各計数値は加算表示される。
【0141】
なお、前回、投入部30に硬貨がなくなることにより硬貨の計数と収納が終了した場合は、開始操作の前に、操作者によりホッパー11に硬貨が投入される。
【0142】
一方、制御部504は、封緘具19がセットされていないと判定した場合(S217:NO)、S106の処理と同様、図12(b)の警告画面620を操作表示部13に表示させる報知処理を行い(S218)、扉16が閉じられると(S219:YES)、操作表示部13に再び継続計数画面670を表示させ(S215)、操作者による開始操作を待つ(S216)。
【0143】
継続後の硬貨の計数と収納が終了し、確定終了操作が行われると、封緘具19による収納袋18の封緘と継続後の計数結果の印字タグ130等への印字が行われ、さらに、計数結果が在高履歴ファイル505aに記憶されて、収納袋18が取り出される(S203~S210)。
【0144】
図15は、計数・非封緘処理に係る制御動作を示すフローチャートである。
【0145】
図15を参照して、非封緘モードに設定されていることにより計数・非封緘処理が開始されると、制御部504は、計数・封緘処理と同様、操作表示部13に計数画面640を表示させつつ、識別部50による硬貨の計数と収納袋18への硬貨の収納を行う(S301~S304)。その後、確定終了操作が行われると(S305:YES)、制御部504は、図14(b)の袋取出画面650を操作表示部13に表示させ(S307)、扉16が閉められると(S308:YES)、計数・非封緘処理を終了する。
【0146】
一方、計数画面640において、確定継続操作が行われた場合(S306:YES)、制御部504は、図14(c)の袋交換画面660を操作表示部13に表示させ(S309)、扉16が閉められると(S310:YES)、図14(d)の継続計数画面670を操作表示部13に表示させる(S311)。その後、スタートボタン674による開始操作が行われると(S312)、制御部504は、封緘具19がセットされているか否かを判定する(S313)。
【0147】
制御部504は、封緘具19がセットされていないと判定した場合(S313:NO)、再び、投入部30から硬貨を排出させて搬送部40により搬送し、識別部50により金種毎に硬貨の計数を行った後、収納袋18に収納させる(S302)。一方、制御部504は、封緘具19がセットされていると判定した場合(S313:YES)、S110の処理と同様、図12(c)の警告画面630を操作表示部13に表示させる報知処理を行い(S314)、扉16が閉じられると(S315:YES)、操作表示部13に再び継続計数画面670を表示させ(S311)、操作者による開始操作を待つ(S312)。
【0148】
このようにして、図13の計数・封緘処理または図15の計数・非封緘処理が終了すると図11の計数処理が終了する。その後、直ちに計数処理が開始されて、操作表示部13に図12(a)の待機画面610が表示される。
【0149】
なお、図11のフローチャートには示されていないが、S104およびS108で封緘具19がセットされているか否かが検知される際、2つの袋検知センサ740の検知結果に基づいて、収納袋18がガイド720、即ち装着部20にセットされているか否かが、制御部504により判定される。収納袋18が装着部20にセットされていない場合は、処理が中断され、S104で封緘具19がセットされていると判定された場合でも計数・封緘処理が開始されず、S108で封緘具19がセットされていないと判定された場合でも計数・非封緘処理が開始されない。この場合、異常報知として、収納袋18のセットを促す報知が操作表示部13での画面表示等により行われる。
【0150】
同様に、図13図15のフローチャートには示されていないが、S217およびS313で封緘具19がセットされているか否かが検知される際にも、収納袋18が装着部20にセットされているか否か判定され、収納袋18がセットされていなければ、処理が中断されて異常報知が行われる。
【0151】
さらに、図13図15のフローチャートには示されていないが、計数中に計数画面640において一時停止ボタン644が操作された場合、搬送部40が一時停止して硬貨の計数と収納が中断される。また、硬貨の計数と収納が終了したとき、確定終了ボタン642および確定継続ボタン643が操作される前に、キャンセルボタン645が操作された場合、封緘モードであっても収納袋18が封緘具19により封緘されることなく、そのまま計数処理が終了する。
【0152】
次に、封緘モードまたは非封緘モードに設定するためのモード設定処理について説明する。
【0153】
図16(a)は、モード設定処理に係る制御動作を示すフローチャートであり、図16(b)は、モード設定画面680の一例を示す図である。
【0154】
待機画面610において、アイコン612が操作されると、モード設定処理が開始される。
【0155】
図16(a)を参照して、制御部504は、操作表示部13にモード設定画面680を表示させる(S401)。図16(b)に示すように、モード設定画面680には、封緘モードを選択するためのボタン681と、非封緘モードを選択するためのボタン682と、モードを確定するための確定ボタン683と、画面を待機画面610に戻すための戻しボタン684とが含まれる。モード設定画面680において、現在設定されているモードのボタンが強調表示される。これにより、操作者は、現在のモードを把握できる。操作者は、モードを変更する場合、現在のモードでないボタンを操作する。
【0156】
何れかのボタン681、682の操作によりモードが選択されると(S402:YES)、制御部504は、選択されたモードを設定する(S403)。即ち、現在のモードが封緘モードである場合に非封緘モードのボタン682が操作されると、非封緘モードに設定され、現在のモードが非封緘モードである場合に封緘モードのボタン681が操作されると、封緘モードに設定される。
【0157】
その後、確定ボタン683による確定操作が行われると(S404:YES)、制御部504は、設定されたモードを記憶部505に記憶する(S405)。これにより、モードが確定する。
【0158】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0159】
図16(a)のモード設定処理が行われることにより、計数処理が開始される前の状態において、封緘モードおよび非封緘モードのうち所望のモードに設定することができる。これにより、操作者は、計数処理が開始される前に、封緘具19による収納袋18の封緘を行うか否かを選択することができ、硬貨処理装置1の利便性が向上する。
【0160】
封緘具19が、封緘装置21により封緘を行うための位置にセットされているか否かを検知する検知センサ340、429が備えられ、検知センサ340、429による検知結果が設定されたモードに適する結果でない場合に、適する結果でないことを知らせるための処理として、操作表示部13による報知が行われる。具体的には、封緘モードに設定されている場合に、封緘を行うための位置に封緘具19がセットされていなければ、封緘具19のセット(取り付け)やモードの変更を促す報知がなされ、非封緘モードに設定されている場合に、封緘を行うための位置に封緘具19がセットされていれば、封緘具19の取り外しやモードの変更を促す報知がなされる。これにより、操作者は、封緘具19の取り付けや取り外しを行って、設定されたモードに適する状態に修正できる。
【0161】
操作表示部13による報知が行われた後、検知センサ340、429による検知結果が設定されているモードに適する結果となった場合、即ち、封緘モードにおいて封緘具19がセットされた場合、または、非封緘モードにおいて封緘具19が取り外された場合に、設定されているモードの処理、即ち、計数・封緘処理または計数・非封緘処理が実行される。これにより、封緘具19のセットが忘れられたまま封緘モードの処理が実行されたり、封緘具19が誤ってセットされたまま非封緘モードの処理が実行されたりすることを防止できる。
【0162】
セット機構24により、封緘具19が、封緘装置21が封緘を行える状態に自動的にセットされるので、操作者による封緘具19をセットする作業を軽減できる。具体的には、操作者は、封緘具19のバンド部110を、収納袋18の収納口18a近傍に巻いて封緘具19のヘッド部120に通し、封緘装置21の第1ローラ部220のローラ間に差し込むという、手間となる作業を行わなくて良くなる。
【0163】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0164】
<変更例1>
図17は、変更例1に係る、警告画面690の一例を示す図である。
【0165】
本変更例では、制御部504は、非封緘モードが設定されている場合に、待機画面610または継続計数画面670において開始操作がなされたとき、封緘を行うための位置に封緘具19がセットされていれば、図11のS110または図15のS314において、図17に示すような警告画面690を操作表示部13に表示させる。警告画面690には、非封緘モードの処理の継続を許可するための許可ボタン691が含まれる。
【0166】
操作者は、封緘具19を取り外すことなく処理の継続を望む場合に、許可ボタン691を操作する。制御部504は、図11のS111または図15のS315において扉16の閉鎖を検知する前に、許可ボタン691が操作されると、封緘具19がセットされた状態、即ち、2つの検知センサ340、429の検知結果が非封緘モードに適する結果となっていないで状態で、図11のS109において計数・非封緘処理を開始する、または、図15のS302において硬貨の計数と収納を開始する。
【0167】
本変更例の構成によれば、警告画面690による報知が行われたときでなく、硬貨処理装置1から収納袋18を取り出す際に、併せて封緘具19を取り外すことができ、操作者の手間がかかりにくくなる。
【0168】
<変更例2>
図18は、変更例2に係る、封緘装置21の構成を示す図である。
【0169】
本変更例の封緘装置21では、第1ローラ部220が、従動ローラ222に替えて、主動ローラ281を備える。主動ローラ281、他方の主動ローラ221と同様な構成であり、その外周面に歯281aを有する。主動ローラ281は、ローラ軸282に固定される。ローラ軸282の下端部には、ローラギア283が固定され、ローラギア283は、駆動ギア256に連結される。モータ257の回転が2つの主動ローラ221、281に伝達されると、これら主動ローラ221、281は、一方側の歯と、他方側の歯と歯の間の溝とがローラ間において近接対向するように、同期して回転する。これにより、図18に示すように、封緘具19のバンド部110は、2つの主動ローラ221、281に挟まれた部分が屈曲する状態となる。
【0170】
本変更例の構成によれば、封緘具19のバンド部110に対する第1ローラ部220のグリップ力が高まるので、バンド部110の滑りが生じにくくなり、封緘具19による円滑な封緘が可能となる。
【0171】
<その他の変更例>
上記実施形態では、2つの検知センサ340、429の検知結果が、設定されているモードに適しない結果(封緘モードでの封緘具19の非セットおよび非封緘モードでの封緘具19のセットを示す結果)であるときに、その結果を知らせるための処理として、警告画面620、630による報知が行われた。しかしながら、このような画面表示による報知ではなく、スピーカを含む音出力部(図示せず)からの音声出力による報知が行われてもよい。さらには、上記結果を知らせるための処理として、積極的な報知は行わずに、次の処理に進まずに待機する制御が行われてもよい。
【0172】
また、上記実施形態では、警告画面620、630による報知が行われた後に扉16の閉鎖が検知されると、待機画面610や継続計数画面670に画面が戻された。しかしながら、扉16の閉鎖の検知に加えて、あるいはこれに替えて、警告画面620、630上でボタン等による所定の操作がなされたときに、待機画面610や継続計数画面670に画面が戻されるようにされてもよい。
【0173】
さらに、上記実施形態では、待機画面610でのスタートボタン611の操作により計数処理が開始される前の状態において、待機画面610のアイコン612の操作により封緘モードと非封緘モードとの間でモード設定を行うことができる構成とされた。しかしながら、スタートボタン611の操作により計数処理が開始された後、搬送部40による投入部30の硬貨の搬送が開始される前に、モード設定が行えるようにされてもよい。
【0174】
さらに、上記実施形態において、制御部504は、封緘装置21の動作中に、モータ257の駆動電流が上限値を超えた場合に、封緘不良が生じたと判定し、動作を中止して異常報知を行うようにしてもよい。このようにすれば、締め付けすぎによる封緘具19のバンド部110の破断や伸びを防止できる。
【0175】
さらに、上記実施形態では、非封緘モードにおいて、計数結果、即ち在高情報が記憶されない。しかしながら、在高情報が、在高履歴ファイル505aと別のファイルに記憶されてもよい。
【0176】
さらに、封緘装置21の構成は、上記実施形態の構成に限られない。たとえば、上記実施形態では、封緘装置21は、一対のローラの回転により封緘具19のバンド部110が引き込まれる構成とされた。しかしながら、たとえば、封緘装置21は、ラックとピニオンによる構造により移動する牽引部材がバンド部110を引くことにより、封緘具19が収納袋18を締め付けるような構成とされてもよい。
【0177】
さらに、セット機構24は、上記実施形態の構成に限られない。たとえば、上記実施形態では、セット機構24は、移動部材420のフック部422に封緘具19のバンド部110の孔113が係合し、封緘装置21が動作したときに、フック部422からバンド部110が自動的に外れるような構成とされた。しかしながら、このようなバンド部110が自動で外れるような固定の方法として、フック部422と孔113による方法ではなく、両面テープや面ファスナーによる方法が用いられてよい。また、上記実施形態では、バンド部110がヘッド部120に挿入されやすいよう、セット機構24にバンド部110を案内するガイド部材430が設けられた。しかしながら、セット機構24は、ガイド部材430を備えない構成とされてもよい。
【0178】
さらに、上記実施形態では、セット機構24により、封緘具19が、封緘装置21が封緘を行える状態にセットされた。しかしながら、セット機構24が設けられず、操作者の手によって封緘具19が封緘装置21にセットされる、即ち、ヘッド部120を通されたバンド部110の先端部が封緘装置21の第1ローラ部220のローラ間に挿入されるようにされてもよい。この場合、ローラ間へバンド部110が挿入されたことが、フォトセンサ等の検知センサで検知されるとよい。なお、手動によって封緘具19のバンド部110が封緘装置21にセットされる場合、この状態が、封緘具19が封緘を行うための位置にセットされた状態となる。
【0179】
さらに、収納袋18を、封緘装置を用いて封緘具により封緘する構成は、上記実施形態の構成に限定されない。たとえば、特開平7-89521号公報に記載のように、締結機を用いて、紐により収納袋を締め付けて封緘する構成が採られてよい。
【0180】
さらに、収納袋18を封緘するための封緘具として、実開平6-37153号公報に記載のような、帯状の留止具本体と、収納袋に掛け回された留止具本体を輪の状態に保持する封止板とで構成される封緘具が用いられてもよいし、特開平5-262359号公報に記載のように、連結帯と、収納袋に掛け回された連結帯を輪の状態に保持する嵌合雄体および嵌合雌体とで構成される封緘具が用いられてもよい。
【0181】
さらに、上記実施形態では、シュート17の真下に位置する装着部20のガイド720に収納袋18の収納口18aが装着された。しかしながら、シュート17自身に収納口18aが装着される構成が採られてもよい。この場合、シュート17が、収納袋18が着脱可能な装着部となる。
【0182】
さらに、上記実施形態において、収納袋18に替えて、袋状でない収納部が用いられてもよい。
【0183】
さらに、上記実施形態において、扉16を閉じた状態にロックするためのロック装置が備えられてもよい。この場合、制御部504は、硬貨の計数と収納を開始する前に、ロック装置に扉16をロックさせる。そして、制御部504は、封緘モードでは、硬貨の計数と収納が終了し、その後に収納袋18の封緘が終了すると、ロック装置にロックを解除させ、非封緘モードでは、硬貨の計数と収納が終了すると、ロック装置にロックを解除させる。
【0184】
さらに、上記実施形態において、複数組の装着部20、封緘装置21およびタグ印字装置23が、硬貨処理装置1に備えられてもよい。この場合、各装着部20に装着された収納袋18に、硬貨を金種別に収納し、封緘することができる。
【0185】
さらに、上記実施形態において、正常な硬貨を収納する収納袋18が装着される装着部20と、その収納袋18を封緘具19により封緘する封緘装置21の他に、搬送時にリジェクトされた損貨、記念貨等のリジェクト硬貨を収納する収納袋が装着される装着部と、その収納袋を封緘具により封緘する封緘装置が、硬貨処理装置1に備えられてもよい。
【0186】
さらに、上記実施形態および上記変更例2において、封緘装置21における第1ローラ部220、第2ローラ部230および第3ローラ部240の少なくも1つは、一方側のローラが、他方側のローラに近づく方向にバネ等の弾性部材で付勢されるような構成とされてもよい。このようにされれば、ローラ部での封緘具19のバンド部110に対するグリップが高まる。なお、上記変更例2の第1ローラ部220は、グリップ力が高いため、このローラ部を付勢する場合は弾性部材の付勢力を小さくでき、また、このローラ部を弾性部材により付勢しないようにできる。
【0187】
さらに、上記実施形態では、収納袋18が封緘具19を用いて封緘された。しかしながら、収納袋18の封緘する(収納口18aを封止する)構成として、封緘具19を用いない構成が採られてもよい。たとえば、収納袋18がナイロン等の樹脂により形成され、溶着装置により、収納口18aが熱溶着されるような構成が採られてもよい。
【0188】
さらに、上記実施形態では、硬貨処理装置1は、硬貨を計数して収納袋18に収納する機能を有する、いわゆる硬貨計数機であった。しかしながら、硬貨処理装置1は、硬貨を計数して収納袋等の収納部に収納する機能に加え、硬貨を入出金する機能を有する、いわゆる硬貨入出金機であってもよい。
【0189】
さらに、上記実施形態では、取り扱われる貨幣が硬貨である硬貨処理装置1に本発明が適用される例が示された。しかしながら、本発明は、取り扱われる貨幣が紙幣であり、装着部に取り外し可能に紙幣を収納する収納袋等の収納部が装着される紙幣計数機、紙幣入出金機などの紙幣処理装置に適用することもできる。
【0190】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0191】
1 硬貨処理装置(貨幣処理装置)
13 操作表示部(報知部)
18 収納袋(収納部)
19 封緘具
21 封緘装置(封緘部)
24 セット機構
20 装着部
30 投入部
40 搬送部
340 タグ検知センサ(検知部)
429 バンド検知センサ(検知部)
504 制御部
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