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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081090
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20220524BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 B
H05K7/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192408
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 諒太
(72)【発明者】
【氏名】上村 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 厚喜
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】森重 勇作
(72)【発明者】
【氏名】馬 克
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB10
5E322BA01
5E322BB03
5E322BB05
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】OSの種類に依存しない汎用性の高いサーマルコントロールを可能にすること。
【解決手段】情報処理装置は、入力情報に応じた通知情報を出力するコントローラと、OS(Operating System)に基づくシステム処理を実行するシステム処理部と、コントローラから出力された通知情報に基づいて、システム処理のパフォーマンスに関係する制御をBIOS(Basic Input Output System)の制御により実行するBIOS処理部として機能するプロセッサと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力情報に応じた通知情報を出力するコントローラと、
OS(Operating System)に基づくシステム処理を実行するシステム処理部と、前記コントローラから出力された前記通知情報に基づいて、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御をBIOS(Basic Input Output System)の制御により実行するBIOS処理部として機能するプロセッサと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記情報処理装置の動きに応じた検知信号を出力するセンサから当該検知信号を前記入力情報として受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記検知信号に基づいて前記情報処理装置の載置状態を判定し、当該判定結果に基づく判定結果情報を前記通知情報として前記BIOS処理部へ出力する判定部と、
を備え、
前記BIOS処理部は、
前記コントローラから出力された前記判定結果情報に基づいて、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記BIOS処理部は、
前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、前記情報処理装置の載置状態に応じて予め設定された前記プロセッサの動作モードを設定する第1設定情報を前記システム処理部へ出力し、
前記システム処理部は、
前記BIOS処理部から出力された前記第1設定情報に基づいて、前記プロセッサを制御する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ファンの回転により前記情報処理装置の筐体内の空気を外気と入れ替える放熱部、
をさらに備え、
前記BIOS処理部は、
前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、前記情報処理装置の載置状態に応じて予め設定された前記放熱部のファンの回転制御に関する動作モードを設定する第2設定情報を前記コントローラへ出力し、
前記コントローラは、
前記BIOS処理部から出力された前記第2設定情報に基づいて、前記放熱部のファンの回転を制御する、
請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
キーボードに対するユーザの操作に応じて当該操作されたキーを示す操作信号を前記入力情報として受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記操作信号に基づいて操作されたキーが特定の組合せのキーであるか否かを判定し、前記特定の組合せのキーであると判定した場合に当該判定結果に基づく判定結果情報を前記通知情報として前記BIOS処理部へ出力する判定部と、
を備え、
前記BIOS処理部は、
前記コントローラから出力された前記判定結果情報に基づいて、前記システム処理のパフォーマンスに関する制御を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記BIOS処理部は、
前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、前記特定の組合せのキーに応じて予め設定された前記プロセッサの動作モードを設定する第1設定情報を前記システム処理部へ出力し、
前記システム処理部は、
前記BIOS処理部から出力された前記第1設定情報に基づいて、前記プロセッサを制御する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ファンの回転により前記情報処理装置の筐体内の空気を外気と入れ替える放熱部、
をさらに備え、
前記BIOS処理部は、
前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、前記特定の組合せのキーに応じて予め設定された前記放熱部のファンの回転制御に関する動作モードを設定する第2設定情報を前記コントローラへ出力し、
前記コントローラは、
前記BIOS処理部から出力された前記第2設定情報に基づいて、前記放熱部のファンの回転を制御する、
請求項5または請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1設定情報には、前記プロセッサの消費電力の上限に関する情報が含まれる、
請求項3または請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1設定情報には、前記プロセッサの動作周波数の上限に関する情報が含まれる、
請求項3または請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
情報処理装置における制御方法であって、
システム処理部が、OS(Operating System)に基づくシステム処理を実行するステップと、
コントローラが、入力情報に応じた通知情報を出力するステップと、
BIOS処理部が、前記コントローラから出力された前記通知情報に基づいて、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御をBIOS(Basic Input Output System)の制御により実行するステップと、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなどの情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)などの電子デバイスが動作に応じて発熱し、温度が上昇する。このような情報処理装置では、装置の温度上昇を抑制するためにサーマルコントロールを行っているものがある。サーマルコントロールの手段としては、主要な電子デバイスなどの温度を測定するための温度センサと放熱用のファンとを設け、温度センサの検出結果に基づいてファンの回転速度などの設定を制御するよう構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。また、装置のサーマルコントロールの手段としては、CPUの上限電力や動作周波数の上限などパフォーマンスに関する設定を制御することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-226617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上述したサーマルコントロールでは、CPUの電力の上限をなるべく高くし放熱用のファンを最大限使用して温度上昇を抑制するパフォーマンス優先の動作モードや、CPUの電力の上限を低くして温度上昇を抑制し放熱用のファンの使用をなるべく抑える静粛性を優先する動作モードなどをユーザの操作により切り替えることが可能なものがある。また、情報処理装置が机上で使用されているか或いは膝上で使用されているか等の使用時の載置状態によって、許容される温度の上限が異なるため、載置状態を検出して載置状態に応じたサーマルコントロールを行っているものもある。
【0005】
しかしながら、従来はOS(Operating System)上で動作するドライバを用いて、ユーザの操作や載置状態を検出・判定してサーマルコントロールを行っている。そのため、そのようなドライバの機能をサポートしていないOSではサーマルコントロールの機能を適用できない場合があり、汎用性が低かった。
【0006】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、OSの種類に依存しない汎用性の高いサーマルコントロールが可能な情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、入力情報に応じた通知情報を出力するコントローラと、OS(Operating System)に基づくシステム処理を実行するシステム処理部と、前記コントローラから出力された前記通知情報に基づいて、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御をBIOS(Basic Input Output System)の制御により実行するBIOS処理部として機能するプロセッサと、を備える。
【0008】
上記情報処理装置において、前記コントローラは、前記情報処理装置の動きに応じた検知信号を出力するセンサから当該検知信号を前記入力情報として受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記検知信号に基づいて前記情報処理装置の載置状態を判定し、当該判定結果に基づく判定結果情報を前記通知情報として前記BIOS処理部へ出力する判定部と、を備え、前記BIOS処理部は、前記コントローラから出力された前記判定結果情報に基づいて、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御を実行してもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記BIOS処理部は、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、前記情報処理装置の載置状態に応じて予め設定された前記プロセッサの動作モードを設定する第1設定情報を前記システム処理部へ出力し、前記システム処理部は、前記BIOS処理部から出力された前記第1設定情報に基づいて、前記プロセッサを制御してもよい。
【0010】
上記情報処理装置は、ファンの回転により前記情報処理装置の筐体内の空気を外気と入れ替える放熱部、をさらに備え、前記BIOS処理部は、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、前記情報処理装置の載置状態に応じて予め設定された前記放熱部のファンの回転制御に関する動作モードを設定する第2設定情報を前記コントローラへ出力し、前記コントローラは、前記BIOS処理部から出力された前記第2設定情報に基づいて、前記放熱部のファンの回転を制御してもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記コントローラは、キーボードに対するユーザの操作に応じて当該操作されたキーを示す操作信号を前記入力情報として受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記操作信号に基づいて操作されたキーが特定の組合せのキーであるか否かを判定し、前記特定の組合せのキーであると判定した場合に当該判定結果に基づく判定結果情報を前記通知情報として前記BIOS処理部へ出力する判定部と、を備え、前記BIOS処理部は、前記コントローラから出力された前記判定結果情報に基づいて、前記システム処理のパフォーマンスに関する制御を実行してもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記BIOS処理部は、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、前記特定の組合せのキーに応じて予め設定された前記プロセッサの動作モードを設定する第1設定情報を前記システム処理部へ出力し、前記システム処理部は、前記BIOS処理部から出力された前記第1設定情報に基づいて、前記プロセッサを制御してもよい。
【0013】
上記情報処理装置は、ファンの回転により前記情報処理装置の筐体内の空気を外気と入れ替える放熱部、をさらに備え、前記BIOS処理部は、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、前記特定の組合せのキーに応じて予め設定された前記放熱部のファンの回転制御に関する動作モードを設定する第2設定情報を前記コントローラへ出力し、前記コントローラは、前記BIOS処理部から出力された前記第2設定情報に基づいて、前記放熱部のファンの回転を制御してもよい。
【0014】
上記情報処理装置において、前記第1設定情報には、前記プロセッサの消費電力の上限に関する情報が含まれてもよい。
【0015】
上記情報処理装置において、前記第1設定情報には、前記プロセッサの動作周波数の上限に関する情報が含まれてもよい。
【0016】
また、本発明の第2態様に係る情報処理装置における制御方法は、システム処理部が、OS(Operating System)に基づくシステム処理を実行するステップと、コントローラが、入力情報に応じた通知情報を出力するステップと、BIOS処理部が、前記コントローラから出力された前記通知情報に基づいて、前記システム処理のパフォーマンスに関係する制御をBIOS(Basic Input Output System)の制御により実行するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記態様によれば、OSの種類に依存しない汎用性の高いサーマルコントロールを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図。
図2】第1の実施形態に係る情報処理装置の第2筐体内部を模式的に示した平面図。
図3】第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図4】第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図5】第1の実施形態に係るファンテーブルの一例を示す図。
図6】第1の実施形態に係るCPUテーブルの一例を示す図。
図7】第1の実施形態に係るサーマルコントロール処理の一例を示すフローチャート。
図8】第1の実施形態に係るサーマルコントロールによる効果の説明図。
図9】第2の実施形態に係るキーボードの操作とサーマルコントロールの制御との対応関係の一例を示す図。
図10】第2の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図11】第2の実施形態に係るファンテーブルの一例を示す図。
図12】第2の実施形態に係るCPUテーブルの一例を示す図。
図13】第2の実施形態に係るサーマルコントロール処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
<第1の実施形態>
まず、本実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。図示する情報処理装置10は、クラムシェル型のノートPC(Personal Computer)である。情報処理装置10は、第1筐体101、第2筐体102、及びヒンジ機構103を備えている。第1筐体101及び第2筐体102は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。第1筐体101の側面の一つと第2筐体102の側面の一つとがヒンジ機構103を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構103がなす回転軸の周りに第1筐体101と第2筐体102とが相対的に回動可能である。第1筐体101と第2筐体102との回転軸の周りの開き角θが略0°の状態が、第1筐体101と第2筐体102とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。閉状態において第1筐体101と第2筐体102との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と称する。開き角θとは、第1筐体101の内面と第2筐体102の内面とがなす角とも言うことができる。閉状態に対して第1筐体101と第2筐体102とが開いた状態のことを「開状態」と称する。開状態とは、開き角θが予め設定された閾値(例えば、10°)より大きくなるまで、第1筐体101と第2筐体102とが相対的に回動された状態である。
【0020】
第1筐体101の内面には、表示部14が設けられている。また、第2筐体102の内面には入力部32が設けられている。図示する例において、入力部32は、物理的なキーボードである。なお、入力部32は、タッチパッドを含んでもよいし、ソフトウェアキーボードを含んでもよい。ソフトウェアキーボードの場合には、第2筐体102の内面にも表示部が設けられている構成となる。
【0021】
閉状態では、表示部14が視認できない状態、且つ入力部32への操作ができない状態となる。一方、開状態では、表示部14が視認可能な状態、且つキーボードへの操作が可能な状態(即ち、情報処理装置10を使用可能な状態)となる。ユーザが情報処理装置10を使用する際の一般的な使用形態では、一例として90°≦開き角θ≦180°の範囲内となる開状態であることが多い。
【0022】
図2は、情報処理装置10の第2筐体102の内部を模式的に示した平面図である。以下に示す説明において、第2筐体102を単に筐体BDとも称する。ここでは、放熱ファン35を搭載する情報処理装置10を例示して説明する。
【0023】
筐体BDの内部には、マザーボードMB、記憶媒体23、オーディオシステム24、バッテリ34、及び放熱ファン35が配置されている。マザーボードMBには、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、ビデオサブシステム13、チップセット21、BIOS(Basic Input Output System)メモリ22、エンベデッドコントローラ31、及び電源回路33が実装されている。
【0024】
放熱ファン35(放熱部の一例)は、筐体BD内の空気を外気と入れ替える。例えば、放熱ファン35が作動してファン(羽根車)が回転すると、外気が筐体BDの吸気口81を通じて筐体BD内に入り、ヒート・シンク(不図示)と熱交換して排気口83から筐体BDの外に排出される。ヒート・シンクは、ヒート・パイプ(不図示)などによりCPU11と熱結合されている。筐体BDには、温度管理が必要とされる電子デバイスと筐体BD内の所定の複数の位置のそれぞれに温度センサ36が配置されている。例えば、図示する温度センサ36aはCPU11の温度を検出するために配置されている。不図示の他の温度センサ36も、それぞれの位置の温度を同様に検出するために配置されている。
【0025】
CPU11は、CPU及びGPU、又はそれらのうちの何れかであってもよい。CPU11はCPUとGPUを同一のコアに形成するタイプでもよい。さらにCPU11はCPUとGPUを別々のコアで形成し負荷を分担するタイプでもよい。また、CPU11は複数でもよい。
【0026】
一例においてCPU11は、例えば、スピード・ステップ、スピード・シフト、スロットリングなどのいずれかの技術に対応しており、動作電圧及び動作周波数の値を動作モードによって調整する。動作モードには、例えばCPU11の消費電力の上限、CPU11の動作周波数の上限などCPU11の動作を制御するパラメータの設定が含まれる。CPU11の消費電力の上限の設定とは、例えば、Intel製のCPUで規定されているPL(Power Limit)の設定などを用いてもよい。また、CPU11の動作周波数の上限の設定には、Intel製のCPUで規定されているTCC(Thermal Control Circuit)の設定などを用いてもよい。以下では、CPU11の消費電力の上限を設定するパラメータを「PL」、CPU11の動作周波数の上限を設定するパラメータを「TCC」と記載するが、この記載により、Intel製のCPUに限定されるものではない。
【0027】
例えば、CPU11は、「PL」の設定に応じて、設定された消費電力の上限を超えないように、動作周波数及びCPU11の動作電圧を調整する。例えば、CPU11は、エンベデッドコントローラ31に指示することにより、電源回路33からCPU11への供給電圧を調整する。また、CPU11は、「TCC」の設定に応じて、上限の動作周波数を設定することにより、実際にCOU11が動作する動作周波数を調整する。これにより、CPU11の消費電力及び発熱量を制御することができる。なお、CPU11の動作を制御するパラメータは、CPU11の消費電力の上限とCPU11の動作周波数の上限に限定されるものではなく他のパラメータが含まれてもよい。
【0028】
次に、図3を参照して、情報処理装置10の主要なハードウェア構成について説明する。図3は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
情報処理装置10は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31と、入力部32と、電源回路33と、バッテリ34と、放熱ファン35と、温度センサ36と、加速度センサ37とを備える。
【0030】
CPU11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、情報処理装置10全体を制御している。例えば、CPU11は、OS(Operating System)やBIOSのプログラムに基づく処理を実行する。
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0031】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0032】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
【0033】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。例えば、複数のデバイスとして、後述するBIOSメモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31とが含まれる。
【0034】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0035】
記憶媒体23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶媒体23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
【0036】
オーディオシステム24は、不図示のマイク及びスピーカが接続され、音データの記録、再生、出力を行う。なお、マイク及びスピーカは、一例として、情報処理装置10に内蔵されている。
【0037】
WLAN(Wireless Local Area Network)カード25は、ワイヤレス(無線)LANにより、ネットワークに接続して、データ通信を行う。WLANカード25は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生する。
USBコネクタ26は、USBを利用した周辺機器類を接続するためのコネクタである。
【0038】
入力部32は、例えば、キーボードや、タッチパッドなどのポインティング・デバイスなどの入力デバイスである。例えば、入力部32は、図1に示すように、第2筐体102の内面にキーボードとして配置されている。入力部32は、ユーザの操作により入力された入力情報(例えば、キーボードに対して操作されたキーを示す操作信号)をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
【0039】
電源回路33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、AC/DCアダプタなどを含んで構成されている。例えば、電源回路33は、ACアダプタ(不図示)などの外部電源又はバッテリ34から供給される直流電圧を、情報処理装置10を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路33は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、情報処理装置10の各部に電力を供給する。
【0040】
バッテリ34は、例えば、リチウムバッテリであり、情報処理装置10に外部電源から電力供給されている場合に、電源回路33を介して充電され、情報処理装置10に外部電源から電力供給されていない場合に、電源回路33を介して、充電された電力を情報処理装置10の動作電力として出力する。
【0041】
加速度センサ37は、例えば、3軸加速度センサであり、情報処理装置10の動きに応じた加速度を検出する。なお、加速度センサ37は、3軸に限られるもではなく、例えば2軸の加速度センサでもよい。例えば、加速度センサ37は、図1に示す第1筐体101と第2筐体102のいずれか一方又は両方に配置されている。情報処理装置10は、加速度センサ37の検出結果を、情報処理装置10の載置状態を判定する際に利用する。載置状態とは、例えば、机上に置かれている状態であるか或いは膝上に置かれている状態であるかなどである。例えば、情報処理装置10は、加速度センサ37の検出結果を、机上に置かれている状態であるか或いは膝上に置かれている状態であるかの載置状態を、情報処理装置10の姿勢(向き)または揺れの量などに基づいて判定する際に利用する。
【0042】
なお、情報処理装置10は、2つの加速度センサ37(37A、37B)の検出結果を、第1筐体101と第2筐体102との開き角θの検出に利用してもよい。例えば、加速度センサ37Aを第1筐体101の内部に配置し、加速度センサ37Bを第2筐体102の内部に配置することにより、情報処理装置10は、第1筐体101と第2筐体102のそれぞれの動きに応じた加速度の検出結果に基づいて開き角θを検出してもよい。
【0043】
エンベデッドコントローラ31は、情報処理装置10のシステムの状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視して制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ31のデジタル入出力端子には、例えば、入力部32、電源回路33、放熱ファン35、温度センサ36、及び加速度センサ37などが接続されており、エンベデッドコントローラ31は、これらの動作を制御する。
【0044】
例えば、エンベデッドコントローラ31は、温度センサ36の検出結果を取得し、検出結果に基づいて放熱ファン35を制御する。また、エンベデッドコントローラ31は、加速度センサ37の検出結果を取得し、検出結果に基づいて情報処理装置10の載置状態を判定する。例えば、エンベデッドコントローラ31は、加速度センサ37の検出結果にも基づいて、情報処理装置10が机上に置かれている状態であるか或いは膝上に置かれている状態であるかの判定を行う。ここで、「机上に置かれている状態」とは、情報処理装置10が静止物体によって支えられている状態のことを総称しており、机上のみに限定されるものではなく床上や棚上なども同様である。また、「膝上に置かれている状態」とは、情報処理装置10が人物の体の一部によって支えられている状態のことを総称しており、膝上のみに限定されるものではなく腕の上なども同様である。例えば、情報処理装置10は、エンベデッドコントローラ31が判定した載置状態(机上/膝上)に基づいて、情報処理装置10の温度上昇を抑制するためのサーマルコントロールの制御を切り替える。
【0045】
サーマルコントロールは、情報処理装置10の温度上昇を抑制するために、CPU11の動作や放熱ファン35の回転を制御するものであり、CPU11が実行するシステム処理のパフォーマンスに関係する制御である。具体的には、サーマルコントロールには、CPU11のパフォーマンスに関する動作モード(以下、単に「CPU11の動作モード」と称する)の制御が含まれる。CPU11の動作モードには、例えば「PL」の設定や、「TCC」の設定などが含まれる。情報処理装置10は、情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)によってCPU11の動作モードを切り替える。
【0046】
また、サーマルコントロールには、放熱ファン35の制御として、回転の開始、回転の停止、回転速度などの制御が含まれる。例えば、情報処理装置10は、筐体BD内に設けられた温度センサ36の検出結果に基づいて放熱ファン35の回転を制御する。このとき情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)によって、放熱ファン35の回転の制御を変更する。
【0047】
次に、図4を参照して、情報処理装置10が実行するサーマルコントロールに関する機能構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、サーマルコントロールに関する機能構成として、OS処理部111(システム処理部の一例)と、BIOS処理部115と、EC処理部310とを備えている。OS処理部111は、OS及びOS上で動作するプログラム(ドライバ、アプリケーションなど)をCPU111が実行することにより実現される機能構成である。BIOS処理部115は、BIOSのプログラムをCPU111が実行することにより実現される機能構成である。EC処理部310は、エンベデッドコントローラ31を制御するためのプログラムをエンベデッドコントローラ31が実行することにより実現される機能構成である。
【0048】
EC処理部310は、各種の入力情報に応じた通知情報の出力、及び放熱ファン35の回転を制御する。例えば、EC処理部310は、受付部311と、判定部312と、ファン制御部313と、ファンテーブル314とを備えている。受付部311は、加速度センサ37から出力される情報処理装置10の動きに応じた検知信号を入力情報として受け付ける。判定部312は、受付部311が受け付けた検知信号に基づいて情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)を判定する。例えば、判定部312は、情報処理装置10の動きの量が所定の閾値未満である場合、情報処理装置10が机上に置かれている状態と判定する。一方、判定部312は、情報処理装置10の動きの量が所定の閾値以上である場合、情報処理装置10が膝上に置かれている状態と判定する。そして、判定部312は、載置状態の判定結果に基づく判定結果情報(載置状態(机上/膝上)を示す情報)を上記通知情報としてBIOS処理部115へ出力する。なお、判定部312は、載置状態の判定結果が変化したときにのみ、判定結果情報(載置状態(机上/膝上)を示す情報)を上記通知情報としてBIOS処理部115へ出力してもよい。
【0049】
ファン制御部313は、放熱ファン35の回転を制御する。例えば、ファン制御部313は、ファンテーブル314を参照して、放熱ファン35の回転の開始、回転の停止、回転速度などを制御する。ファンテーブル314は、サーマルコントロールに用いるファンの回転制御の設定データが格納されているデータテーブルである。例えば、ファンテーブル314は、エンベデッドコントローラ31内のメモリに記憶されている。
【0050】
図5は、本実施形態に係るファンテーブル314の一例を示す図である。ファンテーブル314には、温度センサ36と放熱ファン35の回転を制御する設定温度とが関連付けられている。例えば、情報処理装置10の筐体BD内の所定の複数の位置に配置されている温度センサ36(36a~36e)ごとに、放熱ファン35の動作状態を停止、低速回転、中速回転、及び高速回転の4段階の速度ステップで変更するための設定温度のデータが格納されている。設定温度は、各動作状態に対するイネーブル温度LTe、MTe、HTeとディスエーブル温度LTd、MTd、HTdで構成され、回転速度が上昇方向に変化する場合と下降方向に変化する場合との間にヒステリシス特性を形成するように各データが設定される。
【0051】
低速回転、中速回転、及び高速回転のそれぞれのイネーブル温度LTe、MTe、HTeは、温度センサの測定温度が上昇傾向にある場合に、1ステップ遅い速度ステップから当該速度ステップに移行する温度である。低速回転、中速回転、及び高速回転のそれぞれのディスエーブル温度LTd、MTd、HTdは、温度センサの測定温度が下降傾向にある場合に、当該速度ステップより1ステップ遅い速度ステップに移行する温度である。ここで、上記の低速回転より遅い速度ステップは停止状態である。
【0052】
ここでは、複数の温度センサ36の例として、温度センサ36a~36eを例示しているが、温度センサ36の例の数は任意の数とすることができる。各温度センサ36a~36eに対応して設定されている設定温度は、放熱ファン35をできるだけ低い回転速度で動作させて筐体BDの所定の場所の表面温度が所定値を越えないように、あるいは各電子デバイスがクリティカル温度を超えないように放熱ファン35を適切な回転速度で動作させるように設定されている。
【0053】
例えば、ファン制御部313は、何れかの温度センサ36a~36eの測定温度がイネーブル温度LTeに到達したとき放熱ファン35の回転を開始させ、イネーブル温度MTe、HTeに到達したときに回転速度を1ステップ上昇させる。また、ファン制御部313は、すべての温度センサ36a~36eの測定温度がディスエーブル温度MTd、HTd未満まで下降したとき放熱ファン35の回転速度を1ステップ下降させ、ディスエーブル温度LTd未満になったときに回転を停止させる。
【0054】
このように、ファン制御部313は、温度センサ36の測定温度とファンテーブル314に基づいて放熱ファン35の回転を制御する。なお、放熱ファン35の回転速度が上昇するほど排気口83を通過する際の空気の摩擦音が大きくなる。例えば、CPU11の温度が上昇すると、これにつれて放熱ファン35の回転速度が上昇して騒音が発生することがある。
【0055】
また、図5に示すように、ファンテーブル314は複数種類のテーブルを備えている。例えば、情報処理装置10が机上に置かれている状態であるときに適用する机上モードのテーブルFTA_A1(On Desk)、情報処理装置10が膝上に置かれている状態であるときに適用する膝上モードのテーブルFTA_A2(On Lap)など、複数のテーブルが選択可能にファンテーブル314には備えられている。例えば、机上での使用より膝上での使用の方が許容される温度の上限が低いため、FTA_A1(On Desk)に対してFTA_A2(On Lap)の方がより低い温度で放熱ファン35を作動させ、温度上昇に応じてより早い段階で回転速度が高くなるように設定されている。どのテーブルを参照して放熱ファン35の回転制御を行うかは、BIOS処理部115の指示により決定される。
【0056】
図4に戻り、BIOS処理部115は、サーマル制御部116と、CPUテーブル117とを備えている。サーマル制御部116は、EC処理部310から出力された判定結果情報(机上または膝上のいずれかを示す情報)に基づいて、サーマルコントロールの制御としてシステム処理のパフォーマンスに関係する制御を実行する。
【0057】
例えば、サーマル制御部116は、システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)に応じて予め設定されたCPU11の動作モードを設定するシステム設定情報(第1設定情報の一例)をOS処理部111へ出力する。具体的には、サーマル制御部116は、EC処理部310から出力された判定結果情報が机上を示す情報である場合、CPUテーブル117を参照して、CPU111の動作モードを机上モードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。また、サーマル制御部116は、EC処理部310から出力された判定結果情報が膝上を示す情報である場合、CPUテーブル117を参照して、CPU111の動作モードを膝上モードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。
【0058】
図6は、本実施形態に係るCPUテーブル117の一例を示す図である。CPUテーブル117には、CPU11の動作モードごとの設定が格納されている。図示する例では、CPU11の動作モードとして、机上モード(On Desk)と膝上モード(ON Lap)が設定されている。机上モード(On Desk)には、机上モードのモードNo.「A1」と、机上モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定が関連付けられている。膝上モード(ON Lap)には、膝上モードのモードNo.「A2」と、膝上モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定が関連付けられている。例えば、「PL」の設定は、机上モードより膝上モードの方が、CPU11の消費電力の上限値が低くなるように設定されている。また、「TCC」の設定は、机上モードより膝上モードの方が、CPU11の動作周波数の上限値が低くなるように設定されている。なお、CPUテーブル117には、机上モードと膝上モード以外の動作モードが設定されてもよい。
【0059】
例えば、サーマル制御部116は、机上モードに設定する場合には、CPUテーブル117を参照して、モードNo.「A1」と机上モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値を含む情報をシステム設定情報としてOS処理部111へ出力する。また、サーマル制御部116は、膝上モードに設定する場合には、CPUテーブル117を参照して、モードNo.「A2」と膝上モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値を含む情報をシステム設定情報として、OS処理部111へ出力する。
【0060】
また、サーマル制御部116はシステム処理のパフォーマンスに関係する制御として、情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)に応じて、EC処理部310が放熱ファン35の回転を制御する際に参照するファンテーブル314を設定するファン設定情報(第2設定情報の一例)をEC処理部310へ出力する。
【0061】
具体的には、サーマル制御部116は、EC処理部310から出力された判定結果情報が机上を示す情報である場合、図5に示すファンテーブル314のうち机上に置かれている状態であるときに適用する机上モードのテーブルFTA_A1(On Desk)に設定するファン設定情報を、EC処理部310へ出力する。EC処理部310のファン制御部313は、このファン設定情報に基づいて、テーブルFTA_A1(On Desk)を参照して、放熱ファン35の回転を制御する。
【0062】
また、サーマル制御部116は、EC処理部310から出力された判定結果情報が膝上を示す情報である場合、図5に示すファンテーブル314のうち膝上に置かれている状態であるときに適用する膝上モードのテーブルFTA_A2(On Lap)に設定するファン設定情報を、EC処理部310へ出力する。EC処理部310のファン制御部313は、このファン設定情報に基づいて、テーブルFTA_A2(On Lap)を参照して、放熱ファン35の回転を制御する。
【0063】
これにより、情報処理装置10は、机上モードより膝上モードの方が、より低い温度で放熱ファン35を作動させ、温度上昇に応じてより早い段階で回転速度が高くなるように制御することで温度上昇を抑制する。
【0064】
OS処理部111は、Windows(登録商標)上で動作するDPTF(Dynamic Platform and Thermal Framework)ドライバを備えていないOS、即ちWindows(登録商標)以外のOSによる処理を実行する。なお、DPTFドライバは机上モード及び膝上モードなどに対応するドライバの一例であって、これらのモードに対応するドライバであれば他のドライバ(例えば、DTT(Dynamic Tuning Technology))でも同様である。以下では、DPTFドライバを例として説明する。Windows(登録商標)以外のOSとしては、一例としてLinux(登録商標)を例示することができる。OS処理部111は、BIOS処理部115から出力されたシステム設定情報に基づいて、CPU11の動作を制御する。例えば、OS処理部111は、BIOS処理部115から机上モードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれる机上モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部111は、BIOS処理部115から膝上モードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれる膝上モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。
【0065】
これにより、情報処理装置10は、机上モードより膝上モードの方が、よりCPU11の消費電力の上限を低くし且つCPU11の動作周波数も低く抑えて制御することで温度上昇を抑制する。
【0066】
なお、本実施形態のサーマルコントロールの制御は、OSとしてWindows(登録商標)を使用する場合にも適用できる。図4に示すOS処理部112(システム処理部の一例)は、DPTFドライバを備えたWindows(登録商標)による処理を実行する機能構成の一例を示している。情報処理装置10は、このOS処理部112をOS処理部111に代えて又は加えて備えてもよい。OS処理部112は、OS処理部111と同様に、BIOS処理部115から出力されたシステム設定情報に基づいてCPU11の動作を制御するが、CPU11の動作を制御する際のCPU11の設定(PLやTCCなど)については、DPTFドライバで設定されているものを使用する。例えば、OS処理部112は、BIOS処理部115から出力されたシステム設定情報に基づいて、CPU11の動作を制御する。例えば、DPTFドライバには、机上モード用のCPU11の設定(PLやTCCなど)と膝上モード用のCPU11の設定(PLやTCCなど)が少なくとも含まれるサーマルコントロール用のデータテーブルが記憶されている。例えば、OS処理部112は、BIOS処理部115から机上モードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバを用いて、システム設定情報に含まれる机上モードを示すモードNo.「A1」に対応するサーマルコントロール用のデータテーブルを参照して、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部112は、BIOS処理部115から膝上モードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバを用いて、システム設定情報に含まれる膝上モードを示すモードNo.「A2」に対応するサーマルコントロール用のデータテーブルを参照して、CPU11の動作を制御する。
【0067】
次に、図7を参照して、情報処理装置10の各構成が実行するサーマルコントロール処理の動作について説明する。
図7は、本実施形態に係るサーマルコントロール処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
(ステップS101)EC処理部310は、加速度センサ37(Gセンサ)から出力される情報処理装置10の動きに応じた検知信号を取得すると、ステップS103の処理に進む。
【0069】
(ステップS103)EC処理部310は、ステップS101で取得した加速度センサ37からの検知信号に基づいて情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)を判別する。そして、ステップS105の処理に進む。
【0070】
(ステップS105)EC処理部310は、ステップS103の載置状態の判別結果に基づいて、載置状態に変化があったか否かを判定する。EC処理部310は、載置状態に変化がないと判定した場合(NO)、ステップS101の処理に戻り、加速度センサ37(Gセンサ)から出力される検知信号を取得する。一方、EC処理部310は、載置状態に変化があったと判定した場合(YES)、ステップS107の処理に進む。
【0071】
(ステップS107)EC処理部310は、載置状態の判定結果に基づいて、載置状態(机上/膝上)を示す判定結果情報をBIOS処理部115へ通知する。例えば、EC処理部310は、載置状態が机上に置かれている状態であると判定した場合には載置状態が机上であることを示す判定結果情報をBIOS処理部115へ出力し、載置状態が膝上に置かれている状態であると判定した場合には載置状態が膝上であることを示す判定結果情報をBIOS処理部115へ出力する。そして、ステップS109の処理に進む。
【0072】
(ステップS109)BIOS処理部115は、ステップS107でEC処理部310から出力された判定結果情報を取得すると、この判定結果情報に基づいて、図6に示すCPUテーブル117を参照して載置状態(机上/膝上)に対応する動作モードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ通知する。例えば、BIOS処理部115は、EC処理部310から出力された判定結果情報が机上を示す情報である場合、CPUテーブル117を参照して、CPU111の動作モードを机上モードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。また、BIOS処理部115は、EC処理部310から出力された判定結果情報が膝上を示す情報である場合、CPUテーブル117を参照して、CPU111の動作モードを膝上モードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。そして、ステップS111の処理に進む。
【0073】
(ステップS111)BIOS処理部115は、ステップS107でEC処理部310から出力された判定結果情報を取得すると、この判定結果情報に基づいて、EC処理部310が放熱ファン35の回転を制御する際に参照するファンテーブル314を載置状態(机上/膝上)に対応するテーブルに設定するファン設定情報をEC処理部310へ通知する。例えば、BIOS処理部115は、EC処理部310から出力された判定結果情報が机上を示す情報である場合、図5に示すファンテーブル314のうち机上モードのテーブルFTA_A1(On Desk)に設定するファン設定情報を、EC処理部310へ出力する。また、BIOS処理部115は、EC処理部310から出力された判定結果情報が膝上を示す情報である場合、図5に示すファンテーブル314のうち膝上モードのテーブルFTA_A2(On Lap)に設定するファン設定情報を、EC処理部310へ出力する。
【0074】
なお、このステップS109とステップS111の処理の順番は入れ替えてもよいし、同時であってもよい。
【0075】
(ステップS113)OS処理部111は、ステップS109でBIOS処理部115から出力されたシステム設定情報を取得すると、このシステム設定情報に基づいてCPU11の動作を制御する。例えば、OS処理部111は、BIOS処理部115から机上モードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれる机上モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部111は、BIOS処理部115から膝上モードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれる膝上モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。
【0076】
なお、情報処理装置10のOSがDPTFドライバを備えたWindows(登録商標)の場合には、ステップS113において、OS処理部112が、BIOS処理部115から出力されたシステム設定情報に基づいて、CPU11の動作を制御する。例えば、OS処理部112は、BIOS処理部115から机上モードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバで設定されている机上モード用のCPU11の設定(PLやTCCなど)に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部112は、BIOS処理部115から膝上モードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバで設定されている膝上モード用のCPU11の設定(PLやTCCなど)に基づいて、CPU11の動作を制御する。
【0077】
(ステップS115)EC処理部310は、ステップS111でBIOS処理部115から出力されたファン設定情報を取得すると、ファンテーブル314のうちファン設定情報に基づくテーブルを参照して放熱ファン35を制御する。例えば、EC処理部310は、机上モードのテーブルFTA_A1(On Desk)に設定するファン設定情報を取得すると、テーブルFTA_A1(On Desk)を参照して放熱ファン35の回転を制御する。また、EC処理部310は、膝上モードのテーブルFTA_A2(On Lap)に設定するファン設定情報を取得すると、テーブルFTA_A2(On Lap)を参照して放熱ファン35の回転を制御する。
【0078】
図8は、本実施形態に係るサーマルコントロールによる効果の説明図である。図8(A)は、机上と膝上でサーマルコントロールの制御を切り替えない場合のCPU11の消費電力の上限(PL)の設定と情報処理装置10の温度(Temp)とを示している。ULの安全規格では、使用時の載置状態が膝上である場合(即ち、人物に接する場合)に許容される温度(Temp(Lap))は、使用時の載置状態が机上である場合(即ち、人物に接しない場合)に許容される温度(Temp(Desk))より低い温度に定められている。机上と膝上でサーマルコントロールの制御を切り替えない場合には、机上と膝上のいずれでも、膝上である場合(人物に接する場合)に許容される温度(Temp(Lap))を超えないように設定する必要があるため、CPU11の消費電力の上限(PL)を膝上モードの低い設定に固定することになる。
【0079】
一方、図8(B)は、机上と膝上でサーマルコントロールの制御を切り替えた場合、CPU11の消費電力の上限(PL)の設定と情報処理装置10の温度(Temp)とを示している。この場合、机上モードでは膝上モードよりも許容される温度が高いため、机上モードでのCPU11の消費電力の上限(PL)を膝上モードより高く設定することができる。よって、情報処理装置10は、机上と膝上でサーマルコントロールの制御を切り替えることにより、膝上で使用されている場合と机上で使用されている場合のいずれもULの安全規格を守りつつ、机上で使用されている場合にはCPU11のパフォーマンスを高めることができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、入力情報に応じた通知情報を出力するエンベデッドコントローラ31(コントローラの一例)を備えている。また、情報処理装置10は、OSに基づくシステム処理を実行するOS処理部111又はOS処理部112(システム処理部の一例)と、エンベデッドコントローラ31から出力された通知情報に基づいて、OS処理部111又はOS処理部112のパフォーマンスに関係する制御をBIOSの制御により実行するBIOS処理部115として機能するCPU11(プロセッサの一例)を備えている。
【0081】
これにより、情報処理装置10は、エンベデッドコントローラ31からの通知に基づいてBIOSがパフォーマンスに関係する制御を行うことにより、OSの種類に依存しない汎用性の高いサーマルコントロールを可能にすることができる。
【0082】
例えば、エンベデッドコントローラ31(EC処理部310)は、情報処理装置10の動きに応じた検知信号を出力する加速度センサ37から当該検知信号を上記入力情報として受け付け、受け付けた検知信号に基づいて情報処理装置10の載置状態(例えば、机上に置かれている状態であるか或いは膝上に置かれている状態であるか)を判定する。そして、EC処理部310は、判定結果に基づく判定結果情報を上記通知情報としてCPU11(BIOS処理部115)へ出力する。BIOS処理部115は、EC処理部310から出力された判定結果情報に基づいて、システム処理のパフォーマンスに関係する制御を実行する。
【0083】
これにより、情報処理装置10は、加速度センサ37の検知信号に基づいて情報処理装置10の載置状態をエンベデッドコントローラ31が判定し、判定結果に基づいてBIOSがパフォーマンスに関係する制御を行うため、OSの種類に依存しない汎用性の高いサーマルコントロールを可能にすることができる。
【0084】
具体的には、BIOS処理部115は、システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)に応じて予め設定されたCPU11の動作モード(机上モード/膝上モード)を設定するシステム設定情報(第1設定情報の一例)をOS処理部111又はOS処理部112へ出力する。OS処理部111又はOS処理部112は、BIOS処理部115から出力されたシステム設定情報(机上モード/膝上モード)に基づいて、CPU11の消費電力の上限または動作周波数の上限等を制御する。
【0085】
これにより、情報処理装置10は、情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)に応じてCPU11の消費電力の上限または動作周波数の上限等を制御するため、膝上で使用されている場合と机上で使用されている場合のいずれもULの安全規格を守りつつ、机上で使用されている場合にはCPU11のパフォーマンスを高めることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0086】
また、情報処理装置10は、ファンの回転により情報処理装置10の筐体内の空気を外気と入れ替える放熱ファン35(放熱部の一例)を備えている。BIOS処理部115は、システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)に応じて予め設定された放熱ファン35の回転制御に関する動作モード(机上モード/膝上モード)を設定するファン設定情報(第2設定情報の一例)をEC処理部310へ出力する。EC処理部310は、BIOS処理部115から出力されたファン設定情報(机上モード/膝上モード)に基づいて、放熱ファン35の回転を制御する。
【0087】
これにより、情報処理装置10は、情報処理装置10の載置状態(机上/膝上)に応じて放熱ファン35の回転を制御するため、膝上で使用されている場合と机上で使用されている場合のいずれもULの安全規格を守りつつ、机上で使用されている場合にはCPU11のパフォーマンスを高めることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0088】
なお、本実施形態では、情報処理装置10の載置状態として、机上に置かれている状態と膝上に置かれている状態とを判定する例を説明したが、載置状態の定義はこれらに限定されるものではない。例えば、載置状態として、情報処理装置10が人物に接する状態と人物に接しない状態とを定義してもよい。この場合、人物に接する状態が膝上に置かれている状態に対応し、人物に接しない状態が机上に置かれている状態に対応する。また、例えば、載置状態として、情報処理装置10に振動がある振動状態と情報処理装置10に振動がない静止状態とを定義してもよい。この場合、振動状態が膝上に置かれている状態に対応し、静止状態が机上に置かれている状態に対応する。このように、加速度センサ37から出力される検知信号に基づいて、様々な基準による載置状態を定義することができる。
【0089】
また、本実施形態では、情報処理装置10は、載置状態を判定する際に加速度センサ37を用いる例を説明したが、加速度センサ37に代えて又は加えてジャイロセンサ、傾斜センサ、地磁気センサなどを用いてもよい。
【0090】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、情報処理装置10の載置状態に基づいて、サーマルコントロールの制御を切り替える例を説明した。本実施形態では、キーボードに対するユーザの操作に応じて、サーマルコントロールの制御を切り替える例を説明する。なお、本実施形態に係る情報処理装置10Aの基本的な構成は、図1図2、及び図3に示す情報処理装置10の例と同様であるため、その説明を省略する。本実施形態では、第1の実施形態と異なる機能及び処理について説明する。
【0091】
まず、サーマルコントロールの制御を行うためのキーボードに対するユーザの操作例について説明する。
図9は、本実施形態に係るキーボードの操作とサーマルコントロールの制御との対応関係の一例を示す図である。図示する例では、「Fn」キーと「L」キーとの組合せのホットキーが、静粛モード(Quiet)に対応する。「Fn」キーと「M」キーとの組合せのホットキーが、バランスモード(Balance)に対応する。「Fn」キーと「H」キーとの組合せのホットキーが、パフォーマンスモード(Performance)に対応する。静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモードは、CPU11のパフォーマンスに関する動作モードである。
【0092】
静粛モードは、CPU11によるシステム処理のパフォーマンスよりも静粛性を優先させるために、温度が上昇したときに放熱ファン35の回転速度を上昇させることよりも先にパフォーマンス・ステップを下げる動作モードである。
【0093】
ここで放熱ファン35の回転速度の抑制は、CPU11の発熱量を低下させることによって、停止している放熱ファン35を回転させないこと、回転している放熱ファン35を停止させること、及び高い回転速度で回転している放熱ファン35を、それが発する騒音が問題にならない程度の回転速度に抑えて回転させることの何れか又は複数を意味する。
【0094】
パフォーマンスモードは、静粛性よりもパフォーマンスを優先させるために、温度が上昇したときに先に放熱ファン35の回転速度をその設定可能な上限速度まで上昇させる動作モードである。上記のように放熱ファン35の回転速度を制御しても、さらに、検出された温度が上昇する場合には、パフォーマンス・ステップを下げる。
【0095】
バランスモードは、静粛モードの静粛性とパフォーマンスモードのパフォーマンスの双方の利点を生かすように調整されるモードであり、静粛モードとパフォーマンスモードの間で制御する動作モードである。
【0096】
情報処理装置10Aは、入力部32(キーボード)の「Fn」キーと「L」キーとがユーザの操作により同時に押下されると静粛モードに設定する。また、情報処理装置10Aは、入力部32(キーボード)の「Fn」キーと「M」キーとがユーザの操作により同時に押下されるとバランスモードに設定する。また、情報処理装置10Aは、入力部32(キーボード)の「Fn」キーと「H」キーとがユーザの操作により同時に押下されるとパフォーマンスモードに設定する。
【0097】
なお、上述したホットキーの組合せは一例であって、これらのキーの組合せに限定されるものではない。
【0098】
図10は、本実施形態に係る情報処理装置10Aの機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10Aは、サーマルコントロールに関する機能構成として、OS処理部111(システム処理部の一例)と、BIOS処理部115Aと、EC処理部310Aとを備えている。情報処理装置10Aは、入力部32から出力される操作信号に基づいて、サーマルコントロールの制御を切り替える点が図4に示す情報処理装置10の機能構成と異なる。例えば、操作信号とは、上述したユーザによるホットキー操作による操作信号である。
【0099】
EC処理部310Aは、各種の入力情報に応じた通知情報の出力、及び放熱ファン35の回転を制御する。EC処理部310Aは、受付部311と、判定部312と、ファン制御部313と、ファンテーブル314Aとを備えている。受付部311は、入力部32から出力される操作信号を入力情報として受け付ける。例えば、受付部311は、入力部32(キーボード)に対するユーザの操作に応じて当該操作されたキーを示す操作信号を入力情報として受け付ける。
【0100】
判定部312は、受付部311が受け付けた操作信号に基づいて操作されたキーが特定の組合せのホットキーであるか否かを判定する。判定部312は、特定の組合せのホットキーであると判定した場合に、当該判定結果に基づく判定結果情報を通知情報としてBIOS処理部115Aへ出力する。例えば、判定部312は、「Fn」キーと「L」キーとの組合せのホットキーであると判定した場合、静粛モードを示す判定結果情報を通知情報としてBIOS処理部115Aへ出力する。また、判定部312は、「Fn」キーと「M」キーとの組合せのホットキーであると判定した場合、バランスモードを示す判定結果情報を通知情報としてBIOS処理部115Aへ出力する。また、判定部312は、「Fn」キーと「H」キーとの組合せのホットキーであると判定した場合、パフォーマンスモードを示す判定結果情報を通知情報としてBIOS処理部115Aへ出力する。
【0101】
ファン制御部313は、放熱ファン35の回転を制御する。本実施形態では、ファン制御部313は、ファンテーブル314Aを参照して、放熱ファン35の回転の開始、回転の停止、回転速度などを制御する。
【0102】
図11は、本実施形態に係るファンテーブル314Aの一例を示す図である。ファンテーブル314には、温度センサ36と放熱ファン35の回転を制御する設定温度とが関連付けられている。図示するファンテーブル314Aは、図5に示すファンテーブル314と同様に、情報処理装置10の筐体BD内の所定の複数の位置に配置されている温度センサ36(36a~36e)ごとに、放熱ファン35の動作状態を停止、低速回転、中速回転、及び高速回転の4段階の速度ステップで変更するための設定温度のデータが格納されている。この図11に示すファンテーブル314Aでは、静粛モードのときに適用するテーブルFTA_B1(Quiet)、バランスモードのときに適用するテーブルFTA_B2(Balance)、パフォーマンスモードのときに適用するテーブルFTA_B3(Performance)などのテーブルが選択可能に備えられている。
【0103】
例えば、パフォーマンスモードよりも静粛モードの方が放熱ファン35の騒音を抑えて制御する必要がある。そのため、例えば、テーブルFTA_B3(Performance)に対してテーブルFTA_B1(Quiet)の方が、温度上昇に応じて放熱ファン35の回転が開始されるタイミングが遅くなるように、且つ放熱ファン35の回転速度の上限が低くなるように設定されている。一方、テーブルFTA_B3(Performance)は、テーブルFTA_B1(Quiet)より、温度上昇に応じてより早い段階で回転速度が高くなるように設定されている。また、テーブルFTA_B2(Balance)は、テーブルFTA_B1(Quiet)とテーブルFTA_B3(Performance)との間の設定となっている。どのテーブルを参照して放熱ファン35の回転制御を行うかは、BIOS処理部115Aの指示により決定される。
【0104】
図10に戻り、BIOS処理部115Aは、サーマル制御部116と、CPUテーブル117とを備えている。サーマル制御部116は、EC処理部310Aから出力された判定結果情報(静粛モード、バランスモード、またはパフォーマンスモードのいずれかを示す情報)に基づいて、システム処理のパフォーマンスに関係する制御を実行する。例えば、サーマル制御部116は、システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、ホットキーの組合せに応じて予め設定されたCPU11の動作モードを設定するシステム設定情報(第1設定情報の一例)をOS処理部111へ出力する。
【0105】
具体的には、サーマル制御部116は、EC処理部310Aから出力された判定結果情報が静粛モードを示す情報である場合、CPUテーブル117Aを参照して、CPU111の動作モードを静粛モードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。また、サーマル制御部116は、EC処理部310Aから出力された判定結果情報がバランスモードを示す情報である場合、CPUテーブル117Aを参照して、CPU111の動作モードをバランスモードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。また、サーマル制御部116は、EC処理部310Aから出力された判定結果情報がパフォーマンスモードを示す情報である場合、CPUテーブル117Aを参照して、CPU111の動作モードをパフォーマンスモードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。
【0106】
図12は、本実施形態に係るCPUテーブル117Aの一例を示す図である。CPUテーブル117Aには、CPU11の動作モードごとの設定が格納されている。図示する例では、CPU11の動作モードとして、静粛モード(Quiet)、バランスモード(Balance)、及びパフォーマンスモード(Performance)が設定されている。静粛モード(Quiet)には、静粛モードのモードNo.「B1」と、静粛モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定が関連付けられている。バランスモード(Balance)には、バランスモードのモードNo.「B2」と、バランスモードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定が関連付けられている。パフォーマンスモード(Performance)には、パフォーマンスモードのモードNo.「B3」と、パフォーマンスモードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定が関連付けられている。
【0107】
例えば、パフォーマンスモードの「PL」より静粛モードの「PL」の方が、CPU11の消費電力の上限値が低くなるように設定されている。バランスモードの「PL」は、パフォーマンスモードと静粛モードとの間になるように設定されている。また、パフォーマンスモードの「TCC」より静粛モードの「TCC」の方が、CPU11の動作周波数の上限値が低くなるように設定されている。バランスモードの「TCC」は、パフォーマンスモードと静粛モードとの間になるように設定されている。なお、CPUテーブル117Aには、静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモード以外の動作モードが設定されてもよい。
【0108】
例えば、サーマル制御部116は、静粛モードに設定する場合には、CPUテーブル117Aを参照して、モードNo.「B1」と静粛モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値を含む情報をシステム設定情報としてOS処理部111へ出力する。また、サーマル制御部116は、バランスモードに設定する場合には、CPUテーブル117Aを参照して、モードNo.「B2」とバランスモードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値を含む情報をシステム設定情報として、OS処理部111へ出力する。また、サーマル制御部116は、パフォーマンスモードに設定する場合には、CPUテーブル117Aを参照して、モードNo.「B3」とパフォーマンスモードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値を含む情報をシステム設定情報として、OS処理部111へ出力する。
【0109】
また、サーマル制御部116はシステム処理のパフォーマンスに関係する制御として、静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモードのいずれの動作モードであるかに応じて、EC処理部310Aが放熱ファン35の回転を制御する際に参照するファンテーブル314Aを設定するファン設定情報(第2設定情報の一例)をEC処理部310Aへ出力する。
【0110】
具体的には、サーマル制御部116は、EC処理部310Aから出力された判定結果情報が静粛モードを示す情報である場合、図11に示すファンテーブル314Aのうち静粛モードのテーブルFTA_B1(Quiet)に設定するファン設定情報を、EC処理部310Aへ出力する。EC処理部310Aのファン制御部313は、このファン設定情報に基づいて、テーブルFTA_B1(Quiet)を参照して、放熱ファン35の回転を制御する。
【0111】
また、サーマル制御部116は、EC処理部310Aから出力された判定結果情報がバランスモードを示す情報である場合、図11に示すファンテーブル314AのうちバランスモードのテーブルFTA_B2(Balance)に設定するファン設定情報を、EC処理部310Aへ出力する。EC処理部310Aのファン制御部313は、このファン設定情報に基づいて、テーブルFTA_B2(Balance)を参照して、放熱ファン35の回転を制御する。
【0112】
また、サーマル制御部116は、EC処理部310Aから出力された判定結果情報がパフォーマンスモードを示す情報である場合、図11に示すファンテーブル314AのうちパフォーマンスモードのテーブルFTA_B3(Performance)に設定するファン設定情報を、EC処理部310Aへ出力する。EC処理部310Aのファン制御部313は、このファン設定情報に基づいて、テーブルFTA_B3(Performance)を参照して、放熱ファン35の回転を制御する。
【0113】
OS処理部111は、Windows(登録商標)上で動作するDPTFドライバを備えていないOS、例えばLinux(登録商標)による処理を実行する。なお、本実施形態では、DPTFドライバは静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモードなどに対応するドライバの一例であって、これらのモードに対応するドライバであれば他のドライバ(例えば、DTT)でも同様である。以下では、DPTFドライバを例として説明する。OS処理部111は、BIOS処理部115Aから出力されたシステム設定情報に基づいて、CPU11の動作を制御する。例えば、OS処理部111は、BIOS処理部115Aから静粛モードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれる静粛モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部111は、BIOS処理部115Aからバランスモードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれるバランスモードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部111は、BIOS処理部115Aからパフォーマンスモードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれるパフォーマンスモードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。
【0114】
なお、本実施形態のサーマルコントロールの制御は、OSとしてDPTFドライバを備えているWindows(登録商標)を使用する場合にも適用できる。図10に示すOS処理部112(システム処理部の一例)は、DPTFドライバを備えたWindows(登録商標)による処理を実行する機能構成の一例を示している。情報処理装置10Aは、このOS処理部112をOS処理部111に代えて又は加えて備えてもよい。OS処理部112は、OS処理部111と同様に、BIOS処理部115Aから出力されたシステム設定情報に基づいてCPU11の動作を制御するが、CPU11の動作を制御する際のCPU11の設定(PLやTCCなど)については、DPTFドライバで設定されているものを使用する。例えば、OS処理部112は、BIOS処理部115Aから出力されたシステム設定情報に基づいて、CPU11の動作を制御する。例えば、DPTFドライバには、静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモード用のそれぞれのCPU11の設定(PLやTCCなどが少なくとも含まれるサーマルコントロール用のデータテーブルが記憶されている。例えば、OS処理部112は、BIOS処理部115Aから静粛モードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバを用いて、システム設定情報に含まれる静粛モードを示すモードNo.「B1」に対応するサーマルコントロール用のデータテーブルを参照して、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部112は、BIOS処理部115Aからバランスモードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバを用いて、システム設定情報に含まれるバランスモードを示すモードNo.「B2」に対応するサーマルコントロール用のデータテーブルを参照して、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部112は、BIOS処理部115Aからパフォーマンスモードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバを用いて、システム設定情報に含まれるパフォーマンスモードを示すモードNo.「B3」に対応するサーマルコントロール用のデータテーブルを参照して、CPU11の動作を制御する。
【0115】
次に、図13を参照して、情報処理装置10Aの各構成が実行するサーマルコントロール処理の動作について説明する。
図13は、本実施形態に係るサーマルコントロール処理の一例を示すフローチャートである。
【0116】
(ステップS201)EC処理部310Aは、入力部32(キーボード)から出力される操作信号を取得すると、ステップS203の処理に進む。
【0117】
(ステップS203)EC処理部310Aは、ステップS201で取得した入力部32からの操作信号に基づいて、入力部32(キーボード)に対して操作されたキーの種類を判別する。そして、ステップS205の処理に進む。
【0118】
(ステップS205)EC処理部310Aは、ステップS203のキーの種類の判別結果に基づいて、操作されたキーが特定のホットキーであるか否かを判定する。特定のホットキーとは、静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモードのそれぞれに対応するホットキーのことを指す。EC処理部310Aは、操作されたキーが特定のホットキーではないと判定した場合(NO)、ステップS201の処理に戻り、入力部32(キーボード)から出力される操作信号を取得する。一方、EC処理部310Aは、操作されたキーが特定のホットキーであると判定した場合(YES)、ステップS207の処理に進む。
【0119】
(ステップS207)EC処理部310Aは、特定のホットキーに対応する動作モード(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)を示す判定結果情報をBIOS処理部115Aへ通知する。例えば、EC処理部310Aは、操作されたキーが「Fn」キーと「L」キーとの組合せのホットキーである場合、静粛モードを示す判定結果情報をBIOS処理部115Aへ出力する。また、EC処理部310Aは、操作されたキーが「Fn」キーと「M」キーとの組合せのホットキーである場合、バランスモードを示す判定結果情報をBIOS処理部115Aへ出力する。また、EC処理部310Aは、操作されたキーが「Fn」キーと「H」キーとの組合せのホットキーである場合、パフォーマンスモードを示す判定結果情報をBIOS処理部115Aへ出力する。そして、ステップS209の処理に進む。
【0120】
(ステップS209)BIOS処理部115Aは、ステップS207でEC処理部310Aから出力された判定結果情報を取得すると、この判定結果情報に基づいて、図12に示すCPUテーブル117Aを参照して静粛モード、バランスモード、またはパフォーマンスモードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ通知する。例えば、BIOS処理部115Aは、EC処理部310Aから出力された判定結果情報が静粛モードを示す情報である場合、CPUテーブル117Aを参照して、CPU111の動作モードを静粛モードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。また、BIOS処理部115Aは、EC処理部310Aから出力された判定結果情報がバランスモードを示す情報である場合、CPUテーブル117Aを参照して、CPU111の動作モードをバランスモードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。また、BIOS処理部115Aは、EC処理部310Aから出力された判定結果情報がパフォーマンスモードを示す情報である場合、CPUテーブル117Aを参照して、CPU111の動作モードをパフォーマンスモードに設定するシステム設定情報をOS処理部111へ出力する。そして、ステップS211の処理に進む。
【0121】
(ステップS211)BIOS処理部115Aは、ステップS207でEC処理部310Aから出力された判定結果情報を取得すると、この判定結果情報に基づいて、EC処理部310Aが放熱ファン35の回転を制御する際に参照するファンテーブル314Aを動作モードに対応するテーブルに設定するファン設定情報をEC処理部310Aへ通知する。例えば、BIOS処理部115Aは、EC処理部310Aから出力された判定結果情報が静粛モードを示す情報である場合、図11に示すファンテーブル314Aのうち静粛モードのテーブルFTA_B1(Quiet)に設定するファン設定情報を、EC処理部310Aへ出力する。また、BIOS処理部115Aは、EC処理部310Aから出力された判定結果情報がバランスモードを示す情報である場合、図11に示すファンテーブル314AのうちバランスモードのテーブルFTA_B2(Balance)に設定するファン設定情報を、EC処理部310Aへ出力する。また、BIOS処理部115Aは、EC処理部310Aから出力された判定結果情報がパフォーマンスモードを示す情報である場合、図11に示すファンテーブル314AのうちパフォーマンスモードのテーブルFTA_B3(Performance)に設定するファン設定情報を、EC処理部310Aへ出力する。
【0122】
なお、このステップS209とステップS211の処理の順番は入れ替えてもよいし、同時であってもよい。
【0123】
(ステップS213)OS処理部111は、ステップS209でBIOS処理部115Aから出力されたシステム設定情報を取得すると、このシステム設定情報に基づいてCPU11の動作を制御する。例えば、OS処理部111は、BIOS処理部115Aから静粛モードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれる静粛モードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部111は、BIOS処理部115Aからバランスモードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれるバランスモードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部111は、BIOS処理部115Aからパフォーマンスモードに設定するシステム設定情報を取得すると、システム設定情報に含まれるパフォーマンスモードでのCPU11の「PL」と「TCC」の設定値に基づいて、CPU11の動作を制御する。
【0124】
なお、情報処理装置10AのOSがDPTFドライバを備えたWindows(登録商標)の場合には、ステップS213において、OS処理部112が、BIOS処理部115Aから出力されたシステム設定情報に基づいて、CPU11の動作を制御する。例えば、OS処理部112は、BIOS処理部115Aから静粛モードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバで設定されている静粛モード用のCPU11の設定(PLやTCCなど)に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部112は、BIOS処理部115Aからバランスモードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバで設定されているバランスモード用のCPU11の設定(PLやTCCなど)に基づいて、CPU11の動作を制御する。また、OS処理部112は、BIOS処理部115Aからパフォーマンスモードに設定するシステム設定情報を取得すると、DPTFドライバで設定されているパフォーマンスモード用のCPU11の設定(PLやTCCなど)に基づいて、CPU11の動作を制御する。
【0125】
(ステップS215)EC処理部310は、ステップS211でBIOS処理部115Aから出力されたファン設定情報を取得すると、ファンテーブル314Aのうちファン設定情報に基づくテーブルを参照して放熱ファン35を制御する。例えば、EC処理部310Aは、静粛モードのテーブルFTA_B1(Quiet)に設定するファン設定情報を取得すると、テーブルFTA_B1(Quiet)を参照して、放熱ファン35の回転を制御する。また、EC処理部310Aは、バランスモードのテーブルFTA_B2(Balance)に設定するファン設定情報を取得すると、テーブルFTA_B2(Balance)を参照して放熱ファン35の回転を制御する。また、EC処理部310Aは、パフォーマンスモードのテーブルFTA_B3(Performance)に設定するファン設定情報を取得すると、テーブルFTA_B3(Performance)を参照して放熱ファン35の回転を制御する。
【0126】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10Aにおいてエンベデッドコントローラ31(EC処理部310A)は、入力部32(キーボード)に対するユーザの操作に応じて当該操作に応じたキーを示す操作信号を入力情報として受け付け、受け付けた操作信号に基づいて操作されたキーが特定のホットキー(特定の組合せのキー)であるか否かを判定する。また、情報処理装置10Aは、特定のホットキーであると判定した場合に当該判定結果に基づく判定結果情報(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモードを示す情報)を通知情報としてCPU11(BIOS処理部115A)へ出力する。BIOS処理部115Aは、EC処理部310Aから出力された判定結果情報に基づいて、システム処理のパフォーマンスに関する制御を実行する。
【0127】
これにより、情報処理装置10Aは、キーボードに対して操作されたキーに応じて静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモードのいずれを選択する操作であるかをエンベデッドコントローラ31が判定し、判定結果に基づいてBIOSがパフォーマンスに関係する制御を行うため、OSの種類に依存しない汎用性の高いサーマルコントロールを可能にすることができる。よって、情報処理装置10Aは、OSの種類に依存せず、ユーザのホットキー操作により静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモードを選択することができる。
【0128】
例えば、BIOS処理部115Aは、システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、特定のホットキーに応じて予め設定されたCPU11の動作モード(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)に設定するシステム設定情報(第1設定情報の一例)をOS処理部111又はOS処理部112へ出力する。OS処理部111又はOS処理部112は、BIOS処理部115Aから出力されたシステム設定情報(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)に基づいて、CPU11の消費電力の上限または動作周波数の上限等を制御する。
【0129】
これにより、情報処理装置10Aは、OSの種類に依存せず、ユーザの操作に応じて、静粛モード、バランスモード、またはパフォーマンスモードに対応するCPU11の消費電力の上限または動作周波数の上限等を制御することができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0130】
また、BIOS処理部115Aは、システム処理のパフォーマンスに関係する制御として、特定のホットキーに応じて予め設定された前記放熱部のファンの回転制御に関する動作モード(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)を設定するファン設定情報(第2設定情報の一例)をEC処理部310Aへ出力する。EC処理部310Aは、BIOS処理部115Aから出力されたファン設定情報(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)に基づいて、放熱ファン35の回転を制御する。
【0131】
これにより、情報処理装置10Aは、OSの種類に依存せず、ユーザの操作に応じて、静粛モード、バランスモード、またはパフォーマンスモードに対応する放熱ファン35の回転を制御することができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0132】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、上記の各実施形態で説明した構成は、任意に組み合わせてもよい。
【0133】
なお、上記実施形態では、サーマルコントロールの制御として、CPU11の制御と放熱ファン35の制御との両方を行う例を説明したが、いずれか一方の制御としてもよい。例えば、上記実施形態は、放熱ファン35を搭載しない情報処理装置の筐体温度が上昇することを抑制する場合にも適用することができる。
【0134】
また、上述した情報処理装置10(10A)は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置10(10A)のそれぞれが備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置10(10A)のそれぞれが備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0135】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置10(10A)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0136】
また、上述した実施形態における情報処理装置10(10A)が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0137】
また、上述した実施形態では、情報処理装置10(10A)がノートPCである例を説明したが、デスクトップ型のPCやタブレット型のPCであってもよいし、PCに限られるものではなく、スマートフォンやゲーム機などであってもよい。
【符号の説明】
【0138】
10,10A 情報処理装置、101 第1筐体、102 第2筐体、103 ヒンジ機構、11 CPU、21 チップセット、31 エンベデッドコントローラ、32 入力部、35 放熱ファン、36 温度センサ、37 加速度センサ、111 OS処理部、115,115A BIOS処理部、116 サーマル制御部、117,117A CPUテーブル、310,310A EC処理部、311 受付部、312 判定部、313 ファン制御部、314,314A ファンテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13