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  • 特開-空調服用送風機の取付構造 図1
  • 特開-空調服用送風機の取付構造 図2
  • 特開-空調服用送風機の取付構造 図3
  • 特開-空調服用送風機の取付構造 図4
  • 特開-空調服用送風機の取付構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081100
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】空調服用送風機の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/64 20060101AFI20220524BHJP
   F04D 29/54 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
F04D29/64 E
F04D29/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192428
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】小島 勝宏
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA95A
3H130CA23
3H130DJ06X
(57)【要約】
【課題】 簡単に着脱することができると共に強固に取り付けることができ、更に、繰り返し使用しても固定力を強固に保つことが可能で、多様な使用環境にも適応する空調服用送風機の取付構造を提供することにある。
【解決手段】
本発明の空調服用送風機の取付構造は、送風機のケース1の外周から突出するフランジ部1bと、フランジ部1bの方向に付勢されて開く開閉部2bを有するヒンジ部2と、を備えている。送風機は、フランジ部1bと開閉部2bとの間に空気流通孔4aの周縁を挟み込むことにより、空調服4に取り付けられる。これにより、簡単に取り付け取り外しすることができる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の空気を流通させる空調服の空気流通孔に、空気を流通させる送風機を取り付ける取付構造であって、
前記送風機のケース外周から突出するフランジ部と、
前記ケース外周における前記フランジ部近傍に配置され、前記フランジ部の方向に付勢されて開く開閉部を有するヒンジ部と、
を備え、
前記フランジ部と前記ヒンジ部の開閉部との間に前記空調服の空気流通孔周縁を挟み込むことにより取り付けることを特徴とする空調服用送風機の取付構造。
【請求項2】
前記ヒンジ部は、前記ケースに固定される固定部と、該固定部に回動自在に取り付けられた前記開閉部と、前記固定部と開閉部の間に設けられ前記開閉部を付勢する弾性部材とを備えている請求項1に記載の空調服用送風機の取付構造。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、前記開閉部を閉状態に保つ保持手段を備える請求項2に記載の空調服用送風機の取付構造。
【請求項4】
前記ヒンジ部は、前記ケース外周の複数個所に設けられている請求項3に記載の空調服用送風機の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を服内に取り込む等により服内の空気を流通させて汗の蒸発を促す空調服に取り付ける送風機に関するものであり、特に、空調服に送風機を取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータやプロペラ等が収納されたファン本体に突出するフランジ部を設け、ファン本体に取付リングを外嵌し又はファン本体の端部にあるフランジ部に向かって取付リングを嵌着し、フランジ部と取付リングとの間に空調服の取付部を挟み込むことでファン本体を空調服に取り付けていた(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6374524号公報
【特許文献2】特許第6017069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように、取付リングを用いてファンを空調服に取り付ける構造では、取付リングをファン本体に確実に取り付けて空調服を挟み込むと共に容易に取り外し可能にすることが必要であった。このため、ファン本体や取付リングに凹凸や係合部を設け、それらの係合により着脱可能に構成していた。
【0005】
しかしながら、凹凸や係合部の係合では、強固に取り付けると外し難くなり、外し易く取り付けると不意に外れることがあった。また、繰り返し着脱したり、経年使用することで、外れ易くなることもあった。更に、係合部分は、材料の収縮率を考慮して使用する温度環境に応じて設計する必要があり、使用環境が異なる場合には新たにケースを設計し直す必要があった。
【0006】
また、送風機を空調服以外の扇風機(ハンディファン、デスクトップファン等)として使用することを考慮すると、ファン本体と取付リングの係合部分が見えて見栄えが悪くなるという問題もあった。
【0007】
更に、特許文献1に示されている構造では、立体形状の服に取り付ける場合、専用の取付リングを作成する必要があり、特許文献2に示されている構造では、平面形状の服にしか取り付けることができないという問題があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、簡単に着脱することができると共に強固に取り付けることができ、更に、繰り返し使用しても固定力を強固に保つことが可能で、多様な使用環境にも適応する空調服用送風機の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の空調服用送風機の取付構造は、内部の空気を流通させる空調服の空気流通孔に、空気を流通させる送風機を取り付ける取付構造であって、前記送風機のケース外周から突出するフランジ部と、前記ケース外周における前記フランジ部近傍に配置され、前記フランジ部の方向に付勢されて開く開閉部を有するヒンジ部と、を備え、前記フランジ部と前記ヒンジ部の開閉部との間に前記空調服の空気流通孔周縁を挟み込むことにより取り付けるものである。
【0010】
この空調服用送風機の取付構造における前記ヒンジ部は、前記ケースに固定される固定部と、該固定部に回動自在に取り付けられた前記開閉部と、前記固定部と開閉部の間に設けられ前記開閉部を付勢する弾性部材とを備えている。また、前記ヒンジ部は、前記開閉部を閉状態に保つ保持手段を備えている。更に、前記ヒンジ部は、前記ケース外周の複数個所に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の空調服用送風機の取付構造では、送風機のフランジ部とヒンジ部の開閉部との間に空調服の空気流通孔周縁を挟み込むことで、空調服に送風機を取り付けているので、取付リングをファン本体に嵌脱する場合に比べて、簡単に取り付け取り外しすることができる。
【0012】
また、付勢されたヒンジ部の開閉部によって空調服の空気流通孔周縁をフランジ部に押し付けて挟持した状態を保っているので、従来技術のように2部品を係合させて挟持状態を保つものに比べて、挟持する力を任意に設定し易く、更に、長期にわたって挟持する力を強力に保つことができ、温度環境の変化による固定力の低下もない。これにより、より確実に送風機を空調服に取り付けることができる。
【0013】
更に、送風機を単体で使用する場合でも、ヒンジ部を取り外すかあるいはヒンジ部の上にカバーを取り付けること等が可能であり、外観を整えて見栄えを良くすることが簡単にできる。
【0014】
また、ヒンジ部やケースを変更することなく、立体形状(例えばすり鉢状)の服を挟持して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る空調服用送風機の取付構造における送風機の斜視図である。
図2図1に示す送風機のヒンジ部を閉じた状態を示す斜視図である。
図3図1に示す送風機を空調服の空気流通孔に通すときの状態を示す要部断面図である。
図4図1に示す送風機を空調服の空気流通孔に通したときの状態を示す要部断面図である。
図5図1に示す送風機を空調服の空気流通孔周縁に取り付けたときの状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施形態における送風機は、略円筒形状をなし前後面に空気が流通する格子状のグリル1aが設けられたケース1を備え、このケース1の内部にインペラ5とインペラ5を駆動するモータやモータ駆動部等が収められている。このケース1の側面1cの外周には、径方向外方に向かってリング状にフランジ部1bが突出している。
【0017】
ケース1の側面1cの外周におけるフランジ部1bの近傍には、複数個所にヒンジ部2が取り付けられている。このヒンジ部2は、図1乃至図5に示すように、ケース1の側面1cに設けた凹部1dの底部に固定される固定部2aと、この固定部2aに回動自在に取り付けられた開閉部2bと、固定部2aと開閉部2bとの間に設けられ開閉部2bを開く方向に付勢する弾性部材2cと、から構成されている。固定部2aは、接着、溶着、ネジ止め等によりケース1の凹部1d内に固定されている。また、開閉部2bは、開閉部2bと固定部2aを共に貫通する軸等により固定部2aに回動自在に取り付けられている。弾性部材2cは、コイルスプリング、板バネ等からなる。このヒンジ部2は、フランジ部1bに向かって開閉部2bが開いて、その外方の端面2dがフランジ部1bに押し当たるように配置されている。
【0018】
上記構成からなる本実施形態の取付構造では、ケース1に固定したヒンジ部2の開閉部2bにより、その開閉部2bとフランジ部1bとの間に空調服の空気流通孔周縁を挟むことによって、送風機を空調服に取り付けるものとなっている。
【0019】
次に、図3乃至図5に基づいて、送風機を空調服に取り付けるときの状態を説明する。はじめに、送風機を取り付けるときには、図3に示すように、予めヒンジ部2の開閉部2bを弾性部材2cの付勢力に抗して固定部2aに重ねるように回動させて開閉部2bを閉状態にする。このときに、開閉部2bは保持手段により閉状態を保持する。この保持手段は、固定部2aと開閉部2bの一部が係合するか、あるいは磁石の磁力によって閉状態を保持するものとなっている。本実施形態における保持手段は、固定部2aの開閉部2bに対向する面に設けた磁石3により、最接近した開閉部2bを引き付けることで、閉状態を保持するものとなっている。開閉部2bが閉状態になると、ヒンジ部2はほぼケース1の凹部1d内に収納される。
【0020】
このように開閉部2bを閉状態にした後、空調服4の空気流通孔4aにケース1を挿入する。空気流通孔4aは、ケース1の外径とほぼ同じ径に形成されており、ケース1から突出しているフランジ部1bが通過できない大きさに設定されている。このため、空気流通孔4aに挿入されたケース1は、図4に示すように、フランジ部1bが空気流通孔4aの周縁に当接する状態になる。この位置が送風機の取付位置となる。
【0021】
上記のようにケース1を空気流通孔4aに挿入して取付位置に位置付けた後、図5に示すように、ヒンジ部2の開閉部2bを回動させて開状態にする。このときに、開閉部2bは、磁石3の磁力に抗して指先で軽く持ち上げるだけで、その後は弾性部材2cによって回動される。そして、開状態になった開閉部2bは、その端面2dにより空気流通孔4aの周縁を押圧する。これにより、空気流通孔4aの周縁は、フランジ部1bと開閉部2bとの間に挟み込まれ、送風機が空調服4に取り付けられる。
【0022】
ヒンジ部2の開閉部2bは、空気流通孔4aの周縁に突き当たった状態になっても、弾性部材2cにより更に空気流通孔4aの周縁をフランジ部1bの方向へ押圧するので、開閉部2bが布地等からなる空気流通孔4aの周縁に食い込み、強く空気流通孔4aの周縁を押え込む。その結果、確実かつ強固に送風機を空調服4に取り付けることができる。
【0023】
一方、送風機を空調服4から取り外す場合には、ヒンジ部2の開閉部2bを固定部2aの方向へ回動させて閉状態にする。そして、ヒンジ部2が空気流通孔4aを通過するようにケース1を空気流通孔4aから引き抜いて取り外す。
【0024】
上記のように、本実施形態における空調服用送風機の取付構造では、簡単かつ確実に送風機を空調服に着脱することができる。これにより、送風機を単に空調服専用のものとして使用するだけでなく、簡単に取り外して卓上で使用したり、手に持って携帯しながら使用することも可能となる。その際に、ヒンジ部を取り外すかあるいはヒンジ部の上にカバーを取り付けること等も可能であり、外観を整えて見栄えを良くすることもできる。
【0025】
また、立体形状(例えばすり鉢状)の服を挟持して取り付けることもできる。その場合には、服の形状にあわせた部品をフランジ部1aと空調服4の間に挟み、保持する部分を開閉部2bの端面2dにあわせることで、ヒンジ部やケースを変更することなく、確実に保持することが出来る。
【0026】
尚、図3乃至図5に示す状況では、フランジ部1aの角度が送風方向と直交しているが、空調服4の角度にあわせてフランジ部1aの角度を変更してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 ケース
1a グリル
1b フランジ部
1c 側面
1d 凹部
2 ヒンジ部
2a 固定部
2b 開閉部
2c 弾性部材
2d 端面
3 磁石
4 空調服
4a 空気流通孔
5 インペラ
図1
図2
図3
図4
図5