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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081104
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
G01N25/72 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192439
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】391021385
【氏名又は名称】株式会社KJTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福井 涼
(72)【発明者】
【氏名】西谷 豊
(72)【発明者】
【氏名】羽深 嘉郎
【テーマコード(参考)】
2G040
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040AB08
2G040BA01
2G040BA25
2G040CA02
2G040DA06
2G040DA13
2G040DA15
2G040EA06
2G040EB02
2G040HA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】位相解析を行わずとも、内部欠陥の有無を広い範囲で判定できるようにする。
【解決手段】検査装置10のコンピュータ41が、温度を時系列で配列した温度時系列データを複数の熱画像82からピクセル毎に生成する生成手段と、温度時系列データに基づいて、温度時系列データの中で最大温度と最小温度との差に対して所定割合となる温度だけ高い特定温度をピクセル毎に算出する温度算出手段と、温度時系列データに基づいて、特定温度に対応する特定時間をピクセル毎に算出する時間算出手段と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の表側の面を加熱する加熱部と、
前記加熱部によって加熱された前記被検体の裏側の面を繰り返し撮像することによって、前記被検体の裏側の面の温度分布をピクセル毎の諧調値の分布で示した複数の熱画像を時系列で出力する撮像装置と、
前記撮像装置によって出力された前記複数の熱画像から、温度を時系列で配列した温度時系列データを前記ピクセル毎に生成する生成手段と、
前記温度時系列データに基づいて、前記温度時系列データの中で最大温度と最小温度との差に対して所定割合となる温度だけ前記最小温度よりも高い特定温度を前記ピクセル毎に算出する温度算出手段と、
前記温度時系列データに基づいて、前記特定温度に対応する特定時間を前記ピクセル毎に算出する時間算出手段と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記特定時間を階調値で表した特定時間分布画像を生成する画像生成手段と、
前記特定時間分布画像を表示部に表示させる表示制御手段と、
を更に備える請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記時間算出手段が、
前記温度時系列データの中から前記特定温度未満で最大となる第一温度を抽出し、前記第一温度に対応する第一時間を特定する第一時間特定手段と、
前記温度時系列データの中から前記特定温度以上で最小となる第二温度を抽出し、前記第二温度に対応する第二時間を特定する第二時間特定手段と、
前記第一温度及び前記第二温度がそれぞれ前記第一時間及び前記第二時間に線形に対応するとして、その線形の対応関係を利用して前記特定温度に対応する前記特定時間を算出する算出手段と、
を有する請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記時間算出手段が、前記温度時系列データの中から、前記特定温度に最も近似した1つの最近似温度又は前記特定温度を抽出し、その最近似温度又は前記特定温度に対応する時間を前記特定時間として求める
請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記時間算出手段が、前記温度時系列データの中から、前記特定温度に最も近似した複数の最近似温度又は前記特定温度を抽出し、それら最近似温度又は前記特定温度に対応する時間の平均値を前記特定時間として求める
請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記温度時系列データの高周波ノイズを平滑化させるフィルタリング処理手段、
を更に備える請求項1から5の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
被検体の表側の面を加熱する加熱部によって加熱された前記被検体の裏側の面を繰り返し撮像することによって、前記被検体の裏側の面の温度分布をピクセル毎の諧調値の分布で示した複数の熱画像を時系列で出力する撮像装置から出力される前記複数の熱画像を記録するコンピュータを、
温度を時系列で配列した温度時系列データを前記複数の熱画像から前記ピクセル毎に生成する生成手段と、
前記温度時系列データに基づいて、前記温度時系列データの中で最大温度と最小温度との差に対して所定割合となる温度だけ高い特定温度を前記ピクセル毎に算出する温度算出手段と、
前記温度時系列データに基づいて、前記特定温度に対応する特定時間を前記ピクセル毎に算出する時間算出手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記特定時間を階調値で表した特定時間分布画像を生成する画像生成手段と、
前記特定時間分布画像を表示部に表示させる表示制御手段と、
として機能させるための請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記時間算出手段が、
前記温度時系列データの中から前記特定温度未満で最大となる第一温度を抽出し、前記第一温度に対応する第一時間を特定する第一時間特定手段と、
前記温度時系列データの中から前記特定温度以上で最小となる第二温度を抽出し、前記第二温度に対応する第二時間を特定する第二時間特定手段と、
前記第一温度及び前記第二温度がそれぞれ前記第一時間及び前記第二時間に線形に対応するとして、その線形の対応関係を利用して前記特定温度に対応する前記特定時間を算出する算出手段と、
を有する請求項7又は8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記時間算出手段が、前記温度時系列データの中から、前記特定温度に最も近似した1つの最近似温度又は前記特定温度を抽出し、その最近似温度又は前記特定温度に対応する時間を前記特定時間として求める
請求項7又は8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記時間算出手段が、前記温度時系列データの中から、前記特定温度に最も近似した複数の最近似温度を抽出し、それら最近似温度に対応する温度の平均値を前記特定時間として求める
請求項7又は8に記載の検査装置。
【請求項12】
前記コンピュータを、
前記温度時系列データの高周波ノイズを平滑化させるフィルタリング処理手段、
として機能させる請求項7から11の何れか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の製造販売事業においては、製品を設計通りに作ると共に製品の品質を保証することが求められている。そのためには、材料調達、加工、組立、検品、出荷、保守及び点検の各工程において、製品、部品及び材料等の被検体を正確に計測して検査することが重要となる。被検体の検査及び計測の技術は多岐にわたり、様々な計測法及び検査法が提案されている。例えば、特許文献1には、被検体を壊すことがなく、赤外線カメラを用いて被検体の内部欠陥及び劣化の状況を調べる非破壊検査法が開示されている。また、非特許文献1には、被検体の熱的性質、例えば熱拡散率、比熱容量又は熱伝導率を計測する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-99296号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】JIS R1611 ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法、日本工業規格、2010年発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被検体の熱的特性値、厚さ又は欠陥有無を面内で計測し、又は検査するための検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、被検体の表側の面を加熱する加熱部と、前記加熱部によって加熱された前記被検体の裏側の面を繰り返し撮像することによって、前記被検体の裏側の面の温度分布をピクセル毎の諧調値の分布で示した複数の熱画像を時系列で出力する撮像装置と、前記撮像装置によって出力された前記複数の熱画像から、温度を時系列で配列した温度時系列データを前記ピクセル毎に生成する生成手段と、前記温度時系列データに基づいて、前記温度時系列データの中で最大温度と最小温度との差に対して所定割合となる温度だけ前記最小温度よりも高い特定温度を前記ピクセル毎に算出する温度算出手段と、前記温度時系列データに基づいて、前記特定温度に対応する特定時間を前記ピクセル毎に算出する時間算出手段と、を備える検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施の形態によれば、ピクセル毎の特定時間、つまり特定時間の分布を用いて、被検体の厚さ又は熱的特性値の分布を面内で計測することができるとともに、被検体の内部欠陥の有無を領域で判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】検査装置の概要図である。
図2】熱画像とピクセルの関係を示す図である。
図3】前記検査装置のコンピュータが実行する処理の流れを示したフローチャートである。
図4】時間を表した横軸及び温度を表した縦軸を有するグラフによって表現された温度時系列データを示す図である。
図5】フィルタリングした温度時系列データを示す図である。
図6図5に示す温度時系列データの一部を拡大して示す図である。
図7図6においてプロットされた点を直線で結んで示す図である。
図8】特定時間の分布を表現した画像の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
<<1. 検査装置の構成>>
図1は、検査装置10を示した図面である。この検査装置10は、被検体21の表裏の面21a,21bに沿った面内における内部欠陥の有無を検査したり、その面内における厚さの分布を計測したり、その面内における熱的特性値の分布を計測したりするために用いる。この検査装置10は、台座22と、加熱ランプ23と、赤外線カメラ24と、制御装置31と、を備える。制御装置31は、コンピュータ41と、入力デバイス42、表示デバイス43と、駆動回路44と、ストレージ51と、を備える。
【0011】
板状の被検体21が横になって台座22の上面に設置されており、被検体21の表側の面21aが上方に向けられ、被検体21の裏側の面21bが台座22の上面に向けられている。台座22の上面には貫通穴25が空いており、被検体21が貫通穴25を塞ぐようにして設置され、被検体21の裏面21bが貫通穴25内にて露出している。台座22及び被検体21の上方には加熱ランプ23が被検体21のおもて面21aに向けて設置されている。台座22及び被検体21の下方には赤外線カメラ24が被検体21の裏面21bに向けて設置されている。赤外線カメラ24は制御装置31に接続されている。加熱ランプ23は、加熱ランプ23に電力を供給して加熱ランプ23を駆動する駆動回路44に接続されている。駆動回路44は制御装置31に接続されている。
【0012】
加熱ランプ23は例えばキセノンランプ、ハロゲンライト、レーザー光等である。加熱ランプ23は、被検体21のおもて面21aを加熱する加熱部に相当する。つまり、加熱ランプ23は、発光して、光を被検体21のおもて面21aに照射し、これにより被検体21のおもて面21aが加熱される。なお、加熱ランプ23の発光は、制御装置31の制御によって自動的に行われてもよいし、後述する入力デバイス42によって手動で行われてもよい。
【0013】
赤外線カメラ24は、被検体21の裏面21bを撮影して、時間経過に伴う被検体21の裏面21bの温度分布の変化を表す熱動画を撮影して、熱動画を後述のコンピュータ41に出力する。つまり、赤外線カメラ24は、被検体21の裏面21bの温度分布をピクセル毎の階調値で表した複数の静止画(以下、熱画像という)を所定のフレームレートで順次撮像するとともに、これら熱画像を時系列順にコンピュータ41に出力する。
【0014】
赤外線カメラ24は、エリア型の赤外線撮像素子と、被検体21の裏面21bから放射される赤外線を赤外線撮像素子に集光することによって被検体21の裏面21bの温度分布の像(つまり、その裏面21bにおける赤外線輝度分布の像)を赤外線撮像素子に結像する光学系と、赤外線撮像素子によって撮像される像(つまり、被検体21の裏面21bの温度分布を表した熱画像)の信号処理をする映像処理部と、を備える。
【0015】
コンピュータ41は、CPU、RAM41a、ROM、GPU、システムバス及び各種インターフェース等を備えたコンピュータである。RAM41aは、コンピュータ41、特にCPUの演算処理に利用されるデータ記憶用の作業領域を提供する。コンピュータ41は、赤外線カメラ24によって出力される熱画像を時系列順で取得し、それら熱画像を時系列順でRAM41aに記億する。
【0016】
図2に示すように、RAM41aに一時記憶される各熱画像82では、ピクセル81がマトリクス状に配置されている。熱画像82はピクセル81ごとに階調値を有するところ、階調値は1コマ当たりの熱量(赤外線光量)、つまり温度に相当する。従って、熱画像82は被検体21の裏面21bの温度分布のデータに相当する。
【0017】
ストレージ51は、半導体メモリ、ソリッドステートドライブ又はハードディスクドライブ等からなる書き込み及び読み出しが可能な記憶装置である。ストレージ51には、コンピュータ41にとって読取可能・実行可能なプログラム61が格納されている。
【0018】
コンピュータ41がプログラム61をRAM41aに展開してプログラム61を実行すると、コンピュータ41がプログラム61に基づいて駆動回路44を制御することによって、加熱ランプ23の点灯及び消灯が実行される。コンピュータ41がプログラム61に基づいて赤外線カメラ24を制御することによって、赤外線カメラ24の撮影が実行される。コンピュータ41がプログラム61に基づいて表示デバイス43を制御することによって、表示デバイス43の映像表示が行われる。入力デバイス42の操作信号がコンピュータ41に転送されると、コンピュータ41がプログラム61に基づいて操作信号に応じた指令を認識する。プログラム61がコンピュータ41に実行させる処理については後に詳述する。
【0019】
入力デバイス42は、マウス、押しボタンスイッチ、タッチパネル、ポインティングデバイス若しくはキーボード又はこれらの組み合わせからなる。入力デバイス42は、作業者によって操作されることによって操作内容に応じた操作信号をコンピュータ41に出力する。入力デバイス42は、設定値の入力や、トリガ信号送信、プログラムの選択及び実行指令送信に用いられる。
【0020】
表示デバイス43は例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又はプロジェクタといったドットマトリクス式表示器である。表示デバイス43は、コンピュータ41から転送された映像信号に応じた映像を表示する。表示デバイス43は、取得した熱動画、熱画像、検査結果等の表示に用いられる。
【0021】
<<2. 検査方法>>
次に、図3のフローチャートを参照して、プログラム61がコンピュータ41に実行させる処理の流れについて説明するとともに、検査装置10を用いた検査方法について説明する。
【0022】
(1) 準備
検査者が被検体21を台座22の上面に載置し、加熱ランプ23を被検体21のおもて面21aに向け、赤外線カメラ24を被検体21の裏面21bに向ける。また、検査者がフレームレート、撮影時間及び加熱時間を設定すべく、入力デバイス42を操作してフレームレート、撮影時間及び加熱時間の値を入力する。コンピュータ41が入力デバイス42の出力信号に従って撮影時間及び加熱時間の値を取得して、撮影時間及び加熱時間の値をRAM41aに一時的に記憶する。
【0023】
(2) 設定処理S1
コンピュータ41が設定画面を表示デバイス43に表示させるため、割合の値の入力が検査者に催促される。検査者が入力デバイス42を操作して割合の値を入力すると、コンピュータ41が入力デバイス42の出力信号に従って割合の値を取得する。コンピュータ41は、割合の値をRAM41aに一時的に記憶する。以下、この割合のことを設定割合といい、その値をRで表す。なお、設定割合の値が定数として予めプログラム61に組み込まれていてもよい。設定割合の値としては、例えば0.5、つまり50%である。
なお、設定処理S1は後述の処理S2の後であって時系列データ生成処理S3の前に実行されてもよい。
【0024】
(3) 加熱及び撮影の処理S2
次に、検査者が入力デバイス42を操作して検査開始指令をコンピュータ41に与えると、コンピュータ41が駆動回路44へ発光指令を送信する。そうすると、加熱ランプ23が発光して、加熱ランプ23から発生した光が被検体21のおもて面21aに入射する。そのため、被検体21のおもて面21aが加熱されて、昇温する。熱が被検体21のおもて面21aから裏面21bに伝導して、裏面21bも昇温する。
加熱ランプ23の発光開始時から、前述のように設定された加熱時間だけ経過したら、加熱ランプ23が消灯する。なお、加熱ランプ23の消灯はコンピュータ41が駆動回路44へ停止指令を送信することによってなされてもよいし、自動的でもよい。
【0025】
コンピュータ41は、加熱ランプ23の発光と同時に又はその発光の直前に、動画撮影指令を赤外線カメラ24に出力する。そうすると、赤外線カメラ24が動画撮影動作を実行する。つまり、赤外線カメラ24が、被検体21の裏面21bの温度分布をピクセル毎の階調値の分布で表した複数の熱画像を所定のフレームレートで順次撮像するとともに、これら熱画像を時系列順にコンピュータ41に転送する。コンピュータ41が、熱画像を赤外線カメラ24から入力する毎に、熱画像をRAM41aに記憶する。複数の熱画像82が時系列で配列されたものが熱動画80である。熱動画80のヘッダには、フレームレートが格納されている。なお、動画撮影の開始後に検査者が入力デバイス42を操作することによってそれに応じてコンピュータ41が赤外線カメラ24の動画撮影を終了させてもよいし、コンピュータ41が動画撮影の開始時から予め定めた撮影時間の経過後に赤外線カメラ24の動画撮影を終了させてもよい。
【0026】
(4) 時系列データ生成処理S3
次に、コンピュータ41が、ストレージ51に記憶された時系列順の熱画像82の何れにおいても同一ピクセル81の諧調値、つまり温度をピクセル81毎にこれら熱画像82から抽出し、抽出した温度を時系列順で配列した温度時系列データをピクセル81毎に生成する。温度時系列データは温度が時系列順で配列されたものであるところ、各温度の配列順番が時間に相当する。つまり、温度時系列データの各温度の配列順番にフレームレートの逆数を乗ずることによって得られる値が、最初の温度の時(つまり、撮影開始時)から経過した時間を表す。このような温度時系列データをグラフで表現すると図4のようになり、図4のグラフ中の横軸が時間を表し、縦軸が温度を表す。図4に示すように、温度が小刻みに振動しながら時間経過に伴い上昇し、温度がピークに至ると温度が小刻みに振動しながら時間経過に伴い低下する。赤外線カメラ24の各画素の出力データには高周波数ノイズが含まれていることから、図4に示すように温度時系列データの各温度及び各時間のプロット点を時系列順に結んだ曲線は高周波数で振動するような波形を成し、その高周波数の振動が高周波数ノイズに相当する。
【0027】
(5) フィルタリング処理S4
次に、コンピュータ41が、各ピクセル81の温度時系列データを平滑化させるよう、各ピクセル81の温度時系列データに対してフィルタリング処理を行う。フィルタリング処理は、例えば移動平均フィルタリング、多項式フィルタリング又はデジタルローパスフィルタリング等である。図5にフィルタリング処理後の温度時系列データの一例を示す。移動平均フィルタリング処理を用いれば、各時間の温度が移動平均に近づくように温度時系列データがデータ変換される。
【0028】
(6) 最大温度・最小温度の抽出処理S5
次に、コンピュータ41が、フィルタリング処理済の各ピクセル81の温度時系列データの中で最大温度及び最小温度をピクセル81毎に抽出する。以下、最大温度及び最小温度の数値をそれぞれTmax及びTminと表す。
【0029】
(7) 特定温度の算出処理S6
次に、コンピュータ41が、次式(1)を用いて、抽出処理S5にて抽出した最大温度Tmax及び最小温度Tmin並びに設定処理S1にて取得した設定割合Rから、特定温度をピクセル81毎に算出する。特定温度とは、最大温度Tmaxと最小温度Tminの差に対して設定割合Rとなる温度だけ最小温度Tminから高い温度のことをいう。以下、特定温度の数値をTmidと表す。なお、設定割合Rは何れのピクセル81にも共通した値であり、最大温度Tmax、最小温度Tmin及び特定温度Tmidはピクセル81毎に算出される。
【0030】
【数1】
【0031】
(8) 特定時間の算出処理S7
次に、コンピュータ41は、各ピクセル81の温度時系列データを参照して、特定温度Tmidに対応する特定時間をピクセル81毎に算出する。ここで、特定温度Tmidに等しい値が温度時系列データの中に含まれないこともあるので、以下のようにして特定時間が線形補間により算出される。以下、特定時間の値をFmidと表す。
【0032】
まず、コンピュータ41が、温度時系列データの各温度と特定温度Tmidを比較することによって、ピクセル81毎に、温度時系列データの中から特定温度Tmid未満で最大の温度(以下、第一温度といい、その値をXaと表す。第一温度の配列順番に相当する時間を第一時間といい、その値をFaとする。)を抽出する。更に、コンピュータ41が、ピクセル81毎に、温度時系列データの中から特定温度Tmid以上で最小の温度(以下、第二温度といい、その値をXbと表す。第二温度の配列順番に相当する時間を第二時間といい、その値をFbとする。)を抽出する。ここで、横軸を時間とし、縦軸を温度としたグラフに、第一温度Xa及び第一時間Faによって定義される点Aをプロットし、第二温度Xb及び第二時間Fbによって定義される点Bをプロットすると、図6のようになる。図6は、図5のグラフのうち、特定温度Tmid及び特定時間Fmidによって定義される点Cをプロットし、点Cの近傍を拡大して示したものである。
【0033】
次に、コンピュータ41は、第一温度Xa及び第二温度Xbがそれぞれ第一時間Fa及び第二時間Fbに線形に対応するとして、その線形の対応関係を利用して特定温度Tmidから特定時間Fmidを算出する。ここで、図7に示すように、第一温度Xa及び第二温度Xbがそれぞれ第一時間Fa及び第二時間Fbに線形に対応するので、点Aと点Bを結ぶ線Lが直線となり、その直線Lの傾き、点Aの座標(又は点Bの座標)及び特定温度Tmidから特定時間Fmidが求まる。つまり、コンピュータ41は、次式(2)又は次式(3)を利用して、第一温度Xa、第二温度Xb、第一時間Fa、第二時間Fb及び特定温度Tmidから特定時間Fmidを算出する。
【0034】
【数2】
【0035】
なお、線形補間以外の手法により特定時間Fmidを算出してもよい。例えば、以下の(9-1)又は(9-2)のようにしてもよい。
【0036】
(9-1)
コンピュータ41が、温度時系列データの各温度と特定温度Tmidを比較することによって、ピクセル81毎に、温度時系列データの中から特定温度Tmidに最も近似した最近似温度(但し、最近似温度は1つのピクセル81につき1つである。)を抽出し、最近似温度に対応する時間を特定時間Fmidとする。温度時系列データの中に特定温度Tmidに一致した1つの温度データが存在する場合、その温度データに対応する時間を特定温度Tmidとする。
【0037】
(9-2)
コンピュータ41が、温度時系列データの各温度と特定温度Tmidを比較することによって、ピクセル81毎に、温度時系列データの中から特定温度Tmidに最も近似した最近似温度(但し、最近似温度は1つのピクセル81につき複数ある。)を抽出し、これら最近似温度に対応する時間の平均値を算出し、その平均値を特定時間Fmidとする。なお、温度時系列データの中に特定温度Tmidに一致した複数の温度データが存在する場合、それら温度データに対応する時間の平均値を特定温度Tmidとする。また、時系列の順番の若い最近似温度又は温度データに対応する時間を特定時間Fmidとしてもよい。
【0038】
(10) 特定時間分布データの生成処理S8
次に、コンピュータ41は、熱画像82におけるピクセル81の階調値の配列と同じ配列で、これらピクセル81の特定時間Fmidを配列する。このように特定時間Fmidがマトリックス状に配列されたデータ90(以下、特定時間分布データ90という。)は、各ピクセル81の階調値を特定時間Fmidとした画像データである。
【0039】
(11) フーリエ変換処理S9
次に、コンピュータ41が、ピクセル81毎に、温度時系列データに高速フーリエ変換処理、より具体的には離散フーリエ変換を行って、ピクセル81毎の温度時系列データをピクセル81毎の周波数―位相データに変換する。周波数-位相データは、周波数と位相の対応関係を表した離散的なデータである。つまり、周波数-位相データは、複数の位相が配列されたデータ列であり、そのデータ列における各位相の配列順番が周波数に相当する。そのデータ列における各位相の配列順番をnとし、温度時系列データにおいて配列された温度のデータ数をDNとし、赤外線カメラ24のフレームレート(つまり、サンプリング周波数)をfとすると、各位相に対応する周波数は(n×f)/(2×DN)に等しい。赤外線カメラ24のフレームレートをfとし、最小の周波数をfminとし、最大な周波数をfmaxとすると、fmin及びfmaxは次式(4)及び(5)によってそれぞれ表される。
【0040】
【数3】
【0041】
また、周波数-位相データにおけるn番目の位相の値をAnとすると、Anは次式(6)のように表される。
【0042】
【数4】
【0043】
式(6)において、Reは、温度時系列データを離散フーリエ変換した結果の実部であり、Imは、温度時系列データを離散フーリエ変換した結果の虚部である。Re及びImは、次式(7)のように定義される。
【0044】
【数5】
【0045】
式(7)において、T(k)は、温度時系列データにおけるk番目の温度である。式(7)の右辺は温度時系列データの離散フーリエ変換式である。
【0046】
(12) 記録処理S10
次に、コンピュータ41は、各設定値(フレームレート、撮影時間、加熱時間及び設定割合R)をストレージ51に記録する。
また、コンピュータ41は、一時記憶した複数の熱画像を時系列順でストレージ51に記録する。これによりストレージ51には、熱画像82が時系列で配列された熱動画80が記録される。
また、コンピュータ41は、生成処理S8において生成した特定時間分布データ90をストレージ51に記録する。
また、コンピュータ41がピクセル81毎の周波数―位相データをストレージ51に記録する。
【0047】
(13) 表示処理S11
次に、コンピュータ41が以下のようにして以下のような画像及び動画を表示デバイス43に表示させる。
【0048】
(13-1) 特定時間の分布の表示
コンピュータ41が、生成処理S8において生成した特定時間分布データ90から画像を生成する。つまり、コンピュータ41は、各ピクセル81の特定時間Fmidを階調値とした画像(以下、特定時間分布画像という。)を生成する。
次に、コンピュータ41が特定時間分布画像に従った映像信号を表示デバイス43に出力すると、その特定時間分布画像が表示デバイス43に表示される。上述のように、この特定時間分布画像の画素の階調値は特定時間Fmidを表すものであり、特定時間分布画像は特定時間Fmidの分布を表現したものである。
【0049】
ここで、例えば被検体21に内部欠陥が存在しない場合、おもて面21aから裏面21bへの熱伝導は面内で一様であり、裏面21bの何れの位置においても、計測される特定時間Fmidが殆ど等しい。そのため、表示デバイス43に表示される特定時間分布画像の各画素の階調値は何れも殆ど等しく、その画像はほぼ単一色となる。
一方、例えば被検体21に内部欠陥が存在すると、おもて面21aから裏面21bへの熱伝導が内部欠陥において遅延する。そのため、裏面21bのうち内部欠陥に重なる領域で計測される特定時間Fmidは、それ以外の領域で計測される特定時間Fmidと異なる。そのため、表示デバイス43に表示される特定時間分布画像では、内部欠陥に重なる画素の階調値がそれ以外の画素の階調値と異なり、その特定時間分布画像は斑点模様を有し、斑点の部分が内部欠陥に相当する。
【0050】
よって、検査者が、表示デバイス43に表示された特定時間分布画像を見れば、内部欠陥の有無及びその位置を視覚的に認識することができる。
【0051】
また、例えば被検体21の厚さが面内で一様である場合、被検体21のうち熱伝導しやすい部分では特定時間Fmidが短く、被検体21のうち熱伝送しやすい部分では特定時間Fmidが長い。つまり、特定時間Fmidは熱的特性値に依存し、特定時間Fmidから熱特性値を換算できる。よって、検査者が、表示デバイス43に表示された特定時間分布画像を見れば、熱的特性値の分布を視覚的に認識することができる。熱的特性値とは、熱拡散率、比熱容量或いは熱伝導率である。
【0052】
また、例えば被検体21の材質が面内で一様である場合、つまり、被検体21の熱的特性値が面内で一様である場合、被検体21のうち厚い部分では特定時間Fmidが長く、被検体21のうち薄い部分では特定時間Fmidが短い。つまり、特定時間Fmidは厚さに依存し、特定時間Fmidから厚さを換算できる。よって、検査者が、表示デバイス43に表示された特定時間分布画像を見れば、厚さの分布を視覚的に認識することができる。
【0053】
なお、コンピュータ41が、図8に示すように、特定時間分布画像の特定の領域を拡大した拡大画像を生成し、その領域内の各ピクセル81の特定時間Fmidの数値の像83をピクセル81毎に拡大画像に合成し、その合成像に従った映像信号を表示デバイス43に出力してもよい。その特定時間分布画像の拡大画像が表示デバイス43に表示されるとともに、その拡大画像ではピクセル81毎の特定時間Fmidの数値がピクセル81ごとに表示される。
【0054】
(13-2) 位相画像の表示
検査者が入力デバイス42を操作することによって特定の周波数を入力すると、コンピュータ41が入力デバイス42の出力信号に従って特定周波数の値を取得する。
次に、コンピュータ41は、ストレージ51に格納された各ピクセル81の周波数―位相データを参照して、特定周波数に対応する位相(以下、特定位相という。)をピクセル81毎に読み込む。次に、各ピクセル81の特定位相を階調値に変換することによって画像(以下、特定位相分布画像という。)を生成する。
次に、コンピュータ41が特定位相分布画像に従った映像信号を表示デバイス43に出力すると、その特定位相分布画像が表示デバイス43に表示される。特定位相分布画像の画素の階調値は特定位相を表すものであり、特定位相分布画像は特定位相の分布を表現したものである。
【0055】
なお、検査者は、特定周波数を最小値fmin以上であって最大値fmax以下の範囲内であれば任意に定めることができる。検査者が入力する特定周波数を変化させることで、被検体の表面からの深さが異なる内部の状態が推定できる。
【0056】
以上の検査方法によると、被検体21の面に対応して位相画像を作成することができる。複数の検査周波数における位相画像を確認することで、被検体の表面からの深さが異なる内部の状態が確認できる。また、特定時間分布画像と特定位相分布画像を比較することができ、被検体21の特異部の位置の正確さが向上する。
【0057】
(13-3) 熱画像の表示
検査者が入力デバイス42を操作することによって1つ又は複数のコマを選択すると、コンピュータ41が、選択されたコマに対応する熱画像82に従った映像信号を表示デバイス43に出力する。これにより、選択されたコマの熱画像が表示デバイス43に表示される。複数のコマが選択された場合、これらコマの熱画像が同時に表示されてもよいし、順次表示されてもよい。
【0058】
(13-4) 熱動画
コンピュータ41が、時系列順で、熱画像82に従った映像信号を表示デバイス43に出力する。これにより、熱動画が表示デバイス43に表示される。被検体21に存在する特異部の温度上昇速度が他の部分の温度上昇速度と異なるため、時系列順に熱画像82を確認すると、画像内に異なる部分が表れる。それゆえ、被検体21の特異部の有無を確認することができる。
【0059】
<<4. 変形例>>
以上、本発明を実施するための形態について説明した。上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明の実施形態は本発明の趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する各変更点を組み合わせて適用してもよい。
【0060】
(i) 被検体の厚さに換算
コンピュータ41が、次式に従って各ピクセル81の特定時間Fmidを厚さ(以下、その値をdと表す)に換算してもよい。ここで、式(8)においてαは被検体21の熱拡散率の値である。熱拡散率αは検査者によって入力されたものである。つまり、前記の設定処理S1において、検査者が入力デバイス42を操作して熱拡散率αを入力すると、コンピュータ41が入力デバイス42の出力信号に従って熱拡散率αを取得する。なお、熱拡散率αは、定数として予めプログラム61に組み込まれていてもよい。
【0061】
【数6】
【0062】
【数7】
【0063】
厚さdと熱拡散率αが既知の物質Aに関して、指定した割合fの特定時間Fをこの透過法により、測定することができることは明白である。この3数値があれば式(8)より、係数Kが求められる。この係数Kは、この物質に関して決定され、異なる厚さに対して同一である。すなわち、厚さの異なる部分の、指定した同じ割合の特定時間Fを測定値から式(8)から、厚さdを算出できる。
【0064】
なお、コンピュータ41が、特定時間分布画像の特定の領域を拡大した拡大画像を生成し、その領域内の各ピクセル81の厚さdの数値の像(数値を表したテキストを画像化したもの)をピクセル81毎に拡大画像に合成し、その合成像に従った映像信号を表示デバイス43に出力してもよい。その特定時間分布画像の拡大画像が表示デバイス43に表示されるとともに、その拡大画像ではピクセル81毎の厚さdの数値がピクセル81ごとに表示される。
【0065】
(ii) 被検体の熱拡散率に換算
コンピュータ41が、次式(9)に従って各ピクセル81の特定時間Fmidを熱拡散率αに換算してもよい。ここで、厚さdは検査者によって入力されたものである。つまり、前記の設定処理S1において、検査者が入力デバイス42を操作して厚さdを入力すると、コンピュータ41が入力デバイス42の出力信号に従って厚さdを取得する。なお、厚さdは、定数として予めプログラム61に組み込まれていてもよい。
【0066】
【数8】
【0067】
なお、コンピュータ41が、特定時間分布画像の特定の領域を拡大した拡大画像を生成し、その領域内の各ピクセル81の熱拡散率αの数値の像(数値を表したテキストを画像化したもの)をピクセル81毎に拡大画像に合成し、その合成像に従った映像信号を表示デバイス43に出力してもよい。その特定時間分布画像の拡大画像が表示デバイス43に表示されるとともに、その拡大画像ではピクセル81毎の熱拡散率αの数値がピクセル81ごとに表示される。
【0068】
(iii) 良否判定
検査装置10を用いて、被検体21の良否判定を行ってもよい。そのためには、例えば、内部欠陥の無い良品と内部欠陥のある不良品とを識別するためのしきい値がストレージ51に予め格納されている。つまり、多数の良品と多数の不良品について検査装置10を用いて予め特定時間を計測し、良品の特定時間と不良品の特定時間との間にしきい値を設定する。このように設定されたしきい値がストレージ51に予め格納されている。
【0069】
一方、検査装置10を用いて、良否判定対象となる被検体21の特定時間が上述のようにコンピュータ41によって算出されると、そのコンピュータ41はその特定時間をしきい値と比較することによって、被検体21の良否判定を行う。例えば、特定時間がしきい値以上であれば、コンピュータ41が良好と判定し、特定時間がしきい値未満であれば、コンピュータ41が不良と判定する。或いは、特定時間がしきい値以下であれば、コンピュータ41が良好と判定し、特定時間がしきい値を超えれば、コンピュータ41が不良と判定する。コンピュータ41は、良否の判定結果を表示デバイス43に表示させる。
なお、コンピュータ41は、ピクセル81毎の周波数―位相データ若しくは特定時間分布データ90又はこれら両方を学習済みニューラルネットワークに入力し、そのニューラルネットワークからの出力を良否判定結果として表示デバイス43に表示させてもよい。
【0070】
<<5. 効果>>
(1) 以上の検査装置10によれば、計測の結果がピクセル81毎の特定時間によって表示される。それゆえ、検査結果が数値として表現されるため、理解しやすい。
【0071】
(2) ピクセル81毎の特定時間を表示する際に、特定時間を諧調値としてピクセル81を着色することができる。それゆえ、特定時間の同値部分が同色で表示されるため、計方法が必要測結果を視覚的、直感的に理解しやすい。
【0072】
(3) 赤外線カメラ24を用いることで、面を対象とした検査を行うことができる。それゆえ、被検体21の面部分を検査することができる。また、検査時間を従来のフラッシュ法と比較して大幅に短縮できる。
【0073】
(4) ピクセル81毎の特定時間の算出において、最大温度Tmaxと最小温度Tminを機械的に抽出し、特定温度Tmidを機械的に算出している。同様に、温度の時系列データの中から特定温度Tmidに近接する2つの点A,Bを機械的に抽出し、特定時間Fmidを機械的に算出している。それゆえ、誰が検査しても同一の検査結果を得ることができる。
【0074】
(5) 特定時間Fmidから被検体21の厚さを算定する式を利用して、被検体21に接触することなく被検体21の厚さを算出することができる。
【0075】
(6) 予め設定されたしきい値と特定時間Fmidとを比較することで、被検体21の良否を判定することができる。つまり、検査装置10を良品検査装置として使用することができる。
【0076】
(7) 検査装置10は検査結果として、特定時間分布画像、位相分布画像、熱画像がストレージ51に記録される。それゆえ、3種類の画像によって被検体21の状態を確認できるため、被検体21の内部欠陥の位置をより正確に判断することができる。
【符号の説明】
【0077】
10…検査装置
21…被検体
23…ランプ
24…赤外線カメラ
41…コンピュータ
43…表示デバイス
51…ストレージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8