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特開2022-81126遊技場用システム及び遊技場用表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081126
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】遊技場用システム及び遊技場用表示装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
A63F7/02 332
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192473
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 英泰
(72)【発明者】
【氏名】岩田 陽平
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088EA49
(57)【要約】
【課題】遊技機毎の単位変動時間を管理することで、遊技者にとって有利な遊技状態となるまでの時間を推測する。
【解決手段】遊技場用システムは、単位図柄変動の時間を示す単位変動時間を算出し、大当り抽選の結果が連続して非当選である場合に遊技者に天井特典を与える条件である所定回数が満たされるまでに要する時間を示す天井到達時間を算出し、所定回数が満たされた後に天井特典が終了するまでに要する時間を示す特典中時間を算出し、単位変動時間、天井到達時間及び特典中時間に関する情報を管理する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大当り抽選を実行すると共に当該大当り抽選の結果を図柄変動により表示し、前記大当り抽選の結果が所定回数連続して非当選である場合に遊技者に天井特典を与える遊技機を対象とする遊技場用システムにおいて、
遊技機側から出力される信号に基づき図柄変動の開始と停止とを区別して特定する変動特定手段と、
前記変動特定手段により特定された図柄変動の開始及び停止のタイミングに基づいて単位図柄変動の時間を示す単位変動時間を算出する単位変動時間算出手段と、
前記所定回数が満たされるまでに必要な変動回数を算出する変動回数算出手段と、
前記単位変動時間に前記変動回数を乗ずることで前記所定回数が満たされるまでに要する時間を示す天井到達時間を算出する天井到達時間算出手段と、
前記所定回数が満たされた後に天井特典が終了するまでに要する時間を示す特典中時間を算出する特典中時間算出手段と、
前記単位変動時間、前記天井到達時間及び前記特典中時間に関する情報のうち少なくとも一つを管理する管理手段と、を備えた遊技場用システム。
【請求項2】
前記変動特定手段は、遊技機側から出力される始動口へ入賞したタイミングを示す始動入賞信号と、図柄変動が停止したタイミングを示す図柄変動停止信号と、により当該図柄変動を特定し、
前記単位変動算出手段は、前記変動特定手段により特定された図柄変動における単位図柄変動の時間を算出する請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記単位変動時間算出手段は、始動口への入賞が非容易状態であるか又は容易状態であるかにより単位変動時間を区別して算出し、
前記特典中時間算出手段は、前記始動口への入賞状態が容易状態である場合の単位変動時間に基づいて算出し、
前記特典中時間に関する情報は、天井条件が満たされた後に大当りが発生することなく天井特典が終了するか否かを区別して算出可能な情報であり、
前記管理手段は、前記天井到達時間に前記特典中時間を加えた時間を管理する請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
大当り抽選を実行すると共に当該大当り抽選の結果を図柄変動により表示し、前記大当り抽選の結果が所定回数連続して非当選である場合に遊技者に天井特典を与える遊技機を対象とする遊技場用システムにおいて、
遊技機側から出力される信号に基づき図柄変動の開始と停止とを区別して特定する変動特定手段と、
前記変動特定手段により特定された図柄変動の開始及び停止のタイミングに基づいて単位図柄変動の時間を示す単位変動時間を算出する単位変動時間算出手段と、
前記所定回数が満たされるまでに必要な変動回数を算出する変動回数算出手段と、
前記単位変動時間に前記変動回数を乗ずることで前記所定回数が満たされるまでに要する時間を示す天井到達時間を算出する天井到達時間算出手段と、
前記所定回数が満たされた後に天井特典が終了するまでに要する時間を示す特典中時間を算出する特典中時間算出手段と、
前記単位変動時間、前記天井到達時間及び前記特典中時間に関する情報のうち少なくとも一つを管理する管理手段と、
前記管理手段により管理される情報を表示する表示手段と、を備えた遊技場用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システム及び遊技場用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定回数連続して大当り抽選に非当選の場合に遊技者に対して特典を付与するパチンコ遊技機が登場している。このような遊技機を遊技する際、閉店時刻が近付いている場合に特典が付与される所定回数に到達できるか否かが遊技者にとって重要な問題となる。例えば遊技者は天井特典が享受できる時刻であっても、閉店時刻までに特典が付与される所定回数に到達できない可能性が高い遊技機での遊技を敬遠しがちであり、遊技場にとっては稼動が低下してしまう一因でもある。そのため、特典が付与されるまでに必要な時間を把握することが重要となる。ところで、遊技機の図柄が変動を開始してから停止するまでの図柄変動時間を計測する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-135970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図柄変動時間を計測することができたとしても、特典が付与される所定回数に到達するための時間は、現時点までの抽選回数や遊技機の整備状況により変わってしまう。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技者にとって有利な遊技状態となるまでの時間を推測することができる遊技場用システム及び遊技場用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した遊技場用システムによれば、大当り抽選を実行すると共に当該大当り抽選の結果を図柄変動により表示し、大当り抽選の結果が所定回数連続して非当選である場合に遊技者に天井特典を与える遊技機を対象とする遊技場用システムにおいて、単位図柄変動の時間を示す単位変動時間を算出し、所定回数が満たされるまでに要する時間を示す天井到達時間を算出し、所定回数が満たされた後に天井特典が終了するまでに要する時間を示す特典中時間を算出し、単位変動時間、天井到達時間及び特典中時間に関する情報のうち少なくとも一つを管理するようにした。天井到達までの時間を把握し難い遊技機であっても、単位変動時間、天井到達時間及び特典中時間に関する情報のうち少なくとも一つを管理することで、遊技者にとって有利な遊技状態となるまでの時間を推測することができる。そして、天井到達までに要する時間、即ち、天井到達までの消化時間を管理することで、その天井までの消化時間に応じて遊技機の整備を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態を示す遊技場内の構成図
図2】パチンコ遊技機の正面図
図3】変動時間の算出を説明する図
図4】通常状態における単位変動時間を示す図
図5】時短状態における単位変動時間を示す図
図6】入賞信号入力時処理を示すフローチャート
図7】図柄確定信号入力時処理を示すフローチャート
図8】TS変動時間及び初当り後特賞時間
図9】残り変動回数に応じた各条件での必要目安時間
図10】目安時間の表示を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して貸出装置2及び情報表示装置3が設置されている。これら遊技機1、貸出装置2及び情報表示装置3(遊技場用表示装置、変動特定手段、単位変動時間算出手段、変動回数算出手段、天井到達時間算出手段、特典中時間算出手段、管理手段表示手段に相当する)は2台ずつ中継装置4と接続されており、中継装置4はLAN5を介して管理装置6(変動特定手段、単位変動時間算出手段、変動回数算出手段、天井到達時間算出手段、特典中時間算出手段、管理手段に相当する)と接続されている。
【0009】
又、遊技場内にはPOSや残高精算機(何れも図示せず)も設置されており、これらPOSや残高精算機もLAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード7、モニタ8、プリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、貸出装置2等)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1毎の遊技データ、会員登録された会員毎の個人データ、遊技機1や貸出装置2等の稼動状態等を管理する。
【0010】
遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、図2に示すように、盤面9に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル10、上部受皿11、下部受皿12を有すると共に、盤面9に、液晶表示部13、普図入賞口14、普図表示部15、特図保留表示部16、入賞口17、第1始動口18、第2始動口19、開閉入賞装置20、大入賞口21を有する。
【0011】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口18及び第2始動口19への入賞に応じて特別図柄による大当り抽選を行う。第1始動口18は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口19は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。大当り確率は低確率状態で1/200であり、高確率状態で1/50である。大当り確率の逆数をTSと表現すると、TSは大当り発生までに想定される平均変動回数を示す。
【0012】
(2)大当り抽選に当選すると大当り遊技が発生する。大当り遊技では特別図柄に応じた回数だけ大入賞口21が開放する。本実施形態における開放回数は、ヘソでの大当り時は全て4Rであり、電チューでの大当り時は10Rである。尚、1Rの上限入賞数は10個である。又、大当り遊技終了後は当該大当りに当選した特別図柄に応じて大当り当選率が変化する。ヘソでの大当り時は70%の割合で高確率状態となり、電チューでの大当り時は100%の割合で高確率状態となる。
【0013】
(3)普通図柄が当選すると電チューの入賞率が高くなる。
(4)大当り遊技終了後、又は天井条件を満たした場合に時短状態が付与され、普通図柄の当選確率が高くなる。特別図柄の変動回数が時短の回数にあたり、大当りの特別図柄の種類により付与される時短回数が異なる。本実施形態において、ヘソでの大当り時は50回又は75回が付与され、それぞれの割合は70%、30%である。電チューでの大当り時は100%の割合で75回が付与される。
【0014】
(5)初期化条件(大当り後又は初期化操作後)成立後、低確率状態の大当り抽選に所定回数連続して非当選の場合に天井特典が付与される。本実施形態において、所定回数は600回であり、付与される特典は時短750回である。尚、750回の時短中は低確率で大当り抽選を行う。
【0015】
(6)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。保留上限値は、ヘソ、電チューそれぞれ4個ずつである。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0016】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口18,19への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号(稼動信号)である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号でも良い。
【0017】
セーフ信号=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。入賞に応じた払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。又、玉を実際に払出した際に出力される実セーフ信号と、入賞に応じて払出が予約された場合に出力される入賞セーフ信号とがあるが、入賞から出力までのタイムラグを極力省くため後者を採用することが望ましい。
【0018】
入賞信号=遊技機1から出力される始動入賞(S入賞)により変動(作動)する液晶表示部(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)、及びスタート(スタート処理数)を特定可能な信号である。始動口18,19へ入賞したタイミングを示す始動入賞信号に相当する。
図柄確定信号=遊技機1から出力される図柄変動の確定を特定可能な信号である。図柄変動が停止したタイミングを示す図柄変動停止信号に相当する。
【0019】
大当り信号=遊技機から出力される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル出力される状態信号なので、大当り信号入力中を大当り中として特定する。
特別状態信号=遊技機から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口19の入賞率が向上する特別状態中(時短中(複合時短含む))にレベル出力される状態信号なので、特別状態信号入力中を特別状態中として特定する。尚、大当り確率が向上する確変中にレベル出力される状態信号(確変信号)であっても良い。又、大当り信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。"
【0020】
貸出装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示灯22、貨幣(貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口23、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部24、持玉(会員であれば貯玉も含む、獲得価値、有価価値)を払い出すための払出釦25、払い出された玉が通過する払出ノズル26、一般カードや会員カードが挿入されるカード挿入口27、遊技機1の下部受皿12の下方に位置する着脱可能な計数受皿28等を有する。
【0021】
貸出装置2は、以下に示すように動作する。
(1)貨幣を受付ける(貨幣受付処理)と、遊技機1と貸出装置2の双方に入金額が表示されると共に貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)が遊技機1から払出され(対価付与処理)、その対価付与処理に応じて入金額の表示が貸出玉の対価を除いた残高の表示となる。貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。残高がある状態で遊技機1の貸出釦を押下(貸出操作、付与操作)すると、貸出1単位分の貸出玉が遊技機から払出され、その対価分を残高から引落とす。又、所謂各台計数機能も備えており、遊技者が獲得した獲得玉を計数し、その計数した獲得玉を対価として再度玉を払戻すことも可能で、その払戻し分の対価を除いた玉数を持玉として特定可能である。
【0022】
(2)残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦を押下(発行操作を受付)すると、残玉や持玉を特定可能な一般カードが発行される。尚、残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行は説明の簡略化のため不可としたが、可能としても良い。
【0023】
(3)中継装置4とのシリアル通信(売上信号の受信)により貨幣受付処理や対価付与処理、残高や貸出玉数、入金額や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、計数玉、持玉、払戻玉、及び一般カードの受付や発行処理を特定可能であるが、これらはパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)でも特定可能である。
【0024】
遊技機1においては、その種類により単位図柄変動の変動時間が異なる。変動時間は、リーチが発生すると長くなる傾向にあり、リーチの発生割合も記憶している保留の個数にも変わってくるので、遊技機1毎の始動口18,19への入賞頻度により変動時間が変化する。管理装置6は、遊技機1から出力される信号を用いて変動時間を算出する。具体的には、管理装置6は、遊技機1から出力される入賞信号及び図柄確定信号を用いて変動時間を算出する。
【0025】
始動口18,19への入賞が検知されると、遊技機1から入賞信号がワンショット出力される。入賞信号のワンショット出力とは128msでの信号出力を示す。入賞により特別図柄の抽選を行い、抽選の結果を図柄変動にて表示する。図柄変動が確定すると、遊技機1から図柄確定信号がワンショット出力される。図柄確定信号のワンショット出力とは128msでの信号出力を示す。
【0026】
管理装置6は、遊技機1からの入賞信号が入力された回数を保留数(上限は「4」)として管理し、入力された時刻を入賞時刻として管理する。管理装置6は、例えば入賞信号が3回入力され、その後に図柄確定信号が入力されない場合であれば、「保留数=2、図柄変動中」として管理し、図柄確定信号が入力された状況により保留数と図柄変動状態とを変化させる。尚、上限保留を超えて記録することはなく、超えた保留に関しては入賞時刻を記録しない。以下、保留数、変動状態及び変動時間の関係について図3を参照して説明する。
【0027】
管理装置6は、保留数=0で図柄変動中でないとき、即ち、図柄変動停止中に入賞信号が入力されると、「保留数=0、図柄変動中」と判定する。管理装置6は、図柄変動中に入賞信号が入力されると、保留数をインクリメントし(+1、保留上限=4)、「保留数=1、図柄変動中」と判定する。管理装置6は、「保留数=1、図柄変動中」と判定しているときに図柄確定信号が入力されると、保留数をデクリメントし(-1)し、「保留数=0、図柄変動中」と判定する。即ち、管理装置6は、図柄変動の停止と開始を特定する。一方、管理装置6は、「保留数=0、図柄変動中」と判定した後に、図柄確定信号が入力されると、「保留数=0、図柄変動停止中」と判定する。管理装置6は、このようにして入賞信号及び図柄確定信号により保留数と変動状態とを管理する。
【0028】
又、管理装置6は、入賞信号及び図柄確定信号が入力された時刻により図柄変動の時間を示す変動時間を算出する。管理装置6は、「保留数=0、図柄変動停止中」のときに入賞信号が入力されると、「保留数=0、図柄変動中」と判定し、「保留数=0、図柄変動中」のときに図柄確定信号が入力されると、「保留数=0、図柄変動停止中」と判定する。この場合、管理装置6は、入賞信号が入力された時刻と図柄確定信号が入力された時刻との差、つまり、入賞信号が入力された時刻から図柄確定信号が入力された時刻までの時間を変動時間として算出する。
【0029】
管理装置6は、「保留数=0、図柄変動停止中」から図柄変動を経て図柄確定するまでに始動口18,19への入賞がない場合は、入賞信号が入力された時刻から図柄確定信号が入力された時刻までの時間を変動時間として算出すれば良いが、図柄変動中に始動口18,19へ入賞した場合、即ち、図柄変動中に保留が記録される場合は、2番目に(あとから)始動口18,19へ入賞した変動の変動時間は入賞信号が入力された時刻から図柄確定信号が入力された時刻までの時間では算出不可である。この場合、管理装置6は、保留が記録される場合の当該記録された保留に対応する変動時間を、図柄確定信号が入力されてから次の図柄確定信号が入力されるまでの時間を変動時間として算出する。
【0030】
図3において、入賞信号を入力した時刻をTni(i=1,2,3…)、図柄確定信号を入力した時刻をTsj(j=1,2,3…)として記録し、変動時間をHk(k=1,2,3…)とする。H1は「保留数=0、図柄変動停止中」の状態で入賞信号が入力されたときの変動時間であり、管理装置6は、「H1=Ts1-Tn1」の計算式により算出する。H2は「保留数=0、図柄変動中」の状態で入賞した保留の変動時間であり、保留が記録される場合の記録された保留に対応する単位変動時間であるから、図柄確定信号が入力されてから当該保留に対応する変動の図柄確定信号が入力されるまでの時間が単位変動時間であり、管理装置6は、「H2=Ts2-Ts1+128ms」の計算式により算出する。同様に、管理装置6は、H3,H4,H5,H6を算出し、その算出した変動時間の合計値を算出し、その算出した変動時間の合計値を図柄確定回数の合計値、即ち、総回転数で除することで、単位変動時間を算出する。
【0031】
図4は、通常状態(始動口18,19への入賞が非容易状態)における単位変動時間を算出した一例を示す。図4における各項目は以下に示す通りである。
総変動時間=通常状態における入賞信号と図柄確定信号との入力により算出された変動時間の合計である。
総回転数=通常状態における大当り抽選の総数であり、図柄確定信号の入力の総数でもある。
単位変動時間=通常状態における総変動時間を総回転数で除した値であり、遊技あたりの秒単位の変動時間であり、通常状態における図柄変動1回あたりの変動時間である。
【0032】
図5は、時短状態(始動口18,19への入賞が容易状態)における単位変動時間を算出した一例を示す。図5における各項目は以下に示す通りである。
総変動時間=時短状態における入賞信号と図柄確定信号との入力により算出された変動時間の合計である。
総回転数=時短状態における大当り抽選の総数であり、図柄確定信号の入力の総数でもある。
単位変動時間=時短状態における総変動時間を総回転数で除した値であり、遊技あたりの秒単位の変動時間であり、時短状態における図柄変動1回あたりの変動時間である。秒単位遊技あたりの変動時間である。
【0033】
管理装置6は、このように通常状態及び時短状態におけるそれぞれの単位変動時間を算出し、始動口18,19への入賞が非容易状態であるか又は容易状態であるかにより区別して単位変動時間を管理する。遊技機1によっては、変動開始時の保留数によって変動時間が異なる遊技機も存在するため、同一機種であっても遊技機毎の整備状況で単位変動時間が変わってくる。そのため、遊技場の管理者は単位変動時間を把握することで遊技機1の整備状況を適切に管理することができる。
【0034】
図6は、管理装置6が行う入賞信号入力時処理を示す。管理装置6は、メイン処理を実行中に入賞信号入力時処理の開始イベントの成立を所定周期で監視しており、入賞信号入力時処理の開始イベントの成立を判定すると、入賞信号入力時処理を開始し、遊技機1から出力された入賞信号を入力したか否かを判定する(S1)。管理装置6は、入賞信号を入力していないと判定すると(S1:NO)、入賞信号入力時処理を終了し、次の入賞信号入力時処理の開始イベントの成立を待機する。
【0035】
管理装置6は、入賞信号を入力したと判定すると(S1:YES)、その時点での保留数が「4」であるか否かを判定する(S2)。管理装置6は、その時点での保留数が「4」であると判定すると(S2:YES)、入賞信号入力時処理を終了し、次の入賞信号入力時処理の開始イベントの成立を待機する。
【0036】
管理装置6は、その時点での保留数が「4」でないと判定すると(S2:NO)、その時点での保留数が「0」であるか否かを判定する(S3)。管理装置6は、その時点での保留数が「0」であると判定すると(S3:YES)、図柄変動停止中であるか否かを判定する(S4)。
【0037】
管理装置6は、図柄変動停止中であると判定すると(S4:YES)、図柄変動開始を特定し(S5)、入賞信号入力時処理を終了し、次の入賞信号入力時処理の開始イベントの成立を待機する。管理装置6は、その時点での保留数が「0」でないと判定すると(S3:NO)、又は図柄変動停止中でないと判定すると(S4:NO)、保留数をインクリメントし(S6)、入賞信号入力時処理を終了し、次の入賞信号入力時処理の開始イベントの成立を待機する。
【0038】
図7は、管理装置6が行う図柄確定信号入力時処理を示す。管理装置6は、メイン処理を実行中に図柄確定信号入力時処理の開始イベントの成立を所定周期で監視しており、図柄確定信号入力時処理の開始イベントの成立を判定すると、図柄確定信号入力時処理を開始し、遊技機1から出力された図柄確定信号を入力したか否かを判定する(S11)。管理装置6は、図柄確定信号を入力していないと判定すると(S11:NO)、図柄確定信号入力時処理を終了し、次の図柄確定信号入力時処理の開始イベントの成立を待機する。
【0039】
管理装置6は、図柄確定信号を入力したと判定すると(S11:YES)、その時点での保留数が「1以上」であるか否かを判定する(S12)。管理装置6は、その時点での保留数が「1以上」でないと判定すると(S12:NO)、図柄変動停止を特定し(S13)、図柄変動停止中を特定し(S14)、図柄確定信号入力時処理を終了し、次の図柄確定信号入力時処理の開始イベントの成立を待機する。
【0040】
管理装置6は、その時点での保留数が「1以上」であると判定すると(S12:YES)、図柄変動停止を特定し(S15)、保留数をデクリメントし(S16)、図柄変動開始を特定し(S17)、図柄確定信号入力時処理を終了し、次の図柄確定信号入力時処理の開始イベントの成立を待機する。
【0041】
図8は、TS変動時間及び初当り後特賞時間を算出する一例を示す。図8における各項目は以下に示す通りである。初当り後特賞時間は、所定回数が満たされた後に天井特典が終了するまでに要する時間を示す特典中時間に相当する。
【0042】
TS変動時間=各状態(通常状態、天井状態、甘中状態)においてTS分の抽選を行う際に要する変動時間であり、単位変動時間に各状態におけるTSを乗じて算出する。本実施形態においては天井状態であってもTSは変わらない。通常状態は、大当り確率が低確率であり、時短状態ではない状態を示す。天井状態は、大当り確率が低確率であり、時短状態である状態を示す。甘中状態は、大当り確率が高確率であり、時短状態である状態を示す。
【0043】
初当り後特賞時間=天井時短中に大当りが発生した場合に、当該大当りを初当りとして通常状態に戻るまでの特賞状態における時間である。総T1中は、特賞状態において発生し得る大当り中の時間の合計であり、大当り1回あたりの平均時間に平均継続回数である「5.55」回を乗じた時間を示す。尚、大当り1回あたりの平均時間は、遊技機側から出力される大当り中信号を入力している時間から算出可能である。総甘中は、初当り後の特賞状態における総T1中時間を除く甘中の総変動時間であり、甘中のTS変動時間に平均継続回数から初当りを除いた「4.55」回を乗じた時間を示す。合計は、総T1中と総甘中との合計である。
【0044】
図9は、残り変動回数(残りスタート)に応じた各条件での必要目安時間を算出する一例を示す。図9における各項目は以下に示す通りである
残り変動回数=天井条件到達までの残り抽選回数であり、本実施形態では天井発動条件である所定回数は600回である。所定回数は機種により変化する。
天井到達時間=残りスタート回数分の抽選を行うのに要する天井到達までの時間であり、単位変動時間に残りスタート回数を乗じた時間である。
【0045】
天井到達後特賞無時間=天井到達までの時間と、天井到達後に大当りが発生することなく時短状態が終了するまでの時間との合計時間である。特典中時間に関する情報に相当する。
【0046】
天井到達後特賞期間終了時間=天井到達までの時間と、天井到達後に大当りが発生して通常状態に戻るまでの時間との合計時間である。天井到達後に大当りが発生して通常状態に戻るまでの時間は、上記した初当り後特賞時間の合計に対応する時間である。特典中時間に関する情報に相当する。
【0047】
天井到達後平均時間=天井到達後の大当りの発生確率に応じて算出する平均時間である。本実施形態では、天井到達後に大当りが発生することなく時短状態が終了する割合は約2.3%であるので、「天井到達後平均時間=天井到達後特賞無時間×2.3%+天井到達後特賞期間終了時間×(100-2.3)%」の計算式により算出する。特典中時間に関する情報に相当する。
【0048】
このように図4に示した通常状態での単位変動時間及び図5に示した時短状態での単位変動時間を用いることで、残りスタートに応じて、天井到達までの時間と、天井に到達してから大当りが発生することなく通常状態に戻るまでの時間と、天井到達後に大当りが発生して通常状態に戻るまでの時間とを特定することができる。図9では、残り変動回数を「100区切り」としたが、「10区切り」や「50区切り」としても良い。又、現在の変動回数から天井発動までの残り変動回数を基準にしても良い。
【0049】
図10は、情報表示装置3における目安時間を表示する一例を示す。
情報表示装置3は、単位変動時間に基づいた遊技機の只今スタートから所定回数抽選を行うのに要する所要時間を表示する。遊技者は、情報表示装置3に表示される所要時間により、遊技機の只今スタートから所定回数抽選を行うのに要する所要時間を把握することができ、その所要時間を参考にして閉店時刻までの天井特典を享受できるか否かを推測することができる。図10の例示では、遊技機の只今スタートである「256回」から天井発動条件である「600回」までの所要時間が「1時間26分12秒」である旨を把握することができ、閉店時刻と照合することで、閉店時刻までの天井特典を享受できるか否かを推測することができる。
【0050】
又、情報表示装置3は、現在時刻から遊技を開始した場合の天井に到達する時刻である到達予想時刻、天井特典が終了する時刻である終了予想時刻を、現在時刻と所要時間から算出して表示する。到達予想時刻及び終了予想時刻は、特典中時間に関する情報に相当する。遊技者は、情報表示装置3に表示される到達予想時刻により、現在時刻から遊技を開始した場合の天井に到達する時刻を把握することができ、終了予想時刻により、天井特典が終了する時刻を把握することができる。図10の例示では、到達予想時刻が「21時45分」である旨を把握することができ、終了予想時刻が「22時34分」である旨を把握することができる。終了予想時刻が閉店時刻前であれば、閉店時刻までに天井特典を十分に享受できるが、終了予想時刻が閉店時刻後であれば、閉店時刻までに天井特典を十分に享受できないと把握することができ、それら到達予想時刻や終了予測時刻を判断した上で遊技するか否かを選択することができる。
【0051】
以上に説明した本実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
遊技場用システムにおいて、単位図柄変動の時間を示す単位変動時間を算出し、大当り抽選の結果が連続して非当選である場合に遊技者に天井特典を与える条件である所定回数が満たされるまでに要する時間を示す天井到達時間を算出し、所定回数が満たされた後に天井特典が終了するまでに要する時間を示す特典中時間を算出し、単位変動時間、天井到達時間及び特典中時間に関する情報を管理するようにした。天井到達までの時間を把握し難い遊技機であっても、単位変動時間、天井到達時間及び特典中時間に関する情報を管理することで、遊技者にとって有利な遊技状態となるまでの時間を推測することができる。そして、天井到達までに要する時間、即ち、天井到達までの消化時間を管理することで、その天井までの消化時間に応じて遊技機の整備を適切に行うことができる。
【0052】
又、天井到達から天井特典終了までの目安時間を管理するようにした。遊技場の管理者は天井到達から天井特典終了までどの程度時間があれば、遊技者が遊技を行うのかを把握することができ、遊技者が遊技を行うようになるための遊技機の整備を適切に行うことができる。
【0053】
又、単位変動時間に基づいた遊技機の只今スタートから所定回数抽選を行うのに要する所要時間、現在時刻から遊技を開始した場合の天井に到達する時刻である到達予想時刻、天井特典が終了する時刻である終了予想時刻を情報表示装置3に表示するようにした。遊技者は遊技場の営業時間内に天井特典を享受できるか否かを推測することができ、遊技機の選択に役立てることができる。
【0054】
本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張することができる。又、例示した構成は変形例も含め、どのように組み合わせても良いし、適宜採用しない構成としても良い。
遊技機毎に単位変動時間を算出したが、機種単位で単位変動時間を算出して管理しても良い。
【0055】
状態毎に単位変動時間を算出したが、状態を特定できない機種である場合は、特定の状態に区別することなく、全状態を含んだ単位変動時間を用いても良い。又、状態を特定できる機種であっても、状態を区別して表示するか否かを遊技場の管理者により選択可能としても良い。
【0056】
天井特典として時短状態に移行する遊技機を想定しているが、天井特典は本実施形態に限定されることなく、大当り遊技の発生や大当り確率が高確率になるといった特典を付与しても良い。
管理装置で行う処理の一部、又は全てを中継装置、貸出装置、情報表示装置で行っても良い。
対象となる遊技機としてパチンコ遊技機を例示したが、遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式パチンコ遊技機等にも採用することができる。
時短状態における変動時間を算出する場合、入賞が容易状態である旨を示す信号を遊技機から入力することで、時短状態であると判定しても良い。又、単位変動時間に閾値を設け、特定の単位遊技機に対応する変動時間が閾値未満であれば時短状態であると判定しても良い。
【符号の説明】
【0057】
図面中、1は遊技機、3は情報表示装置(遊技場用表示装置、変動特定手段、単位変動時間算出手段、変動回数算出手段、天井到達時間算出手段、特典中時間算出手段、管理手段、表示手段)、6は管理装置(変動特定手段、単位変動時間算出手段、変動回数算出手段、天井到達時間算出手段、特典中時間算出手段、管理手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10