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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081193
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
B65B51/10 200
B65B51/10 W
B65B51/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192582
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】393008511
【氏名又は名称】小倉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】合田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小倉 大輔
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094BA11
3E094CA03
3E094CA06
3E094CA12
3E094DA06
3E094FA07
3E094FA13
3E094GA04
3E094GA13
3E094GA21
3E094HA11
(57)【要約】
【課題】被包装物の大きさに応じた適切な寸法で包装が可能な包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置1は、ロール状に巻かれたフィルム12を二つ折り状で引き出し、二つ折り状態のフィルム12の間にワークWを入れ、平面視でL字状のL型シール部材40によってフィルム12の開口する三面を熱溶断して袋状に形成する。L型シール部材40は、ワークWの搬送方向に延在し、フィルム12の片端を溶着及び溶断するサイドシール41と、サイドシール41と直交する幅方向に延在し、フィルム12の搬送方向の前後の部分を溶断するエンドシール42とを備え、サイドシール41は、エンドシール42に対して幅方向に沿って移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたシートを二つ折り状で引き出し、二つ折り状態の前記シートの間に被包装物を入れ、平面視でL字状のL型シール部材によって前記シートの開口する三面を接合及び切断して袋状に形成する包装装置であって、
前記L型シール部材は、前記被包装物の搬送方向に延在し、前記シートの片端を接合及び切断する第1シール部と、前記第1シール部と直交する幅方向に延在し、前記シートの搬送方向の前後の部分を接合及び切断する第2シール部とを備え、
前記第1シール部は、前記第2シール部に対して前記幅方向に沿って移動可能である、
包装装置。
【請求項2】
前記シートはプラスチックフィルムであり、
前記L型シール部材は、前記フィルムを溶着及び溶断する、
請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記第1シール部は、前記フィルムを溶着する溶着部と、前記溶着部より前記フィルムの前記片端側に前記溶着部と平行に配置され、前記フィルムを溶断する溶断部と、を有する、
請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記溶着部と前記溶断部は、前記第2シール部に対して前記幅方向に沿って一体的に移動可能である、
請求項3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記溶着部と前記溶断部は、前記第2シール部に対して前記幅方向に沿って個別に移動可能である、
請求項3に記載の包装装置。
【請求項6】
前記第1シール部の移動を制御する制御部と、
前記被包装物の前記幅方向の大きさを検知する検知部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部により検知された前記被包装物の大きさに応じて前記第1シール部の前記幅方向の位置を調整する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮性フィルム(シュリンク・フィルム)で商品を密着包装する熱収縮包装の分野などにおいて、ロール状に巻かれた熱収縮性フィルムを二つ折り状で引き出し、二つ折り状態のフィルムの間に被包装物を入れ、L型のシール部材によってフィルムの開口する三面(前後、片端)を熱溶断して袋状に形成する手法が知られている(例えば特許文献1)。L型のシール部材は、被包装物を搬送するコンベアの搬送方向に延在する第1のシール部によってフィルムの片端を溶着または溶断し、コンベアの幅方向に延在し第1のシール部と略直交する方向に延在する第2のシール部によってフィルムの搬送方向の前後の部分を溶断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-130021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のL型シール方式では、コンベア搬送方向の溶断位置を変更することによって、袋体の搬送方向の長さを被包装物の大きさに応じて任意に調整することができる。しかし、コンベア幅方向の溶断位置は自由に変更できない。
【0005】
本開示は、被包装物の大きさに応じた適切な寸法で包装が可能な包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一観点に係る包装装置は、ロール状に巻かれたシートを二つ折り状で引き出し、二つ折り状態の前記シートの間に被包装物を入れ、平面視でL字状のL型シール部材によって前記シートの開口する三面を接合及び切断して袋状に形成する包装装置であって、前記L型シール部材は、前記被包装物の搬送方向に延在し、前記シートの片端を接合及び切断する第1シール部と、前記第1シール部と直交する幅方向に延在し、前記シートの搬送方向の前後の部分を接合及び切断する第2シール部とを備え、前記第1シール部は、前記第2シール部に対して前記幅方向に沿って移動可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、被包装物の大きさに応じた適切な寸法で包装が可能な包装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る包装装置の概略構成を示す斜視図
図2】L型シール部材の概略構成を示す斜視図
図3】小サイズのワークの場合のL型シール部材によるフィルム溶断を説明する図
図4】ワークのサイズに応じた溶断位置の違いを示す図
図5】サイドシールの移動構造の一例を示す図
図6】実施形態の包装装置によるワークの包装制御のフローチャート
図7】シール位置の高さ調整の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は水平方向であり、z方向は鉛直方向である。x方向は搬送部30によるワークWの搬送方向である。y方向は、搬送部30を構成するベルトコンベアのベルトの幅方向である。また、以下では説明の便宜上、z正方向側を上側、z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0011】
図1は、実施形態に係る包装装置1の概略構成を示す斜視図である。図1に示す包装装置1は、ロール状に巻かれたフィルム12(シート)を二つ折り状で引き出し、二つ折り状態のフィルムの間にワークW(被包装物)を入れ、L型シール部材40によってフィルム12の開口する三面を熱溶断して袋状に形成する。なお、包装装置1は、フィルム12に熱収縮性を有するものを適用し、熱収縮性フィルムを溶断して内部にワークWを収容する袋体を作製した後に、袋体を加熱して熱収縮させてワークWを密着包装する熱収縮包装を行うこともできる。
【0012】
なお、本実施形態では、包装装置1が用いるシートの一例としてプラスチックフィルムを例示するが、シートはこれに限られない。シートは、ワークWの立体形状にフィットするように変形可能となる程度に薄いものであればよい。シートには、プラスチックシートと、紙シートとが含まれる。本実施形態で例示するプラスチックフィルム12は、プラスチックシートの一例である。
【0013】
プラスチックフィルム12の種類として熱収縮性フィルムが挙げられる。プラスチックシート(フィルム)の材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(PA)、低密度ポリエチレン(LPDE)などが挙げられる。プラスチックフィルムの厚みは、例えば0.020mm~0.100mm程度である。本実施形態では、例えばLPDEで形成される厚さ0.030mmのフィルム12が用いられる。
【0014】
包装装置1は、搬送部30上を搬送されるワークWをフィルム12で包み、フィルム12の開口端を溶着・溶断して、密閉された袋体の内部にワークWを収容するものである。また、包装装置1は、フィルム12を溶着・溶断して作製した袋体Bの表面にラベル53を貼付する。
【0015】
包装装置1は、フィルム供給部10、フィルム反転開口部20、搬送部30、L型シール部材40、ラベル貼付部50、制御部60を備える。
【0016】
フィルム供給部10は、フィルム12をフィルム反転開口部20に供給する。フィルム供給部10には、二つ折りフィルム12を紙管等に巻いたロールフィルム11が水平に支持されて図示しない枠体などの固定部に設置され、ロールフィルム11とフィルム反転開口部20との間にはガイドローラ13が図示しない枠体上に設けられている。ロールフィルム11から引き出される二つ折りフィルム12は、ガイドローラ13を介してフィルム反転開口部20に達する。
【0017】
図1の例では、フィルム供給部10は、フィルム反転開口部20や搬送部30などに対して搬送方向下流側(x正方向側)からみて左側(y負方向側)に配置され、y正方向側にフィルム12を引き出すように配置されている。二つ折りフィルム12は、ロールフィルム11からフィルム反転開口部20までの区間では、幅方向(短手方向)の両端のうち、搬送方向の上流側(x負方向側)の端部12Aが二つ折りの折り部となっている。また、反対側(x正方向側)の端部12Bでは、二枚のフィルムが重なり、互いに繋がっていない状態となっている。
【0018】
フィルム反転開口部20は、フィルム供給部10から供給される二つ折り状のフィルム12の移動方向(長手方向)を搬送方向に変更する。フィルム反転開口部20は、略直角二等辺三角形状に形成される2枚の板状のフォーマー21を有する。2枚のフォーマー21は、上下方向に所定の間隔をとって対向配置されるように、図示しない枠体上に水平に固設される。各フォーマー21は、直角を挟む一辺21Aをコンベア幅方向に延在する底辺とし、直角を挟む他の一辺21Bをガイドローラ13に適宜間隔をもって対向させるように配置される。二つ折りにされたフィルム12は、フォーマー21の斜辺部21Cにおいて上下から内側に折り返されて断面がコ字状となり、90度方向が転換されてワークWの移送方向と同方向に供給されるようになる。
【0019】
フィルム反転開口部20において、二つ折りフィルム12の折り部側の端部12Aは、折り方向が反転されつつ、コンベア幅方向の両端のうち、搬送方向下流側(x正方向側)からみて左側(y負方向側)において搬送方向に延在するように移動方向が変更される。また、二つ折りフィルム12の重畳する2枚のフィルムは、フォーマー21によって上下方向(z方向)に所定距離を取るように離間される。これにより、搬送方向上流側(x負方向側)からみて2枚のフォーマー21の間に二つ折りフィルム12が上下方向に開口し、ワークWを二つ折りフィルム12の内部に導入可能となる。なお、フォーマー21に駆動手段を取り付け、ワークWの高さ(特に包装される物品の種類)によって、動的に高さ(すなわち2枚のフォーマー21の上下方向の距離)を変える構成としてもよい。
【0020】
搬送部30は、ワークWを搬送方向(x正方向)に搬送する。搬送部30は、例えば図1に示すように複数のベルトコンベアで構成され、送り位置調整コンベア31、供給コンベア32、溶断用コンベア33、ラベル貼り用コンベア34と、を有する。
【0021】
送り位置調整コンベア31は、前工程から導入されたワークWの幅方向位置を所定のワーク基準位置となるように調整する。
【0022】
供給コンベア32は、ワークWをフィルム反転開口部20の開口内に進入させて、ワークWを二つ折りにされたフィルム12の間に配置する。また、供給コンベア32は、L型シール部材40の作動にタイミングを合わせて間欠的に作動して、ワークWを送り出す。
【0023】
溶断用コンベア33は、L型シール部材40によりフィルム12の開口部を溶着・溶断されるワークWを受け、生成された袋体Bをラベル貼付部50に送り出す。
【0024】
ラベル貼り用コンベア34は、ラベル貼付部50においてラベル53が貼付される袋体Bを受け、ラベル53が貼付された袋体Bを後工程に送り出す。
【0025】
本実施形態では、搬送部30の各コンベア31~34は、例えば図1に示すように無端状のベルトが搬送面として駆動されるベルトコンベアである。搬送部30の各コンベア31~34には、チェーンやロールコンベア、スライドテーブル等を適用してもよい。また、搬送部30の各コンベア31~34の区分は図1の構成に限られず、例えば図1に示す複数のコンベアを1つに纏めてもよいし、さらに細分化してもよい。
【0026】
L型シール部材40は、平面視でL字状に形成される。L型シール部材40は、フィルム12の搬送方向下流側と、コンベア幅方向の開口端部とを溶着・溶断して、フィルム12によりワークWを密閉包装する袋体Bを形成する。L型シール部材40の構成については図2図5を参照して後述する。
【0027】
ラベル貼付部50は、袋体Bの表面にラベル53を貼付する。ラベル貼付部50は、例えばラベルプリンタ51とラベル受けベルト52とを有する。ラベルプリンタ51は、袋体Bの内部に収容されるワークWの種類等の各種情報に応じたラベル53を印刷して、印刷したラベル53を所定の貼り付け位置(ラベル貼り付け部分L)に貼り付ける。ラベル受けベルト52は、袋体Bのラベル貼付部分Lが載置され、ラベル貼り用コンベア34と同期して駆動する。
【0028】
また、搬送部30の溶断位置より上流側(送り位置調整コンベア31または供給コンベア32)には、ワークWの幅方向の大きさを検知する検知部35が設けられる。検知部35は、例えばベルトコンベアの幅方向に沿って配列されるラインセンサである。
【0029】
制御部60は、包装装置1の各要素の動作を制御する。特に本実施形態では、検知部35により検知されたワークWの大きさに応じて、袋体Bが適切なサイズとなるようにL型シール部材40の幅方向の溶断位置を調整する制御を行う。
【0030】
なお、制御部60は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)、通信モジュール、補助記憶装置、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。本実施形態に係る制御部60の各機能は、CPUやRAMなどに所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで各種ハードウェアを動作させると共に、RAMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0031】
図2は、L型シール部材40の概略構成を示す斜視図である。L型シール部材40は、上方に配置される可動部40Aと、下方に配置される固定部40Bとを備える。固定部40Bは、溶断用コンベア33に搬送されたワークWを包囲するフィルム12の溶断部分を受ける。固定部40Bは上下方向の移動が規制されている。可動部40Aは、図2に矢印Aで示すように、固定部40Bに対して上下方向に相対移動可能であり、可動部40Aとの距離を任意に変更できる。
【0032】
なお、上述のように2枚のフォーマー21の上下方向の距離を変える場合には、固定部40Bも上下方向に移動可能として、フォーマー21の距離に応じて可動部40Aと固定部40Bとの距離も変える構成としてもよい。
【0033】
可動部40Aの下端面には、後述するサイドシール41やエンドシール42が設けられており、可動部40Aと固定部40Bとの間にフィルム12が導入された状態で、可動部40Aが固定部40Bと接触することで、固定部40B上のフィルム12の部分をサイドシール41やエンドシール42により溶着・溶断することができる。
【0034】
サイドシール41(第1シール部)は、搬送方向(x方向)に延在し、フィルム12のy正方向側の片端を溶着・溶断する。エンドシール42(第2シール部)は、サイドシール41と直交する幅方向(y方向)に延在し、フィルム12の搬送方向の上流側の部分を溶断する。
【0035】
エンドシール42は、x方向及びy方向(水平方向)の移動が規制されており、搬送方向の所定の位置でフィルム12を溶着・溶断する。なお、溶断用コンベア33を搬送するフィルム12の下流側の先頭部分は、1つ前のワークWのフィルム溶断処理の際にエンドシール42により溶着・溶断されて、1つ前のワークが包装された袋体Bから離間された部分が下流側に搬送されたものである。したがって、エンドシール42は、1つの袋体Bに着目すれば、搬送方向の前後の部分を溶着・溶断することになる。エンドシール42によるこれらの溶断部分Dについては、図4の袋体B1に一点鎖線で示している。
【0036】
一方、サイドシール41は、図2に矢印Bで示すように、エンドシール42に対して幅方向に沿って移動可能である。
【0037】
図3は、小サイズのワークWの場合のL型シール部材40によるフィルム溶断を説明する図である。従来のL型シール部材では、L型の溶断位置が固定となっている。このため、溶断用コンベア33の幅方向に対してワークWの幅方向寸法が充分に小さい場合、ワークWに対して幅方向の溶断位置が離れ、袋体の余剰部分が多くなって適切なサイズでの包装を行えない状況が考えられる。これに対して本実施形態では、サイドシール41が幅方向に移動可能であるので、図3に矢印Cで示すように、小サイズのワークWの場合には、サイドシール41をy負方向側に移動させて、サイドシール41をワークWに充分に接近させた上でフィルム12の片端を溶断する。これにより、ワークWに対して袋体Bの余剰部分を低減することができる。
【0038】
図4は、ワークWのサイズに応じた溶断位置の違いを示す図である。ワークWのサイズが大きい場合の袋体B1は、幅方向の位置が最もy正方向側となっており、袋体B1も最も大きいサイズとなっている。一方、ワークWのサイズが小さい場合の袋体B2は、幅方向の位置が最もy負方向側となっており、袋体B2も最も小さいサイズとなっている。ワークWのサイズが中程度の場合の袋体B3は、幅方向の位置が大小の場合の中間の位置となっており、袋体B3も中間のサイズとなっている。
【0039】
図4には、サイドシール41による溶断部分Eを袋体B1に二点鎖線で示している。また、図4には、袋体B1、B2、B3を溶断した後のフィルム12の耳部(残余部分)12Cも図示されており、耳部12Cの形状をみても、幅方向の溶断位置が変更されていることがわかる。
【0040】
このようにエンドシール42を幅方向に移動可能とすることによって、ワークWの幅方向の大きさに応じて適切な位置でフィルム12を溶断することが可能となる。また、エンドシール42は水平方向の移動は規制されているが、ワークWの搬送方向の移動量を調整すれば、ワークWの搬送方向の大きさに応じて適切な位置でフィルム12を溶着・溶断することが可能である。したがって、本実施形態の包装装置1のL型シール部材40は、ワークWの大きさに応じた適切な寸法で包装が可能となる。
【0041】
また、図2などに示すように、サイドシール41は、溶着部43と溶断部44とを有する。溶着部43と溶断部44とは、共に搬送方向(x方向)に延在して設けられ、平行配置されている。溶断部44は、溶着部43よりフィルム12のy正方向側の片端側に配置される。溶断部44はフィルム12を溶断する。溶着部43は、フィルム12を溶着・溶着する。なお本実施形態では、「溶着」とは、対向する2枚のフィルム12を加熱により溶解させて固着させることを意味する。「溶断」とは、対向する2枚のフィルム12を加熱により溶解させて切断することを意味する。「溶着・溶断」とは、対向する2枚のフィルムを延在方向に沿って所定幅をもって溶着させると共に、溶着部分の所定幅内で延在方向に沿って切断することを意味する。「溶着・溶断」では、2枚のフィルム12の溶着によって内部空間の密封状態を維持しつつ、溶着部分より外側の余剰部分を切除することができる。
【0042】
「溶着」は「接合」の一例であり、「溶断」は「切断」の一例である。接合としては、熱による溶着の他に、接着剤による接着なども含まれる。切断としては、熱による溶断の他に刃やレーザ等による切断も含まれる。
【0043】
溶着部43によってフィルム12の溶着が確実に行われるのであれば、溶断部44は、溶着・溶断の代わりに溶断のみを行う構成でもよい。
【0044】
また、図3に示すように、固定部40Bのうちサイドシール41の溶着部43及び溶断部44を受ける受け部40B1は、サイドシール41と同様に幅方向に移動可能に構成される。サイドシール41が幅方向に移動する際には、この受け部40B1も、サイドシール41の移動に合わせて幅方向に移動し、溶着部43及び溶断部44を受ける状態を維持できる。
【0045】
このように溶着部43及び溶断部44を設けることにより、袋体Bのy正方向側の部分に、ワークWが収容される空間とは区分された矩形状の平面部分を形成できる。この平面部分は上述のラベル貼り付け部分Lとして活用できる。図4には、サイドシール41の溶断部44による溶断部分Eを袋体B1に二点鎖線で示し、溶着部43による溶着部分Fを袋体B1に点線で示している。
【0046】
また、溶着部43と溶断部44は、エンドシール42に対して幅方向(y方向)に沿って一体的に移動可能である。例えば図2図3に示すように、溶断位置を変更する場合にも、サイドシール41は、溶着部43と溶断部44とのy方向の距離を一定に保ったままの状態で移動する。
【0047】
この構成により、ワークWのサイズに応じて袋体Bの大きさを変更しても、図4に示すように、常に同一の幅でラベル貼り付け部分Lを形成することができる。ラベル貼り付け部分Lを同一幅にできると、ラベル貼付部50において同じサイズのラベル53を利用できるようになり、ラベルプリンタ51が作成するラベル53を袋体Bの大きさに応じて変更するような手間がかからないので、ラベル貼付部50の構成を簡略化できる。
【0048】
図5は、サイドシール41の移動構造の一例を示す図である。図5に示すように、L型シール部材40の可動部40Aは、電動スライダ45と、スライドテーブル46と、基部47と、一対のアーム部48、49とを有する。基部47は、エンドシール42と同様にy方向に延在する部材であり、下方(z負方向)にエンドシール42が設置される。電動スライダ45は、基部47のx正方向側の面に設置され、スライドテーブル46をy方向に摺動可能に連結する。スライドテーブル46は、電動スライダ45が出力する駆動力によりy方向に移動できるよう構成されている。
【0049】
スライドテーブル46には、一対のアーム部48、49がx正方向側に延在するように設置されている。アーム部48、49は、例えばy方向に主面をもつ板状部材であり、主面を対向して略平行に配置されている。電動スライダ45、スライドテーブル46、基部47、アーム部48、49は、可動部40Aの一部であり、図5に矢印Aで示すように、可動部40Aと一体的に上下方向に移動可能に構成される。
【0050】
アーム部48、49の下方(z負方向)には、それぞれサイドシール41の溶着部43及び溶断部44が固設されている。これにより、溶着部43及び溶断部44は、図5に矢印Bで示すように、電動スライダ45の駆動力でスライドテーブル46及びアーム部48、49と一体的にy方向に移動することによって、y方向の任意の位置に配置できるよう制御される。
【0051】
図6は、実施形態の包装装置1によるワークWの包装制御のフローチャートである。図6のフローチャートの各処理の主体となる包装装置1の各要素の動作の制御や、各要素との情報の送受信は、制御部60が実施する。
【0052】
ステップS01では、検知部35により、包装装置1より前工程から搬送部30に搬入されたワークWのワーク幅(y方向の寸法)が検出される。検知部35は、取得したワーク幅の情報を制御部60へ出力する。
【0053】
ステップS02では、送り位置調整コンベア31により、ワークWが幅方向の基準位置に調整される。基準位置とは、例えば図1に示すように、搬送部30のコンベアの幅方向において、y負方向側の端部から所定距離の位置である。これにより、二つ折りフィルム12の折り部側の端部12AからワークWのy負方向側の端部との距離が、ワークWの大きさによらず一定に保たれる。
【0054】
送り位置調整コンベア31によるワークWの位置決め手法は任意の手法を適用できる。例えば、送り位置調整コンベア31は、ワークWのy負方向側端部の位置や上記の基準位置を計測するセンサと、ワークWをy負方向側へ押圧してワークWの位置決めを行う位置決め機構とを有するよう構成できる。この構成では、センサの位置情報に基づき位置決め機構を作動させることによって、ワークWの幅方向の位置を調整できる。または、送り位置調整コンベア31として、ワークWの幅方向の位置を揃えることができる周知の整列コンベアを適用してもよい。または、送り位置調整コンベア31の搬送路上に、ワークWの幅方向位置を上記の基準位置に揃えることができるガイド部材を設置する構成でもよい。
【0055】
送り位置調整コンベア31は、位置調整が行われたワークWを供給コンベア32に搬送する。
【0056】
ステップS03では、供給コンベア32により、ワーク基準位置に位置決めされたワークWが、フィルム反転開口部20により開口された二つ折りフィルム12の間に導入され、溶断用コンベア33に搬送される。
【0057】
ステップS04では、溶断用コンベア33により、ワークWが溶断位置まで到達したか否かが判定される。溶断位置に到達していない場合(ステップS04のNo)には搬送が継続される。溶断位置に到達した場合(ステップS04のYes)にはステップS05に進む。
【0058】
ステップS05では、電動スライダ45及びスライドテーブル46により、ワーク幅に合わせてL型シール部材40のサイドシール41の幅方向位置が調整される。制御部60は、例えばステップS01にて検知部35が取得したワークWのワーク幅の情報に基づき、ワーク基準位置からy正方向側にワーク幅の距離を取られた位置を、ワークWのy正方向側の端部の位置と判断する。そして、この端部位置よりさらにy正方向側に、サイドシール41による溶着及び溶断位置が配置されるように、サイドシール41を移動させる。
【0059】
ステップS06では、L型シール部材40が下降されてフィルム12が溶着・溶断され、ワークWが内部に密封された袋体Bが形成される。溶断用コンベア33は、袋体Bをラベル貼り用コンベア34に搬送する。
【0060】
ステップS07では、ラベル貼付部50により、袋体Bのラベル貼り付け部分Lにラベル53が貼付される。ステップS07の処理が終了すると本制御フローは終了し、袋体Bに包装されたワークWは後工程に搬送される。
【0061】
ここで、本実施形態で用いるラベル53には、例えば、個々の包装体を識別するための情報が記載されている。ラベル53の具体的な構造は、例えばRFIDタグであり、RFIDタグのICチップに上述の情報が格納されている。また、「個々の包装体を識別するための情報」とは、例えば、包装物の中身、発送先、注文者を特定するための情報などを含む。
【0062】
このように本実施形態の包装装置1は、L型シール部材40のサイドシール41の移動を制御する制御部60と、ワークWの幅方向の大きさを検知する検知部35と、を備える。制御部60は、検知部35により検知されたワークWの大きさに応じてサイドシール41の幅方向の位置を調整する。
【0063】
この構成により、包装装置1の搬送部30に搬入される個々のワークWの幅方向寸法に合わせてL型シール部材40のサイドシール41の位置を自動調整することができるので、ワークWの大きさに応じた適切な寸法での包装を、より高精度かつ、より簡易に行うことができる。
【0064】
また、さまざまな種類や大きさの複数のワークWを混在させて搬送部30に連続的に流しても、包装装置1が自動的に各ワークWに応じた包装を行うことができるので、包装装置1の汎用性を向上できる。特に、多量の同一または複数種の物品を所定個数またはさまざまな個数ごとに小分けにして個別に包装するようなケースでは、ワークWの形状が比較的小さく、搬送方向と幅方向の両方で包装のサイズを任意に変更できるとより適切なサイズで包装可能となるため、本実施形態の包装装置1の適用は特に有効である。
【0065】
また、複数個の小さなワークを1つの袋体Bで包装(梱包)する場合に、包装の隙間が大きいと、輸送中に内部のワーク同士が衝突してワークの破損が生じてしまう虞があるため、包装の最適化を行えるのが好ましい。本実施形態では、サイドシール41の幅方向の位置を適宜調整することによって、1つの袋体Bに収容される複数のワーク同士の相対的な位置関係が搬送中にずれないような包装を行うことが可能となり、これによりワークWに応じて包装の最適化を行うことができる。
【0066】
また、一般的な流通システムでは、例えば小サイズ、中サイズ、大サイズなどの様々なサイズの商品を共通ラインから個々のサイズごとの搬送ラインに仕分けして、各搬送ラインでは商品のサイズや個数に応じて個別に包装を行う構成がとられる場合がある。従来のサイドシール41の幅方向の位置調整ができないタイプの包装装置では、このような流通システムに適用しようとする場合には、各搬送ラインの商品のサイズなどに基づき、当該搬送ラインに設置される各包装装置ごとに幅方向のシール位置が異なるL型シール部材を予め設置する必要がある。しかし本実施形態では、これらの複数の搬送ラインにそれぞれ同一の包装装置1を適用すれば、各搬送ラインの商品のサイズなどに基づきL型シール部材40のサイドシール41の幅方向位置を適宜調整することで、部品交換などの事前作業なしで各ラインに適切な包装を行うことが可能である。このように単一の搬送装置1によって多品種の物品を個包装できるという利点は、流通用途に最適であるといえる。
【0067】
なお、本実施形態では、図6のフローチャートのステップS01、S05に示したように、制御部60が、検知部35により検知されたワークWのワーク幅の大きさに応じて、袋体Bが適切なサイズとなるようにL型シール部材40の幅方向の溶断位置を調整する制御を行う構成を例示した。しかし、L型シール部材40の幅方向の溶断位置を適宜調整できればよく、実現手法はこの制御には限られない。例えば、制御部60が、包装装置1を含む搬送システム全体を管理する管理装置などの上位の装置から予め幅方向位置に関する情報を取得し、この取得した情報に基づいてワークWが溶断位置に到達する前に予めL型シール部材40の幅方向の位置調整を行う構成でもよい。
【0068】
同様に、本実施形態では、図6のフローチャートのステップS04に示したように、制御部60が、ワークWが溶断位置まで到達したことを確認した後に溶断を行う構成を例示したが、溶断の実施タイミングはこれに限られない。例えば、制御部60が、上記の管理装置などの上位の装置から予め送り量の情報を取得し、この取得した送り量の情報に基づいて、コンベアが所定の送り量だけワークWを移動させることで、自動的に溶断位置にワークWが送られる構成でもよい。この場合、ワークWの有無を検知することなくコンベアが所定量動作したことに応じて溶断が実施される。
【0069】
また、ワークWの上下方向の厚さに応じてL型シール部材40のシール位置の高さを調整する構成としてもよい。図7は、シール位置の高さ調整の例を示す図である。図7の(A)はワークW1の上下方向の厚さが小さい(薄い)場合の高さ位置を示し、図7の(B)はワークW2の上下方向の厚さが大きい(厚い)場合の高さ位置を示す。
【0070】
この場合、L型シール部材40の固定部40Bは、可動部40Aと同様に上下方向に移動可能な構成となる。ワークW1、W2のシール位置S1、S2は、ワークW1、W2の上下方向の厚さの約半分の高さに設定できる。制御部60は、例えば上述の管理装置などの上位の装置から予めシール位置S1、S2の高さの情報を取得する。または、制御部60は、コンベア上を移動するワークWの上下方向の厚さをセンサ等により計測し、計測した厚さの情報に基づきシール位置S1、S2を算出する構成でもよい。そして、制御部60は、取得または算出したシール位置S1、S2の高さに、L型シール部材40の固定部40Bを移動させる。
【0071】
図7(A)に示すように、薄いワークW1の場合には、固定部40Bの高さ位置はコンベア搬送面に近い位置となり、シール位置S1は相対的に低く設定される。一方、図7(B)に示すように、厚いワークW2の場合には、固定部40Bの高さ位置はコンベア搬送面から上方に離れる位置となり、シール位置S2は相対的に高く設定される。
【0072】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0073】
上記実施形態では、サイドシール41の溶着部43と溶断部44は、エンドシール42に対して幅方向(y方向)に沿って一体的に移動可能である構成を例示したが、エンドシール42に対して幅方向に沿って個別に移動可能である構成でもよい。これにより、袋体Bのy正方向側に設けるラベル貼り付け部分Lの幅寸法を任意のサイズにできるので、包装装置1の汎用性を向上できる。
【0074】
また、上記実施形態では、サイドシール41は、フィルム12を溶着する溶着部43と、フィルム12を溶断する溶断部44とを有する構成を例示したが、いずれか一方のみを備える構成でもよい。つまり、サイドシール41はフィルム12を溶着または溶断する構成であればよい。
【符号の説明】
【0075】
1 包装装置
12 フィルム(シート)
35 検知部
40 L型シール部材
41 サイドシール(第1シール部)
42 エンドシール(第2シール部)
43 溶着部
44 溶断部
60 制御部
W ワーク(被包装物)
B 袋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7