(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081202
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
A63F7/02 311B
A63F7/02 312Z
A63F7/02 317
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192599
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】森本 陽児
(72)【発明者】
【氏名】若林 貴之
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA82
2C088EB76
(57)【要約】
【課題】遊技球を確実に停留部に停留させることができる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機は、下センター飾りを備える。下センター飾りは、遊技球が転動可能な転動面281を有する下センターステージ28を備える。転動面281の外周には、周壁50が立設される。周壁50の前部中央には、遊技球が通過可能な開口55が開口する。周壁50の前部には、停留部60が設けられる。停留部60は、開口55と連通し、開口55を介して転動面281から内側に進入した遊技球を収容して停留させる。停留部60の底面61は、開口55の下部(転動面281の前端部)よりも低く設けられる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域が形成された遊技盤と、前記遊技領域に設けられる役物装置とを備える遊技機において、
前記役物装置は、
前記遊技球が転動可能な転動面と、
前記転動面の外周から立設される周壁と、
前記周壁に設けられ、前記遊技球が通過可能な開口部と、
前記開口部と連通し、前記開口部を通過した前記遊技球を内部に収容して停留させる停留部とを備え、
前記停留部の底部は、前記開口部の下部よりも低いことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記停留部の底部は、前記転動面の中心から前記停留部に向かう所定方向に対して下方に傾斜することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記停留部は、前記停留部の底部の前記所定方向側の端部から立設する壁部に前記遊技球が前記停留部に停留していることを検知する近接センサを備えることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記転動面の中心から前記停留部に向かう所定方向と直交する方向において、前記開口部の大きさは、前記停留部より小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記停留部の底部には、前記転動面の中心から前記停留部に向かう所定方向と平行に延び、前記所定方向と直交する方向の長さが前記遊技球の径よりも小さいスリットが設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記停留部の底部よりも下方に設けられ、前記停留部から前記転動面の中心に向かう方向に向かうほど下方に傾斜する押上部材と、
前記押上部材に対して前記スリットを介して前記停留部の底部よりも上方に移動させる駆動部とを備えることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技球を受け止め、停留させることで遊技性を向上させた遊技機が知られている。例えば、特許文献1に開示される遊技機は、回転体およびリング部材で構成される停留部を備えている。回転体には、1個の遊技球を収容し得る大きさの正面略U字状の球受け部が形成されている。回転体は、電動モータの駆動により回転する。リング部材は、回転体の上方に配置される。リング部材は、遊技球よりも若干大径の孔を有する。電動モータは、回転体を「基準位置」で停止させる。基準位置では、球受け部の開放端が下
方を向く。回転体は、球受け部の開放端がリング部材と対向していないとき、そのリング部材内の遊技球を受け止め、停留させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-267281号公報
【特許文献2】特開2018-000469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、特許文献2に開示される遊技機は、中心部に向けて窪んだ擂鉢状のクルーンと、クルーンの中心部に複数の羽根状の突起物を有する回転バンパーとが設けられる下側振分機構を備える。ここで、特許文献2に記載される遊技機に対して、クルーンから排出された遊技球を停留部に停留させた後、再度クルーンに戻す遊技性を付加することが考えられる。このような場合、下側振分機構内で遊技球を停留させる空間は限られるので、クルーンから排出された遊技球を停留させることが困難である。
【0005】
本発明は、遊技球を確実に停留部に停留させることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る遊技機は、遊技球が流下可能な遊技領域が形成された遊技盤と、前記遊技領域に設けられる役物装置とを備える遊技機において、前記役物装置は、前記遊技球が転動可能な転動面と、前記転動面の外周から立設される周壁と、前記周壁に設けられ、前記遊技球が通過可能な開口部と、前記開口部と連通し、前記開口部を通過した前記遊技球を内部に収容して停留させる停留部とを備え、前記停留部の底部は、前記開口部の下部よりも低いことを特徴とする。
【0007】
上記態様によれば、開口部を通過した遊技球は、開口部よりも低い位置に設けられる停留部の底部を転動する。よって、遊技機は、遊技球を確実に停留させることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る遊技機において、前記停留部の底部は、前記転動面の中心から前記停留部に向かう所定方向に対して下方に傾斜してもよい。上記の遊技機において、停留部の底部は、転動面から離隔する方向である所定方向に対して下方に傾斜する。これにより、開口部を通過した遊技球は、停留部の底部を所定方向に転動し、停留部に停留しやすい。よって、遊技機は、遊技球を確実に停留部に停留させることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る遊技機において、前記停留部は、前記停留部の底部の前記所定方向側の端部から立設する壁部に前記遊技球が前記停留部に停留していることを検知する近接センサを備えてもよい。上記の遊技機において、遊技球が停留部の底部を所定方向に転動するので、停留部の壁部に設けられる近接センサは、確実に遊技球を検知することができる。これにより、遊技機は、遊技球が停留部に停留したことを契機とした制御を確実に行うことができる。
【0010】
本発明の一態様に係る遊技機において、前記転動面の中心から前記停留部に向かう所定方向と直交する方向において、前記開口部の大きさは、前記停留部より小さくてもよい。上記の遊技機では、所定方向と直交する方向において、開口部の大きさは遊技球が停留部の大きさよりも小さい。よって、遊技機は、停留部に入った遊技球を確実に停留部で停留させることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る遊技機において、前記停留部の底部には、前記転動面の中心から前記停留部に向かう所定方向と平行に延び、前記所定方向と直交する方向の長さが前記遊技球の径よりも小さいスリットが設けられてもよい。上記の遊技機において、スリットは所定方向に延び、所定方向と直交する方向の大きさが遊技球の径よりも小さい。これにより、停留部の底部を転動する遊技球は、スリットに案内されて転動し、スリット上で停留しやすい。よって、遊技機は、停留部に入った遊技球を予め決められた位置に停留させることができる。
【0012】
本発明の一態様に係る遊技機は、前記停留部の底部よりも下方に設けられ、前記停留部から前記転動面の中心に向かう方向に向かうほど下方に傾斜する押上部材と、前記押上部材に対して前記スリットを介して前記停留部の底部よりも上方に移動させる駆動部とを備えてもよい。上記の遊技機において、停留部のスリット上で停留する遊技球を押上部材が押し上げる。押上部材には所定方向と逆方向の傾斜が設けられるので、遊技球は所定方向と逆方向に転動して転動面に戻る。よって、遊技機は、停留部に停留する遊技球を簡単な構成で転動面に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】下センター飾り22の正面図(通路291~293等を図示)である。
【
図4】下センター飾り22の正面図(停留解除機構27等を図示)である。
【
図10】
図7におけるA-A線断面を示す図である。
【
図11】
図10から開放ソレノイド86が駆動した場合を示す図である。
【
図12】下センターステージ28上における遊技球Kの動き(1)と(2)を示す図である。
【
図13】下センターステージ28上における遊技球Kの動き(3)と(4)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下説明は、
図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、夫々、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
図1に示すパチンコ機1は所謂2種タイプ(羽根物タイプ)の遊技機である。2種タイプの遊技機とは、大入賞口へ入賞した遊技球が大入賞口の内部に設けられた特定の領域を通過することを契機として大当たり遊技を実行する遊技機をいう。
【0015】
図1,
図2を参照し、パチンコ機1の機械的構成を説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられる。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(
図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護される。前面枠10には、ガラス板を取り囲むように各種の電飾ランプが設けられる。電飾ランプの内部には、LED等を搭載した電飾基板(図示略)が設けられる。電飾ランプは、遊技の進行等に応じて点灯又は点滅する。遊技盤2の下部には上皿5が設けられる。上皿5は、遊技球発射装置(図示略)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられる。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられる。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられる。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられ、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置により遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の両角部には、スピーカ48が夫々設けられる。
【0016】
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成される。ガイドレール3は、遊技領域4の左側から上側にかけて円弧上に形成される。遊技領域4の上部略中央には、上センター飾り21が設けられる。遊技球発射装置によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、上センター飾り21の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、上センター飾り21の右側を流下する。以下説明は、遊技球が上センター飾り21の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と呼び、遊技球が上センター飾り21の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」と呼ぶ。
【0017】
図2に示すように、上センター飾り21は、演出図柄表示部38、ワープ通路211、転動部213、第一始動口12を主に備える。演出図柄表示部38は、上センター飾り21の上部略中央に配置される。演出図柄表示部38は、三つの大型の7セグメントLEDを用いて構成され、様々な数字、文字、記号等を表示できる。演出図柄表示部38は、報知演出を実行可能である。報知演出は、三つの大型の7セグメントLEDを用いて、演出用の図柄である演出図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示させることで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
【0018】
ワープ通路211は、演出図柄表示部38の左側に設けられる。ワープ通路211は、入口部211Aを左上部に備える。入口部211Aは、一般に「飛び込み」と呼ばれる遊技球の入口である入口部211Aの周囲の遊技くぎ等の配置によって、入口部211Aへの入球が容易に行われないように構成される。
【0019】
転動部213は、ワープ通路211の右下方に設けられる。転動部213は、平面視で略長方形の上側が開口する皿状であり、遊技球が転動可能な凹部を内側に備える。転動部213の底部略中央には、孔213Aが設けられる。孔213Aは、転動部213から下方へ遊技球を排出する。
【0020】
第一始動口12は、上センター飾り21の下部略中央に配置される入賞口である。第一始動口12は、後述の第一特別図柄の始動口として機能する。ワープ通路211の入口部211Aから入球し、転動部213の孔213Aから排出された遊技球の一部が、第一始動口12へ入賞する。孔213Aから排出されたが第一始動口12へ入賞しない遊技球は、上センター飾り21の下方に排出されて遊技領域4に戻る。
【0021】
上センター飾り21の下方、すなわち、遊技領域4の下部略中央には、下センター飾り22が設けられる。下センター飾り22の詳細な説明は後述するが、下センター飾り22の上部には、第一大入賞口16が設けられる。第一大入賞口16は、特別電動役物(大当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変更する役物)に係る入賞口である。
【0022】
第一大入賞口16は、シャッター161を備える。シャッター161は、正面視下側に開く略V字状の板部材である。シャッター161は、前後方向に所定の長さで延び、閉鎖状態と開放状態を夫々形成する。閉鎖状態とは、遊技盤2よりも前方に突出することで第一大入賞口16へ遊技球が入賞できない状態をいい、開放状態とは、遊技盤2よりも後方に退避することで第一大入賞口16へ遊技球が入賞できる状態をいう。
【0023】
下センター飾り22の右上方には、特別電動役物である第二大入賞口17が設けられる。第二大入賞口17は、シャッター171を備える。シャッター171は、左右方向に長手方向を有し、前後方向に所定の長さで延びる略平板状である。シャッター171は、閉鎖状態と開放状態を夫々形成する。閉鎖状態とは、遊技盤2よりも前方に突出することで第二大入賞口17へ遊技球が入賞できない状態をいい、開放状態とは、遊技盤2よりも後方に退避することで第二大入賞口17へ遊技球が入賞できる状態をいう。
【0024】
第二大入賞口17の下方には、遊技球が通過可能なゲート11が設けられる。ゲート11は、後述の普通図柄の作動ゲートである。ゲート11の下方には、第二始動口13が設けられる。第二始動口13は、普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変更する役物)に係る入賞口である。第二始動口13は、後述の第二特別図柄の始動口として機能する。第二始動口13は、シャッター131を備える。シャッター131は、左右方向においてシャッター171よりも短い略平板状である。シャッター131は、閉鎖状態と開放状態を夫々形成する。閉鎖状態とは、遊技盤2よりも前方に突出することで第二始動口13へ遊技球が入賞できない状態をいい、開放状態とは、遊技盤2よりも後方に退避することで第二始動口13へ遊技球が入賞できる状態をいう。
【0025】
シャッター131,161,171は、第二始動口ソレノイド(図示略)、第一大入賞口ソレノイド18、第二大入賞口ソレノイド(図示略)の夫々の駆動によって、電気的に開放状態又は閉鎖状態にされる。遊技球は、シャッター131,161,171が開放状態にある場合にのみ、第二始動口13、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の夫々に入賞できる。
【0026】
遊技領域4には、上記以外に、アウト口29、各種の電飾部材、その他の入賞口及び遊技くぎ等が設けられる。アウト口29は、遊技盤2の下部に設けられる。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口12、第二始動口13、大入賞口及びその他の入賞口の何れにも入賞せず、遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口29を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
【0027】
なお、遊技領域4において、各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも、第一始動口12へ入賞し易い。右打ちされた遊技球が第一始動口12へ入賞することは困難である。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりも、ゲート11、第二始動口13及び第二大入賞口17を通過又は入賞しやすい。左打ちされた遊技球がゲート11、第二始動口13及び第二大入賞口17を通過又は入賞することは困難である。なお、第一大入賞口16には、左打ちされた遊技球及び右打ちされた遊技球の何れも入賞できる。
【0028】
遊技盤2の左下部には、図柄表示部24が設けられる。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部等を備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、夫々複数個のLEDからなり、第一大当たり判定の結果を示す第一特別図柄、及び第二大当たり判定の結果を示す第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定及び第二大当たり判定を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。
【0029】
図2を参照し、パチンコ機1の遊技概要を説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技、小当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられる。大当たり遊技は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動することにより実行される。条件装置とは、役物連続作動装置が作動する為の条件となる装置である。役物連続作動装置とは、大入賞口が連続して作動する大当たり遊技状態を生起させる為の装置である。本実施形態では、条件装置が作動した場合に役物連続作動装置が作動する。パチンコ機1において、条件装置は、遊技球が大入賞口の内部の特定の領域を通過した場合に作動する。本実施形態の特定の領域は、第一大入賞口16の内部の特定領域291A(
図3参照)である。以下説明は、条件装置及び役物連続作動装置が作動している状態(大当たり遊技が行われている状態)を、大当たり遊技状態という。
【0030】
パチンコ機1は、第一始動口12へ遊技球が入賞することを契機として、第一大当たり判定を行う。第一大当たり判定では、小当たり又ははずれの判定結果が、第一大当たり乱数に基づいて導出される。第一大当たり判定において小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す第一特別図柄が、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示される。その後、下センター飾り22において、小当たり遊技が実行される。小当たり遊技では、第一大入賞口16のシャッター161が予め定められた開閉動作パターンに基づく開閉動作が行われることによって第一大入賞口16が開放状態になる。大当たり判定によって小当たりであると判定された段階では、条件装置は作動せず、役物連続作動装置も作動しない。小当たり遊技では、第一大入賞口16が開閉動作パターンに応じて1回の開閉動作を行う。小当たり遊技において、大入賞口が複数回の開閉動作を行うことはない。なお、小当たり遊技における大入賞口の1回の開閉動作が、一つの大入賞口の開放状態を複数回用いて構成されることは妨げられない。
【0031】
本実施形態の小当たり遊技では、下センター飾り22において後述のVチャレンジ演出が実行される。Vチャレンジ演出において、開放状態になった第一大入賞口16に遊技球が入賞し、特定領域291Aを通過すると、条件装置が作動する。条件装置の作動に伴い、役物連続作動装置が作動すると、大当たり遊技状態が生起され、大入賞口が複数回数の開閉動作を行う大当たり遊技が、小当たり遊技に引き続いて実行される。パチンコ機1では、第二大入賞口17が予め定められた開閉動作パターンに基づく開閉動作を行うことによって、大当たり遊技が実行される。なお、第一大入賞口16に入賞した遊技球が特定領域291Aを通過しない場合、大当たり遊技状態が生起されず、遊技は小当たり遊技が行われる前の状態に戻る。
【0032】
また、パチンコ機1は、遊技球がゲート11を通過することを契機として、普通当たり判定を行う。普通当たり判定では、普通当たり又ははずれの判定結果が、普通当たり乱数に基づいて導出される。普通当たり判定において普通当たりであると判定されると、判定結果が普通当たりであることを示す普通図柄が、図柄表示部24の普通図柄表示部に確定表示される。その後、第二始動口13のシャッター131が予め定められた開閉動作パターンに基づく開閉動作を行うことによって第二始動口13が開放状態になる普通当たり遊技が実行される。
【0033】
パチンコ機1は、右打ちされた遊技球が第二始動口13へ入賞することを契機として、第二大当たり判定を行う。第二大当たり判定では、小当たり又ははずれの判定結果が、第二大当たり乱数に基づいて導出される。第二大当たり判定において小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に確定表示される。その後、小当たり遊技が実行される。小当たり遊技において開放状態になった第一大入賞口16に遊技球が入賞し、入賞した遊技球が特定領域291Aを通過すると、前述の大当たり遊技状態が生起され、小当たり遊技に引き続いて大当たり遊技が実行される。
【0034】
図3~
図7を参照し、下センター飾り22の具体的構造を説明する。
図3~
図5に示すように、下センター飾り22は、本体23(
図5参照)と枠状板31を備える。本体23は、前面が開口する透明の樹脂で形成された筐体である。枠状板31は正面視前後方向に貫通する枠状に形成され、本体23の前面側に固定される。
図3,
図4に示すように、枠状板31は、前飾り部32、第一大入賞口16、シャッター161、第一大入賞口ソレノイド18、演出用表示部39等を備える。
【0035】
前飾り部32は、枠状板31の前面側に固定される。前飾り部32は、内部に発光可能な電飾部材(図示略)を備える。前飾り部32は透光性の部材で形成され、遊技者は前飾り部32を介して電飾部材の発光を視認できる。第一大入賞口16は、枠状板31の上部に設けられ、上方に向けて開口する。シャッター161は、枠状板31の上部で且つ第一大入賞口16の直上に設けられ、前方に向けて出退可能に設けられる。第一大入賞口ソレノイド18は、枠状板31の上部で且つシャッター161の後側に設けられ、シャッター161を出退させる。演出用表示部39は、前飾り部32の前面の上部中央に設けられる。演出用表示部39は、二つの中型の7セグメントLEDを用いて構成され、後述のVチャレンジ演出において、様々な数字、文字、記号等を表示する。
【0036】
本体23は、通路162,163、貯留装置25、下センターステージ28、停留解除機構27、通路291~293、特定領域291A、非特定領域292A,293A、回転役物26、モータ85等を備える。
【0037】
通路162は、第一大入賞口16から左斜め下方に延びる。通路163は、通路162の下流側端部に接続し、本体23内の左側を下方に延び、後述の通路292に接続する。貯留装置25は、本体23内の左上部に設けられ、通路163を流れる遊技球を一つ停留させ、所定のタイミングで後述の下センターステージ28上に放出する。
【0038】
図6~
図8に示すように、下センターステージ28は、本体23内の略中段に設けられる。下センターステージ28は、転動面281と排出路282を備える。転動面281は、平面視左右方向に長い略楕円状に形成される。転動面281は、遊技領域4の左右方向の中央部に設けられる。排出路282は、平面視横長の略リング状に形成され、転動面281の外周を取り囲むようにして設けられる。排出路282は、転動面281よりも低く設けられる。排出路282の左前部には孔283が設けられ、右前部には孔284が設けられる。転動面281は、外周部から中央に向かって緩やかに傾斜する。転動面281の中央には、遊技球が入球可能な円形の開口部287が設けられる。開口部287には、後述の通路291が接続される。
【0039】
転動面281の外周には、周壁50が立設される。周壁50は、壁部50A~50Eを備える。壁部50Aは、転動面281の外周の内、左端部から立設する。壁部50Bは、転動面281の外周の内、後端部から立設する。壁部50Cは、転動面281の外周の内、左前端部から立設する。壁部50Dは、転動面281の外周の内、右前端部から立設する。壁部50Eは、転動面281の外周の内、右端部から立設する。
【0040】
壁部50Aと壁部50Bとは、排出口51を挟んで対向する。壁部50Aと壁部50Cとは、排出口52を挟んで対向する。壁部50Dと壁部50Eとは、排出口53を挟んで対向する。壁部50Bと壁部50Eとは、排出口54を挟んで対向する。壁部50Cと壁部50Dとは、開口55を挟んで対向する。すなわち、排出口51は周壁50の左後部、排出口52は周壁50の左前部、排出口53は周壁50の右前部、排出口54は周壁50の右後部、開口55は周壁50の前部中央を開口する。排出口51~54および開口55は、何れも遊技球が通過可能な幅を有する。
【0041】
図7に示すように、排出口51と排出口53とは、転動面281の中心Oを挟んで互いに点対称の位置に設けられる。本実施形態における転動面281の中心Oとは、転動面281の幾何学的中心となる位置である。同様に、排出口52と排出口54とは、転動面281の中心Oを挟んで互いに点対称の位置に設けられる。壁部50Aおよび壁部50Bのそれぞれの排出口51側の端面は、中心Oを通過して排出口51と排出口53とを結ぶ仮想線L1に対して平行である。壁部50Aおよび壁部50Cのそれぞれの排出口52側の端面52A,52B(
図8参照)は、中心Oを通過して排出口52と排出口54とを結ぶ仮想線L2に対して平行である。壁部50Dおよび壁部50Eのそれぞれの排出口53側の端面は、仮想線L1に対して平行である。壁部50Bおよび壁部50Eのそれぞれの排出口54側の端面は、仮想線L2に対して平行である。
【0042】
図8に示すように、排出口52を間にして対向する壁部50Aおよび壁部50Cの互いの前端を結んだ幅はW1であり、遊技球は幅W1となる排出口52を通過する。ここで、遊技機の正面にいる遊技者から排出口52を視ると、壁部50Aの排出口52側の端面52Aは遊技者に視認されるが、壁部50Cの排出口52側の端面52Bは遊技者に視認されない。このため、遊技者は排出口52の幅を、視認した端面52Aの左右方向の長さの分だけ幅が狭いW2であると錯覚する。排出口51,53,54についても同様に、遊技者は、実際に遊技球が排出口51,53,54を通過する幅よりも、排出口51,53,54の幅が狭いように錯覚する。
【0043】
図6,
図7に示すように、停留部60は、周壁50の前部に設けられ、開口55と連通する。停留部60は、平面視後方に向けて開口する略U字状に形成される。左右方向において、開口55の幅は、停留部60の幅よりも小さい。停留部60は、開口55を介して転動面281から内側に進入した遊技球を収容して停留させる。
【0044】
停留部60の底面61は、手前側(前方)に向けて下り傾斜する。底面61は、開口55の下部(転動面281の前端部)よりも低く設けられる。すなわち、停留部60は、転動面281との境界に段差63を有する。底面61の左右方向の中央部には、開口55に向けて平面視前後方向に延びるスリット62が設けられる。スリット62の左右方向の幅は、遊技球の径よりも小さい。スリット62の直下には、後述する停留解除機構27(
図4参照)が設けられる。
【0045】
底面61の前端部を除く外周には、壁部56が立設される。壁部56は、壁部56A~56Cからなる。壁部56Aは、底面61の外周の内、前端部から立設する。壁部56Bは、底面61の外周の内、左端部から立設する。壁部56Cは、底面61の外周の内、右端部から立設する。壁部56Aには、停留確認スイッチ35が設けられる。停留確認スイッチ35は、停留部60に遊技球が停留したことを検出する近接センサである。停留確認スイッチ35は、停留確認スイッチ35から4mm以内にある遊技球を検出する。壁部56Bの後端部は壁部50Cの前端部と接続し、壁部56Cの後端部は壁部50Dの前端部と接続する。
【0046】
図9に示すように、停留解除機構27は、開放ソレノイド86、解除レバー271を備える。開放ソレノイド86は、バネ86Aとプランジャ86Bを備える。バネ86Aは、圧縮コイルバネであり、開放ソレノイド86の下部に設けられる。プランジャ86Bは、下方に突出する棒状部材であり、バネ86Aから下方に常時付勢される。
【0047】
解除レバー271は、延出部271A、押上部271Bを備える。延出部271Aは、右方に延びた後、上方に延びる。延出部271Aの右端部は、プランジャ86Bと連結する。延出部271Aには、左右方向に貫通する孔271C,271Dが設けられる。孔271Cは延出部271Aの上部、孔271Dは延出部271Aの上下方向の略中央部に設けられる。孔271C,271Dには、本体23内を左右方向に延びる軸231,232(
図10,
図11参照)がそれぞれ挿通される。押上部271Bは、延出部271Aの上端から上方に延びる棒状部材である。押上部271Bは、スリット62の直下に位置する。押上部271Bの上面は、奥側(後方)に向けて下り傾斜する。
【0048】
図10に示すように、開放ソレノイド86に通電されていない状態で、解除レバー271は、スリット62の直下に位置する。この状態で、遊技球が停留部60に進入すると、遊技球はスリット62に案内されて、スリット62の直上(すなわち、解除レバー271の直上)に停留する。
【0049】
開放ソレノイド86に通電されると、プランジャ86Bはバネ86Aの付勢力に抗して上方に引き付けられる。プランジャ86Bが上方に引き付けられると、解除レバー271が持ち上がる(
図9参照)。
図11に示すように、押上部271Bは、スリット62から上方に突出して停留部60に停留する遊技球を押し上げる。プランジャ86Bが移動完了すると、押上部271Bの上面は段差63の上端(転動面281の前端)よりも高い位置にある。押上部271Bの上面が奥側に向けて下り傾斜するので、遊技球は開口55を介して転動面281上に放出される。このように、停留解除機構27は、停留部60における遊技球の停留が解除する。
【0050】
図3に示すように、通路291は開口部287から下方に延び、本体23の底壁部に設けられた下排出口291Bと連通する。通路292は、排出路282の孔283(
図7参照)から下方に延び、本体23の左壁の下部に設けられた左排出口292Bと連通する。通路293は、排出路282の孔284(
図7参照)から下方に延び、本体23の右壁の下部に設けられた右排出口293Bと連通する。通路291には、特定領域291Aが設けられる。通路292には、非特定領域292Aが設けられる。通路293には、非特定領域293Aが設けられる。
【0051】
図3,
図4,
図6に示すように、回転役物26は、転動面281の開口部287の中央に設けられ、上下方向に延びる回転軸263を中心に回転可能に支持される。回転軸263の上端部には、V字状に装飾されたV字部269が設けられる。回転軸263の中間部には、複数の羽根を有する羽根部材265が設けられる。V字部269と羽根部材265は、回転軸263と一体して回転する。モータ85は、下センターステージ28の下方に設けられる。モータ85は、ギヤ(図示略)を介して回転役物26と連結し、回転役物26を回転駆動する。
【0052】
図3,
図12,
図13を参照し、下センター飾り22におけるVチャレンジ演出を説明する。
図3に示すように、下センター飾り22において、小当たり遊技でVチャレンジ演出が実行されると、開放状態になった第一大入賞口16に遊技球が入賞し、そのうちの一個の遊技球が貯留装置25に貯留される。その後、回転役物26が平面視時計回り方向に所定時間回転する。
【0053】
図12(1)に示すように、回転役物26の回転開始後、貯留装置25は所定のタイミングで、遊技球Kを下センターステージ28の転動面281上に放出する。遊技球Kは、開口部287に向けて転動するが、回転する羽根部材265によって開口部287の外方に弾き飛ばされる。回転する羽根部材265は、遊技球Kと接触する位置と角度によって、転動面281上における遊技球Kの球経路に変化を与える。外方に弾き飛ばされた遊技球Kは、周壁50に衝突した場合は、移動する方向を変えて再度転動面281上を転動し、開口部287に近づけば、羽根部材265によって再度外方に弾き出される。
【0054】
遊技球Kが排出口51~54の何れかを介して転動面281から排出路282上に落下した場合、遊技球Kは排出路282に設けられた孔283,284の何れかに落下する。
図3に示すように、孔283を落下した場合、遊技球Kは通路292及び非特定領域292Aを通過し、左排出口292Bから本体23外へ排出される。孔284を落下した場合、遊技球Kは通路293及び非特定領域293Aを通過し、右排出口293Bから本体23外へ排出される。
【0055】
図12(2)に示すように、遊技球Kが開口55を介して停留部60に進入した場合、停留部60の底面61が開口55の下部よりも低く設けられるので、遊技球Kは停留部60に停留する。停留部60に進入した遊技球は、底面61が手前側に下り傾斜しているので、遊技球Kは壁部56Aに近接して停留する。停留確認スイッチ35は、壁部56Aに近接して停留する遊技球Kを検出する。また、底面61を転動する遊技球は、スリット62に案内されて、スリット62の直上に停留する。
【0056】
遊技球Kが停留部60に停留する間、転動面281上において、羽根部材265により弾き出されないので、排出口51~54から排出路282に排出されることがなく、遊技者にとって有利な状態となる。パチンコ機1を制御する制御部(図示略)は、停留確認スイッチ35が遊技球を検出したことを契機に、前飾り部32の電飾部材の発光とスピーカ48から音声を発する演出を実行する。遊技者は、停留部60に停留する遊技球Kと、制御部が実行する演出とを確認することにより、遊技に対する興趣が高まる。
【0057】
その後、所定のタイミングで、停留解除機構27(
図9参照)が駆動し、解除レバー271が持ち上がる。解除レバー271の押上部271Bは、スリット62を介して停留部60に停留する遊技球Kを押し上げる。
【0058】
図13(3)に示すように、押上部271Bにより押し上げられた遊技球Kは、押上部271Bが奥側に下り傾斜しているので、下センターステージ28の転動面281上に排出される。停留部60における遊技球の停留が解除され、遊技球Kは転動面281上を再び転動し、回転役物26の羽根部材265によって開口部287の外側に弾き出される。
【0059】
図13(4)に示すように、回転役物26が回転し始めてから所定時間経過後、回転役物26の回転が停止する。遊技球Kは開口部287に向けて転動し、羽根部材265の互いに隣り合う2枚の羽根の間を介して、開口部287に落下する。遊技球Kは、通路291を流れ、特定領域291Aを通過することで大当たりとなる。遊技球Kは、下排出口291B(
図3参照)から本体23外へ排出される。
【0060】
以上説明した本実施形態の主な効果について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機1は、以下説明する効果以外にも様々な効果を奏することはいうまでもない。
【0061】
パチンコ機1は、下センター飾り22を備える。下センター飾り22は、遊技球が転動可能な転動面281を有する下センターステージ28を備える。転動面281の外周には、周壁50が立設される。周壁50の前部中央には、遊技球が通過可能な開口55が開口する。周壁50の前部には、停留部60が設けられる。停留部60は、開口55と連通し、開口55を介して転動面281から内側に進入した遊技球を収容して停留させる。停留部60の底面61は、開口55の下部(転動面281の前端部)よりも低く設けられる。すなわち、停留部60は、転動面281との境界に段差63を有する。これにより、開口55を通過した遊技球は、開口55よりも低い位置に設けられる停留部60の底面61を転動する。よって、パチンコ機1は、遊技球を停留部60に確実に停留させることができる。
【0062】
また、底面61は、手前側(前方)に向けて下り傾斜する。これにより、開口55を通過した遊技球は、底面61を転動面281から離隔する方向である前方に転動し、停留部60に停留しやすい。よって、パチンコ機1は、遊技球を停留部60に確実に停留させることができる。
【0063】
また、底面61の前端部から壁部56Aが立設する。壁部56Aには、近接センサである停留確認スイッチ35が設けられる。停留確認スイッチ35は、停留部60に遊技球が停留したことを検出する。遊技球が底面61の傾斜に案内されて前方に転動するので、壁部56Aに設けられる停留確認スイッチ35は、確実に遊技球を検知することができる。パチンコ機1を制御する制御部(図示略)は、停留確認スイッチ35が遊技球を検出したことを契機に、前飾り部32の電飾部材の発光とスピーカ48から音声を発する演出を実行する。よって、パチンコ機1は、停留確認スイッチ35の検出結果に基づき、遊技球が停留部60に停留したことを契機とした制御を確実に行うことができる。
【0064】
また、左右方向において、開口55の幅は、停留部60の幅よりも小さい。よって、パチンコ機1は、停留部60に進入した遊技球を停留部60に確実に停留させることができる。
【0065】
また、底面61の左右方向の中央部には、開口55に向けて平面視前後方向に延びるスリット62が設けられる。スリット62の左右方向の幅は、遊技球の径よりも小さい。これにより、底面61を転動する遊技球は、スリット62に案内されて転動し、スリット62の直上で停留しやすい。よって、パチンコ機1は、停留部60に進入した遊技球を予め決められた位置に停留させることができる。
【0066】
また、スリット62の直下には、停留解除機構27が設けられる。停留解除機構27は、解除レバー271、開放ソレノイド86を備える。解除レバー271は、上面が奥側(後方)に向けて下り傾斜する押上部271Bを備える。開放ソレノイド86は、解除レバー271(押上部271B)を上方に持ち上げる。持ち上げられた押上部271Bは、スリット62から上方に突出して停留部60に停留する遊技球を押し上げる。押上部271Bには後方に向けて下り傾斜するので、遊技球は後方に転動して転動面281上に放出される。よって、パチンコ機1は、停留部60に停留する遊技球を簡単な構成で転動面281に戻すことができる。
【0067】
本実施形態において、パチンコ機1が、本発明の「遊技機」に相当する。下センター飾り22が、本発明の「役物装置」に相当する。開口55が、本発明の「開口部」に相当する。前方が、本発明の「所定方向」に相当する。停留確認スイッチ35が、本発明の「近接センサ」に相当する。押上部271Bが、本発明の「押上部材」に相当する。開放ソレノイド86が、本発明の「駆動部」に相当する。
【0068】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。遊技仕様は上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明は、上記実施形態のようないわゆる2種タイプの遊技機のみならず、1種タイプ(いわゆる、セブン機。)、1種2種混合タイプ、一般電役タイプ等のあらゆる遊技仕様の遊技機に適用できる。
【0069】
パチンコ機1における各種構成の配置は、上記実施形態に限定されない。例えば、下センター飾り22は、遊技領域4の右側および左側のいずれかに配置されてもよい。転動面281は、遊技領域4の右側および左側のいずれかに配置されてもよい。停留部60は、例えば周壁50の右部等、周壁50の前部以外に設けてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、停留部60と転動面281との境界にある段差63は一段であるが、段差63の段数はこれに限定されない。また、停留部60の底面61は開口55の下部よりも低く設けられればよく、例えば、底面61と開口55との間に溝が設けられてもよい。底面61は、転動面281から離隔する方向以外の方向に傾斜していてもよい。この場合、停留確認スイッチ35は、底面61が傾斜する方向の壁部56に設けられることが望ましい。
【0071】
また、下センターステージ28は、壁部56に停留確認スイッチ35を備えなくてもよい。停留確認スイッチ35は、近接センサ以外(例えば、光学センサ等)でもよい。パチンコ機1の制御部は、停留確認スイッチ35が停留部60に停留する遊技球を検出したことを契機とした演出を実行しなくてもよい。
【0072】
また、下センター飾り22は、停留解除機構27を備えなくてもよい。また、停留解除機構27は、停留を解除した遊技球を転動面281上以外(例えば、排出路282等)に放出してもよい。停留解除機構27の構成は、適宜変更してもよい。例えば、解除レバー271は、開放ソレノイド86ではなく、モータやエアシリンダの駆動により停留部60に停留する遊技球を停留部60から放出してもよい。また、解除レバー271の移動方向は、上下方向以外でもよい。この場合、停留部60は、底面61にスリット62を設けなくてもよい。
【0073】
また、排出口51~54は、上記実施形態以外の態様でもよい。例えば、
図14に示す変形例としての下センターステージ28は、排出口52に対応する排出口72を備える。以下説明では、変形例の下センターステージ28において、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略し、第一実施形態と異なる点を主に説明する。
【0074】
壁部50Aと壁部50Cとは、排出口72を挟んで対向する。壁部50Aおよび壁部50Cのそれぞれの排出口52側の端面72A,72Bは、仮想線L2に対して平行ではなく、前後方向に平行な仮想線L3に対して左右のいずれか一方に傾斜している。
【0075】
排出口72の幅で最も狭くなるのは、端面72A,72Bの互いの後端を結んだ幅であるW3である。ここで、遊技機の正面にいる遊技者から排出口72を視ると、端面72Aは遊技者に視認されるが、端面72Bは遊技者に視認されない。このため、遊技者は排出口72の幅を、視認した端面72Aの左右方向の長さの分だけ幅が狭いW4であると錯覚する。
【0076】
このように、排出口51~54を間に挟んで対向する壁部50A~50Eのそれぞれの排出口51~54側の端面は、仮想線L1,L2に平行でなくても、平面視で前後方向に対して左右のいずれか一方に傾斜していればよい。この場合も、遊技者は、排出口51~54を間に挟んで対向する二つの端面が前後方向に平行である場合と比較して、視認した端面の左右方向の長さの分、排出口51~54の左右方向の大きさが小さいものであると錯覚する。よって、パチンコ機1は、遊技球を排出する出口を目立たなくできる。
【0077】
さらには、特許請求の範囲、明細書、および図面に記載される全ての要素は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名前)は、単に本件の記載のために便宜上付与したに過ぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素がなんであるか限定解釈されるものではない。さらには、全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、特許請求の範囲等において特定していない限り、いずれも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、敢えて明細書等において全てのパターンを記載しなくてもいずれのパターンも想定範囲内であることから本発明に係る権利範囲に含まれるのは勿論である。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施形態に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施形態から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0078】
1 パチンコ機
22 下センター飾り
27 停留解除機構
28 下センターステージ
35 停留確認スイッチ
50 周壁
50A~50D,56A 壁部
52A,52B 端面
51~54 排出口
55 開口
60 停留部
61 底面
62 スリット
63 段差
86 開放ソレノイド
271 解除レバー
271B 押上部
281 転動面