(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081229
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】メガネ
(51)【国際特許分類】
G02C 5/14 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
G02C5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192644
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】503438403
【氏名又は名称】株式会社インターメスティック
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(72)【発明者】
【氏名】高橋和司
(57)【要約】
【課題】モダン部を回動することにより顔に対する当接の程度を段階的に調整することが可能なメガネを提供すること。
【解決手段】一対のレンズ部1と、レンズ部1を保持するフロント部2と、フロント部2から後方に延出する一対のテンプル部3と、テンプル部3のそれぞれの後端に設けられたモダン部4と、を備え、モダン部4は、テンプル部3に挿入された芯金Pが、その後端から後方へ延出する延出部分41とこの延出部分41が挿入可能な受入れ穴部42aを有するカバー部42とを有し、延出部分41の断面形状に受入れ穴部42aの断面形状が対応しており、カバー部42が延出部分41に対して回動可能となっているメガネA。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレンズ部と、該レンズ部を保持するフロント部と、該フロント部から後方に延出する一対のテンプル部と、該テンプル部のそれぞれの後端に設けられたモダン部と、
を備え、
該モダン部は、前記テンプル部に挿入された芯金が、その後端から後方へ延出する延出部分とこの延出部分が挿入可能な受入れ穴部を有するカバー部とを備え、
前記延出部分の断面形状に前記受入れ穴部の断面形状が対応しており、
前記カバー部が前記延出部分に対して回動可能となっているメガネ。
【請求項2】
前記芯金の前記延出部分は、テンプル部端に近い部分に位置する前部芯金領域部と、該前部芯金領域部より後方に位置する後部芯金領域部とを備え、
前記カバー部の前記受入れ穴部は、テンプル部端に近い部分に位置する前部カバー領域部と、該前部カバー領域部より後方に位置する後部カバー領域部とを備えており、
前記前部芯金領域部と前記前部カバー領域部とが対応する断面形状であり、且つ前記後部芯金領域部と前記後部カバー領域部とが対応する断面形状であり、前記後部カバー領域部のみが前記延出部分に対して回動するものである請求項1記載のメガネ。
【請求項3】
前記前部芯金領域部と前記前部カバー領域部の断面形状の角数より、前記後部芯金領域部と前記後部カバー領域部の断面形状の角数が多い請求項2記載のメガネ。
【請求項4】
前記前部芯金領域部と前記前部カバー領域部の断面形状が長方形状であり、且つ前記後部芯金領域部と前記後部カバー領域部の断面形状が六角形状である請求項2記載のメガネ。
【請求項5】
前記前部カバー領域部において捩れが生じなく、前記後部カバー領域部において捩れが生じるものである請求項2記載のメガネ。
【請求項6】
前記カバー部がエラストマー、ラバー又はシリコン等により形成された請求項1記載のメガネ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメガネに関し、更に詳しくは、モダン部を回動することにより顔に対する当接の程度(状態)を段階的に調整可能なメガネに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、メガネは顔に長時間着用して用いるものであり、適切な掛け心地が求められる。この適切な掛け心地を実現するにあたり、主としてテンプル部の後端部分であるモダン部が極めて重要な部分となっている。着用者の顔をモダン部が抱え込むように当接することが好ましく、メガネの製造時又は購入時に調整される。
しかしながら、また、体調や体形の変化により、人の顔相は変化するものであり、モダン部が常に一定の角度であることにより最適な掛け心地が常に実現されるものではない。
例えば、着用者の顔が浮腫んでいる場合、メガネには通常よりも緩い掛け心地が求められる。
【0003】
このようなことから、モダン部の顔に対する当接の程度が調整できるメガネが開発されている。
例えば、特許文献1の眼鏡用テンプル構造や、特許文献2のバネ付勢式モダン角度調整機構は、モダン部とテンプル部の接続部分に設けられたバネの弾圧力を利用し、テンプル部に対するモダン部の角度を調整できるようにしたものである。
【0004】
また、特許文献3のテンプルは、モダン部をテンプル部の芯金に対して回動自在に設けたものであり、芯金に対するモダン部の付け外しをネジ構造により行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3141598号公報
【特許文献2】特開2009-92946号公報
【特許文献3】特開2001-166267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記各文献のテンプルについて更に言うと、特許文献1の眼鏡用テンプル構造や、特許文献2のバネ付勢式モダン角度調整機構は、バネの弾圧力を利用して、モダン部を内側、すなわち着用者の顔の方向へ向けて回動するように付勢するものである。
すなわち、バネの弾圧力はモダン部を介して常に着用者の顔に掛けられることとなり、長時間の着用により痛みを感じることがある。
また、常に着用者の顔に一定の圧力で当接するような掛け心地としかできず、例えば緩い掛け心地や、より強く顔に当たるような掛け心地に調整することはできない。
更に、仮にバネの弾圧力が不適当であったとしても、バネの交換を行うことは容易ではない。
【0007】
一方、特許文献3のモダン部は芯金に対して回動自在であり、これを規制する構造がない。
すなわち、メガネの着用によりモダン部が着用者の顔に触れたり、外部からの接触を受けると容易にモダン部が常に回動しうる状態にある。
すなわち、メガネを着用者の顔に保持する、というモダン部本来の機能が十分に発揮できない。
【0008】
本発明は、上述の課題を受けて開発されたものである。すなわち、本発明はモダン部を回動することにより顔に対する当接の程度を段階的に調整することが可能なメガネを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討の結果、モダン部をテンプル部から延出した芯金と該芯金を覆うカバー部と、により構成し、芯金の断面形状を多角形状とし、カバー部が芯金に対して回動可能とすることにより上記課題を解決可能であることを見出した。本発明はこの知見に基づく。
【0010】
本発明は(1)、一対のレンズ部1と、レンズ部1を保持するフロント部2と、フロント部2から後方に延出する一対のテンプル部3と、テンプル部3のそれぞれの後端に設けられたモダン部4と、を備え、モダン部4は、テンプル部3に挿入された芯金Pが、その後端から後方へ延出する延出部分41とこの延出部分41が挿入可能な受入れ穴部42aを有するカバー部42とを備え、延出部分41の断面形状に受入れ穴部42aの断面形状が対応しており、カバー部42が延出部分41に対して回動可能となっているメガネAに存する。
【0011】
本発明は(2)、芯金Pの延出部分41は、テンプル部端に近い部分に位置する前部芯金領域部S1と、前部芯金領域部S1より後方に位置する後部芯金領域部S2とを備え、カバー部42の受入れ穴部42aは、テンプル部端に近い部分に位置する前部カバー領域部K1と、前部カバー領域部K1より後方に位置する後部カバー領域部K2とを備えており、前部芯金領域部S1と前部カバー領域部K1とが対応する断面形状であり、且つ後部芯金領域部S2と後部カバー領域部K2とが対応する断面形状であり、後部カバー領域部K2のみが延出部分41に対して回動するものである上記(1)記載のメガネに存する。
【0012】
本発明は(3)、前部芯金領域部S1と前部カバー領域部K1の断面形状の角数より、後部芯金領域部S2と後部カバー領域部K2の断面形状の角数が多い上記(2)記載のメガネに存する。
【0013】
本発明は(4)前部芯金領域部S1と前部カバー領域部K1の断面形状が長方形状であり、且つ後部芯金領域部S2と後部カバー領域部K2の断面形状が六角形状である上記(2)記載のメガネに存する。
【0014】
本発明は(5)、前部カバー領域部K1において捩れが生じず、後部カバー領域部K2において捩れが生じるものである上記(2)記載のメガネに存する。
【0015】
本発明は(6)、カバー部42がエラストマー、ラバー又はシリコン等により形成された上記(1)記載のメガネに存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のメガネAは、カバー部42が回動可能となっていることにより、モダン部4の顔に対する当接の程度を段階的に調整することが可能となる。これにより、着用者の好みに応じ、窮屈な掛け心地又は緩い掛け心地のいずれにも自在にメガネを対応させることが可能となる。
【0017】
本発明のメガネAは、前部カバー領域部K1と後部カバー領域部K2とを有し、両者が区別されることにより、一方のみを回動することができる。
また、前部カバー領域部K1のモダン部4全体に対する範囲の設定を変えることにより、後部カバー領域部K2の回動できる範囲を変えることができる。
また、モダン部4を段階的に回動することができ、各々の段階で仮固定が可能である。
【0018】
本発明のメガネAは、前部芯金領域部S1と前部カバー領域部K1の断面形状の角数より、後部芯金領域部S2と後部カバー領域部K2の断面形状の角数が多いことにより、前部カバー領域部K1に対して後部カバー領域部K2のみが回動できるように区別することができる。
【0019】
本発明のメガネAは、前部芯金領域部S1と前部カバー領域部K1の断面形状が長方形状であり、且つ後部芯金領域部S2と後部カバー領域部K2の断面形状が六角形状であることにより、確実に、前部カバー領域部K1が回動せず後部カバー領域部K2のみが回動できるようにすることができる。
【0020】
本発明のメガネAは、後部カバー領域部K2において捩れを生じることにより、モダン部4の後方に行くに従って、徐々に回動角度が大きくなる。
【0021】
本発明のメガネAは、カバー部42がエラストマー、ラバー又はシリコン等により形成されたことにより、カバー部42が捩れに的確に対応追従することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るメガネを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係るモダン部を示す側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る芯金の延出部分を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る芯金の延出部分の断面形状を示す図であり、
図4(A)は前部芯金領域部における断面、
図4(B)は後部芯金領域部における断面を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係るカバー部のみを示す側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係るカバー部の断面形状を示す図であり、
図6(A)は、前部カバー領域部における断面、
図6(B)は、後部カバー領域部における断面を示す。
【
図7】
図7は、カバー部が芯金の延出部分に対して回動する前の状態を断面で示す説明図である。
【
図8】
図8は、カバー部が芯金の延出部分に対して回動する途中の状態を断面で示す説明図である。
【
図9】
図9は、カバー部が芯金に対して一定角度回動した後の状態を断面で示す説明図である。
【
図10】
図10は、カバー部に捻れが生じる状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係るメガネAを示す斜視図である。
本発明のメガネAは、一対のレンズ部1と、該レンズ部1を保持するフロント部2と、該フロント部2から後方に延出する一対のテンプル部3と、該テンプル部3のそれぞれの後端に設けられたモダン部4とを備えるものである。
そしてモダン部4は、テンプル部3に挿入された芯金Pが、その後端から後方へ延出する延出部分41とこの延出部分41が挿入可能な受入れ穴部42aを有するカバー部42とを備えている。
また延出部分41の断面形状に受入れ穴部42aの断面形状が対応しており、カバー部42が延出部分41に対して回動可能となっている。
【0025】
レンズ部1は、着用者の視力や好みに応じて屈光性や偏光性が適宜付与されたレンズが用いられる。
【0026】
フロント部2は、当該レンズ部1を保持するための枠体である。
図1に示すフロント部2は、レンズの全周を覆う形状となっているが、レンズの下側のみを支える形状、あるいはレンズの上側のみを嵌合することにより支持する形状(いわゆるハーフリム)であってもよく、必ずしも形状は限定されない。
【0027】
フロント部2の略中央には、着用者の鼻に当接してメガネAを支えるためのパッド部が設けられている。パッド部は、フロント部2と一体あるいは別体に設けることができる。
【0028】
フロント部2の両端からは、それぞれ後方に向けてテンプル部3が延出している。
テンプル部3とフロント部2は、ヒンジ部で連結されている。
テンプル部3は、ヒンジ部でフロント部2と連結されていることにより、フロント部2に対して回動可能となっている。
ヒンジ部には公知の構造を適宜採用することができる。例えば、別体に設けられたフロント部2とテンプル部3とを螺子を介して連結しヒンジ部とすることができる。
また、形状記憶性を有する金属によりテンプル部3とフロント部2とをコ字状に一体成形し、屈曲部分をいわゆるヒンジ部とすることも可能である。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態に係るモダン部4を示す側面図である。
また、
図3は、本発明の実施の形態に係る芯金Pの延出部分41を示す側面図である。
これは、
図2において、カバー部42を取り外した状態を示す。
このようにテンプル部3の後端にはモダン部4が設けられている。
モダン部4は、テンプル部3に内蔵された芯金Pがテンプル部端から後方に延出してなる延出部分41と、この延出部分41を覆うカバー部42とよりなるものである。
すなわち、カバー部42は、芯金Pの延出部分41を覆うことによって延出部分41と共にモダン部4を構成する。
ここで、カバー部42には、芯金Pの延出部分41を挿入するための空所である穴が形成されているが、これについては、詳しくは、後述する。
モダン部4は、側面視でテンプル部3に対して緩やかに後方へ伸び、更に下方へ屈曲するように形成されている。また、モダン部4の後端は、上面視で内側へ緩やかに屈曲するように形成されている。
因みに、モダン部4の後端部分は、芯金Pの延出部分41が挿入されないカバー部42の後端部分に相当し、可撓性があり屈曲し易い。
これにより、着用者がメガネAを着用した場合に、テンプル部3が着用者の頭を抱え込むようにフィットし、またモダン部4が耳上部にソフトに当接する。
因みに、カバー部42は、芯金Pに対して後方に引き抜くことで取り外しが可能であり、これにより、カバー部42の交換を行うことができる。
【0030】
芯金Pはテンプル部3に挿入され、その後端から後方へ延出するが、この延出部分41はカバー部42の全長よりも短い(
図2参照)。
そして、この芯金Pの延出部分41は、テンプル部端に近い部分に位置する前部芯金領域部S1と、該前部芯金領域部S2より後方に位置する後部芯金領域部S2とを備えている。
前部芯金領域部S1と後部芯金領域部S2とは、両者とも水平幅は同じであるが、上下幅(垂直幅)は後部芯金領域部S2の方が前部芯金領域部S1より小さい。
断面は、前部芯金領域部S1が長方形状、後部芯金領域部S2が六角形状である。
そして、芯金Pの延出部分41の形状がこのように設定されていることにより、後述するように、モダン部4が捩れを伴った段階的な回動をスムーズに行うことができる。
【0031】
図4は、本発明の実施の形態に係る芯金Pの延出部分41の断面形状を示す図であり、
図4(A)は前部芯金領域部S1における断面、
図4(B)は後部芯金領域部S2における断面を示す。尚、前者は
図3のX1-X1断面を、また後者は
図3のX2-X2断面を示す。
そして、カバー部42の受入れ穴部42aは、この2つの断面に対応する断面形状となっている。
【0032】
図5は、本発明の実施の形態に係るカバー部42のみを示す側面図である。
図6は、本発明の実施の形態に係るカバー部42の断面形状を示す図であり、
図6(A)は、前部カバー領域部K1における断面、
図6(B)は、後部カバー領域部K2における断面を示す。尚、前者は
図5のY1-Y1断面を、また後者は、
図5のY2-Y2断面を示す。
カバー部42の受入れ穴部42aは、テンプル部端に近い部分に位置する前部カバー領域部K1と、該前部カバー領域部K1より後方に位置する後部カバー領域部K2とを備えている。
受入れ穴部42aの前部カバー領域部K1と後部カバー領域部K2とは、両者とも水平幅は同じであるが、上下幅(垂直幅)は、後部カバー領域部K2の方が前部カバー領域部K1より小さい。
受入れ穴部42aの断面は、前部カバー領域部K1が長方形状、後部カバー領域部K2が六角形状である。
カバー部42における受入れ穴部42aの前部カバー領域部K1と後部カバー領域部K2は、芯金Pの延出部分41における前部芯金領域部S1と後部芯金領域部S2とに対応する形状となっている。
【0033】
そして受入れ穴部42aは、カバー部42の後端部分の一定範囲を除く全長にわたって設けられる。
すなわち、カバー部42の後端から一定範囲には受入れ穴部42aが設けられてなく、芯金Pが挿入されない。
ここでカバー部42が、前部カバー領域部K1と後部カバー領域部K2とを有し、両者が区別されることにより、一方のみを回動することができる。
また、前部カバー領域部K1の範囲の設定を変えることにより、後部カバー領域部K2の回動できる範囲を変えることもできる。
ところで、芯金Pには、ステンレスやチタン等の金属部材を好適に用いることができる。
これにより、芯金Pが十分な強度を有し、カバー部42の回動や取り外しを繰り返した場合であっても、常にその形状を維持することができる。
【0034】
尚、芯金Pは、予め形成した金属部材をテンプル部3とインサート射出成形することにより一体化される。
これにより、製造工数を少なくすることができる。
【0035】
一方、カバー部42には、エラストマー、ラバー又はシリコン等の軟質の合成樹脂材を好適に用いることができる。
これによりカバー部42は、その後端部分において可撓性が発揮され、また芯金Pの延出部分41に対して捩じれが可能となり回動もスムーズに行うことができる。
さらに、モダン部4が着用者の顔に接触した場合の接触感も良好である。
【0036】
さて
図7は、カバー部42が芯金Pの延出部分41に対して回動する前の状態を断面で示す説明図である。
尚、ここでの断面は
図2のZ-Z断面を示す。
上述した通り、芯金Pの延出部分41における前部芯金領域部S1の断面形状は長方形状であり、これに対応する受入れ穴部42aにおける前部カバー領域部K1の形状も同様に長方形状となっている。
また、芯金Pの延出部分41における後部芯金領域部S2の断面形状は六角形状であり、これに対応する受入れ穴部42aにおける後部カバー領域部K2の形状も同様に六角形状となっている。
前部芯金領域部S1と前部カバー領域部K1は、断面が長方形同士による嵌まり込みであり、前部カバー領域部K1は固定されて回動しない。
一方、後部芯金領域部S2と後部カバー領域部K2は、断面が六角形同士による弱い嵌まり込みであり、後部カバー領域部K2は回動可能である。
因みに後部芯金領域部S2の断面形状は、前部芯金領域部S1の断面形状より角数が多い多角形が採用される。
そして後部芯金領域部S2の断面形状は六角形以上、前部芯金領域部S1は四角形以下が好ましい。
【0037】
図8は、カバー部42が芯金Pの延出部分41に対して回動する途中の状態を断面で示す説明図である。尚、ここでの断面は
図2のZ-Z断面を示す。
尚、矢印は、カバー部42が回動される方向を示す。
今、
図7の状態からカバー部42を芯金Pに対して(詳しくは、カバー部42の後部カバー領域部K2を芯金Pの延出部分41の後部芯金領域部S2に対し)て回動させるとする。
そうすると、芯金Pの一面に接していた受入れ穴部42aの内壁が、芯金Pの角部を乗り越えるように移動する(
図7→
図8の状態)。
【0038】
次に、
図8の状態から、更にカバー部42を回動する。
図9は、カバー部42が芯金Pに対して一定角度回動した後の状態を断面で示す説明図である。
尚、ここでの断面は
図2のZ-Z断面を示す。
そうすると、芯金Pの角部を乗り越えた受入れ穴部42aの内壁は、当該角部に隣接する芯金Pの他の面に当接する(
図8→
図9の状態)。
尚、この状態は安定した状態である。
このようにしてカバー部42の回動が、一定角度(ここでは、六角形であるので回転ピッチは60度)進み、一旦、この状態で安定し仮固定されることとなる。
以上の操作を順次繰り返すことで、カバー部42を一定角度毎に段階的に回動することができる。
また、逆方向に回動する操作を行うことによっても、同じように逆方向に段階的な回動を行うことができる。
【0039】
このように、カバー部42を芯金Pの延出部分41に対して回動することで、モダン部4の顔に対する当接の程度(状態)を段階的に調整することが可能となる。
このとき、着用者の好みに応じて、メガネAを窮屈な掛け心地にも緩い掛け心地にも、自在に調整できる。
また、前部芯金領域部S1と前部カバー領域部K1の断面形状の角数より、後部芯金領域部S2と後部カバー領域部K2の断面形状の角数が多いことにより、前部カバー領域部K1に対して後部カバー領域部K2のみが回動できるように区別することができる。
特に、前部芯金領域部S1と前部カバー領域部K1の断面形状が長方形状であり、且つ後部芯金領域部S2と後部カバー領域部K2の断面形状が六角形状であることにより、確実に、前部カバー領域部K1が回動せず後部カバー領域部K2のみが回動できるようにすることができる。
【0040】
(捩れ現象)
次に、捩じれ現象について述べる。
カバー部42の後部カバー領域部K2の、例えば後ろの方を回動すると、そこから前の部分は捩れ現象を生じる。
図10は、カバー部42に捻れが生じる状態を示す説明図である。矢印は、カバー部42の捻れの状態を示す。
芯金Pの延出部分41の前部芯金領域部S1とカバー部42の前部カバー領域部K1は、断面が長方形同士による嵌まり込みであり前部カバー領域部K1は固定されて回動しないことは既に述べた。従って、回動する部分は、後部カバー領域部K2のみとなる。
カバー部42の後部カバー領域部K2において、例えば、真ん中を摘まんで回動すると、そこから前の部分に捩れ現象を生じ、後の部分は一体となって回動する。前部カバー領域部K1は、回動しないので、前部カバー領域部K1と摘まんで回動した部分の間に捩れが生じるのである。
【0041】
回動範囲を長くするためには、後部カバー領域部K2において、極力前方を摘まんで回動させることで、そこから前の部分に捩れが集中し、それより後方の部分は殆ど捩れがなくほぼ一体となって回動する。
因みに、この捩れは、摘まんだ部分より前方の領域では、図の矢印に示すように、後方に行くに従って徐々に回動角度が大きくなる。
尚、このようなカバー部42の捩れに対応すべく、カバー部42の材質は軟質の合成樹脂材を採用することで、カバー部が捩れに的確に対応追従することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0043】
本実施の形態において、芯金Pの後部芯金領域部S2における断面形状及びそれに対応する受入れ穴部の前部カバー領域部K1における断面形状は、六角形状であるが、他の多角形状としてもよい。
図11は、断面が八角形状の例を示す図である。
前述の実施の形態で示した六角形状の場合は、回転ピッチが60度であるが、この例の場合は回転ピッチが45度となる。
また芯金Pの延出部分41において前部芯金領域部S1に対して前部カバー領域部K1が回動しないためには、例えば、断面形状を三角形とすることも採用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のメガネAは、テンプル部3のそれぞれの後端に設けられたモダン部4が、テンプル部3に挿入された芯金Pが、その後端から後方へ延出する延出部分41とこの延出部分41が挿入可能な受入れ穴部42aを有するカバー部42とを備える。そして延出部分の断面形状に受入れ穴部42aの断面形状が対応しており、カバー部42が延出部分41に対して回動可能となっているものである。
従って、モダン部4を回動することにより、モダン部4の顔に対する当接の程度を段階的に調整することが可能となる。
これにより、着用者の好みに応じ、窮屈な掛け心地又は緩い掛け心地のいずれにも自在にメガネを対応させることができる。
そして、本発明のメガネAは、用途にかかわらず適用可能であり、例えば、日常用のメガネAやレジャー用のサングラス、医療用のメガネ等に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
A・・・メガネ
K1・・・前部カバー領域部
K2・・・後部カバー領域部
P・・・芯金
S1・・・前部芯金領域部
S2・・・後部芯金領域部
1…レンズ部
2・・・フロント部
3・・・テンプル部
4・・・モダン部
41・・・延出部分
42・・・カバー部
42a・・・受入れ穴部