(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081267
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】営巣防止具
(51)【国際特許分類】
A01M 29/32 20110101AFI20220524BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A01M29/32
H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192705
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆生
【テーマコード(参考)】
2B121
5G367
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB25
2B121BB32
2B121BB35
2B121EA21
2B121FA12
5G367AD09
(57)【要約】
【課題】腕金の上面や側面などに設けられる貫通孔を封止することが可能な営巣防止具を提供すること。
【解決手段】営巣防止具は、外周に雄ねじが設けられるねじ部と、ねじ部の軸方向の端部に固定される頭部と、を有するピンと、ねじ部の雄ねじに噛み合い可能な雌ねじが内周に設けられる筒状部と、筒状部の軸方向の一端から径方向の外側に延びるつば部と、筒状部の軸方向の他端から径方向の外側に突出する突起部と、を有する留め具と、を備える。ピンのねじ部は、留め具の筒状部の軸方向の一方側と他方側との両側から噛み合い可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に雄ねじが設けられるねじ部と、前記ねじ部の軸方向の端部に固定される頭部と、を有するピンと、
前記ねじ部の前記雄ねじに噛み合い可能な雌ねじが内周に設けられる筒状部と、前記筒状部の軸方向の一端から径方向の外側に延びるつば部と、前記筒状部の軸方向の他端から径方向の外側に突出する突起部と、を有する留め具と、を備え、
前記ピンの前記ねじ部は、前記留め具の前記筒状部の軸方向の一方側と他方側との両側から噛み合い可能である、
営巣防止具。
【請求項2】
前記留め具の前記筒状部には、軸方向の他端側が開口する切込みが設けられる、
請求項1に記載の営巣防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営巣防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に設けられる腕金や碍子などは、鳥類が巣を作る営巣箇所となる場合がある。例えば、腕金に設けられる開口部や貫通孔に、鳥類が枝木等を差し込むと、当該枝木等を基にして巣が作成される場合がある。この営巣を抑制するため、例えば特許文献1に記載の営巣防止具が開示されている。特許文献1の営巣防止具は、腕金の長手方向部の端部に設けられる開口部を封止する封止部材を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1では、例えば、腕金の上面や側面などに設けられる貫通孔を封止することが困難である。
【0005】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたもので、腕金の上面や側面などに設けられる貫通孔を封止することが可能な営巣防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、外周に雄ねじが設けられるねじ部と、前記ねじ部の軸方向の端部に固定される頭部と、を有するピンと、前記ねじ部の前記雄ねじに噛み合い可能な雌ねじが内周に設けられる筒状部と、前記筒状部の軸方向の一端から径方向の外側に延びるつば部と、前記筒状部の軸方向の他端から径方向の外側に突出する突起部と、を有する留め具と、を備え、前記ピンの前記ねじ部は、前記留め具の前記筒状部の軸方向の一方側と他方側との両側から噛み合い可能である。
【0007】
これによれば、腕金の上面や側面などに設けられる貫通孔に予め留め具を固定しておき、留め具の軸方向の一方側からピンを噛み合わせることにより、当該貫通孔を封止することが可能である。また、本発明の営巣防止具は、それぞれ貫通孔が設けられた2枚の営巣防止シートを連結するための締結部材としても使用することが可能である。即ち、2枚の営巣防止シートの一方のシートの貫通孔に予め留め具を固定しておき、他方のシートの貫通孔にピンを挿入して、留め具の軸方向の他方側からピンを噛み合わせることにより、2枚の営巣防止シートを本発明の営巣防止具で連結することが可能である。さらに、貫通孔を有する営巣防止シートを折れ線を境に折り曲げて碍子等を覆った状態で、対向する一方のシートの貫通孔に予め留め具を固定しておき、対向する他方のシートの貫通孔にピンを挿入して、留め具の軸方向の他方側からピンを噛み合わせることにより、折れ曲がった営巣防止シートの対向する部位を本発明の営巣防止具で連結することが可能である。
【0008】
本発明の他の態様では、前記留め具の前記筒状部には、軸方向の他端側が開口する切込みが設けられる。
【0009】
留め具の筒状部の突起部に対して、径方向内側に向く力を印加した場合、筒状部が弾性変形し、切込みの先端側の間隙が小さくなり突起部の外径も小さくなる。これにより、留め具を装着する腕金等の貫通孔を通過可能となる。そして、突起部が貫通孔を通過した状態で径方向内側に向く力を除去した場合は、切込みの先端側の間隙が大きくなり貫通孔に留め具が装着される。このように、簡単な作業で腕金等の貫通孔に留め具を装着することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、腕金の上面や側面などに設けられる貫通孔を封止することが可能な営巣防止具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る営巣防止シートを模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の営巣防止シートをA方向から見た側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る営巣防止具を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、
図3のねじを留め具の軸方向の一方側から締結した状態を示す模式的な側面図である。
【
図9】
図9は、板材の貫通孔に留め具を嵌合させる手順を示す模式図である。
【
図10】
図10は、
図3のねじを留め具の軸方向の他方側から締結した状態を示す模式的な側面図である。
【
図11】
図11は、第1嵌合部材を裏面側から見た模式的な平面図である。
【
図12】
図12は、第2嵌合部材を裏面側から見た模式的な平面図である。
【
図13】
図13は、腕金の貫通孔に、営巣防止具、第1嵌合部材および第2嵌合部材を固定した状態を示す側面図である。
【
図14】
図14は、腕金の貫通孔に、営巣防止具、第1嵌合部材および第2嵌合部材を固定した状態を示す側面図である。
【
図15】
図15は、長尺部材を介して営巣防止シートを電柱の側面に巻き付けた状態を示す模式的な平面図である。
【
図16】
図16は、営巣防止具を介して連結した複数の営巣防止シートで電柱の側面を囲った状態を示す模式的な平面図である。
【
図17】
図17は、
図1の営巣防止シートを折り曲げてストラップを覆った状態を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。なお、図面において、XY座標を用いる場合がある。X軸とY軸とは直交する。+X方向は、-X方向の反対方向である。+Y方向は、-Y方向の反対方向である。
【0013】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0014】
まず、実施形態に係る営巣防止シートについて説明する。
図1は、実施形態に係る営巣防止シートを模式的に示す平面図である。
図2は、
図1の営巣防止シートをA方向から見た側面図である。
【0015】
図1および
図2に示すように、シート部材100は、営巣防止シート1を含む。
図1に示すように、営巣防止シート1は、曲線部分11と、第1辺12および第2辺13と、第3辺15と、を有する。曲線部分11は、曲線で構成されている。本実施形態において、曲線部分11は、円弧であるが、本発明は円弧に限定されない。曲線部分11の+Y方向の端部から当該端部に交差して第1辺12が延びている。第1辺12は、直線状に延びている。第1辺12は、端121から端122まで延びている。曲線部分11の-Y方向の端部から当該端部に交差して第2辺13が延びている。第2辺13は、直線状に延びている。第2辺13は、端131から端132まで延びている。
【0016】
図1に示すように、第1辺12における端122を含む端部から当該端部に交差して第4辺17が延びている。第4辺17は、直線状に延びている。第4辺17は、端122から端171まで延びている。第2辺13における端132を含む端部から当該端部に交差して第5辺18が延びている。第5辺18は、直線状に延びている。第5辺18は、端132から端181まで延びている。
【0017】
図1に示すように、第3辺15は、端171から端181まで延びる。具体的には、第3辺15は、端171と中央151とを結ぶ直線部分154と、端181と中央151とを結ぶ直線部分155と、を含む。直線部分154と直線部分155とは同じ長さである。換言すると、第3辺15は、少なくとも1つの直線部分154、155を含む。第3辺15は、営巣防止シート1において、曲線部分11の反対側(+X方向)に配置される。第3辺15は、Y方向に沿って延びる。
【0018】
そして、
図1に示すように、営巣防止シート1には、第1辺12、第2辺13および第3辺15に沿って環状のミシン目が設けられる。具体的には、第1辺12に沿った中央部に円環状のミシン目22が設けられ、ミシン目22で囲まれた部分に円盤状の封止部220が配置される。また、第2辺13に沿った中央部に円環状のミシン目24が設けられ、ミシン目24で囲まれた部分に円盤状の封止部240が配置される。そして、直線部分154に沿った中央部に円環状のミシン目21が設けられ、ミシン目21で囲まれた部分に円盤状の封止部210が配置される。さらに、直線部分155に沿った中央部に円環状のミシン目23が設けられ、ミシン目23で囲まれた部分に円盤状の封止部230が配置される。
【0019】
また、
図1に示すように、営巣防止シート1には、複数の折れ線が設定可能である。例えば、本実施形態では、3つの折れ線161、162、163が設定される。折れ線を境にして営巣防止シート1を二つ折りにすることが可能である。折れ線161は、曲線部分11の中央111と第3辺15の中央151とを結ぶ直線である。折れ線162は、曲線部分11の第1部分112と直線部分154の第1部分152とを結ぶ直線である。折れ線163は、曲線部分11の第2部分113と直線部分155の第2部分153とを結ぶ直線である。折れ線162は、折れ線161よりも+Y方向に位置する。折れ線163は、折れ線161よりも-Y方向に位置する。折れ線162および折れ線163は、折れ線161に対して対称の位置に配置される。折れ線162は、曲線部分11および直線部分154に交差する。折れ線163は、曲線部分11および直線部分155に交差する。折れ線161は、曲線部分11および直線部分154、155に交差する。そして、折れ線161を境にして営巣防止シート1を二つ折りにした場合に、第1辺12に第3辺15が重なる。なお、本実施形態では、営巣防止シート1は、折れ線161を挟んで対称な形状であるため、折れ線161を境にして営巣防止シート1を二つ折りにした場合に、第4辺17に第5辺18が重なる。ただし、本発明に係る営巣防止シート1は、折れ線161を挟んで対称な形状に限定されず、折れ線161を境にして営巣防止シート1を二つ折りにした場合に、少なくとも第1辺12に第3辺15が重なればよい。さらに、折れ線162から折れ線163までの部位は、
図2に示すように、緩やかな円弧状に湾曲している。即ち、折れ線162から折れ線163までの部位は、営巣防止シート1の表側に向けた凸形状に形成されている。
【0020】
さらに、
図1に示すように、営巣防止シート1には、曲線部分11に沿って支持部材2が4つ設けられる。具体的には、端121に近接した部位と、端131に近接した部位と、曲線部分11に沿った中央部分とに、支持部材2が等間隔で配置される。
図2に示すように、支持部材2は、側板25、26と、天板27とを備える。側板25、26は、営巣防止シート1の表面から立ち上がる一対の矩形状の板である。天板27は、側板25、26の先端同士を連結する。従って、支持部材2は、側板25、26と天板27と営巣防止シート1とで囲まれる挿通孔28を有する。挿通孔28は、曲線部分11に沿って配置される。この挿通孔28には、後述するように、
図15に示す長尺部材470が挿通可能である。換言すれば、支持部材2は、長尺部材470を支持可能である。
【0021】
以上説明したように、営巣防止シート1は、曲線で構成された貫通孔が中央に設けられた環状のシート材を貫通孔の曲線部分11から外側に向かって2カ所切り出してできる第1辺12および第2辺13と、前記シート材の前記貫通孔の曲線部分11と、第3辺15と、を有する。
【0022】
次に、実施形態に係る営巣防止具について説明する。
図3は、実施形態に係る営巣防止具を模式的に示す側面図である。
図4は、
図3のねじを示す側面図である。
図5は、
図3のねじを示す平面図である。
図6は、
図3の留め具を示す側面図である。
図7は、
図3の留め具を示す平面図である。
図8は、
図3のねじを留め具の軸方向の一方側から締結した状態を示す模式的な側面図である。
図9は、板材の貫通孔に留め具を嵌合させる手順を示す模式図である。
図10は、
図3のねじを留め具の軸方向の他方側から締結した状態を示す模式的な側面図である。
【0023】
図3に示すように、営巣防止具200は、ねじ(ピン)3と、留め具4と、を備える。
図4および
図5に示すように、ねじ(ピン)3は、頭部31と、ねじ部32と、を備える。ねじ部32の外周には雄ねじ33が設けられる。ねじ部32の軸方向の端部には、頭部31が固定される。頭部31の上面は、曲面であり、十字溝34を有する。十字溝34にドライバ工具の先端が嵌合可能である。頭部31の外径は、ねじ部32の外径よりも大きい。
【0024】
図6および
図7に示すように、留め具4は、筒状部42と、つば部41と、突起部43と、を有する。筒状部42の外周面は円筒面である。筒状部42は、内周に雌ねじ421を備える。筒状部42は、弾性変形が可能である。雌ねじ421は、ねじ3の雄ねじ33に噛み合い可能である。つば部41は、筒状部42の軸方向の一端から径方向の外側に延びる。つば部41は、円環状の板である。突起部43は、筒状部42の軸方向の他端から径方向の外側に突出する。突起部43は、円環状の部材である。突起部43は、筒状部42の中心軸を含む断面において、略三角形状であり、突起部43の外周面の外径は、つば部41に近づくに従って大きくなる。突起部43の外径は、筒状部42の外径よりも大きい。つば部41の外径は、突起部43の外径よりも大きい。また、筒状部42には、切込み44が設けられる。切込み44は、軸方向の他端側が開口する。軸方向の他端側とは、突起側、つば部41の反対側、または、
図6における下側である。換言すると、切込み44は、突起側(つば部41の反対側、または、
図6における下側)が開口する。切込み44は、側方から見て逆V字形状(三角形状)であり、切込み44の先端441と先端442とが離隔している。
図7に示すように、切込み44は、周方向に沿って等間隔に4つ配置される。ただし、本発明は、切込み44の数は特に限定されない。
【0025】
従って、留め具4に対してねじ3を回転させながら、ねじ3の雄ねじ33を留め具4の雌ねじ421に噛み合わせることにより、留め具4にねじ3を締結させることができる。ここで、
図8に示すように留め具4の筒状部42の軸方向の一方側(つば部側)からねじ3を噛み合わせることが可能であり、
図10に示すように留め具4の筒状部42の軸方向の他方側(突起側)からねじ3を噛み合わせることが可能である。このように、ねじ3は、留め具4の筒状部42の軸方向の両側から噛み合い可能である。
【0026】
また、
図9に示すように、留め具4の筒状部42の突起部43に対して、径方向内側に向く力を印加した場合、筒状部42が弾性変形し、切込み44における先端441と先端442とが近づく。すると、突起部43の外径が小さくなり、突起部43の外径が板材300の貫通孔310の内径よりも小さくなると、突起部43が貫通孔310を通過可能となる。そして、突起部43が貫通孔310を通過した後の状態では、切込み44における先端441と先端442とが離隔するため、突起部43の外径が板材300の貫通孔310の内径よりも大きくなる。これにより、板材300の貫通孔310に留め具4が装着される。この状態で、留め具4の筒状部42の軸方向の一方側(つば部側)からねじ3を噛み合わせることができる。なお、筒状部42の軸方向の長さは、板材300の厚さ以上である。
【0027】
図11は、第1嵌合部材を裏面側から見た模式的な平面図である。
図12は、第2嵌合部材を裏面側から見た模式的な平面図である。
図13は、腕金の貫通孔に、営巣防止具、第1嵌合部材および第2嵌合部材を固定した状態を示す側面図である。
図14は、腕金の貫通孔に、営巣防止具、第1嵌合部材および第2嵌合部材を固定した状態を示す側面図である。
【0028】
図11に示すように、第1嵌合部材5は、板状部材であり、プレート部50と、凸部51、52、53、54と、を備える。プレート部50は、左右方向に長く延びており、左右の両端が円弧形状である。凸部51、52、53、54は、円柱形状を有し、プレート部50の裏面から突出する。凸部51、52、53、54は、左右方向に等間隔で配置される。凸部52、53の周囲には、ミシン目55、56が設けられる。このミシン目55、56に沿ってプレート部50を容易に切断することが可能である。
【0029】
図12に示すように、第2嵌合部材6は、板状部材であり、プレート部60と、凸部61、62と、を備える。プレート部60は、左右方向に長く延びており、左右の両端が円弧形状である。凸部61、62は、円柱形状を有し、プレート部60の裏面から突出する。
【0030】
図13に示す腕金400の側板410には、貫通孔411、412、413が設けられる。貫通孔411、412、413は、例えば碍子などの設置に利用される。貫通孔413は、円形形状である。貫通孔411、412は、腕金400の延在方向に沿って延びる長孔である。
【0031】
貫通孔411には、第2嵌合部材6が嵌合される。前述のように、第2嵌合部材6には、裏面の左右両側に凸部61、62が設けられている。凸部61、62が貫通孔411の左右両端部に嵌合されることにより、貫通孔411が第2嵌合部材6で封止される。
【0032】
貫通孔412には、第1嵌合部材5が嵌合される。前述のように、第1嵌合部材5には、裏面に凸部51、52、53、54が設けられている。凸部51、52、53、54が貫通孔412に嵌合されることにより、貫通孔412が第1嵌合部材5で封止される。
【0033】
貫通孔413には、営巣防止具200が設けられる。
図9で説明したように、留め具4の筒状部42の突起部43に対して、径方向内側に向く力を印加して留め具4を貫通孔413に装着する。この状態で、留め具4の筒状部42の軸方向の一方側(つば部側)からねじ3の雄ねじ33を筒状部42の雌ねじ421に噛み合わせる。これにより、貫通孔413が営巣防止具200で封止される。なお、留め具4の筒状部42の軸方向の長さは、腕金400の側板410の厚さ以上である。
【0034】
また、
図14に示す腕金400においては、貫通孔412の端部にボルト420が貫通している。この場合、第1嵌合部材5のミシン目56(
図11参照)に沿ってプレート部50における、凸部54が固定された部分を切り離すことにより、第1嵌合部材5の左右長さを短くすることができる。これにより、貫通孔412の端部にボルト420が貫通している場合でも、貫通孔412のうちボルト420以外の部位を封止することができる。
【0035】
図15は、長尺部材を介して営巣防止シートを電柱の側面に巻き付けた状態を示す模式的な平面図である。
図1および
図2を用いて説明したように、営巣防止シート1には支持部材2が4つ設けられ、支持部材2の挿通孔28には、長尺部材470が挿通可能である。長尺部材470は、例えば樹脂バンドである。
図15に示すように、長尺部材470は、4つの支持部材2に挿通され、電柱460の側面の周囲に巻き付けられている。長尺部材470の端部471は、結合部材472を介して固定されている。
【0036】
また、電柱には、腕金400が固定されている。具体的には、ブラケット450が腕金400の長手方向の両端部にそれぞれ固定される。即ち、一対のブラケット450は、ボルト456、457を介して腕金400に固定される。ブラケット450には、接続部材451を介してバンド452が固定される。バンド452には、ボルト453を介してバンド454が連結される。バンド454の端部は、屈曲部455である。一対の屈曲部455同士は、ボルト456を介して締結される。即ち、腕金400の長手方向の両端部は、ブラケット450、接続部材451、バンド452およびバンド454を介して、電柱460の側面の周りに巻き付けられる。
【0037】
ここで、営巣防止シート1は、腕金400の上側に配置される。従って、腕金400の上側に図外の貫通孔が設けられる場合、当該貫通孔は、営巣防止シート1で覆われる。
【0038】
図16は、営巣防止具を介して連結した複数の営巣防止シートで電柱の側面を囲った状態を示す模式的な平面図である。本実施形態では、4枚の営巣防止シート1A、1B、1C、1Dで電柱460の周囲を取り囲み、腕金400の上板430を覆っている。営巣防止シート1A、1B、1C、1Dの構造は、前述した営巣防止シート1と同じである。電柱460の周方向に隣接する営巣防止シートの端部同士が重なる。ここで、周方向に隣接する一対の営巣防止シートについて、一方の営巣防止シートの端部に設けられたミシン目22と他方の営巣防止シートの端部に設けられたミシン目24とは、ともに破断されて貫通孔が形成されている。即ち、円形の封止部220、240がミシン目22、24で破断および除去されて貫通孔が開いている。そして、これらの貫通孔同士に営巣防止具200が貫通して設けられ、隣接する営巣防止シートの端部同士が営巣防止具200を介して連結される。これにより、4枚の営巣防止シート1A、1B、1C、1Dが連結された状態で電柱460の周囲を取り囲み、且つ、腕金400の上板430を覆っている。なお、
図16では、2つの腕金400が連結棒461を介して連結されている。また、留め具4の筒状部42の軸方向の長さは、2枚の営巣防止シートの厚さ以上である。
【0039】
図17は、
図1の営巣防止シートを折り曲げてストラップを覆った状態を示す模式的な側面図である。
図18は、
図17の平面図である。
【0040】
まず、営巣防止シート1を装着する耐張碍子500の構造を簡単に説明する。耐張碍子500は、前側連結部510と、第1本体部520と、第2本体部530と、後側連結部540と、ストラップ560と、を備える。
【0041】
第1本体部520は、前端部に前側連結部510を有する。前側連結部510の貫通孔にはコッターピン550が嵌合されている。ストラップ560は、前側連結部510にコッターピン550を介して連結されている。ストラップ560の前端部561、562は腕金400に固定されている。第2本体部530は、第1本体部520の後側に固定される。第2本体部530は、略円柱形状を有する。第2本体部530の最大径は、第1本体部520の最大径よりも大きい。後側連結部540は、第2本体部530の後側に固定され後方に延びている。
【0042】
図17および
図18においては、
図1に示す営巣防止シート1を、折れ線162および折れ線163を境にして折り曲げている。この折り曲げた状態では、
図17に示すように、営巣防止シート1を側方から見た状態で、第1辺12と第2辺13とが重なり、また、第4辺17と第5辺18とが重なっている。そして、ミシン目21とミシン目23は、ともに破断されて貫通孔が開いている。即ち、ミシン目21、23が破断されて円形の封止部210、230が除去されることにより、貫通孔が形成されている。そして、これらの貫通孔に営巣防止具200が設けられており、これにより、営巣防止シート1が折り曲げられて対向する部位同士が営巣防止具200を介して連結される。この営巣防止具200が設けられる部位は、
図17に示すように、ストラップ560における前端部561と前端部562との間に位置する。従って、当該部位が営巣防止具200を介して連結されることにより、折り曲げられた状態の営巣防止シート1がストラップ560の上部に支持されて営巣防止シート1の位置ずれが抑制される。
【0043】
また、
図17に示すように、ミシン目22とミシン目24は、ともに破断されて貫通孔が開いている。即ち、ミシン目22、24が破断されて円形の封止部220、240が除去されることにより、貫通孔が形成されている。そして、これらの貫通孔に営巣防止具200が設けられており、これにより、営巣防止シート1が折り曲げられて対向する部位同士が営巣防止具200を介して連結される。この営巣防止具200が設けられる部位は、
図17に示すように、ストラップ560の下部に位置する。従って、当該部位が営巣防止具200を介して連結されることにより、折り曲げられた状態の営巣防止シート1がストラップ560の下部に支持されて営巣防止シート1の位置ずれが抑制される。また、
図18に示すように、折れ線162と折れ線163とは離隔されているため、折れ線162と折れ線163との間の部位でストラップ560の上側を覆うことができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る営巣防止具200は、ねじ(ピン)3と、留め具4と、を備える。ねじ(ピン)3は、外周に雄ねじ33が設けられるねじ部32と、ねじ部32の軸方向の端部に固定される頭部31と、を有する。留め具4は、ねじ部32の雄ねじ33に噛み合い可能な雌ねじ421が内周に設けられる筒状部42と、筒状部42の軸方向の一端から径方向の外側に延びるつば部41と、筒状部42の軸方向の他端から径方向の外側に突出する突起部43と、を有する。ねじ(ピン)3のねじ部32は、留め具4の筒状部42の軸方向の一方側と他方側との両側から噛み合い可能である。
【0045】
これによれば、腕金400の上面や側面などに設けられる貫通孔413に予め留め具4を固定しておき、留め具4の軸方向の一方側からねじ3を噛み合わせることにより、当該貫通孔413を封止することが可能である。特に、留め具4は、つば部41を備えるため、腕金400の上面や側面につば部41が接することによって、つば部がない場合よりも貫通孔413の封止がより確実になる。また、
図16で説明したように、営巣防止具200は、それぞれ貫通孔が設けられた2枚の営巣防止シート1A、1B、1C、1Dを連結するための締結部材としても使用することが可能である。即ち、2枚の営巣防止シートの一方のシートの貫通孔に予め留め具4を固定しておき、他方のシートの貫通孔からねじ3を挿入して、留め具4の軸方向の他方側からねじ3を噛み合わせることにより、2枚の営巣防止シートを営巣防止具200で連結することが可能である。さらに、
図17で説明したように、貫通孔を有する営巣防止シート1を折れ線162、163を境にして折り曲げて碍子等を覆った状態で、対向する一方のシートの貫通孔に予め留め具4を固定しておき、対向する他方のシートの貫通孔からねじ3を挿入して、留め具4の軸方向の他方側からねじ3を噛み合わせることにより、営巣防止シート1の対向する部位を営巣防止具200で連結することが可能である。
【0046】
また、留め具4の筒状部42には、軸方向の他端側が開口する切込み44が設けられる。留め具4の突起部43に対して、径方向内側に向く力を印加した場合、筒状部42が弾性変形し、切込み44の先端側の間隙が小さくなり突起部43の外径も小さくなる。これにより、留め具4を装着する腕金400等の貫通孔を通過可能となる。そして、突起部43が貫通孔を通過した後の状態では、切込み44の先端側の間隙が大きくなり貫通孔に留め具4が装着される。このように、簡単な作業で腕金400等の貫通孔に留め具4を装着することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1、1A、1B、1C、1D 営巣防止シート
11 曲線部分
12 第1辺
13 第2辺
15 第3辺
17 第4辺
18 第5辺
2 支持部材
21、22、23、24 ミシン目
25、26 側板
27 天板
28 挿通孔
3 ねじ(ピン)
31 頭部
32 ねじ部
33 雄ねじ
34 十字溝
4 留め具
41 つば部
42 筒状部
43 突起部
44 切込み
5 第1嵌合部材
50 プレート部
51、52、53、54 凸部
55、56 ミシン目
6 第2嵌合部材
60 プレート部
61、62 凸部
100 シート部材
121、122 端
131、132 端
154、155 直線部分
161、162、163 折れ線
171 端
181 端
200 営巣防止具
210、220、230、240 封止部
300 板材
310 貫通孔
400 腕金
410 側板
411、412、413 貫通孔
420 ボルト
421 雌ねじ
430 上板
441、442 先端
450 ブラケット
451 接続部材
452 バンド
453 ボルト
454 バンド
455 屈曲部
456、457 ボルト
460 電柱
461 連結棒
470 長尺部材
471 端部
472 結合部材
500 耐張碍子
510 前側連結部
520 第1本体部
530 第2本体部
540 後側連結部
550 コッターピン
560 ストラップ
561、562 前端部