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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081290
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】ポータブル殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220524BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A61L2/10
E05B1/00 311P
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192735
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】515231438
【氏名又は名称】株式会社KURA
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草野 智
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058AA24
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD12
4C058DD16
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK33
(57)【要約】
【課題】特に不特定多数が触れるドアの把手をはじめとして、エレベータや電話機等の操作ボタン、現金自動預け払い機や券売機等に代表される各種電子端末のタッチパネルなど、どのような所にも容易に取付け及び取外しのできるポータブル殺菌装置を提供する。
【解決手段】一方向に紫外線を照射する紫外線照射手段10と、殺菌対象Nを有する物体Dに着脱自在に取り付けられるとともに、紫外線照射手段10を、紫外線の照射方向が殺菌対象Nに向くように保持する保持手段20とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に紫外線を照射する紫外線照射手段と、
殺菌対象を有する物体に着脱自在に取り付けられるとともに、前記紫外線照射手段を、前記紫外線の照射方向が前記殺菌対象に向くように保持する保持手段と、
を備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポータブル殺菌装置であって、
前記物体に固定又は着脱自在に取り付けられるとともに、前記紫外線照射手段から照射される紫外線及び前記殺菌対象で反射される紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽手段をさらに備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポータブル殺菌装置であって、
前記紫外線照射手段は、前記保持手段に着脱自在とされたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
人感検知手段と、この人感検知手段により前記物体への人体の接離が検知されると前記紫外線照射手段の起動、停止を制御する制御手段とをさらに備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
前記紫外線照射手段は、UVランプを備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
前記紫外線照射手段は、紫外線LEDランプを備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
前記紫外線照射手段は、商用電源又は電池のいずれか一方により給電されることを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
前記物体がドアである場合に、前記保持手段は前記ドアの上辺に係止可能な係止部を備えるとともに、前記殺菌対象である前記ドアのドアノブの近傍に前記紫外線照射手段を配置させるに足る垂下部を備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
前記物体がドアである場合に、前記保持手段は前記ドアの表面において前記殺菌対象である該ドアのドアノブの近傍に取着される取付部を備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブル殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
21世紀に入って、2002年に重症急性呼吸器症候群(SARS)、次いで2012年には中東呼吸器症候群(MERS)、そして2019年には新型コロナウィルス感染症(COVID-19)といった過去に類を見ない感染症が登場した。特に最近の新型コロナウィルス感染症に至っては2020年にパンデミックを引き起こし、今なお全世界において感染者数及び死亡者数は増加の一途を辿っている。
【0003】
このような感染症の感染ルートとしては、主に飛沫感染や接触感染が挙げられている。飛沫感染については、マスクの装着や室内換気が有効な対策とされている。一方、接触感染については、石鹸や薬液を使用した手指の洗浄、また人が触れる箇所の消毒が有効とされている。このうち、後者については、特に不特定多数が触れるドアの把手をはじめとして、エレベータや電話機等の操作ボタン、現金自動預け払い機や券売機等に代表される各種電子端末のタッチパネルなどに対して使用の都度消毒することなど到底望めないことから、有効な対策が打たれていないのが実情である。
【0004】
そこで従来、紫外線ランプを用いた殺菌装置が種々提案されている。
【0005】
ドア用のものとしては、例えば、特許文献1には、ドアが設けられた壁体の取手側方位置に取付けられた消毒手段と、前記消毒手段による前記取手の消毒を可能とする前記ドア側の消毒位置と前記ドアの開閉を可能とする前記壁体側の退避位置との間で前記消毒手段を移動させる往復移動手段と、前記退避位置で前記消毒手段を覆うカバー部と、前記ドアへの人の接近を検知する人感センサとを備えたドア用取手消毒装置が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、ドアノブを囲むように取り付けられ、カバー体の前面に操作用の開口部を有し、カバー体内で殺菌ランプがドアノブ表面を照射し、ドアノブ表面の菌を殺菌するドアノブ用殺菌装置が提案されている。
【0007】
一方、電子端末のタッチパネル用のものとしては、例えば、特許文献3には、入力装置のうちの対象領域の一部に、微生物を不活性化させる光を照射するランプ部と、前記ランプ部を前記対象領域に沿って移動させる駆動部とを備える殺菌装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6426322号公報
【特許文献2】特開2003-307049号公報
【特許文献3】特開2018-7929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1や2に提案されている殺菌装置によれば、ドアノブの殺菌を行うことができるが、それぞれ次のような問題点がある。
【0010】
まず、特許文献1の殺菌装置では、ドアが設けられた壁体の取手側方位置に消毒手段を設け、その消毒手段を往復移動手段により取手の消毒を可能とするドア側の消毒位置と、ドアの開閉を可能とする壁体側の退避位置との間で移動させる構成としているため、構造が複雑であり、取付作業が煩瑣である。また、往復移動手段に故障が発生し、消毒手段が消毒位置から退避できなくなるとドアの開閉が不可能になるといった問題があった。さらに、殺菌装置が不要となった場合に、容易に取り外すことができず、取り外せても壁体に取付跡が残り、壁体の意匠性を損ねるといった問題があった。
【0011】
また、特許文献2の殺菌装置では、ドアノブを周囲から囲むように取り付けるものであるから、ドアノブを操作する際、手を殺菌装置内に差し込む必要がある。このため、殺菌装置自体がドアノブ操作の邪魔になり、使い勝手が悪いといった問題があった。
【0012】
次に、特許文献3に提案されている殺菌装置によれば、電子端末のタッチパネル表面を殺菌することができる。しかしながら、電子端末専用とされているため、例えばドアノブの殺菌に使用するなど、転用が利かないといった問題があった。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、特に不特定多数が触れるドアの把手をはじめとして、エレベータや電話機等の操作ボタン、現金自動預け払い機や券売機等に代表される各種電子端末のタッチパネルなど、どのような所にも容易に取付け及び取外しのできるポータブル殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のポータブル殺菌装置は、一方向に紫外線を照射する紫外線照射手段と、殺菌対象を有する物体に着脱自在に取り付けられるとともに、前記紫外線照射手段を、前記紫外線の照射方向が前記殺菌対象に向くように保持する保持手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
この特定事項により、保持手段を備えていることから、ドアの把手をはじめとして、エレベータや電話機等の操作ボタン、現金自動預け払い機や券売機等に代表される各種電子端末のタッチパネルなど、どのような所にも容易に取付け及び取外しをすることができる。
【0016】
また、本発明のポータブル殺菌装置は、物体に固定又は着脱自在に取り付けられるとともに、紫外線照射手段から照射される紫外線及び殺菌対象で反射される紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽手段をさらに備えたものであってもよい。
【0017】
この特定事項により、殺菌装置に近寄った人の目に紫外線が不測に入るようなことがなく、安全性を確保することができる。
【0018】
また、本発明のポータブル殺菌装置にあっては、前記紫外線照射手段は、前記保持手段に着脱自在とされていてもよい。
【0019】
この特定事項により、紫外線照射手段のメンテナンスをする場合や、一時的に殺菌対象の殺菌を休止する場合に、紫外線照射手段を保持手段から取り外したり取り付けたりすることができる。
【0020】
また、本発明のポータブル殺菌装置は、人感検知手段と、この人感検知手段により物体への人体の接離が検知されると紫外線照射手段の起動、停止を制御する制御手段とをさらに備えたものであってもよい。
【0021】
この特定事項により、人が物体から離れるか、又は物体の周囲にいないことを検知すると、紫外線照射手段が起動し殺菌対象に紫外線が照射されて殺菌が行われる。そして紫外線照射が一定時間行われると自動的に紫外線照射手段が停止する。したがって、紫外線照射手段が電池で駆動するタイプのものである場合、電池の消耗を防ぐことができるとともに、物体から離れた所にいる人に紫外線が届いてしまう時間を極力短くすることができるので安全性を確保することができる。また、紫外線照射手段が起動中に人が物体に近づいた場合、紫外線照射手段を停止するようにした場合、殺菌対象に触れた人の手に直接紫外線が照射されるのを防止することができるので、安全性を確保することができる。
【0022】
また、本発明のポータブル殺菌装置にあっては、紫外線照射手段は、UVランプであってもよいし、紫外線LEDランプであってもよい。
【0023】
この特定事項により、ランプの種類を殺菌対象や給電事情に応じて選択することができる。
【0024】
また、本発明のポータブル殺菌装置にあっては、紫外線照射手段は、商用電源又は電池のいずれか一方により給電されるようにしたものであってもよい。なお、電池は、一次電池、二次電池のいずれであってもよく、さらには太陽電池であってもよい。
【0025】
この特定事項により、殺菌対象の環境に応じて給電手段を選択することができる。
【0026】
また、本発明のポータブル殺菌装置は、物体がドアである場合に、保持手段はドアの上辺に係止可能な係止部を備えるとともに、殺菌対象であるドアのドアノブの近傍に紫外線照射手段を配置させるに足る垂下部を備えたものが好ましい。
【0027】
この特定事項により、殺菌装置の装着は、係止部をドアの上辺に係止するだけでよいため、既設のドアにも容易に取り付けたりまた取り外したりすることができる。また、ドアや壁に取付け跡を残すことがないので、ドアや壁の意匠を損なう虞がない。
【0028】
また、本発明のポータブル殺菌装置は、物体がドアである場合に、保持手段はドアの表面において殺菌対象である該ドアのドアノブの近傍に取着される取付部を備えたものであってもよい。
【0029】
この特定事項により、ドアが引き戸であっても殺菌装置を取り付けることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、特に不特定多数が触れるドアの把手をはじめとして、エレベータや電話機等の操作ボタン、現金自動預け払い機や券売機等に代表される各種電子端末のタッチパネルなど、どのような所にも容易に取付け及び取外しのできるポータブル殺菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態におけるポータブル殺菌装置をドアに取り付けた例を示す斜視図である。
図2図1に示す取り付け例の一部破断断面図である。
図3】ドアへの他の取付例を示す斜視図である。
図4】ドアへのさらに他の取付例を示す斜視図である。
図5】ドアへのさらに他の取付例を示す斜視図である。
図6】ドアへのさらに他の取付例を示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態におけるポータブル殺菌装置をドアに取り付けた例を示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施形態におけるポータブル殺菌装置を電話機に取り付けた例を示す斜視図である。
図9図8の例の変形例を示す斜視図である。
図10図8の例の他の変形例を示す斜視図である。
図11図8に示すポータブル殺菌装置をタッチパネルを備えた電子端末に取り付けた例を斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態について図を参照して説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態におけるポータブル殺菌装置を建物用のドアDに取り付けた例を示す斜視図である。なお、この実施形態では、ドアDが請求項でいうところの物体であり、そのドアのドアノブNが請求項でいうところの殺菌対象である。
【0034】
このポータブル殺菌装置1は、一方向に紫外線を照射する紫外線照射手段10と、殺菌対象であるドアノブNを有するドアDに着脱自在に取り付けられるとともに、紫外線照射手段10を、紫外線の照射方向がドアノブNに向くように保持する保持手段20と、を備えたものである。
【0035】
紫外線照射手段10は、一側面が開口部12(図2参照)とされた多角柱状の筐体11と、この筐体11内に装備された紫外線LEDランプと、この紫外線LEDランプに給電する電池と、紫外線LEDランプと電池との間に介装された回路基板とを備えたものである。なお、紫外線LEDランプ、電池及び回路基板については図示を省略しているが、それらの具体的な構成例としては、例えば特開2006-175041号公報や特開平10-290825号公報等に開示された紫外線発光装置のものを好適に採用することができる。
【0036】
筐体11は、金属製であり、その内面が紫外線LEDランプから発される紫外線を反射する反射面とされている。紫外線LEDランプから発される紫外線及びその反射光は、筐体11の開口部12から一方向に照射される。
【0037】
保持手段20は、長尺のベルト状板片から構成されたものである。図2に示すように、この板片21の上端には、ドアDの上辺に係止可能な係止部22が屈曲形成される一方、下端には、紫外線照射手段10を支持する支持部23が設けられている。係止部22から支持部23に連続する垂下部24は、ドアノブNの近傍に紫外線照射手段10を配置させるに足る長さとされている。また、少なくとも係止部22は、ドアDの上辺と戸枠Fとの隙間に余裕をもって挿入可能な厚みとされている。このようになる保持手段20を構成する板片21としては、金属製であっても合成樹脂製であってもよい。
【0038】
保持手段20は上記のような構成とされているので、ポータブル殺菌装置1の装着は、係止部22をドアDの上辺に係止するだけで済む。したがって、既設のドアにも容易に取り付けたりまた取り外したりすることができる。また、ドアや壁に取付け跡を残すことがないので、ドアや壁の意匠を損なう虞がない。
【0039】
図1に示す取付例にあっては、親子ドアの親側のドアD1にポータブル殺菌装置1を取り付けているが、図3に示すように、子側のドアD2に取り付けてもよい。このような親子ドアの場合、室外側ではポータブル殺菌装置1を親側のドアD1に、室内側ではポータブル殺菌装置1を子側のドアD2に取り付けるようにすれば、室外側の保持手段20と室内側の保持手段20とがドアの上辺で互いに干渉するのを防ぐことができる。
【0040】
保持手段20の支持部23は、紫外線照射手段10の筐体11の底面を受ける受部25を備えている。この受部25は、板片を鈎状に形成したもので、垂下部24の下端部に枢着されており、垂下部24の幅方向に揺動自在とされている。
【0041】
上記のようになる保持手段20の支持部23において、紫外線照射手段10は受部25に載置される形で搭載される。このとき、紫外線照射手段10が支持部23から落下しないよう、紫外線照射手段10の筐体11も保持手段20も磁性金属製であれば、両者間に磁石を介装することにより相互に磁着するようにしておくのが好ましい。また、保持手段20が例えば合成樹脂製である場合は、両者を面ファスナで固定するようにしておけばよい。さらに、支持部23を上面が開口したポケット状としておけば、支持部23に紫外線照射手段10を上から差し入れるだけで済む。
【0042】
ここで、紫外線照射手段10の筐体11が多角柱状であると、その一面を保持手段20の垂下部24の表面に安定的に沿わせることができるため、筐体11の開口部12をドアノブNに向けた状態を容易に維持することができる。なお、紫外線照射手段10の筐体11の形態はこの例に限るものでなく、例えば、四角柱状や三角柱状でもよい。さらに横断面が競技場のトラック形状を模した柱状体であってもよい。
【0043】
図4は、ポータブル殺菌装置1を、トイレのドアに取り付けた例を示す。この例でも図1乃至3に示した例と同様、保持手段20の係止部22をドアDの上辺に係止することで、ドアDのスライド鍵Kに紫外線の照射方向が向くように紫外線照射手段10が配置されることとなる。
【0044】
図5は、図4に示したトイレにおいて、戸当たりS側にポータブル殺菌装置1を取り付けた例を示す。保持手段20は上述したようにベルト状板片から構成されているため、戸当たりSが細幅のものであっても難なくポータブル殺菌装置1を適所に取り付けることができる。ここで、紫外線照射手段10の高さレベルを調整する場合は、筐体11と板片21とが磁着されているならば、紫外線照射手段10を保持手段20の受部25から外して上方にずらすなどするとよい。
【0045】
図6は、ポータブル殺菌装置1を、ビルのエントランスドアDに取り付けた例を示す。この例でも図1乃至5に示した例と同様、保持手段20の係止部22をドアDの上辺に係止することで、ドアDのバーBに紫外線の照射方向が向くように紫外線照射手段10が配置されることとなる。ここで、ポータブル殺菌装置1は、保持手段20により、謂わばドアDに吊下された状態で取り付けられるため、この例のように、殺菌対象が上下に長いバーBであっても、人が最も触れる箇所を殺菌することができる。
【0046】
なお、このようなドアの場合、室外側と室内側の両方にポータブル殺菌装置1を設けようとすると、2台のポータブル殺菌装置1がドアDを挟んで対峙することになる。その場合は、一枚の長尺の板片を門形に屈曲し、その両端部にそれぞれ受部25を設けた保持手段20を採用することができる。
【0047】
図7は、本発明に係るポータブル殺菌装置1の他の実施形態を示し、この例では、保持手段20を、ドアノブNの周囲を囲繞する矩形の枠体26で形成し、その上辺側に紫外線照射手段10を取り付け、紫外線がその下方に位置するドアノブNに向かうようにしている。枠体26への紫外線照射手段10の取付手段は、上記の例と同様である。また、下辺側には、紫外線照射手段10から照射される紫外線及びドアノブNで反射される紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽手段30を設けている。紫外線遮蔽手段30は、この例では紫外線照射手段10と略同じ投影面積を有する板片31で構成している。ここで、ドアDが磁着可能な材質のものであれば、枠体26を磁石を介して着脱自在に取り付けることができる。この例では、紫外線照射手段10と紫外線遮蔽手段30とがドアノブNを挟んで対峙しており、ドアノブNの左右は開放されているので、ポータブル殺菌装置がドアノブNの操作の邪魔になる虞はない。
【0048】
図8は、本発明に係るポータブル殺菌装置1を電話機Tに取り付けた例を示している。この例では、保持手段20は、電話機Tが載置される載置板29と、この載置板29の一端縁から立ち上げられた立ち上げ板27と、立ち上げ板27の上端から電話機T側に延設されたオーバーハング部28とから構成されている。紫外線照射手段10はこのようになる保持手段20のオーバーハング部28の下面に、筐体11の開口部12が電話機Tの受話器R及び操作ボタンMに臨むように着脱自在に設けている。これにより、電話機Tの受話器R及び操作ボタンMの両方が紫外線により殺菌される。
【0049】
図9は、図8に示したポータブル殺菌装置1に紫外線遮蔽手段30を設けた例を示している。この例では、載置版29の他端縁から電話機Tの上方側へ屈曲された屈曲板32により紫外線遮蔽手段30を構成している。
【0050】
図10は、図8に示したポータブル殺菌装置1の他の取り付け例を示している。この例では、ポータブル殺菌装置1の電話機Tに対する取り付け方向を図8に示した例から90°回転させている。この場合、保持手段20の立ち上げ板27が、受話器Rの側方に位置しないことになるため、受話器Rの側方が開放される。したがって、受話器Rの電話機T本体に対する着脱操作が、図8の例に比べてし易くなる。
【0051】
図11は、本発明に係るポータブル殺菌装置1を、タッチパネルPを備えた電子端末Eに取り付けた例を示している。この例でも、保持手段20は、電子端末Eが載置される載置板29と、この載置板29の一端縁から立ち上げられた立ち上げ板27と、立ち上げ板27の上端から電子端末E側に延設されたオーバーハング部28とから構成されている。紫外線照射手段10はこのようになる保持手段20のオーバーハング部28の下面に、筐体11の開口部12が電子端末EのタッチパネルPに臨むように着脱自在に設けている。これにより、電子端末EのタッチパネルPが紫外線により殺菌される。また、載置板29の他端縁からは、電子端末EのタッチパネルPの上方側へ屈曲された屈曲板32が立ち上げ形成されており、この屈曲板32が紫外線遮蔽手段30を構成している。
【0052】
図8乃至図11に示した例では、ポータブル殺菌装置1は、その保持手段20の載置板29に殺菌対象(電話機や電子端末)を載置するだけでよいため、載置板29に載置できる大きさの機器であれば、どのような種類の機器でも手軽に殺菌することができる。
【0053】
以上説明したポータブル殺菌装置1にあっては、最近の研究で波長が222nmの紫外線は人体の皮膚を透過することがなく、皮下組織にダメージを与える虞がなくて安全性に優れていることが発表されていることから、この波長の紫外線を照射する紫外線照射手段10を採用すると、紫外線遮蔽手段30を省くことができる。
【0054】
なお、上記の例では、紫外線照射手段10は電池により給電されるものであるが、商用電源により給電されるタイプのものであってもよい。また、電池を採用する場合は、一次電池、二次電池のいずれであってもよく、さらには太陽電池であってもよい。太陽電池を採用する場合は、例えば、保持手段20の垂下部24の前面に、太陽電池モジュールを、該前面の全域或いは任意の範囲に添設するとよい。特に、図6に示した例のように、屋外に露出してポータブル殺菌装置1が設けられる場合に、太陽電池を採用すると、節電に効果的である。
【0055】
また、本発明に係るポータブル殺菌装置1は、人感検知手段と、この人感検知手段により物体への人体の接離が検知されると紫外線照射手段の起動、停止を制御する制御手段とをさらに備えたものであってもよい。
【0056】
物体がドアの場合は、自動ドアの人感センサと同様、出入口の近傍に人感検知手段(人感センサ)を設けるとよい。また、物体が電話機や電子端末の場合は、保持手段20の適所に人感センサを設けるとよい。この場合、制御手段は、紫外線照射手段10内の回路基板上に実装するとよい。
【0057】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0058】
1 ポータブル殺菌装置
10 紫外線照射手段
11 筐体
12 開口部
20 保持手段
21 板片
22 係止部
23 支持部
24 垂下部
25 受部
26 枠体
30 紫外線遮蔽手段
31 板片
32 載置板
33 立ち上げ板
34 オーバーハング部
35 屈曲板
D ドア(物体)
N ドアノブ(殺菌対象)
K スライド鍵(殺菌対象)
B バー(殺菌対象)
T 電話機(物体)
R 受話器(殺菌対象)
M 操作ボタン(殺菌対象)
E 電子端末(物体)
P タッチパネル(殺菌対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に紫外線を照射する紫外線照射手段と、
ドアに着脱自在に取り付けられるとともに、前記紫外線照射手段を、前記紫外線の照射方向が前記ドアのドアノブに向くように保持する保持手段と、を備え、
前記保持手段は、
前記ドアの上辺に係止可能な係止部と、
前記紫外線照射手段を支持する支持部と、
前記係止部から前記支持部に連続する垂下部と、を備え、
前記垂下部は、前記ドアノブの近傍に前記紫外線照射手段を配置させるに足る長さとされたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポータブル殺菌装置であって、
前記紫外線照射手段は、前記保持手段に着脱自在とされたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポータブル殺菌装置であって、
人感検知手段と、この人感検知手段により前記ドアへの人体の接離が検知されると前記紫外線照射手段の起動、停止を制御する制御手段とをさらに備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
前記紫外線照射手段は、UVランプを備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
前記紫外線照射手段は、紫外線LEDランプを備えたことを特徴とするポータブル殺菌装置。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか一つに記載のポータブル殺菌装置であって、
前記紫外線照射手段は、商用電源又は電池のいずれか一方により給電されることを特徴とするポータブル殺菌装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、特に不特定多数が触れるドアに容易に取付け及び取外しのできるポータブル殺菌装置を提供することを目的とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のポータブル殺菌装置は、一方向に紫外線を照射する紫外線照射手段と、ドアに着脱自在に取り付けられるとともに、前記紫外線照射手段を、前記紫外線の照射方向が前記ドアのドアノブに向くように保持する保持手段と、を備え、前記保持手段は、前記ドアの上辺に係止可能な係止部と、前記紫外線照射手段を支持する支持部と、前記係止部から前記支持部に連続する垂下部と、を備え、前記垂下部は、前記ドアノブの近傍に前記紫外線照射手段を配置させるに足る長さとされたことを特徴とするものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
この特定事項により、殺菌装置の装着は、係止部をドアの上辺に係止するだけでよいため、既設のドアにも容易に取り付けたりまた取り外したりすることができる。また、ドアや壁に取付け跡を残すことがないので、ドアや壁の意匠を損なう虞がない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
この特定事項により、人がドアから離れるか、又はドアの周囲にいないことを検知すると、紫外線照射手段が起動し殺菌対象に紫外線が照射されて殺菌が行われる。そして紫外線照射が一定時間行われると自動的に紫外線照射手段が停止する。したがって、紫外線照射手段が電池で駆動するタイプのものである場合、電池の消耗を防ぐことができるとともに、ドアから離れた所にいる人に紫外線が届いてしまう時間を極力短くすることができるので安全性を確保することができる。また、紫外線照射手段が起動中に人がドアに近づいた場合、紫外線照射手段を停止するようにした場合、殺菌対象に触れた人の手に直接紫外線が照射されるのを防止することができるので、安全性を確保することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明によれば、特に不特定多数が触れるドアに容易に取付け及び取外しのできるポータブル殺菌装置を提供することができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
図1】本発明の一実施形態におけるポータブル殺菌装置をドアに取り付けた例を示す斜視図である。
図2図1に示す取り付け例の一部破断断面図である。
図3】ドアへの他の取付例を示す斜視図である。
図4】ドアへのさらに他の取付例を示す斜視図である。
図5】ドアへのさらに他の取付例を示す斜視図である。
図6】ドアへのさらに他の取付例を示す斜視図である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
図1は、本発明の一実施形態におけるポータブル殺菌装置を建物用のドアDに取り付けた例を示す斜視図である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
以上説明したポータブル殺菌装置1にあっては、最近の研究で波長が222nmの紫外線は人体の皮膚を透過することがなく、皮下組織にダメージを与える虞がなくて安全性に優れていることが発表されていることから、この波長の紫外線を照射する紫外線照射手段を採用するとよい
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
また、本発明に係るポータブル殺菌装置1は、自動ドアの人感センサと同様、出入口の近傍に人感検知手段(人感センサ)を設け、この人感検知手段によりドアへの人体の接離が検知されると紫外線照射手段の起動、停止を制御する制御手段とをさらに備えたものであってもよい。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正24】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正25】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正26】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正27】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正28】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】削除
【補正の内容】