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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081293
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】保護バンド
(51)【国際特許分類】
   B65D 59/00 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
B65D59/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192740
(22)【出願日】2020-11-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年11月10日から11月11日に、出荷場所「YKK AP株式会社滑川製造所」から荷受け場所「YKK AP株式会社神奈川工場」間で行われた輸送試験
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 創一
(72)【発明者】
【氏名】高下 直人
(72)【発明者】
【氏名】開沢 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】谷口 圭太
(72)【発明者】
【氏名】有澤 克規
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA64
3E066CA01
3E066CA12
3E066CB03
3E066GA01
3E066KA02
3E066KA05
3E066NA29
(57)【要約】
【課題】様々な形状の部材を保護することができ、かつ、繰り返し利用する場合のコストを低減できる保護バンドを提供する。
【解決手段】保護バンド1は、ベルト10と、保護シート20とを備え、被保護部材に巻き付け可能な保護バンドである。ベルト10は、第1の面ファスナー12を有するベルト本体部11と、被保護部材に巻き付けた状態で第1の面ファスナー12に係合可能な第2の面ファスナーを有する先端部15と、保護シート20に係止可能な係止部18とを有する。保護シート20は、ベルト10が挿入可能なスリット21を有し、ベルト10に対して交換可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトと、保護材とを備え、被保護部材に巻き付け可能な保護バンドであって、
前記ベルトは、第1の係合部と、前記被保護部材に巻き付けた状態で前記第1の係合部に係合可能な第2の係合部と、前記保護材に係止可能な係止部とを有し、
前記保護材は、前記ベルトが挿入可能なスリットを有し、前記ベルトに対して交換可能に設けられたことを特徴とする保護バンド。
【請求項2】
請求項1に記載の保護バンドにおいて、
前記ベルトは、前記ベルトの長手方向に伸縮可能に構成されている
ことを特徴とする保護バンド。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の保護バンドにおいて、
前記保護材の幅方向の寸法は、前記ベルトの幅方向の寸法よりも大きいことを特徴とする保護バンド。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の保護バンドにおいて、
前記第1の係合部は、第1の面ファスナーで構成され、
前記第2の係合部は、前記第1の面ファスナーに着脱可能な第2の面ファスナーで構成される
ことを特徴とする保護バンド。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の保護バンドにおいて、
前記スリットは、前記保護材の幅方向の両端部が円弧状に形成されている
ことを特徴とする保護バンド。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の保護バンドにおいて、
前記ベルトは、前記第1の係合部が設けられたベルト本体部と、前記ベルト本体部の一端に設けられて前記第2の係合部が設けられた先端部と、前記ベルト本体部の他端に設けられて前記保護材に係止可能な前記係止部とを有する
ことを特徴とする保護バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建具枠のコーナー部分などに巻かれて保護する保護バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
建具枠を出荷する際に、建具枠のコーナー部を保護する保護材を装着して出荷している。この保護材として、コーナー部の外側面を覆う基部と、コーナー部の両側面を覆う2つの側片と、一方の側片からコーナー部の内側面を経て他方の側片まで延在される舌片とを衝撃吸収素材で一体に形成し、コーナー部への取付け時に舌片を他方の側片に掛け渡してテープ止めする保護材が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-17561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記保護材は、建具枠の出荷先の施工現場などでコーナー部から取り外される。この保護材は使い捨てとなるため、廃棄すると、施工現場での廃棄物量が増大する。
このため、保護材を繰り返し利用することで、施工現場での廃棄物量を削減し、保護材の使用コストも低減することが求められている。
しかしながら、前記保護材を繰り返し利用する場合、特にコーナー部の外側面を覆う基部が損傷しやすい。基部は、側壁、舌片と一体に形成されるため、基部のみが損傷した場合でも、保護材自体を廃棄する必要があり、保護材の使用コストを十分に低減できなかった。
また、前記保護材は、建具枠のコーナー部専用に用いられ、様々な形状に対応する汎用性も備えていない。
本発明の目的は、建具枠のコーナー部分だけでなく、様々な形状の部材を保護することができ、かつ、繰り返し利用する場合のコストを低減できる保護バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の保護バンドは、ベルトと、保護材とを備え、被保護部材に巻き付け可能な保護バンドであって、前記ベルトは、第1の係合部と、前記被保護部材に巻き付けた状態で前記第1の係合部に係合可能な第2の係合部と、前記保護材に係止可能な係止部とを有し、前記保護材は、前記ベルトが挿入可能なスリットを有し、前記ベルトに対して交換可能に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の保護バンドによれば、建具枠のコーナー部分だけでなく、様々な形状の部材を保護することができ、かつ、繰り返し利用する場合のコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】保護バンドの表面側を示す平面図である。
図2】保護バンドの裏面側を示す平面図である。
図3】保護バンドを示す側面図である。
図4】保護バンドを示す分解斜視図である。
図5】保護バンドの巻き付け手順を示す図である。
図6】保護バンドの巻き付け手順を示す図である。
図7】保護バンドの巻き付け手順を示す図である。
図8】保護バンドの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の保護バンド1は、図1図3に示すように、ベルト10と、保護材である保護シート20とを備える。ここで、図1は保護バンド1の表面側を示す図であり、図2は保護バンド1の裏面側を示す図である。なお、保護バンド1を被保護部材に巻き付けた際に、被保護部材側に面する内面を裏面とし、外側に露出する外面を表面とする。
【0009】
ベルト10は、ベルト本体部11と、先端部15と、係止部18とを備える。ベルト本体部11は、帯状に形成され、ベルト本体部11の表面11Aの全体に、第1の係合部である第1の面ファスナー12が設けられている。第1の面ファスナー12は、雌型結合素子である複数のループ部材を備えた雌型面ファスナーである。また、第1の面ファスナー12は、伸縮性を有する合成樹脂がコーティングされており、ベルト本体部11は伸縮性を有する。このため、ベルト本体部11を有するベルト10は、ベルト本体部11が伸縮するため、ベルト10の長手方向に伸縮可能に構成されている。
ベルト本体部11のサイズは、被保護部材の寸法に合わせて設定すればよい。一例を挙げれば、長手方向の寸法は540mm、長手方向に直交する幅方向の寸法は50mm、厚さ寸法は1mmである。なお、長手方向の寸法は、ベルト本体部11に力を加えていない状態での寸法である。このベルト本体部11は、作業者が引っ張ることなどで長手方向に力を加えると、長手方向の寸法が1.2~1.3倍程度伸びるが、加えていた力を解除すると元の長さに縮むように収縮する。
【0010】
ベルト本体部11の長手方向の一方の端部には、先端部15が取り付けられている。先端部15は、シート状に形成され、先端部15の裏面15Bの全体に、第2の係合部である第2の面ファスナー13が設けられている。第2の面ファスナー13は、雄型結合素子である複数のフック部材を備え、前記第1の面ファスナー12のループ部材にフック部材を着脱可能に係合させることができる。したがって、ベルト本体部11と先端部15とは、第1の係合部である面ファスナー12および第2の係合部である面ファスナー13によって係合可能に構成されている。
先端部15の表面15Aには、図示を略すが、保護バンド1を所有する会社のロゴや名前と、保護バンド1の返却を依頼する文言や連絡先の情報が印刷されている。
【0011】
先端部15の長手方向の端縁15Cは円弧状に形成され、先端に向かうにしたがって幅寸法が小さくなるように形成されている。
先端部15の長手方向の基端部15Dは、ベルト本体部11の端部に縫い付けや接着などで固定されている。
なお、先端部15の幅寸法はベルト本体部11の幅寸法と同じ寸法とされている。また、先端部15において、ベルト本体部11の端部から端縁15Cまでの長手方向の寸法は例えば120mmとされている。
【0012】
ベルト本体部11の長手方向の他方の端部、つまり先端部15が固定された側とは反対側の端部には係止部18が形成されている。係止部18は、図3に示すように、ベルト本体部11の端部を、ベルト本体部11の裏面11B側に折り返し、折り返した端部をベルト本体部11に縫い付けることで構成されている。したがって、係止部18は、ベルト本体部11の約2倍の厚さを有する。
【0013】
保護シート20は、ポリエチレンなどで形成され、建具枠等の被保護部材を保護するシート材である。保護シート20のサイズも、被保護部材の寸法に合わせて設定すればよい。一例を挙げれば、長手方向の寸法は300mm、幅方向の寸法は80mm、厚さ寸法は5mmである。このように、保護シート20のサイズは、長手方向の寸法はベルト本体部11の長手方向の寸法よりも小さく、幅方向の寸法はベルト本体部11の幅方向の寸法よりも大きく設定されている。また、保護シート20の厚さ寸法は、保護シート20を被保護部材に容易に巻き付けることができ、さらに被保護部材が他の部材などに衝突した際に、被保護部材を保護できる厚さに設定される。
【0014】
保護シート20の短辺20Aの近傍には、スリット21が形成されている。短辺20Aは、保護シート20において、ベルト本体部11の他端側に配置され、保護シート20の幅方向に沿った辺である。
スリット21は次のような手順で形成される。すなわち、保護シート20の短辺20Aに沿った直線の切込部21Aと、切込部21Aの両端部に連続した円弧状の一対の切込部21Bとを加工し、この切込部21A、21Bで囲まれるフラップ部21Cを裏面側に折り曲げることで形成される。このため、スリット21の幅方向の両端は円弧状に形成されている。
【0015】
図4に示すように、ベルト10と保護シート20とは、ベルト本体部11の係止部18を保護シート20のスリット21に差し込むことで一体化される。この際、係止部18は、図3に示すように、フラップ部21Cの端面に、ベルト本体部11の折り返した端面が当接することで保護シート20に係止される。
また、フラップ部21Cをさらに曲げて係止部18に当たらないようにすれば、スリット21から係止部18を抜き取ってベルト10と保護シート20とを分離することができる。
すなわち、ベルト10と保護シート20とは、係止部18を保護シート20に係止することで一体化され、かつ、係止部18をスリット21から抜き取ることで分離できる。このため、保護シート20は、ベルト10に対して交換可能に設けられている。
さらに、保護シート20はスリット21にベルト10を通して一体化されているので、ベルト10の長手方向にそって保護シート20をスライド移動させることができる。
【0016】
次に、保護バンド1を用いて、被保護部材である建具枠50のコーナー部50Aを保護する手順を説明する。なお、建具枠50は、例えば、窓枠51と、障子の框部材52とを組み合わせたものであり、框部材52にガラス等の面材を組み込む前の状態である。ここで、建具枠50は、面材が保持される内周面と、この内周面に対向する外周面と、内周面および外周面間に設けられる2つの側面(室外面および室内面)とを備える。
建具枠50のコーナー部50Aを保護する場合、まず、ベルト10を保護シート20のスリット21に挿入して一体化した保護バンド1を準備する。
次に、図5に示すように、作業者は、保護バンド1の保護シート20が露出する面を建具枠50側に向けた状態で、保護バンド1をコーナー部50Aに配置し、コーナー部50Aの一方の側面から外周面を介して他方の側面に沿って保護シート20およびベルト10を巻き付ける。
次に、図6に示すように、作業者は、保護バンド1の保護シート20から突出する部分をコーナー部50Aの内周面から一方の側面、外周面、他方の側面に渡り巻き付ける。この際、作業者は、ベルト10を引っ張って伸ばしながらコーナー部50Aに巻き付ける。
そして、図7に示すように、作業者は、ベルト10を伸ばしたまま、ベルト10の先端部15の第2の面ファスナー13を、ベルト本体部11の第1の面ファスナー12に係合する。
ベルト10を伸ばした状態で面ファスナー12、13を係合しているため、ベルト10が収縮し、保護シート20をコーナー部50Aにしっかりと巻き付けた状態で保護バンド1をコーナー部50Aに固定できる。
【0017】
コーナー部50Aに保護バンド1を巻き付けた建具枠50は、施工現場などに搬送される。そして、作業者は、施工現場において、先端部15の面ファスナー13を、ベルト本体部11の面ファスナー12から剥がし、保護バンド1をほどいてコーナー部50Aから取り外す。取り外した保護バンド1は、建具枠50の出荷元に返却されて繰り返し利用される。また、保護シート20が破損した場合は、ベルト10から保護シート20を取り外し、新しい保護シート20をベルト10に装着して交換する。また、保護バンド1が汚れた場合、ベルト10および保護シート20を取り外してクリーニングすることもできる。
【0018】
[実施形態の作用効果]
保護バンド1は、ベルト10および保護シート20を備え、保護シート20を建具枠50に当てた状態でベルト10を巻き付けることで建具枠50を保護できる。このため、引き違い窓のようなスライディング系の建具枠や、すべり出し窓のようなプロジェクト系の建具枠のように、窓枠51や框部材52を構成する形材の形状やアイテムが異なる建具枠50であっても、保護バンド1を巻き付けて保護することができる。このため、形材別やアイテム別に多種類の保護材を用意する必要が無く、包装作業時に多種類の保護材から対応する保護材を選別する手間を無くすことができ、保護バンド1で建具枠50のコーナー部50Aを包装する作業を短時間で容易に行うことができる。
【0019】
保護シート20のスリット21にベルト10の係止部18を挿入し、スリット21部分に係止部18を係止することで保護バンド1を構成しているので、スリット21を介してベルト10を抜き取ることで、ベルト10および保護シート20を簡単に着脱できる。このため、保護バンド1を繰り返し利用して保護シート20が破損した場合でも、保護シート20のみを交換でき、ベルト10は継続して利用することができる。したがって、ベルト10と保護シート20とが一体化されて着脱できず、保護シート20が破損した場合に、保護バンド1自体を交換しなければならない場合に比べて保護バンド1の補修も容易であり、補修費用も低減できる。特に、保護シート20をポリエチレンなどの廉価な材料で形成できるので、保護シート20を交換する補修費用を廉価にできる。
【0020】
保護シート20のスリット21にベルト10を通しているので、ベルト10の長手方向に保護シート20をスライド移動させることができる。このため、保護シート20の位置を調整することができ、建具枠50を保護するために最も適した位置に保護シート20を配置することができる。
また、ベルト10と保護シート20とは、1箇所のスリット21で連結されているので、ベルト10および保護シート20はそれぞれ独立して建具枠50に追従することができる。このため、ベルト10および保護シート20を建具枠50にしっかりと巻き付けて固定できる。
さらに、スリット21を、保護シート20の端部に形成しているので、スリット21に通したベルト10によって保護シート20の全体を押さえることができる。
【0021】
ベルト本体部11および先端部15に面ファスナー12、13を設けているので、先端部15をベルト本体部11に係合する作業や、先端部15をベルト本体部11から取り外す作業を容易に行うことができる。特に、先端部15の端縁15Cは円弧状に形成されているので、ベルト本体部11に係合している先端部15は、端縁15Cから容易に取り外すことができる。さらに、端縁15Cが円弧状であるため、ベルト本体部11に対して先端部15が多少斜めに配置されても、端縁15Cがベルト本体部11からはみ出ることを防止できる。このため、先端部15の幅寸法を一定にし、平面矩形状の端縁とした場合のように、先端部15の角部がはみ出して他の面ファスナーに係合することを防止できる。
また、ベルト本体部11および先端部15を面ファスナー12、13で着脱できるため、ベルト本体部11に対する先端部15の係合位置は面ファスナー12の範囲で自由に調整できる。このため、様々な大きさの建具枠50に保護バンド1を巻き付けることができ、保護バンド1の汎用性を高めることができる。
【0022】
ベルト本体部11が伸縮可能に構成されているので、ベルト本体部11を伸ばした状態で先端部15およびベルト本体部11を係合すると、ベルト本体部11が収縮して建具枠50に巻かれた保護バンド1の締め付け力を向上でき、保護シート20を建具枠50にしっかりと固定できる。
【0023】
係止部18は、ベルト本体部11の端部を折り返して縫い付けることで構成しており、スリット21は保護シート20に切込部21A、21Bを形成してフラップ部21Cを折り曲げることで形成している。このため、保護シート20に対してベルト10の先端部15を引っ張った際に、係止部18の折り返した端面と、折り曲げたフラップ部21Cの端面とを当接させて強固に係止することができる。
【0024】
保護バンド1を建具枠50から取り外す場合は、先端部15およびベルト本体部11の係合を解除して建具枠50に巻かれた保護バンド1をほどけばよく、例えば、建具枠50を施工現場等で開梱する作業を容易に行うことができる。
さらに、建具枠50から外した保護バンド1は繰り返して再利用でき、建具枠50を施工現場等で開梱した後に、保護バンド1が廃棄物となることを防止でき、廃棄物の処理作業や廃棄物量を削減できる。
【0025】
保護シート20の幅方向の寸法がベルト本体部11の幅方向の寸法よりも大きいため、建具枠50において保護シート20でカバーできる範囲を広くできる。このため、ベルト本体部11の位置が多少ずれたり、斜めになっても保護シート20で建具枠50のコーナー部50Aを覆うことができる。
【0026】
先端部15の表面15Aに、保護バンド1を所有する会社のロゴや返却の注意喚起の文言を印刷できるので、施工現場で保護バンド1を取り外した際に、現場の作業者が保護バンド1を回収して所有者に返却する割合を向上できる。
【0027】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
前記実施形態では、1つの保護バンド1を用いて建具枠50を保護していたが、複数の保護バンド1を連結して用いてもよい。例えば、図8に示すように、第1の保護バンド1Aのスリット21に、第2の保護バンド1Bのベルト10を挿入し、第2の保護バンド1Bの先端部15の面ファスナー13を、第1の保護バンド1Aのベルト本体部11の面ファスナー12に係合することで、第1の保護バンド1Aおよび第2の保護バンド1Bを連結することができる。3つ以上の保護バンド1も同様に連結することができる。このように複数の保護バンド1を連結することで、例えば、複数本の形材をまとめて保護する場合のように、巻き径の大きな被保護部材であっても保護することができる。
【0028】
前記実施形態では、保護シート20に1本のベルト10を装着して保護バンド1を構成していたが、保護シート20に複数のベルト10を装着して保護バンド1を構成してもよい。例えば、長手寸法に比べて幅寸法の大きな保護シート20を用意し、保護シート20の幅方向に離れた複数箇所、例えば2~3箇所にスリット21を形成し、各スリット21にそれぞれベルト10を挿入して保護バンド1を構成してもよい。このような保護バンド1であれば、保護シート20の幅寸法が大きいため、被保護部材を広い範囲で覆うことができる。
【0029】
前記実施形態では、伸縮可能なベルト本体部11を用いていたが、伸縮しないベルト本体部を用いてもよい。ただし、伸縮可能なベルト本体部11を用いたほうが、保護シート20を締め付けて固定できる利点がある。
前記実施形態では、ベルト本体部11に設けた第1の面ファスナー12を雌型の面ファスナーで構成し、先端部15に設けた第2の面ファスナー13を雄型の面ファスナーで構成していたが、第1の面ファスナー12を雄型の面ファスナーとし、第2の面ファスナー13を雌型の面ファスナーとしてもよい。
【0030】
先端部15とベルト本体部11とを結合する第1の係合部および第2の係合部は面ファスナー12、13に限定されず、保護バンド1を被保護部材に巻回した状態で先端部15をベルト本体部11に係合でき、かつ、保護バンド1を取り外す場合に係合を解除できるものであればよい。
また、第1の係合部および第2の係合部を設ける位置は前記実施形態に限定されない。例えば、第2の係合部である第2の面ファスナー13は、先端部15に設けられるものに限定されず、ベルト10の先端から離れた位置に設けてもよい。すなわち、第1の係合部および第2の係合部は、保護バンド1を被保護部材に巻き付けた状態で、互いに係合できる位置に設けられていればよい。
さらに、係止部18はベルト10の他端に設けられるものに限定されず、ベルト10の他端から離れた位置に設けてもよい。例えば、ベルト10の長手方向の中間部に係止部18を設けてもよい。また、保護シート20の配置位置も前記実施形態に限定されず、ベルト10の長手方向の中間位置に保護シート20を配置してもよい。
ベルト10は、ベルト本体部11と、先端部15とを縫い付けなどで一体化したものに限定されない。例えば、ベルト10は、ベルト本体部11の表面に第1の面ファスナー12を設け、裏面に第2の面ファスナー13を設けたものでもよい。
【0031】
保護シート20の幅方向の寸法は、ベルト本体部11の幅方向の寸法よりも大きいものに限定されず、ベルト本体部11の幅方向の寸法と同じものでもよいし、小さいものでもよい。例えば、ベルト本体部11において、保護シート20のスリット21部分に挿通する部分の幅寸法を、保護シート20の幅寸法よりも小さくし、その他の部分の幅寸法は保護シート20と同じ、あるいは、大きい幅寸法とすればよい。
保護材は、ポリエチレンなどで形成されたシート材に限定されず、被保護部材に巻き付けて保護できるものであればよい。
【0032】
保護シート20に形成するスリット21は、フラップ部21Cを折り曲げて形成していたが、フラップ部21Cを保護シート20から切り欠いて長孔状のスリット21を形成してもよい。また、スリット21の両端部は円弧状に形成されたものに限定されず、スリット21の平面形状が矩形状となるように切り欠いたものでもよい。
係止部18は、ベルト本体部11の端部を裏面11B側に折り返して縫い付けたものに限定されず、表面11A側に折り返して縫い付けてもよいし、係止用の部材をベルト本体部11の端部に取り付けて構成してもよく、先端部15を引っ張った際にベルト本体部11の端部がスリット21から外れることを防止できるものであればよい。
また、係止部18は、スリット21部分に係止されるものに限定されず、例えば、ベルト本体部11の端部に断面L字状あるいはコ字状の係止部材を取り付け、この係止部材を保護シート20の短辺20Aに係止してもよい。すなわち、係止部18は、先端部15を引っ張った際に、ベルト本体部11の端部側を保護シート20に係止できればよい。
さらに、前記実施形態では、係止部18をスリット21に挿通してベルト10を保護シート20に取り付けていたが、係止部18がスリット21を挿通できない場合は、ベルト10を先端部15側からスリット21に挿通して取り付ければよい。
【0033】
ベルト10は、保護シート20に糸等で縫い付けて係止してもよい。この場合、保護シート20のスリット21にベルト10を挿通した状態で縫い付けてもよいし、スリットが形成されていない保護シートにベルトを縫い付けてもよい。この場合、縫い付けた糸を切り取って保護シートをベルトから取り外し、新しい保護シートをベルトに縫い付けることで、劣化した保護シートを交換できる。
【0034】
保護バンド1は、建具枠50のコーナー部50Aに巻かれるものに限定されず、建具枠50の上下左右の枠の中間部に巻かれるものでもよいし、建具枠50に装着される錠などの付属部品を保護するものでもよい。また、保護バンド1は、枠組みされる前の形材に巻かれるものでもよい。すなわち、保護バンド1は、様々な形材やアイテムの被保護部材に巻き付けて保護することができる。
【0035】
[発明のまとめ]
本発明の保護バンドは、ベルトと、保護材とを備え、被保護部材に巻き付け可能な保護バンドであって、前記ベルトは、第1の係合部と、前記被保護部材に巻き付けた状態で前記第1の係合部に係合可能な第2の係合部と、前記保護材に係止可能な係止部とを有し、前記保護材は、前記ベルトが挿入可能なスリットを有し、前記ベルトに対して交換可能に設けられたことを特徴とする。
本発明によれば、保護バンドは、ベルトおよび保護材を備え、保護材を被保護部材に当てた状態でベルトを巻き付けることで被保護部材を保護できる。このため、形材の形状やアイテムが異なる被保護部材であっても、保護バンドを巻き付けて第1の係合部および第2の係合部を係合することができれば保護することができ、形材別やアイテム別に多種類の保護材を用意する必要が無い。したがって、包装作業時に多種類の保護材から対応する保護材を選別する手間を無くすことができ、保護バンドで被保護部材を包装する作業を短時間で容易に行うことができる。
また、保護バンドを被保護部材から取り外す場合は、第1の係合部および第2の係合部の係合を解除して被保護部材に巻かれた保護バンドをほどけばよく、例えば、被保護部材を施工現場で開梱する作業を容易に行うことができる。
さらに、被保護部材から外した保護バンドは繰り返して再利用でき、被保護部材を施工現場で開梱した後に、保護バンドが廃棄物となることを防止でき、廃棄物の処理作業や廃棄物量を削減できる。
また、保護材のスリットにベルトを挿入し、スリット部分等に係止部を係止することで保護バンドを構成しているので、スリットを介してベルトを抜き取ることで、ベルトおよび保護材を簡単に着脱できる。このため、保護バンドを繰り返し利用して保護材が破損した場合でも、保護材のみを交換でき、ベルトは継続して利用することができる。したがって、保護材をベルトに着脱できず、保護材が破損した場合に、保護バンド自体を交換しなければならない場合に比べて保護バンドの補修も容易であり、補修費用も低減できる。
【0036】
本発明の保護バンドにおいて、前記ベルトは、前記ベルトの長手方向に伸縮可能に構成されていることが好ましい。
ベルトが伸縮可能に構成されているので、ベルトを伸ばした状態で第1の係合部および第2の係合部を係合すると、ベルトが収縮して被保護部材に巻かれた保護バンドの締め付け力を向上でき、保護シートを被保護部材にしっかりと固定できる。
【0037】
本発明の保護バンドにおいて、前記保護材の幅方向の寸法は、前記ベルトの幅方向の寸法よりも大きいことが好ましい。
保護材の幅方向の寸法がベルトの幅方向の寸法よりも大きいため、被保護部材において保護材でカバーできる範囲を広くできる。このため、ベルトの位置が多少ずれたり、斜めになっても保護材で被保護部材の保護箇所を覆うことができる。
【0038】
本発明の保護バンドにおいて、前記第1の係合部は、第1の面ファスナーで構成され、前記第2の係合部は、前記第1の面ファスナーに着脱可能な第2の面ファスナーで構成されることが好ましい。
第1の係合部および第2の係合部を面ファスナーで着脱できるため、第1の係合部および第2の係合部の係合位置を自由に調整できる。このため、様々な大きさの被保護部材に保護バンドを巻き付けることができ、保護バンドの汎用性をより高めることができる。
【0039】
本発明の保護バンドにおいて、前記スリットは、前記保護材の幅方向の両端部が円弧状に形成されていることが好ましい。
スリットを保護材の幅方向に沿った直線状の切り込みで形成した場合、繰り返し利用した際に切り込みが広がって保護材の端縁まで達して切れてしまう可能性がある。これに対し、スリットの両端部が円弧状に形成されているため、スリットが保護材の端縁に広がることを防止できる。
【0040】
本発明の保護バンドにおいて、前記ベルトは、前記第1の係合部が設けられたベルト本体部と、前記ベルト本体部の一端に設けられて前記第2の係合部が設けられた先端部と、前記ベルト本体部の他端に設けられて前記保護材に係止可能な前記係止部とを有することが好ましい。
係止部がベルト本体部の他端に設けられているので、保護材に係止部を係止した際に、保護材をベルト本体部の他端から一定範囲に配置できる。このため、ベルト本体部の他端側に配置される保護材を被保護部材に当てながらベルトを巻き付けていけば、先端部に設けられた第2の係合部を、ベルト本体部に設けられた第1の係合部に係合することができ、保護バンドを被保護部材に巻き付ける作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1…保護バンド、1A…第1の保護バンド、1B…第2の保護バンド、10…ベルト、11…ベルト本体部、11A…表面、12…第1の面ファスナー、13…第2の面ファスナー、15…先端部、15A…表面、15B…裏面、15C…端縁、15D…基端部、18…係止部、20…保護シート、20A…短辺、21…スリット、21A…切込部、21B…切込部、21C…フラップ部、50…建具枠、50A…コーナー部、51…窓枠、52…框部材。
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