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特開2022-81309管ガラス梱包品の製造方法、及び管ガラス梱包品の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081309
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】管ガラス梱包品の製造方法、及び管ガラス梱包品の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/42 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
B65D85/42 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192760
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 隆則
(72)【発明者】
【氏名】干場 健一
【テーマコード(参考)】
3E096
【Fターム(参考)】
3E096AA08
3E096BB01
3E096CA12
3E096EA02
3E096FA28
(57)【要約】
【課題】樹脂フィルムから形成する被覆部を用いた管ガラス群の梱包において、管ガラスの配置の乱れを抑えることのできる管ガラス梱包品の製造方法、及び管ガラス梱包品の製造装置を提供する。
【解決手段】管ガラス梱包品の製造方法は、樹脂フィルムF1を引出装置13により管ガラス梱包品の被覆部を形成する長さ以上の長さに引き出す引出工程を備える。管ガラス梱包品の製造方法は、引出工程の後、樹脂フィルムF1を切断する切断工程と、切断工程の後、樹脂フィルムF1から管ガラス梱包品の被覆部を形成する被覆工程とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管ガラスが積み上げられた管ガラス群と、樹脂フィルムから形成され、前記管ガラス群の端部を被覆する被覆部と、を有する管ガラス梱包品の製造方法であって、
前記樹脂フィルムを引出装置により前記被覆部を形成する長さ以上の長さに引き出す引出工程と、
前記引出工程の後、前記樹脂フィルムを切断する切断工程と、
前記切断工程の後、前記樹脂フィルムから前記被覆部を形成する被覆工程と、を備える、管ガラス梱包品の製造方法。
【請求項2】
前記引出装置は、進退可能な押圧部材を備え、
前記引出工程において、前記樹脂フィルムの片面を前記押圧部材で押圧することにより前記樹脂フィルムを引き出す、請求項1に記載の管ガラス梱包品の製造方法。
【請求項3】
前記引出装置の前記押圧部材は、前記管ガラス群の上方位置で進退可能に構成される、請求項2に記載の管ガラス梱包品の製造方法。
【請求項4】
前記管ガラスの外径寸法は、30mm以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の管ガラス梱包品の製造方法。
【請求項5】
前記管ガラスの管壁の厚さ寸法は、1mm以下である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の管ガラス梱包品の製造方法。
【請求項6】
前記被覆部は、前記管ガラス群の両端部にそれぞれ設けられ、
前記引出工程、前記切断工程、及び被覆工程の各工程は、前記管ガラス群の両端部に対応して行われる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の管ガラス梱包品の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂フィルムは、熱収縮性フィルムであり、
前記被覆工程は、前記樹脂フィルムを熱収縮させることで、前記被覆部を形成する熱収縮工程である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の管ガラス梱包品の製造方法。
【請求項8】
複数の管ガラスが積み上げられた管ガラス群と、樹脂フィルムから形成され、前記管ガラス群の端部を被覆する被覆部と、を有する管ガラス梱包品の製造装置であって、
前記樹脂フィルムを、前記被覆部を形成する長さ以上の長さに引き出す引出装置と、
前記引出装置で引き出された前記樹脂フィルムを切断する切断装置と、
前記樹脂フィルムから前記被覆部を形成する被覆装置と、を備える、管ガラス梱包品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管ガラス梱包品の製造方法、及び管ガラス梱包品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、複数の管ガラスが積み上げられた管ガラス群と、管ガラス群の端部を被覆する被覆部を有する管ガラス梱包品が知られている。被覆部管ガラス梱包品の被覆部は、例えば、樹脂フィルムから形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-088573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような管ガラス群の端部を樹脂フィルムにより被覆するには、図15(a)に示すように、まず、上下に延びるように保持された樹脂フィルム111の片面111aに管ガラス群112の端部の外周面が対向するように管ガラス群112を支持具113に支持させる。次に、図15(b)に示すように、管ガラス群112を樹脂フィルム111の片面111aに向けて移動させる。これにより、樹脂フィルム111を管ガラス群112の外周面で押圧し、樹脂フィルム111を管ガラス群112の上方及び下方から引き出す。このとき、樹脂フィルム111と接触する複数の管ガラスは、樹脂フィルム111から抗力を受けることで、管ガラス群の配置が乱れるおそれがあった。
【0005】
例えば、図15(c)及び図15(d)に示すように、管ガラス群112の最上段の管ガラス114が樹脂フィルム111から抗力を受けると、管ガラス群112の最上段において隣り合う管ガラス115の上に積み上げられるように移動する現象が起こり得る。
【0006】
本発明の目的は、樹脂フィルムから形成する被覆部を用いた管ガラス群の梱包において、管ガラスの配置の乱れを抑えることのできる管ガラス梱包品の製造方法、及び管ガラス梱包品の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する管ガラス梱包品の製造方法は、複数の管ガラスが積み上げられた管ガラス群と、樹脂フィルムから形成され、前記管ガラス群の端部を被覆する被覆部と、を有する管ガラス梱包品の製造方法であって、前記樹脂フィルムを引出装置により前記被覆部を形成する長さ以上の長さに引き出す引出工程と、前記引出工程の後、前記樹脂フィルムを切断する切断工程と、前記切断工程の後、前記樹脂フィルムから前記被覆部を形成する被覆工程と、を備える。
【0008】
この方法によれば、引出工程では、樹脂フィルムを管ガラス群で押圧せずに、引出装置により樹脂フィルムを引き出しているため、樹脂フィルムから複数の管ガラスが受ける抗力を低減することができる。
【0009】
上記管ガラス梱包品の製造方法において、前記引出装置は、進退可能な押圧部材を備え、前記引出工程において、前記樹脂フィルムの片面を前記押圧部材で押圧することにより前記樹脂フィルムを引き出すことが好ましい。この方法によれば、引出工程において、樹脂フィルムを安定して引き出すことができる。
【0010】
上記管ガラス梱包品の製造方法において、前記引出装置は、前記管ガラス群の上方位置で進退可能な押圧部材を備え、前記引出工程において、前記樹脂フィルムの片面を前記押圧部材で押圧することにより前記樹脂フィルムを引き出すことが好ましい。
【0011】
この方法によれば、引出工程において、樹脂フィルムの片面を引出装置の押圧部材により押圧することで樹脂フィルムを引き出しているため、管ガラス群における最上段の管ガラスと樹脂フィルムとの接触を回避することができる。これにより、管ガラス群における最上段の管ガラスの配置の乱れを抑えることができる。
【0012】
上記管ガラス梱包品の製造方法において、前記管ガラスの外径寸法は、30mm以下であることが好ましい。管ガラス群の管ガラスが樹脂フィルムから抗力を受けて、管ガラス群の配置が乱れる現象は、管ガラス群の管ガラスが軽量であるほど、発生し易い。上記方法によれば、例えば、外径寸法が30mm以下の比較的軽量な管ガラスであっても、管ガラス群の配置の乱れを抑えることができる。
【0013】
上記管ガラス梱包品の製造方法において、前記管ガラスの管壁の厚さ寸法は、1mm以下であることが好ましい。上記方法によれば、例えば、管ガラスの管壁の厚さ寸法が1mm以下の比較的軽量な管ガラスであっても、管ガラス群の配置の乱れを抑えることができる。
【0014】
上記管ガラス梱包品の製造方法において、前記被覆部は、前記管ガラス群の両端部にそれぞれ設けられ、前記引出工程、前記切断工程、及び被覆工程の各工程は、前記管ガラス群の両端部に対応して行われることが好ましい。この方法によれば、管ガラス群の両端部にそれぞれ被覆部を有する管ガラス梱包品の製造効率を高めることができる。
【0015】
上記管ガラス梱包品の製造方法において、前記樹脂フィルムは、熱収縮性フィルムであり、前記被覆工程は、前記樹脂フィルムを熱収縮させることで、前記被覆部を形成する熱収縮工程であることが好ましい。この方法によれば、管ガラス群の端部との密着性を高めた被覆部を容易に形成することができる。
【0016】
管ガラス梱包品の製造装置は、複数の管ガラスが積み上げられた管ガラス群と、樹脂フィルムから形成され、前記管ガラス群の端部を被覆する被覆部と、を有する管ガラス梱包品の製造装置であって、前記樹脂フィルムを、前記被覆部を形成する長さ以上の長さに引き出す引出装置と、前記引出装置で引き出された前記樹脂フィルムを切断する切断装置と前記樹脂フィルムから前記被覆部を形成する被覆装置と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、樹脂フィルムから形成する被覆部を用いた管ガラス群の梱包において、管ガラスの配置の乱れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態における管ガラス梱包品の製造装置を示す概略側面図である。
図2】管ガラス梱包品の製造装置を示す概略平面図である。
図3】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略側面図である。
図4】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略平面図である。
図5】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略側面図である。
図6】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略平面図である。
図7】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略側面図である。
図8】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略平面図である。
図9】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略側面図である。
図10】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略平面図である。
図11】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略側面図である。
図12】管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略平面図である。
図13】(a)は、管ガラス梱包品を示す平面図であり、(b)は、管ガラス梱包品を示す正面図である。
図14】管ガラス梱包品の製造方法を説明するフロー図である。
図15】(a)~(d)は、従来の管ガラス梱包品の製造装置の動作を説明する概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、管ガラス梱包品の製造方法、及び管ガラス梱包品の製造装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0020】
<管ガラス梱包品>
図13(a)及び図13(b)に示すように、管ガラス梱包品GPは、複数の管ガラスG1が積み上げられた管ガラス群G2と、管ガラス群G2の端部を被覆する被覆部C1とを有している。管ガラス群G2は、管軸方向が互いに平行であり、かつ同一平面上となるように隣り合って配列された複数の管ガラスG1が一段となり、複数段を積み上げた構成を有している。各管ガラスG1の形状は、所定の長さを有する直管状である。
【0021】
管ガラスG1の外形寸法は、30mm以下であることが好ましく、より好ましくは、20mm以下であり、さらに好ましくは18mm以下である。管ガラスG1の外形寸法は、5mm以上であることが好ましく、より好ましくは、8mm以上である。管ガラスG1の管壁の厚さ寸法は、1mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.7mm以下であり、さらに好ましくは、0.55mm以下である。管ガラスG1の管壁の厚さ寸法は、0.3mm以上であることが好ましく、より好ましくは、0.4mm以上である。管ガラスG1の長さ寸法は、例えば、500mm以上であることが好ましい。
【0022】
管ガラスG1のガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等が挙げられる。管ガラスG1の用途は、例えば、医薬用容器を製造する用途が挙げられる。医薬用容器としては、例えば、シリンジ、バイアル、及びアンプルが挙げられる。管ガラスG1は、例えば、ダンナー法又はダウンドロー法(ベロー法)を用いて溶融ガラスから成形することができる。
【0023】
管ガラス梱包品GPの被覆部C1は、樹脂フィルムF1から形成されている。本実施形態の管ガラス梱包品GPは、管ガラス群G2の両端部をそれぞれ被覆する一対の被覆部C1を有している。被覆部C1は、管ガラス群G2の端部の外周面と、各管ガラスG1の端面の開口とを包み込むように設けられている。被覆部C1の形状は、袋状である。被覆部C1は、複数の管ガラスG1を束ねるとともに各管ガラスG1の端面の開口から管内への異物の侵入を抑える。
【0024】
被覆部C1を形成する樹脂フィルムF1としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリ乳酸系フィルム等が挙げられる。樹脂フィルムF1の厚さは、例えば、20μm以上、500μm以下の範囲内であることが好ましい。本実施形態の樹脂フィルムF1は、外部加熱により収縮可能な熱収縮性フィルムであり、管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成している樹脂フィルムF1は、熱収縮した状態である。
【0025】
<管ガラス梱包品の製造装置>
図1及び図2に示すように、管ガラス梱包品の製造装置11は、管ガラス群G2を支持する支持具12と、樹脂フィルムF1を引き出す引出装置13とを備えている。管ガラス梱包品の製造装置11は、引出装置13で引き出された樹脂フィルムF1と支持具12とを相対移動させる移動装置14と、樹脂フィルムF1を切断する切断装置15と、樹脂フィルムF1から管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する被覆装置16とをさらに備えている。本実施形態の管ガラス梱包品の製造装置11は、管ガラス群G2の両端部に被覆部C1を設けるように構成されている。すなわち、管ガラス梱包品の製造装置11は、管ガラス群G2の両端部に対応するように配置された引出装置13及び切断装置15を備えている。
【0026】
なお、図面中のX軸は、移動装置14の相対移動の方向に沿った水平方向を表す。図面中のY軸は、X軸と直交する水平方向であり、管ガラスG1の管軸方向を表す。図面中のZ軸は、XY平面に対して直交する上下方向を表す。
【0027】
<支持具>
管ガラス梱包品の製造装置11における支持具12は、上下に延びるように保持された樹脂フィルムF1の片面F1aに管ガラス群G2の端部の外周面が対向するように管ガラス群G2を支持する。支持具12は、基台12aと、基台12aに設けられた複数の柱状部材12bとを有している。基台12aの上面は、例えば、平坦面であり、並列された複数の管ガラスG1が載置される。支持具12の柱状部材12bは、例えば、管ガラス群G2の管軸方向における中央部側の外周面を挟み込むように配置されている。本実施形態の支持具12は、4本の柱状部材12bを有しているが、柱状部材12bの数は、例えば、2本又は3本であってもよいし、5本以上であってもよい。
【0028】
<引出装置>
図3図6に示すように、管ガラス梱包品の製造装置11における引出装置13は、樹脂フィルムF1を、管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する長さ以上の長さに引き出す。本実施形態の引出装置13は、管ガラス群G2の上方及び下方から樹脂フィルムF1を引き出す。詳述すると、管ガラス群G2の上方及び下方には、樹脂フィルムF1が巻回されてなるフィルムロールFRが装着され、これらフィルムロールFRから樹脂フィルムF1が引き出される。
【0029】
図3図10に示すように、引出装置13は、管ガラス群G2の上方位置で進退可能な押圧部材13aを備えている。押圧部材13aは、樹脂フィルムF1の片面F1aを押圧することにより樹脂フィルムF1を引き出す。図5に示すように、引出装置13の押圧部材13aは、樹脂フィルムF1を側方視で屈曲形状となるように保持することができる。
【0030】
引出装置13は、押圧部材13aを移動させる駆動部13bを備えている。駆動部13bは、例えば、モーター、流体圧シリンダー等から構成することができる。引出装置13は、押圧部材13aをX軸方向である水平方向に沿って移動するように構成されているが、押圧部材13aを管ガラス群G2よりも上方位置において、上方又は下方に傾斜して移動するように構成することもできる。押圧部材13aの下面の高さ位置は、管ガラス群G2における最上段の管ガラスG1の上面の高さ位置を0mmとした場合、20mm以上であることが好ましい。
【0031】
図6に示すように、押圧部材13aは、例えば、樹脂フィルムF1の幅方向に沿った長さ方向を有している。押圧部材13aの長さ寸法は、樹脂フィルムF1の幅寸法よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。樹脂フィルムF1の片面F1aを安定して押圧するという観点から、押圧部材13aの長さ寸法は、樹脂フィルムF1の幅寸法と同じ寸法、又は樹脂フィルムF1の幅寸法よりも大きい寸法であることが好ましい。押圧部材13aの材質としては、例えば、金属材料、樹脂系材料、ゴム系材料等が挙げられる。
【0032】
<移動装置>
図5図8に示すように、管ガラス梱包品の製造装置11における移動装置14は、樹脂フィルムF1により管ガラス群G2が覆われる位置となるように、支持具12を移動させる。すなわち、支持具12を樹脂フィルムF1に向けて移動させることで、屈曲形状の樹脂フィルムF1の内側に管ガラス群G2を配置する。
【0033】
移動装置14は、例えば、コンベア装置等により構成することができる。なお、支持具12を移動させずに、引出装置13で引き出された樹脂フィルムF1を移動させてもよい。すなわち、図5及び図6に示される引出装置13とフィルムロールFRとを支持具12に向けて移動させることで、屈曲形状の樹脂フィルムF1の内側に管ガラス群G2を配置させることもできる。
【0034】
<切断装置>
図11及び図12に示すように、管ガラス梱包品の製造装置11における切断装置15は、引出装置13で引き出された樹脂フィルムF1を切断する。切断装置15で切断された樹脂フィルムF1は、管ガラス群G2の端部の全周に巻き付けることが可能な長さ寸法を有している。切断装置15としては、切断刃と、切断刃を上下動させる駆動部とを備える周知の切断装置を用いることができる。
【0035】
<被覆装置>
本実施形態の被覆装置16は、樹脂フィルムF1としての熱収縮性フィルムを収縮させる温度に加熱可能な加熱炉である。加熱炉の加熱方式としては、例えば、熱風加熱、赤外線ヒーター等が挙げられる。
【0036】
<管ガラス梱包品の製造方法>
次に、管ガラス梱包品GPの製造方法について説明する。
図14に示すように、本実施形態の管ガラス梱包品GPの製造方法は、支持工程(ステップS1)と、引出工程(ステップS2)と、移動工程(ステップS3)と、切断工程(ステップS4)と、被覆工程(ステップS5)をさらに備えている。
【0037】
図1及び図2に示すように、ステップS1の支持工程では、上下に延びるように保持された樹脂フィルムF1の片面F1aに管ガラス群G2の端部の外周面が対向するように管ガラス群G2を支持具12に支持させる。
【0038】
図3図6に示すように、ステップS2の引出工程では、樹脂フィルムF1を引出装置13により管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する長さ以上の長さに引き出す。本実施形態のステップS2の引出工程では、管ガラス群G2の上方及び下方から樹脂フィルムF1を引出装置13により引き出す。
【0039】
ステップS2の引出工程では、樹脂フィルムF1の片面F1aを引出装置13の押圧部材13aにより押圧することで樹脂フィルムF1を引き出す。ステップS2の引出工程によって引き出される樹脂フィルムF1の長さは、管ガラス群G2の端部の外周全体に巻き付けることが可能な長さとなるように、管ガラス群G2の寸法に応じて予め設定される。
【0040】
図5図8に示すように、ステップS3の移動工程では、樹脂フィルムF1により管ガラス群G2が覆われる位置となるように、ステップS2の引出工程で引き出された樹脂フィルムF1と支持具12とを相対移動させる。このステップS3の移動工程の後、図7図10に示すように、引出装置13の押圧部材13aを樹脂フィルムF1から退避させる。
【0041】
図9図12に示すように、ステップS4の切断工程では、ステップS3の移動工程の後、樹脂フィルムF1を切断する。ステップS4の切断工程では、管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する長さとなるように樹脂フィルムF1を切断する。
【0042】
ステップS5の被覆工程は、ステップS4の切断工程の後、樹脂フィルムF1から管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する。本実施形態の樹脂フィルムF1は、熱収縮性フィルムである。このため、ステップS5の被覆工程は、樹脂フィルムを熱収縮させることで、管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する熱収縮工程である。これにより、図13(a)及び図13(b)に示す管ガラス梱包品GPが得られる。
【0043】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)管ガラス梱包品GPの製造方法は、ステップS2の引出工程と、ステップS4の切断工程と、ステップS5の被覆工程とを備えている。ステップS2の引出工程では、樹脂フィルムF1を引出装置13により管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する長さ以上の長さに引き出している。
【0044】
この方法によれば、ステップS2の引出工程では、樹脂フィルムF1を管ガラス群G2で押圧せずに、引出装置13により樹脂フィルムF1を引き出しているため、樹脂フィルムF1から複数の管ガラスG1が受ける抗力を低減することができる。従って、樹脂フィルムF1から形成する被覆部C1を用いた管ガラス群G2の梱包において、管ガラスG1の配置の乱れを抑えることができる。
【0045】
(2)引出装置13は、進退可能な押圧部材13aを備えている。管ガラス梱包品GPの製造方法におけるステップS2の引出工程では、樹脂フィルムF1の片面F1aを引出装置13の押圧部材13aにより押圧することで樹脂フィルムF1を引き出している。この場合、ステップS2の引出工程において、樹脂フィルムF1を安定して引き出すことができる。
【0046】
(3)引出装置13は、管ガラス群G2の上方位置で進退可能な押圧部材13aを備えている。このため、管ガラス群G2における最上段の管ガラスG1と樹脂フィルムF1との接触を回避することができる。これにより、管ガラス群G2における最上段の管ガラスG1の配置の乱れを抑えることができる。従って、樹脂フィルムF1から形成する被覆部C1を用いた管ガラス群G2の梱包において、管ガラスG1の配置の乱れを好適に抑えることができる。
【0047】
(4)管ガラス群G2の管ガラスG1が樹脂フィルムF1から抗力を受けて、管ガラス群G2の配置が乱れる現象は、管ガラス群G2の管ガラスG1が軽量であるほど、発生し易い。管ガラス群112の管ガラス114が軽量であるほど、例えば、図15(a)~(d)に示すように、管ガラス群112の最上段の管ガラス114が樹脂フィルム111から抗力を受けて、隣り合う管ガラス115の上に積み上げられるように移動する現象が発生し易い。本実施形態の管ガラス梱包品GPの製造方法では、管ガラスG1の外径寸法が30mm以下の比較的軽量な管ガラスG1であっても、管ガラス群G2における最上段の管ガラスG1の配置の乱れを抑えることができる。
【0048】
(5)本実施形態の管ガラス梱包品GPの製造方法では、管ガラスG1の管壁の厚さ寸法が1mm以下の比較的軽量な管ガラスG1であっても、管ガラス群G2における最上段の管ガラスG1の配置の乱れを抑えることができる。
【0049】
(6)管ガラス梱包品GPの製造方法において、ステップS2の引出工程、ステップS4の切断工程、及びステップS5の被覆工程の各工程は、管ガラス群G2の両端部に対応して行われることが好ましい。この方法によれば、管ガラス群G2の両端部にそれぞれ被覆部C1を有する管ガラス梱包品GPの製造効率を高めることができる。
【0050】
(7)本実施形態の樹脂フィルムF1は、熱収縮性フィルムである。管ガラス梱包品GPの製造方法は、ステップS5の被覆工程は、樹脂フィルムF1を熱収縮させることで、被覆部C1を形成する熱収縮工程である。この場合、管ガラス群G2の端部との密着性を高めた被覆部C1を容易に形成することができる。
【0051】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
・樹脂フィルムF1は、熱収縮性を有しないフィルムであってもよい。すなわち、管ガラス梱包品GPの製造方法において、ステップS5の被覆工程は、熱収縮工程以外の工程であってもよい。熱収縮工程以外の被覆工程としては、例えば、樹脂フィルムF1を粘着テープで固定することで、管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する工程、樹脂フィルムF1を熱融着させることで、管ガラス梱包品GPの被覆部C1を形成する工程等が挙げられる。
【0053】
・管ガラス梱包品GPの製造方法において、ステップS2の引出工程では、管ガラス群G2の上方のみ、又は下方のみから樹脂フィルムF1を引き出す引出装置13を用いてもよい。すなわち、例えば、管ガラス群G2の下方のフィルムロールFRを管ガラス群G2の上方のフィルムロールFRから供給される樹脂フィルムF1を把持する把持部に変更してもよい。
【0054】
・管ガラス梱包品GPの製造方法において、ステップS2の引出工程では、管ガラス群G2の上方位置で進退可能な押圧部材13aを用いているが、これに限定されない。ステップS2の引出工程では、例えば、管ガラス群G2と水平方向で対向する位置や、管ガラス群G2の下方位置で進退可能な押圧部材を用いることもできる。また、ステップS2の引出工程は、押圧部材13aを備える引出装置13を用いずに、気体を噴射するノズルを備える引出装置を用いて行うこともできる。すなわち、ステップS2の引出工程は、引出装置のノズルから気体を樹脂フィルムF1に噴射することで、樹脂フィルムF1を引き出す工程であってもよい。
【0055】
・管ガラス梱包品の製造装置11は、管ガラス群G2の両端部に被覆部C1を設けるように構成されているが、管ガラス群G2の両端部のうち、一方の端部のみに被覆部C1を設けるように構成することもできる。すなわち、管ガラス群G2の両端部のうち、他方の端部については、上記以外の装置や方法により被覆部を設けてもよいし、樹脂フィルム以外の材料から形成した被覆部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0056】
11…管ガラス梱包品の製造装置
13…引出装置
13a…押圧部材
15…切断装置
16…被覆装置
C1…被覆部
F1…樹脂フィルム
F1a…片面
GP…管ガラス梱包品
G1…管ガラス
G2…管ガラス群
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