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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081349
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20220524BHJP
   E06B 3/16 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192850
(22)【出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】山本 丈志
(72)【発明者】
【氏名】鎌仲 壮吉
(72)【発明者】
【氏名】佐野 龍大
(72)【発明者】
【氏名】石原 典継
(72)【発明者】
【氏名】田中 章浩
【テーマコード(参考)】
2E014
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA02
2E014BB07
2E239CA03
2E239CA22
2E239CA23
2E239CA29
2E239CA32
2E239CA45
2E239CA62
2E239CA67
(57)【要約】
【課題】アルミ製の框材、枠材を有する建具に対して、防火性能を向上させる。
【解決手段】アルミ製の枠材と、枠材に保持されるパネル体を備え、枠材は、本体部と、本体部の内周側に形成されるガラス間口を有し、本体部は、ガラス間口の見付面から外周側に至る中空部を有するとともに、中空部内に補強材が配置されており、補強材は、ガラス間口に保持されるパネル体の見付面から外周側面に沿う見付片及び見込片を有しており、ガラス間口の外周側面もしくは見付面に固定されている。
【選択図】 図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ製の枠材と、枠材に保持されるパネル体を備え、
枠材は、本体部と、本体部の内周側に形成されるガラス間口を有し、
本体部は、ガラス間口の見付面から外周側に至る中空部を有するとともに、中空部内に補強材が配置されており、
補強材は、ガラス間口に保持されるパネル体の見付面から外周側面に沿う見付片及び見込片を有しており、ガラス間口の外周側面もしくは見付面に固定されている建具。
【請求項2】
アルミ製の枠材と、枠材に保持されるパネル体を備え、
枠材は、本体部と、本体部の内周側に形成されるガラス間口を有し、
本体部は、ガラス間口の見付面から外周側に至る中空部を有するとともに、中空部内に補強材が配置されており、
補強材は、ガラス間口に保持されるパネル体の見付面から外周側面に沿う見付片及び見込片を有するとともに、見込片からさらに伸びる他の見付片を有しており、他の見付片が中空部の見付壁に固定されている建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミ製の框材などの枠材を四周に組んで形成される枠体を有し、建物開口部に配置される建具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-48600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたサッシにおいては、障子の適宜箇所に加熱により発泡する加熱発泡材を配置することで防火性能を付与しているが、さらに防火性能を向上させる余地があった。
【0005】
本発明は、例えばアルミ製の枠材を有する建具に対して、防火性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の建具は、アルミ製の枠材と、枠材に保持されるパネル体を備え、枠材は、本体部と、本体部の内周側に形成されるガラス間口を有し、本体部は、ガラス間口の見付面から外周側に至る中空部を有するとともに、中空部内に補強材が配置されており、補強材は、ガラス間口に保持されるパネル体の見付面から外周側面に沿う見付片及び見込片を有しており、ガラス間口の外周側面もしくは見付面に固定されている建具である。
また、実施形態の建具は、アルミ製の枠材と、枠材に保持されるパネル体を備え、枠材は、本体部と、本体部の内周側に形成されるガラス間口を有し、本体部は、ガラス間口の見付面から外周側に至る中空部を有するとともに、中空部内に補強材が配置されており、補強材は、ガラス間口に保持されるパネル体の見付面から外周側面に沿う見付片及び見込片を有するとともに、見込片からさらに伸びる他の見付片を有しており、他の見付片が中空部の見付壁に固定されている建具である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態の建具によれば、例えばアルミ製の框材、枠材を有する建具に対して、防火性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る建具の内観図である。
図2】一実施形態に係る建具の竪断面図であり、(a)は全体の竪断面図であり、(b)は上枠部分の一部竪断面図であり、(c)は下枠部分の一部竪断面図である。
図3】一実施形態に係る建具の横断面図である。
図4】一実施形態に係る建具の召合せ部分の横断面図である。
図5】一実施形態に係る建具の内障子の召合框の図であり、(a)は召合框の下方部分の横断面図であり、(b)は召合框の下方部分を室外側から見た図であり、(c)は召合框の横断面図であり、(d)は召合框の下方部分を室外側から見た図であり、(e)は召合框の下端に取付けられる気密ピースを室外側から見た図であり、(f)は同気密ピースを外周側から見た図である。
図6】一実施形態に係る建具の内障子の召合框の図であり、(a)は召合框の横断面図であり、(b)は召合框の下方部分を外周側から見た図である。
図7】一実施形態に係る建具の内障子の召合框をガラス間口側から見た図である。
図8】一実施形態に係る建具の召合せ部分の横断面図であり、(a)は火災発生初期の図であり、(b)は火災時の図である。
図9】建具の召合せ部分の横断面図であり、(a)は火災発生初期の図であり、(b)は火災時の図である。
図10】他の実施形態に係る建具の召合せ部分の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の建具について、建物開口部の内周に取付けられる枠体1に対して、室内側の障子2を固定し、室外側の障子3を摺動自在に配置してなる外動片引き窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0010】
本実施形態の建具は、図1に示すように、アルミ合金等の金属材料により形成される上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組んでなる枠体1と、アルミ合金等の金属材料により形成される上框21、下框22及び左、右竪框23,24を四周に組んで内周に複層ガラス等のパネル体25を嵌め込んでなり内観で枠体1の右側に固定される内障子2と、アルミ合金等の金属材料により形成される上框31、下框32及び左、右竪框33,34を四周に組んで内周に複層ガラス等のパネル体35を嵌め込んでなり枠体1の内周に摺動自在に配置される外障子3を備えている。
【0011】
-枠体-
枠体1を構成する上枠11は、図2に示すように、建物開口部の内周面に配置される見込壁11aと、見込壁11aの室内側端に連続し見付け方向に延びる室内側壁11bと、見込壁11aの室外側端に連続し見付け方向に延びる室外側壁11cと、見込壁11aの内周面の見込み方向中央付近から下方に延びる中央壁11dと、見込壁11aの内周面で中央壁11dと室外側壁11cの間の位置から下方に延びる外上レール11eを有している。
【0012】
上枠11は、室内側壁11b及び中央壁11dの下方の室外側面にそれぞれ気密材s111,s112を保持している。
室内側壁11bに保持される気密材s111は、枠体1に固定される内障子2の上框21の室内側面に当接しており、中央壁11dに保持される気密材s112は、枠体1に摺動自在に配置される外障子3の上框31の室内側面に当接または近接して、それぞれ気密ラインを形成している。
【0013】
枠体1を構成する下枠12は、図2に示すように、建物開口部の内周面に配置される底壁12aと、底壁12aの室内側に立設される中空形状の室内側立設部12bと、室内側立設部12bの室内側端から上方に延びる室内側壁12cと、底壁12aの室外側端から上方に延びる室外側壁12dと、室内側立設部12bの室外側内周面から上方に延びる内下レール12eと、室内側立設部12bの室外側から室外方向に延びる気密材保持片12fと、底壁12aの室外側内周面から上方に延びる外下レール12gを有している。
【0014】
下枠12は、室内側壁12cの上方の室外側面及び気密材保持片12fの室外側端にそれぞれ気密材s121,s122を保持している。
室内側壁12cに保持される気密材s121は、内障子2の下框22に当接しており、気密材保持片12fに保持される気密材s122は、外障子3の下框32の室内側面に当接または近接して、それぞれ気密ラインを形成している。
【0015】
枠体1を構成する左竪枠13は、図3に示すように、建物開口部の内周面に配置される見込壁13aと、見込壁13aの室内側端に連続して見付け方向に延びる室内側壁13bと、見込壁13aの室外側端に連続して見付け方向に延びる室外側壁13cと、見込壁13aの内周面の見込み方向中央付近から内周方向に延びる中央壁13dと、見込壁13aの内周面の中央壁13dと室外側壁13cの間の位置から内周方向に延びる引寄片13eを有している。
【0016】
左竪枠13は、中央壁13dの室外側面に気密材s13を保持しており、外障子3の閉鎖時に気密材s13が左竪框33の室内側面に当接して気密ラインを形成している。
【0017】
枠体1を構成する右竪枠14は、図3に示すように、建物開口部の内周面に配置される見込壁14aと、見込壁14aの室内側端に連続して見付け方向に延びる室内側壁14bと、見込壁14aの室外側端に連続して見付け方向に延びる室外側壁14cと、見込壁14aの内周面の見込み方向中央付近から内周方向に延びる中央壁14dと、見込壁14aの内周面の室内側壁14bと中央壁14dの間の位置から内周方向に延びる引寄片14eを有している。
【0018】
右竪枠14は、室内側壁14bの室外側面に気密材s14を保持しており、気密材s14が内障子2の右竪框24の室内側面に当接して気密ラインを形成している。
【0019】
-内障子-
内障子2を構成する上框21は、図2に示すように、中空部を有し上枠11の見込壁11aと対向する天井部21aと、天井部21aの室内側から下方に伸びる見付壁部21bと、見付壁部21bの下端から室内側に延びる見込壁部21cと、見込壁部21cの室内側端から下方に延びる室内側壁21dと、天井部21aの内周面(下面)に取付けられる押縁21eを有している。
【0020】
上框21は、室内側壁21dと押縁21eの間にガラス間口21gが形成されており、バックアップ材及びシール材を介してパネル体25が保持されている。
上框21は、天井部21aの上面及びガラス間口21gの内部に火災時の熱により発泡する加熱膨張材fが配置されている。
【0021】
内障子2を構成する下框22は、図2に示すように、中空部を有する下框本体部22aと、下框本体部22aの室内側から上方に伸びる室内側壁22bと、下框本体部22aの室外側から上方に伸びる室外側壁22cと、下框本体部22aの室内側下面から下方に延びる載置片22dと、下框本体部22aの室内寄りの下面で載置片22dよりも室外側の位置から下方に延びる仕切片22eと、下框本体部22aの見込み方向で中央付近の下面から下方に延びる取付片22fを有している。
【0022】
下框22は、室内側壁22bと室外側壁22cの間にガラス間口22gが形成されており、バックアップ材及びシール材を介してパネル体25が保持されている。
下框22は、ガラス間口22gの内部に加熱膨張材fが配置されている。
【0023】
内障子2を構成する左竪框(召合框)23は、図3に示すように、複数の中空部を有する左竪框本体部231と、左竪框本体部231の室内側から内周方向に延びる室内側壁23bと、左竪框本体部231の内周面に取付けられる押縁23cを有している。
【0024】
左竪框23は、室内側壁23bと押縁23cの間にガラス間口23gが形成されており、バックアップ材及びシール材を介してパネル体25が保持されている。
左竪框23は、室外側面に煙返し片及び気密材s23が配置されており、外周側面にクレセント錠61が設けられている。
左竪框23は、室外側面及び及びガラス間口23gの内部に加熱膨張材f1,fが配置されている。
【0025】
内障子2を構成する右竪框24は、図3に示すように、見込壁24aと、見込壁24aの室内側から内周方向に延びる室内側壁24bと、見込壁24aの内周面に取付けられる押縁24cと、見込壁24aの外周側に連続する戸先溝部24dを有している。
【0026】
右竪框24は、室内側壁24bと押縁24cの間にガラス間口24gが形成されており、バックアップ材及びシール材を介してパネル体25が保持されている。
右竪框24は、戸先溝部24dの内部及びガラス間口24gの内部に加熱膨張材fが配置されている。
【0027】
-内障子の固定-
内障子2は、上框21が上枠11の室内側壁11bと中央壁11dとの間に配置され、下框22の取付片22fが下枠12の内下レール12eに固定されることで、枠体1に対して固定されている。
内障子2を固定するに際しては、上框21を上枠11の室内側壁11bと中央壁11dとの間にケンドン方式で挿入し、下框22の取付片22fを下枠12の内下レール12eの室内側に落とし込むことで内障子2が固定位置に設置される。
【0028】
内障子2が固定位置に設置された状態では、図2(c)に示すように、載置片22dが下枠12の室内側壁12cの気密材保持部12hの上面に載置され、取付片22fが下枠12の内下レール12eの室内側に当接されており、内下レール12eと取付片22fがビスbでビス止めされることで、内障子2が枠体1に固定される。
【0029】
枠体1に固定された内障子2の上框21の見込壁部21cと上枠11の室内側壁11bとの間には、図2(b)に示すように、クリアランスwが形成されているので、火災時に内障子2の竪框に生じる熱伸びをクリアランスwによって吸収することができるので、火災時における破損等を抑制することができる。
【0030】
また、内障子2が枠体1に固定された状態では、下枠12の室内側壁12cの気密材保持部12hに保持された気密材s121が内障子2の下框22の仕切片22eの室内側に当接して気密ラインを形成しており、下框22の載置片22dと仕切片22eと気密材s121によって気密材s121の上方に小空間sが形成されている。
【0031】
本実施形態の建具は、下枠12の気密材s121の上方に形成された小空間sに加熱膨張材f22を配置することで、火災時に気密材s121が焼失することなどによって生じる隙間を少ない加熱膨張材f22で効率的に閉塞することができる。
【0032】
さらに、下枠12の室内側壁12cの気密材保持部12hの下方位置に加熱膨張材fが配置されているので、内障子2側における下框22と下枠12の間の隙間からの煙や炎等が浸入することを防ぐことができる。
【0033】
-外障子-
外障子3を構成する上框31は、図2に示すように、中空部を有する天井部31aと、天井部31aの室内側端から下方に延びる室内側壁31bと、天井部31aの室外側下端から室外側に延びる見込壁部31cと、見込壁部31cの室外側端から下方に延びる室外側壁31dと、天井部31aの外周側(上方)に形成されるレール受溝31eを有している。
【0034】
上框31は、室内側壁31bと室外側壁31dの間にガラス間口31gが形成されており、バックアップ材及びシール材を介してパネル体35が保持されている。
上框31は、レール受溝31eの底面に加熱膨張材fが配置されている。
【0035】
外障子3を構成する下框32は、図2に示すように、中空部を有する下框本体部32aと、下框本体部32aの室内側から上方に伸びる室内側壁32bと、下框本体部32aの室外側から上方に伸びる室外側壁32cと、下框本体部32aの下方に連続するレール案内部32dを有している。
【0036】
下框32は、室内側壁32bと室外側壁32cの間にガラス間口32gが形成されており、バックアップ材及びシール材を介してパネル体35が保持されている。
下框32は、下框本体部32aの内部にスチール等から形成された補強材322が配置されており、下框本体部32aの内部、ガラス間口32gの内部及びレール案内部32dを構成する室外側案内壁の室内側面に加熱膨張材fが配置されている。
【0037】
外障子3を構成する左竪框(戸先框)33は、図3に示すように、室内外面に手掛け用の凹部が形成された中空部を有する左竪框本体部33aと、左竪框本体部33aの室内側から内周方向に延びる室内側壁33bと、左竪框本体部33aの室外側から室外方向に延びる見込壁部33cと、見込壁部33cの室外側端から内周方向に延びる室外側壁33dと、左竪框本体部33aの外周に連続する戸先溝部33eを有している。
【0038】
左竪框33は、室内側壁33bと室外側壁33dの間にガラス間口33gが形成されており、バックアップ材及びシール材を介してパネル体35が保持されている。
左竪框33は、戸先溝部33eの内部に引寄せブロック332が配置されており、左竪框本体部33aの内部、ガラス間口33gの内部及び戸先溝部33eを構成する室内側壁部の室外側面に加熱膨張材fが配置されている。
【0039】
外障子3を構成する右竪框(召合框)34は、図3に示すように、中空部を有する右竪框本体部34aと、右竪框本体部34aの室内側から内周方向に延びる室内側壁34bと、右竪框本体部34aの室外側内周端から室外側に延びる見込壁部34cと、見込壁部34cの室外側端から内周方向に延びる室外側壁34dを有している。
【0040】
右竪框34は、室内側壁34bと室外側壁34dの間にガラス間口34gが形成されており、バックアップ材及びシール材を介してパネル体35が保持されている。
右竪框34は、室内側面に煙返し片が配置されており、室内側内周にクレセント受62が設けられている。
また、右竪框34は、外周面に先端が内障子2の室外側面に当接もしくは近接するシール材s34を保持したシール材保持部材344が取り付けられている。
【0041】
右竪框34は、図3,4に示すように、右竪框本体部34aの内部にスチール等からなる断面略U字状の補強材342が配置されるとともにガラス間口34gの内部にステンレス等からなる断面略L字状のガラス外止め補強材343が配置されてビスbによって共締め固定されており、右竪框本体部34a内の補強材342、ガラス間口34gの内部及び右竪框本体部34aの室内側面にそれぞれ加熱膨張材fが配置されている。
【0042】
-召し合せ部の構成―
本実施形態の建具は、火災時に火炎の影響を受けやすい内障子2の召合框(左竪框)に配置する補強材を工夫することで、高い防火性能を付与している。
以下、本実施形態の召し合せ部の構成について、詳細に説明する。
【0043】
内障子2のアルミ製の左竪框(召合框)23は、図4に示すように、左竪框本体部231にガラス間口23gの底壁231gに面して見込み方向に隣接する二つの中空部231a,231bを有しており、室外側面には、加熱膨張材f1及び気密材s23が長手方向に沿って配置されている。
【0044】
左竪框23の二つの中空部のうち室外側に位置する室外側中空部231aは、断面略矩形状を有してガラス間口23gの外周側に位置しており、内部にスチール等からなる断面略U字状の補強材232が配置されている。
【0045】
一方、二つの中空部のうち室内側に位置する室内側中空部231bは、ガラス間口23gの外周側から室内側に亘る断面略L字形状を有し、室外側中空部231aの室内側に隣接しており、内部にスチール等からなる補強材233が配置されている。
【0046】
左竪框23の下端には、樹脂製の気密ピース8が取付けられている。
気密ピース8は、図5(e),(f)に示すように、内下レール12eを案内する案内溝81aを有するブロック形状の取付本体部81と、取付本体部81の室内側下面に設けられる室内側下方気密片84と、取付本体部81の室外側下面に設けられる室外側下方気密片83と、取付本体部81の室外側に連絡部分82aを介して連続し取付本体部81よりも上方に延びる室外側気密片82を有している。
なお、気密ピース8の室外側気密片82、室外側下方気密片83及び室内側下方気密片84は、例えば複数条(図5では、5条)のヒレ片から形成されており、室外側気密片82と室外側下方気密片83は一体的に連続していてもよい。
【0047】
内障子2の左竪框23には、気密ピース8を取り付けるための加工が施されている。
具体的には、図5(a),(b)に示すように、室外側中空部231aの室外側壁231jの下方部分には、気密ピース8の室外側気密片82の連絡部分82aを通す切欠きc1が形成されており、室外側中空部231aと室内側中空部231bを仕切る中央見付壁231kの下方部分に気密ピース8との干渉部分を切り欠いた切欠きc2が形成されている。
なお、気密ピース8の取付本体部81の形状等によって気密ピース8と中央見付壁231kが干渉しないようであれば、切欠きc2は形成しなくてもよい。
【0048】
そして、気密ピース8は、左竪框23の左竪框本体部231の室外側中空部231aに取付本体部81を下方から挿入することで、左竪框23の下面に取付けられている。
【0049】
左竪框23の下端に取付けられた気密ピース8は、図5(d),図6(b)に示すように、室外側気密片82が左竪框23の室外側面(室外側壁231j)に設けられた加熱膨張材f1の下方位置で室外側に向かって延びており、また、室外側気密片82は気密材ホルダ231mに保持される気密材s23に隣接する。
【0050】
下枠12の上面で内障子2の左竪框23の下方位置には、図6(b)に示すように、内下レール12eの室内側及び室外側にそれぞれ室内側気密部品85及び室外側気密部品86が配置されており、気密ピース8の室内側下方気密片84と室内側気密部品85によって内下レール12eの室内側における左竪框23の下面と下枠12との間が気密され、室外側下方気密片83と室外側気密部品86によって内下レール12eの室外側における左竪框23の下面と下枠12との間が気密されている。
また、室外側気密片82と気密材s23によって、左竪框23の下方位置における内障子2の左竪框23の室外側面と外障子3の右竪框34の室内側面の間が気密されている。
【0051】
内障子2の左竪框23の室外側中空部231aの内部に配置される補強材232は、図4図6(a)に示すように、ガラス間口23gの外周側面に沿う見込片232aと、見込片232aの室内側に連続する見付片232bと、見付片232bに連続して室外側に連続する見込片232cを有して室外側に開口するように配置されており、図7に示すように、内障子2の高さ方向ほぼ全長に亘って配置されている。
【0052】
補強材232の見付片232bの室外側面の下方部分には、図4図6(a)(b)に示すように、加熱膨張材f2が配置されており、その下端は、左竪框23の室外側面に配置された加熱膨張材f1よりも下方位置に至っている。
【0053】
一方、内障子2の左竪框23の室内側中空部231bの内部に配置された補強材233は、図4図6(a)に示すように、ガラス間口23gの室内側面に沿う見付片233aと、見付片233aに連続してガラス間口23gの外周側面に沿う見込片233bと、室内側中空部231bの外周側内面に沿う外周見込片233cと、見込片233bと外周見込片233cを連結させる連結見付片233dを有しており、図7に示すように、室外側中空部231aの内部に配置される補強材232よりも寸法が短く形成されている。
【0054】
また、内障子2は、図4図7に示すように、左竪框(召合框)23のガラス間口23g内にステンレス等の金属材料からなる短尺板状の連結材235が配置されている。
連結材235は、ガラス間口23gの底壁231gに沿うように上下に複数配置されており、見込み方向に隣接する室外側中空部231aと室内側中空部231bとに跨るように配置されている。
【0055】
そして、室外側中空部231aの内部に配置された補強材232は、見込片232aがガラス間口23gの底壁231gの室外寄りの外周面に当接するように配置されてビス等の固定手段bによって連結材235とともにガラス間口23gの底壁231gに共締め固定されている。
【0056】
また、室内側中空部231bの内部に配置された補強材233は、見込片233bがガラス間口23gの底壁231gの室内寄りの外周面に当接するように配置されてビス等の固定手段bによって連結材235とともにガラス間口23gの底壁231gに共締め固定されている。
【0057】
ガラス間口23gの底壁231gに固定された補強材233の見付片233a及び見込片233bは、少なくともガラス間口23gに保持されるパネル体25の室内側の見付面から外周側面に沿う寸法形状を有しており、見付片233aがガラス間口23gの室内側面を覆うとともに見込片233bがガラス間口23gの外周側面を覆っている。
【0058】
-本実施形態の建具の効果-
室内側で火災が発生した時には、図9(a)に示すように、左竪框23の左竪框本体部231の室内側壁231hは火炎にさらされて焼失し、ガラス間口23gを構成する底壁231g及び室内側間口壁231iは火炎や熱の影響を受けやすい。そのため、火災の早い段階で、図9(b)に示すように、ガラス間口23gの底壁231g及び室内側間口壁231iが溶融もしくは変形し、左竪框23のガラス間口23gとパネル体25との間に隙間Sが生じる可能性があった。
【0059】
本実施形態の建具は、召合框(左竪框23)の左竪框本体部231の室内側中空部231bの内部に、少なくともガラス間口23gに保持されるパネル体25の室内側の見付面から外周側面に沿う見付片233a及び見込片233bを有する補強材233が固定されているので、図8(a)に示すように、室内側で火災が発生して召合框(左竪框23)の左竪框本体部231の室内側壁231hが焼失しても、スチール等の補強材233の見付片233a及び見込片233bがパネル体25を保持するガラス間口23gの室内側及び外周側を保護してガラス間口23gの形状を維持することができ、延焼を遅らせることができる。
【0060】
さらに、本実施形態の建具は、室内側中空部231bの内部に配置された補強材233は、ガラス間口23gの内部に配置された連結材235と共締め固定されており、連結材235は、比較的火炎の影響を受けにくい室外側中空部231aに対して補強材232と共締め固定されているので、補強材233に反りが生じてガラス間口23gの底壁231gとの接続部分が裂けたとしても連結材235によって維持されて、図8(b)に示すように、ガラス間口23gの外周側面(底壁231g)及び室内側面(室内側間口壁231i)を保護して、延焼を遅らせることができる。
【0061】
また、本実施形態の建具は、室外側中空部231aの内部に配置された補強材232は、室外側中空部231aの室内側面を形成する中央見付壁231kに沿うように見付片232bが配置され、該見付片232bの室外側下方部分に加熱膨張材f2が配置されている。そのため、火災時には、見付片232bの加熱膨張材f2が室外方向に発泡して室外側中空部231a内に充満し、室外側中空部231a内を通ってガスや煙が伝わることを抑制することができる。
【0062】
さらに、室外側中空部231aの内部の補強材232の見付片232bの下端が左竪框23の室外側面に配置される加熱膨張材f1よりも下方に至る長さを有し、加熱膨張材f2が配置されているので、火災時に樹脂製の気密ピース8が溶融して露出する切欠きc1に対してより近くで加熱膨張材f2を発泡させることができ、ガスや煙が伝わる連通路の形成を抑制することができる。
【0063】
-他の実施形態-
以上の実施形態の建具の説明中では、框材(枠材)の複数の中空部内のそれぞれに補強材232,233が配置され、ガラス間口23g内に配置された連結材235は、両補強材232,233に共締め固定されているが、複数の中空部の全てに補強材が配置されていなくてもよい。
【0064】
例えば、室内側中空部231bのみに補強材233が配置され、連結材235は、補強材233とともにガラス間口23gの底壁231gに共締め固定されるとともに、室外側中空部231aに対してビス止め固定されるようにしてもよい。
【0065】
比較的火災時の熱の影響を受けにくい室外側中空部231aに連結材235が固定されることで、ガラス間口23gの室内側及び室内寄りの外周側が溶融しても補強材233を連結材235によって維持することができ、パネル体25を保持し、延焼を遅らせることができる。
【0066】
また、框材(枠材)の複数の中空部は2つに限定されず、補強材はいずれの中空部に配置されていてもよい。また、連結材はいずれの中空部に跨るように配置されていてもよい。
さらに、複数の中空部を有し、連結材が配置された枠材は、内障子の召合框に限定されず、外障子の召合框等いずれの框材でもよく、また、障子を支持する窓枠の枠材やFIX窓を構成する枠材であってもよい。
【0067】
また、框材(枠材)の中空部の内部に配置される補強材233の形状は限定されるものではない。
例えば、図10(a)に示すように、補強材233の見付片233aは、ガラス間口23gの室内側面(室内側間口壁231i)から隙間を空けて配置されているものでもよい。
また、補強材233は、見付片233aの内周端から室内側に延設される見込片233eを有し、さらに外周側に延設される見付片233fを設けることで、室内側中空部231bの室内側面(室内側壁231h)に沿うように形成されてもよい。
室内側中空部231bの室内側壁231hの裏面に補強材233の見付片233fを配置することで、ガラス間口23gから離れた位置で火炎や熱をうけることができ、ガラス間口23gへの火炎や熱の伝達を抑制することができる。
【0068】
また、補強材232,233の左竪框(枠材)23への固定箇所は、ガラス間口23gの底壁231gに限るものではない。
例えば、図10(b)に示すように、室外側中空部231aと室内側中空部231bを仕切る中央見付壁231kを挟んで、補強材232の見付片232bと補強材233の連結見付片233dをビスbによって共締めすることで、補強材232,233を固定してもよい。
なお、ビスbは、室外側中空部231aの室外側面にビス挿通孔を形成し、ビス挿通孔を介してネジ止めすればよく、補強材232,233を共締め固定したのちに、ビス挿通孔をキャップで塞ぐか加熱膨張材f1で塞げばよい。
また、室内側中空部231b内の補強材233は、見付片233aをガラス間口23gの室内側面(室内側間口壁231i)にビス止めすることで左竪框23に固定してもよい。
【0069】
本発明が適用される建具は、外動片引き窓に限定されず、引違い窓、開き窓等あらゆる種類の窓に適用できる。
その他、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
2 :内障子
23 :左竪框
23g :ガラス間口
25 :パネル体
231 :左竪框本体部
231a :室外側中空部
231b :室内側中空部
231g :底壁
232 :補強材
232b :見付片
233 :補強材
233a :見付片
233b :見込片
235 :連結材
b :ビス

図1
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図10