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特開2022-81352既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置、及び既設排水管の漏水補修方法
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  • 特開-既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置、及び既設排水管の漏水補修方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081352
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置、及び既設排水管の漏水補修方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/162 20060101AFI20220524BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20220524BHJP
   F16L 55/165 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
F16L55/162
E03C1/122 Z
F16L55/165
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192855
(22)【出願日】2020-11-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年7月1日に、本願に係る既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置、及び既設排水管の漏水補修方法の発明を実施している様子を説明するためのプレゼンテーション動画を製作し、DVDとして独立行政法人都市再生機構及び日本総合住生活株式会社の関係者数名に配布した。 令和2年8月25日に、東京都江東区のUR都市機構 大島4丁目団地4-5号棟にて、本願に係る既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置、及び既設排水管の漏水補修方法の発明の実施を独立行政法人都市再生機構及び日本総合住生活株式会社の関係者に対する公開試験のために行った。 令和2年9月30日、令和2年10月22日、及び令和2年11月6日等、複数回、日本総合住生活株式会社の技術開発研究所「スクエアJS」のA棟(埼玉県さいたま市桜区田島7-2-3)にて、本願に係る既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置、及び既設排水管の漏水補修方法の発明の実施を独立行政法人都市再生機構及び日本総合住生活株式会社の関係者に対する公開試験のために行った。
(71)【出願人】
【識別番号】514234333
【氏名又は名称】河原田 祥正
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【弁理士】
【氏名又は名称】江川 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100189991
【氏名又は名称】古川 通子
(72)【発明者】
【氏名】河原田 祥正
【テーマコード(参考)】
2D061
3H025
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB07
2D061AE10
3H025EA01
3H025EB13
3H025EB14
3H025EC01
3H025EE03
(57)【要約】
【課題】切断された既設配水管の管内面を作業性良く研磨するための研磨装置を提供する、また、既設配水管のスラブ貫通部からの漏水を容易に補修することができる漏水補修方法を提供する。
【解決手段】切断された既設排水管に先端側から挿入してその内面を研磨し、研磨で発生した塵芥を吸引して回収する管状シャフトを備える研磨装置を用いる。また、スラブを貫通する既設排水管の、スラブ貫通部からの漏水をエアバッグを用いて補修する方法を用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断された既設排水管に先端側から挿入してその管内面を研磨するための研磨装置であって、
先端に配された塵芥を吸引するための吸込口と後端の側面に配された吸引された前記塵芥を排出するための排出口とを有する管状シャフトと、前記管状シャフトを前記後端の側で回転可能に支持し、前記排出口から排出された塵芥を外部へ排出させるための配管を備える管状シャフト固定部材と、前記管状シャフトの先端側の管側面に固定された研磨部材と、前記管状シャフトを挿通させて前記管状シャフト固定部材に固定された被覆管と、を備え、
前記管状シャフトは、後端側にドライバーに接続されるためのドライバー接続部を有し、
前記管状シャフトの先端側に固定され、前記塵芥の落下を阻害するため塵芥受け部材をさらに備えることを特徴とする既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置。
【請求項2】
前記研磨部材の周辺に水を供給するための給水管をさらに備える請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記塵芥受け部材は、弾性プレートである請求項1または2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記被覆管の周囲に配された円盤状シール部材をさらに備える請求項1~3の何れか1項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記研磨部材は、前記管側面に固定された金属鎖である請求項1~4の何れか1項に記載の研磨装置。
【請求項6】
スラブを貫通する既設排水管の、スラブ貫通部からの漏水を補修する方法であって、
前記スラブを貫通する前記既設排水管の前記スラブから出る突出部分を残すようにして、前記既設排水管の一部分を切断して取り除き、残存する残存既設排水管を形成する工程と、
前記残存既設排水管の内面を研磨する工程と、
管状足部と前記管状足部に連なる広口液溜部とを有する漏斗状部材を前記残存既設排水管の上部に配置して前記広口液溜部を前記残存既設排水管の上部に露出させて配置する工程と、
前記残存既設排水管に配置された前記漏斗状部材の前記広口液溜部から、空気注入路を備えたエアバッグを漏水箇所の下部の所定の位置まで進入させ、所定の位置で前記エアバッグに空気を注入して膨張させることにより、前記残存既設排水管の下部をシールする工程と、
前記下部をシールされた前記残存既設排水管に配置された前記漏斗状部材の前記広口液溜部から、前記残存既設排水管の内径よりも小さい外径を有する所定の長さの短管を挿入する工程と、
前記短管を挿入された前記漏斗状部材の前記広口液溜部から液状の水硬化性の止水剤を注ぎ、前記残存既設排水管の管内面と前記短管の管外面との間に形成された隙間に前記止水剤を充填し、硬化させる工程と、
前記止水剤を充填した後、膨張した前記エアバッグから空気を抜いて前記エアバッグを収縮させ、前記エアバッグ及び前記漏斗状部材を取り外す工程と、を備えることを特徴とする既設排水管の漏水補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅等の高層建物に設置されている既設排水管の内面の研磨に用いられる研磨装置及び既設排水管の漏水補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等の高層建物の流し台、洗面所、浴室、トイレ等の設備から発生する排水は、各設備の配された室内から通じる横枝管を経て、各階を貫通する共用の排水立管から汚水槽等に流される。
【0003】
高層建物の排水立管等の既設排水管は、数十年の経年により、錆や劣化による破れにより漏水を生じさせることがある。漏水を止めるために既設排水管を更生補修する種々の方法は知られている。代表的な補修方法としては、既設排水管の内面をエポキシ樹脂等の樹脂でコートして漏水箇所を埋める樹脂ライニング工法、既設排水管の内部に新たな管を挿入して新たな管により通水路を確保するパイプインパイプ工法、または、既設排水管の漏水箇所を外側から樹脂等で埋めるパッチ工法等が知られている。
【0004】
例えば、下記特許文献1は、複数階のスラブ床面を構成するコンクリートスラブを貫通して配設された排水立管の更生方法であって、更生する当階とその上階の間の排水立管を、当階のスラブ床面から所定の位置および上階のスラブ天井面から所定の位置で切断して、その間の連結部を除去する切断工程と、当階のスラブ床面及び/又は上階のスラブ天井面に残存する排水立管のスラブ貫通部の内面を研磨洗浄後、その内面にエポキシ樹脂皮膜を形成する貫通部更生工程と、切断工程で除去した部分に、新たな管を継ぎ足す連結部更生工程と、からなることを特徴とする排水立管の更生方法を開示する。
【0005】
また、例えば、下記特許文献2は、老朽化した既設排水管の中に、この既設排水管より小さな管径の新管を挿入し、管内側から突合せ溶接して新管同志を接合した後、この新管と既設排水管との空隙部にモルタル等の充填材を圧入充填して、既設排水管の内面を補修する工法を開示する。
【0006】
また、例えば、下記特許文献3は、内部に液体が流れる流水管を補修するための流水管補修工法であって、流水管の補修対象箇所の上にパッチ部材を貼着又は接着剤を配置する工程1;パッチ部材が貼着又は接着剤が配置された流水管を防水性に囲んで覆う包囲カバーを取り付ける工程2を有し、流水管が、建築物内に配管され、工程1の後から工程2において包囲カバーを取り付けるまでの間、補修対象箇所からの液体の漏洩が停止している流水管補修工法を開示する。
【0007】
また、例えば、下記特許文献4は、スラブを貫通する既設排水管の、スラブ貫通部からの漏水を補修する方法であって、スラブを貫通する既設排水管のスラブから出る突出部分を残すようにして、既設排水管の一部分を切断して取り除き、残存する残存既設排水管を形成する工程と、残存既設排水管の内面を研磨する工程と、既設排水管の内径よりも小さい外径を有する主部と、主部の一端側に既設排水管の内径よりも大きい外径の径大部とを有する樹脂製である短管を準備する工程と、短管の少なくとも主部の外表面に液状の水硬化性の止水剤を塗布した後、短管を残存既設排水管に挿入し、外表面を残存既設排水管の内表面に止水剤を介して密着させる工程と、を備える漏水補修方法を開示する。
【0008】
上述した各工法においては何れも、既設排水管の漏水箇所を補修する前に既設排水管の管内面に付着した錆やスラッジ等の付着物を除去するために管内面を研磨する工程が必須とされている。従来、管内面の研磨には、電動ドライバーに側面に刃を備えるコアビットを装着し、コアビットを回転させながら配管内に挿入し、コアビットの刃を管内面に接触させることにより、管内面の研磨を行っていた。
【0009】
図7は、既設排水管の漏水補修のための既設排水管の管内面を研磨するための工程を説明するための概略説明図である。図7中、50は高層住宅の各階を通過する排水立管である既設排水管であり、fは漏水補修施工をする上階の床スラブ、cは下階の床スラブであり、これらのスラブは例えばコンクリートスラブとして形成されている。また、h11は補修対象となる漏水の原因となっている床スラブ内の既設排水管50に発生した孔である漏水箇所である。漏水箇所h11は既設排水管50の外面が露出していない床スラブfの内部で発生しているために、外側からは、直接、補修できない。また、rは既設排水管50の内部に発生した錆等の汚物である。図7中の各要素は、何れも既設排水管50の長手方向の断面を模式的に示している。また、シャフトにコアビット31を装着させたドライバー30のみ、概念図である。
【0010】
詳しくは、はじめに、図7(a)に示すように、漏水補修を実施する箇所の下階の居住域を通過する既設排水管50のx1の断面とx2の断面との間の既設排水管50の一部分である既設排水管片51を切断して取り除き、図7(b)に示すような、既設排水管片51を切断して取り除いた後に残存する残存既設排水管52を形成する。
【0011】
残存既設排水管52の内面には、居住年数や使用環境によってその程度は異なるが、既設排水管への通水により発生した錆やスラッジ等の汚物が付着している。このような床側既設排水管の内面に付着した錆やスラッジ等の汚物は、補修に際して除去する必要がある。そのために、図7(c)に示すように、残存既設排水管52の内面を、例えばコアビット31のような研磨装置を装着させたドライバー30を用い、その内面を研磨して平坦化する必要があった。
【0012】
このとき、既設排水管50から既設排水管片51を取り除き、残存既設排水管52を形成し、残存既設排水管52の内面を研磨する場合において、研磨屑や研磨屑の水洗に用いた水を含む塵芥が発生する。そのために、作業階の下階の居住域に塵芥Lを含む汚水を漏出させないように、図8に示すように、残存既設排水管52にジョイント61を用いてホース62を接続して、塵芥受け63で回収する必要があった。
【0013】
しかしながら、研磨により発生する塵芥が多い場合、回収作業が煩雑であったり、下階の住人の協力が得られなかったりして、作業性がわるかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006-57643号公報
【特許文献2】昭和62-266287号公報
【特許文献3】特開2014-5930号公報
【特許文献4】特開2019-184047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上述したような問題を解決すべく、切断された既設配水管の管内面を作業性良く研磨するための研磨装置を提供することを目的とする。また、既設配水管のスラブ貫通部からの漏水を容易に補修することができる漏水補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一局面は、切断された既設排水管に先端側から挿入してその管内面を研磨するための研磨装置であって、先端に配された塵芥を吸引するための吸込口と後端の側面に配された吸引された塵芥を排出するための排出口とを有する管状シャフトと、管状シャフトを後端の側で回転可能に支持し、排出口から排出された塵芥を外部へ排出させるための配管を備える管状シャフト固定部材と、管状シャフトの先端側の管側面に固定された研磨部材と、管状シャフトを挿通させて管状シャフト固定部材に固定された被覆管と、を備え、管状シャフトは、後端側にドライバー本体に接続されるためのドライバー接続部を有し、管状シャフトの先端側に固定され、塵芥の落下を阻害するため塵芥受け部材をさらに備える既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置である。このような研磨装置によれば、切断された既設排水管に先端側から挿入されることにより、接続されるドライバーの駆動により管状シャフトの先端側の研磨部材が管内面を研磨する。そして、研磨により発生する塵芥が、塵芥の落下を阻害するための塵芥受け部材により受けられる。そして、管状シャフトの後端側に接続されたバキュームクリーナーの吸引により、塵芥受け部材により落下を阻害された塵芥が管状シャフトの先端から吸引される。そして、管状シャフトの先端から吸引された塵芥は、管状シャフトの後端側に設けられた開口を介して塵芥をバキュームクリーナーに吸引させることができる。このような研磨装置によれば、管内面の研磨により発生する塵芥をバキュームクリーナーで回収することができるために、落下する塵芥を減らすことができ、既設配水管の管内面を効率的に研磨することができる。
【0017】
また、研磨装置は、研磨部材の周辺に水を供給するための給水管をさらに備えることが好ましい。このような給水管を備えることにより、研磨部材により研磨された管内面を研磨と同時に水洗することができる。また、給水された水が研磨により発生した塵芥と混ざりあうことにより、管状シャフトの吸込口から吸引されやすくなる。
【0018】
また、塵芥受け部材が弾性プレートであることが、既設配水管の管内面に大きな錆びやスラッジが付着している場合に、それらと接触して弾性プレートが変形することにより、既設配水管内を進行させやすくなる。
【0019】
また、研磨装置は、被覆管の周囲に配された円盤状シール部材をさらに備える場合には、管状シャフトの吸込口の周囲への空気の流入を阻害するために、管状シャフトの吸込口から塵芥がより吸引されやすくなる点から好ましい。
【0020】
また、研磨部材は、管側面に固定された金属鎖であることが、管側面に固定されて管状シャフトが回転していないときには垂下して半径が小さいが、管状シャフトが回転したときには遠心力により金属鎖が開き、半径が大きくなって管内面に衝突し、既設排水管の内径に合うように変形するために、既設排水管の内径に対する研磨部材のサイズの自由度が高い点から好ましい。
【0021】
また、本発明の他の一局面は、スラブを貫通する既設排水管の、スラブ貫通部からの漏水を補修する方法であって、スラブを貫通する既設排水管のスラブから出る突出部分を残すようにして、既設排水管の一部分を切断して取り除き、残存する残存既設排水管を形成する工程と、残存既設排水管の内面を研磨する工程と、 管状足部と管状足部に連なる広口液溜部とを有する漏斗状部材を残存既設排水管の上部に配置して広口液溜部を残存既設排水管の上部に露出させて配置する工程と、残存既設排水管に配置された漏斗状部材の広口液溜部から空気注入路を備えたエアバッグを漏水箇所の下部の所定の位置まで進入させ、所定の位置でエアバッグに空気を注入して膨張させることにより、残存既設排水管の下部をシールする工程と、下部をシールされた残存既設排水管に配置された漏斗状部材の広口液溜部から、残存既設排水管の内径よりも小さい外径を有する所定の長さの短管を挿入する工程と、短管を挿入された漏斗状部材の広口液溜部から液状の水硬化性の止水剤を注ぎ、残存既設排水管の管内面と短管の管外面との間に形成された隙間に止水剤を充填し、硬化させる工程と、止水剤を充填した後、膨張したエアバッグから空気を抜いてエアバッグを収縮させ、エアバッグ及び漏斗状部材を取り外す工程と、を備える既設排水管の漏水補修方法である。このような漏水補修方法によれば、スラブ貫通部からの漏水を容易に補修することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、切断された既設配水管の管内面を作業性良く研磨するための研磨装置を提供することができる。また、既設配水管のスラブ貫通部からの漏水を容易に補修することができる漏水補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態の既設排水管の研磨装置100を説明するための模式図である。
図2図2は、実施形態の既設排水管の研磨装置100の部分断面模式図である。
図3図3は、管状シャフト固定部材10の拡大模式図である。
図4図4は、研磨装置100を用いて切断された既設排水管の管内面を研磨する作業を説明するための工程模式図である。
図5図5は、実施形態の既設排水管の漏水補修方法を説明するための工程模式図である。
図6図6は、実施形態の既設排水管の漏水補修方法により補修された既設排水管に新設管を接続する方法を説明する工程模式図である。
図7図7は、従来の既設排水管の管内面を研磨する作業を説明するための工程模式図である。
図8図8は、実施形態の既設排水管に排水ホースを接続して塵芥を回収する作業を説明するための概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る、切断された既設排水管に先端側から挿入してその管内面を研磨するための研磨装置の一実施形態について詳しく説明する。
【0025】
図1は本実施形態の研磨装置100の模式図であり、図2は研磨装置100の部分断面模式図である。なお、図1においては、研磨装置100に、ドライバー120及びバキュームクリーナー110を接続したときの様子を示している。本実施形態においては、ドライバー120は電動インパクトドライバーである。また、バキュームクリーナー110は、塵芥を吸引するクリーナーであり、好ましくは、水も吸引できる水吸引クリーナーである。
【0026】
また、図2においては、ドライバー120及び給水管6は断面を示していない。以降の説明においては、紙面下方を先端側,下方、または前方と称し、紙面上方を後端側、上方又は後方と称することもある。
【0027】
図1及び図2中、1は管状シャフト、2は被覆管、3は研磨部材、4は塵芥受け部材、5は円盤状シール部材、6は給水管、7a及び7bはガイド部材、8は管状シャフト1をドライバー120に接続するためのドライバー接続部、9a,9bは軸受け、10は管状シャフト固定部材、11はバキュームクリーナー接続部、である。塵芥受け部材4は、塵芥受け部材本体4aと、支持部材4bと、固定部材4cとを含む。
【0028】
図2を参照すれば、研磨装置100は、先端側の管側面に研磨部材3を固定された管状シャフト1を備える。そして、管状シャフト1は塵芥を吸引するための先端の吸込口1a、塵芥を排出するための図2(b)に示すような後端側の排出口1bを備える。
【0029】
管状シャフト1の先端側の管の外側面には研磨部材3が固定されている。図1及び図2を参照すれば、研磨部材3は金属製の鎖の両端を管側面に固定されてなり、管状シャフト1が回転していないときには、金属製の鎖が適度に弛む長さを有するものである。研磨部材3が、このような金属製の鎖である場合には、管状シャフト1が回転しているときには、鎖が遠心力により、研磨対象となる既設排水管の内面に衝突するように内径に合わせて広がるために、既設排水管の内径に拠らず、フレキシブルに内径に適合させることができる。なお、本実施形態においては、研磨部材3は金属製の鎖である。研磨部材は金属製の鎖に限られず、コアビットのような側面に研磨刃を有するような研磨具であってもよい。
【0030】
管状シャフト1の先端側には、塵芥の落下を阻害するために、既設排水管に挿入可能な、好ましくは既設排水管の内径よりも小さい外形を有する塵芥受け部材4が配されている。塵芥受け部材4は、平板上の塵芥受け部材本体4a、L状またはコの字状の金属線からなる支持部材4b、固定部材4cと、を含む。平板上の塵芥受け部材本体4aは、支持部材4bにピン等の固定部材4cで固定されている。
【0031】
塵芥受け部材4は、研磨作業中において、既設排水管の管内面に研磨部材3が接触してその表面を研磨したときに発生する錆やスラッジの破砕物である塵芥を下方に落下させることを阻止するための部材である。
【0032】
研磨作業においては、進行方向においては既設排水管の管内面に多くの錆やスラッジが付着しているために、開口が塞がれて開口が狭くなっている場合がある。このような場合において、塵芥受け部材本体4aが可撓性を有する弾性材料、具体的には、ゴムや軟質プラスチックから形成された弾性プレートからなる場合には、管内面に付着した錆やスラッジによって開口径が小さくなっている部分では、塵芥受け部材本体4aを開口に通過させやすくなるように変形させることができる。
【0033】
また、塵芥受け部材4においては、管状シャフト1の先端の塵芥を吸引するための吸込口1aを塞ぎにくくして、管状シャフト1による塵芥の吸引を阻害しないように、支持部材4bはL状またはコの字状に形成されていることが好ましい。なお、支持部材4bがL状またはコの字状である場合には、管状シャフト1の回転により、支持部材4bが遠心力で揺動して不安定になることがある。そのために、塵芥受け部材本体4aは、管状シャフト1の回転に連動しないように回転自在に固定されていることが好ましい。
【0034】
そして、このような管状シャフト1は後端側で管状シャフト固定部材10に回転可能に支持されている。図3(a)は、管状シャフト固定部材10の部分拡大模式図であり、図3(b)は、管状シャフト1の排出口の正面模式図である。図3(a)を参照すれば、管状シャフト固定部材10には、管状シャフト1を挿通させている部分にボールベアリングである軸受け9a,9bが配されており、軸受け9a,9bにより、管状シャフト1は回転自在に支持されている。
【0035】
さらに、管状シャフト1を回転可能に支持する管状シャフト固定部材10には、管状シャフト1の排出口1bから排出される塵芥を、バキュームクリーナー110に接続されたバキュームクリーナー接続部11を介して外部へ排出させるための排気系統を備える。具体的には、管状シャフト固定部材10は気密空間である気密室Sと、気密室Sをバキュームクリーナー110に接続するためのバキュームクリーナー接続部11とを備える。
【0036】
そして、図1及び図2を参照すれば、管状シャフト固定部材10には、管状シャフト1を挿通させて被覆する被覆管2が固定されている。被覆管2は、回転する管状シャフト1を露出させないようにして安全を確保するための回転しない管状部材である。被覆管2は、管状シャフト固定部材10に、例えば溶接等により接合されて、管状シャフト1を挿通させて研磨部材3の上方まで延びる管状部材である。
【0037】
また、図1を参照すれば、研磨装置100においては、管状シャフト1を挿通させた被覆管2に並列するように給水管6が配されている。給水管6は、研磨作業中に、給水口6aから研磨部材3の周辺に水を供給するために設けられ、水を給水するためのホース40に止水バルブ41を介して接続されている。
【0038】
また、被覆管2の側面には、円盤状シール部材5,ガイド部材7a及びガイド部材7bが配されている。
【0039】
円盤状シール部材5は、研磨部材3の上方で被覆管2の周囲に配された部材であり、既設排水管の開口面を塞ぐことにより、既設排水管の上方からの空気の侵入を阻害して管状シャフト1の吸込口1a付近の減圧状態を保持させるために好ましく設けられる部材である。このような円盤状シール部材5は、既設排水管の開口面積の50%以上、さらには、70%以上、とくには80%以上の面積を塞ぐ面積を有するような円盤状部材であることが気密性を充分に高めることができる点から好ましい。また、円盤状部材は限定されないが、厚さ1~10mm程度の、撓みにくい、樹脂製や金属製のプレートであることが好ましい。
【0040】
また、ガイド部材7a及びガイド部材7bは、給水管6を被覆管2に支持させるために研磨部材3の上方で被覆管2の周囲に配された部材である。
【0041】
そして、管状シャフト1は、後端側にドライバー120を接続するためのドライバー接続部8を有する。ドライバー接続部8は、管状シャフト1に溶接されたプレート部8aとドライバー120のチャックに装着されるためのシャフト部8bとを備える。管状シャフト1はドライバー接続部8を介してドライバー120に接続され、ドライバー120を駆動させることにより回転する。
【0042】
次に、以上説明した研磨装置100を用いて、切断された既設排水管の管内面を研磨する方法の一実施形態について、図4を参照して詳しく説明する。
【0043】
本実施形態の研磨作業においては、図1に示したように、研磨装置100にドライバー120及びバキュームクリーナー110を接続して研磨作業の準備をする。また、非研磨対象となる切断された残存既設排水管52を準備する。
【0044】
そして、本実施形態の研磨作業においては、はじめに、図4(a)に示したように、作業者が、研磨装置100の先端側に配された塵芥受け部材4を、非研磨対象となる切断された残存既設排水管52に進入させる。このとき、残存既設排水管52の入り口となる開口に錆やスラッジが多く付着して開口が狭くなっている場合において、塵芥受け部材4が可撓性を有する場合には、押し込むことにより、塵芥受け部材4を変形させながら進入させることができる。また、塵芥受け部材4が可撓性を有しない場合には、塵芥受け部材4によって錆やスラッジを崩しながら進入させることもできる。
【0045】
そして、作業者が、研磨装置100に接続されたドライバー120の引金スイッチ121を引くことにより、ドライバー120の回転部の駆動に伴い、管状シャフト1が回転する。そして、図4(b)に示すように、管状シャフト1が回転することにより、その先端部の該側面に固定された研磨部材3も回動する。このとき、研磨部材3が管状シャフト1の側面に撓むように固定された金属鎖である場合、金属鎖は遠心力を受けて広がった状態で既設排水管の管内面に叩きつけられることにより、錆やスラッジに衝撃を与え、粉砕する。そして、管状シャフト1を回転させながら、研磨装置100を徐々に残存既設排水管52内の下方にまで侵入させていく。
【0046】
このとき、図4(b)に示すように、研磨装置100の給水管から研磨部材3の周辺に水Wが供給されていることにより、残存既設排水管52の管内面が研磨と同時に水洗される。
【0047】
そして、研磨時においては、管状シャフト1の先端側に固定された塵芥受け部材4が、粉砕された錆やスラッジである塵芥L、または、塵芥Lと水Wとの混合物が研磨装置100から落下することを阻害する。すなわち、塵芥Lや水Wの大部分が塵芥受け部材4の上に留められる。なお、塵芥受け部材4は、全ての塵芥L及び水Wを捕捉する必要はない。
【0048】
このとき、バキュームクリーナー110が運転中である場合には、塵芥受け部材4によって残存既設排水管52の外へ漏出することが阻害されている塵芥L及び水Wが、管状シャフト1の先端に配された吸込口1aから吸引される。そして、吸引された塵芥Lや水Wは、管状シャフト1の内部管、管状シャフト固定部材10の気密室S、及びバキュームクリーナー接続部11を経る排気系統を経て、バキュームクリーナー110に回収される。
【0049】
そして、図4(c)に示すように、研磨部材3を回転させながら、研磨装置100を、さらに、円盤状シール部材5が配された位置まで残存既設排水管52内に侵入させる。このように、円盤状シール部材5を既設排水管内に侵入させたとき、残存既設排水管52の上部の開口が円盤状シール部材5で塞がれることにより、研磨部材3の周囲の気密性が向上する。そのために、残存既設排水管52の管内面と塵芥受け部材4と円盤状シール部材5との間に気密性が向上した空間Vが形成され、バキュームクリーナー110による吸引効果が高くなる。
【0050】
そして、さらに、図4(d)に示すように、研磨装置100を、研磨部材3が残存既設排水管52の下端にまで到達するように侵入させる。そして、図4(e)に示すように、研磨装置100を残存既設排水管52から引き出すことにより、研磨作業が完了する。
【0051】
以上説明した、切断された既設排水管に研磨装置100を先端側から挿入してその管内面を研磨する研磨方法によれば、研磨装置100が、回転する研磨部材3によって研磨されて発生する錆やスラッジである塵芥L、または、塵芥Lと水Wとをバキュームクリーナー110によって効果的に回収することができる。
【0052】
以上説明した研磨装置100によって研磨された既設排水管は、例えば、次のようにして漏水補修される。
【0053】
図5は、本実施形態の既設排水管の漏水補修方法の各工程を説明する工程説明図である。図5において、52は切断されて残存する既設排水管であって、管内面が研磨されており、fは漏水補修施工をする床スラブであり、例えば、コンクリートスラブである。また、h1,h2は補修対象となる漏水の原因となっている床スラブ内の残存既設排水管52に発生した孔である漏水箇所である。漏水箇所h1,h2は残存既設排水管52の外面が露出していない床スラブfの内部で発生しているために、外側からは、直接、補修できない。図5中の各要素は、何れも残存既設排水管52の長手方向の断面を模式的に示している。また、エアバッグ54のみ、概念図である。
【0054】
本実施形態の既設排水管の漏水補修方法の実施においては、はじめに、図5(a)に示すように、スラブを貫通する既設排水管のスラブから出る突出部分を残すようにして、既設排水管の一部分を切断して取り除いて、残存する残存既設排水管52を準備する。そして、例えば、上述のような研磨装置100を用いて、残存既設排水管の内面を研磨する。このようにして、補修される研磨された残存既設排水管52を準備する。
【0055】
そして、図5(b)に示すように、残存既設排水管52の上部に、管内径よりも径の小さい外形を有する管状足部53bと、広口液溜部53aとを有する漏斗状部材53を配置する。漏斗状部材53は、管状足部53bと、管状足部53bの一端に連なるように開口し、残存既設排水管52に管状足部53bを挿入したときに残存既設排水管52の端部で係止される径を有する広口液溜部53aとを有する。漏斗状部材53の管状足部53bを残存既設排水管52の上部に挿入したときに、広口液溜部53aが残存既設排水管52の上部に露出するように漏斗状部材53がセットされる。
【0056】
このような漏斗状部材は、例えば、既設排水管の内径よりも小さい外径を有する管材の一端に、その管材の外径に一致する内径を有する広口の液溜部を有する液溜部材を例えば接着剤で接着して固定することにより製造される。また、漏斗状部材は、樹脂成形により製造された一体成形体であってもよい。このような漏斗状部材の材質は特に限定されず、例えば、硬質塩化ビニル樹脂等の樹脂材料で形成されていても、金属管であってもよいが、生産性の観点からは樹脂材料であることが好ましい。
【0057】
そして、図5(c)に示すように、漏斗状部材53を装着させた残存既設排水管52に、漏斗状部材53の開口からエアバッグ54を漏水箇所h1,h2の下部の所定の位置まで進入させる。エアバッグ54には、空気注入路54aから空気を注入可能であり、空気を注入されることにより、残存既設排水管52をシールする大きさに膨張する。エアバッグは、例えばゴム製のバルーンである。
【0058】
そして、図5(d)に示すように、空気注入路54aから空気を注入してエアバッグ54を膨らませることにより、膨張したエアバッグ54で残存既設排水管52の下部がシールされる。
【0059】
そして、図5(e)に示すように、下部をシールされた残存既設排水管52に配置された漏斗状部材53の広口液溜部53aの開口から、残存既設排水管52の管内径よりも小さい外径を有する所定の長さの短管55を挿入する。残存既設排水管52の管内面と短管55の管外面との隙間に、後述する止水剤が充填される。このような短管の材質も特に限定されないが、例えば、硬質塩化ビニル樹脂等の樹脂材料で形成されていても、金属管であってもよい。なお、短管は、異種金属の接触による腐食を生じさせず、金属製の既設排水管を錆びさせにくい点から硬質塩化ビニル樹脂製等の樹脂材料であることがとくに好ましい。
【0060】
そして、図5(f)に示すように、短管55を挿入された漏斗状部材53の広口液溜部53aからカップCに満たされた液状の水硬化性の止水剤56aを注ぎ、残存既設排水管52の管内面と短管55の管外面との間に形成された隙間に止水剤56aを充填し、硬化させる。このように液状の止水剤56aを注ぐことにより、残存既設排水管52の管内面と短管55の管外面との間に形成された隙間が液状の止水剤56aで埋められる。このとき、漏水箇所h1及びh2も液状の止水剤56aで塞がれる。
【0061】
止水剤は、残存既設排水管に短管を挿入したときに形成される隙間を埋めて塞ぐことにより、漏水箇所からの隙間への水の浸入を止める作用をする。止水剤で止水しない場合、漏水箇所から侵入した水が既設排水管と短管との間の隙間に侵入し、毛細管現象により水を吸収して短管の上部まで水を侵入させ、外部に漏水させるおそれがある。このような空隙を止水剤で埋めることにより、簡便な作業で毛細管現象により水を吸収して短管の上部まで水を侵入させてしまうことを抑制できる。、止水材の厚さは特に限定されないが、水の浸入を止める作用を奏する限り特に限定されないが、例えば0.5~10mm、さらには、1~5mm程度であることが好ましい。
【0062】
止水剤としては、隙間に充填したときに、短管の外表面を残存既設排水管の内表面に止水剤を介して密着させて隙間を埋めることのできる透水性の低い止水剤であれば特に限定なく用いられる。このような止水剤の具体例としては、例えば、水と接触する前は液状または半固体状であり、硬化により空隙を埋めて塞ぐ、例えば、一液型ポリウレタン樹脂系の止水剤や、二液型ポリウレタン樹脂系の止水剤が挙げられる。本実施形態の漏水補修方法の実施においては、一液型ポリウレタン樹脂系の止水剤、とくには所定量の水と混合することにより所定の時間で硬化する水硬化性一液型ポリウレタン樹脂の止水剤であって硬化物がゴム弾性を示す止水剤が、水の存在により硬化し、また、発泡倍率が1倍以上である無発泡または低発泡のポリウレタン弾性体であるために、硬化収縮せずに剛性を保つために高い止水効果が得られる点から好ましい。このような水硬化性一液型ポリウレタン樹脂の止水剤の具体例としては、例えばハイセル(登録商標)OH(東邦化学工業(株)製)が挙げられる。なお、とくには、水硬化性一液型ポリウレタン樹脂にさらにセメントを配合した場合には、速硬化性が向上する点から好ましい。この場合、例えば、30~600秒間程度で止水剤が硬化する。所定の時間が経過することにより、硬化した止水剤56が形成される。
【0063】
そして、図5(g)~(i)に示すように、止水剤56aを充填した後、膨張したエアバッグ54から空気を抜き、収縮させたエアバッグ54を取り外し、また、漏斗状部材53を取り外す。また、必要であれば、漏斗状部材53を取り除くことにより形成された短管55と残存既設排水管52との間の隙間をさらに液状の止水剤56aで埋めてもよい。また、図5(j)に示すように、必要に応じて残存既設排水管52から突出する短管55の余剰部55aを切断して端面を整えてもよい。このようにして、残存既設排水管52の漏水箇所h1,h1が塞がれて補修される。このようにして、本実施形態の既設排水管の漏水補修が完了する。
【0064】
床スラブf内の漏水補修後は、既設排水管の一部分を切断して既設排水管片を取り除いた部分を埋めるために、既設排水管を取り除いた部分と同じ長さの新設管60を準備し、取り除いた部分に新設管60を接続することが好ましい。具体的には、例えば、図6(a)に示すように、既設排水管から既設排水管片を取り除いた部分と同じ長さの新設管60を準備し、図6(b)に示すように新設管60を嵌めあわせ、床側の残存既設排水管52との継ぎ目及び天井側の残存既設排水管58との継ぎ目を必要に応じて止水処理をした後、図6(c)に示すようにカップリング部材59により固定する。このような接続においては、縮径締めによって管同士を接続するカップリング部材により、管接続を簡便に行うことが好ましい。このようなカップリング部材としては、例えば、配管の端面を突き合わせ、縮径締めによって管同士を接続するカップリング部材、具体的には、例えば、ストラブカップリング(登録商標、ショーボンドカップリング(株)製)等が好ましく用いられる。このように、新設管を接続することにより、既設排水管から取り除いた部分を再生させ、排水の通水路を再生させることができる。
【0065】
以上説明した本実施形態の既設排水管の漏水補修方法によれば、既設配水管のスラブを貫通する露出しない部分の漏水箇所をスラブを破壊するような手間を掛けることなく、短時間で簡便に漏水箇所の補修をすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 管状シャフト
1a 吸込口
1b 排出口
2 被覆管
3 研磨部材
4 塵芥受け部材
4a 塵芥受け部材本体
4b 支持部材
4c 固定部材
5 円盤状シール部材
6 給水管
6a 給水口
7a,7b ガイド部材
8 ドライバー接続部
10 管状シャフト固定部材
11 バキュームクリーナー接続部
30 ドライバー
40 ホース
41 止水バルブ
50 既設排水管
51 既設排水管片
52 残存既設排水管
53 漏斗状部材
53a 広口液溜部
53b 管状足部
54 エアバッグ
54a 空気注入路
55 短管
56a 液状の止水剤
56 硬化後の止水剤
100 研磨装置
110 バキュームクリーナー
120 ドライバー
f 床スラブ
h1,h2,h11 漏水箇所
L 塵芥
S 気密室
V 気密空間
W 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断された既設排水管に先端側から挿入してその管内面を研磨するための研磨装置であって、
先端に配された塵芥を吸引するための吸込口と後端の側面に配された吸引された前記塵芥を排出するための排出口とを有する管状シャフトと、前記管状シャフトを前記後端の側で回転可能に支持し、前記排出口から排出された塵芥を外部へ排出させるための配管を備える管状シャフト固定部材と、前記管状シャフトの先端側の管側面に固定された研磨部材と、前記管状シャフトを挿通させて前記管状シャフト固定部材に固定された被覆管と、を備え、
前記管状シャフトは、後端側にドライバーに接続されるためのドライバー接続部を有し、
前記管状シャフトの先端側に固定され、前記塵芥の落下を阻害するため塵芥受け部材をさらに備えることを特徴とする既設排水管の管内面を研磨するための研磨装置。
【請求項2】
前記研磨部材の周辺に水を供給するための給水管をさらに備える請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記塵芥受け部材は、弾性プレートである請求項1または2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記被覆管の周囲に配された円盤状シール部材をさらに備える請求項1~3の何れか1項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記研磨部材は、前記管側面に固定された金属鎖である請求項1~4の何れか1項に記載の研磨装置。