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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081367
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20220524BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20220524BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/06 300
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212129
(22)【出願日】2020-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】202011307502.0
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520214949
【氏名又は名称】晶科▲緑▼能(上海)管理有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA01
5F151AA03
5F151BA11
5F151CB13
5F151CB19
5F151CB21
5F151DA03
5F151FA06
5F151FA07
5F151FA10
5F151GA04
5F151HA01
5F151HA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】太陽電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ベース20と、第1パッシベーション膜212及び第1電極214と、フィールドパッシベーション層226及び第2電極228とを備え、フィールドパッシベーション層226が第1及び第2フィールドパッシベーションサブ層226a、226bを含み、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの材料の導電率が第2フィールドパッシベーションサブ層226bよりも大きく、第2フィールドパッシベーションサブ層226b厚さが第1フィールドパッシベーションサブ層226aよりも小さく、ベース20がフィールドパッシベーション層226に向かう方向に、第2電極228は順に積層された銀電極228a、導電性ペースト228b及び電極膜228cを含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベースの上面に順に積層された第1パッシベーション膜、反射防止層および第1電極と、前記ベースの下面に順に積層されたトンネル層、フィールドパッシベーション層および第2電極と、を備え、前記フィールドパッシベーション層が、前記第2電極と前記ベースとの間に位置する第1フィールドパッシベーションサブ層と、隣接する前記第2電極の間に位置する第2フィールドパッシベーションサブ層とを含み、
前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率は、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率よりも大きく、前記ベースの表面に垂直な方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、
前記ベースが前記第1フィールドパッシベーション膜に向かう方向において、前記第1電極は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、及び/又は、
前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2電極は、順に積層された銀電極、導電性ペーストおよび電極膜を含む、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の底面は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の底面と面一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の上面の表面ドーピング濃度は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の上面の表面ドーピング濃度よりも低い、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1フィールドパッシベーションサブ層の上面と前記第2フィールドパッシベーションサブ層の上面との表面ドーピング濃度差は、0.5E+20/cm~1.5E+20/cmである、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記ベースから離れる方向において、前記第1フィールドパッシベーションサブ層は、順に積層されたイオン富化層とイオン拡散層を含み、前記イオン富化層のドーピング濃度が前記イオン拡散層のドーピング濃度よりも大きく、
前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の上面は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の上面よりも低く、かつ、前記第2フィールドパッシベーションサブ層と前記第1フィールドパッシベーションサブ層との厚さの差は、前記イオン富化層の厚さよりも大きい、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料と前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料とは異なり、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記銀電極は、細いゲード線または、複数本の前記細いゲード線を接続するメインゲート線を含み、前記導電性ペーストは、前記メインゲート線及び/又は細いゲード線を覆っている、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記電極膜の材料は、導電性有機物、導電性無機物、非銀金属単体または非銀金属複合体を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記導電性ペーストは、基材と、導電性粒子とを含み、
前記基材の材料は、アクリル酸、エポキシ、シリカゲル、無水マレイン酸、またはハイブリッド樹脂を含み、
前記導電性粒子の材料は、銀、銀コート銅、金、ニッケルまたは炭素を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
ベースを提供することと、
前記ベースの上面に、順に積層された第1パッシベーション膜、反射防止層および第1電極を形成することと、
前記ベースの下面に、順に積層されたトンネル層、フィールドパッシベーション層および第2電極を形成することと、を含み、前記フィールドパッシベーション層は、前記第2電極と前記ベースとの間に位置する第1フィールドパッシベーションサブ層と、隣接する前記第2電極の間に位置する第2フィールドパッシベーションサブ層とを含み、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率は、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率よりも大きく、前記ベースの表面に垂直な方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、
前記ベースが前記第1フィールドパッシベーション膜に向かう方向において、前記第1電極は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、及び/又は、前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2電極は、順に積層された銀電極、導電性ペーストおよび電極膜を含む、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電力の分野に関し、特に太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池技術の絶えず発展に伴い、金属コンタクト領域の再結合損失は、太陽電池の変換効率のさらなる向上を制約する要因の一つとなっている。太陽電池の変換レートを上げるために、パッシベーションコンタクトにより太陽電池を不動態化して、太陽電池本体と表面の再結合を低減することが多い。また、太陽電池の抵抗率を低下させるために、従来の技術では通常、電極材料として銀金属を使用している。
【0003】
しかしながら、従来の太陽電池は、変換効率の向上が望まれ、コストダウンも望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、太陽電池の変換効率の向上および太陽電池のコストの低減化に有利な太陽電池及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施例に提供される太陽電池は、ベースと、ベースの上面に順に積層された第1パッシベーション膜、反射防止層および第1電極と、前記ベースの下面に順に積層されたトンネル層、フィールドパッシベーション層および第2電極と、を備え、前記フィールドパッシベーション層が、前記第2電極と前記ベースとの間に位置する第1フィールドパッシベーションサブ層と、隣接する前記第2電極の間に位置する第2フィールドパッシベーションサブ層とを含み、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率は、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率よりも大きく、前記ベースの表面に垂直な方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、前記ベースが前記第1フィールドパッシベーション膜に向かう方向において、前記第1電極は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、または、前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2電極は、順に積層された銀電極、導電性ペーストおよび電極膜を含む。
【0006】
また、前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の底面は、前記第1フィールドパッシベーション層の底面と面一である。
【0007】
また、前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の上面の表面ドーピング濃度は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の上面の表面ドーピング濃度よりも低い。
【0008】
また、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の上面と前記第2フィールドパッシベーションサブ層の上面との表面ドーピング濃度差は、0.5E+20/cm~1.5E+20/cmである。
【0009】
また、前記ベースから離れる方向において、前記第1フィールドパッシベーションサブ層は、順に積層されたイオン富化層とイオン拡散層を含み、前記イオン富化層のドーピング濃度は、前記イオン拡散層のドーピング濃度よりも大きく、前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の上面は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の上面よりも低く、かつ、前記第2フィールドパッシベーションサブ層と前記第1フィールドパッシベーションサブ層との厚さの差は、前記イオン富化層の厚さよりも大きい。
【0010】
また、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料と前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料とは異なり、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数よりも小さい。
【0011】
また、前記銀電極は、複数本の細いゲード線と、複数本の前記細いゲード線を接続するメインゲート線とを含み、前記導電性ペーストは、前記メインゲート線及び/又は細いゲード線を覆っている。
【0012】
また、前記電極膜の材料は、導電性有機物、導電性無機物、非銀金属単体または非銀金属複合体を含む。
【0013】
また、前記導電性ペーストは、基材と導電性粒子を含み、前記基材の材料は、アクリル酸、エポキシ、シリカゲル、無水マレイン酸、またはハイブリッド樹脂を含み、前記導電性粒子の材料は、銀、銀コート銅、金、ニッケルまたは炭素を含む。
【0014】
これに応じて、本発明の実施例はさらに太陽電池の製造方法を提供し、ベースを提供することと、前記ベースの上面に、順に積層された第1パッシベーション膜、反射防止層および第1電極を形成することと、前記ベースの下面に、順に積層されたトンネル層、フィールドパッシベーション層および第2電極を形成することと、を含み、前記フィールドパッシベーション層は、前記第2電極と前記ベースとの間に位置する第1フィールドパッシベーションサブ層と、隣接する前記第2電極の間に位置する第2フィールドパッシベーションサブ層とを含み、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率は、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率よりも大きく、前記ベースの表面に垂直な方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、前記ベースが前記第1フィールドパッシベーション膜に向かう方向において、前記第1電極は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、または、前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2電極は、順に積層された銀電極、導電性ペーストおよび電極膜を含む。
【0015】
従来技術に比べて、本発明の実施例により提供された技術方案は、以下の利点がある。
【0016】
上記の技術方案において、第2電極と接触する第1フィールドパッシベーションサブ層は、比較的高い導電率を有し、多数キャリアの効果的な輸送を確保し、太陽電池の短絡電流を高めることに有利である。また、第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、第2フィールドパッシベーションサブ層の光吸収能力を弱めて、太陽電池の変換効率を向上することに有利である。また、導電性ペーストで接着する電極膜は、いかなる導電性材料であってもよく、すなわち銀よりもコストが低い材料であってもよく、このようにして、太陽電池のコストの低減化に有利である。
【0017】
また、第2フィールドパッシベーションサブ層におけるベースから離れる表面の表面ドーピング濃度が比較的小さくなるように制御することで、第2フィールドパッシベーションサブ層の光吸収能力が弱くなり、そして、第1フィールドパッシベーションサブ層におけるベースから離れる表面の表面ドーピング濃度が比較的大きくなるように制御することで、フィールドパッシベーション層と第2電極との間で良好なオーミックコンタクトが形成されることを確保し、さらに多数キャリアの効果的な輸送を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、添付の図面における同じ参照番号を持つ部品は類似の部品を表し、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。
図1図1は、太陽電池の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る陽電池の製造方法の流れを示す図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
図4図4は、図3に示す構成におけるフィールドパッシベーション膜の深さ-ドーピング濃度を示す図である。
図5図5は、図3に示す構成におけるフィールドパッシベーション膜の深さ-ドーピング濃度を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
図7図7は、本発明の一実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
図8図8は、本発明の一実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
図9図9は、本発明の他の実施例に係る太陽電池の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、太陽電池がTOPCon電池を例とする。
【0020】
従来の応用において、太陽電池は第1領域10aと第2領域10bとに分けられることができ、フィールドパッシベーション層122は、材料性質が同じで厚さが均一な膜層として、トンネル層121の表面に均一に被覆され、かつ、第1領域10aのフィールドパッシベーション層は、第2電極と接触するために用いられる。
【0021】
フィールドパッシベーション層122は、一般に、ドーピングされたポリシリコン層またはアモルファスシリコン層であり、第2電極被覆領域、即ち第1領域10aにおいて出来るだけ低い飽和複合電流密度を実現するために、ベース10の表面に比較的顕著なエネルギーバンドベンディングが形成されるように、フィールドパッシベーション層122をハイドープ(heavy doping)し、少数キャリアをフィールドパッシベーション化し、多数キャリアを選択的に輸送すると同時に、第2電極との間で良好なオーミックコンタクトを形成し、多数キャリアの効果的な輸送を確保する必要がある。しかしながら、ハイドープした後のフィールドパッシベーション層122は、光吸収能力が強いため、太陽電池領域に進入するフォトンの総量をその分だけ少なくし、太陽電池の短絡電流および変換効率を低下させてしまう。
【0022】
そのため、現在、パッシベーションコンタクト技術は、光の吸収への影響を低減するように、太陽電池の下面、すなわち裏面に適用することが一般的であるが、フィールドパッシベーション層122は、一般的に材料性質が同一で厚さが均一な膜層であるため、それ自体の光吸収は依然として比較的深刻であり、変換効率の向上に不利である。
【0023】
また、従来技術では、第1電極および第2電極のコストを節約するため、採用する手段は対応する問題を有する場合が多い。第1に、銀の含有量を低減するために銀ペーストの成分を改良しているが、銀ペーストにおける銀の割合が依然として60%を超える。第2に、効率を低下させることなく単セルの銀ペースト消費量を少なくするために、スクリーン印刷のメッシュパターンを最適化しているが、従来のスクリーン印刷技術におけるボトルネックは、金属電極の高さと幅の最適化を制限しており、特に、高さの点では、高さが低すぎると効率が低下し、高さが高すぎると銀ペーストが無駄になる。第3に、無電解めっき又は電気めっき技術を採用し、銀ペースト電極の代わりにニッケル、銅、銀電極を用いるが、めっきした電極とシリコンウェハの間の引っ張りが十分ではなく、実施の過程において金属原子を含む化学液体を用いる必要があり、廃液処理のコストが比較的高く、環境にも優しくなく、そして、スクリーン印刷に類似した電極パターンを実現するように、フォトリソグラフィーやレーザー装置、無電解めっき装置、または電気めっき装置の導入も必要であり、装置への投資は大きい。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の実施例に提供される太陽電池およびその製造方法は、第2電極と接触する第1フィールドパッシベーションサブ層の材料が比較的高い導電率を有し、多数キャリアの効果的な輸送を確保し、太陽電池の短絡電流を高めることに有利であり、第2フィールドパッシベーションサブ層の厚みが第1フィールドパッシベーションサブ層の厚みよりも小さく、第2フィールドパッシベーションサブ層の光吸収能力を低下させて、太陽電池の変換効率を高めることに有利である。また、導電性ペーストで接着する電極膜は、いかなる導電材料であってもよく、すなわち、銀よりもコストが低い材料であってもよく、このように、太陽電池のコストの低減化に有利である。
【0025】
本発明の実施例の目的、技術方案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本発明の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部および以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術方案を実現することができる。
【0026】
図2は、本発明の一実施例に係る太陽電池の製造方法の流れを示す図である。図3図6図8は、本発明の一実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。図4および図5は、図3に示す構成におけるフィールドパッシベーション膜の深さ-ドーピング濃度を示す図である。図2図8を参照して、太陽電池の製造方法は、以下のステップを含む。
【0027】
ステップ101:図3を参照して、フィールドパッシベーション膜222を含む半製品電池を提供する。
【0028】
半製品電池は、少なくともベース20と、ベース20の上面に位置するエミッタ211と、ベース20の下面に順に積層されたトンネル層221及びフィールドパッシベーション膜222とを含んでいる。いくつかの実施例において、半製品電池は、エミッタ211の表面に順に積層された第1パッシベーション膜212(おもて面パッシベーション膜212ともいう)と、反射防止層213とをさらに備える。ここで、エミッタ211は、ベース20の表面に一定の深さまで拡散したドープ層であり、ベース20内にPN接合構造が形成されている。
【0029】
そのうち、ベース20の材料はシリコンを含み、太陽電池は第1領域20aおよび第2領域20bを含み、トンネル層221の材料は、酸化シリコンを含み、厚さが1~2nmであり、熱酸化プロセスによって形成することができる。フィールドパッシベーション膜222の材料は、ドープされたポリシリコンを含み、第1領域20aのフィールドパッシベーション膜222は、後に形成された第2電極と接触して接続するためのものである。
【0030】
本実施例において、フィールドパッシベーション膜222は、ベース20から離れる方向に順に積層されたイオン拡散層223とイオン富化層224とを有し、イオン富化層224のドーピングイオン濃度は、イオン拡散層223のドーピングイオン濃度よりも大きい。イオン富化層224は、イオン注入工程により真性半導体をイオン注入して得ることができ、イオン拡散層223におけるドーピングイオンは、イオン富化層224におけるドーピングイオンが濃度差の存在により自由拡散に遷移して得られることができる。イオン富化層224は、フィールドパッシベーション膜222と後に形成された第2電極との間で良好なオーミックコンタクトを形成できることを確保し、キャリアの効果的な輸送を確保するために設置され、また、顕著なエネルギーバンドベンディングを形成してキャリアの選択的な輸送を実現するために設置される。イオン拡散層223は、多数キャリアの効果的な輸送を確保するために設置される。
【0031】
本実施例では、イオン富化層224の材料をイオン拡散層223の材料と同様とすることで、イオン富化層224とイオン拡散層223の間の界面エネルギーを低減させ、イオン拡散層223に拡散可能なドーピングイオンの数を増やし、フィールドパッシベーション膜222が多数キャリアの輸送路において比較的高い導電率を確保することに有利であり、これにより、多数キャリアの効果的な輸送を確保し、太陽電池の変換効率を向上する。その他の実施例では、イオン富化層の材料とイオン拡散層の材料とが異なっており、このように、界面エネルギーの制限によりドーピングイオンの拡散を低減することに有利であり、イオン富化層が比較的高いドーピング濃度を有することを確保し、さらにフィールドパッシベーション膜と後に形成された第2電極との間で良好なオーミックコンタクトを形成できることを確保する。
【0032】
具体的には、フィールドパッシベーション膜222の材料種類は、真性半導体、金属酸化物、シリサイド、塩類、有機物、または金属の少なくとも一種を含む。具体的には、真性半導体は、多結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンを含み、金属酸化物は、TiOx、MoOx、Vox、WoxまたはMgOxを含み、シリサイドは、SiC、SiNx、SiOxNyまたはSiOxNyCzを含み、塩類は、MgFx、CsFxまたはLiFxを含み、有機物は、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリスチレンスルホン酸(Poly(3、4-ethylenedioxythiophene/poly(styrenesulfonate)、PEDOT/PSS)を含み、金属は、Mg、CaまたはAlを含む。なお、金属の選択は、ベース20のドーピングタイプとドーピング濃度とに関連しており、すなわち、フィールドパッシベーション膜222は、ベース20のドーピングタイプとドーピング濃度とに応じて対応する仕事関数をマッチングすることができる。
【0033】
太陽電池の領域区分け方式によれば、フィールドパッシベーション膜222を、第1領域20aに位置する第1フィールドパッシベーション膜222aと、第2領域20bに位置する第2フィールドパッシベーション膜222bとに分け、イオン富化層224を、第1領域20aに位置する第1富化層224aと、第2領域20bに位置する第2富化層224bとに分けることができる。
【0034】
本実施例では、第1富化層224aと第2富化層224bとは、同一のイオン注入プロセスによって同時に形成され、すなわち、第1富化層224aの平均ドーピング濃度と第2富化層224bの平均ドーピング濃度とは同じであり、ベース20におけるフィールドパッシベーション膜222に向かう方向において、第1富化層224aの上面の表面ドーピング濃度と第2富化層224bの上面の表面ドーピング濃度とが同じである。
【0035】
本実施例におけるフィールドパッシベーション膜222の、ベース20に向かう方向における異なる深さのドーピング濃度については、具体的には図4を参照することができる。図4に示す深さ-ドーピング濃度の模式図から分かるように、イオン富化層224の厚さは、ベース20の表面に垂直な方向において、約70nmであり、イオン富化層224におけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度は、1.5E+20/cmより大きく、イオン拡散層223のドーピング濃度は、1.5E+20/cm以下である。
【0036】
また、別の実施例では、第1富化層224aと第2富化層224bとがそれぞれ異なるイオン注入プロセスによって形成され、第1富化層224aの平均ドーピング濃度は、第2富化層224bの平均ドーピング濃度よりも大きく、ベース20がフィールドパッシベーション膜222に向かう方向において、第1富化層224aの上面の表面ドーピング濃度は第2富化層224bの上面の表面ドーピング濃度よりも大きい。このように、第2フィールドパッシベーション膜222bの光吸収能力を弱め、太陽電池の変換効率を高めることに有利である。
【0037】
別の実施例におけるフィールドパッシベーション膜222の、ベース20に向かう方向における異なる深さのドーピング濃度については、具体的には図5を参照することができる。図5に示す深さ-ドーピング濃度の模式図から分かるように、第1富化層224aの上面の表面ドーピング濃度は、ベース20の表面に垂直な方向において、1.5E+20/cmより大きく、第2富化層224bの上面の表面ドーピング濃度は、1.5E+20/cmより小さい。
【0038】
なお、光吸収能力は、フィールドパッシベーション膜222の厚さおよびドーピング濃度に関するものであり、ドーピング濃度は、フィールドパッシベーション膜222におけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度またはフィールドパッシベーション膜222の平均ドーピング濃度を含んでいる。具体的には、光吸収能力は、数式I=Iexp(-a*d)によって算出して得られ、そのうち、Iは初期入射光の、吸光媒体を通過した後の残り強度を表し、Iは初期入射光強度を表し、aはフィールドパッシベーション膜222の吸光係数を表し、dはフィールドパッシベーション膜222の厚さを表し、a値の大きさは、フィールドパッシベーション膜222の表面ドーピング濃度または平均ドーピング濃度に関連しており、フィールドパッシベーション膜222の表面ドーピング濃度または平均ドーピング濃度が高いほど、a値が大きい。
【0039】
上記数式から分かるように、フィールドパッシベーション膜222におけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度を下げ、フィールドパッシベーション膜222の平均ドーピング濃度を下げ、あるいはフィールドパッシベーション膜222の厚さを薄くすることは、いずれもフィールドパッシベーション膜222の光吸収能力を下げ、初期入射光の光吸収媒体を通過した後の残り強度、すなわちベース20の表面に到達する光線強度を上げて、太陽電池に利用可能な光を増やすことができる。また、フィールドパッシベーション膜222の光吸収能力が低下するため、後に形成される第2パッシベーション膜は、ベース20から透過した光をベース20の表面に反射して戻すことができ、太陽電池に利用可能な光をより一層増やすことができる。
【0040】
ステップ102:図6を参照して、マスク層225を形成し、マスク層225によって第2領域20bのイオン富化層224をエッチングする。
【0041】
本実施例において、マスク層225は、第1フィールドパッシベーション膜222aを被覆しており(図3を参照)、マスク層225の材料は、有機ワックスであり、ベース20の表面に垂直な方向において、有機ワックスの厚さは、50μm~300μmであり、マスク層225におけるベース20に向かう方向において、マスク層225のビューは、フィンガーラスターライン(gate line)型である。マスク層225は、スクリーン印刷プロセスまたはインクジェット印刷プロセスにより形成することができる。
【0042】
マスク層225を形成した後、半製品電池を硝酸とフッ酸と水との混合溶液に置いて反応を行うことができる。有機ワックスが混合溶液と反応しないため、マスク層225によって保護された第1フィールドパッシベーション膜222aは混合溶液によってエッチングされないが、マスク層225に露出される第2フィールドパッシベーション膜222b(図3を参照)はエッチングされ、これにより、第2フィールドパッシベーション膜222bの厚さのみを薄くすることを実現し、すなわち、第2フィールドパッシベーション膜222bが第1フィールドパッシベーション膜222aと厚さの差を持たせるようになっており、残りの第1フィールドパッシベーション膜222aが第1フィールドパッシベーションサブ層226aとなり、残りの第2フィールドパッシベーション膜222bが第2フィールドパッシベーションサブ層226bとなり、第1フィールドパッシベーションサブ層226aと第2フィールドパッシベーションサブ層226bとがフィールドパッシベーション層226を構成している。
【0043】
本実施例では、反応時間、反応温度及び溶液調合比率等の要素を制御することにより、厚さの差の大きさを制御することができる。具体的には、厚さの差が0μm~100μmとなるように制御する必要がある場合には、溶液調合比率をHF:HNO:HO=1:5:5~1:25:25、反応温度を7℃~15℃、反応時間を30s~90sとする。
【0044】
エッチングした後、ベース20の表面に垂直な方向において、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの厚さは、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの厚さよりも小さい。第1フィールドパッシベーションサブ層226aにおけるベース20に向かう表面は、第2フィールドパッシベーションサブ層226bにおけるベース20に向かう面と面一であるため、ベース20がフィールドパッシベーション層226に向かう方向において、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの上面は、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの上面よりも低い。
【0045】
本実施例では、エッチングの深さがイオン富化層224の厚さよりも大きく、すなわち、第2フィールドパッシベーションサブ層226bにおけるベース20から離れる表面がイオン拡散層223内に位置しており、第2フィールドパッシベーションサブ層226bにおけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度が、第1フィールドパッシベーションサブ層226aにおけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度よりも小さい。このように、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの光吸収能力を弱め、太陽電池の変換効率を高めることに有利である。
【0046】
本実施例では、第2フィールドパッシベーションサブ層226bと第1フィールドパッシベーションサブ層226aとの厚さの差は、50nm~80nmであり、第2フィールドパッシベーションサブ層226bにおけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度と、第1フィールドパッシベーションサブ層226aにおけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度との濃度差は、0.5E+20/cm~1.5E+20/cmである。
【0047】
具体的には、ベース20の表面に垂直な方向において、第1フィールドパッシベーション層226aの厚さは、120nmであり、第1フィールドパッシベーションサブ層226aにおけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度は、2E+20/cmであり、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの厚さは、50nmであり、第2フィールドパッシベーションサブ層226bにおけるベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度は、E+20/cmである。
【0048】
第1フィールドパッシベーションサブ層226aの厚さおよびベース20から離れる表面の表面ドーピング濃度は変化しないため、第1フィールドパッシベーションサブ層226aは、依然として良好なパッシベーション効果を持っている。同時に、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの平均ドーピング濃度は、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの平均ドーピング濃度よりも大きいため、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの材料の導電率は、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの材料の導電率よりも大きく、第1フィールドパッシベーションサブ層226aと後に形成される第2電極との間には比較的高い短絡電流が依然として存在する。すなわち、第2フィールドパッシベーションサブ層226bを薄くすることにより、太陽電池が開放電圧を維持しながら、太陽電池の変換効率を高めることができる。
【0049】
導電率が大きいほど、抵抗率が小さくなるため、第1のフィールドパッシベーションサブ層226aの材料が比較的高い導電率を有するように制御することで、キャリアの流れ損失を低減し、太陽電池の変換効率を高めるのに有利である。
【0050】
他の実施例では、エッチングの深さがイオン富化層の厚さ以下であるため、第2フィールドパッシベーション膜の光吸収能力を弱めつつ、第2フィールドパッシベーション膜におけるベースから離れる表面の表面ドーピング濃度が、第1フィールドパッシベーション膜におけるベースから離れる表面の表面ドーピング濃度に近いか等しいことを確保し、すなわち、ベースと第2フィールドパッシベーション膜におけるベースから離れる表面との間に比較的高いポテンシャル障壁を持っていることを確保して、第2フィールドパッシベーション膜のフィールドパッシベーション効果を維持し、ベース表面の任意の位置がキャリアに対して比較的強い選択的な輸送能力を有するようにしている。
【0051】
ステップ103:図7を参照して、マスク層225(図6を参照)を除去し、第2パッシベーション膜227を形成する。
【0052】
本実施例では、第2領域20bのイオン富化層224をエッチングした後、半製品電池を濃度0.1~10%のアルカリ溶液で洗浄し、マスク層225を除去することで、上面パターンがフィンガーライターライン型のイオン富化層224が露出される。フィールドパッシベーション層226におけるベース20から離れる表面を覆うように、第2パッシベーション膜227が沈積され、第2パッシベーション膜227には水素イオンが含まれ、高温処理において、拡散した水素イオンが、ベース20の表面欠陥、体内欠陥及びトンネル層221との界面欠陥をパッシベーションする。ここで、アルカリ溶液は、希釈された水酸化カリウム溶液を含む。
【0053】
ステップ104:図8を参照して、第1電極214(おもて面電極214ともいう)と第2電極228(裏面電極228ともいう)を形成する。
【0054】
本実施例では、ベース20がフィールドパッシベーション層226に向かう方向において、第2電極228は、順に積層された銀電極228aと、導電性ペースト228bと、電極膜228cと、を含んでいる。これに応じて、ベース20が第1パッシベーション膜212に向かう方向において、第1電極214は、第2電極228と同じ積層構造を有している。他の実施例では、第1電極の構成と第2電極の構成が異なっている。第2電極228を形成する工程は、具体的には下記のことを含む。
【0055】
第2パッシベーション膜227におけるベース20から離れる表面にスクリーン印刷プロセスで薄層の銀ペーストを印刷し、銀ペーストを乾燥及び焼結して、第2パッシベーション膜227を貫通して第1フィールドパッシベーションサブ層226aに接触する銀電極228aを形成し、銀電極228a上に導電性ペースト228bが敷設され、導電性ペースト228aの表面に電極膜228cが敷設されており、最後に、予め設定された温度および圧力条件下で、導電性ペースト228bにより銀電極228aと電極膜228cとの接着が実現される。
【0056】
銀ペーストを印刷して焼結する方法で銀電極228aを製造することは、主に、第2電極228とフィールドパッシベーション層226との間に良好な引っ張り力を形成できることを確保するためである。ここで、銀電極228aは、複数本の細いゲート線と、複数本の細いゲート線を接続するメインゲート線とを含み、メインゲート線の延びる方向は、通常、細線の延びる方向に対して垂直であり、メインゲート線は、後続の部品製造工程における太陽電池セル間のリンクに用いられる。
【0057】
導電性ペースト228bは、メインゲート線に被さってもよいし、細いゲート線に被さってもよいし、または両方に被さってもよい。メインゲート線を例として、導電性ペースト228bがメインゲート線を覆うと、メインゲート線の延びる方向に垂直な方向において、導電性ペースト228bの幅は銀電極228aの幅の1%~100%であり、導電性ペースト228aは連続被覆であってもよいし、不連続被覆であってもよいし、幅占有割合が100%で連続被覆であることが好ましい。これに応じて、メインゲート線の延びる方向において、導電性ペースト228bの長さは、メインゲート線の長さの50%~100%であり、導電性ペースト228aは連続被覆であってもよいし、不連続被覆であってもよいし、長さ占有割合が100%で連続被覆であることが好ましい。
【0058】
導電性ペースト228bは、硬化または乾燥後に一定の導電性能を有する接着剤であり、通常、基材と導電性粒子を含み、基材は接着作用を有し、導電性粒子同士を結合して導電通路を形成し、被着材の導電接続を実現する。ここで、基材の材料は、アクリル酸、エポキシ、シリカゲル、無水マレイン酸またはハイブリッド樹脂を含み、導電性粒子の材料は、銀、銀コート銅、金、ニッケル又は炭素を含む。
【0059】
電極膜228cは、全て又は一部が導電性ペースト228bを被覆していてもよく、電極膜228cの材料は、炭素を含む導電性有機物、導電性無機物、非銀金属単体、又は非銀金属複合体を含み、非銀金属単体は、金、ニッケル、銅、錫またはアルミニウム等を含んでいる。ベース20の表面に垂直な方向において、電極膜228cの高さは実際の需要に応じて調節することができ、ことにより、電流伝送の断面積を大きくし、第2電極228の伝送抵抗を低減し、太陽電池の変換効率を向上する。
【0060】
接着される電極膜228cの材料は限定されないので、太陽電池の製造コストを低減するように、コストが比較的低い材料を選択して使用することができる。
【0061】
本実施例では、第2電極と接触する第1フィールドパッシベーションサブ層は、比較的高い導電率を有し、多数キャリアの効果的な輸送を確保し、太陽電池の短絡電流を高めることに有利である。また、第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、第2フィールドパッシベーションサブ層の光吸収能力を弱めて、太陽電池の変換効率を向上することに有利である。また、導電性ペーストで接着する電極膜は、いかなる導電性材料であってもよく、すなわち銀よりもコストが低い材料であってもよく、このようにして、太陽電池のコストの低減化に有利である。
【0062】
これに応じて、本発明の実施例は、上記の太陽電池の製造方法で製造できる太陽電池をさらに提供する。
【0063】
図8を参照して、太陽電池は、ベース20と、ベース20の上面に順に積層された第1パッシベーション膜212、反射防止層213および第1電極214と、ベース20の下面に順に積層されたトンネル層221、フィールドパッシベーション層226および第2電極228と、を備え、フィールドパッシベーション層226は、第2電極228とベース20との間に位置する第1フィールドパッシベーションサブ層226aと、隣接する第2電極228の間に位置する第2フィールドパッシベーションサブ層226bとを含む。第1フィールドパッシベーションサブ層226aの材料の導電率は、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの材料の導電率よりも大きく、ベース20の表面に垂直な方向において、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの厚さは、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの厚さよりも小さい。ベース20が第1フィールドパッシベーション膜212に向かう方向において、第1電極214は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、及び/又は、ベース20がフィールドパッシベーション層226に向かう方向において、第2電極228は、順に積層された銀電極228a、導電性ペースト228bおよび電極膜228cを含む。
【0064】
本実施例では、ベース20がフィールドパッシベーション層226に向かう方向において、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの底面は、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの底面と面一である。また、第2フィールドパッシベーションサブ層226bと第1フィールドパッシベーションサブ層226aとの厚さの差は、50nm~80nmであり、例えば、60nm、65nmまたは70nmである。
【0065】
他の実施例では、図9を参照して、第1フィールドパッシベーションサブ層322aの材料と第2フィールドパッシベーションサブ層322bの材料とは異なる。具体的には、第2フィールドパッシベーションサブ層322bの材料の吸光係数は、第1フィールドパッシベーションサブ層322aの材料の吸光係数よりも小さい。
【0066】
例えば、第1フィールドパッシベーションサブ層322aの材料はポリシリコンであり、第2フィールドパッシベーションサブ層322bの材料はアモルファスシリコンである。太陽電池の裏面にパッシベーションコンタクト構造を採用するため、太陽光が裏面に到達した後に主に長波長域スペクトルとなり、長波長域において吸収係数が低いアモルファスシリコンを第2フィールドパッシベーションサブ層322bの材料として用い、長波長域スペクトルの吸収を低減し、太陽電池の変換レートを向上させることができる。
【0067】
本実施例では、ベース20がフィールドパッシベーション層226に向かう方向において、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの上面の表面ドーピング濃度は、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの上面のドーピング濃度よりも低い。具体的には、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの上面と第2フィールドパッシベーションサブ層226bの上面との表面ドーピング濃度差は、0.5E+20/cm~1.5E+20/cmであり、例えば、0.75E+20/cm、1E+20/cm又は1.25E+20/cmである。
【0068】
本実施例では、第1フィールドパッシベーションサブ層226aは、ベース20から離れる方向に、順に積層されたイオン富化層224とイオン拡散層223を有し、イオン富化層224のドーピング濃度がイオン拡散層223のドーピング濃度よりも大きい。ベース20がフィールドパッシベーション層226に向かう方向において、第2フィールドパッシベーションサブ層226bの上面は、第1フィールドパッシベーションサブ層226aの上面よりも低く、且つ、第2フィールドパッシベーションサブ層226bと第1フィールドパッシベーションサブ層226aとの厚さの差は、イオン富化層224の厚さよりも大きい。
【0069】
本実施例では、銀電極228aは、複数本の細いゲード線と、複数本の細いゲード線を接続するメインゲート線とを含み、導電性ペースト228bは、メインゲート線及び/又は細いゲード線を覆っている。
【0070】
電極膜228cの材料は、導電性有機物、導電性無機物、非銀金属単体、または非銀金属複合体を含み、非銀金属単体は、金、ニッケル、銅、錫またはアルミニウム等を含む。導電性ペースト228bは、基材及び導電性粒子を含み、基材の材料は、アクリル酸、エポキシ、シリカゲル、無水マレイン酸またはハイブリッド樹脂を含み、導電性粒子の材料は、銀、銀コート銅、金、ニッケルまたは炭素を含む。
【0071】
そのうち、ベース20の表面に垂直な方向において、銀電極228aの厚さは1~5μmであってもよく、第1パッシベーション膜212と第2パッシベーション膜227の厚さは、0~100nmであってもよく、導電性ペースト228bの厚さは1~5μmであってもよく、電極膜228cの厚さは5~20μmであってもよい。
【0072】
本実施例では、第2電極と接触する第1フィールドパッシベーションサブ層は、比較的高い導電率を有し、多数キャリアの効果的な輸送を確保し、太陽電池の短絡電流を高めることに有利である。また、第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、第2フィールドパッシベーションサブ層の光吸収能力を弱めて、太陽電池の変換効率を向上することに有利である。また、導電性ペーストで接着する電極膜は、いかなる導電性材料であってもよく、すなわち銀よりもコストが低い材料であってもよく、このようにして、太陽電池のコストの低減化に有利である。
【0073】
当業者であれば、前記各実施形態が本発明を実現する具体的な実施例であり、実用上では、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を加えることが可能であるため、本発明の保護範囲は請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
ベースと、前記ベースの上面に順に積層された第1パッシベーション膜、反射防止層および第1電極と、前記ベースの下面に順に積層されたトンネル層、フィールドパッシベーション層および第2電極と、を備え、前記フィールドパッシベーション層が、前記第2電極と前記ベースとの間に位置する第1フィールドパッシベーションサブ層と、隣接する前記第2電極の間に位置する第2フィールドパッシベーションサブ層とを含み、
前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率は、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率よりも大きく、前記ベースの表面に垂直な方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、
前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料と前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料とは異なり、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数よりも小さい、
ことを特徴とする太陽電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記ベースが前記第1フィールドパッシベーション膜に向かう方向において、前記第1電極は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、及び/又は、
前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2電極は、順に積層された銀電極、導電性ペーストおよび電極膜を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
ベースを提供することと、
前記ベースの上面に、順に積層された第1パッシベーション膜、反射防止層および第1電極を形成することと、
前記ベースの下面に、順に積層されたトンネル層、フィールドパッシベーション層および第2電極を形成することと、を含み、前記フィールドパッシベーション層は、前記第2電極と前記ベースとの間に位置する第1フィールドパッシベーションサブ層と、隣接する前記第2電極の間に位置する第2フィールドパッシベーションサブ層とを含み、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率は、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率よりも大きく、前記ベースの表面に垂直な方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、
前記ベースが前記第1フィールドパッシベーション膜に向かう方向において、前記第1電極は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、及び/又は、前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2電極は、順に積層された銀電極、導電性ペーストおよび電極膜を含み、
前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料と前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料とは異なり、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数よりも小さい、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記ベースが前記第1パッシベーション膜に向かう方向において、前記第1電極は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、及び/又は、
前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2電極は、順に積層された銀電極、導電性ペーストおよび電極膜を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
前記銀電極は、複数本の細いゲード線、複数本の前記細いゲード線を接続するメインゲート線を含み、前記導電性ペーストは、前記メインゲート線及び/又は細いゲード線を覆っている、
ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項8】
前記電極膜の材料は、導電性有機物、導電性無機物、非銀金属単体または非銀金属複合体を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
ベースを提供することと、
前記ベースの上面に、順に積層された第1パッシベーション膜、反射防止層および第1電極を形成することと、
前記ベースの下面に、順に積層されたトンネル層、フィールドパッシベーション層および第2電極を形成することと、を含み、前記フィールドパッシベーション層は、前記第2電極と前記ベースとの間に位置する第1フィールドパッシベーションサブ層と、隣接する前記第2電極の間に位置する第2フィールドパッシベーションサブ層とを含み、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率は、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料の導電率よりも大きく、前記ベースの表面に垂直な方向において、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の厚さは、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の厚さよりも小さく、
前記ベースが前記第1パッシベーション膜に向かう方向において、前記第1電極は、順に積層された銀電極、導電性ペースト及び電極膜を含み、及び/又は、前記ベースが前記フィールドパッシベーション層に向かう方向において、前記第2電極は、順に積層された銀電極、導電性ペーストおよび電極膜を含み、
前記第1フィールドパッシベーションサブ層の材料と前記第2フィールドパッシベーションサブ層の材料とは異なり、前記第2フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数は、前記第1フィールドパッシベーションサブ層の吸光係数よりも小さい、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。