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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081402
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】レーヨン長繊維強化樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   B29B 15/08 20060101AFI20220524BHJP
   C08L 1/10 20060101ALI20220524BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220524BHJP
   B29K 105/12 20060101ALN20220524BHJP
【FI】
B29B15/08
C08L1/10
C08L101/00
B29K105:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153828
(22)【出願日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2020192509
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】595138155
【氏名又は名称】ダイセルミライズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】安岡 翔平
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA08
4F072AB03
4F072AB22
4F072AB27
4F072AD04
4F072AD53
4F072AG05
4F072AH05
4F072AH46
4F072AK15
4F072AK16
4F072AL01
4F072AL02
4F072AL04
4F072AL11
4F072AL17
4J002AB021
4J002BB122
4J002GK00
(57)【要約】
【課題】レーヨン繊維の分散性の良いレーヨン長繊維強化樹脂組成物の提供。
【解決手段】レーヨン繊維(A)が長さ方向に束ねられた連続繊維に対して、熱可塑性樹脂(B)が含浸一体化された樹脂含浸レーヨン長繊維束を含むレーヨン長繊維強化樹脂組成物であって、前記レーヨン繊維の含有割合が5~70質量%であり、熱可塑性樹脂の含浸率が90%以上である、レーヨン長繊維強化樹脂組成物。<含浸率試験>長さ3~10mmに切断した樹脂含浸レーヨン長繊維束450~550個をサンプル組成物として、水性顔料を添加した水に室温(20~30℃)で2分間浸漬する。取り出したサンプルに付着した水性顔料を拭き取った後、目視でサンプルの外観を観察する。水性顔料が一端面から他端面まで連続的に染みているサンプルを「樹脂未含浸レーヨン長繊維束」とし、熱可塑性樹脂の含浸率を次の式によって求める。含浸率(%)=(サンプル全数-樹脂未含浸レーヨン長繊維束数)/サンプル全数×100
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーヨン繊維(A)が長さ方向に揃えられた状態で束ねられた連続繊維に対して、熱可塑性樹脂(B)が含浸されて一体化された樹脂含浸レーヨン長繊維束を含むレーヨン長繊維強化樹脂組成物であって、
前記樹脂含浸レーヨン長繊維束中のレーヨン繊維の含有割合が5~70質量%であり、さらに樹脂含浸レーヨン長繊維束中の下記方法により求めた熱可塑性樹脂の含浸率が90%以上である、レーヨン長繊維強化樹脂組成物。
<含浸率試験>
長さ方向に3~10mmに切断した断面が円形またはそれに近似した形状の樹脂含浸レーヨン長繊維束450~550個をサンプルとして使用する。
サンプルを、水性顔料を添加した水に室温(20~30℃)で2分間浸漬する。
取り出したサンプルに付着した水性顔料を拭き取った後、サンプルの外観を目視で観察する。外観の目視観察では確認し難いとき、必要に応じて長さ方向に複数に分割して目視観察することができる。
水性顔料が一端面から長さ方向反対側の他端面まで連続的に染みているサンプルを「樹脂未含浸レーヨン長繊維束」とし、熱可塑性樹脂の含浸率を次の式によって求める。
含浸率(%)=(サンプル全数-樹脂未含浸レーヨン長繊維束数)/サンプル全数×100
【請求項2】
レーヨン繊維(A)が長さ方向に揃えられた状態で束ねられた連続繊維に対して、熱可塑性樹脂(B)が含浸されて一体化された樹脂含浸レーヨン長繊維束を含むレーヨン長繊維強化樹脂組成物であって、
前記樹脂含浸レーヨン長繊維束中のレーヨン繊維の含有割合が5~70質量%であり、さらに樹脂含浸レーヨン長繊維束中の下記方法により求めた熱可塑性樹脂の含浸率が90%以上である、レーヨン長繊維強化樹脂組成物。
<含浸率試験>
幅方向に3~10mm、長さ方向に5~10mmに切断したテープ状またはシート状の樹脂含浸レーヨン長繊維束450~550個をサンプルとして使用する。
サンプルを、水性顔料を添加した水に室温(20~30℃)で2分間浸漬する。
取り出したサンプルに付着した水性顔料を拭き取った後、サンプルの外観を目視で観察する。
水性顔料が一端面から長さ方向反対側の他端面まで連続的に染みているサンプルを「樹脂未含浸レーヨン長繊維束」とし、熱可塑性樹脂の含浸率を次の式によって求める。
含浸率(%)=(サンプル全数-樹脂未含浸レーヨン長繊維束数)/サンプル全数×100
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂(B)がポリプロピレン樹脂である、請求項1または2記載のレーヨン長繊維強化樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミドMXD10から選ばれるものである、請求項1または2記載のレーヨン長繊維強化樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂(B)が、生分解性樹脂とバイオマスプラスチックから選ばれるものである、請求項1または2記載のレーヨン長繊維強化樹脂組成物。
【請求項6】
前記レーヨン繊維(A)が150~600TEXである、請求項1~5のいずれか1項記載のレーヨン長繊維強化樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂含浸レーヨン長繊維束中のフィラメント数が1,000~10,000である、請求項1~6のいずれか1項記載のレーヨン長繊維強化樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項記載のレーヨン長繊維強化樹脂組成物の製造方法であって
レーヨン繊維(A)の束と溶融状態の熱可塑性樹脂(B)を接触させ、レーヨン繊維(A)の束に溶融状態の熱可塑性樹脂(B)を含浸させるときの温度範囲が190℃~300℃の範囲である、レーヨン長繊維強化樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項記載のレーヨン長繊維強化樹脂組成物からなる成形品。
【請求項10】
前記成形品中に含まれるレーヨン繊維の重量平均繊維長が3mm以上である、請求項9記載のレーヨン長繊維強化樹脂組成物からなる成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱可塑性樹脂成形体中におけるレーヨン繊維の分散性が向上されたレーヨン長繊維強化樹脂組成物と、それから得られる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量化の目的で金属代替品として樹脂成形体が使用されているが、その機械的強度を高めるため、レーヨン繊維が配合された樹脂組成物を成形することが知られている。
【0003】
特許文献1は、(A)ポリアミド6、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010から選ばれるポリアミド樹脂および(B)(b1)繊維径が5~30μm、(b2)引張り伸びが10%以上を満たすレーヨン繊維を含む樹脂付着長繊維束を含む繊維強化樹脂組成物の発明であり、軽量で機械的性質の良い成形体が得られることが記載されている。
【0004】
特許文献2は、(A)熱可塑性樹脂(ポリアミド系樹脂を除く)および(B)レーヨン繊維を含む樹脂付着長繊維束を含む繊維強化樹脂組成物であって、(B)成分のレーヨン繊維が、(b1)繊維径が5~30μm、(b2)引張り伸びが10~20%、(b3)幅方向断面における長軸長さと短軸長さの比(長軸長さ/短軸長さ)が1.2~1.8の扁平形状であることを満たしているものである繊維強化樹脂組成物の発明であり、軽量で機械的性質の良い成形体が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6453575号公報
【特許文献2】特許第6711876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、熱可塑性樹脂成形体中におけるレーヨン繊維の分散性が向上されたレーヨン長繊維強化樹脂組成物と、それから得られる成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、レーヨン繊維(A)が長さ方向に揃えられた状態で束ねられた連続繊維に対して、熱可塑性樹脂(B)が含浸されて一体化された樹脂含浸レーヨン長繊維束を含むレーヨン長繊維強化樹脂組成物であって、
前記樹脂含浸レーヨン長繊維束中のレーヨン繊維の含有割合が5~70質量%であり、さらに樹脂含浸レーヨン長繊維束中の下記方法により求めた熱可塑性樹脂の含浸率が90%以上である、レーヨン長繊維強化樹脂組成物を提供する。
<含浸率試験>
長さ方向に3~10mmに切断した断面が円形またはそれに近似した形状の樹脂含浸レーヨン長繊維束450~550個をサンプルとして使用する。
サンプルを、水性顔料を添加した水に室温(20~30℃)で2分間浸漬する。
取り出したサンプルに付着した水性顔料を拭き取った後、サンプルの外観を目視で観察する。外観の目視観察では確認し難いとき、必要に応じて長さ方向に複数に分割して目視観察することができる。
水性顔料が一端面から長さ方向反対側の他端面まで連続的に染みているサンプルを「樹脂未含浸レーヨン長繊維束」とし、熱可塑性樹脂の含浸率を次の式によって求める。
含浸率(%)=(サンプル全数-樹脂未含浸レーヨン長繊維束数)/サンプル全数×100
【0008】
また本開示は、レーヨン繊維(A)が長さ方向に揃えられた状態で束ねられた連続繊維に対して、熱可塑性樹脂(B)が含浸されて一体化された樹脂含浸レーヨン長繊維束を含むレーヨン長繊維強化樹脂組成物であって、
前記樹脂含浸レーヨン長繊維束中のレーヨン繊維の含有割合が5~70質量%であり、さらに樹脂含浸レーヨン長繊維束中の下記方法により求めた熱可塑性樹脂の含浸率が90%以上である、レーヨン長繊維強化樹脂組成物を提供する。
<含浸率試験>
幅方向に3~10mm、長さ方向に5~10mmに切断したテープ状またはシート状の樹脂含浸レーヨン長繊維束450~550個をサンプルとして使用する。
サンプルを、水性顔料を添加した水に室温(20~30℃)で2分間浸漬する。
取り出したサンプルに付着した水性顔料を拭き取った後、サンプルの外観を目視で観察する。
水性顔料が一端面から長さ方向反対側の他端面まで連続的に染みているサンプルを「樹脂未含浸レーヨン長繊維束」とし、熱可塑性樹脂の含浸率を次の式によって求める。
含浸率(%)=(サンプル全数-樹脂未含浸レーヨン長繊維束数)/サンプル全数×100
【発明の効果】
【0009】
本開示のレーヨン長繊維強化樹脂組成物は、成形体の製造時において、樹脂含浸レーヨン長繊維束が容易に解繊され、レーヨン繊維が成形体中に分散され易い。
【発明を実施するための形態】
【0010】
レーヨン長繊維強化樹脂組成物は、レーヨン繊維(A)が長さ方向に揃えられた状態で束ねられた連続繊維に対して、熱可塑性樹脂(B)が含浸されて一体化された樹脂含浸レーヨン長繊維束を含むものである。
【0011】
(樹脂含浸レーヨン長繊維束)
樹脂含浸レーヨン長繊維束は、第1実施形態の幅方向の断面形状が円形またはそれに近似した形状のものと、第2実施形態の平面形状がテープ状またはシート状のものを含んでいる。
幅方向の断面形状が円形に近似した形状ものは、楕円形、最長径と最短径の比(最短径/最長径)=0.6~1.0未満のもの(前記楕円形を除く)を挙げることができる。
テープ状またはシート状のものは、プリプレグとして知られているものである。
樹脂含浸レーヨン長繊維束は、製造時の長尺状のままのものでもよいし、必要な長さに切断されたものでもよい。
【0012】
(A)成分のレーヨン繊維は、公知のものを使用することができるものであり、例えば、特許第6453575号公報に記載されたレーヨン繊維、特許第6711876号公報に記載されたレーヨン繊維を使用することができる。
【0013】
(A)成分のレーヨン繊維としては、ビスコース法、銅アンモニア法、溶媒法で製造されたものを使用することができる。
具体的には、ビスコースレーヨン(ビスコース法)、キュプラ(銅アンモニア法)、ポリノジック(ビスコース法)、モダール(溶媒(NMMO)法)、テンセル(溶剤(NMMO)法)、BioMid(溶剤(NMMO法)などの繊維を使用することができる。その他には、酢酸セルロースからの再生のセルロースであるフォルチザンや液晶紡糸により製造されるボーセル(Bocel)、NMMO(N-メチルモルホリン-N-オキシド)以外の溶媒を用いた溶媒法レーヨンを使用することもできる。
(A)成分のレーヨン繊維は、好ましくは150~600TEXであり、より好ましくは200~500TEXであり、さらに好ましくは200~450TEXであり、さらに好ましくは200~350TEXであり、さらに好ましくは200~300TEXである。1TEXは、1000mの質量が1gの繊維(束)である。
【0014】
(B)成分の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂を挙げることができるほか、生分解性樹脂、バイオマス(サトウキビやトウモロコシなどの資源作物、生ゴミなどの廃棄物などの有機資源)を原料に製造されるバイオマスプラスチック(非生分解性)を挙げることができる。
(B)成分の熱可塑性樹脂としては、好ましくはポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、生分解性樹脂、バイオマスプラスチックから選ばれるものであり、より好ましくは融点が230℃以下のものである。
【0015】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、高密度、低密度及線状低密度ポリエチレン、ポリ-1-ブテン、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(原料としてのジエン成分が10質量%以下)、ポリメチルペンテン、エチレン又はプロピレン(50モル%以上)と他の共重合モノマー(酢酸ビニル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニルなど)とのランダム、ブロック、グラフト共重合体などを用いることができる。これらの中でもポリプロピレンが好ましい。
【0016】
(B)成分としてポリオレフィン系樹脂を使用するときは、(A)成分のレーヨン繊維束に含浸させやすくするため、酸変性ポリオレフィンを併用することが好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、マレイン酸変性ポリオレフィン(マレイン酸変性ポリプロピレン)、無水マレイン酸変性ポリオレフィン(無水マレイン酸変性ポリオレフィン)が好ましい。
(B)成分として酸変性ポリオレフィンを併用するとき、(B)成分中の酸量(酸変性ポリオレフィンに含まれる酸の(B)成分中の量)が、好ましくは無水マレイン酸換算で平均0.005~0.5質量%の範囲になるように配合することである。
【0017】
ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドから選ばれるものが好ましい。
脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド1010、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12などを挙げることができる。
芳香族ポリアミドとしては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミン又は脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミンから得られるもの、例えば、ナイロンMXD10(メタキシリレンジアミンとセバシン酸)、ナイロンMXD6(メタキシリレンジアミンとアジピン酸)、ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸)、ナイロン6I(ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸)、ナイロン9T(ノナンジアミンとテレフタル酸)、ナイロン5MT(メチルペンタジアミンとテレフタル酸)、ナイロン10T(デカメチレンジアミンとテレフタル酸)を挙げることができる。
これらの中でも、好ましくはポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミドMXD10から選ばれるものである。
【0018】
生分解性樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)系樹脂(PHBH[3-ヒドロキシ酪酸-3-ヒドロキシヘキサン酸共重合ポリエステル]など)、バイオPBS(ポリブチレンサクシネート)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)-PLAコンパウンド、澱粉ポリエステル樹脂、酢酸セルロース(ジアセテート)、PVA(ポリビニルアルコール)、PGA(ポリグリコール酸)、PBS、PBSA(ポリブチレンサクシネート-co-アジペート)、PBAT、PETS(ポリエチレンテレフタレートサクシネート)などを挙げることができる。
【0019】
バイオマスプラスチック(非生分解性)としては、バイオPE、バイオPA11、バイオPA1010、バイオPET、バイオPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、バイオPA610、バイオPA410、バイオPA510、バイオPA56、バイオPA1012、バイオPA10T、バイオPA11T、バイオPAMXD10、バイオPC、バイオPU、芳香族ポリエステル、バイオ不飽和ポリエステル、バイオフェノール樹脂、バイオエポキシ樹脂、酢酸セルロース(トリアセテート)などを挙げることができる。
【0020】
第1実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束は、(A)成分のレーヨン繊維を長さ方向に揃えた状態で1,000~30,000本程度を束ねたものに(B)成分の熱可塑性樹脂を溶融させた状態で含浸させ、一体化して得ることができる。
なお、通常は、(A)成分のレーヨン繊維として長尺状のものを使用して製造するため、得られた樹脂含浸レーヨン長繊維束は、長さが制限されない長尺状のもの(即ち、原料のレーヨン繊維の長さに由来する長さの長尺状のもの)と、必要な長さに切断されたものを含む。
樹脂含浸レーヨン長繊維束は、ダイスを用いた周知の製造方法により製造することができる。
前記ダイスを使用した製造方法では、加熱したダイス内部にレーヨン長繊維束を通過させながら溶融状態の(B)成分と接触させる。
このときのダイス温度(レーヨン長繊維の加熱される温度)範囲を好ましくは190℃~300℃、より好ましくは200℃~260℃の範囲に調整することで、(A)成分のレーヨン長繊維束への(B)成分の含浸性を高めることができるようになる。さらに前記含浸性が高められることで、樹脂含浸レーヨン長繊維束から得られる成形品中におけるレーヨン長繊維の分散性も高められるようになるので好ましい。
ダイスを用いた周知の製造方法としては、下記のものを挙げることができる。
例えば、特許文献2(特開平6-313050号公報)の段落番号7、特許文献3(特開2007-176227号公報)の段落番号23のほか、特公平6-2344号公報(樹脂被覆長繊維束の製造方法並びに成形方法)、特開平6-114832号公報(繊維強化熱可塑性樹脂構造体およびその製造法)、特開平6-293023号公報(長繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法)、特開平7-205317号公報(繊維束の取り出し方法および長繊維強化樹脂構造物の製造方法)、特開平7-216104号公報(長繊維強化樹脂構造物の製造方法)、特開平7-251437号公報(長繊維強化熱可塑性複合材料の製造方法および製造装置)、特開平8-118490号公報(クロスヘッドダイおよび長繊維強化樹脂構造物の製造方法)などに記載の製造方法を適用することができる。
【0021】
第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束は、(A)成分のレーヨン繊維を長さ方向に揃えた状態で1,000~200,000本程度を並べて配置した状態で、(B)成分の熱可塑性樹脂を加熱溶融させた状態で含浸させた後、圧縮して得ることができる。
第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束の製造方法においても、第1実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束と同様の理由から、レーヨン長繊維の加熱される温度範囲を好ましくは190℃~300℃、より好ましくは200℃~260℃の範囲に調整することができる。
例えば、特許第5705650号公報(無機繊維巻きテープとその製造方法)、特許第5705651号公報(炭素繊維巻きテープとその製造方法)、特許第5705652号公報(有機繊維巻きテープとその製造方法)、特許第5592775号公報(炭素繊維巻きテープとその製造方法)などに記載の製造方法を適用することができる。
【0022】
第1実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束を切断して使用するときの長さ(即ち、樹脂含浸レーヨン長繊維束に含まれている(A)成分のレーヨン繊維の長さ)は、好ましくは3~50mm、より好ましくは5mm~50mm、さらに好ましくは5mm~25mmである。3mm以上であると組成物から得られる成形体の機械的強度を高めることができ、50mm以下であると成形性が良くなる。
第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束は、長尺状の繊維束のまま、用途に応じた長さに切断して使用することができる。
第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束を切断して使用する場合の長さは、好ましくは3~100mm、より好ましくは5mm~50mm、さらに好ましくは10mm~25mmである。3mm以上であると組成物から得られる成形体の機械的強度を高めることができ、100mm以下であると成形性が良くなる。
第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束の好ましい幅は3~100mm、より好ましくは10~80mm、さらに好ましくは10~50mmである。この幅については、直接前記幅のものを製造しても良いし、一旦製造した後で切断することで幅を調整することもできる。
第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束の好ましい厚みは、0.1~0.5mmである。
【0023】
第1実施形態と第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束中の(A)成分のレーヨン繊維の含有割合は5~70質量%であり、好ましくは5~50質量%であり、より好ましくは5~40質量%である。
【0024】
第1実施形態と第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束は、下記方法により求めた熱可塑性樹脂の含浸率が90%以上のものである。
<第1実施形態の含浸率試験>
長さ方向に3~10mmに切断した断面が円形またはそれに近似した形状の樹脂含浸レーヨン長繊維束450~550個をサンプルとして使用する。
樹脂含浸レーヨン長繊維束の外径(断面円形のときは直径、楕円形または円形に近似した形状のときは最大径)が1.0~3.0mmの範囲のものを使用することができる。
サンプルを、水性顔料(赤色)(商品名SA-1アカ,シャチハタ株式会社製)を添加した水(水性顔料濃度約5質量%)に室温(20~30℃)で2分間浸漬する。
取り出したサンプルに付着した水性顔料を拭き取った後、サンプルの外観を目視で観察する。外観の目視観察では確認し難いとき、必要に応じて長さ方向に複数に分割して目視観察することができる。
使用した熱可塑性樹脂の透明度が高いときには外観を目視観察することが容易であるが、使用した熱可塑性樹脂の透明度が低いとき、および樹脂含浸レーヨン長繊維束の外径が大きいときには、必要に応じて長さ方向に複数分割したものの外観を目視観察することができる。
あるいは水性顔料に代えて蛍光塗料を使用して、ブラックライトを照射して発色の有無を確認することで、含浸状態を目視確認することもできる。
水性顔料が一端面から長さ方向反対側の他端面まで連続的に染みているサンプルを「樹脂未含浸レーヨン長繊維束」とし、熱可塑性樹脂の含浸率を次の式によって求める。
含浸率(%)=(サンプル全数-樹脂未含浸レーヨン長繊維束数)/サンプル全数×100
【0025】
<第2実施形態の含浸率試験>
幅方向に3~10mm、長さ方向に5~10mmに切断したテープ状またはシート状の樹脂含浸レーヨン長繊維束450~550個をサンプルとして使用する。
サンプルを、水性顔料を添加した水に室温(20~30℃)で2分間浸漬する。
取り出したサンプルに付着した水性顔料を拭き取った後、サンプルの外観を目視で観察する。第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束は、テープ状またはシート状であることから、目視による外観観察が容易にできる。
水性顔料が一端から長さ方向反対側の他端まで連続的に染みているサンプルを「樹脂未含浸レーヨン長繊維束」とし、熱可塑性樹脂の含浸率を次の式によって求める。
含浸率(%)=(サンプル全数-樹脂未含浸レーヨン長繊維束数)/サンプル全数×100
【0026】
第1実施形態と第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束の製造時において、レーヨン長繊維束に対する熱可塑性樹脂の含浸が不十分であると、レーヨン長繊維束の一端面から他端面にわたって、レーヨン長繊維と熱可塑性樹脂の間に連続した隙間が生じることがある。
前記した隙間が全く生じない場合が熱可塑性樹脂含浸率100%であり、隙間が多くなるほど熱可塑性樹脂含浸率が低下することになる。
上記の含浸率試験を実施した場合、樹脂含浸レーヨン長繊維束の一端面から長さ方向反対側の他端面まで水性顔料が染みたことを示す赤色の線を確認することで、前記赤色の線部分には熱可塑性樹脂が含浸されていないことを確認することができる。
【0027】
レーヨン長繊維強化樹脂組成物は、第1実施形態または第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束と、前記樹脂含浸レーヨン長繊維束に含まれている(B)成分の熱可塑性樹脂のほかに、必要に応じてさらに(B)成分の熱可塑性樹脂を含有することができる。このとき、樹脂含浸レーヨン長繊維束に含まれている(B)成分の熱可塑性樹脂とさらに添加する(B)成分の熱可塑性樹脂は、同じものでもよいし、異なるものでもよい。
レーヨン長繊維強化樹脂組成物は、本開示の課題を解決できる範囲内で、樹脂含浸レーヨン長繊維束の他に、公知の他の難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、滑剤、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、離型剤、帯電防止剤を含有することができる。これらの成分は樹脂含浸レーヨン長繊維束に含有されていてもよいし、樹脂含浸レーヨン長繊維束とは別に含有されていてもよい。
【0028】
(レーヨン長繊維強化樹脂組成物からなる成形体)
レーヨン長繊維強化樹脂組成物からなる成形体は、上記した第1実施形態または第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束を含むレーヨン長繊維強化樹脂組成物を成形して得られるものである。
レーヨン長繊維強化樹脂組成物に含まれている第1実施形態または第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束は、熱可塑性樹脂に対する分散性が良いので、得られた成形体中に(A)成分のレーヨン繊維を均一に分散させることができる。
特にレーヨン繊維として150~400TEXのものを使用すると、より分散性が向上されるが、400TEXを超えるものから600TEXまでの範囲のものであっても、製造時における温度範囲や樹脂含浸レーヨン長繊維束を構成するフィラメントの本数などを調整する(例えば1000~10,000本、好ましくは1000~5000本)ことで、150~400TEXのものと同様に成形品中における分散性を向上させることができる。
【0029】
レーヨン長繊維強化樹脂組成物からなる成形体に含有されているレーヨン繊維の重量平均繊維長は、3mm以上が好ましく、3.5mm以上がより好ましく、4mm以上がさらに好ましい。前記成形体中のレーヨン繊維の重量平均繊維長が長いほど、成形品の衝撃強度を高めることができるので好ましい。
【0030】
さらにレーヨン長繊維強化樹脂組成物から得られた成形体は、ガラス繊維などの無機繊維を含有するものと比べると軽量であることから(即ち、密度を小さくできることから)、比弾性率(曲げ弾性率/比重)の大きな成形体を得ることができる。
そして、例えばレーヨン長繊維含有ポリプロピレン成形体とガラス長繊維含有ポリプロピレン成形体を比較すると、レーヨン繊維またはガラス繊維の配合量が高くなるに従い比弾性率は大きくなってくるが、その度合いは、レーヨン長繊維含有ポリプロピレン成形体の方が大きくなる。
【0031】
成形体は、用途に応じた所望形状にすることができるが、上記のとおり、比弾性率を大きくすることができるため、薄い板状成形体にした場合には、軽量でかつ高い機械的強度を有するものを得ることができる。
成形体を薄い板状成形体にする場合には、例えば1~5mmの厚さにした場合でも、高い機械的強度のものを得ることができる。
またレーヨン繊維を含有していることから、燃焼したときにもガラス繊維のような燃焼残渣が残らない。
【0032】
レーヨン長繊維強化樹脂組成物から得られた成形体は、軽量で機械的強度(特に比弾性率)が高いため、電気・電子機器、通信機器、自動車、建築材料、スポーツ用品、日用品などの各種分野で使用することができ、特にスピーカーコーンなどの音響部品、掃除機やエアコンなどの家電部品、各種機器のハウジング、板状の外装材として好適である。
【0033】
各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲で、適宜構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0034】
<使用成分>
(A)成分
ビスコースレーヨン繊維束1:TEX(繊度)247、フィラメント数1350本のもの
ビスコースレーヨン繊維束2:TEX(繊度)512、フィラメント数2700本のもの
(B)成分
PP(ポリプロピレン):PMC20M(サンアロマー(株)製)
酸変性PP:モディックP908(三菱化学(株)製)
【0035】
製造例1
(A)成分のレーヨン繊維束1を3本まとめて200℃のクロスヘッドダイに通した。そのとき、クロスヘッドダイには、二軸押し出し機から溶融状態の(B)成分をレーヨン繊維束1:ポリプロピレン樹脂=30質量%:70質量%の割合で供給して、レーヨン繊維束1にポリプロピレン樹脂を含浸させた。
その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し、成形ロールで形を整えた後、ペレタイザ―により7mmに切断し、ペレット状(円柱状)の樹脂含浸レーヨン長繊維束(レーヨン長繊維強化樹脂組成物)を得た(ペレット中の合計フィラメント数4050本)。
このようにして得た樹脂含浸レーヨン長繊維束を長さ方向に切断して確認したところ、レーヨン繊維が長さ方向にほぼ平行になっていた。含浸率は95%であった。
【0036】
製造例2
(A)成分のレーヨン繊維束2を2本まとめて290℃のクロスヘッドダイに通したほかは、製造例1と同様の方法で樹脂含浸レーヨン長繊維束(レーヨン長繊維強化樹脂組成物)を得た(ペレット中の合計フィラメント数5400本)。含浸率は85%であった。
【0037】
製造例3
レーヨン繊維束1:ポリプロピレン樹脂=40質量%:60質量%の割合にしたほかは、製造例1と同様の方法で、樹脂含浸レーヨン長繊維束(レーヨン長繊維強化樹脂組成物)を得た(ペレット中のフィラメント数4,050本)。含浸率は94%であった。
【0038】
製造例4
(A)成分のレーヨン繊維束2の1本を260℃のクロスヘッドダイに通したほかは、製造例1と同様の方法で樹脂含浸レーヨン長繊維束(レーヨン長繊維強化樹脂組成物)を得た(ペレット中のフィラメント数2700本)。含浸率は93%であった。
【0039】
実施例1
製造例1で製造した樹脂含浸レーヨン長繊維束(レーヨン長繊維強化樹脂組成物)を射出成形し、50×90×3mmのプレート試験片10枚を得た。
射出成形は、次のとおりに実施した。
(射出成形条件)
成形機:ファナック(株)社製 ROBOSHOT α-S100iA
シリンダー温度:200℃
金型温度:60℃
スクリュー径:36mm
ゲート形状:6mm幅サイドゲート
【0040】
実施例2、3
製造例1で製造した樹脂含浸レーヨン長繊維束と(B)成分のポリプロピレン樹脂を表1に示す繊維含有率になるようにドライブレンドし、実施例1と同様に射出成形してプレート試験片10枚を得た。
【0041】
比較例1
製造例2で製造した樹脂含浸レーヨン長繊維束を実施例1と同様に射出成形してプレート試験片10枚を得た。
【0042】
比較例2、3
製造例2で製造した樹脂含浸レーヨン長繊維束と(B)成分のポリプロピレン樹脂を表1に示す繊維含有率になるようにドライブレンドし、実施例1と同様に射出成形してプレート試験片10枚を得た。
【0043】
<試験方法>
各例のプレート試験片10枚から、それぞれ無作為に4枚のプレート試験片を選んだ。選んだ4枚のプレート試験片を目視で観察し、目視で確認できる繊維束の合計をカウントした。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1~3と比較例1~3の対比から明らかなとおり、比較例1~3は成形体中に繊維束として残存しているものが多かった。実施例1では、面積換算すると1.1個/100cm2の繊維束が確認できたことになり、比較例1では、6.9個/100cm2となる。これは、樹脂含浸レーヨン長繊維束中の熱可塑性樹脂の含浸率の違いによるものと認められる。
実施例1~3と比較例1~3の分散性の違いは、実施例1~3と比較例1~3で使用したレーヨン繊維のTEXの違いも分散性の違いに影響しているものと考えられる。
なお、実施例1~3は第1実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束を使用したが、第2実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束はテープ状またはシート状であることから、第1実施形態の樹脂含浸レーヨン長繊維束よりも含浸率を高めることが容易であるため、実施例1~3以上の分散性が得られることは自明である。
【0046】
実施例4
製造例3で製造した樹脂含浸レーヨン長繊維束(レーヨン長繊維強化樹脂組成物)を射出成形し、ISOダンベル試験片を10本得た。
射出成形は、次のとおりに実施した。
(射出成形条件)
成形機:ファナック(株)社製 ROBOSHOT α-S100iA
シリンダー温度:200℃
金型温度:60℃
スクリュー径:36mm
ゲート形状: ダンベル片の端部接続したサイドゲートで、ダンベル片の長手方向に垂直な断面(4・10mm)と同じサイズのゲート
【0047】
得られたISOダンベル片10本を80×10×4tのサイズに切削し、その10本の試験片の両面を目視で観察し、目視で確認できる繊維束の合計をカウントした。10本のISO 試験片を用い、ISO179/1eAに準拠してシャルピー衝撃強さ(kJ/m2)を測定した。
【0048】
また以下の方法で成形品中の繊維長測定・評価を実施した。
400メッシュのステンレスメッシュに試料1個(0.6g)を包み、200mLナス型フラスコに入れ、キシレン100mLを加えた。
乾燥機を145℃に設定し、試料溶液を24時間以上加温することで、樹脂分を溶解させた。
ステンレスメッシュを引き上げ、80℃に設定したロータリーエバポレーターにて残留するキシレンを除去した。その後、155℃に設定した乾燥機にて一晩加熱し、キシレンを除去することでレーヨン繊維を取り出した。
取り出したレーヨン繊維の1部(500本)を水に分散させ、重量平均繊維長を求めた。計算式は、特開2006-274061号公報の段落番号0044-0045を使用した。
目視で確認できる繊維束の数/10本:3個(1.9個/100cm2
重量平均繊維長(mm):4.8mm
シャルピー衝撃強度:70kJ/m2
上記のように、外観のきれいな衝撃強度の高い成形品を得ることができた。
【0049】
実施例5
製造例4で製造した樹脂含浸レーヨン長繊維束(レーヨン長繊維強化樹脂組成物)を射出成形し、50×90×3mmのプレート試験片10枚を得た。
射出成形は、実施例1と同じ条件で実施した。目視で確認できる繊維束の数も実施例1と同じ方法で実施した。プレート4枚当たりの目視で確認できる繊維束の数は、プレート4枚当たり5個であり、優れた分散性を確認できた。
表1の比較例1~3は、レーヨン繊維束2(TEX512、フィラメント数2700本)を使用した製造例2のプレート試験片であるが、TEX512のレーヨン繊維を使用して樹脂含浸レーヨン長繊維束を製造する場合であっても、レーヨン繊維束のフィラメントの本数を減少させ、(例えば、1000~5000本)かつクロスヘッドダイの温度を低下させることで(例えば、200℃~260℃)、表1の実施例1~3と同程度の分散性を示す樹脂含浸レーヨン長繊維束を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示のレーヨン長繊維強化樹脂組成物から得られた成形体は、電気・電子機器、通信機器、自動車、建築材料、スポーツ用品、日用品などの各種分野で利用することができる。