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  • 特開-撹拌ボールミル 図1
  • 特開-撹拌ボールミル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081453
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】撹拌ボールミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/16 20060101AFI20220524BHJP
   B02C 17/18 20060101ALI20220524BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20220524BHJP
   H05B 6/14 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B02C17/16 B
B02C17/18 D
H05B6/10 371
H05B6/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021187368
(22)【出願日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】20208296
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510187417
【氏名又は名称】ヴィリー アー.バッホーフェン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト ジーモンズ
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム マーティン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造的により複雑でない、誘導加熱器を有する撹拌ボールミルを提供する。
【解決手段】撹拌ボールミルは、円筒壁2を有する粉砕室1と、粉砕室1内に延在する回転可能に取り付けられた撹拌シャフト5であって、粉砕室1の内側において少なくとも1つの撹拌子11,12,13が配置された撹拌シャフト5とを備える。撹拌ボールミルは、粉砕される材料及び粉砕体を粉砕室に供給する投入口6と、粉砕された材料を取り出す排出口7と、粉砕室1内に位置する粉砕される材料のための誘導加熱器であって、インダクタ及びサセプタを備える誘導加熱器と、を備える。少なくとも1つの撹拌子11,12,13は、誘導加熱器のサセプタを形成するサセプタ材料を含み、インダクタは、粉砕室1の円筒壁2の外側に配置されて粉砕室1を囲む少なくとも1つのコイル20を備え、粉砕室1の円筒壁2は、電気的及び磁気的に非伝導性の材料で構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌ボールミルであって、円筒壁(2)を有する粉砕室(1)と、さらに、前記粉砕室(1)内に延在する回転可能に取り付けられた撹拌シャフト(5)であって、前記粉砕室(1)の内側において少なくとも1つの撹拌子(11,12,13)が配置された撹拌シャフト(5)と、粉砕される材料及び粉砕体を前記粉砕室に供給するための投入口(6)と、粉砕された材料を取り出すための排出口(7)と、前記粉砕室(1)内に位置する前記粉砕される材料のための誘導加熱器であって、インダクタ及びサセプタを備える誘導加熱器と、を含み、前記少なくとも1つの撹拌子(11,12,13)は前記サセプタを備え、前記インダクタは、前記粉砕室(1)の前記円筒壁(2)の外側に配置されて前記粉砕室(1)を囲む少なくとも1つのコイル(20;21,22,23)を備え、前記粉砕室(1)の前記円筒壁(2)は、電気的及び磁気的に非伝導性の材料で構成される、撹拌ボールミル。
【請求項2】
請求項1に記載の撹拌ボールミルであって、2つ以上の撹拌子(11,12,13)は、前記撹拌シャフト(5)上に、前記撹拌シャフトに沿って互いに離隔して配置され、前記インダクタは、2つ以上のコイル(21,22,23)を備え、該2つ以上のコイルは、それらが生成する磁界の各々が、前記撹拌子(11,12,13)のうちの1つのみに作用するように、前記粉砕室(1)の前記円筒壁(2)に沿って配置される、撹拌ボールミル。
【請求項3】
請求項2に記載の撹拌ボールミルであって、前記コイル(21,22,23)は、個別に制御可能に構成される、撹拌ボールミル。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撹拌ボールミルであって、高周波発生器(G)を備え、該高周波発生器(G)は、前記コイル(20)又は前記コイル(21,22,23)に前記高周波発生器(G)の動作周波数の交流電流を供給し、前記高周波発生器の動作周波数は1kHzから1MHzの範囲内である、撹拌ボールミル。
【請求項5】
請求項4に記載の撹拌ボールミルであって、前記誘導加熱器(20,11,12,13;21,22,23,11,12,13)は固有振動数を有し、前記高周波発生器(G)の動作周波数は、前記誘導加熱器の固有振動数と同じ周波数か、又は、前記誘導加熱器の固有振動数に近い周波数である、撹拌ボールミル。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撹拌ボールミルであって、前記粉砕室(1)の前記円筒壁(2)は冷却ジャケット(10)によって囲まれ、該冷却ジャケット(10)を介して冷却媒体を流通させ得る、撹拌ボールミル。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、撹拌ボールミルに関する。
【0002】
周知の撹拌ボールミルは、例えば、欧州特許第3102332号明細書に記載されている。この明細書に記載された撹拌ボールミルは、円筒壁、ならびに投入口側端壁及び排出口側端壁により囲まれた略円筒状の粉砕室と、回転可能に取り付けられた撹拌シャフトとを備える。撹拌シャフト上には、加速器とも称される撹拌子が、粉砕室内において、軸方向(つまり、撹拌シャフトの長手軸方向)に互いに離隔して配置される。投入口側端壁の近傍には、粉砕される材料と粉砕体とを供給するための投入口が配置され、排出口側端壁には、粉砕された材料を取り出すための排出口が設けられ、該排出口は、粉砕体を押しとどめる分離スクリーンによって粉砕室と分離されている。動作中、撹拌シャフトと、ひいては撹拌シャフトと一体に回転するように撹拌シャフトに連結された撹拌子とは、外部モータにより回転されるように配置される。
【0003】
多くの用途のため、例えば粉砕作業を向上させるため、若しくは化学反応を活性化し又は支えるため、粉砕作業の間、粉砕される材料を加熱することが望ましいか、又は必要である。それゆえ、粉砕される材料用の加熱装置を有する撹拌ボールミルも既に提案されている。
【0004】
ドイツ特許出願公開第10064828号明細書は、加熱/冷却媒が流通できる別体の加熱冷却室を粉砕室の周囲に配置した撹拌ボールミルを示す。撹拌シャフトそのものも、加熱又は冷却が可能である。
【0005】
特開2001-180933号公報は、加熱器が粉砕室の壁の外側に配置された撹拌ボールミルを示す。加熱器は電気加熱リボンであり、接触により粉砕室の壁を加熱する。代替として、加熱リボンの代わりに、粉砕室の壁を同様に加熱する高周波誘導加熱器を設けることも可能である。
【0006】
特開2009-000633号公報は、粉砕室の壁の周囲の外側に電気コイルを有する撹拌ボールミルを開示する。コイルは磁界を発生させ、磁界は誘導により粉砕室の壁を加熱する。
【0007】
国際公開第2019/228983号は、誘導加熱器を有する撹拌ボールミルを示す。撹拌ボールミルでは、インダクタ(誘導子)としての電気コイルが撹拌シャフトの周囲に配置される。代替の実施形態では、インダクタとしての2つのコイルが撹拌シャフト上に軸方向に間隔をあけて配置される。撹拌シャフト上に配置された撹拌子は、導電性サセプタの形態であり、コイル(複数を含む)の磁界によって誘導加熱される。撹拌子の熱は粉砕される材料に伝えられ、それにより粉砕される材料は間接的にある程度加熱される。誘導加熱器の全部品は、撹拌ボールミルの粉砕室の内部に配置される。
【0008】
誘導加熱される撹拌子によって粉砕される材料を間接的に加熱することは、基本的に、とりわけ誘導加熱器の効率性を考慮した場合、有利である。しかしながら、国際公開第2019/228983号に記載の装置には欠点もある。小径の粉砕室を有する撹拌ボールミルの場合では、空間が不足するために、撹拌シャフト上に比較的大型の誘導コイルを収容することは非常に困難であるか、不可能でさえある。他方、比較的大径の粉砕室を有する撹拌ボールミルの場合、誘導加熱器の効率性が低下する。なぜならば、第1に、誘導コイルからの撹拌子の径方向の距離が増加するにつれて撹拌子の誘導加熱が減少するからである。第2に、粉砕作業の間、粉砕される材料は、主に、粉砕室の周縁領域に位置するからである。しかしながら、撹拌ボールミルのサイズにかかわらず、さらなる課題は、高速撹拌シャフトと共に回転するインダクタコイルへの電力の供給である。もう1つの困難は、粉砕体の衝撃/研磨作用からのインダクタコイルの保護が複雑なことである。
【0009】
こうした先行技術から、本発明の目的は、国際公開第2019/228983号に記載の欠点を回避するように、一般的な種類の誘導加熱される撹拌ボールミルを改良することである。特に、このタイプの周知の撹拌ボールミルと比べて構造的により複雑でない、誘導加熱器を有する撹拌ボールミルを提案する。
【0010】
その課題は、独立クレームの特徴により特定される、本発明に係る撹拌ボールミルにより解決される。さらに有利な局面は、従属特許クレームにおいて特定される特徴の結果である。
【0011】
本発明に係る撹拌ボールミルは、円筒壁を有する粉砕室と、さらに、粉砕室内に延在する回転可能に取り付けられた撹拌シャフトであって、粉砕室の内側において少なくとも1つの撹拌子が配置された撹拌シャフトとを含む。撹拌ボールミルは、さらに、粉砕される材料及び粉砕体を粉砕室に供給するための投入口と、粉砕された材料を取り出すための排出口と、粉砕室内に位置する粉砕される材料のための誘導加熱器であって、インダクタ及びサセプタを備える誘導加熱器とを含む。少なくとも1つの撹拌子はサセプタを備える。インダクタは、粉砕室の円筒壁の外側に配置されて粉砕室を囲む少なくとも1つのコイルを備える。粉砕室の円筒壁は、電気的及び磁気的に非伝導性の材料で構成される。
【0012】
粉砕室の外側へのインダクタの(静的な)配置により、インダクタは、粉砕される材料の影響、とりわけ、粉砕体の影響から保護され、インダクタへの電力供給は構造的に単純である。粉砕室の円筒壁が電気的及び磁気的に非伝導性の材料で構成されることにより、インダクタによって(つまりコイルによって)生じる磁界は円筒壁を通過し、少なくとも1つの撹拌子に含まれるサセプタ材料に作用でき、その結果、サセプタ材料、つまりは撹拌子も加熱される。特に、撹拌子全体をサセプタ材料で形成して、撹拌子がサセプタ材料で構成されるようにすることができる。
【0013】
誘導加熱器のサセプタは、電気的及び/又は磁気的に伝導性の材料で構成され、該材料は誘導加熱器のインダクタ(コイル)の交番磁界によって誘導加熱される。好ましくは、サセプタは、少なくとも導電性を有する。そのような導電性のサセプタでは、渦電流がインダクタの交番磁界により誘導され、次にサセプタ(それにより撹拌子も)を加熱する。
【0014】
本発明に係る撹拌ボールミルのさらなる一局面において、2つ以上の撹拌子は、撹拌シャフト上に、撹拌シャフトに沿って互いに離隔して配置される。インダクタは、粉砕室の円筒壁に沿って配置される2つ以上のコイルを備え、該コイルが生成する磁界の各々が撹拌子のうちの1つのみに作用するようにされる。好ましくは2つ以上のコイルは、個別に制御できるように構成される。その結果、(軸方向に見て)粉砕される材料を区分けして加熱することができるので、それにより、粉砕処理の間、温度を所望に制御できる。
【0015】
本発明に係る撹拌ボールミルのさらなる一局面において、撹拌ボールミルは、さらに、高周波発生器を備え、該高周波発生器は、1つ又は複数のコイルに高周波発生器の動作周波数の交流電流を供給し、高周波発生器の動作周波数は1kHzから1MHzの範囲内である。
【0016】
本発明に係る撹拌ボールミルのさらなる一局面において、誘導加熱器は固有振動数を有し、高周波発生器の動作周波数は、誘導加熱器の固有振動数と同じ周波数であるか、又は誘導加熱器の固有振動数に近い周波数である。それによって誘導加熱器の効率又はそのエネルギー消費は最適化される。
【0017】
本発明のさらなる一局面において、粉砕室の円筒壁は冷却ジャケットによって囲まれ、該冷却ジャケットを介して冷却媒体を流通させることができる。これにより、粉砕される材料の温度の制御をさらに補助できる。
【0018】
さらに有利な局面は、図面を参照する以下の本発明に係る撹拌ボールミルの例示的実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る撹拌ボールミルの第1の例示的実施形態の軸方向断面図である。
図2】本発明に係る撹拌ボールミルの第2の例示的実施形態の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の記述には、次の考慮事項が適用される。図面の明確さのため、参照符号は各図に記載されるが、明細書中において直接関連のある部分で言及されないことがある。この場合、明細書中の先行する部分又は後行する部分での参照符号の説明を参照するものとする。逆に、図面の過度な複雑化を避けるため、直接的な理解との関連性が低い参照符号については、全ての図面に記載されるとは限らない。この場合、他の図面を参照するものとする。
【0021】
図1の断面図が示すように、本発明に係る撹拌ボールミルは、円筒状の粉砕室1を備え、該粉砕室1は、円筒壁2、ならびに投入口側端壁3及び排出口側端壁4により囲まれる。投入口側端壁3を貫通して撹拌シャフト5が存在し、撹拌シャフト5は外側又は端壁に回転可能に取り付けられ、撹拌シャフト5には、図示の例示的実施形態では、3つの撹拌子11、12、13が粉砕室1内において、軸方向に沿って、即ち、撹拌シャフト(つまり、長手軸方向)に沿って互いに離隔して配置される。図示の例示的実施形態では、撹拌子11、12、13は、加速器として構成され、撹拌シャフト5と一体に回転するように撹拌シャフト5に連結され、動作中に撹拌シャフト5により回転駆動される。投入口側端壁3には、粉砕される材料及び粉砕体を粉砕室1に供給するための投入口6が配置され、排出口側端壁4には、粉砕された材料を取り出すための排出口7が設けられ、該排出口は、粉砕体を押しとどめる分離スクリーン8によって粉砕室1と分離されている。排出口側端壁4には、粉砕室1の内部に向かって開口した環状流路9がある。動作中に撹拌シャフト5、ひいては撹拌シャフト5と一体に回転するように撹拌シャフトに連結された撹拌子11、12、13(ここでは加速器)が、外部モータ(図示せず)により回転されるように配置される。撹拌子11、12、13は、図示のようなパドルホイール状であるか、例えば、単純な撹拌ディスク形状であってもよい。
【0022】
粉砕室1が外側の冷却ジャケット10により囲まれることで、冷却ジャケット10と粉砕室1の円筒壁2との間に環状の空洞15が形成され、空洞15を介して冷却媒体を必要に応じて流通させることができる。冷却媒体のための供給及び排出ラインは、図面の明確性のため図示しない。
【0023】
構造及び動作モードに関して、ここまでの本発明に係る撹拌ボールミルは、例えば、冒頭に記載した欧州特許第3102332号明細書が示すような先行技術に相当する。よって、当業者はこの点についてさらなる説明を必要としない。
【0024】
撹拌ボールミルが動作中であるときに投入口6から排出口7まで粉砕室1を通って流れる粉砕される材料を加熱するため、撹拌ボールミルにはインダクタとしてのコイル20を備える誘導加熱器が備えられる。撹拌ボールミルの動作中、コイル20には、高周波発生器G(図中、記号的にのみ示される。)により交流電流が供給される。誘導加熱器は、インダクタ(コイル20)を備えることに加えて、サセプタも備える。コイル20は、粉砕室1の外側で、冷却ジャケット10と粉砕室の円筒壁2との間に形成された空洞15内に配置される。交流電流が供給されたコイル20は、交番(電)磁界を発生させる。粉砕室1の円筒壁2は、電気的及び磁気的に非伝導性の材料からなるため、交番(電)磁界は、粉砕室1の円筒壁2を通って粉砕室の内部へ入る。交番磁界は、適切な導電性材料、ここでは、例えばクロム鋼又はニッケル基合金であって、粉砕処理にも適した材料で形成された撹拌子11,12,13に作用し、撹拌子11,12,13を加熱する渦電流をそれらの内部で発生させる。このようにして撹拌子11,12,13内で生じた熱は、撹拌子11,12,13から粉砕される材料に伝えられ、材料を加熱する。
【0025】
誘導加熱が機能できるように、粉砕室1の円筒壁2は、コイル20の磁界がなるべく妨害を受けずに通過できる材料で構成される。よって、粉砕室1の円筒壁2の材料は、前述したように電気的及び磁気的に非伝導性である。粉砕室1の円筒壁2に適した材料は、例えば、セラミックや炭化ケイ素である。同様に上述したように、図示の例示的実施形態において、撹拌子11,12,13全体は、内部で渦電流を誘導することができる導電性のサセプタ材料で構成される。ただし、代替的には、撹拌子11,12,13は部分的にのみサセプタ材料で構成されるか、又はそのようなサセプタ材料を含む。しかしながら、その場合、撹拌子の残りの部分は熱伝導性の高い材料で構成されると共に、同様に粉砕処理にも適していなければならない。コイル20を外側の横方向から囲む磁気シールド30は、コイル20が生成した磁界を内側に向けて撹拌子11,12,13に集中させる。撹拌シャフト5そのものがコイル20の磁界により加熱されないように、撹拌シャフト5を電気的及び磁気的に非伝導性の材料で構成することができる。
【0026】
図2の本発明に係る撹拌ボールミルの例示的実施形態は、同様に軸方向断面図にて示され、図1の例示的実施形態との違いは、実質的に粉砕室1の全長に亘って延在する単一のコイル20の代わりに、それより長さが軸方向に短い3つのコイル21,22,23がある点のみである。これらの3つのコイル21,22,23は、個別に制御可能に設計され、撹拌子11,12,13のうちの各1つを径方向にそれぞれ囲むように粉砕室に沿って配置される。ここでは、インダクタは、3つのコイル21,22,23によって形成される。3つの磁気シールド31,32,33は、コイル21,22,23の磁界を撹拌子11,12,13に集中させ、外部に向かう磁界を遮蔽する。撹拌ボールミルの他の部分は全て、図1の例示的実施形態と同じであるので、同一符号を付す。
【0027】
3つのコイル21,22,23により生成される磁界は各々、各コイルと径方向に対向して位置する撹拌子11、12、又は13にのみ作用する。インダクタを(ここでは)3つの独立したコイル21,22,23に分離することで、粉砕される材料を異なる(軸方向の)領域にて別々に加熱できるので、特定の用途にとって有利である。この理由により、コイル21,22,23は個別に制御可能であり、そのことは、3つの独立した高周波発生器、又は、複数の出力を有する1つの高周波発生器により達成可能である。
【0028】
1つ又は複数のコイルの適切な制御により、粉砕される材料の温度の区分け制御が実現可能である。温度の制御は、空洞15を流通させ得る冷却媒体を用いた冷却によってさらに補助され得る。
【0029】
コイル20又はコイル21,22,23は、図中、記号的にのみ示す高周波発生器Gによって供給を受ける。高周波発生器Gの動作周波数は、1kHzから1MHzまでの範囲内であってよい。
【0030】
誘導加熱器は、1つ又は複数のコイルと、サセプタ又は撹拌子とにより決定される固有振動数を有する。理想的には、1つ又は複数のコイルに(動作周波数を有する)交流電流を供給するための発生器Gの動作周波数は、誘導加熱器の固有振動数にできる限り近い周波数であるか、又は、誘導加熱器の固有振動数と同じ周波数である。最適な動作周波数は、経験的に決定できる。
【0031】
以上、本発明を、例示的実施形態を参照して説明したが、それらの例示的実施形態に限定することを意図しておらず、むしろ当業者は、本発明の教示を逸脱することなく多数の変更例に想到できるであろう。例えば、3つより多いか又は少ない撹拌子が粉砕室内に設けられてもよく、撹拌子は所望に構成され得る。加えて、誘導加熱器は、インダクタコイルを2つのみ、又は3つより多く備えることも可能である。さらに、複数のコイルの場合、個々のコイルは、2つ以上の撹拌子に同時に作用することも可能である。よって、保護の範囲は添付の請求項により定義される。
図1
図2
【外国語明細書】