(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081459
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】オゾン装置
(51)【国際特許分類】
C01B 13/10 20060101AFI20220524BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
C01B13/10 Z
A61L9/015
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187984
(22)【出願日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2020192627
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520455209
【氏名又は名称】株式会社ジーアンドティー
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(72)【発明者】
【氏名】八塚 寿
【テーマコード(参考)】
4C180
4G042
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180EA17X
4C180HH05
4C180LL06
4G042CC23
(57)【要約】
【課題】従来にない新しい方式のオゾン装置を提供する。
【解決手段】その外周面長手方向に複数の孔20を有する中空棒状主部材16と、中空棒状主部材16と係合して伸長可能とする棒状従部材18とを具備し、対向する第1取付面と第2取付面との間に伸長した場合に、一端が第1取付面に当接し、他端が第2取付面に当接して、第1及び第2取付面に突っ張った状態で固定される伸縮棒状部材12と、中空棒状主部材16の内部に設けられたオゾン発生器14とを備えたオゾン装置10である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その外周面長手方向に複数の孔を有する中空棒状主部材と、該中空棒状主部材と係合して伸長可能とする棒状従部材とを具備し、対向する第1取付面と第2取付面との間に伸長した場合に、一端が前記第1取付面に当接し、他端が前記第2取付面に当接して、前記第1及び第2取付面に突っ張った状態で固定される伸縮棒状部材と、
前記中空棒状主部材及び前記棒状従部材の少なくとも一方に設けられ、少なくとも前記中空棒状主部材の内部にオゾンを送気するオゾン発生器と、
を備えていることを特徴とするオゾン装置。
【請求項2】
前記オゾン発生器が、前記棒状従部材の取付面側端部に設けられていることを特徴とする請求項1記載のオゾン装置。
【請求項3】
前記オゾン発生器が、置き型オゾン発生器として使用できる取り外し可能なオゾン発生器であることを特徴とする請求項1又は2記載のオゾン装置。
【請求項4】
前記オゾン発生器が、前記中空棒状主部材の内部に設けられていることを特徴とする請求項1記載のオゾン装置。
【請求項5】
前記棒状従部材が、前記中空棒状主部材内に進退可能に挿入され、その外周面長手方向に複数の孔を有する中空棒状従部材であって、
前記中空棒状主部材が、周方向の少なくとも一つの位置に孔を有すると共に、前記中空棒状従部材が、周方向の複数の位置に孔を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載のオゾン装置。
【請求項6】
前記中空棒状従部材の孔が、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする請求項5記載のオゾン装置。
【請求項7】
前記中空棒状従部材が、前記中空棒状主部材の孔よりも大きい孔を有していることを特徴とする請求項5又は6記載のオゾン装置。
【請求項8】
前記中空棒状従部材が、前記中空棒状主部材の孔よりも多数の孔を有していることを特徴とする請求項5~7のいずれか記載のオゾン装置。
【請求項9】
前記オゾン発生器が、着脱可能な充電式電池を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか記載のオゾン装置。
【請求項10】
前記オゾン発生器が、オゾン発生時間及びオゾン濃度の少なくとも一方を調整する制御部を備えていることを特徴とする請求項1~9のいずれか記載のオゾン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象空間の除菌やウィルス除去等の消毒や消臭を目的として、オゾンを発生するオゾン装置が提案されている。
【0003】
例えば、吸気口と排気口とを有し、構成部品を収容するケーシングと、吸気口から吸い込まれた空気を乾燥するヒータと、オゾン発生器により発生させたオゾンガスを導通するパイプと、ヒータを通過した乾燥空気とパイプから送出されたオゾンガスとを送出する送風ファンと、ケーシングの排気口を貫通して配設され、送風ファンにより送出された乾燥空気及びオゾンガスとをケーシングの外部に導通するダクトとを備えた、狭小空間内に載置されて使用されるオゾン装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来のオゾン装置の多くは、床等に載置して使用するものであり、使用態様が限られるため、新たな方式のオゾン装置が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、従来にない新しい方式のオゾン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、その外周面長手方向に複数の孔を有する中空棒状主部材と、中空棒状主部材と係合して伸長可能とする棒状従部材とを具備する伸縮棒状部材と、中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方に設けられ、少なくとも中空棒状主部材の内部にオゾンを送気するオゾン発生器とを備える構成のオゾン装置が上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]その外周面長手方向に複数の孔を有する中空棒状主部材と、該中空棒状主部材と係合して伸長可能とする棒状従部材とを具備し、対向する第1取付面と第2取付面との間に伸長した場合に、一端が前記第1取付面に当接し、他端が前記第2取付面に当接して、前記第1及び第2取付面に突っ張った状態で固定される伸縮棒状部材と、
前記中空棒状主部材及び前記棒状従部材の少なくとも一方に設けられ、少なくとも前記中空棒状主部材の内部にオゾンを送気するオゾン発生器と、
を備えていることを特徴とするオゾン装置。
[2]前記オゾン発生器が、前記棒状従部材の取付面側端部に設けられていることを特徴とする上記[1]記載のオゾン装置。
[3]前記オゾン発生器が、置き型オゾン発生器として使用できる取り外し可能なオゾン発生器であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載のオゾン装置。
[4]前記オゾン発生器が、前記中空棒状主部材の内部に設けられていることを特徴とする上記[1]記載のオゾン装置。
[5]前記棒状従部材が、前記中空棒状主部材内に進退可能に挿入され、その外周面長手方向に複数の孔を有する中空棒状従部材であって、
前記中空棒状主部材が、周方向の少なくとも一つの位置に孔を有すると共に、前記中空棒状従部材が、周方向の複数の位置に孔を有していることを特徴とする上記[1]~[4]記載のオゾン装置。
[6]前記中空棒状従部材の孔が、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする上記[5]記載のオゾン装置。
[7]前記中空棒状従部材が、前記中空棒状主部材の孔よりも大きい孔を有していることを特徴とする上記[5]又は[6]記載のオゾン装置。
[8]前記中空棒状従部材が、前記中空棒状主部材の孔よりも多数の孔を有していることを特徴とする上記[5]~[7]のいずれか記載のオゾン装置。
[9]前記オゾン発生器が、着脱可能な充電式電池を備えていることを特徴とする上記[1]~[8]のいずれか記載のオゾン装置。
[10]前記オゾン発生器が、オゾン発生時間及びオゾン濃度の少なくとも一方を調整する制御部を備えていることを特徴とする上記[1]~[9]のいずれか記載のオゾン装置。
【発明の効果】
【0009】
従来にない新しい方式のオゾン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るオゾン装置の概略側面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るオゾン装置の中空棒状主部材の内部に設けられたオゾン発生器の概略説明図である。
【
図3】
図1におけるA-A線概略拡大断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るオゾン装置の使用説明図であり、トイレに設置した状態を示す説明図である。
【
図5】本発明の第二~第四実施形態に係るオゾン装置の中空棒状主部材及び棒状従部材の組み合わせ態様の説明図であり、(a)は第二実施形態に係るオゾン装置の説明図であり、(b)は第三実施形態に係るオゾン装置の説明図であり、(c)は第四実施形態に係るオゾン装置の説明図である。
【
図6】本発明の第五実施形態に係るオゾン装置の概略側面図である。
【
図7】本発明の第五実施形態に係るオゾン装置の使用説明図であり、オゾン発生器をトイレに設置した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のオゾン装置は、その外周面長手方向に複数の孔を有する中空棒状主部材と、中空棒状主部材と係合して伸長可能とする棒状従部材とを具備し、対向する第1取付面と第2取付面との間に伸長した場合に、一端が第1取付面に当接し、他端が第2取付面に当接して、第1及び第2取付面に突っ張った状態で固定される伸縮棒状部材と、中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方に設けられ、少なくとも中空棒状主部材の内部にオゾンを送気するオゾン発生器とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明のオゾン装置の設置態様としては、オゾン発生器が中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の中間部や取付面側端部に設けられている態様や、オゾン発生器が中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の内部に設けられている態様を挙げることができる。
【0013】
オゾン発生器が中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の中間部や取付面側端部に設けられている態様においては、オゾンの外部への供給量の観点や、伸縮棒状部材の伸縮可動域の観点から、中空棒状主部材又は棒状従部材の取付面側端部に設けられることが好ましく、置き型オゾン発生器として使用できる取り外し可能なオゾン発生器を用いる場合には、脱着の容易性の観点から、棒状従部材の取付面側端部に設けることがより好ましい。なお、取付面端部とは、取付面に直接当接する取付部(取付当接部材)を除いた端部をいう。また、棒状従部材の中間部にオゾン装置を用いる場合は、オゾン装置より中空棒状主部材側の棒状従部材は中空部材となる。
【0014】
また、オゾン発生器が中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の内部に設けられている態様においては、オゾン装置の設計や設置の容易さの観点から、中空棒状主部材の内部に設けられることが好ましい。
【0015】
本発明のオゾン装置を用いることにより、対象空間の消毒や消臭を容易に行うことができる。また、本発明のオゾン装置は、複雑な取付装置を用いることなく、対向する取付面の間に伸長することにより、対向する取付面に突っ張った状態で固定することで、容易に設置することができる。また、対向する取付面に取り付けた状態から、縮小させることにより、容易に取り外しができる。また、中空棒状主部材及び/又は棒状従部材にオゾン発生器を設けたことにより、対象空間の上部に設置することができるのでスペースの有効活用が可能となる。さらに、中空棒状主部材及び/又は棒状従部材の内部にオゾン発生器を設ける場合、装置全体をコンパクトにでき、狭小空間などにも設置することができる。
【0016】
本発明のオゾン装置は、例えば、居室、トイレ、クローゼット、試着室、車両内、下駄箱などの対象空間の消毒や消臭として用いることができる。
【0017】
まず、本発明の伸縮棒状部材について説明する。
本発明の伸縮棒状部材は、上記のようにその外周面長手方向に複数の孔を有する中空棒状主部材と、中空棒状主部材と係合して伸長可能とする棒状従部材とを具備している。伸縮棒状部材は、通常、中空棒状主部材の一方の端部に取付面に当接する取付部が設けられ、その他方の端部に開口が形成されており、この開口から棒状従部材が進退可能に挿入されることにより、伸縮可能に構成されている。
【0018】
中空棒状主部材の断面形状は、特に制限されるものではなく、例えば、円形状、多角形状等の種々の形状とすることができ、円形状が好ましい。
【0019】
中空棒状主部材の材質は、耐オゾン性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ガラス、テフロン(登録商標,PTFE)、チタン、アルミニウム、ステンレス等を挙げることができ、ステンレスが好ましい。
【0020】
中空棒状主部材の大きさは、その内部にオゾン発生器を収容できる大きさであれば特に制限されるものではなく、例えば、直径(断面が多角形のものにおいては対角線)10~150mm程度、長さ50~2000mm程度であり、直径20~100mm程度、長さ100~1500mm程度であることが好ましく、直径30~90mm程度、長さ200~1000mm程度であることがより好ましく、直径40~80mm程度、長さ400~800mm程度であることがさらに好ましい。
【0021】
中空棒状主部材は、その外周面長手方向にオゾン発生器により発生したオゾンを外部へ放出するため複数の孔を有している。孔は、その周方向の少なくとも一つの位置に設けられるものであるが、周方向の複数の位置に設けられていてもよい。具体的に、中空棒状主部材の孔の態様としては、例えば、外周面長手方向に一直線に所定間隔を空けて複数設けられている態様や、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられている態様を挙げることができる。
【0022】
中空棒状主部材の孔の大きさとしては、特に制限されるものではなく、例えば、直径が、0.1~10mm程度であり、0.2~4.0mm程度が好ましく、0.3~2.0mm程度がより好ましく、0.4~1.5mm程度がさらに好ましい。
【0023】
棒状従部材は、通常、中空棒状主部材よりも直径が小さく形成されており、その一方の端部に取付面に当接する取付部が設けられており、その他方の端部(取付面に当接する端部と反対の端部)が中空棒状主部材の開口から進退可能に挿入される。
【0024】
棒状従部材は、中空部材であってもよいし、中実部材であってもよいが、中空部材が好ましい。その断面形状としては、中空棒状主部材と係合するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、円形状、多角形状等の種々の形状とすることができ、円形状が好ましい。なお、棒状従部材が中空部材(中空棒状従部材)であるとは、その全部が中空部材あるのみならず、その一部が中空であるものを含む。
【0025】
棒状従部材の直径としては、中空棒状主部材内に隙間なく挿通される直径であることが好ましい。具体的に、例えば、中空棒状主部材の直径よりも0.5~3mm程度小さく構成されていることが好ましい。また、棒状従部材の長さとしては、例えば、50~2000mm程度であり、100~1500mm程度であることが好ましく、200~1000mm程度であることがより好ましく、400~800mm程度であることがさらに好ましい。
【0026】
棒状従部材が中空部材の場合、棒状従部材(中空棒状従部材)は、オゾン発生器により発生したオゾンを外部へ放出するための孔を有することが好ましい。孔は、その外周面長手方向に複数設けられることが好ましい。また、孔は、その周方向の少なくとも一つの位置に設けられることが好ましく、周方向の複数の位置に設けられることがより好ましい。棒状従部材の孔の態様としては、例えば、外周面長手方向に一直線に所定間隔を空けて複数設けられている態様や、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられている態様を挙げることができる。
【0027】
棒状従部材の孔の大きさとしては、特に制限されるものではなく、例えば、直径が、0.1~10mm程度であり、0.2~4.0mm程度が好ましく、0.3~2.0mm程度がより好ましく、0.4~1.5mm程度がさらに好ましい。
【0028】
オゾン装置が取り付けられていない側の中空棒状主部材又は中空棒状従部材は、取り付けている側の中空棒状主部材又は中空棒状主部材より多くのオゾン放出面積を有していることが好ましい。これにより、例えば、伸縮棒状部材が対向する取付面の間に伸長した場合に、中空棒状主部材(中空棒状従部材)に配置されたオゾン発生器から離れた位置にある中空棒状従部材(中空棒状主部材)からも有効量のオゾンをより確実に放出することができる。すなわち、消毒や消臭に必要な一定の量のオゾンをすべての孔から放出させることができる。また、中空棒状従部材の挿入部(中空棒状主部材及び中空棒状従部材が重なる範囲)においても、中空棒状従部材の孔を通じて中空棒状主部材からより容易にオゾンの放出が可能となる。
【0029】
具体的に、棒状従部材が中空棒状主部材より多くのオゾン放出面積を有している態様としては、中空棒状従部材が、中空棒状主部材の孔よりも大きい孔を有している態様や、中空棒状従部材が、中空棒状主部材の孔よりも多数の孔を有している態様や、その両方の態様を挙げることができる。一方、中空棒状主部材が棒状従部材より多くのオゾン放出面積を有している態様としては、中空棒状主部材が、中空棒状従部材の孔よりも大きい孔を有している態様や、中空棒状主部材が、中空棒状従部材の孔よりも多数の孔を有している態様や、その両方の態様を挙げることができる。
【0030】
上記中空棒状主部材及び棒状従部材を備える伸縮棒状部材の伸縮構造としては、特に制限されるものではなく、例えば、棒状従部材が中空棒状主部材の内部に進退可能に挿入され、その中空棒状従部材の挿入部(中空棒状主部材及び中空棒状従部材が重なる範囲)において固定具により固定されるいわゆるジャッキ式や、棒状従部材が中空棒状主部材の内部に挿入され、中空棒状主部材の内部に設けられたバネにより付勢した状態で固定具により固定されるいわゆるバネ式等の伸縮構造を挙げることができる。本発明の伸縮棒状部材の伸縮構造は、棒状従部材が中空棒状主部材の内部に進退可能に挿入され、その中空棒状従部材の挿入部において固定具により固定されるいわゆるジャッキ式が好ましい。
【0031】
伸縮棒状部材の伸縮構造がジャッキ式の場合、中空棒状従部材の挿入部(中空棒状主部材及び中空棒状従部材が重なる範囲)において、中空棒状主部材又は中空棒状従部材側で発生し、中空棒状主部材又は中空棒状従部材側から中空棒状従部材又は中空棒状主部材へ流入するオゾンは、その大部分のオゾンがそのまま中空棒状従部材又は中空棒状主部材の内部を流れていくが、一部のオゾンが中空棒状従部材の孔(従部材孔)から出て、中空棒状主部材及び中空棒状従部材の間隙に進入し、中空棒状主部材の主部材の孔(主部材孔)から外部に放出される(
図3参照)。また、中空棒状主部材側で発生し、中空棒状主部材側から中空棒状従部材へ流入する場合、別の一部のオゾンは、中空棒状主部材の内部から、中空棒状主部材及び中空棒状従部材の間隙に直接進入し、中空棒状主部材の主部材孔や間隙から外部に放出される。このように、本発明のオゾン装置は、中空棒状従部材の挿入部において、オゾンが滞留することがないことから、すべての孔から一定量のオゾンの放出が可能である。
【0032】
また、中空棒状主部材及び/又は中空棒状従部材の孔が周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられている場合、中空棒状従部材の挿入部において、中空棒状主部材及び中空棒状従部材の直近の孔同士の距離が近くなり、オゾンをよりスムーズに放出させることができる。なお、中空棒状主部材の開口側の端部には、オゾンが流出しないように中空棒状主部材及び中空棒状従部材の間隙を塞ぐゴムパッキン等のシール部材が設けられていてもよい。
【0033】
続いて、本発明のオゾン発生器について説明する。
オゾン発生器は、対象空間の消毒や消臭を行うオゾンを発生させるものであり、上記中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方に設けられ、少なくとも中空棒状主部材の内部にオゾンを送気するものである。すなわち、オゾン発生器は、発生したオゾンを、中空棒状主部材の内部に直接送気する、又は中空棒状従部材の内部から中空棒状主部材の内部に間接的に送気するものであり、これにより、本発明のオゾン装置は、オゾンを少なくとも中空棒状主部材の孔から外部の対象空間に放出することができる。
【0034】
本発明のオゾン発生器の具体的な設置態様としては、例えば、中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の中間部や取付面側端部に設けられる態様や、中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の内部に設けられる態様を挙げることができる。
【0035】
オゾン発生器が、中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の中間部に設けられる態様としては、具体的に例えば、中空棒状主部材(中空棒状従部材)が分断され、オゾン発生器が中間部に配置される態様や、中空棒状主部材及び/又は棒状従部材の外周部に設けられる態様を挙げることができる。
【0036】
また、中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の中間部や取付面側端部に設けられる態様の場合、オゾン発生器は、中空棒状主部材又は棒状従部材から取り外して置き型オゾン発生器として使用できるオゾン発生器であることが好ましい。これにより、例えば、対向する取付面を有しない対象空間の棚やテーブルや床などに設置して使用することも可能となる。オゾン発生器の大きさや形状は、中空棒状主部材又は棒状従部材に取り付けできるものであれば、特に制限されない。
【0037】
オゾン発生器が、中空棒状主部材又は棒状従部材の長手方向の中間部に設けられる態様の場合、オゾン発生器の設置場所としては、少なくとも中空棒状主部材又は棒状従部材の半分よりも取付面に当接する側(中空棒状主部材又は棒状従部材の開口と反対側)に設けられることが好ましい。
【0038】
一方、オゾン発生器が、中空棒状主部材及び棒状従部材の少なくとも一方の内部に設けられている態様の場合、オゾン発生器の大きさや形状は、中空棒状主部材及び棒状従部材(中空棒状従部材)の少なくとも一方の内部に収容できるものであれば、特に制限されない。オゾン発生器の設置場所としては、少なくとも中空棒状主部材又は棒状従部材の半分よりも取付面に当接する側(中空棒状主部材又は中空棒状従部材の開口と反対側)に設けられることが好ましく、中空棒状主部材又は中空棒状従部材の内部の取付面に当接する側の端部(最奥)に設けられていることがより好ましい。また、オゾン発生器が中空棒状従部材の内部に設けられる態様の場合、中空棒状従部材は、その全部が中空部材であることが好ましい。これにより、棒状従部材内部の全体にオゾンを送気することが可能となり、広範囲に対象空間にオゾンを送気することができる。
【0039】
オゾン発生器は、例えば、オゾンを生成するオゾン生成器、オゾンを送気するためのファン、オゾン生成器及びファンを駆動させる電池、操作部等を備えている。また、オゾン発生器は、着脱可能な充電式電池を備えていることが好ましい。これにより、外部からの電力の供給のコードが不要となり、装置をコンパクトにすることができる。また、設置場所の影響を受けにくく、運搬も容易である。また、オゾン発生器は、オゾン発生時間及びオゾン濃度の少なくとも一方を調整する制御部を備えていることが好ましい。これにより効率よく対象空間の消毒や消臭が可能となる。
【0040】
オゾン発生器が発生するオゾンの濃度(オゾン生成部近傍の濃度)としては、対象空間の消毒や消臭ができる濃度であれば特に制限されるものではなく、対象空間の広さに合わせて応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.005~0.1ppmであり、0.01~0.08ppmが好ましく、0.02~0.0.06ppmがより好ましく、0.03~0.05ppmがさらに好ましい。オゾン発生器が発生するオゾンの放出時間としては、対象空間の消毒や消臭ができる時間であれば特に制限されるものではなく、オゾン濃度や対象空間の広さに合わせて応じて適宜設定されるものであるが、10~40畳程度の広さの対象空間の場合、例えば30~240分であり、45~180分が好ましく、60~120分がより好ましい。また、0.5~10畳程度の広さの対象空間の場合、例えば1~60分であり、5~40分が好ましく、8~20分がより好ましい。
【0041】
上記本発明のオゾン装置の好ましい態様としては、棒状従部材が、中空棒状主部材内に進退可能に挿入され、その外周面長手方向に複数の孔を有する中空棒状従部材であって、中空棒状主部材が、周方向の少なくとも一つの位置に孔を有すると共に、中空棒状従部材が、周方向の複数の位置に孔を有していることが好ましい。具体的に、例えば、中空棒状主部材の孔(主部材孔)が、その外周面長手方向に一直線に所定間隔で複数設けられており、中空棒状従部材の孔(従部材孔)が、その外周面長手方向に所定間隔(ピッチ)で、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられている態様や、中空棒状主部材の孔(主部材孔)が、その外周面長手方向に所定間隔(ピッチ)で、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられており、中空棒状従部材の孔(従部材孔)が、その外周面長手方向に所定間隔(ピッチ)で、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられている態様を挙げることができる。
【0042】
中空棒状主部材及び棒状従部材を備えるオゾン装置の全体の長さとしては、特に制限されるものではなく、例えば、伸長時に、250~4000mm程度であり、800~2000mm程度が好ましい。また、縮小時に、180~1500mm程度であり、500~1000mm程度が好ましい。
【0043】
続いて、上記説明した本発明のオゾン装置を用いて対象空間を消毒及び消臭する消毒消臭方法について説明する。
本発明の消毒消臭方法は、上記オゾン装置を用いて対象空間を消毒及び消臭する消毒消臭方法であって、伸縮棒状部材は、対向する第1取付面と第2取付面との間に伸長して、一端を第1取付面に当接し、他端を第2取付面に当接して、第1及び第2取付面に突っ張った状態で固定して、対象空間に、所定時間、所定濃度オゾンを送気することを特徴とする。
【0044】
オゾン濃度及びオゾン放出時間は、上述の通りである。具体的に、本発明の消毒消臭方法においては、例えば、居室などの10畳程度の空間の場合には、オゾン濃度0.03~0.04ppm程度のオゾンを120~180分間送気することにより、消毒及び消臭が可能である。また、トイレなどの1畳程度の空間の場合には、オゾン濃度0.03~0.04ppm程度のオゾンを2~12分間送気することにより、消毒及び消臭が可能である。
【0045】
以下、図面を用いて本発明のオゾン装置の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態に制限されるものではない。
【0046】
ここで、
図1は、本発明の第一実施形態に係るオゾン装置の概略側面図である。
図2は、本発明の第一実施形態に係るオゾン装置の中空棒状主部材の内部に設けられたオゾン発生器の概略説明図である。
図3は、
図1におけるA-A線概略拡大断面図である。
図4は、本発明の第一実施形態に係るオゾン装置の使用説明図であり、トイレに設置した状態を示す説明図である。
図5は、本発明の第二~第四実施形態に係るオゾン装置の中空棒状主部材及び棒状従部材の組み合わせ態様の説明図であり、(a)は第二実施形態に係るオゾン装置の説明図であり、(b)は第三実施形態に係るオゾン装置の説明図であり、(c)は第四実施形態に係るオゾン装置の説明図である。
なお、
図2中の矢印は、オゾンの進行方向を示している。また、実施形態において参照する図面は、理解を深めるために模式的に記載したものである。例えば、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。
【0047】
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係るオゾン装置10は、伸縮可能に構成された伸縮棒状部材12と、伸縮棒状部材12の内部に設けられたオゾン発生器14とを備えている。オゾン装置10は、伸縮棒状部材12が対向する第1取付面と第2取付面との間に伸長した場合に、一端が第1取付面に当接し、他端が第2取付面に当接して、第1及び第2取付面に突っ張った状態で固定される(
図4参照)。
【0048】
伸縮棒状部材12は、その一方の端部(図面上右側)に開口が形成された中空棒状主部材16と、中空棒状主部材16の開口から進退可能に挿入される中空棒状従部材18とで構成されている。
【0049】
中空棒状主部材16は、例えば、直径30mm程度、長さ800mm程度の大きさの中空部材であって、その外周面長手方向に一直線に10cm間隔で、直径0.5mm程度の複数の主部材孔20を有するステンレス製の円筒体である。中空棒状主部材16は、開口の反対側端部(図面上左側)に取付面に当接する主部材取付部22が設けられている。
【0050】
中空棒状従部材18は、例えば、直径28mm程度、長さ700mm程度の大きさの中空部材であって、その外周面長手方向に10cm間隔(ピッチ)で、周方向のらせん状の位置に所定間隔を空けて(1周あたり3個)、直径0.5mm程度の従部材孔24を有する円筒体である。中空棒状従部材18は、その一方の端部(図面上左側)に中空棒状主部材16と連通する開口が形成されており、その他方の端部(図面上右側)に取付面に当接する従部材取付部26が設けられている。
【0051】
伸縮棒状部材12の伸縮構造は、中空棒状従部材18が中空棒状主部材16の内部に進退可能に挿入され、その中空棒状従部材18の挿入部28(中空棒状主部材16及び中空棒状従部材18が重なる範囲)において固定具30により固定されるいわゆるジャッキ式に構成されている。
【0052】
図1に示すように、オゾン発生器14は、中空棒状主部材16の内部の取付面に当接する端部側(図面上左側)に設けられており、発生したオゾンを中空棒状従部材18内部の取付面に接する端部(図面上右側)に向けて送気する。
図2に示すように、オゾン発生器14は、オゾンを生成するオゾン生成器32、オゾンの逆流を抑制する仕切り部34、オゾンを送気するためのファン36、オゾン生成器32及びファン36を駆動させる着脱可能な充電式電池38、オゾン発生時間及びオゾン濃度を調整する制御部40、中空棒状主部材16の外周面に操作パネル42を有する操作部44を有している。なお、ファン36の後方(オゾン生成器32と反対側)の中空棒状主部材16周部には、空気の吸気及び排気を行う吸気排気口46が設けられている。
【0053】
図3に示すように、中空棒状従部材18の挿入部28(中空棒状主部材及び中空棒状従部材が重なる範囲)において、中空棒状主部材16の内部で発生し、中空棒状主部材16から中空棒状従部材18へ流入するオゾンは、その大部分のオゾンがそのまま中空棒状従部材18の内部を流れていくが、一部のオゾンが中空棒状従部材18の従部材孔24から出て中空棒状主部材16及び中空棒状従部材18の間隙に進入し、中空棒状主部材16の主部材孔20から外部に放出される。また、別の一部のオゾンは、中空棒状主部材16の内部から、中空棒状主部材16及び中空棒状従部材18の間隙に直接進入し、中空棒状主部材16の主部材孔20から外部に放出される。また、中空棒状従部材18の従部材孔24が、周方向にらせん状に設けられているため、中空棒状従部材18の挿入部28において、中空棒状従部材18が中空棒状主部材16に対して回転して配置された場合にも、近くの中空棒状主部材16の主部材孔20からオゾンを外部に放出することができる。なお、中空棒状主部材16の開口側の端部には、オゾンが流出しないように中空棒状主部材16及び中空棒状従部材18の間隙を塞ぐゴムパッキンが設けられている。
【0054】
次に、上記オゾン装置10を用いてトイレを消毒消臭する作業の手順について説明する。
図4に示すように、オゾン装置10の伸縮棒状部材12を広さ1畳のトイレの対向する第1取付面48と第2取付面50との間に伸長する。この際、伸縮棒状部材12の一端の主部材取付部22を第1取付面48に当接し、伸縮棒状部材12の他端の従部材取付部26を第2取付面50に当接して、第1取付面48及び第2取付面50に突っ張った状態で固定具30により固定する。
続いて、オゾン装置10の操作パネル42を操作してオゾン発生器14を作動し、トイレ内に、オゾン濃度0.04ppm程度のオゾンを10分間送気する。これにより、トイレを消毒消臭する作業が完了する。
なお、本発明のオゾン装置10は、固定具30を解除し、伸縮棒状部材12を収縮させて第1取付面48及び第2取付面50から取り外して容易に持ち運ぶことができる。
【0055】
次に、本発明の第二~第四実施形態に係るオゾン装置について説明する。なお、上記オゾン装置10と同様の構成の部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
図5(a)に示すように、本発明の第二実施形態に係るオゾン装置52は、中空棒状従部材18が中空棒状主部材16の孔よりも大きい孔を有している点で、上記オゾン装置10と相違する。オゾン装置52の中空棒状主部材16は、直径0.5mm程度の主部材孔54が、その外周面長手方向に一直線に10cm間隔で、複数設けられており、中空棒状従部材18は、直径1.5mm程度の従部材孔56が、その外周面長手方向に一直線に10cm間隔で複数設けられている。このように、本実施形態においては、中空棒状従部材18が、中空棒状主部材16の主部材孔54よりも大きい従部材孔56を有している。これにより、中空棒状主部材16の内部に設けられたオゾン発生器14から離れた位置の孔からもオゾンを多く放出させることができる。
【0057】
図5(b)に示すように、本発明の第三実施形態に係るオゾン装置58は、中空棒状従部材18が中空棒状主部材16の孔よりも多数の孔を有している点で、上記オゾン装置10と相違する。オゾン装置58の中空棒状主部材16は、直径0.5mm程度の主部材孔60が、その外周面長手方向に一直線に10cm間隔で複数設けられており、中空棒状従部材18は、直径0.5mm程度の従部材孔62が、その外周面長手方向に一直線に3cm間隔で、複数設けられている。このように、本実施形態においては、中空棒状従部材18が、中空棒状主部材16の主部材孔60よりも多数の孔(従部材孔62)を有している。これにより、中空棒状主部材16の内部に設けられたオゾン発生器14から離れた位置の孔からもオゾンを多く放出させることができる。
【0058】
図5(c)に示すように、本発明の第四実施形態に係るオゾン装置64は、中空棒状主部材16及び中空棒状従部材18の孔が、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられている点で、上記オゾン装置10と相違する。中空棒状主部材16は、直径0.5mm程度の主部材孔66が、その外周面長手方向に40cm間隔(ピッチ)で、周方向にらせん状に所定間隔を空けて、1周あたり10個設けられており、中空棒状従部材18は、直径0.5mm程度の従部材孔68が、その外周面長手方向に40cm間隔(ピッチ)で、周方向にらせん状に所定間隔を空けて、1周あたり10個設けられている。このように、本実施形態においては、中空棒状主部材16及び中空棒状従部材18が、全方向に孔(主部材孔66、従部材孔68)を有している。これにより、周方向の全方位に消毒や消臭に必要な一定の量のオゾンを放出させることができる。また、中空棒状主部材16及び中空棒状従部材18の孔が、周方向にらせん状に所定間隔を空けて複数設けられていることにより、中空棒状従部材18の挿入部28において、中空棒状主部材16及び中空棒状従部材18の直近の孔の距離が近くなり、オゾンをよりスムーズに放出させることができる。
【0059】
次に、本発明の第五実施形態に係るオゾン装置について説明する。なお、上記オゾン装置10と同様の構成の部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
図6に示すように、本発明の第五実施形態に係るオゾン装置70は、オゾン発生器72が中空棒状従部材18’の取付面側端部に設けられている点で、上記オゾン装置10と相違する。オゾン発生器72は、中空棒状従部材18’の長手方向の取付面側端部に設けられており、発生したオゾンを中空棒状従部材18’内部から中空棒状主部材16内部に送気する。
図7に示すように、オゾン発生器72は、中空棒状従部材18’から取り外して、トイレの棚74に載置し、置き型オゾン発生器として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、対象空間を消毒や消臭を行うことができるオゾン装置を提供するものであることから、産業上有用である。
【符号の説明】
【0062】
10 オゾン装置(第一実施形態)
12 伸縮棒状部材
14 オゾン発生器
16 中空棒状主部材
18,18’中空棒状従部材
20 主部材孔
22 主部材取付部
24 従部材孔
26 従部材取付部
28 挿入部
30 固定具
32 オゾン生成器
34 仕切り部
36 ファン
38 充電式電池
40 制御部
42 操作パネル
44 操作部
46 吸気排気口
48 第1取付面
50 第2取付面
52 オゾン装置(第二実施形態)
54 主部材孔
56 従部材孔
58 オゾン装置(第三実施形態)
60 主部材孔
62 従部材孔
64 オゾン装置(第四実施形態)
66 主部材孔
68 従部材孔
70 オゾン装置(第五実施形態)
72 オゾン発生器
74 棚