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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081480
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】断路器を備えた手持ち式工作機械
(51)【国際特許分類】
   B24B 23/00 20060101AFI20220524BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20220524BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20220524BHJP
   B24B 49/16 20060101ALI20220524BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20220524BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20220524BHJP
【FI】
B24B23/00 Z
B25F5/00 A
B24B23/02
B24B49/16
H02K7/116
H02K11/25
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022015551
(22)【出願日】2022-02-03
(62)【分割の表示】P 2018554471の分割
【原出願日】2017-04-10
(31)【優先権主張番号】102016106558.7
(32)【優先日】2016-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518361790
【氏名又は名称】フェスツール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ニコ・ヴァルカー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ツロドツキー
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・クラマー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電流を供給可能な相との間の接続を遮断する電気断路器を有するように構成されている、改良された手持ち式工作機械を提供する。
【解決手段】手持ち式工作機械、特に研磨機に関し、手持ち式工作機械は、線形構造体(41)を用いて前記駆動モータ(100)に電力を供給する電源システムを有しており、線形構造体(41)を介して駆動モータ(100)と電源システムとが相互に接続されている。本発明によれば、前記線形構造体(41)の少なくとも1つの電気ケーブル(L1)と、該ケーブル(L1)を介して電流を供給可能な、駆動モータ(100)の界磁コイル構造(120)の相(P1,P2,P3)との間の接続を切断するために、少なくとも1つの電気断路器(175)を備えている保護回路が、駆動モータ(100)に配置されている。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式工作機械、特に研磨機であって、
使用者が把持するハンドル要素(12)と、加工工具(20)を保持するために設けられている工具ホルダ(19)を駆動する電気駆動モータ(100)を有している加工ヘッド(11)とを備えており、
線形構造体(41)を用いて前記駆動モータ(100)に電力を供給する電源システム(40)を有しており、前記線形構造体(41)を介して前記駆動モータ(100)と電源システム(40)とが相互に接続されている、手持ち式工作機械において、
前記線形構造体(41)の少なくとも1つの導体(L1)と、該導体(L1)を介して電流を供給可能な、前記駆動モータ(100)の励起コイル構造(120)の相(P1,P2,P3)との間にある接続を遮断するために、少なくとも1つの電気断路器(161,175)を備えている保護回路が、前記駆動モータ(100)に配置されていることを特徴とする、手持ち式工作機械。
【請求項2】
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、所定の温度の関数として、前記導体(L1)を該導体(L1)に関連する前記相(P1,P2,P3)から遮断する熱作動スイッチ、特にバイメタルスイッチ、を備えている、又は、該熱作動スイッチを構成していることを特徴とする、請求項1に記載の手持ち式工作機械。
【請求項3】
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、所定の電圧及び/又は所定の電流を超えた場合に、前記導体(L1)を該導体(L1)に関連する相(P1,P2,P3)から遮断する電気作動スイッチを備えている、又は該電気作動スイッチを構成していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の手持ち式工作機械。
【請求項4】
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、前記線形構造体(41)の少なくとも2つの導体(L1,L2,L3)と、前記導体(L1,L2,L3)を介して電流を供給可能な励起コイル構造(120)の相(P1,P2,P3)との間の電気的接続を遮断するように設計されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項5】
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、少なくとも2つの断路器(161,175)からなる構成の構成要素を形成しており、前記少なくとも2つの断路器(161,175)は、前記導体(L1)と該導体(L1)に関連付けられた前記相(P1,P2,P3)との間に直列で前後に並ぶように接続されている、又は、前記励起コイル構造(120)の複数の相(P1,P2,P3)に接続されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項6】
前記断路器(161,175)からなる構成は、少なくとも2つの断路器(161,175)を備えており、そのうちの1つの断路器(161,175)は第1の物理的影響、特に温度、によって動作可能であり、別の断路器(161,175)は第2の物理的影響、特に電気的影響、によって動作可能であることを特徴とする、請求項5に記載の手持ち式工作機械。
【請求項7】
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、前記駆動モータ(100)の固定子(110)上、特に積層コア(111B)上、に配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項8】
前記少なくとも1つの断路器(161,175)が保護ハウジング(162)内に配置されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項9】
前記保護ハウジング(162)は、前記駆動モータ(100)に対向している側に熱伝導性ハウジング部(163A)、及び/又は、前記駆動モータ(100)から離れている側に断熱ハウジング部(163B)を有しており、両者の間に前記断路器(161,175)が配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の手持ち式工作機械。
【請求項10】
前記断路器(161,175)、特に保護ハウジング又は前記保護ハウジングは、前記駆動モータ(100)から離れている側において断熱及び/又は電気的に絶縁されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項11】
前記断路器(161,175)と、前記駆動モータ(100)の電気要素又は機械要素、特に前記固定子(110)、との間には、ヒートシンク(169)が配置されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項12】
前記断路器(161,175)は、ばね構造(168)によって、前記駆動モータ(100)の構成要素、特に前記固定子(110)、の方向に荷重がかけられている、かつ/あるいは、前記断路器(161,175)と前記駆動モータ(100)の前記構成要素との間には、補償手段が、前記断路器(161,175)と前記構成要素との間にほぼ完全な表面接触を生じさせるために設けられていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項13】
前記電源システム(40)は、前記少なくとも1つの断路器(161,175)に接続されている前記導体(L1)を流れる電流を検出する電流監視装置(171)を有していることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項14】
前記電源システム(40)は、前記少なくとも1つの断路器(161,175)に接続されている前記導体(L1)を流れる電流の関数として、さらなる導体(L1,L2,L3)の接続を切断するように設計されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項15】
前記駆動モータ(100)上には、前記少なくとも1つの断路器(161,175)以外には、特に、前記駆動モータ(100)を監視するために前記電源システム(40)と通信する監視センサが配置されていないことを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項16】
前記駆動モータ(100)がブラシレス式モータであることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項17】
前記加工ヘッド(11)が、接合アセンブリ(13)を用いて前記ハンドル要素(12)上に可動に装着されていることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項18】
前記ハンドル要素(12)が把持棒を備えている又は棒状であることを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項19】
前記電源システム(40)が前記ハンドル要素(12)上に配置されていることを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項20】
前記電源システム(40)及び前記加工ヘッド(11)が、前記ハンドル要素(12)の互いに対向する端部領域に配置されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれ
か1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項21】
線形構造体(41)が、前記ハンドル要素(12)に沿って、特に前記ハンドル要素(12)の内部空間内を/に、通っている、かつ/あるいは、配置されていることを特徴とする、請求項1~20のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項22】
前記線形構造体(41)が、前記駆動モータ(100)に電力を供給するためのみに設けられている導体(L1,L2,L3)を備えていることを特徴とする、請求項1~21のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項23】
前記電源システム(40)と前記駆動モータ(100)との間には、特に、データ伝送のみを行って前記駆動モータ(100)への電力供給は行わないデータ線は設けられていない、又は通っていないことを特徴とする、請求項1~22のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【請求項24】
前記駆動モータ(100)の前記励起コイル構造(120)は複数の励起コイル(121)を有しており、前記電気断路器(161)は、前記電源システム(40)と前記駆動モータ(100)との間の接続を遮断するために前記駆動モータ(100)上に配置されている唯一の断路器を構成している、かつ/あるいは、前記駆動モータ(100)上には、前記電源システム(40)と前記駆動モータ(100)との間の接続を遮断するさらなる断路器が配置されていないことを特徴とする、請求項1~23のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は手持ち式工作機械、特に研磨機に関し、該手持ち式工作機械は、使用者が把持するハンドル要素と加工ヘッドとを備えており、加工ヘッドは、加工工具を保持するために設けられた工具ホルダを駆動する電気駆動モータを有しており、手持ち式工作機械は、線形構造体を用いて駆動モータに電力を供給する電源システムを有しており、線形構造体を介して駆動モータと電源システムとが相互に接続されている。
【0002】
壁及び天井用研磨機の形態をとるこのような手持ち式工作機械は、一例として、独国特許出願公開第10 2007 012 394(A1)号明細書に記載されている。この駆動モータは、一例としてハンドル要素の方向に突出している加工ヘッド上に配置されている。スイッチ構成によって、駆動モータの電源のオンオフ及び速度設定がハンドル要素上で直に実行可能である。
【0003】
駆動モータに一例として負荷がかかりすぎている場合、電力供給装置のスイッチ要素が駆動モータへの接続を切断することができる。しかしながら、多くの場合において、電力供給装置のこのスイッチ要素は応答が遅すぎる。
【0004】
よって、本発明の目的は、手持ち式工作機械の改良を提供することである。
この目的を達成するために、上述の方式の手持ち式工作機械において、駆動モータ上には、保護回路が、線形構造体の少なくとも1つの電線と、駆動モータの励起コイル構造のこの線を介して電流を供給可能な相との間の接続を遮断する、少なくとも1つの電気断路器を有するように構成されている。
【0005】
ここでの基本的な概念は、線形構造体の電線を電気的に非作動状態にできる断路器が、駆動モータ上に局所的に設けられていることである。よって、電源システムは、特別な監視を行わずに、駆動モータが回転するように、励起コイル構造に電流を供給可能である。
しかしながら、一例として過熱等の不具合が駆動モータに生じている場合、断路器が、駆動モータ上で局所的かつ直接的に、断路器に関連するこの1つの相の電流供給を切断し、それによって駆動モータが保護される。明らかに、断路器は、たった1つだけではなく、実際には複数存在することも可能である。一例として、互いに別々の2つの線と、それらの線によって供給される励起コイル構造の別々の相との間には、いずれの場合にもスイッチを設けることができる。したがって、これらの相は各々が、断路器によって、相を与える線から遮断又は電気的に切断されることが可能である。
【0006】
駆動モータの不具合を電源システムへ通知可能である、駆動モータから電源システムへのあり得る又は好適に設けられたデータ線又はセンサ線は不必要である。
この概念は非常に高速に動作し、これは、断路器が、駆動モータが壊れたり損傷したりするより十分前に、その断路器に関連する相への電力供給を能動的に切り替える、及び/又は、切断することを意味する。駆動モータの不具合を検出して電力供給を切断しなければならない電源システムに起因して時間が遅延する危険性がない。
【0007】
好ましくは、断路器のうちの少なくとも1つ、又は単独の断路器は、所定の温度の関数として、関連する励起コイル構造の相から線を遮断する熱作動スイッチである。したがって、駆動モータが過熱の危険にさらされている場合、断路器は、関連する相への電力供給を切断する。熱作動スイッチは、一例としてバイメタルスイッチを備える。バイメタルスイッチは、好適にはバイメタル素子を備え、バイメタル素子は、断路器の電気接点同士を互いに直接接続又は遮断し、かつ/あるいは、少なくとも1つの電気接点を有している。
【0008】
しかしながら、断路器は、所定の電圧及び/又は所定の電流を超えた場合には線をその関連する相から遮断する、電気作動スイッチである、又は、そのような電気作動スイッチを備えていることも可能である。一例として、スイッチは、線によって電流が供給されるコイル構造のコイルを流れる電流、又は線自体に流れる電流を取り込む。スイッチはまた、一例として、所定値を超えて過電圧である場合に、スイッチが、線とその線に関連する相とを互いに対して遮断するように、電圧を取り込むこともできる。
【0009】
明らかに、スイッチを組み合わせて断路器を形成することも可能であり、あるいは、一例として、熱作動可能及び電気作動可能であるような様々な機能を有している断路器を設けることができる。監視される線又は相において様々なタイプの不具合が切断、すなわち、過熱した場合(熱による切断)や、一例として電気的障害が発生している状況の場合(過電圧や過電流の場合の切断/遮断)の切断をもたらすように、様々な機能的スイッチが一例として直列に接続されていてもよい。
【0010】
断路器を、1つの線とその線に関連する相との間のみではなく、2つ又はそれ以上の線とそれらに関連する相との間に接続することが可能である。したがって、この設計において、断路器は、好ましくは、線形構造体の少なくとも2つの電線と、これらの線を介して電流を供給可能な励起コイル構造の相との間の電気的接続を遮断するように設計されている。このため、断路器は一例として複数の電気接点対を有しており、1つの接続接点対は、どんな場合でも電線とこの線を介して供給される励起コイル構造の相との間に接続されている。
【0011】
線とその線に関連する相との間において、一例として直列に、又は前後に並ぶように接続されている、2つ以上の断路器がある構成も可能である。励起コイル構造の2つ以上の相を用いることによって、断路器のこのような直列接続も全く可能である。
【0012】
上述したように、複数の断路器は異なる方法で作動してもよい。一例として、2つ以上の断路器からなる構成は、第1の物理的影響、一例として熱的な影響で動作可能な1つの
断路器を備えており、別の断路器は第2の物理的影響(電流、電圧等)で動作可能である。
【0013】
少なくとも1つの断路器が、固定子、一例として駆動モータの積層コア上に配置されているならば好ましい。一例として電流又は電圧を取り込むために、駆動モータの励起コイル構造の直上に断路器がある構成も可能であると考えられるが、励起コイル上に直接配置する構成によって、断路器が過熱を非常に迅速に捉えることができる。
【0014】
好適な概念では、少なくとも1つの断路器が保護ハウジング内に配置されている。その結果、断路器は、一例として機械的損傷から保護される。保護ハウジングは、複数の部品を有することが可能であり、つまり、保護ハウジングは、一例として、容易に開閉可能であるように、ハウジング基部とハウジングカバーとを有していることを意味する。好ましくは、保護ハウジングのハウジング部は、互いに連結されているか、又は互いに連結可能である。好ましくは、保護ハウジングは断路器が完全に収容されている、つまり全ての側面において包囲されているチャンバを有している。しかしながら、保護ハウジングは、一例として断路器を覆う部分的なハウジングであることも可能であり、この場合、好ましくは、断路器は、1つの面が駆動モータに、一例として駆動モータの固定子に直接固定されている。
【0015】
好適には、保護ハウジングは2つのハウジング部、一例として熱伝導性があるハウジング部及び/又は断熱ハウジング部を有しており、これらハウジング部の間に断路器が配置される。熱伝導性ハウジング部は駆動モータ上に配置されており、一方、断熱ハウジング部は、保護ハウジングの駆動モータから離れている側に設けられている。このようにして、一例として、駆動モータからの熱を、ハウジング内に収容されている断路器の方に向かわせる。したがって、断路器の望ましくない切断を引き起こしかねない、つまり断路器を、導体と励起コイル構造の相との間の接続を遮断するように動作させるおそれがある外部からの熱が、保護ハウジングから遠ざけられる。
【0016】
また、断路器、特に保護ハウジングが、駆動モータから離れている側で断熱及び/又は電気的に絶縁されているならば有利である。一例として、保護ハウジングはその部分に、適切な断熱プラスチック材料を有している。このような断熱又は電気的絶縁を、保護ハウジングを用いずに形成することも可能である。一例として、適切な絶縁性プラスチックを遮断スイッチ上に有するオーバーモールド成形品又はカバーが、断熱部及び/又は電気的絶縁部として機能することもできるであろう。
【0017】
有利な概念では、少なくとも1つの断路器と、駆動モータの電気要素又は機械要素、一例として駆動モータの固定子又は励起コイル構造との間には、ヒートシンクが配置されている。ヒートシンクは、一例として、緩衝物として又はパッドとして設計されている。ヒートシンクは、一例として、保護ハウジングと駆動モータの機械要素との間を完全に、又はほぼ完全に表面を被覆した状態で配置されている。
【0018】
断路器が、ばね構造、一例としてばねによって、駆動モータの一構成要素、一例として固定子の方向に荷重がかけられているならば好ましい。よって、断路器は、一例として最適な熱的伝達のために、ばね構造によって固定子又は他の構成要素の方向に押圧される。
【0019】
既に説明したように、ヒートシンクは、断路器と駆動モータとの間に設けることが可能である。この又は別の補償手段(Ausgleichsmittel)が、断路器と、駆動モータの構成要素、一例として固定子との間のほぼ完全な表面接触を生じさせるために設けられるならば好ましい。
【0020】
電源システムが、少なくとも1つの断路器に接続された線を流れる電流を検出する電流監視装置を有しているならば好ましい。よって、断路器が、一例として、この線と励起コイル構造の相との間を流れる電流を遮断した場合、それ以上電流は流れない。
【0021】
電源システムがさらなる線、特に電源システムと駆動モータとの間の全ての線を、少なくとも1つの断路器に接続された線を流れる電流の関数として切断するように設計されているならば有利である。よって、一例として、断路器が既に線を切断しているため、その線を通って固定子又は励起コイル構造へはもはや電流が流れていないことを電流監視装置が検出した場合に、他の線も切断する。したがって、断路器が遮断位置へと動くときに電源システムが完全に切断を行うならば有利である。
【0022】
電源システムは、一例として、このような動作状態に応答可能なマイクロプロセッサ制御器を有している。マイクロプロセッサ制御器のマイクロプロセッサは、例えば、電源システムを制御する制御プログラムのプログラムコードを実行する。
【0023】
電源システムは、一例としてその整流デバイスの電子式スイッチの切替挙動を用いて、少なくとも1つの断路器が遮断位置に入り、よってその断路器に関連する励起コイル構造の相をその相に関連する線から遮断したことを検出することも可能である。
【0024】
好適には、駆動モータの励起コイル構造が複数の励起コイルを有しており、電気断路器は、電源システムと駆動モータとの間の接続を遮断するために駆動モータ上に配置されている唯一の断路器を構成しており、かつ/あるいは、駆動モータ上には、電源システムと駆動モータとの間の接続を遮断するさらなる断路器は配置されていない。
【0025】
好適には、手持ち式工作機械は、使用者が把持する棒状ハンドル要素と、ハンドル要素上に接合アセンブリを用いて可動に装着されている加工ヘッドとを有しており、加工ヘッドは、加工工具を保持するために設けられた工具ホルダを駆動する電気駆動モータを有している。
【0026】
駆動モータがブラシレス式モータであり、駆動モータの電源システムが駆動モータから距離を隔ててハンドル要素に配置されており、電源システムが、線形構造体を用いて駆動モータに接続されていると有利である。
【0027】
この概念の有利な点は、ブラシレス式モータが、比較的軽量で、最適な出力を有していることである。電源システムを用いて、出力及び/又は速度の点で最適に電力供給を行うこともできる。
【0028】
好適には、駆動モータと工具ホルダとの間には減速伝動部が配置されており、伝動部は、工具ホルダの速度に関連して駆動モータの出力部の減速を実現するように設計されている。ここでの有利な点は、伝動部が加工ヘッド上に直接配置されており、伝動部を介して工具ホルダが駆動されることである。伝動部は、駆動モータの速度を減速する伝動部、特に歯付伝動部である。これにより、駆動モータが工具ホルダよりも高速で回転することが可能になり、速度は、駆動モータと工具ホルダとの間で減速するが、同時に工具ホルダのトルクは増大する。このようにして、トルクが工具ホルダで発生するトルクよりも小さい、より小さな、より小型の駆動モータを用いることができる。
【0029】
工具ホルダとの関係で駆動モータを減速する機能の他に、伝動部は他の機能も有していてもよく、また、対応する伝動部部品も備え得る。したがって、好適には、一例として、伝動部が、外転サイクロイド(hyperzykloide)運動、又は、工具ホルダの回転運動及び/又は工具ホルダの偏心運動を重ね合わせた運動を生じさせる伝動部を備え
ること、又は、対応する伝動部部品を有することができる。その結果、一例として、偏心伝動部及び/又は外転サイクロイド伝動部が、伝動部の一構成要素になり得る、又は伝動部に接続可能である。
【0030】
ブラシレス式モータは、別名として、電子整流モータ、ECモータ、又はブラシレス式DCモータ(BLDC又はBLモータ)としても称されている。ブラシレス式モータは、摺動接点又は摺動ブラシを有していない。ハウジングに対して固定されている励起コイル構造、又はブラシレス式モータの固定子と、ブラスレス式モータの回転子との間には、電気的接続部、一例として滑動環、摺動ブラシ等は必要ない。したがって、ブラシレス式モータの摩耗が存在しないか、又はどのような場合でも、従来のユニバーサルモータ又は整流子モータを用いた際と比較して大幅に少ない。
【0031】
駆動モータ上には、固定子に対する回転子の回転角位置、又は固定子に対する回転子の位置を取り込む、少なくとも1つのセンサ、一例として磁気センサや光センサを配置可能である。
【0032】
電源システムは、一例として、電子整流子として知られているものを備えている。
整流とは、好ましくはセンサがなく、これは、駆動モータ自体、又はその励起コイル構造に、回転子の位置を取り込むセンサ、一例として回転子の磁気流量を取り込む磁気センサ、光センサ、又は類似のセンサが必要ないことを意味している。駆動モータ上に直接配置されているセンサの感知信号を電源システムに伝送するデータ線は、必要ない、かつ/あるいは、設けられていない。これにより、電源システムと駆動モータとが互いに遠く離れている場合には、ケーブル構成を簡素化することができる。
【0033】
しかしながら、電源システムをセンサによる駆動又は制御で整流することも、全く可能である。したがって、本事例では、駆動モータ上には、固定子又は励起コイル構造との関係で回転子の回転角位置を取り込み、データ線を介して電源システムにデータ信号として通知する、少なくとも1つのセンサが存在している。
【0034】
電源システムが、作業者がハンドル要素を把持するハンドル領域に直に並行して、又は該ハンドル領域上に直接配置されているならば有利である。電源システムはまた、一例として、例えば作業者が手持ち式工作機械を両手で、又は両手で扱うように案内している場合に、作業者が通常把持する2つのハンドル領域の間に位置することも可能である。好適には、ハンドル領域は把持棒の把持棒部分に設けられており、両領域の間には電源システムが配置されている。
【0035】
電源システムがハウジング内に配置されているならば有利である。ハウジングは、一例として、ハンドル要素の把持棒上に配置されている。
電源システムは、一例として、複数のハーフブリッジ、及び/又は複数のパワーエレクトロニクススイッチ、一例としてMOSFET、もしくは類似のデバイスによる構成を備えている。電源システムはまた、一例として、変圧器、及び/又は、電源電圧又はエネルギー蓄積装置からの電圧を調節する他の要素を備えることもできる。実際には、このような要素はかなり重量がある可能性もある。
【0036】
電源システムをハンドル要素に配置することにより、好適な重心が得られる結果となる、つまりこれは、手持ち式工作機械を操作又は使用している時に、電源システムを収容しているハウジングが、作業者によって直接把持可能である、又は、作業者が通常使用するハンドル領域の近くに配置されていることを意味している。
【0037】
好適には、手持ち式工作機械は、電気エネルギー供給ネットワーク、特に交流電圧ネッ
トワークへの接続を行う接続器具を有している。エネルギー供給ネットワークからの供給電圧を調節している間に、電源システムは、一例として、交流電圧を中間回路の直流電圧に変換する。
【0038】
代替として、あるいは追加として、手持ち式工作機械が、電気エネルギー蓄積装置、例えばバッテリパックや燃料電池等のためのエネルギー蓄積装置接続部を有することも可能である。これにより、手持ち式工作機械を主電源から切り離して操作することが可能になる。
【0039】
好適な概念では、線形構造体は、駆動モータの励起コイル構造の各相に関して、それぞれ導体を備えている、又は1つの導体のみを備えている。よって、一例として、制御されるものが3相励起コイル構造である場合、合計で3つの導体、又はまさしく3つの導体だけを設けることが可能である。したがって、好ましくは、駆動モータの相の数は、まさしく線形構造体の導体の数に対応する。しかしながら、駆動モータが1つの相のみ、又は2つの相、又は4相以上の相、一例として6相を有することも全く可能である。よってこの場合は、線形構造体には、導体が1つ、2つ、又は6つ設けられている。しかしながら、上述の構成のいずれであっても、追加の接地線が、線形構造体の一構成要素となって、励起コイル構造に電力を供給するために設けられた電流供給導体に関するリターン線として機能することも考えられる。いずれの場合でも、線形構造体がちょうど2,3本の線又は導体を備えているならば有利である。これにより、一例として、線形構造体を、かつ/あるいは、ハンドル要素が複数の部品を有する、一例として互いに脱着可能である、及び/又は、互いとの関係で可動に装着されているハンドル要素である場合には、線形構造体の各部分間にある接点を、より容易に遮蔽できる。
【0040】
したがって、好適には、線形構造体は、駆動モータを励起するためにのみ設けられた線を備えている。
励起コイル構造の各相に電流を供給する線が、1つ以上の電磁遮蔽装置によって遮蔽されているならば好ましい。一例として、これらの線は、電磁遮蔽されたホース又は編組ブレード内を通っている。各線を個別に電磁遮蔽することも全く可能である。しかしながら、複数の線がまとめて遮蔽されているならば有利である。とはいえ、個別に遮蔽された線が、少なくとも2つの線を一緒に遮蔽する遮蔽装置を通っていてもよい。少なくとも1つの遮蔽装置は、電磁的な影響から線形構造体の周囲環境を保護し、反対に、周囲環境の電磁的な影響から線形構造体を保護する。
【0041】
線形構造体が少なくとも1つのデータ線を備えている、又は、少なくとも1つのデータ線が加工ヘッドと電源システムとの間を通っていることが可能である。データ線を介して、一例として、少なくとも1つのセンサからの1つ又は複数の感知信号を駆動モータに伝送することが可能である。感知信号は、一例として、駆動モータの温度及び/又は速度及び/又は回転位置、又は駆動モータの他の機能に関する変数を、電源システムに伝送するセンサから生じ得る。このようなデータ線は、一例として、線形構造体の一構成要素となり得る。
【0042】
しかしながら、駆動モータと電源システムとの間には、好適には、及び好ましくは、データ伝送のみに機能して駆動モータの励起は行わないデータ線は通っていない。したがって、ケーブル構成は、一例として、励起コイル構造を励起するために必要である電流を伝える線に限定できる。したがって、データ線が必要ない場合には特に好適である。
【0043】
いずれの場合でも電源システム及び駆動モータは、冷却装置、一例として1つ以上のファンを有していることが有利である。このようにして、電源システムの冷却は駆動モータの冷却から独立している。冷却装置は、一例として、電源システムと駆動モータとが個別
に、かつ必要に応じて冷却可能であるように、互いに独立して動作する。電源システムと、駆動モータに隣接している工具ホルダとが離れていることは、好適には、一例として、工作機械を使用した結果生じるダストや破片等が電源システムに直接到達し、一例として冷却装置又はそこにあるファンを汚損するようなことが不可能であることを意味する。また、ファンプロペラが駆動モータのモータシャフト上に、回転自在に取り付けられているならば有利である。このため、駆動モータはいわば自身のファンを駆動する。
【0044】
好ましくは、電源システムと加工ヘッドとの間の距離は比較的長い。この距離は、一例として、加工ヘッドの直径の少なくとも2倍又は3倍である。この長い距離を実現する別の手法は、電源システムと加工ヘッドとの間の距離が電源システム及び/又はそのハウジングの全長の少なくとも2倍又は3倍とすることである。
【0045】
駆動モータが、電磁遮蔽が行われているハウジング内に配置されているならば有利である。
好適には、手持ち式工作機械は、電気エネルギー蓄積装置、一例としてバッテリパックのためのエネルギー蓄積装置接続部、及び/又は、一例として220~240V又は110~120Vの電気エネルギー供給ネットワーク、もしくは別の交流電圧ネットワークに接続する接続器具を有している。
【0046】
駆動モータの駆動部の回転軸と工具ホルダの回転軸とが互いに平行であるならば有利である。この場合、伝動部は、角度の変位を生じさせる必要はなく、これは、一例として、本質的にかなり騒々しいアングル歯車伝動部が不要であることを意味する。伝動部の構成要素も少なくできる。しかしながら、駆動部の回転軸と工具ホルダの回転軸とを、互いに対して狭い角度、一例として最大で10°、又は最大で20°、又は最大で30°の角度をなすような向きにすることも可能である。
【0047】
駆動モータが、加工工具の加工側から離れている側にある加工ヘッド上面の前方に上向きに突出しているならば特に好都合である。
駆動モータは、加工表面、一例として研磨表面や艶出し表面等、の側に、又は加工表面を越えて工具ホルダの回転軸を横切って、突出しない構成が好ましい。また、駆動モータは、工具ホルダの回転軸を横切って、加工工具に対するカバー、一例として保護フード又は取出カバーを越えて、突出しないならば好都合である。
【0048】
好適には、駆動モータは、加工ヘッドの重心又は中心の外側に配置されている。好ましくは、駆動モータは加工ヘッド上で、いわば中心を外して配置されている。
駆動モータは、加工ヘッド上において、接合アセンブリの少なくとも1つの枢軸と並行して配置されていると有利である。好ましくは、この枢軸は、ハンドル要素の長手方向軸を横切って延びている枢軸である。このことは、加工ヘッドに、ハンドル要素との関係でより可動度をもたらすことに役立ち得る。有利な構成では、駆動モータが並行して配置されている枢軸が、駆動モータと加工ヘッドに接続された線形構造体との間を通っている。
【0049】
また、駆動モータを、接合構造の別の枢軸、一例として上述の枢軸を特に直角に横切って延びる枢軸が通る面に配置することも可能である。一例として、この面内にハンドル要素の長手方向軸もある。
【0050】
請求項1のプリアンブルに関連する独立発明は、その手段のこれまでの有利な発展形ともども、以下に表されている。
好ましくは、駆動モータはモータハウジング内に配置されており、モータハウジング上には少なくとも1つの保護体が、モータハウジングに加わる機械的衝撃を抑えるために設けられている。モータハウジングの前方には、代替として、あるいは追加として、モータ
ハウジングを機械的荷重から保護するために、少なくとも1つの輪状防護部を配置することができる。このようにして、駆動モータ又はそのモータハウジングが、衝撃や他の機械的な影響から有利に保護される。
【0051】
保護体は一例として衝撃吸収体であり得る。
好適には、保護体は弾性材料、一例として弾性プラスチック材料、及び/又はゴムを含む。
【0052】
好ましくは、保護体は環状の設計を有する。
好適には、保護体は、モータハウジングの加工ヘッドから離れた側の領域に配置されている。一例として、保護体は、その領域に、保護カラー、保護リング等の形態で設計及び提供されている。好ましくは、保護体は、モータハウジングの差込口内に差込可能である、モータハウジングから脱着可能な差込接続要素として設計されている。よって、差込口はモータハウジング上に配置されている。モータハウジングへの保護体の締着及び/又は連結も存在するならば、つまり、締着具及び/又は止め手段が設けられているならば、有利である。必要であれば、保護体は、一例として、より弾性のある保護体又は無損傷の保護体と容易に交換可能である。
【0053】
駆動モータは、好適には、励起コイル構造を有する固定子と、モータシャフトを有する回転子とを有しており、工具ホルダを駆動する出力部を有している。
好適には、ファンプロペラは、回転自在にモータシャフトに接続され、あるいは回転自在にモータシャフトに連結されている。モータシャフトはその長手方向端部領域上において、出力部の領域に配置された駆動軸受と、もう一方の長手方向端部領域に配置されたモータ軸受とによって、回転自在に支持されており、これによりモータシャフトが固定子に対して回転することができる。
【0054】
好ましくは、励起コイル構造はファンプロペラとモータシャフトの出力部との間に配置されており、ファンプロペラは、ファンプロペラから出力部へと流れる駆動モータのための冷却用空気流を生成するように設計されている。
【0055】
この概念の有利な点は、ファンプロペラは、プッシャーファンの一構成要素を構成する、又はプッシャーファンに相当することであり、つまり、特に励起コイル構造を冷却するために、空気を工具ホルダから離れている側から吸い込んで、固定子を通らせていわば押し出すことである。冷却用空気は、いわゆる比較的清浄な領域、つまり、破片やダスト等の量が比較的少ない領域から引き込まれるため、モータの汚損が大幅に少なくなる、又は防げる。
【0056】
この概念を用いると、駆動モータが、一例として2つの軸受、つまり出力部の近くにある駆動軸受とそこから離れているモータ軸受しか必要としない点も有利である。同時に、モータ軸受は、ファンプロペラに回転自在に結合している、又は、回転自在にファンプロペラに固定されている、モータシャフトの部分のための軸受を構成している。駆動軸受は、モータシャフトを支持するためにさらなる軸受が必要でないように、伝動部の近くにあってもよい。
【0057】
原理上は、駆動部が工具ホルダを直接駆動することも考えられる。
しかしながら、伝動部を用いた概念の方が好ましい。好適には、工具ホルダを駆動する出力部は、工具ホルダを駆動する伝動部を有する回転連結装置を有している。伝動部は、歯付伝動部、特にベベルギア付き伝動部、及び/又は、工具ホルダとの関係で駆動モータを減速又は加速する伝動部であるか、又はそのような伝動部を備えている。
【0058】
ファンプロペラと伝動部との間に駆動モータが配置されていることによって、一例として、シール要素及び/又は軸受を使わないことができる。
伝動部が駆動モータの包囲又は防塵性に寄与している、かつ/あるいは、伝動部自体がダストに対して密閉されているならば有利である。これらはともに、手持ち式工作機械の摩耗を減らすことに寄与している。
【0059】
好適には、伝動部は包囲されたモジュールを構成している。好ましい手段では、一例として、伝動部は、包囲された、特にダストに対して密閉されている伝動部ハウジング内に配置されている。伝動部ハウジングは、一例として、伝動部ハウジングの内部空間を画定するハウジング部又はハウジング壁部を有しており、内部空間には、可動要素、一例として歯車や軸受等が保護されて収容されている。駆動モータの出力部が配置されている外部への境界、又は工具ホルダのための出力部及び工具ホルダ自体のみにおいて、開口部が存在する。これらの開口部はまた、好適には、包囲された又は防塵性の軸受によって密閉可能である。伝動部ハウジングのハウジング部間のシール構成、特にOリングによる密閉は、伝導部ハウジングの追加のシールを構成することができる。
【0060】
また、伝動部と駆動モータの固定子との間に壁部が配置されており、壁部が冷却用空気流に関して密閉されているならば有利である。これにより、冷却用空気流が駆動モータから伝動部内へと流れてくることがない。以下で明らかになるが、壁部は一例として、モータハウジングのカバーによって形成可能である。また、壁部は、伝動部ハウジングのハウジング壁部によって形成されてもよい。そして、これらの組み合わせも可能である。伝動部ハウジングのハウジング壁部及びモータハウジングのカバー又はカバー壁が互いに隣接して、かつ/あるいは、互いに上下に重なって位置しており、伝動部と固定子との間の壁部を構成していてもよい。
【0061】
伝動部、一例としてその伝動部ハウジングと、駆動モータとの間に間隙もファンプロペラも存在しないならば有利である。その結果、駆動モータの前面が伝動部、特に伝動部の伝動部ハウジングに直接当接しているならば有利である。
【0062】
特に小型である構造は、駆動モータの出力部が伝動部の駆動輪、一例として駆動ピニオンを構成しているところである。駆動輪は一例として、モータシャフト上に直接、又は間接的に配置されている歯状物の形態であってもよい。
【0063】
伝動部の伝動部ハウジングが、駆動モータの出力部のための挿入口を有しているならば好都合である。出力部と伝動部ハウジングとの間にある挿入口又は他の接続部には、好適には出力部のためのシールが配置されている。これにより、出力部が伝動部に対する防塵性の接続部を有することができる。
【0064】
好ましくは、モータハウジングは、駆動軸受と励起コイル構造との間に配置された冷却用空気流の流出口を有している。これに関連して、このような流出口のみが存在する、つまり、駆動軸受の前方の長手方向には流出口が存在しないならば有利であり得る。
【0065】
冷却用空気流の流出口が、駆動軸受と励起コイル構造との間にのみ配置されているならば特に好ましい。好ましくは、これらの流出口は、モータシャフトとの関係で放射状の配置及び/又は設計を有する。これにより、冷却用空気流はモータ軸受から駆動軸受の方向に流れるが、直接に駆動軸受を越えて流れていくことはなく、このことが、一例として、駆動軸受の汚損又は他の損傷を低減させる、あるいは防止することに役立っている。
【0066】
複数の流出口が全体として、又は少なくとも1つの流出口が、冷却用空気流の流出がモータシャフトとの関係で放射状に行われるように配置及び/又は設計されているならば好
ましい。その結果、冷却用空気流のモータハウジングからの流出は、モータシャフトの長手方向軸に沿った軸方向ではなく、又は該軸方向だけではなく、径方向外側に流れる。
【0067】
冷却用空気流を流出させる少なくとも1つの流出口又は全ての流出口が、手持ち式工作機械の作業範囲の方向に向けられているならば好ましく、これにより、少なくとも1つの流出口又は複数の流出口から流れる冷却用空気流は、作業範囲を少なくとも部分的に、自由に吹き抜ける。複数の流出口又は少なくとも1つの流出口が手持ち式工作機械の作業方向に向けられているならば好ましい。また、冷却用空気流が、作業範囲に対して横方向に自由に吹き抜けることができるならば有利である。一例として、流出口は、モータハウジングの角度範囲にわたって延在しており、手持ち式工作機械の前方の作業方向に直接、及び、一例として、作業方向の前方に向けられた中心線に対して横方向に10~40°の角度範囲において、冷却用空気流が作業範囲を通って自由に吹き抜けることができる。流出口が、特にモータハウジングの30~180°の円周領域における、モータシャフトを中心にしたアーチ状の構成であるならば特に有利である。
【0068】
流出口が固定子の外周部から径方向に離れているならば有利である。一例として、モータハウジング上に配置されている流出口は、固定子の外周部から一定の距離だけ離れており、その距離は、固定子の外周部からモータシャフトまでの半径の少なくとも半分、好ましくはほぼ該半径に相当する距離である。このようにして節約された、固定子と流出口又はモータハウジングとの間のスペースは、一例として、電気ケーブルや保護回路等のために使用可能である。これらは同時に冷却される。
【0069】
実現が特に容易な軸受の概念では、駆動モータにとって必要である軸受の数が可能な限り少なくされる。一例として、モータシャフトは、ぴったり2つの軸受によって、及び/又は、モータ軸受と駆動軸受のみを用いて、支持されているならば有利である。この場合、他の軸受は存在しない。ファンプロペラが別個の軸受によって支持される必要がなく、モータシャフト上に直接配置されて、モータ軸受によって支持されているならば特に有利である。一例として、ファンプロペラは、モータ軸受と別の支持部との間には配置されていない。しかしながら、ファンプロペラのために、モータ軸受に加えて、少なくとも1つの軸受を設けることも全く可能である。
【0070】
回転子が固定子の回転子レセプタクル内で支持されており、回転子レセプタクルが、モータシャフトの少なくとも1つの長手方向端部領域において、好適にはモータシャフトの両方の長手方向端部領域において、防塵性であり、又は周囲環境に対して密閉されているならば好適である。
【0071】
一例として、固定子と回転子との間にラビリンスシールを設けることも可能である。一例として、回転子と固定子の間には流れのラビリンスが存在し、これにより、冷却用空気は回転子と固定子の間の間隙には全く流れ込めない、又はほんのわずかしか流れ込めない。
【0072】
また、回転子レセプタクルの空間を密閉するために、駆動軸受及び/又はモータ軸受が軸受カバー上に配置されており、軸受カバー自体及び/又は軸受カバーにより保持される駆動軸受又はモータ軸受が、回転子が収容される固定子の回転子レセプタクルを、好ましくは防塵性を有するように密閉しているならば有利である。したがって、組み合わせることも全く可能であり、これは、軸受カバーとそれぞれの軸受の両方で、何も通さない状態を作り出すことを意味している。さらに、回転子と固定子との間に、上述のラビリンスシールを設けることが可能である。軸受カバーは、一例として、モータシャフトの長手方向軸が角度をなして通っている回転子レセプタクルの面上にあるカバーであると理解される。軸受カバーは、固定子の固定子本体に一体化している部分であってもよく、これは、回
転子レセプタクルが、一例として、固定子本体の窪みとして設計されていることを意味している。好ましくは、軸受カバーのうちの少なくとも1つが、固定子本体に装着されている構成要素として設計されている。
【0073】
有利な概念では、駆動軸受及び/又はモータ軸受は、密閉された又は防塵性の軸受として構成されている。一例として、適切なガスケット又はシールリングが設けられている。また、駆動軸受又はモータ軸受、あるいはその両方によって、回転子が固定子内に収容される上述の回転子レセプタクルのために、密閉状態、特に防塵性の密閉状態が得られるならば有利である。その結果、両軸受、又は軸受のうちの一方が、回転子レセプタクルの防塵性に有利に寄与する。
【0074】
モータハウジングに流れ込んで駆動モータへと流れる空気を濾過するならば好都合である。好ましくは、モータハウジングは、ファンプロペラの領域において、一例としてそこに設けられたハウジングカバー上に、流入口を有しており、流入口の上には濾過要素を脱着可能に取り付ける取付部が配置されている。濾過要素は、吸気口を通じて流れてくる空気を濾過する機能を有する。一例として、濾過要素は、濾紙及び/又は濾過網及び/又は濾布、もしくは類似の濾過構造を備えている。吸気口には、濾過要素に追加して、あるいは濾過要素の代替として、一例として複数のリブを備えている吸気グリルが設けられていてもよい。吸気グリルは濾過要素の支持部として機能することができる。
【0075】
好適には、取付部は取付クリップを備えており、取付クリップを用いて、濾過要素を保持することができる。取付クリップは、濾過要素に一体化されている部分であってもよい。
【0076】
また、取付部が、モータハウジングと係合する止め手段を備えているならば好都合である。
好ましくは、モータハウジングは手持ち式工作機械の機械ハウジングを構成している。好ましくは、モータハウジング又は機械ハウジングは、いわば最も外側の又は外部の構成要素である。その結果、機械ハウジングは、機械ハウジングを包囲する別のハウジング内に収容されない。一例として、モータハウジングは、手持ち式工作機械の加工ヘッドの機械ハウジングである。
【0077】
好適には、モータハウジング内には、流通ハウジング又は空気導通本体、もしくはその両方が、冷却用空気を導通させるために配置されている。流通ハウジング又は空気導通本体は、一例として、スリーブ状である。好ましくは、固定子は、少なくとも部分的に流通ハウジング又は空気導通本体内に収容されている。好ましくは、流通ハウジング又は空気導通本体は、冷却用空気が固定子の外周部又は励起コイル構造を通過するように設けられている。
【0078】
ここで、好ましくは、励起コイル構造は、励起コイル同士の間に空気を通過させる空気流路を有していることが言及されている。
好ましくは、手持ち式工作機械は、長手方向軸を有する把持棒を有しているか、又は、このような把持棒を備えており、ハンドル要素の端部領域との接続領域において、吸込ホースがこの長手方向軸に沿って延びている。可撓性吸込ホースは、一例として把持棒上に配置されてもよい。しかしながら、ハンドル要素が、吸込ホースと連通する吸込路が加工ヘッドまで通っている剛性管状体を有することも可能である。管状体は一例として、部分管、特に剛性部分管からなる設計を有することもできる。この場合、管状体は、作業者が把持するのに適している。その結果、部分管は、ハンドル要素の支持体又は重量支持要素を構成する。
【0079】
好適には、ハンドル要素は、ハンドル要素の長手方向軸方向に延び、かつ、前面において加工ヘッドに向かって対向しているハンドル要素の端部領域にてハンドル要素から開口している、少なくとも1つの吸込路を有している。そこで、吸込ホースは、加工ヘッドに向かう吸込路と接続している。
【0080】
しかしながら、ハンドル要素は、少なくとも加工ヘッドに向かって対向している端部領域において、吸込管として設計されているか、又は、吸込管を有しているならば好ましい。加工ヘッドに通じる吸込ホースは、この吸込管に接続されている。
【0081】
好ましくは、手持ち式工作機械は研磨機、艶出し機、又はフライス加工機である。特に好ましくは、手持ち式工作機械には、加工ヘッド又はモータハウジングから突出しているハンドル要素が備わっている。
【0082】
ハンドル要素は、単一部品で形成されていてもよく、あるいは複数部品で形成されていてもよい。好ましくは、ハンドル要素は、把持棒であるか、又は把持棒を備えている。把持棒は、単一の構成要素であってもよく、あるいは、互いに分離可能な、及び/又は、軸受を用いて互いとの関係で可動な、複数の棒状部分を有していてもよく、一例として、使用しないときには、把持棒を分解及び/又は小さく折りたたむことができる。
【0083】
以下において、本発明の例示的実施形態を各図面を用いて説明する。図面は以下のように表されている。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】研磨機の斜視図である。
図2図1の研磨機の加工ヘッド、一例として研磨ヘッドの斜視図である。
図3】加工ヘッドを有する研磨機の基準位置での側面図である。
図4】基準位置から変位した第1変位位置の部分図である。
図5】基準位置から変位した第2変位位置の部分図である。
図6】加工ヘッドの側面図である。
図7】研磨機の加工ヘッドの駆動部の分解図である。
図8】接合アセンブリを有する研磨機の加工ヘッドの分解図である。
図9】研磨機の接合アセンブリの分解図である。
図10】保護回路を有する研磨機の駆動モータの分解図である。
図11図6に係る駆動モータの、横断線A-Aにほぼ沿った断面図である。
図12】加工ヘッドのモータハウジングを斜め後方から見た平面図である。
図13】駆動モータを有する加工ヘッドのモータアセンブリを斜め上方から見た斜視図である。
図14図13の横断線F-Fにほぼ沿った断面図である。
図15】駆動モータの制御回路である。
図16】まだ接続されていない状態である、研磨機の把持棒の把持棒部品を斜め上方から見た斜視図である。
図17図16に係る構成の接続した状態の図である。
図18図16及び図17に示されている把持棒部品を詳細に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本例示的実施形態は、研磨機の形態をとる手持ち式工作機械10に関する。しかしながらここでは、以下の説明の数多くの態様において、手持ち式工作機械の他の実施形態、一例としてフライス加工機、艶出し機、もしくは類似の工作機械もまた可能である。さらに、例示的実施形態では細長いハンドル要素が示されているが、実際にはより短くてもよくあるいはより長くてもよい。各図面に係る手持ち式工作機械は、天井や壁の加工に有利で
ある。各図面に係る手持ち式工作機械10は、天井及び/又は壁用研磨機と称することもできる。以下の設計の各態様は必ずしも研磨機、艶出し機、又はフライス加工機のみに関するものではなく、他の手持ち式工作機械にも適用することができる。
【0086】
手持ち式工作機械10は、接合アセンブリ13によりハンドル要素12上において関節状に支持されている加工ヘッド11を有しているが、本事例は、原理上は可能であると考えられる摺動によってではなく、少なくとも1つの枢軸を中心に、この特定の例示的実施形態では2つもある枢軸を中心に移動可能である。ハンドル要素12は棒状の設計であり、長手方向延長部又は長手方向軸Lを有している。長手方向に延びているハンドル要素12は、加工ヘッド11を、使用者からの距離が遠いところで、工作物Wの工作面O、一例として壁面に沿って案内することを可能にする。
【0087】
接合アセンブリ13は、第1枢軸S1を中心に枢動する第1ピボット軸受14を用いて、かつ、第2枢軸S2を中心に枢動する第2ピボット軸受15を用いて、ハンドル要素12との関係で加工ヘッド11を支持している。ピボット軸受14,15を用いることで、加工ヘッド11はハンドル要素12に対して、両枢軸S1及びS2をそれぞれ中心として枢動できるが、ここでは枢軸S1及びS2は互いに対して直角である。しかしながら、原理上、考えられる角度は直角だけではない。ピボット軸受14,15は、好適には、ジンバル支持部を構成している。
【0088】
枢軸S1はハンドル要素12の長手方向軸Lを横切って、本事例では直角に横切って延びている。枢軸S2と長手方向軸Lとは、共通の平面内に、又は互いに平行な平面内にそれぞれが配置されていると有利である。枢軸S2と長手方向軸Lは、本事例では交わらない。
【0089】
加工ヘッド11は支持体16を有し、支持体16上には駆動モータ17が保持されている。駆動モータ100は、直接、又は本事例では伝動部80を介して、回転軸Dを中心にして工具ホルダ19を駆動させる。工具ホルダ19は、加工工具20を保持するために設けられており、加工工具20は、工具ホルダ19上に装着された状態では、駆動モータ100によって駆動されて回転運動することができる。工具ホルダ19は、一例として、差込口、バヨネット式形状部、ねじ山、もしくは、それ自体が加工工具を装着するためのものとして知られている他の類似するアセンブリ手段を備えている。
【0090】
しかしながら、この点において、例示的実施形態の別の設計では、工具ホルダ19の回転運動の代わりに、又は回転運動に加えて、一例として、振動運動も利用可能であることが言及されている。さらに、工具ホルダ19の回転運動を重ね合わせたもの、一例として外転サイクロイド回転運動が可能であり、この場合には伝動部80は、対応するような異なる設計、一例として偏心伝動部を有している。
【0091】
加工工具20は、本事例では研磨機、特に研磨プレートである。加工工具20は、複数の構成要素、一例として、上に研磨ディスク又はサンドペーパーを配置可能な研磨プレートを含み得る。このために、一例として、研磨プレートとサンドペーパーとの間に面ファスナーがあると有利である。
【0092】
研磨工具として設計されている加工工具20を用いることによって、手持ち式工作機械10は研磨機10Aを構成する。よって、加工ヘッド11は研磨ヘッドと称することもできる。長手方向に延在している棒状ハンドル要素12は、作業者からは遠く離れた面、一例として壁面を加工することを容易にする。好ましくは、手持ち式工作機械10は壁用及び/又は天井用の研磨機を構成している。しかしながら、以下で説明されている設計はまた、多数の異なる設計の手持ち式工作機械、特に研磨機だけでなく、切断加工機、穿孔機
、もしくは類似工作機械にとっても有利である。
【0093】
工具ホルダ19、及び結果として加工工具20は、工具ホルダ19に固定されているときには、好ましくは加工ヘッド11のカバーの下方に配置されている。例えば、カバー21が加工工具20を、外周部全体と上面にわたって覆うことが可能であると考えられる。本事例では、カバー21との関係で可動であるカバー22が一例として加工ヘッド11の前面にある空き領域に、ハンドル要素12とは反対側に設けられている。カバー22は例えば、カバー21から脱着可能であり、かつ/あるいは、カバー21上の支持部により支持されていることによって、一例として枢軸S2と平行な枢軸を中心に動くことができる。カバー21上にあるカバー22の差込接続式アセンブリには、一例として差込可能な突起部22B、例えば差込フラップが設けられており、これはカバー21の差込口21B内に差し込むことができ、特に差込口21Bにロック可能である。
【0094】
カバー21,22の外縁領域上には、シール22A、すなわちシール要素、例えばブラシ、シールリップ、もしくは、好ましくは工作面Oに適合されている他の類似のシール要素を設けることができる。加工工具20がシール22Aを越えて突出することが可能である。
【0095】
カバー21,22は、一例として、ベースプレート又は支持体16の底側に固定されているか、あるいは、支持体16の一体部分である。上面、つまり工具ホルダ19とは離れている側の面では、支持体16上に、駆動モータ100のためのモータハウジング24と吸込接続部23とが配置されている。
【0096】
モータハウジング24の工具ホルダ19とは離れている側の上面には、駆動モータ100を冷却する冷却用空気を入れるために、空気吸入口又は吸気口25が配置されている。冷却用空気Kは、一例としてモータハウジング24の空気排出領域18を介して、モータハウジング24から排出される。一例として、空気排出領域18は、例えばモータハウジング24の外周部上にある、吸気口25に対して角度をなして設けられた領域に位置している。原理的には、冷却用空気Kがカバー21,22によって包囲された領域の範囲まで流入することによって、当該領域で一例として加工工具20の冷却やダストの除去にも寄与することも可能であると考えられる。
【0097】
空気排出領域18は、作業方向ARにおいて前方へ、及びその横方向に、一例として各事例において作業方向ARに対して約90°横方向に角度をなす範囲を通って延びている。したがって、冷却用空気Kは、作業方向ARにおいて前方にかつ作業方向ARに対して横方向に延びている作業範囲ABにわたって、自由に吹き出すことができる。
【0098】
吸込接続部23を介して、ダストや塵や破片は、カバー21,22で覆われた、又はカバー21,22と重なり合っている領域から除去することができる。吸込接続部23は一例としてノズル23Aを有している。
【0099】
ホース端部28を有する吸込ホース26は吸込接続部23に、ホース26の他方のホース端部27はハンドル要素12に、それぞれ接続されている。
固定構造、例えば吸込接続部23及びハンドル要素12に対するホース端部27,28の接続は、ホース要素27,28上にある構造29、例えばリブによって強化される。ホース端部28を吸込接続部23に固定するために、締着具30が一例として設けられており、ねじ30Aを用いて、締着具30を、ホース端部28をノズル23Aに締着する締着位置に至らせることができる。もう一方のホース端部27には、一例として、スリーブ形状の接続部品31と、ハンドル要素12の棒状流路体33と接続する継手32が設けられているため、吸込接続部23から出てきたほこりが充満した吸気流Sがハンドル部品33
の流路34内を流れることができる。
【0100】
ハンドル要素12の対向する長手方向端部領域12A及び12Bにはそれぞれ、ハンドル部35と、他方の側には加工ヘッド11とが配置されている。
細長い棒状流路体33は、接合アセンブリ13とハンドル要素12のハンドル部35との間を延びている。ハンドル部35は、流路体33と流路体36との間に配置されており、流路体36には、吸引管Cと接続する吸込接続部37が設けられている。吸引管Cは、一例として、固定構造38を用いて流路体36と接続可能である。固定構造38は、一例として、ホース締着具、鉤状の構造、もしくは類似の構造を備えている。
【0101】
ハンドル部35には、駆動モータ100に電源を投入するためのスイッチ39が配置されている。
ハンドル部34の領域には、駆動モータ100の励起コイル構造120に電源を供給するための電源システム40が配置されている。
【0102】
一例として、吸引管C上に配置されているか、又は吸引管C内に内蔵可能である電源線Nを介して、電源システム40は、電力供給システムV又は他の電源に接続可能である。他の電源とは、一例として、手持ち式工作機械10に搭載可能なバッテリパック又は他のエネルギー蓄積装置であってもよい。
【0103】
整流器GのダイオードD1,D2,D3,D4を介して、電源システム40は、一例として、電力供給システムVによって供給された交流電圧から、既知の方法で、接地つまりUOであるベース電位に対する直流電圧UGを生成可能であり、電位UGと電位U0の間には、好適にはコンデンサC1、一例として平滑コンデンサや中間コンデンサが配置されている。
【0104】
出力段E、例えば整流子は、電位U1,U0で各線に接続されており、導体L1,L2,L3を介して駆動モータ100への励起電流I1,I2,I3を供給する。出力段Eは、一例として、パワーエレクトロニクススイッチを有するスイッチ対、一例としてMosFET V1,V2、MosFET V3,V4、及びMosFET V5,V6を備えており、各対の間には導体L1,L2,L3がそれぞれハーフブリッジ方式で接続されている。
【0105】
スイッチV1~V6は、制御器170により、制御線(図示せず)を介して作動させられる。制御器170は、一例として、電流監視装置171を用いて導体L1上の電流の流れを監視する。一例として、導体L2及びL3についても、実際には別の電流監視装置を設けることができる。電流監視装置171は、一例として、導体L1上の電流の流れを記録するために適切なインダクタンスを有している。
【0106】
好適には、制御器170は制御プログラム173を備えており、制御プログラム173は、制御器170のマイクロコントローラ172により実行可能なプログラムコードを備えている。このプログラムコードを実行することにより、制御器170は、導体L1~L3上の適切な電流の流れを通じて駆動モータ100の速度及び/又は出力を設定可能にするために、スイッチV1~V6を適切に作動させることができる。しかしながら、スイッチV1~V6の切替挙動は、制御器170にとって、電流がもはや導体L1~L3のうちの1つ以上を介しては流れていないことの指標になり得る。
【0107】
線形構造体41は電気ケーブル42を備えており、電気ケーブル42には導体L1,L2,L3が配置されている。ケーブル42は、ハンドル部35から始まり、流路体33内部又は外部を通って、加工ヘッド11とは反対側の端部領域において流路体から現れる。
そこからケーブル42は、駆動モータ100の範囲までは自由に通っている。
【0108】
ハンドル部34には、電源システム40が配置されるハウジング43が設けられている。パワーエレクトロニクス要素の他にも、電源システム40は好適には機械要素、例えば冷却手段も有している。その結果、電源システム40はある程度の重量があるが、このことによって手持ち式工作機械10の操作は妨げられない。これは電源システム40がハンドル部34に直接配置されているからであり、ハンドル部34において、作業者は通常、ハンドル要素12を少なくとも片手で把持することになる。その結果、電気駆動技術に関しては、てこという意味では、駆動モータ100のみがハンドル部34に作用し、一方、いわば駆動モータ100の電流調整部は、好適な重心がちょうどハンドル要素12のハンドル領域にある状態で位置している。
【0109】
比較的敏感なもしくは塵やダストの影響を受けやすい、ハンドル部34内の電子機器をこのように配置することは、電子機器が、ダストが発生する場所である手持ち式工作機械10の領域、すなわち加工ヘッド11から可能な限り離れているという利点も有している。したがって、一例として、ハウジング43の吸気口44を通って流入し、好ましくは特に例えばファン45等の冷却手段によってさらに伝達される空気は、加工工具20からの距離が遠いために、ダストによる負荷が少ない。
【0110】
手持ち式工作機械10の取り扱いやすさに寄与するのは、駆動モータ100と吸込接続部23が加工ヘッド11の関節状の接続領域46の両側にそれぞれ配置されているということであり、接合アセンブリ13は、関節状の接続領域46において、加工ヘッド11に対して柔軟に接続されている。吸込ホース26に接続されるハンドル要素12の自由端と加工ヘッド11との間において、吸込ホース26は湾曲部分、特に互いに異なる方向に湾曲している2つの湾曲部分47,48を有しているため、ハンドル要素12に対する加工ヘッド11の動きに楽に追従する。これは図3,4,5から明らかである。
【0111】
工具ホルダ19は加工ヘッド11の加工側BSに配置されている。ハンドル要素12に対する加工ヘッド11の基準位置Bにおいて、加工側BS及びハンドル要素12の底側UHは、工作物Wの方を向いている。
【0112】
加工ヘッド11は、基準位置B(図3)から始まり、変位位置A1(図5)と変位位置A2(図4)との間を枢動することができる。変位位置A1,A2は最大可動位置であることが有利であるが、これら変位位置A1,A2を越えて傾斜することは全く可能である。吸込ホース26が変位位置A1及び変位位置A2を越えてより大幅に変位あるいは変形する場合、変位位置A1及び変位位置A2のために弾性のある阻止部を形成していることが好都合である。
【0113】
基準位置Bは、変位位置A1及び変位位置A2、場合によってはこれらの変位位置を越えたさらなる変位位置、又は変位位置A1と変位位置A2との間にある中間変位位置とともに、手持ち式工作機械10の基本作業範囲BAの一要素を構成する。加工側BS及びハンドル要素12の上面が工作物Wに面しているような、変位位置A2を越える枢動は全く可能である。この時加工ヘッド12は、一例として付加的な作業範囲ZA内に位置している。
【0114】
一例として、変位位置A1では、加工工具20の加工面Eは長手方向軸Lとほぼ平行に延びており、一方、変位位置A2では、加工面Eは長手方向軸Lに対してほぼ直角である。
【0115】
加工ヘッド11を保持するハンドル要素12、つまり、本事例では流路体33の端部領
域には、二又体50が配置されており、二又体50の二又アーム51,52の間で加工ヘッド11が支持されているため、加工ヘッド11は枢軸S1を中心に枢動可能である。保持部分53において二又アーム51,52は、それぞれが半体のように設計されており、その間には、ハンドル要素12、特にその流路体33のための取付部54又はレセプタクルが形成されている。
【0116】
取付部54は、一例として、二又アーム51,52の壁部55の間に、一例として丸みを帯びたレセプタクル輪郭をなすように構成されている。二又体50の支持構造58は、特にねじ付きボス57の形態を成していてもよいが、ハンドル要素12の長手方向軸Lとの関係で回転及び/又は変位することを防ぐために役立つ。ハンドル要素12の支持構造33A、一例として流路体33の外周部に設けられた窪み、特に溝又は長手方向の窪みは、支持構造58、一例として形状が適合している突起と係合する。支持構造58,33Aは、ハンドル要素12の長手方向軸Lとの関係で回転及び/又は変位することを防ぐ機能を果たす。
【0117】
ケーブル42にかかる歪みを逃すために、二又体50にはケーブル締着具49が設けられていると有利である。ケーブル締着具49は、一例として、二又アーム51,52の各々に設けられた締着部を有しており、ハンドル要素12を固定するために二又アーム51,52を閉じると、同時に締着部がケーブル42を締着する。
【0118】
二又アーム51,52は、保持部分53の前方に突出しているアーム部分60A,60B上で、一例としてリブ構造59によって特に補強されている。
保持部分53とそれぞれの自由端61との間において、二又アーム51,52は、アーム部分60A,60Bの間に角形成部62,63を有している。好ましくは、角形成部62,63は、二又アーム51,52の間の空間を最適に設計することに役立ち、かつ、二又アーム51,52の下方において加工ヘッド11の運動領域を設けることにも役立つ。
【0119】
角形成部62は、端部61間の距離を拡張又は延長しているという意味で、互いに反対方向に延びている。このようにして、特に吸込ホース26と吸込接続部23の領域内で、二又アーム51,52の間の運動領域を広げることが実現できる。
【0120】
角形成部63は、互いに並行して同じ方向にではあるが、ハンドル要素12から始まり、長手方向軸Lに関して加工ヘッド11から離れる方向に、そして自由端61では加工ヘッド11又は長手方向軸Lに向かうように延びているため、特に、例えば図8に係る変位位置A1の場合、あるいは変位位置A1を越えてさらに枢動する場合に、加工ヘッド11の上側部分にとって、二又アーム51,52下方の領域BWが利用可能である。
【0121】
自由端61上には、ピボット軸受14の軸受シャフト部65のための軸受座として設計された軸受要素64が設けられている。例えば、軸受ピンの形態で設計されている軸受シャフト部65は、一例としてねじもしくは他の類似のボルトであり、軸受要素64の軸受座を貫通して、軸受突起として設計された軸受要素68に貫入する。
【0122】
軸受要素68は、軸受体75上に設けられ、軸受体75の横梁77の前方で突出している。軸受体75は、一例として、軸受シャフト又は軸受突起のように設計されている。一例として、軸受要素68は、横梁77のそれぞれの長手方向端部領域に設けられている。一例として円弧形状の支持軸受部分78は、横梁77と支持体16との間を延びている。
【0123】
支持軸受部分78は、枢軸S2を中心に枢動するピボット軸受15の構成要素を構成している。軸受シャフト76は、支持軸受部分78を貫通し、シャフト76の一部は、支持体16の前方に突出している軸受ブロック79Aの軸受座79内に収容されている。支持
軸受部分78は軸受ブロック79A間に配置されている。軸受シャフト76の代わりに、一例として、軸受体75を貫通する軸受座79内に特に回転自在に収容されている軸受ピンを設けることもできることは明らかである。その結果、枢軸S2は枢軸S1と比べて支持体16により近くなるため、加工ヘッド11は、加工面Eの近くに相応して位置する枢軸S2を中心に枢動できる。加工ヘッドは、工作面Oの加工軌道を具合よく追従することができる。
【0124】
加工ヘッド11は枢軸S2との関係で自在に枢動又は振動するが、吸込ホース26と線形構造体41が、枢動動作を抑制又は制動する。しかしながら、ここで重要なのは、吸込接続部23は枢軸S2の近くにあるか、又は枢軸S2が貫通しているので、加工ヘッド11が枢軸S2を中心に枢動自在であることをそれほど制限しないことに注目することである。
【0125】
反対に、枢軸S1との関係では、基準位置Bにおいて加工ヘッド11に当たる位置決めばね構造70が設けられている。位置決めばね構造70は、軸受要素64,68上で直接支持されている位置決めばね71,72を備えている。位置決めばね71は二又アーム51と関連づけられ、一方、位置決めばね72は二又アーム52と関連づけられる。位置決めばね71,72は対向する方向で加工ヘッド11に当たる、つまり、一方の位置決めばね71は、一例として枢軸S1との関係で時計回り方向で加工ヘッド11に当たり、もう一方の位置決めばね72は反時計回り方向で加工ヘッド11に当たる。その結果、枢軸S1に関して加工ヘッド11は、いわば中央位置、つまり基準位置Bに保持される。
【0126】
位置決めばね71,72はそれぞれ、軸受要素64の受座67及び軸受要素68の受座67B上にある、支持アーム73によって支持されている。位置決めばね71,72は一例としてねじりばねであり、その長手方向端部は支持アーム73として構成されている。
【0127】
軸受要素68は位置決めばね71,72を貫通している。軸受要素68の外周部上には、支持形状部69、例えばリブが設けられていることが有利であり、支持形状部69上で、位置決めばね71,72は、自身の内周で以って自身を支持することができる。リブ又は支持形状部69は、好適には枢軸S1と平行に延びている。このようにすることで、位置決めばね71,72及び軸受要素68の互いに対する動きが特に良好になる。
【0128】
好適には、位置決めばね71,72は保護及び包囲されており、軸受要素64,68によって提供される軸受ハウジング66,74内に収容されていると有利である。一例として、位置決めばね71,72を完全に包囲するために、軸受ハウジング66,74は、スリーブ又は差込接続式要素のように互いを補完する形状を有しているか、又は互いの内部で嵌合している。このようにすることで、これらの軸受要素は、特に位置決めばね71,72も、汚損されない。さらに、例えば支持アーム73等の突出要素によるケガの危険性も低くなる。
【0129】
受座67は、一例として、軸受要素64の軸受ハウジング66に設けられている。受座67Bは、軸受要素68の軸受ハウジング74に設けられている。
枢軸S2に関しても、加工ヘッド11をハンドル要素12に対して枢軸S2に関して位置合わせする位置決めばね構造を設けることが可能なことは明らかである。一例として、軸受シャフト76が貫通しており、一方では軸受ブロック79Aに、他方では一例として、支持軸受部分78にそれぞれ支持されているねじりばねである可能性も考えられる。一例としてゴムバッファとして設計されている、別の弾性位置決めばね71A,72Aが模式的に示されており、これは、軸受15の外側で、一方では接合アセンブリ13の固定構造上、一例として支持軸受部分78に、他方では加工ヘッド11の固定構造上、一例として支持体16に支持されており、その結果、枢軸S2との関係でハンドル要素12に対す
る加工ヘッド11の位置決めを行えるようになっている。
【0130】
駆動モータ100は、関節状の接続領域46との関係で、又は工具ホルダ19の回転軸Dとの関係で、偏心した位置に配置されている。駆動モータ100の出力部81との間の力伝達のために、伝動部80が設けられている。伝動部80は、一例として、複数の歯車からなる構成を備え、出力部81から工具ホルダ19への、速度変化、特に減速、及び/又は、力の変位をもたらす。本事例では、回転伝動の概念、つまり、工具ホルダ19が専ら回転軸Dを中心に回転するという概念が与えられている。しかしながら、一例として、図示はしていないが、回転軸Dに対して偏心的に運動する偏心運動も可能であると考えられるし、他の実施形態を示すことも考えられる。さらに、一例として、伝動部80の代わりに、又は伝動部80に加えて、適切な動力伝動部が存在するのであれば、工具ホルダ19の回転運動を偏心運動と重ね合わせることも全く可能である。最後に、工具ホルダ19が外転サイクロイド運動モードとして知られている運動を行うことも、適切な伝動部を用いて可能である。
【0131】
出力部81は歯車82と噛み合い、歯車82はシャフト84を駆動し、歯車82に対してシャフト84は回転自在に連結されている。歯車83もシャフト84に対して回転自在に連結されており、歯車83は駆動輪85と噛み合う。駆動輪85はシャフト86上に回転自在に取り付けられており、シャフト86の自由端部領域には、工具ホルダ19が、回転自在に固定配置されている。
【0132】
出力部81の回転軸とシャフト86とが同軸ではないため、このような歯車82,83,85の構成によって減速が、そして力の変位ももたらされる。
シャフト84は、一方では支持体16との関係で、他方では支持体16に連結されている伝動部ハウジング90との関係で、軸受87によって回転自在に支持されている。支持体16は伝動部ハウジング90のカバーを構成している。一例として支持体16及び伝動部ハウジング90上には、特に転がり軸受として設計されている軸受87のための軸受座91が設けられている。
【0133】
シャフト86は、支持体16との関係では別の軸受87を介して、また、軸受ハウジング90との関係では軸受ハウジング90の軸受座92に収容される軸受88を介して、回転自在に支持されている。その結果、シャフト86,84のそれぞれの長手方向端部領域は、保護ハウジング上でピボット軸受によって支持されている。
【0134】
伝動部ハウジング90は板部96を有し、板部96には軸受座91,92が設けられている。板部96の工具ホルダ19に面する底側で、軸受座92には、軸受座92を囲むシール縁部93が設けられているため、伝動部ハウジング90は伝動部80を、底部から上に向かって包囲している。軸受88は、一例として別のダストシールを用いて、シール縁部93にぴったり嵌まる。
【0135】
伝動部80の頂部の包囲は、好適には支持体16によって実現される。支持体16は、一例として図示していない差込口を有し、差込口内で、伝動部ハウジング90の差し込み可能な突起部又はねじ付きボス95が下から係合する。伝動部ハウジング90の縁部領域97は、一例としてシールを有するため、支持体16のシール領域98上で、一例としてシール縁部にぴったり嵌まる。
【0136】
よって、支持体16は伝動部80の包囲に寄与している。支持体16は、中に駆動モータ100を収容するモータレセプタクル89は別にして、上部から伝動部ハウジング80をほぼ完全に包囲している。支持体16は一例として、伝動部ハウジング80のハウジング部、特にハウジングシェルを構成する。
【0137】
支持突起99、一例としてアームは、支持体16から横方向に突出しており、一例として4つの支持突起99であり、支持突起99のそれぞれには、カバー21と接続するための取付要素94Bを収容するピン座又は取付座94が突出している。
【0138】
伝動部ハウジング90上には、吸込接続部23も設けられている。吸込接続部23は、支持体16の前方において横方向に突出している。
伝動部80と同様に、駆動モータ100は、以下に説明するように、ダストから最適に保護されている。駆動モータ100は一例として回転子101を有しており、回転子101は固定子110内に内蔵されている。駆動モータ100はブラシレス式の電子整流モータであり、電源システム40によって電力供給可能である。
【0139】
回転子101はモータシャフト102を備えており、その上には積層コア103が配置されている。積層コア103の前方に突出しているモータシャフト102の長手方向端部は、モータ軸受104によって、そして駆動軸受105、一例として転がり軸受及び/又は滑り軸受上で、固定子110との関係で回転自在に支持されている。
【0140】
モータシャフト102の自由端部領域、例えばモータ軸受104上には、ファンプロペラ109を保持するファンブラケット108が設けられている。
ファンプロペラ109と工具ホルダ19とは、駆動モータ100の反対側にそれぞれ配置されている。
【0141】
ファンプロペラ109により強制換気が行われ、例えば空気が、ファンプロペラ109によって吸気口25を通って、言わば吸い込まれて、固定子110を通過して流れていき、固定子110の反対側に現れてファンプロペラ109へと流れ、駆動軸受105の領域内では、固定子110から空気排出領域18へと流れ続ける。
【0142】
固定子110は固定子本体111を備え、中にモータ軸受104が収容されている軸受座112を軸受カバー125A上に有している。モータシャフト102は、一例として固定子110の貫通口113を貫通し、モータ軸受104上にある端部領域により保持されている。軸受カバー125Aは一例として固定子本体111と一体的に形成されているが、以降で説明される軸受カバー125のように、固定子本体111に脱着可能に接続されている構成要素として設計することも可能である。
【0143】
貫通口113に隣接して、突起114が、回転子101上の、一例として積層コア103上の、溝106と係合して設けられている。このようにしてある種のラビリンス構造が形成されており、この構造が駆動モータ100の気密性に寄与している。積層コア103は、固定子本体111の回転子レセプタクル115内に収容されている。
【0144】
固定子本体111は一例としてプラスチック材料を含む。固定子本体111の支持部116上に、励起コイル構造120のコイル121が配置されている。固定子110の外周壁117は、一例としてプラスチック材料でできており、支持部116上で径方向外側に延びている。
【0145】
支持部116の基部は一例として積層コア111Bの材料によって構成されており、積層コア111Bはプラスチック材料を用いてオーバーモールドされることで、固定子本体111を構成している。
【0146】
励起コイル構造120は接続部122,123,124を有し、接続部122,123,124は導体L1,L2,L3と電気的に接続されている。接続部122~124は励
起コイル構造120の相P1,P2,P3に関連付けられている。接続部122~124は一例として、固定子本体111の前方側、特に外周壁117に配置されている。
【0147】
回転子レセプタクル115は軸受カバー125によって密閉されており、軸受カバー125はモータハウジング24に組み込むことができる。軸受カバー125は一例として底壁133を有し、回転子レセプタクル115を閉鎖するために、底壁133から固定用突起126が突出している。固定用突起126は突起127を有し、突起127は、回転子101の溝107、つまり積層コア103と係合する。このようにして、1つ又は複数のラビリンスシール118が形成されている。突起114,127は一例として環状突起であり、一方、溝106,107は環状溝である。溝106,107は一例として、積層コア103の前面の両側に設けられている。
【0148】
底壁133及び固定用突起126は、その前面でモータ軸受105を用いて、駆動モータ100を密閉する。一例として支持体16の構成要素であり得る、伝動部ハウジング80の壁部17は、前面で駆動モータ100を閉鎖する壁部も構成している。
【0149】
固定用突起126の領域には、軸受座要素130のための別のレセプタクル128が配置されている。軸受座要素130は駆動軸受105のための軸受座131を有している。軸受座要素130は、一例として、レセプタクル128のねじ山129と螺合されるか、又は、適切なスナップ留め形状部を用いてレセプタクル128に係止される。ガスケット132又は他のシール要素が軸受座要素130内に保持されている。ガスケット132は、軸受座131内で駆動軸受105を保持している。
【0150】
固定子本体111の支持部116の間、したがってコイル121の間には、冷却路119が設けられており、冷却路119を通って冷却用空気Kが、固定子110及び結果として励起コイル構造120を流れることができる。冷却用空気Kは、駆動モータ100の工具ホルダ19から離れている側では冷却路119内へと流れ、また、駆動モータ100の工具ホルダ19と対向する側では冷却路119から外へ流れる。そこで空気は軸受カバー125の底壁133によって径方向外側に逸らされ、流通室134を通過して、空気排出領域18が設けられているカバー130の外周壁135に至る。一例として、外周壁135にはリブ136が設けられており、リブ136の間には間隙又は流出口137が存在しており、流出口を通って冷却用空気Kがモータハウジング24の外に流出できる。流通室134は外周壁135と外周壁117との間に設けられている。支持リブ又は支持壁138は、外周壁117と外周壁135との間に延びていると有利である。支持壁138上には、導体L1,L2,L3を収容又は保持する導体座139が設けられていると有利である。
【0151】
ケーブル42は、外周壁135上にある入口140を通って、流通室134内に導入されている。ケーブル42から、それぞれ個別の導体L1,L2,L3が引き出されて、支持壁138上、つまり導体座139に保持されて、励起コイル構造120の接続部122~124に接続されている。
【0152】
図11は、支持体16上で底壁133がどのように延びているか、そして、支持体16の前面で外周壁135がどのように突き出しているかを示している。外周壁135はその上部前面141にシール形状部142が設けられ、シール形状部142は、モータハウジング24の外周壁144の対応するシール形状部143と係合する。この結果、モータハウジング24と軸受カバー125との間で、実質的に防塵性のある接続が得られる。
【0153】
モータハウジング24内には、流通ハウジング又は空気導通本体145が組み込まれており、駆動モータ100の周囲を延びている。一例として、空気導通本体145は壁部1
46を有しており、壁部146は駆動モータ100周辺の空気導通領域147を画定している。壁部146は、一例として、空気導通スリーブ及び/又は外周壁として、及び/又は流通ハウジングとして設計されている。どんな状況でも、複数の流路を有することもできる空気導通領域147を通って、冷却用空気Kは固定子110の外周部に沿って流れ、その部分を冷却する。壁部146は、一例として、ファンプロペラ109の領域内で円筒状であり、ファンプロペラ109と同程度突出している。
【0154】
これにより、壁部146は、プロペラ109のプロペラ羽根109Aが、特に効果的に駆動モータ100又は固定子110及び回転子101に向かって、冷却用空気Kをいわば押し出すのに役立つ。
【0155】
空気導通本体145は、ファンプロペラ109から離れている方の長手方向端部領域(モータシャフト102の長手方向軸との関係で)に、壁部146からモータシャフト102との関係で径方向に延びている前壁部分146A,146Bを有している。前壁部分146A,146Bは空気排出領域18の上方を延びており、これにより冷却用空気Kを、モータハウジング24から径方向外側に逸らしている。
【0156】
駆動モータ100は、好ましくは電磁遮蔽されている。一例として、空気導通本体145は電磁遮蔽ハウジングとして設計可能である。このためには、空気導通本体145は一例として、金属を含むか、又は金属の構成要素を有している。しかしながら、本発明の有利な実施形態において、モータハウジング24が電磁遮蔽を行うこともでき、一例として、導電性保護膜又は保護層が設けられている。
【0157】
ケーブル42内の導体L1~L3は電磁遮蔽体177内、特に編組ブレード内を延びていると有利である。遮蔽体177は好ましくは接地されている。遮蔽体177が、一例として固定子110、特に積層コア111Bを用いて、駆動モータ100に導電接続されているならば、駆動モータ100及び手持ち式工作機械の電磁適合性に対して包括的に寄与する。遮蔽体177は一例として、ばねを用いて駆動モータ100に導電するように適用されていてもよい。
【0158】
空気吸入口又は吸気口25の領域では、モータハウジング24は突出壁148とカバー壁149とを有している。カバー壁149はモータハウジング24のいわば頂部を覆っているが、カバー壁149には、冷却用空気Kの空気吹出口又は空気吸入口150が存在している。
【0159】
カバー壁149の領域では、濾過要素152のために凹部151が設けられており、濾過要素152はレセプタクル151に挿入されている。一例として、レセプタクル151は突出壁148の内周部によって画定されている。濾過要素152は一例として、濾布154又はその他の目の細かい濾過構造を有しており、濾布154又はその他の目の細かい濾過構造は空気吸入口150の上方に配置されている。その結果、冷却用空気Kに含まれている汚染物質、一例としてダスト等が、濾過要素152によって濾過されて取り除かれる。
【0160】
好適には、濾過要素152は一例としてバネ状止め具もしくは類似の止め具を備えた止め手段153を用いて、モータハウジング24上でカチッと嵌まる。止め手段153は取付部153Aの構成部品を構成している。
【0161】
モータハウジング24の上部自由端部領域上には、保護体156のためにハウジング155が設けられている。モータハウジング24は比較的硬質なプラスチックを含んでおり、駆動モータ100にとって最適な保護効果をもたらすことができる一方で、保護体15
6は比較すると軟質であり、あるいは弾性を有する。保護体156は一例として、ブラケット様に設計されている。保護体156は、加工ヘッド11に影響を及ぼし、結果として主に駆動モータ100を損傷するおそれのある衝撃を効果的に緩和する。
【0162】
保護体156が撓むように可撓性を有することが好ましい。保護体156自体は蹄鉄形又はU字形であるが、湾曲していてもよい。その結果、一例として、自由端部領域に配置されている受座158を、モータハウジング24の支持突起159上に、いわば取り付けることができる。保護体156は、さらなる支持形状部、例えば、側縁部に沿って延びており、かつ、モータハウジング24の対応する、一例としてU字形である、支持用レセプタクル159A内に引っ掛けることができる、支持突起158Aを有しているならば有利である。
【0163】
駆動モータ100には保護回路160が設けられており、その場で、つまり加工ヘッド11上で、駆動モータ100を過熱や他の損傷から保護する。
保護回路160は一例として断路器161を有している。原理上は、断路器161を、モータハウジング内に、またどんな場合でも駆動モータ100の固定子110に直接組み込むことは可能であろう。しかしながら、本事例では、取り付けが行いやすい、容易に高性能なものに取り換え可能である、あるいは交換が容易であるという構想を選択し、断路器161は、固定子110の外部に、しかし固定子110に直接接触できる状態で、配置されている。
【0164】
断路器161は熱作動スイッチを備えているか、又は熱作動スイッチによって形成されており、固定子110が熱くなって所定の温度を上回ると、熱作動スイッチは遮断位置へと動くが、そうでない場合は接続位置にある。接続位置では、断路器161は、導体L1を励起コイル構造120の相と関連付けられている接続部22に接続し、一方、遮断位置では、導体L1を、接続部122から、及び結果として励起コイル構造120の相P1から遮断する。
【0165】
断路器161は、好適には、ハウジング部163A及びハウジング部163Bを有する保護ハウジング162内に配置されている。保護ハウジング162は、好適には断路器161を完全に包囲する。図13に示されているように、空気が断路器161に到達可能であるように、保護ハウジング162が上面では開放されていることも可能であろう。しかしながら、保護ハウジング163は好ましくは完全に密閉されているため、断路器61は、温度変化、特に過度の高温に対して特に鋭敏かつ迅速に応答することができる。
【0166】
保護ハウジング162は一例として、断路器161が配置されているレセプタクル164、例えばチャンバを画定する。ハウジング部163A,163Bは、一例として、互いに連結され、そのために、スナップ留め形状部165が存在している。
【0167】
ハウジング部163Bは断熱体を構成し、駆動モータ100に対する外部熱の影響から断路器161を保護するため、断路器161ではこのような熱の影響のせいによる異常動作が起こらない。
【0168】
反対に、ハウジング部163Aは熱伝導性があるため、固定子110から生じる熱は、断路器161を動作させることが可能である。有利な手段は、ヒートシンク169、一例として、固定子110からの熱を保護ハウジング162の方向に、及び結果として断路器161の範囲まで伝導する、熱伝導パッドとして知られているものを、追加で配置することに代表される。
【0169】
好ましくは、ヒートシンク169は、固定子110に対向している保護ハウジング16
2の前面の外形と表面積に対応する外形と表面積を有している。
ヒートシンク169はまた、保護ハウジング162及び/又は固定子110の凹凸を平坦化し、これにより、固定子110から断路器161への熱伝達が有利に改善される。
【0170】
さらに有利な手段では、断路器161に対して固定子110の方向に荷重をかけるために、ばね168、よってばね構造が設けられている。ばね168は一例として、ハウジング部163B上、特にその前壁上に配置されている。
【0171】
保護ハウジング162上において横方向に、導体L1の部分L1A及び接続部122と接続している部分L1Bのために、導体口166が設けられている。
断路器161はまた、断路器161を包囲するハウジング161Bを有していると有利であり、その中には、電気機械的要素、特にバイメタル片161C、電気接点、及び類似の要素が電気的に絶縁されて収容されている。好ましくは、ハウジング161Bは防塵性を有する。ハウジング161Bは一例として、導体部分L1A,L1Bを接続する電気接点を有している。高温や低温の影響下では、バイメタル片161Cが、図10に模式的に描かれている位置の間を行ったり来たりして動くことで、電気的接続を確立したり遮断したりしている。
【0172】
断路器161が遮断位置へと動いた場合、導体L1に更なる電流は流れない。電源システム40の電流監視装置171はこのことを検出して制御器170に通知することが可能である。これにより、制御器170は、導体L1~L3にさらなる電流が流れないように、電源システム40を完全にオフに切り替える。その結果、制御器170は駆動モータ100の不具合を、いわば分散して検出する。安全対策としては、ここで必要になるのは断路器161のみである。このようにすることで、一例として、そうでなければ加工ヘッド11からハンドル要素12を介して制御器140へと繋げなければいけなかったと考えられるデータ伝送路を、なしで済ませられる。好ましくは、制御器170は、例えば、駆動モータ100に配置されている回転角センサから得られる駆動モータ100で生じる回転角情報がなくても、センサを用いて動作する。
【0173】
一例として、回転子101の回転角位置又は速度を検出し、好ましくはハンドル要素12上及び/又はハンドル要素12内を通るデータ線176(図13に模式的に図示)を介して、制御器170へと通知する回転角センサ174を、駆動モータ100上に配置することが、原則として可能であることは明らかである。このようにすることで、制御器170が、回転子101の回転角位置、及びそれに基づいた少なくとも1つの回転角情報を評価して、励起コイル構造に電力を供給することも可能である。
【0174】
他の断路器、もしくはさらなる断路器が駆動モータ100上にあることが有利である場合もあることは明らかである。これは、例えば、導体L2の電流を検出し、電流が所定値を超えた場合には導体L2を相P2から遮断する、電源スイッチ175である。電源スイッチ175が、一例として導体L1上において、断路器161と直列に配置されていることも全く可能であると考えられる。
【0175】
図1~15に係る例示的実施形態において、把持棒又はハンドル要素12は単一の部品であり、一例として、流路体33,36の構成部品でさえも、全体において連続した管状体であり得ることを意味している。
【0176】
しかしながら、図16~18から明らかなように、複数部品で構成されるハンドル要素も全く可能である。一例として、流路体33の代わりに、2つの部品で構成される流路体233を設けることが可能である。流路体233は一例として部分234,235を有している。部分234,235は、一例として互いに分離可能である(図16)。
【0177】
流路34は、部分234,235を貫通している。
部分35の端部領域236には、一例として、ケーブル42が流路体233から引かれている。
【0178】
ケーブル42は導体L1~L3、つまり、全部で3本の電流供給導体を備えている。導体L1~L3は、流路体233に沿って電源システム40の範囲まで引かれており、部分234と部分235との間の分離点で、互いに脱着可能に接続することができる。
【0179】
部分234,235が互いに脱着可能に接続可能であるため、図16に示されている分離された位置から、図17に示されている接続された位置まで、部分234,235を引き合わせることができる。接続器具240は、部分234,235が脱着可能な接続をするのに役立つ。接続器具240は一例として、部分235に設けられた接続突起241を備えており、接続突起241は一例として、部分234上で接続突起242との突合わせ接続が可能である。この結果、連続した流路34が得られる。流路34は差込突起241と差込口242とを貫通する。
【0180】
代替として、あるいは追加として、差込接続も可能であり、これは、一例として、接続突起241は差込突起を、接続突起242は差込口をそれぞれ有しており、両者を合わせて差込接続可能であることを意味している。
【0181】
接続器具240はさらに、部分234上で可動に支持されているリテーナ243の形態をとる支持手段を備えており、支持手段は、部分235上にある保持凹部又は保持突起244と係合することができる。リテーナ243は一例として、ピボット軸受245上において、保持突起244から離れるように、結果として保持突起244との係合を解除するように枢動可能であるように支持されている。
【0182】
保持突起244が、部分234上にある凹部又は他の保持凹部内で係合可能であるならば好適である。この結果、部分234と部分235との間にはさらに形状による嵌合が生じる。
【0183】
互いに脱着可能に接続可能である電気的接触構造250,260は、部分234と部分235との間で電気的接続を行う。電気的接触構造250は一例として、導体L1~L3に関連付けられて接続されている接点251,252,253を備えている。一例として、接点251~253は、接点担体254上において、特に窪み内に配置されているか、そうでない場合には、機械的に保護されている。接点担体254は一例として、突起としてあるいは櫛様に設計されている。
【0184】
電気的接触構造260は、同様に線又は導体L1~L3に関連付けられている、対応する接点261~263を備えている。電気的接触構造260は接点担体264上に配置されており、接点担体264はピボット軸受265を用いて、部分234上で枢動可能に支持されている。一例として、接点担体264は、部分234のリテーナ243とともに単一要素として形成されているか、あるいはリテーナ243に対して可動に連結されている。その結果、接点261~263は、電気的遮断又は接続のために、接点251~254から離れるように、又は向かうように、枢動することができる。
【0185】
部分234,235間、又は接点261~263及び接点251~254間のこのような接続をさらに確実にするために、接点担体264上の保持凹部266を、部分235上の保持突起256と係合させることができる。
【0186】
部分234と部分235との間の接続は、追加の止め手段、ねじ手段、もしくは類似の手段を使用して確実にすることができる。
この点において、電気的接触構造250,260は合計で3つの接点対のみを、つまり導体L1,L2,L3用に必要とするため、保護回路160と断路器161を含んでいる安全性の概念について、有利さを認識されるであろう。
【0187】
この特定の例示的実施形態に対する、単に有利なだけではない概念によれば、冷却用空気流の吸気口と工具ホルダ(本事例では19)を有している加工側BSとが、モータハウジング(ここでは25)又は機械ハウジングの両側に、特に前面に配置されている。
【0188】
冷却用空気流Kの流出方向は、好適には加工面Eに直交して流れている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式工作機械、特に研磨機であって、
使用者が把持するハンドル要素(12)と、加工工具(20)を保持するために設けられている工具ホルダ(19)を駆動する電気駆動モータ(100)を有している加工ヘッド(11)とを備えており、
線形構造体(41)を用いて前記駆動モータ(100)に電力を供給する電源システム(40)を有しており、前記線形構造体(41)を介して前記駆動モータ(100)と電源システム(40)とが相互に接続されている、手持ち式工作機械において、
前記線形構造体(41)の少なくとも1つの導体(L1)と、前記駆動モータ(100)の励起コイル構造(120)の相(P1,P2,P3)との間にある接続を遮断するために、唯一の電気断路器(161,175)を備えている保護回路が、前記駆動モータ(100)に配置されており、前記相(P1,P2,P3)は前記導体(L1)を介して電流を供給されることが可能であり、前記電源システム(40)は、前記唯一の電気断路器(161,175)に接続されている前記導体(L1)を流れる電流に基づいて、他の導体(L2,L3)の接続を切断するように設計されており、前記唯一の電気断路器(161,175)が保護ハウジング(162)内に配置されており、前記保護ハウジング(162)は、前記駆動モータ(100)に対向している側に熱伝導性ハウジング部(163A)、及び/又は、前記駆動モータ(100)から離れている側に断熱ハウジング部(163B)を有しており、両者の間に前記唯一の電気断路器(161,175)が配置されていることを特徴とする、手持ち式工作機械。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0188
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0188】
冷却用空気流Kの流出方向は、好適には加工面Eに直交して流れている。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
手持ち式工作機械、特に研磨機であって、
使用者が把持するハンドル要素(12)と、加工工具(20)を保持するために設けられている工具ホルダ(19)を駆動する電気駆動モータ(100)を有している加工ヘッド(11)とを備えており、
線形構造体(41)を用いて前記駆動モータ(100)に電力を供給する電源システム(40)を有しており、前記線形構造体(41)を介して前記駆動モータ(100)と電源システム(40)とが相互に接続されている、手持ち式工作機械において、
前記線形構造体(41)の少なくとも1つの導体(L1)と、該導体(L1)を介して電流を供給可能な、前記駆動モータ(100)の励起コイル構造(120)の相(P1,P2,P3)との間にある接続を遮断するために、少なくとも1つの電気断路器(161,175)を備えている保護回路が、前記駆動モータ(100)に配置されていることを特徴とする、手持ち式工作機械。
[C2]
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、所定の温度の関数として、前記導体(L1)を該導体(L1)に関連する前記相(P1,P2,P3)から遮断する熱作動スイッチ、特にバイメタルスイッチ、を備えている、又は、該熱作動スイッチを構成していることを特徴とする、C1に記載の手持ち式工作機械。
[C3]
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、所定の電圧及び/又は所定の電流を超えた場合に、前記導体(L1)を該導体(L1)に関連する相(P1,P2,P3)から遮断する電気作動スイッチを備えている、又は該電気作動スイッチを構成していることを特徴とする、C1又は2に記載の手持ち式工作機械。
[C4]
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、前記線形構造体(41)の少なくとも2つの導体(L1,L2,L3)と、前記導体(L1,L2,L3)を介して電流を供給可能な励起コイル構造(120)の相(P1,P2,P3)との間の電気的接続を遮断するように設計されていることを特徴とする、C1~3のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C5]
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、少なくとも2つの断路器(161,175)からなる構成の構成要素を形成しており、前記少なくとも2つの断路器(161,175)は、前記導体(L1)と該導体(L1)に関連付けられた前記相(P1,P2,P3)との間に直列で前後に並ぶように接続されている、又は、前記励起コイル構造(120)の複数の相(P1,P2,P3)に接続されていることを特徴とする、C1~4のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C6]
前記断路器(161,175)からなる構成は、少なくとも2つの断路器(161,175)を備えており、そのうちの1つの断路器(161,175)は第1の物理的影響、特に温度、によって動作可能であり、別の断路器(161,175)は第2の物理的影響、特に電気的影響、によって動作可能であることを特徴とする、C5に記載の手持ち式工作機械。
[C7]
前記少なくとも1つの断路器(161,175)は、前記駆動モータ(100)の固定子(110)上、特に積層コア(111B)上、に配置されていることを特徴とする、C1~6のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C8]
前記少なくとも1つの断路器(161,175)が保護ハウジング(162)内に配置されていることを特徴とする、C1~7のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C9]
前記保護ハウジング(162)は、前記駆動モータ(100)に対向している側に熱伝導性ハウジング部(163A)、及び/又は、前記駆動モータ(100)から離れている側に断熱ハウジング部(163B)を有しており、両者の間に前記断路器(161,175)が配置されていることを特徴とする、C8に記載の手持ち式工作機械。
[C10]
前記断路器(161,175)、特に保護ハウジング又は前記保護ハウジングは、前記駆動モータ(100)から離れている側において断熱及び/又は電気的に絶縁されていることを特徴とする、C1~9のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C11]
前記断路器(161,175)と、前記駆動モータ(100)の電気要素又は機械要素、特に前記固定子(110)、との間には、ヒートシンク(169)が配置されていることを特徴とする、C1~10のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C12]
前記断路器(161,175)は、ばね構造(168)によって、前記駆動モータ(100)の構成要素、特に前記固定子(110)、の方向に荷重がかけられている、かつ/あるいは、前記断路器(161,175)と前記駆動モータ(100)の前記構成要素との間には、補償手段が、前記断路器(161,175)と前記構成要素との間にほぼ完全な表面接触を生じさせるために設けられていることを特徴とする、C1~11のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C13]
前記電源システム(40)は、前記少なくとも1つの断路器(161,175)に接続されている前記導体(L1)を流れる電流を検出する電流監視装置(171)を有していることを特徴とする、C1~12のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C14]
前記電源システム(40)は、前記少なくとも1つの断路器(161,175)に接続されている前記導体(L1)を流れる電流の関数として、さらなる導体(L1,L2,L3)の接続を切断するように設計されていることを特徴とする、C1~13のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C15]
前記駆動モータ(100)上には、前記少なくとも1つの断路器(161,175)以外には、特に、前記駆動モータ(100)を監視するために前記電源システム(40)と通信する監視センサが配置されていないことを特徴とする、C1~14のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C16]
前記駆動モータ(100)がブラシレス式モータであることを特徴とする、C1~15のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C17]
前記加工ヘッド(11)が、接合アセンブリ(13)を用いて前記ハンドル要素(12)上に可動に装着されていることを特徴とする、C1~16のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C18]
前記ハンドル要素(12)が把持棒を備えている又は棒状であることを特徴とする、C1~17のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C19]
前記電源システム(40)が前記ハンドル要素(12)上に配置されていることを特徴とする、C1~18のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C20]
前記電源システム(40)及び前記加工ヘッド(11)が、前記ハンドル要素(12)の互いに対向する端部領域に配置されていることを特徴とする、C1~19のいずれ
か1項に記載の手持ち式工作機械。
[C21]
線形構造体(41)が、前記ハンドル要素(12)に沿って、特に前記ハンドル要素(12)の内部空間内を/に、通っている、かつ/あるいは、配置されていることを特徴とする、C1~20のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C22]
前記線形構造体(41)が、前記駆動モータ(100)に電力を供給するためのみに設けられている導体(L1,L2,L3)を備えていることを特徴とする、C1~21のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C23]
前記電源システム(40)と前記駆動モータ(100)との間には、特に、データ伝送のみを行って前記駆動モータ(100)への電力供給は行わないデータ線は設けられていない、又は通っていないことを特徴とする、C1~22のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
[C24]
前記駆動モータ(100)の前記励起コイル構造(120)は複数の励起コイル(121)を有しており、前記電気断路器(161)は、前記電源システム(40)と前記駆動モータ(100)との間の接続を遮断するために前記駆動モータ(100)上に配置されている唯一の断路器を構成している、かつ/あるいは、前記駆動モータ(100)上には、前記電源システム(40)と前記駆動モータ(100)との間の接続を遮断するさらなる断路器が配置されていないことを特徴とする、C1~23のいずれか1項に記載の手持ち式工作機械。
【外国語明細書】