(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081517
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】成形品、電気製品及び成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20220524BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220524BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20220524BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20220524BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20220524BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20220524BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H05K3/28 G
H05K1/02 R
H05K3/00 W
H05K7/14 K
B29C45/14
B29C33/12
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026207
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2019191285の分割
【原出願日】2019-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 成一
(72)【発明者】
【氏名】東川 季裕
(72)【発明者】
【氏名】平井 与
(57)【要約】
【課題】成形体と一体成形される回路フィルムの電気的接続を行うための外部接続端子までの部材の取回しの容易な成形品または電気製品を提供する。
【解決手段】成形体30は、回路フィルム20が一体成形されている一方主面31と、一方主面31に対向する他方主面32とを有する。フレキシブルプリント配線板40は、回路フィルム20の電気回路に電気的に接続されている内部接続端子41と、成形体30の他方主面32から外に露出している外部接続端子42と、内部接続端子41と外部接続端子42とに接続され且つ成形体30の中を貫通して他方主面32に到達するように延びる可撓性の配線43とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルムと前記絶縁フィルムに形成されている電気回路とを有する回路フィルムと、
一方主面及び前記一方主面に対向する他方主面を有し、前記一方主面に位置する前記回路フィルムと一体成形されている成形体と、
前記回路フィルムの前記電気回路に電気的に接続されている内部接続端子と、前記成形体の前記他方主面から外に露出している外部接続端子と、前記内部接続端子と前記外部接続端子とに接続され且つ前記成形体の中を貫通して前記他方主面に到達するように延びる可撓性の配線とを有するフレキシブルプリント配線板またはフレキシブルフラットケーブルと
を備える、成形品。
【請求項2】
絶縁フィルムと前記絶縁フィルムに形成されている電気回路とを有する回路フィルムと、
前記回路フィルムが一体成形されている一方主面と、前記一方主面に対向する他方主面とを有する成形体と、
を備え、
前記回路フィルムは、前記一方主面に配置されている本体部及び、前記本体部よりも幅が狭く且つ前記本体部と交差する方向に折り曲げられている外部配線部とを有し、
前記外部配線部は、前記成形体の中を貫通して前記他方主面に到達するように延び、前記成形体の前記他方主面から外に露出している外部接続端子を持っている、成形品。
【請求項3】
前記回路フィルムは、前記絶縁フィルムの両面に前記電気回路を有し、
前記フレキシブルプリント配線板または前記フレキシブルフラットケーブルは、前記絶縁フィルムの各々の面の前記電気回路に電気的に接続されている前記内部接続端子を有する、
請求項1に記載の成形品。
【請求項4】
前記回路フィルムに対向する側が絶縁され、前記回路フィルムの少なくとも一部を覆って体裁を飾るように前記一方主面に配置され、前記成形体と一体成形されている化粧フィルムをさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項5】
前記外部接続端子が実質的に前記他方主面の一部になっており、前記外部接続端子が前記成形体で固定されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の成形品を含む筐体と、
前記筐体の中に配置され、前記外部接続端子に接続されている電気デバイスと
を備える、電気製品。
【請求項7】
絶縁フィルムと前記絶縁フィルムに形成されている電気回路とを有する回路フィルムを第1型にセットし、
前記回路フィルムから立ち上がっているフレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは前記回路フィルムの外部配線部を収納ピンにより設けられる収納空間内に収納し、前記第1型と第2型とを型締めし、且つ前記第1型と前記第2型とで形成されるキャビティと前記収納空間とを分離し、
前記キャビティに溶融樹脂を射出して前記回路フィルムと一体成形された成形体を形成する、成形品の製造方法。
【請求項8】
前記成形体を形成するときに、前記収納ピンを前記フレキシブルプリント配線板、前記フレキシブルフラットケーブルまたは前記外部配線部にあてがった第1状態で溶融樹脂を射出し、前記第1状態から前記収納ピンを後退した第2状態で前記収納ピンが後退したことで生じた空隙にさらに溶融樹脂を射出する、
請求項7に記載の成形品の製造方法。
【請求項9】
絶縁フィルムと前記絶縁フィルムに形成されている電気回路とを有する回路フィルムの外部配線部、フレキシブルプリント配線板またはフレキシブルフラットケーブルを成形後の形状になるようにプレス加工により折り曲げ、
前記回路フィルムを第1型にセットし、
前記第1型と第2型とを型締めしてキャビティを形成し、前記キャビティの中で前記回路フィルムから立ち上がるように、前記フレキシブルプリント配線板、前記フレキシブルフラットケーブルまたは前記外部配線部を収納ピンにより支え、
前記キャビティに溶融樹脂を射出して前記回路フィルムと一体成形された成形体を形成する際に、前記収納ピンを後退した状態で前記収納ピンが後退したことで生じた空隙にさらに溶融樹脂を射出し、前記成形体の中を貫通して前記回路フィルムが配置される前記成形体の一方主面と対向する他方主面に到達するように前記フレキシブルプリント配線板、前記フレキシブルフラットケーブルまたは前記外部配線部が延び且つ前記他方主面の一部として前記フレキシブルプリント配線板の外部接続端子、前記フレキシブルフラットケーブルの外部接続端子または前記外部配線部の外部接続端子を露出させる、成形品の製造方法。
【請求項10】
化粧フィルムと前記回路フィルムとを圧着し、
前記回路フィルムとともに前記化粧フィルムを前記第1型にセットし、
前記キャビティに溶融樹脂を射出して、前記化粧フィルムを前記回路フィルムとともに前記成形体と一体成形すると同時に、前記化粧フィルムと前記回路フィルムとに溶融樹脂で熱と圧力を加える、
請求項7から9のいずれかに記載の成形品の製造方法。
【請求項11】
前記回路フィルムと前記フレキシブルプリント配線板を、異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストにより圧着し、
前記回路フィルムとともに前記フレキシブルプリント配線板を前記第1型にセットし、
前記キャビティに溶融樹脂を射出して、前記フレキシブルプリント配線板を前記回路フィルムとともに前記成形体と一体成形すると同時に、前記フレキシブルプリント配線板と前記回路フィルムとに溶融樹脂で熱と圧力を加える、
請求項7から10のいずれかに記載の成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路フィルムが一体成形されている成形品、当該成形品を備える電気製品、及び当該成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第5484529号公報)に記載されている部品モジュールは、例えば、回路フィルムであるタッチセンサと、成形体である樹脂部とが一体成形されている成形品である。部品モジュールの外部に在る電気デバイスとタッチセンサとの電気的接続を行うために、特許文献1の部品モジュールは、フレキシブルプリント配線板を備えている。フレキシブルプリント配線板の外部接続端子が電気デバイスに接続されることで、フレキシブルプリント配線板を介して、タッチセンサと電気デバイスが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の部品モジュールでは、金型を用いた射出成形で樹脂部が成形されるため、フレキシブルプリント配線板は、樹脂部の端部から樹脂部の外に引き出されることになる。
特許文献1に記載されている部品モジュールのように、樹脂部の端部からフレキシブルプリント配線板が引き出されると、成形品を用いる場合にフレキシブルプリント配線板の取回しに困る場合がある。例えば、部品モジュールが、電気製品の筐体の一部の部品に用いられるとともに、タッチセンサと接続される電気デバイスが、電気製品の筐体の内部空間に収納される場合がある。このような場合、引用文献1の部品モジュールでは、部品モジュールの端部から飛び出した状態になっているフレキシブルプリント配線板が邪魔になる。そこで、フレキシブルプリント配線板の外部接続端子を電気製品の内部空間に導くために、例えば、フレキシブルプリント配線板を通す空隙を、部品モジュールの端部とその周囲に在る筐体の他の部分との間に設けることが必要になる。フレキシブルプリント配線板に代えて、回路フィルムの一部を外部配線部として用いる場合も、同様に、外部配線部の外部接続端子までの配線の取回しが難しくなる。
【0005】
本発明の課題は、成形体と一体成形される回路フィルムの電気的接続を行うための外部接続端子までの部材の取回しの容易な成形品または電気製品を提供することにある。また、本発明の課題は、そのような成形品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る成形品は、回路フィルムと、成形体と、フレキシブルプリント配線板またはフレキシブルフラットケーブルとを備える。回路フィルムは、絶縁フィルムと絶縁フィルムに形成されている電気回路とを有する。成形体は、回路フィルムが一体成形されている一方主面と、一方主面に対向する他方主面とを有する。フレキシブルプリント配線板またはフレキシブルフラットケーブルは、回路フィルムの電気回路に電気的に接続されている内部接続端子と、成形体の他方主面から外に露出している外部接続端子と、内部接続端子と外部接続端子とに接続され且つ成形体の中を貫通して他方主面に到達するように延びる可撓性の配線とを有する。
このような構成を備える成形品は、フレキシブルプリント配線板またはフレキシブルフラットケーブルを成形体の中を貫通させることで、成形体の一方主面及び他方主面の周囲である端部をフレキシブルプリント配線板またはフレキシブルフラットケーブルの取回しのために使わなくても済む構成となっている。
【0008】
本発明の他の見地に係る成形品は、回路フィルムと成形体とを備える。回路フィルムは、一方主面に配置されている本体部及び、本体部よりも幅が狭く且つ本体部と交差する方向に折り曲げられている外部配線部とを有している。外部配線部は、成形体の中を貫通して他方主面に到達するように延び、成形体の他方主面から外に露出している外部接続端子を持っている。
このような構成を備える成形品は、回路フィルムの外部配線部を成形体の中を貫通させることで、成形体の一方主面及び他方主面の周囲である端部を外部配線部の取回しのために使わなくても済む構成となっている。
成形品は、回路フィルムが絶縁フィルムの両面に電気回路を有し、フレキシブルプリント配線板またはフレキシブルフラットケーブルが絶縁フィルムの各々の面の電気回路に電気的に接続されている内部接続端子を有する、ように構成することもできる。
このように構成された成形品は、同じ面積で比較すると、電気回路を一面にしか有していない回路フィルムを用いる場合に比べ、両面を使うことで回路フィルムに多くの電気回路を容易に形成できる。
【0009】
成形品は、回路フィルムに対向する側が絶縁され、回路フィルムの少なくとも一部を覆って体裁を飾るように一方主面に配置され、成形体と一体成形されている化粧フィルムをさらに備える、ように構成することもできる。
このように構成された成形品は、体裁を飾る化粧フィルムで回路フィルムの少なくとも一部を覆うことで、外観を美しく整えながら回路フィルムを化粧フィルムで保護することができる。
成形品は、外部接続端子が実質的に他方主面の一部になっており、外部接続端子が前記成形体で固定されている、ように構成することもできる。
このように構成された成形品は、外部接続端子の位置が固定されるので、外部接続端子への接続が容易になる。
本発明の一見地に係る電気製品は、上述の成形品を含む筐体と、電気デバイスとを備える。電気デバイスは、筐体の中に配置され、筐体の中で外部接続端子に接続されている。成形体の一方主面及び他方主面の周囲である端部をフレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは回路フィルムの外部配線部の取回しのために使わなくても済む。そのため、電気製品は、筐体のシール性を向上させることができる。
【0010】
本発明の一見地に係る成形品の製造方法は、絶縁フィルムと絶縁フィルムに形成されている電気回路とを有する回路フィルムを第1型にセットし、回路フィルムから立ち上がっているフレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは回路フィルムの外部配線部を収納ピンにより設けられる収納空間内に収納し、第1型と第2型とを型締めし、且つ第1型と第2型とで形成されるキャビティと収納空間とを分離し、キャビティに溶融樹脂を射出して回路フィルムと一体成形された成形体を形成する。
このような構成を備える成形品の製造方法は、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは回路フィルムの外部配線部を収納空間内に収納して、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部が溶融樹脂の中に埋没してしまわないように処置しながら成形体の射出成形を行える。それにより、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部が成形体の中を貫通する成形品を製造することができる。また、この製造方法は、キャビティと収納空間とを分離することで、収納空間に溶融樹脂が入り込んで次の射出成形に支障が出るのを防いでいる。
成形品の製造方法は、成形体を形成するときに、収納ピンをフレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部にあてがった第1状態で溶融樹脂を射出し、第1状態から収納ピンを後退した第2状態で収納ピンが後退したことで生じた空隙にさらに溶融樹脂を射出する、ように構成することができる。
このように構成された成形品の製造方法は、成形体のうち収納ピンが配置される部分が凹むのを防止することができる。
【0011】
本発明の他の見地に係る成形品の製造方法は、絶縁フィルムと絶縁フィルムに形成されている電気回路とを有する回路フィルムの外部配線部、フレキシブルプリント配線板またはフレキシブルフラットケーブルを成形後の形状になるようにプレス加工により折り曲げ、回路フィルムを第1型にセットし、第1型と第2型とを型締めしてキャビティを形成し、キャビティの中で回路フィルムから立ち上がるように、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部を収納ピンにより支え、キャビティに溶融樹脂を射出して回路フィルムと一体成形された成形体を形成する際に、収納ピンを後退した状態で収納ピンが後退したことで生じた空隙にさらに溶融樹脂を射出し、成形体の中を貫通して回路フィルムが配置される成形体の一方主面と対向する他方主面に到達するようにフレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部が延び且つ他方主面の一部としてフレキシブルプリント配線板の外部接続端子、フレキシブルフラットケーブルの外部接続端子または外部配線部の外部接続端子を露出させる。
このような構成を備える成形品の製造方法は、溶融樹脂の中に埋没してしまわないように収納ピンで支えながら成形体の射出成形を行える。それにより、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部が成形体の中を貫通する成形品を製造することができる。また、成形体のうち収納ピンが配置される部分が凹むのを防止することができる。
【0012】
成形品の製造方法は、化粧フィルムと回路フィルムとを圧着し、回路フィルムとともに化粧フィルムを第1型にセットし、キャビティに溶融樹脂を射出して、化粧フィルムを回路フィルムとともに成形体と一体成形すると同時に、化粧フィルムと回路フィルムとに溶融樹脂で熱と圧力を加える、ように構成することができる。
このように構成された成形品の製造方法は、成形体に一体成形されている化粧フィルムと回路フィルムの接着強度を向上させることができる。
成形品の製造方法は、回路フィルムとフレキシブルプリント配線板を、異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストにより圧着し、回路フィルムとともにフレキシブルプリント配線板を第1型にセットし、キャビティに溶融樹脂を射出して、フレキシブルプリント配線板を回路フィルムとともに成形体と一体成形すると同時に、フレキシブルプリント配線板と回路フィルムとに溶融樹脂で熱と圧力を加える、ように構成されている。
このように構成された成形品の製造方法は、成形体に一体成形されているフレキシブルプリント配線板と回路フィルムの接着強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る成形品または電気製品は、成形体と一体成形される回路フィルムの電気的接続を行うための外部接続端子までの部材の取回しを容易にすることができる。また、本発明に係る成形品の製造方法は、成形体と一体成形される回路フィルムの電気的接続を行うための外部接続端子まで部材の取回しが容易な成形品を、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る成形品が適用される電気製品の一例を示す斜視図。
【
図2】
図1の成形品と電気デバイスの接続の一例を示すブロック図。
【
図3】
図2に示されている回路フィルムを説明するための平面図。
【
図4】第1実施形態に係る成形品の一例を示す模式的な部分断面図。
【
図5】第1実施形態に係る成形品の一例を示す模式的な部分拡大断面図。
【
図6A】
図4に示されているFPCの一例を示す部分破断平面図。
【
図6B】
図6Aに示されているFPCの模式的な部分破断断面図。
【
図8】第1実施形態における回路フィルムと化粧フィルムの第1型へのセットを説明するための模式的な断面図。
【
図9】第1実施形態における型締めされた第1型と第2型を示す模式的な断面図。
【
図10】第1実施形態における第1ゲートからの溶融樹脂の射出を説明するための模式的な断面図。
【
図11】
図10の溶融樹脂と回路フィルムとFPCを示す模式的な平面図。
【
図12】第1実施形態における収納ピン後退後の溶融樹脂の状態を示す模式的な断面図。
【
図13】第1実施形態における第2ゲートからの溶融樹脂の射出を説明するための模式的な断面図。
【
図14】
図13の溶融樹脂と回路フィルムとFPCを示す模式的な平面図。
【
図15】第2実施形態における型締めされた第1型と第2型を示す模式的な断面図。
【
図16】第2実施形態において溶融樹脂の射出された第1型と第2型を示す模式的な断面図。
【
図17】第2実施形態における収納ピン後退後の溶融樹脂の状態を示す模式的な断面図。
【
図18】第2実施形態における収納ピン後退後の溶融樹脂の射出を説明するための模式的な断面図。
【
図19】第3実施形態に係る成形品の一例を示す模式的な部分断面図。
【
図20】第3実施形態におけるプレス加工後のFPCの一例を示す模式的な拡大断面図。
【
図21】第3実施形態における型締めされた第1型と第2型を示す模式的な断面図。
【
図22】第3実施形態において溶融樹脂の射出された第1型と第2型を示す模式的な断面図。
【
図23】第3実施形態における収納ピン後退後の溶融樹脂の状態を示す模式的な断面図。
【
図24】第3実施形態における収納ピン後退後の溶融樹脂の射出を説明するための模式的な断面図。
【
図25】第4実施形態に係る成形品の一例を示す模式的な部分断面図。
【
図26】圧着前の回路フィルムと化粧フィルムの一例を示す模式的な断面図。
【
図27】
図26に示されている回路フィルムを説明するための平面図。
【
図28】変形例に係る成形品の一例を示す模式的な部分拡大断面図。
【
図29】変形例に係る成形品の他の例を示す模式的な部分拡大断面図。
【
図30】変形例に係る成形品の他の例を示す模式的な平面図。
【
図32A】圧着前の回路フィルムと化粧フィルムの一例を示す模式的な断面図。
【
図32B】圧着後の回路フィルムと化粧フィルムの一例を示す模式的な断面図。
【
図33】変形例に係る両面に電気回路を有する回路フィルムを説明するための模式的な部分拡大断面図。
【
図34】圧着前の
図33の回路フィルムと化粧フィルムを示す模式的な部分拡大断面図。
【
図35】変形例に係る成形品の他の例を示す模式的な部分拡大断面図。
【
図36】圧着前の
図35の回路フィルムと化粧フィルムを示す模式的な部分拡大断面図。
【
図37A】変形例に係るFPCの一例を示す部分破断平面図。
【
図38】
図37AのFPCを有する成形品の一例を示す模式的な部分拡大断面図。
【
図39】
図37AのFPCを有する成形品の他の例を示す模式的な部分拡大断面図。
【
図40A】変形例に係るFPCの他の例を示す部分破断平面図。
【
図41】
図40AのFPCを有する成形品の一例を示す模式的な部分拡大断面図。
【
図42】
図40AのFPCを有する成形品の他の例を示す模式的な部分拡大断面図。
【
図43】変形例に係る成形品の他の製造方法を説明するための部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る成形品、電気製品及び成形品の製造方法について図面を用いて説明する。
図1には、第1実施形態に係る成形品が取り付けられているホームベーカリーの外観が示されている。
図1に示されているホームベーカリー1は、蓋11を開けて、パン生地を入れて、パンを焼き上げることができる機器である。
図1に示されているホームベーカリー1が本発明に係る電気製品の一例である。しかし、本発明が適用される電気製品は、ホームベーカリー1には限られない。電気製品には、例えば、洗濯機、冷蔵庫、炊飯器、食器洗浄機、映像機器、音響機器、ラジオ、加湿器、電気アイロン、電気掃除機、電話機、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、電気ストーブ、ワイヤレスイヤフォン、ヘッドフォン、並びに、血圧計及び血糖値計等の医療機器が含まれる。電気製品とは、電気エネルギーによって特定の役割を果たす製品である。
図2には、ホームベーカリー1を動作させるための電気デバイスの一部が示されている。本発明に係るホームベーカリー1(電気製品)は、筐体2と電気デバイス3とを備えている。
図2には、電気デバイス3として、コントローラ81と、液晶表示装置82と、その他の電気デバイス83とが示されている。その他の電気デバイス83としては、例えば、ヒーター、モータがある。電気デバイスとは、電気エネルギーによって特定の機能を果たす装置である。
筐体2は、筐体2の一部を構成する部品として操作パネル10を含んでいる。ホームベーカリー1は、操作パネル10の操作に従ってパンを焼くことができる。また、例えば、パンの焼き方の設定に関する情報を、操作パネル10に表示することができる。操作パネル10は、本発明に係る成形品の例である。
【0016】
(1)操作パネル10の概要
第1実施形態の操作パネル10は、回路フィルム20と、成形体30と、フレキシブルプリント配線板40とを備えている。
図3には、回路フィルム20と、フレキシブルプリント配線板40とが模式的に示されている。なお、以下の説明ではフレキシブルプリント配線板をFPCと表現する場合がある。
回路フィルム20は、絶縁フィルム21と電気回路22とを有している。
図3においては、図面が見難くなるのを避けるため、タッチセンサ26の回路部分の配線などの詳細については図示を省いている。回路フィルム20は、電気回路22として、タッチセンサ26の回路部分とメンブレンスイッチ27の回路部分とを有している。メンブレンスイッチ27の回路部分には、例えば、電極27aと配線27bがある。本発明に適用できる電気回路は、タッチセンサ26の回路部分とメンブレンスイッチ27の回路部分に限られるものではない。本発明に適用できる電気回路としては、例えば、静電センサー、ヒーター、及びアンテナがある。
図4には、操作パネル10の断面構造が模式的に示されている。
図4に示されているように、成形体30は、上壁36と、上壁36の周囲に延在する側壁37とを有している。そのため、
図4に示されている切断面の形状は、逆U字形になっている。このように、第1実施形態では、成形体30が立体的な形状を有する場合について説明している。しかし、本発明に係る成形体の構造は、立体的な形状を有するものには限られず、例えば一枚の平板のように2次元的な形状を有するものであってもよい。成形体30は、一方主面31と他方主面32とを有している。一方主面31と他方主面32とは、互いに対向している。第1実施形態の成形体30では、一方主面31と他方主面32とがほぼ同じ間隔を開けて並んでいる。
【0017】
図4に示されているように、操作パネル10の回路フィルム20は、成形体30の一方主面31に位置し、成形体30と一体成形されている。第1実施形態では、回路フィルム20が意匠層24を備え、回路フィルム20が操作パネル10の体裁を飾っている。しかし、本発明が適用される他の電気製品では、後述の変形例(8-3)で説明するように、化粧フィルム15(例えば、
図32A及び
図32B参照)が、回路フィルム20を覆い、操作パネル10の体裁を飾るように構成されてもよい。また、意匠層24を回路フィルム20に形成せずに、例えば絶縁フィルム21を不透明な無地のフィルムとしてもよい。意匠層24には、例えば、メンブレンスイッチ27の機能を示す「ON/OFF」のような意匠、タッチセンサ26の範囲を示す枠線のような意匠、筐体2の色と調和する背景色のような意匠が施されている。回路フィルム20には、意匠層24に接して電気回路22が形成されている。電気回路22から意匠層24を通って電気回路22に電流が流れる不必要な電気的経路が形成されるのを防止するため、意匠層24が絶縁体からなる。
図4の成形体30においては、一方主面31が、電気製品であるホームベーカリー1の外側に位置し、他方主面32がホームベーカリー1の内側に位置する。ホームベーカリー1の筐体2の内側が、電気製品の内部空間ISである。
FPC40は、成形体30の中を貫通して成形体30の他方主面32に到達するように延びている。
図4に示されているFPC40は、成形体30を貫通して他方主面32に達し、さらに他方主面32から内部空間ISに飛び出している。
図5には、FPC40の周囲の構造が、拡大して模式的に示されている。
図6Aは、FPC40の模式的な平面図であり、
図6BはFPC40の模式的な断面図である。FPC40は、内部接続端子41と、外部接続端子42と、配線43とを有している。内部接続端子41は、回路フィルム20の電気回路22に電気的に接続されている端子である。内部接続端子41が接続されている回路フィルム20の電気回路22は、タッチセンサ26の回路部分とメンブレンスイッチ27の回路部分である。外部接続端子42は、成形体30の他方主面32から外に露出している。第1実施形態では、外部接続端子42は、内部空間ISに在る。配線43は、内部接続端子41と外部接続端子42とに接続されている、可撓性のある導電線である。配線43は、成形体30の中を貫通して他方主面32に到達するように延びている。
【0018】
(2)操作パネル10の詳細な構成
(2-1)回路フィルム20
図5に示されているように、第1実施形態の回路フィルム20は、絶縁フィルム21と、電気回路22と、意匠層24と、接着層25を備えている。
図5に示されている絶縁フィルム21には、意匠層24が印刷されている。印刷された意匠層24の図柄に位置合せして、電気回路22が印刷されている。絶縁フィルム21、意匠層24及び電気回路22からなる積層体の一部を除き全面を覆うように接着層25が印刷されている。接着層25は、FPC40の内部接続端子41が接続される電気回路22の中の圧着部には接着剤が載らないようにマスクして印刷される。絶縁フィルム21には、透明または半透明の材料が用いられる。なお、耐久性を高めるためのトップコート層が絶縁フィルム21の外側に形成されてもよい。
絶縁フィルム21には、例えば、樹脂製のフィルム、ゴム製のフィルム、もしくはセラミック製のフィルムまたはそれらの積層フィルムを用いることができる。樹脂製のフィルムの材料は、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン樹脂若しくはABS樹脂からなる樹脂フィルム、アクリル樹脂とABS樹脂の多層フィルム、又はアクリル樹脂とポリカーボネート樹脂の多層フィルムである。樹脂製のフィルムの厚さは、例えば、30μm~500μmの範囲から選択される。
電気回路22は、例えば、導電材料を絶縁フィルム21及び/または意匠層24の表面に形成した後にパターニングして形成される。あるいは、電気回路22は、例えば、絶縁フィルム21及び/または意匠層24の表面に、導電性インキを厚膜印刷で印刷して形成される。電気回路22を構成する導電性材料には、例えば、金属材料、及び半導体材料がある。金属材料としては、例えば、銅、アルミニウム、炭素、ニッケル、金、銀、または錫を用いることができる。半導体の材料には、例えば、金属酸化物、及び導電性ポリマーがある。タッチセンサ26には、透明電極を用いてもよい。透明電極は、例えば、金属酸化物、透明導電性ポリマー又は透明導電インキで形成される。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)及び酸化インジウム亜鉛(IZO)が挙げられる。透明導電性ポリマーとしては、例えば、PEDOT/PSS(poly-3,4-エチレンジオキシチオフェン/ポリスルフォン酸)が挙げられる。また、透明導電インキとしては、例えば、カーボンナノチューブ又は銀ナノファイバーをバインダー中に含むものが挙げられる。
【0019】
意匠層24は、図柄などの意匠を表現するための層である。意匠層24は、絶縁フィルム21に例えばグラビア印刷法又はスクリーン印刷法によって形成される。意匠層24を構成する材料は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂と、樹脂に添加される顔料又は染料を含むものである。また、意匠層24は、例えば絶縁処理されたアルミペースト又はミラーインキを使用して金属調意匠が施されたものであってもよい。
また、意匠層24は、絶縁フィルム21の外側の面に配置されてもよい。絶縁フィルム21は、質感を変える微細な凹凸を表面の意匠層24に形成したフィルムであってもよい。
【0020】
接着層25は、回路フィルム20を成形体30に接着する層である。接着層25は、回路フィルム20の絶縁性を確保するために、絶縁性の接着剤で構成されることが好ましい。接着層25には、例えば、熱可塑性樹脂が使用できる。接着層25に使用される熱可塑性樹脂としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂及び合成ゴムが挙げられる。接着層25は、溶融樹脂の熱によって接着性を発現し、回路フィルム20と成形体30との接着力を向上させる。接着層25の厚さは、例えば乾燥後の膜厚で2μm~20μmである。
【0021】
(2-2)成形体30
成形体30は、着色されていても着色されていなくてもよく、透明、半透明あるいは不透明の熱可塑性樹脂又はエラストマーを用いて成形される。成形体30の材料としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂若しくはAS樹脂などの汎用の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。それ以外に、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、エンジニアリング樹脂(ポリスルホンフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、又はウレタン系、ポリエステル系若しくはスチレン系のエラストマーを成形体30の材料として使用することができる。また、天然ゴムや合成ゴムを成形体30の材料として用いることができる。成形体30には、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加することもできる。
【0022】
(2-3)FPC40
図6A及び
図6Bに示されているように、FPC40は、ベースフィルム44の第1面に、内部接続端子41と外部接続端子42と配線43とを含む導体パターンを形成し、さらに、ベースフィルム44の第1面及び配線43を覆うようにカバーフィルム45を形成してなる。外部接続端子42が形成されている第1面とは反対側のベースフィルム44の第2面には、補強フィルム46が設けられている。補強フィルム46は、外部接続端子42が形成されている箇所の剛性を高めるためのフィルムである。
ベースフィルム44には、例えば、樹脂製のフィルム、ゴム製のフィルム、もしくはセラミック製のフィルムまたはそれらの積層フィルムを用いることができる。樹脂製のフィルムとしては、例えば、ポリイミドのフィルム、ポリアミドのフィルム、ポリカーボネートのフィルム、またはトリアセチルセルロースのフィルムがある。補強フィルム46には、FPC40のベースフィルム44に用いられる材料と同様の材料を用いることができる。
内部接続端子41と外部接続端子42と配線43とを含む導体パターンの材料には、例えば、電気回路22に用いることができる導電体材料と同様の材料を用いることができる。カバーフィルム45の材料としては、例えば、ベースフィルム44に用いることができる材料と同様の絶縁材料を用いることができる。内部接続端子41と外部接続端子42は、例えば、導電パターンの主な材料、例えば銅箔の上に、ニッケル、金などの他の金属をメッキにより積層して形成してもよい。例えば、導電パターンが、銅または銀を含む導電インキを用いて印刷で電気回路22を形成する場合には、導電カーボンインキを印刷して外部接続端子42を被覆してもよい。
FPC40の外部接続端子42の側に、外部装置との接続用のコネクタが接続されていてもよい。
【0023】
(2-4)異方性導電フィルム
図5に示されているように、FPC40は、異方性導電フィルム50により回路フィルム20の電気回路22に接続される。異方性導電フィルム50は直径5~30μmの球状樹脂表面にニッケルや金等の金属をメッキにより被覆した導電粒子を例えばエポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂の中に分散させフィルム状にしたものである。また、当該導電粒子を例えば合成ゴムまたはアクリル樹脂系接着剤の中に分散させたペースト状の異方性導電ペーストもある。FPC40と電気回路22の接続には、異方性導電フィルム50と異方性導電ペーストのいずれも用いることができる。異方性導電フィルム50を電気回路22とFPC40の内部接続端子41の間に載置し、所定の熱と圧力を加えることにより、複数回路端子間の電気的接続を可能にしている。
【0024】
(3)成形品の製造方法
(3-1)成形品の製造方法の概要
成形品の製造方法の第1ステップでは、
図8に示されているように、回路フィルム20が第1型101にセットされる。第2型102は、収納空間SSを設けるための収納ピン103を有している。収納空間SSは、収納ピン103と第2型102に囲まれた空間である。回路フィルム20は、例えば
図3に示されているような絶縁フィルム21と、絶縁フィルム21に形成されている電気回路22とを有する。
第2ステップでは、回路フィルム20から立ち上がっているフレキシブルプリント配線板40が収納ピン103により設けられる収納空間SSの中に収納される。
図9に示されているように、第1型101と第2型102とが型締めされる。第1型101と第2型102とが型締めされた状態で、第1型101と第2型102とで形成されるキャビティCvと収納空間SSとが分離される。キャビティCvと収納空間SSとが分離されるということは、キャビティCvに注入される溶融樹脂200が収納空間SSに流れ込まないということである。そのために、キャビティCvと収納空間SSとが、第2型102と収納ピン103とフレキシブルプリント配線板40で仕切られる。
第3ステップでは、
図10、
図11、
図12、
図13及び
図14に示されているように、キャビティCvに溶融樹脂200が射出されて回路フィルム20と一体成形された成形体30が形成される。
【0025】
(3-2)操作パネル10の製造方法の詳細
第1実施形態に係る操作パネル10の製造方法について詳細に説明する。
図7に示されている回路フィルム20とFPC40と異方性導電フィルム50とを準備する。異方性導電フィルム50によりFPC40を回路フィルム20に圧着する。電気回路22の中のFPC40との圧着部は、接着層25が印刷されず回路が露出している。よって、回路が露出している圧着部とFPC40の内部接続端子41の配線部とをアライメント調整した後、内部接続端子41の配線部と電気回路22の中の圧着部とを加熱圧着する。ここでは、異方性導電フィルム50によって、回路フィルム20とFPC40とを電気的に接続する場合について説明するが、異方性導電フィルム50に代えて異方性導電ペーストを用いてもよい。
図7に示されている回路フィルム20は、絶縁フィルム21に意匠層24が印刷され、当該意匠層24の上に電気回路22が印刷され、さらに接着層25が印刷されて形成される。接着層25は、スクリーン印刷等の印刷方式でFPC40の圧着部を除いて印刷される。
【0026】
第1ステップでは、
図8に示されているように、FPC40が圧着された回路フィルム20が、例えばロボットアーム190によって自動的に、第1型101にセットされる。回路フィルム20を第1型101にセットした後、ロボットアーム190は、第1型101と第2型102の間から退避する。
第2ステップでは、
図8に示されている状態から、例えばエアシリンダ180が、収納ピン103を第1型101に向って前進させる。ただし、収納ピン103を動かすためのアクチュエータは、エアシリンダ180には限られない。ここでは、第2型102が第1型101に接近する過程で、FPC40のタワミ状態のコントロールと自重により、FPC40は収納空間SSの中に入る。なお、FPC40を収納空間SSに導くために、図示されない補助手段を設けてもよい。
第1型101と第2型102が型締めされるときに、収納ピン103は、底面103aをFPC40に当接したまま第2型102に向って後退する。例えば、エアシリンダ180が第2型102の前進に同期して所定量だけ収納ピン103を後退させるように構成する。第1型101と第2型102の型締めが完了した状態で、エアシリンダ180は、収納ピン103をFPC40に向って押し付けている。言い換えると、収納ピン103は、FPC40を回路フィルム20に向って押し付けている。収納ピン103は、底面103aから立ち上がっている当接面103bを有している。溶融樹脂200の射出時にFPC40に当接面103bがあてがわれるように当接面103bが配置されており、収納ピン103は、FPC40が溶融樹脂200によって倒れるのを防止することができる。
収納ピン103は、例えば、FPC40の幅と実質的に同じ大きさの幅を有している。FPC40のうちの成形樹脂より露出する部分を収納ピン103と第2型102に囲まれた収納空間SSに収納して、収納ピン103を後退させることで、キャビティCvと収納空間SSとを分離させることができる。ここでは、収納ピン103とFPC40が実質的に同じ幅を有する場合について説明するが、例えば、収納ピン103の幅をFPC40の幅よりも大きくして、FPC40の幅に実質的に等しい幅を持つスリット状の溝を収納ピン103に形成してもよく、収納ピン103はFPC40と幅の等しいものには限られない。
【0027】
第3ステップでは、型締めされてできたキャビティCvに溶融樹脂200が射出される。第1実施形態に係る操作パネル10の製造方法では、2点のホットランナーバルブゲート(第1ゲート121と第2ゲート122)により射出成形が行われる。ここでは、2点ゲートの場合について説明するが、3点ゲート以上の多点ゲートにより、射出成形が行われてもよい。
図12に示されている第2型102では、ヒーター130により、ランナーが加熱される。このように、第2型102には、ホットランナー方式が採用されている。
まず、第2ゲート122が閉じられたままで、第1ゲート121から溶融樹脂200が射出される。
図10には、第1ゲート121と第2ゲート122を通る直線で切断した断面において、第1ゲート121から射出された溶融樹脂200の充填状態が示されている。
図11には、回路フィルム20の平面上における、第1ゲート121から射出された溶融樹脂200の充填状態が示されている。第1ゲート121からキャビティCvに流入した溶融樹脂200は、第1エリアAr1に充填される。しかし、第1ゲート121から遠い第2エリアAr2の一部には、充填されない未充填箇所UFが生じる。特に、第1ゲート121から見て、収納ピン103の背後に未充填箇所UFが生じる。この未充填箇所UFに第2ゲート122が配置されるように、第2ゲート122が第2型102に設けられている。第1ゲート121から流入する溶融樹脂200は、FPC40を収納ピン103に押し付ける向きに流れる。このとき、FPC40には収納ピン103の当接面103bがあてがわれ、FPC40が溶融樹脂200に流されて倒れないように収納ピン103により支えられる。
図10に示されている状態から、エアシリンダ180が収納ピン103を後退させる。
図12に示されているように、収納ピン103は、第2型102のコア面102aまで戻される。収納ピン103が後退することにより、さらに溶融樹脂200が充填されない空隙Gpが生じる。第2ゲート122のバルブが開き、第2ゲート122から溶融樹脂200が射出され、主に、第2エリアAr2の未充填箇所UF及び空隙Gpに溶融樹脂200が充填される。空隙Gpが生じるが、FPC40の背後には、第1ゲート121から充填された射出樹脂が在り、このFPC40の背後の射出樹脂が、空隙Gpの中に在るFPC40の支えとなっている。よって、第2ゲート122のバルブが開き、溶融樹脂200が空隙Gpに充填されても、FPC40は押し流されることがないので、回路フィルム20とFPC40の圧着部分では導通を維持しFPC40の胴体部分は射出樹脂に挟まれた状態となる。その結果、
図13及び
図14に示されているように溶融樹脂200が充填され、回路フィルム20とFPC40とが接続されている状態を維持し、FPC40が成形体30を貫通する。
【0028】
(3-3)成形品の電気製品への組み込み
このようにして製造された成形品である操作パネル10は、電気製品であるホームベーカリー1の筐体2に組み込まれる。コントローラ81、液晶表示装置82及びその他の電気デバイス83が筐体2の中に設置される。操作パネル10は、FPC40の外部接続端子42をコントローラ81の電極に当接させることにより、コントローラ81、液晶表示装置82及びその他の電気デバイス83との電気的な接続を行うことができる。
【0029】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、2点ゲートを用いて、第1型101と第2型102で形成されたキャビティCvに溶融樹脂200が射出される場合が説明されている。第2実施形態では、1点ゲートを用いて、キャビティCvに溶融樹脂200を射出する成形品の製造方法について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
(4)成形品の製造方法
(4-1)成形品の製造方法の概要
第2実施形態の成形品の製造方法の概要は、第1実施形態の成形品の製造方法と同じになるので、説明を省略する。
【0030】
(4-2)操作パネル10の製造方法の詳細
第2実施形態に係る操作パネル10の製造方法について詳細に説明する。
第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、
図7に示されている圧着された回路フィルム20を準備する。
第1ステップでは、第1実施形態で説明したように、圧着された回路フィルム20が自動的に第1型101にセットされる。
第2ステップでは、第2実施形態でも第1実施形態と同様に、FPC40を収納空間SSの中に入れる。
図15に示されているように、第1型101と第2型102の型締めが完了した状態で、エアシリンダ180は、収納ピン103をFPC40に向って押し付けている。
【0031】
第3ステップでは、型締めされてできたキャビティCvに溶融樹脂200が射出される。第1実施形態に係る操作パネル10の製造方法では、1点ゲート(ゲート120)により射出成形が行われる。ゲート120は、収納ピン103の近傍に設けられる。ここで、収納ピン103の近傍とは、ゲート120から溶融樹脂200を射出して、キャビティCvを樹脂で充填したときに収納ピン103の周囲の樹脂が溶融した状態を保てる範囲で定義される。
ゲート120から溶融樹脂200が射出される。
図16には、ゲート120を通る直線で切断した断面において、ゲート120から射出された溶融樹脂200の充填状態が示されている。ゲート120からキャビティCvに流入した溶融樹脂200は、収納ピン103の背後に回り込んで、FPC40を収納ピン103に押し付ける向きに流れる。このとき、FPC40には収納ピン103の当接面103bがあてがわれ、FPC40が溶融樹脂200に流されて倒れないように収納ピン103により支えられる。
図16に示されている状態から、エアシリンダ180が収納ピン103を後退させる。
図17に示されているように、収納ピン103は、第2型102のコア面102aまで戻される。収納ピン103が後退することにより、溶融樹脂200が充填されない空隙Gpが生じる。
図18に示されているように、ゲート120から溶融樹脂200が射出され、空隙Gpに溶融樹脂200が充填される。その結果、
図18に示されているように、回路フィルム20とFPC40とが重なっている部分に、溶融樹脂200がさらに充填される。
【0032】
<第3実施形態>
上記第1実施形態及び第2実施形態では、FPC40の外部接続端子42が成形体30の他方主面32から飛び出している場合について説明した。しかし、第3実施形態で説明するように、外部接続端子42は、成形体30の他方主面32の一部として露出してもよい。なお、第3実施形態において、第1実施形態または第2実施形態と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
(5)操作パネル10の概要
第3実施形態の操作パネル10は、
図19に模式的に示されているような断面構造を有しており、回路フィルム20と、成形体30と、FPC40とを備えている。回路フィルム20は、成形体30の一方主面31に位置し、成形体30と一体成形されている。
FPC40は、成形体30の中を貫通して成形体30の他方主面32に到達するように延びている。
図19に示されているFPC40は、成形体30を貫通して他方主面32に達しているが、FPC40の外部接続端子42は、他方主面32から内部空間ISに飛び出していない。外部接続端子42は、内部空間ISに露出しているが、実質的に、成形体30の他方主面32の一部となっている。外部接続端子42が、実質的に成形体30の他方主面32の一部となっているとは、外部接続端子42が周囲の他方主面32と面一に、または他方主面32に対して凸状もしくは凹状になっていて、外部接続端子42の周囲のFPC40が成形体30で固定された状態になっていることを意味する。
図20に示されている内部接続端子41は、異方性導電フィルム50により回路フィルム20の電気回路22に電気的に接続されている。可撓性のある配線43は、成形体30の中を貫通して他方主面32に到達するように延びている。
【0033】
(6)成形品の製造方法
(6-1)成形品の製造方法の概要
第3実施形態の成形品の製造方法では、第1ステップにおいて、FPC40が、
図20に示されているように、成形後の形状になるようにプレス加工により折り曲げられる。プレス加工の際には、FPC40を加熱してもよい。このように折り曲げられたFPC40が圧着されている回路フィルム20が第1型101にセットされる。
第2ステップでは、
図21に示されているように、第1型101と第2型102とが型締めされてキャビティCvが形成される。キャビティCvの中で回路フィルム20から立ち上がるように、FPC40が収納ピン103により支えられる。
第3ステップでは、
図22、
図23及び
図24に示されているように、キャビティCvに溶融樹脂200が射出されて、回路フィルム20と一体成形された成形体30が形成される。成形体30が形成される際に、収納ピン103を後退した状態で(
図23参照)、収納ピン103が後退したことで生じた空隙Gpにさらに溶融樹脂200が射出される(
図24参照)。その結果、成形体30の中を貫通して回路フィルム20が配置される成形体30の一方主面31と対向する他方主面32に到達するようにFPC40が延び且つ他方主面32の一部としてFPC40の外部接続端子42が露出される。
【0034】
(6-2)操作パネル10の製造方法の詳細
第3実施形態に係る操作パネル10の製造方法について説明する。
第3実施形態のFPC40は、プレス加工により、
図20に示されているように、内部接続端子41に近い配線43の第1箇所P1と外部接続端子42に近い配線43の第2箇所P2の2箇所で逆向きに折り曲げられている。このFPC40のプレス加工後のFPC40の形状は、射出成形後に成形体30の中で取るFPC40の形状に近くなる。成形体30の一方主面31から他方主面32をFPC40の胴体部分(配線43が一方主面31から他方主面32に向って延びている部分)に補強フィルム46が設けられている。他方主面32からは補強フィルム46の先端部46eが突出している。こ補強フィルム46の先端部46eは、コア面102aの凹部102bに嵌め込まれる。補強フィルム46もプレス加工により折り曲げられる。FPC40の第1箇所P1と第2箇所P2は、可撓性を保持している。そのため、第1箇所P1の可撓性により、FPC40は電気回路22との接触が容易になる。また、第2箇所P2の可撓性により、FPC40を第2型102に容易にセットすることができる。
プレス加工されたFPC40が異方性導電フィルム50により回路フィルム20に圧着される。
第3実施形態でも、第1実施形態と同様に、
図7に示されている圧着された回路フィルム20を準備する。この回路フィルム20には、FPC40が圧着されている。
【0035】
第1ステップでは、第1実施形態で説明したように、圧着された回路フィルム20が自動的に第1型101にセットされる。
第2ステップでは、
図21に示されているように、第1型101と第2型102の型締めが完了した状態で、エアシリンダ(図示せず)は、収納ピン103をFPC40に向って押し付けている。
第1型101と第2型102が型締めされるときに、収納ピン103は、底面103aをFPC40に当接したまま第2型102に向って後退する。第1型101と第2型102の型締めが完了した状態で、エアシリンダ180は、収納ピン103をFPC40に向って押し付けている。言い換えると、収納ピン103は、FPC40を回路フィルム20に向って押し付けている。収納ピン103は、底面103aから立ち上がっている当接面103bを有している。溶融樹脂200の射出時にFPC40に当接面103bがあてがわれるように当接面103bが配置されており、収納ピン103は、FPC40が溶融樹脂200によって倒れるのを防止することができる。FPC40の支持を補助するために、第2型102のコア面102aに吸引孔102cが設けられている。吸引孔102cは、FPC40の外部接続端子42の面を吸引する。第2型102のコア面102aには凹部102bが形成され、外部接続端子42が凹部102bに嵌るように構成されている。しかし、この凹部102bを形成せずに、外部接続端子42が当接するコア面102aの周辺を平らな面となるように構成してもよく、コア面102aの中の外部接続端子42が当接する部分が凸になるように構成してもよい。
【0036】
第3ステップでは、型締めされてできたキャビティCvに溶融樹脂200が射出される。第1実施形態に係る操作パネル10の製造方法では、1点ゲート(ゲート120)により射出成形が行われる。ゲート120は、収納ピン103の近傍に設けられる。
ゲート120から溶融樹脂200が射出される。
図22には、ゲート120を通る直線で切断した断面において、ゲート120から射出された溶融樹脂200の充填状態が示されている。ゲート120からキャビティCvに流入した溶融樹脂200は、収納ピン103を回り込んで、FPC40を収納ピン103に押し付ける向きに流れる。このとき、FPC40には収納ピン103の当接面103bがあてがわれ、FPC40が溶融樹脂200に流されて倒れないように収納ピン103により支えられる。
図22に示されている状態から、エアシリンダが収納ピン103を後退させる。
図23に示されているように、収納ピン103は、第2型102のコア面102aまで戻される。収納ピン103が後退することにより、溶融樹脂200が充填されない空隙Gpが生じる。
図24に示されているように、溶融樹脂200が流動性を失う前に、ゲート120から溶融樹脂200が射出され、空隙Gpに溶融樹脂200が充填される。その結果、
図24に示されているように、回路フィルム20とFPC40とが重なっている部分に、溶融樹脂200がさらに充填される。
【0037】
<第4実施形態>
第1実施形態から第3実施形態に係る成形品である操作パネル10は、フレキシブルプリント配線板40により電気製品であるホームベーカリー1の筐体2の中にある電気デバイス3と電気的に接続されている。このFPC40の機能の代わりをする外部配線部を回路フィルム20が備えるように構成することができる。なお、第4実施形態において、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
(7)操作パネル10の概要
成形品である第4実施形態の操作パネル10は、
図25に示されている模式的な断面形状を有しており、化粧フィルム15と、回路フィルム20と、成形体30とを備えている。第1実施形態から第3実施形態の操作パネル10では、回路フィルム20に意匠層24が形成されていたが、第4実施形態では、回路フィルム20とは別に化粧フィルム15を備えている。そして、この化粧フィルム15に意匠層17が形成されている。なお、第4実施形態では、化粧フィルム15と回路フィルム20を操作パネル10が備えている場合について説明するが、第4実施形態の操作パネル10は、第1実施形態から第3実施形態と同様に、回路フィルム20に意匠層24を形成し、化粧フィルム15を備えない構成としてもよい。
(7-1)回路フィルム20
回路フィルム20は、絶縁フィルム21と電気回路22とを有している。成形体30は、互いに対向する一方主面31と他方主面32とを有している。
図25に示されているように、操作パネル10の回路フィルム20は、成形体30の一方主面31に位置し、成形体30と一体成形されている。操作パネル10の化粧フィルム15は、成形体30の一方主面31に位置し、成形体30と一体成形されている。化粧フィルム15は、回路フィルム20の全体を覆って、操作パネル10の体裁を飾っている。しかし、化粧フィルム15は、回路フィルム20の全体を覆うようにもうけられなくてもよい。例えば、本発明が適用される電気製品では、化粧フィルム15が回路フィルム20の一部を覆うように構成されてもよい。意匠層17には、例えば、メンブレンスイッチ27の機能を示す「ON/OFF」のような意匠、タッチセンサ26の範囲を示す枠線のような意匠、筐体2の色と調和する背景色のような意匠が施されている。回路フィルム20には、意匠層17に接して電気回路22が形成されている。回路フィルム20から化粧フィルム15を通って電気回路22に電流が流れる不必要な電気的経路が形成されるのを防止するため、化粧フィルム15は、回路フィルム20に対向する側が絶縁されていることが好ましい。
(7-2)化粧フィルム15
化粧フィルム15は、例えば、ベースフィルム16と意匠層17と接着層18で構成できる。化粧フィルム15には、例えば、加飾フィルムが含まれる。ベースフィルム16には、例えば、回路フィルム20を構成する樹脂製のフィルムと同様のものを用いることができる。
図25の化粧フィルム15では、ベースフィルム16が外側に配置され、意匠層17が内側に配置されている。このような構成においては、意匠層17を外から見えるようにするために、ベースフィルム16には、透明または半透明の材料が用いられる。なお、耐久性を高めるためのトップコート層がベースフィルム16の外側に形成されてもよい。
意匠層17は、図柄などの意匠を表現するための層である。意匠層17は、ベースフィルム16に例えばグラビア印刷法又はスクリーン印刷法によって形成される。化粧フィルム15の意匠層17は、第1実施形態の意匠層24と同様に構成することができる。そのため、ここでは、意匠層17についての詳細な説明を省略する。意匠層17は、化粧フィルム15の外側の面に配置されてもよい。化粧フィルム15は、質感を変える微細な凹凸を表面の意匠層17に形成したフィルムであってもよい。
さらに、化粧フィルム15は、意匠層17を有していなくてもよく、例えば、無地の色つきのまたは透明の樹脂フィルムであってもよい。
接着層18は、例えば、接着層25に用いることができる材料を用いて構成できる。
【0038】
図25の成形体30においては、一方主面31が、電気製品であるホームベーカリー1の外側に位置し、他方主面32がホームベーカリー1の内側に位置する。ホームベーカリー1の筐体2の内側が、電気製品の内部空間ISである。
回路フィルム20は、絶縁フィルム21と電気回路22とオーバーコート層23とを備えている。オーバーコート層23は、回路フィルム20の電気回路22の外気による酸化、硫化及びキズ付きを防止する為の保護層である。オーバーコート層23は、外部との絶縁を確保し、成形体30との接着性も有している。しかし、必要に応じて、オーバーコート層23に別途接着層を設けてもよい。オーバーコート層23は、例えば、通常UV(紫外線)或いは熱で硬化し且つ硬化後も可撓性のある被膜を形成する材料からなるインキをスクリーン印刷等の手段を用いて形成する。なお、第1実施形態から第3実施形態の回路フィルム20は、第4実施形態と同様にオーバーコート層23を備えるように構成することもできる。
第4実施形態に係る回路フィルム20は、本体部28と外部配線部29とに分けることができる。本体部28は、成形体30の一方主面31に配置されている。外部配線部29は、本体部28よりも幅が狭く且つ本体部28と交差する方向に折り曲げられている。外部配線部29は、成形体30の中を貫通して他方主面32に到達するように延びている。外部配線部29は、成形体30の他方主面32から外に露出している外部接続端子29aを持っている。外部接続端子29aの上には端子露出部の外気による酸化、硫化防止及び耐キズ性向上を目的とした端子保護層29cが導電カーボンインキ等をスクリーン印刷することにより設けられる。外部接続端子29aが形成されている面とは反対側の絶縁フィルム21の面には、外部配線部29の強度を補強するために補強フィルム29bが接着されている。補強フィルム29bは、上述の補強フィルム46と同じように構成することができる。
図25に示されている外部配線部29は、成形体30を貫通して他方主面32に達し、さらに他方主面32から内部空間ISに飛び出している。
【0039】
(8)成形品の製造方法
(8-1)成形品の製造方法の概要
第4実施形態の成形品の製造方法には、第1実施形態もしくは第2実施形態で説明した成形品の製造方法または第3実施形態で説明した製造方法を用いることができる。
(8-2)操作パネル10の製造方法の詳細
第4実施形態では、圧着された回路フィルム20と化粧フィルム15を準備する。化粧フィルム15と回路フィルム20を貼合する場合は意匠層17の上の接着層18と回路フィルム20の絶縁フィルム21の間に粘接着材フィルム56を載置し、熱圧着により両フィルムを貼合する。両フィルムを貼合した後、加圧脱泡処理を行ってもよい。粘接着材フィルム56は、粘着性がありながら経時的に或いは熱やUV(紫外線)によってより強い接着力を発揮する材料を含む。粘接着材フィルム56は、例えば、アクリル系、ビニル系、ポリアミド系ポリエステル系プレポリマーに各種配合材を薄い不織布にコートして形成される。
第1ステップ以降は、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態で説明した製造方法と同様のステップを行うことができるので、ここでは以降のステップの説明を省略する。なお、回路フィルム20は、両面に電気回路22が形成されているものを用いてもよい。
【0040】
(9)変形例
(9-1)変形例A
図28に示されているように、成形体30は、一方主面31に凹凸を有してもよく、一方主面31と他方主面32との間隔は区々であってもよい。
図28に示されているように、成形体30と一体成形される回路フィルム20及び化粧フィルム15は、凹凸形状の一方主面31と同じ凹凸形状を持つように一方主面31に沿って成形される。
図4の上壁36は平板上であり、回路フィルム20は全体として1つの平面に沿って広がる2次元形状をしている。しかし、成形体30の上壁36は、
図29に示されているように、上壁36が立体的な曲面に成形され、回路フィルム20も全体として曲面のそって広がる3次元的な形状であってもよい。
(9-2)変形例B
上記第1実施形態から第3実施形態では、一つの成形品である操作パネル10に、一つの回路フィルム20が配設される場合について説明した。しかし、
図30及び
図31に示されているように、一つの成形品である操作パネル10に複数の回路フィルム20が配設されてもよい。このように、複数の回路フィルム20が設けられる場合、各回路フィルム20に一つずつFPC40が取り付けられてもよく、また、複数の回路フィルム20に共通のFPC40が取り付けられてもよい。また、回路フィルム20の個数よりもFPC40の個数が多くなるように構成されてもよい。
【0041】
(9-3)変形例C
上記第1実施形態から第3実施形態では、回路フィルム20に意匠層24が設けられている場合について説明した。しかし、操作パネル10は、
図32A及び
図32Bに示されている回路フィルム20とは別の化粧フィルム15に、意匠層17が形成され、成形体30の一方主面31において化粧フィルム15で回路フィルム20が覆われるように構成されてもよい。
図32Bに示されている操作パネル10は、化粧フィルム15と、回路フィルム20と、成形体30と、フレキシブルプリント配線板40とを備えている。
図32Bに示されているように、操作パネル10の回路フィルム20は、成形体30の一方主面31に位置し、成形体30と一体成形されている。操作パネル10の化粧フィルム15は、成形体30の一方主面31に位置し、成形体30と一体成形されている。この変形例では、化粧フィルム15は、回路フィルム20の全体を覆って、操作パネル10の体裁を飾っている。しかし、本発明が適用される他の電気製品では、化粧フィルム15が、回路フィルム20の一部を覆うように構成されてもよい。化粧フィルム15には、例えば、メンブレンスイッチ27の機能を示す意匠、タッチセンサ26の範囲を示す枠線のような意匠、筐体2の色と調和する背景色のような意匠が施されている。回路フィルム20から化粧フィルム15を通って回路フィルム20に電流が流れる不必要な電気的経路が形成されるのを防止するため、化粧フィルム15は、回路フィルム20に対向する側が絶縁されていることが好ましい。
図32Bの成形体30においては、一方主面31が、電気製品であるホームベーカリー1の外側に位置し、他方主面32がホームベーカリー1の内側に位置する。ホームベーカリー1の筐体2の内側が、電気製品の内部空間ISである。
FPC40は、成形体30の中を貫通して成形体30の他方主面32に到達するように延びている。
図32Bに示されているFPC40は、成形体30を貫通して他方主面32に達し、さらに他方主面32から内部空間ISに飛び出している。
図32Aに示されているFPC40も、
図5のFPC40と同様に、内部接続端子41と、外部接続端子42と、配線43とを有している。
図32Bに示されている操作パネル10を製造する際には、
図32Aに示されている回路フィルム20とFPC40と異方性導電フィルム50とを準備する。異方性導電フィルム50によりFPC40を回路フィルム20に圧着する。電気回路22の中のFPC40との圧着部は、接着層25が印刷されず回路が露出している。よって、回路が露出している圧着部とFPC40の内部接続端子41の配線部をアライメント調整した後、内部接続端子41の配線部と電気回路22の中の圧着部とを加熱圧着する。
ここでは、異方性導電フィルム50によって、回路フィルム20とFPC40とを電気的に接続する場合について説明するが、異方性導電フィルム50に代えて異方性導電ペーストを用いてもよい。
回路フィルム20と化粧フィルム15は、回路フィルム20の絶縁フィルム21上に粘接着材フィルム56を載置して、
図32Bに示されているように熱圧着される。熱圧着により回路フィルム20と化粧フィルム15を貼合した後、加圧脱泡処理を行ってもよい。
ここでは、回路フィルム20と化粧フィルム15を圧着する場合について説明しているが、回路フィルム20と化粧フィルム15の圧着を省いて、例えば、回路フィルム20と化粧フィルム15を別々に第1型101にセットしてもよい。
第1ステップでは、第1実施形態の
図8に示されている回路フィルム20に代えて、圧着された回路フィルム20と化粧フィルム15が、例えばロボットアーム190によって自動的に、第1型101にセットされる。回路フィルム20と化粧フィルム15を第1型101にセットした後の操作パネル10の製造工程は、例えば、第1実施形態と同様に行うことができる。そのため、ここでは、第1実施形態で説明した第2ステップ以下の製造工程についての説明を省略する。
このようにして製造された
図32Bに記載されている操作パネル10は、電気製品であるホームベーカリー1の筐体2に組み込まれる。コントローラ81、液晶表示装置82及びその他の電気デバイス83が筐体2の中に設置される。操作パネル10は、FPC40の外部接続端子42をコントローラ81の電極に当接させることにより、コントローラ81、液晶表示装置82及びその他の電気デバイス83との電気的な接続を行うことができる。
【0042】
(9-4)変形例D
上記変形例Cでは、回路フィルム20の片面に電気回路22が形成されている場合について説明した。しかし、
図33及び
図34に示されているように、成形品(操作パネル10)には、両面に電気回路22が形成されている回路フィルム20を用いることができる。各電気回路22とFPC40とは各面に配置される異方性導電フィルム50によって接続される。従って、FPC40は、両面に対応するために2つの内部接続端子41を有している。このような回路フィルム20を用いて成形品を製造する場合には、例えば、
図34に示されている化粧フィルム15に、FPC40が圧着された回路フィルム20を圧着(貼合)する。圧着された回路フィルム20と化粧フィルム15を第1型101にセットして、上述の第1実施形態から第3実施形態で説明した成形品の製造方法と同様のステップで、
図33に示されている成形品(操作パネル10)を製造することができる。
(9-5)変形例E
上記変形例Cでは、回路フィルム20の成形体30の側の面に電気回路22が形成されている場合について説明した。しかし、
図35及び
図36に示されているように、成形体30とは反対側にある面に電気回路22が形成されている回路フィルム20を用いることができる。このような回路フィルム20を用いて成形品を製造する場合には、例えば、
図36に示されている化粧フィルム15に、FPC40が圧着された回路フィルム20を圧着(貼合)する。圧着された回路フィルム20と化粧フィルム15を第1型101にセットして、上述の第1実施形態から第3実施形態で説明した成形品の製造方法と同様のステップで、
図35に示されている成形品(操作パネル10)を製造することができる。
【0043】
(9-6)変形例F
図37A、
図37B、
図38及び
図39に示されているFPC40は、第1実施形態及び第2実施形態のFPC40と比較して、補強フィルム46が長くなっている。
図38及び
図39に示されているように、補強フィルム46の一部が成形体30に埋設され、補強フィルム46の他の部分が他方主面32から突出している。
図37A及び
図37Bに示されているように、補強フィルム46は、内部接続端子41の近傍まで配置されている。このFPC40は、
図37A及び
図37Bに示されている破線L1で折り曲げられる。
補強フィルム46で補強されているFPC40は、可撓性はあるが、剛性が高くなっているので、太い矢印で示した方向(補強フィルム46が延びている方向)に向けて、電気デバイスのコネクタ(図示せず)に差し込むことができる。なお、
図38に示されている操作パネル10と
図39に示されている操作パネルの違いは、化粧フィルム15と回路フィルム20が一体で形成されているか、貼合で形成されているかの違いである。
(9-7)変形例G
図40A、
図40B、
図41及び
図42に示されているFPC40は、第1実施形態及び第2実施形態のFPC40と比較して、補強フィルム46が長くなっている。
図41及び
図42に示されているように、補強フィルム46の一部が成形体30に埋設され、補強フィルム46の他の部分が他方主面32から突出している。
図40A及び
図40Bに示されているように、補強フィルム46は、FPC40の全面に配置されている。このFPC40は、
図40A及び
図40Bに示されている破線L2で折り曲げられる。
補強フィルム46で補強されているFPC40は、可撓性はあるが、剛性が高くなっているので、太い矢印で示した方向(補強フィルム46が延びている方向)に向けて、電気デバイスのコネクタ(図示せず)に差し込むことができる。なお、
図41に示されている操作パネル10と
図42に示されている操作パネルの違いは、化粧フィルム15と回路フィルム20が一体で形成されているか、貼合で形成されているかの違いである。
【0044】
(9-8)変形例H
上記第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態並びに変形例で説明したFPC40は、フレキシブルフラットケーブルに置き換えることができる。フレキシブルフラットケーブルフラットケーブルは、断面が扁平な導電線を複数本同一面上に並べて絶縁体で被覆した薄く細長いケーブルである。ここで用いられるフレキシブルフラットケーブルは、一体成形に用いるために、導体が並ぶ方向に沿って切断したときの断面形状が、実質的に長方形であることが好ましい。実質的に長方形とは、長方形の角が丸まっていたり、表面に多少の凹凸があったりするものも含む意味である。なお、フレキシブルフラットケーブルまたはFPC40を用いる場合に、ハンダでフレキシブルフラットケーブルまたはFPC40を回路フィルム20の電気回路22に接続してもよい。
(9-9)変形例I
上記各実施形態に係る成形品である操作パネル10は、時間が経過しても形状が変化しない静物である。しかし、本発明に係る成形品は、静物には限られず、可動部分を有していてもよい。例えば、モータで動くロボットの玩具の樹脂製のボディを、可動部分も含めて、本発明に係る成形品を用いて構成することもできる。
(9-10)変形例J
上記各実施形態の電気製品(ホームベーカリー1)では、成形体30の一方主面31が筐体2の外側に位置し、他方主面32が筐体2の内側に位置している。しかし、本発明が適用される他の電気製品では、それとは逆に、成形体の一方主面が筐体の内側に位置し、他方主面が筐体の外側に位置するようにして、外部接続端子を筐体の外側に露出されるように構成することもできる。
(9-11)変形例K
上記第1実施形態及び第2実施形態の成形品の製造方法では、収納ピン103をFPC40に向って押し付ける場合について説明した。しかし、
図43に示されているように、収納ピン103をFPC40に向って押し付けずに、収納ピン103の当接面103bをFPC40にあてがうようにしてもよい。
図43に示されている収納ピン103は、FPC40に当接するととともに回路フィルム20を第1型101に押し付けている。
図43に示されている製造方法でも、成形体30が形成されているキャビティCvと収納空間SSとが、第2型102と収納ピン103とフレキシブルプリント配線板40で仕切られている。
FPC40の内部接続端子41が形成されている部分の反対側のベースフィルム44の上に接着剤を塗布してもよい。この接着剤により、FPC40のベースフィルム44と成形体30とが接着される。
【0045】
(10)特徴
(10-1)
上述の成形品である操作パネル10では、FPC40またはフレキシブルフラットケーブルが成形体30の中を貫通する場合には、成形体30の一方主面31及び他方主面32の周囲である端部10a(
図1参照)をFPC40またはフレキシブルフラットケーブルの取回しのために使わなくても済む。FPC40またはフレキシブルフラットケーブルの外部接続端子42が筐体2の内部空間ISに露出しており、成形体30と一体成形される回路フィルム20の電気的接続を行うための外部接続端子42まで配線43の取回しが容易になっている。
(10-2)
上述の成形品である操作パネル10では、回路フィルム20の外部配線部29が成形体30の中を貫通する場合には、成形体30の一方主面31及び他方主面32の周囲である端部10a(
図1参照)を外部配線部29の取回しのために使わなくても済む。外部配線部29の外部接続端子29aが筐体2の内部空間ISに露出しており、成形体30と一体成形される回路フィルム20の電気的接続を行うための外部接続端子29aまでの外部配線部29の取回しが容易になっている。
【0046】
(10-3)
図33及び
図34を用いて説明した回路フィルム20は、絶縁フィルム21の両面に電気回路22を有する。このように両面に電気回路22を有する回路フィルム20は、同じ面積で比較すると、電気回路22を一面にしか有していない回路フィルム20を用いる場合に比べて、多くの電気回路22を容易に形成できる。
(10-4)
化粧フィルム15で回路フィルム20の少なくとも一部が覆われた操作パネル10(成形品の例)は、化粧フィルム15で体裁を飾り、外観を美しく整えることができている。それと同時に、化粧フィルム15で回路フィルム20の少なくとも一部を覆うことで、回路フィルム20を化粧フィルム15で保護することができている。
(10-5)
図19に示されている上記第3実施形態の操作パネル10は、外部接続端子42が成形体30の他方主面32に固定される。そのため、外部接続端子42の位置が成形体30に対して常に一定に維持されるので、外部接続端子42への接続が容易になる。なお、他方主面32から突出している先端部46eは、邪魔な場合には、成形体30の成形後にカットして取り除いてもよい。
(10-6)
上述の電気製品の一例であるホームベーカリー1は、成形品である操作パネル10を含む筐体2と、電気デバイス3とを備える。電気デバイス3は、筐体2の中に配置されている。電気デバイス3は、筐体2の中で外部接続端子42に接続されている。そのため、操作パネル10の端部10a(
図1参照)を、FPC40、フレキシブルフラットケーブルまたは回路フィルム20の外部配線部29の取回しのために使わなくても済む。その結果、ホームベーカリー1は、筐体2のシール性を向上させ、電気デバイス3の保護を向上させることができている。例えば、ホームベーカリー1に水が掛かっても、操作パネル10及び筐体2の中の電気デバイス3に水が掛かることが防止される。
【0047】
(10-7)
図8から
図14を用いて説明した第1実施形態の成形品の製造方法、または
図15から
図18を用いて説明した第2実施形態の成形品の製造方法では、FPC40、フレキシブルフラットケーブルまたは回路フィルム20の外部配線部29を収納空間SSの中に収納して、FPC40、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部29が溶融樹脂200の中に埋没してしまわないように処置しながら成形体30の射出成形を行える。それにより、FPC40、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部29が成形体30の中を貫通する操作パネル10(成形品の例)を製造することができる。また、この製造方法は、キャビティCvと収納空間SSとを分離することで、収納空間SSに溶融樹脂200が入り込んで次の射出成形に支障が出るのを防いでいる。それにより、成形体30と一体成形される回路フィルム20の外部接続端子29a,42までの外部配線部29または配線43の取回しが容易な操作パネル10(成形品の例)を、簡単に製造できる。
(10-8)
第1実施形態または第2実施形態の成形品の製造方法では、収納ピン103が後退したことで生じた空隙Gpにさらに溶融樹脂200を射出する。そのため、成形体30のうち収納ピン103が配置される部分を樹脂で埋めることができ、この部分が凹むのを防止することができる。その結果、成形体30が凹むことで強度が低下したり、樹脂の引けが生じて筐体2の美観が損なわれたりするのを抑制することができる。
【0048】
(10-9)
図21から
図24を用いて説明した第3実施形態の成形品の製造方法では、FPC40、フレキシブルフラットケーブルまたは回路フィルム20の外部配線部29が溶融樹脂200の中に埋没してしまわないように、FPC40、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部29を収納ピン103により支えることができる。それにより、FPC40、フレキシブルフラットケーブルまたは外部配線部29が成形体30の中を貫通する操作パネル10(成形品の例)を製造することができる。また、この製造方法では、外部配線部29、FPC40またはフレキシブルフラットケーブルを成形後の形状になるようにプレス加工により折り曲げることで、成形体30の他方主面32の一部として外部接続端子29a,42を露出させることができる。また、収納ピン103が後退したことで生じた空隙Gpにさらに溶融樹脂200を射出する。そのため、成形体30のうち収納ピン103が配置される部分を樹脂で埋めることができ、この部分が凹むのを防止することができる。その結果、成形体30が凹むことで強度が低下したり、樹脂の引けが生じて筐体2の美観が損なわれたりするのを抑制することができる。
(10-10)
化粧フィルム15を回路フィルム20とともに成形体と一体成形すると同時に、化粧フィルム15と回路フィルム20とを溶融樹脂200の熱と圧力を掛けることで、成形体30に一体成形されている化粧フィルム15と回路フィルム20とを強固に接着することができる。
【0049】
(10-11)
FPC40を回路フィルム20とともに成形体30と一体成形すると同時に、FPC40と回路フィルム20とを溶融樹脂200の熱と圧力で異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストにより接着する場合には、成形体30に一体成形されているFPC40と回路フィルム20とを強固に接着することができる。特に、回路フィルム20とFPC40が圧着された接点部は、フィルムと成形樹脂の間で挟持され且つFPC40の多くが成形体30で封止される。そのため、接点部には外力が及び難く、接点部が剥離し難くなっている。また、接点部への外気の侵入がフィルムと成形樹脂とで阻止されるため、このようにして製造された成形品は、化学的耐久性に優れる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ホームベーカリー(電気製品の例)
2 筐体
3 電気デバイス
10 操作パネル(成形品の例)
15 化粧フィルム
20 回路フィルム
21 絶縁フィルム
22 電気回路
29 外部配線部
29a 外部接続端子
30 成形体
40 フレキシブルプリント配線板(FPC)
41 内部接続端子
42 外部接続端子
101 第1型
102 第2型
103 収納ピン
Cv キャビティ
Gp 空隙
SS 収納空間