(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081583
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】リーク耐性気化装置
(51)【国際特許分類】
A24D 3/17 20200101AFI20220524BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20220524BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20220524BHJP
【FI】
A24D3/17
A24F40/40
A24F40/10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022034173
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2019515803の分割
【原出願日】2017-09-22
(31)【優先権主張番号】15/396,584
(32)【優先日】2016-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/398,494
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】315012459
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Juul Labs, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェイ・ハットン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・クリステンセン
(72)【発明者】
【氏名】エステバン・レオン・デューク
(72)【発明者】
【氏名】アリエル・アトキンス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・モンシーズ
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ボーウェン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】気化器のカートリッジと気化装置、及びそれらを形成する方法、使用法、及び/又は蒸気を使用者に供給する方法を提供する。
【解決手段】ある態様において、カナビスオイルを含む液状蒸発物質と共に用いるためのリーク耐性気化器のカートリッジ及び/又は気化装置が記載されている。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化装置であって、
蒸発物質を含むように構成されているリザーバと、
前記蒸発物質を備えるエアロゾルを使用者に供給するように構成されているマウスピースと、
空気流路軸を有する空気流路と、
前記蒸発物質を加熱し、前記空気流路に沿って前記気化装置に吸い込まれる空気に前記蒸発物質を気化させるように構成されている加熱要素とを含んでおり、
前記空気流路は吸気口に接続し、
前記気化装置の外側の空気は前記吸気口を介して前記気化装置と前記マウスピースに入り、
前記空気流路は前記加熱要素の近傍を通過しており、
前記マウスピースの内部又は近傍に位置し、前記空気流軸から離れたパッドを含むことを特徴とする、気化装置。
【請求項2】
前記パッドは、前記空気を前記パッドに通過させる必要なく、堆積、及び/又は凝縮された液体を前記空気から捕らえるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の気化装置。
【請求項3】
前記パッドは前記マウスピースの内壁に付勢されている、ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の気化装置。
【請求項4】
前記リザーバの先端で前記マウスピースの反対側に、オーバーフローリークチャンバをさらに備える、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の気化装置。
【請求項5】
前記オーバーフローリークチャンバは前記気化装置の側壁とカバープレートの底部との間に形成される、ことを特徴とする請求項4に記載の気化装置。
【請求項6】
前記空気流路は、前記オーバーフローリークチャンバから、前記リザーバを通過し、前記マウスピースに伸びる、ことを特徴とする請求項4に記載の気化装置。
【請求項7】
前記オーバーフローリークチャンバの内部に、前記空気流軸から離れて、1つ以上の吸収性パッドをさらに備える、ことを特徴とする請求項4に記載の気化装置。
【請求項8】
1つ以上の前記吸収性パッドは前記気化装置のそれぞれの側壁に付勢されている、ことを特徴とする請求項7に記載の気化装置。
【請求項9】
前記空気流路を形成するエアチューブをさらに備えており、
前記エアチューブはリザーバからマウスピースに伸びる、ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の気化装置。
【請求項10】
蒸発物質を加熱し、空気流軸を有する空気流路に沿って気化装置に吸い込まれる空気に前記蒸発物質を気化させるステップを備え、
前記空気流路は吸気口に接続し、
前記気化装置の外側の空気は、前記吸気口を介して、前記気化装置と、前記蒸発物質を備えるエアロゾルを使用者に供給するように構成されているマウスピースとに入り、
前記空気を、前記マウスピースの内部又は近傍に位置するパッドに通過させるステップを備え、
前記パッドは、前記空気を前記パッドに通過させる必要なく、堆積、及び/又は凝縮された液体を前記空気から捕らえるように構成されていることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記パッドは、前記空気を前記パッドに通過させる必要なく、堆積、及び/又は凝縮された液体を前記空気から捕らえるように構成されている、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記空気を、前記気化装置の側壁とカバープレートの底部との間に形成されるオーバーフローリークチャンバに通過させることをさらに備える、ことを特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記オーバーフローリークチャンバが、前記空気流軸から離れた1つ以上の吸収性パッドを備える、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
カートリッジ装置であって、
遠位から近位へ向かう軸の方向に伸びて、遠位から近位へ向かう前記軸を横切る幅と径を有する、細長く扁平な管状ボディと、
細長く扁平な前記管状ボディの近位端の内部にあって、蒸発物質を保持するように構成されているタンクと、
細長く扁平な前記管状ボディの前記近位端にある、マウスピースと、
細長く扁平な前記管状ボディの遠位端にある、オーバーフローリークチャンバと、
前記オーバーフローリークチャンバから、前記タンクを通過し、前記マウスピースに伸びる空気経路と、
前記空気経路の内部を伸びる芯と加熱コイルとを有する加熱器と、
前記装置の外面から前記オーバーフローリークチャンバに開口部とを備えており、
前記開口部は前記空気経路と流体的に接続しており、
前記オーバーフローリークチャンバの内部にある、1つ以上の吸収性パッドとを備えることを特徴とする、装置。
【請求項15】
前記開口部は前記オーバーフローリークチャンバの遠位端を通過する、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記開口部は前記オーバーフローリークチャンバの内でリップに囲まれる、ことを特徴とする請求項14又は15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
1つ以上の前記吸収性パッドは、前記径に沿って、前記オーバーフローリークチャンバの内部に位置しており、
前記開口部から、前記オーバーフローリークチャンバを通過し、前記空気経路に伸びる空気流路に対して軸外にあることを特徴とする請求項14~16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記加熱器と電気通信する前記カートリッジ装置の遠位端にある、1対の電気的接点をさらに備える、ことを特徴とする請求項14~17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記マウスピースは、細長く扁平な前記管状ボディの前記近位端にはまるように構成されている、ことを特徴とする請求項14~18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記マウスピースの内部にある、1つ以上のマウスピース吸収性パッドをさらに備える、ことを特徴とする請求項14~19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
1つ以上の前記マウスピース吸収性パッドは、前記マウスピースの内部で、前記マウスピースの近位端と細長く扁平な前記管状ボディとの間に位置する、ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
1つ以上の前記マウスピース吸収性パッドは、前記マウスピースの外部と前記空気経路から空気流路に対して軸外にあることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記タンクを通過して伸びるカニューラをさらに備える、ことを特徴とする請求項14~22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
1つ以上の前記吸収性パッドは、互いに平行に配置されている1対の平面吸収性パッドを備える、ことを特徴とする請求項14~23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記加熱器は前記空気経路において横方向に拡がる、ことを特徴とする請求項14~24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
前記オーバーフローリークチャンバは細長く扁平な前記管状ボディの前記遠位端の内部に囲まれる、ことを特徴とする請求項14~25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記マウスピースと細長く扁平な前記管状ボディとの間にあるプラグをさらに備えており、
前記プラグは細長く扁平な前記管状ボディの前記タンクを閉じる、ことを特徴とする請求項14~26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
細長く扁平な前記管状ボディの前記遠位端は、気化器のボディ内部で摩擦により固定されるように構成されている、ことを特徴とする請求項14~27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
細長く扁平な前記管状ボディの前記遠位端は、気化器のボディにはまるように構成されているリップ又はリムを備える、ことを特徴とする請求項14~28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
カートリッジ装置であって、
遠位から近位へ向かう軸の方向に伸びて、遠位から近位へ向かう前記軸を横切る幅と径を有し、前記径が前記幅の1.2倍以上である、細長く扁平な管状ボディと、
細長く扁平な前記管状ボディの近位端の内部にあって、液状蒸発物質を保持するように構成されているタンクと、
細長く扁平な前記管状ボディの前記近位端にある、マウスピースと、
前記マウスピースの内部にある、1つ以上のマウスピース吸収性パッドと、
細長く扁平な前記管状ボディの遠位端にあって、遠位から近位へ向かう前記軸に沿う長さが、遠位から近位へ向かう前記軸に沿う前記タンクの長さの0.5~2倍であるオーバーフローリークチャンバと、
前記オーバーフローリークチャンバから、前記タンクを通過し、前記マウスピースに向かう近傍において伸びており、前記タンクを通過して伸びるカニューラを備えた空気流路と、
前記空気経路の内部を伸びる芯と加熱コイルとを有する加熱器と、
前記装置の外面から前記オーバーフローリークチャンバに向かい、前記空気経路と流体的に接続されている開口部と、
前記オーバーフローリークチャンバの内部にある、1つ以上の吸収性パッドとを備えることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月22日に提出された米国仮特許出願 62/398,494
「カンナビノイドと共に使用する気化装置」に関する、又は優先権を主張する。また、本出願は、2016年12月31日に提出された米国特許出願 15/396,584 「カンナビノイドと共に使用するリーク耐性気化器カートリッジ」に関する、又は優先権を主張する。この2つの出願は、本明細書の一部を構成するものとして全体から援用される。
【0002】
技術分野
本願の主題は、概して、気化装置と、気化装置を使用、及び/又は製造する方法に関する。そのような装置は、使用者により吸引される蒸発物質を含むエアロゾルを生じ、供給するシステム及び装置を広く含む。特に、本願の主題の実施形態は、気化装置からの液状蒸発物質のリークを減少させることになり得る方法及び構造に関する。
【0003】
背景技術
気化装置は、少なくともある蒸発物質が、流動するガス流に気化されるように、蒸発物質を加熱することにより吸入可能なエアロゾルを生じ得るシステム、装置などの広範囲のカテゴリを含む。この装置により、気化された蒸発物質が生じる、又は吸入可能なエアロゾルを形成するため、流動するガス流の他の成分と結合する。そのような装置は電気的な気化器を含んでもよい。この電気的な気化器は、一般的に、電気制御回路の制御下でバッテリ又は他の電源から加熱要素に対してもたらされる抵抗加熱を用いて蒸発物質を加熱する。また、気化器は他の熱源(例えば、燃料源などの燃焼又は酸化)も用いる。本願の主題と一致する気化装置は、吸入可能なエアロゾル装置、エアロゾライザ、気化装置、電気気化装置、電気気化器などの様々な用語により呼称され得る。そのような装置は、一般的に、1つ以上の蒸発物質と共に使用するために構成されている。熱が、吸入可能なエアロゾルを生成させるため、その蒸発物質に作用する。蒸発物質は、そのような装置の様々な実施形態で、固体[例えば、ハーブ、タバコ、大麻など(そのような物質から抽出される生成物を含む。)]、液体(例えば、抽出物、ワックス、特定の化合物、1つ以上のそのような物質を含む溶液など)、及び固体と液体の両方の組み合わせを含んでもよい。
【0004】
特定の種類の気化装置は、蒸発物質を有するタンク、他のリザーバ、又はボリュームを含む、若しくは含むように構成されている。そのような装置、特に液状蒸発物質を蒸発させる、又は気化させることによりエアロゾルの成分を生成する装置は、空気経路と、噴霧器又は気化器の構造とに沿って気流を案内するため、エアチューブ又は他の構造も含んでもよい。この噴霧器又は気化器は、リザーバから加熱範囲及び加熱部の熱供給装置に向かって液状蒸発物質を吸い込むためのウィッキング構造(例えば、セラミック、繊維素材、布、及び/又は他の物質で形成され得る多孔質の芯)を含んでもよい。
【0005】
ある実施例では、噴霧器又は気化器の構造は、蒸気を生じる芯及び抵抗コイルの部分組立品を含んでもよい。そのような構造の実施例は、カートリッジと気化器のボディのシステムを含んでもよい。このシステムでは、カートリッジは、少なくとも部分的に液状の蒸発物質を含むリザーバを含んでいる。空気は、1つ以上の吸気口を介してカートリッジに入り、加熱範囲を通して付勢され得る(例えば、吸い込まれ得る、又は通過させられ得る。)。この加熱範囲における、蒸発物質の加熱は、気流に引き込まれる蒸気を生じる。この過程は、蒸発物質の1つ以上の気相成分で空気を完全に飽和させることになり得る。蒸気を含む空気は、空気経路に沿って流れるにつれて、冷却面に接触するようになる。この冷却面は、引き込まれる蒸気を凝縮させ得る。そのようなシステムは、一般的に、エアロゾル粒子の構成が、この凝縮の仕組みを介して、気流に引き込まれることを促すように構成される。一方、気相成分の凝縮の一部が、冷却面に直接堆積し、気流から取り除かれ、カートリッジ又は気化装置の他の部分における液相に戻り得る。さらに、空気経路の複雑さに応じて、蒸発物質の付加質量は、空気流路又は気化装置の他の部分の表面におけるエアロゾル粒子の堆積を介して気流から失われ得る。そのような過程により、液相蒸発物質の一部の塊、及び/又は水若しくは他の液体が、蒸発物質を最初に含むリザーバ以外の気化装置の一部に存在することになる。蒸発物質が、凝縮し得る、又は堆積し得る気化装置の一部は、マウスピース、電子回路などを含んでもよい。気化装置の一部、及び/又は他の場所に堆積する、そのような蒸発物質の量と種類に応じて、(例えば、吸入可能なエアロゾルではなく液体との不快な接触の可能性に起因する)使用者の不満、及び/又は電子回路の問題が生じ得る。
【0006】
ある気化装置の構成において、液状蒸発物質、及び/又は凝縮された水若しくは他の液体は、リークに起因して、リザーバの外部にあるカートリッジ、及び/又は気化器のボディの内部又は表面の他の場所に存在し得る。このリークは、(例えば、航空機に関する高度、温度変化、非剛体リザーバの容器構造の機械的変形のような変化から生じ得る)蒸発物質のリザーバの内部ボリュームと大気中の条件との間の圧力差に起因して生じ得る。
【0007】
発明の概要
本願の主題の態様は気化装置に関する。この気化装置は、装置の内部にある1つ以上の吸収性パッド又は部材を含む。この吸収性パッド又は部材は、空気流又は蒸気の生成を妨げることなく、リークを防ぐように構成されている。一般的に、蒸気の水滴及び粒子はフィルタパッドに堆積し得る。このフィルタパッドは、蒸気の経路に対して軸外にある。
【0008】
本願の主題の実施形態と一致する気化装置は、
蒸発物質を含むように構成されているリザーバと、
前記蒸発物質を備えるエアロゾルを使用者に供給するように構成されているマウスピースと、
空気流路軸を有する空気流路と、
前記蒸発物質を加熱し、前記空気流路に沿って前記気化装置に吸い込まれる空気に前記蒸発物質を気化させるように構成されている加熱要素とを含んでおり、
前記空気流路は吸気口に接続し、
前記気化装置の外側の空気は前記吸気口を介して前記気化装置と前記マウスピースに入り、
前記空気流路は前記加熱要素の近傍を通過しており、
前記マウスピースの内部又は近傍に位置し、前記空気流軸から離れたパッドを含む。
【0009】
本明細書に記載されている主題の1つ以上のバリエーションの詳細が、添付図面及び以下の記述において示される。本明細書に記載されている主題の他の特徴及び利点が、以下の記述と図面、及び請求項から明らかになる。
【0010】
本明細書の一部に組み込まれ、構成する添付図面は、本明細書において開示される本願の主題の態様を示し、以下の記述と共に、開示された実施形態に関するある原則の説明に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、装置の空気流路に対して軸外にある1対のフィルタパッドにおける、水滴及び蒸気の堆積を示す。
【
図2】
図2は、装置の空気流路に対して軸外にある1対のフィルタパッドにおける、水滴及び蒸気の堆積を示す。
【0012】
【
図3A】
図3Aは、装置の空気流路に対して軸外にある1対のフィルタパッドを備える気化装置を示す。
【
図3B】
図3Bは、装置の空気流路に対して軸外にある1対のフィルタパッドを備える気化装置を示す。
【0013】
【
図4A】
図4Aは、例示的な気化装置を示す。この例示的な気化装置は、本明細書に記載されているような2つの1対の吸収性フィルタパッドを含む。
図4Aは、装置の再使用可能部品の内部に配置されているカートリッジを示す。
【
図4B】
図4Bは、例示的な気化装置を示す。この例示的な気化装置は、本明細書に記載されているような2つの1対の吸収性フィルタパッドを含む。
図4Bは、装置の再使用可能部品の内部に配置されているカートリッジを示す。
【0014】
【
図5A】
図5Aは、気化器のボディ(例えば、
図4A~4Bの気化装置の再使用可能部品)を示す。この
図5Aは底面斜視図である。
【
図5C】
図5Cは、気化器のボディ(例えば、
図4A~4Bの気化装置の再使用可能部品)を示す。この
図5Cは、(電気的接点を含むカートリッジ受容部を覗き込む)上面斜視図である。
【
図5F】
図5Fは、気化器のボディ(例えば、
図4A~4Bの気化装置の再使用可能部品)を示す。この
図5Fは、充電器又は他の有線式の電気的な接続部に接続する電気的な接続部を示す底面図である。
【0015】
【
図6C】
図6Cは、
図4A~4Bの装置のカートリッジを示す。この
図6Cは、(マウスピースに向かう開口部を示す)上面斜視図である。
【0016】
【
図7A】
図7Aは、本明細書に記載されているようなカートリッジの別の図を示す。この
図7Aは底面斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、本明細書に記載されているようなカートリッジの別の図を示す。この
図7Bは上面斜視図である。
【
図7C】
図7Cは、本明細書に記載されているようなカートリッジの別の図を示す。この
図7Cは正面図である。
【
図7D】
図7Dは、本明細書に記載されているようなカートリッジの別の図を示す。この
図7Dは側面図である。
【
図7E】
図7Eは、本明細書に記載されているようなカートリッジの別の図を示す。この
図7Eは底面図である。
【
図7F】
図7Fは、本明細書に記載されているようなカートリッジの別の図を示す。この
図7Fは上面図である。
【0017】
【
図8A】
図8Aは、
図7A~7Fで示されるようなカートリッジが挿入され得る気化装置の気化器基部のバリエーションを示す。この
図8Aは底面斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、
図7A~7Fで示されるようなカートリッジが挿入され得る気化装置の気化器基部のバリエーションを示す。この
図8Bは、気化器基部のカートリッジ受容部を示す上面斜視図である。
【
図8C】
図8Cは、
図7A~7Fで示されるようなカートリッジが挿入され得る気化装置の気化器基部のバリエーションを示す。この
図8Cは気化器基部の正面図である。
【
図8D】
図8Dは、
図7A~7Fで示されるようなカートリッジが挿入され得る気化装置の気化器基部のバリエーションを示す。この
図8Dは気化器基部の側面図である。
【
図8E】
図8Eは、
図7A~7Fで示されるようなカートリッジが挿入され得る気化装置の気化器基部のバリエーションを示す。この
図8Eは気化器基部の背面図である。
【
図8F】
図8Fは、
図7A~7Fで示されるようなカートリッジが挿入され得る気化装置の気化器基部のバリエーションを示す。この
図8Fは気化器基部の底面図である。
【
図8G】
図8Gは、
図7A~7Fで示されるようなカートリッジが挿入され得る気化装置の気化器基部のバリエーションを示す。この
図8Gは気化器基部の上面図である。
【0018】
【
図9A】
図9Aは、
図8A~8Gで示されるような気化器基部に完全に取り付けられ、保持される、
図7A~7Fで示されるような気化器カートリッジを含む、組み付けられた気化装置を示す。この
図9Aは、組み付けられた気化装置の底面斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、
図8A~8Gで示されるような気化器基部に完全に取り付けられ、保持される、
図7A~7Fで示されるような気化器のカートリッジを含む、組み付けられた気化装置を示す。この
図9Bは、組み付けられた気化装置の上面斜視図である。
【
図9C】
図9Cは、
図8A~8Gで示されるような気化器基部に完全に取り付けられ、保持される、
図7A~7Fで示されるような気化器のカートリッジを含む、組み付けられた気化装置を示す。この
図9Cは、組み付けられた気化装置の正面図である。
【
図9D】
図9Dは、
図8A~8Gで示されるような気化器基部に完全に取り付けられ、保持される、
図7A~7Fで示されるような気化器のカートリッジを含む、組み付けられた気化装置を示す。この
図9Dは、組み付けられた気化装置の側面図である。
【
図9E】
図9Eは、
図8A~8Gで示されるような気化器基部に完全に取り付けられ、保持される、
図7A~7Fで示されるような気化器のカートリッジを含む、組み付けられた気化装置を示す。この
図9Eは、組み付けられた気化装置の背面図である。
【
図9F】
図9Fは、
図8A~8Gで示されるような気化器基部に完全に取り付けられ、保持される、
図7A~7Fで示されるような気化器のカートリッジを含む、組み付けられた気化装置を示す。この
図9Fは、気化装置の底面図である。
【
図9G】
図9Gは、
図8A~8Gで示されるような気化器基部に完全に取り付けられ、保持される、
図7A~7Fで示されるような気化器のカートリッジを含む、組み付けられた気化装置を示す。この
図9Gは、気化装置の上面図である。
【0019】
【0020】
【
図10B】
図10Bは、
図7A~7Fのカートリッジの別の分解図である。この分解図は、組立品に対する垂直方向の近似位置に互いに隣接して配置される部品を示す。
【0021】
【
図11A】
図11Aは、(気化器基部の外装ケース、マウスピース、及びカートリッジハウジングが透過されている)半透視図である。この半透視図は、
図7A~9Gで示されるような組み付けられた気化装置を通る空気経路を示す。
【0022】
【
図11B】
図11Bは、透過された外装ハウジング(ケース又はシェル)を備える気化器基部の実施例の正面図を示す。この正面図は、コネクタと吸気ポートを含むカートリッジ受容端を示す。
【
図11C】
図11Cは、透過された外装ハウジング(ケース又はシェル)を備える気化器基部の実施例の背面図を示す。この背面図は、コネクタと吸気ポートを含むカートリッジ受容端を示す。
【0023】
【
図12】
図12は、(
図9Aにおける破線12-12’により示される)カートリッジの近位(上)部の中線を通る部分拡大図である。この部分拡大図は、気化チャンバからマウスピース開口部までの空気経路を示す。
【0024】
【
図13】
図13は、(気化器カートリッジが連結する気化器基部を含む)気化装置の中線を通る断面図である。この断面図は、吸引(吐き出し、吸い込みなど)中の空気経路を示す。
【0025】
【
図14】
図14は、カートリッジを通る断面図を示す。この断面図は、(
図9Bにおける破線14-14’に沿った断面により示される)マウスピースの下方において、空気流路からオフセットされた、遠位の1対の吸収性パッドを示す。
【0026】
【0027】
【
図15B】
図15Bは、
図9Aで示されるような組み付けられた気化装置の中線を通る(
図9Aにおける線12-12’を通る)もう1つの断面図である。
【0028】
【
図15C】
図15Cは、組み付けられた気化装置を通る(
図9Aにおける線15C-15C’を通る)別の断面図を示す。
【0029】
【
図15D】
図15Dは、カートリッジを通る(
図7Aで示されるようなカートリッジにおいて線15D-15D’を通る)断面図である。この断面図は、装置の空気流路に対して軸外にある1対のオーバーフローフィルタパッドを示す。
【0030】
【
図16】
図16は、別の例示的な気化装置を通る(
図9Bにおける線16-16’の)断面図である。この断面図は、カートリッジの基部に近く、気化器基部のカートリッジ受容部に挿入される。
【0031】
【
図17】
図17は、加熱要素とコネクタの電気回路図である。この電気回路図は、加熱回路の部品の簡略化されたモデルに対するゼーベック係数を示す。
【0032】
【
図18】
図18は、ゼーベック効果に対する気化装置の補正のためのゼーベック測定回路である。このゼーベック測定回路は2端子検出回路として構成されている。
【0033】
【
図19】
図19は、気化装置のゼーベック測定回路の別の実施例である。このゼーベック測定回路は4端子(4点)回路として構成されている。
【0034】
【
図20A】
図20Aは、抵抗加熱器を形成するために連結される異なる部品導体を備える加熱コイルの実施例を示す。この加熱コイルからの温度の測定は、本明細書に記載されているようなゼーベック検出回路を用いて定まり得る。
【
図20B】
図20Bは、抵抗加熱器を形成するために連結される異なる部品導体を備える加熱コイルの実施例を示す。この加熱コイルからの温度の測定は、本明細書に記載されているようなゼーベック検出回路を用いて定まり得る。
【0035】
【
図21】
図21は、本明細書に記載されている装置に関する、外部コントローラ(例えばスマートフォン、パッドなど)を用いるユーザーインターフェース(UI)の1つの実施例である。
【0036】
【
図22】
図22は、本明細書に記載されているような装置に関する、UIの別の実施例である。
【0037】
【
図23】
図23は、本願の主題の実施形態と一致する方法の特徴を説明する過程のフローチャートを示す。
【0038】
実施する場合、同様の参照番号は、同様の構造、特徴、又は要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
従来利用できる気化装置は、リザーバの外側における液状蒸発物質の管理を伴う、1つ以上の上述の課題又は他の問題に対処できない。大麻抽出液のような蒸発性の液体の場合、液状の物質は、特に油状、及び/又は粘性がある。この液状の物質の蒸発は、粘性の残留となり得る。この粘着性の残留は気化器の作動を害し得る。そのような問題は特に煩わしい。また、大麻抽出液の蒸発は、(ニコチン溶液のような)他の液体の蒸発に比べて技術的に難しい。
【0040】
従来の電子タバコ及び/又は他の気化装置で用いられる水滴の集結に対する解決手段は、空気流に沿ってフィルタパッドを統合することを要する。そのような解決手段の重大な短所は、空気流に沿うフィルタパッドが吸入可能なエアロゾルの大部分を除去し、吸収することである。また、空気流に沿ってフィルタパッドを有することは、使用者がマウスピースに向かって吸い込むときの空気流を妨げる、又は制限し得る。さらに、この空気流の制限は、フィルタが液状の物質により濡れるほど、一般的に増加する。これは、適切に吸い込みを変化させることを使用者に強要し、生成された液体が使用者の口内に吸い込まれる虞が増加し得る。
【0041】
さらに、大麻抽出物、及び/又は他の蒸発物質を蒸発させるときの温度の制御は、高い精度を要求し得る。加熱器(噴霧器)の改善された電力管理及び制御が、気化装置の多くの実施形態において好ましい。特に、大麻(例えば、液状大麻抽出物の溶液、他の植物由来の抽出物、又は油)を蒸発させることに適している気化装置は、そのような物質を含む蒸発物質からの蒸気の生成に用いられる加熱器の精密制御の助けを受ける。
【0042】
特に大麻のような薬物を蒸発させるとき、消費される物質の量の即時近似(視覚的)推定値を与えることが有益であり得る。他の助けは、大麻抽出液を消費するときに使用するために予め組み込まれ、厳重に制御可能なカートリッジの使用から実現され得る。
【0043】
本願の主題の実施形態は、気化装置(気化器カートリッジを含むが、これに限定されるものではない。)と、製造方法、作動方法、及び/又は使用方法に関する。これは、1つ以上の上述の問題に関する助けを与え得る。
【0044】
上述のように、本願の主題の実施形態と一致する装置、及び/又は方法は、蒸発物質の1つ以上の気相成分を生成するための蒸発物質の加熱器を一般的に含む。蒸発物質は、液状、及び/又は油状の植物原料を含んでもよい。蒸発物質の1つ以上の気相成分は、蒸発した後、凝縮し得る。そのため、エアロゾルが、使用者による吸引のために供給可能な空気流において形成される。本願の主題の実施形態において、そのような気化装置は、例えばカナビスオイルのような油性の蒸発物質と共に使用するために特に構成されている。
【0045】
本願の主題の1つ以上の特徴は、1つ以上の(気化器カートリッジとも呼称される)カートリッジと再使用可能な(気化装置基部、ボディ、基部などとも呼称される)気化装置のボディを含む。この特徴は、適切な蒸発物質と共に用いられ得る。(実施形態において、装置と共に使用できるように適切に呼称する。この装置の特性、設定などは、蒸発物質と共に使用することに互換性があるように構成される、又は構成され得る。)蒸発物質は、吸入可能なエアロゾルの形態で好ましくは与えられ得る1つ以上の物質の油、抽出物、水性又は他の溶液などの1つ以上の液体を含んでもよい。
【0046】
ある実施例において、蒸発物質はカナビスオイルのような粘性の液体を含む。あるバリエーションにおいて、カナビスオイルは40~100%のカナビスオイルの抽出物を備える。粘性の油は、0.01~25%(例えば、0.1~22%、1%~20%、及び/又は1%~15%など)のプロピレングリコール、グリセロールなどのような蒸気形成を改善させるためのキャリアを含んでもよい。あるバリエーションにおいて、蒸気形成キャリアは1,3-プロパンジオールである。カナビスオイルは、(天然、及び/又は合成)カンナビノイド、及び/又はテルペンを含んでもよい。例えば、本明細書に記載されている蒸発物質のいずれも、1つ以上のCBG(カンナビゲロル),CBC(カンナビクロメン),CBL(カンナビシクロル),CBV(カンナビバリン),THCV(テトラヒドロカンナビバリン),CBDV(カンナビジバリン),CBCV(カンナビクロムバリン),CBGV(カンナビゲロバリン),CBGM(カンナビゲロルモノメチルエーテル),テトラヒドロカンナビノール,カンナビジオール(CBD),カンナビノール(CBN),1つ以上のエンドカンナビノイド(例えば、アナンドアミド、2-アラキドノイルグリセロール,2-アラキドノイルグリセリルエーテル,N-アラキドノイルドーパミン,ビロイドアミン,リゾホスファタイデリイノシトール),及び/又は1つ以上のJWH-018,JWH-073,CP-55940,ジメチルヘプチルピラン,HU-210,HU-331,SR144528,WIN55,212-2,JWH-133,レボナントラドール(ナントロドラム),及びAM-2201のような合成カンナビノイドを含む(例えば混合物の)1つ以上のカンナビノイドを含んでもよい。油状蒸発物質は、ヘミテルペン,モノテルペン(例えばゲラニオール,テルピネオール,リモネン,ミルセン,リナロール,ピネン,イリドイド),セスキテルペン(例えばフムレン,ファルネセン,ファルネソール),ジテルペン(例えばカフェストール,カーウェオール,センブレン,及びタキサジエン),セステルテルペン(例えばゲラニルファルネソール),トリテルペン(例えばスクアレン),セスクアルテルペン(例えばフェルジカジオールとテトラプレニルクルクメン),テトラテルペン(リコピン,ガンマ-カロテン,アルファ-カロテン,及びベータ-カロテン),ポリテルペン,及びノルイソプレノイドのような1つ以上のテルペンを含んでもよい。例えば、本明細書に記載されている油状蒸発物質は、20~80%(例えば30~90%,40~80%,50~75%,60~80%など)のカンナビノイド、0~40%(例えば1~30%,10~30%,10~20%など)のテルペン、及び0~25%のキャリア(例えばポリエチレングリコール)を含んでもよい。
【0047】
本明細書に記載されている(カンナビノイドをベースとする蒸発物質を特に含む)油状蒸発物質のいずれにおいても、粘性は予め決められた範囲内であってもよい。この範囲は約30cP(センチポアズ)~115KcP(キロセンチポアズ)である。例えば、粘性は40cP~113KcPの間であってもよい。この範囲の外側において、蒸発物質は、本明細書に記載されているような蒸気を生じるように適切に逃がすことに失敗し得る。特に、油は、本明細書に記載されている装置に有益な速さで逃がすことを可能にするように十分薄く形成され得る。また、この油はリークを制限する。(例えば、40cPより小さい粘性はリークの問題を生じ得る。)本願の主題は、蒸発物質と共に使用するために構成されている気化装置に関して特に有益であってもよい。この蒸発物質は、非常に悪く、粘着質で、及び/又は腐食若しくは使用者の良好な体験に対する他の阻害を生じ得る、及び/又は1つ以上の気化装置部品の劣化若しくは耐久性の欠如を生じ得る。蒸発物質のリザーバの外側における、そのような物質が存在することに繋がるリーク又は他の要因は、本明細書に記載されている理由により非常に好ましくなり得ない。
図7A~7Fは、カートリッジの実施例の特徴を示す。このカートリッジは、カナビスオイルのような、(室温で40cP~113KcPの間の粘性を有する)粘性を有する油性の蒸発物質と共に使用するために構成されている。この実施例において、カートリッジ700は、横断面が略楕円形である扁平なボディ(例えば上面図と底面図を示す
図7E及び7Fを参照のこと。)とマウスピースを含む。このマウスピースは、蒸発物質を保持するリザーバ部を形成するボディに取り付けられている。ボディ790は、透明、半透明、又は不透明であってもよい。マウスピースは、近位端にある1つ以上の開口部792を含む。この近位端の外部において、蒸気は、装置を通して息を吸い込むことにより吸入され得る。底部は、例えば再使用可能な気化器基部800のような気化器基部のカートリッジ受容部の内部において、カートリッジを連結し固定するために、ロック機構(例えばつめ、窪み、磁気ロックなど)を含んでもよい。
図8A~8Gにおいて、この気化器基部800の特徴は示されている。この実施例において、気化装置800のボディは、細長くなり、外殻又はカバー890を含んでもよい。気化器基部の近位端は、カートリッジ受容部892を形成する開口部を含んでもよい。以下に詳細に記載されているように、カートリッジ受容部は、空気流が入ることを可能にするため、1つ以上の開口部(例えば側方開口部)を含んでもよい。
【0048】
これらのカートリッジのいずれも、気化装置の優遇部に係合するために、リム、リッジ、溝、突起、リップなどを遠位端部に沿って代わりに含んでもよい。例えば、
図7Dにおいて、カートリッジ700は、溝又は縁795を遠位端に備える。この溝又はリップ795は、気化器のカートリッジ受容部における、屈折し得る、又は変形し得るつめ又は突起と係合し得る。これはスナップフィットを与えてもよい。一般的に、カートリッジは、摩擦の噛み合いにより、気化器のカートリッジ受容部内に嵌まる。スナップフィットは、カートリッジが保持されていることの聴覚、及び/又は触覚での確認をもたらす。この噛み合いは、カートリッジを受容部内にロックする、又は保持し得る。一方、この噛み合いは、カートリッジを外すために、カートリッジを容易に引き抜かれ易くする。
【0049】
図7Cに示すように、細長く扁平なボディ790は、(例えば、蒸発物質を保持するための)タンク部791を内部に、オーバーフローリークチャンバ793を遠位に有してもよい。以下に記載されているように、これらの構造は、細長く扁平なボディ内の内部部品により形成され得る。
【0050】
図10A,10Bは、分解図を介して、本明細書に記載されているような本願の主題の実施形態に従って液状蒸発物質を使用するために構成されているカートリッジの実施例の特徴を示す。この実施例において、装置はカートリッジボディ1005を含む。このカートリッジボディ1005は、透明、不透明、及び/又は半透明であってもよい。カートリッジボディ1005は、液状蒸発物質、及び特に本明細書に記載されているカンナビノイドオイルのような粘性を有する液状蒸発物質のリザーバを形成し得る。カートリッジは、ボディ1005を覆うマウスピース403を密閉する外部シール(例えばOリング1009)を含んでもよい。カートリッジボディ1005は、マウスピース403の下方にある、その頂部(近位端)において、一体成形のプラグ888により密閉され得る。このプラグ888は、タンクを充填するために使用され得る複数の開口部を覆う。気化チャンバはカートリッジの底部(遠位端)において形成され得る。気化チャンバはカニューラとハウジング部品1011から形成され得る。このハウジング部品1011は1つ以上の開口部を含む。芯(芯とコイルの芯部443)は、この開口部に入り、チャンバに入る。気化チャンバを形成する壁は、気化チャンバとタンクを分離し、カートリッジボディ内部のタンクの底部(遠位端)を形成する背部1013に接続する。図に示すように、この背部は、カートリッジボディの内部からカートリッジボディに向かって(例えばOリング1015により)密閉され得る。空気チャンバはカートリッジの底部プレート1019とタンクの背部1013との間に形成される。この底部プレート1019に形成される1つ以上(例えば2つ)の空気開口部796,796’(
図7E参照)は、空気が、(側面にある1つ以上の開口部894(
図8D参照)を通り、カートリッジ受容部に入った後、)カートリッジの遠位端を通り、空気チャンバ部を通り、気化チャンバに向かう開口部を通ることを可能にする。カートリッジの底部を形成する底部プレート1019は、1つ以上(2つ)の電気的コネクタを提供し、又は含んでもよい。この電気的コネクタは、気化器基部のコネクタと接続するように構成されている。これらの接点は、例えばワイパ接点又は剥離接点であってもよい。
図10A,10Bにおいて、これらの接点は、開口部を有する缶1021,1021’として示されている。気化器基部からのピンが、電気的接点を形成するため、この開口部に向けて突出する。
【0051】
気化器のボディは、カバー890の内部に内蔵されているバッテリと1つ以上の制御回路を含んでもよい。制御回路は、カートリッジに位置する加熱器を制御し得る。加熱器は、一般的に、芯に熱的接触する加熱コイル(抵抗加熱器)を含んでもよい。一方、異なる材料(例えば導電性材料)で形成される追加のコネクタが、カートリッジの基部の電気的接点に加熱コイルを接続させ得る。制御回路は、ゼーベック測定回路のような1つ以上の追加の回路を含んでもよい。この回路は、温度と、装置に与えられる電力との決定において、オフセット及び他の誤差を補正する。制御回路は、バッテリーレギュレータを含み、制御し、及び/又はバッテリーレギュレータと通信する。(バッテリーレギュレータは、バッテリ出力を調整し、バッテリの充電/放電を調整し、バッテリの充電が低下していることなどの状況を示す通知を与え得る。)制御回路は、表示部、1つ以上のLED、1つ以上のLCD、触覚出力、又はこれらの組み合わせのような出力先を含み、制御し、及び/又は出力先と通信する。
図7A~9Gにおいて示される実施例において、装置は4つの(RGB)LED897を含む。このLEDはパターン配置されている。(例えば、円形、螺旋形、花形のパターンであって、他のパターンは例えば線形なパターンを含んでもよい。)本明細書に記載されている装置のいずれも、制御回路の一部である、制御回路に接続される、及び/又は制御回路により制御される無線通信回路を含んでもよい。装置は、リモートプロセッサ(例えばスマートフォン、パッド、ウェアラブル電子機器など)と無線通信するように構成され得る。この構成により、装置は、制御情報(例えば、温度の設定、用量カウンタの再設定など)、及び/又は出力情報(用量情報、作動情報、エラー情報、温度設定情報、充電/バッテリ情報など)を受け取り得る。
【0052】
装置は、加速度計、口唇検出入力、接触入力のような1つ以上の入力を含む。気化装置において、装置は、いかなる目に見えるボタン、スイッチ、又はカートリッジ若しくは気化器基部の外表面にある使用者の外部入力部も含まない。この気化装置において、入力は、(制御回路に連結される、制御回路の一部である、及び/又は制御回路により制御される)加速度計であってもよい。加速度計と加速度計の制御回路の一部は、装置(例えばケース)をたたくこと、装置を(例えば装置の長軸又は短軸周りに)回転すること、及び/又は装置に関する他の意図的な動きを検出するように構成され得る。あるバリエーションにおいて、カートリッジが、接続される、及び/又は気化器基部から取り除かれる場合、装置は、センシング/検出するための回路を含んでもよい。例えば、カートリッジ検出回路は、カートリッジが、気化器基部のカートリッジ受容部内の電気的接点の電気状態に基づいて、装置に接続される状況を判断し得る。例えば、
図5Cに示される気化器基部に関して、2つの電気的接点595,595’が示されている。カートリッジが装置に挿入されていない場合、回路は(例えば電気的接点595と595’の間で)開いている。また、カートリッジが挿入されている場合、(
図5C,11Bに示される)電気的接点595,595’は、(電極接点の表面において、リークしている、及び/または乾燥している蒸発物質を取り除くように擦るワイピングコントラクトのような)カートリッジの接点と係合する。接点の間の抵抗が、(開回路から)認識できる範囲内に変化するとき、(独立した、又は統合されたカートリッジ検出回路を介する)コントローラは、カートリッジが挿入されたことを判断し得る。他のカートリッジ検出部は、(カートリッジがあるとき、始動する)トリップスイッチ、及び/又はそのようなものを含み、代わりに、又は追加として使用され得る。本明細書に記載されている装置のいずれも、1つ以上の呼吸検出部を含んでもよい。この呼吸検出部は、
図11Bに示すような、カートリッジ受容部の内側との接続部を有する圧力センサ(例えばマイクロフォンコイル)1109を含む。
【0053】
気化器のボディは、充電器、及び/又はデータ接続部に装置を連結させるために、遠位端にある(
図8Fに示されるような)コネクタ899を含んでもよい。内部バッテリは、装置をコネクタに連結させることで、充電され得る。代わりに、他の電気的コネクタ、及び/又は電磁誘導充電が用いられてもよい。
【0054】
図9A~9Gは、様々な観点から、カートリッジ700が気化器のボディ800に完全に挿入される、気化装置900の実施例を示す。この装置は、小さく、軽量な、携帯装置であってもよい。この携帯装置は、ポケット、入れ物、又はそのようなものに安全に保管され得る。
【0055】
作動させるとき、使用者は、マウスピースを通して吸い込む(例えば吸入する)ことにより、(すでに十分に充電された)気化器を始動させ得る。装置が、(例えば、温度、又は加熱要素に与えられる電力の変化を検出するように構成されているセンサ、例えば流速計検出部を含む、圧力センサ、流量センサ、及び/又はそのようなものを用いて、)吸い込みを検出し、予め決められた温度のプリセットに向けて電力を増加させ得る。電力は、加熱コイルの抵抗の変化の検出と温度を決める抵抗率の温度係数とを用いることで、コントローラにより、調整され得る。以下にさらに詳細に記載されているように、抵抗加熱器を電源に接続する、様々な電気的に導電性のある材料がある場合、温度の決定、及び/又は与えられる電力は、任意で補正され得る。この場合、ゼーベック効果が問題であるため、この誤差の潜在源に対して推定及び保証する検出回路を用い得る。
【0056】
本願の主題の実施形態と一致する装置のいずれにおいても、温度は、使用者により調整又は選択され得る。上述のように、あるバリエーションにおいて、装置は、外部制御又は使用者の入力を含まなくてもよい。一方、装置は、使用者が、多く(2以上、3以上、又はそれ以上)の上述のプリセット加熱/蒸発温度から温度、例えば100℃を選択することを可能にする。これは、使用者が、(例えば、装置の表面における制御からではなく、)装置内部の1対の異なる入力を時間内(60秒以内、50秒以内、45秒以内、40秒以内、30秒以内、20秒以内、10秒以内、1~60秒の間、2~60秒の間、3~60秒の間など)に調整できるようにすることにより実現する。そのような検出は、カートリッジを取り外した、及び/又はカートリッジを挿入した後の予め定められた時間内における加速度計の入力(例えば、1回以上たたくこと、3回以上たたき、装置を長軸周りに回転させることなど)であってもよい。例えば、装置は、使用者が温度を選択することを可能にするため、(例えば、1秒以上の間、2秒以上の間など)装置を振った後、カートリッジを取り外すことにより、温度選択モードになり得る。温度選択モードである場合、使用者は、プリセット温度を繰り返すために、例えば装置のハウジングをたたくこと(又は別の予め設定された動作)により、多くの(例えば4つの)プリセット温度から選び得る。このプリセット温度は、装置の出力部(例えば、LED,モニタ、LCDなど)に表示される。
【0057】
ボタン、特に外部ボタンでない(又は接続されていない)装置の一部の他の入力は、予め決められた始動シーケンス(例えば、カートリッジの挿入/取り外しなどの後、加速度計により検出される、たたくパターン)、又は1組の逐次独立作動において使用され得る。例えば、装置は、カートリッジを続けざまに(例えば、各ステップを5秒以内に)3回取り外し、挿入した後、温度選択モードになり得る。本明細書に記載されているバリエーションのいずれにおいても、装置をただ単に振ることは、出力を用いて、装置の状態(例えば充電量)について情報を表示させ得る。予め決められた時間内における、ボタンを用いない追加入力(例えば、カートリッジを取り外すこと、及び/又はカートリッジを挿入すること)は、作動温度が選択されることを可能にし得る。
【0058】
あるバリエーションにおいて、装置は、複数の(例えば4つの)プリセット、及び使用者が設定可能な任意の追加プリセット(例えば5番目以上のプリセット)を含む。代わりに、又は追加として、外部コントローラ(スマートフォン、パッド、コンピュータなど)は、作動温度を設定する、及び/又は選択することを可能にするように、装置と通信し得る。
【0059】
実施例において、装置は、使用者が、挿入されたカートリッジと共に装置を振ることにより、作動温度を選択する(モードを設定する)ことを可能にするように、作動され得る。あるバリエーションにおいて、これは、表示部(例えば装置の表面における多色LED)を変化させ得る。例えば、特定のパターン(例えば、
図8Cに示すX字のパターン897)に配置されている複数のLEDを用いてバッテリ寿命を表示する。この状態にある場合、カートリッジを取り外すことは、温度設定モードになり得る。装置は、例えば4つの(使用者により5以上にもなる)プリセットを自動的に繰り返す。使用者が、カートリッジを適切な時間に再挿入することにより1つのプリセットを選択し得る。あるバリエーションにおいて、プリセット温度は、270℃,320℃,370℃,420℃であってもよい。あるバリエーションにおいて、使用者は、各プリセットにおける温度範囲内、例えば270~420℃の作動範囲内の追加のプリセットを変更する、又は含む。他のプリセット温度が利用され得る。
【0060】
上述のように、本願の主題の実施形態と一致する装置は、本明細書に記載されているように、装置の作動を制御するための、入力、及び/又は出力を受け取る外部プロセッサにより作動され得る。例えば、気化装置は、アプリケーションソフトウェアにより作動され得る。このアプリケーションソフトウェアは、温度又は他の機能的な設定の制御を可能にし、及び/又は作動について、及び/若しくは使用についての用量情報を含む情報の蓄積、表示、及び/若しくは伝達を可能にする。本明細書に記載されているように、用量の近似推定値は、(徐々に)吸引する間、加熱器(抵抗コイル)に与えられる電力、例えば、吸い込む時間により増加する、コイルに与えられる電力に基づいて定まり得る。この近似「用量」推定値は、特定のカートリッジを使用することで累積され得る。(例えば、カートリッジが挿入されると、カートリッジの「セッション」におよそ達し、カートリッジが取り外されるまで、近似「用量」推定値は、累積される、及び/又は表示され得る。)
【0061】
例えば、
図21,22は、使用者が、装置のプリセット温度を設定する、及び/又は調整することを可能にするアプリケーションソフトウェアのための例示的なユーザーインターフェースを示す。
図21に示すユーザーインターフェースにおいて、使用者はプリセット温度を選択し得る。
図22は、装置の状態と動作とを制御するためにアプリケーションソフトウェアを用いることを示す。例えば、使用者は、装置をロック/アンロックし、(例えば用量推定値による)使用を確認し得る。
【0062】
本明細書に記載されているように、本願の主題の実施形態と一致する装置は、使用者が、1つ以上の双方向型「ゲーム」を装置で行うことを可能にし得る。例えば、これらの装置のいずれも、装置を操作することにより(例えば、予め決められたパターンでたたくこと、振ること、回転させること、吐き出すことなどにより)、なり得る娯楽モードを含んでもよい。一般的に、娯楽モードは、1つ以上の提示(例えば、LEDライトの表示、トーン/音楽、振動のパターン、又はこれらの組み合わせ)、及び/又はゲームを含んでもよい。装置は、行われる提示状態又はゲーム状態の選択を可能にするように構成され得る。または、装置は、その内の1つを無作為に選択し得る。一般的に、ゲームは双方向型であってもよい。このゲームは、例えば、装置の動きのような1つ以上の入力を介して、装置に触れるような動作の検出を介して、若しくはボタン、及び/又は容量センサ(例えば口唇検出など)を介して、使用者が入力、すなわち吐き出し/空気流の検出、カートリッジの挿入、及び/又は取り外しなどを与えることを可能にする。
【0063】
例えば、娯楽モードは、パターン追従ゲームのようなゲームを含んでもよい。このゲームにおいて、装置は出力部(例えば、所定のパターン、及び/又は色で点灯する1つ以上のLED)を提示する。また、装置(例えばコントローラ)は、使用者により入力される反応が予め決められた反応に関連するかどうかを判断し得る。一般的に、加熱器を制御するように用いられるものと同じコントローラが、ゲームを含む娯楽モードの制御に用いられ得る。代わりに、独立したコントローラが、用いられてもよく、加熱器を制御するコントローラと通信してもよい。
【0064】
1つ以上のゲームは記憶ゲームを含む。例えば、記憶ゲームにおいて、装置は、出力シーケンスを提示し、使用者により入力される反応のシーケンスが予め決められた反応のシーケンスに関連するかどうかを判断する。1つ以上のゲームは誘発出力ゲームを含んでもよい。このゲームにおいて、装置は予め決められた使用者の入力に応じる出力を提示する。例えば、装置は、使用者が装置を保持しているときの角度又は動きに基づいて、異なる位置にある、及び/又は色の点いた一連のLEDを提示する。
【0065】
1つ以上のゲームはチャンス型ゲームを含んでもよい。このゲームにおいて、装置は、予め決められた使用者の入力に応じて、1つ以上の色、トーン、又は振動の無作為なパターンを表示するように構成されている。娯楽モードは表示ゲームを含んでもよい。このゲームにおいて、出力部は複数のLEDを含む。また、装置は、予め決められた使用者の入力に応じる予め決められた色のシーケンスをLEDに繰り返させるように構成されている。娯楽モードはトーンゲームを含んでもよい。このゲームにおいて、出力は複数のトーンを含む。また、装置は、予め決められた使用者の入力に応じる予め決められたトーンのシーケンスを行うように構成されている。
【0066】
上述のように、装置は、1つ以上の予め決められた使用者の操作を入力部与えることにより、通常モードと娯楽モードとの間を切り替えるように構成され得る。例えば、装置は回転し得る。あるバリエーションにおいて、装置の入力部は加速度計を備える。また、装置は、1つ以上の方向の周りに装置を(例えば3回以上)回転することにより、通常モードと娯楽モードとの間を切り替えるように構成され得る。
【0067】
ゲームに加えて、又はその代わりに、娯楽モードは、娯楽モードになることで動作する娯楽出力(表示)を含む。例えば、上述のように、娯楽出力は、出力における、1つ以上の複数の色、及び/又はパターンの表示、トーン又は連続したトーン、振動又は連続した振動を含んでもよい。
【0068】
[リークの防止]
【0069】
本願の主題の実施形態に一致する、本明細書に記載されている装置は、蒸発物質のリークを防ぐ又は減少させるように構成され得る。上述のように、蒸発物質が、汚れており、且つ装置、特に再使用可能な部位(例えば気化器基部)の作動を妨げ得る粘性のタール状の物質のように乾燥し得るため、油性の蒸発物質(特にカンナビノイドオイル)のような、液状蒸発物質のリークは気化器に特に煩わしい。液状蒸発物質のリークは好ましくない。
【0070】
本願の主題の実施形態に一致する、本明細書に記載されている装置は、1つ以上の吸収性パッド又は部材を含んでもよい。この吸収性パッド又は部材は、空気流、又は蒸気の生成を妨げることなく、リークを防ぐように構成されている。一般的に、蒸気の水滴及び粒子はフィルタパッドに堆積し得る。このフィルタパッドは、蒸気の経路に対して軸外にある。
【0071】
本願の主題の実施形態に一致する、気化装置(システム)は、抵抗加熱要素を含む、加熱要素を備えてもよい。加熱要素は、物質の温度が上昇するように、蒸発物質を加熱させ得る。蒸気は物質の加熱により生成され得る。
【0072】
ある場面では、気化装置は、溶液(例えば蒸発物質)を形成するエアロゾルを加熱するように構成されている「噴霧器」又は「カートマイザ」を有してもよい。蒸発物質は、蒸発するために、(例えば、200~500℃の間、250~450℃の間、270~420℃の間などの)十分な温度まで加熱され得る。装置は、1つ以上のプリセット蒸発温度を含み、(フィードバック論理を含むコントローラを介して、)予め決められた、及び/又は選択された温度になるまで温度を制御し得る。
【0073】
噴霧器は小さな加熱要素を備えてもよい。この小さな加熱要素は、蒸発物質、及び液状蒸発物質を噴霧器(例えば加熱器)に吸い込み得るウィッキング物質の少なくとも一部を加熱するように、及び/又は蒸発するように構成されている。装置がウィッキング物質を含む場合、ウィッキング物質は、シリカファイバ、コットン、セラミック、麻、ステンレス鋼の網、及び/又はロープケーブルを備えてもよい。ウィッキング物質は、ポンプ又は他の機械的可動部を用いないで、液状蒸発物質を噴霧器に吸い込むように構成され得る。抵抗ワイヤは、ウィッキング物質に巻かれ、電流源(例えばエネルギ源)の陽極及び陰極に接続され得る。抵抗ワイヤはコイルであってもよい。抵抗ワイヤが有効である場合、抵抗ワイヤ(又はコイル)は、熱を生じるために抵抗ワイヤに流れる電流に応じて温度を上昇させ得る。熱は、蒸発物質の少なくとも一部が蒸発するように、導電性、対流、及び/又は放射熱伝達により、蒸発物質の少なくとも一部に伝達され得る。
【0074】
噴霧器の代わりに、又は噴霧器に加えて、気化装置は、使用者による吸引のために、蒸発物質からエアロゾルを生成する「カートマイザ」として構成され得る。カートマイザはカートリッジと噴霧器を備えてもよい。カートマイザは、蒸発物質(例えば液体)の容器としての役割を果たす、液体を染みこませたポリ発泡体により包まれる加熱要素を備えてもよい。カートマイザは、再使用可能、詰め替え可能、及び/又は使い捨て可能であってもよい。カートマイザは、蒸発物質の外部貯蔵のためのタンクと共に用いられ得る。
【0075】
空気は、蒸発したエアロゾルを加熱部から運び出すように気化装置に吸い込まれ得る。このとき、エアロゾルは、空気中に漂っている液体粒子を形成するように冷却、又は凝結する。この空気は、使用者によりマウスピースから吸い込まれ得る。例えば、本明細書に記載されている装置のいずれも、吸い込み溝又は経路を含み得る。吸い込み溝は、加熱器により形成される蒸気が吸い込み溝を通過するように、加熱器と流体連結し得る。この吸い込み溝は、マウスピースとも流体連結し得る。このマウスピースは(カートリッジを含む)装置に統合され得る。
【0076】
1つ以上の気化装置の態様は、1つ以上の所定の特性と共に使用者に蒸気を運ぶために設計、及び/又は制御され得る。例えば、所定の特性と共に蒸気を運ぶために設計、及び/又は制御され得る気化装置の態様は、加熱温度、加熱の仕組み、吸気口、装置の内部ボリューム、及び/又は材料の構成を備えてもよい。
【0077】
エネルギは加熱要素を作動するために必要となり得る。エネルギは、加熱要素と電気的に連結するバッテリから得られてもよい。代わりに、化学反応(例えば、燃焼又は他の発熱反応)がエネルギを加熱要素に与えてもよい。
【0078】
「エアロゾル」という用語は、一般的に、空気中又は他の気体中の微細な固体粒子又は液滴のコロイドを示す。一般的に、本明細書に記載されているエアロゾルは、空気中の液体粒子が主要な(例えば80%よりも多い、85%よりも多い、90%よりも多い、95%よりも多い)液体エアロゾルである。エアロゾルの液体又は固体粒子は、平均的なまとまりの径を変え得る。このまとまりは、実験室で生産できる、共通のサイズの粒子を含む単分散エアロゾルから、粒子のサイズの範囲を示す多分散コロイド系に変わる。これらの粒子のサイズが大きくなるにつれて、エアロゾルを速く沈降させる粒子の沈降速度が上がる。この沈降速度は、エアロゾルが空気中に残る時間を短くするように、エアロゾルの状態を低密度にする。興味深いことに、より小さな粒子を備えるエアロゾルは、エアロゾルが多くの粒子を有するため、より厚く、より高密度になる。粒子の数は、(少なくとも考えられる粒子のサイズの範囲における)粒子のサイズよりも大きな影響を光散乱に与える。したがって、より小さな大量の粒子を備える蒸気雲は、より大きな少量の粒子を備える雲よりも高密度になる。
【0079】
蒸気は、臨界点よりも低い温度における、気相の物質を示す。本明細書に記載されるように、蒸気は多くの液体エアロゾルを含む。便宜上、蒸気と、液体エアロゾルを一般的に示すエアロゾルの用語は、電気気化装置の技術において一般的であるように、本明細書において交互に記載され得る。
【0080】
本明細書に記載されている方法と装置は、植物、薬剤、栄養補給食品、又は助け若しくは感動を最終使用者に与えるために吸引される他の物質のような、活性化している物質を吸引するために適用する広い範囲を有する。ある実施形態において、本明細書に記載されている装置は、ニコチン、カナビス、又はカンナビノイドのような活性化している成分を備える液体を有するタンクを含む。
【0081】
「カナビス」という用語は、カナビス属の植物、及びルーズリーフ生産物、又はその抽出物を示す。上述のように、「カンナビノイド」という用語は、カンナビノイド受容体に作用する、生物学的効果を含み得る、植物由来又は合成の化合物を示す。カンナビノイドは、酸、塩、及び生物活性立体異性体を含む。代表的なカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC),カンナビゲロル酸(CBGA),カンナビゲロル(CBG),テトラヒドロカンナビノール酸(THCA),カンナビクロメン(CBC),カンナビシクロル(CBL),カンナビバリン(CBV),カンナビクロムバリン(CBCV),カンナビゲロバリン(CBGV),カンナビゲロルモノメチルエーテル(CBGM),デルタ-8-テトラヒドロカンナビノール(D8THC),デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(D9THC),テトラヒドロカンナビバリン(THCV),カンナビノール酸(CBNA),カンナビノール(CBN),カンナビジオール酸(CBDA),カンナビジバリン酸(CBDVA),カンナビジオール(CBD),CBCA(カンナビクロム酸),カンナビクロメン(CBC),又はCBLA(カンナビシクロル酸)、及び/又は上述の塩又は立体異性体を含む。
【0082】
本明細書に記載されている、吸入可能なエアロゾルを生成する装置は、バッテリ、蒸発物質を含む、又は含むように構成されているカートリッジ又はタンク、(例えば、装置の外表面にいかなる入力部も備えないあるバリエーション、例えば「ボタンレス」における)少なくとも1つの入力、装置を制御する回路を有するボディを含んでもよい。
【0083】
図1,2において、本願の主題の実施形態と一致する気化装置200が示されている。気化装置200は2つのフィルタパッド222a,222bを含む。フィルタパッド222a,222bは空気経路212の中心軸から離れている。蒸気が、エアチューブ208を進み、液体状態に戻り始めるとき、凝縮と粒子の集合の両方が起こる。蒸気がエアチューブ208から空気経路212に出るとき、水滴(
図1参照)と大きな粒子(
図2参照)は、装置における使用者の吸い込みを妨げることなく、パッド222a,222bに(すなわち重力を介して)濾過される。
【0084】
本明細書に記載されている気化装置と共に用いられる(パッド222a,222bを含む)1つ以上のパッドは吸湿剤で形成され得る。吸湿剤は、水滴を速く逃がし、その内部において水滴を速く分散させ得る。したがって、吸湿剤は親水性であってもよい。代表的な材料は、コットン、例えば不織コットン、リントナー紙、フェルト、セルロース、又は親水性ポリマを含むが、限定されない。また、
図1,2に示すように、1つ以上のパッドが、曲線形状又は曲線方向を有するように形成され得る。代わりに、1つ以上のパッドは実質的に平坦なパネルであってもよい。本願の主題の一部の実施形態と一致する、1つ以上のパッドは、2つ以上の層状材料の薄いシートで形成され得る。
【0085】
1つ以上のパッドは、使用者により吸引される前に、水滴を捕らえるように、マウスピースの内部又は近傍に位置し得る。また、
図1,2に示すように、ある実施形態において、1つ以上のパッドは、気化器の部品との干渉を最小化するように、気化器の内面に対して、又は内面の近傍に押し上げられ得る。代わりに、1つ以上のパッドは、水滴を吸収できる表面積を最大化するように、内壁から離れ得る。これらのパッドは、長方形、円形、卵形、三角形、正方形、又は他の形状であってもよい。パッドの形状とサイズは、水分と粒子の収集を最大化し、空気経路との干渉を最小化するように選ばれる。
【0086】
図3A,3Bにおいて、水滴堆積パッド322a,322bを用いる気化器300の別の実施例が示されている。気化器300は、再使用可能部品311に取り付け可能なカートリッジ301を含む。(この再使用可能部品311は、装置などに電力を供給する電子機器を含んでもよい。)
図3A,3Bに示すように、カートリッジ301は、タンク302、加熱器アセンブリ343,空気経路を形成するエアチューブ308,マウスピース303を含む。図に示すように、パッド322a,322bは、長方形且つ平坦であり、エアチューブ308のいずれか片側において、マウスピース303の内部で平行に位置する。(すなわちエアチューブ308の軸から離れている。)また、気化器300は、2016年2月25日に提出された米国特許出願 15/053,927 「気化装置システムと方法」、米国公開特許 2016-0174611A1に記載されている特徴のいずれも備えてもよい。この出願の全体は、本明細書の一部を構成するものとして援用される。
【0087】
図4A~6Bにおいて、1つ以上のパッドを用いる気化器400の別の実施例が示されている。
図4A,4Bに示すように、気化器400は再使用可能部品411とカートリッジ401を含む。装置400の径は幅よりも大きい。(例えば、1.2倍以上、1.3倍以上、1.4倍以上、1.5倍以上、1.6倍以上、1.7倍以上、1.8倍以上、1.9倍以上など。)この構成により、装置は実質的に長く平坦な形状を有する。
【0088】
図5A,5Bに示すように、再使用可能部品411はシェル431を含む。このシェル431は、気化器400を作動する電子機器を内蔵し得る。また、再使用可能部品411は、気化器400の作動状態を知らせるために、1つ以上のLEDのような視覚的インジケータ421を含み得る。(
図5A,5Fに示す)再使用可能部品411の遠位端は、装置を充電するように構成されている充電要素433を含む。さらに、(
図5Eに示す)装置の近位端は、カートリッジ401との電気的接続を維持するための接点595,595’を含む。
【0089】
図6A~6Dにおいて、カートリッジ401が示されている。
図6Dの分解図に示されているように、カートリッジ401は、液状蒸発物質を保持するように構成されたタンク441、タンク441内の蒸発物質を加熱するように構成された加熱器443(例えば芯とコイルのアセンブリ)、及びタンク441からマウスピース403へ伸びる空気経路を形成するエアチューブ408を含む。カートリッジ401は、タンク441でマウスピース403を密閉する外側シール(例えば、Oリング409)を含み得る。タンク441は、複数の開口部を覆うプラグ404a,404bによりマウスピース403より下方の頂部で(近位端で)密閉され得る。この開口部は、タンク441を満たすために使用され得る。(
図6B,6Dを参照)接点535a、535bは、芯とコイルのアセンブリ443を始動するように電力を供給するための再使用可能部品411の接点595,595’と接続するように構成される。カートリッジ401の遠位端において、細長く平らな管状タンクボディ441の壁及び底部カバープレート691は、オーバーフローリークチャンバ699を形成する。このオーバーフローリークチャンバ699は、オーバーフローリークチャンバの長壁に沿って(径方向に沿って)位置する1対の吸収性パッド445a,445bと共に示されている。1つ以上の任意のカバー693(例えば、フェルトカバー)が含まれてもよい。(このカバー693は吸収部材としても作用する。)
【0090】
図4A~5Dに示すように、装置400は、シェル431の側面にある、吸気口762a,762bとして構成されている開口部をさらに含む。この吸気口は、オーバーフローリークチャンバ(図示せず)に向けて開いている(例えば
図6A,
図6Bを参照)カートリッジ401の遠位端における開口部(吸気口)662a,662bの近傍にある。
図11A(中心部における装置400の断面図)に示すように、空気流路777は、吸気口762a,762bから吸気口662a,662bに、停止部433(
図12も参照)に到達するまでチューブ408を通り延びて、(パッド422a,422bの間における)マウスピース402の内面に沿って延びて、マウスピース403の排気口を通り出る2つの独立した経路に分かれる。
【0091】
図6D,10A~10B,12~14に示すように、平行な吸収パッド422a,422bはマウスピース403の内部に配置され得る。吸収性パッド422a,422bは長方形で互いに平行であってもよい。吸収性パッド422a,422bは、装置400の平坦な側面と実質的に平行(
図4Aにおける長さlと幅wがなす平面と平行)であって、互いに平行に位置し得る。パッド422a,422bは、壁面に沿って流れる液体を容易に捕らえるようにマウスピース403の内壁に対して完全に付勢され得る。2つのパッド422a,422bの間の距離は、例えば3~6mm、4~5mm、約4.8mmであってもよい。吸収性パッド422a,422bの間の隙は、使用者がマウスピース403から吸い込むとき、パッドが空気流路と干渉することを有効に防ぐ。
【0092】
また、例えば、
図6D,13に示すように、オーバーフローパッド445a,445bは、使用中にタンク441から漏れ得る液体を吸収するために、タンク441の近傍、すなわちタンクより下方にあるオーバーフローリークチャンバの内部に位置する。オーバーフローパッド445a,445bは、パッド422a,422bに関して上述したように、互いに平行に及び/又はシェル431の側面に対して同様に配置され得る。
【0093】
図13(パッド422a,422b,445a,445bを通る装置400の断面図)は、パッド422a,422b,445a,445bの配置に対して点線で空気流路777を示す。空気経路777は、パッド422a,422bを貫通することなく、パッド422a,422bの全てに並んで伸びる。すなわち、パッド422a,422b,445a,445bは、空気経路777に対して軸外に伸びており、ユーザの吸い込みを妨げない。一方、パッド422a,422b,445a,445bは、液体を最も大きく吸収するため、空気経路777が、パッド422a,422b,445a,445bに沿って、及び/又は接触して移動するように位置する。
【0094】
使用中(すなわち、使用者が装置で吸い込むとき)、装置400は、垂直方向に幅w、水平方向に直径dで水平に保持することがされ得る(
図4A参照)。したがって、パッド422a,422b,及び/又は445a,445bの少なくとも一方は、使用者が装置で吸い込むとき、実質的に水平になる。この構成により、重力が、下方のパッド422a,422b,及び/又は445a,445bに向かって水滴又は粒子を引き下げることが確実になる。 また、2つのパッド422a,422b,及び/又は445a,445bを有することは、使用者が、パッド422a又は445aを上にする、若しくはパッド422b又は445bを上にして装置を保持するかどうかに関わらず、水滴が捕らえられることを確実にする。これは、装置の電子機器との干渉を防ぎ、また使用者が、装置で吸い込むとき、液体がタンクから使用者の口内に入ることを防ぎ得る。
【0095】
図15A~15Dに示すように、代表的な装置800は、それが、カートリッジ部に近い部分にある単一のプラグ888を(すなわち、
図6Dに示す2つのタンクシール404a,404bに代わり)有することを除いて、装置400と類似している。(したがって、類似の参照番号が用いられる。)プラグ888は、マウスピース403の両方の排気口を同時に密閉し、チューブ408の周りも密閉するように構成されている。
【0096】
本明細書の実施形態に関して、複数の組の吸収性パッドが示されているが、単一の軸外にある(すなわち、「空気経路外の」)パッドだけが、それぞれの場所において用いられ得る。同様に、吸収性材料の細長い切れ端のような2つ以上の(例えば、3、4、5、又はそれ以上)の軸外パッドが用いられ得る。同様に、一組のパッドだけが用いられ得る。
【0097】
本願の主題の一部の実施形態によれば、吸収性パッドはカートリッジ領域(すなわち廃棄部)にのみ配置され得る。他の実施形態において、追加の吸収性パッドが、装置の再使用可能部にも用いられ得る。
【0098】
本明細書に記載されている実施形態と一致する気化装置のいずれかと共に使用するための芯は、より大きな粘度の液体(例えば、カンナビノイドを含む液体)を取り扱うのに十分な大きさであってもよい。例えば、芯は、径が約2mmであるなど、径が1.5mmより大きくてもよい。
【0099】
図16に示すように、本願の主題の一部の実施形態によれば、カートリッジ901に向かう(吸入口とも呼称される)開口部962a,962bは、保護環状リング992a,992b、又はカートリッジの内壁から伸びる、その周囲のシールを含み得る。リング992a,992bは、こぼれた液体が吸入口962a,962bに向けて飛び散ることを防ぎ得る。
図16に示すように、リングは、オーバーフローリークチャンバに向けて突出するリップまたはリッジであってもよい。
【0100】
図16に示すように、本願の主題の一部の実施形態によれば、装置900の再使用可能部911の接点935a,935bはピン接点であってもよい。一方、カートリッジ901の接点1035a,1035bは、環状接点、又はピンと接続するように構成されているピン受容部であってもよい。また、ある実施形態では、ピン受容部1035は、その内径上にばね仕掛けの拭き取り機構を含み得る。ばね仕掛けの拭き取り機構は、ピンがピン受容部を通過するとき、ピンを拭き取るように構成され得る。その結果、ピン上の蒸気残留は、ピンとピン受容部の間の適切な電気的接続を維持するために取り除かれ得る。
【0101】
[電力及び温度の制御]
【0102】
本願の主題の実施形態によれば、蒸発物質の気化に用いられる温度がプリセット範囲内(例えば、上述のような1つ以上のプリセット温度における、±数℃以内(例えば、+/-3℃,2℃,1℃,0.5℃など))に維持されるように、気化装置は制御され得る。一般的に、マイクロコントローラは、温度による抵抗の変化(例えばTCR)に基づいて、抵抗加熱器(例えば抵抗コイルなど)の温度を制御し得る。例えば、加熱器は、抵抗コイルのような適切な抵抗加熱器であってもよい。一般的に、加熱器は、加熱器コントローラが(例えば電源からの)電力を加熱器に与えるように、2つ以上のコネクタ(導電性のワイヤ又はライン)を介して加熱器コントローラに連結されている。加熱器コントローラは、与えられる電力を調整することにより、加熱器の温度を調整するための調整制御ロジックを含み得る。加熱器コントローラは、専用または汎用のプロセッサ、回路などを含み、一般的に電源に接続され、加熱器に与えられる電力を調整するために電源から入力を受け取り得る。
【0103】
例えば、本明細書に記載されている実施形態と一致する装置は、検出されているコイルの抵抗に基づく、加熱要素(抵抗コイル)のTCRに基づいて、加熱器の温度を決めるためのロジックを含み得る。この加熱器(例えば抵抗加熱器)の抵抗は測定され得る(R加熱器)。また、コントローラは、加熱器の温度を決めるため、加熱器に対する加熱器の周知の特性(例えば抵抗温度係数)を用い得る。例えば、加熱器の抵抗は、カートリッジと接続する電気的接点において接続されている検出回路により検出され得る、また、この抵抗は、目標抵抗と比較される。一般的に、目標抵抗は、目標温度における抵抗加熱器の抵抗である。ある場面では、この抵抗は、大気中の温度における抵抗加熱要素の抵抗(ベースライン)から推定され得る。
【0104】
あるバリエーションにおいて、基準抵抗(R基準)が、目標抵抗を設定するため、用いられ得る。基準抵抗に対する加熱器抵抗の比(R加熱器/R基準)は、(室温より上の)加熱器の温度に線形に関係し、較正される温度に直接変換され得る。例えば、室温に対する加熱器の温度の変化は、(R加熱器/R基準-1)*(1/TCR)のような数式を用いて計算され得る。このTCRは加熱器の抵抗率の温度係数である。1つの例において、特定の装置加熱器のTCRは0.00014/℃である。本明細書に記載されている部分的な用量及び用量を決める場合、用いられる温度値(例えば、以下に詳細に記載される用量間隔Tiにおける蒸発物質の温度)は、抵抗率(例えば、R加熱器/R基準)よりも小さいユニットを示す。または、この温度値は、(例えば、℃で)正規化された/補正された温度を示し得る。
【0105】
抵抗加熱器の測定抵抗を目標抵抗と比較することにより、気化装置を制御する場合、目標抵抗は、最初に計算されてもよく、出荷時に予め設定されてもよく、及び/又は使用者が起動することで較正されてもよい。例えば、以下に詳細に説明されるように、装置を作動しているときの抵抗加熱器の目標抵抗は、ベースライン抵抗の変化率に加えて、抵抗加熱器のベースライン抵抗により設定され得る。上述のように、大気中における加熱要素の抵抗は、ベースライン抵抗である。例えば、目標抵抗は、大気中の温度における抵抗加熱器の抵抗及び抵抗加熱器の温度の目標変化に基づき得る。
【0106】
上述のように、抵抗加熱器の目標抵抗は、加熱要素の目標温度に基づき得る。本明細書における、それらを用いるための装置及び方法のいずれも、大気中の温度における抵抗加熱器の抵抗と、大気中の温度における抵抗加熱器の抵抗の変化率とに基づいて、抵抗加熱器の目標抵抗を定めることを含み得る。
【0107】
本明細書に記載されている実施形態と一致するように、気化装置の抵抗加熱器の抵抗は、(抵抗測定回路を用いて)測定され、分圧器を用いることにより目標抵抗と比較され得る。代わりに、又はさらに、本明細書に記載されている方法および装置のいずれも、ホイートストンブリッジを用いて、抵抗加熱器の測定抵抗を目標抵抗と比較し、この比較に基づいて、与えられる電力を増加/減少させるように電力を調整し得る。
【0108】
本明細書に記載されているバリエーションのいずれにおいても、抵抗加熱器に与えられる電力を調整することは、分圧器、ホイートストンブリッジ、増幅されたホイートストンブリッジ、又はRC充電時間回路を用いて、抵抗加熱器の抵抗(実際の抵抗)を目標抵抗と比較することを含み得る。
【0109】
装置の温度を定める、及び/又は気化するように温度を制御するために与えられる抵抗及び/又は電力を用いる場合、実際の温度と、加熱器の抵抗だけを用いて予め検出される、又は定められる温度との間において、予期しない相違があり得る。この問題は、(
図15Aに示すように、)加熱要素(例えば抵抗コイル)と(気化器基部から電力接点)カートリッジに向かう電気的入力との間の距離が大きい場合、又は加熱器と接点との間の導電性材料が変化する場合、特に深刻になる。接点と電気配線と抵抗コイルとの間の導電性材料が変化する場合、この電気的特性(抵抗)の変化により生じる熱電効果は、与えられる電力を決めるとき、誤りを生じ得る。
【0110】
上述のカートリッジの実施例において、加熱コイルは、延長ワイヤ1054、1054’により電気的接点に接続され得る(例えば
図10B参照)。延長ワイヤは異なる材料であるため、温度勾配がある場合、電圧(EMF)が異なる導体との間の接合部に生じ得る。この熱電効果は、ゼーベック効果と呼称され、異なる導体の材料特性に基づく電圧を生じ得る。上述の実施形態において、加熱コイル、延長部、及び芯は、ほぼ対称である。一方、通常の使用時、温度は、温度勾配を生じるように、これら3つの間において一様でなくなり得る。これにより、一様でない電圧が生じ得る。この相違は、加熱器(与えられる電力)の制御及び/又は温度の推定において、誤りの原因となり得る。
【0111】
いずれの特定の時点においても、その影響は比較的小さい(したがって、見落とされる)ことがある。一方、累積的な影響は、精度及び温度制御の著しい低下の原因となり得る。他のシステムは、この問題を回避するため、抵抗加熱器に用いられる材料の抵抗を変えることにより試み、より大きな電力を必要とし得る。これは、熱電特性の不一致のため、オフセットEMF電圧の全体的な寄与を減少させ得る。一方、これは、より大きな消費電力を必要とする。したがって、バッテリ(及び生じる電力)が与えられる。
【0112】
代わりに、本明細書に記載されている装置のいずれも、上述のように、室温から蒸発温度までのコイル抵抗の変化に基づいて、コイルの温度を制御するように加熱する、及び加熱しないとき、加熱要素(例えば、抵抗加熱合金ワイヤから形成されるコイル)の抵抗を確認するための精密な抵抗測定回路を含み得る。例えば、ある実施形態において、測定回路は、増幅されたホイートストンブリッジである。この増幅されたホイートストンブリッジにおいて、(接続時の)加熱要素は、ホイートストンブリッジの2つの分圧器の一方の半分である。また、2つの分圧器の電圧は、差動オペアンプ回路への入力である。この制御回路は、オフセット電圧の原因となる熱電特性の不一致を説明する本明細書に記載されるように変更され得る。
【0113】
従来の抵抗測定システムは、一般的に、2端子検出又は4端子検出回路を用いており、測定される負荷が、電圧源である、又は検出回路に与えられる別の未知の電圧を有する場合、測定誤差を生じやすい。上述のように、抵抗加熱要素(大抵の場合、コイル)を用いる気化器において、延長リード線は、最小のジュール加熱、及び(ジュール加熱が必要になる)加熱要素と電源(大抵、バッテリ又は電力供給部)との間の経路における損失を伴い、加熱要素に電力を送るために大抵用いられる。製造のしやすさのため、これらの延長リード線は、大抵、装置(又は装置と接続する接点)と加熱要素との間の唯一の接続部である。したがって、加熱要素の抵抗の測定は、常に、延長リード線の抵抗と、熱電特性の不一致から生じる測定誤差(ゼーベック誤差)を含む。加熱要素と延長リード線(個別に考えられる場合、3本の導体)は、その長さに沿う温度勾配の一部をそれぞれ有する。また、この温度勾配は、それぞれの導体に起電力(導体が開回路である場合も、測定可能な電圧であるEMF)を生じる。この起電力はEemf=-S∇Tである。このSは、導体のゼーベック係数であり、導体の材料に大きく応じる(一方、導体の温度にも応じる)。また、∇Tは、材料全体の温度勾配である。加熱要素と延長リード線の理想的な材料は、大抵、異なるゼーベック係数を有する。また、それぞれの延長リード線と加熱要素との間の2つの接続点の温度は、(大量生産品において予想される、加熱要素アセンブリと、加熱要素及び延長リード線から伝達される熱との両方において許容できる非対称性により、)加熱するとき、異なり得る。したがって、最終的なEMFが(1組の延長リード線が加熱要素を装置に電気的に接続する、いずれの気化システムにおいても1つの負荷とみなされる)延長部と加熱要素に渡る。これは、抵抗測定を歪め、この効果を補正しない場合、測定される抵抗を用いる加熱要素の温度制御を不可能にする。一般的に、加熱要素の測定される抵抗は、温度差と材料の遷移が、接触部又は延長部が接続されている2つの加熱要素端子間にあるたび、不一致な熱電特性(例えば、ゼーベック効果)により歪められる。
【0114】
図17において、同じ材料の2本の延長リード線を有する加熱要素の単純化されたモデルが示されている。この実施例において、加熱要素と延長リード線の組み合わせは、上述の延長リード線の開放端において装置に接続されている。したがって、加熱要素の抵抗測定は、加熱要素に接続する延長リード線を通して行われる。S1とS3は、2つの延長リード線の材料のそれぞれの材料特性(ゼーベック係数)に応じる一定の係数である。また、S2は、加熱要素のゼーベック係数である。T1とT4は、気化装置に電気的に接続する延長部の端部における温度である。T2とT3は、延長リード線と加熱要素との間の接続部の温度である。(この接続部は、溶接部、圧着部、はんだ接合部、又は他の電気的接続部であってもよい。)以下に示すEnetが0でない場合、EMF,Enetは抵抗測定を歪めると予想される。ゼーベック効果からのEnetは以下の数式であると予想される。
【0115】
Enet=-S1(T2-T1)-S2(T3-T2)-S3(T4-T3)
【0116】
T2とT3の温度差が0以外のEnetをどのように形成するかを示すため、さらに単純化されたモデルを検討する。このモデルにおいて、導電性経路の2つの(図示される)開放端における温度は、同じであり、装置の温度(T1=T4)に近いと仮定される。これは、本願のようなシステムにおいて許容できる簡略化である。このシステムにおいて、延長部は、T1とT4における大きな熱質量を有する電気的接点に接続する。2つの延長リード線は同じ材料であるため(S1=S3)、2つの延長部のゼーベック係数は同じであると仮定される。これは上記の数式を以下に示すように単純化する。
【0117】
Enet=(S2-S1)(T2-T3)
【0118】
上述の数式から、S2とS1が等しくなく(加熱要素と延長リード線が異なるゼーベック係数を有する。)、T2とT3が等しくない(T2とT3が、加熱要素が延長部と交わる2点間に渡って0でない最終的な温度勾配である。)場合、Enetは0でない。このEnetは、装置により行われる抵抗測定を歪める。比較のため、延長リード線がない場合、加熱要素単体のEMFが考慮され得る。
【0119】
Enet=S2(T2-T3)
【0120】
加熱要素が、大きな熱質量である電気的接点に直接接続されている場合、T2とT3は非常に接近しており、ゼーベック効果は抵抗測定において無視できるほどの誤差をもたらすことが予想される(また、測定され得る)。延長リード線が使用される他のシステムにおいて、ゼーベック効果は、測定される抵抗を歪め、ゼーベック効果が補正されていない場合、温度制御を不可能にする。
【0121】
また、延長リード線を備えない、あるシステムは、装置と加熱要素のアセンブリに応じて、T2とT3の間に温度差を示し得る。この温度差が大きい場合、この影響は、正確な抵抗測定のために補正される必要があり得る。延長リード線と加熱要素を有する上述の単純なモデルは、加熱要素のEMFの発生源を示すために提供される。最も多くのシステムにおいて、さらなる材料の遷移と温度勾配が、抵抗測定経路におけるそれぞれの材料にある。以下に示すように、すべての材料の遷移と接合部の温度を完全に把握する、又はモデリングすることは、この影響を補正するために必要でない。(ゼーベック効果による)加熱要素のEMFは、容易に測定され、抵抗測定において、このEMFがもたらす誤差を補正するために用いられ得る。
【0122】
本明細書に記載されている実施形態と一致する気化装置において、この気化装置は、上述のように加熱要素の温度制御のために測定される加熱要素抵抗を用いる。加熱要素のEMFは、与えられる電力、及び/又は温度の推定値を制御するために測定し、用いられ得る。ゼーベック効果は、電流(又は定電流)が、ある時間において素子に流れない場合、加熱要素のEMFの主な原因であると見られ、加熱要素のEMFの唯一の周知の原因である。測定される加熱要素のEMFは、加熱要素のEMFにより生じる抵抗測定誤差を補正するために用いられ得る。(ゼーベックのEMFにより歪められる)抵抗測定とゼーベックのEMF測定は、正確な加熱要素の抵抗を計算するため、共に用いられ得る。この正確な加熱要素の抵抗は、加熱要素の平均温度を制御するために用いられ得る。
【0123】
抵抗測定における加熱要素のEMFの影響は、用いられる測定回路に応じる。加熱要素のEMFは、すべての周知の抵抗測定回路において測定誤差を生じるため、加熱要素のEMFは、抵抗測定において生じる誤差を補正するように、独立して測定され得る。加熱要素のEMFに対する抵抗測定の感度は、測定される加熱要素のEMFが、得られる2つの測定結果から加熱要素の抵抗を計算するように正しく用いられるために把握され得る。例えば、抵抗測定に用いられる同じ差動オペアンプが加熱要素のEMF測定にも用いられ得る。抵抗測定において、加熱要素は、測定可能な電圧が加熱器に渡るように、分圧器を通して電力供給され得る。この測定可能な電圧は、基準電圧と比較、又は他の基準電圧と加算され、差動オペアンプ回路により増幅される。加熱要素のEMF測定のため、電圧は加熱要素に与えられない。これにより、EMFを直接測定できる。このEMFは、別の近しい基準電圧と比較され、抵抗測定に用いられる同じ差動オペアンプにより増幅される。
【0124】
同じ増幅回路が用いられ得るため、抵抗測定及び加熱要素のEMFに対する加熱要素のEMF測定の両方の感度は同じである。2つの測定結果は、装置が、加熱しているとき、及びある時間において加熱していないとき(加熱要素が装置内で熱平衡に達するとき、ゼーベックのEMFは0である。)、加熱要素の正確な抵抗、すなわち測定される加熱要素のEMFの間における生の表示数値の差を計算するために用いられ得る。また、この測定結果は、他の計算が、補正された抵抗測定の表示数値から加熱要素の抵抗を生じるように実行される前に、生の抵抗測定の表示数値から差し引かれる。
【0125】
図18は、本願の主題のある実施形態による、気化装置の一部として用いられ得る測定回路の一例を示す。加熱中に加熱素子の抵抗を制御するためのこの回路の作動が、(
図18の回路図から、信号及び構成要素を参照する以下の信号及び構成要素の名称を備えて、)以下に示される。H+1821を除いて、全ての出力ボックス(1801,1803,1805,1807,1809,1811,1813)は図示されていないマイクロコントローラに接続されている。以下に記載されるタイミングは、1つの代表的なソフトウェアの実施形態に対するものであり、異なる実施形態に対して、異なる、又は修正され得る。加熱要素はH+1821とGNDの間において接続される。
【0126】
図18において、装置が加熱するとき、HEATER1807は、加熱要素において周知の電力を生じるため、あるデューティサイクルにおいて、(バッテリ電圧を加熱要素に電力供給する)Q5を介してVBATをH+1821に接続するように、PWMで作動される。装置が加熱している、又は起動している状態であるが加熱していないとき、3.9msごとに(256Hz測定)、HEATER1807はオフに保たれ、HM_PWR1805(差動オペアンプ回路への電力供給、及び測定に必要な基準電圧)は、268μsの間オンに保たれる。したがって、加熱要素の抵抗又は加熱要素のEMFのいずれかが測定され得る。加熱要素の抵抗とEMFはそれぞれ7.8msごとに測定される(抵抗とEMFは測定の時間帯域ごとにそれぞれ測定される。)。この268μsの測定の時間帯域における最初の200μsは、マイクロコントローラ(HM_OUT1809)により示されるオペアンプ出力に対する、安定化させるための整定時間である。ADCは、測定の時間帯域の最後の68μsにおいて、AREF_HM_OUT1801とGNDとの間で、HM_OUT1809のマイクロコントローラにより行われる。加熱要素の抵抗測定に対して、HM_NEG_REF_EN1803は加熱要素を付勢するためにオンである。したがって、R19と加熱要素によって形成される分圧器は、(U5,R21,R22,R23,及びR33を備える)差動オペアンプ回路により、R20とR32、及びR28とR29とR30の組み合わせにより形成される固定された分圧器と比較され得る。これらのR20とR32、及びR28とR29とR30の組み合わせは、装置が認識し得る加熱要素の抵抗の範囲に対して、AREF_HM_OUT1801とGNDとの間においてHM_OUT1809を使用可能な電圧範囲に保つために用いられる。HM_SCALE_0~2 1813は、浮動する(高いインピーダンス)、又は回路の抵抗測定の範囲を設定するために、R28~30を用いるようにマイクロコントローラ内のGNDに接続され得る。
【0127】
加熱要素のEMF測定に対して、HM_NEG_REF_EN1803は、H+が、加熱要素のEMF(相対的なGND)である所定の電圧まで浮動できるようにオフである。また、SEEBECK_REF_EN1815は、差動オペアンプ回路により用いられる固定された基準が加熱要素のEMFに十分に近づくように、オンになる。したがって、HM_OUT1809は、加熱要素が加熱されるとき、予想される加熱要素のEMFの範囲に渡って使用可能になる(AREF_HM_OUT1801とGNDとの間にある)。加熱要素のEMFは、+/-3mVの大きさであってもよい。加熱要素のEMF測定回路は、+/-5mVの範囲で測定し得る。測定回路は、装置が、ある時間において加熱しておらず、EMFが0のとき、0でないADCの値を生じる。この値は、抵抗の計算において用いられるとき、加熱要素のEMFの表示数値を「0」にするために用いられる。抵抗の計算は以下に示される。
【0128】
加熱要素の抵抗=(抵抗測定のADCの生の値-(EMF測定のADCの生の値-EMF測定のADCの0の値))*抵抗測定の感度+抵抗測定のオフセット
【0129】
抵抗測定の感度とオフセットは、(HM_SCALE_0~2 1813を用いて選択される)動作している抵抗測定のスケールに応じて、回路構成要素の値を用いるために解かれ、装置に(例えば、装置のファームウェア、ハードウェア、又はソフトウェアに)含まれ得る。
【0130】
ベースライン抵抗(加熱要素が、ある時間において加熱されていないとき、測定される抵抗)は、加熱要素の抵抗率と温度についての曲線に基づいて、目標となる平均的な加熱要素の温度に対応する目標抵抗を計算するため、用いられる。
【0131】
上述のように、抵抗測定回路は2端子検出回路であってもよい。他のバリエーションにおいて、4端子検出は、可変接触抵抗、及び加熱要素の抵抗測定に直列な配線又はリード線の抵抗の影響を軽減するため、用いられる。接触抵抗と配線/リード線の抵抗の変化は、抵抗測定と温度制御において無視できる影響を有する。一方、これらの影響は、より小さい抵抗の加熱要素、異なる加熱要素、及び装置アセンブリを有する一部のバリエーションにおいて、より顕著であってもよい。この場合、
図19に示されるような、4端子(4点としても周知の)抵抗、及びEMF測定回路が用いられ得る。
【0132】
図19において、(上述の回路図から信号及び構成要素を参照する以下の信号及び構成要素の名称、すなわち信号1903,1905,1907,1909,1911,1913,1915,1917を備える、)以下のものが図示されていないマイクロコントローラに接続され、加熱が行われ得るとき、加熱要素の抵抗を制御するための回路の作動が示される。一方、以下のタイミングは単なる代表例であり、異なってもよい。
図19において、HI+1822とHV+1826は加熱要素の一方の端子に直接接続する。一方、HV-1828とHI-1824は加熱要素の他方の端子に直接接続する。
【0133】
装置が加熱しているとき、HEATER1907は、加熱要素において周知の電力を生じるため、あるデューティサイクルにおいて、(バッテリ電圧を加熱要素に電力供給する)Q2を介してVBATをH+1822に接続するように、PWMで作動される。
【0134】
装置が加熱している、又は起動している状態であるが加熱していないとき、3.9msごとに(256Hz測定)、HEATER1907はオフに保たれ、HM_PWR1905(差動オペアンプ回路への電力供給、及び測定に必要な基準電圧)は、268μsの間オンに保たれる。したがって、加熱要素の抵抗又は加熱要素のEMFのいずれかが測定され得る。加熱要素の抵抗とEMFはそれぞれ7.8msごとに測定される(抵抗とEMFは測定の時間帯域ごとにそれぞれ測定される。)。この268μsの測定の時間帯域における最初の200μsは、マイクロコントローラ(HM_OUT1915)により示されるオペアンプ出力に対する、安定化させるための整定時間である。ADCは、測定の時間帯域の最後の68μsにおいて、AREF_HM_OUT1913とGNDとの間で、HM_OUT1915のマイクロコントローラにより行われる。
【0135】
加熱要素の抵抗測定に対して、HM_WS_ISRC_EN1903は、R20とHI+/-を通して加熱要素を付勢するためにオンである。したがって、HV+/-に渡る電圧は、(U2,R19,R23~25,及び任意でR10~14,R17,及びR21を備える)差動加算オペアンプ回路により測定され得る。HM_WS_POS_REF_EN1903は、R19を通るGNDとR25を通るHV+とを加算するため、オンである。HM_SCALE_0~5のある組み合わせは、装置が認識し得る加熱要素の抵抗の範囲に対して、AREF_HM_OUT1913とGNDとの間においてHM_OUT1915を使用可能な電圧範囲に保つように、R24を通るHV-と、R10~14のそれぞれの組み合わせを通るVBATとを加算するため、オンである。
【0136】
加熱要素のEMF測定に対して、HM_WS_ISRC_EN1903は、HV+が、加熱要素のEMF(相対的なHV-)である所定の電圧まで浮動できるようにオフである。すなわち、HM_WS_POS_REF_EN1909は、R19を通るR17、R21、R19の分圧器とR25を通るHV+とを加算するようにオフである。また、HM_SCALE0~4 1911は、オペアンプの負の入力において、加算を与えず、負のフィードバックのみを与えるように全てオフである。この差動加算構成は、加熱要素が加熱されるとき、予想される加熱要素のEMFの範囲に渡って、(AREF_HM_OUT1913とGNDとの間にある)使用可能な範囲にHM_OUT1915を保つ。上述の値を用いて、加熱要素のEMF測定回路は+/-3.5mVの間で測定し得る。測定回路は、装置が、ある時間において加熱しておらず、EMFが0のとき、0でないADCの値を生じる。この値は、抵抗の計算において用いられるとき、加熱要素のEMFの表示数値を「0」にするため用いられる。
【0137】
抵抗の計算は以下に示される。
【0138】
加熱要素の抵抗=(抵抗測定のADCの生の値-(EMF測定のADCの生の値-EMF測定のADCの0の値))*抵抗測定の感度+抵抗測定のオフセット
抵抗測定の感度とオフセットは、(HM_SCALE_0~4 1911を用いて選択される)動作している抵抗測定のスケールに応じて、回路構成要素の値を用いるために解かれ、装置に(例えば、装置のファームウェア、ハードウェア、又はソフトウェアに)含まれ得る。
【0139】
ベースライン抵抗(加熱要素が、ある時間において加熱されていないとき、測定される抵抗)は、加熱要素の抵抗率と温度についての曲線に基づいて、目標となる平均的な加熱要素の温度に対応する目標抵抗を計算するため、用いられる。
【0140】
上述のように、熱電特性の不一致、及び生じるEM(例えばゼーベックのEMF)は、(例えば、延長リード線を有する加熱要素を用いる)気化器の試作品の制御試験から得られるデータの後において、抵抗測定誤差の潜在的な原因となり得る。(このEMFを補正することなく、測定された加熱要素の抵抗を用いる)加熱要素の温度制御と共に動作する単一の加熱要素は、他方の極性に対する一方の極性に接続されるとき、より高い電力で一貫して動作し得る。加熱要素のアセンブリ(この場合、芯とコイル)の非対称性が、2つの加熱要素/延長リード線の接合部の一方において、より高い温度を一貫して生じ得ることが示される。これは、加熱要素が一方の極性において接続されている一方向、及び加熱要素が他方の極性において接続されている他方向における抵抗測定を歪める、作動温度において一貫しているオフセット電圧をもたらす。測定される抵抗はこれらの試験中に制御される。一方、これらの装置は、構成要素の熱電特性の不一致から生じるこのオフセットのEMFにより、測定が歪められるため、加熱要素の温度を正確に制御しない。抵抗測定の誤差を補正するために用いられる、上述の補正と共に、加熱要素の極性が、制御試験において加熱要素を作動温度に保つために必要な電力に影響を及ぼさないことが示される。これは、この補正が、オフセットのEMFの影響を除去する、正確に計算された加熱要素の抵抗を生じることを示す。これは、補正されない場合より、はるかに正確な加熱要素の温度制御を提供する。
【0141】
したがって、本明細書に記載されているバリエーションのいずれにおいても、本発明の主題の実施形態と一致する気化装置は、抵抗加熱コイルと、(例えば、気化器電力コントローラを含む気化器基部から)カートリッジ内の電源の入力部に抵抗加熱コイルを繋げる導電性コネクタとの間における熱電特性の不一致から生じるオフセット電圧を補正するための(ゼーベック補正回路とも呼称される)オフセット補正回路を含み得る。オフセット補正回路は、気化器基部に配置され、カートリッジコネクタと連結させるための連結コネクタ595,595’の間において接続され、加熱(抵抗)コイルと、カートリッジのコネクタにコイルを繋げるワイヤとの熱電特性の不一致によるオフセット電圧を決め得る。本明細書において、コイルと、電気的コネクタに接続するワイヤ(電気的延長部)との間における熱電特性の不一致(ゼーベック効果)を補正する方法も記載されている。
【0142】
[用量モニタリング]
【0143】
上述のように、本明細書に記載されている主題の実施形態と一致する気化装置は、与えられた物質の用量を、さらに又は代わりに検出及び表示し得る。(2015年4月12日に提出され、米国公開特許 2016-0157524-A1として公開された)米国特許出願 14/960,259は、本明細書の一部を構成するものとして全体から援用され、用量を決める方法(及び用量の決定部を含む装置)の例を記載している。一般的に、これらの方法は、加熱器に与えられる電力、及び加熱器(又は加熱器に接触する物質)の温度に基づいて、わずかな時間増加の直前において、用量を正確に計算するために用いられ得る。合計の用量は、所望の時間範囲に渡って、これらの小さな増加を合計することにより決められる。これらの方法は、本明細書の一部を構成するものとして含まれ、上述のように与えられる電力を補正することにより、さらに正確に形成され得る(例えば、ゼーベック効果によるオフセットのEMFを考慮に入れる)。
【0144】
本明細書において、代わりに、又はさらに、カートリッジ内部の物質を蒸発させるために経時的に与えられる電力に基づいて、用量の大まかな近似値を与え得る方法及び装置が記載されている。本明細書において、これは、カートリッジ又は蒸発物質などの消費(カートリッジ内の蒸発物質の消費、すなわち消費の表示)と呼称され得る。一般的に、装置は、装置の作動中に電力(例えば、吐き出し/吸引中に経時的に与えられる電力、及び/又はこの時間に渡って与えられる電力に吸入の時間を乗算した値)を集め得る。
【0145】
この装置は消費量の出力をさらに与え得る。特に、この出力は定性的な近似値であってもよい。例えば、出力は、装置の表面における1つ以上のLEDの数、強度、及び/又は色を徐々に増加させ得る。例えば、この場合、消費量(用量)は、絶対量ではなく、経時的に物質を蒸発させるために与えられる電力(コイルに与えられる電力)のインジケータ又は表示数値である。
図9Cにおいて、例えば、使用者がカートリッジを最初に取り付け、装置が消費量/用量を表示するように設定されているとき、4つのLED897は、初めに消灯している、又は中間色(例えば白色)に点灯し得る。使用者が、装置で吸い込み、カートリッジ内の物質を蒸発させると、点灯するLEDの数が増加し得る。また、照明の強度、及び/又は色は、用量又は消費量の増加を示すために増加し得る。例えば、経時的に与えられる電力の計算は、数または所定の増分に基づいて、特定の色、及び/又は強度の点灯するLEDの数を増やす、色、及び/又は強度を変えるかどうかなどを決め得る。
【0146】
累積される用量は、手動で(例えば、アプリケーションを用いて、装置を振るなど)、又はカートリッジを取り外すことにより、リセットされ得る。代わりに、又はさらに、上述の定性的な出力に対して、電力に基づく定量的な推定値は、表示される、又はリモートプロセッサ(例えばスマートフォンなど)に出力され得る。
【0147】
[加熱器としての熱電対]
【0148】
本明細書に記載されている主題の実施形態と一致する気化装置において、加熱器は熱電対の接合部として構成され得る。例えば、
図20A,20Bを参照する。したがって、(異なる熱電特性を有する材料を含む)熱電対の接合部は、加熱器のコイルに沿う、ある点において、温度を測定するように用いられ得る。上述のように、これは、装置が、上述の熱電特性を用いて、加熱器のコイルに沿って温度を抵抗で決めることを可能にする。したがって、上述のものと同様に、加熱要素は加熱器としても温度センサとしても機能を果たす。例えば、
図20Aに示すように、抵抗加熱器は、互いに溶接された2つの異なる導体(例えば、ステンレス鋼とチタン)を備えてもよい。加熱器(加熱コイル)が加熱するとき、2つの異なる材料の接合部において、異なる材料は別々に加熱され、上述のゼーベック効果により、温度勾配と、それにより生じるオフセット電圧(EMF)を生じる。この影響は、接合部において、温度を決めるために用いられ得る。(一方、上述のように、一般的に、TCR、抵抗の温度係数を用いることにより、加熱器全体の平均温度を決める。)
【0149】
ゼーベック効果は、加熱器端部の極と受動的な電線管との間の接合部においても生じる。上述の補正回路は影響を補正することを目的としている。一方、より局所的な温度測定のために、影響を利用することも可能である。例えば、
図20Aと
図20Bを比較する。
図20Aにおいて、接合部は加熱要素の中央に配置される。この場合、温度に基づくオフセット電圧を決めることは、正確な温度決定を可能にする。特に、この実施形態は対流気化器に関する。この対流気化器は、(相対的に)大きな加熱器を有し、使用者は排気口端の温度に注意する。
【0150】
加熱要素が延長リード線を通して装置に接続されている気化システムにおいて、ゼーベック係数が両方の材料について周知である場合、測定されたゼーベックのEMFは、加熱要素に渡る最終的な温度勾配を決めるために用いられ得る。あるモデルでは、この測定は、加熱要素の平均温度の代わりに、又はそれに加えて、加熱要素の最大温度を近似的に制御するために用いられ得る。この測定は、加熱要素のアセンブリが製造される場所で品質管理を行うためにも用いられ得る。加熱要素が延長リード線を通して装置に接続され、加熱要素が主に空気を加熱するために用いられる気化システムにおいて、ゼーベック係数が両方の材料について周知である場合、ゼーベックのEMFは、加熱要素に渡る最終的な温度勾配を決めるために用いられ得る。この温度勾配は、従来の空気流路及びシステムの熱モデルにより、加熱要素の下流のある点における平均空気温度を予測するために用いられ得る。上述のように、これは、アクチュエータから得られる2つの測定値(抵抗及びゼーベックのEMF)が、空気経路内の、又は加熱要素に接続されている追加のセンサなしで、加熱要素の排気口から流れる空気の正確な温度制御を可能にするため、対流(熱風)気化システムにおいて特に有益であってもよい。
【0151】
図20Aに示すように、ゼーベック効果だけ、又は抵抗測定と併用されるゼーベック効果は、温度が制御されるべき位置において、材料の遷移(接合部)を有する加熱要素の温度制御に用いられ得る。これは、抵抗加熱合金から熱電対を実質的に形成している。したがって、ゼーベックのEMFは、熱電対抵抗加熱器の温接点における温度を制御するために測定され得る。接合部は、加熱要素の最高温度を制御するため、加熱要素が最も熱くなると予想される場所に位置し得る。制御アルゴリズムは、加熱要素の(抵抗およびEMFの測定値を用いて計算される)目標平均温度、及び加熱要素の(EMFの測定値だけを用いて計算される)最大許容温度を用い得る。加熱要素の平均温度と加熱要素の最高温度の両方が分かる装置は、加熱要素に沿う温度勾配についてより分かり、加熱要素の最高温度又は平均温度だけ分かる装置より、加熱中に蒸発する物質の質量を予測することにさらに好ましい。 (気化した材料の正確な質量が分かる装置は気化器内の用量制御に重要である。)延長部は、そのようなシステムで用いられる場合、対象とする加熱要素と同じ材料であってもよく、延長部における損失を減らすためにさらに大きなゲージであってもよい。または、2つの加熱要素部のゼーベック係数に非常に類似するゼーベック係数を有する延長部が用いられ得る。したがって、ゼーベックのEMFは温接点の温度制御(最終的なゼーベックのEMFへの加熱要素/延長部の接合部のわずかな助け)に使用可能である。
【0152】
[カートリッジを有さない気化器]
【0153】
本明細書に記載されているいずれの特徴も、ルーズリーフ気化装置のような気化装置を含む、独立した使用(例えば、取り外し可能なカートリッジ)を必要としない気化装置に含まれ得る。
【0154】
そのような装置は、例えば、以下の出願のそれぞれにおいて記載されている。これらの出願は、本明細書の一部を構成するものとして全体から援用される。
米国特許出願 13/837,438、2013年3月15日に提出、米国公開特許 2013-0312742 A1
米国特許出願 15/166,001、2016年5月26日に提出、米国公開特許 2016-0262459 A1
米国特許出願 14/581,666、2014年12月23日に提出、米国公開特許 2015-0208729 A1
米国特許出願 15/053,927、2016年2月25日に提出、米国公開特許 2016-0174611 A1
米国特許出願 15/257,748、2016年9月6日に提出
米国特許出願 15/257,760、2016年9月6日に提出、米国公開特許 2016-0374399 A1
米国特許出願 15/257,768、2016年9月6日に提出、米国公開特許 2016-0366947 A1
【0155】
例えば、そのような装置は、プリセット機能を含み、(マウスピースの上方又は下方の)ボタンを0.6秒よりも長く押し続けることにより、使用者が温度設定モードに入力することを可能にする。例えば、ボタンをもう一度押すことで、4+1のプリセットを繰り返す。温度設定を終了する場合、もう一度、ボタンを0.6秒よりも長く押し続ける。このプリセットは、例えば180C,193C,204C,216Cである。
【0156】
本明細書に記載されている装置のいずれも、例えば以下の異なる場面に対する、明確な特徴を有する触覚フィードバックを含む。
【0157】
電源オン、及びBluetooth(登録商標)の接続に対する、台形状の入力(/ ̄\)
【0158】
手動による電源オフ、Bluetooth(登録商標)の切断に対する、すばやいクリック(||)
【0159】
達した温度に対する、2回の長いクリック(| ̄|| ̄|)
【0160】
到達した低温における待機、及び自動的な遮断に対する、1回の長いクリック(| ̄|)
【0161】
また、使用者は、アプリケーションを介して、これらの動作範囲の強度を変え得る。
【0162】
図23を参照して、プロセスフローチャート2300は方法の特徴を示す。この方法は以下の一部又はすべてを任意に含み得る。ステップ2310において、空気流軸を有する空気流路に沿って気化装置に吸い込まれる空気への蒸発物質の加熱及び蒸発を生じることを含む動作が行われる。空気流路は、吸気口と、蒸発物質を有するエアロゾルを使用者に供給するように構成されているマウスピースとを接続する。気化装置の外側からの空気は吸気口を介して気化器装置に入る。ステップ2320において、空気は、マウスピース内、又はマウスピースに近接して位置するパッドを通過する。このパッドは、空気をパッドに通過させることを必要とせずに、空気から堆積、及び/又は凝縮された液体を捕らえるように構成されている。
【0163】
本明細書に記載されている、図面を含む開示は、これらの異なるバリエーションを独立して記載する、及び/又は例となり得る。一方、これらのバリエーションのすべて若しくは一部、又はそれらの構成要素が組み合わせられ得ることが把握される。
【0164】
様々な代表的な実施形態が上述されている。一方、多くの変更点のいずれも様々な実施形態に対して形成され得る。例えば、本明細書に記載されている様々な方法のステップが実行される順序は、別の実施形態において大抵変更され得る。また、他の別の実施形態において、1つ以上の方法のステップは、完全に飛ばされ得る。様々な装置及びシステムの実施形態の任意の特徴は、他の実施形態ではなく一部の実施形態に含まれ得る。したがって、上述の記載は、代表的な目標として主に提供されており、特許請求の範囲を限定するように解釈されるものではない。
【0165】
本明細書において、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素「に」あるように示される場合、この特徴又は要素は、他の特徴または要素に直接あってもよく、若しくは介在する特徴及び/又は要素もあってもよい。一方、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素「に直接」あるように示される場合、介在する特徴又は要素はない。また、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続される」、「取り付けられる」若しくは「連結される」ように示される場合、この特徴又は要素は、他の特徴若しくは要素、又は介在する特徴又は要素に直接接続される、取り付けられる、又は連結されることがあってもよいことが把握される。一方、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接接続される」、「直接取り付けられる」又は「直接連結される」ように示される場合、介在する特徴又は要素はない。1つの実施形態に関して記載されている、又は図示されている一方、そのように記載されている、又は図示されている特徴及び要素は他の実施形態にも適用され得る。別の特徴に「隣接して」配置されている構造又は特徴を示すことは、隣接する特徴と重なり合う、又は下方にある部分を有してもよい。
【0166】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することだけを目的としており、限定するように意図されていない。例えば、本明細書に用いられるように、単数形の「ある」は、文脈が明らかにそれ以外を示さない限り、複数形も含むように意図されている。また、「備える」という用語は、本明細書で用いられる場合、記載されている特徴、ステップ、作動、要素、及び/又は構成要素の存在を特定する一方、1つ以上の他の特徴、ステップ、作動、要素、構成要素、及び/又はそれらの集まりがあること、又は追加されることを除外しないことが把握される。本明細書に用いられるように、「及び/又は」という用語は、関連した列挙項目において、1つ以上のありとあらゆる組合せを含み、「/」と省略され得る。
【0167】
本明細書において、「下方」、「上方」のような空間的に相対的な用語は、1つの要素又は特徴と、図示されるような別の要素又は特徴との関係を記載する容易な記述のために用いられ得る。空間的に相対的な用語は、図示されている向きに加えて、使用または作動中の装置の異なる向きを含むように意図されていることが把握されている。例えば、図示される装置が反転されている場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「真下」にあるように記載されている要素は、他の要素又は特徴の「上方」に向けられる。したがって、代表的な用語である「下方」は、上向きと下向きの両方を含み得る。この装置は他の方向を(90度または他の方向に回転して)向いてもよい。また、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述子は適切に解釈される。同様に、本明細書において、「上方」、「下方」、「垂直」、「水平」などの用語は、特に他に示されない限り、説明のためにのみ用いられる。
【0168】
本明細書において、「第1」及び「第2」という用語は、(ステップを含む)様々な特徴又は要素を記載するために用いられ得る。一方、これらの特徴又は要素は、文脈がそれ以外を示さない限り、これらの用語により限定されない。これらの用語は、1つの特徴又は要素を別の特徴又は要素から区別するために用いられ得る。したがって、以下に記載される第1の特徴又は要素は第2の特徴又は要素と呼称され得る。同様に、本明細書において提供される教示から逸脱することなく、以下に記載される第2の特徴又は要素は第1の特徴又は要素と呼称され得る。
【0169】
本明細書及び後述する特許請求の範囲を通して、文脈がそれ以外を要求しない限り、「備える」という用語は、様々な構成要素が方法及び記載(例えば、装置及び方法を含む構成)において共に用いられ得ることを意味する。例えば、「備える」という用語は、記載されているいかなる要素又はステップも含むことを示す一方、他の要素又はステップも排除することを示さないように把握される。
【0170】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられるように、実施例で使用される場合、また明らかに他に記載されないことに限る場合を含み、すべての数字は、その用語が明らかに示さない場合でも、「約」または「およそ」の語句が頭に置かれるように解釈され得る。「約」又は「およそ」という表現は、記載されている値及び/又は位置が、値及び/又は位置の適切に予想される範囲内にあることを示すために大きさ及び/又は位置を記載する場合、用いられ得る。例えば、数値は、表示値の±0.1%(または値の範囲)、表示値の±1%(または値の範囲)、表示値の±2%(または値の範囲)、表示値の±5%(または値の範囲)、表示値の±10%(または値の範囲)などである値を有してもよい。また、本明細書に記載されているいかなる数値も、文脈がそれ以外を示さない限り、約又はおよそを含むように把握される。
【0171】
本明細書に含まれる実施例及び図は、限定することなく図を用いて、主題が実施され得る特定の実施形態を示す。上述のように、他の実施形態は、構造的及び論理的な置換および変更が、本願の開示の範囲から逸脱することなく形成されるように、そこから用いられる、及び得られてもよい。本明細書において、特定の実施形態が、図示され、記載されている一方、同じ目的を達成するために計算されているいかなる構成も、図示されている特定の実施形態と置き換えられ得る。本願の開示は、様々な実施形態のありとあらゆる構成又はバリエーションに拡がるように意図されている。上述の実施形態と、本明細書に特に記載されていない他の実施形態との組み合わせができる。
【0172】
上述の明細書及び特許請求の範囲において、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」のような表現は、要素または特徴の結合する一覧に続くように現れる。また、「及び/又は」という用語は、2つ以上の要素または特徴の一覧に現れる。そのような表現が用いられる文脈により、暗黙として、又は明確に他と矛盾しない限り、そのような表現は、個別に列挙されている要素若しくは特徴のいずれも、又は列挙されている他の要素若しくは特徴のいずれとも組み合わされる列挙されている要素若しくは特徴のいずれも意味するように示される。例えば、「A及びBの少なくとも1つ」と、「A及びBの1つ以上」と、「A及び/又はB」という表現は、「Aのみ、Bのみ、又はAとB共に」を意味するようにそれぞれ示される。また、同様の解釈は、3つ以上の項目を含む一覧に対しても示される。例えば、「AとBとCの少なくとも1つ」、「1つ以上のAとBとC」、及び「A、B、及び/又はC」という表現は、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBと共に、AとCと共に、BとCと共に、又はAとBとCと共に」を意味するようにそれぞれ示される。上述の明細書及び特許請求の範囲における「に基づく」という用語の使用は、記載されていない特徴又は要素も許されるように、「少なくとも部分的に基づく」を意味するように示される。
【0173】
上述の明細書に記載されている実施形態は、本明細書に記載されている主題と一致するすべての実施形態を表さない。代わりに、それらは、記載されている主題に関連する態様と一致する単なる一部の実施例である。本明細書において、少数のバリエーションが詳細に記載されている一方、他の修正又は追加が可能である。特に、本明細書に記載されていることに加えて、さらなる特徴及び/又はバリエーションが提供され得る。例えば、上述の実施形態は、開示されている特徴の様々な組み合わせ及び部分的な組み合わせ、及び/又は本明細書に開示されていることに付け加えられる1つ以上の特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせに向き得る。また、添付図面に示される、及び/又は本明細書に記載されている論理の流れは、望ましい結果を得るために、示される特定の順序、若しくは一連の順序を必ずしも必要としない。以下の特許請求の範囲は他の実施形態を含み得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化装置であって、
蒸発物質を含むカートリッジに連結するように構成されているボディであって、前記カートリッジが前記気化装置の前記ボディに連結されたときに前記カートリッジ内に加熱要素に接続される1つ以上の延長リード線に連結するように構成された1つ以上の電気的接点を含む、ボディと、
前記気化装置の前記ボディに連結された前記カートリッジに含まれる前記蒸発物質の少なくとも一部の気化を前記加熱要素が引き起こすために前記加熱要素の温度の調整をするように構成されたコントローラであって、前記調整は、前記加熱要素と前記延長リード線との間の温度差及び/又は材料の相違によって生じる開回路電圧を補償することを含む、コントローラと、
を備える気化装置。
【請求項2】
前記加熱要素の前記温度は前記加熱要素の抵抗に対応しており、前記コントローラは、少なくとも前記加熱要素の前記抵抗に基づいて、前記加熱要素の前記温度を調整する、請求項1に記載の気化装置。
【請求項3】
前記加熱要素の前記抵抗を測定するように構成されたホイートストンブリッジをさらに備える、請求項2に記載の気化装置。
【請求項4】
前記ホイートストンブリッジは第1の基準抵抗を有する第1の抵抗器を含み、前記第1の抵抗器は、前記カートリッジが前記気化装置の前記ボディに連結されたときに、前記加熱要素に直列に連結して第1の分圧器を形成する、請求項3に記載の気化装置。
【請求項5】
前記ホイートストンブリッジは第2の基準抵抗を有する第2の抵抗器をさらに含み、前記第2の抵抗器は、第3の基準抵抗を有する第3の抵抗器に直列に連結されて第2の分圧器を形成する、請求項4に記載の気化装置。
【請求項6】
前記加熱要素の前記抵抗は、前記開回路電圧を補償するように調整された、前記ホイートストンブリッジの電圧差に対応する、請求項3に記載の気化装置。
【請求項7】
前記コントローラは、電圧が前記加熱要素に与えられないときに前記加熱要素の電圧を少なくとも測定することによって前記開回路電圧を決定するようにさらに構成される、請求項1に記載の気化装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記蒸発物質の気化を引き起こす目標温度を達成するために、前記加熱要素の前記温度を調整する、請求項1に記載の気化装置。
【請求項9】
前記気化装置の前記ボディは、第1の1対の電気的接点と、第2の1対の電気的接点とを含む、請求項1に記載の気化装置。
【請求項10】
前記第2の1対の電気的接点を介して前記加熱要素の前記温度が測定されている間、前記加熱要素の前記温度を増加させる電流が前記第1の1対の電気的接点を介して送られる、請求項9に記載の気化装置。
【請求項11】
気化装置のコントローラによって、前記気化装置のボディに連結されたカートリッジ内の加熱要素の温度を調整するステップであって、前記加熱要素の前記温度が、前記カートリッジに含まれる蒸発物質の少なくとも一部の気化を前記加熱要素が引き起こすために調整され、当該調整が、前記加熱要素と当該加熱要素に接続される1つ以上の延長リード線との間の温度差及び/又は材料の相違によって生じる開回路電圧を補償することを含む、ステップと、
ユーザに対して、前記蒸発物質の前記気化によって生成されたエアロゾルを運ぶステップと、を備える方法。
【請求項12】
前記加熱要素の前記温度は前記加熱要素の抵抗に対応しており、前記コントローラは、少なくとも前記加熱要素の前記抵抗に基づいて、前記加熱要素の前記温度を調整する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記気化装置に含まれるホイートストンブリッジによって、前記加熱要素の前記抵抗を測定するステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ホイートストンブリッジは第1の基準抵抗を有する第1の抵抗器を含み、前記第1の抵抗器は、前記カートリッジが前記気化装置の前記ボディに連結されたときに、前記加熱要素に直列に連結して第1の分圧器を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ホイートストンブリッジは第2の基準抵抗を有する第2の抵抗器をさらに含み、前記第2の抵抗器は、第3の基準抵抗を有する第3の抵抗器に直列に連結されて第2の分圧器を形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱要素の前記抵抗は、前記開回路電圧を補償するように調整された、前記ホイートストンブリッジの電圧差に対応する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
電圧が前記加熱要素に与えられないときに前記加熱要素の電圧を少なくとも測定することによって前記開回路電圧を決定するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記蒸発物質の気化を引き起こす目標温度を達成するために、前記加熱要素の前記温度が調整される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記気化装置の前記ボディの第1の1対の電気的接点を介して前記加熱要素に電流を少なくとも送ることによって、前記加熱要素の前記温度を増加させるステップと、
前記気化装置の前記ボディの第2の1対の電気的接点を介して前記加熱要素の前記温度を測定するステップと、
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の1対の電気的接点を介して前記加熱要素の前記温度が測定されている間、前記第1の1対の電気的接点を介して前記加熱要素に前記電流が送られる、請求項19に記載の方法。
【外国語明細書】