(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081588
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】教育支援システム及び教育支援方法
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20220524BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20220524BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20220524BHJP
【FI】
G09B19/00 H
G09B5/02
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034861
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2018235947の分割
【原出願日】2018-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】518158846
【氏名又は名称】株式会社EdLog
(74)【代理人】
【識別番号】100109715
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100205693
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 協一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 哲
(57)【要約】 (修正有)
【課題】学習者の効率的な学習及び/又は教員の効率的な教育を支援すること。
【解決手段】本発明は、デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを記憶する行動履歴データベースと、該学習者に対して実施されたテストの問題に対する該学習者の解答に基づく答案データを取得する答案データ取得部と、取得された該答案データにおける問題に対して採点処理を行って、返却用答案データを生成する採点処理部と、該返却用答案データを出力する採点結果出力部とを備える。該採点処理部は、該答案データにおける該問題に採点属性が関連付けられた該テストに対する採点結果データを取得する採点結果データ取得部と、該行動履歴データベースに記憶された該学習者の該行動履歴データに基づいて、該採点結果データにおける該採点属性が関連付けられた該問題に教示情報を付与する教示情報付与部とを備える教育支援システムである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル教科書を用いた教育支援システムであって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを記憶する行動履歴データベースと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得する答案データ取得部と、
取得された前記答案データにおける問題に対して採点処理を行って、返却用答案データを生成する採点処理部と、
前記返却用答案データを出力する採点結果出力部と、を備え、
前記採点処理部は、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得する採点結果データ取得部と、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた前記問題に教示情報を付与する教示情報付与部と、
を備える、
教育支援システム。
【請求項2】
前記テストの前記問題に関連付けられた少なくとも1つの教示項目を含む教示情報を記憶する教示情報データベースを更に備え、
前記教示情報付与部は、前記行動履歴データに基づいて、前記教示情報データベースから特定の問題についての特定の教示項目を抽出し、前記採点結果データにおける前記特定の問題に、前記特定の教示項目を前記特定の教示情報として付与する、
請求項1に記載の教育支援システム。
【請求項3】
前記学習者の前記行動履歴データを取得する行動履歴取得部を更に備える、請求項2に記載の教育支援システム。
【請求項4】
前記行動履歴取得部は、取得した前記行動履歴データを、前記行動履歴データベースに格納するように構成される、請求項3に記載の教育支援システム。
【請求項5】
前記行動履歴取得部は、前記学習者による前記デジタル教科書に対する所定の学習項目の表示操作に従った操作イベントを取得し、取得した前記操作イベントに基づいて前記行動履歴データを生成する、請求項3又は4に記載の教育支援システム。
【請求項6】
前記行動履歴取得部は、外部からの指示に従った前記デジタル教科書に対する制御イベントを取得し、取得した前記制御イベントに基づいて前記行動履歴データを生成する、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の教育支援システム。
【請求項7】
前記行動履歴取得部は、前記デジタル教科書により前記所定の学習項目が表示された時間に関する時間情報に基づいて、前記行動履歴データを生成する、請求項5に記載の教育支援システム。
【請求項8】
前記行動履歴取得部は、前記学習者を指導する教員のマスタデジタル教科書に対する前記教員の行動に基づく行動履歴データを取得する、請求項5に記載の教育支援システム。
【請求項9】
前記学習者の学習行動に基づく前記行動履歴データ及び前記教員の行動に基づく前記行動履歴データに基づいて、前記所定の学習項目についての、前記学習者の前記デジタル教科書と前記教員の前記マスタデジタル教科書との同期状態を決定する同期状態決定部を更に備える、請求項8に記載の教育支援システム。
【請求項10】
前記教示情報付与部は、前記同期状態に基づいて、前記教示情報データベースから前記特定の教示項目を抽出する、請求項9に記載の教育支援システム。
【請求項11】
前記同期状態決定部は、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者の学習行動に基づく前記行動履歴データに基づいて、前記所定の学習項目についての全体の同期状態を決定し、
前記教示情報付与部は、前記全体の同期状態に基づいて、前記教示情報データベースから前記特定の教示項目を抽出する、請求項9又は10に記載の教育支援システム。
【請求項12】
前記教示情報付与部は、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者による前記特定の問題に対する解答に基づく全体の正答率に基づいて、前記教示情報データベースから前記特定の教示項目を抽出する、請求項2に記載の教育支援システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの教示項目は、前記問題の出題意図に関するコメント、前記問題に対する解説コメント、前記問題を克服するためのリコメンデーションコメント、前記問題に関連する前記デジタル教科書における特定の箇所を示すリンク情報、及び前記問題に関連する副教材における特定の箇所を示すリンク情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の教育支援システム。
【請求項14】
デジタル教科書を用いた教育支援方法であって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを収集し、行動履歴データベースに格納することと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得することと、
取得された前記答案データにおける問題に対して採点処理を行って、返却用答案データを生成することと、
前記返却用答案データを出力することと、を含み、
前記返却用答案データを生成することは、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得することと、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた前記問題に教示情報を付与することと、を含む、
教育支援方法。
【請求項15】
デジタル教科書として機能する端末装置であって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得する行動履歴取得部と、
前記学習者が受けたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データに基づいて生成された返却用答案データを取得して返却用答案用紙として表示するテスト結果表示制御部と、を備え、
前記返却用答案データは、前記行動履歴データに基づいて前記答案データにおいて採点属性が関連付けられた問題に付与された教示情報を含み、
前記テスト結果表示制御部は、前記返却用答案データに含まれる前記教示情報が表示されるように制御を行う、
端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育を支援するためのシステムに関し、特に、教育者による授業及びこれに付随する校務を支援するための教育支援システム並びにこれを用いた教育支援方法に関する。また、本発明は、学習者に対する学習支援システム及びこれを用いた学習支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、学校授業等の教育現場においては、生徒ないしは学生等の学習者が学習内容を習得ないしは理解したレベルを評価する手法として、一般的に、学習者が問題に対して解答する「テスト」が実施される。かかるテストでは、教育者が自作したテストに加え、以前より、出版社により学習指導要領に沿って作成されたいわゆる「業者テスト」が利用され、教員等の教育者は、対象クラスないしは学年等のある種のクラスタに属する学習者にテスト用紙を配布してテストを実施し、その後、回収したテスト用紙ないしは解答用紙を採点し、その採点結果を学習者にフィードバックする。
【0003】
ところで、教育現場での情報通信技術(ICT:Information Communication Technology)の利用が進展する中、教育者及び/又は学習者を支援するための様々なシステムが提案されている。
【0004】
例えば、いわゆるデジタル教科書は、従前の紙媒体の教科書に代わるもので、教育者及び学習者のコンピューティングデバイス(例えばタブレットコンピュータ)の画面に学習内容をインタラクティブに表示させることにより、コンピューティングデバイスを教科書として利用可能にする。また、コンピュータベーステスティング(CBT)は、コンピュータシステムの制御の下、学習者がコンピュータの画面に表示される問題に対して解答することにより、その解答結果を収集、分析し、学習内容の習得度が一定の基準に達しているか否かを評価するテスト形態である。
【0005】
下記の特許文献1は、テストの採点結果を収集・分析することにより、効率的な講義を行うことを可能とする教育支援システムを開示する。かかる教育支援システムでは、教科書データなどの教材データが第1表示装置に表示され、これを参照して講義などが行われ、講義の内容に関連するテストが行われると、テストデータに対する解答が収集、分析され、教材データにおける解答関連箇所を示すリンク情報が生成されて第2表示装置に表示される。また、教師は、リンク情報を利用してさらなる講義を行う。
【0006】
また、下記の特許文献2は、解答用紙に対する採点を効果的に支援する技術を開示する。具体的には、解答処理部は、解答済みの解答用紙の画像データを全員分取得し、すべての解答欄、氏名欄を画像データとして抽出し、関連付けてスキャンデータDB記録する。集約出力部は、同じ解答欄だけが抽出され集約された解答集を生成し印刷出力する。採点処理部は、採点済みの採点用集約印刷出力を取得し、画像データとして抽出し、記録する。また、採点処理部は、画像データに追記されている○×等を識別することで得点を決定する。結果出力部は、指定を受けた解答者(印刷対象者)の画像データ及び合計点数を取得し、採点後の解答用紙として印刷出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-156509号公報
【特許文献2】特開2018-037832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
業者テストを利用する場合、教育者は、テストの問題を自ら作成する手間を省くことができ、該業者テストが示すテスト範囲に沿った授業を行った後にテストを実施し、採点することで、個々の学習者の習得レベルを評価することができる。
【0009】
しかしながら、従前の業者テストは、依然として紙媒体が用いられることが多く、教育者は、テスト用紙を回収した後、個々の問題に対する学習者の解答を採点しなければならないところ、かかる採点作業は非常に煩雑でかなりの時間を要してしまうという課題があった。この点、マークシート形式のテストは、採点作業の簡略化及び効率化を図ることができる点で有利であるが、例えば学習者の解答過程を評価し得ず、教育及び学習の本質論からみて、適したものであるとは言い難い。とりわけ、小学校低学年の学習者にとってマークシート形式のテストは相応しくないという事実は教育関係者に認識されている。
【0010】
一方、教育現場のICT化は、デジタル教科書の利用やCBTの採点結果等の学習データを効率的に収集、分析することができ、学習者は自己の学習目標に活用し、また、教育者は学習者ごと及びクラス内の学習指導計画に活用することができる。
【0011】
しかしながら、教育現場のICT化には膨大なコストがかかり、とりわけ、公立学校を中心とした教育現場では、ICT化はほとんど進んでおらず、結局は、紙媒体のテスト用紙を用いて学習者が自由記入により解答するテストが頻繁に実施されるのが実情である。また、かかるテストについて、コンピュータによる自動採点は、AI技術の認識精度等の観点から実用化には至っていない。このため、現状の教育現場を考慮しつつ、ICTを活用した教育者によるテストの採点作業等を効率化するシステムが要望されているところ、かかる要望を十分に満たすシステムは存在しなかった。
【0012】
さらに、従前は、教育者個人が、実施したテストの採点結果を分析して、個々の学習者及びクラス全体に対する学習指導計画に反映する試みはあっても、教育者の経験に依拠しており、また、実施したテストの採点結果のみを分析するに止まっていたため、必ずしも有効な学習指導計画の構築には至っていないというのが実情である。
【0013】
そこで、本発明は、教育者等の授業及びこれに付随する校務を効率的に支援し、及び/又は、学習者の効率的な学習を支援する教育支援システム及びこれを用いた教育支援方法を提供することを目的とする。
【0014】
より具体的には、本発明の目的の一つは、学習者及び/又は教育者の過去の行動履歴を利用することにより、学習者のテスト結果において正答できなかった問題に対する学習方法を教示することができる教育支援システム及びこれを用いた教育支援方法を提供することである。
【0015】
また、本発明の目的の一つは、学習者及び/又は教育者の過去の行動履歴を利用することにより、学習者のテスト結果において正答できなかった問題について、教育者の指導方法を教示することができる教育支援システム及びこれを用いた教育支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項ないしは技術的特徴を含んで構成される。
【0017】
ある観点に従う本発明は、デジタル教科書(電子的な教材及び副教材を含み得る。以下同じ。)を用いた教育支援システムであり得る。前記教育支援システムは、前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを記憶する行動履歴データベースと、前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得する答案データ取得部と、取得された前記答案データにおける問題に対して採点処理を行って、返却用答案データを生成する採点処理部と、前記返却用答案データを出力する採点結果出力部とを備え得る。そして、前記採点処理部は、前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得する採点結果データ取得部と、前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた前記問題に教示情報を付与する教示情報付与部とを備え得る。
【0018】
これにより、教育支援システムは、学習者の過去の行動履歴に基づいて、学習者が解答したテストの問題に対して教示情報を付与することができるようになる。
【0019】
前記教育支援システムは、前記テストの前記問題に関連付けられた少なくとも1つの教示項目を含む教示情報を記憶する教示情報データベースを更に備え得る。前記教示情報付与部は、前記行動履歴データに基づいて、前記教示情報データベースから特定の問題についての特定の教示項目を抽出し、前記採点結果データにおける前記特定の問題に、前記特定の教示項目を前記特定の教示情報として付与し得る。
【0020】
前記少なくとも1つの教示項目は、前記問題の出題意図に関するコメント、前記問題に対する解説コメント、前記問題を克服するためのリコメンデーションコメント、前記問題に関連する前記デジタル教科書における特定の箇所を示すリンク情報、及び前記問題に関連する副教材における特定の箇所を示すリンク情報のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0021】
また、前記教育支援システムは、前記学習者の前記行動履歴データを取得する行動履歴取得部を更に備え得る。
【0022】
前記行動履歴取得部は、取得した前記行動履歴データを、前記行動履歴データベースに格納するように構成され得る。
【0023】
また、前記行動履歴取得部は、前記学習者による前記デジタル教科書に対する所定の学習項目の表示操作に従った操作イベントを取得し、取得した前記操作イベントに基づいて前記行動履歴データを生成し得る。
【0024】
また、前記行動履歴取得部は、外部からの指示に従った前記デジタル教科書に対する制御イベントを取得し、取得した前記制御イベントに基づいて前記行動履歴データを生成し得る。
【0025】
また、前記行動履歴取得部は、前記デジタル教科書により前記所定の学習項目が表示された時間に関する時間情報に基づいて、前記行動履歴データを生成し得る。
【0026】
また、前記行動履歴取得部は、前記学習者を指導する教員のマスタデジタル教科書に対する前記教員の行動に基づく行動履歴データを取得し得る。
【0027】
また、前記教育支援システムは、前記学習者の学習行動に基づく前記行動履歴データ及び前記教員の行動に基づく前記行動履歴データに基づいて、前記所定の学習項目についての、前記学習者の前記デジタル教科書と前記教員の前記マスタデジタル教科書との同期状態を決定する同期状態決定部を更に備え得る。
【0028】
また、前記教示情報付与部は、前記同期状態に基づいて、前記教示情報データベースから前記特定の教示項目を抽出し得る。
【0029】
前記同期状態決定部は、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者の学習行動に基づく前記行動履歴データに基づいて、前記所定の学習項目についての全体の同期状態を決定する。そして、前記教示情報付与部は、前記全体の同期状態に基づいて、前記教示情報データベースから前記特定の教示項目を抽出し得る。
【0030】
また、前記教示情報付与部は、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者による前記特定の問題に対する解答に基づく全体の正答率に基づいて、前記教示情報データベースから前記特定の教示項目を抽出し得る。
【0031】
また、別の観点に従う本発明は、デジタル教科書を用いた教育支援方法であり得る。前記教育支援方法は、前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを収集し、行動履歴データベースに格納することと、前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得することと、取得された前記答案データにおける問題に対して採点処理を行って、返却用答案データを生成することと、前記返却用答案データを出力することとを含み得る。そして、前記返却用答案データを生成することは、前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得することと、前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた前記問題に教示情報を付与することとを含み得る。
【0032】
さらに、別の観点に従う本発明は、デジタル教科書として機能する端末装置であり得る。前記端末装置は、前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得する行動履歴取得部と、前記学習者が受けたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データに基づいて生成された返却用答案データを取得して返却用答案用紙として表示するテスト結果表示制御部とを備え得る。ここで、前記返却用答案データは、前記行動履歴データに基づいて前記答案データにおいて採点属性が関連付けられた問題に付与された教示情報を含み得る。そして、前記テスト結果表示制御部は、前記返却用答案データに含まれる前記教示情報が表示されるように制御を行い得る。
【0033】
また、別の観点に従う本発明は、コンピューティングデバイス上で、前記方法を実現するためのプログラムに係る発明及び前記プログラムを非一時的に記憶し得る記憶媒体に係る発明としても把握し得る。
【0034】
さらに、本発明は、「教育」と「学習」という両概念の関係から、学習支援システム及び学習支援方法としても把握し得る。
【0035】
なお、本明細書等において、部ないしは手段とは、単に物理的部分ないしは手段を意味するものではなく、その部ないしは手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの部ないしは手段が有する機能は、2つ以上の物理的部分ないしは手段により実現されても良いし、2つ以上の部ないしは手段の機能が、1つの物理的部分ないしは手段により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、教育者等の授業及びこれに付随する校務を効率的に支援することができるようになる。また、本発明によれば、学習者の効率的な学習を支援することができるようになる。
【0037】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果ないしは利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態に係る教育支援方法を実現するコンピュータシステムを説明するブロックダイアグラムである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る学習者用端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る教員用端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る教育支援サーバの機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る学習者用端末装置における行動履歴データの取得処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る学習者用端末装置における行動履歴データの取得処理の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける行動履歴データの一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける採点処理を説明するフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける教示情報の付与処理を説明するフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る教育支援システムにおける学習者用端末装置上に表示された返却用答案用紙の一例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける教示情報付与ルールの一例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける採点処理を説明するフローチャートである。
【
図13】本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける教員用教示情報付与ルールの一例を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る教育支援サーバのハードウェア構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0040】
[第1の実施形態]
本実施形態では、学習者が受けたテストの問題について、学習者がとった学習行動に関する履歴に従って、最適な教示情報を答案に付与するようにした技術が開示される。
【0041】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る教育支援方法を実現する教育支援システムを説明するブロックダイアグラムである。同図に示すように、本実施形態の教育支援システム1は、例えば、通信ネットワーク10を介して相互に通信可能に接続される、学習者用端末装置20と、教員用端末装置30と、教育支援サーバ40とを含み構成され得るである。なお、本開示では、教育支援方法及びこれを実現するシステムが説明されるが、「教育」と「学習」という両概念の関係から、学習支援方法及びこれを実現するシステムとしても説明することができる。
【0042】
通信ネットワーク10は、例えば、IPベースのコンピュータネットワーク12と移動通信システム規格に準拠した移動通信ネットワーク14とを含み得る。本開示では、コンピュータネットワーク12は、IPネットワークによって構築されたインターネット("the Internet")を含む広い概念で用いられているが、IPネットワークに限らず、ノード間通信を可能とするあらゆるプロトコルのネットワークが適用可能である。また、コンピュータネットワーク12は、図示されていない無線基地局(例えばWi-Fi(登録商標))によって構築される無線ネットワークを含んでも良い。コンピュータネットワーク12と移動通信ネットワーク14とは、例えば、ゲートウェイ16等を介して接続されるが、これに限られるものではない。
【0043】
学習者用端末装置20は、典型的には、ユーザ(すなわち、生徒や学生等である学習者)によって操作されるコンピューティングデバイスであり、例えば、デスクトップコンピュータや、ノートコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、フィーチャフォン及びその他のインテリジェントデバイスが該当するが、これらに限られない。本開示では、学習者用端末装置20は、学習者によるタッチ操作が可能なタブレットコンピュータであるものとし、以下に述べるように、デジタル教科書として機能するように構成される。
【0044】
すなわち、学習者用端末装置20は、CPU(プロセッサ)やチップセット及びメモリ、通信モジュール、ユーザインタフェース等のハードウェア資源及びオペレーティングシステム(例えばカーネル、各種のデバイスドライバ、標準ライブラリ等を含み構成され得る。)(以下「OS」という。)のソフトウェア資源から構成される。学習者用端末装置20は、プロセッサの制御の下、OS上で各種のアプリケーションプログラムを実行し、所望の機能を実現する。本開示では、学習者用端末装置20は、例えば、アプリケーションプログラムの一つとして、学習者用端末装置20をデジタル教科書として機能させるための命令群ないしはモジュールを含む学習者用クライアントプログラムを実装し得る。他の例として、学習者用端末装置20は、アプリケーションプログラムの一つとしてブラウザプログラムを実装し、該ブラウザプログラムにより実現されるブラウザにより、ノード上のデジタルコンテンツにアクセスし得るようなデジタル教科書として構成されても良い。
【0045】
なお、本開示でいうデジタル教科書とは、従前の紙媒体を用いた教科書に代わる、電子的な教科書をいい、例えば教材や副教材等を含み得る。これにより、例えば、学習者は、インタラクティブな操作により、教科書等のデジタルコンテンツを閲覧し、及び/又は所望の情報を入力し得る。学習者は、デジタル教科書の使用に際して、典型的には、ユーザ認証及び/又は装置認証等を行ってログインすることが要求される。
【0046】
また、学習者用端末装置20は、例えば、Wi-Fi(登録商標)ネットワークを介して、コンピュータネットワーク12に通信接続することができ、或いは移動通信ネットワーク14からゲートウェイ16を介して、コンピュータネットワーク12に通信接続することができる。これにより、学習者用端末装置20は、通信ネットワーク10上の様々なノード(例えばWebサーバやクラウドサーバ)にアクセスして、所望の情報リソースを取得したり、本発明に係るサービスを含む様々なサービスを享受したりすることができる。本開示では、学習者用端末装置20が通信ネットワーク10に常時接続可能な通信環境での利用が想定されているが、Wi-Fi電波や移動通信電波が届かない場所ないしはエリアでの利用を排除するものではない。また、学習者用端末装置20は、Bluetooth(登録商標)やNFC等の近接通信機能を有し、代替的又は追加的に、これを利用するものであっても良い。
【0047】
教員用端末装置30は、典型的には、ユーザ(すなわち、学習者を教育・指導する先生や教授等である教員)によって操作されるコンピューティングデバイスであり、例えば、デスクトップコンピュータや、ノートコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、フィーチャフォン及びその他のインテリジェントデバイスが該当するが、これらに限られない。教員は、例えば、授業中は、可搬性の観点から、学習者と同様に、タブレットコンピュータを使用し、テストの採点等の校務作業中は、処理性能の観点から、デスクトップコンピュータを使用するというように、複数の教員用端末装置30を使い分けても良い。
【0048】
教員用端末装置30は、学習者用端末装置20と同様の機能及び構成に加え、幾つかの追加的な機能及び構成を含み得る。典型的には、教員用端末装置30は、学習者用クライアントプログラムの機能を包含した教員用クライアントプログラムを実装する。例えば、教員用クライアントプログラムは、教員用端末装置30にデジタル教科書の機能を実現させるための命令群ないしはモジュールに加え、教員用端末装置30に学習者のデジタル教科書(すなわち、学習者用端末装置20)をリモートで制御する機能を実現させるための命令群ないしはモジュールを含み得る。また、他の例として、教員用クライアントプログラムは、指導要領やデジタル教科書の演習問題の解答といった教員用のデジタルコンテンツにアクセスする権限を有する。さらに、他の例として、教員用クライアントプログラムは、教員用端末装置30に、テストの採点作業を支援する機能や指導方法を助言する機能を実現させるための命令群ないしはモジュールを含み得る。
【0049】
教育支援サーバ40は、学習者への教育を行う教員を支援し、及び/又は学習者による学習を支援するためのシステムであり、例えば、1つ以上の汎用のコンピューティングデバイスにより構成され得る。教育支援サーバ40は、例えば、Webサーバやクラウドサーバとして実現されても良い。教育支援サーバ40は、例えば、学校等の教育機関によって管理運営されても良いし、民間の企業又は営利或いは非営利団体によって管理運営されても良い。このようなコンピューティングデバイスのハードウェア構成は、
図14に例示的に示されるが、当業者にとって既知であるため、その詳細な説明は省略する。教育支援サーバ40は、例えば、SSL等のセキュアな通信技術を利用することによって、学習者用端末装置20及び教員用端末装置30との通信セッションを提供する。
【0050】
また、教育支援サーバ40は、各種のデータベース50を含み構成され得る。本開示では、データベース50は、教科書等の各種の教材に関するデジタルコンテンツデータ(以下「教材データ」という。)を格納する教材データベース510と、テスト問題及び解答等に関するテスト問題データを格納するテスト問題データベース520と、テストの問題に関連付けられた教示情報を格納する教示情報データベース530と、学習者のテストの成績に関する成績データを格納する成績管理データベース540と、学習者及び教育者の行動履歴データを格納する行動履歴データベース550とを含む。これらのデータベース50は、関連するデータセットを介して、互いに関連付けられ得る。例えば、テスト問題データベース520に格納されたテスト問題データにおける各問題は、教材データベース510に格納された教材データにおける教科書の所定のページないしは学習項目(単元)に関連付けられている。
【0051】
また、教育支援サーバ40は、例えば、図示しないデジタル複合機を備え、デジタル複合機により、学習者が受けたテストの紙ベースの答案用紙をスキャンして電子的な答案データを生成し、成績管理データベース540に格納する。
【0052】
(学習者用端末装置の説明)
図2は、本発明の一実施形態に係る学習者用端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、学習者用端末装置20は、例えば、記憶部210と、制御部220と、ユーザインタフェース部230と、通信インタフェース部240とを含み構成される。かかる構成は、例えば、学習者用端末装置20のプロセッサが、オペレーティングシステム(OS)上で学習者用クライアントプログラムを実行することにより、各種のハードウェア資源と協働して、実現され得る。
【0053】
記憶部210は、各種のプログラム及びデータセットを記憶するユニットであり、典型的には、学習者用端末装置20のプロセッサの利用に供されるメモリ等の記憶デバイスを含み構成される。一例として、記憶部210は、学習者用クライアントプログラム及び教材データを記憶する。学習者用クライアントプログラム及び/又は教材データは、例えば、所定のサイトからダウンロードされる。また、記憶部210は、後述するように、収集された学習者の行動履歴データを記憶し得る。さらに、記憶部210は、学習者が過去に受けたテストの答案用紙に対して採点され返却された返却用答案データを記憶し得る。
【0054】
制御部220は、学習者用端末装置20の動作を統括的に制御するユニットであり、典型的には、プロセッサを含み構成される。制御部220は、プロセッサの制御の下、記憶部210に記憶された学習者用クライアントプログラムの実行に従い、動作する。本開示では、学習者用端末装置20の制御部220は、例えば、教科書制御部222と、行動履歴取得部224と、テスト結果表示制御部226とを含み構成される。
【0055】
ユーザインタフェース部230は、学習者が、学習者用端末装置20をインタラクティブに操作することを可能にするユニットであり、例えば、タッチパネルやスピーカー等の各種の入出力デバイスを含み構成される。一例として、学習者は、デジタル教科書の所望のページを閲覧するために、タッチパネルに表示された目次ページの項目をタッチ操作したり、スクロール操作したりすると、ユーザインタフェース部230は、これを受けて、制御部220に対応する操作信号を送出する。
【0056】
通信インタフェース部240は、通信ネットワーク10を介して、教員用端末装置30、教育支援サーバ40及び外部の装置との間で各種のデータを送受信するユニットであり、典型的には、通信インタフェース回路を含み構成される。例えば、通信インタフェース部240は、教育支援サーバ40から各種の命令やデータを受信し、これを制御部220に渡したり、制御部220の制御の下、収集された学習者の行動履歴データを教育支援サーバ40に送信したりする。
【0057】
教科書制御部222は、デジタル教科書の学習内容がユーザインタフェース部230を介して学習者に提供されるように制御を行う。具体的には、教科書制御部222は、記憶部210に格納された教材データを読み出して解釈し、これを学習内容として学習者に提供するための画像データ及び/又は音データ等を生成し、ユーザインタフェース部230に出力する。また、教科書制御部222は、教育支援サーバ40を介した教員用端末装置30からの指示を受けて、該指示に従った制御を行う。例えば、教科書制御部222は、教員用端末装置30からの特定のページの表示指示を受けると、学習者による操作を受け取ることなく、該特定のページがユーザインタフェース部230上に表示されるように、制御を行う。
【0058】
行動履歴取得部224は、学習者がデジタル教科書の操作に関わる履歴を取得する。例えば、行動履歴取得部224は、ユーザインタフェース部230に対して行われた操作に基づく操作イベント、及び教員用端末装置30や教育支援サーバ40等の外部からの遠隔指示による実行イベント等の各種のイベントを取得する。行動履歴取得部224は、取得したこれら一連のイベントを、学習者の行動履歴データとして記憶部210に記録し、また、教育支援サーバ40にリアルタイム及び/又は任意のタイミングで送信する。
【0059】
テスト結果表示制御部226は、学習者が過去に受けたテストの結果に対して採点がなされた返却用答案データがユーザインタフェース部230に表示されるように制御を行う。返却用答案データは、例えば、教育支援サーバ40から送信される。本例では、後述するように、返却用答案データは、学習者にとって学習効果が高いと思われる特定の教示情報を含み得る。
【0060】
(教員用端末装置の説明)
図3は、本発明の一実施形態に係る教員用端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、教員用端末装置30は、例えば、記憶部310と、制御部320と、ユーザインタフェース部330と、通信インタフェース部340とを含み構成される。かかる構成は、例えば、教員用端末装置30のプロセッサが、オペレーティングシステム(OS)上で教員用クライアントプログラムを実行することにより、各種のハードウェア資源と協働して、実現され得る。教員用端末装置30の構成のうち、上述した学習者用端末装置20のものと同様の構成については、適宜、説明を省略する。
【0061】
記憶部310は、例えば、教員用クライアントプログラム及び教員用教材データを記憶する。教員用教材データは、例えば、学習者に対する教材データに加え、教員に対する指導要領や例題の解答に関するデータを含み得る。また、記憶部310は、収集された教員の行動履歴データを記憶し得る。
【0062】
制御部320は、教員用端末装置30の動作を統括的に制御するユニットであり、典型的には、プロセッサを含み構成される。制御部220は、プロセッサの制御の下、記憶部210に記憶された教員用クライアントプログラムの実行に従い、動作する。本実施形態では、教員用端末装置30の制御部320は、例えば、マスタ教科書制御部322と、行動履歴取得部324と、採点支援部326と、テスト結果表示制御部328とを含み構成される。
【0063】
マスタ教科書制御部322は、学習者用端末装置20の教科書制御部222と同様に、教材データに基づく学習内容がユーザインタフェース部330を介して提供されるように制御を行う。マスタ教科書制御部322は、このような学習内容に加え、例えば、指導要領や演習問題の解答等といった教員用の各種の情報が提供されるように制御を行い得る。また、マスタ教科書制御部322は、デジタル教科書として機能している学習者の学習者用端末装置20を遠隔的に制御し得る。例えば、マスタ教科書制御部322は、学習者用端末装置20のユーザインタフェース部230上に指定したページが表示されるように、教育支援サーバ40を介して学習者用端末装置20に表示指示を送信する。
【0064】
行動履歴取得部324は、教員がデジタル教科書の操作に関わる履歴を取得する。例えば、行動履歴取得部224は、ユーザインタフェース部330に対して行われた操作に基づく操作イベント、及び学習者用端末装置20に対する指示に基づく実行イベント等の各種のイベントを取得する。行動履歴取得部324は、取得したこれら一連のイベントを、学習者の行動履歴データとして記憶部210に記録し、また、教育支援サーバ40にリアルタイム及び/又は任意のタイミングで送信する。
【0065】
採点支援部326は、学習者が受けたテストの解答結果(答案用紙)に対する教員の採点作業を支援する。例えば、採点支援部326は、テストの問題ごとに、教員が採点対象とする全ての学習者の解答結果を再編成した採点用答案データを生成し、これに基づく教員の採点結果を受けて、採点結果データを生成する。採点用答案データは、例えば、問題ごとに、ユーザインタフェース部330上の一の画面ないしはウィンドウ内に、全ての学習者の解答結果が匿名で一覧表示される。教員は、ユーザインタフェース部330に表示された採点用答案データに対して採点属性(例えば正誤の情報)を入力する。これにより、教員は、採点対象とする学習者の答案用紙に対して効率的に採点することができる。採点支援部326は、採点属性が付与された採点用答案データを学習者ごとに再編成することにより採点結果データを生成し、生成した採点結果データを教育支援サーバ40に送信する。これを受けて、例えば、教育支援サーバ40は、採点結果データを受信、取得し、成績管理データベース540に格納する。
【0066】
テスト結果表示制御部328は、学習者の返却用答案データがユーザインタフェース部230に表示されるように制御を行う。すなわち、教員用端末装置30のテスト結果表示制御部326は、特定の学習者の返却用答案データを教育支援サーバ40の成績管理データベース540から取得して、これを表示するように制御を行う。
【0067】
(教育支援サーバの説明)
図4は、本発明の一実施形態に係る教育支援サーバの機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、教育支援サーバ40は、例えば、通信インタフェース部410と、記憶部420と、サーバ処理部430とを含み構成される。また、教育支援サーバ40は、上述したように各種のデータベース50を含む。また、図示されていないが、教育支援サーバ40は、ユーザインタフェース部や記憶部といった各種のハードウェアコンポーネントを含み得る。かかる構成は、例えば、教育支援サーバ40のプロセッサが、オペレーティングシステム(OS)上でサーバプログラムを実行することにより、各種のハードウェア資源と協働して、実現され得る。
【0068】
通信インタフェース部410は、通信ネットワーク10を介して、学習者用端末装置20、教員用端末装置30及び/又は外部の装置との間で各種のデータを送受信するユニットであり、典型的には、通信インタフェース回路ないしはチップセットを含み構成される。例えば、通信インタフェース部410は、教員用端末装置30から各種の指示やデータを受信し、これをサーバ処理部430に渡したり、サーバ処理部420からの指示やデータを学習者用端末装置20に送信したりする。
【0069】
記憶部420は、例えば、サーバ管理プログラム及び教育支援プログラム等の各種のプログラム並びにデータセットを記憶する。サーバ管理プログラムは、教育支援サーバ40にサーバ機能を実現させるためのプログラムであり、例えば、サーバ用オペレーティングシステムやファイルシステム、WWWサーバプログラムを含み得る。教育支援プログラムは、教育支援サーバ40に、学習者への教育及び教員の教務を支援するための機能を実現させるためのプログラムである。教育支援プログラムは、例えば、サブプログラムとして、行動履歴データに基づいて採点結果データから返却用答案データを生成するため採点処理プログラムを含み得る。
【0070】
サーバ処理部430は、学習者用端末装置20及び教員用端末装置30からのリクエストに応じた処理を行うユニットである。サーバ処理部430は、例えば、遠隔制御部432と、行動履歴取得部434と、統計処理部436と、採点処理部438とを含み構成される。
【0071】
遠隔制御部432は、教員用端末装置30からの指示を受けて、学習者用端末装置20を遠隔的に制御する。例えば、遠隔制御部432は、教員用端末装置30からデジタル教科書の特定のページの表示指示を受けると、学習者用端末装置20に対して該特定のページを表示するように該表示指示を送信する。
【0072】
行動履歴取得部434は、学習者用端末装置20及び教員用端末装置30から送信される行動履歴データを取得、収集して、学習者及び教員ごとに、収集した行動履歴データを行動履歴データベース550に格納する。
【0073】
統計処理部436は、行動履歴データベース550に格納された行動履歴データに基づいて、各種の統計処理を行う。一例として、統計処理部436は、全ての学習者の行動履歴データに基づいて、表示されたページ(学習項目)の同期率を算出する。他の例として、統計処理部436は、全ての学習者及び教員の行動履歴データに基づいて、表示されたページ(学習項目)の同期率を算出する。統計処理部436は、例えば、教員が表示するよう指示した(さらに表示した)あるページについて、クラス全員中、何人の学習者がデジタル教科書に該ページを表示させたかを示す全体同期率を統計データとして算出する。ページの表示は、例えば、所定の累積時間を閾値として、これを超える場合に、該ページが表示されたとみなし得る。算出された統計データは、例えば、採点処理部438により参照され得る。
【0074】
採点処理部438は、学習者の答案データに基づく採点結果データに、該学習者にとって学習効果(復習効果)が高いと思われる特定の教示情報を付与して、返却用答案データを生成する。より具体的には、採点処理部438は、学習者ごとの答案データに基づく採点結果データにおける特定の問題に対し、行動履歴データベース550に格納された該学習者の行動履歴データに従って、教示情報データベース530から特定の教示情報を抽出し、該抽出した特定の教示情報を付与することにより、返却用答案データを生成する。教示情報が付与される特定の問題は、例えば、学習者が間違えた問題である。教示情報は、例えば、問題の出題意図に関するコメント、問題に対する解説コメント、問題を克服するためのリコメンデーションコメント、及び問題に関連するデジタル教科書や副教材等における特定の箇所を示すリンク情報等を含み得る。これにより、返却用答案データを受け取った学習者は、学習者用端末装置20上で、自身の答案用紙を確認し、必要に応じて、間違えた問題に対して、学習方法のアドバイスを確認することができる。
【0075】
なお、行動履歴取得部434は、それ単体で、教育支援システム1の行動履歴取得部とみなされて良いし、又は、学習者用端末装置20の行動履歴取得部224及び/若しくは教員用端末装置30の行動履歴取得部324と協働して、教育支援システム1の行動履歴取得部とみなされても良い。
【0076】
(行動履歴データの取得処理の説明)
図5は、本発明の一実施形態に係る学習者用端末装置における行動履歴データの取得処理の一例を説明するフローチャートである。同図に示す処理は、例えば、学習者用端末装置20のプロセッサが、学習者用クライアントプログラムを実行することにより、他のハードウェア資源と協働して実現される。
【0077】
すなわち、同図に示すように、学習者用端末装置20の行動履歴取得部224は、動作中、所定のイベントが発生したか否かを監視している(S501)。所定のイベントは、例えば、学習者によるデジタル教科書等の特定のページないしは学習項目の閲覧や演習問題に対して解答するための入力に関する操作である。また、所定のイベントは、教員による学習者のデジタル教科書等の特定のページないしは学習項目の閲覧のための遠隔操作も含み得る。行動履歴取得部224は、学習者によるユーザインタフェース部230に対する様々な操作に基づいて、デジタル教科書等のページ表示や演習問題に対して解答するための入力といったイベントが発生したか否か、また、教員の教員用端末装置30からのデジタル教科書等のページ表示といったイベントが発生したか否かを監視する。
【0078】
より具体的には、行動履歴取得部224は、デジタル教科書等のページ表示に関するイベント(ページ表示イベント)を検出した場合、ページ表示イベントに基づいて表示したページを示すページ情報に時間情報(例えばタイムスタンプ)を付した行動履歴データを生成し、記憶部210に記録する(S502)。また、行動履歴取得部224は、演習問題に対して解答するための入力操作に関するイベント(演習イベント)を検出した場合、演習問題及びその解答にタイムスタンプを付した行動履歴データを生成し、記憶部210に記録する(S503)。同様に、行動履歴取得部224は、その他の特定のイベントを検出すると、該イベントにタイムスタンプを付した行動履歴データを生成し、記憶部210に記録する(S504)。行動履歴取得部224は、このように記録した行動履歴データを、適時のタイミングで、教育支援サーバ40に送信する(S505)。教育支援サーバ40は、送信された行動履歴データを学習者ごとに分類し、行動履歴データベース550に格納する。
【0079】
上記では、学習者用端末装置20がタイムスタンプを付す例を示したが、これに限られず、例えば、学習者用端末装置20は、生成・取得したイベントをリアルタイムで教育支援サーバ40に送信し、教育支援サーバ40が、該イベントに、これを受信した時点のタイムスタンプを付しても良い。
【0080】
また、上記では、学習者用端末装置20における学習者の行動履歴取得処理を説明したが、教員用端末装置30における教員の行動履歴データの取得処理も同様に行われる。また、学習者の行動履歴は、学習者用端末装置20に対する操作に基づくもののみならず、例えば、授業中の学習者の発言ないしは発表等に基づくものであっても良い。例えば、教員は、学習者のそのような発言ないしは発表等について、教員用端末装置30を用いて、該学習者の行動履歴として所定の事項を入力する。
【0081】
図6は、本発明の一実施形態に係る教育支援システムにおける行動履歴データの取得処理の一例を説明するためのタイミングチャートである。同図は、教員によるデジタル教科書の指定したページの表示指示に従って、複数の学習者によるデジタル教科書の指定されたページの表示操作の様子を示している。
【0082】
すなわち、同図に示すように、例えば、授業中の時刻tnにおいて、教員は、デジタル教科書のページPxを開くように、学習者に例えば口頭で指示し、該ページPxを表示するために、自らも教員用端末装置30のユーザインタフェース部330を操作する。これを受けて、教員用端末装置30は、ページ表示イベントET1を取得し、これにタイムスタンプtn+δ1を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部330上に該ページPxを表示する。一方、学習者A及びBは、教員の指示を受けて、該ページPxを表示させるために、それぞれのタイミングで、自身の学習者用端末装置20のユーザインタフェース部230を操作する。これを受けて、学習者Aの学習者用端末装置20は、ページ表示イベントEA1を取得し、これにタイムスタンプtn+δ1を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部230上に該ページPxを表示する。また、学習者Bの学習者用端末装置20も同様に、ページ表示イベントEB1を取得し、タイムスタンプtn+δ2を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部230上に該ページPxを表示する。
【0083】
なお、学習者A及びBのイベントに対するタイムスタンプの値は、実時間における操作タイミングの相違により異なるものとなるが、これらが実質的に同じタイムスタンプとしてみなせるように(互いに同期しているとみなせるように)、教育支援サーバ40が、例えば、教員の対応するイベントのタイムスタンプを基準に、所定の単位時間(例えば30秒、1分、2分等)でその値を丸める処理を行っても良い。
【0084】
次に、時刻tn+1において、教員は、デジタル教科書のページPyを開くように、学習者に指示し、同様に、該ページPyの表示操作を行ったとする。これを受けて、教員用端末装置30は、ページ表示イベントET2を生成し、これにタイムスタンプtn+1を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部330上に該ページPyを表示する。このとき、学習者Aは、教員の指示を受けて、遅れることなく、学習者用端末装置20のユーザインタフェース部230を操作して、該ページPyの表示操作を行ったとする。これを受けて、学習者Aの学習者用端末装置20は、ページ表示イベントEA2を生成し、これにタイムスタンプtn+1+δ1を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部230上に該ページPxを表示する。一方、学習者Bは、教員の指示に関わらず、ページPyに表示を切り替えずに、ページPxを参照していたとする。したがって、学習者Bの学習者用端末装置20は、この時点では、ページ表示のイベントを生成しない。
【0085】
また、学習者Aは、教員の指示に従ってページPyに切り替えたものの、再度、ページPxの表示操作を行ったとする。これを受けて、学習者Aの学習者用端末装置20は、ページ表示イベントEA3を生成し、これにタイムスタンプtn+1+δ2を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部230上に該ページPxを表示する。この場合、学習者Aの学習者用端末装置20におけるページPyの表示時間が、所定の閾値時間以上であれば、ページPyは表示されたものとみなされ、及び/又は教員のページ表示に同期したものとみなされる。
【0086】
次に、時刻tn+2において、教員は、デジタル教科書のページPzを開くように、学習者に指示し、該ページPzの表示操作を行ったとする。これを受けて、教員用端末装置30は、ページ表示イベントET3を生成し、これにタイムスタンプtn+1を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部330上に該ページPzを表示する。学習者A及びBは、教員の指示を受けて、ほぼ同じタイミングで、自身の学習者用端末装置20のユーザインタフェース部230を操作する。これを受けて、学習者Aの学習者用端末装置20は、ページ表示イベントEA4を生成し、これにタイムスタンプtn+2+δ1を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部230上に該ページPzを表示する。また、学習者Bの学習者用端末装置20は、ページ表示イベントEB2を生成し、これにタイムスタンプtn+2+δ1を付して記録し、教育支援サーバ40に送信するとともに、ユーザインタフェース部230上に該ページPzを表示する。
【0087】
以上のようにして、学習者用端末装置20及び教員用端末装置30において生じたイベントは、行動履歴データとして教育支援サーバ40に送信され、教育支援サーバ40は、例えば
図7に示すように、送信された行動履歴データを、ユーザごとに、行動履歴データベース550に格納する。なお、上述したように、タイムスタンプの値は、実時間における操作タイミングの相違を考慮して、所定の単位時間(例えば30秒、1分、2分等)で丸められた値であっても良い。また、上述したように、あるイベントについて、次のイベントまでの時間が所定の閾値時間未満の場合には、該イベントは生成されなかったものとみなされても良い。
【0088】
(採点処理の説明)
図8は、本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける採点処理を説明するフローチャートである。同図に示す処理は、例えば、教育支援サーバ40のプロセッサが、採点処理プログラムを実行することにより、他のハードウェア資源と協働して実現される。
【0089】
教育支援サーバ40の採点処理部438は、例えば、教員用端末装置30から採点処理のリクエストを受け取ると、採点の対象となる学習者を抽出する(S801)。採点対象となる学習者は、例えば、教員が担当する学習者のうち、所定のテストを受けた学習者である。図示していないが、採点処理部438は、採点の対象となる学習者を抽出することができなかった場合には、例えばエラーであるとして処理を終了する。次に、採点処理部438は、抽出した学習者の中から一の学習者を選択し(S802)、選択した学習者の採点結果データを成績管理データベース540から読み出す(S803)。採点結果データは、学習者の答案データの各問題に対して正誤(部分正解若しくは部分減点等を含む。)の採点属性が関連付けられたデータである。採点属性は、例えば、教員が教員用端末装置30を用いて採点入力をすることにより関連付けられる。
【0090】
次に、採点処理部438は、読み出した採点結果データに対し、該学習者の行動履歴データに基づいて、教示情報を付与し、返却用答案データを生成する(S804)。教示情報付与の処理の詳細は後述する。
【0091】
採点処理部438は、返却用答案データを生成すると、採点対象である全ての学習者について、上記の採点処理を行ったか否かを判断する(S805)。採点処理部438は、全ての学習者について、上記の採点処理を行っていないと判断する場合(S805のNo)、次の学習者を選択するため、S801の処理に戻る。一方、採点処理部438は、全ての学習者について、上記の採点処理を行ったと判断する場合(S805のYes)、当該処理を終了する。
【0092】
図9は、本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける教示情報の付与処理を説明するフローチャートであり、具体的には、
図8に示したステップS804の詳細を示すフローチャートである。
【0093】
すなわち、同図に示すように、採点処理部438は、行動履歴データベース550を参照し、選択されている学習者の行動履歴データを読み出す(S901)。この場合、採点処理部438は、行動履歴データのタイムスタンプを参照し、テストに関連付けられた所定の学習期間内の行動履歴データを抽出し得る。次に、採点処理部438は、抽出した行動履歴データを解析し、行動履歴データを学習項目ごとのサブセットに分類する(S902)。例えば、各学習項目は、例えば、デジタル教科書の所定のページに関連付けられているとすれば、採点処理部438は、行動履歴データのイベントの内容に示されるページ番号に従って、行動履歴データにおける各イベントを学習項目ごとに分類する。
【0094】
次に、採点処理部438は、学習者の採点結果データに従って、テストの問題を順番に一つ選択し(S903)、該問題に対する学習者の解答が正解であったか否かを判断する(S904)。本例では、採点処理部438は、該問題に対する解答が正解であったと判断する場合(S904のYes)、学習者に対するフィードバックは不要であるため、S903の処理に戻り、次の問題を選択する。一方、採点処理部438は、該問題に対する解答が不正解(誤答)であったと判断する場合(S904のNo)、テスト問題データベース520を参照し、該問題に関連付けられた学習項目を特定する(S905)。
【0095】
続いて、採点処理部438は、該特定した学習項目に対応する行動履歴データに基づいて、学習者の学習状況を評価する(S906)。例えば、採点処理部438は、該特定した学習項目に対応する行動履歴データのサブセット(イベント)が存在するか否かを判断し、存在していないと判断する場合には、学習者の学習状況は未学習であると評価する。また、採点処理部438は、学習項目に対応する行動履歴データのサブセットが存在する場合であっても、表示時間(イベント開始時刻から次のイベント開始時刻までの時間)の累積時間が所定の閾値時間未満であると判断する場合も、学習者の学習状況は未学習であると評価し得る。学習状況は、学習済み又は未学習の2値ではなく、累積時間に応じたレベルで示されるものであっても良い。
【0096】
採点処理部438は、次に、学習状況の評価結果に基づいて、教示情報データベース530を参照し、該問題に対して少なくとも1つの適切な教示情報の項目(教示項目)を抽出し(S907)、該抽出した教示項目を教示情報として採点結果データにおける該問題に付与する(S908)。教示情報は、例えば、問題の出題意図に関するコメント、問題に対する解説コメント、問題を克服するためのリコメンデーションコメント、及び問題に関連するデジタル教科書や副教材等における特定の箇所を示すリンク情報等の項目を含む。一例として、採点処理部438は、未学習であるとの評価結果であれば、該問題に関連するデジタル教科書や副教材等における特定の箇所を示すリンク情報等を教示情報として付与する。他の例として、採点処理部438は、学習済みであるとの評価結果であれば、問題の出題意図に関するコメントや該問題に対する解説コメントに加えて、該問題を克服するためのリコメンデーションコメントを教示情報として付与する。
【0097】
採点処理部438は、採点結果データに教示情報を付与した後、全ての問題について上記の処理を行ったか否かを判断し(S909)、未だ処理していない問題があると判断する場合には(S909のNo)、S903の処理に戻る。一方、採点処理部438は、全ての問題を処理したと判断する場合には(S909のYes)、学習者の返却用答案データの生成が終了したものとして、返却用答案データを成績管理データベース540に格納し、教示情報の付与処理を終了する。
【0098】
成績管理データベース540に格納された各学習者の返却用答案データは、例えば、学習者用端末装置20上で参照される。例えば、学習者は、自身が受けたテストの採点答案を確認するために、学習者用端末装置20上のインタフェース部230を操作する。これを受けて、学習者用端末装置20のテスト結果表示制御部226は、教育支援サーバ40に返却用答案データを要求し、教育支援サーバ40は、成績管理データベース540から該学習者の返却用答案データを抽出し、学習者用端末装置20に送信する。学習者用端末装置20は、返却用答案データを受信し、これにより、テスト結果表示制御部226は、ユーザインタフェース部230上に返却用答案データに基づく採点処理済みの答案用紙(返却用答案用紙)が表示されるように、制御を行う。
【0099】
図10は、本発明の一実施形態に係る教育支援システムにおける学習者用端末装置上に表示された返却用答案用紙の一例を示す図である。同図に示すように、返却用答案用紙1000は、例えば、学習者用端末装置20のブラウザ画面に表示される。返却用答案用紙1000は、例えば、注釈1010を含み得る。注釈1010は、教示情報が付与された問題であることを示している。学習者は、例えば、注釈1010をタップすると、学習者用端末装置20は、ポップアップウィンドウにより、問題に付与された教示情報を表示する。なお、本例は、学習者用端末装置20での表示例を説明したが、これに限られず、教員は、教員用端末装置30を用いて、学習者の返却用答案用紙を確認することができる。
【0100】
このように、返却用答案用紙における不正解の問題には、教示情報が付与され、学習者は、注釈1010により、教示情報が付与されていることを知ることができる。また、学習者は、注釈1010をタップすることにより、問題に付与された教示情報を確認することができ、該教示情報に従って学習を進めることができるようになる。
【0101】
本例では、問題に対する解答が正解であった場合には、該学習者は該問題を理解していると考えられることから、採点処理部438は、教示情報を付与しないが、これに限られず、例えば、問題に正解した場合であっても、学習者に該問題を再確認させるために、採点処理部438は、問題の出題意図に関するコメントを付与するように構成されても良い。他の例として、採点処理部438は、問題に対する解答が正解であった場合であっても、該学習者の行動履歴データに基づいて学習状況を評価し、該評価結果に従った最適な教示情報を提供するように構成されても良い。
【0102】
[第2の実施形態]
本実施形態では、上記第1の実施形態の変形であり、学習者が受けたテストの問題について、学習者本人及び学習者全体の行動履歴に基づく同期状態と学習者全体の問題の正答率とに基づいて、適切な教示情報を答案に付与するようにした技術が開示される。同期状態は、典型的には、授業中に教員によるデジタル教科書の所定のページの表示に同期して、個々の学習者が該所定のページを表示したか否かに基づいて決定される。すなわち、上記第1の実施形態は、学習者本人が所定のページを表示(閲覧)したか否かの行動履歴に基づいて、教示情報を付与するものであったが、本実施形態は、授業での同期状態及問題の正答率といった情報を考慮する点で、上記第1の実施形態と異なる。これにより、個々の学習者は、よりきめの細かい教示情報の提供を受けることができるようになる。
【0103】
図11は、本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける教示情報付与ルールの一例を示す図である。すなわち、同図に示すように、本実施形態の教示情報付与ルール1100は、全体の同期状態1110と、学習者の同期状態1120と、正答率1130とに基づいて、どのような教示情報を付与すべきかに関するルールを定義したテーブルないしはデータ構造である。
【0104】
より具体的には、全体の同期状態1110は、例えば教員が対象としているクラスの学習者全員の同期率に基づいて、「同期」又は「非同期」のいずれかで示される。例えば、クラスの中で、教員によるページの表示に同期して、該ページを表示させた学習者の人数の割合(同期率)が所定の閾値(例えば、80%、90%等)を超えている場合に、全体の同期状態1110は、「同期」であるとみなされる。学習者の同期状態1120は、学習者自身の教員との同期率に基づいて、「同期」又は「非同期」のいずれかで示される。正答率1130は、例えば教員が対象としているクラスの学習者全員の正答率であり、所定の閾値(例えば、60%、70%、80%等)を基準にして、正答率が高いか又は低いかのいずれかで区別される。
【0105】
一例として、ある学習者が誤答した問題について、学習者全体は同期しており、該学習者も同期していたが、正答率が低かった場合には、デジタル教科書の該ページによる学習では該学習者の理解が十分でなかったと考えられるため、難易度が低い別の教材の該当するページ(学習項目)の参照をリコメンドする教示情報が選択される。他の例として、ある学習者が誤答した問題について、学習者全体は同期していたが、該学習者は非同期であり、正答率が高かった場合には、該学習者が未学習であったと考えられるため、改めで基本教材(デジタル教科書)の該当するページの参照をリコメンドする教示情報が選択される。
【0106】
なお、教示情報付与ルールは、例えば、簡易的に、学習者の同期状態のみに基づいて教示情報を付与するように構成されても良いし、学習者の同期状態と全体の同期状態との組み合わせに基づいて教示情報を付与するように構成されても良い。或いは、教示情報付与ルールは、学習者の同期状態と正答率との組み合わせに基づいて教示情報を付与するように構成されても良い。
【0107】
図12は、本発明の一実施形態に係る教育支援サーバ40における採点処理を説明するフローチャートである。同図に示す採点処理は、概略的には、S1202の処理が追加されている点、及びS1206の教示情報付与処理において
図11に示したような教示情報付与ルール1100を用いる点で、
図8に示した採点処理と相違する。
【0108】
同図を参照して、採点処理部438は、例えば、教員用端末装置30から採点処理のリクエストを受け取ると、採点の対象となる学習者を抽出する(S1201)。続いて、採点処理部438は、テストの問題について、全体同期率及び全体正答率を取得するために、統計処理部436を呼び出す(S1202)。すなわち、統計処理部436は、テストの採点処理が開始すると、採点対象である学習者全員の行動履歴データ及び教員の行動履歴データに基づいて、問題ごとの学習者全員の同期率(全体同期率)を算出するとともに、問題ごとの学習者全員の正答率(全体正答率)を算出する。例えば、統計処理部436は、テストの問題ごとに関連付けられた学習項目(デジタル教科書のページ)について、行動履歴データベース550を参照して、各学習者の同期状態を決定し、学習者全員の同期率を算出し、これを所定の閾値と比較することで、学習者全体の同期状態を決定する。この意味で、統計処理部436は、同期状態決定部として機能する。また、統計処理部436は、テストの問題ごとに、正答した学習者の人数を計数し、学習者全体に対して何人の学習者が正答しているかの割合を算出する。この意味で、統計処理部436は、正答率算出部として機能する。算出された全体同期率及び全体正答率は、教示情報を付与する際に、参照される。
【0109】
続いて、採点処理部438は、一の学習者を選択し、該学習者の採点結果データに対して、教示情報を付与する処理を行う(S1203~S1207)。これらの処理は、S1206の教示情報付与処理における具体的処理内容を除き、
図8に示したものと同じであるため、説明を省略する。
【0110】
本実施形態における教示情報付与処理は、
図9に示したフローチャートを用いて説明されるが、ステップS906の処理において、採点処理部438が、学習行動の評価として学習者の同期状態を決定し、さらに、ステップS907の処理において、採点処理部438が、教示情報付与ルール1100に従って、教示情報データベース530から教示情報を抽出する点で、第1の実施形態と異なっている。
【0111】
すなわち、採点処理部438は、問題に対する学習項目に対応する行動履歴データに基づいて、学習者の学習状況を評価して、学習者の同期状態を決定する(S906)。例えば、採点処理部438は、該学習項目に対応する教員及び学習者の行動履歴データのサブセット(イベント)に従って、「同期」又は「非同期」のいずれであるかを決定する。次に、採点処理部438は、上述した全体の同期状態及び全体正答率並びに学習者の同期状態に基づいて、教示情報付与ルール1100に従って、教示情報データベース530から該問題に対するリコメンデーションを抽出する。
【0112】
このように、本実施形態によれば、学習者が誤答した問題について、学習者全体の行動履歴及び正答率と学習者本人の行動履歴とに応じた適切な教示情報を答案に付与することができるようになる。したがって、これにより、個々の学習者は、よりきめの細かい教示情報の提供を受けることができるようになる。
【0113】
[第3の実施形態]
本実施形態では、第2の実施形態の変形であり、学習者が受けたテストの問題について、教員に対する教示情報を提供するようにした技術が開示される。すなわち、上記実施形態は、学習者に対して教示情報を提供するものであったが、本実施形態は、学習者に対して教示情報を提供する一方、教員に対しても教示情報を付与する点で、上記実施形態と異なる。これにより、例えば、正答率が低かった問題について、教員自身の指導方法の改善を期待することができるようになる。
【0114】
図13は、本発明の一実施形態に係る教育支援サーバにおける教員用の教示情報付与ルールの一例を示す図である。すなわち、同図に示すように、本実施形態の教示情報付与ルール1300は、教員用にどのような教示情報を付与すべきかに関するルールを定義したテーブルないしはデータ構造である。
【0115】
より具体的には、教員用教示情報付与ルール1300では、一例として、ある学習者が誤答した問題について、学習者全体は同期しており、該学習者も同期していたが、正答率が低かった場合には、授業での教え方の改善をリコメンドする教示情報が選択される。教え方の改善は、例えば、別の教材による補習講義のリコメンドである。他の例として、ある学習者が誤答した問題について、学習者全体及び該学習者は非同期であり、正答率が低かった場合には、授業中の学習者の多くが本題に集中していなかったと考えられるため、学習者の集中が授業に向けられるような教え方の改善をリコメンドする教示情報が選択される。
【0116】
このようにして教員用に教示情報が付与された学習者の返却用答案データは、例えば、教員用端末装置30のユーザインタフェース部330上に返却用答案用紙として表示され得る。教員は、教員用端末装置30のユーザインタフェース部330上に表示された返却用答案用紙において、学習者への教示情報を確認するとともに、教員向けの教示情報を確認することができる。これにより、教員は、例えば、正答率の低い問題について、どのような指導をすべきかを知ることができるようになる。
【0117】
以上のように、本実施形態によれば、学習者が誤答した問題について、全体の行動履歴及び正答率と学習者の行動履歴とに応じて、教員に対して教え方の改善等をリコメンドすることができ、テストの結果に対して教員へのフィードバックを行うことができるようになる。
【0118】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0119】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちの幾つかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0120】
また、本明細書では、様々な実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1…コンピュータシステム
10…通信ネットワーク
12…コンピュータネットワーク
14…移動通信ネットワーク
16…ゲートウェイ
20…学習者用端末装置
210…記憶部
220…制御部
222…教科書制御部
224…行動履歴取得部
226…テスト結果表示制御部
230…ユーザインタフェース部
240…通信インタフェース部
30…教員用端末装置
310…記憶部
320…制御部
322…マスタ教科書制御部
324…行動履歴取得部
326…採点支援部
328…テスト結果表示制御部
330…ユーザインタフェース部
340…通信インタフェース部
40…教育支援サーバ
410…通信インタフェース部
420…記憶部
430…サーバ処理部
432…遠隔制御部
434…行動履歴取得部
436…統計処理部
438…採点処理部
50…データベース
510…教材データベース
520…テスト問題データベース
530…教示情報データベース
540…成績管理データベース
550…行動履歴データベース
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル教科書を用いた教育支援システムであって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得する行動履歴取得部と、
前記行動履歴データを記憶する行動履歴データベースと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得する答案データ取得部と、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成する採点処理部と、
前記返却用答案データを出力する採点結果出力部と、を備え、
前記行動履歴取得部は、外部からの指示に従った前記デジタル教科書に対する制御イベントを取得し、取得した前記制御イベントに基づいて前記行動履歴データを生成し、
前記採点処理部は、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得する採点結果データ取得部と、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた特定の前記問題に特定の教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成する教示情報付与部と、備える、
教育支援システム。
【請求項2】
デジタル教科書を用いた教育支援システムであって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得する行動履歴取得部と、
前記行動履歴データを記憶する行動履歴データベースと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得する答案データ取得部と、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成する採点処理部と、
前記返却用答案データを出力する採点結果出力部と、を備え、
前記行動履歴取得部は、前記学習者による前記デジタル教科書に対する所定の学習項目の表示操作に従って前記所定の学習項目が表示された時間に関する時間情報に基づいて、前記行動履歴データを取得し、
前記採点処理部は、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得する採点結果データ取得部と、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた特定の前記問題に特定の教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成する教示情報付与部と、備える、
教育支援システム。
【請求項3】
デジタル教科書を用いた教育支援システムであって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得する行動履歴取得部と、
前記行動履歴データを記憶する行動履歴データベースと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得する答案データ取得部と、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成する採点処理部と、
前記返却用答案データを出力する採点結果出力部と、を備え、
前記行動履歴取得部は、前記学習者を指導する教員のマスタデジタル教科書に対する前記教員の行動に基づく行動履歴データを取得し、
前記採点処理部は、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得する採点結果データ取得部と、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた特定の前記問題に特定の教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成する教示情報付与部と、備える、
教育支援システム。
【請求項4】
前記学習者の学習行動に基づく前記行動履歴データ及び前記教員の行動に基づく前記行動履歴データに基づいて、前記所定の学習項目についての、前記学習者の前記デジタル教科書と前記教員の前記マスタデジタル教科書との同期状態を決定する同期状態決定部を更に備える、請求項3に記載の教育支援システム。
【請求項5】
前記教示情報付与部は、前記同期状態に基づいて、前記特定の教示情報を付与する、請求項4に記載の教育支援システム。
【請求項6】
前記同期状態決定部は、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者の学習行動に基づく前記行動履歴データに基づいて、前記所定の学習項目についての全体の同期状態を決定し、
前記教示情報付与部は、前記全体の同期状態に基づいて、前記特定の教示情報を付与する、請求項4又は5に記載の教育支援システム。
【請求項7】
前記教示情報付与部は、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者による特定の問題に対する解答に基づく正答率に基づいて、前記特定の教示情報を付与する、
請求項4から6のいずれか一項に記載の教育支援システム。
【請求項8】
デジタル教科書を用いた教育支援システムであって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得する行動履歴取得部と、
前記行動履歴データを記憶する行動履歴データベースと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得する答案データ取得部と、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成する採点処理部と、
前記返却用答案データを出力する採点結果出力部と、を備え、
前記採点処理部は、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得する採点結果データ取得部と、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた特定の前記問題に特定の教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成する教示情報付与部と、を備え、
前記教示情報付与部は、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者による前記特定の問題に対する解答に基づく正答率に基づいて、前記特定の教示情報を付与する、
教育支援システム。
【請求項9】
前記教示情報は、前記問題の出題意図に関するコメント、前記問題に対する解説コメント、前記問題を克服するためのリコメンデーションコメント、前記問題に関連する前記デジタル教科書における特定の箇所を示すリンク情報、及び前記問題に関連する副教材における特定の箇所を示すリンク情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の教育支援システム。
【請求項10】
デジタル教科書を用いた教育支援システムであって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データ及び前記学習者を指導する教員のマスタデジタル教科書に対する前記教員の行動に基づく行動履歴データを取得する行動履歴取得部と、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得する答案データ取得部と、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成する採点処理部と、
前記返却用答案データを出力する採点結果出力部と、を備え、
前記採点処理部は、
前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者による特定の前記問題に対する解答に基づく正答率に基づいて教師向け教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成する、
教育支援システム。
【請求項11】
前記学習者の学習行動に基づく前記行動履歴データ及び前記教員の行動に基づく前記行動履歴データに基づいて、所定の学習項目についての、前記学習者の前記デジタル教科書と前記教員の前記マスタデジタル教科書との同期状態を決定する同期状態決定部を更に備え、
前記採点処理部は、決定された前記同期状態に基づいて、前記教師向け教示情報を付与する、
請求項10に記載の教育支援システム。
【請求項12】
前記教師向け教示情報は、別の教材による補習講義のリコメンドするコメント及び教え方の改善をリコメンドするコメントの少なくとも1つを含む、
請求項10又は11に記載の教育支援システム。
【請求項13】
教育支援サーバによって実行されるデジタル教科書を用いた教育支援方法であって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得することと、
前記行動履歴データを行動履歴データベースに格納することと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得することと、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成することと、
前記返却用答案データを出力することと、を含み、
前記行動履歴データを取得することは、外部からの指示に従った前記デジタル教科書に対する制御イベントを取得し、取得した前記制御イベントに基づいて前記行動履歴データを生成することを含み、
前記返却用答案データを生成することは、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得することと、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた特定の前記問題に特定の教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成することと、を含む、
教育支援方法。
【請求項14】
教育支援サーバによって実行されるデジタル教科書を用いた教育支援方法であって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得することと、
前記行動履歴データを行動履歴データベースに格納することと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得することと、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成することと、
前記返却用答案データを出力することと、を含み、
前記行動履歴データを取得することは、前記学習者による前記デジタル教科書に対する所定の学習項目の表示操作に従って前記所定の学習項目が表示された時間に関する時間情報に基づいて、前記行動履歴データを取得することを含み、
前記返却用答案データを生成することは、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得することと、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた特定の前記問題に特定の教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成することと、を含む、
教育支援方法。
【請求項15】
教育支援サーバによって実行されるデジタル教科書を用いた教育支援方法であって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得することと、
前記行動履歴データを行動履歴データベースに格納することと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得することと、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成することと、
前記返却用答案データを出力することと、を含み
前記行動履歴データを取得することは、前記学習者を指導する教員のマスタデジタル教科書に対する前記教員の行動に基づく行動履歴データを取得することを含み、
前記返却用答案データを生成することは、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得することと、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた特定の前記問題に特定の教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成することと、を含む、
教育支援方法。
【請求項16】
教育支援サーバによって実行されるデジタル教科書を用いた教育支援方法であって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得することと、
前記行動履歴データを行動履歴データベースに格納することと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得することと、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成することと、
前記返却用答案データを出力することと、を含み、
前記返却用答案データを生成することは、
前記答案データにおける前記問題に採点属性が関連付けられた前記テストに対する採点結果データを取得することと、
前記行動履歴データベースに記憶された前記学習者の前記行動履歴データに基づいて、前記採点結果データにおける前記採点属性が関連付けられた特定の前記問題に特定の教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成することと、を含み、
前記特定の教示情報を付与することは、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者による前記特定の問題に対する解答に基づく正答率に基づいて、前記特定の教示情報を付与することを含む、
教育支援方法。
【請求項17】
教育支援サーバによって実行されるデジタル教科書を用いた教育支援方法であって、
前記デジタル教科書に対する学習者の学習行動に基づく行動履歴データを取得することと、
前記学習者を指導する教員のマスタデジタル教科書に対する前記教員の行動に基づく行動履歴データを取得することと、
前記学習者に対して実施されたテストの問題に対する前記学習者の解答に基づく答案データを取得することと、
取得された前記答案データにおける問題の解答に対する採点処理に基づいて、返却用答案データを生成することと、
前記返却用答案データを出力することと、を含み、
前記返却用答案データを生成することは、前記実施されたテストを受けた採点対象となる学習者による特定の前記問題に対する解答に基づく正答率に基づいて教師向け教示情報を付与することにより前記返却用答案データを生成することを含む、
教育支援方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
行動履歴取得部224は、学習者によるデジタル教科書の操作に関わる履歴を取得する。例えば、行動履歴取得部224は、ユーザインタフェース部230に対して行われた操作に基づく操作イベント、及び教員用端末装置30や教育支援サーバ40等の外部からの遠隔指示による制御イベント等の各種のイベントを取得する。行動履歴取得部224は、取得したこれら一連のイベントを、学習者の行動履歴データとして記憶部210に記録し、また、教育支援サーバ40にリアルタイム及び/又は任意のタイミングで送信する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
行動履歴取得部324は、教員がデジタル教科書の操作に関わる履歴を取得する。例えば、行動履歴取得部324は、ユーザインタフェース部330に対して行われた操作に基づく操作イベント、及び学習者用端末装置20に対する指示に基づく制御イベント等の各種のイベントを取得する。行動履歴取得部324は、取得したこれら一連のイベントを、学習者の行動履歴データとして記憶部210に記録し、また、教育支援サーバ40にリアルタイム及び/又は任意のタイミングで送信する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
[第2の実施形態]
本実施形態では、上記第1の実施形態の変形であり、学習者が受けたテストの問題について、学習者本人及び学習者全体の行動履歴に基づく同期状態と学習者全体の問題の正答率とに基づいて、適切な教示情報を答案に付与するようにした技術が開示される。同期状態は、典型的には、授業中に教員によるデジタル教科書の所定のページの表示に同期して、個々の学習者が該所定のページを表示したか否かに基づいて決定される。すなわち、上記第1の実施形態は、学習者本人が所定のページを表示(閲覧)したか否かの行動履歴に基づいて、教示情報を付与するものであったが、本実施形態は、授業での同期状態及び問題の正答率といった情報を考慮する点で、上記第1の実施形態と異なる。これにより、個々の学習者は、よりきめの細かい教示情報の提供を受けることができるようになる。