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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081695
(43)【公開日】2022-05-31
(54)【発明の名称】ノットレス縫合アンカー構築物
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/68 20060101AFI20220524BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A61B17/68
A61B17/04
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051138
(22)【出願日】2022-03-28
(62)【分割の表示】P 2020545242の分割
【原出願日】2019-02-27
(31)【優先権主張番号】62/637,106
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/636,906
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/637,134
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ボスワース エイドリアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】骨穴に対して所望の位置に組織を固定するためのノットレス縫合アンカー構築物を提供する。
【解決手段】構築物は、第一の端および第二の端を有する基材と、基材に沿った複数の通過位置を通して織り込まれたフィラメントとを含む。フィラメントは、通過リムおよび縮小リムに延びる第一のループを形成する。複数の通過位置のうち隣接する二つの通過位置の間の縮小リムに通過部分がある。配置前構成では、フィラメントの第一のループは、基材の第一の端から延び、通過リムおよび縮小リムは、基材の第二の端から延びる。また、配置前構成では、通過部分は第一のループを通って延び、縮小リムに第二のループを形成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノットレス縫合アンカー構築物であって、
第一の端および第二の端を有する基材と、
前記基材に沿って複数の通過位置を通って織り込まれたフィラメントであって、通過リムおよび縮小リムに延びる第一のループを形成するフィラメントと、
前記複数の通過位置のうち隣接する二つの通過位置の間の前記縮小リムの通過部分と、を備え、
配置前構成では、前記フィラメントの前記第一のループは、前記基材の第一の表面および前記第一の端から延び、前記通過リムおよび前記縮小リムは、前記基材の前記第一の表面または第二の表面および前記第二の端から延び、
前記配置前構成では、前記通過部分は前記第一のループを通って延び、前記縮小リムに第二のループを形成する、ノットレス縫合アンカー構築物。
【請求項2】
前記配置前構成では、前記第一のループが、第一の直径から第二の直径にサイズを縮小するように構成されるように、前記通過リムに張力がかけられる、請求項1に記載の構築物。
【請求項3】
前記配置前構成では、前記第一のループが前記第二のループの周りに巻かれる、請求項2に記載の構築物。
【請求項4】
前記フィラメントが、中空縫合糸ブレイドから構成される、請求項1に記載の構築物。
【請求項5】
前記第一のループが、前記基材の前記第一の端で前記複数の通過位置の第一の通過位置から延びる、請求項1に記載の構築物。
【請求項6】
前記縮小リムおよび通過リムが、前記基材の前記第二の端で前記複数の通過位置の第二の通過位置から延びる、請求項1に記載の構築物。
【請求項7】
配置構成では、前記通過リムが、物体の周りを通り、前記第二のループを通って延びる、請求項6に記載の構築物。
【請求項8】
前記配置構成では、前記第二のループが、第一の直径から第二の直径にサイズを縮小するように構成されるように、前記縮小リムに張力がかけられる、請求項7に記載の構築物。
【請求項9】
前記基材の前記第二の表面から延びる前記通過リムおよび縮小リムの露出した部分を通って織り込まれた細長いロッキングフィラメントをさらに含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項10】
ノットレス縫合アンカー構築物であって、
通過リムと縮小リムとの間にスプライスを有するフィラメントであって、
前記通過リムは、前記スプライスを通って延び、第一のループを作る、フィラメントと、
第一の端および第二の端を有する基材であって、
配置前構成では、前記フィラメントは、前記通過リムが前記基材の前記第一の端の第一の通過位置を通って延びるように、また前記縮小リムが、前記基材の前記第二の端に向かって一つまたは複数の通過位置を通って延びるように、前記基材を通して織られる、基材と、
前記基材の前記第二の端に向かう、前記一つまたは複数の通過位置のうちの隣接する二
つの通過位置の間の前記縮小リムの通過部分であって、
前記配置前構成では、前記通過部分は前記第一のループを通って延び、前記縮小リムに第二のループを形成する、通過部分と、を備える、ノットレス縫合アンカー構築物。
【請求項11】
前記配置前構成では、前記第一のループが、第一の直径から第二の直径にサイズを縮小するように、前記通過リムに張力がかけられる、請求項10に記載の構築物。
【請求項12】
前記配置前構成では、前記第一のループが前記第二のループの周りに巻かれる、請求項11に記載の構築物。
【請求項13】
配置構成では、前記通過リムが、物体の周りを通り、前記第二のループを通って延びる、請求項10に記載の構築物。
【請求項14】
前記配置構成では、前記第二のループが、第一の直径から第二の直径にサイズを縮小するように、前記縮小リムに張力がかけられる、請求項10に記載の構築物。
【請求項15】
前記フィラメントが、中空縫合糸ブレイドから構成される、請求項10に記載の構築物。
【請求項16】
物体を骨穴に対する位置に固定する方法であって、
第一の端および第二の端を有する基材、前記基材に沿って複数の通過位置を通って織られるフィラメントを備え、前記フィラメントは通過リムおよび縮小リムに延びる第一のループを形成し、前記フィラメントの前記第一のループは、前記基材の前記第一の端から延び、前記通過リムおよび前記縮小リムは、前記基材の前記第二の端から延び、前記複数の通過位置のうちの隣接する二つの通過位置の間の前記縮小リムに通過部分があり、前記通過部分は前記第一のループを通って延び、前記縮小リムに第二のループを形成する、ノットレス縫合アンカー構築物を提供するステップと、
前記ノットレス縫合アンカー構築物を骨穴に挿入するステップと、
前記通過リムを前記物体の周り、次いで前記第二のループを通して通過させるステップと、
前記第二のループの前記サイズを縮小するために前記縮小リムに張力をかけるステップと、を含む、方法。
【請求項17】
前記ノットレス縫合アンカー構築物をドライバー上に装填するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記基材が前記ドライバーのフォーク状端に装填される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記縮小リムおよび前記通過リムをトリミングするステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月1日出願の「Knotless All-Suture Anchor」と題された、米国仮特許出願第62/636,906号、2018年3月1日出願の「Knotless All-Suture Anchor」と題された、米国仮特許出願第62/637,106号、および2018年3月1日出願の「Knotless All-Suture Anchor」と題された、米国仮特許出願第62/637,134号に優先権を主張し、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は一般的に、縫合アンカー、より具体的には、骨穴に対して所望の位置に組織を固定するためのノットレス縫合アンカー構築物に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
外科手技は、しばしば、基材内および/または基材に対する縫合糸の信頼できる取り付け位置を提供するために、縫合アンカーを必要とする。次に、取り付けられた縫合糸は、軟組織を含む他の物体を捕捉および保持するために使用される。基材は、骨または骨質材料または軟組織であってもよい。骨および骨質材料の場合、縫合アンカーを骨の予め形成された穴に挿入し、その結果、取り付けられた縫合糸が、縫合アンカーから予め形成された穴の外に延びるようにすることができる。基材が軟組織である場合、縫合アンカーは、軟組織の側に存在し、その結果、縫合糸が縫合アンカーから組織の穴を通って、軟質アンカーの反対側の軟組織をさらに越えて延びることができる。
【0004】
従来的の実施では、縫合アンカーは、少なくとも一つの特徴を組み込んで、縫合アンカーを予め形成された穴に保持する保持能力を生成することができる。いくつかのアンカーでは、特徴は、基材との締まり嵌めを作り出すために、変形できるリジッド部材を具体化する。その他の縫合アンカーは、外部特徴(例えば、バーブ、ねじ山など)を利用する。これらの外部特徴は、基材と相互作用して、多くの場合、基材を貫通する、切断する、および/または変形することによって保持能力を作り出すことができる。さらに他の縫合アンカーでは、特徴は、移動可能(例えば、配置可能なバーブ)であってもよく、保持能力を作り出すために移動する。
【0005】
多くの要因は、任意の縫合アンカーによって達成される実際の保持能力に直接影響を及ぼす可能性がある。例えば、骨質組織または軟組織の質は、特定の縫合アンカーの設計に応じて、大幅に保持能力を増加または減少させうる。従って、いくつかの縫合アンカーは、特定の状況で良好に実施される一方で、他のアンカーは、その他の状況でより良く実施される。同様に、設置の質は保持能力に影響を与える。
【0006】
従って、修復縫合糸を予め形成された穴に引き込み、基材を変形させるためのループ構成を形成するために、軟質で可鍛性の基材に交互に配置された縫合糸材料に対するニーズがある。
【0007】
関連技術セクションの免責条項の説明:特定の特許/刊行物/製品がこの関連技術セクションの説明またはこの開示の他の場所で議論されている限り、これらの議論は議論された特許/刊行物/製品は特許法の目的のための先行技術であるという許可として受け取る
べきではない。例えば、議論された特許/刊行物/製品の一部または全ては、十分早期でない場合があり、十分早期に開発された主題を反映していない場合があり、および/または特許法の目的のために先行技術に相当するほど、十分に可能ではない場合がある。特定の特許/刊行物/製品が、この関連技術セクションの説明および/または出願全体を通して上記で議論されている限り、その説明/開示は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、骨穴に対して所望の位置に組織を固定するのに最適なノットレス縫合アンカー構築物に関する。一態様によると、ノットレス縫合アンカー構築物は、第一の端および第二の端を有する基材と、基材に沿った複数の通過位置を通して織り込まれたフィラメントとを含む。フィラメントは、通過リムおよび縮小リムに延びる第一のループを形成する。複数の通過位置のうち隣接する二つの通過位置の間に縮小リムの通過部分がある。配置前構成では、フィラメントの第一のループは、基材の第一の端から延び、通過リムおよび縮小リムは、基材の第二の端から延びる。また、配置前構成では、通過部分は第一のループを通って延び、縮小リムに第二のループを形成する。
【0009】
別の態様によれば、ノットレス縫合アンカー構築物は、通過リムと縮小リムとの間のスプライスを有するフィラメントを含む。通過リムは、スプライスを通って延び、第一のループを作る。構築物はまた、第一の端および第二の端を有する基材を含む。配置前構成では、フィラメントは、通過リムが基材の第一の端の第一の通過位置を通って延びるように、また縮小リムが、基材の第二の端に向かって一つまたは複数の通過位置を通って延びるように、基材を通して織られる。基材の第二の端に向かって、一つまたは複数の通過位置のうちの隣接する二つの通過位置の間に縮小リムの通過部分がある。配置前構成では、通過部分は第一のループを通って延び、縮小リムに第二のループを形成する。
【0010】
別の態様によれば、本発明は、骨穴に対する位置に物体を固定するための方法である。この方法は、(i)第一の端および第二の端を有する基材、基材に沿って複数の通過位置を通って織られるフィラメントを備え、フィラメントは通過リムおよび縮小リムに延びる第一のループを形成し、フィラメントの第一のループは、基材の第一の端から延び、通過リムおよび縮小リムは、基材の第二の端から延び、複数の通過位置のうちの隣接する二つの通過位置の間に縮小リムの通過部分があり、通過部分は第一のループを通って延び、縮小リムに第二のループを形成する、ノットレス縫合アンカー構築物を提供するステップと、(ii)ノットレス縫合アンカー構築物を骨穴に挿入するステップと、(iii)通過リムを物体の周り、次いで第二のループを通して通過させるステップと、(iv)第二のループのサイズを縮小するために縮小リムに張力をかけるステップと、を含む。
【0011】
本発明のこれらおよびその他の態様は、以下に記述される実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【0012】
以下の考察は、骨または骨質組織に予め形成された穴に修復縫合糸を引き込むように構成された縫合アンカーの実施形態を説明する。これらの構成は、軟質の可鍛性の基材(例えば、縫合糸リボン)に織り込まれたフィラメント(例えば、縫合糸)を有することができる。不織布フィラメントは、予め形成された穴に隣接する固定部位から始まる修復縫合糸の自由端を受けるループを形成できる。使用時、織り込まれたフィラメントの自由端にかかる張力は、ループが移動して修復縫合糸に係合し、予め形成された穴に自由端が効果的に引き込まれ、フィラメントが基材を通って修復縫合糸に対して自由に移動できるように、修復縫合糸を基材と交互に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の一つまたは複数の態様は、本明細書の終了時に特許請求の範囲の例として特に指摘され、特定的に特許請求される。本発明の前述およびその他の物体、特徴、および利点は、以下の記述から添付図面と併せて明らかである。
【0014】
図1図1は、一実施形態による、平面構成におけるノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図2図2は、一実施形態による、第二のループを伴うノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図3図3は、一実施形態による、第二のループが第一のループを通る、ノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図4図4は、一実施形態による、配置前構成におけるノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図5図5は、一実施形態による、物体の周りに使用される、ノットレス縫合アンカー構築物の斜視概略図である。
図6図6は、一実施形態による、物体の周りに使用される、ノットレス縫合アンカー構築物の側面概略図である。
図7図7は、一実施形態による、物体の周りに使用される、ノットレス縫合アンカー構築物の別の斜視概略図である。
図8図8は、一実施形態による、物体の周りに使用される、ノットレス縫合アンカー構築物の別の側面概略図である。
図9図9は、一実施形態による、物体の周りに使用される、ノットレス縫合アンカー構築物のさらに別の側面概略図である。
図10図10は、一実施形態による、物体の周りに配置される構成の、ノットレス縫合アンカー構築物の斜視概略図である。
図11図11は、一実施形態による、物体の周りに配置される構成の、ノットレス縫合アンカー構築物の側面概略図である。
図12図12は、一代替実施形態による、第二のフィラメントを伴うノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図13図13は、一代替実施形態による、第二のフィラメントを伴うノットレス縫合アンカー構築物の底面概略図である。
図14図14は、一代替実施形態による、配置前構成におけるノットレス縫合アンカー構築物の斜視概略図である。
図15図15は、一代替実施形態による、配置構成におけるノットレス縫合アンカー構築物の側面概略図である。
図16図16は、一実施形態による、ドライバー上のノットレス縫合アンカー構築物の側面概略図である。
図17A図17Aは、一代替実施形態による、ノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図17B図17Bは、別の代替実施形態による、ノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図17C図17Cは、さらに別の代替実施形態による、ノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図17D図17Dは、一追加代替実施形態による、ノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図18図18は、一代替実施形態による、フィンガートラップを伴うノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図19図19は、別の代替実施形態による、フィンガートラップを伴うノットレス縫合アンカー構築物の上面概略図である。
図20A図20Aは、一代替実施形態による、配置前構成における、フィンガートラップおよびアイスプライスを伴うノットレス縫合アンカー構築物の斜視概略図である。
図20B図20Bは、一代替実施形態による、配置構成における図20Aのノットレス縫合アンカーの斜視概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の態様および特定の特徴、利点、およびその詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に以下に説明される。本発明の詳細を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかしながら、本発明の態様を示しつつ、詳細な説明および特定の非限定的な例は、例示のみによって与えられ、限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明の基礎となる概念の精神および/または範囲内での様々な置換、修正、追加、および/または配置は、本開示から当業者には明らかであろう。
【0016】
ここで図面を参照すると、同様の参照番号が全体を通して同様の部分を指しており、図1は、一実施形態による、平面構成におけるノットレス縫合アンカー構築物100の上面概略図を示す。ノットレス縫合アンカー構築物100は、中央長手方向のy-y軸に沿って第一の端104および第二の端106と、を有し、その間に延びる基材102を備える。基材102は、Y-Knot(登録商標)縫合テープなどの任意の縫合材料でありうる。図示した実施形態では、基材102は長方形であるが、他の形状および構成を使用することができる。
【0017】
ノットスレス縫合アンカー100は、基材102を通して織られた第一のフィラメント108を追加的に含む。フィラメント108は、任意の縫合材料から構成されうる。好ましい実施形態では、フィラメント108は、中空の縫合糸ブレイドで構成されており、これは平坦で、丸型縫合糸ほど反転しない(また丸型、平坦であってもよく、および/またはコアを含むか、または含まなくてもよい)。第一の構成では、フィラメント108は中央セクション110で折り畳まれ(「中央セクション」は本明細書ではフィラメント108の任意の折り畳まれた領域と解釈され、フィラメント108の中央である必要はない)、通過リム112および縮小リム114を形成する。フィラメント108は、複数の通過位置118で、基材102を通して、第一の表面116から第二の表面(図示せず)へと織られる。図示した実施形態では、フィラメント108は、中央セクション110が、基材102の第一の端104上の第一の端子通過位置118Aから延在し、フィラメント108に(第一の直径を有する)第一のループ120を作り出すように、織られている。
【0018】
図1に示すように、通過リム112および縮小リム114は、基材102に沿って第二の端106に向かって、追加的な通過位置118を通して織られる。通過リム112および縮小リム114は、基材102の第二の端106で、第二の端子通過位置118Bから延在する。従って、平面構成では、図1に示すように、フィラメント108の第一のループ120は、基材102の第一の端104から延び、通過リム112および縮小リム114は、基材102の第二の端106から延びる。
【0019】
ここで図2を参照すると、一実施形態による、第二のループ122を伴うノットレス縫合アンカー構築物100の上面概略図が示されている。ノットレス縫合アンカー構築物100の平面構成では、隣接する二つの中央通過位置118C、118Dの間の縮小リム114の通過部分124が、中央長手方向y-y軸から離れて基材102から引き出される。通過部分124が基材102から引き離されると、示されるように、(第一の直径を有する)第二のループ122が、縮小リム114に作成される。
【0020】
ここで図3および図4を参照すると、一実施形態による、第二のループ122が第一のループ120を通る、ノットレス縫合アンカー構築物100の上面概略図が示されている
。第二のループ122が縮小リム114(図2)で作成された後、第二のループ122は、図3に示すように、基材102の第一の端104で第一のループ120を通過する。その後、第一のループ120は、通過リム112を、基材102の第二の端106から離れる方向に引くことによって張力を受ける。通過リム112に張力がかかることで、第一のループ120が、第一の直径より小さい第二の直径にサイズを縮小させる。図4に示すように、第一のループ120のサイズが縮小すると、第二のループ122の周りを囲むか、または締め付けて、ノットレス縫合アンカー構築物100を配置前構成に移動させる。
【0021】
ここで図5および図6を参照すると、一実施形態による、物体126の周りに使用される、ノットレス縫合アンカー構築物100の斜視および側面概略図が示されている。図4に示すように、配置前構成において、ノットレス縫合アンカー構築物100は、骨穴121に挿入される(図6)。図5図6に示すように、ノットレス縫合アンカー構築物100は、組織などの物体126に隣接する骨穴121(図6)に配置される。物体126は、その他任意の生物学的材料であってもよいが、物体126が組織である例示的な実施形態は以下に論じる。ノットレス縫合アンカー構築物100は、図5に示す通り、基材102の第一の端104が近位にあり、基材102の第二の端106が組織126に対して遠位にあるように配置される。別の方法として、図6に示すように、ノットレス縫合アンカー構築物100は、基材102の第一の端104が組織126の一方の側に向かって延び、基材102の第二の端106が組織の反対側に延びるように、組織126の下の骨穴121内に配置されうる。
【0022】
組織126の横に位置付けられた第二のループ122により、ノットレス縫合アンカー構築物100が配置されうる。ノットレス縫合アンカー構築物100を配置するために、図5および図6に示されるように、通過リム112は、まず第二のループ122を通過し、次に組織126を通過するか、またはその周りを通過する。従って、通過リム112および第二のループ122は、組織126を囲むか、またはその他の方法で捉える。通過リム112が組織126の周りに巻かれた後(または通過した)後、通過リム112は、図5および図6に示す通り、第二のループ122を通って戻される。
【0023】
ここで図7図9を参照すると、一実施形態による、組織126の周りに使用される、ノットレス縫合アンカー構築物100の斜視および側面概略図が示されている。通過リム112が第二のループ122を通って戻された後、縮小リム114は張力を受ける。縮小リム114を基材102から離れる方向に引くことによって、第二のループ122の第一の直径は、第二の直径まで縮小する。言い換えれば、縮小リム114が張力を受けると、第二のループ122は、図8図9に示す通り、通過リム112の周りを締め付け始める。
【0024】
ここで図10図11を参照すると、一実施形態による、配置構成でのノットレス縫合アンカー構築物100の斜視および側面概略図が示されている。配置構成では、縮小リム114は、第二のループ122がそれを通って延びる通過リム112の周りを締め付けるように、張力がかけられている。第二のループ122のサイズが縮小した結果、組織126は、基材102(および骨穴121、図11に示すように)の近くまたは横に引き寄せられ、ノットレス縫合アンカー構築物100を組織126に対して望ましい位置に配置する。
【0025】
ここで図12および図13を参照すると、代替的実施形態による、第二のフィラメント128(以下、「ロッキングフィラメント」)を伴う、ノットレス縫合アンカー構築物100の上面および底面概略図が示されている。図12では、ノットレス縫合アンカー構築物100は、配置前構成にある(図4に示すように)。配置前構成のノットレス縫合アンカー構築物100では、ロッキングフィラメント128は、図13に示す通り、基材10
2の第二の表面117から延びる通過リムおよび縮小リム112、114を通って織り込まれる。ロッキングフィラメント128は、通過リム112および縮小リム114が、基材102を引き裂くことを防止する。ロッキングフィラメント128はまた、第二のループ122が基材102に引き込まれることを防止する。ロッキングフィラメント128は、例えば、モノフィラメント、ブレイド、または縫合テープなどの任意のタイプの縫合糸で構成されうる。
【0026】
さらに図13を参照すると、ロッキングフィラメント128は、隣接する二つの通過位置118の間の通過リムおよび縮小リム112、114を通過する。言い換えると、ロッキングフィラメント128は、基材102の第二の表面117上の通過リムおよび縮小リム112、114の一つまたは複数の露出した部分を通過できる。図13に示す実施形態では、ロッキングフィラメント128は、隣接する三対の通過位置118の間の通過リムおよび縮小リム112、114を通って織り込まれ、隣接する通過位置118の一対ごとに一回、通過リムおよび縮小リム112、114の下を横切る。別の実施形態では、ロッキングフィラメントは、基材102の第一の表面上の通過リムおよび縮小リム112、114の露出した部分を通過できる。
【0027】
ここで図14および図15を参照すると、一代替実施形態による、それぞれ配置前構成および配置構成におけるノットレス縫合アンカー構築物100の斜視および側面概略図である。図14におけるノットレス縫合アンカー構築物100は、基材102およびフィラメント108を備える。フィラメント108は、その間にアイスプライス134を有する、第一の端130および第二の端132を備える。第一の端130とアイスプライス134との間のフィラメント108の部分は、通過リム112を備え、第二の端132とアイスプライス134との間のフィラメント108の部分は、縮小リム114を備える。
【0028】
図14に示す第一の構成を達成するために、通過リム112は、最初にアイスプライス134を通過し、第一のループ120を作り出す。次に、通過リム112は、基材102の第一の端104に少なくとも一つの通過位置118を通して織り込まれる。通過リム112は、基材102の第一の端104から延びるように織られる。縮小リム114は、基材102の第二の端106に向かって基材102を通って織られる。具体的には、縮小リム114は、通過リム112の通過位置118に隣接する通過位置118を通って織られる。図示した実施形態では、縮小リム114は、基材102に沿って少なくとも二つの通過位置118を通って織られ、示されるように、基材102の第二の端106から延びる。
【0029】
さらに図14を参照すると、隣接する二つの通過位置118の間の縮小リム114の通過部分124が、基材102から引っ張られる。通過部分124が基材102から引き離されると、第二のループ122が、縮小リム114に作成される。配置前構成を達成するために、示されるように、第二のループ122は第一のループ120を通過する。図15に示すように、配置のために、ノットレス縫合アンカー構築物100は、組織などの物体126に対して望ましい位置にある骨穴121(図15)内に配置される。
【0030】
図14では、ノットレス縫合アンカー構築物100は、基材102の通過リム112および第一の端104が、組織126に対して近位にあるように配置される。図15に示すように、通過リム112は次に、組織126の周りに巻かれるか、またはそれを通過する。その後、通過リム112は第二のループ122を通過する。第二のループ122のサイズを縮小するために(第一の直径から第二の直径に)、縮小リム114を骨穴121から離れる方向に引っ張る。縮小リム114が張力を受けるにつれて、第二のループ122はサイズが縮小し、通過リム112の周りを締め付け、組織126を骨穴121に引き寄せる。組織126が所望の位置にある場合、通過リムおよび縮小リム112、114はトリ
ミングされうる。
【0031】
ここで図16を参照すると、一実施形態による、ドライバー200上のノットレス縫合アンカー構築物100の側面概略図が示されている。図示した実施形態では、基材102は、ドライバー200のフォーク状端202内に配置される。示されるように、基材102の第一の端104(および第二のループ122)は、ドライバー200の第一の側204にある。基材102の第二の端106は、ドライバー200の第二の側206にある。図16に示すように、通過リム112および縮小リム114は、ドライバー200の第二の側206に沿って基材102の第二の端106から延びる。図示した実施形態では、第三のフィラメント208は第二のループ122を通過する。第三のフィラメント208は、第二のループ122を細長くするように引っ張り、一方で縮小リム114を引っ張って第二のループ122を最小化することができる。従って、第三のフィラメント208および縮小リム114は、ノットレス縫合アンカー構築物100が骨穴内に配置されるとき、第二のループ122を安定させることと、ノットレス縫合アンカー構築物100の配置を容易にすることの両方に使用できる。
【0032】
ここで図17A図20Bを参照すると、代替的な実施形態のノットレス縫合アンカー構築物100の様々な概略図が示されている。図17Aに示す実施形態では、ノットレス縫合アンカー構築物100は、図3図4の実施形態において第一のループ120を通す代わりに、第一のループ120の周りを時計回りに巻き付ける、縮小リム114に通過部分124を備える。図17Bのノットレス縫合アンカー構築物100はまた、第一のループ120の周りに巻き付く通過部分124を有するが、第一のループ120の周りを図17Aに示すのとは反対方向(反時計回り)に巻き付ける。
【0033】
図17Cに示す実施形態では、通過部分124は、第一のループ120を通って延びるが、通過部分124は、下から第一のループ120を通過する(すなわち、図3に示すのとは反対方向から)。図17Dでは、ノットレス縫合アンカー構築物100の実施形態が示されており、フィラメント108は、基材102を通って、第一の方向、第二の方向、および再び第一の方向に織り込まれる。フィラメント108は、第一のループ120が作成され、通過リム112および縮小リム114が基材102の対向する側から延びるように、基材102を通過する。
【0034】
図18では、ノットレス縫合アンカー構築物100は、第一のループ120内のアイスプライス134を備える。縮小リム114の通過部分124は、第一のループ120の周りに巻かれる。その後、縮小リム114は、示されるように、アイスプライス134を通過する。図19では、通過リム(図示せず)および縮小リム114は、基材102の対向する側から延びる。さらに、ノットレス縫合アンカー構築物100は、縮小リム114上に「フィンガートラップ」135を備える。第三のフィラメント308は、フィンガートラップ135および第一のループ120を通って進み、縮小リム114を捉える。第三のフィラメント308は、フィンガートラップ135を通して、縮小リム114および第一のループ120を引っ張るために使用される。
【0035】
図20A図20Bでは、ノットレス縫合アンカー構築物100は、フィンガ―トラップ135を備え、通過リム112および縮小リム114はそれを通って進む。図20Aに示す通り、通過リム112および縮小リム114は、配置前構成のフィンガートラップ135から延びる。ノットレス縫合アンカー構築物100はまた、通過リム112内のアイスプライス134を備える。通過リム112は、アイスプライス134を通って進み、第二のループ122を形成する。ノットレス縫合アンカー構築物100を配置するために、図20Bに示されるように、通過リム112は、第一のループ120、物体126の周り、第二のループ122を通って進む。縮小リム114に張力をかけることで、第一のルー
プ120のサイズが縮小し、物体126をフィンガートラップ135に向かって移動させる。
【0036】
ノットレス縫合アンカー構築物100のその他の構成が意図されており、フィンガートラップまたはアイスプライスなどの要素の変化を含みうる。
【0037】
本明細書で定義され使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御するために理解されるべきである。
【0038】
本明細書で様々な実施形態が説明され、図示されてきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施し、および/または結果および/または一つもしくは複数の利点を得るための様々な他の手段、および/または構造を容易に想起するであろうし、そのような変形および/または変更の各々は、本明細書に記載の実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、教示が使用される一つまたは複数の特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多数の同等物を単に通常の実験を用いて認識することができ、または確認することができる。従って、前述の実施形態は、単に例示的なものとして提示されており、添付した特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、実施形態は、具体的に説明および請求された以外のその他の方法で、実行できることが理解されよう。本開示の実施形態は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の範囲内に含まれる。
【0039】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「備える(comprise)」(および「備える(comprises)」や「備える(comprising)」などのcompriseの任意の形式)、「有する(have)」(および「有する(has)」や「有する(having)」などのhaveの任意の形式)、「含む(include)」(および「含む(includes)」や「含む(including)」などのincludeの任意の形式)、および「包含する(contain)」(および「包含する(contains)」や「包含する(containing)」などのcontainの任意の形式)は、オープンエンドのリンク動詞であることがさらに理解されるだろう。結果として、一つまたは複数のステップまたは要素を「備える(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法またはデバイス。同様に、一つまたは複数の特徴を「備える(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法のステップ、またはデバイスの要素は、それら一つまたは複数の特徴を有するが、それらの一つまたは複数の特徴のみを保持することに限定されない。さらに、特定の方法で構成されるデバイスまたは構造は、少なくともそのように構成されるが、リストされていない方法で構成することもできる。
【0040】
以下の特許請求の範囲の全ての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為および同等物は、もしあれば、具体的に請求される他の特許請求の要素と組み合わせて、機能を実行するための構造、材料または行為を含むことを意図している。本発明
の説明は、例示および説明の目的で提示されてきたが、本発明に開示された形態で網羅的または限定されるものではない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の一つまたは複数の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、当業者が、考えられる特定の用途に適した様々な修正を有する様々な実施形態について本発明の一つまたは複数の態様を理解できるように選択および説明された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20A
図20B
【手続補正書】
【提出日】2022-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノットレス縫合アンカー構築物であって、
第一の端および第二の端を有する基材と、
前記基材に沿って複数の通過位置を通って織り込まれたフィラメントであって、通過リムおよび縮小リムに延びる第一のループを形成するフィラメントと、
を備え、
前記複数の通過位置のうち隣接する二つの通過位置の間の前記縮小リムの通過部分が第二のループを作り、
前記フィラメントの前記第一のループは、前記基材の前記第一の端において第一の表面から延び、前記通過リムおよび前記縮小リムは、前記基材の前記第一の端又は前記第二の端において前記第一の表面又は第二の表面から延び、
前記第一のループは、前記第二のループを通って延びる、ノットレス縫合アンカー構築物。
【請求項2】
前記第二のループが、前記縮小リムに張力がかけられると、第一の直径から第二の直径にサイズを縮小するように構成される、請求項1に記載の構築物。
【請求項3】
前記第二のループ前記第一のループの周りに時計回りで巻かれる、請求項2に記載の構築物。
【請求項4】
前記第二のループが前記第一のループの周りに反時計回りで巻かれる、請求項2に記載の構築物。
【請求項5】
前記通過リムおよび前記縮小リムは、前記基材の同じ端から延びる、請求項1に記載の構築物。
【請求項6】
前記通過リムおよび前記縮小リムは、前記基材の前記第二の端から延びる、請求項5に記載の構築物。
【請求項7】
前記通過リムおよび前記縮小リムは、前記基材の異なる端から延びる、請求項1に記載の構築物。
【請求項8】
前記縮小リムは、前記基材の前記第一の端から延び、前記通過リムは、前記基材の前記第二の端から延びる、請求項7に記載の構築物。
【請求項9】
前記フィラメントは、中空縫合糸ブレイドから構成される、請求項1に記載の構築物。
【請求項10】
前記第一のループが、前記基材の前記第一の端で前記複数の通過位置の第一の通過位置から延びる、請求項1に記載の構築物。
【請求項11】
前記縮小リムおよび前記通過リムが、前記基材の前記第二の端で前記複数の通過位置の第二の通過位置から延びる、請求項1に記載の構築物。
【請求項12】
配置構成では、前記通過リムが、物体の周りを通り、前記第一のループを通って延びる、請求項6に記載の構築物。
【請求項13】
前記配置構成では、前記第一のループは、前記通過リムに張力がかけられると、第一の直径から第二の直径にサイズを縮小するように構成され、請求項7に記載の構築物。
【請求項14】
前記基材の前記第二の表面から延びる前記通過リムおよび前記縮小リムの露出した部分を通って織り込まれた細長いロッキングフィラメントをさらに含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項15】
前記第一のループがスプライスを有する、請求項1に記載の構築物。
【請求項16】
前記縮小リムが前記スプライスを通過して第三のループを形成する、請求項15に記載の構築物。