(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081810
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】風呂排水システムおよび湯水流通検出ユニット
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20220525BHJP
E03C 1/23 20060101ALI20220525BHJP
A47K 1/14 20060101ALI20220525BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
A47K3/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020192984
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大内 亮二
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DB07
(57)【要約】
【課題】給湯器と排水栓用開閉装置とを直接通信接続させ得ない場合であっても、浴槽の排水栓の開閉動作制御を適切に行なうことが可能な風呂排水システムを提供する。
【解決手段】風呂排水システムAは、浴槽配管部2の往き管21および戻り管22のそれぞれにおける湯水流通を検出し、かつその湯水流通の方向を判別することが可能な第1および第2の検出手段Sa,Sbを、備えており、コントローラ4は、浴槽配管部に湯水流通があった場合には、この湯水流通が、排水栓30を開状態とすべき所定の動作モードの湯水流通に該当するか否かを、第1および第2の検出手段Sa,Sbからの検出信号に基づいて判断し、かつ前記所定の動作モードの湯水流通に該当すると判断したときには、排水栓30を開状態に設定するように排水栓用開閉装置3を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の排水栓を開閉自在とする排水栓用開閉装置と、
前記浴槽を給湯器と接続する往き管および戻り管を有する浴槽配管部における湯水流通を検出可能な検出手段と、
前記排水栓の開状態時において、前記浴槽配管部における湯水流通が前記検出手段を介して検出されたときに、前記排水栓を閉状態に設定するように前記排水栓用開閉装置を制御するコントローラと、
を備えている、風呂排水システムであって、
前記検出手段として、前記浴槽配管部の前記往き管および前記戻り管のそれぞれにおける湯水流通を検出し、かつその湯水流通の方向を判別することが可能な第1および第2の検出手段を、備えており、
前記コントローラは、前記浴槽配管部に湯水流通があった場合には、この湯水流通が、前記排水栓を開状態とすべき所定の動作モードの湯水流通に該当するか否かを、前記第1および第2の検出手段からの検出信号に基づいて判断し、かつ前記所定の動作モードの湯水流通に該当すると判断したときには、前記排水栓を開状態に設定するように前記排水栓用開閉装置を制御する構成とされていることを特徴とする、風呂排水システム。
【請求項2】
請求項1に記載の風呂排水システムであって、
前記所定の動作モードは、前記給湯器から前記往き管および前記戻り管の双方に対し、管内洗浄を目的として湯水が所定量または所定時間供給される配管クリーンである、風呂排水システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の風呂排水システムであって、
前記往き管および前記戻り管のそれぞれの内部の温度を検出可能な少なくとも第1および第2の温度センサをさらに備えており、
前記コントローラは、前記浴槽配管部の湯水流通が前記所定の動作モードの湯水流通に該当するか否かを判断するときには、前記第1および第2の温度センサを利用して検出される温度を参照するように構成されている、風呂排水システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の風呂排水システムであって、
前記浴槽配管部の途中箇所または終端部に取付けられる湯水流通検出ユニットを、備えており、
この湯水流通検出ユニットは、前記往き管および前記戻り管の内部に個別に連通し、かつ前記往き管および前記戻り管の内部を流通する湯水が通過する第1および第2の流路を形成しているユニット本体部を備え、かつこのユニット本体部には、前記第1および第2の流路に対応して前記第1および第2の検出手段が取付けられている、風呂排水システム。
【請求項5】
浴槽と給湯器とを接続する往き管および戻り管を有する浴槽配管部に取付けられて用いられ、かつ前記浴槽配管部における湯水流通を検出可能な検出手段を備えており、
前記浴槽配管部における湯水流通があったときには、その検出信号を前記検出手段から出力可能とされている、湯水流通検出ユニットであって、
前記往き管および前記戻り管にそれぞれ接続可能であり、かつ前記往き管および前記戻り管を流通する湯水を個別に通過させるための第1および第2の流路を形成しているユニット本体部を備えており、
このユニット本体部には、前記検出手段として、前記第1および第2の流路のそれぞれにおける湯水流通を検出し、かつその湯水流通の方向を判別することが可能な第1および第2の検出手段が取付けられていることを特徴とする、湯水流通検出ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の湯水流通検出ユニットであって、
前記第1および第2の流路は、縦方向に並び、かつ前記第1および第2の検出手段は、前記第1および第2の流路の横に位置して前記縦方向に並んでおり、
前記第1および第2の流路の側部には、前記第1および第2の検出手段のそれぞれ一部を、前記第1および第2の流路の内側に臨ませるための第1および第2の開口部が設けられ、
これら第1および第2の開口部は、その中心間距離が、前記第1および第2の流路の中心間距離よりも長くなるように、前記第1および第2の流路の中心に対してオフセットされている、湯水流通検出ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の湯水流通検出ユニットであって、
前記第1および第2の流路の内部の温度を検出可能な少なくとも第1および第2の温度センサをさらに備えており、
これら第1および第2の温度センサは、前記第1および第2の流路を前記縦方向において挟む配置で前記ユニット本体部に取付けられている、湯水流通検出ユニット。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の湯水流通検出ユニットであって、
前記ユニット本体部は、前記第1および第2の流路の一端側を、前記往き管および前記戻り管の終端部に接続可能とする管体用接続部と、前記第1および第2の流路の他端側を、前記浴槽に取付けられる循環アダプタに接続可能とする循環アダプタ用接続部と、を備えている、湯水流通検出ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂排水システム、およびこの風呂排水システムにおいて利用される湯水流通検出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、風呂排水システムの一例として、特許文献1に記載のものを先に提案している。
同文献に記載の風呂排水システムにおいては、浴槽の排水栓を開閉自在とする排水栓用開閉装置、この排水栓用開閉装置を制御するコントローラ、および浴槽と給湯器とを接続する浴槽配管部に取付けられた羽根車式水量センサなどの検出手段を備えている。前記給湯器から前記浴槽に湯水供給が開始され、前記浴槽配管部における湯水流通が前記検出手段によって検出されると、前記コントローラは、前記排水栓が開状態である場合にこれを閉状態に切り替えるように前記排水栓用開閉装置を制御する。
【0003】
このような構成によれば、浴槽への湯張りなどが実行されている際に、排水栓が開状態のままとなることが適切に解消される他、浴槽への湯張りなどが開始される際に、ユーザが、浴室まで足を運んで排水栓用開閉装置を操作し、排水栓を事前に閉状態とする煩わしさを無くすことが可能であり、便利である。
なお、給湯器と排水栓用開閉装置とを通信接続し、排水栓用開閉装置を給湯器によって直接制御する構成とすれば、前記したコントローラや検出手段を不要にすることは可能であるが、現実には、そのような構成にできない場合がある。たとえば、給湯器および排水栓用開閉装置のそれぞれのメーカが相違するなどの理由から排水栓用開閉装置を給湯器によって直接制御し得るように通信接続できない場合がある。前記した特許文献1の構成によれば、そのような場合にも適する。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0005】
すなわち、前記従来の風呂排水システムによれば、給湯器と浴槽とを接続する浴槽配管部において湯水流通がなされ、その旨が検出手段を介して検出されると、排水栓が閉状態に設定されるに過ぎない。ところが、給湯器の動作モードとしては、浴槽に湯水を供給したときに、排水栓が開状態に設定されることが望まれる動作モードがあり、この場合には対応することができない。より具体的には、給湯器の動作モードの一例として、浴槽配管部の管内洗浄を目的として、未使用の湯水を所定量または所定時間だけ浴槽配管部に供給する配管クリーンがあり、この配管クリーンにおいては、浴槽配管部に供給された湯水は浴槽に流れ込む。したがって、この場合において、排水栓が閉状態のままでは、配管クリーンに用いられた湯水が浴槽内に溜まった状態となり、好ましくない。前記従来技術において、前記した不具合を回避するには、配管クリーンの後に、ユーザが排水栓用開閉装置を操作し、排水栓を開状態とする必要があり、面倒である。なお、配管クリーンの動作に先立ち、排水栓を予め開状態に設定していた場合、配管クリーンが開始された時点で排水栓が閉状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、給湯器と排水栓用開閉装置とを直接通信接続させ得ない場合であっても、浴槽の排水栓の開閉動作制御を適切に行なうことが可能な風呂排水システム、およびこのシステムに好適に用いることができる湯水流通検出ユニットを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される風呂排水システムは、浴槽の排水栓を開閉自在とする排水栓用開閉装置と、前記浴槽を給湯器と接続する往き管および戻り管を有する浴槽配管部における湯水流通を検出可能な検出手段と、前記排水栓の開状態時において、前記浴槽配管部における湯水流通が前記検出手段を介して検出されたときに、前記排水栓を閉状態に設定するように前記排水栓用開閉装置を制御するコントローラと、を備えている、風呂排水システムであって、前記検出手段として、前記浴槽配管部の前記往き管および前記戻り管のそれぞれにおける湯水流通を検出し、かつその湯水流通の方向を判別することが可能な第1および第2の検出手段を、備えており、前記コントローラは、前記浴槽配管部に湯水流通があった場合には、この湯水流通が、前記排水栓を開状態とすべき所定の動作モードの湯水流通に該当するか否かを、前記第1および第2の検出手段からの検出信号に基づいて判断し、かつ前記所定の動作モードの湯水流通に該当すると判断したときには、前記排水栓を開状態に設定するように前記排水栓用開閉装置を制御する構成とされていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、浴槽の排水栓は、給湯器と浴槽とを接続する浴槽配管部に湯水流通があると、基本的には閉状態に設定され、浴槽の湯水が外部に不当に廃棄されないようにすることが可能であるが、浴槽配管部における湯水流通が、排水栓を開状態とすべき所定の動作モードの湯水流通に該当する場合には、コントローラの制御により開状態に設定される。したがって、本来的には、排水栓を開状態とすることが望ましい動作モードであるにも拘わらず、排水栓が閉状態とされることは適切に回避される。ユーザが、浴室に足を運んで排水栓用開閉装置を操作することにより排水栓を開状態とする煩わしさがないため、ユーザにとって便利である。
第2に、浴槽配管部における湯水流通が所定の動作モードの湯水流通であるか否かの判断は、浴槽配管部の往き管および戻り管のそれぞれにおける湯水流通を検出し、かつその湯水流通の方向を判別することが可能な第1および第2の検出手段からの検出信号に基づいて行なわれる。このため、前記判断を正確に行なうことが可能となり、制御の信頼性を高めることも可能である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記所定の動作モードは、前記給湯器から前記往き管および前記戻り管の双方に対し、管内洗浄を目的として湯水が所定量または所定時間供給される配管クリーンである。
【0012】
このような構成によれば、配管クリーンが実行されたときには、コントローラの制御により、浴槽の排水栓は開状態に設定されることとなり、配管クリーンに用いられた湯水が浴槽内に溜まったままにならないようにすることが可能である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記往き管および前記戻り管のそれぞれの内部の温度を検出可能な少なくとも第1および第2の温度センサをさらに備えており、前記コントローラは、前記浴槽配管部の湯水流通が前記所定の動作モードの湯水流通に該当するか否かを判断するときには、前記第1および第2の温度センサを利用して検出される温度を参照す
るように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、浴槽配管部の湯水流通が所定の動作モードの湯水流通に該当するか否かの判断がコントローラによって実行される場合に、往き管および戻り管のそれぞれの内部の温度が参照されるため、前記判断の正確性、信頼性をより高めることが可能となる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記浴槽配管部の途中箇所または終端部に取付けられる湯水流通検出ユニットを、備えており、この湯水流通検出ユニットは、前記往き管および前記戻り管の内部に個別に連通し、かつ前記往き管および前記戻り管の内部を流通する湯水が通過する第1および第2の流路を形成しているユニット本体部を備え、かつこのユニット本体部には、前記第1および第2の流路に対応して前記第1および第2の検出手段が取付けられている。
【0016】
このような構成によれば、湯水流通検出ユニットを浴槽配管部に取付けることにより、第1および第2の検出手段を浴槽配管部の往き管や戻り管に対応させて簡単に取付けることができ、風呂排水システムの構築作業の容易・迅速化を図ることが可能となる。
【0017】
本発明の第2の側面により提供される湯水流通検出ユニットは、浴槽と給湯器とを接続する往き管および戻り管を有する浴槽配管部に取付けられて用いられ、かつ前記浴槽配管部における湯水流通を検出可能な検出手段を備えており、前記浴槽配管部における湯水流通があったときには、その検出信号を前記検出手段から出力可能とされている、湯水流通検出ユニットであって、前記往き管および前記戻り管にそれぞれ接続可能であり、かつ前記往き管および前記戻り管を流通する湯水を個別に通過させるための第1および第2の流路を形成しているユニット本体部を備えており、このユニット本体部には、前記検出手段として、前記第1および第2の流路のそれぞれにおける湯水流通を検出し、かつその湯水流通の方向を判別することが可能な第1および第2の検出手段が取付けられていることを特徴としている。
【0018】
このような構成の湯水流通検出ユニットは、本発明の第1の側面により提供される風呂排水システムを構築するのに適切かつ簡便に用いることができ、前記風呂排水システムについて述べたのと同様な効果を得ることが可能である。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記第1および第2の流路は、縦方向に並び、かつ前記第1および第2の検出手段は、前記第1および第2の流路の横に位置して前記縦方向に並んでおり、前記第1および第2の流路の側部には、前記第1および第2の検出手段のそれぞれ一部を、前記第1および第2の流路の内側に臨ませるための第1および第2の開口部が設けられ、これら第1および第2の開口部は、その中心間距離が、前記第1および第2の流路の中心間距離よりも長くなるように、前記第1および第2の流路の中心に対してオフセットされている。
【0020】
このような構成によれば、湯水流通検出ユニットの各部の配置を合理的なものとして、全体の大型化を抑制することができる。その一方、第1および第2の検出手段どうしの相互間隔を大きめに取り、これら第1および第2の検出手段の取付け作業などを容易にすることが可能である。
【0021】
本発明において、好ましくは、前記第1および第2の流路の内部の温度を検出可能な少なくとも第1および第2の温度センサをさらに備えており、これら第1および第2の温度センサは、前記第1および第2の流路を前記縦方向において挟む配置で前記ユニット本体部に取付けられている。
【0022】
このような構成によれば、前記第1および第2の温度センサにより、浴槽配管部の往き管および戻り管の内部の温度を検出することが可能となり、浴槽配管部の湯水流通が所定の動作モードの湯水流通に該当するか否かを判断する際に、前記温度が参照される風呂排水システムを構築することができる。また、第1および第2の温度センサは、第1および第2の流路を前記縦方向において挟む配置であるため、これら温度センサが第1および第2の検出手段の取付けの邪魔になるようなことも適切に回避することができる。
【0023】
本発明において、好ましくは、前記ユニット本体部は、前記第1および第2の流路の一端側を、前記往き管および前記戻り管の終端部に接続可能とする管体用接続部と、前記第1および第2の流路の他端側を、前記浴槽に取付けられる循環アダプタに接続可能とする循環アダプタ用接続部と、を備えている。
【0024】
このような構成によれば、湯水流通検出ユニットの取付け態様として、この湯水流通検出ユニットが浴槽配管部と循環アダプタとの相互間に配置されてそれらに適切に接続された取付け態様が実現され、湯水流通検出ユニットの取付け作業が容易となる。また、湯水流通検出ユニットが浴槽配管部から大きく嵩張るなどして、スペース効率が悪い状態で取付けられることも回避することができる。
【0025】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る風呂排水システムの全体の概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図1に示す風呂排水システムの循環アダプタ、湯水流通検出ユニット、および浴槽配管部の構成を示す要部分解斜視図である。
【
図3】
図1および
図2に示す風呂排水システムの湯水流通検出ユニットの斜視図である。
【
図5】
図1に示す風呂排水システムにおけるコントローラの動作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】浴槽配管部の湯水流通が配管クリーンである場合の湯水流通状態の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0028】
図1に示す風呂排水システムAは、給湯器WH、浴槽1、給湯器WHから浴槽1への湯水供給や風呂追い焚き用の湯水循環を行なうための浴槽配管部2、この浴槽配管部2に取付けられた湯水流通検出ユニットU、浴槽1の排水口10を閉塞するための排水栓30、この排水栓30を昇降させて排水口10を開閉することが可能な排水栓用開閉装置3、およびコントローラ4を備えている。
【0029】
給湯器WHは、たとえば瞬間式ガス給湯器であり、一般給湯、浴槽1への自動湯張り、浴槽1の湯水の追い焚き(風呂追い焚き)、浴槽1へのたし湯、たし水、および配管クリーンなどの動作が可能である。
一般給湯は、水道管などの外部給水管50aから入水口51aに供給された非加熱の湯水が、内部入水管52を介して第1の熱交換部53Aに送り込まれることにより、第1のバーナ6Aにより加熱され、その後に出湯口51bから外部出湯管50bを介して外部に出湯する動作である。
浴槽1への自動湯張りは、第1の熱交換部53Aにおいて加熱された湯水が、開閉バルブV1を備えた配管部54を通過して、浴槽配管部2に到達し、この浴槽配管部2を構成する往き管21および戻り管22の双方を通過して浴槽1に送り込まれる動作である。往き管21および戻り管22は、後述するように、湯水流通検出ユニットUを介して浴槽1の循環アダプタ19と接続されている一方、追い焚き用の第2の熱交換部53Bにも接続されており、湯水循環用のポンプP1が設けられている。このポンプP1が駆動されることにより、浴槽1の湯水は、戻り管22を介して第2の熱交換部53Bに送り込まれて第2のバーナ6Bにより加熱され、その後に往き管21を介して浴槽1に戻される。なお、循環アダプタ19は、浴槽1の壁部に取付けられ、浴槽1の内部領域と、往き管21および戻り管22の内部とを連通させる部材である。
浴槽1へのたし湯は、浴槽1に所定量の加熱湯水を供給する動作であり、浴槽1へのたし水は、浴槽1に所定量の非加熱の湯水を供給する動作である。
配管クリーンは、往き管21および戻り管22の双方に対し、管内洗浄を目的として、加熱または非加熱の湯水が所定量または所定時間供給される動作である。
【0030】
排水栓用開閉装置3は、浴槽1の排水栓30を昇降させて排水口10を開閉可能な駆動機構(不図示)を備え、また排水栓30をユーザの意思によって開閉させるための手動操作スイッチ(不図示)も備えている。この排水栓用開閉装置3は、本実施形態においては、後述するように、コントローラ4によっても制御される。
【0031】
図2~
図4に示すように、湯水流通検出ユニットUは、第1および第2の流路71,72を形成している樹脂製などのユニット本体部7、このユニット本体部7に取付けられた第1および第2の圧力センサSa,Sb、ならびに第1および第2の温度センサSc,Sdを備えている。第1および第2の流路71,72は、ユニット本体部7の一部を2つの短管状に形成することにより設けられており、これらの一端側には、往き管21および戻り管22の終端部との接続が可能な管体用接続部71a,72aが設けられ、かつ他端側には、循環アダプタ19との接続が可能な循環アダプタ用接続部71b,72bが設けられている。管体用接続部71a,72aは、たとえば外周面にネジ部73を形成した円筒状とされ、かつ往き管21および戻り管22は、ネジ部73に螺合する袋状の接続用ナット74が外嵌装着された構成とされる。循環アダプタ用接続部71b,72bは、たとえば循環アダプタ19に設けられた2つの短管部19a,19bに対して嵌合連結可能な部位として構成されている。このような構成に基づき、第1および第2の流路71,72は、往き管21および戻り管22、ならびに循環アダプタ19と接続され、往き管21および戻り管22に湯水流通があった場合、その湯水は第1および第2の流路71,72をも通過する構成に設定されている。
【0032】
第1および第2の圧力センサSa,Sbは、本発明でいう第1および第2の検出手段の具体例に相当する。これら第1および第2の圧力センサSa,Sbは、これらの圧力感知部80が第1および第2の流路71,72内に臨むように設けられた上で、ビス90などを用いてユニット本体部7に取付けられている。第1および第2の圧力センサSa,Sbによる検出信号は、コントローラ4に送出される。ここで、第1および第2の流路71,72の圧力が大気圧よりも高く、たとえば水道圧付近の圧力(正圧)になったときには、第1および第2の流路71,72、ひいては往き管21および戻り管22に湯水流通が生じていると判断することができる。また、そのような状態から検出圧力が元の大気圧に戻った場合には、前記湯水流通は終了したものと判断することができる。ただし、往き管21および戻り管22において、ポンプP1の駆動による湯水の循環流通が生じている場合には、ポンプP1の吸い込み側である戻り管22内、および第2の流路72内は負圧となる。
【0033】
第1および第2の温度センサSc,Sdは、第1および第2の流路71,72内の温度
を検出することが可能に、ユニット本体部7にビス91などを用いて取付けられている。これら第1および第2の温度センサSc,Sdによる検出信号も、コントローラ4に送出される。往き管21および戻り管22の内部の状況としては、それらの内部に加熱または非加熱の湯水が流通している場合、そのような湯水の流通がなく、往き管21および戻り管22内に湯水が存在しない場合、あるいは湯水が滞留したままである場合などがあるが、そのような状況の変化に対応して第1および第2の流路71,72内の温度も変化する。第1および第2の温度センサSc,Sdを利用して検出される温度は、コントローラ4において給湯器WHの動作モードを正確に判断する際の有効な参照データとして利用される。
【0034】
図4によく表れているように、第1および第2の流路71,72は、上下方向に間隔を隔てて並んでいる。上下方向は、本発明でいう「縦方向」の具体例に相当するが、本発明でいう縦方向は、上下方向に限定されない。
第1および第2の圧力センサSa,Sbは、第1および第2の流路71,72の横に位置して上下に並んでいる。第1および第2の圧力センサSa,Sbの圧力感知部80は、第1および第2の流路71,72の側部に形成された第1および第2の開口部75a,75bを介して第1および第2の流路71,72の内部に臨んでいる。第1および第2の開口部75a,75bは、第1および第2の流路71,72の中心に対して適当な寸法Laだけ上側または下側にオフセットされており、第1および第2の流路71,72の中心間距離Lbよりも、第1および第2の開口部75a,75bの中心間距離Lcの方が長くされている。このことにより、第1および第2の圧力センサSa,Sbどうしの相互間隔を広めにし、それらの配線コード81の取り扱い性などをよくすることが可能である。
【0035】
第1および第2の温度センサSc,Sdは、第1および第2の流路71,72を上下方向において挟むようにそれらの上側および下側にそれぞれ位置し、かつ上下方向に起立した姿勢でユニット本体部7に取付けられている。このような構成によれば、第1および第2の温度センサSc,Sdが、第1および第2の圧力センサSa,Sbの取付け箇所とは明確に区分されることとなり、これらが不当に干渉することを回避可能である。
【0036】
コントローラ4は、浴槽配管部2に湯水流通があった場合に、その際の給湯器WHの動作モードを第1および第2の圧力センサSa,Sb、ならびに第1および第2の温度センサSc,Sdからの検出信号に基づいて判断し、その判断結果に応じて、排水栓30を開状態または閉状態とすべく、排水栓用開閉装置3を制御する。その具体的な制御手順については後述する。
【0037】
次に、前記した風呂排水システムAの作用について、
図5のコントローラ4の動作処理手順の一例を示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0038】
まず、浴槽配管部2に湯水流通が生じ、その旨が検出されると、コントローラ4は、排水栓30が開状態であるか否かを判断し、開状態であると、排水栓30を閉状態に切り替えるように排水栓用開閉装置3を制御する(S1:YES,S2:YES,S3)。浴槽配管部2に湯水流通が生じた場合には、第1および第2の圧力センサSa,Sbの少なくとも一方を利用して検出される圧力が、大気圧を超える所定値以上の圧力となり、このことによって湯水流通が生じた旨を察知することが可能である。浴槽配管部2に湯水流通が生じた場合、排水栓30は閉状態に設定されるため、給湯器WHから浴槽1に供給される湯水が、浴槽1の排水口10から不当に排出されることや、浴槽1に予め溜められている湯水が排水口10から不当に排出されることなどは適切に回避される。
【0039】
次いで、前記した湯水流通が停止した段階においては、前記した湯水流通が給湯器WHのいずれの動作モードに該当するかがコントローラ4によって判断される(S4:YES
,S5)。なお、この判断は、前記した湯水流通が検出された初期段階から行なわれてもよいが、前記した湯水流通が停止した後であれば、その継続時間などを考慮することが可能であり、判断の正確性を高めることが可能である。前記判断は、既述したように、第1および第2の圧力センサSa,Sb、および第1および第2の温度センサSc,Sdから出力される検出信号に基づき、往き管21および戻り管22のそれぞれにおける湯水流通の有無、湯水流通の方向(圧力が正圧であれば、給湯器WHから浴槽1に向かう順方向であり、負圧であれば、ポンプP1の吸い込み側に向かう逆方向である)、湯水流通の時間または量、温度、およびこれら各要素の変化を察知し、動作モードを判断する。
【0040】
前記した判断の結果、前記した湯水流通が、配管クリーンの湯水流通に該当すると認められる場合、コントローラ4は、排水栓30を開状態に切り替える制御を実行する(S6:YES,S7)。このことにより、配管クリーンに用いられて浴槽1に流れ込んだ湯水が、浴槽1中に溜まったままとなることは適切に解消される。その後、動作制御終了であれば、前記した動作制御は終了するが(S8:YES,エンド)、そうでない場合には前記した一連の動作処理手順は繰り返される(S8:NO,S1)。
【0041】
前記した配管クリーンにおいては、たとえば
図6に示すステップS21~S23が実行される。すなわち、配管クリーンにおいては、往き管21および戻り管22の双方に対し、配管部54から新たな湯水が供給される。このため、まず往き管21および戻り管22のそれぞれに順方向の湯水流通がなされ、第1および第2の圧力センサSa,Sbによる検出圧力は、いずれも所定値以上の正圧となる(S21)。また、配管クリーンにおいては、たとえば6L程度の湯水が消費され、その湯水流通時間は余り長時間ではなく、比較的短めである所定の第1の時間範囲内となる(S22)。さらに、配管クリーンの湯水流通が停止(終了)した後には、たとえばこれに引き続いてポンプP1が駆動されたり、あるいは浴槽1に新たに湯水を供給するといったことはなされないのが通常である。したがって、湯水流通の停止後に、次の湯水流通がない状態が、所定の第2の時間以上継続する(S23)。
【0042】
コントローラ4は、前記したステップS21~S23の状況が発生していると判断した場合には、前記した湯水流通は、配管クリーンにおけるものであると認める。
なお、参考までに浴槽1への自動湯張り、たし湯、たし水の概要、および配管クリーンとの相違点は、次のとおりである。
【0043】
〔浴槽1への自動湯張り〕
浴槽1への自動湯張りにおいては、まず浴槽1内に比較的少量の湯水を供給してからポンプP1を駆動させることにより、浴槽1内に所定量以上の湯水が予め存在しているか否かが判断される。浴槽1内に湯水が存在していない場合には、所定量の加熱湯水を浴槽1に落とし込んだ後に、ポンプP1を駆動させて追い焚きし、浴槽1の湯水を目標温度まで沸かし上げる。これとは異なり、浴槽1内に湯水が存在している場合には、浴槽1の追い焚きし、前記湯水を目標温度まで沸かし上げる
浴槽1への自動湯張りの最初の湯水流通は、配管クリーンの湯水流通と近似するが、自動湯張りでは、湯水流通の後にポンプP1の駆動による湯水循環流通があり、この点において、配管クリーンとは相違しており、コントローラ4には、浴槽1へ自動湯張りと、配管クリーンとを区別させることが可能である。
【0044】
〔たし湯、たし水〕
たし湯、たし水は、浴槽1にある程度の湯水が溜められている状態で実行される。したがって、たし湯、たし水に相当する湯水流通が終了した後においても、往き管21および戻り管22の内部には、湯水が存在し、第1および第2の圧力センサSa,Sbは、ある程度の水圧を検出している状態にある。これに対し、配管クリーンの場合には、浴槽1に
湯水が溜められていない状態で実行され、またその使用湯水量も余り多くはないため、配管クリーンが終了した後には、往き管21および戻り管22の内部に、湯水は存在しないのが通常である。たし湯、たし水と配管クリーンとは、このような点において相違しており、コントローラ4には、それらを適切に区別させることが可能である(
図6においては、この点を省略)。
【0045】
前記したように、本実施形態の風呂排水システムAによれば、給湯器WHと排水栓用開閉装置3とは通信接続されていないものの、配管クリーンが実行された際には、排水栓30を適切に開状態とすることが可能である。浴槽配管部2に湯水流通が生じた場合に、この湯水流通が配管クリーンに該当するか否かの判断は、第1および第2の圧力センサSa,Sb、および第1および第2の温度センサSc,Sdからの検出信号に基づくため、その判断を正確なものとし、信頼性を高めることか可能である。また、湯水流通検出ユニットUは、浴槽配管部2への接続が容易な構成とされており、風呂排水システムAを構築する際の作業性もよい。
【0046】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る風呂排水システム、および湯水流通検出ユニットの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0047】
第1および第2の検出手段として、圧力センサを用いているが、これに代えて、または加えて、たとえば湯水の流通方向を判別することが可能とされた流量センサなどを用いることもできる。本発明における第1および第2の検出手段は、少なくとも浴槽配管部の往き管および戻り管における湯水流通の有無、および湯水流通の方向を判別することが可能な検出手段であればよく、その具体的な種類は限定されない。
【0048】
上述の実施形態においては、排水栓を開状態とすべき所定の動作モードの具体例として、配管クリーンのモードが挙げられているが、これに限定されず、他の動作モードとされていてもよい。
【0049】
浴槽の排水栓、この排水栓を開閉動作させる排水栓用開閉装置、およびコントローラの具体的な構成も限定されない。コントローラは、それ単独で設置されることに代えて、たとえば排水栓用開閉装置または湯水流通検出ユニットに組み付けられた構成とすることも可能である。コントローラを、排水栓用開閉装置への電力供給用の基板として兼用するといったことも無論可能である。
本発明は、給湯器の種類なども限定されない。
【符号の説明】
【0050】
A 風呂排水システム
WH 給湯器
U 湯水流通検出ユニット
Sa,Sb 第1および第2の圧力センサ(第1および第2の検出手段)
Sc,Sd 第1および第2の温度センサ
1 浴槽
10 排水口
2 浴槽配管部
21 往き管
22 戻り管
3 排水栓用開閉装置
30 排水栓
4 コントローラ
7 ユニット本体部
71,72 第1および第2の流路