(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008198
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ウエットプロセスモジュールおよびその操作方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220105BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220105BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01L21/304 648L
H01L21/68 N
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/30 564C
H01L21/30 569C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021102430
(22)【出願日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】2025916
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】591004412
【氏名又は名称】ズス・マイクロテック・リソグラフィ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Suss MicroTec Lithography GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュッツバッハ,ジーモン
【テーマコード(参考)】
5F131
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131EA06
5F131JA13
5F131JA16
5F131JA24
5F131JA27
5F131JA32
5F131JA34
5F131KA06
5F131KA22
5F146JA07
5F146JA08
5F146LA07
5F157AB02
5F157AB33
5F157AB90
5F157CE64
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF70
5F157CF72
5F157CF74
(57)【要約】 (修正有)
【課題】共通の空気供給源および/または共通の引出ラインに接続していることに起因する空気供給及び空気排出の変動を抑制するウエットプロセスモジュール並びにそれを操作する方法を提供する。
【解決手段】ウエットプロセスモジュール(10)、特にラッカーモジュールは、基板を処理するためのプロセスポット(24)を含むプロセスチャンバ(12)と、プロセスチャンバ(12)内に空気を供給するための空気入口(16)と、バイパス出口(38)と、プロセスポット出口(36)とを有する。バイパス出口(38)及びプロセスポット出口(36)は、プロセスチャンバ(12)の外に空気を排出するための空気出口である。さらに、プロセスポット出口(36)は、プロセスポット(24)内に設けられ、バイパス出口(38)は、プロセスポット(24)の外側に設けられる。。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、特にウエハを処理するためのウエットプロセスモジュール、特にラッカーモジュールであって、基板を処理するためのプロセスポット(24)を有するプロセスチャンバ(12)と、プロセスチャンバ(12)内に空気を供給するための空気入口(16)と、少なくとも1つのバイパス出口(38)と、少なくとも1つのプロセスポット出口(36)と、を含み、
少なくとも1つのバイパス出口(38)および少なくとも1つのプロセスポット出口(36)は、プロセスチャンバ(12)から空気を排出するための空気出口であり、
少なくとも1つのプロセスポット出口(36)は、プロセスポット(24)内に設けられ、少なくとも1つのバイパス出口(38)は、プロセスポット(24)の外側に設けられたことを特徴とするウエットプロセスモジュール。
【請求項2】
一方の空気入口(16)および他方の空気出口(36、38)は、プロセスチャンバ(12)の異なる、特に反対側に設けられ、および/または少なくとも1つのプロセスポット出口(36)および少なくとも1つのバイパス出口(38)は、プロセスチャンバ(12)の同じ側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のウエットプロセスモジュール。
【請求項3】
少なくとも1つのバイパス出口(38)は、少なくとも部分的にプロセスポット(24)の周りに環状に延びていること、および/またはプロセスポット(24)の周りに配置された複数のバイパス出口(38)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のウエットプロセスモジュール。
【請求項4】
ウエットプロセスモジュール(10)は、プロセスチャンバ(12)内の空気圧を測定するように構成された圧力センサ(54)を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のウエットプロセスモジュール(10)。
【請求項5】
ウエットプロセスモジュール(10)は、少なくとも1つのプロセスポットチャネル(40)および少なくとも1つのバイパスチャネル(42)を有する排気装置(14)を含み、少なくとも1つのプロセスポットチャネル(40)は、少なくとも1つのプロセスポット出口(36)から延び、少なくとも1つのバイパスチャネル(42)は、少なくとも1つのバイパス出口(38)から延びることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のウエットプロセスモジュール。
【請求項6】
少なくとも1つのバイパスチャネル(42)に、調整手段(56)、特にスロットルバルブが設けられており、この手段により、流れが通過できるバイパスチャネル(42)の断面が調整できることを特徴とする請求項5に記載のウエットプロセスモジュール。
【請求項7】
ウエットプロセスモジュール(10)は、ウエットプロセスモジュールの調整手段(56)および/または供給ユニット(15)に接続され、特にプロセスチャンバ(12)内の空気圧、および/または現在のプロセスステップに応じて、調整手段(56)および/または供給ユニット(15)を制御または調整するように配置された制御ユニット(52)を有することを特徴とする請求項6に記載のウエットプロセスモジュール。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセスポットチャネル(40)は、特にバイパスチャネル(42)の調整手段(56)の下流で、少なくとも1つのバイパスチャネル(42)に流体的に接続されていることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載のウエットプロセスモジュール。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセスポットチャネル(40)は、ラッカートラップ(50)を有する、および/または調整手段(56)を有さないことを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載のウエットプロセスモジュール。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のウエットプロセスモジュール(10)を操作する方法であって、
a)公知の、特に一定の空気の体積流量を、空気入口(16)を介してプロセスチャンバ(12)に供給するステップと、
b)少なくとも1つのバイパス出口(38)を介して、プロセスチャンバ(12)から出る空気の体積流量を、閉ループまたは開ループにより制御するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
少なくとも1つのバイパス出口(38)を通ってプロセスチャンバ(12)を出る空気の体積流量は、少なくとも1つのバイパスチャネル(42)内の調整手段(56)によって閉ループまたは開ループを用いて制御されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流れが通過する少なくとも1つのプロセスポットチャネル(40)の断面は、積極的に変わらないことを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
プロセスチャンバ(12)内の空気圧は、プロセスチャンバ(12)内で過圧になるように調整されることを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
公知の、特に一定の体積流量の空気が、排気装置(14)を介してプロセスチャンバ(12)から引出され、特に、排気装置(14)によって引出される体積流量は、プロセスチャンバ(12)に供給される空気の体積流量よりも小さいことを特徴とする請求項10~13のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットプロセスモジュール、特に基板を処理するためのラッカーモジュール、およびそのようなウエットプロセスモジュールを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエットプロセスモジュールは知られており、基板を液体、通常はラッカーで処理するプロセスポットを有するプロセスチャンバを含む。操作時には、調整された空気がプロセスチャンバ内を通って流れ、この空気は供給ユニットを通って特定の温度と湿度のプロセスチャンバ内に流入し、引出ラインを通って排出される。用途に応じて、処理プロセス中にプロセスチャンバを流れる異なる体積流量の空気が必要となる。
【0003】
すべてのモジュールは通常、共通の空気供給源および/または共通の引出ラインに接続されているため、これはしばしばシステムの他のモジュールでの体積流料の変動につながる。さらに、特に調整が不十分または欠落していることに起因する空気供給および空気排出の変動は、プロセス条件に影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、改善されたプロセス環境を保証し、その結果、より高品質の製品またはより少ない廃棄物を保証するウエットプロセスモジュールを提供することである。また、本発明の目的は、そのようなウエットプロセスモジュールを操作する方法を提供することである。
【0005】
本発明の目的を達成するために、基板、特にウエハを処理するためのウエットプロセスモジュール、特にラッカーモジュールが提供される。ウエットプロセスモジュールは、基板を処理するためのプロセスポットを有するプロセスチャンバと、プロセスチャンバ内に空気を供給するための空気入口と、少なくとも1つのバイパス出口と、少なくとも1つのプロセスポット出口とを含む。少なくとも1つのバイパス出口および少なくとも1つのプロセスポット出口は、プロセスチャンバから空気を排出するための空気出口である。さらに、少なくとも1つのプロセスポット出口は、プロセスポットの領域内に設けられ、少なくとも1つのバイパス出口は、プロセスポットの外側に設けられている。このようにして、プロセスチャンバ内の空気は、少なくとも1つのプロセスポット出口を介して、つまりプロセスポットを通ってプロセスチャンバから流出することができ、また、少なくとも1つのバイパス出口を介して、つまりプロセスポットを通って、つまりプロセスポットを通過しないで、プロセスチャンバから流出することができる。バイパス出口は、空気の流れがプロセスポットを通過するように誘導するバイパスを形成する。この設計により、少なくとも1つのプロセスポット出口を通ってプロセスポットを経由してプロセスチャンバから流出する空気の量は、バイパスを介してプロセスチャンバから流出する量によって調整できる。このため、ウエットプロセスモジュールは、常に同じ体積流量の空気を引出すことができ、これにより他のウエットプロセスモジュールへの変動を防ぐことができる。
【0006】
特に、空気入口と少なくとも1つのバイパス出口との間の流れの接続は、常にプロセスポットの外側を通っている。
【0007】
例えば、空気は、供給ユニットによって空気入口を介してプロセスチャンバ内に供給される。
【0008】
ウエットプロセスモジュールは、空気入口に結合されたディフューザを有していてもよく、このディフューザを介して空気がプロセスチャンバの内部に分散して流入する。このようにして、プロセスチャンバ内への空気の均一な、特に層流の体積流量を生成することができる。
【0009】
代替的または追加的に、空気入口に結合されたフィルタが設けられてもよく、このフィルタを介してプロセスチャンバに流入する空気が洗浄される。このようにして、粒子によるプロセスチャンバの汚染を低減または防止することができる。
【0010】
例えば、フィルタは、流れの方向においてディフューザの前に配置される。
【0011】
また、フィルタがディフューザに統合されているか、またはその逆であってもよい。言い換えれば、フィルタが空気分配機能を有していてもよく、ディフューザがフィルタリング機能を有していてもよい。
【0012】
一つの実施形態では、一方の空気入口と他方の空気出口は、プロセスチャンバの異なる、特に反対側に設けられている。さらに、または代替として、少なくとも1つのプロセスポット出口および少なくとも1つのバイパス出口が、プロセスチャンバの同じ側に設けられてもよい。このようにして、プロセスチャンバ内の特に良好なフローパターンが確保される。
【0013】
空気入口は、プロセスチャンバの屋根部に設けられてもよく、および/または少なくとも1つのプロセスポット出口および少なくとも1つのバイパス出口は、プロセスチャンバの底部に設けられていてもよい。
【0014】
また、少なくとも1つのバイパス出口が、少なくとも部分的にプロセスポットの周囲に環状に延びても、および/またはプロセスポットの周囲に配置された複数のバイパス出口が設けられてもよい。これにより、プロセスポットの周囲の複数の箇所で、空気がバイパスを介してプロセスチャンバから流出し、これにより特に良好なプロセス環境を保証するフローパターンがプロセスチャンバ内に形成されるという利点を有する。
【0015】
さらなる実施形態では、ウエットプロセスモジュールは、少なくとも1つのプロセスポットチャネルと少なくとも1つのバイパスチャネルを有する排気装置を含む。ここで、少なくとも1つのプロセスポットチャネルは、少なくとも1つのプロセスポット出口から延びており、少なくとも1つのバイパスチャネルは、少なくとも1つのバイパス出口から延びている。このようにして、少なくとも1つのプロセスポット出口を介してプロセスチャンバから流出する空気は、少なくとも1つのプロセスポットチャネルを介して誘導することができ、一方、少なくとも1つのバイパス出口を介してプロセスチャンバから流出する空気は、少なくとも1つのバイパスチャネルを介して誘導することができる。
【0016】
ここで、少なくとも1つのバイパスチャネルに調整手段、特にスロットルバルブが設けられていると、これによって、流れが通過できるバイパスチャネルの断面を調整することができて有利である。したがって、バイパスを経由してプロセスチャンバから流出する体積流量、ひいてはプロセスポットを経由してプロセスチャンバから流出する体積流量を間接的に調整することができる。
【0017】
複数のバイパスチャネルを有する実施形態では、これらのバイパスチャネルを共通のチャネルセクションに開くことができる。
【0018】
この場合、調整手段は、調整手段を使用してすべてのバイパス出口を通る体積流量を一緒に、閉ループおよび/または開ループで制御できるように、この共通チャネルセクションに配置されるのが好ましい。
【0019】
一つの実施形態によれば、少なくとも1つのプロセスポットチャネルは、少なくとも1つのバイパスチャネルに流体接続されており、これにより少なくとも1つのプロセスポットチャネルを流れる空気量と、少なくとも1つのバイパスチャネルを流れる空気量とを、引出ラインを介して一緒に排出することができる。さらに、排気装置は、少なくとも1つのプロセスポットチャネルおよび少なくとも1つのバイパスチャネルに共通の排気口を有し、この排気口を介して排気装置を引出ラインに接続できる。
【0020】
特に、少なくとも1つのプロセスポットチャネルは、バイパスチャネルの調整手段の下流で、少なくとも1つのバイパスチャネルに流体的に接続されており、これにより少なくとも1つのプロセスポットチャネルに導入されるラッカーなどの物質によって調整手段が汚染されることはなく、その機能が損なわれることはない。
【0021】
少なくとも1つのプロセスポットチャネルの汚染、および/または下流チャネルの汚染を防止するために、少なくとも1つのプロセスポットチャネルは、ラッカートラップを有してもよい。ラッカートラップは、重力によって固体と液体の物質を分離、回収するように設計されている。
【0022】
複数のプロセスポットチャネルを有する実施形態では、これらは共通チャネルセクションに開くことができる。
【0023】
この場合、すべてのプロセスポット出口を介して導入される物質をラッカートラップによって分離できるように、ラッカートラップはこの共通チャネルセクションに配置されることが好ましい。
【0024】
付加的または代替的に、もし少なくとも1つのプロセスポットチャネルが、ラッカーなどの少なくとも1つのプロセスポットチャネルに導入された物質によって汚染される可能性があり、したがってその機能が損なわれる可能性がある、スロットルバルブのような調整手段を有していなければ有利である。
【0025】
特に、少なくとも1つのプロセスポットチャネルは、調整手段を全く有していない。
【0026】
さらなる実施形態によれば、ウエットプロセスモジュールは、プロセスチャンバ内の空気圧を検出するように構成された圧力センサを有する。プロセスチャンバ内の空気圧は、供給ユニットを介してプロセスチャンバに流入する、および/または少なくとも1つのプロセスポット出口および少なくとも1つのバイパス出口を介して流入する体積流量を測定する重要なパラメータであり、これによりプロセス環境の品質に決定的な影響を与える。
【0027】
圧力センサは、特に、プロセスチャンバ内に、および/またはプロセスチャンバ内の空気体積に隣接して配置してもよい。
【0028】
例えば、圧力センサは、プロセスチャンバの外側に配置され、パイプを介してプロセスチャンバ内の空気体積に流体的に結合されている。
【0029】
さらに、ウエットプロセスモジュールは、ウエットプロセスモジュールの調整手段および/または供給ユニットに信号伝達方式で接続され、特にプロセスチャンバ内の空気圧および/または現在のプロセスステップに応じて、調整手段および/または供給ユニットを閉ループまたは開ループで制御するように設定された、制御ユニットを有しても良い。このようにして、特に高品質なプロセス環境を確実かつ効果的に確保することができ、その結果、特に高品質の製品を得ることができる。
【0030】
特に、制御ユニットは、以下のプロセスを実行するように設定されている。
【0031】
本発明によれば、上述の目的を達成するために、本発明によるウエットプロセスモジュールを動作させる方法がまた提供され、この方法は以下のステップ:
a)公知の、特に一定の体積流量の空気を、空気入口を介してプロセスチャンバに供給するステップ、および、
b)少なくとも1つのバイパス出口を介してプロセスチャンバから出る空気の体積流量を制御または調整するステップ、を含む。
【0032】
このようにして、プロセスポットを介してプロセスチャンバから流出する体積流量は、バイパスを介してプロセスチャンバから流出する体積流量によって、閉ループまたは開ループで間接的に制御される。このため、プロセスチャンバから流出する空気の総量は基本的に一定である。したがって、特にプロセスポット内の有利なフローパターンを有する特に良好なプロセス環境を、特に基板の処理プロセス全体にわたって確実に提供できる。
【0033】
少なくとも1つのバイパス出口を通ってプロセスチャンバを出る空気の体積流量は、少なくとも1つのバイパスチャネル内の調整手段によって閉ループまたは開ループで制御することができる。したがって、特に迅速かつ正確に体積流量を調整することが可能である。
【0034】
ウエットプロセスモジュールについて説明した利点と特徴は、プロセスにも同様に適用され、その逆もまた同様である。
【0035】
もちろん、プロセスのステップを実行するコンポーネントも、そのステップを実行するように設定されている。
【0036】
調整手段および/または供給手段は、特に制御ユニットによって制御される。
【0037】
一つの実施形態では、流れが通過する少なくとも1つのプロセスポットチャネルの断面は、積極的に変更されず、すなわち、特に、閉ループまたは開ループを介して積極的に制御されない。これにより、少なくとも1つのプロセスポットチャネルの断面は、動作中に少なくとも1つのプロセスポットチャネルに蓄積される汚染などの二次的な影響を除いて、一定に保たれる。
【0038】
また、ウエットプロセスモジュールの設置場所における周囲の圧力と比較して、プロセスチャンバ内がわずかに過圧になるように、プロセスチャンバ内の空気圧が調整されてもよい。プロセスチャンバ内の負圧に比べて過圧にする利点は、プロセスチャンバが環境から完全に密閉されていない場合、この方法ではプロセスエリアに粒子を吸い込まないことである。これにより、プロセスの結果に悪影響を及ぼす可能性のある粒子の量を効果的に減らせる。
【0039】
例えば、プロセスチャンバ内に本質的に一定の空気圧、特に過圧を発生させるために、制御ユニットを介して、特に圧力センサにより取得されたデータに基づいて、供給ユニットを調整することで、プロセスチャンバ内への空気の体積流量が調整される。
【0040】
本発明の意味において、わずかな過圧とは、周囲の圧力の100.1%から110%の間の圧力である。
【0041】
さらなる実施形態によれば、公知の、特に一定の、体積流量の空気が、排気装置を介してプロセスチャンバから引出される。特に、排気装置によって引出される体積流量は、プロセスチャンバに供給される空気の体積流量よりも小さい。このようにして、プロセスチャンバ内の過圧を確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
さらなる利点および特徴は、以下の説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0043】
【
図1】プロセスチャンバを有する本発明にかかるウエットプロセスモジュールの模式的な側面図を示す。
【
図2】第1の変形例における本発明にかかるウエットプロセスモジュールのプロセスチャンバ模式的な平面図を示す。
【
図3】第2の変形例における本発明にかかるウエットプロセスモジュールのプロセスチャンバの模式的な平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、プロセスチャンバ12と排気装置14とを含むウエットプロセスモジュール10を示す。本例の実施形態では、ウエットプロセスモジュール10は、基板にラッカーを塗布するために設けられたラッカーモジュールである。
【0045】
原理的には、ウエットプロセスモジュール10は、基板を処理するための任意のウエットプロセスのための代替の実施形態として提供されてもよい。
【0046】
プロセスチャンバ12は、空気入口16と、フィルタ19と、ディフューザ18と、プロセスポット24と、複数のプロセスポット出口36と、複数のバイパス出口38とを有する。
【0047】
本実施形態では、フィルタ19は、ディフューザ18の上流側で流体的に接続されており、プロセスチャンバ12に流入する空気から粒子を除去する役割を果たす。
【0048】
ディフューザ18によって、空気はプロセスチャンバ12の内部20に分散して導くことができる。特に、プロセスチャンバ12への層流の空気の流れを、こうして作製できる。
【0049】
代替の実施形態では、プロセスチャンバ12は、フィルタ19および/またはディフューザ18の有無にかかわらず、任意の数の空気入口16を有してもよい。
【0050】
また、フィルタ19がディフューザ18に統合されることも可能であり、その逆も可能である。
【0051】
図では、空気の流れは矢印で表される。
【0052】
空気は、好ましくは、空気調整手段を有する供給ユニット15により提供され、規定された温度および湿度でプロセスチャンバ12に空気を供給する。
【0053】
空気入口16は、プロセスチャンバ12の屋根22に設けられている。
【0054】
しかしながら、原理的には、空気入口16は、プロセスチャンバ12のどの地点で、内部20に通じてもよい。
【0055】
プロセスポット24は、プロセスチャンバ12の内部20においてプロセスエリア28を画定するプロセスポット壁26を有している。
【0056】
本例の実施形態では、プロセスポット24は、プロセスチャンバ12の底部30に設けられており、プロセスポット壁26は、底部30から屋根22に向かって延びている。
【0057】
プロセスポット壁26は、好ましくは周方向に完全に閉じられており、プロセスチャンバ12の内部20の空気は、プロセスポット24のプロセスポット開口部32を介してのみプロセスエリア28に流入することができる。
【0058】
プロセスエリア28では、プロセスチャンバ12は、基板(図示せず)を処理するためのチャック34を有する。
【0059】
ディフューザ18は、チャック34に対向して配置されており、空気入口16を介してプロセスチャンバ12内に流入した空気が、プロセスポット開口部32を越えて、チャック34上に配置された基板上に、垂直方向Zに流れる。
【0060】
プロセスチャンバ12の内部20から空気を誘導するために、プロセスポット24内に配置され、プロセスエリア28に隣接するプロセスポット出口36と、プロセスポット24の外側に配置され、プロセスエリア28に隣接しないバイパス出口38とが設けられている。
【0061】
プロセスポット出口36およびバイパス出口38は、プロセスチャンバ12の底部30に設けられている。
【0062】
代替的な実施形態では、プロセスポット出口36および/またはバイパス出口38は、任意の点でプロセスチャンバ12から導出してもよい。
【0063】
好ましくは、プロセスポット出口36およびバイパス出口38は、プロセスチャンバ12の共通の側面に配置され、この側面は、特に、空気入口16が配置されたプロセスチャンバ12の側面と対向する。
【0064】
原理的には、プロセスチャンバ12は、任意の数のプロセスポット出口36およびバイパス出口38を有してもよい。
【0065】
空気入口16およびプロセスポット出口36およびバイパス出口38とは別に、プロセスチャンバ12は閉鎖されているが、漏れがあってもよい。
【0066】
プロセスポット出口36は、特にプロセスチャンバ12が1つだけのプロセスポット出口36を有する場合、チャック34の周りに環状に配置され、および/またはチャック34の周りに環状に少なくともセクションで延びることが好ましい。
【0067】
本例の実施形態では、プロセスチャンバ12は4つのバイパス出口38(
図2参照)を有しており、これらのバイパス出口38は、プロセスポット24の周りに環状にかつ対称的に配置されている。
【0068】
もちろん、異なる数、例えば2つのバイパス出口38を設けてもよい。
【0069】
代替の実施形態では、
図3に示すように、プロセスチャンバ12は、プロセスポット24の周りに円形かつ同心円状に延びる単一のバイパス出口38を有する。
【0070】
代替の実施形態では、バイパス出口38は、プロセスポット24の周りに任意に配置できることはもちろんである。
【0071】
また、プロセスポット24の片側に複数のバイパス出口を配置することも可能である。
【0072】
排気装置14は、プロセスポット出口36およびバイパス出口38を介して、プロセスチャンバ12の内部20と流体的に接続されており、そのために、プロセスポット出口36に連通するプロセスポットチャネル40と、バイパス出口38に連通するバイパスチャネル42とを有する。
【0073】
プロセスポットチャネル40の下流端44は、バイパスチャネル42に開口しており、その下流端46は、今度は、排気装置14の排気口48を形成する。空気入口16を介してプロセスチャンバ12に流入した空気は、排気装置14を介してウエットプロセスモジュール10の外に導かれる。
【0074】
代替の実施形態では、バイパスチャネル42の下流端46は、プロセスポットチャネル40に開口してもよく、特に、プロセスポットチャネル40の下流端44が排気口48を形成してもよい。
【0075】
2つのチャネル40、42が互いに開く前に、調整手段56、例えばスロットルバルブが、バイパスチャネル42に、特に複数またはすべてのバイパスチャネル42の共通部分に、配置される。
【0076】
このように、調整手段56は、プロセスポットチャネル40がバイパスチャネル42に開口する点の上流側のバイパスチャネル42に配置される。
【0077】
調整手段56は、バイパスチャネル42の開口断面を変更するように構成される。
【0078】
ウエットプロセスモジュール10は、さらに第1体積流量センサ57を有し、このセンサは、プロセスチャンバ12の内部20からバイパス出口38を通ってバイパスチャネル42に流入し、結果的にバイパスチャネル42を通って流れる空気の体積流量を測定するように設定される。
【0079】
この目的のために、第1体積流量センサ57は、プロセスポットチャネル40がバイパスチャネル42に開口する点の上流側、例えば調整手段56の領域に配置される。
【0080】
原理的には、プロセスポットチャネル40およびバイパスチャネル42は、互いに別個に設計することができ、互いに開口しておらず、特に、プロセスポットチャネル40およびバイパスチャネル42の下流端44、46がそれぞれ別個の排気口48を形成してもよい。調整手段56は、バイパスチャネル42にも設けられる。
【0081】
さらなる代替の実施形態では、プロセスポットチャネル40およびバイパスチャネル42は、もちろん、排気装置14のさらなるチャネルにもつながり、その端部が排気口48を形成することができる。
【0082】
また、プロセスポットチャネル40は、プロセスポット出口36を介してプロセスポットチャネル40に導入され、汚れ粒子およびラッカーを収集して分離するために設けられたラッカートラップ50を有する。
【0083】
ラッカートラップ50は、例えば、サイフォン形状に設計される。
【0084】
ウエットプロセスモジュール10は、さらに制御ユニット52と圧力センサ54とを含んでも良い。
【0085】
調整手段56、第1体積流量センサ57、供給ユニット15、および圧力センサ54はそれぞれ、制御ユニット52に信号伝達可能に接続されている。
【0086】
図示の実施形態における圧力センサ54は、プロセスチャンバ12の内部20に配置されており、プロセスチャンバ12の内部20の空気圧を測定するように設計されている。
【0087】
原理的には、圧力センサ54は、プロセスチャンバ12の内部20の空気圧を測定できる任意の位置に設けてもよい。
【0088】
例えば、圧力センサ54は、プロセスチャンバ12の外部に配置することができ、パイプを介してプロセスチャンバ12の内部の空気量と流体的に結合してもよい。
【0089】
プロセスエリア28において、特に良好なプロセス環境を確実にするために、ウエットプロセスモジュール10は、以下に説明するように操作される。
【0090】
操作中、調整された空気流が、供給ユニット15によって、空気入口16を介してプロセスチャンバ12の内部20に供給される。
【0091】
プロセスチャンバ12に供給された体積流量は公知であり、主に一定である。
【0092】
あるいは、プロセスチャンバ12に流入する体積流量は、特に、圧力センサ54によって検出されたプロセスチャンバ52内の空気圧に応じて、および/または個々のプロセスステップに応じて、制御ユニット52によって制御してもよい。
【0093】
調整手段56が少なくとも部分的に開いている状態では、空気の一部は、プロセスチャンバ12の内部20からバイパス出口38を経由してバイパスチャネル42に流入する。
【0094】
さらに、調整手段56の全ての状態で、プロセスチャンバ12の内部20からの空気の少なくとも一部は、プロセスエリア28を通り、プロセスポット出口36を経由してプロセスポットチャネル40に流れる。
【0095】
プロセスポット出口36を通る空気の流れは、特に、プロセスチャンバ12内の空気の流れを調整する際の中心的なパラメータである。
【0096】
プロセスポットチャネル40内の空気およびバイパスチャネル42内の空気は、本実施形態例では、下流部58を介して排気口48に流れる。
【0097】
下流部58には、空気の流れを発生させるファン60と、第2体積流量センサ61とが設けられ、下流部58を流れる空気の体積流量を測定するように設定されている。
【0098】
ファン60および第2体積流量センサ61は、信号送信のために、それぞれ制御ユニット52または別の制御ユニットに結合してもよい。
【0099】
空気は、引出ラインのような引出手段17によって、排気口48で引出される。
【0100】
一つの実施形態では、供給ユニット15によって空気入口16を介してプロセスチャンバ12に供給される体積流量よりも小さい体積流量の空気が、排気口48で引出される。これにより、プロセスチャンバ12の内部20に過圧が生じ、プロセスチャンバ12のリークを介して内部20から空気が流出し、プロセスチャンバ12の内部20に負圧が生じた場合のように環境から吸い込まれることはない。
【0101】
供給ユニット15を介してプロセスチャンバ12に供給される空気の体積流量は、プロセスチャンバ12の内部20の空気圧に応じて調整できる。空気の圧力は、圧力センサ54によって測定される。このようにして、プロセスチャンバ12の内部20には、定義された、特に一定の空気圧、特に過圧が提供される。
【0102】
代替的または追加的に、排気口48を介してプロセスチャンバ12から流出するか、またはこの排気口を介して引出される空気の体積流量は、圧力センサ54によって測定されるプロセスチャンバ12の内部20の空気圧に基づいて調整することができ、プロセスチャンバ12の内部20に規定された、特に一定の空気圧、特に過圧を提供することができる。
【0103】
さらに、バイパスを介してプロセスチャンバ12の内部20から流出し、従ってプロセスエリア28を流れない空気の割合は、調整手段56によって調整できる。
【0104】
同時に、プロセスエリア28を介してプロセスチャンバ12の内部20から流出する空気の割合も間接的に調整される。
【0105】
プロセスエリア28を通り、プロセスポットチャネル40を通ってプロセスポット出口36を経由してプロセスチャンバ12の内部20から流出する体積流量V1は、排気口48を介して流出し、第2体積流量センサ61によって測定される体積流量V2から、バイパスチャネル42を介してバイパス出口38を経由して、プロセスチャンバ12の内部20から流出し、第1体積流量センサ57によって測定される体積流量V3を差し引いたものに対応する。数学的な式で表すと、V1=V2-V3となる。
【0106】
ウエットプロセスモジュール10の操作中、制御ユニット52は、バイパスチャネル42内のファン60、これも調整手段を構成する、と連携して、調整手段56を介して、プロセスエリア28を流れる体積流量を制御または調整するために使用することができる。
【0107】
排気口48から流出する空気の総量は一定である。
【0108】
特に、調整手段56は、制御ユニット52の手段よって、現在のプロセスステップに応じて制御または調整され、適切なプロセスステップに適合した体積流量を提供する。
【0109】
追加的または代替的に、調整手段56を調整または制御する際に、プロセスチャンバ12の内部20の空気圧を考慮に入れてもよい。
【0110】
このようにして、プロセスエリア28を通る空気流を調整または制御する調整手段56が、バイパスチャネル42内に位置し、これによりプロセスポット出口36を介して排気装置14に導入されるラッカーによって汚染されることがないので、プロセスエリア28において好ましいプロセス環境が特に確実に提供される。
【0111】
同様に、第1体積流量センサ57は、ラッカーによる汚染から保護されている。
【0112】
ウエットプロセスモジュール10のさらなる利点は、ファン60の手段により、引出ユニット17の変動する引出および/または弱すぎるまたは強すぎる引出しを補償して、プロセスチャンバ12の内部20を、常に実質的に一定の空気圧、特に過圧にできることである。
【0113】
この目的のために、ファン60は、特に第2体積流量センサ61により測定されたデータに基づき、それに割り当てられた制御ユニットまたは制御ユニット52を介して、制御または調整される。ファン60は、制御ユニット56の制御または調整と連動して制御または調整できる。
【0114】
プロセスエリア28を通る空気の体積流量は、調整手段56により調整することができ、最適なプロセス条件が常に維持される。
【0115】
さらに、ウエットプロセスモジュール10の空気の供給と引出は、別々に調整することができる。
【0116】
本発明は、示された実施形態に限定されるものではない。特に、ある実施形態の個々の特徴は、対応する実施形態の他の特徴とは独立して、他の実施形態の特徴と任意に組み合わせることができる。
【外国語明細書】