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▶ ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008199
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】均一な窓を有するCMP研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/26 20120101AFI20220105BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20220105BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20220105BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20220105BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20220105BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B24B37/26
B24B37/013
B24B49/12
B24B49/10
B24B37/24 Z
H01L21/304 622F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021102478
(22)【出願日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】16/910,851
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】マウリシオ・イー・グスマン
(72)【発明者】
【氏名】ネスター・エー・バスケス
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アール・ガディンスキ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・イー・ミルズ
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB92
3C034BB93
3C034CA22
3C034CA30
3C034CB03
3C034DD07
3C034DD10
3C158AA07
3C158BA02
3C158BA05
3C158BA09
3C158BB02
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB16
5F057AA02
5F057AA24
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB03
5F057EB05
5F057EB11
5F057GA13
5F057GB02
5F057GB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】窓を挿入することから生じ得る欠陥、窓の撓み、流体力学の変化、偏向、流体輸送などに対処しながら、感知のための良好な信号を提供する窓を有する研磨パッドを提供する。
【解決手段】ケミカルメカニカルポリッシングにおいて有用な研磨パッド10であって、上部研磨面13を有し、研磨材料を含む研磨部と、研磨パッドを貫通する開口部と、研磨パッドの開口部内の透明窓14であって、透明窓が、研磨パッドに固定されており、磁気信号及び光信号の少なくとも一方を透過させ、透明窓が厚さを有し、上面が、研磨中の研磨パッドのキャビティ内への改善された撓みのための凹部を含む上面におけるパターンを提供するように相互接続された凹部によって分離された複数の要素を有する、透明窓と、を含む、研磨パッド。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部研磨面、プラテンに取り付けるための底層、及び研磨材料を有し、前記上部研磨面が溝を含む、研磨部と、
前記研磨パッドを貫通する開口部と、
前記研磨パッドの前記開口部内の透明窓であって、前記透明窓が、可撓性であり、前記透明窓の底部から前記透明窓の前記上部研磨面まで測定された厚さを有し、前記透明窓がキャビティを形成するように前記プラテンから離間した状態で前記研磨パッドに固定されており、磁気信号及び光信号の少なくとも一方を透過させ、前記透明窓が、前記透明窓の周囲に、前記透明窓の中央を埋める複数の突出要素を有し、前記複数の突出要素の頂部が前記透明窓の前記上部研磨面を表し、前記突出要素が、前記透明窓の前記厚さの少なくとも30パーセントの初期高さを有し、前記突出要素が、上面に突出要素パターンを設けるように前記透明窓の周縁部まで延在する相互接続された凹部によって分離された前記上部研磨面と同一平面上にあり、前記凹部の大部分が、前記上部研磨面の前記溝と部分的又は完全に位置ずれしており、前記突出要素パターンが、前記透明窓が前記キャビティ内に曲がる複数の軸を中心とした曲げを可能にし、前記軸のうちの少なくとも2本が非平行又は中央突出要素とのものであり、前記中央突出要素と共に前記キャビティ内に下方に曲がる1つ以上の凹部によって囲まれた前記中央突出要素が、研磨中の前記基板との接触圧力を低減するために前記透明窓の最長寸法の半分未満の幅を有する、透明窓と、
を含む、半導体基板、光学基板又は磁性基板のケミカルメカニカルポリッシングにおいて有用な研磨パッド。
【請求項2】
前記透明窓が中心を有し、前記突出要素及び前記凹部が前記中心に対して点対称性を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記凹部がクロスハッチパターンを形成する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記突出要素が円柱形状を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
凹部が、前記透明窓の周縁部の方へ延びる凹部を接続する閉じた湾曲した形状を含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記パターンが、六角形の密集した突出要素を含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記パターンが、第1の凹部群によって分離された第1の要素群を含み、前記第1の要素群及び前記第1の凹部セットが第2の要素群及び第2の凹部セットによって囲まれており、
前記第2の群の前記要素が前記第1の群の前記要素よりも大きく、前記第2のセットの前記凹部が前記第1のセットの前記凹部よりも大きい、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
凹部が、円形窓の周縁と同心の1つ以上の凹状リングと、前記窓全体にわたって均一なパターンで直線状に延びる凹部とを含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項9】
前記パターンが、x軸及びy軸に対して点対称性を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項10】
基板を提供することと、
請求項1に記載の研磨パッドを使用して前記基板を研磨することと、
前記透明窓を通して、光信号又は磁気信号を提供し、前記信号に対する応答を検出し、前記応答を監視して研磨が完了したことを決定することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドの分野に関する。特に、本発明は、メモリー及び論理集積回路の基板工程(front end of line(FEOL))又は配線工程(back end of line(BEOL))処理を含む、磁性基板、光学基板及び半導体基板のケミカルメカニカルポリッシングに有用な研磨構造を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを対象とする。
【背景技術】
【0002】
集積回路及びその他の電子デバイスの製作においては、導電性材料、半導体材料及び絶縁材料の複数の層が、半導体ウェーハの表面上に堆積され、半導体ウェーハの表面から部分的又は選択的に除去される。導電性材料、半導体材料及び絶縁材料の薄層は、いくつかの堆積技術を使用して堆積され得る。最新のウェーハ処理における一般的な堆積技術には、特に、スパッタリングとしても知られる物理気相成長法(physical vapor deposition(PVD))、化学気相成長法(chemical vapor deposition(CVD))、プラズマ化学気相成長法(plasma-enhanced chemical vapor deposition(PECVD))及び電気化学堆積法(electrochemical deposition(ECD))が含まれる。一般的な除去技術には、特に、ウェットエッチング及びドライエッチング、等方性エッチング及び異方性エッチングが含まれる。
【0003】
材料の層が順次に堆積及び除去される際に、ウェーハのトポグラフィー(すなわち、最上面)は不均一又は非平面になる。その後の半導体処理(例えば、フォトリソグラフィー、メタライゼーションなど)ではウェーハの表面が平坦である必要があるため、ウェーハが平坦化される必要がある。平坦化は、粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料などの望ましくない表面トポグラフィー及び表面欠陥を除去するのに有用である。加えて、ダマシンプロセスでは、トレンチ及びビアなどのパターン化エッチングによって形成された凹状領域を充填するために材料が堆積されるが、充填ステップは不正確である可能性があり、凹部のアンダーフィルよりもオーバーフィルの方が好ましい。よって、凹部の外側の材料が除去される必要がある。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、ダマシンプロセス、基板工程(FEOL)プロセス又は配線工程(BEOL)プロセスにおいて、半導体ウェーハなどのワークピースを平坦化又は研磨し、過剰な材料を除去するために使用される一般的な技術である。従来のCMPでは、ウェーハキャリア又は研磨ヘッドがキャリアアセンブリに取り付けられる。研磨ヘッドは、ウェーハを保持し、CMP装置内のテーブル又はプラテン上に取り付けられた研磨パッドの研磨面と接触してウェーハを位置決めする。キャリアアセンブリは、ウェーハと研磨パッドとの間に制御可能な圧力を提供する。同時に、スラリー又は他の研磨剤が研磨パッド上に分注され、ウェーハと研磨層との間の間隙に引き込まれる。研磨を行うために、研磨パッド及びウェーハは通常、互いに対して回転する。研磨パッドがウェーハの下で回転する際に、ウェーハは通常、環状の研磨トラック又は研磨領域を横切り、ウェーハの表面は研磨層に直接面する。ウェーハ表面は、研磨面及び表面上の研磨剤(例えば、スラリー)の化学的機械的作用によって研磨され、平坦にされる。
【0005】
研磨される基板上の様々な態様(例えば、層の厚さ)の精密な制御が望ましい可能性がある。よって、研磨が所望のレベルまで完了されたことを検出するための様々な方法が提案されている。研磨パッドは不透明な材料で作られていることが多いため、研磨パッドには透明窓が挿入されている。これにより、光源が電磁放射(例えば、所望の波長の光)を、透明窓を通して基板の方に向け、センサーがウェーハから反射されて窓を通って戻る電磁放射(例えば、光)を検出する光学検出システムが可能になる。様々な窓の設計が提案されている。例えば、米国特許第7,258,602号、米国特許第8,475,228号、米国特許第7,429,207号、米国特許第9,475,168号、米国特許第7,621,798号、及び米国特許第5,605,760号、並びに特開2006021290号を参照されたい。研磨パッドに窓を挿入することから生じ得る問題(例えば、欠陥、窓の撓み、流体力学の変化、偏向、流体輸送など)にも対処しながら、感知のための良好な信号を提供する窓を有するパッド設計が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示されるのは、上部研磨面、プラテンに取り付けるための底層、及び研磨材料を有し、上部研磨面が溝を含む、研磨部と、研磨パッドを貫通する開口部と、研磨パッドの開口部内の透明窓であって、透明窓が、可撓性であり、透明窓の底部から透明窓の上部研磨面まで測定された厚さを有し、透明窓がキャビティを形成するようにプラテンから離間した状態で研磨パッドに固定されており、磁気信号及び光信号の少なくとも一方を透過させ、透明窓が、透明窓の周囲と、透明窓の中央を埋める複数の突出要素を有し、複数の突出要素の頂部が透明窓の上部研磨面を表し、突出要素が、透明窓の厚さの少なくとも30パーセントの初期高さを有し、突出要素が、上面に突出要素パターンを設けるように透明窓の周縁部まで延在する相互接続された凹部によって分離された上部研磨面と同一平面上にあり、凹部の大部分が、上部研磨面の溝と部分的又は完全に位置ずれしており、突出要素パターンが、透明窓がキャビティ内に曲がる複数の軸を中心とした曲げを可能にし、軸のうちの少なくとも2本が非平行又は中央突出要素とのものであり、中央突出要素と共にキャビティ内に下方に曲がる1つ以上の凹部によって囲まれた中央突出要素が、研磨中の基板との接触圧力を低減するために透明窓の最長寸法の半分未満の幅を有する、透明窓と、を含む、半導体基板、光学基板又は磁性基板のケミカルメカニカルポリッシングにおいて有用な研磨パッドである。
【0007】
窓に関する「均一」とは、パターンが窓の上面にわたって繰り返されること、及びパターンがx方向とy方向の両方で同じか若しくは同様であること、又はパターンが点対称性若しくは実質的な点対称性を有することを意味する。実質的な点対称性とは、対称性からの少量のオフセットがあり得ること、例えば、(1)窓の中心点が、窓の点対称性を提供するはずの中心点から、最大窓寸法(例えば、高さ、幅、直径)に基づいて、10%未満、5%未満、2%未満、若しくは1%未満の量だけオフセットされている可能性があること、及び/又は(2)要素間の間隔(例えば、凹部の幅)が、最大25%まで、最大10%まで、最大5%まで変化し得ること、及び/又は(3)要素の寸法がわずかに不均一であり得、例えば、半径、長さ、若しくは幅などの特徴寸法が、ある特徴から別の特徴まで最大25%だけ、最大20%だけ、最大10%だけ、最大5%だけ、最大2%だけ変化し得ること、を意味する。
【0008】
また、そのような研磨パッドを使用する研磨方法も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】平面窓インサートを有する先行技術の研磨パッドの一部の上面図である。
図1B図1Aの平面1B-1Bに沿った断面図である。
図2】荷重下でのパッドの不均一な変形を示す、図1と同様の先行技術の研磨パッドの断面図である。
図3A】相互接続された凹部の均一なパターンを有する窓を含む研磨パッドの上面図である。
図3B】平面3B-3Bに沿った3Aのパッドの断面図である。
図4A】相互接続された凹部によって分離された要素を有する矩形窓の上面図である。
図4B】相互接続された凹部によって分離された要素を有する矩形窓の側面図である。
図5A】相互接続された凹部によって分離された要素を有する円形窓の上面図である。
図5B】相互接続された凹部によって分離された要素を有する円形窓の側面図である。
図6】窓の周縁の方へ延びる凹部と相互接続された閉じた湾曲した凹部(円形)を有する円形窓の上面図である。
図7】窓の周縁の方へ延びる凹部と相互接続された閉じた湾曲した凹部(楕円形)を有する楕円形窓の上面図である。
図8】グリッド線によって相互接続された同心凹部を有する円形窓の上面図である。
図9】窓の周縁の周りのより大きい要素及び凹部によって囲まれた小さい凹部によって分離された実質的に均一な寸法の小さい要素を含む均一なパターンを有する円形窓の上面図である。
図10A】均一ではないパターンを有する比較窓設計を示す図である。
図10B】平面10B-10Bに沿った10Aのパッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示される透明窓は、半導体基板、光学基板又は磁性基板のケミカルメカニカルポリッシングにおいて有用なCMP研磨パッドに有用である。本発明以前に、当業者は、パッドが凸状又は凹状になるという問題を回避するために透明窓は剛性であるべきであると考えていた。これらの問題に対する以前の解決策には、透明ポリウレタン材料を耐クリープ性にする試み、及び圧力除去を可能にする設計が含まれていた。出願人らは、一連の凹部によって分離された突出要素が、終点検出のための適切な信号強度を犠牲にすることなく窓のコンプライアンスを高めることができることを発見した。
【0011】
研磨パッドは、上部研磨面と、多孔質ポリウレタン研磨パッドなどの研磨材料を円形ステンレス鋼プラテンに取り付けるための底層とを有する研磨部を含む。上部研磨面は、円形、クモの巣、xyデカルト、らせん状、又は他の公知の溝パターンなどの溝を含む。透明窓が研磨パッドの開口部内で固定されている。窓は、定位置に鋳造されてスカイブ加工されるか又は鋳造され、接着剤又はポリマー窓をポリマーパッド材料に固定するための他の公知の手段を用いて研磨パッドに固定され得る。
【0012】
透明窓は、透明窓の底部から透明窓の上部研磨面まで測定された厚さを有する。透明窓は、透明窓がキャビティを形成するようにプラテンから離間しれた状態で研磨パッドに固定されている。窓は、磁気信号及び光信号の少なくとも一方を透過させる。通常、窓は、研磨終点を決定するのに有用な波長範囲を有する光を透過させる。キャビティは、基板に対する力を低減するために透明窓の下方への撓みを可能にする。
【0013】
透明窓は、透明窓の周囲と、透明窓の中央を埋める複数の突出要素を有する。複数の突出要素の頂部は透明窓の上部研磨面を表す。窓の上部研磨面は、研磨パッドの上部研磨面と整合している。突出要素は、透明窓の厚さの少なくとも30%の初期高さを有する。より厚い窓の場合、突出要素は、透明窓の厚さの少なくとも50%の初期高さを有する。この高さは、凹部の底部から突出要素の上面までの高さを表す。突出要素は、透明窓の周縁部まで延在する相互接続された凹部によって分離された上部研磨面と同一平面上にある。窓の背後に固体の裏材がある場合、凹部は基板に対する圧力を実質的に増加させることになる。凹部は組み合わさって上面に突出要素パターンを提供し、凹部の大部分は、上部研磨面の溝と部分的又は完全に位置ずれしている。典型的には、凹部の少なくとも80%は、上部研磨面の溝と部分的又は完全に位置ずれしている。場合によっては、すべての凹部が、上部研磨面の溝と部分的又は完全に位置ずれしている。
【0014】
第1の実施形態では、突出要素パターンは、透明窓がキャビティ内に曲がる複数の軸を中心とした曲げを可能にし、軸のうちの少なくとも2本は非平行である。非平行な曲げの例には、x軸に沿った曲げ及びy軸上の曲げが含まれる。非平行な曲げの別の例が、突出要素の六角形の密集した配置で形成される3本の曲げ軸である。複数の軸に沿った曲げにより、研磨中の基板との接触圧力の低減が助長される。
【0015】
第2の実施形態では、1つ以上の凹部によって囲まれた中央突出要素がキャビティ内に下方に曲がる。効率的な曲げを助長するために、中央突出要素は、透明窓の最長寸法の半分未満の幅を有する。これは、研磨中の基板との接触圧力を低減するように作用する。より複雑な凹部パターンでは、キャビティ内に曲がる中央部で2本以上の非平行軸に沿って曲がることが可能である。
【0016】
図1A及び図1Bに、窓4を有する先行技術のパッド1を示す。研磨部5の平坦面3に溝2を設けることができる。研磨部は、サブパッド又はベースパッド6上の別個の層とすることができる。
【0017】
本明細書に開示される研磨パッドは、一定の利点を提供することができる。具体的には、本明細書に開示されるパッドは、パッド内の窓と関連付けられる撓み変形と関連付けられる問題、及び窓の周りの流体管理と関連付けられる問題を軽減することができる。撓みの問題が生じ得るのは、窓の材料とパッドの材料研磨部とが異なる(例えば、弾性率が異なる)ためである。研磨中にパッドに置かれた荷重に対するこれらの材料の応答は、不均一な撓みにつながる可能性がある。例えば、研磨パッドは、約0.15~0.2Gpaのベースパッド及び研磨層の複合ヤング率Eを有し得、不活性透明窓材料は、約0.9~1Gpaのヤング率を有し得る。例えば、図1A及び図1Bは、平面窓4、研磨部5、及び下層6を有する先行技術のパッド1を示している。パッドの研磨部5の材料が多くの場合より柔軟であることによる応力下での単純な平面窓4の撓みを示す、図2(縮尺通りではない)に示されるように、窓4は研磨中に隣接する研磨材料5の表面上に突出し得る。これは、研磨材料と研磨されている基板との間に良好な接触が生じないような、窓に隣接する領域における寸法(a)で示される間隙につながる可能性があり、スラリー及び粒子が捕捉されて基板にスクラッチを生じさせる可能性がある。間隙「a」は、窓4の頂部と研磨部5との間の高さを表している。研磨中、サブパッド6は間隙aの一部を緩和するが、この間隙は研磨中の深刻な問題を表している可能性がある。加えて、(パッドの表面の研磨を含み得る)パッドのコンディショニング中に、窓の表面に、窓の厚さの変化に起因する信号のドリフト及び/又は窓の薄厚化及び窓の潜在的な穿孔に起因するパッドの早期故障をもたらし得る摩耗差が生じる可能性もある。加えて、研磨面の表面と平坦な窓又は研磨面の表面から凹んでいる窓はそれぞれ、スラリー及び研磨くずが特に窓の外周で窓に集まる可能性があるという点で流体管理の問題を呈する。このスラリー及び研磨くずの蓄積は、スクラッチを生成する可能性があり、光透過及び結果として得られる研磨終点の光学的感知を妨げる可能性がある。
【0018】
以前の提案は、典型的には、撓みの問題のみ、又は流体管理の問題のみに対処していた。
【0019】
均一なパターンを提供する相互接続された凹部を有する窓を有する本明細書に開示されるパッドは、窓の材料を変更する必要なく窓のコンプライアンスを高めることができ、それによって窓の接触圧力が低減される。加えて、本明細書に開示されるパッドの窓の凹部は、流体位相を容易にし、スクラッチを引き起こし、終点光信号を妨げる可能性がある、窓領域及び隣接領域におけるスラリー及び研磨副生成物の蓄積を回避することができる。
【0020】
図3A及び図3Bに示されるように、本明細書に開示される研磨パッド10は、研磨部15を有する。研磨部15は頂部であり、溝12を内部に有する上部研磨面13を有する。図3は、窓14の縁部の前で終わる溝12を示しているが、溝12が窓14の縁部まで続くことも企図されている。有利には、溝12は窓14まで延在して、研磨パッド14上により一貫した流体の流れを提供する。パッド上の溝を、窓の凹部と位置合わせすることができる。あるいは、パッド上の溝を、窓の凹部と位置合わせしないか、又は部分的に位置合わせすることもできる。典型的には、溝12の少なくとも約80%は、研磨パッド10上の溝と整列していない。研磨パッド10はまた、図3Bに示されるように、(ベースパッドであり得る)下層16を有することもできる。窓14は、パッド10内のキャビティ17内に固定され、終点検出に使用される信号がパッドを通過して基板に到達し、反射されることを可能にする。しかしながら、より重要なことには、窓14の底部の下のキャビティ17は、窓14の曲げを可能にして、研磨中の窓14と半導体ウェーハなどの基板との間の接触応力を低減する。窓14は、aからbまでの窓14の断面図である図3Bに示されるように、凹部18によって分離された要素19を有する。凹部18は、研磨中に基板に対する結果として生じる局所的な接触を増加させるが、研磨中のキャビティ17内への窓14の曲げにより、研磨中の接触圧力は著しく低下する。要素19の上面は、上部研磨面13と同一平面上にあり得るか、又はわずかに凹状であり得る。研磨中に研磨パッド及び基板が回転するので、x軸は、研磨パッドの半径と平行であり得るか、研磨パッドの半径に垂直であり得るか、又はこれらの角度間の任意の角度を有し得る。しかしながら、典型的には、x軸は研磨パッドの半径に平行であり、研磨パッドの半径と整列している。
【0021】
本明細書に開示されるパッドにおいて使用され得る窓の様々な例が、図4A図4B図5A図5B図6図7図8及び図9に示されている。窓は、均一なパターンを形成する凹部及び要素を有する。例えば、凹部を、要素の周りに均一に離間し、均一なサイズとすることができる。要素は、均一なサイズ及び間隔のものであり得る。x座標及びy座標において均一なサイズ及び間隔があり得る。
【0022】
図4A及び図4Bに、凹部102の相互接続された配列を有する上面を有する矩形窓101を示す。これらの凹部102は、矩形突出部103間で測定された幅と、矩形突出部103の頂部から凹部102間の位置の下面105まで測定された深さとを有する。これにより、研磨対象の物品への窓の接触面であり得る矩形突出部(突出要素とも呼ばれる)103の規則的で均一な配列が形成される。突出部103の上面は、研磨パッドの上面と同一平面上にあり得る。突出面の部分の面積を、凹部の幅及び/又は凹部のピッチ(すなわち、凹部の中心間距離若しくは要素の中心間距離)を増減することによって調整することができる。これにより、窓を通して光を投影するセンサーのスポットサイズに対応するように窓の透過率を簡単に調整することができる。また、凹部配列102の深さを変えることによって剛性を容易に調整することもできる。凹部の幅及び深さは、窓全体にわたって同じとすることもでき、又は変化が均一に行われるならば変化させることもできる。図4A及び図4Bは、凹部の規則的な正方形配列の使用を示している。しかしながら、結果として得られる凹部配列が少なくとも2本の非平行軸に沿った曲げを容易にする場合には、円形、三角形、若しくは六角形の突出部断面をもたらす六角形の凹部配列、又は異なるパターンサイズの組み合わせ若しくはパターンのオーバーレイを含むがこれらに限定されない様々な他の凹部配列パターン及び要素形状を使用することができる。凹部配列は、中心107に対して点対称性を有する。本明細書の目的では、点対称性は、垂直軸を中心に180度回転した後に同じ位置にある突出要素103及び凹部102のすべての点を表す。この例では、x座標及びy座標のすべての点は、中心107に対する点対称性を有する。これらの相互接続された凹部は、x軸x-xに平行な凹部に沿った曲げ、y軸凹部y-yに沿った曲げ、及び軸y-yに平行な軸を有する凹部に沿った曲げを容易にする。図3図9はすべて、それらのx軸及びy軸に対する点対称性を有する設計を表している。研磨中に研磨パッド及び基板が回転するので、x軸は、研磨パッドの半径と平行であり得るか、研磨パッドの半径に垂直であり得るか、又はこれらの角度間の任意の角度を有し得る。しかしながら、典型的には、x軸は研磨パッドの半径に平行であり、研磨パッドの半径と整列している。例えば、図5A及び図5Bに、均一なパターン又は対称な六角形の密集したパターンで円形又は円柱形の突出部203を形成する凹部202の配列を有する円形窓201を示す。図5Aは、そのx軸に平行な軸、そのx軸から時計回りに60度に平行な軸、及びそのx軸から時計回りに120度に平行な軸に沿って曲がる。研磨中に研磨パッド及び基板が回転するので、x軸は、研磨パッドの半径と平行であり得るか、研磨パッドの半径に垂直であり得るか、又はこれらの角度間の任意の角度を有し得る。図4A及び図4Bでは、凹部102は、要素103が縁部104まで延在しないという点で、窓101の周縁部104と窓101の全体にわたって凹部102の下面105を形成している。図5A及び図5Bでは、凹部202は周縁部204まで延在し、いくつかの領域において周縁部の上面を形成しているが、要素202もまた、周縁部204の他の領域において窓201の上面を形成し得る。
【0023】
パターンは、窓の中心点を通るx平面、窓の中心点を通るy平面、又はその両方において対称であり得る。パターンは、窓の中心点を通る垂直軸に対して点対称性を有し得る。均一な窓、特に対称な窓は、窓において使用される材料が研磨部において使用される材料とは異なる弾性率を有することを可能にしながら、窓の望ましくない非対称の撓みの回避を容易にする均一な剛性低減及び均一な応力緩和を提供する。対称なパターンは効果的であるが、対称性からのわずかなオフセットもまた、実質的に均一な剛性低減の提供において効果的であり得る。矩形形状の窓では、凹部をx座標方向とy座標方向の両方に向けることができる。円形又は楕円形又は多角形の窓では、少なくともいくつかの凹部を複数の半径方向に向けて、中心点及び中心点から均一に離間した平行な方向を通る曲げを容易にすることができる。
【0024】
図4B及び図5Bは、それぞれ窓全体にわたって同じサイズ及び同じ間隔で凹部102、202によって分離された要素103、203を示しているが、代替的に、2つの異なるサイズ若しくは形状の要素、又は変化する幅及び深さの凹部を、それらが窓全体にわたって均一に配置されるという条件で使用することもできる。例えば、より小さいサイズの形状及びより大きいサイズの形状を代替パターンで使用することもでき、変化がx座標及びy座標において窓全体にわたって均一であるという条件で、一定の凹部寸法又は一定の要素形状及びサイズの、x方向及びy方向に窓全体にわたる小、大、小、大を、凹部の幅又は深さを変えることによって分離することもできる。別の例として、図9の一例に示されるように、第1のサイズの要素を窓の中心付近に配置し、第2のサイズの要素を窓の外側の周りに均一に配置することもできる。別の例として、図6及び図7に示されるように、第1の形状の要素303又は403を窓の中央に設け、第2の形状及びサイズの要素303’又は403’を、第1の要素303又は403の周りの、窓の周縁又は窓の周縁の近くに均一に配置することができる。要素303又は403は、単一の要素とすることもでき、又は要素303又は403は、凹部によって分離された要素の均一な配列とすることもできる。
【0025】
図6に、窓の外周と同心であり、中央円形突出部(要素)303を画定し、追加の凹部302’を相互接続する第1の凹部302を有する円形窓301を示す。凹部302は凹部302’と共に、切り取られたパイの形状を有する図示のような追加の突出部(要素303’)を画定する。追加の凹部は、半径方向にあり、好ましくは、互いに一定の又は均一な間隔にある。特に、凹部302は、透明窓301の周縁部304の方へ延びる凹部302’を接続する閉じた湾曲した形状を有する。円形の突出要素303を囲む1つの同心凹部が示されているが、中心307を囲む2つ、3つ、又はそれ以上の複数の同心の凹部を使用することもできる。この設計は、中央突出要素全体が研磨中に窓の下のキャビティ内に押し込まれることを可能にする。これにより、研磨中の半導体ウェーハなどの基板に対する窓接触圧力が低減される。
【0026】
図7に、中央楕円(突出要素)403を画定し、窓401の周縁に向かって外方に突出する凹部402’と相互接続する楕円形凹部402を有する楕円形窓401を示す。凹部402及び402’は、追加の切り取られたパイの形状突出部(突出要素)403’を画定する。特に、凹部402は、透明窓401の周縁部404の方へ延びる凹部402’を接続する閉じた湾曲した形状を有する。この場合もやはり、第2又は第3又はそれ以上の楕円形凹部402を設けることができる。中央突出部(突出要素)303又は403は、剛性の低減及び効率的な流体輸送を依然として提供しながら、光学素子に有益に大きな領域を提供することができる。楕円形の突出要素403を囲む1つの同心凹部が示されているが、中心407を囲む2つ、3つ、又はそれ以上の複数の同心凹部を使用することもできる。特に、この設計は、楕円形の突出要素全体が研磨中に窓の下のキャビティ内に押し込まれることを可能にする。これにより、研磨中の半導体ウェーハなどの基板に対する窓接触圧力が低減される。凹部302’及び402’は、それぞれ、周縁部304又は404まで延在し、それぞれの周縁部304又は404の一部を形成することができ、要素303’及び403’も周縁部304又は404の一部を形成することができる。凹部は、研磨パッドの溝と整列していなくもよく、研磨パッドの溝と位置ずれしていてもよく、又は研磨パッドの溝と部分的に整列していてもよい。
【0027】
図8に、同心の円形凹部802とグリッド凹部804の両方を有する窓801を示す。これらの凹部は組み合わさって、湾曲した内側縁部又は外側縁部で変更され得る正方形、矩形、及び三角形を含む様々な形状を有する要素803を画定する。凹部は、円形窓801の周縁と同心の1つ以上の凹状リング802と、窓801全体にわたって均一なパターンで直線状に延びる凹部804とを含む。円形凹部802は、内部の突出要素が凹部キャビティ(図示されていない)内に内側に陥没することを可能にする。同心リングの利点は、窓を押し下げるのに必要な力が、凹部807の中心に達するにつれて順次減少することである。同心領域内の突出要素803に対する撓み力の低減に加えて、グリッド凹部804は、x方向及びy方向に平行な凹部804に沿った曲げを可能にする。この窓は、点対称性又は実質的な点対称性(パターンが中心からわずかにオフセットされている場合)を示している。凹部804は、窓801の周縁部805まで延在することができる。周縁部805の上面は、そのような周縁部805に位置する凹部804及び要素803によって形成され得る。
【0028】
図9に、小さい要素903及び凹部902を有する内側部分を有し、窓の周縁の周りにより大きい要素905及びより大きい凹部904を有する窓901を示す。このパターンは、第1の凹部群902によって分離された第1の要素群903を含み、第1の要素群903及び第1の凹部セット902は第2の要素群905及び第2の凹部セット904によって囲まれており、第2の群の要素905は第1の群の要素903よりも大きく、第2のセットの凹部904は第1のセット902の凹部902よりも大きい。この窓は点対称性を示しているか、又は中心からわずかにオフセットされている場合には、実質的に点対称になるはずである。凹部904は、窓901の周縁部を形成することができる。凹部904は、内部の突出要素903が凹部キャビティ(図示されていない)内に内側に撓むことを可能にする。中央の突出要素903に対する撓み力の低減に加えて、グリッド凹部902は、x方向及びy方向に平行な曲げを可能にする。凹部902及び904は組み合わさって、曲げ力を中心907で最小まで減少させる。
【0029】
研磨パッドのサイズは、少なくとも10センチメートル(cm)、少なくとも20cm、少なくとも30cm、少なくとも40cm、又は少なくとも50cmから最大100cmまで、最大90cmまで、又は最大80cmまでとすることができる。パッドを任意の形状で設けることができるが、上述の範囲の直径を有する円形又はディスク形状を有することが好都合であり得る。窓は、少なくとも0.5cm又は少なくとも1cmから最大3cmまで、又は最大2.5cmまで、最大2cmまで、又は最大1cmまで(の長さ及び幅(又は円形窓の場合は直径)の寸法を有し得る。
【0030】
研磨パッドは、少なくとも1mmから最大4mmまで又は最大3mmまでの総厚さを有し得る。窓の厚さは、パッドの総厚さよりも小さくすることができる。パッドがサブパッド上に上部研磨部を含む場合、窓の厚さは上部研磨部の厚さよりも大きくすることができる(ただし、パッドの総厚さ(例えば、上部パッドの厚さ+サブパッドの厚さ)を超えてはならない。研磨部の厚さは、少なくとも1mm、又は少なくとも1.1mmから最大3mmまで、又は最大2.5mmまでとすることができる。窓の厚さは、少なくとも0.5mm、少なくとも0.75mm、又は少なくとも1mmから最大3mmまで、最大2.9mmまで、最大2.5mmまでとすることができる。凹部の深さは、窓の厚さの少なくとも10%から最大60%まで又は最大50%までとすることができる。凹部の深さは、少なくとも0.2mm又は少なくとも0.3mmから最大2mmまで又は最大1.5mmまでとすることができる。凹部の幅は、少なくとも0.3mm、少なくとも0.5mm、又は少なくとも0.8mmから最大10mmまで、最大5mmまで、最大3mmまで、最大2mmまで、又は最大1.5mmまでとすることができる。凹部は、窓の最大寸法の最大30%まで、最大20%まで、又は最大10%までとすることができる。凹部によって分離された要素は、少なくとも0.3mm又は少なくとも0.5mm又は少なくとも0.8mmから最大10mmまで、最大8mmまで、最大6mmまで、最大5mmまで、最大4mmまで、最大3mmまで、又は最大2mmまでの寸法(例えば、長さ、幅、半径)を有し得る。窓内の凹部によって分離された、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、又は少なくとも10個の要素から、最大200個まで、最大150個まで、最大100個まで、最大50個まで、最大40個まで、又は最大30個までの要素が存在し得る。
【0031】
図3A及び図3Bに示されるように、研磨部15は溝12を有し得る。同心溝が示されているが、半径方向の溝やクロスハッチ状の溝などの他の溝パターンを使用することもできる。あるいは、パッドの研磨部は、他のテクスチャを有していてもよい。パッドの研磨部は、多孔質であり得るか、又は材料の格子から形成され得るか、又はその上に他のパターンを有し得る。窓の凹部は、研磨部の溝と整合することができる。あるいは、窓の凹部を、研磨部の溝と位置合わせされないか、又は部分的に位置合わせされないように位置決めすることもできる。典型的には、凹部の大部分が、研磨層の溝と整列していない。
【0032】
窓は、終点検出において使用される信号を透過させるという条件で、様々な可撓性材料を含むことができる。例えば、窓は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーを含むことができる。そのような熱可塑性ポリマーの例には、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアクリラート、ポリカーボネート、フッ素化ポリマー、及びポリアセタールが含まれる。そのような熱硬化性ポリマーの例には、ポリウレタン、フェノール、ポリエステル、エポキシ、及びシリコーンが含まれる。特定の窓ポリマーの選択は、上部パッド層に対するコンディショニング摩耗率と、使用されている特定の光学的終点検出デバイスの機能的要件に対して最終パッドで達成することができる光透過のレベルとの適切な一致を達成すること(すなわち、光学測定に適していること)に依存する。本発明の窓の設計は、先行技術の設計と比較して大きな柔軟性を提供することを理解されたい。窓は、少なくとも190nm、少なくとも200nm、又は少なくとも22nmから最大1200nmまで、最大850nmまで、又は最大650nmまでの波長の電磁放射に対する透過性を有し得る。窓の材料は、少なくとも4Mpa、少なくとも10Mpa、若しくは少なくとも100Mpa、又は少なくとも0.2Gpa、少なくとも0.3Gpa、少なくとも0.4Gpa、少なくとも0.5Gpa、少なくとも0.7Gpa、若しくは少なくとも1Gpaから最大Gpa10まで、又は最大Gpa5まで、最大2GpaまでのASTMD 412-16によるヤング率を有し得る。
【0033】
本明細書に開示される窓を、多種多様な材料及び技術を使用して製造することができる。いくつかの例示的な技術は、相互接続された凹部の所望のパターンを形成するために窓上面を機械加工することを含む。あるいは、窓は、最終ネットシェイプの窓を製造するために、所望の凹部配列の逆パターンを含む鋳型に流し込まれてもよい。熱可塑性ポリマーの場合、ネットシェイプの窓は、ホットプレス、射出成形その他によっても製作され得る。窓を、付加製造によって作製することができる。
【0034】
研磨部は、研磨パッドで一般的に使用される任意の組成物を含むことができる。研磨部は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーを含むことができる。研磨部は、炭素充填剤又は無機充填剤で充填されたポリマーと、ポリマーを含浸させた、例えばガラス繊維や炭素繊維の繊維状マットとを含む複合材料などの複合材料とすることができる。研磨部は、空隙を有することができる。ベースパッド又は研磨部に使用することができるポリマー材料の研磨部に使用することができるポリマーの例には、ポリカーボネート、ポリスルホン、ナイロン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、エポキシ、シリコーン、それらの共重合体(例えば、ポリエーテル-ポリエステルコポリマー)、及びそれらの組み合わせ又はブレンドが含まれる。ポリマーは、ポリウレタンとすることができる。
【0035】
研磨部は、少なくとも2Mpa、少なくとも2.5Mpa、少なくとも5Mpa、少なくとも10Mpa、又は少なくとも50Mpaから最大900Mpaまで、最大700Mpaまで、最大600Mpaまで、最大500Mpaまで、最大400Mpaまで、最大300Mpaまで、又は最大200MpaまでのASTM D 412-16によるヤング率を有し得る。研磨部は、終点検出に使用される信号に対して不透明であり得る。
【0036】
研磨部の下にベースパッド(下層又はベース層とも呼ばれる)を使用することができる。ベースパッドは、単層とすることもでき、又は2つ以上の層を含むことができる。ベースパッドの使用により、窓の下のベースパッド又はサブパッドを除去することによって窓の曲げを可能にするためのキャビティが提供される。ベースパッドの上面は、x-yデカルト座標で平面を画定することができる。例えば、研磨部は、機械的締結具を介して、又は接着剤によってサブパッドに取り付けられ得る。ベース層は、少なくとも0.5mm又は少なくとも1mmの厚さを有し得る。ベース層は、5mm以下、3mm以下、又は2mm以下の厚さを有し得る。
【0037】
ベースパッド又はベース層は、研磨パッド用のベース層としての使用で知られている任意の材料を含み得る。例えば、ポリマー、ポリマー材料と他の材料、セラミック、ガラス、金属、石又は木材との複合材料を含むことができる。研磨部を形成することができる材料との適合性に起因して、特に2つ以上の層がある場合の最上層のために、ポリマー及びポリマー複合材料をベースパッドとして使用することができる。そのような複合材料の例には、炭素充填剤又は無機充填剤で充填されたポリマー、及びポリマーを含浸させた、例えばガラス繊維や炭素繊維の繊維状マットが含まれる。パッドのベースを、以下の特性のうちの1つ以上を有する材料で作製することができる:少なくとも2Mpa、少なくとも2.5Mpa、少なくとも5Mpa、少なくとも10Mpa、又は少なくとも50Mpaから最大900Mpaまで、最大700Mpaまで、最大600Mpaまで、最大500Mpaまで、最大400Mpaまで、最大300Mpaまで、又は最大200Mpaまでの範囲で、例えばASTMD412-16によって決定されるヤング率;例えば、少なくとも0.05、少なくとも0.08、又は少なくとも0.1から最大0.6まで、又は最大0.5までのASTM E 132015によって決定されるポアソン比;少なくとも0.4グラム/立方センチメートル(g/cm3)、又は少なくとも0.5g/cm3から、最大1.7g/cm3まで、最大1.5g/cm3まで、又は1.3g/cm3までの密度。
【0038】
ベースパッド又は研磨部に使用することができるそのようなポリマー材料の例には、ポリカーボネート、ポリスルホン、ナイロン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、エポキシ、シリコーン、それらのコポリマー(例えば、ポリエーテル-ポリエステルコポリマー)、及びそれらの組み合わせ又はブレンドが含まれる。
【0039】
ポリマーは、ポリウレタンとすることができる。ポリウレタンは、単独で使用することもでき、又は炭素充填剤又は無機充填剤のマトリックス及び例えばガラス繊維や炭素繊維の繊維状マットとすることもできる。
【0040】
本明細書の目的では、「ポリウレタン」は、二官能性イソシアナート又は多官能性イソシアナート、例えば、ポリエーテル尿素、ポリイソシアヌラート、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン尿素、それらのコポリマー及びそれらの混合物から誘導された生成物である。一致するCMP研磨パッドは、イソシアナート末端ウレタンプレポリマーを提供することと;硬化剤成分を別個に提供することと;イソシアナート末端ウレタンプレポリマーと硬化剤成分とを組み合わせてして組み合わせを形成して、その組み合わせを反応させて生成物を形成することと、を含む方法によって作製され得る。鋳造ポリウレタンケークを所望の厚さにスカイブ加工することによって、ベースパッド又はベース層を形成することが可能である。場合により、ケーク型を赤外線放射、誘導又は直流電流で予熱することにより、多孔質ポリウレタンマトリックスを鋳造する際の製品のばらつきを低減することができる。場合により、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーのどちらかを使用することが可能である。ポリマーは、架橋熱硬化性ポリマーとすることができる。
【0041】
ポリウレタンがベースパッド又は研磨層において使用される場合、ポリウレタンは多官能性イソカヤンテ(isocayante)とポリオールとの反応生成物であり得る。例えば、ポリイソシアンテ(polyisocyante)末端ウレタンプレポリマーを使用することができる。本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層の形成において使用される多官能性イソシアナートは、脂肪族多官能性イソシアナート、芳香族多官能性イソシアナート及びこれらの混合物からなる群より選択され得る。例えば、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層の形成において使用される多官能性イソシアナートは、2,4-トルエンジイソシアナート;2,6-トルエンジイソシアナート;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート;ナフタレン-1,5-ジイソシアナート;トリジンジイソシアナート;パラフェニレンジイソシアナート;キシリレンジイソシアナート;イソホロンジイソシアナート;ヘキサメチレンジイソシアナート;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート;シクロヘキサンジイソシアナート;及びそれらの混合物からなる群から選択されるジイソシアナートであり得る。多官能性イソシアナートは、ジイソシアナートとプレポリマーポリオールとの反応によって形成されたイソシアナート末端ウレタンプレポリマーであり得る。イソシアナート末端ウレタンプレポリマーは、2~12重量%、2~10重量%、4~8重量%又は5~7重量%の未反応イソシアナート(NCO)基を有し得る。多官能性イソシアナート末端ウレタンプレポリマーを形成するために使用されるプレポリマーポリオールは、ジオール、ポリオール、ポリオールジオール、それらのコポリマー及びそれらの混合物からなる群より選択され得る。例えば、プレポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール及びそれらの混合物);ポリカーボネートポリオール;ポリエステルポリオール;ポリカプロラクトンポリオール;それらの混合物;並びにそれらの混合物と、エチレングリコール;1,2-プロピレングリコール;1,3-プロピレングリコール;1,2-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;2-メチル-1,3-プロパンジオール;1,4-ブタンジオール;ネオペンチルグリコール;1,5-ペンタンジオール;3-メチル-1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;ジプロピレングリコール;及び、トリプロピレングリコールからなる群より選択される1つ以上の低分子量ポリオールとの混合物からなる群より選択され得る。例えば、プレポリマーポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG);エステル系ポリオール(エチレンアジパート、ブチレンアジパートなど);ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG);ポリカプロラクトンポリオール;それらのコポリマー;及びそれらの混合物からなる群より選択され得る。例えば、プレポリマーポリオールは、PTMEG及びPPGからなる群より選択され得る。プレポリマーポリオールがPTMEGである場合、イソシアナート末端ウレタンプレポリマーは、2~10重量%(より好ましくは4~8重量%;最も好ましくは6~7重量%)の未反応イソシアナート(NCO)濃度を有し得る。市販のPTMEG系のイソシアナート末端ウレタンプレポリマーの例には、Imuthane(登録商標)プレポリマー(COIM USA,Inc.から入手可能、PET-80A、PET-85A、PET-90A、PET-93A、PET-95A、PET-60D、PET-70D、PET-75Dなど);Adiprene(登録商標)プレポリマー(Chemturaから入手可能、LF 800A、LF 900A、LF 910A、LF 930A、LF 931A、LF 939A、LF 950A、LF 952A、LF 600D、LF 601D、LF 650D、LF 667、LF 700D、LF 750D、LF 751D、LF 752D、LF 753D及びL 325);Andur(登録商標)プレポリマー(Anderson Development CoMpanyから入手可能、70APLF、80APLF、85APLF、90APLF、95APLF、60DPLF、70APLF、75APLFなど)が含まれる。プレポリマーポリオールがPPGである場合、イソシアナート末端ウレタンプレポリマーは、3~9重量%(より好ましくは4~8重量%、最も好ましくは5~6重量%)の未反応イソシアナート(NCO)濃度を有し得る。市販のPPGベースのイソシアナート末端ウレタンプレポリマーの例には、Imuthane(登録商標)プレポリマー(COIM USA,Inc.から入手可能、PPT-80A、PPT-90A、PPT-95A、PPT-65D、PPT-75Dなど);Adiprene(登録商標)プレポリマー(Chemturaから入手可能、LFG 963A、LFG 964A、LFG 740Dなど);及び、Andur(登録商標)プレポリマー(Anderson Development CoMpanyから入手可能、8000APLF、9500APLF、6500DPLF、7501DPLFなど)が含まれる。イソシアナート末端ウレタンプレポリマーは、0.1重量%未満の遊離トルエンジイソシアナート(TDI)モノマー含有量を有する低遊離イソシアナート末端ウレタンプレポリマーであり得る。非TDI系イソシアナート末端ウレタンプレポリマーも使用することができる。例えば、イソシアナート末端ウレタンプレポリマーには、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)及びポリテトラメチレングリコール(PTMEG)などのポリオールと、1,4-ブタンジオール(BDO)などの任意選択のジオールとの反応によって形成されるものが含まれ、許容される。そのようなイソシアナート末端ウレタンプレポリマーが使用される場合、未反応イソシアナート(NCO)濃度は、好ましくは、4~10重量%(より好ましくは4~10重量%、最も好ましくは5~10重量%)である。このカテゴリーの市販のイソシアナート末端ウレタンプレポリマーの例には、Imuthane(登録商標)プレポリマー(COIM USA,Inc.から入手可能、27-85A、27-90A、27-95Aなど)Andur(登録商標)プレポリマー(Anderson Development CoMpanyから入手可能、IE75AP、IE80AP、IE85AP、IE90AP、IE95AP、IE98APなど);及び、Vibrathane(登録商標)プレポリマー(Chemturaから入手可能、B625、B635、B821など)が含まれる。
【0042】
本明細書に開示されるような窓を含む最終パッドの製造は、窓上面に所望のパターンの凹部を有する別個の窓を作製し、続いてサブパッド層の開口部(いわゆる挿入窓)と位置合わせされた上部パッド層の開口部に挿入することを含むがこれに限定されない、いくつかの技術によって行うことができる。窓を研磨パッド内に固定するために、封止剤又は接着剤を使用することができる。そのような材料の例には、感圧接着剤、アクリル、ポリウレタン、及びシアノアクリラートが含まれる。あるいは、窓材料のブロックを最終窓の断面寸法に機械加工することもできる。このブロックが鋳型内に配置され、その周りで上部パッド層材料が鋳造される。次いで、得られた複合円柱を所望の厚さのシートにスライスすることができ、その後、窓上面のテクスチャが製造される。別の代替方法として、窓付きパッドを、射出成形や圧縮成形などの技術を介して完成した窓の周りに研磨部を鋳造して、複合窓が所定の位置に鋳造された単一のネットシェイプの上部パッド層を製造することによって形成することもできる。
【0043】
方法
本明細書に開示される研磨パッドを、基板を研磨するために使用することができる。例えば、研磨方法は、研磨対象の基板を提供することと、次いで、本明細書に開示されるパッドを使用して、突出部を研磨対象の基板と接触させて研磨することとを含むことができる。基板は、研磨及び/又は平坦化が所望される任意の基板とすることができる。そのような基板の例には、磁性基板、光学基板及び半導体基板が含まれる。方法は、集積回路のための部品基板工程処理又は配線工程処理とされる。例えば、このプロセスを使用して、粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料などの望ましくない表面トポグラフィー及び表面欠陥を除去することができる。さらに、ダマシンプロセスでは、フォトリソグラフィー、パターン化エッチング、及びメタライゼーションの1つ以上のステップによって形成された凹状領域を充填するために材料が堆積される。ある特定のステップは不正確である可能性があり、例えば、凹部のオーバーフィルの可能性がある。本明細書に開示される方法は、凹部の外側の材料を除去するために使用することができる。このプロセスは、どちらもCMPと呼ばれ得る、ケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシングであり得る。キャリアは、研磨対象の基板、例えば、半導体ウェーハ(リソグラフィー及びメタライゼーションによって形成された層あり又はなしの)を研磨パッドの研磨要素と接触させて保持することができる。スラリー又は他の研磨剤を、基板と研磨パッドとの間の間隙に分注することができる。研磨パッド及び基板は、互いに対して移動され、例えば回転される。研磨パッドは、典型的には、研磨対象の基板の下に配置される。研磨パッドは回転することができる。研磨対象の基板も、例えば、環状形状などの研磨トラック上を移動させることができる。相対移動により、研磨パッドが基板の表面に接近して接触する。
【0044】
例えば、この方法は、プラテン又はキャリアアセンブリを有するケミカルメカニカルポリッシング装置を設けることと、少なくとも1つの研磨対象の基板を提供することと、本明細書に開示されるようなケミカルメカニカルポリッシングパッドを設けることと、プラテン上にケミカルメカニカルポリッシングパッドを設置することと、場合により、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨部と基板との間の界面に研磨剤(例えば、スラリー及び/又は非砥粒含有反応性液体組成物)を提供することと、研磨パッドの研磨部と基板との間に動的接触を生じさせることであって、少なくとも一部の材料が基板から除去される、ことと、を含むことができる。キャリアアセンブリキャリアアセンブリは、研磨されている基板(例えば、ウェーハ)と研磨パッドとの間に制御可能な圧力を提供することができる。研磨剤研磨剤は、研磨パッド上に分注され、ウェーハと研磨層との間の間隙に引き込まれ得る。研磨剤は、水、pH調整剤、並びに、場合により、これらに限定されないが、砥粒粒子、酸化剤、インヒビター、殺生物剤、可溶性ポリマー、及び塩のうちの1つ以上を含むことができる。砥粒粒子は、酸化物、金属、セラミック、又は他の適切な硬さの材料でとすることができる。典型的な砥粒粒子は、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、セリア、及びアルミナである。研磨パッド及び基板は、互いに対して回転することができる。研磨パッドが基板の下で回転する際に、基板は、典型的には環状の研磨トラック、又は研磨領域を掃き出すことができ、ウェーハの表面は研磨パッドの研磨部に直接面する。ウェーハ表面は、研磨層及び表面上の研磨剤の化学的機械的作用によって研磨され、平坦にされる。場合により、研磨パッドの研磨面を、研磨を開始する前に砥粒コンディショナーでコンディショニングすることもできる。本発明の方法では、提供されるケミカルメカニカルポリッシング装置は、信号源(例えば、光源)と、信号検出器(例えば、光センサー(好ましくはマルチセンサー分光器)とをさらに含む。この方法は、したがって、窓を通して信号(例えば、光源からの光)を伝送し、終点検出窓を通って基板の表面から反射されセンサー(例えば光センサー)上に入射する信号(例えば光)を分析することによって研磨終点を決定すること、を含むことができる。基板は、銅又はタングステンを含有するものなどの金属又は金属化表面を有し得る。基板は、磁性基板、光学基板、及び半導体基板とすることができる。
【0045】
実施例1
図5に示される設計の窓を組み込んだ研磨パッドを作製した。窓(301)は円形であり、直径18mm、厚さ2.032mmであった。これらの寸法は、先行技術の窓パッドに見られる寸法と同等である。サンプルを、250~800nmの波長範囲のUV/可視光を透過することができるいくつかの材料から作製した。
【0046】
凹部設計は、凹部を有さない直径6mmの中央凸状領域又は要素(303)と、8つの多角形凸状領域又は要素(303’)の外側領域とからなる。すべての凸状要素の表面は研磨パッド上面と同一平面上にあり、窓(301)の底部は、研磨パッドの研磨部(すなわち、研磨層)と下層(すなわち、副層又はベース層)との間の界面と同一平面上にある。中央領域と多角形領域との間には、幅1.524mm、深さ0.762mmの円形凹状領域(302)がある。各多角形凸状領域(303’)を、円形凹状領域(302)と交差する円形凹状領域(302)と同じ幅及び深さを有する8つの凹状領域(302’)によって分離して、スラリー輸送を補助することができる連続した凹部パターンを与えた。
【0047】
完全なサンプルを、独自設計の光学終点検出器を組み込んだApplied Materials Reflexion(商標)LK CMP装置で試験した。例示的なパッドの光信号強度は、商業利用のための正常範囲内にあることが分かった。この実施例は、窓内の複数の凹部が光信号を、弱く、不規則で、ウェーハ終点検出のために許容できないものにするという予想が誤りであることを証明している。
【0048】
比較例
図10A及び図10Bに示されるような円形窓を含むパッドを作製した。この窓110は、同心溝111と、溝113によってV字形に分離された様々な高さの特徴112とを有していた。このパッドは、パターンがx方向及びy方向において一貫しておらず、中心117に対する点対称性又は実質的な点対称性を欠いているという点で均一ではない。さらに、中央突出要素は、窓110の幅又は直径の半分よりも大きい幅を有する。これにより、特徴112の周りのスラリーの流れは、スラリーを収集する終端を有する蛇行状態になる。スラリーの蛇行した流れとスラリーの収集の両方により、望ましくない研磨欠陥がもたらされる。窓を通して検出用のセンサーを使用して研磨しようとする試みは、センサーが効果的ではないような許容できないほど高い信号対雑音比を示す。加えて、この窓のコンプライアンスは、窓がx方向及びy方向の一方において他方よりも大きく撓み得るように、x方向及びy方向において均一ではない。
【0049】
本開示は、以下の態様をさらに包含する。
【0050】
態様1:上部研磨面、プラテンに取り付けるための底層、及び研磨材料を有し、上部研磨面が溝を含む、研磨部と、研磨パッドを貫通する開口部と、研磨パッドの開口部内の透明窓であって、透明窓が、可撓性であり、透明窓の底部から透明窓の上部研磨面まで測定された厚さを有し、透明窓がキャビティを形成するようにプラテンから離間した状態で研磨パッドに固定されており、磁気信号及び光信号の少なくとも一方を透過させ、透明窓が、透明窓の周囲と、透明窓の中央を埋める複数の突出要素を有し、複数の突出要素の頂部が透明窓の上部研磨面を表し、突出要素が、透明窓の厚さの少なくとも30パーセントの初期高さを有し、突出要素が、上面に突出要素パターンを設けるように透明窓の周縁部まで延在する相互接続された凹部によって分離された上部研磨面と同一平面上にあり、凹部の大部分が、上部研磨面の溝と部分的又は完全に位置ずれしており、突出要素パターンが、透明窓がキャビティ内に曲がる複数の軸を中心とした曲げを可能にし、軸のうちの少なくとも2本が非平行又は中央突出要素とのものであり、中央突出要素と共にキャビティ内に下方に曲がる1つ以上の凹部によって囲まれた中央突出要素が、研磨中の基板との接触圧力を低減するために透明窓の最長寸法の半分未満の幅を有する、透明窓と、を含む、半導体基板、光学基板又は磁性基板のケミカルメカニカルポリッシングにおいて有用な研磨パッド。
【0051】
態様2:透明窓が中心を有し、突出要素及び凹部が中心に対して点対称性を有する、態様1に記載の研磨パッド。
【0052】
態様3:凹部がクロスハッチパターンを形成する、態様1又は2に記載の研磨パッド。
【0053】
態様4:突出要素が円柱形状を有する、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0054】
態様5:凹部が、透明窓の周縁部の方へ延びる凹部を接続する閉じた湾曲した形状を含む、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0055】
態様6:パターンが、六角形の密集した突出要素を含む、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0056】
態様7:パターンが、第1の凹部群によって分離された第1の要素群を含み、第1の要素群及び第1の凹部セットが第2の要素群及び第2の凹部セットによって囲まれており、第2の群の要素が第1の群の要素よりも大きく、第2のセットの凹部が第1のセットの凹部よりも大きい、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0057】
態様8:凹部が、円形窓の周縁と同心の1つ以上の凹状リングと、窓全体にわたって均一なパターンで直線状に延びる凹部とを含む、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0058】
態様9:パターンが、そのx軸及びy軸に対して点対称性を有する、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0059】
態様10:凹部の深さが、窓の厚さの30~60パーセント、好ましくは35~55パーセントである、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0060】
態様11:4~200個の要素、好ましくは10~100個の要素がある、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0061】
態様12:少なくとも4~100個の凹部、好ましくは10~50個の凹部がある、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0062】
態様13:凹部が溝の形態である、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0063】
態様14:研磨部が、一連の円柱を含む、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0064】
態様15:研磨パッドの溝が、凹部と位置合わせされている、態様14に記載の研磨パッド。
【0065】
態様16:溝が、凹部と位置合わせされていない、態様14に記載の研磨パッド。
【0066】
態様17:応力に対する窓のコンプライアンスが、x方向及びy方向の平行軸に沿って一貫している、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0067】
態様19:凹部が、0.3~10mm、好ましくは0.5~3mmの幅を有する、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0068】
態様20:要素が、0.3~10mm、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは0.8~3mmの寸法を有する、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【0069】
態様21:基板を提供することと、前記態様のいずれか一項に記載の研磨パッドを使用して基板を研磨することと、透明窓を通して、光信号又は磁気信号、好ましくは光信号を提供し、信号に対する応答を検出し、応答を監視して研磨が完了したことを決定することと、を含む研磨方法。
【0070】
態様22:研磨剤、好ましくはスラリー、及び研磨中に除去された材料が、凹部を通して基板から移動される、態様21に記載の方法。
【0071】
組成物、方法、及び物品は、本明細書に開示される任意の適切な材料、ステップ、又は構成要素を、代替的に含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなることができる。組成物、方法、及び物品を、追加的又は代替的に、組成物、方法、及び物品の機能又は目的を達成するために必要ではない任意の材料(若しくは種)、ステップ、又は構成要素を欠くか、又は実質的に含まないように構築することもできる。
【0072】
本明細書に開示されるすべての範囲は、端点を含み、端点は、互いに独立して組み合わせることができる(例えば、「最大25重量%まで、又はより具体的には5重量%~20重量%」の範囲は、「5重量%~25重量%」の範囲の端点及びすべての中間値を含むなど)。さらに、記載される上限と下限とを組み合わせて範囲を形成することができる(例えば、「少なくとも1又は少なくとも2重量パーセント」と「最大10又は5重量パーセントまで」とを、範囲「1~10重量パーセント」又は範囲「1~5重量パーセント」又は範囲「2~10重量パーセント」又は範囲「2~5重量パーセント」として組み合わせることができる)。「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。「第1」、「第2」などの用語は、順序、数量、又は重要度を表すものではなく、ある要素を別の要素から区別するために使用されている。「a」及び「an」及び「the」という用語は、数量の限定を表すものではなく、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書全体を通して「いくつかの実施形態」、「一実施形態」などと言う場合それは、当該実施形態に関連して説明される要素が本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態には存在する場合も存在しない場合もあることを意味する。加えて、記載された要素は、様々な実施形態において任意の適切な方法で組み合わされ得ることも理解されたい。「それらの組み合わせ」は、非制限的であり、記載された構成要素又は特性の少なくとも1つを、任意選択的に、記載されていない同様又は同等の構成要素又は特性と一緒に含む任意の組み合わせを含む。
【0073】
本明細書において反対の指定がない限り、すべての試験規格は、本出願の出願日、又は優先権が主張される場合は、試験規格が記載される最も早い優先出願の出願日現在で有効な最新の規格である。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
【外国語明細書】