(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082016
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】ヒートポンプ給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/375 20220101AFI20220525BHJP
【FI】
F24H4/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193303
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和久
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA54
3L122AA73
3L122AB22
3L122AB33
3L122BA02
3L122BA12
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA32
3L122BB03
3L122DA21
3L122EA50
3L122FA05
(57)【要約】
【課題】余剰電力を検知する手段がなくても商用電源の電力の使用を低減して貯湯運転を行うことができるヒートポンプ給湯システムを提供すること。
【解決手段】ヒートポンプ式熱源機(10)と、貯湯槽(21)と、太陽光発電装置及び商用電源から供給される電力を使用してヒートポンプ式熱源機(10)で加熱した湯水を貯湯槽(21)に貯湯する貯湯運転を制御する制御手段(29)とを備えたヒートポンプ給湯システム(1)において、貯湯運転の消費電力を節約する節約モードを有し、太陽光発電装置による余剰電力の発生が予測される余剰電力時間帯が予め設定され、制御手段(29)は、必要熱量を節約モードで貯湯する場合に、余剰電力時間帯内に貯湯運転が完了するように設定可能なヒートポンプ式熱源機(10)の出力のうち、最低出力をヒートポンプ式熱源機(10)の出力として設定して貯湯運転を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプ式熱源機と、貯湯槽と、太陽光発電装置及び商用電源から供給される電力を使用して前記ヒートポンプ式熱源機で加熱した湯水を前記貯湯槽に貯湯する貯湯運転を制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯システムにおいて、
前記貯湯運転の消費電力を節約する節約モードを有し、
前記太陽光発電装置による余剰電力の発生が予測される余剰電力時間帯が予め設定され、
前記制御手段は、必要熱量を前記節約モードで貯湯する場合に、前記余剰電力時間帯内に前記貯湯運転が完了するように設定可能な前記ヒートポンプ式熱源機の出力のうち、最低出力を前記ヒートポンプ式熱源機の出力として設定して前記貯湯運転を行うことを特徴とするヒートポンプ給湯システム。
【請求項2】
前記余剰電力時間帯内に前記貯湯運転が完了する貯湯温度のうち、前記消費電力が最も小さい貯湯温度を設定して前記貯湯運転を行うことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式熱源機と貯湯槽を備えたヒートポンプ給湯システムに関し、特に太陽光発電装置と商用電源から供給される電力を使用してヒートポンプ式熱源機で加熱した湯水を貯湯槽に貯湯する貯湯運転を行うヒートポンプ給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒートポンプ式熱源機を使用して加熱した湯水を貯湯槽に貯湯する貯湯運転を行い、貯湯槽に貯湯された湯水を給湯に使用するヒートポンプ給湯システムが広く利用されている。ヒートポンプ給湯システムは、過去の給湯使用履歴に基づいて、例えば将来の給湯使用時刻と給湯使用量を予測して給湯使用量に相当する必要熱量を算出し、予測した給湯使用時刻までに必要熱量を貯湯する。
【0003】
ヒートポンプ式熱源機は、外気の熱を利用して湯水を加熱する際に電力を消費する。電力は一般的に商用電源から供給されるが、太陽光発電装置が設置されている場合には、この太陽光発電装置によって発電した電力を自家消費し、不足分が商用電源から供給される。一方、自家消費されない余剰電力は、売電される、又は蓄電装置に蓄電される。例えば特許文献1には、太陽光発電の余剰電力を予測して、十分な余剰電力がある場合に貯湯運転を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、太陽光発電装置の余剰電力を貯湯運転に使用して商用電源からの電力供給を低減することができれば、ヒートポンプ給湯システムのエネルギーコストを低減することができる。
【0006】
しかし、余剰電力を検知する手段を備えていないヒートポンプ給湯システムは、余剰電力に応じて貯湯運転を制御することができないので、貯湯運転の消費電力が余剰電力を超過する場合があった。また、余剰電力を検知する手段を装備した場合には、ヒートポンプ給湯システムの製造コストが上昇するので好ましくない。
【0007】
本発明の目的は、余剰電力を検知する手段がなくても商用電源の電力使用を低減して貯湯運転を行うことができるヒートポンプ給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明のヒートポンプ給湯システムは、ヒートポンプ式熱源機と、貯湯槽と、太陽光発電装置及び商用電源から供給される電力を使用して前記ヒートポンプ式熱源機で加熱した湯水を前記貯湯槽に貯湯する貯湯運転を制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯システムにおいて、前記貯湯運転の消費電力を節約する節約モードを有し、前記太陽光発電装置による余剰電力の発生が予測される余剰電力時間帯が予め設定され、前記制御手段は、必要熱量を前記節約モードで貯湯する場合に、前記余剰電力時間帯内に前記貯湯運転が完了するように設定可能な前記ヒートポンプ式熱源機の出力のうち、最低出力を前記ヒートポンプ式熱源機の出力として設定して前記貯湯運転を行うことを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、節約モードの貯湯運転では、余剰電力の発生が予測される余剰電力時間帯内に必要熱量を貯湯することができるヒートポンプ式熱源機の出力のうち、最低出力を設定して貯湯する。従って、余剰電力を使用して貯湯運転を行って、必要熱量の貯湯を完了することができる。そして、貯湯運転の消費電力を小さくしているので余剰電力を超過する場合が少なくなり、商用電源からの電力供給を低減することができるので、エネルギーコストを低減することができる。また、余剰電力を検知する手段が不要なので、ヒートポンプ給湯システムの製造コストの上昇を抑制することができる。
【0010】
請求項2の発明のヒートポンプ給湯システムは、請求項1の発明において、前記余剰電力時間帯内に前記貯湯運転が完了する貯湯温度のうち、前記消費電力が最も小さい貯湯温度を設定して前記貯湯運転を行うことを特徴としている。
上記構成によれば、必要熱量の貯湯を完了することができると共に、貯湯運転の消費電力を一層低減して商用電源からの電力供給を低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のヒートポンプ給湯システムによれば、余剰電力を検知する手段がなくても商用電源の電力使用を低減して貯湯運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係るヒートポンプ給湯システムの周辺構成の説明図である。
【
図2】実施例に係るヒートポンプ給湯システムの説明図である。
【
図4】実施例に係る節約モードにおける貯湯運転制御のフローチャートである。
【
図5】実施例に係る節約モードにおける貯湯運転の消費電力テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0014】
最初に、ヒートポンプ給湯システム1の周辺構成について、
図1に基づいて説明する。
ヒートポンプ給湯システム1は、主熱源機10としてヒートポンプ式熱源機と、貯湯ユニット20と、補助熱源機40を有する。このヒートポンプ給湯システム1は、電力線1aを介して分電盤2に接続されている。分電盤2は、商用電源に接続された商用電源線3から供給される電力と、太陽光発電装置4から供給される発電電力を、ヒートポンプ給湯システム1と図示外の電力を使用する機器に分配する。
【0015】
太陽光発電装置4は、ソーラーパネル5が太陽光を受けて発電した直流電力をまとめるための接続箱6と、接続箱6でまとめられた直流電力を交流電力(発電電力)に変換するために接続されたパワーコンディショナ7を有する。太陽光発電装置4から供給される発電電力は自家消費されると共に、自家消費されない余剰電力が分電盤2から商用電源に接続された商用電源線3を介して売電される。余剰電力は図示外の蓄電装置に蓄電されてもよい。
【0016】
ヒートポンプ給湯システム1は、分電盤2から供給される発電電力及び商用電力を夫々単独で使用して、又はこれらを併用して駆動される。ヒートポンプ給湯システム1に供給される電力は、電力線1aを介して貯湯ユニット20に供給され、貯湯ユニット20から電源線10a,40aを介して主熱源機10、補助熱源機40に供給される。尚、補助熱源機40は分電盤2から電力が直接供給される場合もある。
【0017】
ヒートポンプ給湯システム1について、
図2に基づいて説明する。
ヒートポンプ給湯システム1は、主熱源機10で加熱した湯水を貯湯ユニット20の貯湯槽21に貯湯する貯湯運転を行うように構成されている。貯湯槽21に貯湯された湯水は、補助熱源機40を介して例えば給湯栓8に供給される。補助熱源機40は、例えば燃焼式熱源機であり、貯湯ユニット20から供給される湯水を再加熱して、又は再加熱せずに給湯栓8に供給する。
【0018】
貯湯槽21の下部には、主熱源機10に貯湯槽21の湯水を供給するために、ポンプ22を備えた主熱源機往き通路23が接続されている。貯湯槽21の上部には、主熱源機10で加熱された湯水を貯湯槽21に供給するための主熱源機戻り通路24が接続されている。主熱源機戻り通路24の途中には、湯水の流路を切り替える切替弁25が配設され、切替弁25で主熱源機戻り通路24から分岐された戻り分岐通路24aが、主熱源機往き通路23のポンプ22よりも上流側部分に接続されている。
【0019】
主熱源機戻り通路24の切替弁25よりも上流側部分には、主熱源機10で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ24bが配設されている。例えば主熱源機10の起動直後における戻り温度センサ24bの検知温度が低い場合に、切替弁25を貯湯槽21側から戻り分岐通路24a側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯槽21に湯水を戻さずに循環させる。
【0020】
貯湯槽21の底部には、矢印CWで示す上水を供給する給水通路26が接続されている。貯湯槽21の頂部には、貯湯槽21の湯水を貯湯ユニット20外に出湯するための出湯通路27が接続されている。給水通路26の途中から分岐された給水分岐通路26aは、出湯通路27の途中に配設された混合弁28に接続されている。貯湯槽21には、複数の貯湯温度センサ21a~21dが配設され、貯湯槽21に貯湯された湯水の温度と貯湯量を検知することができる。
【0021】
給水通路26には、給水通路26から供給される上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ26bが配設されている。出湯通路27には、貯湯ユニット20からの出湯流量を検知する出湯流量センサ27aと、貯湯槽21から出湯される湯水の温度(貯湯槽出湯温度)を検知する貯湯槽出湯温度センサ27bと、貯湯ユニット20からの出湯温度を検知する出湯温度センサ27cが配設されている。
【0022】
貯湯ユニット20の出湯通路27と補助熱源機40の給水口40aが湯水通路31によって接続されている。補助熱源機40の給湯口40bには、給湯栓8に接続された給湯通路32が接続されている。貯湯ユニット20から出湯された湯水は、補助熱源機40を介して給湯栓8に供給され、給湯栓8から矢印HWで示すように給湯される。
【0023】
貯湯ユニット20は、貯湯運転を制御する制御部29(制御手段)を有する。制御部29は、ポンプ22を駆動して貯湯槽21と主熱源機10の間で湯水を循環させ、主熱源機10で加熱した湯水を貯湯槽21の上部から貯湯する。また、制御部29は、貯湯槽出湯温度と給水温度と出湯流量に基づいて、出湯温度センサ27cで検知される温度が例えば予め設定された給湯設定温度又は所定温度になるように、混合弁28における混合比を調整して出湯する。所定温度は、貯湯ユニット20から供給される湯水を補助熱源機40が給湯設定温度に加熱して給湯できるように設定されている。
【0024】
制御部29には、例えば給湯設定温度をユーザが設定するための操作端末30が接続されている。この操作端末30は補助熱源機40にも接続され、操作端末30で設定された給湯設定温度の湯水を給湯栓8に供給することができるように構成されている。
【0025】
図3に示すように、主熱源機10は、圧縮機11と凝縮熱交換器12と膨張弁13と蒸発熱交換器14を冷媒通路15により接続したヒートポンプ回路と、蒸発熱交換器14に送風するための送風機16と外気温度センサ17を有する。貯湯運転では、主熱源機10のヒートポンプ回路内に充填された冷媒を循環させ、圧縮機11によって圧縮されて温度が上昇した冷媒が、凝縮熱交換器12における熱交換によって、貯湯槽21から供給される湯水を加熱する。
【0026】
熱交換によって温度が低下した冷媒は、膨張弁13で断熱膨張して外気よりも低温になる。この低温の冷媒は、蒸発熱交換器14において、送風機16から送風される外気との熱交換によって加熱される。加熱された冷媒は、再び圧縮機11に導入される。
【0027】
制御部29は、例えば記憶している過去の給湯使用履歴に基づいて、将来の給湯使用時刻と給湯使用量を予測して給湯使用量に相当する必要熱量を算出する。そして、制御部29は、予測した給湯使用時刻までに必要熱量の貯湯が完了するように貯湯運転を制御する。
【0028】
制御部29は、貯湯運転を行うモードとして通常モードと節約モードを有する。通常モードは、給湯設定温度と給水温度と外気温度に基づいて、運転効率が高くなるように主熱源機10の加熱能力(出力)と貯湯温度を設定して貯湯するモードである。節約モードは、貯湯運転の消費電力を節約するように主熱源機10の出力と貯湯温度を設定して貯湯するモードである。どちらのモードでも、貯湯温度は給湯設定温度よりも高く設定され、貯湯温度が低い程、貯湯運転の運転効率が高くなると共に消費電力が小さくなる。また、主熱源機10の出力が小さい程、貯湯運転の消費電力が小さくなる。
【0029】
太陽光発電装置4の発電電力を使用することができるヒートポンプ給湯システム1のユーザは、貯湯運転のエネルギーコストを低減したい場合に、操作端末30の操作によって通常モードから節約モードに切り替えることができる。節約モードでは、予測した給湯使用時刻までに、且つ太陽光発電装置4による余剰電力の発生が予測される余剰電力時間帯内に貯湯運転が完了するように設定可能な主熱源機10の出力のうち、最低出力が主熱源機10の出力として設定される。太陽光発電装置4の設置環境やユーザの生活態様に応じて余剰電力の発生状況が異なるので、余剰電力時間帯はユーザによる操作端末30の操作によって予め設定されている。
【0030】
次に、制御部29による節約モードでの貯湯運転の制御について、
図4のフローチャートに基づいて、
図5の貯湯運転の消費電力テーブルを参照しながら説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0031】
最初にS1において、予測した給湯使用時刻と余剰電力時間帯に基づいて、節約モードでの最大貯湯運転時間を設定してS2に進む。例えば現在時刻が13時、予測した給湯使用時刻が17時、余剰電力時間帯が9時~16時に設定されている場合に、予測した給湯使用時刻までに且つ余剰電力時間帯内に貯湯を完了させるために、早い方の時刻の16時に貯湯が完了するように最大貯湯運転時間を180分に設定する。
【0032】
S2において、必要熱量が貯湯槽21に貯湯可能な最大貯湯熱量以下か否か判定する。最大貯湯熱量は、貯湯温度と貯湯槽21の容量で決まり、ここでは貯湯温度が65[℃]のときの6500[kcal]を最大貯湯熱量とする。貯湯運転では最大貯湯熱量を超える熱量を貯湯することができないので、不足分は給湯時に補助熱源機40で補う。S2の判定がYes(必要熱量が最大貯湯熱量以下)の場合にはS3に進み、S2の判定がNo(必要熱量が最大貯湯熱量を超過)の場合にはS6に進む。
【0033】
S3において、必要熱量とS1で設定した最大貯湯運転時間に基づいて主熱源機10の出力を設定してS4に進む。例えば、必要熱量が5200[kcal]の場合には、最大貯湯運転時間内(180分以内)に貯湯を完了するために必要な出力が28.9[kcal/min]以上であると算出される。そして、算出された必要な出力以上の設定可能な出力として、例えば30,40,50[kcal/min]の出力のうち、消費電力が最も小さくなる最低出力の30[kcal/min]を主熱源機10の出力として設定する(
図5参照)。
【0034】
S4において、必要熱量に基づいて貯湯温度を設定してS5に進む。例えば、給湯設定温度が42[℃]に設定され、設定可能な貯湯温度が45,50,55,60,65[℃]になっている。そして、設定可能な貯湯温度の湯水で貯湯槽21を満たしたときの熱量が必要熱量の5200[kcal]以上であり、必要熱量を貯湯可能な55,60,65[℃]の貯湯温度うち、貯湯運転の消費電力が最も小さくなる最低温度の55[℃]を貯湯温度に設定する(
図5参照)。
【0035】
上記S3,S4の消費電力は、給水温度と外気温度に基づいて、主熱源機10の出力と貯湯温度に応じて制御部29によって算出される。尚、予め給水温度、外気温度を夫々変えて出力と貯湯温度に応じて消費電力が算出された複数の消費電力テーブルが、制御部29に記憶されていてもよい。
【0036】
S5において、S3で設定した主熱源機10の出力で、S4で設定した貯湯温度の貯湯運転を実行し、必要熱量の貯湯が完了したら貯湯運転の制御を終了する。
【0037】
一方、S2の判定がNoの場合にS6において、最大貯湯熱量と最大貯湯運転時間に基づいて主熱源機10の出力を設定してS7に進む。例えば必要熱量が7000[kcal]の場合に、最大貯湯熱量の6500[kcal]の貯湯を最大貯湯運転時間内に完了するために必要な出力が、36.1[kcal/min]以上であると算出される。この必要な出力以上の設定可能な出力として例えば40,50[kcal/min]の出力のうち、消費電力が最も小さくなる最低出力の40[kcal/min]を主熱源機10の出力として設定する(
図5参照)。このS6の消費電力も上記と同様に、給水温度と外気温度に基づいて、主熱源機10の出力と貯湯温度に応じて制御部29によって算出されてもよく、予め算出された複数の消費電力テーブルが制御部29に記憶されていてもよい。
【0038】
次にS7において、貯湯温度を最高温度に設定してS5に進む。例えば、設定可能な貯湯温度が45,50,55,60,65[℃]の場合に、最大貯湯熱量の貯湯が可能な最高温度の65[℃]を貯湯温度に設定する。そしてS5において、S6で設定した主熱源機10の出力で、S7で設定した貯湯温度の貯湯運転を実行し、最大貯湯熱量の貯湯が完了したら貯湯運転の制御を終了する。
【0039】
上記ヒートポンプ給湯システム1の作用、効果について説明する。
節約モードの貯湯運転では、余剰電力の発生が予測される余剰電力時間帯内に必要熱量を貯湯することができる主熱源機10の出力のうち、最低出力を設定して貯湯する。従って、余剰電力を使用して貯湯運転を行って、必要熱量の貯湯を完了することができる。そして、貯湯運転の消費電力を小さくしているので余剰電力を超過する場合が少なくなり、商用電源からの電力供給を低減することができるので、エネルギーコストを低減することができる。また、余剰電力を検知する手段が不要なので、ヒートポンプ給湯システム1の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0040】
また、余剰電力時間帯内に貯湯運転が完了する貯湯温度のうち、消費電力が最も小さい貯湯温度を設定して貯湯運転を行う。これにより、余剰電力時間帯内に必要熱量の貯湯を完了することができると共に、貯湯運転の消費電力を一層低減して商用電源からの電力供給を低減することができる。
【0041】
ヒートポンプ給湯システム1は、貯湯ユニット20に補助熱源機40が内蔵され、貯湯ユニット20から貯湯槽21の湯水を温度調整して、又は補助熱源機40で加熱された湯水を温度調整して、給湯栓8に給湯するように構成されていてもよい。また、上記の主熱源機10の設定可能な出力、設定可能な貯湯温度は、説明するための例示に過ぎず、上記に限定されるものではない。
【0042】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。