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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082017
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】貯湯ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/16 20220101AFI20220525BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20220525BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20220525BHJP
【FI】
F24H9/16 A
F24H9/02 301Z
F24H1/18 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193304
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】清水 泰介
(72)【発明者】
【氏名】前田 力
(72)【発明者】
【氏名】奥田 康成
(72)【発明者】
【氏名】弘中 睦己
(72)【発明者】
【氏名】立岩 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】山根 将太
(72)【発明者】
【氏名】大西 兼造
(72)【発明者】
【氏名】品川 和毅
【テーマコード(参考)】
3L037
3L122
【Fターム(参考)】
3L037AA01
3L122AA02
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA34
3L122AB24
3L122AB33
3L122AB64
3L122BA13
3L122BA14
3L122CA06
3L122EA57
3L122FA22
3L122FA34
3L122GA04
(57)【要約】
【課題】メンテナンスの際に排水されて無駄になる湯水を少なくすると共に、メンテナンスの時間を短縮することができる貯湯ユニットを提供すること。
【解決手段】外装ケース(10a)の内部に収容された貯湯槽(11)と、貯湯槽(11)に接続された給水系及び出湯系の複数の配管と、これらの配管に夫々介装された複数の補器類と、複数の補器類を制御する制御手段(25)を備えた貯湯ユニット(10)において、排水流量を検知する排水流量検知手段(18a)をさらに備え、複数の配管又は複数の補器類の点検交換を行うメンテナンス時に貯湯槽(11)に貯留されている湯水を排水する場合には、制御手段(25)がメンテナンス対象となる配管又は補器類に応じて必要排水量を決定すると共に、排水流量検知手段(18a)による検知流量を排水開始から積算した積算排水量が必要排水量になったときにその旨を作業者に報知する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースと、前記外装ケースの内部に収容された貯湯槽と、前記貯湯槽に接続された給水系及び出湯系の複数の配管と、複数の前記配管に夫々介装された複数の補器類と、複数の前記補器類を制御する制御手段を備えた貯湯ユニットにおいて、
排水流量を検知する排水流量検知手段をさらに備え、
複数の前記配管又は複数の前記補器類の点検交換を行うメンテナンス時に前記貯湯槽に貯留されている湯水を排水する場合には、前記制御手段がメンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類に応じて必要排水量を決定すると共に、前記排水流量検知手段による検知流量を排水開始から積算した積算排水量が前記必要排水量になったときにその旨を作業者に報知することを特徴とする貯湯ユニット。
【請求項2】
外装ケースと、前記外装ケースの内部に収容された貯湯槽と、前記貯湯槽に接続された給水系及び出湯系の複数の配管と、複数の前記配管に夫々介装された複数の補器類と、複数の前記補器類を制御する制御手段を備えた貯湯ユニットにおいて、
前記貯湯槽の水位を検知する水位検知手段をさらに備え、
複数の前記配管又は複数の前記補器類の点検交換を行うメンテナンス時に前記貯湯槽に貯留されている湯水を排水する場合には、前記制御手段がメンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類に応じて前記貯湯槽の残水位を決定すると共に、前記水位検知手段による検知水位が前記残水位になったときにその旨を作業者に報知することを特徴とする貯湯ユニット。
【請求項3】
作業者が前記メンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類を前記制御手段に入力するための入力手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の貯湯ユニット。
【請求項4】
複数の前記配管と複数の前記補器類は、予め前記必要排水量が設定された複数のブロックの何れか1つに属するように夫々分類され、作業者が前記メンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類の属するブロックを前記制御手段に入力するための入力手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の貯湯ユニット。
【請求項5】
複数の前記配管と複数の前記補器類は、予め前記貯湯槽の残水位が設定された複数のブロックの何れか1つに属するように夫々分類され、作業者が前記メンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類の属するブロックを前記制御手段に入力するための入力手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の貯湯ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯給湯装置の貯湯ユニットに関し、特に貯湯ユニットの排水に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主熱源機と貯湯ユニットを有し、主熱源機で加熱した湯水を貯湯ユニットに設けられた貯湯槽に貯湯し、この貯湯された湯水を給湯に使用する貯湯給湯装置が広く利用されている。貯湯槽の湯水が給湯された分だけ給水通路から上水が供給されるので、貯湯ユニットには多量の湯水が常時貯留されている。
【0003】
貯湯ユニットには貯湯槽の他に、例えば主熱源機に貯湯槽の湯水を供給するためのポンプや、貯湯された湯水に上水を混合して温度調整するための混合弁等の複数の補器類と、複数の補器類を接続して湯水の通路を形成する複数の配管が配設されている。これら補器類や配管には、例えば作動不良やシール部のリークが発生する場合があり、補器類や配管を取り外して修理、交換するメンテナンスが行われる。
【0004】
補器類や配管を取り外した場合には、貯湯槽及び配管の内部の湯水が流出するので、例えば特許文献1のように、メンテナンスの際には貯湯給湯装置の内部の湯水を予め全て排水している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-132474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように貯湯給湯装置の内部の湯水を全て排水することは、給湯に使用されずに排水される多量の湯水が無駄になり、排水が完了するまでに時間がかかる。その上、点検交換後に配管及び貯湯槽に上水を満たすことにも時間がかかり、短時間でメンテナンスを完了することが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、メンテナンスの際に排水されて無駄になる湯水を少なくすると共に、メンテナンスの時間を短縮することができる貯湯ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の貯湯ユニットは、外装ケースと、前記外装ケースの内部に収容された貯湯槽と、前記貯湯槽に接続された給水系及び出湯系の複数の配管と、複数の前記配管に夫々介装された複数の補器類と、複数の前記補器類を制御する制御手段を備えた貯湯ユニットにおいて、排水流量を検知する排水流量検知手段をさらに備え、複数の前記配管又は複数の前記補器類の点検交換を行うメンテナンス時に前記貯湯槽に貯留されている湯水を排水する場合には、前記制御手段がメンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類に応じて必要排水量を決定すると共に、前記排水流量検知手段による検知流量を排水開始から積算した積算排水量が前記必要排水量になったときにその旨を作業者に報知することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、貯湯ユニットの制御手段が、メンテナンス対象に応じて決定した必要排水量が排水されたことを作業者に報知する。作業者は、必要排水量が排水されたので排水を停止して、湯水の流出が発生しない状態でメンテナンス対象の点検交換を行うことができる。従って、貯湯ユニットの内部の湯水を全て排水しなくてもメンテナンスを行うことができるので、使用されずに排水されて無駄になる湯水が少なくなり、排水に要する時間を短縮することができる。また、点検交換後には、排水した分だけ上水を供給するのでこの時間も短縮することができ、短時間でメンテナンスを完了させることができる。
【0010】
請求項2の発明の貯湯ユニットは、外装ケースと、前記外装ケースの内部に収容された貯湯槽と、前記貯湯槽に接続された給水系及び出湯系の複数の配管と、複数の前記配管に夫々介装された複数の補器類と、複数の前記補器類を制御する制御手段を備えた貯湯ユニットにおいて、前記貯湯槽の水位を検知する水位検知手段をさらに備え、複数の前記配管又は複数の前記補器類の点検交換を行うメンテナンス時に前記貯湯槽に貯留されている湯水を排水する場合には、前記制御手段がメンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類に応じて前記貯湯槽の残水位を決定すると共に、前記水位検知手段による検知水位が前記残水位になったときにその旨を作業者に報知することを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、貯湯ユニットの制御手段が、メンテナンス対象に応じて決定した貯湯槽の残水位まで排水されたことを作業者に報知する。作業者は、残水位まで排水されたので排水を停止して、湯水の流出が発生しない状態でメンテナンス対象の点検交換を行うことができる。従って、貯湯ユニットの内部の湯水を全て排水しなくてもメンテナンスを行うことができるので、使用されずに排水されて無駄になる湯水が少なくなり、排水に要する時間を短縮することができる。また、点検交換後には、排水した分だけ上水を供給するのでこの時間も短縮することができ、短時間でメンテナンスを完了させることができる。
【0012】
請求項3の発明の貯湯ユニットは、請求項1又は2の発明において、作業者が前記メンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類を前記制御手段に入力するための入力手段を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、作業者が入力手段によってメンテナンス対象を容易に入力することができ、制御手段は入力されたメンテナンス対象に応じた排水が完了したこと作業者に報知することができる。
【0013】
請求項4の発明の貯湯ユニットは、請求項1の発明において、複数の前記配管と複数の前記補器類は、予め前記必要排水量が設定された複数のブロックの何れか1つに属するように夫々分類され、作業者が前記メンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類の属するブロックを前記制御手段に入力するための入力手段を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、作業者が入力手段によって、必要排水量が設定されたメンテナンス対象が属するブロックを容易に入力することができる。従って、制御手段は入力されたブロックに応じた必要排水量の排水が完了したこと作業者に報知することができる。
【0014】
請求項5の発明の貯湯ユニットは、請求項2の発明において、複数の前記配管と複数の前記補器類は、予め前記貯湯槽の残水位が設定された複数のブロックの何れか1つに属するように夫々分類され、作業者が前記メンテナンス対象となる前記配管又は前記補器類の属するブロックを前記制御手段に入力するための入力手段を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、作業者が入力手段によって、貯湯槽の残水位が設定されたメンテナンス対象が属するブロックを容易に入力することができる。従って、制御手段は入力されたブロックに応じた貯湯槽の残水位まで排水が完了したこと作業者に報知することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の貯湯ユニットによれば、メンテナンスの際に排水されて無駄になる湯水を少なくすると共に、メンテナンスの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る貯湯給湯装置の説明図である。
図2】貯湯ユニット内部の側面図である。
図3】実施例1に係る排水制御のフローチャートである。
図4】実施例2に係る排水制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1に示すように、貯湯給湯装置1は、主熱源機2と、補助熱源機3と貯湯ユニット10を有する。主熱源機2としては、例えばヒートポンプ式熱源機が使用される。補助熱源機3は、例えば燃料の燃焼熱を利用する熱源機である。
【0018】
貯湯給湯装置1は、貯湯ユニット10の外装ケース10a内に収容された貯湯槽11に、主熱源機2で加熱した湯水を貯湯する貯湯運転を行うように構成されている。貯湯槽11に貯湯された湯水は、補助熱源機3を介して例えば給湯栓6に供給される。給湯栓6が開栓されたときに、補助熱源機3は貯湯ユニット10から湯水通路4を介して供給される湯水を再加熱して、又は再加熱せずに、給湯通路5を介して給湯栓6に供給し、矢印HWで示すように給湯する。
【0019】
貯湯槽11の下部には、主熱源機2に貯湯槽11の湯水を供給するために、ポンプ12を備えた主熱源機往き配管13が接続されている。貯湯槽11の上部には、主熱源機2で加熱された湯水を貯湯槽11に供給するための主熱源機戻り配管14が接続されている。主熱源機戻り配管14の途中には、湯水の流路を切り替える切替弁15が介装され、切替弁15において主熱源機戻り配管14から分岐された戻り分岐配管14aが、主熱源機往き配管13のポンプ12よりも上流側部分に接続されている。
【0020】
主熱源機戻り配管14の切替弁15よりも上流側部分には、主熱源機2で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ14bが配設されている。例えば主熱源機2の起動直後における戻り温度センサ14bの検知温度が低い場合に、切替弁15を貯湯槽11側から戻り分岐配管14a側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯槽11に湯水を戻さずに循環させる。貯湯槽11には、複数の貯湯温度センサ11a~11dが配設され、貯湯槽11に貯湯された湯水の温度と貯湯量を検知することができる。
【0021】
貯湯槽11の底部には、矢印CWで示す上水を供給する給水配管16と、排水栓17を備えた排水配管18と、貯湯によって貯湯槽11の圧力が所定値以上に高まったときに圧力を開放するための圧力安全弁19を備えた圧力開放配管20が接続されている。排水配管18には、排水流量を検知する排水流量検知手段として排水流量センサ18aが配設されている。主熱源機往き配管13、主熱源機戻り配管14、給水配管16は、貯湯槽11に湯水を供給する給水系の配管に相当する。
【0022】
貯湯槽11の頂部には、貯湯槽11の湯水を貯湯ユニット10外に出湯するための出湯配管21が接続されている。出湯配管21の途中に介装された混合弁22には、給水配管16の途中から分岐された給水分岐配管16aが接続されている。そして、混合弁22をバイパスして上水を供給するための高温出湯回避配管23が、給水分岐配管16aから分岐されて出湯配管21に接続されている。この高温出湯回避配管23には、通常は閉止され、高温の出湯を防ぐために開弁されて出湯配管21に上水を供給する高温出湯回避電磁弁24が介装されている。出湯配管21、給水分岐配管16a、高温出湯回避配管23が、貯湯ユニット10から出湯するための出湯系の配管に相当する。
【0023】
給水配管16には、給水配管16から供給される上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ16bと、上水の給水圧を所定値以下に減圧する減圧弁16cと、給湯栓6が開栓されたときに上水の供給圧の低下を検知する給水圧センサ16dが配設されている。出湯配管21には、貯湯ユニット10からの出湯流量を検知する出湯流量センサ21aと、貯湯槽11から出湯される湯水の温度(貯湯槽出湯温度)を検知する貯湯槽出湯温度センサ21bと、貯湯ユニット10からの出湯温度を検知する出湯温度センサ21cが配設されている。
【0024】
貯湯ユニット10は、貯湯運転を制御する制御手段として制御部25を有する。制御部25は、ポンプ12を駆動して貯湯槽11と主熱源機2の間で湯水を循環させ、主熱源機2で加熱した湯水を貯湯槽11の上部から貯湯する。また、制御部25は、貯湯槽出湯温度と給水温度と出湯流量に基づいて、出湯温度センサ21cで検知される温度が例えば予め設定された給湯設定温度又は所定温度になるように、混合弁22における貯湯された湯水と上水との混合比を調整して出湯する。所定温度は、貯湯ユニット10から供給される湯水を補助熱源機3が給湯設定温度に加熱して給湯できるように予め設定されている。貯湯、給湯のためのポンプ12、混合弁22等の弁装置及び出湯流量センサ21a等のセンサ類が、補器類に相当する。
【0025】
制御部25には、例えば給湯設定温度をユーザが設定するための操作端末26が接続されている。この操作端末26は補助熱源機3にも接続され、操作端末26で設定された給湯設定温度の湯水を給湯栓6に供給することができるように構成されている。
【0026】
制御部25は、貯湯ユニット10内の排水が可能な排水モードにするための排水モードスイッチ25aと、例えば数字を表示する表示部25bと、表示部25bの表示を操作の度に変更入力する入力スイッチ25cと、音声出力部25dを備えている。また、制御部25は、メンテナンスの際に貯湯ユニット10を操作するためのメンテナンス用端末27を制御部25に接続するための接続ポート25eを備えている。
【0027】
メンテナンス用端末27は、例えばタブレット型PCであり、貯湯給湯装置1のメンテナンス用プログラムが実行されている。排水モードスイッチ25aの操作又はメンテナンス用端末27の操作によって排水モードにすると、排水栓17が開栓されたときに滞留せずに排水可能な状態となるように、切替弁15、混合弁22等の補器類が駆動される。
【0028】
図2は、貯湯ユニット10の外装ケース10aの内部の側面図である。上段側から順に圧力安全弁19、混合弁22が配設され、その下側には高温出湯回避電磁弁24が配設されている。そして高温出湯回避電磁弁24の下側には、減圧弁16cと給水圧センサ16dが配設され、最も下側に排水栓17が配設されている。
【0029】
給水系及び出湯系の複数の配管、複数の補器類は、高さ方向に区画された例えば#1~#4の4つのブロックのうちの何れか1つのブロックに属するように夫々分類されている。配管が複数ブロックにわたって延びている場合には、その複数ブロックのうちの高さ位置が最も低いブロックに属するように分類されている。そして、複数のブロックには、ブロックの下限位置に対応する必要排水量、残水位が夫々設定されている。
【0030】
例えば配管のリーク、補器類の作動不良が生じた場合には、この不具合が生じた配管、補器類を取り外して点検交換を行う。取り外す配管、補器類の高さ位置以下まで排水により貯湯槽11の水位を下げることによって、配管、補器類を取り外しても貯留されている湯水の流出を防ぐことができる。以下では、無駄になる湯水を少なくするメンテナンスの際の排水について、実施例に基づいて説明する。
【実施例0031】
メンテナンスを行う作業者は、図示外の給水栓を閉栓し、入力手段としてメンテナンス用端末27を制御部25の接続ポート25eに接続する。そして作業者は、メンテナンス用端末27を操作することによって貯湯ユニット10を排水モードにした後、メンテナンス用端末27からメンテナンス対象として例えば混合弁22を選択(入力)し、排水栓17を開栓して排水を開始する。このときの制御部25による排水制御について図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0032】
S1において、排水モードへ移行してS2に進む。そしてS2において、メンテナンス対象を受信してS3に進む。メンテナンス対象は、給水系及び出湯系の複数の配管と、これら複数の配管に介装された混合弁22等の複数の補器類の中から選択される。ここでは、例えば混合弁22が選択されたものとする。
【0033】
S3において、貯湯ユニット10の現在の貯留状態を確認し、受信したメンテナンス対象を取り外しても湯水が流出しない貯留量まで排水するために、メンテナンス対象に対応する必要排水量を決定してS4に進む。上水の供給が停止されているので、例えば給水圧センサ16dが検知する貯湯槽11の水頭圧によって、現在の貯湯ユニット10の貯留状態(貯湯槽11の水位)を確認することができる。給水圧センサ16dが検知する水頭圧は、予め実験によって貯湯槽11の水位に対応付けされている。また、予め実験によって貯湯槽11の水位に貯湯ユニット10の貯留量が対応付けされている。
【0034】
貯湯槽11に対する複数の配管及び補器類の高さ位置は夫々予め決まっており、メンテナンス対象の高さ位置によって、点検交換で湯水の流出防止に必要な排水後の貯湯槽11の水位が決まる。そして貯湯ユニット10の貯留量の大部分を貯留する貯湯槽11の容量が決まっているので、排水後の貯湯槽11の水位に対応する必要排水量を決定することができる。例えば混合弁22に対応する必要排水量として、この混合弁22の高さ位置h1まで排水して水位を下げるための必要排水量が決定される(図2参照)。
【0035】
メンテナンス対象に対応する必要排水量は、メンテナンス対象が属するブロックに設定された必要排水量とすることもできる。例えば、混合弁22が#1ブロックに属するので、#1ブロックの下限位置h2まで水位を下げるための必要排水量が決定される(図2参照)。作業者がメンテナンス用端末27から、メンテナンス対象が属するブロックの番号を入力し、このブロックの下限位置に対応する必要排水量を決定するようにしてもよい。
【0036】
S4において、作業者が排水栓17を開栓して排水が開始され、排水流量センサ18aによって排水流量を検知して排水開始からの排水量の積算を開始し、S5に進む。そしてS5において、排水開始からの積算排水量がS3で決定した必要排水量以上となったか否か判定する。必要排水量の排水が完了していないためS5の判定がNoの場合はS4に戻る。必要排水量の排水が完了してS5の判定がYesの場合はS6に進む。
【0037】
S6において、排水開始からの積算排水量が必要排水量に到達したことを作業者に報知してS7に進む。例えばメンテナンス用端末27の表示、音声出力によって必要排水量に到達したことを報知して、作業者に排水栓17の閉栓を促す。制御部25の音声出力部25dから音声によって必要排水量に到達したことを報知して、作業者に排水栓17の閉栓を促してもよい。
【0038】
S7において、排水停止を検知したか否か判定する。例えば排水流量の検知が継続している排水継続中のためS7の判定がNoの場合にS6に戻り、排水が停止され排水流量が検知されなくなったことによってS7の判定がYesの場合には、排水制御を終了する。
【0039】
以上のように、貯湯ユニット10の制御部25は、メンテナンス対象に応じて決定した必要排水量の排水が完了すると、その旨を作業者に報知して排水を停止するように促すので、作業者はメンテナンスに必要な排水量だけ排水することができる。それ故、排水されて無駄になる湯水が少なくなり、メンテナンス作業時間が短縮される。メンテナンス対象が属するブロックに応じて必要排水量を決定した場合も同様に、排水されて無駄になる湯水が少なくなり、メンテナンス作業時間が短縮される。
【0040】
メンテナンス用端末27が接続されていなくても、複数の配管と複数の補器類に例えば番号を夫々付与しておき、作業者は入力手段として入力スイッチ25cを操作することによって、メンテナンス対象の番号を入力することができる。また、作業者は入力スイッチ25cの操作によって、メンテナンス対象が属するブロックの番号を入力するようにしてもよい。
【実施例0041】
実施例1の排水制御を部分的に変更した例について説明する。
メンテナンスを行う作業者は、図示外の給水栓を閉栓し、入力手段としてメンテナンス用端末27を制御部25の接続ポート25eに接続する。そして作業者は、メンテナンス用端末27を操作することによって貯湯ユニット10を排水モードにした後、メンテナンス用端末27からメンテナンス対象として例えば混合弁22を選択(入力)し、排水栓17を開栓して排水を開始する。このときの制御部25による排水制御について図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
S1,S2は実施例1と共通であり、S1において、排水モードへ移行してS2に進む。そしてS2において、メンテナンス対象を受信してS13に進む。ここでは、例えば混合弁22が選択されたものとする。
【0043】
S13において、貯湯ユニット10の現在の貯留状態を確認し、受信したメンテナンス対象を取り外しても湯水が流出しない貯留量まで排水するために、メンテナンス対象に対応する排水後の貯湯槽11の残水位を決定してS14に進む。上水の供給が停止されているので、例えば給水圧センサ16dが検知する貯湯槽11の水頭圧によって、現在の貯留状態(貯湯槽11の水位)を確認することができる。給水圧センサ16dが検知する水頭圧は、予め実験によって貯湯槽11の水位に対応付けされており、排水時に貯湯槽11の水位を検知する水位検知手段になる。
【0044】
貯湯槽11に対する複数の配管及び補器類の高さ位置は夫々予め決まっており、メンテナンス対象の高さ位置によって、点検交換で湯水の流出防止に必要な排水後の貯湯槽11の水位が決まる。従って、排水後の貯湯槽11の残水位を決定することができる。例えば混合弁22の高さ位置h1に対応する残水位が決定される(図2参照)。
【0045】
メンテナンス対象に対応する残水位は、メンテナンス対象が属するブロックに設定された残水位とすることもできる。例えば、混合弁22が#1ブロックに属するので、#1ブロックの下限位置h2に対応する残水位が決定される(図2参照)。作業者がメンテナンス用端末27から、メンテナンス対象が属するブロックの番号を入力し、このブロックの下限位置に対応する残水位を決定するようにしてもよい。
【0046】
作業者が排水栓17を開栓して排水が開始された後、S14において給水圧センサ16dによって貯湯槽11の水位を検知して、S15に進む。そしてS15において、貯湯槽11の水位がS13で決定した残水位以下となったか否か判定する。貯湯槽11の水位が残水位よりも上であるためS15の判定がNoの場合はS14に戻る。貯湯槽11の水位が残水位以下になってS15の判定がYesの場合はS16に進む。
【0047】
S16において、貯湯槽11の水位が、決定した残水位に到達したことを作業者に報知してS17に進む。例えばメンテナンス用端末27から表示、音声によって、決定した残水位に到達したことを報知して、作業者に排水栓17の閉栓を促す。制御部25の音声出力部25dから音声によって、決定した残水位に到達したことを報知して、作業者に排水栓17の閉栓を促してもよい。
【0048】
S17において、排水停止を検知したか否か判定する。例えば排水流量の検知が継続している排水継続中のためS17の判定がNoの場合にS6に戻り、排水が停止され排水流量が検知されなくなったことによってS17の判定がYesの場合には、排水制御を終了する。
【0049】
以上のように、制御部25は、メンテナンス対象に応じて決定した貯湯槽11の残水位以下まで排水が完了すると、その旨を作業者に報知して排水を停止するように促すので、作業者はメンテナンスに必要な水位まで排水することができる。それ故、排水されて無駄になる湯水が少なくなり、メンテナンス時間が短縮される。メンテナンス対象が属するブロックに応じて貯湯槽11の残水位を決定した場合も同様に、排水されて無駄になる湯水が少なくなり、メンテナンス作業時間が短縮される。また、排水量を検知する必要がないので、排水流量センサ18aを省略して貯湯ユニット10の製造コストを低減することも可能になる。
【0050】
メンテナンス用端末27が接続されていなくても、複数の配管と複数の補器類に例えば番号を夫々付与しておき、作業者は入力手段として入力スイッチ25cを操作することによって、メンテナンス対象の番号を入力することができる。また、作業者は入力スイッチ25cの操作によって、メンテナンス対象が属するブロックの番号を入力するようにしてもよい。
【0051】
上記貯湯ユニット10の作用、効果について説明する。
実施例1のように、貯湯ユニット10の制御部25は、メンテナンス対象に応じて決定した必要排水量が排水されたことを作業者に報知する。作業者は、必要排水量が排水されたので排水を停止して、湯水の流出が発生しない状態でメンテナンス対象の点検交換を行うことができる。従って、貯湯ユニット10内部の湯水を全て排水しなくてもメンテナンスを行うことができるので、使用されずに排水されて無駄になる湯水が少なくなり、排水に要する時間を短縮することができる。また、メンテナンス対象の点検交換後には、排水した分だけ上水を供給するのでこの時間も短縮することができ、メンテナンス時間を短縮することができる。
【0052】
実施例2のように、貯湯ユニット10の制御部25は、メンテナンス対象に応じて決定した貯湯槽11の残水位まで排水されたことを作業者に報知する。作業者は、残水位まで排水されたので排水を停止して、湯水の流出が発生しない状態でメンテナンス対象の点検交換を行うことができる。従って、貯湯ユニット10の内部の湯水を全て排水しなくてもメンテナンスを行うことができるので、使用されずに排水されて無駄になる湯水が少なくなり、排水に要する時間を短縮することができる。また、点検交換後には、排水した分だけ上水を供給するのでこの時間も短縮することができ、メンテナンス時間を短縮することができる。
【0053】
作業者は、入力手段であるメンテナンス用端末27又は入力スイッチ25cによってメンテナンス対象を容易に入力することができ、制御部25は、入力されたメンテナンス対象に応じた排水が完了したこと作業者に報知することができる。
【0054】
複数の配管と複数の補器類が複数のブロックの何れか1つに属するように夫々分類されている場合に、作業者が入力手段であるメンテナンス用端末27又は入力スイッチ25cによって、メンテナンス対象が属するブロックを容易に入力することができる。従って、制御部25は、入力されたブロックに対応する必要排水量、又は貯湯槽11の残水位を決定して、必要排水量の排水又は残水位までの排水が完了したこと作業者に報知することができる。
【0055】
貯湯給湯装置1がインターネットを介して操作可能に構成されている場合には、メンテナンス用端末27がインターネットを介して操作可能なように制御部25に接続されてもよい。また、必要排水量の排水を行う場合には、予め実験によって定められた排水量と排水時間の関係(例えば単位時間当たりの排水量)に基づいて、必要排水量の排水を排水時間によって制御するように構成することもできる。貯湯槽11の水位を検知する水位検知手段として、貯湯槽11に配設された複数の貯湯温度センサ11a~11dを用いることもできる。
【0056】
本発明は、主熱源機と、補助熱源機が内蔵された貯湯ユニットを有し、貯湯槽に貯湯された湯水又は補助熱源機で加熱された湯水を温度調整して給湯栓に供給する貯湯給湯装置にも適用できる。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0057】
1 :貯湯給湯装置
2 :主熱源機
3 :補助熱源機
6 :給湯栓
10 :貯湯ユニット
10a:外装ケース
11 :貯湯槽
12 :ポンプ
13 :熱源機往き配管
14 :熱源機戻り配管
15 :切替弁
16 :給水配管
16a:給水分岐配管
16d:給水圧センサ(水位検知手段)
17 :排水栓
18 :排水配管
18a:排水流量センサ(排水流量検知手段)
19 :圧力安全弁
20 :圧力安全配管
21 :出湯配管
22 :混合弁
23 :高温出湯回避配管
24 :高温出湯回避電磁弁
25 :制御部(制御手段)
25a:排水モードスイッチ
25b:表示部
25c:入力スイッチ(入力手段)
25d:音声出力部
25e:接続ポート
26 :操作端末
27 :メンテナンス用端末(入力手段)
図1
図2
図3
図4