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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082037
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】容器構成部材及び食品容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/00 20060101AFI20220525BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220525BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220525BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20220525BHJP
   B29C 51/02 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
B65D1/00 111
B65D65/40 D ZAB
B32B27/00 H
B32B27/36
B29C51/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193339
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】596151906
【氏名又は名称】東名化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】松島 泰成
【テーマコード(参考)】
3E033
3E086
4F100
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA03
3E033DA02
3E033DB01
3E033FA04
3E086AD04
3E086AD06
3E086BA15
3E086BA29
3E086BA35
3E086BB21
3E086BB71
3E086BB85
3E086CA01
3E086CA11
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100BA03
4F100GB16
4F100GB23
4F100JA06A
4F100JA06B
4F100JA06C
4F100JA12A
4F100JA12B
4F100JA12C
4F100JC00B
4F100JK10
4F100JL16B
4F100YY00B
4F208AA24
4F208AA50
4F208AC03
4F208AH55
4F208AH57
4F208MA01
4F208MA02
4F208MA05
4F208MB01
4F208MG04
4F208MG11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】環境への負荷を軽減でき、且つ、耐衝撃性を向上することができる容器構成部材を提供する。
【解決手段】容器構成部材10は、互いに嵌合することにより食品容器を構成する一対の容器構成部材の一方の容器構成部材であって、外層11、中間層12及び内層13がこの順に積層されたシートSにより成形され、外層11、中間層12及び内層13は、いずれも非晶性PETを含んで構成され、中間層12に含まれる非晶性PETは、PET容器の成形時に生じた端材及び/又は廃材が再生された再生PETを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合することにより食品容器を構成する一対の容器構成部材の一方の容器構成部材であって、
外層、中間層及び内層がこの順に積層されたシートにより成形され、
前記外層、前記中間層及び前記内層は、いずれも非晶性PETを含んで構成され、
前記中間層に含まれる非晶性PETは、PET容器の成形時に生じた端材及び/又は廃材が再生された再生PETを含む、容器構成部材。
【請求項2】
前記PET容器は、PETボトルであり、
前記端材及び/又は前記廃材は、前記PETボトルのプリフォームの成形時に生じたものである、請求項1に記載の容器構成部材。
【請求項3】
前記端材及び/又は前記廃材は、前記プリフォームの口部の成形時に生じたものである、請求項2に記載の容器構成部材。
【請求項4】
前記中間層に含まれる非晶性PETは、バージンPETを更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の容器構成部材。
【請求項5】
前記外層及び前記内層に含まれる非晶性PETは、バイオマス由来のバージンPETで構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の容器構成部材。
【請求項6】
前記中間層に含まれる非晶性PETに占める前記再生PETの割合は、5~95質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の容器構成部材。
【請求項7】
前記中間層に含まれる非晶性PETのIV値は、0.70~0.75である、請求項1~6のいずれか1項に記載の容器構成部材。
【請求項8】
前記外層及び前記内層に含まれる非晶性PETのIV値は、0.75~0.80である、請求項1~7のいずれか1項に記載の容器構成部材。
【請求項9】
前記中間層の厚みは、前記シートの全厚の80%~95%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の容器構成部材。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の容器構成部材と、
前記一対の容器構成部材の他方の容器構成部材と、
を備える、食品容器。
【請求項11】
前記他方の容器構成部材も前記シートにより成形される、請求項10に記載の食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器構成部材及び食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結晶性PET(ポリエチレンテレフタレート、以下同様)を含む中間層と、該中間層の一側及び他側にそれぞれ積層された、非晶性PETで構成される2つの表面層とを有するシートで成形された容器が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-154369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の容器では、環境への負荷を軽減でき、且つ、耐衝撃性を向上することに関して改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、環境への負荷を軽減でき、且つ、耐衝撃性を向上することができる容器構成部材及び該容器構成部材を備える食品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに嵌合することにより食品容器を構成する一対の容器構成部材の一方の容器構成部材であって、
外層、中間層及び内層がこの順に積層されたシートにより成形され、
前記外層、前記中間層及び前記内層は、いずれも非晶性PETを含んで構成され、
前記中間層に含まれる非晶性PETは、PET容器の成形時に生じた端材及び/又は廃材が再生された再生PETを含む、容器構成部材を提供する。
前記PET容器は、PETボトルであり、前記端材及び/又は前記廃材は、前記PETボトルのプリフォームの成形時に生じたものであってもよい。
前記端材及び/又は前記廃材は、前記プリフォームの口部の成形時に生じたものであってもよい。
前記中間層に含まれる非晶性PETは、バージンPETを更に含んでいてもよい。
前記外層及び前記内層に含まれる非晶性PETは、バイオマス由来のバージンPETで構成されてもよい。
前記中間層に含まれる非晶性PETに占める前記再生PETの割合は、5~95質量%であってもよい。
前記中間層に含まれる非晶性PETのIV値は、前記外層及び前記内層に含まれる非晶性PETのIV値よりも小さくてもよい。
前記中間層に含まれる非晶性PETのIV値は、0.70~0.75であってもよい。
前記外層及び前記内層に含まれる非晶性PETのIV値は、0.75~0.80であってもよい。
前記中間層の厚みは、前記シートの全厚の80%~95%であってもよい。
本発明は、前記容器構成部材と、
前記一対の容器構成部材の他方の容器構成部材と、
を備える、食品容器も提供する。
前記食品容器において、他方の容器構成部材もシートにより成形されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態に係る容器構成部材の構成を示す図である。
図2】押出成型機及び引取装置の構成を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る容器構成部材の構成を示す図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る食品容器の構成を示す図である。
図5】本発明の変形例1に係る容器構成部材の構成を示す図である。
図6】本発明の変形例2に係る容器構成部材の構成を示す図である。
図7】本発明の変形例3に係る食品容器の構成を示す図である。
図8】本発明の変形例4に係る食品容器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。本明細書において、本発明に係る容器構成部材及び食品容器の各々が複数の効果を奏することが記載される場合でも、本発明に係る容器構成部材及び食品容器の各々は、少なくとも1つの効果を奏すればよい。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0009】
また、以下の順序で説明を行う。
1.導入
2.本発明の第1実施形態に係る容器構成部材
3.本発明の第2実施形態に係る容器構成部材
4.本発明の第3実施形態に係る食品容器
5.本発明の変形例
【0010】
1.導入
従来、PETを含んで構成される層が複数積層された多層構造(例えば3層構造)のシートにより成形された容器(PET容器)が知られている。
このような容器の中で特に食品容器では、内容物である食品に触れる内層及び人体に触れる外層には、衛生性が要求される度合いが高いため、バージンPET、特にバイオマス由来のバージンPETを用いることが望ましい。
【0011】
一方、この食品容器においては、内容物である食品及び人体に触れない中間層には、衛生性が要求される度合いが内層及び外層ほど高くないため、リサイクルPET(再生PET)を用いることができる。リサイクルPETを用いることは、低コスト化や環境負荷低減につながる。特に、リサイクルPETが用いられる中間層が厚いほど、容器全体に占めるリサイクルPETの割合が高くなるので、さらなる低コスト化や環境負荷低減につながる。
【0012】
リサイクルPETには、使用済みのPET容器から回収されたPET(以下「回収PET」と呼ぶ)が再生されたものと、PET容器の成形時に生じた端材及び/又は廃材(以下「PET端材・廃材」と呼ぶ)が再生されたものとがある。リサイクルPETは、通常、粉砕され、洗浄、脱水された後、必要に応じてリペレット化されて、再生される。回収PETの場合は、衛生性が要求される度合いが比較的高いので、リペレット化されて再生される。回収PETをリペレット化すると熱履歴(熱劣化や加水分解)によりIV値(固有粘度)が低下し、耐衝撃性が低下する。一方、PET端材・廃材は、PET容器の成形時に生じたものであり回収PETに比べて衛生性が要求される度合いが低いので、リペレット化せずに再生することが可能である。
【0013】
すなわち、回収PETを再利用する場合には、リペレット化において、COが発生し、且つ、熱履歴(熱劣化や加水分解)により強度(耐衝撃性)が低下する。これに対し、PET端材・廃材を再利用する場合には、リペレット化しないので、当該COが発生せず、且つ、強度(耐衝撃性)の低下が抑制される。
よって、中間層にリサイクルPETを用いる場合には、回収PETを用いるよりもPET端材・廃材を用いた方が環境への負荷を軽減でき、且つ、耐衝撃性を向上することが可能である。
【0014】
ここで、通常、リサイクルPETは、再生過程における熱履歴の影響により、バージンPETに比べて強度(耐衝撃性)が劣る。この場合に、中間層に耐衝撃性が比較的低い結晶性PET(C-PET)を用いるよりも耐衝撃性が比較的高い非晶性PET(A-PET)を用いた方が、食品容器の耐衝撃性を向上することができる。特に、外層及び内層に比べて中間層が厚いほど、中間層に非晶性PETを用いることが耐衝撃性向上に有効である。
【0015】
そこで、発明者は、PET端材・廃材が再生された再生PETを含む非晶性PETを中間層に用いることにより、環境への負荷を軽減でき、且つ、耐衝撃性を向上することができる食品容器を実現できることを見出した。
【0016】
以下、本発明に係る容器構成部材及び食品容器の実施形態について、詳細に説明する。
【0017】
2.本発明の第1実施形態に係る容器構成部材
[第1実施形態に係る容器構成部材の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る容器構成部材10を概略的に示す斜視図である。
容器構成部材10は、図1に示すように、互いに嵌合することにより食品容器1(図4参照)を構成する一対の容器構成部材10、20(図3参照)の一方の容器構成部材である。容器構成部材10(一方の容器構成部材)は例えば食品容器1の容器本体であり、他方の容器構成部材20は例えば食品容器1の蓋である。食品容器1は、例えば飲料容器、冷菓容器等である。なお、一対の容器構成部材10、20のうち容器構成部材20を一方の容器構成部材と呼び、容器構成部材10を他方の容器構成部材と呼んでもよい。
【0018】
容器構成部材10(例えば容器本体)は、一例として、容器構成部材20(例えば蓋)の開口端部と嵌合する開口端部を有する有底の筒状部材である。容器構成部材20は、軸方向の位置によって径が異なっていてもよいし、軸方向の全ての位置で径が同じであってもよい。容器構成部材10、20は、一例として、いずれも透明である。
【0019】
容器構成部材10は、図1に示すように、外層11、中間層12及び内層13がこの順に積層されたシートSにより成形されている。
【0020】
シートSは、例えば押出成型により成型されている。より詳細には、シートSは、押出成型機による共押出しにより外層11、中間層12及び内層13がこの順に積層された状態に成型される。
【0021】
容器構成部材10は、例えばシートSをシート成型(例えば真空成型、圧空成型、プレス成型等)することにより成型されている。このシート成型によって、シートSに複数個の容器構成部材10が一連一体で同時に成型される。
【0022】
(外層)
外層11は、非晶性PET(A-PET)を含んで構成されている。外層11に含まれる非晶性PETは、例えばバージンPETで構成される。当該バージンPETは、バイオマス由来のバージンPETであることが好ましい。当該バージンPET(例えばバイオマス由来のバージンPET)のIV値(固有粘度)は、例えば0.75~0.80である。外層11の厚さは、例えばシートSの全厚の2.5~10%である。
【0023】
(内層)
内層13は、非晶性PET(A-PET)を含んで構成されている。内層13に含まれる非晶性PETは、例えばバージンPETで構成される。当該バージンPETは、バイオマス由来のバージンPETであることが好ましい。当該バージンPET(例えばバイオマス由来のバージンPET)のIV値(固有粘度)は、例えば0.75~0.80である。内層13の厚さは、例えばシートSの全厚の2.5~10%である。ここでは、内層13の厚さは、外層11の厚さと同一となっているが、異なっていてもよい。ここでは、内層13のIV値(固有粘度)は、外層11のIV値と同一となっているが、異なっていてもよい。
【0024】
(中間層)
中間層12は、非晶性PET(A-PET)を含んで構成されている。中間層12は、例えば非晶性PETのみで構成されていてもよい。中間層12の厚さは、例えばシートSの全厚の80~95%であることが好ましく、85%~93%であることがより好ましく、89%~91%であることがより一層好ましい。
【0025】
中間層12に含まれる非晶性PETは、一例として、2種類の第1再生PETを含んで構成される。
【0026】
各種第1再生PETは、PET容器の成形時に生じた端材及び/又は廃材(以下「PET端材・廃材」とも呼ぶ)が少なくとも1回再生されたものである。当該PET容器は、例えばPETボトルである。
【0027】
当該端材は、一例として、PETボトルの成形時、詳しくはPETボトルのプリフォームの成形時(例えばプリフォームの口部及び/又は該口部以外の部分の成形時)に生じた端材である。PETボトルのプリフォームが例えば射出成型により成型される場合には、当該端材は、例えば金型に樹脂を注入したときに該金型のランナー、スプール、ゲート等で生じた端材である。PETボトルのプリフォームが例えば圧縮成型により成型される場合には、当該端材は、例えば雌型に樹脂材料を投入して雄型を閉じる際に、パーティング面から溢れ出した余分な樹脂がバリとなったもの等である。
【0028】
当該廃材は、一例として、PETボトルのプリフォームの成形不良品(例えば口部に成形不良があるプリフォームの成形不良品)、PET容器(例えばPETボトル)の成形不良品(例えば検査不合格品)等である。
【0029】
2種類の第1再生PETのうち1種類目の第1再生PETは、再生回数が1回の第1再生PETである。当該第1再生PETの基となるPET端材・廃材は、例えばPETボトルのプリフォームを成型する他社(例えばPETボトル製造メーカーやその下請け会社(例えばプリフォームを成形する会社)、以下「PETボトル製造メーカー等」と呼ぶ)から購入することにより調達することができる。特に、PETボトルのプリフォーム成形時に生じるPET端材・廃材の量が多くなるPETボトル製造メーカー等では、リターン材として使用する分を確保し、それ以外の余剰のPET端材・廃材を処分する必要があるため、これを比較的安価に購入することが可能である。
【0030】
2種類の第1再生PETのうち2種類目の第1再生PETは、再生回数が複数回の第1再生PETである。当該第1再生PETの基となるPET端材・廃材は、シートSの押出成型時及び/又は容器構成部材10のシート成型時に生じた端材及び/又は廃材であるリターン材から回収されたものである。
【0031】
各第1再生PETのIV値(固有粘度)は、例えば0.65~0.75である。第1再生PETのIV値は、再生回数が多いものほど低くなる。再生回数が1回の第1再生PET(他社からの購入品)のIV値は、例えば0.68~0.73であることが好ましく、例えば0.69~0.72であることがより好ましい。
【0032】
中間層12に含まれる非晶性PETは、一例として、バージンPETを更に含む。当該バージンPETのIV値(固有粘度)は、例えば0.75~0.80である。
【0033】
中間層12に含まれる非晶性PETは、一例として、第2再生PETを含む。第2再生PETは、シートSの押出成型時及び/又は容器構成部材10のシート成型時に生じた端材及び/又は廃材であるリターン材から回収されたバージンPETが再生された再生PETである。
【0034】
総合すると、中間層12に含まれる非晶性PETは、再生回数が1回の第1再生PETと、再生回数が複数回の第1再生PETと、バージンPETと、第2再生PETとを含むことが好ましい。
【0035】
中間層12に含まれる非晶性PETのIV値は、一例として、外層11及び内層13に含まれる非晶性PETのIV値よりも僅かに小さい。具体的には、中間層12に含まれる非晶性PETのIV値(固有粘度)は、例えば0.70~0.75であることが好ましい。
このIV値を達成するために、中間層12に占める各材料の配分は、以下のとおりである。
中間層12に含まれる非晶性PET(100質量%)に占めるバージンPETの割合は、例えば5~95質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましく、15~30質量%であることがより一層好ましく、20~25質量%であることがさらにより一層好ましい。
中間層12に含まれる非晶性PET(100質量%)に占める全再生PET(再生回数が1回の第1再生PET、再生回数が複数回の第2再生PET及び第2再生PETを全て併せた再生PET)の割合は、例えば5~95質量%であることが好ましく、30~90質量%であることがより好ましく、70~85質量%であることがより一層好ましく、75~80質量%であることがさらにより一層好ましい。
【0036】
全再生PET(100質量%)に占める、再生回数が1回の第1再生PETの割合は、例えば25~31質量%であることが好ましく、26~30質量%であることがより好ましく、27~29質量%であることがより一層好ましい。
全再生PET(100質量%)に占める、再生回数が複数回の第1再生PETの割合は、例えば10~15質量%であることが好ましく、11~14質量%であることがより好ましい。
全再生PET(100質量%)に占める第2再生PETの割合は、例えば35~40質量%であることが好ましく、36~39質量%であることがより好ましい。
【0037】
[第1実施形態に係る容器構成部材の製造方法]
以下、本実施形態の容器構成部材10の製造方法について、説明する。
先ず、図2に断面図で示す押出成型機100にシートSの材料を投入する。この押出成型機100は、共押出し多層Tダイ法を実施するものであり、一例として、3つのシリンダー110と、Tダイ120とを備える。具体的には、外層11、中間層12及び内層13の材料が互いに異なる3つのシリンダー100への投入口130から投入される。この際、外層11及び内層13の材料としてバージンPET(例えばバイオマス由来のバージンPET)が投入される。中間層12の材料として、PET端材・廃材の購入品(再生回数が1回の第1再生PETの材料)と、リターン材から回収されたPET端材・廃材(再生回数が複数回の第1再生PET及び第2再生PETの材料)と、バージンPETとが所定の配合(例えば下記実施例参照)で投入される。なお、PET端材・廃材は、必要に応じて例えば2~8mmの大きさの粗い粒状体に粉砕され、洗浄、脱水された後、押出成型機100に投入される。
各シリンダー110内に投入された材料は、加熱された状態で、回転するスクリュー140により送られながら練られ、Tダイ120の吐出口120a付近で合流して該吐出口120aから共に押し出される。このようにして、押出成型機から3層構造のシートSが押し出される。
【0038】
次に、押出成型機100から押し出されたシートSをストレート状のまま冷却装置200で搬送しながら冷却した後、引き渡し装置300を介して、シート成型機に供給する。
【0039】
シート成型機は、供給されたシートSに対してシート成型を行うことにより、一枚のシートSに複数(例えば64個)の容器構成部材10を一連一体に格子状(例えば8×8)の配置で成型する。その後、シートSから複数の容器構成部材10が抜かれて個々の容器構成部材10が得られる。
(1)シート成型工程
【0040】
(実施例)
上記製造方法を以下の条件(1)~(4)を満たすように実施して容器構成部材としての容器本体を製造した。
(1)外層及び内層の各々の厚み:シートの全厚の5%、中間層の厚み:シートの全厚の90%
(2)外層及び内層に含まれるバージPET(例えばバイオマス由来のバージンPET)のIV値:0.80
(3)中間層に占めるバージンPETの割合:22質量%
(4)中間層に占める全再生PETの割合:78質量%(再生回数が1回の第1再生PETの割合:28質量%、再生回数が複数回の第1再生PETの割合:12.5質量%、第2再生PETの割合:37.5質量%)
上記条件(1)~(4)を満たすように上記製造方法を実施した結果、中間層に含まれる非晶性PETのIV値(固有粘度)は、例えば0.74となり、外層、中間層及び内層が実用上十分な耐衝撃性を有する容器本体を得ることができた。
【0041】
[第1実施形態に係る容器構成部材の効果]
第1実施形態に係る容器構成部材10は、互いに嵌合することにより食品容器1を構成する一対の容器構成部材10、20の一方の容器構成部材であって、外層11、中間層12及び内層13がこの順に積層されたシートSにより成形され、外層11、中間層12及び内層13は、いずれも非晶性PETを含んで構成され、中間層12に含まれる非晶性PETは、PET容器の成形時に生じた端材及び/又は廃材が再生された再生PETを含む、容器構成部材である。
この場合、外層11、中間層12及び内層13が非晶性PETを含んで構成されるので、少なくとも1つの層が結晶性PETで構成される場合に比べて耐衝撃性を向上できる。また、中間層12に含まれる非晶性PETが再生PETを含むので、環境への負荷が軽減される。
結果として、第1実施形態に係る容器構成部材10は、環境への負荷を軽減でき、且つ、耐衝撃性を向上することができる容器構成部材を提供することができる。
【0042】
PET容器はPETボトルであり、端材及び/又は廃材は、PETボトルのプリフォームの成形時に生じたものであることが好ましい。この場合、通常PETボトルのプリフォームの成形は、衛生的な環境下で行われるため、該環境下で生じた端材や廃材も衛生的である。これにより、衛生的な端材や廃材を再生PETの材料とすることができ、リペレット化せずに再利用することができる。よって、リペレット化しない分だけ熱履歴が少なくて済むため、COの排出量を低減でき、且つ、耐衝撃性の低下を抑制できる。
【0043】
端材及び/又は廃材がプリフォームの口部の成形時に生じたものである場合には、衛生的な端材や廃材を安定的に再利用に供することができるので、環境への負荷を安定的且つ継続的に軽減できる。
【0044】
中間層12に含まれる非晶性PETが、バージンPETを更に含む場合には、中間層12のIV値を向上させることができ、ひいては耐衝撃性をより向上させることができる。
【0045】
外層11及び内層13に含まれる非晶性PETがバージンPET(例えばバイオマス由来のバージンPET)である場合には、食品容器1の衛生性、光沢性等に優れる。
【0046】
中間層12に含まれる非晶性PETに占める再生PETの割合が5~95質量%である場合には、環境への負荷の軽減度を確保しつつ、耐衝撃性の低下を抑制できる。
【0047】
中間層12に含まれる非晶性PETのIV値は、好ましくは0.70~0.75である。これにより、耐衝撃性を実用に耐え得る程度に確保することができる。
【0048】
外層11及び内層13に含まれる非晶性PETのIV値は、好ましくは0.75~0.80である。これにより、耐衝撃性をさらに向上できる。
【0049】
中間層12の厚みは、好ましくはシートSの全厚の80%~95%である。これにより、環境への負荷の軽減度を十分に確保できる。なお、シートSの全厚に占める中間層12の厚さの割合が多いほど中間層12により高い耐衝撃性が求められるため、中間層12を非晶性PETで構成することが有効である。
【0050】
3.本発明の第2実施形態に係る容器構成部材
図3は、本発明の第2実施形態に係る容器構成部材20を概略的に示す斜視図である。
第2実施形態に係る容器構成部材20は、図3に示すように、第1実施形態に係る容器構成部材10と嵌合することにより食品容器1を構成する他方の容器構成部材(例えば蓋)である。容器構成部材20は、中央部に、ストローを差し込むための十字状の切れ込みNが形成されている。
容器構成部材20は、容器構成部材10と実質的に同一のシート(外層11、中間層12及び内層13がこの順に積層されたシートS)により成形されている。シートSの各層の構成についての説明は、前述したので、省略する。
【0051】
容器構成部材20も、容器構成部材10と同様の製法により製造することができる。容器構成部材20も、容器構成部材10と同様の効果を奏する。
【0052】
(実施例)
上記製造方法を以下の条件(1)~(4)を満たすように実施して容器構成部材としての蓋を製造した。
(1)外層及び内層の各々の厚み:シートの全厚の5%、中間層の厚み:シートの全厚の90%
(2)外層及び内層に含まれるバージPET(例えばバイオマス由来のバージンPET)のIV値:0.80
(3)中間層に占めるバージンPETの割合:10質量%
(4)中間層に占める全再生PETの割合:90質量%(再生回数が1回の第1再生PETの割合:40質量%、再生回数が複数回の第1再生PETの割合:12.5質量%、第2再生PETの割合:37.5質量%)
上記条件(1)~(4)を満たすように上記製造方法を実施した結果、中間層に含まれる非晶性PETのIV値(固有粘度)は、例えば0.71となり、外層、中間層及び内層が実用上十分な耐衝撃性を有する蓋を得ることができた。
【0053】
4.本発明の第3実施形態に係る食品容器
食品容器1は、一方の容器構成部材10(図1参照)と、図4に示すように、一対の容器構成部材10、20の他方の容器構成部材20(図3参照)とを備える。
上述したように、一対の容器構成部材10、20は、互いに嵌合する容器本体及び蓋である。
これにより、環境への負荷が軽減され、且つ、耐衝撃性に優れる食品容器1を提供できる。
【0054】
5.本発明の変形例
以上説明した容器構成部材10、容器構成部材20及び食品容器1の構成は、適宜変更可能である。
【0055】
例えば、一方の容器構成部材は、図5に示す変形例1に係る容器構成部材20Aのように飲み口を開閉する開閉部Tを有する蓋であってもよい。
【0056】
例えば、一方の容器構成部材は、図6に示す変形例2に係る容器構成部材20Bのようにアイスクリーム容器の蓋であってもよい。
【0057】
例えば、食品容器は、図7に示す変形例3に係る食品容器1Aのように、第1実施形態に係る容器構成部材10である容器(図1参照)と、変形例1に係る容器構成部材20Aである蓋(図5参照)とが嵌合する食品容器(例えば飲料容器)であってもよい。
【0058】
例えば、食品容器は、図8に示す変形例4に係る食品容器1Bのように、第1実施形態に係る容器構成部材10である容器本体(図1参照)と、変形例2に係る容器構成部材20Bである蓋(図6参照)とが嵌合する食品容器(例えばアイスクリーム容器)であってもよい。
【0059】
例えば、各容器構成部材において、中間層に含まれる第1再生PETは、再生回数が1回のもの(例えばPET端材・廃材の購入品)のみで構成されてもよい。
【0060】
例えば、各容器構成部材において、中間層に含まれる第1再生PETは、再生回数が複数回の第1再生PET(例えばリターン材から回収された第1再生PET)のみで構成されてもよい。
【0061】
例えば、各容器構成部材において、中間層にバージンPETが含まれていなくてもよい。
【0062】
例えば、各容器構成部材において、中間層に第2再生PET(バージンPETが再生された再生PET)が含まれていなくてもよい。
【0063】
例えば、各容器構成部材において、中間層に含まれる非晶性PETに含まれる端材及び/又は廃材は、プリフォーム成形時以外の容器成形時(例えばシート成型時)に生じた端材であってもよい。
例えば、一対の容器構成部材の一方の容器構成部材(容器本体又は蓋)がシートSにより成形され、他方の容器構成部材(蓋又は容器本体)がシートS以外のシートにより成形されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1、1A、1B:食品容器、10:容器構成部材(一方の容器構成部材)、11:外層、12:中間層、13:内層、20、20A、20B:容器構成部材(他方の容器構成部材)、S:シート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8