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特開2022-8209複合メンブランおよび複合メンブランを製造するための方法
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  • 特開-複合メンブランおよび複合メンブランを製造するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008209
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】複合メンブランおよび複合メンブランを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 17/00 20060101AFI20220105BHJP
   B01D 39/14 20060101ALI20220105BHJP
   B01D 39/00 20060101ALI20220105BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20220105BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
D06M17/00 J
B01D39/14 G
B01D39/14 C
B01D39/00 B
B01D39/16 A
B32B5/26
D06M17/00 M
D06M17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021103366
(22)【出願日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】20181867
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506161108
【氏名又は名称】シーファー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SEFAR AG
【住所又は居所原語表記】Hinterbissaustrasse 12 9410 Heiden Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド モクブル オサン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ エレンベルゲル
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ カマニ
【テーマコード(参考)】
4D019
4F100
4L032
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019AA03
4D019BA13
4D019BB04
4D019BC01
4D019BC06
4D019BC11
4D019BC13
4D019BC15
4D019BD01
4D019CB06
4D019DA03
4F100AK01D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100DC21D
4F100DG12A
4F100DG15B
4F100DG15C
4F100DJ00B
4F100DJ00C
4F100EC03B
4F100JA04B
4F100JA04C
4F100JB16D
4F100JC00A
4F100JC00B
4F100JC00C
4F100JD02
4L032AA04
4L032AB02
4L032AB04
4L032AC01
4L032AC02
4L032BA05
4L032BB00
4L032BD01
4L032DA00
4L032EA03
4L032EA06
(57)【要約】
【課題】複合メンブランを製造するための方法を提供すること。
【解決手段】この方法では、キャリア層として織物メッシュが設けられ、キャリア層の上に、有孔構造を有するメンブランが配置され、メンブランは、重層されたファイバの電子紡績によって織物メッシュ上に直接的に製造される。本発明によると、メンブランは、少なくとも2つの異なるファイバによって製造され、第1のファイバは第1のポリマー材料によって作られ、第2のファイバは第1のポリマー材料とは異なる第2のポリマー材料によって作られ、第1のファイバは織物メッシュに熱的に接合されるが、第2のファイバは織物メッシュへの熱的接合を形成しない。更には、本発明は、それぞれの複合メンブランに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合メンブラン(10)を製造するための方法であって、
キャリア層(11)として織物メッシュが設けられ、
前記キャリア層(11)の上に、有孔構造を有するメンブラン(12)が配置され、前記メンブラン(12)は、重層されたファイバの電子紡績によって前記織物メッシュ上に直接的に製造され、
前記メンブラン(12)は、少なくとも2つの異なるファイバによって製造され、第1のファイバは第1のポリマー材料によって作られ、第2のファイバは、前記第1のポリマー材料とは異なる第2のポリマー材料によって作られ、
前記第1のファイバは前記織物メッシュに熱的に接合されるが、前記第2のファイバは前記織物メッシュへの熱的接合を形成しない、方法。
【請求項2】
前記電子紡績は定められた条件下で実行され、前記織物メッシュに接触するとき、前記第1のファイバの前記第1のポリマー材料は、完全には硬化されず、前記織物メッシュのフィラメントへのおよび/または前記第2のファイバへの熱的接合を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電子紡績されたメンブラン(12)は、少なくとも2つの層によって前記キャリア層上に直接的に製造され、前記織物メッシュに接触する第1の層は実質的に前記第1のファイバによって製造され、第2の層は実質的に前記第2のファイバによって製造される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層および前記第2の層は、同一のステップにおいて製造され、または時間的にオフセットされた2つの別個のステップにおいて製造される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記メンブラン(12)は、前記第1のファイバおよび少なくとも前記第2のファイバを含む単一の層によって製造される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のファイバの前記第1のポリマー材料は、化学的性質および/または物理的特性において、前記第2のファイバの前記第2のポリマー材料と異なる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のポリマー材料は、前記第2のポリマー材料の第2の融点よりも低い第1の融点を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記織物メッシュは、前記メンブラン(12)の前記第1のファイバとの熱的接合を形成する、第1のフィラメント材料からの第1のフィラメントを少なくとも含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記織物メッシュは、前記第1のフィラメント材料からの前記第1のフィラメントと、前記メンブラン(12)への熱的接合を形成しない、第2のフィラメント材料からの少なくとも第2のフィラメントとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱的接合を生むために、熱カレンダリングまたは熱焼鈍ステップが実施される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複合メンブラン(10)は、プラズマ・コーティング・ステップを使用して処理され、表面コーティングが、モノフィラメントからの前記織物メッシュによる前記キャリア層(11)と前記電子紡績されたメンブラン(12)との両方に適用される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記電子紡績の前に、前記織物メッシュは、熱可塑性ポリマー材料によって点状にコーティングされ、前記メンブラン(12)と前記織物メッシュとの間の前記熱的接合は、前記点状にコーティングされたポリマー材料によって提供される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記メンブラン(12)および/または前記織物メッシュは、抗ウイルス、抗菌および/または抗真菌特性を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
好ましくは請求項1から13のいずれか一項に記載の方法によって製造された複合メンブランであって、
キャリア層(11)としての織物メッシュと、
前記キャリア層(11)上に配置された、有孔構造を有するメンブラン(12)であって、重層されたファイバの形成による電子紡績によって前記織物メッシュ上に直接的に製造されるメンブラン(12)と
を備え、
前記メンブラン(12)は、少なくとも2つの異なるファイバによって製造され、第1のファイバは第1のポリマー材料によって作られ、第2のファイバは、前記第1のポリマー材料とは異なる第2のポリマー材料によって作られ、
前記第1のファイバは前記織物メッシュに熱的に接合されるが、前記第2のファイバは前記織物メッシュのフィラメントへの熱的接合を有しない、複合メンブラン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の複合メンブランを製造するための方法に関する。
【0002】
本発明は更に、請求項14に記載の複合メンブランに関する。
【背景技術】
【0003】
汎用の複合メンブランおよびその製造のための方法は、特許文献1または特許文献2から得ることができる。知られた複合メンブランは、キャリア層としての織物メッシュと、キャリア層上に配置された、有孔構造を有するメンブランとを備え、メンブランは、重層されたファイバの形成による電子紡績によって織物メッシュ上に直接的に製造される。キャリア層およびメンブランは、熱溶融プロセスにおいて、または接着によって接合される。
【0004】
布地層およびコーティングされたナノファイバの層を有する衣類は、特許文献3から得ることができる。最初にナノファイバの層が製造され、続いてこれには液体コーティングが施される。その後、こうしてコーティングされたファイバ層が布地層に結合される。
【0005】
内部布地層と、外部布地層と、ファイバの不織のメンブランから成るバリア層とを有する衣類のための複合生地は、特許文献4から得ることができる。ファイバ・メンブランには、布地層に結合される前に、プラズマ・コーティングが施される。
【0006】
特許文献5は、支持構造に適用される電子紡績されたメンブランを有するフィルタ媒体を説明している。支持構造は、金属、セラミック、ガラスファイバ、グラファイトまたはポリマー材料から成ってよい。
【0007】
複合メンブランの全体的性能および長期にわたる安定性のために、キャリア層とメンブランとの間の接合のタイプが特に重要である。例えば、接着接合は、キャリア・メッシュおよびメンブランにおける開口を減少させたり、または部分的に閉塞したりすることがあり、結果として、複合メンブランの貫流性能および比表面積の著しい低下を招く。一方、キャリア層とメンブラン層との間の剥離のリスクを回避するためには、キャリア層とメンブラン層との間の強固な接続が必要とされる。メンブラン層の剥離は、しばしば、それらの適用中に様々な応力の下で発生し、初期形状および状態を乱す。メンブラン層における電子紡績されたファイバ間での不適切な接着も重要な問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP3366362A1
【特許文献2】EP3231595A1
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0220676A1号
【特許文献4】WO2013/043397A2
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/0197664A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、複合メンブランの堅牢で信頼性の高い接合、および高い通気性が得られる複合メンブランを製造するための方法およびそれぞれの複合メンブランを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明によると、一方において、請求項1の特徴を有する方法によって達成され、他方において、請求項14の特徴を有する複合メンブランによって達成される。本発明の好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項において指定される。
【0011】
本発明によると、複合メンブランを製造するための方法が提案され、この方法において、キャリア層として織物メッシュが設けられ、キャリア層の上に、有孔構造を有するナノファイバのメンブランが配置され、メンブランは、重層されたファイバの電子紡績によって織物メッシュ上に直接的に製造され、メンブランは、少なくとも2つの異なるファイバによって製造され、第1のファイバは第1のポリマー材料によって作られ、第2のファイバは、第1のポリマー材料とは異なる第2のポリマー材料によって作られ、第1のファイバは織物メッシュに熱的に接合されるが、第2のファイバは織物メッシュへの熱的接合を形成しない。熱的処理は、第2のファイバと第1のファイバとの間の接着も向上させる。
【0012】
本発明の態様によると、メンブランは、材料の異なる少なくとも2つのタイプのファイバによって作られる。第1のファイバは、織物メッシュのポリマーの材料への熱的接合を可能とする第1のポリマー材料から、またはこれによって作られる。織物メッシュと第1のファイバ層との間の接合は、第1のファイバの直接的な電子紡績によって直ちに確立され得、および/または、熱的接合が、第1のファイバ、第2のファイバおよび織物メッシュに熱と圧力とをともに適用することにより、別個のステップにおいて実行される。
【0013】
第2のファイバは、第1のファイバのポリマー材料とは異なる、特には、より高い融点を有するポリマー材料を含む。方法において、温度および圧力は、織物メッシュへの第1のファイバの熱的接合の確立中に、第2のファイバ材料のこの融点に到達することも、この融点を超えることもないように調節される。
【0014】
本発明の方法によって、織物メッシュに対する第1のファイバの特質に起因するキャリア層とメンブラン層との間の強固な接合、および第2のファイバの特質に起因するメンブラン層の堅牢な構造を有する複合メンブランが製造され得る。熱的なまたは溶着のような接合は、ファイバの一部だけによって形成され、溶融した材料によって閉塞される開口の数は低く保たれる。故に、複合メンブランの高い通気性が達成され得る。
【0015】
本発明による方法によって製造される複合メンブランは、他のポリマー・メンブランとは、特には、高い比表面積、故に体積に対する表面積の高い比率を有する、複数層の、網目リンクされた、3次元的に架橋リンクされた、入れ子状のまたはグリッド状の構造によって異なる。
【0016】
本発明の方法の好ましい変形例によると、電子紡績は定められた条件下で実行され、織物メッシュに接触するとき、第1のファイバの第1のポリマー材料は、完全には硬化されず、織物メッシュのフィラメントおよび/または第2のファイバへの接合を形成することが提供される。特には、キャリア・メッシュ上に電子紡績が直接的に行われる際に、織物メッシュに接触するときに第1のファイバは、依然として少なくとも部分的に溶融状態にある。織物メッシュとの直接的な接触において、第1のファイバの材料は、電子紡績ステップの後に、織物メッシュの材料との熱的接合を確立しつつ硬化されまたは固められる。特には、方法のこのステップを実行するために、キャリア層の温度は、この熱的接合を確立するための十分な時間を可能とするような定められた温度および圧力に加熱または調節される。加えて、熱的処理が、ナノファイバ間での接合ポイントを生み、故に、高い接着強度を得ることができる。加熱処理は、メンブランおよび織物メッシュ材料の熱的な劣化および化学組成における変化につながることはない。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態によると、電子紡績されたメンブランは、少なくとも2つの層によってキャリア層上に直接的に製造され、織物メッシュに接触する第1の層は実質的に第1のファイバによって製造され、第2の層は実質的に第2のファイバによって製造される。この実施形態において、異なる種類のファイバは、メンブランにおいて均等に分布していない。特には、織物メッシュに接触する第1の層においては第1のファイバの比率は第2のファイバの比率よりも高く、第2の層においては第2のファイバの比率は第1のファイバの比率よりも高いことが提供される。好ましくは、百分率において、第1の層における第1のファイバの60%から90%によって強固な熱的接合が達成され得、第2の層は、異なるファイバの架橋リンクにより、第1の層と相互接続される。
【0018】
この方法の変形例において、第1の層および第2の層は、同一のステップにおいて製造されること、または時間的にオフセットされた2つの別個のステップにおいて製造されることが好ましい。材料のタイプに応じて、第1および第2の層は、織物メッシュ上に同時に、または異なる時間に配置され得る。
【0019】
代替的に、メンブランは、第1のファイバおよび少なくとも第2のファイバを含む単一の層によって製造される。概して、メンブランは、異なるポリマー材料から作られた複数の異なるファイバを含み得る。ファイバ自体は、好ましくは、単一のポリマー材料から形成されてよく、または、2つ以上の異なるポリマー材料から作られてよい。第1のファイバの材料は、キャリア層に含まれる材料との強固な接合を生むために特に選択される。
【0020】
好ましくは、第1のファイバの第1のポリマー材料は、第2のファイバの第2のポリマー材料とは、化学的構造および/または物理的特性において異なる。ポリマー材料は、炭化水素またはポリマーの異なる構造を含み得る。同一の化学的構造を有する材料が、異なる物理的および化学的特性を確立するために前処理されてよい。
【0021】
本発明の方法の好ましい変形例によると、第1のポリマー材料は、第2のポリマー材料の第2の融点よりも低い第1の融点を有する。ポリマー材料のこのような選択は、少なくとも部分的に溶融した第1のファイバの材料によって、定められた温度において熱的接合を確立することを可能とする一方、第2のファイバの材料は依然として安定した非溶融状態にある。このことは、一方で、第1のファイバによる織物メッシュへのおよび第2のファイバへの信頼性の高い熱的接合を可能とし、他方において、第2のファイバによるメンブラン層の安定した構造の形成を可能とする。
【0022】
高品質の複合メンブランを達成するために、織物メッシュは、少なくとも、メンブランの第1のファイバとの熱的接合を形成する第1のフィラメント材料からの第1のフィラメントを含むことが更に好ましい。特には、織物メッシュは、異なるポリマー材料から、またはこれらによって作られた2つ以上のフィラメントを含み得る。織物メッシュの少なくとも第1のフィラメントの材料は、両方の材料の組み合わせが熱的接合を確立することを可能とするように、メンブランの第1のファイバのポリマー材料に従って選択される。織物メッシュにおける第1のフィラメントの定められた分布によって、織物メッシュとメンブランとの間の熱的接合の定められたパターンが達成され得る。このことは、織物メッシュとメンブランとの間の熱的接合の程度または強度の細かい調節を可能とする。
【0023】
特には、織物メッシュは、第1のフィラメント材料からの第1のフィラメントと、メンブランの熱的接合を形成しない第2のフィラメント材料からの少なくとも第2のフィラメントとを含むことが有利である。任意選択的に、第1のフィラメントは、第1および第2のフィラメント材料の両方から作られてよい。
【0024】
熱的接合を生むために、本発明の変形例によると、熱カレンダリングまたは熱焼鈍ステップが実施されることが好ましい。これらのステップは、メンブラン層が織物メッシュ上に置かれた後に実行され得る。
【0025】
複合メンブランにおける開口を閉塞するリスクは、電子紡績の前に、織物メッシュが、熱可塑性ポリマー材料によって点状にコーティングされ、メンブランと織物メッシュとの間の熱的接合が、点状にコーティングされたポリマー材料によって提供されることで更に低減され得る。故に、第1のファイバは完全に第1のポリマー材料から作られる必はない。更には、熱的接合を提供するための第1のポリマー材料は、第1のファイバの表面だけに配置されてよい。第1のポリマー材料は、表面に完全にコーティングされてよく、または、好ましくは、互いから離間された小点の特定のパターンで点状にコーティングされてよい。従って、第1のファイバと点状にコーティングされた織物メッシュとの組み合わせは、複合メンブランにおける、より拡張され、接続された接合面積につながる。
【0026】
本発明の更なる発展例による特定の特質を生むために、複合メンブランは、プラズマ・コーティング・ステップを使用して処理され、表面コーティングが、モノフィラメントからの織物メッシュによるキャリア層と電子紡績されたメンブランとの両方に適用される。
【0027】
特定の物質の添加またはコーティングによって、複合メンブランの定められた特質が生み出され得る。特には、メンブランおよび/またはメッシュは、抗ウイルス、抗菌および/または抗真菌特性を有する。
【0028】
本発明は、複合メンブランであって、キャリア層としての織物メッシュと、キャリア層上に配置された、有孔構造を有するメンブランであって、メンブランは、重層されたファイバの形成による電子紡績によって織物メッシュ上に直接的に製造されるメンブランとを備え、メンブランは、少なくとも2つの異なるファイバによって製造され、第1のファイバは第1のポリマー材料によって作られ、第2のファイバは、第1のポリマー材料とは異なる第2のポリマー材料によって作られ、第1のファイバは織物メッシュに熱的に接合されるが、第2のファイバは織物メッシュのフィラメントへの熱的接合も有しない、複合メンブランにも関する。
【0029】
複合メンブランは、上述された本発明の方法によって製造され得る。このような複合メンブランの説明された実施形態および利点が達成され得る。
【0030】
キャリア層、特にはその編み糸の細かさ、第1および第2のフィラメントにおけるファイバの内容物、幾何学的形状、織りパターン、表面テクスチャ、および開口面の比率の正確な選択は、接合強度に、および最終的な保護ベント機能にも多大な影響を有し得る。キャリア層の張力の品質は、フィラメントの強度、メッシュの密度、織りパターン、およびフィラメントの強度係数に依存する。本出願人のモノフィラメントは、低収縮、高い靭性、非常に高い係数レベルなど、高強度の物理的特質を発揮する。それらは、破壊的な化学物質に晒されたときにも容易に劣化することがなく、湿潤環境および乾燥環境の両方において高温度用途に耐える。張力特性は、更に、複合体の接合強度に影響されるが、高複合ベント強度を決定する際にナノファイバ・マットの厚さの重要性は低い。
【0031】
メッシュまたは布地は、好ましくは、10μmから1000μm、より好ましくは15μmから800μm、特に好ましくは30μmから150μmのフィラメントまたは編み糸径と、300μmまでのメッシュ開口とを有する。本発明によると、メッシュは、織られたモノフィラメント布地と定められる。本発明によると、「メッシュ」という語は、「布地」または「生地」の同義語として使用され、これらはどちらも本発明のキャリア層を指す。
【0032】
本発明の複合メンブランは、防塵特性を提供し得、耐摩耗性を示し、堅牢であり、高い安定性を有し、蒸気通気性を示し、耐久性があり、空気および気体に対して通気性(高流量)を有し、高通過量/流量を有し、構造および特性における著しい損失無しに洗浄され得、比較的高い熱的安定性、低い非特異的吸着(抗接着性)、表面の疎水性および/または疎油性、および優れた生体親和性を示す。
【0033】
本発明の更なる実施形態によると、プラズマ・コーティングがナノファイバ・メンブランおよび少なくとも1つのキャリア層の両方の上に蒸着されることが特に都合がよい。故に、保護ベントの柔軟な使用が保証され、保護ベントの油、脂肪、病原体、アレルゲン、ほこりおよび/または水をはじく特性が、キャリア層がベントされた物体の内側に面するように配置されているかまたは外側に面するように配置されているかに関わらず、保証され得る。
【0034】
本発明による好ましい更なる実施形態は、材料が、少なくとも一価不飽和および/または多価不飽和されたエーテル、ケトン、アルデヒド、アルケン、アルキン、アミド、アミン、ニトリル、チオエーテル、炭酸エステル、チオエステル、スルホン、チオケトン、チオアルデヒド、スルフェン、スルフェンアミド、フルオロアクリレート、シロキサン、エポキシド、ウレタン、アクリレート、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド6,6(PA66)、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミドポリウレタン(PU)、ポリ(尿素ウレタン)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリラクチド(PLA)、ポリカーボネート(PC)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリスルホン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロース、酢酸セルロース(CA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PVA/シリカ、PAN/TiO、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアニリン、ポリ(エチレンナフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(ビニルブチレン)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、コポリマー、誘導体化合物ならびにそれらの混合および/または組み合わせであることである。
【0035】
コーティング材料として特に優先されるのは、プラズマ・コーティング・プロセスを使用したときに、保護ベントにおける疎油性の非極性テフロン(登録商標)状の(ポリテトラフルオロエチレン状の)表面に寄与するイオン基またはイオンまたは高エネルギー粒子を放出する材料である。
【0036】
複合体のメンブランおよび/またはキャリア層は、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA6.6)、ポリドデカンアミド(PA12)、ポリプロピレン(PP)、ポリカプロアミド(PA6)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンモノクロロトリフルオロエチレン(E-CTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレン(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリスルホン(PS)、キトサン(CH)、ポリビニルブチラール(PVB)、1-ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)、クロルヘキシジン(CHX)、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド(BTAB)、ポリアクリレート、高密度PE、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、二成分(PA6/PA12)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリアクリロニトリル(アクリルファイバ)(PAN)、二成分、PET難燃剤(PET/PBT)、ポリウンデカンアミド(PA11)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリヘキサメチレンセバシンアミド(PA6.10)、アラミド(AR)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミドカーボンファイバ(PA/CF)、ポリエステルカーボンファイバ(PET/CF)、ポリエステルステープルファイバ/メタルファイバ(PET/MT)、カーボンファイバ(CF)、銅(CU)、ポリイミド(P84)、銅/銀(CU/AG)、ポリカーボネート(PC)、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリラクチド(PLA)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロース、酢酸セルロース(CA)、ポリプロピレン(PP)、PVA/シリカ、PAN/TiO、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアニリン、ポリ(エチレンナフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(ビニルブチレン)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)で作られ得る。
【0037】
更には、追加的な特性を与えるために、導電性フィラメントが製織中に織られてもよく、および/または、メンブランおよび/またはキャリア層の材料に添加剤が添加されてもよく、例えば、それぞれの材料の静電特性は、濾過される固体超微粒子の接着を向上させ得る。
【0038】
本発明によると、キャリア層がメンブランに強固に接続されていることが好ましい。このことは、層の剥離および/または相対的変位を防止し得る。特に堅牢な複合メンブランを形成するために、本発明によると、複合体の強度および圧縮抵抗を増すために、メンブランは2つのキャリア層の間に配置されることが有利である。故に、少なくとも3つの層が設けられ得る。この場合、メンブランは、両側のキャリア層により少なくとも部分的に覆われ得、少なくとも2つのキャリア層は同一の要件を有してもよく(サンドイッチ構造)、または、それらの動作モードにおいて互いに補い得る異なる特性を有してもよい(ハイブリッド構造)。例えば、第1のキャリア層が疎水性および/または疎油性を有するように、すなわち油、脂肪、および/または水をはじく特性を有するように設計され得、第2のナノファイバ層が、特には上に定められたように、汗、血液、膿、アレルゲン、病原体をはじくように設計され得、第3のキャリア層が難燃性および/または帯電防止性を有するように設計され得る。
【0039】
本発明の複合メンブランは、縫い合せ、接着またはフレーム要素によって濾過装置に固定および設置され得る。縫い合せ、接着またはフレーム要素は、少なくとも複合体の周辺エリアに設けられ得る。フレームは堅固な特性または柔軟な特性を有し得、複合メンブランを取り囲む。縫い合せは別個の要素であってよく、または、縁部を加熱成形または溶着することによって形成されてもよく、強固な接続が形成される。
【0040】
本発明の実施形態によると、複合メンブランは、以下のもの、すなわち、「既製品」として入手可能な、または、本発明による単一のまたは代替的に複数の層、すなわちメンブランおよび/またはキャリア層から作られる前置フィルタ;本発明の複合体の前置フィルタに加えて、またはこれに代えて配置可能な、前置フィルタに関して述べられた材料および層により設計され得る後置フィルタ;本発明の複合メンブランに追加される(複合メンブランの上流および/または下流)および/またはその一部となる傾斜メンブランとしての非対称および/または対称なメンブラン、のうちの1つまたは組み合わせを含み得る。
【0041】
特定用途の機能の要件に応じて、複数のキャリア層と、複数のメンブランとが、複合体において交互に配置されることが特に好ましい。個々のキャリア層およびメンブランは、例えば、異なる多孔率、孔分布、疎水性、疎油性および異なる防塵性を有するように設計され得る。本発明の複合体の特に都合のよい更なる発展例によると、メンブランは、約0.05g/mから約50g/mの間の坪量になるように形成されることが有利である。平均ファイバ径および孔サイズは、電子紡績法によるメンブランの製造中に既に調整可能であり、必要に応じて保護ベントの要件に適合され得る。好ましくは、個々の孔の孔径は、平均孔径とは、500%、好ましくは300%、より好ましくは100%ほどだけ異なる。ファイバは、好ましくは、メンブラン内で、40nmから1000nm、特に好ましくは80nmから250nmの直径を有するように形成される。メンブランの個々のファイバの直径は、好ましくは、ほぼ同じ直径を有する。特には、個々のファイバの直径は、平均ファイバ径とは、500%未満、好ましくは300%未満、特に好ましくは100%未満だけ異なる。本発明によるメンブランは、例えば、マットレス、枕、羽毛布団、寝具、クッション、(電気)機器のための(内部および/または外部)通気フィルタ、(外科用)マスク、(外科用)外套、静脈内インライン・フィルタ・セット、加圧濾過機器(例えば、鼻スプレー)、特には、医療デバイス、工業用の室内通気用および通気バリア媒体のために使用され得る。
【0042】
本発明は、本明細書において説明される複合体を有する少なくとも1つの保護ベントを有する寝具製品も対象とする。寝具製品は、少なくとも上述のマットレス、枕、羽毛布団、寝具などを含む。
【0043】
本発明は更に、少なくとも1つの本明細書において説明される複合メンブランを有する筐体を持つ電子または電気器具も対象とする。これらの器具は、少なくとも、携帯電話、ポータブル・メディア・プレーヤ、ハイファイ機器、タブレット、ラップトップ、任意の種類の携帯デバイスおよびテレビを含む。
【0044】
更には、本発明の複合体は、フィルタ技術、音響用ベント、通気フィルタ、燃料濾過、水分離、衣服、包装、建築および電子シール、靴、創傷被覆材または顔用マスクにおいて適用され得る。本発明による複合メンブランの個々に調節可能な多孔率は、例えば、ガス流における固体の蒸着、または創傷の治療において使用され得る呼吸活性支持体の提供に有利に寄与し得る。
【0045】
本明細書において、「メンブラン」、「電子紡績メンブラン」、「メンブラン層」、「ナノファイバ層」、「ナノファイバの層」、「ナノファイバ・メンブラン」、「ナノファイバ・マット」、および「ナノファイバ・ウェブ」という語は、電子紡績不織布を指すために交換可能に使用される。本発明の方法の基本的概念は、電子紡績装置を使用して、支持層上にポリマー溶液からナノファイバ・ウェブを形成することである。この場合、メンブランは、定められた多孔率を有するように、すなわち、少なくとも定められた孔サイズおよび/または孔分布、メンブラン形成ファイバの調整された密度を有するように形成され得る。ファイバの比例体積、およびメンブランの所与の体積中の平均ファイバ数は調整され得る。この場合、キャリア層は、特には、メンブランのための安定化および/または保護層として働き得る。故に、本発明の複合体は、ベントを有益なフィルタ形状およびサイズに形成することに関連する損傷なしに、大きな機械的応力に耐えることができる。
【0046】
個々の複合体層の特に信頼性の高い結合および埋め込みのために、本発明によると、当技術分野においてよく知られた方法によってメンブランがキャリア層に接合されることが有利であり得、この方法としては、反応性熱溶融接合、レーザー接合、超音波溶着、積層、熱カレンダリング、またはこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。例えば、熱溶融接合は、エポキシ、アクリレートおよび/またはポリウレタン接着剤を用いて実行され得る。これにより、剥離が確実に防止され得る。
【0047】
キャリア層とメンブランとの間の接続ポイントが点状、または線状に提供され、好ましくは、保護ベント全体に均一に分布することが特に好ましく、その結果、多孔率または通気性はほとんど損なわれることが無い。
【0048】
特に効率の良い製造方法のために、更なる発展例によると、電子紡績メンブランがキャリア層上に直接的に製造され、メンブランがキャリア層に強固に接続されることが有利であり得る。原則として、剥離/積層プロセスにおいて、例えばキャリア不織ウェブまたはキャリア布地などの収集基板上に、電子紡績法によってメンブランを製造し、メンブランを第2のステップにおいて、例えば布地のような本発明による所望のキャリア層に移送することが可能である。
【0049】
本発明によるキャリア層上へのメンブランの直接的な蒸着は、メンブランの複雑な移送プロセスを防止し得る。更には、キャリア層の表面は、電子紡績プロセスの前に、化学的および/または形態的に改質され得、その結果、メンブランの形成中に、メンブランはキャリア層に特に強固に接着し得る。メンブランは、100μm未満、特には50μm未満の層厚を有し得、好ましくは1から10μmの層厚が提供され得る。本発明によると、このような薄い層厚を有するメンブランは、特には、本発明の保護ベントのキャリア層に設けられたとき、本発明による水柱や通気性に既に寄与し得る。
【0050】
本発明の方法の実施形態によると、少なくとも1つの更なるキャリア層が設けられ、これは同様にメンブラン層に接続され、メンブランはキャリア層の間に配置される。例えばメンブランを傷つける厳しい環境における機械的影響からメンブランを保護するために、メンブランは支持層を両側に備え得る。
【0051】
複数層配置、いわゆる複数層構造の場合、複合メンブランは、少なくとも2つのキャリア層と、少なくとも2つのメンブラン層とによって形成され得、メンブラン層は上下に重ねて配置され得る。好ましくは、少なくとも1つのキャリア層が、第1のメンブランと少なくとも第2のメンブランとの間に配置される。
【0052】
プラズマ・コーティングによって、極薄の機能性フィルム、特には、疎水性および/または疎油性機能が、保護ベント、特にはメンブランの個々のファイバおよび/またはキャリア層の個々のファイバまたはフィラメントに適用される。この場合、数nm(ナノメートル)、特には80nm未満、好ましくは5nmから40nmの特に薄い層厚が達成され得る。プラズマ重合(イオン基が支配的なプラズマ重合)中に生成されるイオン基は、孔径に比べて無視できるほど小さく、故に、ファイバ/フィラメント間空間内に容易に浸透し得る。従って、本発明によるメンブラン層の孔径は、例えばPECVDプロセスのようなプラズマ気相蒸着の後のコーティングによって変化することはない。これらのプラズマ・ポリマーは、従来のフルオロカーボンとは対照的に、環境への世界的な脅威として既に特定されているペルフルオロアルキル酸(PFOS、PFOAなど)を含まないフッ素含有官能基および/またはフッ素非含有官能基を埋め込むことができる。更には、生地仕上げに一般的に使用される湿式化学的方法(パッド乾式硬化など)は、開口部(孔)が詰まることがあるため、ナノファイバ・ウェブの処理には適していない。
【0053】
本発明による媒体の好ましい態様は、電子紡績メンブランがモノフィラメント・メッシュ上に直接的に製造され、更なる処理のためにメンブランがキャリア層に強固に接続されることである。本発明によるキャリア層上へのメンブランの直接的な蒸着は、メンブランの複雑な移送プロセスを防止し得る。更には、キャリア層の表面は、電子紡績プロセスの前に、化学的および/または形態的に改質され得、その結果、メンブランの形成中に、メンブランはキャリア層に特に強固に接着し得る。
【0054】
本発明による複合メンブランの好ましい実施形態は、電子紡績メンブランが、好ましくは、層ごとの蒸着によって作られ、両方の層のポリマーが、分子量などの化学的性質および/物理的特性において異なり得ることである。中間層(底部)は、最終的に接着促進層として働き、これは、温度および圧力に敏感な材料で構成され得、上部層は、濾過機能として働く。
【0055】
更なる好ましい実施形態は、層ごとの蒸着が、好ましくは、少なくとも2つのe-紡績モジュールを使用して、1つのステップにおいてなされ、各モジュールは、別個のポリマーが供給され、e-紡績のパラメータも個別に制御され得ることである。
【0056】
本発明による媒体の好ましい実施形態は、キャリア層が、熱的処理に適した2つの異なる融点を有する少なくとも2つの異なるポリマーから作られたモノフィラメント・メッシュであることである。2つのポリマーは、分子量などの化学的性質または物理的特性において異なる。
【0057】
更には、キャリア層のモノフィラメント・メッシュは、2つの異なるメッシュ層(例えば、二重層布地)から作られ、少なくとも1つの層は、接着フィラメントおよび/低融点ポリマーで作られることが好ましい。
【0058】
本発明による媒体の別の実施形態は、第1のフィラメントが第1および/第2のフィラメント材料から作られることである。故に、モノフィラメント・メッシュは、二成分フィラメントから製造され得る。両方の成分の機能的特性は、1つのフィラメントにおいて活用され得る。
【0059】
特には、第1のフィラメント、第2のフィラメントまたは二成分フィラメントは、任意の断面形状および/幾何学的配置に製造され得ることが好ましい。
【0060】
二成分フィラメントの特性は、
-2つの成分の特性、
-フィラメントにおけるそれらの配置、
-2つの成分の相対的比率、
-最終的なフィラメントの細かさ、
に依存する。
【0061】
本発明による複合メンブランまたは媒体の好ましい実施形態は、熱的処理中に最大の接合強度を得るようにメッシュが異なるパターンを有するように織られることである。
【0062】
本発明の更なる発展例によると、熱的処理(焼鈍および/カレンダリング)は、材料に圧力および/温度を適用することによってなされ、この結果、布地におけるモノフィラメントの変位/シフトを回避し、キャリア基板を安定化させるように第1の/二成分フィラメントおよび第2のフィラメントの両方を溶着する。
【0063】
特には、熱的処理(焼鈍および/カレンダリング)は、材料に圧力および/温度を適用することによってなされ、この結果、ナノファイバ・ウェブをキャリア基板と一緒に溶着する。
【0064】
加えて、熱的処理は、
-ナノファイバの結晶化度を向上させること、
-マットにおけるナノファイバの間に接続部または接合ポイントを生むこと、
-原繊維間の接合を高めること、
-複合体厚を減少させることまたはナノファイバ・マットの多孔率を向上させること、
-張力強度および係数を増加させること、
によってナノファイバ・ウェブの機械的特性を向上させ得る。
【0065】
こうして、複合体材料に新たな特性が導入され得る。
【0066】
本発明は、
-堅牢で信頼性の高い製造方法と、
-接着剤を必要としない接合と、
-医療、健康管理、食品などの高性能な用途に適した清潔なプロセスと、
-例えば、メッシュへのメンブランの移送などの追加的な処理ステップの除去と、
-高い一貫性および高効率のプロセスと
を保証する。
【0067】
本発明は、以下において、添付の図面において概略的に示される好ましい実施形態を参照して更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】本発明による単一の層を有する第1の複合メンブランの概略的な断面図である。
図2】本発明によるいわゆる「サンドイッチ」配置にある第2の複合メンブランの概略的な断面図である。
図3】本発明による複数層構造を有する第3の複合メンブランの概略的な断面図である。
図4】本発明による2つの異なるキャリア層を有する「ハイブリッド」配置にある複合メンブランの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、本発明によるキャリア層11を有する複合メンブラン10の断面図を図示する。好ましくは、キャリア層11は、メッシュ層として適合され得る。メンブラン12は、キャリア層11上に配置され、これは、電子紡績法によって形成され、キャリア層11上に適用される。キャリア層11へのメンブラン12の向上された接着のために、メンブラン12は、少なくとも2つの異なるファイバによって製造され、第1のファイバは第1のポリマー材料によって作られ、第2のファイバは、第1のポリマー材料とは異なる第2のポリマー材料によって作られ、第1のファイバはキャリア層11の織物メッシュに熱的に接合されるが、第2のファイバは織物メッシュへの熱的接合を形成しない。接合は、定められた接続ポイント13によって形成され得、これは、2つの層を互いに接続する。このことは、特には、第1のファイバの接触エリアの形態における溶融によって実施され得る。
【0070】
織物メッシュのキャリア層11へのメンブラン12の強固な接合のために、メッシュは、2つの異なるフィラメントを使用して織られ、第1のフィラメント材料は、ナノファイバへの接合を形成するために第2のフィラメントよりも低い融点を有する。更には、第1のフィラメントは、第1および第2のフィラメント材料から作られ得、故に、二成分フィラメントを有する織物メッシュが製造され得る。熱的処理中に最大の接合強度を得るために、キャリア・メッシュ層は、メンブラン層とのより多くの接触ポイントを生むように異なるパターンを有するように織られ得る。
【0071】
複合メンブラン10、特に電子紡績メンブラン12は、定められた多孔率を有するように形成され得る。ファイバによる複合メンブラン10の表面は、コーティング材料によってコーティングされ得、これは、特には、プラズマ蒸着法によって適用される。ファイバの表面コーティングは、図面においては、点および線14によって概略的に示される。本発明によると、複合メンブラン10は、プラズマ・ポリマーによって完全に表面コーティングされ得、これは、メンブラン12およびキャリア層11の個々のファイバおよびフィラメントをコーティングすることを意味する。これは、複合メンブラン10の内部に存在する領域またはメンブラン12の孔内のより下側の領域のファイバも含み得る。故に、概観的な外側表面がコーティングされ得るだけでなく、微視的な内側表面、すなわち、例えば内側ファイバ、不均一部、もコーティングされ得、個々のファイバは、コーティング材料によって包まれ、または覆われる。
【0072】
図2は、本発明によるいわゆる「サンドイッチ」配置にある複合メンブラン10を図示する。この図において、メンブラン12は、2つのキャリア層11の間に配置され、その結果、適用中に結果的なベントが機械的応力に耐えることができるようにメンブラン層12が保護される。サンドイッチ配置の一実施形態において、例えば、200Paにおいて15.6l/m2*sの通気性が達成され得る。原則として、サンドイッチ、複数層、またはハイブリッド配置では、200Paにおいて100l/m2*sまでの通気性が達成され得る。複合メンブラン10における層の任意の可能な配置において、これらの層は単純な積層によって順に重ねて配置され得る。しかしながら、層は接続ポイント13を介して互いに対して強固に接続もされ得、その結果、複合メンブラン10の特に信頼性の高い機械的弾力性が達成され得る。
【0073】
図3は、本発明の複合メンブランの複数層配置を図示する。この配置において、交互に配置されたキャリア層11およびメンブラン層12が上下に重ねて設けられる。
【0074】
図3によると、2つのキャリア層11および2つのメンブラン層12が設けられる。しかしながら、複数層配置は、任意の数のキャリア層11および/またはメンブラン層12を有してもよい。同様に、2つ以上のキャリア層11の間に2つのメンブラン層12を直接的に上下に重ねて設けることも可能である。複数層配置においても、プラズマ・コーティングは、好ましくは全ての重層されたメンブラン層12およびキャリア層11の微視的表面上に積み重なった層に続いて提供され得る。それ故、複数層構造の場合、プラズマ・コーティングは、複合メンブラン10の内側面にも提供され得る。本発明によると、各メンブラン12は、少なくとも2つの異なるファイバから作られ得る。
【0075】
図4は、本発明による複合メンブラン10の実施形態を図示し、メンブラン層12は第1のキャリア層11と第2のキャリア層15との間に配置されている。原則として、第1のキャリア層11は、特には、布地として設計され、第2のキャリア層15は、第1のキャリア層11とは異なり得、特には不織材料として提供され得る。このような「ハイブリッド」配置によって、異なる材料の特性が複合メンブラン10において有利に組み合わされ得、それによって、フィルタ、保護、抗生体有害物質特性が、保護ベント10において有利に実現され得る。
【0076】
図4によると、プラズマ・コーティングが保護ベント10の全体的な表面に提供され得、プラズマ重合作用がより深い層の複合メンブラン10においても発生する。異なるキャリア層11、15、および異なる設計の、例えば異なる孔サイズ分布のメンブラン層12を有する複数層構造を提供することも考えられる。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】