(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082110
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】採光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 11/00 20060101AFI20220525BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20220525BHJP
F21V 7/04 20060101ALI20220525BHJP
F21V 7/10 20060101ALI20220525BHJP
F21V 7/16 20060101ALI20220525BHJP
F21V 7/18 20060101ALI20220525BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20220525BHJP
E02D 29/12 20060101ALI20220525BHJP
E03F 5/02 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
F21S11/00
F21V7/09 510
F21V7/04 500
F21V7/10 110
F21V7/16
F21V7/18
F21V17/00 250
E02D29/12 Z
E03F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193473
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】重松 孝一
【テーマコード(参考)】
2D063
2D147
3K011
【Fターム(参考)】
2D063DA07
2D147BA01
3K011HA03
3K011JA00
(57)【要約】
【課題】開口部から入り込む光を効果的に反射させ開口部につながる内部空間を広範囲にまた効果的に照らす採光装置を提供する。
【解決手段】開口部105から入り込む光の一部を透過させ残りを反射させる、底なし円錐形状の第1反射板10と、前記第1反射板10の反射光を入射光とし、これをさらに広角に反射させる、天井面31及び底面32が開口した円錐台形状の第2反射板30と、を備え、前記第1反射板10は、表面(おもて面)14が反射面であり、前記第2反射板30は、裏面34が反射面である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部から入り込む光の一部を透過させ残りを反射させる、底なし円錐形状の第1反射板と、
前記第1反射板の反射光を入射光とし、これをさらに広角に反射させる、天井面及び底面が開口した円錐台形状の第2反射板と、
を備え、
前記第1反射板は、表面(おもて面)が反射面であり、前記第2反射板は、裏面が反射面であることを特徴とする採光装置。
【請求項2】
前記第1反射板の底部直径d1及び前記第2反射板の上部直径d2が、前記開口部の直径Dと同一又は前記開口部の直径Dよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の採光装置。
【請求項3】
前記第1反射板及び/又は第2反射板は、側面の大きさを可変可能なことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の採光装置。
【請求項4】
さらに前記開口部の外側に位置し、前記開口部の内側に位置する前記第1反射板と前記第2反射板とを支持する支持体と、
前記支持体と前記第2反射板、前記第2反射板と前記第1反射板をつなぐ連結具と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の採光装置。
【請求項5】
前記開口部がマンホール、暗渠、地下トンネル、共同溝、水路、洞道、取水升、タンクに設けられた外部につながる開口部、又は照明設備が未設置の建物に設けられた外部につながる開口部、又は照明装置を使用できない建物に設けられた外部につながる開口部であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の採光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光・自然光など外部の光を取り込みマンホール等の内部を照明する採光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中電線路の布設方法には、管路式、暗渠式、直接埋設式があり、管路式は数百メートルごとに地中箱(マンホール)を設け、ここでケーブルの引入れ、引抜き、接続さらには点検、保守が行われる。通常、マンホールには内部に入るための開口部が2つ設けられ、一方の開口部は入孔用、他方は換気用送風機の通風管を通すために使用される。マンホールの開口部は、通常、鉄蓋で塞がれている。タンクに設けられた人が出入りできる点検口などもマンホールと呼ばれるが、本明細書では特に断りのない限り、マンホールは前者、つまり地中箱の意味で使用する。
【0003】
マンホールに入孔する際は、2つの開口部を開口するため開口部から外部(地上)の光が入り込むがマンホール内部を十分に照らすには至らない。このため作業時には充電式の蛍光灯や可搬式発電機を使用した投光器などの照明器具が使用される。充電式の蛍光灯や投光器などの照明器具は、照射範囲が狭く光の当たった部分しか見えず、ケーブルの上部や裏側は見え難い。またマンホール内は狭いので照明器具が作業の支障になったり、照明器具の近くでは光が眩しく不快と感じることがある。
【0004】
共同溝、地下管路などには内部につながる人が出入りするための人孔が設けられているため、これを利用して外部(地上)の光を直接取り込み照明とすることができるが、照度が不十分でありマンホールと同様の課題が生じる。上記マンホール、共同溝などの照明の問題は、点検口から外部の光を取り込みタンク内で作業を行うような場合にも生じる。
【0005】
従来の充電式の蛍光灯や投光器などの照明器具に代わる、マンホール内の照明に利用可能な照明器具として、光源にLED素子を使用した複数個の棒状光源ユニットからなる工具用照明機器がある(例えば特許文献1参照)。また人が出入りするためのマンホール内を照らす照明装置もある(例えば特許文献2、特許文献3参照)。また自然光を利用しタンク内を照明する採光装置もある(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-76393号公報
【特許文献2】特開平10-110445号公報
【特許文献3】実用新案登録第3089260号公報
【特許文献4】特開2008-262887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3に記載の照明装置は、従来の充電式の蛍光灯や投光器などと同様の課題がある。特許文献4に記載の採光装置のように自然光、太陽光を利用した採光装置は、マンホール、共同溝などの内部を照らす照明装置として利用することができるが、内部を広範囲にまた効果的に照らすには工夫が必要である。またマンホール、共同溝に設けられた開口部又はこれらにつながる開口部を利用し外部の光を取り込む採光装置は、工事などのときに一時的に設置されるものであるから構造が簡単で設置、撤去が容易なものが好ましい。
【0008】
本発明の目的は、開口部から入り込む光を効果的に反射させ開口部につながる内部空間を広範囲にまた効果的に照らす採光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、開口部から入り込む光の一部を透過させ残りを反射させる、底なし円錐形状の第1反射板と、前記第1反射板の反射光を入射光とし、これをさらに広角に反射させる、天井面及び底面が開口した円錐台形状の第2反射板と、を備え、前記第1反射板は、表面(おもて面)が反射面であり、前記第2反射板は、裏面が反射面であることを特徴とする採光装置である。
【0010】
本発明の採光装置において、前記第1反射板の底部直径d1及び前記第2反射板の上部直径d2が、前記開口部の直径Dと同一又は前記開口部の直径Dよりも大きいことを特徴とする。
【0011】
本発明の採光装置において、前記第1反射板及び/又は第2反射板は、側面の大きさを可変可能なことを特徴とする。
【0012】
本発明の採光装置は、さらに前記開口部の外側に位置し、前記開口部の内側に位置する前記第1反射板と前記第2反射板とを支持する支持体と、前記支持体と前記第2反射板、前記第2反射板と前記第1反射板をつなぐ連結具と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の採光装置において、前記開口部がマンホール、暗渠、地下トンネル、共同溝、水路、洞道、取水升、タンクに設けられた外部につながる開口部、又は照明設備が未設置の建物に設けられた外部につながる開口部、又は照明装置を使用できない建物に設けられた外部につながる開口部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開口部から入り込む光を効果的に反射させ開口部につながる内部空間を広範囲にまた効果的に照らす採光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態の採光装置1の構成を説明するための図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の採光装置1の第1反射板10の斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の採光装置1の第2反射板30の斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の採光装置1の使用例を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態の採光装置1の第2反射板30の他の形態を説明するための図である。
【
図6】本発明の第2実施形態の採光装置2の構成を説明するための図である。
【
図7】本発明の第2実施形態の採光装置2で使用する支持体70及び連結具80の構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態の採光装置1の構成を説明するための図である。
図2は、採光装置1の第1反射板10の斜視図であり(A)は、上方から見た斜視図、(B)は、第1反射板10を裏から見た斜視図である。
図3は、採光装置1の第2反射板30を上方から見た斜視図であり、底面32の大きさが異なる第2反射板30を示す。
図4は、本発明の第1実施形態の採光装置1の使用例を示す図である。
図1では、採光装置1の構成が容易に理解できるように連結具65を長くし、支持体60と第2反射板30、第2反射板30と第1反射板10との間隔を広げ描いている。
【0017】
本発明の第1実施形態の採光装置1は、
図4の使用例に示すようにマンホール100に設けられた開口部105に取付け使用される採光装置であり、開口部105から入り込む自然光など外部の光を反射、拡散させる第1反射板10及び第2反射板30と、これら2つの反射板を支持する支持体60と、第1反射板10及び第2反射板30と支持体60とをつなぐ連結具65とを備える。
【0018】
第1反射板10は、開口部105から入射する光の一部を透過させ、その他の光を第2反射板30に向け反射する底なし円錐形状の反射板である。第1反射板10は、
図4に示すように頂点11を上方(開口部105側)に向けた状態で開口部105の下方であってマンホール100内に配置される。第1反射板10は、第2反射板30との関係では第2反射板30よりも下方である。
【0019】
第1反射板10の側面13の表面(おもて面)14は、開口部105から入射する光の一部を第2反射板30に向け反射する反射面であり、光反射性に優れる。第1反射板10の側面13の裏面15の光反射性は、特に限定されない。
図4に示す採光装置1の使用例において、第1反射板10の側面13の表面(おもて面)14は上面である。
【0020】
第1反射板10は、側面13全体に略均等に穿設された多数の円孔16を備え、開口部105から入射する光の一部はこの円孔16を通し、第1反射板10の下方を照らす。側面13に設けられた多数の円孔16は、光の透過手段であり、開口部105から入射する外部の光の一部を透過させる。透過手段は、これに限定されるものではなく、光が通過可能なスリットを設けてもよい。
【0021】
第1反射板10の材料には、アルミニウム、ステンレスなどの金属板、表面に金属を蒸着したプラスチック板、めっきが施された材料など不透明なものを使用し、表面(おもて面)14が鏡面仕上げされたものなど反射率の高いものを好適に使用することができる。第1反射板10は、吊り下げられるため薄く軽いものが好ましい。薄く軽い第1反射板10は、取り扱い、運搬の点からも好ましい。
【0022】
第1反射板10は、開口部105からの入射光を効率的に利用すべく底面(底部)18の直径d1は、開口部105の直径Dと略同一か大きい方が好ましい。略同一とは、同一又は実質的に同一とみなされることをいう(以下、同じ)。底面18の直径d1が開口部105の直径Dに比較して小さいと、開口部105から入射する光の一部が、第1反射板10に当たらないため効率が悪い。第1反射板10の頂角αは、第1反射板10と第2反射板30との間隔Δh、第2反射板30の底角θとの関係、さらには第2反射板30が照らす範囲、照度から適宜設定すればよい。
【0023】
第1反射板10の側面13の底部には、連結具65を固定するための貫通孔29を備える取付具28が設けられている。取付具28は、連結具65と同数設けられる。
【0024】
第2反射板30は、第1反射板10が反射する反射光を入射光とし、これをさらに広角に反射させる、天井面(上部)31及び底面(底部)32が開口した円錐台形状の反射板である。第2反射板30は、
図4に示すように天井面31が開口部105の底を覆うようにマンホール100内に配置される。
【0025】
第2反射板30の側面33の裏面34は、第1反射板10が反射した光をマンホール100内に向け広角に反射させる反射面であり、光反射性に優れ、第1反射板10が反射した光をマンホール100内に向け広角に反射させる。第2反射板30の材料には、アルミニウム、ステンレスなどの金属板、裏面に金属を蒸着したプラスチック板、めっきが施された材料など不透明なものを使用し、裏面34が鏡面仕上げされたものなど反射率の高いものを好適に使用することができる。第2反射板30も第1反射板10と同様に、吊り下げられるため薄く軽いものが好ましい。薄く軽い第2反射板30は、取り扱い、運搬の点からも好ましい。
【0026】
第2反射板30の天井面31の直径d2は、開口部105の直径Dと略同一か大きい方が好ましい。天井面31の直径d2が開口部105の直径Dに比較して小さいと、開口部105からマンホール100内に入る入射光の一部が遮られる。
【0027】
第2反射板30の底面32の直径d3は、光を照射したい範囲、照度から適宜設定すればよい。底面32の直径d3を大きくすると底角θが小さくなり、第2反射板30で反射された光が広角に広がり広範囲を照らすことができる。一方、底面32の直径d3を小さくすると底角θが大きくなり、第2反射板30で反射される光の広がりは狭くなるが、照度がアップする。ここで底角θは、底面32に対する側面33の角度である(
図4参照)。底面32の直径d3が、天井面31の直径d2よりも大きいことはいうまでもない。
【0028】
第2反射板30の側面33の高さHは、特に限定されるものでなく光を照射したい範囲、照度から適宜設定すればよい。
【0029】
第2反射板30の側面33の頂部には、第1反射板10と同様の、連結具65を固定するための貫通孔29を備える取付具28が設けられている。
【0030】
支持体60は、開口部105の外側に位置し、連結具65を介して連結される第1反射板10及び第2反射板30を支持する部材である。支持体60は、金属製の円形リングであり、支持体60の内径d4は、開口部105の直径Dと略同一か大きく、支持体50の外径d5は、開口部105の直径Dよりも大きい。このため支持体60は、開口部105を通過することはできず、マンホール100内に落下することはない。
【0031】
連結具65は、開口部105の外側に位置する支持体60とマンホール100内に位置する第1反射板10及び第2反射板30をつなぐものである。連結具65は、支持体60と第1反射板10及び第2反射板30とを確実につなぎ、第1反射板10及び第2反射板30を支持できればよく、特に限定されるものではない。取付け、取り外しが容易なものが好ましく、本実施形態のように開口部105がマンホール100の上方に位置する場合には、ロープ、紐、針金、棒材などを使用することができる。特にロープ、紐は、取扱いが容易で好ましい。
【0032】
本実施形態では、連結具65に4本のロープ65を用い、各ロープ65がそれぞれ支持体60と第2反射板30、さらには第2反射板30と第1反射板10をつなぐが、支持体60と第2反射板30とをつなぐ連結具65と、第2反射板30と第1反射板10とをつなぐ連結具65とを分けてもよい。
【0033】
採光装置1の開口部105への取付け要領を、
図4を参照しつつ説明する。支持体60に円周方向90°ピッチで4本のロープ65を結び付け、開口部105の外側であって開口部105を囲むように支持体60を置く。4本のロープ65は、マンホール100に向け垂らす。
【0034】
マンホール100内に持ち込まれた第2反射板30の天井面31が開口部105の底部を囲むように配置し、取付具28に4本のロープ65をそれぞれ通し、取付具28の下方でロープ65に結び目66を作る。これにより第2反射板30は、天井面31が開口部105の底部に接した状態でロープ65に吊り下げられる。
【0035】
同様に、マンホール100内に持ち込まれた第1反射板10の取付具28に、第2反射板30を吊り下げ残ったロープ65を通し、取付具28の下方でロープ65に結び目61を作る。これにより第1反射板10は、頂点11が開口部105を向いた状態でロープ65に吊り下げられる。
【0036】
本実施形態では開口部105が鉛直方向に伸びるので、連結具65にロープを好適に使用することができる。ロープ65を使用することで第1反射板10と第2反射板30との間隔Δhの調整も容易である。なおロープ65への第1反射板10及び第2反射板30の固定は、ロープ65に結び目66を作る代わりにロープ65に着脱自在なクリップを取付け、クリップで第1反射板10及び第2反射板30を支持してもよい。
【0037】
第1反射板10及び第2反射板30が開口部105を通過できない大きさの場合には、開口部105以外の場所からマンホール100内に第1反射板10及び第2反射板30を持ち込むか、第1反射板10及び第2反射板30をマンホール100内で組立てる必要がある。以下、分解・組立て可能な第1反射板10及び第2反射板30について説明する。
【0038】
図2に示す第1反射板10は、側面13が頂点11から底面18に向かって4分割された4つの分割体20で構成されている。1つの分割体20は、円孔16を有する湾曲した三角片である。第1反射板10の分割数は特に限定されるものではないが、少なくとも分割後の部材が開口部105を通過できる大きさであることが必要である。
【0039】
4つの分割体20は、それらを円錐形となるように突き合わせ裏面15からテープ24を貼付することで簡単に組み立てられる。このとき円孔16を潰さないようにテープ24を貼付する。分割体20の裏面15は、反射面として使用されないため、円孔16を潰さない範囲でテープ24を自由に貼付できる。第1反射板10は、薄くまた軽く、さらに
4つの分割体20を突き合わせると底辺が円となるので、分割体20同士をテープ24でつなぎ合わせるだけで十分に形状を保持することができる。
【0040】
4つの分割体20を円錐形となるように突き合わせテープ24を貼付しただけでは、変形することが懸念される場合には、
図2(B)に示すように頂部の裏面に同形の円錐駒26を取付けてもよい。円錐駒26の側面に分割体20の頂部裏面を沿わせることで、各分割体20のずれを防止できる。円錐駒26と分割体20とは例えば両面テープで接着する。
【0041】
さらに突き合わされテープ24で貼付された4つの分割体20の変形を防止すべく、
図2に示すように裏面15の底に番線27、針金、ロープ、結束バンド等を取付けてもよい。結束バンドは、配線等を束ねるために使用される輪の大きさを自由に設定できるバンドである。
図2では4つの分割体20の裏面15の底部に変形可能な金属片22を取り付け、この金属片22で底面18と略同一の大きさの円形の番線27を固定している。
【0042】
以上のように第1反射板10は、簡単な材料で簡単に組み立て、さらには変形防止・形状保持が行える。分解も容易で、第1反射板10を複数の分割体20とすることで運搬、取り扱いも容易になる。
【0043】
図3に示す第1反射板30は、側面33が天井面31から底面32に向かって8分割された8つの分割体40で構成されている。各分割体40は、湾曲した扇片である。第1反射板30の分割数は特に限定されるものではないが、少なくとも分割体40が開口部105を通過できる大きさであることが必要である。
【0044】
8つの分割体40は、それらを円錐台となるように突き合わせ表面(おもて面)41からテープ24を貼付することで簡単に組み立てられる。本実施形態において表面(おもて面)41は上面である。分割体40の表面(おもて面)41は反射面として使用されないためテープ24を自由に貼付できる。第1反射板30は、薄くまた軽く、さらに8つの分割体40を突き合わせると上辺及び底辺が円となるので、分割体40同士をテープ24でつなぎ合わせるだけで十分に円錐台形状を保持することができる(
図3(A)参照)。
【0045】
8つの分割体40を円錐台となるように突き合わせテープ24を貼付しただけでは、変形することが懸念される場合には、
図3に示すように表面(おもて面)41の天井面31及び底面32近傍に番線46、針金、ロープ、結束バンド等を取付けてもよい。
図3では8つの分割体40のそれぞれの表面(おもて面)41の上辺及び底辺近傍に番線46が挿通可能な短い柔軟性を有するパイプ45を取付け、これに天井面31と略同一の大きさの円形の番線46、底面32と略同一の大きさの円形の番線46を挿通している。
【0046】
以上のように第2反射板30は、簡単な材料で組み立て・分解が可能であり、さらには変形防止・形状保持も行える。第2反射板30を複数の分割体40とすることで運搬、取り扱いも容易になる。
【0047】
図3に示す第2反射板30のように、第2反射板30を複数の分割体40で構成した場合、
図3(B)に示すように隣りあう分割体40を部分的に重ね合わせ固定することもできる。これにより天井面31の直径を変更することなく、底面32の直径を簡単に縮径することができる。このように第2反射板30を複数の分割体40で構成することで側面33又は底角θの大きさを自由に変更することができる。このような隣りあう分割体を部分的に重ね合わせ固定することで底面の直径を縮径する方法、複数の分割体で構成することで側面又は底角θの大きさを変更する方法は、第1反射板10にも適用できる。
【0048】
図5は、第2反射板30の他の形態を説明するための図である。第2反射板30は、可撓性を有する一枚の円弧状の板材51からなる。板材51は、
図5(A)に示すように第2反射板30を展開した形状を有し、側辺52、53を突き合わせ、ここを固定することで
図1に示す第2反射板30を得ることができる。このような一枚の板材51は、
図5(B)に示すように丸めることができるので、丸めた状態で開口部105からマンホール100内に運び入れることができる。
【0049】
板材51は、側辺52、53を突き合わせ、ここをテープ24で固定することもできるが、
図5(C)に示すように左右の端部を重ねた状態で固定することもできる。ここでは左右それぞれの端部近傍にループを備える面ファスナ55、フックを備える面ファスナ56を取付け、面ファスナ55、56を用いて板材51の左右の端部を重ねた状態で固定している。面ファスナ55、56を用いることで板材51の左右の端部の重ね代を自由に設定することができる。これにより第2反射板30の側面33の大きさ、底角θを自由に変更することができる。
【0050】
図5では板材51の左右の端部の固定に面ファスナ55、56を使用するが、テープ24、番線27、針金等を用いて固定してもよい。また板材51の左右の端部を固定するとき、あるいは端部の重ね代を固定するとき底をクリップで固定してもよい。また面ファスナ55、56とテープ24など複数の固定手段を併用してもよい。
【0051】
図6は、本発明の第2実施形態の採光装置2の構成を説明するための図である。
図7は、本発明の第2実施形態の採光装置2で使用する支持体70及び連結具80の構造を説明するための図である。
図7において(A)は支持体70の平面図、(B)は縮めた状態の連結具80の正面図、(C)は伸ばした状態の連結具80に支持体70を取付けた状態を示す正面図である。
図1から
図5に示す第1実施形態の採光装置1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
第2実施形態の採光装置2の基本構成は、第1実施形態の採光装置1と同じであり、第1反射板10と第2反射板30と支持体70及び連結具80を備える。採光装置2で使用する第1反射板10及び第2反射板30は、第1実施形態の採光装置1の第1反射板10及び第2反射板30と同一である。
【0053】
第2実施形態の採光装置2は、支持体70及び連結具80が第1実施形態の採光装置1と異なる。第1実施形態の採光装置1では、リング状の支持体60、ロープなどの連結具65を使用するが、ここでは爪(フック)75を備える支持体70と、伸縮自在な棒状の連結具80を使用する。
【0054】
支持体70は、開口部105の外側に位置し、開口部105の凹部110に爪75を引掛け、連結具80を介して吊り下げられる第2反射板30、第2反射板30と連結する第1反射板10を支持する。支持体70は、洗濯バサミのような構造からなるクリップ72と、クリップ72の挟持片73の反先端部側の側面に取付けられたマグネット77と、挟持片73の底部に取付けられた爪75とを備えてなる。クリップ72は、一対の挟持片73の先端部74が開閉自在であり、ここで連結具80を挟むことができる。
【0055】
連結具80は、直径の異なる棒材81、82、83が摺動自在に連結され、棒材83の底部にはボルト84が取付けられている。棒材81は、一定以上の力を加えることで棒材82から引出し、また棒材82に押し込むことができる。同様に棒材82は、一定以上の力を加えることで棒材83から引出し、また棒材83に押し込むことができる。
【0056】
ボルト84は、連結具80を第2反射板30に取付けるための部材である。ボルト84を第2反射板30に設けられた取付具28の貫通孔29に挿通し、取付具28を挟むように上下からナット86を締め付けることで、連結具80を第2反射板30に固定することができる。
【0057】
採光装置2の開口部105への取付け要領を、
図6を参照しつつ説明する。マンホール100内に持ち込まれた第2反射板30に連結具80を取り付け、連結具80の棒材81の先端が開口部105の外に出るように連結具80を伸ばす。連結具80の先端に支持体70を取付け、爪75を鉄蓋枠106の凹部110に引掛ける。支持体70は、爪75が凹部106に嵌り込み、さらにマグネット77が、鉄蓋枠106に吸着するので脱落することはない。
【0058】
連結具80に吊り下がった状態の第2反射板30の天井面31が開口部105の底部に接するように連結具80を縮める。第1反射板30は、ロープなどの連結具65を用いて第2反射板30と連結し、第2反射板30に吊り下げる。
【0059】
上記のとおり、第1実施形態の採光装置1及び第2実施形態の採光装置2は、開口部105から入り込む光を効果的に反射させ、開口部105につながるマンホール100内を広範囲にまた効果的に照らすことができる。第1実施形態の採光装置1及び第2実施形態の採光装置2は、構造が簡便で開口部105への取付け・取り外し、さらには第1反射板10及び第2反射板30の組立て・分解も容易である。また第1反射板10の側面13及び第2反射板30の側面33の大きさを可変可能で、第1反射板10及び第2反射板30の底角θの大きさを調整可能なため照射範囲及び照度を自由に調節でき実用性に優れる。
【0060】
以上、第1及び第2実施形態の採光装置1、2を用いて本発明に係る採光装置を説明したが、本発明に係る採光装置は、本実施形態に限定されるものではない。要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
【0061】
上記実施形態では第2反射板30の分割体40、あるいは板材51を部分的に重ね合せ側面33の大きさを収縮させる例を示したが、分割体40あるいは板材51を追加し第2反射板30の側面33を拡張させてもよい。この点は、第1反射板10においても同じである。
【0062】
上記実施形態では第1反射板10及び第2反射板30に板材を用いているが、板材に代えて、枠・骨組みにフィルムを貼り付けて第1反射板10及び第2反射板30を製作してもよい。また上記実施形態では第1反射板10及び第2反射板30の板材、分割体20、40の接合にテープ24を使用しているが、接合方法はこれに限定されるものではない。板材に孔を設けボルトを挿通しナットで固定する方法、接着剤を用いた接合、さらには当て板を用いテープ、ボルト・ナット、接着剤で接合してもよい。
【0063】
第1実施形態の採光装置1において、金属製で円形リングの支持体60を使用するが、支持体60の材質、形状はこれに限定されるものではない。支持体60は、連結具65が固定可能で、連結具65を介して第1反射板10及び第2反射板30を確実に支持することができればよい。
【0064】
連結具80は、直径の異なる棒材81、82、83を摺動自在に連結し、一定以上の力を加えることで伸縮させるが、棒材81、82、83をねじ機構で連結し、回転させることで長さを変更するようにしてもよい。
【0065】
第1及び第2実施形態の採光装置1、2では、マンホール100に設けられた開口部105に採光装置1、2を取付ける例を示したが、第1及び第2実施形態の採光装置1、2の使用先はこれに限定されるものではない。マンホール以外に暗渠、地下トンネル、共同溝、水路、洞道、取水升、タンクに設けられた外部につながる開口部、又は照明設備が未設置の建物に設けられた外部につながる開口部、又は照明装置を使用できない建物に設けられた外部につながる開口部等に取付け使用することができる。開口部の種類、形状、用途も特に限定されない。
【0066】
採光装置1、2の取付先である開口部もマンホールのように鉛直方向に設けられたものに限定されず、傾斜したもの、水平に設けられたものであってもよい。傾斜して設けられた開口部、水平方向に設けられた開口部に設置する場合には、連結具に金属棒など容易に変形しないものを用いて第1反射板、第2反射板を連結する。また支持体には開口部の外部にしっかりと固定可能なものを用いればよい。
【0067】
第1及び第2実施形態の採光装置1、2では、マンホール100に設けられた開口部105に採光装置1、2を取付けるため、外部は地上であり、外部の光は基本的に自然光、太陽光、昼光となるが、本発明に係る採光装置において、外部は、地上を含む光が照射されている場所をいう。また外部の光には、自然光、太陽光、昼光の他、開口部の外に設置された投光器などの照明装置が発する光も含まれる。
【0068】
第1及び第2実施形態の採光装置1、2では開口部の外側に位置する支持体、それにつながる連結具を用いて第1反射板、第2反射板を支持、固定するが、支持体及びそれにつながる連結具を使用することなく他の手段により第1反射板、第2反射板を所定の位置に固定してもよい。これは傾斜して設けられた開口部、水平方向に設けられた開口部に採光装置を設置する場合も同様である。
【0069】
第1及び第2実施形態の採光装置1、2では、マンホール100の上方に設けられた開口部105に採光装置1、2を取付けるため上方、下方との表現を用いたが、採光装置1、2を水平方向に取付ける場合も含め、第2反射板30が上流、第1反射板10が下流に位置する。ここで上流とは開口部105に近い位置である。また第1反射板10の表面(おもて面)14は、開口部105から入り込む入射光に対向し、第2反射板30の裏面32は、第1反射板10の表面(おもて面)14に対向する。
【0070】
図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0071】
1、2 採光装置
10 第1反射板
14 おもて面
16 円孔
20 分割体
24 テープ
30 第2反射板
31 天井面
32 底面
33 側面
34 裏面
40 分割体
51 板材
60、70 支持体
65、80 連結具
100 マンホール
105 開口部
D 開口部の直径
d1 第1反射板10の底面直径
d2 第2反射板30の天井面直径
d3 第2反射板30の底面直径
d4 支持体60の内径
d5 支持体60の外径
α 第1反射板10の頂角
θ 第2反射板30の底角