(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082123
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】台所用液体洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C11D 3/43 20060101AFI20220525BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20220525BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20220525BHJP
C11D 3/34 20060101ALI20220525BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20220525BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20220525BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20220525BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
C11D3/43
C11D17/04
C11D1/22
C11D3/34
C11D1/75
C11D17/08
C11D3/30
C11D1/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193489
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】三谷 絵美
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC15
4H003AD05
4H003BA12
4H003BA21
4H003DA17
4H003DB02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB14
4H003EB22
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA01
4H003FA02
4H003FA04
4H003FA26
4H003FA28
4H003FA36
(57)【要約】
【課題】スプレーした際にムセにくく、機械力をかけなくても固体脂に対する洗浄力に優れる台所用液体洗浄剤の提供。
【解決手段】本発明の台所用液体洗浄剤は、トリガー式スプレー容器に収容されて用いられる台所用液体洗浄剤であって、(A)成分:アルキル基の炭素数が8~18であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を含むアニオン界面活性剤と、(B)成分:25℃の水に対する溶解度が0.1~20g/100mLである有機溶剤と、(C)成分:炭素数6~9の芳香族スルホン酸又はその塩、及び炭素数7~10の芳香族カルボン酸又はその塩から選択される1種以上と、(D)成分:両性界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選択される1種以上と、水と、を含有し、前記(B)成分/(前記(A)成分+前記(C)成分)で表される質量比が0.1~15である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガー式スプレー容器に収容されて用いられる台所用液体洗浄剤であって、
(A)成分:アルキル基の炭素数が8~18であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を含むアニオン界面活性剤と、
(B)成分:25℃の水に対する溶解度が0.1~20g/100mLである有機溶剤と、
(C)成分:炭素数6~9の芳香族スルホン酸又はその塩、及び炭素数7~10の芳香族カルボン酸又はその塩から選択される1種以上と、
(D)成分:両性界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選択される1種以上と、
水と、を含有し、
前記(B)成分/(前記(A)成分+前記(C)成分)で表される質量比が0.1~15である、台所用液体洗浄剤。
【請求項2】
前記(A)成分/前記(C)成分で表される質量比が0.05~30である、請求項1に記載の台所用液体洗浄剤。
【請求項3】
前記(B)成分がベンジルアルコール、フェニルグリコール及びフェニルジグリコールから選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載の台所用液体洗浄剤。
【請求項4】
前記(A)成分/前記(D)成分で表される質量比が0.1~100である、請求項1~3のいずれか一項に記載の台所用液体洗浄剤。
【請求項5】
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩がアルキルベンゼンスルホン酸のアルカノールアミン塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の台所用液体洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所用液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗いや、レンジ、コンロ等の掃除に用いられる台所用洗剤は、食器洗いや掃除をより簡便に行うために、洗浄力が高いこと、特に油汚れが落ちやすいことが望まれている。また、食器洗いや掃除をより簡便に行えるように、台所用洗剤が収容される容器に関してもより手軽さを重視したスプレー型洗剤が提案されている。
【0003】
従来、界面活性剤の種類やこれらの組合せ、アルカリ剤の添加剤等によって、台所用洗剤の油汚れに対する洗浄力等の検討がなされている。
例えば特許文献1には、非水溶性有機溶剤、アミン類、ピロリドン化合物、多価アルコール、アニオン系界面活性剤及び水を含有する、グリル、オーブン等の油脂や油汚れを洗浄するのに適したスプレー型の洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、アニオン界面活性剤とキレート剤を組み合わせたスプレー型洗剤により、固体脂を含む油汚れを機械力なしで洗浄できる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-12992号公報
【特許文献2】特開2017-214545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベンジルアルコール等の非水溶性有機溶剤を含む洗浄剤組成物は、スプレー時にその微粒子を吸引するとムセを生じるという課題がある。
引用文献2に記載のスプレー型洗剤は、牛脂等の固体脂と菜種油等の液体油とを混合した油汚れに対する洗浄力には優れるものの、固体脂のみの油汚れに対する洗浄力が、機械力をかけない場合は不充分である。
本発明は、スプレーした際にムセにくく、機械力をかけなくても固体脂に対する洗浄力に優れる台所用液体洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1] トリガー式スプレー容器に収容されて用いられる台所用液体洗浄剤であって、
(A)成分:アルキル基の炭素数が8~18であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を含むアニオン界面活性剤と、
(B)成分:25℃の水に対する溶解度が0.1~20g/100mLである有機溶剤と、
(C)成分:炭素数6~9の芳香族スルホン酸又はその塩、及び炭素数7~10の芳香族カルボン酸又はその塩から選択される1種以上と、
(D)成分:両性界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選択される1種以上と、
水と、を含有し、
前記(B)成分/(前記(A)成分+前記(C)成分)で表される質量比が0.1~15である、台所用液体洗浄剤。
[2] 前記(A)成分/前記(C)成分で表される質量比が0.05~30である、前記[1]の台所用液体洗浄剤。
[3] 前記(B)成分がベンジルアルコール、フェニルグリコール及びフェニルジグリコールから選択される1種以上を含む、前記[1]又は[2]の台所用液体洗浄剤。
[4] 前記(A)成分/前記(D)成分で表される質量比が0.1~100である、前記[1]~[3]のいずれかの台所用液体洗浄剤。
[5] 前記アルキルベンゼンスルホン酸塩がアルキルベンゼンスルホン酸のアルカノールアミン塩である、前記[1]~[4]のいずれかの台所用液体洗浄剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スプレーした際にムセにくく、機械力をかけなくても固体脂に対する洗浄力に優れる台所用液体洗浄剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の台所用液体洗浄剤は、以下に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び水を含有する組成物であり、トリガー式スプレー容器に収容されて用いられる。台所用液体洗浄剤は、必要に応じて(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び水以外の任意成分をさらに含有してもよい。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、アルキル基の炭素数が8~18であるアルキルベンゼンスルホン酸塩(以下、「LAS塩」ともいう。)を含むアニオン界面活性剤である。
台所用液体洗浄剤がLAS塩を含有することで、台所用洗剤の基本性能として必要な油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力を発揮できる。加えて、LAS塩は、後述の(C)成分と組み合わせて用いることで、主に後述の(B)成分に起因するスプレー時に生じるムセを抑制できる。
【0010】
LAS塩におけるアルキル基の炭素数は8~18であり、10~15が好ましい。また、アルキル基は直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。これらの中でも、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力が向上する観点から、アルカノールアミン塩が好ましく、トリエタノールアミン塩がより好ましい。
LAS塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0011】
LAS塩は、例えばアルキル基の炭素数が8~18であるアルキルベンゼンスルホン酸(以下、「LAS酸」ともいう。)をトリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等の中和剤で中和することで得られる。また、LAS酸を含む台所用液体洗浄剤をトリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等の中和剤で中和することで、台所用液体洗浄剤中でLAS酸を中和してLAS塩とすることもできる。
【0012】
LAS塩の含有量は、(A)成分の総質量に対して30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、80質量%がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。(A)成分中のLAS塩の含有量が上記範囲内であれば、台所用洗剤の基本性能として必要な油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力を充分に発揮できる。加えて、(C)成分と併用することで、主に(B)成分に起因するスプレー時に生じるムセをより抑制できる。
【0013】
LAS塩の含有量は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して0.72~30質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましく、4~8質量%がさらに好ましい。台所用液体洗浄剤中のLAS塩の含有量が上記範囲内であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより向上する。特に、台所用液体洗浄剤中のLAS塩の含有量が上記上限値以下であれば、台所用液体洗浄剤が均一になりやすい。
【0014】
(A)成分は、LAS塩以外のアニオン界面活性剤(以下、「他のアニオン界面活性剤」ともいう。)を含んでいてもよい。
他のアニオン界面活性剤としては、スルホン酸塩型のアニオン界面活性剤(ただし、LAS塩を除く。)、硫酸エステル塩型のアニオン界面活性剤、カルボン酸塩型のアニオン界面活性剤、リン酸エステル塩型のアニオン界面活性剤などが挙げられる。
他のアニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0015】
スルホン酸塩型のアニオン界面活性剤は、分子内に-SO3
-X+(ここでX+は金属イオンを表す)を有するアニオン界面活性剤である。スルホン酸塩型のアニオン界面活性剤としては、例えばアルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸などが挙げられる。
硫酸エステル塩型のアニオン界面活性剤は、分子内に-O-SO3
-X+(ここでX+は金属イオンを表す)を有するアニオン界面活性剤である。硫酸エステル塩型のアニオン界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。
カルボン酸塩型のアニオン界面活性剤は、分子内に-CO2
-X+(ここでX+は金属イオンを表す)を有するアニオン界面活性剤である。カルボン酸塩型のアニオン界面活性剤としては、例えばアルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、アミノ酸系アニオン界面活性剤などが挙げられる。なお、カルボン酸塩型のアニオン界面活性剤は、石鹸(高級脂肪酸塩)を含まないことが好ましい。
他のアニオン界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
他のアニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0016】
他のアニオン界面活性剤は、炭素数8~18のアルキル基又は炭素数8~18のアルケニル基を有することが好ましく、炭素数8~18のアルキル基を有することがより好ましい。前記アルキル基及び前記アルケニル基は、それぞれ直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
また、他のアニオン界面活性剤において、ポリオキシアルキレン基の平均繰り返し数は、1~20が好ましく、1~3がより好ましい。オキシアルキレン基としては、炭素数2~3が好ましく、具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が挙げられる。
【0017】
LAS塩及び他のアニオン界面活性剤の合計、すなわち、(A)成分の含有量は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して0.72~31質量%が好ましく、3~16質量%がより好ましく、4~8質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記範囲内であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより向上する。特に、(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、台所用液体洗浄剤が均一になりやすい。
【0018】
<(B)成分>
(B)成分は、25℃の水に対する溶解度が0.1~20g/100mLである有機溶剤である。
(B)成分は、適度に疎水的であり油汚れとの親和性が高く、(A)成分及び後述の(D)成分と組み合わせて用いることで、機械力をかけなくても優れた油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力を発揮できる。
【0019】
(B)成分の25℃の水に対する溶解度は0.1~20g/100mLであり、0.5~10g/100mLが好ましく、1~5g/100mLがより好ましい。溶解度が上記下限値以上であれば、台所用液体洗浄剤中に均一に溶解しやすく、優れた油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力を発揮できる。溶解度が上記上限値以下であれば、機械力をかけなくても優れた油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力を発揮できる。
【0020】
(B)成分としては、25℃の水に対する溶解度が上記範囲内であれば特に制限されないが、例えばアルコール類、グリコールエーテル類が好ましい。
アルコール類としては、例えば2-メチル-1-ブタノール(3)、2-メチル-2-ブタノール(12.5)、3-メチルブタノール(2.7)、2-エチル-1-ヘキサノール(0.1)、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール(0.3)、ベンジルアルコール(3.5)、フェネチルアルコール(2)などが挙げられる。
グリコールエーテル類としては、例えば2-エチルヘキシルグリコール(0.2)、2-エチルヘキシルジグリコール(0.3)、ヘキシルグリコール(0.99)、ヘキシルジグリコール(1.7)、フェニルグリコール(2.7)、フェニルジグリコール(3.4)、ベンジルグリコール(0.4)、ブチルジグリコールアセテート(6.5)、プロピルプロピレンジグリコール(4.8)、ブチルプロピレングリコール(6.4)、ブチルプロピレンジグリコール(3.0)、ブチルプロピレントリグリコール(0.4)、フェニルプロピレングリコール(0.2)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(0.3)などが挙げられる。
なお、化合物名の後ろのカッコ内の数値は、その化合物の25℃の水に対する溶解度(単位:g/100mL)である。
【0021】
(B)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力が高まる観点から、(B)成分としてはベンジルアルコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコールが好ましく、ベンジルアルコール、フェニルグリコールがより好ましく、フェニルグリコールが特に好ましい。
【0022】
(B)成分の含有量は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して0.1~30質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより向上する。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、スプレー時に生じるムセをより抑制できる。
【0023】
<(C)成分>
(C)成分は、炭素数6~9の芳香族スルホン酸又はその塩、及び炭素数7~10の芳香族カルボン酸又はその塩から選択される1種以上である。
(C)成分は、(A)成分と組み合わせて用いることで、スプレー時に生じるムセを抑制できる。
【0024】
炭素数6~9の芳香族スルホン酸又はその塩としては、例えばo-キシレンスルホン酸、m-キシレンスルホン酸等のキシレンスルホン酸又はその塩、o-トルエンスルホン酸、m-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のトルエンスルホン酸又はその塩、m-クメンスルホン酸、p-クメンスルホン酸等のクメンスルホン酸又はその塩、メシチレンスルホン酸又はその塩などが挙げられる。
炭素数7~10の芳香族カルボン酸又はその塩としては、例えば安息香酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、フタル酸又はその塩、イソフタル酸又はその塩、テレフタル酸又はその塩、p-オキシ安息香酸メチル、p-オキシ安息香酸エチル、p-オキシ安息香酸n-プロピル、p-オキシ安息香酸イソプロピル、β-オキシナフトエ酸、及びこれらのエステルなどが挙げられる。
芳香族スルホン酸及び芳香族カルボン酸の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0025】
(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、スプレーした際にムセをより抑制する観点から、(C)成分としてはキシレンスルホン酸又はその塩、トルエンスルホン酸又はその塩、クメンスルホン酸又はその塩、メシチレンスルホン酸又はその塩、安息香酸又はその塩が好ましく、トルエンスルホン酸又はその塩がより好ましく、p-トルエンスルホン酸又はその塩が特に好ましい。
【0026】
(C)成分の含有量は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して0.48~15質量%が好ましく、2~6質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲内であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力と、スプレー時に生じるムセの抑制を両立しやすくなる。特に、(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、スプレー時に生じるムセをより抑制できる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより向上する。
【0027】
<(D)成分>
(D)成分は、両性界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選択される1種以上である。
(D)成分は、(A)成分及び(B)成分と組み合わせて用いることで、機械力をかけなくても優れた油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力を発揮できる。
【0028】
両性界面活性剤としては、例えばカルボン酸塩型の両性界面活性剤、硫酸エステル塩型の両性界面活性剤、スルホン酸塩型の両性界面活性剤、リン酸エステル塩型の両性界面活性剤などが挙げられる。
両性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより高まる観点から、両性界面活性剤としては、カルボン酸塩型の両性界面活性剤、スルホン酸塩型の両性界面活性剤が好ましく、カルボン酸塩型の両性界面活性剤がより好ましい。
【0029】
カルボン酸塩型の両性界面活性剤として具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルスルホベタイン等のベタイン型の両性界面活性剤が挙げられる。
スルホン酸塩型の両性界面活性剤として具体的には、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン型の両性界面活性剤などが挙げられる。
カルボン酸塩型の両性界面活性剤及びスルホン酸塩型の両性界面活性剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0030】
アミンオキシド型界面活性剤はとしては、例えばアルキルアミンオキシド型界面活性剤、アルカノイルアミドアルキルアミンオキシド型界面活性剤などが挙げられる。
アミンオキシド型界面活性剤としては、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)が好ましい。
R1-(A)p-N(-R2)(-R3)→O ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数8~18のアルキル基又は炭素数8~18のアルケニル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、Aは-C(=O)-NH-R4-、-NH-C(=O)-R4-、-C(=O)-O-R4-、-O-C(=O)-R4-又は-O-R4-であり、R4は炭素数1~4のアルキレン基であり、pは0又は1の数である。)
【0031】
式(1)中、R1におけるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ8~18であり、10~14が好ましい。
R1におけるアルキル基及びアルケニル基は、それぞれ直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
R1としては、炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数10~14の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0032】
R2及びR3におけるアルキル基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は、それぞれ1~3であり、1~2が好ましく、1がより好ましい。
R2及びR3におけるヒドロキシアルキル基中のヒドロキシ基の数は、1つでも2つ以上でもよい。
R2及びR3としては、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R2及びR3がいずれもメチル基であることがさらに好ましい。
【0033】
Aは-C(=O)-NH-R4-、-NH-C(=O)-R4-、-C(=O)-O-R4-、-O-C(=O)-R4-又は-O-R4-であり、-C(=O)-NH-R4-が好ましい。
pは、0又は1の数であり、0が好ましい。
【0034】
化合物(1)の具体例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド(n-ドデシルジメチルアミンオキシド)、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
化合物(1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、ラウリルジメチルアミンオキシドが好ましい。
【0035】
(D)成分の含有量は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して0.03~10質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲内であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力と、スプレー時に生じるムセの抑制を両立しやすくなる。
【0036】
<水>
水としては、イオン交換水、蒸留水、水道水などを使用することができる。
水は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0037】
水の含有量は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して50~95質量%が好ましく、66~86質量%がより好ましい。水の含有量が上記範囲内であれば、台所用液体洗浄剤を調製しやすい。加えて、台所用液体洗浄剤を使用する際に、水への溶解性がより良好となる。
【0038】
<任意成分>
台所用液体洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び水以外の任意成分をさらに含有してもよい。
任意成分としては、従来の食器を洗浄するための洗浄剤に用いられる成分であれば特に制限されないが、例えばノニオン界面活性剤(以下、「(E)成分」ともいう。)、カチオン界面活性剤、キレート剤、ハイドロトロープ剤、防腐剤、pH調整剤などが挙げられる。
【0039】
((E)成分)
(E)成分は、ノニオン界面活性剤である。
台所用液体洗浄剤が(E)成分を含有することで、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより高まる。
(E)成分としては、例えば下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤、高級アミン等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、ソルビタン脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシドなどが挙げられる。
R5-X-(R6O)t-R7 ・・・(2)
(式(2)中、R5は炭素数8~18の炭化水素基であり、Xは2価の連結基であり、R6は炭素数1~3の炭化水素基であり、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、tはR6Oの平均繰り返し数を表し、1~10の数である。)
【0040】
式(2)中、R5における炭化水素基の炭素数は8~18であり、10~18が好ましく、13~15がより好ましい。R5における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R5における炭化水素基は分岐鎖を含むことが好ましい。
R5が分岐鎖状の炭化水素基を含む場合、R5の側鎖の平均数は、0.2~2が好ましく、0.5~1.5が好ましい。
R5の側鎖の平均数(以下、「平均分岐数」ともいう。)は、1分子の(E)成分のメチル基数から1を引いた数として定義される。平均分岐数は、(E)成分における側鎖の数(分岐数)の統計的平均値である。(E)成分の平均メチル基数は、1H-NMR分光分析により容易に測定される。本明細書における平均分岐数は、下記式(i)によって算出される。すなわち、平均分岐数は、1H-NMRスペクトル中のメチルプロトン(CH3基)に対応するシグナル領域を3で除し、この値と、2で除したCH2-OH基のメチレンプロトンのシグナル領域とを比較により求められる値である。
平均分岐数={(CH3基のメチルプロトンに対応するシグナル領域の積分値/3)-(CH2-OH基のメチレンプロトンに対応するシグナル領域の積分値/2)}/(CH2-OH基のメチレンプロトンに対応するシグナル領域の積分値/2) ・・・(i)
なお、1H-NMR分光分析においては、測定対象((E)成分)を重水又は重クロロホルムに溶解し、試料濃度を30質量%とする。これを1H-NMR(例えば、JEOL社製の製品名「JNM―LA300 FT NMR SYSTEM」)により、測定する。
【0041】
R5における炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。これらアルキル基及びアルケニル基は単独で混合されていてもよい。
また、R5は天然アルコール由来でもよく、合成アルコール由来でもよい。天然アルコールとしては、例えばヤシ油高級アルコール、CO1270Aなどが好適である。合成アルコールとしては、例えば市販されているドバノール、サフォール、ネオドール、ダイアドール、ルテンゾール等の合成アルコールが好適である。
【0042】
R6における炭化水素基の炭素数は1~3であり、2~3が好ましく、2がより好ましい。
R6における炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
tは、1~10の数であり、2~5が好ましく、2~3がより好ましい。
tが2以上の場合、2以上のR6Oは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。2以上のR6Oが異なる場合、これらはブロック状に配列していてもよいし、ランダム状に配列していてもよい。
【0043】
-X-としては、-O-、-COO-、-CONH-などが挙げられるこれらの中でも、-X-としては-O-が好ましい。
R7におけるアルキル基の炭素数は、1~6であり、1~3が好ましい。
R7におけるアルケニル基の炭素数は、2~6であり、2~3が好ましい。
-X-が-O-である場合、R7は水素原子が好ましい。
-X-が-COO-である場合、R22は炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
【0044】
(E)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(E)成分としては、本発明の効果が得られやすいことから、式(2)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレン(炭素数2~3)アルキル(炭素数8~18)エーテル(アルキレンオキシド平均付加モル数2~5)がより好ましく、ポリオキシアルキレン(炭素数2~3)アルキル(炭素数8~18)エーテル(アルキレンオキシド平均付加モル数2~3)がさらに好ましい。その中でも特に、炭素数13~15のアルキル基中に平均分岐数0.5~1.5含むオキソアルコールのエチレンオキシド付加物(平均2~5モル)が好ましく、さらにエチレンオキシド付加物(平均2~3モル)が特に好ましい。
(E)成分としては、市販品を用いることができ、例えばBASF社製のLutensolAOシリーズが好適である。
【0045】
(カチオン界面活性剤)
カチオン界面活性剤としては特に限定されず、公知のものを使用することができる。
カチオン界面活性剤としては、具体的には、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアロイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシブチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、トリ(ステアロイルオキシエチル)メチルメトサルフェートなどが挙げられる。なお、「牛脂アルキル」基の炭素数は14~18である。
カチオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(キレート剤)
キレート剤としては特に限定されず、公知のものを使用することができる。
キレート剤としては、具体的には、分子量が800以下である低分子キレート剤、重量平均分子量が800を超える高分子キレート剤などが挙げられる。
低分子キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、β-アラニン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸、セリン二酢酸、アスパラギン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、トリポリリン酸、又はこれらの塩などが挙げられる。
高分子キレート剤としては、例えばマレイン酸とアクリル酸との共重合体(以下「マレイン酸/アクリル酸共重合体」ともいう。)又はその塩が好適に挙げられる。
キレート剤を構成する塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
キレート剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ガラスコップ等の茶渋汚れに対する洗浄力が高まりやすいことから、低分子キレートが好ましい。
【0047】
(ハイドロトロープ剤)
ハイドロトロープ剤(ただし、(B)成分及び(C)成分を除く。)としては、例えば炭素数2~4の1価アルコール、炭素数2~4の2価アルコール、炭素数4~10のグリセリルエーテルなどが挙げられる。
炭素数2~4の1価アルコールとしては、例えばエタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
炭素数2~4の2価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
炭素数4~10のグリセリルエーテルとしては、例えばグリセリン、ヘキシルグリセリルエーテルなどが挙げられる。
ハイドロトロープ剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0048】
(防腐剤)
防腐剤としては、例えばベンズイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、ブチルベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリン系防腐剤などが挙げられる。
防腐剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましく、これらを併用することがより好ましい。
【0049】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸などが挙げられる。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0050】
(その他)
上述した以外にも、任意成分として、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等の無機ビルダー、香料、色素、ラジカルトラップ剤、酵素等を台所用液体洗浄剤に配合することができる。
【0051】
<質量比・含有量>
(B)成分/((A)成分+(C)成分)で表される質量比(以下、「B/(A+C)比」ともいう。)は、0.1~15であり、0.1~7.5が好ましく、0.3~1.5がより好ましい。B/(A+C)比が上記下限値以上であれば、機械力をかけなくても優れた油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力を発揮できる。B/(A+C)比が上記上限値以下であれば、スプレーした際にムセにくくなる。
【0052】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「A/B比」ともいう。)は、0.033~10が好ましく、0.033~6.15がより好ましく、0.4~1.2がさらに好ましい。A/B比が上記範囲内であれば、機械力をかけなくてもより優れた油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力を発揮できると共に、スプレーした際によりムセにくくなる。
【0053】
(A)成分/(C)成分で表される質量比(以下、「A/C比」ともいう。)は、0.05~30が好ましく、0.2~30がより好ましく、0.5~5がさらに好ましい。A/C比が上記範囲内であれば、スプレーした際によりムセにくくなる。特に、A/Cが上記上限値以下であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力が高まる。
【0054】
(A)成分/(D)成分で表される質量比(以下、「A/D比」ともいう。)は、0.1~100が好ましく、0.2~100がより好ましく、4~100がさらに好ましい。A/D比が上記範囲内であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより高まると共に、スプレーした際によりムセにくくなる。特にA/Dが上記上限値以下であれば、ゲル化を抑制できる。
【0055】
(A)成分及び(B)成分の含有量の合計(以下、「A+B」ともいう。)は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して、0.82~31.1質量%が好ましく、9~31質量%がより好ましく、12~23質量%がさらに好ましい。A+Bが上記下限値以上であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより高まる。A+Bが上記上限値以下であれば、スプレーした際によりムセにくくなる。
【0056】
(A)成分及び(C)成分の含有量の合計(以下、「A+C」ともいう。)は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して、1.2~31.5質量%が好ましく、5~17質量%がより好ましく、5~14質量%がさらに好ましい。A+Cが上記下限値以上であれば、スプレーした際によりムセにくくなる。A+Cが上記上限値以下であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより高まる。
【0057】
(A)成分及び(D)成分の含有量の合計(以下、「A+D」ともいう。)は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して、0.75~31.03質量%が好ましく、0.75~16質量%がより好ましく、3~9質量%がさらに好ましい。A+Dが上記下限値以上であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより高まる。A+Dが上記上限値以下であれば、スプレーした際によりムセにくくなる。
【0058】
台所用液体洗浄剤に含まれるすべての界面活性剤の含有量の合計(以下、「総界面活性剤量」ともいう。)は、台所用液体洗浄剤の総質量に対して、0.75~31.03質量%が好ましく、1.5~17質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。総界面活性剤量が上記範囲内であれば、油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力がより高まると共に、スプレーした際によりムセにくくなる。
【0059】
<製造方法>
台所用液体洗浄剤の製造方法としては特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができる。例えば、水の一部に、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分と、必要に応じてpH調整剤以外の任意成分とを加えて溶解させ、必要に応じてpH調整剤にて所望のpHに調整した後、水の残部を加えることによって製造できる。
【0060】
<pH>
台所用液体洗浄剤の25℃におけるpHは5~10が好ましく、6~8がより好ましい。台所用液体洗浄剤のpHが上記範囲内であれば、スプレーした際によりムセにくくなる。
台所用液体洗浄剤のpHは、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値を示す。
【0061】
<トリガースプレー容器>
本発明の台所用液体洗浄剤は、トリガー式スプレー容器に収容されて用いられる。
トリガー式スプレー容器としては特に制限されるものではなく、一般的な洗浄剤製品(トリガー式スプレー容器に洗浄剤が収容されたもの)に用いられている容器(スプレーヤー)を用いることができる。
トリガー式スプレー容器としては、具体的には台所用液体洗浄剤を霧状に吐出できるものであればよい。また、霧状にも泡状にも吐出できる、これらの切り替えが可能なものでもよい。また、台所用液体洗浄剤を広範囲に吐出するワイドパターンと、狭範囲に吐出するナローパターンとの切り替えが可能なものでもよい。
また、トリガー式スプレー容器は公知の機構のものが使用でき、直圧型であっても蓄圧型であってもよい。トリガー式スプレー容器の例としては、例えば特開平10-146546号公報、特開2000-24561号公報などに記載のものが挙げられる。
【0062】
<使用方法>
本発明の台所用液体洗浄剤を用いた洗浄対象物の洗浄方法は、台所用液体洗浄剤をトリガー式スプレー容器に収容し、このトリガー式スプレー容器から台所用液体洗浄剤を噴霧して洗浄対象物と接触させ、洗浄対象物を洗浄する方法である。
本発明の台所用液体洗浄剤は油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力に優れるため、手やスポンジ等の洗浄具で洗浄対象物を擦り洗いするなどの機械力をかけなくても、固体脂が付着した洗浄対象物を洗浄できる。すなわち、本発明の台所用液体洗浄剤は、機械力をかけずに固体脂が付着した洗浄対象物を洗浄する際に用いる洗浄剤として特に好適であり、手やスポンジ等の洗浄具の届きにくい部位や、洗浄対象物の細部の洗浄に有効である。
ここで、「機械力をかけずに」とは、台所用液体洗浄剤の接触以外に、意図的な洗浄操作を行わないことを意味する。なお、洗浄対象物に接触させた台所用液体洗浄剤が自然に流下すること、洗浄を目的としない振動が洗浄対象物に伝わること、洗浄対象物に接触させた台所用液体洗浄剤を水ですすぐことなどは、機械力をかけずに洗浄対象物を洗浄する場合に相当する。
【0063】
洗浄対象物としては、皿、箸、スプーン等の食器;鍋、包丁、まな板等の調理器具;レンジ、コンロ等の厨房器具などが挙げられる。本明細書では、これらを総称して「台所用品」ともいう。
【0064】
<作用効果>
以上説明した本発明の台所用液体洗浄剤においては、特定の比率の(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、(D)成分と、水とを含有するので、機械力をかけなくても油汚れ、特に固体脂に対する洗浄力に優れる。加えて、本発明の台所用液体洗浄剤は、トリガー式スプレー容器からスプレーされた際にムセにくい。
【実施例0065】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。なお、各例で用いた成分の配合量は、特に断りのない限り純分換算値である。
【0066】
「使用原料」
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1:LAS-TEA、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩(アルキル基の炭素数:C10~C14)、アルキル基の炭素数が10~14である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「ライポン LH-200」、純分96質量%)をトリエタノールアミン(株式会社日本触媒製、商品名「トリエタノールアミンS-80」)で中和したもの。
・A-2:LAS-Na、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数:10~14)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「ライポン LS-250、純度50質量%。
・A-3:AES-Na、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数:C12及びC14で比率がC12:C14=75:25、天然アルコール由来。平均EO付加モル数2)、新日本理化株式会社製、商品名「シノリン SPE-1250」、純度70質量%。
【0067】
(B)成分又はその代替品((B’)成分)として、以下に示す化合物を用いた。
・B-1:フェニルグリコール(三洋化成工業株式会社製、商品名「ニューポール EFP」、溶解度:2.7g/100mL)。
・B-2:ベンジルアルコール(純正化学株式会社製、商品名「ベンジルアルコール」、溶解度:3.5g/100mL)。
・B-3:フェニルジグリコール(東京化成工業株式会社製、商品名「フェニルジグリコール」、溶解度:3.4g/100mL)。
・B’-1:ブチルカルビトール(東京化成工業株式会社製、商品名「ジエチレングリコールモノブチルエーテル」、溶解度:無限大(20g/100mL超))。
【0068】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C-1:PTS-TEA、パラトルエンスルホン酸トリエタノールアミン塩、パラトルエンスルホン酸(関東化学株式会社製、商品名「p-トルエンスルホン酸一水溶液」)をトリエタノールアミン(株式会社日本触媒製、商品名「トリエタノールアミンS-80」)で中和したもの。
・C-2:クメンスルホン酸ナトリウム(テイカ株式会社製、商品名「テイカトックスN5040」)。
・C-3:キシレンスルホン酸ナトリウム(テイカ株式会社製、商品名「テイカトックスN1140」)。
・C-4:メシチレンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製、商品名「メシチレンスルホン酸ナトリウム」)。
・C-5:安息香酸ナトリウム(株式会社伏見製薬所製、商品名「安息香酸ナトリウム」)。
・C-6:PTS-Na、パラトルエンスルホン酸ナトリウム塩、パラトルエンスルホン酸(関東化学株式会社製、商品名「p-トルエンスルホン酸一水溶液」)を水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、商品名「48%水酸化ナトリウム」)で中和したもの。
【0069】
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・D-1:AX、n-ドデシルジメチルアミンオキシド、上記一般式(1)中、R1=炭素数12の直鎖状のアルキル基、R2=メチル基、R3=メチル基、p=0、(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「カデナックス DM12D-W」)。
・D-2:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、上記一般式(1)中、R1=炭素数11の直鎖状のアルキル基、A=-C(=O)-NH-R4-、R2=メチル基、R3=メチル基、R4=プロピレン基、p=1、(クラリアント社製、商品名「GENAMINOX AP」)。
・D-3:ラウリルヒドロキシスルホベタイン(花王株式会社製、商品名「アンヒトール 20HD」)。
【0070】
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
[(E)成分]
・E-1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基:炭素数13~15(分岐数0.8)オキシエチレン基の平均繰り返し数が3)、上記一般式(2)中、R5=炭素数13~15のアルキル基(平均分岐数0.98)、-X-=-O-、R6=エチレン基、t=3、BASF社製、商品名「LutensolAO3」。
【0071】
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
[その他の任意成分]
・調合香料組成物1:特開2020-132680号公報の表1~8に記載の調合香料組成物1。
・調合香料組成物2:特開2020-132680号公報の表1~8に記載の調合香料組成物2。
・調合香料組成物3:特開2020-132680号公報の表1~8に記載の調合香料組成物3。
・調合香料組成物4:特開2020-132680号公報の表1~8に記載の調合香料組成物4。
・pH調整剤:水酸化ナトリウム(AGC株式会社製、商品名「48%水酸化ナトリウム」)及び硫酸(関東化学株式会社製)の少なくとも一方。
・水:イオン交換水。
【0072】
「実施例1~39、比較例1~8」
<台所用液体洗浄剤の調製>
表1~5に示す配合組成の台所用液体洗浄剤1000gを以下の手順にて調製した。
1Lビーカーに(A)成分と、水(水全体の8割)とを入れ、マグネチックスターラー(Fine社製、商品名「F-606N」)で充分に撹拌した。続いて、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分と、水及びpH調整剤(NaOH、硫酸)以外の任意成分とを加え、混合した。混合終了後、25℃でのpHが表1~5に示す値となるように、必要に応じpH調整剤を適量添加した後、全体量が100質量%になるように残りの水を加え、さらによく撹拌し、台所用液体洗浄剤を得た。
台所用液体洗浄剤のpH(25℃)は、台所用液体洗浄剤を25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、商品名「HM-30G」)を用い、ガラス電極を台所用液体洗浄剤に直接に浸漬し、1分間経過後に示すpHを測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
得られた各例の台所用液体洗浄剤について、以下のようにして、ムセにくさ及び洗浄力を評価した。結果を表1~5に示す。
【0073】
<評価>
(ムセにくさの評価)
市販されている台所用洗剤「レンジまわりのルック」のトリガー式スプレー容器に各例の台所用液体洗浄剤を収容した。
タッパ容器(岩崎工業株式会社製、商品名「ラストロ・ネオキーパー870mL」)と、台所用液体洗浄剤が収容されたトリガー式スプレー容器の噴射口とを15cm離して、タッパ容器に対して台所用液体洗浄剤を5回噴霧した。5回噴霧した直後に、タッパ容器から30cm離れた位置にパネラーの顔を近づけてミストを吸い込み、吸い込んだ際の状態を以下の評価基準に基づいて、4段階に評価した。
≪評価基準≫
◎◎:ミストを吸い込んだ際に鼻に刺激はなく、ムセこみは起こらない状態である。
◎:ミストを吸い込んだ際に鼻にやや刺激があるが、ムセこみは起こらない状態である。
〇:ミストを吸い込んだ際に鼻にかなり刺激があるが、ムセこみは起こらない状態である。
×:ミストを吸い込んだ際に鼻にかなり刺激があり、ムセこみが起きる状態である。
【0074】
(洗浄力の評価)
市販されている台所用洗剤「レンジまわりのルック」のトリガー式スプレー容器に各例の台所用液体洗浄剤を収容した。
牛脂(純度100質量%、富士フイルム和光純薬株式会社製)に対し、視認性を上げる為に、重量で0.1%となるようにSudan IVを均一溶解させたものを評価用汚垢とした。調製した汚垢を10cm×15cmのタッパ容器(岩崎工業株式会社製、商品名「ラストロ・ネオキーパー870mL」)に対し、電子天秤で計量しながら、ポリスポイトを用いて1.0gを均一に塗布し、室温(25℃)で1時間静置して疎水表面汚垢を作製した。
上記の疎水表面汚垢に対し、トリガー式スプレー容器に収容された台所用液体洗浄剤10mLを噴霧し、60秒間静置した。上記の後に、25℃流速5L/minの流水で満遍なく充分にすすぎ、残存汚垢を目視にて確認し、以下の評価基準に基づいて、4段階に評価した。
≪評価基準≫
◎◎:汚垢の残りが全く無い。
◎:汚垢の残りが殆ど無い。
〇:汚垢の残りは僅かである。
×:汚垢の残りが非常に多い。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
表1~5中、「適量」とは、各例の台所用液体洗浄剤のpHを表中の値にするのに要した量である。「バランス」とは、台所用液体洗浄剤全体で100質量%とするのに必要な水の配合量(質量%)である。また、表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。
また、「A+B+C+D」は、台所用液体洗浄剤の総質量に対する(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の含有量の合計である。「A+B’+C+D」は、台所用液体洗浄剤の総質量に対する(A)成分、(B’)成分、(C)成分及び(D)成分の含有量の合計である。「A+B」は、台所用液体洗浄剤の総質量に対する(A)成分及び(B)成分の含有量の合計である。「A+B’」は、台所用液体洗浄剤の総質量に対する(A)成分及び(B’)成分の含有量の合計である。「A+C」は、台所用液体洗浄剤の総質量に対する(A)成分及び(C)成分の含有量の合計である。「A+D」は、台所用液体洗浄剤の総質量に対する(A)成分及び(D)成分の含有量の合計である。「LAS/A」は、(A)成分の総質量に対するLAS塩の含有量である。
また、「B/(A+C)比」は、(B)成分/((A)成分+(C)成分)で表される質量比である。「B’/(A+C)比」は、(B’)成分/((A)成分+(C)成分)で表される質量比である。「A/B比」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比である。「A/B’比」は、(A)成分/(B’)成分で表される質量比である。「A/C比」は、(A)成分/(C)成分で表される質量比である。「A/D比」は、(A)成分/(D)成分で表される質量比である。
【0081】
表1~4から明らかなように、各実施例の台所用液体洗浄剤は、スプレーした際にムセにくく、機械力をかけなくても固体脂に対する洗浄力に優れていた。
一方、表5から明らかなように、(B)成分を含まない比較例1の台所用液体洗浄剤は、スプレーした際にムセやすく、機械力をかけなない場合の固体脂に対する洗浄力に劣っていた。
(C)成分を含まない比較例2の台所用液体洗浄剤は、スプレーした際にムセやすかった。
(D)成分を含まない比較例3の台所用液体洗浄剤は、スプレーした際にムセやすかった。
(A)成分を含まない比較例4の台所用液体洗浄剤は、スプレーした際にムセやすく、機械力をかけなない場合の固体脂に対する洗浄力に劣っていた。
他のアニオン界面活性剤は含むものの、LAS塩を含まない比較例5の台所用液体洗浄剤は、スプレーした際にムセやすく、機械力をかけなない場合の固体脂に対する洗浄力に劣っていた。
(C)成分を含まず、(B)成分の代わりにブチルカルビトールを含む比較例6の台所用液体洗浄剤は、機械力をかけなない場合の固体脂に対する洗浄力に劣っていた。
B/(A+C)比が0.03である比較例7の台所用液体洗浄剤は、機械力をかけなない場合の固体脂に対する洗浄力に劣っていた。
B/(A+C)比が17.00である比較例8の台所用液体洗浄剤は、スプレーした際にムセやすかった。