(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082124
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】振動発生装置
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193491
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】池添 祐基
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一成
(72)【発明者】
【氏名】高橋 剛教
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA02
5D107CC09
5D107DD03
5D107DD12
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】より大きな推力を発生させる振動発生装置を提供すること。
【解決手段】振動発生装置101は、上側磁石7Uと、下側磁石7Lと、上側磁石7UのN極と下側磁石7LのN極との間に配設されるコアヨーク8と、上側磁石7U、コアヨーク8、及び下側磁石7Lを囲み、上側磁石7UのS極と下側磁石7LのS極とを磁気的に接続するループヨーク6と、ループヨーク6の内側でコアヨーク8を囲むように配設されるコイル5と、ハウジングHSと、上側磁石7U、コアヨーク8、下側磁石7L、及びループヨーク6が一体的に組み立てられて構成される可動体MBと、可動体MBとハウジングHSとの間に配設され、可動体MBを振動可能に支持する弾性支持部材3と、を備える。コイル5は、略長方形状からなり、両短辺がハウジングHSに固定され、両長辺がコアヨーク8とループヨーク6との間に配置されている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の極と他方の極を有する第1磁石と、
一方の極が前記第1磁石の一方の極に対向するように前記第1磁石とは逆向きに配置される第2磁石と、
磁性材料からなり前記第1磁石の一方の極と前記第2磁石の一方の極との間に配設されるコアヨークと、
前記第1磁石、前記コアヨーク、及び前記第2磁石を囲み、前記第1磁石の他方の極と前記第2磁石の他方の極とを磁気的に接続するように配設されるループヨークと、
前記ループヨークの内側において前記コアヨークの周囲を囲むように配設される筒状のコイルと、
前記コイルが固定されるハウジングと、
前記第1磁石、前記コアヨーク、前記第2磁石、及び前記ループヨークが一体的に組み立てられて構成される可動体と、
前記可動体と前記ハウジングとの間に配設され、前記可動体を振動可能に支持する弾性支持部材と、を備え、
前記コイルは、一対の短辺と一対の長辺を有する略長方形状からなり、両短辺が前記ハウジングに固定され、両長辺が前記コアヨークと前記ループヨークとの間に配置されることを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
前記コイルは、樹脂で固められていることを特徴とする請求項1に記載の振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、N極同士が対向するように配置された二つの磁石と、二つの磁石の間に配置されたコアヨークと、コアヨークを囲むように配置された円筒形コイルとを利用してフレミングの左手の法則に基づくローレンツ力(推力)により、それら二つの磁石が保持された可動体を動かすリニアアクチュエータが知られている(特許文献1参照。)。このリニアアクチュエータでは、円筒形コイルは、固定体に保持されており、且つ、有蓋円筒形の磁性金属で形成された可動体で囲まれている。また、二つの磁石のうちの下側の磁石の下面には矩形板状の磁性金属で形成されたコア板が取り付けられている。そして、可動体とコア板は、二つの磁石を取り囲む外側ヨークとして機能するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたリニアアクチュエータでは、円筒形コイルは、円筒形コイルの下方から上方に向かって延びる固定体の一部である円筒部の円筒面に巻き付けられている。そのため、特許文献1に開示されたリニアアクチュエータでは、二つの磁石の下方に位置するコア板の大きさが制限されてしまい、ひいては、二つの磁石とコアヨークと外側ヨークとによって形成される磁気回路の形状が制限されてしまい、発生可能な推力が小さくなってしまうおそれがある。
【0005】
そこで、より大きな推力を発生させることができる振動発生装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る振動発生装置は、一方の極と他方の極を有する第1磁石と、一方の極が前記第1磁石の一方の極に対向するように前記第1磁石とは逆向きに配置される第2磁石と、磁性材料からなり前記第1磁石の一方の極と前記第2磁石の一方の極との間に配設されるコアヨークと、前記第1磁石、前記コアヨーク、及び前記第2磁石を囲み、前記第1磁石の他方の極と前記第2磁石の他方の極とを磁気的に接続するように配設されるループヨークと、前記ループヨークの内側において前記コアヨークの周囲を囲むように配設される筒状のコイルと、前記コイルが固定されるハウジングと、前記第1磁石、前記コアヨーク、前記第2磁石、及び前記ループヨークが一体的に組み立てられて構成される可動体と、前記可動体と前記ハウジングとの間に配設され、前記可動体を振動可能に支持する弾性支持部材と、を備え、前記コイルは、一対の短辺と一対の長辺を有する略長方形状からなり、両短辺が前記ハウジングに固定され、両長辺が前記コアヨークと前記ループヨークとの間に配置される。
【発明の効果】
【0007】
上述の振動発生装置は、より大きな推力を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図10】内部組立体の更に別の構成例の断面図である。
【
図13】振動発生装置の比較例の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る振動発生装置101について説明する。
図1は、振動発生装置101の斜視図である。具体的には、
図1(A)は、ハウジングHS内に内部組立体ISを収容した状態の振動発生装置101の斜視図であり、
図1(B)は、カバー1が取り外されてケース2から内部組立体ISが取り出された状態の振動発生装置101の分解斜視図である。
【0010】
図1におけるX1は三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2はX軸の他方向を表す。また、Y1は三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2は他方向を表す。同様に、Z1は三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2はZ軸の他方向を表す。
図1では、明瞭化のため、三次元直交座標系の原点が振動発生装置101の外側に位置するように表されているが、実際には、三次元直交座標系の原点は、振動発生装置101の中心に位置する。そのため、振動発生装置101のX1側は、振動発生装置101の前側(正面側)に相当し、振動発生装置101のX2側は、振動発生装置101の後側(背面側)に相当する。また、振動発生装置101のY1側は、振動発生装置101の左側に相当し、振動発生装置101のY2側は、振動発生装置101の右側に相当する。そして、振動発生装置101のZ1側は、振動発生装置101の上側に相当し、振動発生装置101のZ2側は、振動発生装置101の下側に相当する。他の図においても同様である。
【0011】
振動装置VEは、制御部CTR及び振動発生装置101を有し、制御部CTRによって振動発生装置101を動作させることができるように構成されている。振動発生装置101は、ハウジングHSと、ハウジングHS内に収容される内部組立体ISとを有する。
【0012】
ハウジングHSは、
図1に示されるように、略直方体の外形を有し、YZ平面に平行な面(前面及び後面)の面積が最も広くなるように構成されている。本実施形態では、ハウジングHSは、ステンレス等の非磁性材料で形成されている。但し、ハウジングHSは、合成樹脂材等の他の材料で形成されていてもよい。
【0013】
図1に示される例では、ハウジングHSは、カバー1及びケース2で構成されている。カバー1は、
図1(B)に示されるように、略平板状の部材であり、ハウジングHSの前面(X1側の面)を形成するように構成されている。ケース2は、内部組立体ISを収容可能な部材であり、ハウジングHSの上面(Z1側の面)、下面(Z2側の面)、左側面(Y1側の面)、右側面(Y2側の面)、及び後面(X2側の面)を形成するように構成されている。そして、ケース2は、内部組立体ISを支持する基台として機能するように構成されている。
【0014】
図1(B)に示される例では、ケース2は、X軸に平行な中心軸を有する略矩形筒状の外周壁部2Aと、外周壁部2Aの後端(X2側の端)と連続するように設けられた略平板状の後板部2Bと、を有する。外周壁部2Aは、略平板状に形成された四つの平板部を備えている。具体的には、平板部は、内部組立体ISを挟んで互いに対向する上板部2A1及び下板部2A3と、上板部2A1及び下板部2A3のそれぞれに垂直で且つ内部組立体ISを挟んで互いに対向する左板部2A2及び右板部2A4とを有する。また、後板部2Bは、内部組立体ISを挟んでカバー1と対向するように構成されている。
【0015】
制御部CTRは、内部組立体ISの動きを制御できるように構成されている。本実施形態では、制御部CTRは、電子回路及び不揮発性記憶装置等を含む装置であり、内部組立体ISを振動させるための電流を内部組立体ISに対して供給できるように構成されている。制御部CTRは、コンピュータ等の外部装置からの制御指令に応じて電流を供給できるように構成されていてもよく、外部装置からの制御指令を受けずに自律的に電流を供給できるように構成されていてもよい。なお、本実施形態では、制御部CTRは、ハウジングHSの外部に設置されているが、ハウジングHSの外表面に取り付けられていてもよく、ハウジングHSの内部に設置されていてもよい。
【0016】
内部組立体ISは、ハウジングHSを振動させることができるように構成されている。本実施形態では、内部組立体ISは、弾性支持部材3を介してケース2内に取り付けられてケース2(ハウジングHS)を振動させることができるように構成されている。
【0017】
次に、
図2~
図5を参照し、内部組立体ISの詳細について説明する。
図2は、内部組立体ISの分解斜視図である。具体的には、
図2(A)は、内部組立体ISの全体の分解斜視図である。
図2(B)は、内部組立体ISを構成している可動体MBの分解斜視図であり、コイル5とコイル5内に配置されたコイル内組立体ICとがループヨーク6の内部にある空間から取り出された状態を示している。なお、可動体MBは、ループヨーク6と内部組立体ISとで構成されており、ケース2に固定されるコイル5を含んでいない。
【0018】
図3は、コイル内組立体ICの詳細図である。具体的には、
図3(A)は、コイル内組立体ICの全体の斜視図であり、
図3(B)は、コイル内組立体ICの分解斜視図である。コイル内組立体ICは、磁石7、コアヨーク8、及びシャフト9を含む。なお、
図3では、明瞭化のため、磁石7のN極部分に粗いドットパターンが付され、磁石7のS極部分に細かいドットパターンが付されている。
【0019】
図4及び
図5は、内部組立体ISの詳細図である。具体的には、
図4(A)は、内部組立体ISの正面図であり、
図4(B)~
図4(D)は、内部組立体ISの断面図である。より具体的には、
図4(B)は、
図4(A)に示される一点鎖線L1を含むXZ平面に平行な仮想平面における内部組立体ISの断面を示し、
図4(C)は、
図4(A)に示される一点鎖線L2を含むXZ平面に平行な仮想平面における内部組立体ISの断面を示し、
図4(D)は、
図4(A)に示される一点鎖線L3を含むXZ平面に平行な仮想平面における内部組立体ISの断面を示す。
図5(A)は、内部組立体ISの上面図であり、
図5(B)及び
図5(C)は、内部組立体ISの断面図である。より具体的には、
図5(B)は、
図5(A)に示される一点鎖線L4を含むYZ平面に平行な仮想平面における内部組立体ISの断面を示し、
図5(C)は、
図5(A)に示される一点鎖線L5を含むXZ平面に平行な仮想平面における内部組立体ISの断面を示す。
【0020】
また、
図4及び
図5は、可動体MBが振動中心に位置するときの内部組立体ISの状態を示している。なお、
図4(B)~
図4(D)、
図5(B)、及び
図5(C)では、明瞭化のため、磁石7には、断面を表すパターンの代わりに、N極部分に粗いドットパターンが付され、S極部分に細かいドットパターンが付されている。
【0021】
内部組立体ISは、
図2(A)に示されるように、弾性支持部材3、締結部材4、コイル5、及び可動体MBを含むように構成されている。
【0022】
弾性支持部材3は、ハウジングHSと可動体MBとの間に介在して可動体MBを弾性的に支持できるように構成されている。具体的には、弾性支持部材3は、ケース2と可動体MBとの間に介在して可動体MBを振動可能に支持できるように構成されている。
図2に示される例では、弾性支持部材3は、可動体MBの上側に取り付けられた上側弾性支持部材3Uと、可動体MBの下側に取り付けられた下側弾性支持部材3Lとを含む。なお、本実施形態では、上側弾性支持部材3Uと下側弾性支持部材3Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。
【0023】
締結部材4は、弾性支持部材3を可動体MBに固定できるように構成されている。
図2に示される例では、締結部材4は、ネジ付きボルトであり、上側弾性支持部材3Uを可動体MBの上側に固定するための上側締結部材4Uと、下側弾性支持部材3Lを可動体MBの下側に固定するための下側締結部材4Lとを含む。なお、本実施形態では、上側締結部材4Uと下側締結部材4Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。
【0024】
コイル5は、可動体MBを振動させる駆動手段DMの構成要素の一つである。コイル5は、磁石7が発生させる磁界を横切る導線を提供できるように構成されている。なお、
図1及び
図2は、明瞭化のため、コイル5に関しては、絶縁部材で表面を被覆された導線の詳細な巻回状態の図示を省略している。すなわち、コイル5は、簡略化されて図示されている。コイル5を図示する他の図においても同様である。
【0025】
図2(B)に示される例では、コイル5は、略矩形筒状のコイルであり、X軸方向に沿った短辺部分5L及び短辺部分5RとY軸方向に沿った長辺部分5F及び長辺部分5BとZ軸に沿った中心軸5Xとを有する。そして、コイル5は、短辺部分5L及び短辺部分5Rのところでケース2の外周壁部2Aによって支持されるように構成されている。具体的には、コイル5は、
図1(B)に示されるように、左側(Y1側)の短辺部分5Lのところで左板部2A2によって支持され、且つ、右側(Y2側)の短辺部分5R(
図1(B)では不可視。)のところで右板部2A4によって支持されている。
【0026】
コイル5の長辺部分5F及び長辺部分5Bは、
図2(B)に示されるように、可動体MBを構成しているコイル内組立体ICとループヨーク6との間に形成される空間を貫通するように延びている。すなわち、コイル5の長辺部分5F及び長辺部分5Bは、磁石7からループヨーク6に向かって延びる磁界を横切る導線を提供できるように構成されている。
【0027】
可動体MBは、Z軸方向に延びる振動軸VA(
図2(A)参照。)に沿ってハウジングHSに対して振動できるように構成されている。具体的には、可動体MBは、
図2(B)及び
図3に示されるように、ループヨーク6、磁石7、コアヨーク8、及びシャフト9を含む。
【0028】
ループヨーク6は、磁石7及びコアヨーク8とともに磁気回路を形成する部材である。ループヨーク6は、「外側ヨーク」とも称される。本実施形態では、ループヨーク6は、
図2(B)に示されるように、Y軸方向に延びる中心軸6Xを有する略矩形筒状の部材であり、コイル内組立体ICとコイル5の長辺部分5F及び長辺部分5Bとを取り囲むことができるように構成されている。具体的には、ループヨーク6は、磁性金属で一体的に形成されるとともに、コイル内組立体ICの前面、後面、上面、及び下面を覆うように、且つ、コイル内組立体ICの左面及び右面を露出させるように形成されている。
【0029】
磁石7は、可動体MBを振動させる駆動手段DMの構成要素の別の一つである。本実施形態では、磁石7は、
図3に示されるように、上側磁石7U及び下側磁石7Lを含む。そして、磁石7は、
図4(B)~
図4(D)に示されるように、ループヨーク6の内側に配置されている。そして、磁石7は、
図2(B)に示されるようにコイル5の内側に配置された状態で、上側磁石7UのN極部分が、コアヨーク8を挟んで、下側磁石7LのN極部分と対向するように配置されている。
【0030】
コアヨーク8は、ループヨーク6及び磁石7とともに磁気回路を形成する部材である。コアヨーク8は、「内側ヨーク」とも称される。本実施形態では、コアヨーク8は、
図3に示されるように、上側コアヨーク8U及び下側コアヨーク8Lを含む。上側コアヨーク8Uは、上側磁石7Uの下面に取り付けられ、且つ、下側コアヨーク8Lは、下側磁石7Lの上面に取り付けられる。
【0031】
シャフト9は、真鍮等の非磁性体で形成され、磁石7とコアヨーク8とを一体的に固定できるように構成されている。本実施形態では、シャフト9は、左側シャフト9L及び右側シャフト9Rを含む。左側シャフト9Lは、
図3(B)に示されるように、上側磁石7Uに形成された貫通孔T1L、上側コアヨーク8Uに形成された貫通孔T2L、下側コアヨーク8Lに形成された貫通孔T3L、及び、下側磁石7Lに形成された貫通孔T4Lに嵌合される。同様に、右側シャフト9Rは、
図3(B)に示されるように、上側磁石7Uに形成された貫通孔T1R、上側コアヨーク8Uに形成された貫通孔T2R、下側コアヨーク8Lに形成された貫通孔T3R、及び、下側磁石7Lに形成された貫通孔T4Rに嵌合される。
【0032】
シャフト9は、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に、
図3(A)及び
図4(B)~
図4(D)に示されるような空隙GPが形成されるように、上側磁石7U、上側コアヨーク8U、下側コアヨーク8L、及び下側磁石7Lを一体的に固定できるように構成されている。
【0033】
なお、
図4(B)に示されるように、上側磁石7U及び上側コアヨーク8Uは、上側締結部材4Uによって、ループヨーク6の天井面6Cに向かって締め付けられ、下側磁石7L及び下側コアヨーク8Lは、下側締結部材4Lによって、ループヨーク6の内底面6Bに向かって締め付けられる。そして、締結部材4(上側締結部材4U及び下側締結部材4L)は、上側締結部材4Uの下端面と下側締結部材4Lの上端面とが空隙GPを挟んで対向するように配置されている。一方で、シャフト9(左側シャフト9L及び右側シャフト9R)は、
図4(D)に示されるように、空隙GPを貫通して延びるように構成されている。この構成により、シャフト9は、上側磁石7U、上側コアヨーク8U、下側コアヨーク8L、及び下側磁石7Lのそれぞれの位置が互いにずれてしまうのを防止できる。なお、
図4(D)では、右側シャフト9Rが空隙GPを貫通する様子が示されるのみで、左側シャフト9Lが空隙GPを貫通する様子が示されていないが、左側シャフト9Lも同様に空隙GPを貫通するように配置されている。但し、シャフト9は省略されてもよい。この場合、上側磁石7Uと上側コアヨーク8Uとの間の接合は、上側締結部材4Uのみによって実現されてもよく、接着剤による接着等の他の手段と上側締結部材4Uとの組み合わせによって実現されてもよい。下側磁石7Lと下側コアヨーク8Lとの間の接合についても同様である。
【0034】
駆動手段DMは、加振力発生部の一例であり、フレミングの左手の法則に基づくローレンツ力(推力)により可動体MBを振動軸VAに沿って振動させることができるように構成されている。本実施形態では、駆動手段DMは、ボイスコイルモータであり、コイル5及び磁石7を含む。
【0035】
具体的には、駆動手段DMは、制御部CTRからコイル5に供給される電流が流れる方向(Y軸方向)、及び、磁石7が発生させる磁界の方向(X軸方向)のそれぞれに垂直な方向(Z軸方向)に推力を発生させる。本実施形態では、駆動手段DMは、ケース2に固定されたコイル5をZ軸に沿った一方向に動かそうとする推力の反作用によって、磁石7が取り付けられた可動体MBをZ軸に沿った他方向に移動させる。
【0036】
次に、
図6及び
図7を参照し、ループヨーク6、磁石7、及びコアヨーク8によって形成される磁気回路における磁界とコイル5との間の位置関係について説明する。
図6は、
図4(A)に示される一点鎖線L2を含むXZ平面に平行な仮想平面における内部組立体ISの断面を示す。
図7は、
図6における弾性支持部材3が省略された図に相当する。また、
図6は、可動体MBが振動中心に位置するときの内部組立体ISの状態を示し、
図7(A)は、可動体MBが最も下方(Z2方向)に振動(移動)したときの内部組立体ISの状態を示し、
図7(B)は、可動体MBが最も上方(Z1方向)に振動(移動)したときの内部組立体ISの状態を示している。なお、
図6及び
図7では、明瞭化のため、磁石7には、断面を表すパターンの代わりに、N極部分に粗いドットパターンが付され、S極部分に細かいドットパターンが付されている。また、
図6及び
図7は、磁石7のN極部分から出てコアヨーク8及びループヨーク6を通りS極部分に入る磁束線の一部を太い点線で概略的に示している。破線矢印は、磁束線の向きを表している。
【0037】
図6及び
図7に示されるように、上側コアヨーク8Uは、上側磁石7UのN極部分の下端から出た磁束の向きがコイル5の長辺部分5F及び長辺部分5Bのそれぞれと直交するように、上側磁石7UのN極部分の下端から出た磁束の向きをX軸に沿う方向に変えることができる。同様に、下側コアヨーク8Lは、下側磁石7LのN極部分の上端から出た磁束の向きがコイル5の長辺部分5F及び長辺部分5Bのそれぞれと直交するように、下側磁石7LのN極部分の下端から出た磁束の向きをX軸に沿う方向に変えることができる。
【0038】
次に、
図8を参照し、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に空隙GPを有するように構成された可動体MBによる効果について説明する。
図8は、内部組立体ISの比較例である内部組立体ISAの断面図であり、
図6に対応している。具体的には、
図8(A)は、上側コアヨーク8U及び下側コアヨーク8Lを含まない内部組立体ISAの断面図であり、
図8(B)は、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとが一体化された部材である中央コアヨーク8Cを有し、且つ、下側磁石7Lの下面とループヨーク6の内底面6Bとの間に空隙GPAが形成された内部組立体ISAの断面図である。
【0039】
図8(A)に示されるように、上側磁石7Uと下側磁石7Lとの間にコアヨーク8が配置されない場合、上側磁石7UのN極部分の下端から出る磁束は、コアヨーク8が配置される場合に比べて纏まりがない。同様に、下側磁石7LのN極部分の上端から出る磁束は、コアヨーク8が配置される場合に比べて纏まりがない。そのため、コアヨーク8が配置される場合に比べ、コイル5の長辺部分5F及び長辺部分5Bのそれぞれと直交するように延びる磁束線は少なくなり、ループヨーク6及び磁石7で構成される磁気回路における磁界の強度は小さくなる。なお、
図8(A)では、コアヨーク8が配置される場合に比べて小さい磁界強度を表すために、
図6における点線よりも細い点線によって磁束線が表されている。
【0040】
言い換えれば、上側磁石7Uと下側磁石7Lとの間にコアヨーク8が配置され、且つ、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に空隙GPが形成されるように構成された内部組立体ISは、
図8(A)に示される内部組立体ISAに比べ、磁気回路における磁界の強度を大きくすることができる。すなわち、内部組立体ISを備えた振動発生装置101は、
図8(A)に示されるような内部組立体ISAを備えた振動発生装置に比べ、同量の電流の供給を受けた場合により大きな推力を発生させることができる。
【0041】
また、
図8(B)に示されるように、下側磁石7Lの下面とループヨーク6の内底面6Bとの間に空隙GPAが形成されている場合、ループヨーク6、下側磁石7L、及びコアヨーク8で構成される磁気回路における磁界の強度は、
図6に示されるような上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に空隙GPが形成されている場合(磁気回路の他の部分に空隙が形成されていない場合)に比べて小さくなる。
図8(B)に示される内部組立体ISAでは、下側磁石7Lが発生させる磁界における磁束を横切るように空隙GPAが形成されているため、すなわち、磁気回路が分断されてしまうためである。このような分断は、ループヨーク6の天井面6Cと上側磁石7Uとの間、又は、上側磁石7Uとコアヨーク8との間、コアヨーク8と下側磁石7Lとの間に空隙が形成される場合にも同様に発生する。なお、
図8(B)では、
図6に示されるような上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に空隙GPが形成される場合に比べて小さい磁界強度を表すために、下側磁石7Lが発生させる磁界に関しては、
図6における点線よりも細い点線によって磁束線が表されている。
【0042】
言い換えれば、
図6に示されるように上側磁石7Uと下側磁石7Lとの間にコアヨーク8(上側コアヨーク8U及び下側コアヨーク8L)が配置され、且つ、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に空隙GPが形成されるように構成された内部組立体ISは、
図8(B)に示される内部組立体ISAに比べ、磁気回路における磁界の強度を大きくすることができる。すなわち、内部組立体ISを備えた振動発生装置101は、
図8(B)に示されるような内部組立体ISAを備えた振動発生装置に比べ、同量の電流の供給を受けた場合により大きな推力を発生させることができる。
【0043】
なお、ループヨーク6の内底面6Bと天井面6Cとの間に空隙が全く存在しないように形成された内部組立体、すなわち、ループヨーク6の天井面6C、上側磁石7U、上側コアヨーク8U、下側コアヨーク8L、下側磁石7L、及び、ループヨーク6の内底面6Bが隙間なく接触するように形成された内部組立体は、累積公差の観点から現実的ではない。ループヨーク6の内底面6Bと天井面6Cとの間に、上側磁石7U、上側コアヨーク8U、下側コアヨーク8L、及び下側磁石7Lで構成されるコイル内組立体ICを収容できないという不具合が発生し得るためである。そのため、上述の実施形態では、コアヨーク8を上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとに分割し、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に空隙GPが形成されるようにすることで、ループヨーク6内にコイル内組立体ICを収容できないといった問題が生じないようにしながら、磁気回路における磁気の強度が小さくなるのを抑制している。なお、累積公差は、ループヨーク6、上側磁石7U、上側コアヨーク8U、下側コアヨーク8L、及び下側磁石7Lのそれぞれの製造公差とそれらの部材の組み立てに関する公差(組立公差)を含む。
【0044】
また、上述の実施形態では、上側磁石7Uと下側磁石7Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。同様に、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。すなわち、内部組立体ISは、ループヨーク6の天井面6C及び内底面6Bのそれぞれから等しい距離に空隙GPが位置するように構成されている。しかしながら、空隙GPが上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に形成されているのであれば、内部組立体ISは、天井面6Cと空隙GPとの間の距離が、空隙GPと内底面6Bとの間の距離と異なるように形成されていてもよい。
【0045】
次に、
図9を参照し、内部組立体ISの別の構成例について説明する。
図9は、内部組立体ISの別の構成例である内部組立体IS1~IS5を示す。具体的には、
図9(A)は、内部組立体IS1の断面図であり、
図4(C)に対応している。
図9(B)~
図9(E)についても同様である。
【0046】
図9(A)に示される内部組立体IS1は、ループヨーク6が上側ループヨーク6U及び下側ループヨーク6Lに分割されている点、及び、コアヨーク8が単一部品である中央コアヨーク8Cとして形成されている点で、
図6に示される内部組立体ISと異なるが、その他の点で
図6に示される内部組立体ISと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0047】
内部組立体IS1では、上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとの間に空隙GP1が形成されている。空隙GP1は、Z軸方向における内部組立体IS1の中点を通るXY平面に平行な仮想平面(以下、「中央面CP」とする。)を含むように形成されている。
図9に示される破線は、中央面CPを表している。具体的には、空隙GP1は、コイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部に対向する位置に形成された前側空隙GP1Fと、コイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部に対向する位置に形成された後側空隙GP1Bと、を含む。
【0048】
一方、内部組立体IS1では、上側ループヨーク6Uの天井面6Cと下側ループヨーク6Lの内底面6Bとの間には、内部組立体ISにおける空隙GPのような空隙は形成されていない。ループヨーク6が上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとに分割可能な構成とすることにより、ループヨーク6内にコイル内組立体ICを組み付けることができないといった累積公差に起因する問題を回避できるためである。
【0049】
なお、
図9(A)に示される例では、上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。
【0050】
図9(B)に示される内部組立体IS2は、上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとの間に形成される空隙GP2が、中央面CPよりも高い位置に形成されている点で、
図9(A)に示される内部組立体IS1と異なるが、その他の点で
図9(A)に示される内部組立体IS1と同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0051】
内部組立体IS2では、空隙GP2は、コイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成された前側空隙GP2Fと、コイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成された後側空隙GP2Bと、を含む。なお、
図9(B)に示される例では、Z軸方向における前側空隙GP2Fの位置(高さ)は、Z軸方向における後側空隙GP2Bの位置(高さ)と同じである。但し、空隙GP2は、コイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成された前側空隙GP2Fと、コイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成された後側空隙GP2Bと、を含むように構成されていてもよい。
【0052】
一方、内部組立体IS2では、内部組立体IS1の場合と同様に、上側ループヨーク6Uの天井面6Cと下側ループヨーク6Lの内底面6Bとの間には、内部組立体ISにおける空隙GPのような空隙は形成されていない。ループヨーク6が上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとに分割可能な構成とすることにより、ループヨーク6内にコイル内組立体ICを組み付けることができないといった累積公差に起因する問題を回避できるためである。
【0053】
図9(C)に示される内部組立体IS3は、上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとの間に形成される空隙GP3のうちの前側空隙GP3Fの高さが後側空隙GP3Bの高さと異なる点で、
図9(A)に示される内部組立体IS1と異なるが、その他の点で
図9(A)に示される内部組立体IS1と同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0054】
内部組立体IS3では、空隙GP3は、コイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成された前側空隙GP3Fと、コイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成された後側空隙GP3Bと、を含む。但し、空隙GP3は、コイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成された前側空隙GP3Fと、コイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成された後側空隙GP3Bと、を含むように構成されていてもよい。
【0055】
一方、内部組立体IS3では、内部組立体IS1及び内部組立体IS2の場合と同様に、上側ループヨーク6Uの天井面6Cと下側ループヨーク6Lの内底面6Bとの間には、内部組立体ISにおける空隙GPのような空隙は形成されていない。ループヨーク6が上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとに分割可能な構成とすることにより、ループヨーク6内にコイル内組立体ICを組み付けることができないといった累積公差に起因する問題を回避できるためである。
【0056】
また、
図9(C)に示される例では、上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。そのため、空隙GP3は、中央面CPと前側空隙GP3Fとの間の距離が中央面CPと後側空隙GP3Bとの間の距離と等しくなるように形成されている。但し、空隙GP3は、中央面CPと前側空隙GP3Fとの間の距離が中央面CPと後側空隙GP3Bとの間の距離と異なるように形成されていてもよい。すなわち、上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとは、異なる形状を有するように構成されていてもよい。
【0057】
図9(D)に示される内部組立体IS4は、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に形成される空隙GP4が、XY平面に対して傾斜して延びるように形成されている点で、
図6に示される内部組立体ISと異なるが、その他の点で
図6に示される内部組立体ISと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0058】
内部組立体IS4では、空隙GP4は、前側開口GP4Fがコイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成され、且つ、後側開口GP4Bがコイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成されている。但し、空隙GP4は、前側開口GP4Fがコイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成され、且つ、後側開口GP4Bがコイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成されていてもよい。
【0059】
また、
図9(D)に示される例では、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。そのため、空隙GP4は、中央面CPと空隙GP4の前側開口GP4Fとの間の距離が中央面CPと空隙GP4の後側開口GP4Bとの間の距離と等しくなるように形成されている。但し、空隙GP4は、中央面CPと空隙GP4の前側開口GP4Fとの間の距離が中央面CPと空隙GP4の後側開口GP4Bとの間の距離と異なるように形成されていてもよい。すなわち、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、異なる形状を有するように構成されていてもよい。
【0060】
図9(E)に示される内部組立体IS5は、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に形成される空隙GP5がX軸方向において段差を形成する点で、
図6に示される内部組立体ISと異なるが、その他の点で
図6に示される内部組立体ISと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0061】
内部組立体IS5では、空隙GP5は、XY平面に平行に延びるように形成されている。その上で、空隙GP5は、前側開口GP5Fがコイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成され、且つ、後側開口GP5Bがコイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成されている。但し、空隙GP5は、前側開口GP5Fがコイル5のX1側の長辺部分5Fの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成され、且つ、後側開口GP5Bがコイル5のX2側の長辺部分5Bの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成されていてもよい。
【0062】
また、
図9(E)に示される例では、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。そのため、空隙GP5は、中央面CPと空隙GP5の前側開口GP5Fとの間の距離が中央面CPと空隙GP5の後側開口GP5Bとの間の距離と等しくなるように形成されている。但し、空隙GP5は、中央面CPと空隙GP5の前側開口GP5Fとの間の距離が中央面CPと空隙GP5の後側開口GP5Bとの間の距離と異なるように形成されていてもよい。すなわち、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、異なる形状を有するように構成されていてもよい。
【0063】
次に、
図10を参照し、内部組立体ISの更に別の構成例について説明する。
図10は、内部組立体ISの更に別の構成例である内部組立体IS6及びIS7を示す。具体的には、
図10(A)は、内部組立体IS6の断面図であり、
図5(C)に対応している。
図10(B)についても同様である。
【0064】
図10(A)に示される内部組立体IS6は、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に形成される空隙GP6がY軸方向において段差を形成する点で、
図5(C)に示される内部組立体ISと異なるが、その他の点で
図5(C)に示される内部組立体ISと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0065】
内部組立体IS6では、空隙GP6は、XY平面に平行に延びるように形成されている。その上で、空隙GP6は、左側開口GP6Lがコイル5のY1側の短辺部分5Lの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成され、且つ、右側開口GP6Rがコイル5のY2側の短辺部分5Rの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成されている。但し、空隙GP6は、左側開口GP6Lがコイル5のY1側の短辺部分5Lの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成され、且つ、右側開口GP6Rがコイル5のY2側の短辺部分5Rの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成されていてもよい。
【0066】
また、
図10(A)に示される例では、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。そのため、空隙GP6は、中央面CPと空隙GP5の左側開口GP6Lとの間の距離が中央面CPと空隙GP5の右側開口GP6Rとの間の距離と等しくなるように形成されている。但し、空隙GP6は、中央面CPと空隙GP6の左側開口GP6Lとの間の距離が中央面CPと空隙GP5の右側開口GP6Rとの間の距離と異なるように形成されていてもよい。すなわち、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、異なる形状を有するように構成されていてもよい。
【0067】
図10(B)に示される内部組立体IS7は、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に形成される空隙GP7が、XY平面に対して傾斜して延びるように形成されている点で、
図5(C)に示される内部組立体ISと異なるが、その他の点で
図5(C)に示される内部組立体ISと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0068】
内部組立体IS7では、空隙GP7は、左側開口GP7Lがコイル5のY1側の短辺部分5Lの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成され、且つ、右側開口GP7Rがコイル5のY2側の短辺部分5Rの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成されている。但し、空隙GP7は、左側開口GP7Lがコイル5のY1側の短辺部分5Lの中央部よりもその上端部に近い部分に対向する位置に形成され、且つ、右側開口GP7Rがコイル5のY2側の短辺部分5Rの中央部よりもその下端部に近い部分に対向する位置に形成されていてもよい。
【0069】
また、
図10(B)に示される例では、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、可動体MBが上下対称に振動できるように、且つ、部品点数が削減されるように、同じ形状及び同じ大きさを有するように構成されている。そのため、空隙GP7は、中央面CPと空隙GP7の左側開口GP7Lとの間の距離が中央面CPと空隙GP7の右側開口GP7Rとの間の距離と等しくなるように形成されている。但し、空隙GP7は、中央面CPと左側開口GP7Lとの間の距離が中央面CPと右側開口GP7Rとの間の距離と異なるように形成されていてもよい。すなわち、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとは、異なる形状を有するように構成されていてもよい。
【0070】
図9(A)~
図9(E)、
図10(A)、及び
図10(B)のそれぞれに示される例では、内部組立体IS1~IS7は、ループヨーク6又はコアヨーク8の何れか一方が二つに分割されるように構成されている。しかしながら、内部組立体IS1~IS7は、ループヨーク6及びコアヨーク8のそれぞれが二つに分割されるように構成されていてもよい。すなわち、
図9(A)~
図9(E)、
図10(A)、及び
図10(B)のそれぞれに示される構成は、必要に応じて適宜に組み合わされてもよい。また、ループヨーク6は、三つ以上に分割されてもよい。コアヨーク8についても同様である。
【0071】
次に、
図11を参照し、ハウジングHS(ケース2)に対するコイル5の固定構造について説明する。
図11は、コイル5が固定されたケース2を示す。具体的には、
図11(A)は、コイル5が固定されたケース2の斜視図である。
図11(B)は、コイル5が固定されたケース2の正面図である。
図11(C)は、
図11(B)に示される一点鎖線L6を含むXY平面に平行な仮想平面におけるケース2の断面をZ1側から見たときの図である。
図11(D)は、
図11(B)に示される一点鎖線L7を含むXY平面に平行な仮想平面におけるケース2の断面をZ2側から見たときの図である。なお、
図11(A)~
図11(D)では、明瞭化のため、ケース2及びコイル5以外の部材の図示が省略されている。
【0072】
図11(A)~
図11(D)に示されるように、ケース2は、矩形筒状の外周壁部2Aと、外周壁部2Aの後端(X2側の端)と連続するように設けられた平板状の後板部2Bと、を有する。そして、外周壁部2Aは、上板部2A1、左板部2A2、下板部2A3、及び右板部2A4を含む。
【0073】
具体的には、外周壁部2Aは、折れ曲がり部BPを有する。折れ曲がり部BPは、ケース2の内側でコイル5を保持できるように構成されている。本実施形態では、折れ曲がり部BPは、第1折れ曲がり部BP1~第8折れ曲がり部BP8を含む。折れ曲がり部BPによるコイル5の保持は、接着剤によって補強されてもよい。
【0074】
第1折れ曲がり部BP1~第4折れ曲がり部BP4は、コイル5のY1側の短辺部分5Lを保持できるように構成されている。具体的には、第1折れ曲がり部BP1~第4折れ曲がり部BP4は、左板部2A2の一部を折り曲げることによって形成されている。
【0075】
そして、第1折れ曲がり部BP1は、その下面がコイル5の左側(Y1側)の短辺部分5Lの上面の前端部分と接触するように構成されている。第2折れ曲がり部BP2は、その下面がコイル5の左側(Y1側)の短辺部分5Lの上面の後端部分と接触するように構成されている。第3折れ曲がり部BP3は、その上面がコイル5の左側(Y1側)の短辺部分5Lの下面の前端部分と接触するように構成されている。第4折れ曲がり部BP4は、その上面がコイル5の左側(Y1側)の短辺部分5Lの下面の後端部分と接触するように構成されている。
【0076】
すなわち、コイル5は、左側(Y1側)の短辺部分5Lの前端部分がZ軸方向において第1折れ曲がり部BP1と第3折れ曲がり部BP3との間に挟持されるように構成されている。また、コイル5は、左側(Y1側)の短辺部分5Lの後端部分がZ軸方向において第2折れ曲がり部BP2と第4折れ曲がり部BP4との間に挟持されるように構成されている。
【0077】
第5折れ曲がり部BP5~第8折れ曲がり部BP8は、コイル5のY2側の短辺部分5Rを保持できるように構成されている。具体的には、第5折れ曲がり部BP5~第8折れ曲がり部BP8は、右板部2A4の一部を折り曲げることによって形成されている。
【0078】
そして、第5折れ曲がり部BP5は、その下面がコイル5の右側(Y2側)の短辺部分5Rの上面の前端部分と接触するように構成されている。第6折れ曲がり部BP6は、その下面がコイル5の右側(Y2側)の短辺部分5Rの上面の後端部分と接触するように構成されている。第7折れ曲がり部BP7は、その上面がコイル5の右側(Y2側)の短辺部分5Rの下面の前端部分と接触するように構成されている。第8折れ曲がり部BP8は、その上面がコイル5の右側(Y2側)の短辺部分5Rの下面の後端部分と接触するように構成されている。
【0079】
すなわち、コイル5は、右側(Y2側)の短辺部分5Rの前端部分がZ軸方向において第5折れ曲がり部BP5と第7折れ曲がり部BP7との間に挟持されるように構成されている。また、コイル5は、右側(Y2側)の短辺部分5Rの後端部分がZ軸方向において第6折れ曲がり部BP6と第8折れ曲がり部BP8との間に挟持されるように構成されている。
【0080】
また、折れ曲がり部BPは、内部組立体ISがケース2内に収容されるときに、内部組立体ISと干渉しないように長さが設定されている。この構成は、内部組立体ISがケース2の前側(X1側)からケース2内に嵌め込まれるのを可能にしている。すなわち、折れ曲がり部BPは、コイル5の短辺部分5L及び短辺部分5RのX軸方向(前後方向)に沿った移動を許容できるように構成されている。
【0081】
また、コイル5は、樹脂等で固められるように構成されている。本実施形態では、コイル5は、導線が巻回された後で樹脂含浸処理が施される。樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂である。なお、コイル5は、樹脂含浸処理以外の方法で固められてもよい。
【0082】
このように、コイル5は、樹脂等で固められた状態で、短辺部分5L及び短辺部分5Rのそれぞれで折れ曲がり部BPによって挟持されている。そのため、他の何れの部材とも接していない長辺部分5B及び長辺部分5Fは、ローレンツ力(推力)が作用した場合であっても撓んだり変形したりすることはない。そのため、駆動手段DMは、ケース2に固定されたコイル5をZ軸に沿った一方向(例えばZ1方向)に動かそうとする推力の反作用によって、磁石7が取り付けられた可動体MBをZ軸に沿った他方向(例えばZ2方向)に移動させることができる。
【0083】
次に、
図12及び
図13を参照し、コイル5の外形を略長方形状にすることによる効果について説明する。
図12は、カバー1が取り外された状態の振動発生装置101を示す。具体的には、
図12(A)は、カバー1が取り外された状態の振動発生装置101の正面図である。また、
図12(B)は、
図12(A)に示される一点鎖線L8を含むXY平面に平行な仮想平面における振動発生装置101の断面をZ1側から見たときの図である。なお、
図12では、明瞭化のため、コイル5にはドットパターンが付され、
図12(B)における上側磁石7Uには、断面を表すパターンの代わりに、N極部分であることを表す粗いドットパターンが付されている。また、
図12(B)は、上側磁石7UのN極部分から出て上側コアヨーク8U及びループヨーク6を通ってS極部分に入る磁束線の一部(コイル5を通過する部分)を太い点線で概略的に示している。破線矢印は、磁束線の向きを表している。
【0084】
図13は、振動発生装置101の比較例である振動発生装置101Zの一部の断面図であり、
図12(B)に対応している。具体的には、
図13は、円柱状のコイル内組立体(上側磁石7UZ)と、円筒形状のコイル5Zと、Y軸に平行な中心軸を有する角筒状のループヨーク6Zとによって構成される振動発生装置101Zの一部の断面図である。コイル5Zは、
図12(B)に示されるコイル5と同様に、左端部(Y1側の端部)及び右端部(Y2側の端部)のそれぞれが上下一対の折れ曲がり部BPZによって挟持されている。なお、
図13では、
図12の場合と同様、明瞭化のため、コイル5Zにはドットパターンが付され、上側磁石7UZには、断面を表すパターンの代わりに、N極部分であることを表す粗いドットパターンが付されている。また、
図13は、上側磁石7UのN極部分から出て上側コアヨーク(図示せず。)及びループヨーク6Zを通ってS極部分に入る磁束線の一部(コイル5Zを通過する部分)を太い点線で概略的に示している。破線矢印は、磁束線の向きを表している。
【0085】
図12(B)に示されるように、略長方形状の外形を有するコイル5は、X1側の長辺部分5Fの大部分、及び、X2側の長辺部分5Bの大部分において、すなわち、コイル5の全周の大部分において、上側磁石7UのN極部分から出た磁束が直交するように配置されている。
【0086】
一方で、
図13に示されるように、円筒形状のコイル5Zは、前側(X1側)及び後側(X2側)の部分において、すなわち、コイル5Zの全周の半分に満たない部分において、上側磁石7UZのN極部分から出た磁束が横切るのみであり、コイル5Zの全周の半分以上の部分においては、磁束が横切らないように配置されている。また、コイル5Zを横切る磁束の大部分は、コイル5を構成している導線を斜めに横切るように延びている。
【0087】
このように、コイル5Zは、円筒形状を有するため、略長方形状を有するコイル5に比べ、有効範囲の比率が小さい。なお、「有効範囲の比率」は、コイル5Zの全周長に対する、磁束が横切るコイル部分の長さの割合を意味する。具体的には、コイル5Zにおける有効範囲の比率は50%未満であり、コイル5における有効範囲の比率は50%を顕著に上回っている。
【0088】
そのため、コイル5Z及び磁石7Zを含むボイスコイルモータ方式の駆動手段によってもたらされる推力は、コイル5及び磁石7を含むボイスコイルモータ方式の駆動手段DMによってもたらされる推力よりも顕著に小さい。
【0089】
言い換えれば、略長方形状を有するコイル5を含む駆動手段DMは、円筒形状を有するコイル5Zを含む駆動手段に比べ、顕著に大きな推力をもたらすことができる。
【0090】
上述のように、本発明の実施形態に係る振動発生装置101は、一方の極と他方の極を有する第1磁石と、一方の極が第1磁石の一方の極に対向するように第1磁石とは逆向きに配置される第2磁石と、磁性材料からなり第1磁石の一方の極と第2磁石の一方の極との間に配設されるコアヨーク8と、第1磁石、コアヨーク8、及び第2磁石を囲み、第1磁石の他方の極と第2磁石の他方の極とを磁気的に接続するように配設されるループヨーク6と、ループヨーク6の内側においてコアヨーク8の周囲を囲むように配設される筒状のコイル5と、コイル5が固定されるハウジングHSと、第1磁石、コアヨーク8、第2磁石、及びループヨーク6が一体的に組み立てられて構成される可動体MBと、可動体MBとハウジングHSとの間に配設され、可動体MBを振動可能に支持する弾性支持部材3と、を備えている。そして、コアヨーク8及びループヨーク6の少なくとも一方は、磁束を横切らない位置で分割されている。
【0091】
例えば、
図1~
図7に示されるように、振動発生装置101は、N極部分とS極部分を有する第1磁石としての上側磁石7Uと、N極部分が上側磁石7UのN極部分に対向するように上側磁石7Uとは逆向きに配置される第2磁石としての下側磁石7Lと、磁性材料からなり上側磁石7UのN極部分と下側磁石7LのN極部分との間に配設されるコアヨーク8と、上側磁石7U、コアヨーク8、及び下側磁石7Lを囲み、上側磁石7UのS極部分と下側磁石7LのS極部分とを磁気的に接続するように配設されるループヨーク6と、ループヨーク6の内側においてコアヨーク8の周囲を囲むように配設される筒状のコイル5と、コイル5が固定されるハウジングHSと、上側磁石7U、コアヨーク8、下側磁石7L、及びループヨーク6が一体的に組み立てられて構成される可動体MBと、可動体MBとハウジングHSとの間に配設され、可動体MBを振動可能に支持する弾性支持部材3と、を備えている。そして、コアヨーク8は、磁束を横切らない位置にクリアランス(空隙GP)が設けられることにより、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとに分割されている。
【0092】
ループヨーク6は、例えば
図9(A)に示されるように、磁束を横切らない位置に空隙GP1が設けられることにより、上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとに分割されていてもよい。
【0093】
或いは、振動発生装置101は、コアヨーク8が上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとに分割され、且つ、ループヨーク6が上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとに分割されるように構成されていてもよい。
【0094】
上述の構成により、振動発生装置101は、磁束の発散と磁気回路の分断を抑制し、例えば
図8に示されるような構成を有する場合に比べ、より大きな推力を発生させることができる。なお、
図8(A)は、コアヨーク8が省略された構成を示し、
図8(B)は、コイル内組立体IC(下側磁石7L)とループヨーク6の内底面との間に空隙GPAを有する構成を示している。
【0095】
また、振動発生装置101は、ボイスコイルモータ方式であるため、例えば100Hz~500Hzといった比較的広い周波数帯域にわたって所定の振動加速度(例えば4G)以上の振動加速度(加振力)を実現できる。すなわち、振動発生装置101は、比較的広い周波数帯域にわたってフラットな特性をもたらすことができる。
【0096】
また、振動発生装置101は、コイル5がケース2に固定されるとともにループヨーク6、磁石7、及びコアヨーク8が可動体MBに含まれるムービングマグネット方式を採用している。ムービングマグネット方式は、ムービングコイル方式に比べ、可動体MBの質量を大きくすることができ、振動加速度(加振力)を大きくすることができる。
【0097】
コアヨーク8及びループヨーク6の少なくとも一方は、磁界の方向に沿い磁束を横切らない位置にクリアランスが設けられることにより分割されていてもよい。例えば、コアヨーク8は、
図6に示されるように、磁界の方向に沿い磁束を横切らない位置に空隙GPが設けられることにより、上側コアヨーク8U及び下側コアヨーク8Lに分割されていてもよい。
【0098】
コアヨーク8は、第1磁石の一方の極に取り付けられた第1コアヨークと、第2磁石の一方の極に取り付けられた第2コアヨークとに分割されていてもよい。この場合、第1コアヨークと第2コアヨークとの間にクリアランスが設定されていてもよい。例えば、コアヨーク8は、
図6に示されるように、上側磁石7UのN極部分に取り付けられた第1コアヨークとしての上側コアヨーク8Uと、下側磁石7LのN極部分に取り付けられた第2コアヨークとしての下側コアヨーク8Lとに分割されていてもよい。この場合、上側コアヨーク8Uと下側コアヨーク8Lとの間に空隙GPが設定されていてもよい。
【0099】
ループヨーク6は、第1磁石の他方の極に取り付けられた第1ループヨークと、前記第2磁石の他方の極に取り付けられた第2ループヨークとに分割されていてもよい。この場合、コアヨーク8の外側において第1ループヨークと第2ループヨークとの間にクリアランスが設定されていてもよい。例えば、ループヨーク6は、
図9(A)に示されるように、上側磁石7UのS極部分に取り付けられた第1ループヨークとしての上側ループヨーク6Uと、下側磁石7LのS極部分に取り付けられた第2ループヨークとしての下側ループヨーク6Lとに分割されていてもよい。この場合、コアヨーク8の外側において上側ループヨーク6Uと下側ループヨーク6Lとの間にクリアランス(空隙GP1)が設定されていてもよい。
【0100】
また、本発明の実施形態に係る振動発生装置101は、コイル5が一対の短辺と一対の長辺とを有する略長方形状からなり、両短辺がハウジングHSに固定され、両長辺がコアヨーク8とループヨーク6との間に配置されるように構成されている。具体的には、振動発生装置101は、
図11に示されるように、コイル5が一対の短辺部分(短辺部分5L及び短辺部分5R)と一対の長辺部分(長辺部分5F及び長辺部分5B)とを有する略長方形状を有するように構成されている。そして、短辺部分5L及び短辺部分5Rは何れもハウジングHSを構成するケース2に固定されている。また、長辺部分5F及び長辺部分5Bは何れも、例えば
図6に示されるように、コアヨーク8とループヨーク6との間に配置されている。
【0101】
なお、略長方形状は、コイル5の概略的な形状が長方形であればよいことを意味する。そのため、略長方形状は、厳密な意味でのトラック形状、楕円形状、又は多角形状等を含んでいてもよい。また、多角形状は、六角形状又は八角形状等を含んでいてもよい。
【0102】
上述の構成により、振動発生装置101は、コイル5の長辺部分5B及び長辺部分5Fのそれぞれに直交する磁界を効率的に発生させることができるため、より大きな推力を発生させることができる。なお、コイル5は、ループヨーク6の内側においてコアヨーク8の周囲(前面、左面、後面、及び右面)を囲むように配設される筒状のコイルである。コイル5は、樹脂で固められていてもよい。ローレンツ力に基づく推力を受けるコイル5の剛性を確保するためである。これは、コイル5の剛性が低い場合には、推力が効果的に利用されず、振動発生装置101が所望の振動加速度(加振力)を実現できなくなってしまうためである。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0104】
例えば、上述の実施形態では、コイル5のY1側の短辺部分5Lは、ケース2に形成された四つの折れ曲がり部BPによって保持されているが、二つの折れ曲がり部BP(短辺部分5Lの上面と接触する一つの上側折れ曲がり部、及び、短辺部分5Lの下面と接触する下側折れ曲がり部)によって保持されていてもよい。或いは、短辺部分5Lは、一つの上側折れ曲がり部と三つ以上の下側折れ曲がり部とによって保持されていてもよく、三つ以上の上側折れ曲がり部と一つの下側折れ曲がり部とによって保持されていてもよく、三つ以上の上側折れ曲がり部と三つ以上の下側折れ曲がり部とによって保持されていてもよい。コイル5のY2側の短辺部分5Rについても同様である。
【0105】
また、本実施形態では、略長方形状の外形を有するコイル5の短辺部分は、四つの角部を含んでいてもよい。この場合、コイル5の角部は、カバー1又はケース2によって保持されていてもよい。具体的には、コイル5における四つの角度のうちの少なくとも一つは、カバー1又はケース2に形成された折れ曲がり部BP等によって保持されていてもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、折れ曲がり部BPは何れも、ケース2に形成されているが、カバー1に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1・・・カバー 2・・・ケース 2A・・・外周壁部 2A1・・・上板部 2A2・・・左板部 2A3・・・下板部 2A4・・・右板部 2B・・・後板部 3・・・弾性支持部材 3L・・・下側弾性支持部材 3U・・・上側弾性支持部材 4・・・締結部材 4L・・・下側締結部材 4U・・・上側締結部材 5・・・コイル 5B、5F・・・長辺部分 5L、5R・・・短辺部分 5X・・・中心軸 5Z・・・コイル 6・・・ループヨーク 6B・・・内底面 6C・・・天井面 6L・・・下側ループヨーク 6U・・・上側ループヨーク 6X・・・中心軸 6Z・・・ループヨーク 7・・・磁石 7L・・・下側磁石 7U、7UZ・・・上側磁石 7Z・・・磁石 8・・・コアヨーク 8C・・・中央コアヨーク 8L・・・下側コアヨーク 8U・・・上側コアヨーク 9・・・シャフト 9L・・・左側シャフト 9R・・・右側シャフト 101、101Z・・・振動発生装置 BP・・・折れ曲がり部 BP1・・・第1折れ曲がり部 BP2・・・第2折れ曲がり部 BP3・・・第3折れ曲がり部 BP4・・・第4折れ曲がり部 BP5・・・第5折れ曲がり部 BP6・・・第6折れ曲がり部 BP7・・・第7折れ曲がり部 BP8・・・第8折れ曲がり部 BPZ・・・折れ曲がり部 CTR・・・制御部 DM・・・駆動手段 GP、GP1~GP7、GPA・・・空隙 GP1B~GP3B・・・後側空隙 GP4B、GP5B・・・後側開口 GP1F~GP3F・・・前側空隙 GP4F、GP5F・・・前側開口 GP6L、GP7L・・・左側開口 GP6R、GP7R・・・右側開口 HS・・・ハウジング IC・・・コイル内組立体 IS、IS1~IS7、ISA・・・内部組立体 MB・・・可動体 VA・・・振動軸 VE・・・振動装置