IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エンプラスの特許一覧

特開2022-82136光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置
<>
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図1
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図2
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図3
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図4
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図5
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図6
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図7
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図8
  • 特開-光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082136
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220525BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220525BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220525BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220525BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20220525BHJP
   G02B 3/04 20060101ALI20220525BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220525BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21V5/00 510
F21V5/00 530
F21V5/04
G02F1/13357
G02B3/02
G02B3/04
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193521
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桃井 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼鳥 洋
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA03
2H391AA14
2H391AB04
2H391AC02
2H391AC08
2H391AC10
2H391AC13
2H391AD36
2H391AD43
2H391AD46
2H391AD58
2H391CA05
2H391CA09
2H391CA15
2H391CB13
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA23
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244FA03
3K244FA07
3K244GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光素子の発光面が小さい場合であっても輝度ムラを抑制できる光束制御部材を提供する。
【解決手段】発光装置120において、光束制御部材は、第1光学面161と、第2光学面162と、第3光学面163と、第4光学面164とを有する。発光素子150から出射され、第1光学面161で入射した光のうち一部の光は、第2光学面162、第3光学面163および第4光学面164で順に内部反射された後、第2光学面162から光束制御部材の外部に出射される。発光素子150から出射され、第1光学面161に入射する光のうち一部の光は、フレネル反射し、基板140の表面で第1光学面161に向けて反射され、第1光学面161で光束制御部材の内部に入射した後、第2光学面162から光束制御部材の外部に出射される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材であって、
前記発光素子と対向して配置され、前記発光素子から出射された光を入射させるための第1光学面と、
前記第1光学面を挟んで前記発光素子と反対側に配置され、前記第1光学面で入射した光のうち一部の光を前記発光素子の光軸から離れるように側方方向に反射させる第2光学面と、
前記第2光学面で反射した光のうち一部の光が到達する第3光学面と、
前記第1光学面を取り囲むように前記第1光学面から離れる方向に延在し、前記第3光学面で反射した光のうち一部の光が到達する第4光学面と、
を有し、
前記発光素子から出射され、前記第1光学面で入射した光のうち一部の光は、前記第2光学面、前記第3光学面および前記第4光学面で順に内部反射された後、前記第2光学面から前記光束制御部材の外部に出射され、
前記発光素子から出射され、前記第1光学面に入射する光のうち一部の光は、フレネル反射し、前記基板の表面で前記第1光学面に向けて反射され、前記第1光学面で前記光束制御部材の内部に入射した後、前記第2光学面から前記光束制御部材の外部に出射される、
光束制御部材。
【請求項2】
複数の前記発光素子から出射された光をそれぞれ入射させるための複数の入射ユニットと、
前記複数の入射ユニットの間に配置され、前記複数の入射ユニットで入射した光を導光しながら出射させるための出射ユニットと、
を有し、
前記複数の入射ユニットは、前記第1光学面と、前記第2光学面と、前記第3光学面と、前記第4光学面と、をそれぞれ有する、
請求項1に記載の光束制御部材。
【請求項3】
前記第2光学面は、前記発光素子の光軸に対して回転対称であり、かつ、前記発光素子の光軸から離れるにつれて前記基板から離れるように構成されている、請求項1または請求項2に記載の光束制御部材。
【請求項4】
前記第1光学面は、前記発光素子の発光面の中心から出射された光の前記第1光学面における入射角度が60°以上である領域を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光束制御部材。
【請求項5】
基板上に配置された発光素子と、
前記発光素子の上に配置された、請求項1に記載の光束制御部材と、
を有する、発光装置。
【請求項6】
基板上に配置された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の上に配置された、請求項2に記載の光束制御部材と、
を有する、発光装置。
【請求項7】
平面視したときの前記第2光学面の面積と、前記発光素子の発光面の面積との比は、80:1~5:1の範囲内である、請求項5または請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
複数の、請求項5~7のいずれか一項に記載の発光装置と、
前記複数の発光装置から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、
を有する、面光源装置。
【請求項9】
前記基板と、前記光拡散板との間隔は、2~30mmの範囲内である、請求項8に記載の面光源装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、
を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材、当該光束制御部材を有する発光装置、当該発光装置を有する面光源装置、および当該面光源装置を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されている。また、直下型の面光源装置では、広い範囲に光を照射するために多くの発光素子が配置されることがある。
【0003】
特許文献1には、基板に配置され、所定の大きさの発光面を有する発光素子と、光束制御部材と、拡散部材と、を有する面光源装置が記載されている。光束制御部材は、発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、入射面で入射した光のうち、一部の光を基板に沿った方向に反射させ、他の光を透過させる反射面と、反射面で反射された光を出射させる出射面とを有する。反射面は、発光面の中心近傍から出射され、入射面で入射した光を基板に沿った方向に反射させる。一方、発光面の中心から離れた領域から出射され、入射面で入射した光の一部は、反射面で反射されず、反射面から光束制御部材の外部に出射される。
【0004】
特許文献1の面光源装置では、発光素子から出射された光は、光束制御部材により拡散部材の広範囲を照らすように拡げられる。光束制御部材から出射された光は、さらに拡散板により拡散される。その結果、特許文献1の面光源装置は、面状の表示部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/167594号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、従来の発光素子の発光面よりも、小さな発光面を有する発光素子が開発されている。特許文献1に記載の面光源装置に、発光面の小さな発光素子を適用した場合、発光素子から出射された光の大部分が反射面で反射され、反射面を透過する光が少なくなるため、光束制御部材の直上部が暗部となり、表示部材を均一に照らすことができなくなるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、発光素子の発光面が小さい場合であっても輝度ムラを抑制できる光束制御部材を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該光束制御部材を有する発光装置、当該発光装置を有する面光源装置および当該面光源装置を有する表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光束制御部材は、基板上に配置された発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材であって、前記発光素子と対向して配置され、前記発光素子から出射された光を入射させるための第1光学面と、前記第1光学面を挟んで前記発光素子と反対側に配置され、前記第1光学面で入射した光のうち一部の光を前記発光素子の光軸から離れるように側方方向に反射させる第2光学面と、前記第2光学面で反射した光のうち一部の光が到達する第3光学面と、前記第1光学面を取り囲むように前記第1光学面から離れる方向に延在し、前記第3光学面で反射した光のうち一部の光が到達する第4光学面と、を有し、前記発光素子から出射され、前記第1光学面で入射した光のうち一部の光は、前記第2光学面、前記第3光学面および前記第4光学面で順に内部反射された後、前記第2光学面から前記光束制御部材の外部に出射され、前記発光素子から出射され、前記第1光学面に入射する光のうち一部の光は、フレネル反射し、前記基板の表面で前記第1光学面に向けて反射され、前記第1光学面で前記光束制御部材の内部に入射した後、前記第2光学面から前記光束制御部材の外部に出射される。
【0009】
本発明の発光装置は、基板上に配置された発光素子と、前記発光素子の上に配置された、本発明の光束制御部材と、を有する。
【0010】
本発明の発光装置は、基板上に配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の上に配置された、本発明の光束制御部材と、を有する。
【0011】
本発明の面光源装置は、複数の、本発明の発光装置と、前記複数の発光装置から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、を有する。
【0012】
本発明の表示装置は、本発明の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発光素子の発光面の大きさが小さい場合でも輝度ムラを抑制できる光束制御部材を提供できる。また、本発明によれば、上記の光束制御部材を有する発光装置、面光源装置および表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1A、Bは、実施の形態1に係る面光源装置の構成を示す図である。
図2図2A、Bは、実施の形態1に係る面光源装置の構成を示す他の図である。
図3図3は、図2Bの部分拡大図である。
図4図4A~Dは、実施の形態1に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図5図5A~Cは、実施の形態1に係る発光装置における光路図である。
図6図6A、Bは、実施の形態2に係る面光源装置の構成を示す図である。
図7図7A~Cは、実施の形態2に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図8図8A~Dは、実施の形態2に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図9図9A、Bは、実施の形態2に係る発光装置における光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。これらの面光源装置は、面光源装置からの光を照射される表示部材102(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置100’として使用されうる(図1B参照)。
【0016】
[実施の形態1]
(面光源装置および発光装置の構成)
図1A、B、図2A、Bおよび図3は、本発明の実施の形態1に係る面光源装置100の構成を示す図である。図1Aは、実施の形態1に係る面光源装置100の平面図であり、図1Bは、正面図である。図2Aは、図1Bに示されるA-A線の断面図であり、図2Bは、図1Aに示されるB-B線の断面図である。図3は、図2Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。図3では、光束制御部材160を基板140に固定するための脚部を省略している。
【0017】
図1A、B、図2A、Bおよび図3に示されるように、実施の形態に係る面光源装置100は、筐体110と、複数の発光装置120と、光拡散板130とを有する。複数の発光装置120は、筐体110の底板112上にマトリックス状に配置されている。底板112の内面は、拡散反射面として機能する。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光拡散板130は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、特に限定されないが、例えば約400mm×約700mmである。基板140と、光拡散板130との間隔は特に限定されない。なお、基板140と、光拡散板130との間隔が小さい薄型の面光源装置100の方が本発明の効果が得られやすい。一の発光素子150上に位置する第2光学面162と対向する光拡散板130の領域に、隣接する他の発光素子150からの光が届きにくくなるような薄型の面光源装置100の方が、発光素子100上が暗部として認識されやすい。しかし、本発明の光学制御部材160を用いることで、そのような問題を解決できる。このため、基板140と、光拡散板130との間隔は、2~30mmの範囲内が好ましく、2~5mmがより好ましい。
【0018】
図3に示されるように、発光装置120は、基板140上に固定されている。基板140は、筐体110の底板112上の所定の位置に固定されている。発光装置120は、発光素子150および光束制御部材160を有している。
【0019】
発光素子150は、面光源装置100の光源であり、基板140上に実装されている。発光素子150は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。また、発光素子150の種類は、特に制限されない。発光素子150は、天面および側面から光を出射する発光素子150(例えば、COB型発光ダイオード)が好ましい。本実施の形態では、従来の発光素子の発光面よりも小さい発光面を有する発光素子150を使用している。発光面の一辺の長さは、例えば0.1~1.0mmの範囲内である。
【0020】
光束制御部材160は、発光素子150から出射された光の配光を制御する光学部材である。光束制御部材160は、基板140上に固定されている。光束制御部材160は、その第1軸A1が発光素子150の光軸LAに一致するように、発光素子150の上に配置されている。なお、本実施の形態では、光束制御部材160は、第1軸A1を回転軸とした回転対称である。発光素子150の光軸LAと、第1光学面161の第1軸A1、第2光学面162の第2軸A2、第3光学面163の第3軸A3および第4光学面164の第4軸A4とは、一致している。また、「発光素子150の光軸LA」とは、発光素子150からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。発光素子150が実装された基板140と光束制御部材160の裏面との間には、発光素子150から発せられる熱を外部に逃がすための隙間が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
【0021】
光束制御部材160は、一体成形により形成されている。光束制御部材160の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であれば特に限定されない。例えば、光束制御部材160の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0022】
本実施の形態に係る面光源装置100は、光束制御部材160の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材160については、別途詳細に説明する。
【0023】
光拡散板130は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置120からの出射光を拡散させつつ透過させる。通常、光拡散板130は、液晶パネルなどの表示部材とほぼ同じ大きさである。例えば、光拡散板130は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散板130の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散板130の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0024】
本実施の形態に係る面光源装置100では、各発光素子150から出射された光は、光束制御部材160により光拡散板130の広範囲を照らすように拡げられる。各光束制御部材160から出射された光は、さらに光拡散板130により拡散される。その結果、本実施の形態に係る面光源装置100は、面状の表示部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0025】
(光束制御部材の構成)
ここで、光束制御部材160の構成について説明する。図4Aは、光束制御部材160の平面図であり、図4Bは、底面図であり、図4Cは、正面図であり、図4Dは、図4Aに示されるA-A線の断面図である。
【0026】
図4A~Dに示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材160は、第1光学面161と、第2光学面162と、第3光学面163と、第4光学面164とを有する。
【0027】
第1光学面161は、発光素子150と対向して裏側に配置されている。第1光学面161は、発光素子150から出射された光を、光束制御部材160の内部に入射させるか、または他の到達した光を透過させるか、または他の到達した光を反射させる。第1光学面161の形状は、前述の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、第1光学面161の形状は、光束制御部材160の裏側に形成された凹部の内面である。第1光学面161の形状は、発光素子150の光軸LAと交わり、第1光学面161の第1軸A1に対して回転対称(円対称)の形状である。より具体的には、本実施の形態では、第1光学面161の形状は、発光素子150の光軸LAから離れるにつれて基板140からの距離が徐々に短くなるように形成された形状である。より具体的には、第1光学面161の形状は、光軸LAから離れるにつれて光軸に対する接線の角度が徐々に大きくなる形状である。第1光学面161は、発光素子150の発光面の中心から出射された光の第1光学面161における入射角度が60°以上である領域を含んでいてもよい。当該角度が60°以上であると、発光素子150から出射された光のうち一部の光が第1光学面161で反射してしまうが、本実施の形態に係る光束制御部材160はそのような場合であっても適切に配光を制御できる。
【0028】
第2光学面162は、第1光学面161を挟んで発光素子150と対向する位置(表側)に配置されている。第2光学面162は、第1光学面161で入射した光を基板140の表面に沿う方向に内部反射させるか、または他の到達した光の一部を透過させる。第2光学面162は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、第2光学面162の形状は、発光素子150の光軸LAと交わり、第2光学面162の第2軸A2に対して回転対称(円対称)の形状である。より具体的には、第2光学面162の形状は、発光素子150の光軸LAから離れるにつれて基板140から離れるように構成された形状である。このような形状にすることで、第2光学面162は、発光素子150から出射され第1光学面161で入射した光が直接上方に抜けるのを抑制して発光素子150の直上に明部が発生するのを防ぐとともに、発光素子150間に光を導いて発光素子150間に暗部が発生するのも防ぐ。
【0029】
この回転対称の中心部分から外周部分にかけての母線は、第2光学面162の第2軸A2に対して傾斜した曲線または直線である。第2光学面162は、第2軸A2を回転軸として、この母線を360°回転させた状態の凹面である。
【0030】
上述したように、本実施の形態では、従来の発光素子150の発光面よりも小さい発光面を有する発光素子150を使用している。本実施の形態では、第2光学面162に対して発光素子150の発光面の大きさは非常に小さい。具体的には、平面視したときの第2光学面162の面積と、発光素子150の発光面の面積との比は、80:1~5:1の範囲内であることが好ましい。当該比率が上記範囲外の場合、光束制御部材160の直上部に進行する光が多くなり、光束制御部材160の直上部に明部が生じてしまうおそれがある。
【0031】
第3光学面163は、第2光学面162および第4光学面164に接続されている。第3光学面163は、第2光学面162で反射した光を基板140(第4光学面164)に向けて内部反射させるか、または他の到達した光を透過させる。本実施の形態では、第3光学面163は、光束制御部材160の側面であり、第2光学面162よりも外側に配置されている。第3光学面163は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、第3光学面163の形状は、第3光学面163の第3軸A3に対して回転対称(円対称)の形状である。より具体的には、本実施の形態では、第3光学面163の形状は、第3軸A3と略平行である。
【0032】
第4光学面164は、光束制御部材160の裏面であって、第1光学面161を取り囲むように、第4光学面164の第4軸A4から離れる方向に延在している。第4光学面164は、第3光学面163で反射した光のうち一部の光を第2光学面162に向けて反射させる。本実施の形態では、第4光学面164は、第1光学面161の外縁部に接続されており、発光素子150の発光面と略平行となるように配置されている。本実施の形態では、第4光学面164の外縁部には、第3光学面163が接続されている。
【0033】
(配光特性)
図5A~Cは、発光装置120の光路図である。図5Aは、発光素子150の発光面の中心から出射された光の光路を示しており、図5Bは、発光素子150の発光面の中心から出射された光のうち、一部の光の光路を示しており、図5Cは、発光素子150の発光面の中心から出射された光のうち、他の一部の光の光路を示している。図5A~Cでは、発光素子150から出射された光の光路を矢印で示すため、ハッチングを省略している。
【0034】
図5Aに示されるように、発光素子150の発光面の中心から出射された光は、主として第1光学面161で光束制御部材160の内部に入射する。第1光学面161で入射した光は、第2光学面162で基板140に沿った方向に内部反射する。第2光学面162で内部反射した光は、第3光学面163から光束制御部材160の外部に向けて出射される。なお、第3光学面163で出射される光は、後述の第2光学面162から出射される光よりも多い。
【0035】
図5Bに示されるように、発光素子150の発光面の中心から出射された一部の光は、第1光学面161から光束制御部材160の内部に入射する。第1光学面161で入射した光のうち一部の光は、第2光学面162で第3光学面163に向けて内部反射する。第3光学面163に到達した光は、第3光学面163で第4光学面164に向けてさらに内部反射する。第4光学面164に到達した光は、第2光学面162に向けて内部反射する。第2光学面162に到達した光は、第2光学面162から光束制御部材160の外部に向かって出射される。このように、発光素子150の発光面の中心から出射された光のうち、出射角度の大きな一部の光は、第2光学面162、第3光学面163および第4光学面164で順に内部反射された後、第2光学面162から光束制御部材160の外部に出射される。このとき、第2光学面162から出射された光は、発光素子150の光軸LAに近づくように進行する。なお、特に図示しないが、発光素子150の発光面の中心以外から出射された光であっても、同様に進行し、第2光学面162から出射される場合がある。
【0036】
図5Cに示されるように、発光素子150の発光面の中心から出射された他の一部の光は、第1光学面161で基板140に向けてフレネル反射(外部反射)する。第1光学面161で外部反射した光は、基板140の表面で、第1光学面161に向かって反射する。基板140の表面で反射し、第1光学面161に到達した光は、第1光学面161で光束制御部材160の内部に入射する。光束制御部材160の内部に入射した光は、第2光学面162から光束制御部材160の外部に向けて出射される。このとき、第2光学面162から出射された光は、発光素子150の光軸LAに沿うように進行する。なお、特に図示しないが、発光素子150の発光面の中心以外から出射された光であっても、同様に進行し、第2光学面162から出射される場合がある。
【0037】
(効果)
以上のように、本発明によれば、発光素子150の発光面の中心から出射された光は主として第3光学面163から出射され、発光素子150の発光面の中心から出射された光のうち、他の一部の光は第2光学面162から光束制御部材160の上部に向けて出射されるため、発光素子150の発光面が小さい場合であっても、光束制御部材160の上部に暗部が生じることなく適切に光を拡げることができる。したがって、本発明は、ローカルディミングに有効である。
【0038】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2に係る面光源装置200について説明する。本実施の形態に係る面光源装置200は、光束制御部材260の構成と、発光素子150および光束制御部材260の対応関係のみとが実施の形態1に係る面光源装置100と異なる。そこで、本実施の形態では、主として、光束制御部材260の構成と、発光素子150および光束制御部材260の対応関係とについて説明し、実施の形態1における面光源装置100と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
(面光源装置および発光装置の構成)
図6A、Bは、実施の形態2に係る面光源装置200の構成を示す図である。図6Aは、光拡散板を外した面光源装置200の平面図であり、図6Bは、発光素子150と光束制御部材260との位置関係を示す部分拡大平面図である。
【0040】
図6Aおよび図6Bに示されるように、本実施の形態に係る面光源装置200では、複数(4個)の発光素子150から出射された光の配光を1個の光束制御部材260で制御する。本実施の形態では、複数の発光素子150および複数の発光装置220は、いずれも格子状にかつ互いに離間して配置されている。隣り合う発光装置220の間隔L1は、複数の発光素子150の中心間距離L2の半分よりも小さくしてもよい。ここで「複数の発光素子150の中心間距離L2」とは、異なる発光装置220に属する2つの発光素子150の中心間距離を意味する。このようにすることで光束制御部材260によって光がより広く導光され、発光装置220の間が暗くなることを抑制できる。
【0041】
(光束制御部材の構成)
図7A~Cおよび図8A~Dは、光束制御部材260の構成を示す図である。図7Aは、実施の形態2に係る光束制御部材260の平面図であり、図7Bは、底面図であり、図7Cは、斜視図である。図8Aは、図7Aに示されるA-A線の断面図であり、図8Bは、図7Aに示されるB-B線の断面図であり、図8Cは、図7Aに示されるC-C線の断面図であり、図8Dは、図8Aの部分拡大図である。図7A~Cおよび図8A~Dでは、光束制御部材260を基板140に固定するための脚部を省略している。
【0042】
図7A~Cおよび図8A~Dに示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材260は、複数の入射ユニット260aと、出射ユニット260bとを有する。複数の入射ユニット260aは、発光素子150の配列に対応して格子状に配置されている。出射ユニット260bは、基板140に沿う方向において複数の入射ユニット260aの間に配置されている。光束制御部材260は、複数の入射ユニット260aを有し、光束制御部材260は、第1光学面161の第1軸A1(第2光学面162の第2軸A2)が各発光素子150の光軸LAに一致するように、複数の発光素子150の上に配置されている。本実施の形態では、4つの入射ユニット260aが仮想四角形の各角に配置されており、4つの出射ユニット260bが仮想四角形の4つの辺に対応する位置に配置されており、1つの出射ユニット260bが仮想四角形に取り囲まれる位置に配置されている。
【0043】
複数の入射ユニット260aは、発光素子150から出射された光をそれぞれ入射させ、一部の光を出射させる。複数の入射ユニット260aは、第1光学面161と、第2光学面162と、第3光学面263と、第4光学面164とをそれぞれ有する。第1光学面161と、第2光学面162と、第3光学面263と、第4光学面164との機能は、実施の形態1と同様であるため、その機能の説明を省略する。なお、本実施の形態では、第3光学面163は、発光素子150の光軸LAを取り囲むように配置されていない。第3光学面163は、光束制御部材260の外縁部分にのみ配置されている。
【0044】
複数の出射ユニット260bは、複数の入射ユニット260aで入射した光のうち、一部の光を導光しながら出射させる。各出射ユニット260bは、基板140と対向するように配置されている。複数の出射ユニット260bは、反射面266と、出射面265とを有している。出射ユニット260bは、反射面266と出射面265との間隔が、入射ユニット260aから離れるほど小さくなる部分を有する。これにより、入射ユニット260aから導かれた光は入射ユニット260aから離れるほど出射面265から出射されやすくなる。
【0045】
反射面266は、第2光学面162で内部反射した光を反射させる。反射面266は、第4光学面164に接続されており、かつ、第4光学面164と同一平面となるように形成されている。
【0046】
出射面265は、入射ユニット260aからの光の一部を反射させ、他の一部を出射させる出射面265を有する。出射面265は、反射面266と対向して配置されている。出射面265の形状は、反射面266と出射面265との間隔が入射ユニット260aから離れるほど小さくなる部分があるような形状であれば特に制限されない。出射面265の形状は、例えば、入射ユニット260aから離れるほど、反射面266との間隔が小さくなる曲面または傾斜面であることが好ましい。本実施の形態では、前記仮想四角形の4つの辺に対応する位置に配置されている4つの出射面265は、前記仮想四角形の辺に沿う方向では曲率を有し、この辺に垂直な方向では曲率を有しない凹面である(図8A~C参照)。一方、前記仮想四角形に取り囲まれるように配置されている出射面265は、上下逆に配置された円錐台の上底および側面の一部により構成される凹面である(図8B図8C参照)。
【0047】
(配光特性)
図9Aは、発光装置220の光路図である。図9A、Bでは、発光素子150から出射された光の光路を矢印で示すため、ハッチングを省略している。
【0048】
図9Aに示されるように、発光素子150から出射された光は、第1光学面161で光束制御部材260に入射する。第1光学面161で入射した光の一部は、直接出射ユニット260bに向かい、他の一部は反射面266で反射されて出射ユニット260bに向かう。出射ユニット260bに到達した光は、反射面266と出射面265との間で繰り返し反射されて出射ユニット260b内を導光される。このとき、出射面265に到達した光の一部は、反射されずに出射面265から出射される。
【0049】
このように、出射ユニット260bに到達した光は、出射ユニット260bの反射面266と出射面265との間を進みつつ、徐々に出射面265から出射される。ここで反射面266と出射面265との間隔は入射ユニット260aから離れるほど小さい。これにより、入射ユニット260aから離れるほど、反射面266と出射面265との間を進む光が出射面265から出射されやすくなる。
【0050】
また、入射ユニット260aから出射される光の配光特性は、実施の形態1の光束制御部材160における配光特性と同じであるためその説明を省略する。
【0051】
図9Bは発光装置220の端部における配光を示す。図9Bに示されるように、光束制御部材260の端部の断面形状は、矩形状でもよいし、R面でもよい。光束制御部材260の端部の断面形状がR面である場合、図9Bに示されるように、光はより横方向に拡がり、隙間が存在する発光装置220の間が暗くなることを防止できる。
【0052】
(効果)
本実施の形態の光束制御部材260は、実施の形態1に係る光束制御部材160と同様の効果に加え、複数の発光素子150からの光を1つの光束制御部材260で制御できるため、光束制御部材260を容易に実装できる。
【符号の説明】
【0053】
100、200 面光源装置
100’ 表示装置
102 表示部材
110 筐体
112 底板
114 天板
120、220 発光装置
130 光拡散板
140 基板
150 発光素子
160、260 光束制御部材
161 第1光学面
162 第2光学面
163、263 第3光学面
164 第4光学面
260a 入射ユニット
260b 出射ユニット
265 出射面
266 反射面
A 軸
A1 第1軸
A2 第2軸
A3 第3軸
A4 第4軸
L1 間隔
L2 中心間距離
LA 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9